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特開2024-21481配線基板集合体、配線基板及び配線基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021481
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】配線基板集合体、配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240208BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H05K1/02 G
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124328
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 裕
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 諒
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA43
5E316AA60
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC32
5E316GG18
5E316HH31
5E338AA03
5E338AA18
5E338BB42
5E338BB47
5E338EE27
5E338EE33
5E338EE60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】切断時の損傷及び剥離の発生を抑制する配線基板集合体、配線基板及び配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線基板集合体は、配線構造体と、配線構造体の表面の配線層を被覆し配線を保護するソルダーレジスト層130と、を有する。ソルダーレジスト層は、配線を保護するため配線構造体の表面を被覆するとともに、配線構造体の表面の切断領域CRに対応して表面の所定領域を露出させるスリット132を備える。スリット132の縁部132aに対応する最外絶縁層の縁部が波状に蛇行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層と、絶縁層とからなる配線構造体と、
前記配線構造体の表面を被覆するとともに、前記配線構造体の表面の所定領域を露出させるスリットを備える最外絶縁層と
を有し、
前記スリットの縁部に対応する前記最外絶縁層の縁部が波状に蛇行する
ことを特徴とする配線基板集合体。
【請求項2】
前記最外絶縁層の縁部は、
互いに連結される複数の円弧からなる波、三角波、方形波及び台形波から選択される少なくとも一つの波を含む波状に蛇行する
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板集合体。
【請求項3】
前記最外絶縁層の縁部を構成する複数の凸部分は、
前記所定領域の周縁と接する位置に頂部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板集合体。
【請求項4】
前記最外絶縁層の縁部を構成する複数の凸部分の少なくとも一つは、
前記複数の凸部分の少なくとも他の一つとはサイズが異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板集合体。
【請求項5】
前記最外絶縁層は、互いに交差する複数の前記スリットを備え、
前記最外絶縁層の縁部を構成する複数の凸部分の少なくとも一つは、
互いに交差する複数の前記スリットによって形成される角部に対向して位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板集合体。
【請求項6】
配線層と、絶縁層とからなる配線構造体と、
前記配線構造体の表面を被覆する最外絶縁層と
を有し、
前記最外絶縁層は、
前記配線構造体の表面の周縁に沿って形成され、波状に蛇行する側面を有することを特徴とする配線基板。
【請求項7】
配線層と、絶縁層とからなる配線構造体を形成し、
前記配線構造体の表面を被覆するとともに、前記配線構造体の表面の所定領域を露出させるスリットを備える最外絶縁層を形成し、
前記スリットから露出する前記所定領域において前記配線構造体を切断して個片化する工程を有し、
前記最外絶縁層を形成する工程は、
前記スリットの縁部に対応する前記最外絶縁層の縁部を波状に蛇行させる
