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特開2024-20926基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
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  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020926
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123485
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 直史
(72)【発明者】
【氏名】天野 富大
(72)【発明者】
【氏名】宮田 智之
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131BA22
5F131BA23
5F131BA24
5F131BB04
5F131BB22
5F131CA12
5F131DA22
5F131DA33
5F131DA42
5F131DA43
5F131DD03
5F131DD33
5F131HA12
5F131HA14
5F131JA09
5F131JA16
5F131JA24
5F131JA27
5F131JA28
(57)【要約】
【課題】基板表面の酸化やパーティクルの付着を抑制して、スループットを向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】搬入された基板に対して予め設定された処理をそれぞれ実行する複数の処理室と、前記複数の処理室に隣接した減圧状態に保たれた搬送室と、前記搬送室と減圧状態で連通可能であり、前記複数の処理室のうちの第1の処理室における処理が終了した後の複数の基板を支持可能な複数の支持部を備え、前記複数の支持部でそれぞれ支持した複数の基板のうち、所定枚数毎の基板に不活性ガスを供給するように構成された待機室と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入された基板に対して予め設定された処理をそれぞれ実行する複数の処理室と、
前記複数の処理室に隣接した減圧状態に保たれた搬送室と、
前記搬送室と減圧状態で連通可能であり、前記複数の処理室のうちの第1の処理室における処理が終了した後の複数の基板を支持可能な複数の支持部を備え、前記複数の支持部でそれぞれ支持した複数の基板のうち、所定枚数毎の基板に不活性ガスを供給するように構成された待機室と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記待機室の底面、若しくは側面下方には、前記不活性ガスを排気する排気口を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記複数の処理室では、それぞれ異なる処理を実行する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記複数の処理室のうちの第2の処理室では、前記待機室に待機させた基板が搬入され、搬入されてきた基板に対して当該第2の処理室における処理を実行する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記複数の処理室は、枚葉処理室とバッチ処理室が混載されている請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
複数の処理室において、搬入された基板に対して予め設定された処理をそれぞれ実行する工程と、
前記複数の処理室に隣接した減圧状態に保たれた搬送室と減圧状態で連通する待機室において、前記複数の処理室のうちの第1の処理室における処理が終了した後の、複数の支持部でそれぞれ支持された複数の基板のうち、所定枚数毎の基板に不活性ガスを供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記不活性ガスを供給する工程では、前記待機室で前記基板を保持しつつ、前記待機室の底面、若しくは側面下方に設けられた排気口から前記不活性ガスを排気する請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記複数の処理室では、それぞれ異なる処理を実行する請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記待機室に待機させた基板を、前記複数の処理室のうちの第2の処理室に搬入し、前記基板に対して前記第2の処理室における処理を実行する工程と、を有する請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記複数の処理室では、枚葉処理とバッチ処理のいずれかを実施する請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
複数の処理室において、搬入された基板に対して予め設定された処理をそれぞれ実行する手順と、
前記複数の処理室に隣接した減圧状態に保たれた搬送室と減圧状態で連通する待機室において、前記複数の処理室のうちの第1の処理室における処理が終了した後の、複数の支持部でそれぞれ支持された複数の基板のうち、所定枚数毎の基板に不活性ガスを供給する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項12】
