(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020823
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】車両用窓ガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20240207BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
C03C27/12 N
B60J1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123298
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 怜史
(72)【発明者】
【氏名】庄司 涼介
(72)【発明者】
【氏名】小川 政信
【テーマコード(参考)】
4G061
【Fターム(参考)】
4G061AA04
4G061AA26
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB19
4G061CD02
4G061CD03
4G061CD18
4G061DA26
(57)【要約】
【課題】2枚のガラス板の合わせ目と、給電線と車両用窓ガラス側の給電端子との接続部とにおける十分な封止を効率的に形成可能な車両用窓ガラスを提供する。
【解決手段】車両用窓ガラスは、第1ガラス板と、第2ガラス板と、第2及び第3主面の間に設けられる中間膜とを有し、車体の開口部に設けられる合わせガラスと、第2及び第3主面の間に設けられる第1基板部と、車体側から電力が供給される給電線が接続される給電端子を備え、第1基板部と一体的に形成されるとともに第2側面及び第4主面にわたって設けられる第2基板部とを有するフレキシブル基板と、第2主面及び第3主面の間に設けられ、フレキシブル基板の第1基板部を介して電力が供給される機能性部材と、第1側面と、第2側面と、第4主面とにおいて第2基板部を囲む枠部を有する封止容器と、第1側面と、第2側面と、第4主面と、枠部とによって囲まれる空間を封止する封止部材とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面、第2主面、及び第1側面を有する第1ガラス板と、第3主面、第4主面、及び第2側面を有する第2ガラス板と、前記第2主面及び前記第3主面の間に設けられる中間膜とを有し、車体の開口部に設けられる合わせガラスと、
前記第2主面及び前記第3主面の間に設けられる第1基板部と、前記車体側から電力を供給する給電線が接続される給電端子を備え、前記第1基板部と一体的に形成されるとともに、前記第2側面及び前記第4主面にわたって設けられる第2基板部とを有するフレキシブル基板と、
前記第2主面及び前記第3主面の間に設けられ、前記フレキシブル基板の前記第1基板部を介して電力が供給される機能性部材と、
前記第1側面と、前記第2側面と、前記第4主面とにおいて前記第2基板部を囲む枠部を有する封止容器と、
前記第1側面と、前記第2側面と、前記第4主面と、前記枠部とによって囲まれる空間を封止する封止部材と
を含む、車両用窓ガラス。
【請求項2】
前記第4主面は、前記車体の室内側に向けられる、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項3】
前記給電端子は、前記第2基板部のうちの前記第4主面と重なる部分の少なくとも一部に設けられており、
前記枠部は、前記枠部の前記合わせガラスに近い第1側に位置する第1開口部と、前記枠部の前記合わせガラスから遠い第2側に位置する第2開口部とを有し、
前記第2開口部は、前記合わせガラスの平面視において前記給電端子を囲む、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項4】
前記給電端子は、前記第2基板部のうちの前記第4主面と重なる部分の少なくとも一部に設けられており、
前記枠部は、前記枠部の前記合わせガラスに近い第1側に位置する第1開口部と、前記枠部の前記合わせガラスから遠い第2側に位置する第2開口部とを有し、
前記第2開口部は、前記合わせガラスの平面視において前記第2基板部を囲む、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項5】
前記枠部は、前記第1ガラス板、前記中間膜、及び前記第2ガラス板が重ねられる方向における前記第2開口部よりも前記第1開口部側に設けられ、前記合わせガラスの平面視において、前記枠部の内壁よりも内側に突出する突出部を有する、請求項3又は4に記載の車両用窓ガラス。
【請求項6】
前記第1開口部は、前記第1側面と、前記第2側面と、前記第4主面とにわたって設けられる、請求項3又は4に記載の車両用窓ガラス。
【請求項7】
前記枠部は、
前記第4主面に沿って設けられる基部と、
前記基部のうちの前記第2側面側の端部から、前記第2側面及び前記第1側面に沿って延在する延在部と
を有する、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項8】
前記枠部は、前記延在部を貫通する孔部をさらに有する、請求項7に記載の車両用窓ガラス。
【請求項9】
前記枠部は、
前記第4主面に沿って設けられる基部と、
前記基部の前記第2側面側から、前記第2側面及び前記第1側面に沿って延在する延在部と、
前記延在部の前記第1主面側の端部から前記第1主面に沿って延在し、前記第1主面と重複する重複部と
を有する、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項10】
前記枠部は、前記延在部と、前記重複部とにわたって設けられ、前記延在部及び前記重複部を貫通する孔部を有する、請求項9に記載の車両用窓ガラス。
【請求項11】
前記封止容器は、前記枠部の側部から前記第4主面に沿って延在し、前記給電端子に接続される給電線を前記第4主面に沿って案内するガイド部をさらに有する、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項12】
前記ガイド部は、前記第4主面及び前記第2側面の境界に沿って延在する、請求項11に記載の車両用窓ガラス。
【請求項13】
前記ガイド部は、前記給電線の延在方向に沿って設けられ、前記給電線の側面の第1側と、前記第1側の反対の第2側とを交互に保持する保持部を有する、請求項11又は12に記載の車両用窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気的機能および接続要素を備える積層窓ガラスがある。積層窓ガラスは、少なくとも1つの熱可塑性中間層に面的に接続された、少なくとも2つの窓ガラスと、窓ガラスの間に配置された少なくとも1つの電気的機能層とを含む。積層窓ガラスは、さらに、電気的機能層に導電的に接続された、少なくとも1つの箔導体であって、箔導体は積層窓ガラスから引き出され、箔導体は積層窓ガラスの少なくとも1つの外側に固定され、箔導体は、積層窓ガラスの外側に、電気的接触するための接続箇所を有する、箔導体を含む。積層窓ガラスは、さらに、少なくとも1つの電力供給線および少なくとも1つの電線接続を備える少なくとも1つの筐体であって、筐体は窓ガラスのうちの少なくとも1つの外側に接着接合またはクランプ締めされ、筐体の電線接続は箔導体の接続箇所と電気的に接触している、筐体を含む。少なくとも1つの窓ガラスはアンダーカットを有し、箔導体はアンダーカット窓ガラスの側縁の周りで張り出しを伴わずに広がっている。筐体の内部が、封止手段、好ましくはアクリルまたはポリウレタンベースの接着剤によって、気体、水、または水分から封止されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の積層窓ガラス(車両用窓ガラス)では、筐体の内部が封止手段(封止部材)によって封止されているが、2つの窓ガラスの境界(2枚のガラス板の合わせ目)と、車体側から電力を供給する給電線が接続される接続部(給電線と車両用窓ガラス側の給電端子との接続部)とが直接的に封止されていないため、2つの窓ガラスの境界の封止が不十分である。そして、箔導体は厚みを有するため、2つの窓ガラスを熱可塑性中間層に面的に接続していたとしても、箔導体の厚みにより熱可塑性中間層と箔導体の側面に隙間が形成されてしまう。そのため、2つの窓ガラスの合わせ目の気密性及び水密性が損なわれる可能性がある。
