(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020932
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】封入装置、封入封緘装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 1/04 20060101AFI20240207BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20240207BHJP
B43M 3/04 20060101ALI20240207BHJP
B43M 5/04 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B65H1/04 324
B65H9/00 A
B43M3/04
B43M5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123495
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】東海枝 秀斗
(72)【発明者】
【氏名】高山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 日奈子
【テーマコード(参考)】
3F102
3F343
【Fターム(参考)】
3F102AA01
3F102AB01
3F102BA02
3F102BB04
3F343FA17
3F343FB01
3F343FC12
3F343GA01
3F343GB02
3F343GC01
(57)【要約】
【課題】搬送路に対し、被搬送物である封筒の横レジストの補正の精度を高めることができる封入装置を提供する。
【解決手段】
封入物を封入する封入位置に封筒を搬送する封筒搬送路を備える封入装置に関し、封筒搬送路に対し封筒を供給可能な状態で積載する封筒積載部と、封筒積載部における封筒の積載位置を規制する封筒位置規制部と、封筒位置規制部が積載位置を規制している状態を保持しつつ、封筒の搬送方向に対する当該封筒の位置を調整する封筒位置調整部と、備える封入処理装置による。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入物を封入する封入位置に封筒を搬送する封筒搬送路を備える封入装置であって、
前記封筒搬送路に対し前記封筒を供給可能な状態で積載する封筒積載部と、
前記封筒積載部における前記封筒の積載位置を規制する封筒位置規制部と、
前記封筒位置規制部が前記積載位置を規制している状態を保持しつつ、前記封筒の搬送方向に対する当該封筒の位置を調整する封筒位置調整部と、
備えることを特徴とする封入装置。
【請求項2】
前記封筒位置調整部は、
前記封筒位置規制部が前記積載位置を規制している状態を保持する保持部と、
前記保持部の前記封筒積載部に対する位置を調整する保持位置調整部と、
を備える請求項1に記載の封入装置。
【請求項3】
前記保持位置調整部は、前記積載位置を規制している状態の前記封筒積載部を前記封筒の幅方向において可動させる積載可動部を有し、
当該積載可動部は、前記保持部と前記封筒積載部との距離を可変させる、
請求項2に記載の封入装置。
【請求項4】
前記積載可動部は、
外周面が螺旋形状であり前記封筒積載部に嵌められている第一軸状部材であり、
当該第一軸状部材の端部には、前記螺旋形状を回転させる第一回転操作部を有する、
請求項3に記載の封入装置。
【請求項5】
前記封筒位置規制部は、
前記封筒の幅方向の両端部の位置を規制する一対の幅方向規制部と、
当該幅方向規制部を前記封筒の幅方向端部に対し接近又は離間させる幅方向可動部と、
を有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の封入装置。
【請求項6】
前記幅方向可動部は、軸方向において二つの領域に分割された外周面の各領域に、相対的に逆方向の螺旋形状が形成されている第二軸状部材であり、
前記幅方向規制部は、一対の衝立部材からなり、前記各領域の螺旋形状に、当該衝立部材のそれぞれが嵌められている、
請求項5に記載の封入装置。
【請求項7】
前記第二軸状部材は、端部に当該第二軸状部材を回転させる第二回転操作部を有する、
請求項6に記載の封入装置。
【請求項8】
請求項1に記載の封入装置と、
前記封筒搬送路において、前記封入物が封入された前記封筒を封緘する封緘部と、
を備える封入封緘装置。
【請求項9】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像が形成された前記媒体に折り処理を行う折り処理装置と、
前記画像形成装置または前記折り処理装置から搬入された前記媒体を封筒に封入して封緘する請求項8に記載の封入封緘装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封入装置、封入封緘装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
封筒に封入物を封入する封入装置や、封入物が封入された封筒を封緘する封入封緘装置が知られている。また、シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置、シート状の媒体に折り処理を行う折り装置、封入装置や封入封緘装置を連携させて、画像が形成された折りシートを封筒に封入及び封緘する画像形成システムも知られている。
【0003】
封入装置は、封筒が積載されている供給トレイから封筒を取り出して、封入処理が行われる所定位置に向けて搬送する機能を備える。封筒を所定位置に搬送するときに、封筒の積載位置が搬送路に対する適正位置からずれていると、搬送不良の要因になる。そこで、供給トレイに封筒を設置するときに、搬送路に対する適正位置になるように、封筒の設置位置を調整して位置ずれを抑制する必要がある。
【0004】
ここで、搬送路に対する封筒の「位置ずれ」とは主に、封筒の搬送方向と直交する方向へのずれを指している。このような位置ずれについて、一般的に「横ずれ」又は「横レジスト」と称される。
【0005】
被搬送物として封筒を想定しているものではないが、被搬送物としての用紙に画像を形成するために所定位置に用紙を搬送する機能を備える画像形成装置において、供給トレイに設置する用紙の横レジストを補正する構成が開示されている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている構成において、横レジストの補正は、用紙を積載した供給トレイを装置にセットする際に行われるので、供給トレイが装置にセットされた後においては、媒体の横レジストを補正することはできない。
【0007】
従来技術を適用し、封筒が供給トレイに積載された状態で装置にセットされた後において、当該封筒と搬送路との位置関係を考慮しつつ、横レジストを微調整するための補正をするには課題がある。
【0008】
本発明は、搬送路に対し、被搬送物である封筒の横レジストの補正の精度を高めることができる封入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、封入物を封入する封入位置に封筒を搬送する封筒搬送路を備える封入装置に関し、前記封筒搬送路に対し前記封筒を供給可能な状態で積載する封筒積載部と、前記封筒積載部における前記封筒の積載位置を規制する封筒位置規制部と、前記封筒位置規制部が前記積載位置を規制している状態を保持しつつ、前記封筒の搬送方向に対する当該封筒の位置を調整する封筒位置調整部と、備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、搬送路に対し、被搬送物である封筒の横レジストの補正の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る画像形成システムの実施形態を示す正面外観図。
【
図2】上記実施形態に係る制御構成の例を示すブロック図。
【
図3】本発明に係る封入処理装置の実施形態の内部構成図。
【
図4】上記封入処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図5】上記封入処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図6】上記封入処理装置の封入動作におけるフラップ開機構の動作を例示する図。
【
