(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021818
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0775 20100101AFI20240208BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240208BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240208BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240208BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240208BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240208BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240208BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240208BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20240208BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20240208BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240208BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240208BHJP
A61K 31/4409 20060101ALI20240208BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20240208BHJP
C12M 3/00 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
C12N5/0775
A61P29/00 ZNA
A61P37/02
A61P1/16
A61P29/00 101
A61P1/00
A61P37/06
A61K45/00 101
A61K48/00
A61K31/713
A61K31/4745
A61P25/00
A61P9/10
A61K31/4409
A61K35/28
C12M3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124919
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】加治屋 幹人
(72)【発明者】
【氏名】吉井 寛毅
(72)【発明者】
【氏名】吉野 舞
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB11
4B029CC02
4B029GA01
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065BB13
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA13
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB151
4C084ZB152
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086CB05
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB21
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB34
4C087BB44
4C087BB45
4C087BB47
4C087BB48
4C087BB58
4C087BB59
4C087BB61
4C087BB64
4C087BB65
4C087MA02
4C087MA66
4C087NA05
4C087ZA66
4C087ZA75
4C087ZB07
4C087ZB11
4C087ZB15
4C087ZB21
4C087ZC75
(57)【要約】
【課題】本願は、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清を提供することを目的とする。
【解決手段】間葉系幹細胞をYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養することを含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清の製造方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間葉系幹細胞をYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養することを含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清の製造方法。
【請求項2】
YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤が、YAP阻害剤、TAZ阻害剤、TEAD阻害剤、およびアクチン進展または重合阻害剤からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
YAP阻害剤が、YAP siRNAまたはYAP shRNAである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
TAZ阻害剤が、TAZ siRNAまたはTAZ shRNAである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
TEAD阻害剤が、TEAD siRNAまたはTEAD shRNAである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
アクチン進展または重合阻害剤が、Y27632またはブレビスタチンである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
間葉系幹細胞が、骨髄、脂肪、臍帯、神経、歯肉、歯髄、末梢血、皮膚、毛根、筋組織、子宮内膜、胎盤、または多能性幹細胞に由来する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の方法により製造された抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清を含む組成物。
【請求項9】
間葉系幹細胞を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤またはYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤をコードする発現ベクターが導入された間葉系幹細胞を含む組成物。
【請求項11】
炎症性免疫疾患を処置するための、請求項8~10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
炎症性免疫疾患が、敗血症、腸炎、肝炎、腎炎、移植片対宿主病、および関節リウマチからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
脊髄損傷または虚血性疾患を処置するための、請求項8~10のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
間葉系幹細胞をYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養することを含む、間葉系幹細胞の抗炎症能および免疫制御能を改善する方法。
【請求項15】
YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤を含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞を製造するための組成物。
【請求項16】
YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤および間葉系幹細胞を含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞を製造するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清に関する。
【背景技術】
【0002】
間葉系幹細胞(MSCs)は、高い自己増殖能と骨・軟骨・脂肪などへの多分化能を有する。そこで、生体のMSCsを分離・培養し、組織喪失疾患患者に移植する再生医療の研究が隆盛を極めた。一方、MSCsは多分化能のみならず、抗炎症能・免疫制御能を有していることが明らかになり、炎症性免疫疾患に対する細胞治療薬として大きな期待を集めるようになった。本邦では、その抗炎症・免疫制御能に基づき、急性移植片対宿主病(GVHD)や外傷性脊髄損傷を適応症とした細胞治療薬としての承認を得ている。
【0003】
