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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020914
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/00 20060101AFI20240207BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240207BHJP
   B65H 7/06 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B65H9/00 J
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B65H7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123467
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】平野 登
【テーマコード(参考)】
2C056
3F048
3F102
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB36
2C056EC12
2C056FA13
2C056FA14
2C056HA29
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA20
3F048BB02
3F048CC05
3F048DA06
3F048DB02
3F048DB07
3F048DC12
3F048EB24
3F102AA01
3F102AB01
3F102BA02
3F102BB04
3F102CA03
3F102EA03
3F102FA03
(57)【要約】
【課題】記録媒体の形状によらず、記録媒体の姿勢の補正精度に優れた搬送装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置200は、搬送方向に記録媒体を搬送する搬送部と、搬送部の動作を制御する制御部と、前記搬送部に送り込まれる前記記録媒体の第1スキュー量及び第1シフト量を検出可能な第1検出部と、搬送部から送り出された記録媒体の第2スキュー量及び第2シフト量を検出可能な第2検出部と、を備え、第1検出部は、少なくとも3点について、幅方向における記録媒体の端部位置を検出し、制御部は、第1スキュー量及び第1シフト量に応じて、姿勢を補正する第1補正動作を実行し、第1補正動作の実行後の第2スキュー量及び第2シフト量に応じて、記録媒体の姿勢を補正する第2補正動作を実行し、第2補正動作では、第1補正動作の実行前に検出された少なくとも3点の端部位置に応じて、記録媒体の姿勢を補正する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に記録媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部の動作を制御する制御部と、
前記搬送部に送り込まれる前記記録媒体の姿勢に関する第1スキュー量及び第1シフト量を検出可能な第1検出部と、
前記搬送部から送り出された前記記録媒体の姿勢に関する第2スキュー量及び第2シフト量を検出可能な第2検出部と、を備え、
前記第1検出部は、
前記記録媒体の幅方向における一方の端部に対して、前記搬送方向において互いに異なる少なくとも3点について、前記幅方向における前記記録媒体の端部位置を検出可能であり、
前記制御部は、
前記第1スキュー量及び前記第1シフト量に応じて、前記記録媒体の姿勢を補正する第1補正動作を実行するように、前記搬送部の動作を制御し、
前記第2検出部は、
前記第1補正動作の実行後の前記記録媒体の姿勢に関する前記第2スキュー量及び前記第2シフト量を検出し、
前記制御部は、
前記第1補正動作の実行後の前記第2スキュー量及び前記第2シフト量に応じて、前記第1補正動作の実行後の前記記録媒体の姿勢を補正する第2補正動作を実行するように、前記搬送部の動作を制御し、
前記第2補正動作では、前記第1補正動作の実行前に前記第1検出部によって検出された少なくとも3点の、前記幅方向における前記記録媒体の端部位置に応じて、前記記録媒体の姿勢を補正することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記第1検出部は、異なるタイミングで、前記少なくとも3点について、前記幅方向における前記記録媒体の端部位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1検出部は、同じタイミングで、前記少なくとも3点について、前記幅方向における前記記録媒体の端部位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記少なくとも3点のうち前記搬送方向において最も上流の前記端部位置を検出する前記第1検出部の位置から前記搬送部の位置までの距離は、前記記録媒体の全長よりも長いことを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第2検出部は、
前記記録媒体の幅方向における一方の端部に対して、前記搬送方向において互いに異なる第1端部位置及び第2端部位置を検出可能であり、
前記制御部は、
前記第1検出部により検出された前記少なくとも3点のうち、前記第1端部位置に最も近い第3端部位置、及び前記第2端部位置に最も近い第4端部位置を用いて、前記第1スキュー量及び前記第1シフト量を算出し、
前記第2補正動作では、
前記第1端部位置及び前記第2端部位置に基づく前記第2スキュー量から、前記第1スキュー量を減算して、補正用のスキュー量を算出し、
前記第1端部位置及び前記第2端部位置に基づく前記第2シフト量から、前記第1シフト量を減算して、補正用のシフト量を算出し、
算出された前記補正用のスキュー量及び前記補正用のシフト量に基づいて、前記記録媒体の姿勢を補正するように、前記搬送部の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記少なくとも3点のうち前記搬送方向に隣り合う2点の前記幅方向における前記記録媒体の端部位置を用いた線形補間により、前記第1スキュー量及び前記第1シフト量を算出し、
前記第2補正動作では、前記第2スキュー量から前記第1スキュー量を減算して、補正用のスキュー量を算出し、前記第2シフト量から前記第1シフト量を減算して、補正用のシフト量を算出し、算出された前記補正用のスキュー量及び前記補正用のシフト量に基づいて、前記記録媒体の姿勢を補正するように、前記搬送部の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の搬送装置と、
液体を吐出する吐出ヘッドを有し、前記搬送装置によって搬送された前記記録媒体に液体を吐出して、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、搬送装置により搬送される記録媒体に印刷する画像形成装置が知られている。搬送装置は、記録媒体の斜行量を検知する第1検知手段と、記録媒体の幅方向の位置ずれ量を検知する第2検知手段と、第1検知手段及び第2検知手段による検知結果に基づいて、斜行量及び幅方向の位置ずれを補正する挟持ローラ対と、を備える。第1検知手段は、挟持ローラ対の上流側に配置され、第2検知手段は、挟持ローラ対の下流側に配置されている。(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、記録媒体の形状によっては、記録媒体の姿勢を狙い通りに補正できない場合がある。
【0004】
本発明は、記録媒体の形状によらず、記録媒体の姿勢の補正精度に優れた搬送装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る搬送装置は、搬送方向に記録媒体を搬送する搬送部と、搬送部の動作を制御する制御部と、搬送部に送り込まれる記録媒体の姿勢に関する第1スキュー量及び第1シフト量を検出可能な第1検出部と、搬送部から送り出された記録媒体の姿勢に関する第2スキュー量及び第2シフト量を検出可能な第2検出部と、を備え、第1検出部は、記録媒体の幅方向における一方の端部に対して、搬送方向において互いに異なる少なくとも3点について、幅方向における記録媒体の端部位置を検出可能であり、制御部は、第1スキュー量及び第1シフト量に応じて、記録媒体の姿勢を補正する第1補正動作を実行するように、搬送部の動作を制御し、第2検出部は、第1補正動作の実行後の記録媒体の姿勢に関する第2スキュー量及び第2シフト量を検出し、制御部は、第1補正動作の実行後の第2スキュー量及び第2シフト量に応じて、第1補正動作の実行後の記録媒体の姿勢を補正する第2補正動作を実行するように、搬送部の動作を制御し、第2補正動作では、第1補正動作の実行前に第1検出部によって検出された少なくとも3点の、幅方向における記録媒体の端部位置に応じて、記録媒体の姿勢を補正する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、記録媒体の姿勢の補正精度に優れた搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図2】印刷部及び搬送部を示す側面図である。