【0005】
また、2枚のガラス板の合わせ目を封止部材で直接的に封止する工程と、給電線と車両用窓ガラス側の給電端子との接続部を封止部材で直接的に封止する工程とが別々に行われると、効率的に封止することができない。
【0006】
そこで、2枚のガラス板の合わせ目と、給電線と車両用窓ガラス側の給電端子との接続部とにおける十分な封止を効率的に形成可能な車両用窓ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態の車両用窓ガラスは、第1主面、第2主面、及び第1側面を有する第1ガラス板と、第3主面、第4主面、及び第2側面を有する第2ガラス板と、前記第2主面及び前記第3主面の間に設けられる中間膜とを有し、車体の開口部に設けられる合わせガラスと、前記第2主面及び前記第3主面の間に設けられる第1基板部と、前記車体側から電力を供給する給電線が接続される給電端子を備え、前記第1基板部と一体的に形成されるとともに、前記第2側面及び前記第4主面にわたって設けられる第2基板部とを有するフレキシブル基板と、前記第2主面及び前記第3主面の間に設けられ、前記フレキシブル基板の前記第1基板部を介して電力が供給される機能性部材と、前記第1側面と、前記第2側面と、前記第4主面とにおいて前記第2基板部を囲む枠部を有する封止容器と、前記第1側面と、前記第2側面と、前記第4主面と、前記枠部とによって囲まれる空間を封止する封止部材とを含む。
【発明の効果】
【0008】
2枚のガラス板の合わせ目と、給電線と車両用窓ガラス側の給電端子との接続部とにおける十分な封止を効率的に形成可能な車両用窓ガラスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の車両用窓ガラスを搭載した車両の一例を示す図である。
【
図2】実施形態の車両用窓ガラスの合わせガラスの一部を拡大した状態の一例を示す図である。
【
図3】実施形態の車両用窓ガラスのFPCを合わせガラスに実装した状態の一例を示す図である。
【
図4A】
図2におけるA-A矢視断面の構成の一例を示す図である。
【
図4B】
図3におけるB-B矢視断面の構成の一例を示す図である。
【
図5A】実施形態の車両用窓ガラスの封止ボックスを-Z軸方向側から示す図である。
【
図5B】実施形態の車両用窓ガラスの封止ボックスを-Z軸方向側から示す図である。
【
図5C】実施形態の車両用窓ガラスの封止ボックスを-Z軸方向側から示す図である。
【
図6A】実施形態の車両用窓ガラスの封止ボックスを+Z軸方向側から示す図である。
【
図6B】実施形態の車両用窓ガラスの封止ボックスを+Z軸方向側から示す図である。
【
図6C】実施形態の車両用窓ガラスの封止ボックスを+Z軸方向側から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下、本開示の車両用窓ガラスを適用した実施形態について説明する。以下では、同一の要素に同一の号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
【0011】
以下では、XYZ座標系を定義して説明する。X軸に平行な方向(X軸方向)、Y軸に平行な方向(Y軸方向)、Z軸に平行な方向(Z軸方向)は、互いに直交する。また、以下では、説明の便宜上、-Z軸方向側を下側又は下、+Z軸方向側を上側又は上と称す場合がある。また、平面視とはXY面視することをいい、車両用窓ガラスの合わせガラスを平面視することである。また、以下では構成が分かりやすくなるように各部の長さ、太さ、厚さ等を誇張して示す場合がある。また、平行、直角、直交、水平、垂直、上下等の文言は、実施形態の効果を損なわない程度のずれを許容するものとする。
【0012】
本実施形態における車両用窓ガラスの例として、車両の前部に取り付けられるウィンドシールド(フロントガラス)、車両の側部に取り付けられる固定式のサイドガラス、車両の側部に取り付けられ、車体に対して可動なサイドガラス等がある。また、本実施形態における車両用窓ガラスの例として、車両の天井部に取り付けられる固定式のルーフガラス、車体の天井部に取り付けられ、車体に対して可動なルーフガラス、車両の後部に取り付けられるリアガラス等がある。車両用窓ガラスは、これらの例に限られない。
【0013】
<車両用窓ガラス100を搭載した車両10>
図1は、車両用窓ガラス100を搭載した車両10の一例を示す図である。
図1には、一例として車両10の車体10Aの後部の約半分を側方から示す。車体10Aは、開口部11を有し、開口部11には車両用窓ガラス100が設けられている。車両用窓ガラス100は、一例として、車体に対して上下に摺動可動なサイドガラスである。なお、
図1では、車体10A及び開口部11を破線で示す。
【0014】
ここで、車両10は、例えば、EV(Electric Vehicle)車、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)車、HV(Hybrid Vehicle)車、ガソリン車、又はディーゼル車等の自動車である。また、車両10は、電車や汽車であってもよい。車両10は、乗員を運んで移動する移動体の一例である。
【0015】
図1に示す車両用窓ガラス100は、一例として、車両10の右後側のサイドガラスである。
図1には、車両10の室内側から見た場合の右後側のサイドガラスとしての車両用窓ガラス100を透過的に示す。車両用窓ガラス100は、車両10の右後側のドアに設けられていてもよく、また、車両10が後部にドアを有しない場合には、車体10Aの右後側に設けられていてもよい。車両用窓ガラス100は、ドア又は車体10Aに対して可動である。以下では、車両用窓ガラス100は、車体10Aに対して上下方向に摺動可能であることとして説明する。
【0016】
本実施形態では、X軸方向は車両10の前後方向である。Y軸方向は、車両用窓ガラス100の上下方向であり、車両用窓ガラス100が車体10Aに対して摺動可能な方向である。+Y軸方向は車両用窓ガラス100を閉じるための摺動方向であり、-Y軸方向は車両用窓ガラス100を開けるための摺動方向である。車両用窓ガラス100は、一例として車両10に対して傾斜した状態で取り付けられるため、Y軸方向は、
図1における鉛直方向である上下方向に対して傾斜している。また、Z軸方向は、車両用窓ガラス100を厚さ方向に貫く方向である。車両用窓ガラス100よりも+Z軸方向側が車体の室外側であり、車両用窓ガラス100よりも-Z軸方向側が車体の室内側である。
【0017】
図1には、車両用窓ガラス100を車体10Aに対して完全に閉じた状態における各部の位置関係を示す。車両用窓ガラス100を車体10Aに対して完全に閉じた状態とは、車体10Aに対する車両用窓ガラス100の移動量が+Y軸方向における最大量に達している状態をいう。
【0018】
開口部11は、合わせガラス110を開けることによって車体10Aに出現する開口部であり、合わせガラス110を車体10Aに対して完全に閉じた状態では、完全に閉じられる。合わせガラス110を車体10Aに対して完全に閉じた状態では、合わせガラス110のうち、開口部11よりも下側にある部分は、開口部11に表出せず、車体10Aの外からは見えない。