ことを特徴とする配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板集合体、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップを実装するための配線基板は、単体で製造されるのではなく、複数の配線基板が配列された集合体として製造される。集合体として製造された複数の配線基板は、例えばダイサー又はスライサー等の切断器具によって切断されて個片化される。個片化により得られる個々の配線基板が半導体チップを搭載するための配線基板となる。
【0003】
集合体が個片化される際には、配線基板の配線構造体を被覆するソルダーレジスト層が配線構造体とともに切断器具によって切断されるのが一般的である。ソルダーレジスト層においては、切断器具との接触によって欠けやクラック等の損傷が発生するおそれがある。これに対し、配線構造体の表面の切断される切断領域に対応してソルダーレジスト層に切断器具よりも幅が広い直線状のスリットを形成し、かかる直線状のスリットから露出する切断領域において配線構造体を切断して集合体の個片化を行うことが考えられている。ソルダーレジスト層における直線状のスリットから露出する切断領域において配線構造体を切断することにより、ソルダーレジスト層と切断器具との接触を回避してソルダーレジスト層の損傷の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-160597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ソルダーレジスト層における直線状のスリットから露出する切断領域において配線構造体を切断する場合には、ソルダーレジスト層と配線構造体との剥離が発生するおそれがあるという問題がある。具体的には、ソルダーレジスト層における直線状のスリットから露出する切断領域においては、配線構造体の表面がソルダーレジスト層によって覆われておらず、切断器具から配線構造体に作用する負荷がソルダーレジスト層から離れる方向に増大する。結果として、ソルダーレジスト層と配線構造体とが剥離してしまう。
【0006】
また、ソルダーレジスト層と切断器具の接触を避けるために、スリットが切断領域よりも広く形成される構造(特許文献1に記載の構造)では、切断器具から配線構造体に作用する負荷がソルダーレジスト層で保護されていない配線構造体表面に付与される。よって、ソルダーレジスト層で保護されていない配線構造体表面に欠けやクラック等の損傷が発生する恐れがある。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、切断時の損傷及び剥離の発生を抑制することができる配線基板集合体、配線基板及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する配線基板集合体は、一つの態様において、配線構造体と、絶縁層とを有する。絶縁層は、配線構造体の表面を被覆するとともに、前配線構造体の表面の所定領域を露出させるスリットを備える。スリットの縁部に対応する最外絶縁層の縁部が波状に蛇行する。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する配線基板集合体の一つの態様によれば、切断時の損傷及び剥離の発生を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る配線基板集合体の構成を示す断面模式図である。
図2図2は、実施形態に係る配線基板集合体の構成を示す平面図である。
図3図3は、スリットの形状を拡大して示す図である。
図4図4は、ソルダーレジスト層の縁部の形状の他の例を示す図である。
図5図5は、ソルダーレジスト層の縁部の形状の他の例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る配線基板集合体及び配線基板の製造方法を示すフローチャートである。
図7図7は、コア基板形成工程の具体例を示す図である。
図8図8は、ビルドアップ工程の具体例を示す図である。
図9図9は、ソルダーレジスト層形成工程の具体例を示す図である。
図10図10は、スリットの形成を説明する図である。
図11図11は、端子形成工程の具体例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る配線基板の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する配線基板集合体、配線基板及び配線基板の製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施形態に係る配線基板集合体100の構成を示す断面模式図である。配線基板集合体100は、複数の配線基板100aが配列された集合体である。配線基板集合体100として製造された複数の配線基板100aは、例えば格子状に形成された切断領域CRにおいて、例えばダイサー又はスライサー等の切断器具によって切断されて個片化される。