図7】上記封入処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図8】上記封入処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図9】上記封入処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図10】上記封入処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図11】上記封入処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図12】上記封入処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図13】上記封入処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図14】上記封入処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図15】上記封入処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図16】上記封入処理装置の一実施形態に係る筐体の構成を例示する図。
【
図17】上記封入処理装置の一実施形態に係る前面カバーを明けた状態を例示する図。
【
図18】上記封入処理装置の一実施形態に係る封筒セットトレイを例示する図。
【
図19】上記封筒セットトレイに対する封筒を設置するときの動作を例示する図。
【
図20】上記封筒セットトレイに対する封筒を設置するときの動作を例示する図。
【
図21】上記封筒セットトレイにおいて封筒の横レジストを補正する動作を例示する図。
【
図22】上記封筒セットトレイにおいて封筒の横レジストを補正する動作を例示する図。
【
図23】上記封入封緘装置と連動する折り処理装置における折り処理の結果物と封緘処理との関係の一例を示す図。
【
図24】上記封入封緘装置と連動する後処理装置における後処理の結果物と封緘処理との関係の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[画像形成システムの実施形態]
まず、本発明に係る画像形成システムの実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る画像形成システムの一例としてのプリントシステム1の正面外観図である。プリントシステム1は、画像形成装置200と、シート処理装置としての折り処理装置300と、本発明に係る封入装置及び封入封緘装置の実施形態としての封入封緘処理装置100と、後処理装置400と、を有している。
【0013】
画像形成装置200は、シート状の媒体に対し、所定の方式による画像形成処理を実行して、画像を形成した媒体を下流方向に排出する装置の一例である。以下、本実施形態の説明において、画像形成装置200から封入封緘処理装置100へと搬送されるシート状の媒体を、単に「シートS」と表記する。
【0014】
画像形成装置200から排出されたシートSに対して、折り処理装置300が所定の折り処理を実行する。折り処理装置300は、
図1に例示するように、画像形成装置200の筐体の一部に組み込まれた状態で設置されてもよいし、画像形成装置200とは別の筐体で、画像形成装置200の横に並べられるものであってもよい。本実施形態では、画像形成装置200から排出されて折り処理装置300において折り処理が実行されたシートSを「折りシートSf」と表記する。
【0015】
シートSに対する折り処理の「実施」又は「不実施」の指示は、プリントシステム1の利用者が画像形成装置200の制御部に対して入力した情報に基づいて、当該制御部から送出される指示による。または、上記の指示を折り処理装置300が備える制御部に対し、プリントシステム1の利用者が入力した情報に基づいてもよい。
【0016】
したがって、画像形成装置200から排出されたシートSがそのまま、封入封緘処理装置100に搬送されることもあるし、折り処理装置300において排出される折りシートSfが封入封緘処理装置100に搬送されることもある。
【0017】
後処理装置400は、上流側の装置(画像形成装置200、折り処理装置300、封入封緘処理装置100)から排出されたシートSや折りシートSfに対して、制御部を介して指示された所定の後処理(ステイプル処理やパンチ処理など)を施す装置である。
【0018】
封入封緘処理装置100は、シートSや折りシートSfを「封入物」として、封筒Eに挿入(封入)する封入動作(封入処理)と、封入後の封筒Eの蓋(フラップef)を閉じて封筒を排出する封緘動作(封緘処理)と、を含む封入封緘処理を実行する。
【0019】
封入封緘処理装置100は、封筒Eに対する適切な向きで封入物(シートS、折りシートSf)を挿入するために、搬送方向の端部の向きを反転させる封入物反転搬送手段を備える。すなわち、封入封緘処理装置100は、封入物に形成された宛先などの形成位置が、封筒Eに予め形成されている透明窓ewに合うか否かを判定し、判定結果に基づいて、封入物の搬送方向における端部を反転させる反転搬送処理を実行する機能を備える。そして、封入封緘処理装置100は、反転を必要とするときに、封入位置の上流側に設けられている搬送路を利用して封入物を反転させてから封入位置へと搬送する搬送機構を備える。
【0020】
また、封入封緘処理装置100は、封入物が挿入された封筒Eを封緘して排出する封緘処理を行うための機能も備える。なお、封入封緘処理装置100において封入処理を行わずに、下流側に配置された装置(後処理装置400)にシートSなどを排出する「搬送動作(搬送処理)」も実行可能である。
【0021】
封入封緘処理装置100における「封入処理」、「封緘処理」及び、これらを実行せずにシートSを通過させる「搬送処理」、の動作制御は、プリントシステム1の利用者が制御部に対して入力した指示情報に基づく。
【0022】
この場合の指示情報は、画像形成装置200や折り処理装置300が備える制御部に対し、入力インターフェースを介して入力される情報に基づいてもよい。また、封入封緘処理装置100が備える制御部(封入封緘制御部190)に対してプリントシステム1の利用者が入力した情報に基づいてもよい。
【0023】
ここで、本発明に係る実施形態における「方向」の説明に用いる「座標軸」について説明する。
図1に示すように、プリントシステム1は、各装置を同一レベルの設置面に設置して一定の方向に順次配列して構成されている。この装置の並び方向であり、装置の設置面と平行する軸を「Y軸」とする。そして、Y軸の起点は、画像形成装置200の端部とし、画像形成装置200からY軸が示す矢印の方向を「+Y方向」とする。なお、逆の並び方向をいうときには「-Y方向」と表記する。したがって、画像形成装置200から排出される媒体(シートS)は、+Y方向に排出される。言い換えると、シートSの搬送方向は+Y方向である。
【0024】
また、同じくプリントシステム1の載置面と平行する軸であり、Y軸と直交する軸である軸をX軸とする。X軸は、プリントシステム1の奥行き方向に沿う軸でもある。そして、X軸を示す矢印の方向である奥方向を「+X方向」とし、逆方向である手前方向を「-X方向」とする。
【0025】
またX軸とY軸に直交する軸であって、プリントシステム1の高さ方向に沿う軸をZ軸とする。そして、Z軸を示す矢印の方向を「+Z方向」とし、逆方向を「-Z方向」とする。
【0026】
以下の説明において用いる図面にも、上記と同様の座標軸を付記しているときは、その説明における方向の定義は、上記と同様のものとする。
【0027】
画像形成装置200において画像が形成されたシートSは、+Y方向に排出され、その後、下流側に配置される各装置へと搬送されるので、+Y方向がシートSの搬送方向とほぼ同義である。したがって、画像形成装置200から下流側(+Y方向)に排出されるシートSに対して画像形成処理を行う場合、シートSの搬送方向が「副走査方向」に該当する。そして、シートSの搬送方向との直交方向が「主走査方向」に該当する。ここで、主走査方向は、搬送路の幅に相当する方向と同方向に当たる。
【0028】
なお、後述するとおり、封入封緘処理装置100においては、封入物の搬入方向は概ね+Y方向であるが、封筒Eへと封入を行う封入位置へ搬送する搬送制御においては、搬送方向がZ方向に切り替わる。また、封筒Eを封入位置に搬送する搬送制御においては、積載位置から+Y方向に搬送されたのちZ方向の往復搬送が行われ、その後、-Y方向に搬送されて封筒Eは排出されるように構成されている。
【0029】
以上を整理すると、プリントシステム1を構成する封入封緘処理装置100において、搬入時は+Y方向に搬送される封入物(折りシートSf)が、その後、-Z方向へと搬送されて封筒Eに封入される。一方、封入封緘処理装置100に保管されている封筒Eは、積載位置から分離されて、+Y方向へ搬送されて、その後、+Z方向へと搬送されて封入位置に至り、封入動作後、-Z方向に搬送されて封緘処理が行われ、その後、-Y方向へと排出される。
【0030】
なお、封入処理の対象にはならないシートS及び折りシートSfの場合は、封入封緘処理装置100を通過するだけなので、封入封緘処理装置100への搬入時と同様の+Y方向への搬送のみとなる。
【0031】
[プリントシステム1の機能ブロック]
プリントシステム1の全体の機能ブロックについて、
図2を用いて説明する。以下の説明において、封入物は折りシートSfを前提にする。
図2において折りシートSfの移動経路(搬送路)は、破線で表している。また、実線は、各機能ブロック間で信号の送受に用いられる通信路を表している。なお、封入物がシートSの場合の移動経路(搬送路)も、破線で表されているものと同様である。
