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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020434
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】着色剤
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20240206BHJP
   C09D 11/037 20140101ALI20240206BHJP
【FI】
C09B67/20 F
C09B67/20 H
C09B67/20 K
C09D11/037
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195002
(22)【出願日】2023-11-16
(62)【分割の表示】P 2023556817の分割
【原出願日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2022103406
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】山田 頌悟
(72)【発明者】
【氏名】吉田 拓矢
(72)【発明者】
【氏名】木村 亮
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ポリウレタンインキ中などで良好な顔料の分散性および分散安定性を発揮することができる顔料組成物、及びこれを含む着色剤およびリキッドインキを提供する。
【解決手段】顔料組成物は、ベンズイミダゾロンアゾ顔料及びキナクリドン顔料からなる群より選択される少なくとも1つの有機顔料と、下記式等で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物と、を含有する。

(上式中のRは、水酸基またはカルボキシル基が置換していてもよいアルキレン基、もしくは単結合を表す。)

(上式中のRは、水酸基またはカルボキシル基が置換していてもよいアルキル基を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンズイミダゾロンアゾ顔料及びキナクリドン顔料からなる群より選択される少なくとも1つの有機顔料と、下記式(I)~(III)で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物と、を含有する顔料組成物。
【化1】
・・・(I)
(式(I)中のRは、水酸基またはカルボキシル基が置換していてもよいアルキレン基、もしくは単結合を表す。)
【化2】
・・・(II)
(式(II)中のRは、水酸基またはカルボキシル基が置換していてもよいアルキル基を表す。)
【化3】
・・・(III)
(式(III)中のRは、カルボキシル基またはカルボキシル基の置換するアルキル基、R~Rは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、カルボキシル基、水酸基もしくはカルボキシル基が置換していてもよいアルキル基を表し、R~Rのうち一つ以上はカルボキシル基またはカルボキシル基の置換するアルキル基である。)
【請求項2】
請求項1に記載の顔料組成物を含む着色剤。
【請求項3】
請求項2に記載の着色剤を含有するリキッドインキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料組成物、及びこれを含む着色剤およびリキッドインキに関する。
【背景技術】
【0002】
昔から顔料は、主としてインキ、塗料、トナー、ゴムおよびプラスチックの着色、合成繊維の原液着色、顔料捺染、雑貨の着色に用いられている。その中でもインキなどの印刷用途は、重要である。印刷は、印刷版を作り、その版面に印刷インクを付け、紙、フィルム、布などに転写することで行われる。印刷版には、平版、凹版、凸版、孔版があり、版の形状に応じてオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷方式がある。なかでもグラビア印刷やフレキソ印刷は、食品包装用フィルムや軟包装フィルム等における印刷において広く採用されており、産業上重要な印刷方式である。
【0003】