さらに、基礎研究においては、これら二つの疾患に限らず、敗血症・腸炎・肝炎・腎炎・関節リウマチ等多くの炎症性免疫疾患に対する有効性が示唆され、臨床応用への期待が高まっている。しかし、MSCsを細胞治療薬として用いる基礎研究・臨床試験の結果には大きなばらつきがあり、治療効果の再現性・確実性には課題が残っている。
【0004】
この問題の解決策として、MSCsの細胞性質を最大限に発揮できる状態で投与する方法が考えられる。そこで、IFNγなどの炎症性サイトカインで事前処理することでMSCsの免疫制御能を高めて投与する方法などが検討されてきている。しかし、このようなプライミングはあくまで一過性の効果であり、MSCsの根本的な性質コントロールとはいえない。実際に、この炎症性サイトカイン事前プライミングの方法であっても、その治療効果にはばらつきがある。
【0005】
MSCsの分化運命は、場の硬さなどの細胞外微小環境を生化学信号に変換して感知するメカノシグナルによって厳密に制御されている。例えば、MSCsは硬い足場にあるとF-actinが伸展し、これに伴って転写共役制御因子YAP/TAZが核内移行し骨分化に向かう。一方、軟らかい足場ではF-actinが収縮し、YAP/TAZは核外移行することでそのシグナル活性が低下し、脂肪・軟骨分化傾向となる(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Dupont et al., Nature. 2011 Jun 8; 474(7350): 179-83.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願は、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、間葉系幹細胞をYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養することを含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清の製造方法を提供する。
【0009】
本願はまた、本願の方法により製造された抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清を含む組成物を提供する。
【0010】
本願はまた、間葉系幹細胞をYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養することを含む、間葉系幹細胞の抗炎症能および免疫制御能を改善する方法を提供する。
【0011】
本願はまた、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤を含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞を製造するための組成物を提供する。
【0012】
本願はまた、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤および間葉系幹細胞を含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞を製造するためのキットを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本願によって、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】間葉系幹細胞(MSCs)におけるYAP/TAZメカノシグナルと抗炎症能および免疫制御能との関係を示す模式図。間葉系幹細胞は場の硬さ等の細胞外微小環境の状態を、F-actinの伸展/収縮と転写共役制御因子YAP/TAZの核内外移行によるメカノシグナルによって感知・応答する。YAP/TAZメカノシグナルが低下した状態にあるMSCsは、高い抗炎症能・免疫制御能を発揮する。
【
図2】YAP siRNAおよび/またはTAZ siRNAを導入したMSCsのIDO mRNAおよびTNFAIP6 mRNA発現。TNF-α刺激により、IDO mRNAおよびTNFAIP6 mRNAの発現量はさらに増強された。
【
図3】YAP siRNAおよび/またはTAZ siRNAを導入したMSCsのIDO mRNAおよびTNFAIP6 mRNA発現。IFN-γ刺激により、IDO mRNAおよびTNFAIP6 mRNAの発現量はさらに増強された。
【
図4】YAP siRNAおよびTAZ siRNA(YAP/TAZ siRNAs)を導入したiPS細胞由来のMSCsのIDO mRNAおよびTNFAIP6 mRNA発現。TNF-α刺激により、IDO mRNAおよびTNFAIP6 mRNAの発現量はさらに増強された。
【
図5】TEAD siRNA導入MSCsのIDO mRNAおよびTNFAIP6 mRNA発現。TNF-α刺激により、IDO mRNAおよびTNFAIP6 mRNAの発現量はさらに増強された。TEAD siRNA導入MSCsのIDO mRNAおよびTNFAIP6 mRNA発現は、YAP siRNAおよびTAZ siRNAを導入したMSCsと同程度であった。
【
図6】F-アクチン進展阻害剤であるY27632またはブレビスタチン(Blebbist)を添加したMSCsのIDO mRNAおよびTNFAIP6 mRNA発現。TNF-α刺激により、IDO mRNAおよびTNFAIP6 mRNAの発現量はさらに増強された。
【
図7】YAP/TAZ siRNAs導入MSCsの培養上清(CM)のM1マクロファージ抑制効果。YAP/TAZ siRNAs導入MSCsの培養上清(CM)は、CD86
+マクロファージおよびCD80
+マクロファージの存在率を低下させた。
【
図8】YAP/TAZ siRNAs導入MSCsの培養上清(CM)のM1マクロファージ抑制効果。YAP/TAZ siRNAs導入MSCsの培養上清(CM)は、M1マクロファージの活性を低下させた。
【
図9】YAP/TAZ siRNAs導入MSCsとT細胞の非接触共培養の模式図。
【
図10】YAP/TAZ siRNAs導入MSCsのT細胞抑制効果。YAP/TAZ siRNAs導入MSCsとの共培養は、CD3/CD28刺激によるT細胞の活性化を抑制した。
【
図11】TEAD siRNAまたはYAP/TAZ siRNAsを導入したMSCsとT細胞の非接触共培養の模式図。
【
図12】TEAD siRNA導入MSCsのT細胞抑制効果。TEAD siRNA導入MSCsとの共培養は、CD3/CD28刺激によるT細胞の活性化を抑制した。
【
図13】YAP/TAZ siRNAs導入MSCsの敗血症ショックに対する保護効果。YAP/TAZ siRNAs導入MSCsの投与は敗血症を軽快させた。
【
図14】TEAD siRNA導入MSCsの大腸炎に対する保護効果。TEAD siRNA導入MSCsの投与はマウス大腸炎モデルの体重減少を抑制した。
【
図15】TEAD siRNA導入MSCsの大腸炎に対する保護効果。TEAD siRNA導入MSCsの投与はマウス大腸炎モデルの大腸の短縮を抑制した。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示では、数値が「約」の用語を伴う場合、その値の±10%の範囲を含むことを意図する。例えば、「約20」は「18~22」を含むものとする。数値の範囲は、両端点の間の全ての数値および両端点の数値を含む。範囲に関する「約」は、その範囲の両端点に適用される。従って、例えば「約20~30」は「18~33」を含むものとする。
【0016】
抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清の製造方法
本願は、間葉系幹細胞をYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養することを含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清の製造方法を提供する。
【0017】
本願において、間葉系幹細胞の由来となる動物に制限はなく、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、サル、オランウータン、チンパンジー、イヌ、ネコ、ヒトなどの哺乳動物が挙げられ、好ましくは霊長類、より好ましくはヒトである。間葉系幹細胞は、例えば、骨髄、脂肪、臍帯、神経、歯肉、歯髄、末梢血、皮膚、毛根、筋組織、子宮内膜、胎盤、または多能性幹細胞に由来し得る。間葉系幹細胞は、公知の方法により上記の組織から分離され得る。例えば、間葉系幹細胞は、骨髄または脂肪などの組織から間葉系幹細胞のマーカーを指標としてフローサイトメトリーまたはFACSにより分離できる。間葉系幹細胞は、市販品を使用してもよい。骨髄由来間葉系幹細胞は、例えばLonza社から購入できる。
【0018】
多能性幹細胞から間葉系幹細胞を誘導する方法は知られており、公知のいずれの方法を用いてもよい。例えば、Kamiyaらの方法(Kamiya et al., 2020 Sneak Peek, http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.3741231)が使用できる。多能性幹細胞の例としては、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性幹細胞(ES細胞)、核移植により得られるクローン胚由来の胚性幹細胞(ntES細胞)、精子幹細胞(GS細胞)、胚性生殖細胞(EG細胞)、培養線維芽細胞や骨髄幹細胞由来の多能性細胞(Muse細胞)などが挙げられるが、これらに限定されない。多能性幹細胞は、好ましくはES細胞またはiPS細胞である。多能性幹細胞は従来公知の方法によって作製されてもよいし、一般に入手可能な細胞株を使用してもよい。