【0013】
配線基板集合体100は、積層構造となっており、コア基板110、配線構造体120及びソルダーレジスト層130、140を有する。以下においては、図1に示すように、ソルダーレジスト層140が最下層であり、ソルダーレジスト層130が最上層であるものとして説明するが、配線基板集合体100は、例えば上下反転して用いられてもよく、任意の姿勢で用いられてよい。
【0014】
コア基板110は、板状の絶縁体である基材111の両面に、金属のめっきにより配線層113が形成されたものである。両面の配線層113は、必要に応じて基材111を貫通するビア112によって接続される。
【0015】
配線構造体120は、絶縁性の絶縁層121と導電性の配線層122とを備える層が積層されたものである。絶縁層121は、例えばエポキシ樹脂及びポリイミド樹脂等の絶縁性の樹脂を用いて形成される。また、配線層122は、例えば銅や銅合金などの金属を用いて形成される。図1においては、コア基板110の上方の配線構造体120内に2層が積層され、コア基板110の下方の配線構造体120内に2層が積層されているが、積層される層の数は1層又は3層以上であってもよい。絶縁層121を介して隣接する配線層113、122は、必要に応じて絶縁層121を貫通するビア123によって接続される。
【0016】
ソルダーレジスト層130は、配線構造体120の表面の配線層122を被覆し、配線を保護する層である。ソルダーレジスト層130は、例えばアクリル樹脂及びポリイミド樹脂等の絶縁性の感光性樹脂からなる層であり、絶縁層の1つである。ソルダーレジスト層130は、最外絶縁層の一例である。
【0017】
配線基板集合体100のソルダーレジスト層130側は、例えば半導体チップなどの電子部品が搭載される面である。半導体チップが搭載される位置においては、ソルダーレジスト層130に開口部131が形成される。ソルダーレジスト層130は、感光性樹脂を用いて形成されるため、露光・現像により開口部131を形成することが可能である。そして、開口部131には、配線構造体120の配線層122と半導体チップの電極とを接続する接続端子150が形成される。
【0018】
また、ソルダーレジスト層130は、配線構造体120の表面の切断領域CRに対応してスリット132を備えている。スリット132においては、配線構造体120の表面の切断領域CRが露出している。ソルダーレジスト層130は、感光性樹脂を用いて形成されるため、露光・現像により開口部131とともにスリット132を形成することが可能である。
【0019】
ソルダーレジスト層140は、ソルダーレジスト層130と同様に、配線構造体120の表面の配線層122を被覆し、配線を保護する層である。ソルダーレジスト層140は、例えばアクリル樹脂及びポリイミド樹脂等の絶縁性の感光性樹脂からなる層であり、絶縁層の1つである。ソルダーレジスト層140は、最外絶縁層の一例である。
【0020】
配線基板集合体100のソルダーレジスト層140側は、外部の部品や機器などに接続される面である。外部の部品や機器と電気的に接続する外部接続端子が形成される位置においては、ソルダーレジスト層140に開口部141が形成され、開口部141から配線構造体120の配線層122が露出する。開口部141には、例えばはんだボールなどの外部接続端子が形成される。ソルダーレジスト層140は、感光性樹脂を用いて形成されるため、露光・現像により開口部141を形成することが可能である。
【0021】
また、ソルダーレジスト層140は、配線構造体120の表面の切断領域CRに対応してスリット142を備えている。スリット142においては、配線構造体120の表面の切断領域CRが露出している。ソルダーレジスト層140は、感光性樹脂を用いて形成されるため、露光・現像により開口部141とともにスリット142を形成することが可能である。
【0022】
図2は、実施形態に係る配線基板集合体100の構成を示す平面図である。図2においては、配線基板集合体100をソルダーレジスト層130側から見た上面図が示されている。図2に示すように、ソルダーレジスト層130には、格子状に形成された切断領域CRに沿って複数のスリット132が形成されている。複数のスリット132は、互いに交差している。
【0023】
図3は、スリット132の形状を拡大して示す図である。図3においては、図2のAの部分が拡大して示されている。なお、ここでは、ソルダーレジスト層130におけるスリット132の形状を説明するが、ソルダーレジスト層140におけるスリット142もスリット132と同様の形状を有する。
【0024】