グラビア印刷で用いられるグラビアインキやフレキソ印刷で用いられるフレキソインキは、顔料などの着色剤の他、バインダー樹脂、溶剤、助剤などからなる。特に、食品包装用の分野においては、ポリウレタン樹脂をバインダーとするポリウレタンインキが重要な位置を占めている。これは、ポリウレタン樹脂が多くの基材との良好な接着性と優れた被膜物性を有し、またレトルト処理時の耐熱水性に優れている(耐レトルト性が高い)ことに由来する。一方で、ポリウレタン樹脂は顔料を分散させる能力が低いため、ポリウレタンインキ中で良好な分散性、分散安定性を発揮する顔料組成物が求められている。
【0004】
上記のようなポリウレタン樹脂バインダーやこれらを含むポリウレタンインキについては、下記特許文献1-2などが知られている。しかしながら、これらの手法では十分な顔料の分散性及び分散安定性が得られない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-221539号公報
【特許文献2】特開2007-238953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ポリウレタンインキ中などで良好な顔料の分散性および分散安定性を発揮することができる顔料組成物、及びこれを含む着色剤およびリキッドインキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、顔料組成物において、顔料の分散性及び分散安定性を向上することができる酸化合物に着目して検討したところ、カルボン酸化合物において効果を有することが分かった。さらに検討をしたところモノカルボン酸化合物では効果が小さいが、分子内に2つ以上のカルボキシル基を持つポリカルボン酸化合物が優れた効果を有することが分かった。これは、有機顔料とポリウレタン樹脂などのバインダー樹脂とをポリカルボン酸化合物が仲立ちすることによって、樹脂成分が有機顔料に吸着しやすくなり、分散系が安定化するためと推測する。
【0008】
さらにこのポリカルボン酸化合物について、検討を行ったところ、特に効果を発揮するには、ポリカルボン酸化合物のカルボキシル基間の距離や置換基位置が重要であることが分かった。その結果、本発明者らは、下記式(I)~(III)で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物を見出した。
【0009】
それぞれのポリカルボン酸化合物における考察は以下のとおりである。
式(I)のようなアルキレン基の両末端にカルボキシル基を持つポリカルボン酸の場合、アルキレン基が短すぎると、有機顔料表面上に樹脂が吸着するとき立体的に混み合ってしまい、充分な効果の得られないことがある。一方で、アルキレン基が長すぎると、ポリカルボン酸化合物の溶剤への溶解性が高くなり、有機顔料表面への吸着量が少なくなり効果が小さくなる。
また、式(II)のような2つのカルボキシル基がエテンに置換するポリカルボン酸化合物の場合、カルボキシル基の立体配置が重要である。シス体であると、2つのカルボキシル基両方が有機顔料もしくは樹脂成分どちらか一方に吸着してしまい、顔料と樹脂を仲立ちすることができないため分散性、分散安定性を向上させる効果が小さい。一方で、トランス体を使用する場合は顔料に樹脂を吸着させることができ、分散性、分散安定性を向上させる効果が大きい。
式(III)のように芳香環上のカルボキシル基や、芳香環上にカルボキシル基の置換するアルキル基を複数持つポリカルボン酸化合物の場合、カルボキシル基の置換位置が重要である。オルト位に2つのカルボキシル基が置換すると、カルボキシル基置換エテンのシス体同様の理由で、顔料もしくは樹脂のいずれか一方に吸着してしまい、充分な効果が得られない。メタ位、パラ位にカルボキシル基を持つポリカルボン酸化合物であれば、有機顔料と樹脂、双方と相互作用することができ、分散性、分散安定性が向上する。
【0010】
また、式(I)~(III)で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物との関係で良い効果を奏する有機顔料についても検討したところ、驚くべきことに有機顔料の中でもベンズイミダゾロンアゾ顔料とキナクリドン顔料において、ポリウレタンインキとして特に良好な分散性、分散安定性を発揮することが分かった。
【0011】
即ち本発明は、
『項1. ベンズイミダゾロンアゾ顔料及びキナクリドン顔料からなる群より選択される少なくとも1つの有機顔料と、下記式(I)~(III)で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物と、を含有する顔料組成物。
・・・(I)
(式(I)中のRは、水酸基またはカルボキシル基が置換していてもよいアルキレン基、もしくは単結合を表す。)
・・・(II)