【0019】
車両用窓ガラス100の下部にはホルダ190が取り付けられており、ホルダ190にはレギュレータ(昇降装置)が接続されている。車体10Aは、車両用窓ガラス100の+X軸方向に位置するフロントサッシュ、および-X軸方向に位置するリアサッシュを備えており、車両用窓ガラス100は、レギュレータの駆動力によりY軸方向(フロントサッシュ、およびリアサッシュの延在方向)に沿って摺動可能である。車体10Aは、X軸方向に延設されるベルトモールを更に備える。ベルトモールは、車両用窓ガラス100に付着する水や塵埃等を除去し、車体10Aの内部に入らないようにするために設けられている。なお、ここでは、車体10Aに対して車両用窓ガラス100をY軸方向に沿って摺動させるレギュレータを省略する。レギュレータは、一例として、車体10Aの内側で、車両用窓ガラス100よりも室内側(-Z軸方向側)に配置される。
図1における車両用窓ガラス100の下部には、車両用窓ガラス100をレギュレータに接続するためのホルダ190を示す。
【0020】
<車両用窓ガラス100の全体構成>
車両用窓ガラス100は、合わせガラス110、FPC(Flexible Printed Circuit)120、調光パネル130、封止ボックス140、給電ケーブル145、及び、シリコーン樹脂150を含む。FPC120は、フレキシブル基板の一例であり、フラットハーネスである。調光パネル130は、機能性部材の一例であり、光の透過率が変化するパネルである。封止ボックス140は、封止容器の一例である。給電ケーブル145は、給電線の一例である。シリコーン樹脂150は、封止部材の一例である。
【0021】
ここでは、機能性部材の一例が調光パネル130である形態について説明するが、機能性部材は、調光パネル130に限られるものではない。機能性部材は、車両10から供給される電力によって動作し、所定の機能を発揮する部材であればよく、調光パネル130以外には、例えば、加熱用の電熱線、導電膜、アンテナ、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、OLED(Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイ等が挙げられる。以下では、
図1に加えて
図2乃至
図6Cを用いて説明する。
【0022】
図2は、合わせガラス110の一部を拡大した状態の一例を示す図である。
図2には、合わせガラス110のうちのFPC120、封止ボックス140、給電ケーブル145、及び、シリコーン樹脂150が設けられる部分を示す。
【0023】
図3は、FPC120を合わせガラス110に実装した状態の一例を示す図である。
図3は、
図2から、封止ボックス140、給電ケーブル145、及び、シリコーン樹脂150を取り除いた状態をさらに拡大して示す。
【0024】
図4Aは、
図2におけるA-A矢視断面の構成の一例を示す図である。
図4Bは、
図3におけるB-B矢視断面の構成の一例を示す図である。
図5A乃至
図5Cは、封止ボックス140を-Z軸方向側から示す図である。
図6A乃至
図6Cは、封止ボックス140を+Z軸方向側から示す図である。
【0025】
<合わせガラス110>
合わせガラス110は、
図4A及び
図4Bに示すように、車体10Aの室外側に設けられるガラス板111と、車体10Aの室内側に設けられるガラス板112とが、ガラス板111及び112の間に配置される中間膜113を介して接着されることにより形成される。また、合わせガラス110のガラス板111及び112の間には、FPC120及び調光パネル130が設けられる。
【0026】
一例として、ガラス板112が車体10Aの室内側に設けられるため、以下では、一例として、FPC120が、ガラス板111及び112の間から、室内側に向かって折り曲げられている形態について説明する。しかしながら、車両用窓ガラス100は、このような構成に限定されるものではなく、ガラス板111が車体10Aの室内側に設けられるとともに、ガラス板112が車体10Aの室外側に設けられていて、FPC120が、ガラス板111及び112の間から、室外側に向かって折り曲げられていてもよい。
【0027】
<ガラス板111及び112>
ガラス板111は第1ガラス板の一例であり、ガラス板112は第2ガラス板の一例である。合わせガラス110は、車体10Aに対してY軸方向に沿って摺動可動に設けられている。車体10Aに対してY軸方向に沿って摺動可動であるとは、車体10Aに対して上下方向に摺動可動であることをいう。
【0028】
ガラス板111及び112は、透明な板状のガラス板である。ガラス板111は、室外側の主面111Aと、室内側の主面111Bと、側面111Cとを有する。主面111Aは、第1主面の一例であり、室内側の主面111Bは、第2主面の一例であり、側面111Cは、第1側面の一例である。ガラス板112は、室外側の主面112Aと、室内側の主面112Bと、側面112Cとを有する。主面112Aは、第3主面の一例であり、室内側の主面112Bは、第4主面の一例であり、側面112Cは、第2側面の一例である。
【0029】
ガラス板111及び112は、無機ガラスでもよいし、有機ガラスでもよい。無機ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどが特に制限なく用いられる。これらのなかでも、製造コスト、及び成形性の観点からソーダライムガラスが特に好ましい。ガラス板111及び112の成形法は特に限定されない。例えば、無機ガラスの場合、フロート法などにより成形されたガラス板が好ましい。
【0030】
ガラス板111及び112が無機ガラスである場合、ガラス板111及び112は、未強化ガラス又は強化ガラスの何れでもよい。未強化ガラスは、溶融ガラスを板状に成形して徐冷したものである。強化ガラスは、未強化ガラスの表面に圧縮応力層を形成したものであり、風冷強化ガラス、化学強化ガラスのいずれでもよい。
【0031】
強化ガラスが物理強化ガラス(例えば、風冷強化ガラス)である場合、曲げ成形において均一に加熱したガラス板を軟化点付近の温度から急冷させるなど、徐冷以外の操作により、ガラス表面とガラス内部との温度差によってガラス表面に圧縮応力層を生じさせることで、ガラス表面を強化してもよい。強化ガラスが化学強化ガラスである場合、曲げ成形の後、イオン交換法などによってガラス表面に圧縮応力を生じさせることでガラス表面を強化してもよい。また、ガラス板111及び112としては、紫外線又は赤外線を吸収するガラスを用いてもよい。ガラス板111及び112は、透明であることが好ましいが、透明性を損なわない程度に着色されたガラス板であってもよい。
【0032】
合わせガラス110は、車両10に取り付けられたときに、室外側が凸となるような湾曲形状であってよい。合わせガラス110は、1方向にのみ曲げ成形された単曲曲げ形状を有していてもよいし、2方向(例えば、合わせガラス110が車両10に取り付けられた際の、上下方向と、当該上下方向と直交する左右方向)に曲げ成形された複曲曲げ形状を有していてもよい。合わせガラス110の曲げ成形には、重力成形、プレス成形又はローラー成形などが用いられる。合わせガラス110が所定の曲率に曲げ成形されている場合、合わせガラス110の曲率半径は、1000mm以上100000mm以下であってよい。
【0033】