図3】ヘッドモジュールのノズル面を示す底面図である。
図4】搬送装置を示す概略平面図である。
図5】搬送装置を示す概略平面図であり、位置ずれが生じている状態の記録媒体PPを示す図である。
図6】搬送方向に対して傾いた状態の記録媒体PPを示す平面図である。
図7】搬送方向に交差する方向に位置ずれを生じている状態の記録媒体PPを示す平面図である。
図8】従来技術に係る搬送装置における記録媒体PPの搬送状態を示す平面図である。
図9】記録媒体の理想的な姿勢変化を示す平面図である。
図10】幅方向の端部に変形がある記録媒体PPを示す平面図であり、第1検出部により検出された記録媒体の端部位置を示す図である。
図11】端部位置P1の検出時における記録媒体PPの配置を示す平面図である。
図12】端部位置P2の検出時における記録媒体PPの配置を示す平面図である。
図13】端部位置P3の検出時における記録媒体PPの配置を示す平面図である。
図14】一実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図15】一実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
図16】記録媒体PPの姿勢を補正する動作の手順を示すフローチャートである。
図17】第2実施形態に係る画像形成装置の第1検出部の配置を示す平面図である。
図18】シフトローラ、第1検出部、及び記録媒体PPの配置を示す平面図である。
図19】第3実施形態に係る搬送装置を示す平面図であり、シフトローラ、第2検出部、及び、記録媒体の配置を示す図である。
図20】搬送方向に対して正しい姿勢であると仮定した場合の記録媒体を示す平面図であり、第1検出部によって検出された端部位置、及び第2検出部によって検出された端部位置を示す図である。
図21】搬送方向に対して正しい姿勢であると仮定した場合の記録媒体を示す平面図であり、第1検出部によって検出された端部位置、及び第2検出部によって検出された端部位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る搬送装置を備える画像形成装置について説明する。なお、各図において、直交する3方向として、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を示す矢印を記載する場合がある。Y軸方向は、記録媒体PPの搬送方向に沿う。X軸方向は、記録媒体PPの幅方向に沿う方向である。記録媒体PPの幅方向は、記録媒体PPの搬送方向に交差する方向である。実施形態では、一例として、記録媒体PPの幅方向は記録媒体PPの搬送方向と直交する。Z軸方向は、記録媒体PPの厚さ方向の一例である。
【0009】
<第1実施形態に係る画像形成装置200の全体構成>
図1は、一実施形態に係る画像形成装置200を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置200は、オンデマンド方式のライン走査型インクジェット記録装置である。図1に示すように、一実施形態に係る画像形成装置200は、搬入部210、前処理部220、印刷部230、第1乾燥部240、第2乾燥部250、記録媒体反転部260、及び搬出部270を備える。画像形成装置200に記録媒体PPにインクを吐出して画像形成する。インクは、液体の一例である。
【0010】
搬入部210は、複数の記録媒体PPを収容する搬入トレイ211A,211Bと、搬入トレイ211の記録媒体PPを1枚ずつ分離して送り出す給送装置212A,212Bとを備える。搬入部210は、前処理部220に対して記録媒体PPを供給する。
【0011】
前処理部220は、搬入部210から供給された記録媒体PPに対して、必要に応じて塗布液としての前処理液を塗布する。前処理部220は、処理液を記録媒体PPの印刷面に付与する処理液付与部221を含む。処理液は、インクを凝集させ、裏写りを防止する。
【0012】
図2は、印刷部及び搬送部を示す側面図である。印刷部(画像形成部)230は、記録媒体PPに対してインクを付与して所要の印刷を行う。印刷部230は、ドラム10、ヘッドモジュール20、入口シリンダ234、及び出口シリンダ235を備える。入口シリンダ234は、前処理部220から搬送された記録媒体PPを受け取り、ドラム10に渡す。出口シリンダ235は、ドラム10によって搬送された記録媒体PPを受け取り、第1乾燥部240に渡す。図2に示される搬送装置40については後述する。
【0013】
図1及び図2に示されるように、ヘッドモジュール20は、ヘッドモジュール20A,20B,20C,20D,20Eを含む。なお、ヘッドモジュール20A,20B,20C,20D,20Eを区別しない場合には、ヘッドモジュール20と記載する。図2では、ヘッドモジュール20Eの図示を省略している。
【0014】
ヘッドモジュール20Aは、シアン(C)のインクを吐出する。ヘッドモジュール20Bは、マゼンタ(M)のインクを吐出する。ヘッドモジュール20Cは、イエロー(Y)のインクを吐出する。ヘッドモジュール20Dは、ブラック(K)のインクを吐出する。ヘッドモジュール20Eは、その他の特殊なインクを吐出してもよい。特殊なインクとしては、例えば、白色のインク、金色のインク、銀色のインクなどが挙げられる。
【0015】
複数のヘッドモジュール20は、ドラム10の外周面10aに沿って配置されている。ヘッドモジュール20は、ドラム10の径方向において、外周面10aと隙間を空けて配置されている。記録媒体PPは、ドラム10の外周面10a上に配置され、ドラム10の回転に伴ってドラム10の周方向に搬送される。
【0016】
ドラム10の外周面10aには、記録媒体PPを保持する記録媒体グリッパが設けられている。ドラム10の外周面10aには、複数の吸引穴が分散して形成されている。ドラム10は、吸引穴からドラム10の内部に向かう吸い込み気流を発生されることにより、記録媒体PPをドラム10の外周面10aに保持する。ドラム10は、記録媒体PPを保持した状態で、回転することにより、記録媒体PPをヘッドモジュール20に対向する位置へ搬送する。記録媒体PPは、ドラム10の外周面10aとヘッドモジュール20との間に配置される。
【0017】
ヘッドモジュール20の各々は、記録媒体PPに対してインクを吐出することにより、記録媒体PPの表面に画像を形成する。印刷部230は、画像が形成された後の記録媒体PPを、図1に示される第1乾燥部240へ送出する。
【0018】
第1乾燥部240は、記録媒体PPを乾燥するヒーター241を備える。第1乾燥部240は、記録媒体PPを搬送する搬送部242を含む。第1乾燥部240は、搬送部242により記録媒体PPを搬送しながら、ヒーター241により加熱する。ヒーター241は、例えば、赤外線を記録媒体PPに照射することにより、記録媒体PPに付着するインクを加熱乾燥する。
【0019】
第2乾燥部250は、記録媒体PPを乾燥するヒーター251を備える。第2乾燥部250は、記録媒体PPを搬送する搬送部252を含む。第2乾燥部250は、搬送部252により記録媒体PPを搬送しながら、ヒーター251により加熱する。ヒーター251は、例えば、紫外線を記録媒体PPに照射することにより、記録媒体PPに付着するインクを加熱する。例えば、第2乾燥部250は、記録媒体PPを冷却する冷却部を含んでもよい。冷却部は、例えば、記録媒体PPに送風するファンを有する。
【0020】
第2乾燥部250は、乾燥した後の記録媒体PPを搬出部270へ送出する。両面印刷を行う場合には、第2乾燥部250は、記録媒体PPを記録媒体反転部260へ送出する。
【0021】
記録媒体反転部260は、記録媒体PPを反転させる記録媒体反転機構261、及び反転された記録媒体PPを搬送する反転搬送部262を備える。記録媒体反転部260は、第2乾燥部250から送出された記録媒体PPを、記録媒体反転機構261によって反転し、反転搬送部262によって、印刷部230へ送出する。印刷部230は、記録媒体反転部260から送出された記録媒体PPの傾きを補正し、ドラム10へ搬送する。
【0022】
搬出部270は、印刷後の記録媒体PPが積載される複数のトレイ271を備える。搬出部270は、第2乾燥部250から送出された複数の記録媒体PPを、互いに揃えられた状態で積載する。
【0023】
なお、記録媒体PPは、紙の媒体でもよく、その他の媒体でもよい。記録媒体PPは、シート材でもよく、シート材はカットシート材でもよい。シート材は例えば壁紙などの大判のシート材でもよい。
【0024】
<記録ヘッド>