【0032】
画像形成装置200は、例えば、既知の電子写真プロセスによりシートSに画像を形成する装置である。画像形成装置200は、表示部210と、操作部220と、給シート部230と、作像部240と、定着部250と、プリンタ制御部260と、を備える。
【0033】
表示部210は、ユーザーに各種機能の状態や操作内容を知らせるための表示をする。操作部220は、ユーザーが処理動作モードや処理部数の設定、及び封入封緘処理装置100において封入する際に反転を必要とする設定等の設定操作を行うための操作インターフェースに相当する。給シート部230は、シートSをストックして一枚毎に分離して給送するシート給送機構を備える。作像部240は、感光体に潜像を形成しシートSへと画像を転写させる。定着部250は、シートSに転写された画像を定着させる。プリンタ制御部260は、上記の各ブロック機能ブロックの動作を制御する。
【0034】
折り処理装置300は、主に、シート折り部310、折り制御部320を有する。シート折り部310は、画像形成装置200から搬送されたシートSを画像形成装置200のプリンタ制御部260から通信ライン207を通じて指定された折種(折り方)でシートSに対する折り処理を実行する。折り制御部320は、シート折り部310及び折り処理装置300全体を制御する。折り制御部320は、プリンタ制御部260及び下流に接続された封入封緘制御部190と通信も制御する。なお、シート折り部310において折り処理を行なわずに封入封緘処理装置100へと搬出してもよい。
【0035】
なお、シート折り部310の構造には、複数の種類が知られている。この構造の違いによって、折り処理後の折りシートSfの搬送方向に対する向きや、面の位置が異なる。すなわち、折りシートSfが後述する封入部120の「所定位置」において、封筒Eに封入されるときの封入方向の先頭側に該当する端部が、折り処理の種類によって異なる。そして、同じ折り処理であってもシート折り部310の内部の構成によって、折りシートSfの搬送方向先頭の端部が入れ替わることがある。そこで、後述するとおり、封入封緘処理装置100では、封入時に折りシートSfが所定の向きになるように、シート搬送部110において搬送動作と反転搬送動作が行われる。
【0036】
[シート折り部310における異なる折り動作の例]
ここで、異なる種類の構成の例として、シート折り部310の実施形態を
図23及び
図24に示す。シート折り部310の構成には複数の種類があり、構成によって、同じ折り種であっても排出されるときの折りシートSfにおける画像形成面Psの向きが異なることがある。
図23に示すシート折り部310を、本明細書において「Aタイプ」と表記し、
図24に示すシート折り部310を、同様に「Bタイプ」と表記する。なお、
図23及び
図24では、シートSに画像が形成されている印字面(画像形成面Ps)に△記号を付している。すなわち、以下の説明ではシートSの一方の面には画像は形成されていないとする。
【0037】
図23に例示するように、画像形成装置200からシート折り部310に搬入されてきたシートSは、搬送方向における下面側が画像形成面Psに相当する。
【0038】
まず、
図23(a)に示すように、画像形成装置200から搬送ローラ対311に向けてシートSが搬送されてくる。
【0039】
搬送ローラ対311によって下流側に搬送されたシートSは、
図23(b)に示すように、第一折りローラ312、第一折り搬送ローラ313,第二折りローラ314により所定位置まで搬送される。
【0040】
その後、
図23(c)に示すように、第一折り搬送ローラ313と第二折りローラ314が逆転し、シートSに第一の折り目が形成される。
【0041】
第一の折り目が形成されたシートSは、
図23(d)に示すように、第一折りローラ312と第二折りローラ314及び第二折り搬送ローラ316によってシートSが搬入経路とは別の経路に搬送されて所定の位置で停止する。
【0042】
その後、
図23(e)に示すように、第二折り搬送ローラ316が逆転し、第三折りローラ315も回転して、下流方向へと搬送されることにより、第二の折り目が形成されて、外三つ折りが完成する。この場合、折りシートSfの画像形成面Psは、搬送方向に対する直交方向において下方向となる面(下面側)に位置することになる。
【0043】
Bタイプのシート折り部310の場合について説明する。タイプBのシート折り部310は、
図24に示すように、画像形成装置200から搬入されてきたシートが-Z方向へと搬送されながら折り処理が行われる。搬入時のシートSの画像形成面Psは、例えば+Y方向に向いている。
【0044】
まず、
図24(a)に示すように、画像形成装置200から第一搬送ローラ対321に向けてシートが搬送されてくる。
【0045】
続いて、
図24(b)に示すように、シートは、第一搬送ローラ対321と、第一折りローラ323と、第一折り搬送ローラ322によって所定位置まで下方に搬送されて、その後停止する。
【0046】
その後、
図24(c)に示すように、第一折り搬送ローラ322と、第一折りローラ323が逆転し、第二折りローラ324が回転することにより、第一の折り目が形成される。
【0047】
さらに、
図24(d)に示すように、第二搬送ローラ対326も回転してシートが搬送されて所定位置で停止する。
【0048】
その後、
図24(e)に示すように、第二搬送ローラ対326が逆転して、第二折り搬送ローラ325の回転によって折りシートSfは上方に搬送されて、第二折りローラ324と第二折り搬送ローラ325によって第二の折り目が形成されて、外三つ折りが完成する。この場合、折りシートSfの画像形成面Psは、Aタイプとは異なり、搬送方向に対する直交方向において上方向となる面(上側面側)に位置することになる。この様に、AタイプとBタイプのように、異なるタイプのシート折り部310によって同じ外三つ折りを行った場合であっても、搬送方向に対する印字面の位置(方向)が異なるものとなる。すなわち、宛先などが印字されている面が、シート折り部310のタイプによって、封入封緘処理装置100に搬入される時点において下面側になる場合と上面側になる場合がある。そこで、後述するように、本実施形態に係る封入封緘処理装置100では、シート折り部310のタイプを示す情報に基づいて、折りシートSfを搬送中に反転させて画像形成面Psの位置(向き)を一定の方向に統一させて封入動作へと至るように制御する。
【0049】
[封入封緘処理装置100の機能ブロック]
図2に戻る。封入封緘処理装置100は、シート搬送部110、封入部120、封緘部130及び封入封緘制御部190を有する。
【0050】
シート搬送部110は、シート折り部310から搬入された折りシートSfに対して、所定の処理を実行する。ここで「所定の処理」とは、プリンタ制御部260や折り制御部320から通信ライン105を通じて封入封緘制御部190に伝えられた制御モードに応じた搬送処理を含む制御処理を指している。なお、制御モードの例としては、搬入されたシートSや折りシートSfを封入物として扱う「封入モード」、シートSや折りシートSfを封入物とせずに後処理装置400へと排出する「搬送モード」が想定される。また、制御モードとともに、封入物に関する情報として、折り方の種類や印字面の位置などを示す情報に基づく搬送処理も実行される。
【0051】
また、シート搬送部110で実行される搬送処理には、搬送モードのように、搬入されたものをそのまま下流へと排出する搬送動作の他、折りシートSfを封入処理のための搬送方向下流へ搬送する搬送処理が含まれる。また、この搬送処理には折りシートSfの搬送方向端部を入れ換える反転搬送処理を含む処理である。搬送処理及び反転搬送処理によって折りシートSfは、封入部120もしくは後処理装置400へと搬送される。
【0052】
封入部120は、シート搬送部110から搬送されてきた折りシートSfを封入位置に移動させた封筒Eに向けて搬送する。そして、封入位置にある封筒Eに折りシートSfを進入させるための搬送動作も行う。また、封入部120は、封入位置まで封筒Eを搬送し待機させる処理も行う。そして、封入部120には、待機している封筒Eに封入物を押し込んで封入させる封入物押込部160を備える。
【0053】
また、封入部120は、封筒Eが封入位置に至る前に、搬送路上で封筒Eのフラップefを開いて、封筒Eの開口が開放された状態になるようにするフラップefフラップ開機構も備える。
【0054】
封緘部130は、折りシートSfが封入された封筒Eのフラップefを閉じてから、封緘した封筒Eを封筒排出トレイ134へ排出する処理を行う。
【0055】
封入封緘制御部190は、シート搬送部110、封入部120及び封緘部130において、シートSや折りシートSf、封筒Eを搬送するための複数の搬送ローラ対の動作や、シートS及び折りシートSf、封筒Eの搬送路を切り替える切替爪の動作を制御する。言い換えると、封入封緘制御部190は封入封緘処理装置100において実行される搬送動作を制御し、シートSや折りシートSf、封筒Eの搬送方向の制御と、搬送動作の制御を実行する。
