(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000206
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】マスクケース及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A45C 11/00 20060101AFI20231225BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
A45C11/00 Q
A41D13/11 Z
A45C11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098856
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100191204
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 春彦
(72)【発明者】
【氏名】平山 浩喜
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA00
3B045CE01
3B045CE06
3B045CE09
3B045DA00
3B045FA01
3B045FC04
3B045FC08
3B045FC10
3B045IA09
(57)【要約】
【課題】抗ウイルス性を有し、マスクを衛生的に保管することができるマスクケースを提供すること。
【解決手段】マスクAの両面を覆うように折り曲げ成形された基材シートと、基材シートの内表面に形成された漆喰層と、漆喰層の表面に設けられた繊維シートとを備えているマスクケース1である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容されたマスクの両面を覆うように成形された基材シートと、該成形された基材シートの内表面に形成された漆喰層と、該漆喰層の表面に設けられた繊維シートとを備えていることを特徴とするマスクケース。
【請求項2】
前記漆喰層が、水酸化カルシウムを10質量%以上含有していることを特徴とする請求項1に記載のマスクケース。
【請求項3】
前記繊維シートが、不織布であることを特徴とする請求項1に記載のマスクケース。
【請求項4】
基材シートの一方の表面にスラリー状の漆喰を塗布する塗布工程と、
前記スラリー状の漆喰が固化する前に、スラリー状の漆喰上に繊維シートを貼付する貼付工程と、
前記繊維シートを貼付した基材シートを乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥した基材シートを型抜きする型抜工程と、
前記型抜きした基材シートを、繊維シートを貼付した面が内側になるよう成形する成形工程と、
を有していることを特徴とするマスクケースの製造方法。
【請求項5】
前記繊維シートが、不織布であることを特徴とする請求項4に記載のマスクケースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス性を備えたマスクケース、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、マスクは、花粉の飛来を防ぐ目的や、ウイルス、細菌等の飛来や飛散を防ぐ目的等で広く使用されている。最近では、新型コロナウイルスの流行もあり、マスクを着用する機会が増えているが、食事の際など、マスクを外す必要がある場面にも多く遭遇する。このような場面では、マスクの保管場所に困ることが多く、マスクを一時的に収容できるマスクケースのニーズが見込まれている。
【0003】
このようなマスクケースとしては、例えば、上側縁開口に開閉自在にマスク出入口を形成したケース本体と、マスク出入口に連続したケース前側壁とケース後側壁とにより形成したケース内収納部と、ケース内収納部においてケース前側壁とケース後側壁との各下端部を折り返して断面山形に形成した区画体と、ケース内収納部においてケース前後壁と区画体とにより形成したケース内の前後区画収納部と、よりなるマスクケースが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、長方形の紙シートの長辺方向の中央に、1本の山折り線と、山折り線を挟んだ等間隔に2本の谷折り線を設け、長方形のシートの両短辺寄りの対称位置に紙シートに切込みを入れて形成したフラップとスリットを設けた、衛生マスクを折り畳んで収納できるマスクケースが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-45840号公報
【特許文献2】実用新案登録第3230852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来公知のマスクケースは、抗ウイルス性や抗菌性を備えたものではなく、衛生的とはいえず、特に複数回反復して使用する場合には不衛生となる。
本発明の課題は、抗ウイルス性を有し、収容したマスクを衛生的に保管することができるマスクケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、マスクケースの内面側に漆喰層を設け、その上に繊維シートを設けることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]収容されたマスクの両面を覆うように成形された基材シートと、該成形された基材シートの内表面に形成された漆喰層と、該漆喰層の表面に設けられた繊維シートとを備えていることを特徴とするマスクケース。