(式(II)中のRは、水酸基またはカルボキシル基が置換していてもよいアルキル基を表す。)
・・・(III)
(式(III)中のRは、カルボキシル基またはカルボキシル基の置換するアルキル基、R~Rは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、カルボキシル基、水酸基もしくはカルボキシル基が置換していてもよいアルキル基を表し、R~Rのうち一つ以上はカルボキシル基またはカルボキシル基の置換するアルキル基である。)
項2. 項1に記載の顔料組成物を含む着色剤。
項3. 項2に記載の着色剤を含有するリキッドインキ。』に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の顔料組成物は、ポリウレタンインキ中などで顔料の分散性および分散安定性にも優れる。そのため、本発明の顔料組成物は、着色剤やリキッドインキ(特にバインダー樹脂としてポリウレタンを含むポリウレタンインキ)に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
[顔料組成物]
本発明の顔料組成物は、ベンズイミダゾロンアゾ顔料及びキナクリドン顔料からなる群より選択される少なくとも1つの有機顔料と、下記式(I)~(III)で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物と、を含有する。
・・・(I)
(式(I)中のRは、水酸基またはカルボキシル基が置換していてもよいアルキレン基、もしくは単結合を表す。)
・・・(II)
(式(II)中のRは、水酸基またはカルボキシル基が置換していてもよいアルキル基を表す。)
・・・(III)
(式(III)中のRは、カルボキシル基またはカルボキシル基の置換するアルキル基、R~Rは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、カルボキシル基、水酸基もしくはカルボキシル基が置換していてもよいアルキル基を表し、R~Rのうち一つ以上はカルボキシル基またはカルボキシル基の置換するアルキル基である。)
本明細書では、上記式(I)~(III)で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物を単に「ポリカルボン酸化合物」と称する場合がある。なお、式(I)で表される化合物には、式(II)及び式(III)で表される化合物は含まない。
【0015】
(有機顔料)
本発明における有機顔料は、ベンズイミダゾロンアゾ顔料及びキナクリドン顔料からなる群より選択される少なくとも1つである。ベンズイミダゾロンアゾ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー180(PY180)、C.I.ピグメントイエロー181(PY181)、C.I.ピグメントイエロー185(PY185)、C.I.ピグメントイエロー154(PY154)、C.I.ピグメントイエロー120(PY120)、C.I.ピグメントイエロー151(PY151)、C.I.ピグメントイエロー167(PY167)、C.I.ピグメントイエロー175(PY175)、C.I.ピグメントイエロー194(PY194)、C.I.ピグメントオレンジ36(PO36)、C.I.ピグメントオレンジ62(PO62)、C.I.ピグメントオレンジ60(PO60)、C.I.ピグメントオレンジ64(PO64)、C.I.ピグメントオレンジ72(PO72)、C.I.ピグメントレッド171(PR171)、C.I.ピグメントレッド175(PR175)、C.I.ピグメントレッド176(PR176)、C.I.ピグメントレッド185(PR185)、C.I.ピグメントレッド208(PR208)、C.I.ピグメントバイオレット32(PV32)、C.I.ピグメントブラウン25(PBr25)、C.I.ピグメントブラウン32(PBr32)が挙げられる。また、キナクリドン顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレッド19(PV19)、C.I.ピグメントレッド122(PR122)、C.I.ピグメントレッド209(PR209)、C.I.ピグメントレッド202(PR202)、C.I.ピグメントレッド206(PR206)、C.I.ピグメントオレンジ48(PO48)、C.I.ピグメントオレンジ49(PO49)、C.I.ピグメントバイオレット42(PV42)が挙げられる。中でもベンズイミダゾロンアゾ顔料としてはベンズイミダゾロンアセトロン系アゾ顔料がよく、特にPY180が好ましく、キナクリドン顔料としてはPV19とPR122が好ましい。これらの有機顔料は、一種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いても良く、2種以上を組み合わせた固溶体であってもよい。