前記不活性ガスを供給する手順では、前記待機室で前記基板を保持しつつ、前記待機室の底面、若しくは側面下方に設けられた排気口から前記不活性ガスを排気する請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記複数の処理室では、それぞれ異なる処理を実行する請求項11に記載のプログラム。
【請求項14】
前記待機室に待機させた基板を、前記複数の処理室のうちの第2の処理室に搬入し、前記基板に対して前記第2の処理室における処理を実行する手順と、を有する請求項11に記載のプログラム。
【請求項15】
前記複数の処理室では、枚葉処理とバッチ処理のいずれかを実施する請求項11に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、複数の処理炉内において、複数の処理を基板に対して実行することがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平5―17879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、複数の処理炉内において、複数の処理を基板に対して実行する場合、処理が終了した基板は、次の処理を行うまでの待機時間が発生する場合がある。また、この待機時間に、基板表面が大気に曝されたり、基板表面にパーティクルが付着する場合がある。
【0005】
本開示は、基板表面の酸化やパーティクルの付着を抑制して、スループットを向上させることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
搬入された基板に対して予め設定された処理をそれぞれ実行する複数の処理室と、
前記複数の処理室に隣接した減圧状態に保たれた搬送室と、
前記搬送室と減圧状態で連通可能であり、前記複数の処理室のうちの第1の処理室における処理が終了した後の複数の基板を支持可能な複数の支持部を備え、前記複数の支持部でそれぞれ支持した複数の基板のうち、所定枚数毎の基板に不活性ガスを供給するように構成された待機室と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基板表面の酸化やパーティクルの付着を抑制して、スループットを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一態様に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図2図2(A)は、本開示の一態様に係る基板処理装置の待機室の一例を示す横面断面図である。図2(B)は、本開示の一態様に係る基板処理装置の待機室の一例を示す上面断面図である。
図3図3は、本開示の一態様に係る基板処理装置の制御部の構成を説明するためのブロック図である。
図4図4は、本開示の一態様に係る基板処理工程の一例を説明するためのフロー図である。
図5図5は、本開示の一態様に係る基板処理装置における動作の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)基板処理装置の構成
以下、本開示の一態様について、主に図1図5を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
図1は半導体装置(デバイス)の製造方法を実施するための基板処理装置10の上面断面図である。基板処理装置10はクラスタ型の装置であって、搬送装置は、真空側と大気側とに分かれている。また、基板処理装置10では、基板としてのウエハ200を搬送するキャリヤとして、FOUP(Front Opening Unified Pod:以下、ポッドという。)100が使用されている。
【0011】
(真空側の構成)
図1に示されているように、基板処理装置10は、真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐え得る第1搬送室103を備えている。第1搬送室103の筐体101は平面視が例えば五角形であり、上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
【0012】
第1搬送室103内には、ウエハ200を移載する第1基板移載機112が設けられている。
【0013】
筐体101の五枚の側壁のうち前側(図1中の下方側)に位置する側壁には、ロードロック室122と、待機室としてのロードロック室123がそれぞれゲートバルブ126,127を介して連結されている。ロードロック室122,123は、詳細には後述するが、ウエハ200を搬入する機能とウエハ200を待機する機能とウエハ200を搬出する機能とを併用可能に構成され、それぞれ負圧に耐え得る構造で構成されている。
【0014】
第1搬送室103の筐体101の五枚の側壁のうち後ろ側(背面側、図1中の上方側)に位置する四枚の側壁には、ウエハ200に所望の処理を行う処理容器202a~202dがゲートバルブ70a~70dを介してそれぞれ隣接して連結されている。
【0015】
(大気側の構成)
ロードロック室122,123の前側には、大気圧下の状態でウエハ200を搬送することができる第2搬送室121がゲートバルブ128、129を介して連結されている。第2搬送室121には、ウエハ200を移載する第2基板移載機124が設けられている。
【0016】
第2搬送室121の左側にはノッチ合わせ装置106が設けられている。なお、ノッチ合わせ装置106は、オリエンテーションフラット合わせ装置であってもよい。
【0017】