【0019】
ある実施形態において、間葉系幹細胞は、骨髄、脂肪、胚性幹細胞または人工多能性幹細胞に由来する。ある実施形態において、間葉系幹細胞は、骨髄由来間葉系幹細胞または脂肪組織由来間葉系幹細胞である。
【0020】
本願において、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞は、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養する前の間葉系幹細胞と比較して抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞を意味する。抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞であることは、抗炎症および免疫制御に関連する遺伝子またはYAP/TAZメカノシグナルカスケード関連遺伝子の発現量を測定することにより確認できる。抗炎症および免疫制御に関連する遺伝子としては、限定されないが、TNFAIP6遺伝子、IDO遺伝子、IL-10遺伝子、PGES遺伝子、COX-2遺伝子、TGF-β遺伝子、IGFBP3遺伝子、SDF-1遺伝子、PDL-1遺伝子、PDL-2遺伝子、およびIL-15遺伝子が挙げられる。抗炎症および免疫制御に関連する遺伝子は、例えばTNFAIP6遺伝子またはIDO遺伝子である。YAP/TAZメカノシグナルカスケード関連遺伝子としては、限定されないが、YAP/TAZの標的遺伝子であるCTGF遺伝子、CYR61遺伝子、およびANKDR遺伝子が挙げられる。YAP/TAZメカノシグナルカスケード関連遺伝子は、例えばCTGF遺伝子である。
【0021】
ある実施形態において、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞は、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養する前の間葉系幹細胞と比較してTNFAIP6遺伝子の発現量が増加している。抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞は、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養する前の間葉系幹細胞と比較して、例えば2~10倍のTNFAIP6 mRNA発現量を有する。
【0022】
ある実施形態において、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞は、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養する前の間葉系幹細胞と比較してIDO遺伝子の発現量が増加している。抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞は、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養する前の間葉系幹細胞と比較して、例えば2~5倍のIDO mRNA発現量を有する。
【0023】
ある実施形態において、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞は、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養する前の間葉系幹細胞と比較してCTGF遺伝子の発現量が低下している。抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞は、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養する前の間葉系幹細胞と比較して、例えば10~100倍のCTGF mRNA発現量を有する。
【0024】
各遺伝子の発現は当分野で周知の方法により確認できる。例えば、mRNAの発現を定量PCR(qPCR)、RT-PCR、リアルタイムRT-PCR、マイクロアレイ、またはノーザンブロッティングにより確認してもよく、タンパク質の発現をフローサイトメトリー、ELISA、抗体免疫沈降法、ウエスタンブロッティング、または質量分析法により確認してもよい。
【0025】
本願において、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞の培養上清は、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞の培養液から該間葉系幹細胞を除去したものを意味する。培養上清は、当業者に公知の手法により回収できる。培養上清は、例えばスポイトやピペットなどで培養液を吸引することにより回収され得る。あるいは、間葉系幹細胞を含む培養液を遠心処理し、かつ/または適当な孔径のフィルターにより濾過することによって培養上清を回収してもよい。
【0026】
回収した培養上清は、適宜処理され得る。処理としては、例えば遠心処理、濃縮、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、希釈、脱塩および保存などが挙げられる。本明細書において、培養上清には、回収された培養上清および1以上の処理がなされた培養上清が含まれる。
【0027】
本願において、培地は動物細胞の培養に用いられる基礎培地に必要な因子を適宜添加して調製され得る。基礎培地としては、例えばIMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium(EMEM)培地、αMEM培地、MEM Zinc Option培地、IMEM Zinc Option培地、Dulbecco's modified Eagle's Medium(DMEM)培地、DMEM/F12培地、Ham's F12培地、RPMI 1640培地、Fischer's培地、およびこれらの混合培地などが包含される。基礎培地には、血清(例えば、ウシ胎児血清(FBS))が含有されていてもよいし、または無血清でもよい。必要に応じて、例えばアルブミン、トランスフェリン、KnockOut Serum Replacement(KSR)(ES細胞培養時の血清代替物)(Thermo Fisher Scientific)、N2サプリメント(Thermo Fisher Scientific)、B27サプリメント(Thermo Fisher Scientific)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3’-チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、GlutaMAX(Thermo Fisher Scientific)、非必須アミノ酸(NEAA)、ビタミン、増殖因子、抗生物質(例えば、ストレプトマイシン、ペニシリン、ピューロマイシン、マイトマイシン)、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類およびこれらの同等物などの1つ以上の物質、あるいはその他の通常動物培養用培地に添加される1つ以上の物質を含有し得る。本願で使用される基礎培地は、例えばDMEM培地であり得る。
【0028】
YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤は、YAP/TAZメカノシグナルカスケードを阻害する物質であれば特に限定されない。「YAP/TAZメカノシグナルカスケード」は、足場の硬さなどの機械的刺激がアクチンの伸展または重合を促進し、これによりYAPまたはTAZが核内に移行してTEADなどの転写因子と相互作用するという一連のシグナル伝達を指す。YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤としては、例えばYAP阻害剤、TAZ阻害剤、TEAD阻害剤、YAPまたはTAZとTEADの相互作用を阻害する物質、およびアクチン進展または重合阻害剤が挙げられる。また、細胞外基質を感知するためのインテグリン受容体阻害剤または抗インテグリン抗体も含まれる。
【0029】
YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤は培地中に添加されていてもよく、間葉系幹細胞中に導入されていてもよい。YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤が培地中に添加されている場合、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の濃度は、使用するYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤に応じて当業者が適宜選択可能である。
【0030】
YAP阻害剤、TAZ阻害剤またはTEAD阻害剤は、それぞれYAP、TAZまたはTEADを阻害する物質であれば特に限定されない。TEADとしてはTEAD1、TEAD2、TEAD3およびTEAD4が知られているが、TEAD阻害剤はTEAD1、TEAD2、TEAD3およびTEAD4のいずれかを阻害する物質であればよく、TEAD1を阻害する物質が好ましい。YAP阻害剤、TAZ阻害剤またはTEAD阻害剤は、それぞれYAP、TAZまたはTEADの発現を抑制する核酸分子であり得る。