【0016】
ベンズイミダゾロンアゾ顔料及びキナクリドン顔料の一次粒子径は、例えば0.01~5.0μm、好ましくは0.1~2.5μmである。また、ベンズイミダゾロンアゾ顔料及びキナクリドン顔料の比表面積は、例えば10~150m/g、好ましくは20~100m/gである。一次粒子径や比表面積が上記範囲であると、着色力や分散性に優れる。
【0017】
本発明における有機顔料は、ベンズイミダゾロンアゾ顔料及びキナクリドン顔料以外の有機顔料(染料)や天然色素を含んでいてもよい。このような有機顔料(染料)としては、不溶性アゾ、縮合アゾ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アゾメチン、アントラキノン、キサンテン、ジケトピロロピロール、ペリレン、ペリノン、インジゴイド、ジオキサジン、フタロシアニンなどが挙げられる。また、このような天然色素としては、アナトー色素、クチナシ黄色素、デュナリエラカロテン、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、イモカロテン、トマト色素、エビ色素、オキアミ色素、オレンジ色素、カニ色素、トウモロコシ色素、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素、サフラン色素及びトウガラシ色素(パプリカ色素)等のカロテノイド色素や、アカネ色素、コチニール色素、シコン色素及びラック色素等のキノン色素や、赤キャベツ色素、アカダイコン色素、シソ色素、ハイビスカス色素、ブドウ果汁色素、ブドウ果皮色素、紫イモ色素、紫コーン色素、紫ヤマイモ色素、エルダーベリー色素、クランベリー色素、チェリー色素、ハイビスカス色素、ブラックベリー色素、プラム色素、ブルーベリー色素、ラズベリー色素、及びボイセンベリー色素等のアントシアニン色素や、カカオ色素、クーロー色素、コウリャン色素、シタン色素、タマネギ色素、タマリンド色素、カキ色素、カロブ色素、カンゾウ色素、スオウ色素、ピーナッツ色素、ペカンナッツ色素、ベニバナ赤色素及びベニバナ黄色素等のフラボノイド色素や、クロロフィリン、クロロフィル(葉緑素)、クロレラ色素及びスピルリナ色素等のポルフィリン色素や、ウコン色素等のジケトン色素や、赤ビート色素等のベタシアニン色素や、紅麹色素(モナスカス色素)等のアザフィロン色素や、その他、紅麹黄色素、カラメル、クチナシ青色素、クチナシ赤色素が含まれる。 アカキャベツ色素、シソ色素、クチナシ色素、ブドウ果汁色素、ムラサキイモ色素、アカダイコン色素などのアントシアニン系色素、ベニバナ色素等のフラボノイド系色素、クロロフィルaなどのクロロフィル系色素、ゼアキサンチンなどのカロテノイド系色素、フィコシアノピリンなどのフィコシアンニン系色素などが挙げられる。これらのベンズイミダゾロンアゾ顔料及びキナクリドン顔料以外の有機顔料(染料)や天然色素を含む場合の含有量(2種以上を含む場合はその合計含有量)は、有機顔料(染料)や天然色素全量100質量%に対して、例えば50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。よって、上記のベンズイミダゾロンアゾ顔料又はキナクリドン顔料の含有量(両方含む場合は合計含有量)は、有機顔料(染料)全量100質量%に対して、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
【0018】
(ポリカルボン酸化合物)
上記ポリカルボン酸化合物は、上記式(I)~(III)で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物である。上記式(I)~(III)で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物のカルボキシル基が置換していてもよいアルキル基におけるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。式(I)で表される化合物としては、例えば、酒石酸、コハク酸、クエン酸、グルタル酸、アジピン酸、シュウ酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、マロン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が挙げられる。