また、合わせガラス110を車両10に取り付けた場合に、室外側に位置するガラス板111の厚さと、室内側に位置するガラス板112の厚さとは同じであってもよいし、異なっていてもよい。ガラス板111の厚さは1.0mm以上3.0mm以下であることが好ましい。ガラス板111の厚さが1.0mm以上であると、耐飛び石性能等の強度が十分であり、3.0mm以下であると、合わせガラス110の質量が大きくなり過ぎず、車両10の燃費の点で好ましい。ガラス板112の厚さは、0.3mm以上2.3mm以下であることが好ましい。ガラス板112の板厚が0.3mm以上であることによりハンドリング性がよく、2.3mm以下であることにより質量が大きくなり過ぎない。ガラス板111及び112の厚さは、それぞれ1.8mm以下であれば合わせガラス110の軽量化と遮音性を両立でき、好ましい。なお、ガラス板112の厚さが1.0mm以下の場合、ガラス板112は化学強化ガラスであってもよい。ガラス板112が化学強化ガラスである場合、ガラス表面の圧縮応力値は300MPa以上、圧縮応力層の深さは2μm以上であることが好ましい。
【0034】
ガラス板111、112が有機ガラスである場合、有機ガラスの材料としては、ポリカーボネート又はアクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート)などの透明樹脂が挙げられる。
【0035】
<中間膜113>
中間膜113は、誘電性を有し、
図4A及び
図4Bに示すようにガラス板111及び112の間に介在する透明又は半透明な誘電体である。ガラス板111及び112は、中間膜113によって接合される。中間膜113の材料としては、例えば、熱可塑性のポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。中間膜113は、透明であってもよいし、着色されていてもよい。また、中間膜113は2層以上の膜から構成されてもよい。
【0036】
図4A及び
図4Bに示すように、中間膜113は、平面視で調光パネル130が存在する部分では、ガラス板111と調光パネル130との間と、調光パネル130とガラス板112との間とに配置されている。ただし、中間膜113は、このような構成に限られず、ガラス板111と調光パネル130との間に配置されていて、調光パネル130とガラス板112との間に配置されていなくてもよい。また、中間膜113は、調光パネル130とガラス板112との間に配置されていて、ガラス板111と調光パネル130との間に配置されていなくてもよい。
【0037】
また、中間膜113は、平面視でFPC120が存在する部分では、
図4A及び
図4Bに示すように、ガラス板111とFPC120との間と、FPC120とガラス板112との間とに配置されている。ただし、中間膜113は、このような構成に限られず、ガラス板111とFPC120との間に配置されていて、FPC120とガラス板112との間に配置されていなくてもよい。また、中間膜113は、ガラス板112とFPC120との間に配置されていて、FPC120とガラス板111との間に配置されていなくてもよい。
【0038】
<FPC120>
FPC120は、
図2に示すように、合わせガラス110の-Y軸方向側の端部に設けられており、封止ボックス140で囲まれた状態で、シリコーン樹脂150によって封止されている。
【0039】
FPC120は、
図4A及び
図4Bに示すように、調光パネル130の-Y軸方向側と、ガラス板112の主面112B上とにわたって位置し、調光パネル130の-Y軸方向側の端部に接続され、ガラス板112の-Y軸方向の端部で側面112Cに沿って折り曲げられている。FPC120及び調光パネル130は、ガラス板111及び112の間で重なる部分があってもよいが、一例として、ここでは重なる部分がないものとして説明する。
【0040】
FPC120は、基板部120Aと、基板部120Bとを有する。基板部120Aは、FPC120のうち、主面111Bと主面112Aとの間に設けられる第1基板部の一例である。基板部120Bは、FPC120のうち、側面112Cと主面112Bとにわたって設けられる第2基板部の一例である。基板部120Bは、
図3に示すように、平面視でT字型である。なお、基板部120Bの平面視での形状は、T字型に限らず、どのような形状であってもよい。
【0041】
FPC120は、絶縁層121、配線122、及び給電端子123を有する。絶縁層121は、一例としてポリイミド製の柔軟性のある基板である。配線122は、一例として、絶縁層121の表面に形成した銅箔等をパターニングした配線であり、基板部120A及び120Bの全体にわたって設けられている。給電端子123は、FPC120のうちのガラス板112の主面112B上に位置する部分の+Y軸方向側の端部の近くに2つ設けられている。このため、基板部120Bは、給電端子123を備える。2つの給電端子123は、正極性端子及び負極性端子として利用される。
【0042】
給電端子123は、配線122と同様に、絶縁層121の表面に形成した銅箔等をパターニングすることによって形成され、絶縁層121に設けられた開口部からFPC120の外表面に表出している。
図4Aでは、給電端子123の位置が分かり易くなるように、給電端子123の厚さを誇張して示すが、給電端子123の厚さは、一例として配線122の厚さと等しい。なお、給電端子123は、配線122よりも厚く形成されていてもよい。
【0043】
給電端子123には、給電ケーブル145の端子145Aが一例としてはんだ付けによって接続される。なお、給電ケーブル145の端子145Aは、給電端子123に対して、溶接、導電性接着剤による接着、又は、溶着によって接続されてもよい。
【0044】
<調光パネル130>
調光パネル130は、FPC120を介して供給される電力によって透過率が変化する機能性部材の一例である。ここでは、一例として、FPC120を介して供給される電力の有無によって、調光パネル130の透過率が高い状態と低い状態との2段階に変化する形態について説明する。ただし、調光パネル130は、PWM(Pulse Width Modulation)パルス信号のデューティ比によって透過率が変化するパネルであってもよく、一例として、PWMパルス信号のデューティ比によって透過率が変化する調光デバイスを樹脂製又はガラス製のパネルに貼り付けたものであってもよい。調光デバイスとしては、懸濁粒子デバイス(SPD:Suspended Particle Device)、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネットワーク液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、ゲストホスト液晶、フォトクロミック、エレクトロクロミック、エレクトロキネティック等も用いることができる。
【0045】
調光パネル130は、透過率が2段階で変化する場合には、透過率が高い状態では透明であり、透過率が低い状態ではグレー等の不透明な状態に変化し、光を略透過しない状態になる。また、調光パネル130をPWMパルス信号で駆動する場合には、透明な状態と、不透明な状態との間で、透過率を多段階で制御することができ、一例として、PWMパルス信号のデューティ比が0%の状態で調光パネル130の透過率が最小になることとする。
【0046】
調光パネル130は、
図1に示すように平面視における合わせガラス110の全領域のうち、合わせガラス110を車体10Aに対して完全に閉じた状態において、開口部11を塞ぐ領域に設けられている。合わせガラス110が車体10Aに対して完全に閉じられた状態で、車体10Aの室外側及び室内側から視認可能な位置に配置するためである。
【0047】
<封止ボックス140>
封止ボックス140は、
図1、
図2、及び
図4Aに示すように、合わせガラス110の-Y軸方向側の端部に設けられている。封止ボックス140は、枠部141及びガイド部142を有する。封止ボックス140は、
図6A乃至
図6Cに示す両面テープ160によって、合わせガラス110の主面112Bに接着される。
【0048】