第2搬送室121の筐体125の前側には、ウエハ200を第2搬送室121に対して搬入搬出するための基板搬入出口134と、ポッドオープナ108と、が設けられている。基板搬入出口134を挟んでポッドオープナ108と反対側、すなわち筐体125の外側には、ロードポート(IOステージ)105が設けられている。ポッドオープナ108は、ポッド100のキャップ100aを開閉すると共に基板搬入出口134を閉塞可能なクロージャを備えている。ロードポート105に載置されたポッド100のキャップ100aを開閉することにより、ポッド100に対するウエハ200の出し入れを可能にする。また、ポッド100は図示しない工程内搬送装置(OHTなど)によって、ロードポート105に対して、供給および排出されるようになっている。
【0018】
(処理容器の構成)
処理容器202a~202dは、それぞれ処理室201a~201dを有する。処理室201a~201dは、ゲートバルブ70a~70d、第1搬送室103を介して、減圧状態で互いに連通するよう構成されている。処理室201a~201dでは、搬入されたウエハ200に対して予め設定された処理がそれぞれ実行される。すなわち、処理容器202a~202dでは、ウエハ200に対して、それぞれ異なる処理が実行される。
【0019】
処理容器202a~202dとして、枚葉式の基板処理装置とバッチ式の基板処理装置が混載されている。枚葉式の基板処理装置は、一度に1枚または数枚のウエハ200に対して枚葉処理を実施する枚葉処理室を備える。バッチ式の基板処理装置は、一度に複数のウエハ200に対してバッチ処理を実施するバッチ処理室を備える。すなわち、処理室201a~201dとして、枚葉処理室とバッチ処理室とが混載されている。
【0020】
(ロードロック室の構成)
次に、ロードロック室122,123について説明する。ロードロック室122,123は、真空側である第1搬送室103の一面に対してゲートバルブ126,127を介してそれぞれ隣接するように設けられている。また、ロードロック室122,123は、大気側である第2搬送室121の一面に対してゲートバルブ128,129を介してそれぞれ隣接するように設けられている。ロードロック室122,123は、ゲートバルブ126,127、第1搬送室103を介して、処理室201a~201dと減圧状態で互いに連通するよう構成されている。すなわち、ロードロック室122,123は、ゲートバルブ126,127を介して、第1搬送室103と減圧状態で連通可能である。また、ロードロック室122,123は、ゲートバルブ128,129を介して、第2搬送室121と大気圧状態で互いに連通するよう構成されている。
【0021】
ロードロック室122には、処理室201a~201dのいずれかへ搬送される前の未処理のウエハ200が格納される。また、ロードロック室123には、処理室201a~201dの少なくともいずれかで処理された処理済みのウエハ200が格納される。すなわち、ロードロック室122,123は、それぞれ未処理又は処理済みのウエハ200を一時的に格納する格納室である。
【0022】
図2(A)と図2(B)は、ロードロック室123の概略構成の一例を模式的に示す説明図である。
【0023】
ロードロック室123は、処理容器202a~202dのうちの少なくともいずれかにおいて処理された後のウエハ200を、次の処理を実行する前に待機させる待機室として用いられる。ロードロック室123は、筐体301と、筐体301内で複数のウエハ200を鉛直方向に略水平にそれぞれ支持可能な複数の支持部302と、筐体301内に不活性ガスを供給する不活性ガス流路303と不活性ガス供給口304とを有する。
【0024】
図2(A)に示すように、不活性ガス流路303は、筐体301の両側壁に鉛直方向に形成されている。不活性ガス供給口304は、ロードロック室123の複数のウエハ200の対応する高さ位置であって鉛直方向に略水平に複数形成されている。不活性ガス供給口304は、不活性ガス流路303とロードロック室123内を連通するように形成されている。
【0025】
また、不活性ガス供給口304は、図2(B)に示すように、ロードロック室123の幅方向に複数形成されている。また、不活性ガス供給口304は、ウエハ200の中心よりも排気口305に向けて斜めに形成されている。すなわち、不活性ガス流路303を流れた不活性ガスが、それぞれのウエハ200の両側からそれぞれのウエハ200の表面に対して略水平に供給される。
【0026】
不活性ガス流路303には、不活性ガス供給管306が接続されている。不活性ガス供給管306には、ガス流の上流側から順に、不活性ガス供給源307、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)308および開閉弁であるバルブ309が設けられている。主に、不活性ガス供給管306、MFC308、バルブ309により、不活性ガス供給系314が構成される。不活性ガス供給源307を不活性ガス供給系314に含めてもよい。
【0027】
不活性ガス供給管306からは、不活性ガスが、不活性ガス流路303、不活性ガス供給口304を介してロードロック室123内へ供給される。不活性ガスは、パージガスとして作用する。
【0028】
筐体301の底面の第1搬送室103側には、ロードロック室123内の雰囲気を排気する排気口305が設けられている。すなわち、排気口305は、ロードロック室123内へ供給された不活性ガスを排気するように構成されている。これにより、ウエハ200の表面に供給した不活性ガスを滞留させることなく流すことが可能となり、ロードロック室123内で待機中のウエハ200上へのパーティクルの再付着を抑制することができる。排気口305は、筐体301の側面下方や底面中央等に設けてもよい。
【0029】