図3は、ヘッドモジュールのノズル面を示す底面図である。図3に示されるヘッドモジュール20は、ベース部材21に保持された複数の記録ヘッド(吐出ヘッド)23を有する。ヘッドモジュール20は、X軸方向に並べられている。ヘッドモジュール20のノズル面には、複数のノズルNが形成されている。複数のノズルNは、X軸方向に並ぶノズル列を形成する。
【0025】
記録ヘッド23は、インクが流れるインク流路、インクを吐出するための駆動素子、インクに圧力を付与する圧力室、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレート等を含む。駆動素子は、例えば圧電素子である。圧力室内のインクは、駆動素子が駆動することにより、圧力が上昇し、ノズルNから吐出される。ノズルNから吐出されたインク滴は、記録媒体上に着弾する。
【0026】
なお、本実施形態の画像形成装置200は、オンデマンド方式のライン走査型インクジェット記録装置でもよい。そのため、ヘッドモジュール20の複数の記録ヘッド23は、記録媒体PPの搬送方向と直交する方向に並べられて設けられている。画像形成装置200は、ライン走査型インクジェット記録装置への適用に限らず、その他の方式を用いた記録装置にも適用可能である。その他の方式の記録装置として、例えば、記録ヘッドが、主走査方向に移動しながら、記録媒体の表面に画像を形成するシリアル走査型プリンタがある。主走査方向は、例えばX軸方向に沿う。
【0027】
<搬送部>
次に、搬送装置40について説明する。図4は、搬送装置40を示す概略平面図である。図5は、搬送装置40を示す概略平面図であり、位置ずれが生じている状態の記録媒体PPを示す図である。図2図4及び図5に示されるように、搬送装置40は、搬送部41を備える。搬送部41は、記録媒体PPを印刷部230に搬送する。搬送部41は、シフトローラ42,43を有する。シフトローラ42,43は、搬送方向において、印刷部230の上流に配置されている。具体的には、図2に示されるように、入口シリンダ234の上流に配置されている。シフトローラ42,43は、記録媒体PPの厚さ方向に対向して配置されたローラ対を形成する。
【0028】
シフトローラ42は、記録媒体PPより上方に配置され、シフトローラ43は、記録媒体PPより下方に配置される。記録媒体PPは、シフトローラ42,43間のすき間に挿入されて、搬送される。
【0029】
シフトローラ42,43は、記録媒体PPの位置ずれを補正可能である。具体的には、シフトローラ42,43は、記録媒体PPの傾き及び幅方向における位置ずれを補正可能である。図5では、姿勢が異なる記録媒体PP(PP1~PP3)が図示されている。記録媒体PP1は、傾き及び幅方向Bにおける位置ずれが生じていない状態の記録媒体PPである。記録媒体PP2は、傾きは生じていないが、幅方向Bにおける位置ずれが生じている状態の記録媒体PPである。記録媒体PP3は、傾き及び幅方向Bにおける位置ずれが生じている場合の記録媒体PPである。
【0030】
<スキュー量>
図6は、搬送方向に対して傾いた状態の記録媒体PPを示す平面図である。図6では、搬送方向に対して傾いた状態の記録媒体PPを実線で示し、搬送方向に対して傾いていない状態の記録媒体PPを2点鎖線で示している。図6では、エッジ規定位置E0を示す直線LE0が破線で示されている。直線LE0は、Y軸方向に沿って延在する。搬送装置40では、記録媒体PPの幅方向の端部PE1が、直線LE0に沿って搬送されることが好ましい。
【0031】
記録媒体PPの傾きとは、記録媒体PPの厚さ方向に見た場合に、記録媒体PPの搬送方向に対して傾いていることをいう。記録媒体PPが傾いた状態で、記録媒体PPが搬送されることを斜行と記載する場合がある。記録媒体PPが傾いている場合には、記録媒体PPの幅方向の端部PE1は、直線LE0に対して傾いている。記録媒体PPの傾きの程度を表す量を「スキュー量」と記載する場合がある。「スキュー量」は、記録媒体PPの搬送方向に対する記録媒体PPの長辺の角度θでもよい。また、「スキュー量」は、例えばtanθなど、角度θに関する三角関数を含んでもよい。
【0032】
<シフト量>
図7は、搬送方向に交差する方向に位置ずれを生じている状態の記録媒体PPを示す平面図である。図7では、位置ずれを生じている状態の記録媒体PPを実線で示し、位置ずれが生じていない状態の記録媒体PPを2点鎖線で示している。搬送方向Aに交差する方向における記録媒体PPの位置ずれとは、記録媒体PPの幅方向Bの端部PE1が、X軸方向において、直線LE0に対してずれていることをいう。搬送方向に交差する方向における記録媒体PPの位置ずれの程度を表す量を「シフト量」と記載する場合がある。「シフト量」は、X軸方向におけるエッジ規定位置E0と記録媒体PPの幅方向の端部PE1との距離である。
【0033】
<シフトローラの動作>
図5に示されるシフトローラ42は、軸受によって軸回りに回転可能に支持されている。シフトローラ42は、X軸方向に移動可能であり、且つ、Z軸方向に延在する軸回りに回動可能に支持されている。例えば軸受は、X軸方向に移動可能である。これにより、シフトローラ42は、X軸に移動することができる。例えば、シフトローラ42の軸線方向の一端側の軸受は、Z軸方向に延在する軸回りに回動可能である。これにより、シフトローラ42及び他端側の軸受は、一端側の軸受を回動中心としてZ軸方向に延在する軸回りに回動可能である。シフトローラ43は、シフトローラ43と同様に、X軸方向に移動可能であり、且つ、Z軸方向に延在する軸回りに回動可能に支持されている。
【0034】
このように、シフトローラ42,43を、X軸方向に移動させることにより、記録媒体PPの搬送方向と交差する方向における位置ずれを補正できる。また、シフトローラ42,43を、Z軸方向に延在する軸回りに回動させることにより、記録媒体PPの傾きを補正できる。
【0035】
<第1検出部>
図2図4及び図5に示される搬送装置40は、記録媒体PPの位置を検出可能な検出部45を備える。検出部45は、第1検出部46及び第2検出部47を有する。第1検出部46は、記録媒体PPの搬送方向において、シフトローラ42,43よりも上流に配置されている。第1検出部46は、第1スキュー量及び第1シフト量を検出することができる。第1スキュー量は、記録媒体PPの搬送方向Aに対する記録媒体PPの傾きに関する値を含む。第1シフト量は、搬送方向に交差する方向における記録媒体PPの位置ずれに関する値を含む。第1検出部46は、第1スキュー量として、スキュー量(図6に示す角度θに関する値)を検出することができる。第1検出部46は、第1シフト量として、シフト量α(図7参照)を検出することができる。
【0036】
第1検出部46は、例えば、CIS(コンタクト・イメージ・センサ)でもよい。第1検出部46は、例えば、LED等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子を含んでもよい。第1検出部46は、記録媒体PPの幅方向Bの端部位置を検出することができる。第1検出部46は、記録媒体PPの幅方向Bの端部PE1に対して、搬送方向Aにおいて互いに異なる少なくとも3点について、記録媒体PPの幅方向Bの端部位置を検出して、第1スキュー量及び第1シフト量を検出可能である。詳しくは後述する。
【0037】
<第2検出部>
第2検出部47は、記録媒体PPの搬送方向Aにおいて、第1検出部46よりも下流に配置されている。第2検出部47は、記録媒体PPの搬送方向Aにおいて、シフトローラ42,43よりも下流に配置されている。第2検出部47は、第2スキュー量及び第2シフト量を検出することができる。第2スキュー量は、記録媒体PPの搬送方向Aに対する記録媒体PPの傾きに関する値を含む。第2シフト量は、搬送方向Aに交差する方向における記録媒体PPの位置ずれに関する値を含む。第2検出部47は、スキュー量及びシフト量αを検出できる。第2スキュー量は、第1スキュー量を検出したときの記録媒体PPの位置よりも、搬送方向Aにおいて下流の位置に存在する記録媒体PPのスキュー量である。第2シフト量は、第1シフト量を検出したときの記録媒体PPの位置よりも、搬送方向において下流の位置に存在する記録媒体PPのシフト量である。
【0038】
第2検出部47は、例えば、CIS(コンタクト・イメージ・センサ)でもよい。第2検出部47は、例えば、LED等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子を含んでもよい。第2検出部47は、記録媒体PPの幅方向Bの端部位置を検出することができる。第2検出部47は、搬送方向Aにおける少なくとも3つの位置において、幅方向Bにおける記録媒体PPの端部PE1の、幅方向Bにおける位置を検出して、第2スキュー量及び第2シフト量を検出してもよい。詳しくは後述する。
【0039】
<比較例>
次に図8を参照して、比較例について説明する。図8は、比較例に係る搬送装置における記録媒体PPの搬送状態を示す平面図である。図8に示すように、幅方向における記録媒体PPの端部PE1の形状は、変形している。例えば、幅方向における記録媒体PPの端部形状は、幅方向Bにおける記録媒体PPの中央に向けて凹むように変形することがある。この場合、記録媒体PPの幅方向Bの端部形状は、直線状ではなくなる。