【0031】
YAP阻害剤は、YAP遺伝子の発現を抑制する核酸分子であり得る。YAP阻害剤には、例えばYAP siRNA、YAP shRNA、およびYAP遺伝子のアンチセンス核酸が含まれる。
【0032】
siRNAは、標的とするmRNAの一部または全部と相補的な配列を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)と、それに相補的な配列を有するRNA鎖(センス鎖)とから構成される二本鎖RNAである。アンチセンス鎖は、標的とするmRNAの発現阻害効果が得られる限り、標的遺伝子と完全に相補的でなくてもよい。siRNAは、一本鎖の部分(オーバーハング)を含み得る。
【0033】
shRNAは、標的とするmRNAの一部または全部と相補的な配列を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)と、それに相補的な配列を有するRNA鎖(センス鎖)とが短いスペーサー配列によって連結された一本鎖RNAである。アンチセンス鎖は、標的とするmRNAの発現阻害効果が得られる限り、標的遺伝子と完全に相補的でなくてもよい。
【0034】
アンチセンス核酸は、標的遺伝子の一部または全部に相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸である。アンチセンス核酸は、標的遺伝子の発現阻害効果が得られる限り、標的遺伝子と完全に相補的でなくてもよい。アンチセンス核酸は、DNA、RNAまたはDNA-RNAキメラであり得る。
【0035】
siRNA、shRNAおよびアンチセンス核酸は、当分野で公知の手法により設計および合成され得る。例えば、標的遺伝子の塩基配列情報に基づき、siRNA、shRNAおよびアンチセンス核酸の塩基配列を常法により設計した後、該設計に基づいて公知の核酸合成反応により合成できる。siRNA、shRNAおよびアンチセンス核酸の塩基配列の設計には、例えばsiSNIPERまたはmiRDeep2が使用できる。
【0036】
siRNA、shRNAおよびアンチセンス核酸を構成するヌクレオチド分子は、安定性や活性を向上させるために、種々の化学修飾を含んでいてもよい。例えば、ヌクレアーゼなどの加水分解酵素による分解を防ぐために、リン酸残基を、例えばホスホロチオエート(PS)、メチルホスホネート、ホスホロジチオネートなどの化学修飾リン酸残基に置換してもよい。また、少なくとも一部をペプチド核酸(PNA)などの核酸類似体により構成してもよい。
【0037】
ヒトYAP遺伝子のmRNA配列として、例えばNCBI Reference Sequence: NM_001130145.3(配列番号1)に示される塩基配列が挙げられる。YAP siRNA、YAP shRNA、およびYAP遺伝子のアンチセンス核酸は、例えばNCBI Reference Sequence: NM_001130145.3に示される塩基配列に基づいて常法により設計および合成され得る。ある実施形態において、YAP阻害剤は、YAP siRNAまたはYAP shRNAである。
【0038】
YAP阻害剤は、例えば配列番号1の一部と相補的な配列を有する15~30ヌクレオチドのRNA鎖を含むYAP siRNAまたはYAP shRNAであり得る。YAP阻害剤は、YAP遺伝子の発現を阻害できる限り、配列番号1の一部と相補的な配列において1~5個、1~3個、例えば1または2個の改変を含む配列を有する15~30ヌクレオチドのRNA鎖を含むYAP siRNAまたはYAP shRNAであり得る。本明細書において、「改変」は、塩基の置換、欠失、付加、挿入またはこれらの組み合わせを意味する。ある実施形態において、配列番号1の一部と相補的な配列は、配列番号3の1位~19位の配列である。
【0039】
YAP siRNAのセンス鎖は、例えば配列番号2の1位~19位の配列を含み得る。YAP siRNAがYAP遺伝子の発現を阻害できる限り、YAP siRNAのセンス鎖は配列番号2の1位~19位の配列において1~5個、1~3個、例えば1または2個の改変を含む配列を含み得る。YAP siRNAのセンス鎖はさらに、3’末端にDNAオーバーハング(例えば、dTdT)を含んでよい。
【0040】
YAP siRNAのアンチセンス鎖は、例えば配列番号3の1位~19位の配列を含み得る。YAP siRNAがYAP遺伝子の発現を阻害できる限り、YAP siRNAのアンチセンス鎖は配列番号3の1位~19位の配列において1~5個、1~3個、例えば1または2個の改変を含む配列を含み得る。YAP siRNAのアンチセンス鎖はさらに、3’末端にDNAオーバーハング(例えば、dTdT)を含んでよい。
【0041】
ある実施形態において、YAP siRNAは、配列番号2の1位~19位の配列または配列番号2の1位~19位の配列において1~5個、1~3個、例えば1または2個の改変を含む配列を含むセンス鎖、および配列番号3の1位~19位の配列または配列番号3の1位~19位の配列において1~5個、1~3個、例えば1もしくは2個の改変を含む配列を含むアンチセンス鎖からなる。ある実施形態において、YAP siRNAは、配列番号2の1位~19位の配列を含むセンス鎖、および配列番号3の1位~19位の配列を含むアンチセンス鎖からなる。ある実施形態において、YAP siRNAは、配列番号2に示される配列からなるセンス鎖、および配列番号3に示される配列からなるアンチセンス鎖からなる。
【0042】
TAZ阻害剤は、TAZ遺伝子の発現を抑制する核酸分子であり得る。TAZ阻害剤には、例えば、TAZ siRNA、TAZ shRNA、およびTAZ遺伝子のアンチセンス核酸が含まれる。ヒトTAZ遺伝子のmRNA配列として、例えばNCBI Reference Sequence: NM_001168278.3(配列番号4)に示される塩基配列が挙げられる。TAZ siRNA、TAZ shRNA、およびTAZ遺伝子のアンチセンス核酸は、例えばNCBI Reference Sequence: NM_001168278.3に示される塩基配列に基づいて常法により設計および合成され得る。ある実施形態において、TAZ阻害剤は、TAZ siRNAまたはTAZ shRNAである。
【0043】
TAZ阻害剤は、例えば配列番号4の一部と相補的な配列を有する15~30ヌクレオチドのRNA鎖を含むTAZ siRNAまたはTAZ shRNAであり得る。TAZ阻害剤は、TAZ遺伝子の発現を阻害できる限り、配列番号4の一部と相補的な配列において1~5個、1~3個、例えば1または2個の改変を含む配列を有する15~30ヌクレオチドのRNA鎖を含むTAZ siRNAまたはTAZ shRNAであり得る。本明細書において、「改変」は、塩基の置換、欠失、付加、挿入またはこれらの組み合わせを意味する。ある実施形態において、配列番号4の一部と相補的な配列は、配列番号6の1位~19位の配列である。
【0044】
TAZ siRNAのセンス鎖は、例えば配列番号5の1位~19位の配列を含み得る。TAZ siRNAがTAZ遺伝子の発現を阻害できる限り、TAZ siRNAのセンス鎖は配列番号5の1位~19位の配列において1~5個、1~3個、例えば1または2個の改変を含む配列を含み得る。TAZ siRNAのセンス鎖はさらに、3’末端にDNAオーバーハング(例えば、dTdT)を含んでよい。
【0045】
TAZ siRNAのアンチセンス鎖は、例えば配列番号6の1位~19位の配列を含み得る。TAZ siRNAがTAZ遺伝子の発現を阻害できる限り、TAZ siRNAのアンチセンス鎖は配列番号6の1位~19位の配列において1~5個、1~3個、例えば1または2個の改変を含む配列を含み得る。TAZ siRNAのアンチセンス鎖はさらに、3’末端にDNAオーバーハング(例えば、dTdT)を含んでよい。
【0046】
ある実施形態において、TAZ siRNAは、配列番号5の1位~19位の配列または配列番号5の1位~19位の配列において1~5個、1~3個、例えば1または2個の改変を含む配列を含むセンス鎖、および配列番号6の1位~19位の配列または配列番号6の1位~19位の配列において1~5個、1~3個、例えば1もしくは2個の改変を含む配列を含むアンチセンス鎖からなる。ある実施形態において、TAZ siRNAは、配列番号5の1位~19位の配列を含むセンス鎖、および配列番号6の1位~19位の配列を含むアンチセンス鎖からなる。ある実施形態において、TAZ siRNAは、配列番号5に示される配列からなるセンス鎖、および配列番号6に示される配列からなるアンチセンス鎖からなる。
【0047】
TEAD阻害剤は、TEAD遺伝子の発現を抑制する核酸分子であり得る。TEAD阻害剤には、例えば、TEAD siRNA、TEAD shRNA、およびTEAD遺伝子のアンチセンス核酸が含まれる。ヒトTEAD1遺伝子のmRNA配列として、例えばNCBI Reference Sequence: NM_021961.6(配列番号7)に示される塩基配列が挙げられる。TEAD siRNA、TEAD shRNA、およびTEAD遺伝子のアンチセンス核酸は、例えばNCBI Reference Sequence: NM_021961.6に示される塩基配列に基づいて常法により設計および合成され得る。ある実施形態において、TEAD阻害剤は、TEAD siRNAまたはTEAD shRNAである。
【0048】