式(II)で表される化合物としては、例えば、アコニット酸、フマル酸、メサコン酸が挙げられる。また、式(III)で表される化合物としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメシン酸、ベンゼントリカルボン酸、メチルイソフタル酸、ヒドロキシイソフタル酸、メチルテレフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸、フェニレン二酢酸が挙げられる。なかでも式(I)で表される化合物としては酒石酸、コハク酸、クエン酸、グルタル酸、式(II)で表される化合物としてはアコニット酸、フマル酸、式(III)で表される化合物としてはイソフタル酸、テレフタル酸が好ましい。上記ポリカルボン酸化合物が光学異性を持つ化合物である場合、ラセミ体であってもよいし、いずれかの光学異性体であってもよい。上記ポリカルボン酸化合物は、一種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いても良い。
【0019】
上記ポリカルボン酸化合物におけるカルボキシル基の数は2以上であれば良いが、好ましくは2~5、より好ましくは2~4である。また、上記ポリカルボン酸化合物における水酸基の数は、例えば0~10、好ましくは0~6、より好ましくは0~4である。カルボキシル基及び水酸基が上記範囲であると、特に顔料の分散性及び分散安定性に優れる。
【0020】
上記ポリカルボン酸化合物の含有量は、有機顔料100質量部あたり、例えば0.01~20質量部、好ましくは0.1~15質量部、より好ましくは0.2~10質量部である。また、上記ポリカルボン酸化合物の含有量は、顔料組成物100質量%に対して、例えば0.01~20質量%、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは0.2~10質量%である。ポリカルボン酸化合物の含有量が上記範囲であると、特に顔料の分散性及び分散安定性に優れる。
【0021】
本発明の顔料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、有機顔料(染料)およびポリカルボン酸化合物を除く成分(以下、「その他の成分」と称する場合がある)を含んでも良い。その他の成分としては、顔料誘導体、無機顔料、分散剤(界面活性剤)、ロジンなどが挙げられる。
【0022】
上記顔料誘導体としては、スルホン酸顔料誘導体、アミノ基含有顔料誘導体、フタルイミドメチル基含有顔料誘導体などが挙げられる。上記無機顔料としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、沈降性硫酸バリウム、カオリン、クレー、アルミナホワイト、ホワイトカーボンなどが挙げられる。上記分散剤(界面活性剤)としては、アニオン性化合物、カチオン性化合物、非イオン性化合物、高分子化合物などが挙げられる。
【0023】
上記のその他の成分を含む場合のその含有量は、顔料組成物100重量%に対して、例えば0.1~10重量%、好ましくは0.2~5重量%、より好ましくは0.3~3重量%である。
【0024】
[顔料組成物の製造方法]
本発明の顔料組成物は、例えば、有機顔料へのポリカルボン酸化合物の添加を経て得られる。添加方法としては、特に限定されず、粉体のポリカルボン酸化合物を有機顔料へ投入してもよく(ドライブレンド)、粉体のポリカルボン酸化合物を溶剤に予め分散させたスラリー状の有機顔料へ投入してもよく(湿式)、一度水などの溶剤に溶かしたポリカルボン酸化合物を上記のような有機顔料へ投入してもよい。また、ポリカルボン酸化合物を一度に有機顔料へ投入してもよく、何回かに分けて投入してもよい。ポリカルボン酸化合物を有機顔料へ投入後、十分に攪拌して、ポリカルボン酸化合物を有機顔料に分散させることで顔料組成物が得られる。液中で充分に混合後、スラリーpHを酸性としてポリカルボン酸を酸析させてもよいし、無機塩を加えてポリカルボン酸をCa塩、Mg塩、Al塩などの形で塩析させてもよい。有機顔料は、市販されている上述のベンズイミダゾロンアゾ顔料及びキナクリドン顔料をそのまま使用することができる。また、ポリカルボン酸化合物も試薬として市販されているものをそのまま使用することができる。
【0025】
上記ポリカルボン酸化合物の添加量は、有機顔料100質量部あたり、例えば0.01~20質量部、好ましくは0.1~15質量部、より好ましくは0.2~10質量部である。
【0026】