【0056】
なお、以下の説明において、搬送路切替爪の駆動源は特に限定をせず、図示も省略する。切替爪の駆動源として、モータやソレノイドなどを適宜用いることができる。また、モータやソレノイドの動作を所定のタイミングで所定の方向に回動するように、封入封緘制御部190において制御することで、指定されている搬送動作に適する状態へと切り替えることができる駆動制御構成を備えるものとする。
【0057】
また、封入封緘制御部190は封入部120に含まれる封入物押込部160とフラップ開機構の動作に係る制御も行う。そして封入封緘制御部190は、封緘部130における封緘動作を含む各動作に係る制御も行う。
【0058】
制御部としての封入封緘制御部190は、プリンタ制御部260及び折り制御部320から、折りシートSfに関する情報としての「封入対象情報」を受け取り、封入対象情報に基づいて、各制御を行う。
【0059】
なお、「封入対象情報」とは、封入物であるシートSや、折りシートSfに係る情報である。例えば、封入動作の対象とするか(封筒ジョブであるか)、封入動作の対象としないか(印刷ジョブであるか)を示す情報や、封筒ジョブであれば封筒Eへの封入されるときのシートSや折りシートSfの先頭となる端部や画像形成面Psの位置を示す情報を含む。また、例えば、折りシートSfに対する折り処理の種類を規定する「折種情報」も含まれる。また、上流側装置の一つである画像形成装置200からの動作指示情報として、後述する反転搬送処理の要否を規定する「反転要否情報」も含まれる。また、例えば、折り処理を行ったシート折り部310の種類を示す「処理装置情報」が含まれる。
【0060】
後処理装置400は、後処理部410と、後処理制御部420と、を有する。後処理部410は、上流側から搬送されてきたシートSに対し、後処理制御部420の制御により、所定の後処理を実行する。後処理制御部420は、プリンタ制御部260、折り制御部320、及び封入封緘制御部190から通信ライン403を通じて伝えられた動作モードにより、後処理制御部420における後処理動作を制御する。
【0061】
プリンタ制御部260、折り制御部320、封入封緘制御部190及び後処理制御部420は、相互に連結されていて、各通信ライン(207、105、403)を介して制御に必要な情報のやり取りが行なわれるように構成されている。したがって、各制御部(260、320、150、420)の連携によって、シートS及び折りシートSfに対してユーザーが行うことを要求する処理モードに関する情報や、シートサイズが相互に共有される。これによって、各機構が所定のタイミングと所定の工程によって所定の処理を実行可能とする制御情報がプリントシステム1全体において共有される。
【0062】
本実施形態において中心的な制御動作を行う封入封緘制御部190は、演算処理部としてのCPU(Central Processing Unit)、記憶部としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。そして、各搬送ローラ対への制御信号を出力し、各搬送ローラ対からの信号を入力とするインターフェース、及び、各センサの出力信号を受け取るインターフェースなども備える。これらハードウェア資源を用いて制御処理を実行可能な制御プログラムによって、封入封緘処理装置100の動作は制御される。
【0063】
また、プリンタ制御部260、折り制御部320及び後処理制御部420も、封入封緘制御部190と同様に、CPU、ROM、RAM等のハードウェア資源と、各制御部が機能を実現する制御プログラムとの協働により、各ハードウェア機構の動作を制御する。
【0064】
なお、
図1及び
図2においてプリントシステム1の構成例として、封入封緘処理装置100の下流に後処理装置400が接続された例を示した。代表的な後処理装置400としてはステイプル処理を行うフィニッシャや、スタッカ、製本機などがある。また、プリントシステム1のシステム構成としては封入封緘処理装置100が最下流となる構成でもよい。
【0065】
[封入封緘処理装置100における搬送動作に係る構成]
次に封入封緘処理装置100が有するシート搬送部110と、封入部120と、フラップ開機構と、封緘部130と、を構成する搬送ローラや、搬送物の搬送方向を切り替える切替爪、及び、これらが配置される搬送路について、
図3を用いて説明する。
【0066】
[シート搬送部110の構成]
図3に示すようにシート搬送部110は、搬入経路1100、第一搬送路1101、第二搬送路1102、スイッチバック搬送路1103、第四搬送路としての封入搬送路1104、シート搬出経路1109として区別される複数の搬送路を有する。
【0067】
搬入経路1100には、入口ローラ101が配置されている。搬入経路1100は、上流側に位置する装置(例えば、折り処理装置300)から排出された折りシートSfを受け入れる経路である。封入封緘制御部190が、上流側の制御部(プリンタ制御部260、折り制御部320)から折りシートSfに関する情報としての封入対象情報を受け取り、入口ローラ101の回転開始及び停止を制御する。
【0068】
入口ローラ101の下流側に設けられる複数の搬送路の一つであって、搬入経路1100から分岐する第一搬送路1101には、第一搬送手段としての第一搬送ローラ111と、第一中間搬送ローラ114が配置されている。また、第一搬送路1101には、搬送されてきた折りシートSfの端部(後端)を検知する第一媒体センサとしての第一シート検知センサ118が配置されている。第一シート検知センサ118は、第一中間搬送ローラ114と第一搬送ローラ111との間に配置されている。
【0069】
また、入口ローラ101の下流側に設けられる搬送路の一つであって、第一搬送路1101とは異なる方向に搬入経路1100から分岐する第二搬送路1102には、第二搬送手段としての第二搬送ローラ112と、第二中間搬送ローラ115が配置されている。また第二搬送路1102には、搬送されてきた折りシートSfの端部(後端)を検知する第二媒体センサとしての第二シート検知センサ119が配置されている。第二シート検知センサ119は、第二中間搬送ローラ115と第二搬送ローラ112の間に配置されている。
【0070】
また、シート搬送部110は、スイッチバック搬送路1103を有している。スイッチバック搬送路1103は、第一搬送ローラ111の下流位置において第一搬送路1101に合流する合流位置と、第二中間搬送ローラ115の上流位置において第二搬送路1102から分岐する分岐位置とを繋ぐ搬送路である。スイッチバック搬送路1103によって、第二搬送路1102を下流方向に搬送されていた折りシートSfが搬送方向を切り替えて、スイッチバック搬送によって第一搬送路1101へと搬送される。第三搬送路としてのスイッチバック搬送路1103には、第三搬送手段としてのスイッチバック搬送ローラ113が配置されている。
【0071】
また、第一搬送路1101に続く下流側の搬送路であって、シート搬送部110を通過したシートS又は折りシートSfを下流側の後処理装置400へと搬出するシート搬出経路1109が設けられている。そして、シート搬出経路1109には、出口ローラ102が配置されている。
【0072】
折り処理装置300から搬入された折りシートSfに対して、後述する封入処理を行なわないときは、折りシートSfは搬入経路1100から第一搬送路1101を通過し、シート搬出経路1109を介して下流側の装置へと排出される。以下の説明において、入口ローラ101から搬入されたシートSまたは折りシートSfが、第一搬送路1101を介して出口ローラ102まで搬送されて、さらに下流へと搬出される処理を「通常搬送処理」と表記することがある。シート搬送部110が通常搬送処理を実行するときは、シートSや折りシートSfを封入する「封筒ジョブ」が実行されるときではなく、そのまま後処理装置400へと搬送する「印刷ジョブ」が実行されるときである。
【0073】
また、シート搬送部110には、第一搬送ローラ111の下流において第一搬送路1101から分岐する搬送路であって、折りシートSfが封入される封筒Eを保持する封入ローラ121へと続く第四搬送路としての封入搬送路1104を有している。封入物搬送路としての封入搬送路1104は後述するとおり、封筒搬送路1105へと連続するように構成されている。
【0074】
また、シート搬送部110には、搬入経路1100から第一搬送路1101又は第二搬送路1102のいずれかに折りシートSfを搬送するための分岐位置において、分岐手段としての分岐爪10が配置されている。分岐爪10は、搬入経路1100に搬入された折りシートSfに係る封入対象情報に基づいて、当該折りシートSfを第一搬送路1101側に搬送させるか第二搬送路1102側に搬送させるかを切り替える。
【0075】
また、シート搬送部110は、スイッチバック搬送路1103から第一搬送路1101に合流する合流位置に第一切替手段としての第一切替爪11が配置されている。第一切替爪11は、搬入経路1100から第一搬送路1101側に搬送された折りシートSfを第一搬送ローラ111側へ搬送させる状態と、折りシートSfをスイッチバック搬送路1103から第一搬送路1101側へ搬送させる状態と、を切り換える。