[2]前記漆喰層が、水酸化カルシウムを10質量%以上含有していることを特徴とする上記[1]に記載のマスクケース。
[3]前記繊維シートが、不織布であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のマスクケース。
【0009】
[4]基材シートの一方の表面にスラリー状の漆喰を塗布する塗布工程と、前記スラリー状の漆喰が固化する前に、スラリー状の漆喰上に繊維シートを貼付する貼付工程と、前記繊維シートを貼付した基材シートを乾燥する乾燥工程と、前記乾燥した基材シートを型抜きする型抜工程と、前記型抜きした基材シートを、繊維シートを貼付した面が内側になるよう成形する成形工程とを有していることを特徴とするマスクケースの製造方法。
[5]前記繊維シートが、不織布であることを特徴とする上記[4]に記載のマスクケースの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマスクケースは、抗ウイルス性を有することから、収容したマスクを衛生的に保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマスクケースの開いた状態を示す図(写真)である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るマスクケースにマスクをセットした状態を示す図(写真)である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るマスクケースの閉じた状態を示す図(写真)である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るマスクケースを構成するシートの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のマスクケースは、収容されたマスクの両面を覆うように成形された基材シートと、成形された基材シートの内表面に形成された漆喰層と、漆喰層の表面に設けられた繊維シートとを備えている。本発明のマスクケースは、他の層やシートを備えていてもよい。
【0013】
本発明のマスクケースは、漆喰の抗ウイルス成分(アルカリ成分)による抗ウイルス効果が繊維シートの表面または表面近傍で発揮されることから、収容したマスクを衛生的に保管することができる。本発明のマスクケースは、抗ウイルス性が持続することから、例えば、3日~3か月程度、好ましくは1週間~1カ月程度使用することができる。また、衛生面を担保しながら、反復して利用することが可能である。さらに、漆喰層上に繊維シートが設けられていることから、マスクケースの成形時又は使用時に、主として折り目から生じる漆喰の剥離片(剥離末)の脱落及び飛散を抑制することができる。
【0014】
(基材シート)
基材シートは、マスクケースの主体となるシートであり、折り曲げ成形等により、少なくともマスクの両面を覆うことができる形状に成形される。折り曲げ成形の場合、2つ折りであっても、3つ折り以上であってもよい。
【0015】
基材シートの材質としては、所定の形状保持性を有し、その表面に漆喰層を形成できるものであれば特に制限されず、例えば、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ等の木材パルプを抄紙したパルプ紙(紙)、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリレート等のビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂などの各種の樹脂シートを挙げることができる。また、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維状物をバインダー繊維として混抄した合成紙を挙げることができる。
【0016】
これらの中でも、パルプ紙が好ましい。パルプ紙は、木材パルプを抄紙したものであり、可撓性や曲げ強さを有し、しかも漆喰層との密着性も良好である。また、このようなパルプ紙以外にも、ポリ酢酸ビニル繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維等の化学繊維をバインダー繊維として抄紙された合成紙が好ましい。具体的に、基材シートとしては、リンテック株式会社より「コニーケント」の商品名で市販されているケント紙を用いることができる。
【0017】
基材シートの厚みとしては、例えば、0.1~1mm程度であることが好ましい。なお、基材シートの内表面は、必要に応じてコロナ処理などを行って親水性を向上させてもよく、これにより、以下に述べる漆喰層との接合強度をより向上させることができる。
【0018】
(漆喰層)
漆喰層は、消石灰(水酸化カルシウム)の粉末と水との混練物等を基材シートの表面に塗布して形成される。この漆喰層に含まれる消石灰が、抗ウイルス効果や抗菌効果を発揮する。なお、かかる漆喰層を空気中に放置した場合、消石灰が空気中の炭酸ガスを吸収し、消石灰が炭酸ガスと反応して徐々に炭酸カルシウムを生成するが、消石灰が即座に炭酸カルシウムに変化するわけではないため、マスクケースの使用期間中は十分な抗ウイルス効果等を発揮する。なお、使用前(販売時)は、できる限り空気に触れないよう、非通気性の袋や容器等に密閉包装されることが好ましい。