封止ボックス140は、一例として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、又は、ABS樹脂(アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、及び、スチレン(Styrene)の共重合合成樹脂)等によって、作製される樹脂成型品である。
【0049】
<枠部141>
枠部141は、平面視でFPC120を囲むように設けられている。より具体的には、枠部141は、
図2及び
図4Aに示すように、ガラス板111の側面111Cと、ガラス板112の主面112B及び側面112Cとにおいて、基板部120Bを囲む枠状の部分であり、さらに、ガラス板111の主面111Aに沿って延在している。
【0050】
枠部141は、合わせガラス110との間の空間にシリコーン樹脂150を充填することによって、
図2及び
図4Aに示す第1部分101Aと、
図4Aに示す第2部分101Bとを封止するために設けられている。第1部分101A(
図2及び
図4A参照)は、ガラス板112の主面112B上でFPC120の給電端子123に給電ケーブル145の端子145Aが接続される部分である。第2部分101B(
図4A参照)は、合わせガラス110のガラス板111及び112の合わせ目からFPC120が表出する部分である。
【0051】
枠部141は、基部141A、延在部141B、重複部141C、開口部141D、開口部141E、孔部141F、突出部141G、及び凸部141Hを有する。開口部141Dは、第1開口部の一例であり、開口部141Eは、第2開口部の一例である。
【0052】
基部141A及び延在部141Bは、ガラス板111の側面111Cと、ガラス板112の主面112B及び側面112Cとに設けられる壁状の部材で構成され、基板部120Bを囲んでいる。
【0053】
基部141Aは、枠部141のうち、Z軸方向において主面112Bよりも-Z軸方向側に位置する部分である。基部141Aは、平面視でT字型のFPC120を囲むように主面112B上に設けられ、-Y軸方向側の端部は、平面視で主面112Bよりも-Y軸方向側に延出している。基部141Aのうち、平面視で主面112Bと重なる部分は、主面112Bに接触している。基部141Aは、主面112B上において、第1部分101A(
図2及び
図4A参照)を囲んでいる。
【0054】
基部141Aは、平面視で、FPC120のうちの主面112B上に位置する部分よりも外側を囲んでいる。基部141Aは、+Z軸方向側と、-Z軸方向側とが開口されている。基部141Aの+Z軸方向側の開口は、開口部141Dの一部である。基部141Aの-Z軸方向側の開口は、開口部141Eである。
【0055】
封止ボックス140の枠部141の-Z軸方向側の全体に開口部141Eが設けられているため、シリコーン樹脂150を充填しやすく、また、封止ボックス140のZ方向の高さを低くすることができる。しかしながら、封止ボックス140の枠部141は、開口部141Eを覆う蓋のような部材を有していてもよい。この場合には、蓋の一部分に、シリコーン樹脂150を充填するための開口部又は孔部等を設ければよい。
【0056】
延在部141Bは、枠部141のうち、主面112Bよりも+Z軸方向側に延在し、側面112C及び111Cに対向する部分である。延在部141Bは、基部141Aと重複部141Cとの間に位置し、基部141Aのうちの主面112Bよりも-Y軸方向側に延出した部分から、+Z軸方向側に延在している。延在部141Bは、合わせガラス110には接触しておらず、基部141Aに保持されている。延在部141Bは、第2部分101B(
図4A参照)の周囲を囲んでいる。
【0057】
重複部141Cは、延在部141Bの+Z軸方向側の端部から+Y軸方向に延在し、ガラス板111の主面111Aと重複する板状の部分である。重複部141Cは、合わせガラス110とは接触しておらず、延在部141Bを介して基部141Aに保持されている。重複部141Cは、主面111Aとの間に間隔G1(
図4A参照)を隔てて配置される。
【0058】
基部141A、延在部141B、及び重複部141Cは、
図4Aに示すように、YZ平面に平行な断面においてC字型に構成されており、合わせガラス110の-Y軸方向の端部が差し込まれている。重複部141Cを設けることにより、基部141Aを上側にしてシリコーン樹脂150を充填すると、シリコーン樹脂150は、延在部141Bと側面112C及び111Cとの間を通り、主面111Aと重複部141Cとの間にも充填される。このように、シリコーン樹脂150を合わせガラス110の主面111Aと重複部141Cとの間にも充填することで、合わせガラス110に対して、より強固に封止ボックス140及びシリコーン樹脂150を固定することができる。
【0059】
また、間隔G1を設けるのは、合わせガラス110の主面112Bを基部141Aの+Z軸方向側の端面に接触させた状態で、合わせガラス110及び封止ボックス140の製造誤差等を考慮して、合わせガラス110の-Y軸方向の端部を確実に差し込めるようにするためである。間隔G1は、一例として0.4mm程度である。間隔G1は、0.4mmに限らず、ガラス110の板厚公差を考慮した数値であることが好ましい。
【0060】
開口部141Dは、枠部141の合わせガラス110に近い第1側に位置する。第1側は、枠部141に対して、ガラス板111の側面111Cと、ガラス板112の主面112B及び側面112Cとが位置する側である。開口部141Dは、基部141Aの+Z軸方向側の端部、延在部141Bの側面112C及び111Cに対向してZ方向に延在する部分、重複部141Cの±X軸方向側における端部、及び、重複部141Cの+Y軸方向側の端部に沿って、開口している。
【0061】
開口部141Eは、枠部141の合わせガラス110から遠い第2側に位置する。第2側は、枠部141の-Z方向側である。開口部141Eは、基部141Aの-Z軸方向側の端部に沿って、枠部141の-Z軸方向側の全体を開口している。開口部141Eは、平面視において、FPC120のうちの主面112B上に位置する部分との間に間隔を開けて、FPC120のうちの主面112B上に位置する部分よりも外側を囲むように、T字型に開口している。
【0062】
開口部141Eは、シリコーン樹脂150が充填されていない状態では、FPC120のうちの平面視で基部141Aが囲む部分の全体を露出する。しかしながら、開口部141Eは、もっと小さくてもよい。例えば、開口部141Eは、FPC120のうちの主面112B上に位置する部分の上のみを開口する開口部であってもよく、2つの給電端子123の上を開口する開口部であってもよい。開口部141Eは、少なくとも第1部分101Aの上を開口していればよい。これらの場合には、枠部141の-Z軸方向側における開口部141E以外の部分には、壁部や蓋を設ければよい。第1部分101Aの上が開口していれば、第1部分101Aにシリコーン樹脂150を充填しやすく、第1部分101Aがシリコーン樹脂150で封止されていることを目視で確認しやすいからである。
【0063】
孔部141Fは、延在部141Bと、重複部141Cとにわたって設けられ、延在部141B及び重複部141Cを貫通する孔部である。枠部141と合わせガラス110との間にシリコーン樹脂150を充填する際には、
図2に示すように、合わせガラス110に封止ボックス140を接着し、-Z軸方向側が上になるように合わせガラス110及び封止ボックス140を配置した状態で、シリコーン樹脂150を充填する。この状態で、孔部141Fは封止ボックス140の下端側に位置するため、孔部141Fを通じて、延在部141Bの下側までシリコーン樹脂150が充填されたかどうかを目視で確認できるようにするために、封止ボックス140の+Z軸方向側の端部に孔部141Fが設けられている。なお、孔部141Fを設けなくても、例えば、重複部141Cと主面111Aとの隙間等から延在部141Bの下側までシリコーン樹脂150が充填されたかどうかを目視で確認できるような場合には、枠部141は孔部141Fを有しなくてもよい。