上記で得られた顔料組成物について、必要に応じて、更に粒子径の調整、pH調整、濾過、アルコール洗浄、水洗、乾燥、粉砕など一般的な顔料化処理を行ってもよい。粒子径の調整は、水および/または有機溶剤中で顔料を、常圧もしくは加圧下、加熱、撹拌し、熟成することで行ってもよく、あるいはアシッドペースト法、アシッドスラリー法、ドライミリング法、ソルベント法、ソルベントミリング法など公知の方法により行ってもよい。また、スルホン酸顔料誘導体、アミノ基含有顔料誘導体、フタルイミドメチル基含有顔料誘導体などの顔料誘導体、分散剤などの高分子、界面活性剤、ロジンなどで顔料粒子表面を処理してもよい。
【0027】
[着色剤及びリキッドインキ]
本発明の着色剤は、上記顔料組成物を含む限り特に制限されず、着色機能を必要とするような着色剤用途であれば何れにも好適に使用できる。例えば、塗料、印刷インキ、着色成形品、トナー、表示装置のカラーフィルタやブラックマトリックス、インクジェット記録用インク等の公知慣用の各種用途に使用することができる。本発明の着色剤は、本発明の顔料組成物の他、各用途に適した成分を含む。
【0028】
本発明のリキッドインキは、印刷インキにおける態様の一つであるが、上記本発明の顔料組成物を含む限り特に制限されず、グラビア印刷またはフレキソ印刷の用途に用いることができる。つまり、本発明のリキッドインキは、例えば、グラビアインキまたはフレキソインキとして使用できる。リキッドインキは、有機溶剤を主溶媒とする有機溶剤型リキッドインキと、水を主溶媒とする水性リキッドインキとに大別されるが、本発明のリキッドインキは、有機溶剤型リキッドインキ及び水性リキッドインキ共に適用することができる。本発明のリキッドインキは、後述のとおり上記本発明の顔料組成物以外にそれぞれのインキに適した成分を含む。
【0029】
本発明のリキッドインキは、本発明の顔料組成物の他、例えば、バインダー樹脂、溶剤、分散剤を含む。溶剤の主成分が有機溶剤である場合、有機溶剤型リキッドインキとなり、溶剤の主成分が水混和性有機溶剤や水などの水性溶剤である場合、水性リキッドインキとなる。
【0030】
リキッドインキは、顔料とバインダー樹脂を添加した混合物を分散機で分散して顔料分散体を得て、得られた顔料分散体に樹脂、溶剤、必要に応じてレベリング剤等の添加剤を加え、撹拌混合することで得られる。リキッドインキのインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。
【0031】
上記バインダー樹脂としては特に制限されず、一般のリキッドインキに使用される、例えばポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、セルロース、セルロース誘導体、ポリアミド樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン樹脂、ダンマル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、石油樹脂、及びこれらの変性樹脂を用いることができる。なかでも本発明のリキッドインキでは、バインダー樹脂としてポリウレタン樹脂を含むことが好ましい。
【0032】
上記有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系有機溶剤;ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系が挙げられる。また、上記水混和性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系;エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系が挙げられる。
【0033】
本発明のリキッドインキは、本発明の顔料組成物を使用するが、そのほかに、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲内で着色剤として、一般的なインキに使用されている有機顔料(染料)や無機顔料、天然色素を併用してもよい。
【0034】
上記有機顔料としては、例えばフタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、不溶性アゾ系、縮合アゾ系、アゾメチン系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系等の顔料が挙げられる。また、上記無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、リトボン、アンチモンホワイト、石膏などの白色顔料が挙げられる。
【0035】