TEAD阻害剤は、例えば配列番号7の一部と相補的な配列を有する15~30ヌクレオチドのRNA鎖を含むTEAD siRNAまたはTEAD shRNAであり得る。TEAD阻害剤は、TEAD遺伝子の発現を阻害できる限り、配列番号7の一部と相補的な配列において1~5個、1~3個、例えば1または2個の改変を含む配列を有する15~30ヌクレオチドのRNA鎖を含むTEAD siRNAまたはTEAD shRNAであり得る。本明細書において、「改変」は、塩基の置換、欠失、付加、挿入またはこれらの組み合わせを意味する。ある実施形態において、配列番号7の一部と相補的な配列は、配列番号9の1位~21位の配列である。
【0049】
TEAD siRNAのセンス鎖は、例えば配列番号8の1位~21位の配列を含み得る。TEAD siRNAがTEAD遺伝子の発現を阻害できる限り、TEAD siRNAのセンス鎖は配列番号8の1位~21位の配列において1~5個、1~3個、例えば1または2個の改変を含む配列を含み得る。TEAD siRNAのセンス鎖はさらに、3’末端にDNAオーバーハング(例えば、dTdT)を含んでよい。
【0050】
TEAD siRNAのアンチセンス鎖は、例えば配列番号9の1位~21位の配列を含み得る。TEAD siRNAがTEAD遺伝子の発現を阻害できる限り、TEAD siRNAのアンチセンス鎖は配列番号9の1位~21位の配列において1~5個、1~3個、例えば1または2個の改変を含む配列を含み得る。TEAD siRNAのアンチセンス鎖はさらに、3’末端にDNAオーバーハング(例えば、dTdT)を含んでよい。
【0051】
ある実施形態において、TEAD siRNAは、配列番号8の1位~21位の配列または配列番号8の1位~21位の配列において1~5個、1~3個、例えば1または2個の改変を含む配列を含むセンス鎖、および配列番号9の1位~21位の配列または配列番号9の1位~21位の配列において1~5個、1~3個、例えば1もしくは2個の改変を含む配列を含むアンチセンス鎖からなる。ある実施形態において、TEAD siRNAは、配列番号8の1位~21位の配列を含むセンス鎖、および配列番号9の1位~21位の配列を含むアンチセンス鎖からなる。ある実施形態において、TEAD siRNAは、配列番号8に示される配列からなるセンス鎖、および配列番号9に示される配列からなるアンチセンス鎖からなる。
【0052】
YAPまたはTAZとTEADの相互作用を阻害する物質としては、例えば、ベルテポルフィン、CA3、YAP-TEAD Inhibitor 1、(R)-PFI 2 hydrochloride、およびSuper-TDUが挙げられる。
【0053】
アクチン進展または重合阻害剤は、アクチンの進展または重合を阻害する物質であれば特に限定されず、例えば、ROCK阻害剤であるY27632、ブレビスタチン、サイトカラシンD、ラトランキュリン、およびミカロライドBが挙げられる。アクチン進展または重合阻害剤は、例えばY27632またはブレビスタチンである。Y27632が培地中に添加される場合、その濃度は、1nM~100μM、10nM~50μM、100nM~20μM、1μM~10μMであり得、例えば約5μMである。ブレビスタチンが培地中に添加される場合、その濃度は、1nM~100μM、10nM~100μM、100nM~50μM、1μM~20μMであり得、例えば約10μMである。
【0054】
ある実施形態において、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤は間葉系幹細胞中に導入されている。YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤を導入する手段としては、公知の方法を使用することができる。YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤が核酸分子である場合、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤をコードする発現ベクターを自体公知の方法により細胞中に導入してもよい。発現ベクターの種類は、特に限定されず、公知の発現ベクターを使用できる。発現ベクターとしては、例えば、エピソーマルベクター、人工染色体ベクター、プラスミドベクターおよびウイルスベクターが挙げられる。
【0055】
発現ベクターを体細胞内に導入する自体公知の方法としては、ウイルスベクターについては感染法、プラスミドベクターについてはリン酸カルシウム法、リポフェクション法、レトロネクチン法またはエレクトロポレーション法などが例示される。
【0056】
あるいは、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤が核酸分子である場合、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、またはエレクトロポレーション法によりYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤を細胞中に導入してもよい。
【0057】
YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤がタンパク質である場合、例えばタンパク質の直接注入法(例えば、針を用いた方法、リポフェクション法、またはエレクトロポレーション法)により、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤を細胞中に導入できる。
【0058】
ある実施形態において、間葉系幹細胞を培養する培地は、プライミング剤をさらに含み得る。プライミング剤は、間葉系幹細胞の抗炎症能および免疫制御能を向上させる物質であれば特に限定されない。プライミング剤としては、IFN-γ、TNF-α、IL-1、IL-6、IL-8、IL-12およびIL-18などの炎症性サイトカインが挙げられる。プライミング剤は、例えばIFN-γまたはTNF-αである。プライミング剤がIFN-γである場合、その培地中の濃度は、10pg/ml~10μg/ml、100pg/ml~1μg/ml、1ng/ml~100ng/mlであり得、例えば約10ng/mlである。プライミング剤がTNF-αである場合、その培地中の濃度は、10pg/ml~10μg/ml、100pg/ml~1μg/ml、1ng/ml~100ng/mlであり得、例えば約10ng/mlである。
【0059】
ある実施形態において、間葉系幹細胞は接着培養され得る。本願において、「接着培養」とは細胞が培養基材に接着した状態で培養されることを意味する。例えば、接着培養はコーティング処理された培養容器において行われ得る。コーティング剤としては、マトリゲル(BD)、Synthemax(Corning)、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン(ラミニン-511、ラミニン-111、ラミニン-411など)、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、エンタクチン、これらの断片およびこれらの組合せが例示される。
【0060】
培養期間は特に限定されないが、例えば1時間~14日である。ある実施形態において、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞を製造するための培養期間は、1時間~14日、2時間~10日、3時間~7日、5時間~5日、または12時間~3日であり得、例えば約1日である。ある実施形態において、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞の培養上清を製造するための培養期間は、1~7日、1~6日、1~5日、1~4日、1~3日、または1~2日であり得、例えば約1日である。
【0061】
培養温度は、以下に限定されないが、約30~40℃、例えば約37℃であり、CO2含有空気の雰囲気下で培養が行われ、CO2濃度は例えば約2~5%である。
【0062】
間葉系幹細胞の抗炎症能および免疫制御能を改善する方法
本願はまた、間葉系幹細胞をYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養することを含む、間葉系幹細胞の抗炎症能および免疫制御能を改善する方法を提供する。本態様で用いられるYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の例は、上述した通りである。その他の培養条件も上述した通りである。
【0063】
組成物
本願はまた、本願の方法により製造された抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清を含む組成物を提供する。ある実施形態において、本願の組成物は抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞を含む。
【0064】
本願はまた、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤またはYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤をコードする発現ベクターが導入された間葉系幹細胞を含む組成物を提供する。YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤および発現ベクターの例は、上述の通りである。
【0065】