【0040】
例えば、記録媒体PPの第1面(おもて面)に対して印刷後、第1面に対して裏面となる第2面に対して、印刷する場合において、第1面に対する印刷後の乾燥において、記録媒体PPが乾燥収縮して、端部形状が変形する場合がある。
【0041】
このような変形が記録媒体PPに生じている場合、比較例に係る搬送装置では、検出部49a,49bによって、端部位置P11,P11を検出することにより、端部形状の変形を検出することができなかった。比較例に係る搬送装置では、端部形状の変形を考慮せずに、記録媒体PPのスキュー量及びシフト量を算出していた。このような場合には、算出されたスキュー量及びシフト量を用いて記録媒体PPの姿勢を補正しても、記録媒体PPの姿勢を狙い通りに補正することができなかった。そのため、記録媒体PPに対して、所望の位置に画像Dが形成されない。
【0042】
<記録媒体の姿勢変化>
次に、図9を参照して、記録媒体の理想的な姿勢変化について説明する。図9は、記録媒体の理想的な姿勢変化を示す平面図である。図9に示される記録媒体PPは、図8に示された記録媒体PPと同様に、幅方向Bの端部PE1に変形がある。記録媒体PPの幅方向の端部形状は、線形(直線)ではなく、非線形である。
【0043】
このように、記録媒体PPの端部形状に変形がある場合であっても、記録媒体PPの姿勢を理想的に変化させることにより、記録媒体PPの所望の位置に画像Dを形成することができる。検出部によって、記録媒体PPの端部形状の変形を検出することにより、変形を有する端部形状を考慮して、スキュー量及びシフト量αを精度よく検出して、記録媒体PPの姿勢を理想的に変化させることが好ましい。
【0044】
<第1検出部による端部位置の検出>
次に第1検出部46による記録媒体PPの端部位置の検出について説明する。図10は、幅方向の端部に変形がある記録媒体PPを示す平面図であり、第1検出部により検出された記録媒体の端部位置を示す図である。図10に示される記録媒体PPの幅方向の端部PE1は、変形している。図10では、第1検出部46を2点鎖線で示している。第1実施形態の搬送装置40は、1つの第1検出部46を有する。
【0045】
第1検出部46は、複数の端部位置P1~P3を検出可能である。端部位置P11~P13は、記録媒体PPの幅方向Bに対向する端部のうち一方の端部PE1に存在する。端部位置P11~P13は、記録媒体PPの長手方向に連続する同一の端部PE1に存在する。記録媒体PPの長手方向は、Y軸方向に沿う。
【0046】
第1検出部46は、記録媒体PPの幅方向Bにおける一方の端部PE1に対して、Y軸方向において互いに異なる少なくとも3点について、記録媒体PPの幅方向Bの端部位置P11~P13を検出することができる。第1検出部46は、端部位置P11~P13を検出することにより、第1スキュー量及び第1シフト量を検出可能である。
【0047】
第1検出部46は、互いに異なるタイミングで、少なくとも3点について、記録媒体PPの幅方向Bの端部位置P11~P13を検出することができる。第1検出部46は、一つのセンサを用いて、搬送されている記録媒体PPの複数の端部位置P11~P13を検出する。
【0048】
図11は、端部位置P11の検出時における記録媒体PPの配置を示す平面図である。図12は、端部位置P12の検出時における記録媒体PPの配置を示す平面図である。図13は、端部位置P13の検出時における記録媒体PPの配置を示す平面図である。端部位置P11は、記録媒体PPの搬送方向において、端部位置P12,P13より前側の位置である。端部位置P13は、記録媒体PPの搬送方向において、端部位置P11,P12より後側の位置である。端部位置P12は、記録媒体PPの搬送方向において、端部位置P11と端部位置P13との間の位置である。
【0049】
図11に示されるように、第1検出部46は、例えば、時刻t1において記録媒体PPの端部位置P11を検出する。図12に示されるように、第1検出部46は、例えば、時刻t2において記録媒体PPの端部位置P12を検出する。時刻t2は、時刻t1よりも後の時刻である。記録媒体PPは搬送されてY軸方向に進み、時刻t2において、端部位置P2が第1検出部46に到達する。図13に示されるように、第1検出部46は、例えば、時刻t3において記録媒体PPの端部位置P13を検出する。時刻t3は、時刻t2よりも後の時刻である。記録媒体PPは搬送されてY軸方向に進み、時刻t3において、端部位置P13が第1検出部46に到達する。
【0050】
<第2検出部による端部位置の検出>
第2検出部47は、第1検出部46と同様に、記録媒体PPの端部位置を検出することができる。第2検出部47は、端部PE1に存在する複数の端部位置を検出することができる。第2検出部47によって検出される端部位置は、記録媒体PPの長手方向において、第1検出部46によって検出される端部位置P11~P13と同じ位置でもよく、異なる位置でもよい。
【0051】
<画像形成装置のハードウェア構成>
次に図14を参照して、画像形成装置200のハードウェア構成について説明する。図14は、一実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図14に示すハードウェア構成は、必要に応じて追加の構成要素を含むことができる。ハードウェアは、必要に応じて図14に示される構成要素を備えていなくてもよい。
【0052】
画像形成装置200は、制御装置500を備える。制御装置500は、CPU(Center Processing Unit)501、及び記憶部502を備える。記憶部502は、ROM(Read Only Memory)503、RAM(Random Access Memory)504、バスライン505、及びI/Oポート507を有する。
【0053】
CPU501は、ROM503に記憶されたプログラムを実行することにより、順次・分岐・反復処理等を実行する演算装置である。CPU501は、画像形成装置200全体の制御を司る。
【0054】
ROM503は、CPU501で実行されるプログラム等が記憶された不揮発性記憶装置である。RAM504は、CPU501の動作のワークエリア(作業領域)として機能するメモリである。バスライン505は、CPU5011等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。CPU501、ROM503、RAM504、及びI/Oポート507は、バスライン505を介して電気的に接続されている。
【0055】
I/Oポート507は、センサ類から出力された検知信号を取り込むための入出力部である。センサ類は、第1検出部46及び第2検出部47を含む。第1検出部46及び第2検出部47は、I/Oポート507に接続されている。第1検出部46及び第2検出部47の出力信号は、I/Oポート507に入力される。
【0056】
I/Oポート507は、各種制御信号を出力するインタフェースである。I/Oポート507には、ヘッドモジュール20、及びモータ15,16が接続されている。I/Oポート507は、ヘッドモジュール20による液体吐出を制御するための制御信号をヘッドモジュール20に出力する。
【0057】
モータ15は、ドラム10を駆動するためのモータである。I/Oポート507は、モータ15の動作を制御するための制御信号をモータ15に出力する。
【0058】
モータ16は、シフトローラ42,43を駆動するためのモータを含む。モータ16は、シフトローラ42,43を回転駆動するためのモータを含む。モータ16は、シフトローラ42,43をZ軸回りに回動させるためのモータ、及びシフトローラ42,43をX軸方向に移動させるためのモータを含む。
【0059】
制御装置500は、外部機器であるホストとの間でデータ等の送受信を行うことが可能な外部インタフェース(外部I/F)を備えていてもよい。ホストは、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナ等の画像読み取り装置、デジタルカメラ等の撮像装置を含む。制御装置500は、ホストから送信されたデータを受信する。ホストは、プリンタドライバを有していてもよい。
【0060】
画像形成装置200は、操作パネルを備えていてもよい。制御装置500には、操作パネルが電気的に接続されている。操作パネルは、各種情報を表示する表示部を含む。ユーザ(操作者)は、操作パネルを用いて入力操作を実行できる。制御装置500は、操作パネルからユーザの操作入力に基づく情報を入力する。制御装置500は、操作パネルに各種信号を出力し、操作パネルに情報を表示できる。ユーザは、操作パネルに表示された情報を参照しながら、入力操作を実行してもよい。
【0061】
<機能構成>