【0076】
また、シート搬送部110は、第二搬送路1102からスイッチバック搬送路1103に分岐する分岐位置に第二切替手段としての第二切替爪12が配置されている。第二切替爪12は、搬入経路1100から第二搬送路1102側に搬送された折りシートSfを第二搬送ローラ112へ搬送させる状態と、折りシートSfを第二搬送路1102からスイッチバック搬送路1103へとスイッチバック搬送させる状態と、を切り換える。
【0077】
また、シート搬送部110は、第一搬送路1101から封入搬送路1104に分岐する分岐位置に第三切替手段としての第三切替爪13が配置されている。第三切替爪13は、第一搬送路1101によって搬送されてきた折りシートSfを封入搬送路1104へ搬送させる状態と、シート搬出経路1109へと搬送する状態と、を切り換える。
【0078】
第一搬送路1101に搬送された折りシートSfは、第一中間搬送ローラ114によって第一搬送ローラ111へと搬送される。第一搬送ローラ111は、搬送されてきた折りシートSfを下流へ搬送する。ここで、第三切替爪13が
図3に示す状態のとき、すなわち、折りシートSfを搬送する方向として、封入搬送路1104側を開放し、出口ローラ102側を閉じている状態のときは、折りシートSfが封入搬送路1104へと搬送される。なお、第一中間搬送ローラ114から第一搬送ローラ111へ搬送されてくる折りシートSfの後端が第一シート検知センサ118で検知された後、所定の距離を搬送されたときには、折りシートSfがすでに封入搬送路1104へと移動をしている状態になる。この状態に至っていることを封入封緘制御部190が判断したとき、シート搬送部110において回転している各搬送ローラ対の動作を停止する。
【0079】
封入封緘処理装置100が備える各搬送ローラ対を動作させる駆動源は、各ローラ対に対して個別に駆動力を供給するように構成されている。例えば、各搬送ローラ対に対して対応する駆動源となるモータを個別に備え、各モータの回転制御は個別に行われる。これによって、特定の搬送ローラ対を回転させ、他の搬送ローラ対を停止させるなどの制御を行う。なお、一つのモータにより複数のローラを駆動するように構成してもよい。その場合でも、各ローラ(ローラ対)の回転・非回転の制御を個別に行えるように構成すればよい。
【0080】
第二搬送路1102に搬送された折りシートSfは、第二中間搬送ローラ115によって第二搬送ローラ112へと搬送される。搬送されてきた折りシートSfの後端が第二シート検知センサ119で検知してから所定の距離を搬送されたときに第二搬送ローラ112は、一旦停止した後に逆転する。これによって、折りシートSfは、スイッチバック搬送路1103へスイッチバック搬送をする状態になる。このとき、第二搬送ローラ112の逆転の前、または同時に、折りシートSfの後端が第二切替爪12を通過したタイミングにおいて(これも、第二シート検知センサ119の検知に基づいて判定される)、第二切替爪12を回動させる。これによって、折りシートSfがスイッチバック搬送路1103へと搬送される状態に切り換わる。
【0081】
折りシートSfが第二搬送路1102からスイッチバック搬送路1103へと案内されるとき、スイッチバック搬送ローラ113によって折りシートSfは、第一搬送路1101に向けて搬送される。
【0082】
[封入部120の構成]
図3に示すように封入部120には、シート搬送部110が備える第四搬送路としての封入搬送路1104と連結する縦搬送路としての封筒搬送路1105が設けられている。封筒搬送路1105は、封入封緘処理装置100の接地面(X-Y平面)に対して、交差する方向、より詳しくは、X-Y平面に対する直交方向(Z方向)に延設されている。言い換えると、封筒搬送路1105は封入搬送路1104から略鉛直方向に延設されている搬送路である。
【0083】
封筒搬送路1105では、封筒積載部としての封筒セットトレイ127に積載されている封筒Eが、複数の搬送ローラ対の動作によって封入位置へと搬送される。また、封入位置から封筒排出トレイ134へと、封入後の封筒Eが、複数の搬送ローラ対の動作によって搬送されて排出される。この一連の封筒Eの搬送動作には、一旦搬送された方向とは逆の方向へと搬送されるスイッチバック搬送動作も含まれる。また、封入物は、第一搬送路1101から分岐する封入搬送路1104と直結する封筒搬送路1105へと搬送される。したがって、封筒搬送路1105の一部は、封入物の搬送路も構成する。
【0084】
以上のように、封入動作と封緘動作のために封筒Eを搬送する構成と、封筒Eに対して封入物を搬送する構成を、装置の載置面に対する縦方向に配置しているので、封入封緘処理装置100は設置面積を省くことができる。そして、封入封緘処理装置100を含むプリントシステム1においても小型化を図ることもできる。
【0085】
封筒搬送路1105は、封筒Eを所定位置としての封入位置まで搬送して、封入物が封入されるように封筒Eを保持する封筒保持機構を備える。封筒搬送路1105には、封入物が封入された封筒Eに対して封緘処理を行うための封緘経路1106へ連結している。
【0086】
封筒搬送路1105には、折りシートSfを受け入れる位置に封筒Eを搬送するための封筒搬送手段としての第一縦搬送ローラ122と第二縦搬送ローラ123が配置されている。封筒搬送路1105において、第一縦搬送ローラ122の上方(+Z方向)には、封筒Eに封入物を搬送して供給する封入物搬送手段としての封入ローラ121が配置されている。
【0087】
第一縦搬送ローラ122及び第二縦搬送ローラ123によって封入位置に搬送されて保持された封筒Eに対して、封入ローラ121が封入物を封入方向(-Z方向)に搬送して封入動作が行われる。
【0088】
また、封入ローラ121と第一縦搬送ローラ122の間であって、封筒搬送路1105の側方には、封入機構が配置されていて、封入動作時に封筒Eの開口に向けて封入物を押し込む動作を行う。
【0089】
封筒搬送路1105から封緘経路1106へ続く搬送路の連結位置には、フラップ開機構が配置されている。フラップ開機構は、封筒保持トレイとしての封筒セットトレイ127から取り出された封筒Eを封筒搬送路1105へと搬送するときに、フラップefを開く処理をする。
【0090】
封筒搬送路1105と封筒搬入路1107が合流する合流点には封筒スイッチバック切替爪21が配置されている。
【0091】
また、封筒スイッチバック切替爪21の下方(-Z方向)であって、封筒搬入路1107と封筒搬送路1105が合流する位置を第一分岐位置として、この第一分岐位置の下方(-Z方向)に、フラップ開ローラ124が配置されている。
【0092】
第一分岐位置の下方に配置されているフラップ開ローラ124と、第一分岐位置の上方に配置されている第一縦搬送ローラ122と、によって、第一搬送ローラ対が構成される。
【0093】
封筒搬送路1105に合流する封筒搬入路1107には、分離ローラ125と封筒搬送ローラ126が配置されている。分離ローラ125によって、積載されている封筒Eが封筒セットトレイ127から1枚取り出される。そして、封筒供給手段としての分離ローラ125と封筒搬送ローラ126によって封筒Eが封筒搬送路1105へと供給される。
【0094】
封筒セットトレイ127には、複数の封筒Eが載置されている。封筒セットトレイ127に載置されている封筒Eは、フラップefの反対端となる底部が、分離ローラ125側に向けられている。したがって、封筒セットトレイ127から搬出されるときの封筒Eの搬送方向における先端は、封筒Eの底部となる。
【0095】
したがって、本実施形態においては、封筒セットトレイ127に積載されている状態から分離された封筒Eは、まず、底部が「搬送方向先端」に相当する。そして、フラップefがある側が「搬送方向後端」に相当する。そして、フラップefが閉じている状態での「搬送方向後端」は、封筒Eにおけるフラップefの折り位置であり、フラップefが開いている状態での「搬送方向後端」は、フラップefの端部である。
【0096】
分離ローラ125と封筒搬送ローラ126によって封筒Eが封筒スイッチバック切替爪21を超える位置まで搬送される。
【0097】
封筒スイッチバック切替爪21は、回動して、封筒セットトレイ127から取り出された封筒Eを封緘経路1106にまで一旦搬送させるための位置と、封筒搬送路1105においてシート搬送部110側に封筒Eを搬送するための位置のいずれかに保持される。すなわち、封筒スイッチバック切替爪21は、封筒Eの搬送方向を切り替える部材である。
【0098】
第一縦搬送ローラ122及び第二縦搬送ローラ123は、封筒Eを封筒搬送路1105の所定位置に搬送して保持する。ここでの所定位置は、後述するように、封筒Eの開口の位置(フラップefの位置)が封入ローラ121よりも下方であり、第一縦搬送ローラ122よりも上方に相当する位置である。
【0099】
封入ローラ121は、シート搬送部110から搬送されてきた折りシートSfを封筒Eへと封入する方向に回転する搬送ローラの一種である。