【0064】
突出部141Gは、
図5A乃至
図5C、及び、
図6A乃至
図6Cに示すように、枠部141の開口部141Dのうちの基部141Aの下端に位置する部分の角部において、枠部141の基部141Aの内壁141A1よりも内側に突出するように設けられている。突出部141Gは、一例として、平面視で内壁141A1が直角に曲がっている4つの角部における+Z軸方向側の端部を円弧状に繋ぐような形状を有する。突出部141Gは、シリコーン樹脂150が充填された状態で、突出部141Gよりも-Z軸方向側のシリコーン樹脂150に引っ掛かり、基部141Aがシリコーン樹脂150から抜けにくくし、封止ボックス140が外れないように係止させる役割を果たす。このため、突出部141Gは、Z軸方向において、基部141Aの内壁141A1の+Z軸方向側の端部に設けられており、突出部141Gよりも-Z軸方向側には、内壁141A1が延在している。
【0065】
なお、突出部141Gは、内壁141A1の+Z軸方向側の端部に設けられる構成に限られず、Z軸方向において、開口部141Eよりも開口部141D側に設けられていればよい。突出部141Gが、Z軸方向において、開口部141Eよりも開口部141D側に設けられるとは、突出部141Gの-Z軸方向側に内壁141A1が位置し、突出部141Gの-Z軸方向側にシリコーン樹脂150が設けられることを意味する。突出部141Gが、突出部141Gよりも-Z軸方向側のシリコーン樹脂150に引っ掛かることで、基部141Aがシリコーン樹脂150から抜けにくくするためである。
【0066】
凸部141Hは、基部141Aの内壁141A1から内側に突出する突出部であり、封止ボックス140の基部141Aを主面112B上に配置して、FPC120を囲むように設置する際に、FPC120の外縁との位置合わせのために設けられている。
【0067】
なお、ここでは、枠部141が重複部141Cを有する形態について説明するが、枠部141は、重複部141Cを有しなくてもよい。重複部141Cは、合わせガラス110の主面111Aよりも+Z軸方向側に突出しているため、封止ボックス140が合わせガラス110の主面111Aよりも+Z軸方向側に突出しないようにする場合には、枠部141が重複部141Cを有しない構成にして、延在部141Bの+Z軸方向側の端部と主面111Aとの高さが揃うようにすればよい。この場合には、孔部141Fは、延在部141Bの+Z軸方向側の端部に設ければよい。封止ボックス140が合わせガラス110の主面111Aよりも+Z軸方向側に突出しない構成は、例えば、車両用窓ガラス100を車両10のウィンドシールド又はルーフガラスとして利用する場合に、特に有効的である。
【0068】
<ガイド部142>
ガイド部142は、枠部141の-Y軸方向側における+X軸方向側の端部から、主面112B及び側面112Cの境界に沿って、+X軸方向側に延在している。より具体的には、ガイド部142は、平面視で、合わせガラス110の主面112B及び側面112Cの湾曲形状に沿って僅かに湾曲している。
【0069】
ガイド部142は、+Y軸方向側に突出する保持部142Aを有する。
図2、
図5A乃至
図5C、及び、
図6A乃至
図6Cに示すように、ガイド部142は、一例として3つの保持部142Aを有する。保持部142Aは、
図2に示すように、給電ケーブル145を保持するために設けられている。
【0070】
3つの保持部142Aは、ガイド部142の延在方向に沿って等間隔で設けられており、中央の保持部142Aは、両端の2つの保持部142Aに対して、+Z軸方向側にオフセットしている。両端の2つの保持部142Aに対する中央の保持部142Aの+Z軸方向側へのオフセット量は、一例として、給電ケーブル145の太さ未満であることが好ましく、給電ケーブル145の太さの半分以下であることがさらに好ましい。両端の2つの保持部142Aの+Z軸方向側と、中央の保持部142Aの-Z軸方向側とに給電ケーブル145を通すことにより、3つの保持部142Aで給電ケーブル145の側面の+Z軸方向側と、給電ケーブル145の側面-Z軸方向側とを挟み、給電ケーブル145を安定的に保持することができる。給電ケーブル145の側面の+Z軸方向側は、給電ケーブル145の側面の第1側の一例であり、給電ケーブル145の側面の-Z軸方向側は、給電ケーブル145の側面の第2側の一例である。なお、このような保持部142Aは、3つ以上あることが好ましいが、2つ以上であれば、幾つであってもよい。
【0071】
なお、保持部142Aは、給電ケーブル145を保持できればよく、
図5A乃至
図5C、及び、
図6A乃至
図6Cに示すような構成に限られない。例えば、保持部142Aは、給電ケーブル145を嵌め込む溝、又は、ブラケット等であってもよい。また、ガイド部142は、保持部142Aを有しない構成であってよい。例えば、両面テープ、又はその他の部材等によってガイド部142に固定するような場合には、ガイド部142は、保持部142Aを有しなくてもよい。
【0072】
また、封止ボックス140は、ガイド部142を有しない構成であってもよい。例えば、給電ケーブル145を保持する必要がないような構成の場合や、給電ケーブル145をブラケット、両面テープ、又はその他の部材等によって合わせガラス110に固定するような場合には、封止ボックス140は、ガイド部142を有しない構成であってよい。
【0073】
<給電ケーブル145>
給電ケーブル145は、2つの給電端子123に接続される2本のワイヤハーネスであり、車両10のバッテリ等の電源から直流電力を調光パネル130に供給するために設けられている。一例として、
図2に示すように、給電ケーブル145の端部には、金属製の端子145Aが取り付けられている。端子145Aは、
図2に示すようにU字型のタブ145A1を有し、タブ145A1をかしめることによって、給電ケーブル145に固定される。
【0074】
端子145Aを給電端子123に接続することによって、給電端子123に給電ケーブル145が接続されている。端子145Aは、一例としてはんだ付けによって給電端子123に接続されるが、溶接、導電性接着剤による接着、又は、溶着によって接続されてもよい。また、端子145Aを用いずに、給電ケーブル145のリード線をはんだ付け等によって給電端子123に直接的に接続してもよい。すなわち、給電ケーブル145のリード線の端部を端子として用いてもよい。
【0075】
<シリコーン樹脂150>
シリコーン樹脂150は、合わせガラス110の側面111C、側面112C、主面112B、及び、主面111Aと、封止ボックス140とによって囲まれる空間内に充填され、当該空間内を封止する。より具体的には、シリコーン樹脂150は、
図2及び
図4Aに示す第1部分101Aと、
図4Aに示す第2部分101Bとを封止する。シリコーン樹脂150は、シリコーンシーラであり、液状の接着剤である。
【0076】
第1部分101Aと、第2部分101Bとは、封止ボックス140によって囲まれるため、封止ボックス140と、合わせガラス110の側面111C、側面112C、主面112B、及び、主面111Aとで囲まれる空間内にシリコーン樹脂150を充填すれば、一度の封止作業で、第1部分101Aと、第2部分101Bとの両方を封止することができる。
【0077】
<両面テープ160>
両面テープ160は、
図6A乃至
図6Cに示すように、基部141A及びガイド部142の+Z軸方向側の表面に接着される。封止ボックス140は、両面テープ160によって、合わせガラス110の主面112Bに接着され、合わせガラス110に対して固定される。
【0078】
<実施形態の車両用窓ガラス100と比較用の車両用窓ガラスの製造時間の比較>