次に、図15を参照して、画像形成装置200の機能構成について説明する。図15は、画像形成装置200の機能ブロック図である。図14に示すCPU501は、ROM503等の記憶部502に記憶されているプログラムを実行することで、図15に示すシステム制御部121、メモリ制御部122、通信制御部123、印刷制御部124、搬送制御部125、スキューシフト量算出部131、及び補正動作制御部132の各機能を実現する。なお、制御装置500と接続された外部機器及びセンサは、これらの各機能の一部を実行してもよい。
【0062】
画像形成装置200は、外部機器から印刷画像を含んだ印刷情報(印刷ジョブ)を受け取ることができる。画像形成装置200は、例えば外部機器から印刷ジョブの実行の指示を受け、印刷ジョブの内容に従って印刷を行う。画像形成装置200は、画像形成装置200の記憶部502に格納されている印刷ジョブの内容に従って印刷することができる。
【0063】
システム制御部121は、画像形成装置200の全体の動作を制御する。メモリ制御部122は、ROM503及びRAM504等の記憶部502の動作を制御する。通信制御部123は、制御装置500に接続されている外部機器との通信制御を行う。
【0064】
印刷制御部124は、ヘッドモジュール20によるインクの吐出を制御する。印刷制御部124は、印刷ジョブの開始、一時停止、再開、完了の動作を実行する。
【0065】
搬送制御部125は、搬送部による記録媒体PPの搬送を制御する。搬送部は、記録媒体PPを搬送するためのドラム10、モータ15、シフトローラ42,43、及びモータ16を含む。
【0066】
UI制御部は、操作パネルから入力した信号に応じた処理を行う。UI制御部は、操作パネルに信号を出力して、操作パネルに各種情報を表示させるように出力処理を要求する。
【0067】
操作パネルは、ユーザによる入力結果の処理をUI制御部に要求する。操作パネルは、UI制御部から要求された内容を出力する。
【0068】
スキューシフト量算出部131は、第1スキュー量、第1シフト量、第2スキュー量、及び第2シフト量を算出することができる。スキューシフト量算出部131は、第1検出部46から入力した検知信号に基づいて、第1スキュー量及び第1シフト量を算出することができる。スキューシフト量算出部131は、第1検出部46から第1スキュー量及び第1シフト量に関するデータを取得できる。
【0069】
スキューシフト量算出部131は、第1スキュー量及び第1シフト量に基づいて、記録媒体PPの端部形状を演算できる。スキューシフト量算出部131は、第1検出部46から入力した検知信号に基づいて、シフト量α,L1~L3を算出できる。シフト量αは、図7に示されている。図10に示されるシフト量L1は、X軸方向における端部位置P11とエッジ規定位置E0との距離である。シフト量L2は、X軸方向における端部位置P12とエッジ規定位置E0との距離である。シフト量L3は、X軸方向における端部位置P13とエッジ規定位置E0との距離である。スキューシフト量算出部131は、第1検出部46から入力した検知信号に基づいて、記録媒体PPの搬送方向Aに対する傾きθに関するスキュー量を算出することができる。
【0070】
スキューシフト量算出部131は、第1検出部46から入力した検知信号に基づいて、記録媒体PPの端部形状を算出してもよい。スキューシフト量算出部131は、端部形状として、図10に示される端部位置P11,P12を結ぶ直線EL1の傾きを算出してもよい。スキューシフト量算出部131は、端部形状として、端部位置P12,P13を結ぶ直線EL2の傾きを算出してもよい。スキューシフト量算出部131は、端部形状が線形であるか、非線形であるかを判定してもよい。スキューシフト量算出部131は、スキュー量として、端部位置P1,P3を結ぶ直線の傾きを算出してもよい。
【0071】
スキューシフト量算出部131は、第2検出部47から入力した検知信号に基づいて、第2スキュー量(スキュー量)及び第2シフト量(シフト量α)を算出することができる。スキューシフト量算出部131は、第2検出部47から第2スキュー量及び第2シフト量に関するデータを取得できる。
【0072】
スキューシフト量算出部131は、第2スキュー量及び第2シフト量に基づいて、記録媒体PPの端部形状を演算してもよい。スキューシフト量算出部131は、第2検出部47から入力した検知信号に基づいて、シフト量αを算出できる。スキューシフト量算出部131は、第2検出部47から入力した検知信号に基づいて、スキュー量を算出することができる。
【0073】
スキューシフト量算出部131は、第2検出部47から入力した検知信号に基づいて、記録媒体PPの端部形状を算出してもよい。
【0074】
補正動作制御部132は、第1スキュー量及び第1シフト量に応じて、記録媒体PPの姿勢を補正する第1補正動作を実行するように、搬送部41の動作を制御することができる。
【0075】
補正動作制御部132は、第1補正動作の実行後の第2スキュー量及び第2シフト量に応じて、第1補正動作の実行後の記録媒体の姿勢を補正する第2補正動作を実行するように、搬送部41の動作を制御することができる。第2補正動作では、第1補正動作の実行前に第1検出部46によって検出された少なくとも3点の記録媒体の幅方向Bの端部位置P11~P13に応じて、記録媒体の姿勢を補正することができる。
【0076】
補正動作制御部132は、シフトローラ42,43を、Z軸回りに回動させるように、シフトローラ42,43の動作を制御することにより、記録媒体PPの傾きを補正することができる。これにより、スキュー量を補正することができる。
【0077】
補正動作制御部132は、シフトローラ42,43を、X軸方向に移動させるように、シフトローラ42,43の動作を制御することにより、記録媒体PPのX軸方向における位置ずれを補正することができる。これにより、シフト量を補正することができる。
【0078】
なお、システム制御部121、メモリ制御部122、通信制御部123、印刷制御部124、搬送制御部125、スキューシフト量算出部131、及び補正動作制御部132は、記憶部502に記憶されているプログラムにより、ソフトウェアで実現できる。これらのシステム制御部121、メモリ制御部122、通信制御部123、印刷制御部124、搬送制御部125、スキューシフト量算出部131、及び補正動作制御部132のうち全部又は一部を、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアで実現してもよい。
【0079】
また、プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイル情報でCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録され、このような記録媒体を介して、画像形成装置200に提供され得る。また、プログラムは、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、半導体メモリ等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録され、このような記録媒体を介して、画像形成装置200に提供され得る。また、プログラムは、インターネット等のネットワーク経由でインストールする態様で画像形成装置200に提供されるものでもよい。また、プログラムは、画像形成装置200内のROM等に予め組み込まれていてもよい。
【0080】
また、制御装置500は、制御装置500に接続されたコンピュータが実行する機能を実行してもよい。同様に制御装置500に接続されたコンピュータは、制御装置500が実行する機能を実行してもよい。
【0081】
<姿勢補正動作>
次に、図16を参照して、記録媒体PPの姿勢を補正する動作の手順について説明する。図16は、記録媒体PPの姿勢を補正する動作の手順を示すフローチャートである。まず、第1検出部46は、搬送されている状態の記録媒体PPの端部位置P11~P13を順次検出する。第1検出部46は、記録媒体PPの第1スキューシフト量を検出する(ステップS11)。制御装置500のスキューシフト量算出部131は、記録媒体PPの姿勢(第1姿勢)を認識できる。制御装置500のスキューシフト量算出部131は、記録媒体PPの端部形状を算出する。
【0082】
制御装置500は、第1スキュー量及び第1シフト量に応じて、記録媒体PPの姿勢を補正する(ステップS12)。制御装置500は、記録媒体PPの姿勢を粗調整する(第1補正動作)。制御装置500の補正動作制御部132は、記録媒体PPの幅方向Bの端部PE1が、エッジ規定位置E0に沿って配置されるように、シフトローラ42,43の動作を制御する。
【0083】
第2検出部47は、搬送されている状態の記録媒体PPであり、シフトローラ42,43から繰り出されている状態の記録媒体PPの端部位置P21,P22を順次検出する。第2検出部47は、記録媒体PPの第2スキュー量及び第2シフト量を検出する(ステップS13)。制御装置500のスキューシフト量算出部131は、シフトローラ42,43によって補正された後の記録媒体PPの姿勢(第2姿勢)を認識できる。
【0084】