図3に示すように、スリット132の縁部に対応する、ソルダーレジスト層130の縁部132aは、波状に蛇行する形状を有する。縁部132aが波状に蛇行するソルダーレジスト層130は、縁部が蛇行していないソルダーレジスト層と比べて、ソルダーレジスト層130と配線構造体120の表面の切断領域CRの周縁との接触面積が小さいため、切断器具からソルダーレジスト層130に作用する摩擦力が小さい。
【0025】
すなわち、スリット132から露出する切断領域CRにおいて配線構造体120が切断器具によって切断される際、スリット132の縁部に対応するソルダーレジスト層130の縁部132aと切断器具とが接触する。このとき、ソルダーレジスト層130の縁部132aが波状に蛇行しているため、切断器具からソルダーレジスト層130に作用する摩擦力は比較的に小さく、切断器具からソルダーレジスト層130に作用する負荷はそれほど大きくならない。結果として、ソルダーレジスト層130の損傷及び剥離の発生を抑制することができる。また、ソルダーレジスト層130の剥離を防止することができるため、切断領域CRよりも外側において配線構造体120の表面とソルダーレジスト層130との密着性が維持される。さらに、配線構造体120をソルダーレジスト層130が保護するため、配線構造体120表面の欠けやクラックを防ぐことができる。
【0026】
また、スリット132の縁部に対応するソルダーレジスト層130の縁部132aは、互いに連結される複数の円弧からなる波を含む波状に蛇行している。具体的には、ソルダーレジスト層130の縁部132aは、半円弧状の複数の凸部分を互いに連結させて構成される。スリット132の縁部に対応するソルダーレジスト層130の縁部132aが互いに連結される複数の円弧からなる波を含む波状に蛇行することにより、ソルダーレジスト層130と配線構造体120の表面の切断領域CRの周縁との接触面積が小さくなる。
【0027】
また、ソルダーレジスト層130の縁部132aを構成する複数の凸部分は、切断領域CRの周縁と接する位置に頂点を有している。これにより、ソルダーレジスト層130と配線構造体120の表面の切断領域CRの周縁との接触面積を最小化することができる。
【0028】
また、ソルダーレジスト層130の縁部132aを構成する複数の凸部分の少なくとも一つの凸部分132a1は、互いに交差する複数のスリット132によって形成される角部に対向して位置している。これにより、互いに交差する複数のスリット132によって形成される角部付近において、ソルダーレジスト層130と配線構造体120との剥離の発生が抑制され、結果として、配線構造体120の表面とソルダーレジスト層130との密着性が維持される。
【0029】
なお、スリット132の縁部に対応するソルダーレジスト層130の縁部132aの形状は、波状に蛇行する形状であれば、他の種々の形状であってもよい。図4及び図5は、ソルダーレジスト層130の縁部132aの形状の他の例を示す図である。例えば、図4に示すように、ソルダーレジスト層130の縁部132aの形状は、波状に蛇行し、且つソルダーレジスト層130の凸部分132a1が省略された形状であってもよい。換言すれば、ソルダーレジスト層130の縁部132aは、互いに交差する複数のスリット132によって形成される角部に対向する角部を有さない形状であってもよい。ソルダーレジスト層130の縁部132aが角部を有さないことにより、切断器具との接触によるソルダーレジスト層130の剥がれ、欠け及びクラックを抑制することができる。
【0030】
また、例えば、図5に示すように、ソルダーレジスト層130の縁部132aは、三角波を含む波状であってもよい。また、図示を省略するが、ソルダーレジスト層130の縁部132aは、互いに連結される複数の円弧からなる波、三角波、方形波及び台形波から選択される少なくとも一つの波を含む波状に蛇行してもよい。また、ソルダーレジスト層130の縁部132aを構成する複数の凸部分の少なくとも一つは、複数の凸部分の少なくとも他の一つとはサイズが異なっていてもよい。
【0031】
次に、上記のように構成された配線基板集合体100及び配線基板100aの製造方法について、具体的に例を挙げながら、図6を参照して説明する。図6は、実施形態に係る配線基板集合体100及び配線基板100aの製造方法を示すフローチャートである。
【0032】
まず、配線基板集合体100の支持部材となるコア基板110が形成される(ステップS101)。具体的には、例えば図7に示すように、板状の絶縁体である基材111に、基材111を貫通するビア112が形成されるとともに、基材111の両面に例えば銅などの金属の配線層113が例えば銅箔又は銅めっきにより形成される。図7は、コア基板形成工程の具体例を示す図である。基材111の両面の配線層113は、必要に応じて、例えば銅などの金属のめっきによって形成されたビア112によって接続されている。基材111としては、例えばガラス織布等の補強材にエポキシ樹脂等の絶縁樹脂を含浸させたものを用いることが可能である。補強材としては、ガラス織布の他にも、ガラス不織布、アラミド織布又はアラミド不織布などを用いることができる。また、絶縁樹脂としては、エポキシ樹脂の他にも、ポリイミド樹脂又はシアネート樹脂などを用いることができる。