排気口305には排気管310が接続されている。排気管310には、筐体301内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ311および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ312を介して、真空排気装置としての真空ポンプ313が接続されている。APCバルブ312は、真空ポンプ313を作動させた状態で弁を開閉することで、筐体301内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、さらに、真空ポンプ313を作動させた状態で、圧力センサ311により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、筐体301内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管310、APCバルブ312、圧力センサ311により、排気系315が構成される。真空ポンプ313を排気系315に含めてもよい。
【0030】
ロードロック室123では、複数の支持部302に、複数のウエハ200が、それぞれ水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持されるように、すなわち、間隔を空けて配列されるように構成されている。筐体301と支持部302は、例えば一体的に構成され、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。
【0031】
ロードロック室123は、処理中のウエハ200を待機させる待機室として用いられる。また、ロードロック室123では、処理室201a~201dのうちのいずれかの処理室における処理が終了した後のウエハ200をそれぞれ支持部302に載置して待機させる。なお、本開示においては、1スロット毎(すなわち1枚毎)に不活性ガス供給口304を設け、各支持部302のウエハ200に対して不活性ガスを供給する場合を例にして説明したが、待機させた複数のウエハ200のうち、所定スロット数毎(すなわち所定枚数毎)のウエハ200に不活性ガスを供給するように構成してもよい。例えば、2スロット毎や、3スロット毎に不活性ガスを供給するようにしても良い。
【0032】
(2)コントローラの構成
次に、制御部(制御手段)としてのコントローラ500の構成について説明する。
【0033】
制御部(制御手段)としてのコントローラ500は、後述の基板処理工程を行うように、上述の各部を制御する。
【0034】
図3に示すように、コントローラ500は、CPU(Central Processing Unit)500a、RAM(Random Access Memory)500b、記憶装置500c、I/Oポート500dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM500b、記憶装置500c、I/Oポート500dは、内部バス500eを介して、CPU500aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ500には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置501やディスプレイ等の表示装置472が接続されている。
【0035】
記憶装置500cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置500c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ500に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM500bは、CPU500aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0036】
I/Oポート500dは、MFC308、バルブ309、圧力センサ311、APCバルブ312、真空ポンプ313、ゲートバルブ70a~70d,126~129、第1基板移載機103、第2基板移載機124等に接続されている。
【0037】
CPU500aは、記憶装置500cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置501からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置500cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU500aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、第1基板移載機103や第2基板移載機124によるウエハ200の搬送・基板移載動作、ロードロック室123内のMFC308、バルブ309、圧力センサ311、APCバルブ312、真空ポンプ313による不活性ガスの供給排出動作、真空排気動作、処理容器202a~202d内のヒータによる昇温・降温動作、APCバルブによる圧力調整動作、MFCとバルブによるガスの流量調整動作等を制御するように構成されている。
【0038】
なお、コントローラ500は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)502を用意し、係る外部記憶装置502を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本態様に係るコントローラ500を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置502を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置502を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶装置500cや外部記憶装置502は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置500c単体のみを含む場合、外部記憶装置502単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0039】