本願の組成物は、炎症性免疫疾患を処置するために使用され得る。間葉系幹細胞は、移植片対宿主病(GVHD)の治療薬として承認されており(テムセル(登録商標))、敗血症、腸炎、肝炎、腎炎、関節リウマチなどの炎症性免疫疾患に有効であることも知られている(Song N, et al., Trends in Pharmacological Sciences. 2020; 41: 653-664.)。炎症性免疫疾患としては、例えば、敗血症、腸炎、肝炎、腎炎、移植片対宿主病(GVHD)、関節リウマチ、全身性炎症性疾患、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、免疫介在性血小板減少症、免疫介在性溶血性貧血、糖尿病、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、膠原病、ステロイド反応性髄膜動脈炎、多発性硬化症、乾癬、自己免疫性水疱症、多発性関節炎、肺炎、感染性骨髄炎、歯周炎、などが挙げられる。ある実施形態において、炎症性免疫疾患は、敗血症、腸炎、肝炎、腎炎、移植片対宿主病(GVHD)、および関節リウマチからなる群から選択される。
【0066】
本願の組成物はまた、脊髄損傷または虚血性疾患を処置するために使用され得る。間葉系幹細胞は、脊髄損傷の治療薬として承認されており(ステミラック(登録商標))、脊髄損傷の処置に使用できることが知られている。また、間葉系幹細胞は細胞保護効果を有するため、虚血性疾患の処置に使用できることが示唆されている。虚血性疾患は例えば、狭心症、心筋梗塞または脳梗塞である。
【0067】
本願の組成物は、凍結されていてもよい。細胞および培養上清の凍結および融解方法には、公知の方法が使用できる。本願の組成物が間葉系幹細胞を含む場合、本願の組成物は例えばDMSO、グリセロール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、アルブミン、デキストラン、スクロースなどの凍結保護剤を含み得る。
【0068】
本願の組成物は、薬学的に許容され得る担体または添加物などを含有してもよい。このような担体または添加物としては、例えば、等張化剤、増粘剤、糖類、保存剤、pH調節剤、安定化剤、ゲル基剤、湿潤剤、懸濁化剤、賦形剤、緩衝剤および抗酸化剤などが挙げられる。具体的な担体または添加物としては、特に限定されないが、注射用水、生理食塩液、5%ブドウ糖液、リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液、アミノ酸液などが挙げられる。薬学的に許容され得る担体または添加物は、一種を用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0069】
本願の組成物は、例えば、注射剤、液剤、経口剤、貼付剤、移植用製剤およびゲル製剤などであってもよい。
【0070】
本願の組成物の投与経路は、例えば、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、動脈内投与、リンパ系投与、髄腔内投与、腹腔内投与、経直腸投与、経腟投与、経皮投与、インプラント、臓器への直接投与、局所への移植が挙げられるが、好ましくは静脈内投与である。
【0071】
本願の組成物の投与量および投与回数は、有効量の有効成分が対象に投与されるように、投与対象の動物種、投与対象の健康状態、年齢、体重、投与経路および投与形態などに応じて当業者が適宜設定できる。例えば、本願の組成物は、1日1回から数回、または1日もしくは数日または1週間もしくは数週間に1回から数回、例えば1~4週間に1回投与することができるが、これに限定されない。ある状況での有効量は、日常的な実験によって容易に決定することができ、通常の臨床医の技術および判断の範囲内である。例えば、本願の組成物が間葉系幹細胞を含む場合、特に限定されないが、有効量は、間葉系幹細胞の細胞数として104個/kg体重以上、105個/kg体重以上、106個/kg体重以上、または2×106個/kg体重以上であり得、例えば約104個/kg体重~約2×106個/kg体重である。
【0072】
本明細書で使用されるとき、「処置する」または「処置」は、疾患を有する対象において、疾患の原因を軽減または除去すること、その進行を遅延または停止させること、および/または、その症状を軽減、緩和、改善または除去することを意味する。
【0073】
疾患の処置の対象としては、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、サル、オランウータン、チンパンジー、イヌ、ネコ、ヒトなどの哺乳動物が挙げられ、好ましくは霊長類、より好ましくはヒトである。
【0074】
別の態様において、本願はまた、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤を含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞を製造するための組成物を提供する。本態様で用いられるYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の例は、上述した通りである。本態様の組成物は、プライミング剤をさらに含んでもよく、プライミング剤と併用されてもよい。プライミング剤の例は、上述の通りである。
【0075】
本態様において、本組成物は薬学的に許容され得る担体または添加物などを含有してもよい。このような担体または添加物としては、例えば、等張化剤、増粘剤、糖類、糖アルコール類、保存剤、殺菌剤、抗菌剤、pH調節剤、安定化剤、キレート剤、油性基剤、ゲル基剤、湿潤剤、界面活性剤、懸濁化剤、結合剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、発泡剤、流動化剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、溶解補助剤、および抗酸化剤などが挙げられる。薬学的に許容され得る担体または添加物は、一種を用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0076】
キット
本願はまた、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤および間葉系幹細胞を含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞を製造するためのキットを提供する。
【0077】
本態様で用いられるYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤および間葉系幹細胞の例は、上述した通りである。本願のキットはまた、プライミング剤をさらに含んでもよく、プライミング剤と併用されてもよい。プライミング剤の例は、上述の通りである。本願のキットはさらに、緩衝液、反応容器、取扱説明書などを含んでいてもよい。
【0078】
治療方法
本願はまた、本願の方法により製造された抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清を、それを必要とする対象に投与することを含む、炎症性免疫疾患、脊髄損傷または虚血性疾患の治療方法を提供する。本願はまた、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤またはYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤をコードする発現ベクターが導入された間葉系幹細胞を、それを必要とする対象に投与することを含む、炎症性免疫疾患、脊髄損傷または虚血性疾患の治療方法を提供する。炎症性免疫疾患および虚血性疾患の例は、上述した通りである。
【0079】
本願はまた、炎症性免疫疾患、脊髄損傷または虚血性疾患を処置するための医薬組成物の製造のための、本願の方法により製造された抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清の使用を提供する。本願はまた、炎症性免疫疾患、脊髄損傷または虚血性疾患を処置するための医薬組成物の製造のための、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤またはYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤をコードする発現ベクターが導入された間葉系幹細胞の使用を提供する。炎症性免疫疾患および虚血性疾患の例は、上述した通りである。
【0080】
本願は、例えば、下記の実施態様を提供する。
[1]
間葉系幹細胞をYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養することを含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清の製造方法。
[2]
YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤が、YAP阻害剤、TAZ阻害剤、TEAD阻害剤、およびアクチン進展または重合阻害剤からなる群から選択される、前記[1]に記載の方法。
[3]
YAP阻害剤が、YAP siRNAまたはYAP shRNAである、前記[2]に記載の方法。
[4]
TAZ阻害剤が、TAZ siRNAまたはTAZ shRNAである、前記[2]に記載の方法。
[5]
TEAD阻害剤が、TEAD siRNAまたはTEAD shRNAである、前記[2]に記載の方法。