制御装置500は、第2スキュー量及び第2シフト量に応じて、記録媒体PPの姿勢を補正する(ステップS14)。制御装置500は、記録媒体PPの姿勢を微調整する(第2補正動作)。制御装置500の補正動作制御部132は、記録媒体PPの幅方向Bの端部PE1が、エッジ規定位置E0に沿って配置されるように、シフトローラ42,43の動作を制御する。
【0085】
微調整された後の記録媒体PPは、ドラム10に供給される。ドラム10に供給された記録媒体PPは、ヘッドモジュール20に搬送される。制御装置500は、記録媒体PPに画像を形成するように、ヘッドモジュール20の記録ヘッド23の動作を制御する。記録ヘッド23は、液滴を吐出して、記録媒体PP上に画像を形成する(ステップS15)。姿勢が補正された後の記録媒体PPに対して、液滴が吐出されることにより、記録媒体PPの所望の位置に、画像が形成される。
【0086】
<画像形成装置の作用効果>
このような画像形成装置200によれば、記録媒体PPの幅方向Bにおける一方の端部PE1に対して、Y軸方向において互いに異なる少なくとも3点について、記録媒体PPの幅方向Bの端部位置P11~P13を検出することができる。画像形成装置200によれば、第1検出部46によって検出された端部位置P11~P13を用いて、記録媒体PPの端部形状を認識することができる。画像形成装置200によれば、第1検出部46による検知に基づく第1スキュー量、第1シフト量、及び記録媒体PPの端部形状を用いて、記録媒体PPの姿勢を粗調整することができる(第1補正動作)。
【0087】
また、画像形成装置200によれば、第1補正動作の後に、第2検出部47による検知に基づいて、第2スキュー量及び第2シフト量を算出できる。画像形成装置200では、第1検出部46によって検知された記録媒体PPの端部形状を考慮して、第2スキュー量及び第2シフト量を用いて、記録媒体PPの姿勢を微調整することができる(第2補正動作)。画像形成装置200では、記録媒体PPの端部形状が非線形であっても、第1検出部46によって検知した記録媒体PPの端部形状に応じて、記録媒体PPの姿勢を補正することができる。画像形成装置200では、記録媒体PPの姿勢を補正する基準である記録媒体PPの1辺の形状(端部形状)を把握し、この把握した形状に合わせて記録媒体PPの姿勢を補正するように搬送部を制御することができる。
【0088】
また、画像形成装置200によれば、第1検出部46は、互いに異なるタイミングで、少なくとも3点について、記録媒体の幅方向Bの端部位置P11~P13を検出して、第1スキュー量及び第2シフト量を検出することができる。この構成の画像形成装置200によれば、複数の第1検出部46を設ける必要がなく、簡素な構成として小型化及び低コスト化を図りつつ、記録媒体PPの複数の端部位置P11~P13を検出することができる。
【0089】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る画像形成装置200について説明する。図17は、第2実施形態に係る画像形成装置の第1検出部の配置を示す平面図である。第2実施形態に係る画像形成装置200が、第1実施形態に係る画像形成装置200と違う点は、異なるタイミングで、記録媒体PPの複数の端部位置P11~P13を検出する第1検出部46に代えて、同じタイミングで、記録媒体PPの複数の端部位置P11~P13を検出する第1検出部46Bを備えることである。
【0090】
図17に示されるように、第1検出部46Bは、複数の第1検出部46a~46cを有する。複数の第1検出部46a~46cは、第1実施形態の第1検出部46と同じ構成でもよい。第1検出部46a~46cは、Y軸方向において互いに異なる位置に配置されている。第1検出部46a~46cは、シフトローラ42に近い方から、この順に配置されている。第1検出部46aは、シフトローラ42に最も近い位置に配置されている。第1検出部46cは、シフトローラ42から最も遠い位置に配置されている。第1検出部46bは、Y軸方向において、第1検出部46aと第1検出部46cとの間に配置されている。
【0091】
第1検出部46Bは、例えば、同一の時刻t1において、同じタイミングで、記録媒体PPの幅方向の端部位置P11~P13を検出することができる。同じタイミングで、第1検出部46aは、端部位置P11を検出し、第1検出部46bは、端部位置P12を検出し、第1検出部46cは、端部位置P13を検出する。
【0092】
このような第2実施形態に係る画像形成装置200においても第1実施形態に係る200と同様の作用効果を有する。画像形成装置200によれば、第1検出部46Bは、同じタイミングで、少なくとも3点について、記録媒体PPの幅方向の端部位置P11~P13を検出して、第1スキューシフト量を検出することができる。この構成の画像形成装置200では、同時に端部位置P11~P13を検出することにより、高精度でシフト量を検出することができる。
【0093】
<シフトローラ及び第1検出部の配置について>
次に、図18を参照して、記録媒体PPの搬送方向におけるシフトローラ42及び第1検出部46Bの配置について説明する。図18は、シフトローラ、第1検出部、及び記録媒体PPの配置を示す平面図である。
【0094】
第1検出部46Bは、上述したように、第1検出部46a,46cを有する。図18では、第1検出部46bの図示を省略している。距離daは、Y軸方向において、シフトローラ42と第1検出部46aの距離である。具体的には、距離daは、シフトローラ42のY軸方向の中心と、第1検出部46aのY軸方向の中心との間の距離である。
【0095】
距離dbは、Y軸方向において、第1検出部46aと第1検出部46cとの距離である。具体的には、距離dbは、第1検出部46aのY軸方向の中心と、第1検出部46cのY軸方向の中心との距離である。
【0096】
距離dcは、Y軸方向において、シフトローラ42と第1検出部46cの距離である。具体的には、距離daは、シフトローラ42のY軸方向の中心と、第1検出部46cのY軸方向の中心との間の距離である。距離dcは、距離da及び距離dbの合計である。
【0097】
距離dcは、記録媒体PPの長手方向の全長Lsよりも長い(Ls≦da+db=dc)。換言すると、記録媒体PPの後端Erが第1検出部46cによって検出されている状態において、記録媒体PPの前端Efは、シフトローラ42の到達していない。この状態において、記録媒体PPの前端Efは、記録媒体PPの搬送方向Aにおいて、シフトローラ42よりも上流側に存在する。
【0098】
このような搬送装置40によれば、搬送方向において最も上流の端部位置を検出する第1検出部46cの位置PS2からシフトローラ42の位置PRまでの距離dcは、記録媒体PPの全長Lsよりも長い(dc≧Ls)。このような構成の搬送装置40によれば、記録媒体PPがシフトローラ42に到達する前に、記録媒体PPの全長にわたって、端部形状を検出できる。記録媒体PPの全長にわたって検出された端部形状に応じて、記録媒体PPの姿勢を補正することにより、姿勢の補正の精度を向上させることができる。
【0099】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る搬送装置40について説明する。図19は、第3実施形態に係る搬送装置を示す平面図であり、シフトローラ、第2検出部、及び、記録媒体の配置を示す図である。図20は、搬送方向に対して正しい姿勢であると仮定した場合の記録媒体を示す平面図であり、第1検出部によって検出された端部位置、及び第2検出部によって検出された端部位置を示す図である。第3実施形態に係る搬送装置40が、上記の第2実施形態に係る搬送装置40と違う点は、記録媒体PPの姿勢の補正方法が異なる点である。なお、第3実施形態の説明において、上記の第1実施形態及び第2実施形態と同様の説明については、省略する場合がある。
【0100】
図19に示されるように、第2検出部47は、シフトローラ42,43から送り出された記録媒体PPの端部位置P21,P22を検出する。第2検出部47aは、端部位置P21を検出し、第2検出部47bは、端部位置P22を検出する。端部位置P21は、第1端部位置の一例である。端部位置P22は、第2端部位置の一例である。
【0101】
スキューシフト量算出部131は、端部位置P21に関して第2シフト量L21を算出する。スキューシフト量算出部131は、端部位置P22に関して第2シフト量L22を算出する。第2シフト量L21は、X軸方向においてエッジ規定位置E0と端部位置P21との距離である。第2シフト量L22は、X軸方向においてエッジ規定位置E0と端部位置P22との距離である。
【0102】
スキューシフト量算出部131は、第2シフト量L23を算出する。第2シフト量L23は、端部位置P21,P22の中間点P23に関するシフト量である。第2シフト量L23は、X軸方向においてエッジ規定位置E0と中間点P23との距離である。第2シフト量L23は、下記式(1)により算出できる。
[数1]
L23=(L21+L22)/2…(1)