【0100】
[封緘部130の構成]
図3に示すように封緘部130においては、封緘経路1106に、スイッチバック搬送手段としての第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が配置されている。また、封緘経路1106から分岐する第二分岐位置から分岐する封筒排出路としての封筒排出経路1108を有している。そして、第二分岐位置には、封筒排出切替爪31が配置されている。封筒排出経路1108には、封筒排出ローラ133が配置されていて、端部には、封筒排出経路1108が配置されている。
【0101】
第三縦搬送ローラ131及び第四縦搬送ローラ132は、第二搬送ローラ対を構成し、封筒Eを封緘経路1106の所定
位置に搬送して保持する。
【0102】
封筒排出切替爪31は、封入搬送路1104においてフラップ開ローラ124側から第三縦搬送ローラ131へと封筒Eを搬送する位置と、封入搬送路1104から封筒排出経路1108へ封筒Eを搬送する位置と、の間で回動する。封筒排出切替爪31は、封筒Eの搬送方向を切り替える部材である。
【0103】
封緘経路1106には、フラップefを閉じる「封緘処理」を行う封緘手段としての封緘機構135が配置されている。封緘機構135は、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132によって搬送されてきた封筒Eのフラップefが開いている状態であれば、これを閉じる処理を行う。
【0104】
封筒排出ローラ133は、封筒排出トレイ134に向けて封筒Eを排出するローラである。
【0105】
封筒積載手段としての封筒排出トレイ134は、排出された封筒Eを載置するトレイである。
【0106】
以上説明したとおり、封入封緘処理装置100は、シート搬送部110から、封入部120と封緘部130へと折りシートSfを搬送する搬送路が、縦方向(Z方向)において連結されて配置されている。折りシートSfの搬送路でもあり封筒Eの搬送路でもあるこの搬送路は、封入部120の封筒搬送路1105と封緘部130の封緘経路1106を、縦方向(Z方向)において連結した縦搬送路に相当する。
【0107】
[封入封緘処理の流れ]
次に、封入封緘処理装置100における封入動作及び封緘動作の一連の流れの例について、
図4から
図15を用いて説明する。なお、各図において、各動作段階の説明に用いられる構成にのみ符号等を付している。
【0108】
まず、
図4に示すように、封筒積載部としての封筒セットトレイ127に積載されている複数の封筒Eが、分離ローラ125によって一部ずつ分離して、封筒搬送路を構成する封筒搬入路1107へと供給される。すなわち、封筒セットトレイ127において封筒Eは封筒搬入路1107に対して供給可能な状態で積載されている。
【0109】
封筒セットトレイ127の積載位置から分離した一部の封筒Eは、封筒搬送ローラ126によって封筒搬入路1107を通過して、フラップ開ローラ124まで搬送される。このとき、封筒スイッチバック切替爪21と封筒排出切替爪31は、
図3に例示する方向に向いている。また、フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132は、封筒Eを下方に搬送する方向に回転し、封筒Eを封入搬送路1104における所定位置にまで搬送する。
【0110】
続いて、
図5に示すように、封筒Eがフラップ開ローラ124を通過しきるころには、フラップ開機構によってフラップefが開いた状態になっている。この状態で封筒Eは、フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132の回転によって、続く
図6の状態に至る。
【0111】
続いて、
図6に示すように、封筒Eのフラップefが開いた状態になった後であってフラップefがフラップ開ローラ124を抜けた位置に至った後において、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が逆転する。この動作によって、封筒Eを、封入部120の所定位置に向けたスイッチバック搬送が実行される。また、スイッチバック搬送が開始される前、または同時に、封筒スイッチバック切替爪21が
図6で示す方向に回動する。これによって、封筒搬送路1105の上方に向けて封筒Eを搬送することができる状態になる。フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132は、封筒スイッチバックローラを構成する。
【0112】
そして、
図7に示すように、スイッチバック搬送手段を構成する第二縦搬送ローラ123と第一縦搬送ローラ122によって封筒Eが封入位置に搬送される。フラップefが第一縦搬送ローラ122を抜けた位置に至れば、第二縦搬送ローラ123と第一縦搬送ローラ122の回転を停止させて、封入待機動作に入る。
【0113】
なお、封筒Eを封入位置まで搬送する制御において、分離ローラ125が封筒Eを取り出してから、各搬送ローラの回転量から封筒Eの搬送量を算出する処理を実行する。合わせて、算出される封筒Eの長さ及びフラップefの長さと、封筒Eの搬送量と、封筒搬入路1107と封筒搬送路1105を通過して搬送する搬送路長と、に基づけば、封入搬送路1104内での封筒Eの位置を判断することができる。
【0114】
続いて、
図8に示すように、封筒Eを封入位置に保持した状態で、封入封緘処理装置100は、上流側装置(折り処理装置300)から折りシートSfを入口ローラ101で受け入れて第一搬送路1101へと搬送する。
【0115】
続いて、
図9に示すように、折りシートSfを第一中間搬送ローラ114と第一搬送ローラ111によって下流に搬送する。このとき、第一切替爪11と第三切替爪13は、図
9に示す状態になっているので、折りシートSfは、第一搬送路1101から封入搬送路1104へと搬送される。
【0116】
その後、
図10に示すように、封入搬送路1104から封筒搬送路1105へと搬送された折りシートSfは、封入ローラ121によって、さらに下方へと搬送される。其の結果、折りシートSfは、第一縦搬送ローラ122などによって、封筒搬送路1105の所定の封入位置で保持され開口が開放された状態の封筒Eへと封入される。この封入動作において、封入機構が動作し、封入手段としての封入物押込部160によって折りシートSfが封筒Eに押し込まれる。
【0117】
続いて、
図11に示すように、第一縦搬送ローラ122と第二縦搬送ローラ123を回転させて、封筒Eを下方に搬送して、
図12に示すように、封筒Eを第四縦搬送ローラ132まで搬送する。封入後の封筒Eは、フラップefが封筒排出切替爪31を抜ける位置に至るまで搬送される。
【0118】
その後、
図13に示すように、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132との間で、封緘機構135によってフラップefを閉じて、封筒Eを封緘する。
【0119】
その後、
図14に示すように、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132を逆転して、封緘された封筒Eを第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132によってスイッチバック搬送する。第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が逆転する以前に、封筒排出切替爪31を回動させて、
図16に示す状態にする。これによって、封入された封筒Eは、封入搬送路1104から封筒排出経路1108へと搬送される。
【0120】
その結果、
図15に示すように、封緘された封筒Eが封筒排出ローラ133により、封筒排出トレイ134に排出される。
【0121】
[封入封緘処理装置100の実施形態]
次に、本発明に係る封筒封装置の実施形態としての封入封緘処理装置100が備える特徴的な構成について説明する。
図4から
図7を用いて説明したとおり、封筒Eは封筒積載部としての封筒セットトレイ127から取り出されて、封筒搬送路を構成する封筒搬入路1107を経由して、封入位置へと搬送される。封筒セットトレイ127に積載されている封筒Eは、積載されているものの最下段にある封筒Eから順次取り出されて封筒搬入路1107へと搬出される。
【0122】
封筒セットトレイ127に封筒Eを設置するとき、封筒Eが封筒搬入路1107に対して所定の位置にあるようにするために、封筒搬入路1107への搬出方向としての搬送方向に直交する方向の位置、すなわち、封筒Eの幅方向の位置が、封筒搬入路1107に対する適正位置になるように設置する。なお、封筒Eの幅方向の位置を言い換えると、封筒Eの搬送方向に対する直方向の、封筒Eの両側の端部の位置に相当する。すなわち、封筒搬入路1107に対して、封筒Eの位置が、搬送方向に対する横方向において適正位置からずれていると、封筒Eを封入位置に搬送するときに、搬送不良の原因になり得る。この横方向の位置ずれは、いわゆる「横レジスト」に相当する。