(3)基板処理工程
次に、半導体製造工程の一工程として、上述した構成の基板処理装置10を用いて、ウエハ200に対して、処理容器202aにおける処理を開始してから処理容器202dにおける処理を終了するまでの工程について図4及び図5を用いて説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ500により制御される。また、処理容器202a~202dでは、それぞれ異なる処理を実行する。
【0040】
(第1の処理:S11)
先ず、ロードロック室122に格納された未処理のウエハ200を、第1基板移載機112により処理容器202aの処理室201aへ搬入する。処理室201aにウエハ200を搬入したら、第1基板移載機112を処理容器202aの外へ退避させ、ゲートバルブ70aを閉じて処理容器202a内を密閉する。そして、処理室201aのウエハ200に対して、第1の処理を実行する。
【0041】
(待機:S12)
続いて、ゲートバルブ70aを開いて処理室201aと第1搬送室103とを連通させる。そして、次の第2の処理を行う処理容器202bが使用中である場合に、第1の処理が終了した後のウエハ200を、第1基板移載機112により、処理室201aからロードロック室123へ搬送して、各支持部302へ載置する。そして、処理容器202bにおける処理が終了するまで第1の処理後のウエハ200を待機させる。ここで、処理容器202aが枚葉式の基板処理装置である場合、1枚または数枚のウエハ200に対して枚葉処理を実施する毎に、ロードロック室123の各支持部302へ載置して待機させておく。すなわち、空いた処理容器202aにおいて次のウエハ200に対する処理を実行することが可能となる。また、処理容器202aがバッチ式の基板処理装置である場合、複数のウエハ200に対してバッチ処理を実施した後に各支持部302へ載置して待機させておく。
【0042】
このとき、ロードロック室123内に、不活性ガスを供給する。具体的には、バルブ309とAPCバルブ312を開き、MFC308を制御して、不活性ガス供給管306から不活性ガス流路303、不活性ガス供給口304を介して、ロードロック室123内の各支持部302のウエハ200に対して不活性ガスを供給する。このとき、APC312により筐体301内の圧力が減圧状態の所定圧力となるように制御される。
【0043】
そしてAPCバルブ312は、排気管310のコンダクタンスを調整することで、真空ポンプ313によるロードロック室123内の不活性ガスの排気流量を制御し、ロードロック室123内を所定の圧力に維持する。これにより、ロードロック室123内の不活性ガスは、真空ポンプ313により、排気口305、排気管310を介してロードロック室123から除去される。
【0044】
このようにして、ロードロック室123では、各支持部302に待機中のウエハ200に対して減圧状態で不活性ガスを供給する。なお、後述する待機工程(S14,S16)における各部の動作は、本ステップ(S12)と同様であるので、以下において詳細な説明を省略する。
【0045】
(第2の処理:S13)
続いて、処理容器202bにおける前の処理が終了し、処理容器202bが使用可能な状態になったら、ロードロック室123に待機中の第1の処理後のウエハ200を、第1基板移載機112により処理室201bへ搬入する。処理室201bにウエハ200を搬入したら、第1基板移載機112を処理容器202bの外へ退避させ、ゲートバルブ70bを閉じて処理容器202b内を密閉する。そして、処理室201bのウエハ200に対して、第2の処理を実行する。
【0046】
(待機:S14)
続いて、ゲートバルブ70bを開いて処理室201bと第1搬送室103とを連通させる。そして、次の第3の処理を行う処理容器202cが使用中である場合に、第2の処理後のウエハ200を、第1基板移載機112により、処理室201bからロードロック室123へ搬送して、各支持部302へ載置する。そして、処理容器202cにおける処理が終了するまで第2の処理後のウエハ200に対して不活性ガスを供給して排気しながら待機させる。
【0047】
(第3の処理:S15)
続いて、処理容器202cにおける前の処理が終了し、処理容器202cが使用可能な状態になったら、ロードロック室123に待機中の第2の処理後のウエハ200を、第1基板移載機112により処理室201cへ搬入する。処理室201cにウエハ200を搬入したら、第1基板移載機112を処理容器202cの外へ退避させ、ゲートバルブ70cを閉じて処理容器202c内を密閉する。そして、処理室201cのウエハ200に対して、第3の処理を実行する。
【0048】
(待機:S16)
続いて、ゲートバルブ70cを開いて処理室201cと第1搬送室103とを連通させる。そして、次の第4の処理を行う処理容器202dが使用中である場合に、第3の処理後のウエハ200を、第1基板移載機112により、処理室201cからロードロック室123へ搬送して、各支持部302へ載置する。そして、処理容器202dにおける処理が終了するまで第3の処理後のウエハ200に対して不活性ガスを供給して排気しながら待機させる。
【0049】
(第4の処理:S17)