【0033】
なお、コア基板110の上面及び下面には、切断領域CRの幅と同じ間隔だけ離れて互いに隣り合う複数の配線基板形成領域100bが設定されており、各配線基板形成領域100bに配線基板100aが形成される。すなわち、1つのコア基板110を用いて複数の配線基板100aが形成される。
【0034】
そして、コア基板110の上面及び下面にビルドアップ法によって配線構造体120が形成される(ステップS102)。具体的には、例えば図8に示すように、コア基板110の上面及び下面に絶縁層121が形成され、絶縁層121の表面に配線層122が形成される。図8は、ビルドアップ工程の具体例を示す図である。絶縁層121は、例えばエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂を用いて形成される。また、配線層122は、例えば銅などの金属のめっきによって形成される。
【0035】
コア基板110の配線層113と配線層122との間、又は隣接する層の配線層122の間は、必要に応じて、例えば銅などの金属のめっきによって形成されたビア123によって接続される。絶縁層121及び配線層122は、コア基板110の上面及び下面にそれぞれ複数積層されてもよい。
【0036】
配線構造体120が形成されると、配線構造体120の表面の配線層122がソルダーレジスト層130、140によって被覆される(ステップS103)。すなわち、コア基板110の上面に積層された配線構造体120の表面の配線層122がソルダーレジスト層130によって被覆され、コア基板110の下面に積層された配線構造体120の表面の配線層122がソルダーレジスト層140によって被覆される。
【0037】
そして、例えば図9に示すように、半導体チップが搭載される側のソルダーレジスト層130には、半導体チップとの接続端子が設けられる位置に開口部131が形成される。開口部131の底には、配線構造体120の表面の配線層122が露出する。図9は、ソルダーレジスト層形成工程の具体例を示す図である。また、ソルダーレジスト層130には、配線構造体120の表面の切断領域CRに対応する位置にスリット132が形成される。スリット132の底には、配線構造体120の表面の切断領域CRが露出する。
【0038】
一方、外部の部品や機器と接続される側のソルダーレジスト層140には、外部接続端子が設けられる位置に開口部141が形成される。開口部141の底には、配線構造体120の表面の配線層122が露出する。また、ソルダーレジスト層140には、配線構造体120の表面の切断領域CRに対応する位置にスリット142が形成される。スリット142の底には、配線構造体120の表面の切断領域CRが露出する。
【0039】
ソルダーレジスト層130、140として感光性樹脂が用いられるため、露光・現像によって開口部131及びスリット132、または開口部141及び142を同時に形成することが可能である。また、ソルダーレジスト層130に対する露光・現像と、ソルダーレジスト層140に対する露光・現像とは、個別に実行されてもよい。
【0040】
図10は、スリット132の形成を説明する図である。例えば図10上側に示すように、スリット132(及び開口部131)の形状に合わせてソルダーレジスト層130の表面にパターンマスクが形成され、露光が行われることにより、パターンマスクが形成されていない部分のソルダーレジスト層130が硬化される。具体的には、スリット132(及び開口部131)が形成されない領域について、ソルダーレジスト層130が硬化される。ソルダーレジスト層130の露光により硬化される部分は、現像後に残存する残存部となる。
【0041】
露光によりソルダーレジスト層130が硬化されると、現像が行われ、硬化された残存部のみが配線構造体120の表面に残存する。すなわち、例えば図10下側に示すように、ソルダーレジスト層130の残存部が配線構造体120の表面を被覆し、残存部以外の部分では、配線構造体120の表面の切断領域CRを露出させるスリット132が形成される。このスリット132の縁部に対応するソルダーレジスト層130の縁部132aは、波状に蛇行している。
【0042】