比較用の車両用窓ガラスは、実施形態の車両用窓ガラス100から封止ボックス140を省いた構成を有する。比較用の車両用窓ガラスでは、第1部分101Aと第2部分101Bとを別々の封止作業で封止することになる。第2部分101Bについては、ガラス板111及び112の間にFPC120及び調光パネル130を挟んだ状態で、中間膜113でガラス板111及び112を接着した後に封止部材で封止を行う。そして、第1部分101Aについては、第2部分101Bの封止作業が終わった後に、給電端子123に給電ケーブル145の端子145Aをはんだ等で接続してから封止部材で封止を行う。このように、比較用の車両用窓ガラスでは、2段階で封止作業を行うことになる。これに対して、実施形態の車両用窓ガラス100は、封止ボックス140を用いることによって、第1部分101A及び第2部分101Bを一度の封止作業で同時に封止できるため、車両用窓ガラス100を効率的に製造することができる。
【0079】
比較用の車両用窓ガラスについての実験では、第2部分101Bについての第1回目の封止作業の所要時間は30秒であり、その後に、第1回目の封止作業で用いた封止部材を乾燥させて検査を行うのに20秒掛かる。また、第1部分101Aについての第2回目の封止作業の所要時間は、枠部材を用いて封止部材で封止するのに35秒であった。
【0080】
これに対して、実施形態の車両用窓ガラス100についての実験では、封止ボックス140を用いて第1部分101A及び第2部分101Bについて同時に行う封止作業の所要時間は、55秒であった。このように、実施形態の車両用窓ガラス100についての封止作業の所要時間は、比較用の車両用窓ガラスについての2回の封止作業の所要時間の合計である85秒に対して大幅に短縮できることが分かった。また、作業工程を1つにまとめることで、作業時におけるFPC120の断線等の破損が生じるリスクを軽減できる。第2部分101Bだけを封止する第1回目の封止作業では、シリコーン樹脂150を吐出するノズルがFPC120に当たって断線等の破損が生じるリスクがあるが、封止ボックス140を用いて第1部分101A及び第2部分101Bについて同時に行うことで、第2部分101Bにノズルが当たる可能性が減り、FPC120の破損が生じるリスクを軽減できる。
【0081】
<効果>
以上のように、車両用窓ガラス100は、主面111A、主面111B、及び側面111Cを有するガラス板111と、主面112A、主面112B、及び側面112Cを有するガラス板112と、主面111B及び主面112Aの間に設けられる中間膜113とを有し、車体10Aの開口部11に設けられる合わせガラス110を含む。また、車両用窓ガラス100は、主面111B及び主面112Aの間に設けられる基板部120Aと、車体10A側から電力が供給される給電ケーブル145が接続される給電端子123を備え、基板部120Aと一体的に形成されるとともに、側面112C及び主面112Bにわたって設けられる基板部120Bとを有するFPC120を含む。また、車両用窓ガラス100は、主面111B及び主面112Aの間に設けられ、FPC120の基板部120Aを介して電力が供給される調光パネル130を含む。また、車両用窓ガラス100は、側面111Cと、側面112Cと、主面112Bとにおいて基板部120Bを囲む枠部141を有する封止ボックス140と、側面111Cと、側面112Cと、主面112Bと、枠部141とによって囲まれる空間を封止するシリコーン樹脂150とを含む。このため、ガラス板112の主面112B上でFPC120の給電端子123に給電ケーブル145の端子145Aが接続される第1部分101A(
図2及び
図4A参照)と、合わせガラス110のガラス板111及び112の合わせ目からFPC120が表出する第2部分101B(
図4A参照)とを一度の封止作業で同時に封止できる。
【0082】
したがって、2枚のガラス板111及び112の合わせ目と、給電ケーブル145と車両用窓ガラス100側の給電端子123との接続部とにおける十分な封止を効率的に形成可能な車両用窓ガラス100を提供することができる。
【0083】
また、主面112Bは、車体10Aの室内側に向けられるので、封止ボックス140及びシリコーン樹脂150が室内側に位置することで、水や塵埃等から第1部分101A及び第2部分101Bを保護しやすい構成を実現できる。
【0084】
また、給電端子123は、基板部120Bのうちの主面112Bと重なる部分の少なくとも一部に設けられており、枠部141は、枠部141の合わせガラス110に近い第1側に位置する開口部141Dと、枠部141の合わせガラス110から遠い第2側に位置する開口部141Eとを有し、開口部141Eは、合わせガラス110の平面視において給電端子123を囲む。このように、開口部141Eが平面視で給電端子123を囲むことで、給電端子123を含む第1部分101Aにシリコーン樹脂150を充填しやすく、かつ、第1部分101Aにシリコーン樹脂150が充填されているかどうかを目視で確認しやすくなる。
【0085】
また、給電端子123は、基板部120Bのうちの主面112Bと重なる部分の少なくとも一部に設けられており、枠部141は、枠部141の合わせガラス110に近い第1側に位置する開口部141Dと、枠部141の合わせガラス110から遠い第2側に位置する開口部141Eとを有し、開口部141Eは、合わせガラス110の平面視において基板部120Bを囲む。このように、開口部141Eが平面視で基板部120Bを囲むことで、第1部分101A及び第2部分101Bにシリコーン樹脂150を充填しやすく、かつ、第1部分101A及び第2部分101Bにシリコーン樹脂150が充填されているかどうかを目視で確認しやすくなる。
【0086】
また、枠部141は、ガラス板111、中間膜113、及びガラス板112が重ねられる方向における開口部141Eよりも開口部141D側に設けられ、合わせガラス110の平面視において、枠部141の内壁よりも内側に突出する突出部141Gを有する。このため、突出部141Gが、突出部141Gよりも-Z軸方向側のシリコーン樹脂150に引っ掛かることで、封止ボックス140がシリコーン樹脂150から抜けにくい構成を実現できる。
【0087】
また、開口部141Dは、側面111Cと、側面112Cと、主面112Bとにわたって設けられる。このため、FPC120のうちの主面112B及び側面112Cに表出する部分を枠部141で囲んで、第1部分101A及び第2部分101Bをシリコーン樹脂150で確実に封止できる構成を実現できる。
【0088】
また、枠部141は、主面112Bに沿って設けられる基部141Aと、基部141Aのうちの側面112C側の端部から、側面112C及び側面111Cに沿って延在する延在部141Bとを有する。このため、基部141A及び延在部141Bで第1部分101A及び第2部分101Bを囲んで、第1部分101A及び第2部分101Bをシリコーン樹脂150で確実に封止できる構成を実現できる。
【0089】
また、枠部141は、延在部141Bを貫通する孔部141Fをさらに有する。このため、基部141Aを上に位置させた状態でシリコーン樹脂150を充填する場合に、孔部141Fを通じて、延在部141Bの下側までシリコーン樹脂150が充填されたかどうかを確認することができる。
【0090】
また、枠部141は、主面112Bに沿って設けられる基部141Aと、基部141Aの側面112C側から、側面112C及び側面111Cに沿って延在する延在部141Bと、延在部141Bの主面111A側の端部から主面111Aに沿って延在し、主面111Aと重複する重複部141Cとを有する。基部141Aを上側にしてシリコーン樹脂150を充填すると、シリコーン樹脂150は、主面111Aと重複部141Cとの間にも充填される。このため、基部141A及び延在部141Bで第1部分101A及び第2部分101Bを囲んで、第1部分101A及び第2部分101Bをシリコーン樹脂150で確実に封止できる構成を実現できる。また、シリコーン樹脂150を合わせガラス110の主面111Aと重複部141Cとの間にも充填することで、合わせガラス110に対して、より強固に封止ボックス140及びシリコーン樹脂150を固定することができる。