上記白色顔料以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、ジルコンが挙げられる。
【0036】
本発明のリキッドインキでは更に必要に応じて、ワックス、キレート系架橋剤、体質顔料、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤等の各種添加剤を含むこともできる。
【実施例0037】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例及び比較例において特に断りの無い限り、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を表すものとする。
【0038】
(実施例1~19、22~27、比較例1~22)
下記表1に示す通り、有機顔料と酸化合物を混合粉砕機LAB MILL(大阪ケミカル株式会社製)のミルカップ大に入れ、30秒間混合し、それぞれ顔料組成物を得た。
【0039】
(実施例20)
1000gの水を張った2Lステンレス製カップに、C.I.ピグメントイエロー180の水ウェット(DIC株式会社製)130g(顔料分50g)を加え、1時間撹拌した。次いで、L(+)-酒石酸(関東化学株式会社製)2.5gを加え、1時間撹拌した。これをブフナー漏斗で濾過し、ウェットケーキを98℃で18時間乾燥させ、混合粉砕機LAB MILL(大阪ケミカル株式会社製)で30秒間粉砕し、PY180組成物20を得た。
【0040】
(実施例21)
実施例20のL(+)-酒石酸(関東化学株式会社製)をクエン酸(関東化学株式会社製)に変え、同様の操作を行い、PY180組成物21を得た。
【0041】
表1及び2における表記は下記のとおりである。
(有機顔料)
PY180 ‥C.I.ピグメントイエロー180(DIC株式会社製)
PR122/V19 ‥C.I.ピグメントレッド122/バイオレット19固溶体(DIC株式会社製)
PR122 ‥C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製)
PV19 ‥C.I.ピグメントバイオレット19(DIC株式会社製)
PY83 ‥C.I.ピグメントイエロー83(DIC株式会社製)
PR146 ‥C.I.ピグメントレッド146(DIC株式会社製)
PR213 ‥C.I.ピグメントレッド213(DIC株式会社製)
PB15:3 ‥C.I.ピグメントブルー15:3(DIC株式会社製)
PV23 ‥C.I.ピグメントバイオレット23(DIC株式会社製)
PR254 ‥C.I.ピグメントレッド254(DIC株式会社製)
(酸化合物)
酒石酸 ‥L(+)-酒石酸(関東化学株式会社製)
コハク酸 ‥コハク酸(関東化学株式会社製)
クエン酸 ‥クエン酸(関東化学株式会社製)
アジピン酸 ‥アジピン酸(関東化学株式会社製)
シュウ酸無水物 ‥シュウ酸無水物(関東化学株式会社製)
シュウ酸二水和物 ‥シュウ酸二水和物(関東化学株式会社製)
フマル酸 ‥フマル酸(関東化学株式会社製)
グルタル酸 ‥グルタル酸(関東化学株式会社製)
イソフタル酸 ‥イソフタル酸(関東化学株式会社製)
テレフタル酸 ‥テレフタル酸(関東化学株式会社製)
アコニット酸 ‥trans-アコニット酸(富士フイルム和光純薬株式会社)
安息香酸 ‥安息香酸(関東化学株式会社製)
フタル酸 ‥フタル酸(関東化学株式会社製)
フタル酸二Na ‥フタル酸二ナトリウム(関東化学株式会社製)
ベンゼンスルホン酸Na ‥ベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学株式会社製)
グリシン ‥グリシン(関東化学株式会社製)
アスパラギン酸 ‥アスパラギン酸(関東化学株式会社製)
ヒドロキシステアリン酸 ‥ヒドロキシステアリン酸(関東化学株式会社製)
マレイン酸 ‥マレイン酸(関東化学株式会社製)
メリト酸 ‥メリト酸(東京化成工業株式会社製)
【0042】
【表1】
【0043】
[ポリウレタンインキの作製]
前記実施例1~27、比較例1~22で得られた顔料組成物それぞれについて、顔料組成物10g、ポリウレタン樹脂サンプレンIB-501(三洋化成工業株式会社製)20g、酢酸エチル13g、イソプロピルアルコール7g、1/8インチスチールビーズ(持木鋼球軸受株式会社製)180gを250mLポリエチレン製広口瓶に入れ、ペイントシェーカー(株式会社東洋精機製作所製)で30分間分散した。その後、ポリウレタン樹脂サンプレンIB-501 35g、酢酸エチル9.75g、イソプロピルアルコール5.25gを追加で広口瓶に加え、ペイントシェーカー(株式会社東洋精機製作所製)で5分間分散し、ポリウレタンインキをそれぞれ得た。