【0103】
スキューシフト量算出部131は、第2スキュー量β2を算出する。第2スキュー量β2は、下記式(2)により算出できる。式(2)中の距離d21は、Y軸方向において、端部位置P21,P22間の距離である。
[数2]
β2=tanθ2=(L22-L21)/d21…(2)
【0104】
次に、図20を参照して、搬送方向に対して正しい姿勢であると仮定した場合の記録媒体PPにおける端部位置P14,P15及び中間点P16について説明する。図20に示される記録媒体PPは、搬送方向Aに対して正しい姿勢であると仮定した場合の記録媒体である。正しい姿勢とは、例えば、頂点P31,P32が、エッジ規定位置E0上に存在するように、記録媒体PPが配置されている場合である。頂点P31は、記録媒体PPの幅方向Bにおける一方側の端部であり、且つ、前側の端部である。頂点P32は、記録媒体PPの幅方向における一方側の端部であり、且つ、後側の端部である。端部位置P14は、第3端部位置に一例である。端部位置P15は、第4端部位置に一例である。
【0105】
第1検出部46は、シフトローラ42,43から送り出された記録媒体PPの端部位置P14,P15を検出する。第1検出部46aは、端部位置P14を検出し、第1検出部46bは、端部位置P15を検出する。端部位置P14は、第1検出部46によって検出された端部位置のうち、第2検出部47aによって検出された端部位置P21に最も近い端部位置である。端部位置P15は、第1検出部46によって検出された端部位置のうち、第2検出部47bによって検出された端部位置P22に最も近い端部位置である。
【0106】
スキューシフト量算出部131は、端部位置P14に関して第1シフト量L14を算出する。スキューシフト量算出部131は、端部位置P15に関して第1シフト量L15を算出する。第1シフト量L14は、X軸方向においてエッジ規定位置E0と端部位置P14との距離である。第1シフト量L15は、X軸方向においてエッジ規定位置E0と端部位置P15との距離である。この第1シフト量L14,L15は、実際の記録媒体PPの姿勢に基づくシフト量ではなく、正しい姿勢であると仮定した場合の記録媒体PPの姿勢に基づくシフト量である。
【0107】
スキューシフト量算出部131は、第1シフト量L16を算出する。第1シフト量L16は、端部位置P14,P15の中間点P16に関するシフト量である。第1シフト量L16は、X軸方向においてエッジ規定位置E0と中間点P16との距離である。第1シフト量L16は、下記式(3)により算出できる。
[数3]
L16=(L14+L15)/2…(3)
【0108】
スキューシフト量算出部131は、第1スキュー量β3を算出する。第1スキュー量β3は、下記式(4)により算出できる。式(4)中の距離d11は、Y軸方向において、端部位置P21,P22間の距離である。
[数4]
β3=tanθ3=(L15-L14)/d11…(4)
【0109】
<補正用のシフト量の算出>
スキューシフト量算出部131は、補正用のシフト量L41を算出する。シフト量L41は、下記式(5)により算出できる。シフト量L41は、第2シフト量L23と第1シフト量L16との差分である。
[数5]
L41=L23-L16…(5)
【0110】
<補正用のスキュー量の算出>
スキューシフト量算出部131は、補正用のスキュー量β4を算出する。スキュー量β4は、下記式(6)により算出できる。スキュー量β4は、第2スキュー量β2と第1スキュー量β3との差分である。
[数6]
β4=β2-β3…(6)
【0111】
<姿勢補正動作>
次に、第3実施形態における記録媒体PPの姿勢を補正する動作の手順について説明する。第3実施形態における記録媒体PPの姿勢を補正する動作の手順は、第1実施形態と同様に、図16に示されるフローチャートに沿って実行される。第3実施形態における動作の手順が、第1実施形態における動作の手順と違う点は、ステップS14における第2補正動作の内容が異なる。
【0112】
ステップS14の第2補正動作では、制御装置500は、補正用のスキュー量β4及び補正用のシフト量L41に応じて、記録媒体PPの姿勢を補正する。補正用のスキュー量β4は、上記の式(6)に基づいて算出できる。補正用のシフト量L41は、上記の式(5)に基づいて算出できる。制御装置500の補正動作制御部132は、記録媒体PPの幅方向の端部PE1が、エッジ規定位置E0に沿って配置されるように、シフトローラ42,43の動作を制御する。
【0113】
<第3実施形態;搬送装置の作用効果>
このような第3実施形態に係る搬送装置40によれば、第2補正動作において、端部位置P21,P22に基づく第2スキュー量β2から、端部位置P14,P15に基づく第1スキュー量β3を減算して、補正用のスキュー量β4を算出し、端部位置P21,P22に基づく第2シフト量L23から、端部位置P14,P15に基づく第1シフト量L16を減算して、補正用のシフト量L41を算出し、算出された、補正用のスキュー量β4及び補正用のシフト量L41に基づいて、記録媒体PPの姿勢の補正するように、シフトローラ42,43の動作を制御することができる。
【0114】
このような構成の搬送装置40によれば、第1検出部46によって検出された端部位置P14,P15に基づく第1スキュー量β3及び第1シフト量L16を用いて、第2検出部47によって検出された端部位置P21,P22に基づく第2スキュー量β2及び第2シフト量L23を補正することができる。これにより、補正用のスキュー量β4及び補正用のシフト量L41を算出する際の処理速度の向上を図ることができる。搬送装置40は、第1検出部46によって検出された端部位置P14,P15を用いて、記録媒体PPの端部の形状を把握することにより、端部形状が線形でない場合であっても、記録媒体PPの姿勢を補正することができる。
【0115】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る搬送装置40について説明する。第4実施形態に係る搬送装置40が、上記の第3実施形態に係る搬送装置40と違う点は、記録媒体PPの姿勢の補正方法が異なる点であり、制御装置500による処理が異なる点である。なお、第4実施形態の説明において、上記の第1~3実施形態と同様の説明については、省略する場合がある。
【0116】
図19に示されるように、第2検出部47aは、端部位置P21を検出し、第2検出部47bは、端部位置P22を検出する。
【0117】
図21は、搬送方向に対して正しい姿勢であると仮定した場合の記録媒体を示す平面図であり、第1検出部によって検出された端部位置、及び第2検出部によって検出された端部位置を示す図である。
【0118】
図21に示されるように、第1検出部46aは、端部位置P14を検出する。第1検出部46bは、端部位置P15を検出する。第1検出部46cは、端部位置P17を検出する。
【0119】
搬送装置40の制御装置500は、搬送方向に隣り合う2点の端部位置P14,P15を用いた線形補間により、第1シフト量Ltを算出する。第1シフト量Ltは、下記式(7)により算出できる。スキューシフト量算出部131は、端部位置P14に関する第1シフト量L14、端部位置P15に関する第1シフト量L15、及び距離d1,d2を用いて、第1シフト量Ltを算出できる。
[数7]
Lt=L14+(L15-L14)×d1/(d1+d2)…(7)
【0120】
第1シフト量Ltは、位置Ptに関する第1シフト量である。位置Ptは、端部位置P14,P15を結ぶ直線上の位置であり、第2検出部47aよって検出された端部位置P21に対応する位置である。端部位置P21は、Y軸方向における位置PS3に存在する。
【0121】
搬送装置40の制御装置500は、搬送方向に隣り合う2点の端部位置P15,P17を用いた線形補間により、第1シフト量Lbを算出する。第1シフト量Lbは、下記式(8)により算出できる。スキューシフト量算出部131は、端部位置P15に関する第1シフト量L15、中間点P16に関する第1シフト量L16、及び距離d3,d4を用いて、第1シフト量Lbを算出できる。
[数8]
Lb=L15+(L17-L15)×d3/(d3+d4)…(8)
【0122】
第1シフト量Lbは、位置Pbに関する第1シフト量である。位置Pbは、端部位置P15,P17を結ぶ直線上の位置であり、第2検出部47bよって検出された端部位置P22に対応する位置である。端部位置P22は、Y軸方向における位置PS4に存在する。
【0123】
搬送装置40の制御装置500は、第2シフト量L18を算出する。第2シフト量L18は、位置Pt,Pbの中間点P18に関するシフト量である。第2シフト量L18は、X軸方向においてエッジ規定位置E0と中間点P18との距離である。第2シフト量L18は、下記式(9)により算出できる。
[数9]
L16=(L14+L15)/2…(9)
【0124】
スキューシフト量算出部131は、第1スキュー量β5を算出する。第1スキュー量β5は、下記式(10)により算出できる。第1スキュー量β5は、位置Pt,Pbを結ぶ直線のY軸方向に対する傾きに関する値である。式(10)中の距離d2+d3は、Y軸方向において、位置Pt,Pb間の距離である。