【0091】
また、枠部141は、延在部141Bと、重複部141Cとにわたって設けられ、延在部141B及び重複部141Cを貫通する孔部141Fを有するので、孔部141Fを通じて、シリコーン樹脂150が合わせガラス110の主面111Aと重複部141Cとの間にも充填されたかどうかを目視で容易に確認できる。
【0092】
また、封止ボックス140は、枠部141の側部から主面112Bに沿って延在し、給電端子123に接続される給電ケーブル145を主面112Bに沿って案内するガイド部142をさらに有する。車両用窓ガラス100が車体10Aに対して上下方向に摺動する際に、給電ケーブル145が車体10A側に接触して破損することを抑制でき、電気的信頼性をより向上させた車両用窓ガラス100を提供できる。
【0093】
また、ガイド部142は、主面112B及び側面112Cの境界に沿って延在するので、合わせガラス110の縁(主面112B及び側面112Cの境界)に沿って給電ケーブル145を保持でき、給電ケーブル145の破損をより効果的に抑制でき、電気的信頼性をより一層向上させた車両用窓ガラス100を提供できる。
【0094】
また、ガイド部142は、給電ケーブル145の延在方向に沿って設けられ、給電ケーブル145の側面の第1側(+Z軸方向側)と、第1側の反対の第2側(-Z軸方向側)とを交互に保持する保持部142Aを有する。このため、簡易な構成で、給電ケーブル145をより確実に保持でき、給電ケーブル145の破損をより一層効果的に抑制でき、電気的信頼性をさらに一段と向上させた車両用窓ガラス100を提供できる。
【0095】
なお、以上では、ガラス板112が車体10Aの室内側に設けられていて、FPC120がガラス板111及び112の間から室内側に向かって折り曲げられている形態について説明した。しかしながら、ガラス板112が車体10Aの室外側に設けられていて、FPC120がガラス板111及び112の間から室外側に向かって折り曲げられていてもよい。この場合には、特に、車両用窓ガラス100がドアにサイドガラスとして取り付けられていて、ドアが閉じられるときに、封止ボックス140、給電ケーブル145、及びシリコーン樹脂150等の重さが合わせガラス110に対して掛かる。このため、封止ボックス140、給電ケーブル145、及びシリコーン樹脂150等が、合わせガラス110から外れにくい構成を実現できる。
【0096】
以上、本開示の例示的な車両用窓ガラスについて説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0097】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
第1主面、第2主面、及び第1側面を有する第1ガラス板と、第3主面、第4主面、及び第2側面を有する第2ガラス板と、前記第2主面及び前記第3主面の間に設けられる中間膜とを有し、車体の開口部に設けられる合わせガラスと、
前記第2主面及び前記第3主面の間に設けられる第1基板部と、前記車体側から電力を供給する給電線が接続される給電端子を備え、前記第1基板部と一体的に形成されるとともに、前記第2側面及び前記第4主面にわたって設けられる第2基板部とを有するフレキシブル基板と、
前記第2主面及び前記第3主面の間に設けられ、前記フレキシブル基板の前記第1基板部を介して電力が供給される機能性部材と、
前記第1側面と、前記第2側面と、前記第4主面とにおいて前記第2基板部を囲む枠部を有する封止容器と、
前記第1側面と、前記第2側面と、前記第4主面と、前記枠部とによって囲まれる空間を封止する封止部材と
を含む、車両用窓ガラス。
(付記2)
前記第4主面は、前記車体の室内側に向けられる、付記1に記載の車両用窓ガラス。
(付記3)
前記給電端子は、前記第2基板部のうちの前記第4主面と重なる部分の少なくとも一部に設けられており、
前記枠部は、前記枠部の前記合わせガラスに近い第1側に位置する第1開口部と、前記枠部の前記合わせガラスから遠い第2側に位置する第2開口部とを有し、
前記第2開口部は、前記合わせガラスの平面視において前記給電端子を囲む、付記1又は2に記載の車両用窓ガラス。
(付記4)
前記給電端子は、前記第2基板部のうちの前記第4主面と重なる部分の少なくとも一部に設けられており、
前記枠部は、前記枠部の前記合わせガラスに近い第1側に位置する第1開口部と、前記枠部の前記合わせガラスから遠い第2側に位置する第2開口部とを有し、
前記第2開口部は、前記合わせガラスの平面視において前記第2基板部を囲む、付記1又は2に記載の車両用窓ガラス。
(付記5)
前記枠部は、前記第1ガラス板、前記中間膜、及び前記第2ガラス板が重ねられる方向における前記第2開口部よりも前記第1開口部側に設けられ、前記合わせガラスの平面視において、前記枠部の内壁よりも内側に突出する突出部を有する、付記3又は4に記載の車両用窓ガラス。
(付記6)
前記第1開口部は、前記第1側面と、前記第2側面と、前記第4主面とにわたって設けられる、付記3乃至5のいずれか1項に記載の車両用窓ガラス。
(付記7)
前記枠部は、
前記第4主面に沿って設けられる基部と、
前記基部のうちの前記第2側面側の端部から、前記第2側面及び前記第1側面に沿って延在する延在部と、
前記延在部を貫通する孔部と
を有する、付記1乃至6のいずれか1項に記載の車両用窓ガラス。
(付記8)
前記枠部は、前記延在部を貫通する孔部をさらに有する、付記7に記載の車両用窓ガラス。
(付記9)
前記枠部は、
前記第4主面に沿って設けられる基部と、
前記基部の前記第2側面側から、前記第2側面及び前記第1側面に沿って延在する延在部と、
前記延在部の前記第1主面側の端部から前記第1主面に沿って延在し、前記第1主面と重複する重複部と
を有する、付記1乃至6のいずれか1項に記載の車両用窓ガラス。
(付記10)
前記枠部は、前記延在部と、前記重複部とにわたって設けられ、前記延在部及び前記重複部を貫通する孔部を有する、付記9に記載の車両用窓ガラス。
(付記11)
前記封止容器は、前記枠部の側部から前記第4主面に沿って延在し、前記給電端子に接続される給電線を前記第4主面に沿って案内するガイド部をさらに有する、付記1乃至10のいずれか1項に記載の車両用窓ガラス。
(付記12)
前記ガイド部は、前記第4主面及び前記第2側面の境界に沿って延在する、付記11に記載の車両用窓ガラス。
(付記13)
前記ガイド部は、前記給電線の延在方向に沿って設けられ、前記給電線の側面の第1側と、前記第1側の反対の第2側とを交互に保持する保持部を有する、付記11又は12に記載の車両用窓ガラス。
【符号の説明】
【0098】
10 車両
10A 車体
11 開口部
100 車両用窓ガラス
101A 第1部分
101B 第2部分
110 合わせガラス
111、112 ガラス板(第1ガラス板、第2ガラス板の一例)
111A、111B、112A、112B 主面(第1主面、第2主面、第3主面、第4主面の一例)
111C、112C 側面(第1側面、第2側面の一例)
120 FPC(フレキシブル基板の一例)
120A、120B 基板部(第1基板部、第2基板部の一例)
121 絶縁層
122 配線
123 給電端子
130 調光パネル(機能性部材の一例)
140 封止ボックス(封止容器の一例)
141 枠部
141A 基部
141A1 内壁
141B 延在部
141C 重複部
141D、141E 開口部(第1開口部、第2開口部の一例)
141F 孔部
141G 突出部
141H 凸部
142 ガイド部
142A 保持部
145 給電ケーブル(給電線の一例)
145A 端子
150 シリコーン樹脂(封止部材の一例)