そして、ソルダーレジスト層130の開口部131に、半導体チップを接続するための接続端子が形成される(ステップS104)。すなわち、開口部131には例えば銅めっきによって接続端子150が形成される。ここまでの工程により、例えば図11に示すように、複数の配線基板100aを含む配線基板集合体100が得られる。図11は、端子形成工程の具体例を示す図である。なお、必要に応じて、ソルダーレジスト層130側には半導体チップが搭載され、接続端子150と半導体チップの電極とが例えばはんだ等によって接合されてもよい。
【0043】
そして、個々の配線基板100aを切り離す個片化が行われる(ステップS105)。具体的には、図11に示す配線基板集合体100が、スリット132から露出する切断領域CRにおいて、例えばダイサー又はスライサー等の切断器具によって切断されることにより、複数の配線基板100aが得られる。このとき、スリット132の縁部に対応するソルダーレジスト層130の縁部132a(図3参照)が波状に蛇行しているため、切断器具からソルダーレジスト層130に作用する摩擦力は比較的に小さく、切断器具からソルダーレジスト層130に作用する負荷はそれほど大きくならない。結果として、ソルダーレジスト層130の損傷及び剥離の発生を抑制することができる。また、ソルダーレジスト層130の剥離を防止することができるため、切断領域CRよりも外側において配線構造体120の表面とソルダーレジスト層130との密着性が維持される。さらに、配線構造体120をソルダーレジスト層130が保護するため、配線構造体120表面の欠けやクラックを防ぐことができる。
【0044】
個々の配線基板100aにおいては、例えば図12に示すように、ソルダーレジスト層130の側面が配線構造体120の表面の周縁120aに沿って形成されており、波状に蛇行している。図12は、実施形態に係る配線基板100aの構成を示す平面図である。なお、図示を省略するが、個々の配線基板100aにおいては、ソルダーレジスト層140の側面が、ソルダーレジスト層130の側面と同様に配線構造体120の表面の周縁120aに沿って形成されており、波状に蛇行している。
【0045】
以上のように、実施形態に係る配線基板集合体(例えば、配線基板集合体100)は、配線構造体(例えば、配線構造体120)と、最外絶縁層(例えば、ソルダーレジスト層130、140)とを有する。配線構造体は、配線層(例えば、配線層122)と、絶縁層(例えば、絶縁層121)とからなる。最外絶縁層は、配線構造体の表面を被覆するとともに、配線構造体の表面の所定領域(例えば、切断領域CR)を露出させるスリット(例えば、スリット132、142)を備える。スリットの縁部に対応する最外絶縁層の縁部が波状に蛇行する。これにより、実施形態に係る配線基板集合体によれば、切断時の損傷及び剥離の発生を抑制することができる。
【0046】
また、スリットの縁部に対応する最外絶縁層の縁部は、互いに連結される複数の円弧からなる波、三角波、方形波及び台形波から選択される少なくとも一つの波を含む波状に蛇行してもよい。これにより、実施形態に係る配線基板集合体によれば、最外絶縁層(例えば、ソルダーレジスト層130、140)と配線構造体の表面の切断領域の周縁との接触面積が小さくなる。また、実施形態に係る配線基板集合体によれば、配線構造体の外周が最外絶縁層によって覆われていない従来例と比べて、配線構造体上面の欠けやクラックを防ぐことができる。
【0047】
また、最外絶縁層の縁部を構成する複数の凸部分は、所定領域の周縁と接する位置に頂部を有していてもよい。これにより、実施形態に係る配線基板集合体によれば、最外絶縁層(例えば、ソルダーレジスト層130、140)と配線構造体の表面の切断領域の周縁との接触面積を最小化することができる。
【0048】
また、最外絶縁層の縁部を構成する複数の凸部分の少なくとも一つは、複数の凸部分の少なくとも他の一つとはサイズが異なっていてもよい。これにより、実施形態に係る配線基板集合体によれば、切断時の損傷及び剥離の発生をより抑制することができる。
【0049】
また、最外絶縁層は、互いに交差する複数のスリットを備えてもよい。スリットの縁部に対応する最外絶縁層の縁部を構成する複数の凸部分の少なくとも一つ(例えば、凸部分132a1)は、互いに交差する複数のスリットによって形成される角部に対向して位置してもよい。これにより、実施形態に係る配線基板集合体によれば、互いに交差する複数のスリットによって形成される角部付近において、最外絶縁層(例えば、ソルダーレジスト層130、140)と配線構造体との剥離の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0050】
100 配線基板集合体
100a 配線基板
110 コア基板
120 配線構造体
120a 周縁
130、140 ソルダーレジスト層
132、142 スリット
132a 縁部
132a1 凸部分
CR 切断領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12