[数10]
β5=(Lb-Lt)/(d2+d3)…(10)
【0125】
<補正用のシフト量の算出>
スキューシフト量算出部131は、補正用のシフト量L51を算出する。シフト量L51は、下記式(11)により算出できる。シフト量L51は、第1シフト量L16と第2シフト量L18との差分である。
[数11]
L51=L16-L18…(11)
【0126】
<補正用のスキュー量の算出>
スキューシフト量算出部131は、補正用のスキュー量β6を算出する。スキュー量β6は、下記式(12)により算出できる。スキュー量β6は、第2スキュー量β2と第1スキュー量β5との差分である。
[数12]
β6=β2-β5…(12)
【0127】
<姿勢補正動作>
次に、第4実施形態における記録媒体PPの姿勢を補正する動作の手順について説明する。第4実施形態における記録媒体PPの姿勢を補正する動作の手順は、第1実施形態と同様に、図16に示されるフローチャートに沿って実行される。第4実施形態における動作の手順が、第1実施形態における動作の手順と違う点は、ステップS14における第2補正動作の内容が異なる。
【0128】
ステップS14の第2補正動作では、制御装置500は、補正用のスキュー量β6及び補正用のシフト量L51に応じて、記録媒体PPの姿勢を補正する。補正用のスキュー量β6は、上記の式(12)に基づいて算出できる。補正用のシフト量L51は、上記の式(11)に基づいて算出できる。制御装置500の補正動作制御部132は、記録媒体PPの幅方向の端部PE1が、エッジ規定位置E0に沿って配置されるように、シフトローラ42,43の動作を制御する。
【0129】
<第4実施形態;搬送装置の作用効果>
このような第4実施形態に係る搬送装置40によれば、制御装置500は、少なくとも3点のうち搬送方向に隣り合う2点の端部位置P14,P15,P17を用いた線形補間により、第1スキュー量β5及び第1シフト量Lt,Lbを算出することができる。第2補正動作では、第2スキュー量β2から第1スキュー量β5を減算して、補正用のスキュー量β6を算出し、第2シフト量L23から第1シフト量Lt,Lbを減算して、補正用のシフト量L51を算出し、算出された補正用のスキュー量β6及び補正用のシフト量L51に基づいて、記録媒体PPの姿勢を補正するように、シフトローラ42,43の動作を制御することができる。
【0130】
このような構成の搬送装置40によれば、第1検出部46によって検出された端部位置P14,P15,P17のうち、2点を用いた線形補間により、第1スキュー量β5及び第1シフト量Lt,Lbを用いて、補正用のスキュー量β6及び補正用のシフト量L51
を算出し、記録媒体PPの姿勢を補正できる。これにより、搬送装置40では、記録媒体PPの姿勢を精度良く補正することができる。搬送装置40は、第1検出部46によって検出された端部位置P14,P15,P17を用いた線形補間により、記録媒体PPの端部の形状を把握することにより、端部形状が線形でない場合であっても、記録媒体PPの姿勢を補正することができる。
【0131】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0132】
上記の実施形態では、第1検出部46によって、少なくとも3点の端部位置を検出しているが、4点以上の端部位置を検出してもよい。
【0133】
また、記録媒体PPの幅方向Bは、記録媒体PPの搬送方向Aに対して直交していなくてもよい。例えば、記録媒体PPが搬送方向Aに対して傾いている場合には、幅方向Bは、搬送方向Aに対して傾いている。また、記録媒体PPが傾いている場合において、幅方向Bにおける記録媒体PPの長さは、搬送方向A(Y軸方向)に対して、直交する方向(X軸方向)の長さでもよい。
【0134】
上記で説明した実施形態の制御装置500で実行される各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるCPUのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0135】
本発明の一態様は、以下のとおりでもよい。
【0136】
<1>
記録媒体を画像形成部に搬送する搬送部と、
前記搬送部の動作を制御する制御部と、
前記搬送部に送り込まれる前記記録媒体の姿勢に関する第1スキュー量及び第1シフト量を検出可能な第1検出部と、
前記搬送部から送り出された前記記録媒体の姿勢に関する第2スキュー量及び第2シフト量を検出可能な第2検出部と、を備え、
前記第1検出部は、
前記記録媒体の幅方向における一方の端部に対して、前記記録媒体の搬送方向において互いに異なる少なくとも3点について、前記記録媒体の幅方向の端部位置を検出可能であり、
前記制御部は、
前記第1スキュー量及び前記第1シフト量に応じて、前記記録媒体の姿勢を補正する第1補正動作を実行するように、前記搬送部の動作を制御し、
前記第2検出部は、
前記第1補正動作の実行後の前記記録媒体の姿勢に関する前記第2スキュー量及び前記第2シフト量を検出し、
前記制御部は、
前記第1補正動作の実行後の前記第2スキュー量及び前記第2シフト量に応じて、前記第1補正動作の実行後の前記記録媒体の姿勢を補正する第2補正動作を実行するように、前記搬送部の動作を制御し、
前記第2補正動作では、前記第1補正動作の実行前に前記第1検出部によって検出された少なくとも3点の前記記録媒体の幅方向の端部位置に応じて、前記記録媒体の姿勢を補正することを特徴とする搬送装置。
<2>
前記第1検出部は、異なるタイミングで、前記少なくとも3点について、前記記録媒体の幅方向の端部位置を検出することを特徴とする上記の<1>に記載の搬送装置。
<3>
前記第1検出部は、同じタイミングで、前記少なくとも3点について、前記記録媒体の幅方向の端部位置を検出することを特徴とする上記の<1>に記載の搬送装置。
<4>
前記少なくとも3点のうち前記記録媒体の搬送方向において最も上流の前記端部位置を検出する前記第1検出部の位置から前記搬送部の位置までの距離は、前記記録媒体の全長よりも長いことを特徴とする上記の<2>に記載の搬送装置。
<5>
前記第2検出部は、
前記記録媒体の幅方向における一方の端部に対して、前記記録媒体の搬送方向において互いに異なる第1端部位置及び第2端部位置を検出可能であり、
前記制御部は、
前記第1検出部により検出された前記少なくとも3点のうち、前記第1端部位置に最も近い第3端部位置、及び前記第2端部位置に最も近い第4端部位置を用いて、前記第1スキュー量及び前記第1シフト量を算出し、
前記第2補正動作では、
前記第1端部位置及び前記第2端部位置に基づく前記第2スキュー量から、前記第1スキュー量を減算して、補正用のスキュー量を算出し、
前記第1端部位置及び前記第2端部位置に基づく前記第2シフト量から、前記第1シフト量を減算して、補正用のシフト量を算出し、
算出された前記補正用のスキュー量及び前記補正用のシフト量に基づいて、前記記録媒体の姿勢を補正するように、前記搬送部の動作を制御することを特徴とする上記の<1>~<4>の何れか一つに記載の搬送装置。
<6>
前記制御部は、
前記少なくとも3点のうち前記搬送方向に隣り合う2点の前記記録媒体の幅方向の端部位置を用いた線形補間により、前記第1スキュー量及び前記第1シフト量を算出し、
前記第2補正動作では、前記第2スキュー量から前記第1スキュー量を減算して、補正用のスキュー量を算出し、前記第2シフト量から前記第1シフト量を減算して、補正用のシフト量を算出し、算出された前記補正用のスキュー量及び前記補正用のシフト量に基づいて、前記記録媒体の姿勢を補正するように、前記搬送部の動作を制御することを特徴とする上記の<1>~<4>の何れか一つに記載の搬送装置。
<7>
上記の<1>~<6>の何れか一つに記載の搬送装置と、
液体を吐出する吐出ヘッドを有し、前記搬送装置によって搬送された前記記録媒体に液体を吐出して、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【符号の説明】
【0137】
200 画像形成装置
40 搬送装置
41 搬送部
46,46B,46a~46c 第1検出部
47,47a,47b 第2検出部
500 制御装置(制御部)
L14~L15 第1シフト量
L21~L23 第2シフト量
P11~P13 端部位置
P14 端部位置(第3端部位置)
P15 端部位置(第4端部位置)
P21 端部位置(第1端部位置)
P22 端部位置(第2端部位置)
PP 記録媒体
β2 第2スキュー量
β3 第1スキュー量
X X軸方向(幅方向)
Y Y軸方向(搬送方向)
Z Z軸方向(記録媒体の厚さ方向)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0138】
【特許文献1】特許第6221282号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21