【0019】
漆喰層は、消石灰(水酸化カルシウム)を10質量%以上含有することが好ましく、20質量%以上含有することがより好ましく、50質量%以上含有することがさらに好ましい。水酸化カルシウムの含有量が上記範囲にあることにより、抗ウイルス性や抗菌性をより効果的に発揮することができる。一方、水酸化カルシウム含有量の上限側は特に制限されないが、加工性等の点から、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
なお、漆喰層における水酸化カルシウムの割合は、製造時又は使用開始時の割合をいい、中和滴定により確認することができる。
【0020】
本発明において、漆喰層における水酸化カルシウムの含有量の調整は、漆喰層の形成に用いる水酸化カルシウムの量、及び後述するバインダー材などの添加剤の割合によって調整することができる。
【0021】
漆喰層には、バインダー材としてポリマーのエマルジョン固形分が含有まれることが好ましい。ポリマーのエマルジョンは、水媒体中にモノマー、オリゴマー或いはこれらの重合体等が分散したものであり、例えばアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン、スチレン/ブタジエンゴム系等の重合体のエマルジョンを挙げることができる。このようなエマルジョンは、乾燥工程で、媒体(水)が蒸発してエマルジョン中のポリマー成分が漆喰層中に残存することとなる。漆喰層の靭性を高めるために、一般に、漆喰層におけるポリマーエマルジョンの固形分量は、5~50質量%のであることが好ましい。
【0022】
また、漆喰層中には、上記のエマルジョン以外にも、漆喰層の物性を調整するための各種添加剤、例えば各種繊維材、無機細骨材、吸液性無機粉体等が配合されていてもよい。これらの添加剤は、漆喰層の強度等の物理特性を向上させるものである。
【0023】
漆喰層の厚みとしては、0.05~0.3mmであることが好ましく、0.1~0.25mmであることがより好ましい。この範囲の厚みであることにより、抗ウイルス性や抗菌性を十分に発揮することができると共に、マスクケース成形時又は使用時に、主として折り目から生じる漆喰の剥離片(剥離末)の脱落及び飛散をより有効に抑制することができる。なお、漆喰層は、基材シート全面に設けられることが好ましいが、本発明の効果を奏する範囲で、一部に設けられていてもよい。
【0024】
(繊維シート)
【0025】
漆喰層は、水酸化カルシウムの粒子などの無機粒子から形成されているため、比較的脆く、剥離片(剥離末)が脱落又は飛散するおそれがある。したがって、この脱落及び飛散を抑制する表面層を設けることが好ましい。一方、この表面層により、漆喰層による抗ウイルス性が発揮されないことを防止する必要がある。したがって、本発明においては、漆喰層の上に、繊維シートを貼付する。
【0026】
具体的に、繊維シートとしては、例えば、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維状物からなる織布、不織布が好ましい。また、和紙を用いることもできる。このような繊維シートを、未固化状態(スラリー状態)の漆喰層に対して圧着貼付することにより、漆喰が固化するまでの間に、漆喰スラリーが繊維中に浸透することで、漆喰が繊維シートの表面又はその近傍まで到達する。したがって、マスクケースに収容されたマスクに対して抗ウイルス効果を発揮する。
【0027】
繊維シートの厚みとしては、上記のような機能を発揮する程度であれば特に制限されるものではなく、例えば、0.01~1.0mm程度である。
【0028】
続いて、本発明のマスクケースの製造方法について説明する。
本発明のマスクケースの製造方法は、基材シートの一方の表面にスラリー状の漆喰を塗布する塗布工程と、スラリー状の漆喰が固化する前に、スラリー状の漆喰上に繊維シートを貼付する貼付工程と、繊維シートを貼付した基材シートを乾燥する乾燥工程と、乾燥した基材シートを型抜きする型抜工程と、型抜きした基材シートを、繊維シートを貼付した面が内側になるよう成形する成形工程とを有している。本発明の製造方法は、上記工程以外の工程を有していてもよく、例えば、開閉のための挿入片及び/又は挿入口を基材シートに形成する工程や、マスクケース表面に文字や柄を入れる工程等を挙げることができる。本発明の製造方法により、上記本発明のマスクケースを製造することができる。
【0029】
本発明の製造方法の塗布工程において用いられるスラリー状の漆喰(以下、スラリーということがある)は、消石灰の粉末と水との混練物に、必要に応じて、前述したバインダー材や各種添加剤を配合したものである。このスラリー中には、各種の配合剤を均一に分散させるための界面活性剤や、混練物をコーティングする際に垂れなどを生じないように、適宜、増粘剤などが配合され、適度な粘度に調製されていることが好適である。
【0030】
スラリーの塗布は、バーコーター、ロールコーター、フローコーター、ナイフコーター、コンマコーター、スプレー、ディッピング、吐出、型材転写等により行うことができ、必要に応じてコテ押さえ、口金絞り、ローラ転圧、1軸プレス等を採用することができる。スラリーの塗布厚は、乾燥後の厚みが前述した漆喰層の厚みとなるように調整される。
【0031】