【0123】
封筒セットトレイ127から封筒Eが分離されて封筒搬入路1107へと順次搬出される動作を繰り返す間に、封筒Eは下方に順次移動する。このときに封筒搬入路1107に対する適正位置か封筒Eの積載位置がずれる可能性がある。
【0124】
まず、封筒Eを封筒セットトレイ127に設置するときには、封筒Eが適正位置に留まるようにするために、封筒セットトレイ127に対し封筒Eの幅方向の位置(積載位置)を規制する必要がある。そして、封筒Eの幅方向の位置を規制した状態の封筒セットトレイ127の位置を封筒搬入路1107に対して調整して適正位置になるように、封筒Eの幅方向における封筒セットトレイ127の位置を調整することも重要となる。この調整は、封筒Eを封筒セットトレイ127に積載した状態で行うようにすることで、横レジストの補正を精度良く行うことができる。
【0125】
図16及び
図17は、封入封緘処理装置100の外観斜視図の例である。
図16に示すように、封入封緘処理装置100は、シート搬送部110を含むシート搬送ユニット40と、封入部120及び封緘部130を含む封入封緘ユニット50と、を鉛直方向に積み上げた構成を有している。
【0126】
シート搬送ユニット40と封入封緘ユニット50の境界部分には、上流側装置から排出されたシートSや折りシートSfの搬入口に相当するシート搬入部60が設けられている。搬入された折りシートSfに対し、シート搬送部110によって所定の搬送処理を行われて、下流側の装置へそのまま搬送される「スルー搬送動作」や封入部120へ搬送する「封入搬送動作」及び、搬送方向の端部を反転させる「反転搬送動作」が行われる。
【0127】
図16に示すように、シート搬送ユニット40には、ユニットカバーとしての第一カバー41を備え、封入封緘ユニット50には、ユニットカバーとしての第二カバー51を備えている。
【0128】
また、
図17に示すように、封入封緘ユニット50には、封筒セットトレイ127と封筒排出トレイ134が備えられている。また、封筒セットトレイ127には、図示はしないが、複数の封筒Eが積載される。封筒セットトレイ127には、後述する幅方向規制部としてのサイドフェンス1271が備えられている。
【0129】
封筒セットトレイ127に封筒Eを補充するには、
図17(a)に図示するように、第二カバー51を開放し、
図17(b)に図示するように、封入封緘処理ユニット501全体を、封入封緘ユニット50の筐体から引き出す。封入封緘処理ユニット501を封入封緘処理装置100から引き出すことで、封筒セットトレイ127に新たな封筒Eを設置するときに、サイドフェンス1271を避けて設置することができる。
【0130】
したがって、封入封緘ユニット50は、封入封緘処理ユニット501を引き出し可能に保持するスライドレール55を備えている。スライドレール55は、封入封緘処理ユニット501を、装置前方と装置後方(X方向)にスライドさせることができ、封入封緘ユニット50内の所定の位置で保持する機構を備える。また、スライドレール55は、封入封緘処理ユニット501が装置前方(-X方向)に移動しすぎて脱落しないようにストッパも備えている。
【0131】
[封筒セットトレイ127の詳細]
次に、封筒セットトレイ127の詳細な構成について説明する。封筒セットトレイ127は、積載されている封筒Eの位置が、封筒Eの幅方向(搬送方向に対する直交方向)においてずれないように(横ずれしないように)封筒Eの幅方向の移動を規制する構成を備える。また、封筒セットトレイ127は、封筒Eを規制した状態を保持しつつ、封筒Eの積載位置を、封筒搬入路1107に対する適正位置になるように調整する構成を備える。
【0132】
図18は、封筒セットトレイ127の全体構成を説明する図である。
図18(a)は、封筒セットトレイ127の斜視図である。
図18(b)は、封筒セットトレイ127の下面を上方向に見た図である。
【0133】
図18に示すように、封筒セットトレイ127は、主に、サイドフェンス1271と、サイドフェンス可動部1272と、トレイ保持部1273と、トレイ可動部1274と、可動量スケール1275と、を有している。
【0134】
サイドフェンス1271は、一対の衝立部1271aと、軸嵌合部1271bと、を有している。封筒位置規制部を構成する一対の衝立部材としての衝立部1271aは、封筒Eが封筒セットトレイ127に積載された状態において、封筒Eの幅方向の両端部の位置を規制するため封筒位置規制部材に相当する。軸嵌合部1271bは、一対の衝立部1271aの下部にあり、後述する幅方向可動部としてのサイドフェンス可動部1272に嵌まり、サイドフェンス可動部1272の動作によって、一対の衝立部1271aの各々を所定の方向に移動させる。
【0135】
サイドフェンス可動部1272は、第二軸部1272aと、第二回転操作部1272bと、を有している。第二軸状部材としての第二軸部1272aは、軸方向において二つの領域に分割された外周面の各領域に螺旋形状が形成されていて、これら螺旋形状は互いに反対方向の螺旋になっている。第二回転操作部1272bは、第二軸部1272aの一方の端部に設けられていて、これを回転操作することによって第二軸部1272aを回転させる。
【0136】
第二軸部1272aの長手方向は、封筒セットトレイ127の筐体に相当する板部材1276を貫く長さであり、螺旋形状は、板部材1276を貫く位置には形成されておらず、板部材1276の内側の空間に収まる範囲で形成されている。すなわち、第二軸部1272aが回転しても、板部材1276に対しては空回りするように構成されていので、板部材1276の第二軸部1272aに対する相対的な位置は変化しない。
【0137】
第二軸部1272aに形成されている二つの螺旋形状部分には、衝立部1271aの下部に形成されている軸嵌合部1271bが嵌まり合っている。第二回転操作部1272bを回転させて第二軸部1272aの螺旋形状部分が回転すると、各領域の螺旋の方向によって、衝立部1271aが各々相反する方向へと直線的に移動する。この衝立部1271aの移動方向は封筒Eの幅方向の端部を規制する封筒規制方向Rdである。封筒規制方向Rdは封筒Eの封筒搬送方向Tdに直交する方向である。
【0138】
すなわち、したがって、第二回転操作部1272bを回転させることで、衝立部1271aが互いに反対方向へと同時にかつ同量の可動をし、封筒Eの幅方向端部に対して離間または接近する。
【0139】
トレイ保持部1273は、第二軸部1272aと、後述する第一軸部1274aの間に設けられていて、これら連結させる連結部1273aと、第一軸部1274aの螺旋形状に嵌まり合う嵌合部1273bと、第二軸部1272aの回転は規制せずに封筒規制方向Rdへの移動を規制する規制保持部1273cと、を有している。
【0140】
トレイ保持部1273は、封筒位置規制部を構成するサイドフェンス可動部1272が封筒Eの幅方向を規制した状態を保持した状態で、板部材1276に対する衝立部1271aの相対的な位置を移動させる状態を保持する。保持部としてのトレイ保持部1273は、規制保持部1273cを有していて、この規制保持部1273cが第二軸部1272aの回転方向の可動は許容し、第二軸部1272aの軸方向の移動は規制する構造を有している。
【0141】
また、トレイ保持部1273は、後述する第一軸部1274aの回転によって、嵌合部1273bが、第一軸部1274aの軸方向に対して相対的に移動する。このとき、連結部1273aを介して連結されている第二軸部1272aは、規制保持部1273cによって、トレイ保持部1273の移動と同期して、板部材1276に対して移動する。
【0142】
すなわち、トレイ保持部1273は、封筒セットトレイ127の幅方向であって、画像形成装置における主走査方向と同一方向であって、封筒Eの幅方向に相当する方向の移動を規制する。また、トレイ可動部1274の作用による、板部材1276の移動は許容する構造を有している。
【0143】
積載可動部としてのトレイ可動部1274は、第一軸部1274aと、第一回転操作部1274bと、を有している。保持位置調整部としての第一軸部1274aは、第一軸部1274aの外周面にはネジ溝が形成されていて、板部材1276の長手方向の一方の端部を貫通し、この貫通部分に螺旋形状を有していて、板部材1276に嵌まり合うようになっている。第一回転操作部1274bは、第一軸状部材としての第一軸部1274aの一方の端部に設けられていて、これを回転操作することによって第一軸部1274aを回転させる。
【0144】
封筒位置調整部としてのトレイ可動部1274は、第一回転操作部1274bを操作して第一軸部1274aを回転させると、ネジ溝が板部材1276に対して回転し、板部材1276を封筒規制方向Rdへと移動させる。すなわち、トレイ可動部1274を回転させることで、封筒セットトレイ127が封入封緘処理装置100における奥行き方向(X方向)において移動し、封筒搬入路1107に対する封筒Eの位置を、幅方向が規制された状態で調整することができる。
【0145】