また、各顔料組成物を作製する際に原料として使用した有機顔料(酸化合物を含まない有機顔料)から、同様の操作により、ポリウレタンインキをそれぞれ得た。
【0044】
(ポリウレタンインキの初期粘度測定)
得られたポリウレタンインキを20℃恒温槽で1時間以上静置し、R85形粘度計RB85L(東機産業株式会社製)で回転速度60rpmでの粘度を測定した。
【0045】
(ポリウレタンインキの経時粘度測定)
得られたポリウレタンインキを多重安全式乾燥器MSO-45TPH(株式会社二葉化学製)中に50℃で7日間貯蔵した後、20℃恒温槽で1時間以上静置し、R85形粘度計RB85L(東機産業株式会社製)で回転速度60rpmでの粘度を測定した。
【0046】
(分散性の判定)
酸化合物による分散性向上の効果を、下記式にて計算した。計算値が小さいほど、分散性に優れる。
[実施例・比較例の顔料組成物のポリウレタンインキの初期粘度]/[原料として使用した有機顔料のポリウレタンインキの初期粘度]
また、前記式の値が25%以下のとき◎、25~50%のとき〇、50~100%のとき△、100%以上のとき×と判定した。分散性のよい方から、◎、〇、△、×である。
【0047】
(分散安定性の判定)
酸化合物による分散安定性向上の効果を、下記式にて計算した。計算値が小さいほど、分散安定性に優れる。
[実施例・比較例の顔料組成物のポリウレタンインキの経時粘度]/[原料として使用した有機顔料のポリウレタンインキの経時粘度]
また、前記式の値が25%以下のとき◎、25~50%のとき〇、50~100%のとき△、100%以上のとき×と判定した。分散安定性のよい方から、◎、〇、△、×である。
【0048】
上記のポリウレタンインキにおける分散性および分散安定性の評価結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2に記載のとおり、実施例1~27のベンズイミダゾロンアゾ顔料又はキナクリドン顔料からなる有機顔料と、式(I)~(III)で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物と、を用いた本発明の顔料組成物では、ポリカルボン酸化合物を用いない有機顔料のみの場合と比べて、分散性及び分散安定性ともに向上していることが分かった。一方、比較例1~9の式(I)~(III)で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物以外の酸化合物を用いた場合や比較例10~22のベンズイミダゾロンアゾ顔料又はキナクリドン顔料以外の有機顔料を用いた場合では、実施例1~27のような分散性及び分散安定性の向上は見られないことが分かった。以上より、本発明の顔料組成物におけるベンズイミダゾロンアゾ顔料又はキナクリドン顔料からなる有機顔料と、式(I)~(III)で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物の組み合わせにおいて特異的に分散性及び分散安定性の効果を奏すると言える。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料、印刷インキ、着色成形品、トナー、カラーフィルタ、ブラックマトリックス又はインクジェット記録用インク用の着色剤であって、
前記着色剤は、顔料組成物を含有し、
前記顔料組成物が、ベンズイミダゾロンアゾ顔料及びキナクリドン顔料からなる群より選択される少なくとも1つの有機顔料と、下記式(I)~(III)で表される少なくとも1つのポリカルボン酸化合物と、を含有する着色剤。
【化1】
・・・(I)
(式(I)中のR は、水酸基またはカルボキシル基が置換していてもよいアルキレン基、もしくは単結合を表す。)
【化2】
・・・(II)
(式(II)中のR は、水酸基またはカルボキシル基が置換していてもよいアルキル基を表す。)
【化3】
・・・(III)
(式(III)中のR は、カルボキシル基またはカルボキシル基の置換するアルキル基、R ~R は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、カルボキシル基、水酸基もしくはカルボキシル基が置換していてもよいアルキル基を表し、R ~R のうち一つ以上はカルボキシル基またはカルボキシル基の置換するアルキル基である。)
【請求項2】
前記ポリカルボン酸化合物の含有量が、前記有機顔料100質量部あたり、0.01~20質量部である請求項1に記載の着色剤。