貼付工程では、スラリー状の漆喰に対して、繊維シートを載置して押圧することにより、漆喰の粘着力により繊維シートを貼付する。
【0032】
また、スラリーに繊維シートを貼付した後の乾燥工程では、スラリー状の漆喰が固化する程度に乾燥することが好ましく、例えば、漆喰層の含水率が5%以下となる程度に乾燥を行うことが好ましい。乾燥は、熱風の吹き付けなどにより、スラリーの塗布層を40~150℃程度に加熱することにより行うことが好ましい。
【0033】
このように乾燥した基材シートを所定形状に型抜きし、成形することにより、本発明のマスクケースを製造することができる。成形方法としては、折り曲げ成形や、接着による成形等を挙げることができる。
【0034】
以下、図面を用いて本発明のマスクケースの一実施形態を説明する。ここで、
図1は、本発明の一実施形態に係るマスクケースの開いた状態を示す図(写真)であり、
図2は、本発明の一実施形態に係るマスクケースにマスクをセットした状態を示す図(写真)であり、
図3は、本発明の一実施形態に係るマスクケースの閉じた状態を示す図(写真)であり、
図4は、本発明の一実施形態に係るマスクケースを構成するシートの断面模式図である。
【0035】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るマスクケース1は、中央のマスク載置本体部2と、マスク載置本体部2の両側の覆い部3及び覆い部4を備えている。覆い部3には、マスクケース1を閉じるための挿入片5が形成されており、覆い部4には、挿入片5を挿入する挿入口6が形成されている。また、マスク載置本体部2の短辺側には、収容するマスクの短辺側部を支持する支持部7が設けられている。
【0036】
図2に示すように、マスク載置本体部2にマスクAを載置した後、支持部7を内側に折り込み、次いで、覆い部4、覆い部3の順序で重ねて折り曲げ、覆い部3の挿入片5を覆い部4の挿入口6に挿入する。これにより、
図3に示すように、マスクケース1内にマスクAを収容することができる。
【0037】
図4に示すように、マスクケース1は、例えば、外側から、パルプ紙10、漆喰層11、不織布12が順次設けられている。不織布12には、漆喰層11の抗ウイルス成分がその表面又はその近傍まで到達しており、収容されたマスクAに対して抗ウイルス効果を発揮する。
【実施例0038】
マスクケースの抗ウイルス効果を確認すべく、以下の試験を行った。
【0039】
<抗ウイルス活性の評価>
繊維製品の抗ウイルス性試験(JIS L 1922)に準拠し、ウイルス感染価を「プラーク法」により測定することで行った。使用ウイルスは、「A型インフルエンザウイルス」とした。試験方法は以下のとおりである。
【0040】
(評価試料)
消石灰(宇部マテリアルズ製「高純度消石灰CH(商品名)」、平均粒子径:約5μm)100質量部、水性エマルジョン(旭化成工業株式会社製「ポリトロンA1480(商品名)」、成分:アクリル系共重合体ラテックス、固形分濃度:約40質量%)40質量部、水25質量部の配合比でミキサーを用いて混練し、漆喰スラリーを得た。
次に、基材シートとしてケント紙(リンテック株式会社製「コニーケント(商品名)」、目つけ量:157g/m2、厚み:0.2mm、大きさ:500×900mm)を使用し、その表面に得られた漆喰スラリーをロールコーターで塗布し、直後に不職布(シンワ株式会社製芯[ポリプロピレン]鞘[ポリエチレン]繊維不織布、目つけ量:60g/m2、厚み:0.12mm)をスラリー表面に密着させ、70℃の乾燥機中で15分間乾燥させた。
このようにして得られた評価試料(シート)の厚さは0.45mmであった。
【0041】
(評価試料のウイルス感染価の測定)
1.上記評価試料50mm×50mmを滅菌した50mLバイアル瓶に入れ、オートクレーブにて滅菌した。
2.ウイルス液0.4mlを前記評価試料に接種し、25℃で24時間放置した。
3.SCDLP培地20mlを前記評価試料に加え、試料からウイルスを洗い出した。
4.ウイルスを洗い出した後の評価試料のウイルス感染価Vb(感染性ウイルス量)を、プラーク法で測定した。
【0042】
(対照試料のウイルス感染価の測定)
前記評価試料のウイルス感染価の測定において、評価試料に代えて対照試料(アズワン株式会社ポリエチレンシート)を用いることで、対照試料のウイルス感染価Vcを測定した。
【0043】
(抗ウイルス効果の評価)
上記方法により求めた試料のウイルス感染価Vbと、対照試料のウイルス感染価Vcから、以下の式1によって評価試料の抗ウイルス活性値Mvを算出した。
【0044】
Mv=log(Vb)-log(Vc)・・・式1
【0045】
算出された抗ウイルス活性値により、評価試料の抗ウイルス活性を以下のように判断した。
【0046】
抗ウイルス活性値<2.0・・・効果低い
3.0>抗ウイルス活性値≧2.0・・・効果あり
抗ウイルス活性値≧3.0・・・高い効果あり
【0047】
その結果、抗ウイルス活性値は4.5であり、ウイルスに対して高い抗ウイルス効果を示した。
【0048】
<抗ウイルス活性持続性試験>
前記評価試料50mm×50mmを採取し、直径100mmのガラス製シャーレに入れ、温度30℃、湿度60%、炭酸ガス濃度2%の恒温恒湿器中に入れた。72時間後、前記の方法により抗ウイルス活性の評価を行った。
【0049】
その結果、抗ウイルス活性値は4.2であり、ウイルスに対して高い抗ウイルス効果を示した。