続いて、処理容器202dにおける前の処理が終了し、処理容器202dが使用可能な状態になったら、ロードロック室123に待機中の第3の処理後のウエハ200を、第1基板移載機112により処理室201dへ搬入する。処理室201dにウエハ200を搬入したら、第1基板移載機112を処理容器202dの外へ退避させ、ゲートバルブ70dを閉じて処理容器202d内を密閉する。そして、処理室201dのウエハ200に対して、第4の処理を実行する。
【0050】
第4の処理が実行された後は、ゲートバルブ70dを開いて処理室201dと第1搬送室103とを連通させる。そして、第4の処理後のウエハ200を、第1基板移載機112により、処理室201dからロードロック室123に搬入させる。そして、ゲートバルブ70dを閉じた後にゲートバルブ129を開いてロードロック室123と第2搬送室121とを連通させる。そして、第1~第4の処理後のウエハ200を、第2基板移載機124により、ロードロック室123から搬出する。
【0051】
複数の処理室を用いて、複数の処理をウエハに対して実施する場合、処理が終了したウエハ200は次の処理を行うまでの待機時間が発生する場合がある。本開示のように処理が終了したウエハ200をロードロック室123に一時的に待機させることにより、第1基板移載機112の待機が解消され、空いた処理容器を使用することが可能となる。このため、処理が円滑となり、スループットを向上させることができる。また、減圧状態のロードロック室123内で待機中のウエハ200の表面に対して不活性ガスを供給することで、待機中の基板表面を酸化などから防ぎ、かつ、基板表面へのパーティクルの付着を抑制することができる。
【0052】
[他の態様]
以上に、本開示の一態様を具体的に説明したが、本開示は上述の態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0053】
例えば、上述した態様では、処理容器202a~202dの順にウエハ200に対して各処理を実施する場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、順序や、回数はこれに限定されるものではなく、少なくとも2つの処理容器を用いてウエハ200に対して処理を行う場合に適用することができる。本変形例においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0054】
また、上述した態様では、ロードロック室123を待機室として用いる場合を例に挙げたが、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、ロードロック室122を待機室として用いてもよく、ロードロック室122,123とは別に待機室を設けてもよい。本変形例においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0055】
また、上述した態様では、ロードロック室123の底面の第1搬送室103側、若しくはロードロック室123の側面下方に、不活性ガスを排気する排気口305を設ける場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、ロードロック室123の底面の中央や、ロードロック室123の底面の第2搬送室121側や、ロードロック室123の上面等に排気口305を設けてもよい。本変形例においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0056】
また、各処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置502を介して記憶装置500c内に格納しておくことが好ましい。そして、各処理を開始する際、CPU500aが、記憶装置500c内に格納された複数のレシピの中から、処理内容に応じて適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、各処理を迅速に開始できるようになる。
【0057】
また、上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置501を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更してもよい。
【0058】
また、上述の態様では、処理室201a~201dとして、それぞれ枚葉処理室とバッチ処理室とが混載されていると説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、枚葉処理室とバッチ処理室とが混載されていなくてもよく、枚葉処理室のみ又はバッチ処理室のみにより構成されていても良い。また、処理容器202a~202dとして、それぞれホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置や、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置やその他の基板処理装置を用いることができる。
【0059】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の態様と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0060】
なお、上述の態様や変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の態様や変形例の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【符号の説明】
【0061】
10 基板処理装置
123 ロードロック室(待機室)
200 ウエハ(基板)
201a,201b,201c,201d 処理室
302 支持部
図1
図2
図3
図4
図5