可動量スケール1275は、トレイ保持部1273の可動量を計測する可動量測定手段として機能する。可動量スケール1275は、封筒セットトレイ127を構成する板部材1276の一側面に固定されていて、トレイ可動部1274を操作して板部材1276の封筒規制方向Rdにおける位置を調整する調整量を示す。すなわち、可動量スケール1275は、一対の衝立部1271aによって幅方向が規制された状態の封筒Eの封筒規制方向Rdにおける位置を調整する量であって、封筒セットトレイ127の横レジスト補正量を示す。
【0146】
可動量スケール1275には、目盛りが設けられていて、封筒セットトレイ127の初期構成位置を基準とする。したがって、封筒セットトレイ127が初期構成位置にあるとき、板部材1276の一側面が目盛りの「ゼロ」に合うように構成されている。可動量スケール1275によって、トレイ可動部1274によって封筒セットトレイ127が基準に対して移動した距離としての横レジスト補正量を計測することができる。なお、横レジスト補正量は、ゼロ基準からトレイ保持部1273が装置前方(-X方向)に移動した量に相当する。
【0147】
[封筒Eの位置を規制するときの流れ]
続いて、
図19及び
図20を用いて、サイドフェンス1271によって封筒Eの位置を規制する操作の流れについて説明する。
図19(a)は、封筒Eを封筒セットトレイ127に設置するときの流れを例示する斜視図であり、
図19(b)は底面図である。
【0148】
図19に例示するように、サイドフェンス可動部1272の第二回転操作部1272bを、X方向に向かって左方向に回転させると、第二軸部1272aの螺旋形状部分が回転し、これに嵌まりあっている軸嵌合部1271bが互いに離間する方向に移動する。すなわち、各領域の螺旋の方向によって、一対の衝立部1271aが離間して、一対の衝立部1271aの間に封筒Eを設置するための空隙が形成される。
【0149】
続いて、一対の衝立部1271aの空隙に封筒Eを設置した状態で、
図20に例示するように、第二回転操作部1272bを、これまでとは逆方向(X方向に向かって右方向)に回転させると、第二軸部1272aの螺旋形状部分が逆方向に回転する。そして、これに嵌まりあっている軸嵌合部1271bが互いに接近する方向に移動する。すなわち、各領域の螺旋の方向によって、一対の衝立部1271aが接近して、一対の衝立部1271aの間に設置されている封筒Eの幅方向の端部に当接する。これによって、封筒Eの幅方向の位置が規制される。
【0150】
封筒Eの位置の規制は、封筒搬送方向Tdに対する直交方向であって、この方向は、封入封緘処理装置100の上流側に配置される画像形成装置200における主走査方向に相当する。すなわち、プリントシステム1において封筒Eの位置は、主走査方向において規制される。
【0151】
[封筒セットトレイ127の位置を調整するときの流れ]
次に、
図21及び
図22を用いて、サイドフェンス1271によって位置が規制された封筒Eを保持した状態で、封筒搬送路(封筒搬入路1107)に対して封筒セットトレイ127の位置を調整する操作の流れについて説明する。
図21(a)は、封筒Eを封筒セットトレイ127の位置を調整するときの第一例を示す斜視図であり、
図21(b)は底面図である。
【0152】
図21に例示するように、トレイ可動部1274の第一回転操作部1274bを操作して、第一軸部1274aを軸方向に向かって左方向へ回転させると、
図20に例示した状態(封筒Eの幅方向を規制した状態)のままで、封筒セットトレイ127がX方向へと移動する。すなわち、封筒セットトレイ127の位置を、装置後方へと調整することができる。これによって、サイドフェンス1271で規制された状態の封筒Eの幅方向の位置が、封筒搬送路に対して調整される。すなわち、横レジストが補正される。
【0153】
図22に例示するように、トレイ可動部1274の第一回転操作部1274bを操作して、第一軸部1274aを軸方向に向かって右方向へ回転させると、
図20に例示した状態(封筒Eの幅方向を規制した状態)のままで、封筒セットトレイ127が-X方向へと移動する。すなわち、封筒セットトレイ127の位置を、装置前方へと調整することができる。これによって、サイドフェンス1271で規制された状態の封筒Eの幅方向の位置が、封筒搬送路に対して調整される。すなわち、横レジストが補正される。
【0154】
なお、トレイ可動部1274の第一軸部1274aの形成される螺旋形状のピッチを細かくすることで、横レジスト補正量による調整幅を細かくすることができる。例えば、ピッチを、可動量スケール1275に形成されている一目盛り(1mm)以下にするとよい。
【0155】
以上のように、本実施形態に係る封筒セットトレイ127によれば、封筒搬入路1107に対する封筒Eの幅方向の位置を調整するときに、トレイ可動部1274を操作することでトレイ保持部1273を可動させて可動量を計測することができる。この計測時において、封筒セットトレイ127の板部材1276の可動に追従してサイドフェンス1271、サイドフェンス可動部1272、封筒Eも可動する。したがって、トレイ保持部1273の可動量を可動量スケール1275の所定の目盛りに合う位置に合わせることで、封筒Eの封筒搬送方向Tdに対する横レジストの補正量を調整することができる。
【0156】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0157】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
【0158】
<1>封入物を封入する封入位置に封筒を搬送する封筒搬送路を備える封入装置であって、
前記封筒搬送路に対し前記封筒を供給可能な状態で積載する封筒積載部と、
前記封筒積載部における前記封筒の積載位置を規制する封筒位置規制部と、
前記封筒位置規制部が前記積載位置を規制している状態を保持しつつ、前記封筒の搬送方向に対する当該封筒の位置を調整する封筒位置調整部と、
備えることを特徴とする封入装置である。
【0159】
<2>前記封筒位置調整部は、
前記封筒位置規制部が前記積載位置を規制している状態を保持する保持部と、
前記保持部の前記封筒積載部に対する位置を調整する保持位置調整部と、
を備える前記<1>に記載の封入装置である。
【0160】
<3>前記保持位置調整部は、前記積載位置を規制している状態の前記封筒積載部を前記封筒の幅方向において可動させる積載可動部を有し、
当該積載可動部は、前記保持部と前記封筒積載部との距離を可変させる、前記<2>に記載の封入装置である。
【0161】
<4>前記積載可動部は、
外周面が螺旋形状であり前記封筒積載部に嵌められている第一軸状部材であり、
当該第一軸状部材の端部には、前記螺旋形状を回転させる第一回転操作部を有する、前記<3>に記載の封入装置である。
【0162】
<5>
前記封筒位置規制部は、
前記封筒の幅方向の両端部の位置を規制する一対の幅方向規制部と、
当該幅方向規制部を前記封筒の幅方向端部に対し接近又は離間させる幅方向可動部と、を有する前記<1>乃至前記<4>に記載の封入装置である。
【0163】
<6>
前記幅方向可動部は、軸方向において二つの領域に分割された外周面の各領域に、相対的に逆方向の螺旋形状が形成されている第二軸状部材であり、
前記幅方向規制部は、一対の衝立部材からなり、前記各領域の螺旋形状に、当該衝立部材のそれぞれが嵌められている、
前記<5>に記載の封入装置である。
【0164】
<7>
前記第二軸状部材は、端部に当該第二軸状部材を回転させる第二回転操作部を有する、前記<6>に記載の封入装置である。
【0165】
<8>
前記<1>乃至前記<7>に記載の封入装置と、
前記封筒搬送路において、前記封入物が封入された前記封筒を封緘する封緘部と、
を備える封入封緘装置である。
【0166】
<9>
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像が形成された前記媒体に折り処理を行う折り処理装置と、
前記画像形成装置または前記折り処理装置から搬入された前記媒体を封筒に封入して封緘する前記<8>に記載の封入封緘装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【符号の説明】
【0167】
1 :プリントシステム
100 :封入封緘処理装置
120 :封入部
127 :封筒セットトレイ
130 :封緘部
160 :封入物押込部
190 :封入封緘制御部
200 :画像形成装置
300 :折り処理装置
400 :後処理装置
501 :封入封緘処理ユニット
1107 :封筒搬入路
1271 :サイドフェンス
1271a :衝立部
1271b :軸嵌合部
1272 :サイドフェンス可動部
1272a :第二軸部
1272b :第二回転操作部
1273 :トレイ保持部
1273a :連結部
1273b :嵌合部
1273c :規制保持部
1274 :トレイ可動部
1274a :第一軸部
1274b :第一回転操作部
1275 :可動量スケール
1276 :板部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0168】