[6]
アクチン進展または重合阻害剤が、Y27632またはブレビスタチンである、前記[2]に記載の方法。
[7]
間葉系幹細胞が、骨髄、脂肪、臍帯、神経、歯肉、歯髄、末梢血、皮膚、毛根、筋組織、子宮内膜、胎盤、または多能性幹細胞に由来する、前記[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]
前記[1]~[7]のいずれかに記載の方法により製造された抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清を含む組成物。
[9]
間葉系幹細胞を含む、前記[8]に記載の組成物。
[10]
YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤またはYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤をコードする発現ベクターが導入された間葉系幹細胞を含む組成物。
[11]
炎症性免疫疾患を処置するための、前記[8]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]
炎症性免疫疾患が、敗血症、腸炎、肝炎、腎炎、移植片対宿主病、および関節リウマチからなる群から選択される、前記[11]に記載の組成物。
[13]
脊髄損傷または虚血性疾患を処置するための、前記[8]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[14]
間葉系幹細胞をYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤の存在下で培養することを含む、間葉系幹細胞の抗炎症能および免疫制御能を改善する方法。
[15]
YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤を含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞を製造するための組成物。
[16]
YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤および間葉系幹細胞を含む、抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞を製造するためのキット。
【0081】
[17]
前記[1]~[7]のいずれかに記載の方法により製造された抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清を、それを必要とする対象に投与することを含む、炎症性免疫疾患、脊髄損傷または虚血性疾患の治療方法。
[18]
YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤またはYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤をコードする発現ベクターが導入された間葉系幹細胞を、それを必要とする対象に投与することを含む、炎症性免疫疾患、脊髄損傷または虚血性疾患の治療方法。
[19]
炎症性免疫疾患が、敗血症、腸炎、肝炎、腎炎、移植片対宿主病、および関節リウマチからなる群から選択される、前記[17]または[18]に記載の方法。
[20]
炎症性免疫疾患、脊髄損傷または虚血性疾患を処置するための医薬組成物の製造のための、前記[1]~[7]のいずれかに記載の方法により製造された抗炎症能および免疫制御能が改善された間葉系幹細胞またはその培養上清の使用。
[21]
炎症性免疫疾患、脊髄損傷または虚血性疾患を処置するための医薬組成物の製造のための、YAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤またはYAP/TAZメカノシグナルカスケード阻害剤をコードする発現ベクターが導入された間葉系幹細胞の使用。
[22]
炎症性免疫疾患が、敗血症、腸炎、肝炎、腎炎、移植片対宿主病、および関節リウマチからなる群から選択される、前記[20]または[21]に記載の使用。
【実施例0082】
以下に実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【0083】
[材料と方法]
1. 細胞培養
Lonza社から購入したヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)、もしくは、ヒトiPS細胞(1231A株:京都大学iPS細胞研究所)からKamiyaらの方法(Kamiya et al., 2020 Sneak Peek, http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.3741231)に従い誘導したMSCs(iMSCs)を24well 培養プレート(Corning社製)に0.5×105 cells/wellの細胞密度で播種し、10%Fetal bovine serum (FBS), 100U/ml penicillin, 100μg/ml streptomycin含有の DMEM High glucose(Sigma社)で5日間培養した。各種siRNA(10nM)の導入は、培養開始1日後に、トランスフェクション試薬RNAiMAX(Invitrogen社)を用いて行った。TNF-α(10ng/ml、peprotech)、IFN-γ(10ng/ml、peptrotech)、ROCK阻害剤であるY27632((5μM、Merck)、アクチン重合阻害剤であるブレビスタチン(10μM、Sigma)は培養開始4日後に添加した。各試薬の添加後、細胞を24時間培養し、培養終了時点でRNAを回収し、qPCRによって細胞保護因子TNFAIP6、免疫制御酵素IDOのmRNA発現量を定量した。もしくは培養終了時点の培養上清を回収し、マクロファージとの培養に供試した。もしくは、培養終了時点の細胞をTrypsin/EDTAを用いて回収し、T細胞との共培養、あるいはマウス敗血症モデルへの投与に用いた。
【0084】
2. siRNAs
本実施例で使用したsiRNAの配列は以下である:
YAP siRNA(センス鎖): GACAUCUUCUGGUCAGAGAdTdT(配列番号2)
YAP siRNA(アンチセンス鎖): UCUCUGACCAGAAGAUGUCdTdT(配列番号3)
TAZ siRNA(センス鎖): ACGUUGACUUAGGAACUUUdTdT(配列番号5)
TAZ siRNA(アンチセンス鎖): AAAGUUCCUAAGUCAACGUdTdT(配列番号6)
TEAD siRNA(センス鎖): GAUCAACUUCAUCCACAAGCUdTdT(配列番号8)
TEAD siRNA(アンチセンス鎖): AGCUUGUGGAUGAAGUUGAUCdTdT(配列番号9)
Control siRNA(センス鎖): UUCUCCGAACGUGUCACGUdTdT(配列番号10)。
Control siRNA(アンチセンス鎖): ACGUGACACGUUCGGAGAAdTdT(配列番号11)。
ここで、「dT」は、DNA鎖のチミン塩基(チミジン)を示す。
【0085】
3. qPCR
培養終了時の細胞からtotal RNAをRNA-isoを用いて回収した。ReverTraAce(東洋紡社製)にてcDNA合成後、SYBR green Master Mix (Roche社製)とTNFAIP6、IDO、または18S 特異プライマーを調整し、StepOne System(Applied Biosystems社)によってqPCRを行い、mRNA発現の定量化を行った。
【0086】
4. MSCs培養上清を用いたM1マクロファージ培養
ヒト単核球細胞株(THP-1:ATCC社)を24well 培養プレート(Corning社製)に0.5×105 cells/wellの細胞密度で播種し、Phorbol 12-myristate 13-acetate (PMA;324nM)と10%FBS含有のRPMI-1640 High glucose培地(FUJIFILM社製)で培養しマクロファージ誘導を開始した。培養2日後に、IFN-γ(50ng/ml)を添加しM1マクロファージ誘導を行った。IFN-γ添加1日後に、1の項目で得た培養上清に培地替えを行った。その2日後に、全細胞のtotal RNAを回収し、3の項目に記載した方法でTNF-1α mRNA発現量をqPCRにて定量した。もしくは、全細胞を回収し、フローサイトメトリー法にて、M1マクロファージの存在率を解析した。
【0087】
5.フローサイトメトリー法
上記4で回収した細胞に、マウス抗ヒトCD86 IgG(BD Biosciences社)、ウサギ抗ヒトCD80 IgG(BD Biosciences社)を作用させた後に、FITC標識ヤギ抗マウスIgG抗体(BD Biosciences社)、PE標識ヤギ抗ウサギIgG抗体(BD Biosciences社)を二次抗体として結合させた。PBSにて十分に洗浄後、FACScan flow cytometer(BD Biosciences社)によってCD86、CD80陽性細胞数の割合を定量した。
【0088】
6. MSCsとT細胞の共培養と、T細胞活性化度の定量
ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)を健常ドナーの静脈血から比重遠心分離法(Lymphoprep (AXS社))にて得た。得られたPBMCsを非接触共培養24well plate(THINCERT 24well pore 0.41μm (Greiner社))の下皿に1.0×106 cells/wellの細胞密度で播種し、10%FBS含有のRPMI-1640 High glucose培地(FUJIFILM社製)で培養した。さらに、T細胞誘導因子として、CD3/CD28抗体結合アガロースビーズ(ImmunoCult Human CD3/CD28 T cell activator (STEMCELL Technologies社))を添加した。上皿には、上記の項目1で得られたヒト骨髄由来MSCsを2.0×104 cells/wellで播種し、共培養を開始した。共培養3日後にBrdU(10μM)を添加し、その2時間後に下皿のT細胞を回収し、BrdUの取り込み量をCell Proliferation ELISA kit (Roche社)を用いたELISA法にて定量し、T細胞の活性化程度の評価を行った。
【0089】
7. マウス敗血症モデル
上記の項目1の培養条件で、control siRNA導入MSCsおよびYAP/TAZ siRNA導入MSCsをTrypsin/EDTAにて剥離・回収し、2.5×105 cells/200μlの細胞濃度になるようにPBSに懸濁した。オス8週齢のc57BL/6Jマウスに、16mg/kgの濃度で大腸菌Lipopolysaccharide(LPS(Sigma社))を腹腔内投与した。LPS投与1時間後に、上記の細胞懸濁液、もしくは同量のPBS 200μlを尾静脈から投与した。8時間ごとに、マウスの生存状態を観察した。
【0090】
8. マウス大腸炎モデル
上記の項目1の培養条件で、control siRNA導入MSCs及びTEAD siRNA導入MSCsをTrypsin/EDTAにて剥離・回収し、5.0×105 cells/100μlの細胞濃度になるようにPBSに懸濁した。オス8週齢のc57BL/6Jマウスに、4% Dextran sodium sulfate (DSS: MP Biomedicals社)となるように調整した滅菌蒸留水を、自由飲水させた。ネガティブコントロール群として、通常の滅菌蒸留水を飲水させる群を用意した。飲料水は2日ごとに交換した。DSS飲水開始2日後および4日後に、上述の細胞懸濁液100μlもしくは同量のPBSを尾静脈投与した。この実験系において、7日間マウスの体重測定を行い、7日目にマウスを屠殺し、大腸の状態を肉眼的に評価した。
【0091】
[結果]
ヒト骨髄由来MSCsにYAP siRNAおよび/またはTAZ siRNAを導入し、抗炎症・免疫制御を司る遺伝子群(TNFAIP6およびIDO)の発現についてqPCRで定量した。また、炎症性サイトカインIFN-γまたはTNF-α刺激に対する応答性も確認した。炎症性サイトカインの刺激は、生体内での炎症状態におけるサイトカインストームを再現する。したがって、炎症性サイトカイン刺激下においてTNFAIP6およびIDOの発現を定量することにより、炎症状態におけるMSCsの抗炎症能および免疫制御能を確認できる。その結果、YAP siRNAおよび/またはTAZ siRNAの導入によって、MSCsのTNFAIP6およびIDOの発現は上昇した。また、炎症性サイトカイン刺激により抗炎症・免疫制御関連遺伝子群の発現はさらに増加した(
図2および3)。これは、炎症状態においてYAP siRNAおよび/またはTAZ siRNAを導入したMSCsの応答性が高いことを示している。ここで、IFN-γ刺激下のIDOの発現量は、対照群と各種siRNAを導入した群との間で大きく変化しなかった(
図3左)。これは、IDOの発現量がIFN-γ刺激により大きく上昇したことで各種siRNAの導入による効果が観察できなくなったと考えられる。ヒトiPS細胞から誘導したiMSCsにおいても同様にTNFAIP6およびIDOの発現の上昇が確認された(
図4)。
【0092】
さらに、YAP/TAZの標的転写制御因子と知られるTEADに対するsiRNAを導入されたMSCsが、YAP/TAZ siRNA導入群と同等の性質を示した(
図5)。また同様の傾向が、ROCK阻害剤Y27632、もしくはF-アクチン重合阻害剤ブレビスタチン投与でも認められた(
図6)。ここで、ROCK阻害剤Y27632は、ROCK阻害によってF-actinを分解する。
【0093】
次に、YAP siRNAおよびTAZ siRNA(YAP/TAZ siRNAs)を導入したMSCsの培養上清の炎症性M1マクロファージ抑制効果を調べた。YAP/TAZ siRNAsを導入したMSCsの培養上清を用いてM1マクロファージを培養した結果、CD86
+マクロファージおよびCD80
+マクロファージの存在率が低下しており(
図7)、TNF-αの発現量も低下していた(
図8)。したがって、YAP/TAZ siRNAsを導入したMSCsの培養上清は、炎症性M1マクロファージの活性を抑制したことが確認された。
【0094】
また、YAP/TAZ siRNAsまたはTEAD siRNAを導入したMSCsのT細胞抑制効果を調べた。ヒトT細胞との共培養では、通常のMSCsと比較して、YAP/TAZ siRNAs導入MSCsが、T細胞の活性を阻害した(
図9および10)。さらに、TEAD siRNA導入MSCsも、T細胞の活性化を抑制した(
図11および12)。この結果は、YAP/TAZ siRNAsまたはTEAD siRNAを導入したMSCsが高い免疫制御能を有することを実証している。
【0095】
これらのことから、YAP/TAZメカノシグナルを阻害する培養法によって、抗炎症能・免疫制御能を高く発揮するMSCsを作製する本発明は、確実性の高い細胞治療法の実現可能性を示唆した。
【0096】
本願の方法で得られる高い抗炎症能・免疫制御能を発揮するMSCsは、重篤な炎症性免疫疾患に対する細胞治療薬として用いられることが想定される。そこで実験例として、c57BL6マウス腹腔内に大腸菌LPSを投与する敗血症ショックモデルに、YAP/TAZ siRNAsを導入したヒトMSCsを静脈内投与した。その結果、LPS誘導炎症性ショックに対して、control siRNAを導入したMSCsが保護効果を示したのに対して、YAP/TAZ siRNAs導入MSCsはさらに高い保護効果を発揮した(
図13)。
【0097】
さらに、c57BL6マウスにDSSを自由飲水させた大腸炎モデルに、TEAD siRNAを導入したヒトMSCsを静脈内投与した。その結果、DSS誘導性大腸炎に対して、control siRNA導入MSCsの投与では体重減少の抑制などの保護効果が得られなかったのに対して、TEAD siRNAを導入したMSCs投与が顕著な保護効果を示した(
図14および15)。
【0098】
これらの成果から、臨床応用の実施例として、敗血症・腸炎・劇症肝炎・GVHD・関節リウマチ等、重篤な炎症性免疫疾患に対する有効な細胞治療法として、YAP/TAZ siRNAs導入MSCsが応用可能であることが示唆された。具体的に述べると、本願のMSCsをT細胞と共培養すると、T細胞の活性が阻害された(
図9~12)。この結果は本願のMSCsが高い免疫制御能を有することを示しており、従って本願のMSCsがGVHDおよび関節リウマチなどの免疫疾患に有効であることを示唆している。また、本願のMSCsの培養上清を用いてM1マクロファージを培養したところ、炎症性M1マクロファージの活性が抑制された(
図7および8)。さらに、本願のMSCsを敗血症ショックモデルマウスに静脈内投与したところ、本願のMSCsはLPS誘導炎症性ショックに対して高い保護効果を発揮した(
図13)。これらの結果は本願のMSCsが炎症性マクロファージの活性を抑制することにより炎症に対する高い保護効果を有することを示しており、従って本願のMSCsが敗血症などの炎症性疾患に有効であることを示唆している。本願のMSCsはまた、DSS誘導性大腸炎に対しても高い保護効果を発揮した。この結果および上述の各実験結果は本願のMSCsが高い免疫制御能および炎症に対する保護効果を併せ持つことを示しており、本願のMSCsは腸炎、肝炎、腎炎、肺炎、感染性骨髄炎、および歯周炎などの疾患にも有効であることが示唆される。
【0099】
配列番号1(ヒトYAP遺伝子のmRNA配列)
ctcagtcgggcgcagccgccgccagggaaaagaaagggaggaaggaaggaacaagaaaaggaaataaagagaaaggggaggcggggaaaggcaacgagctgtccggcctccgtcaagggagttggagggaaaaagttctcaggcgccgcaggtccgagtgcctcgcagcccctcccgaggcgcagccgccagaccagtggagccggggcgcagggcgggggcggaggcgccggggcgggggatgcggggccgcggcgcagccccccggccctgagagcgaggacagcgccgcccggcccgcagccgtcgccgcttctccacctcggcccgtggagccggggcgtccgggcgtagccctcgctcgcctgggtcagggggtgcgcgtcgggggaggcagaagccatggatcccgggcagcagccgccgcctcaaccggccccccagggccaagggcagccgccttcgcagcccccgcaggggcagggcccgccgtccggacccgggcaaccggcacccgcggcgacccaggcggcgccgcaggcaccccccgccgggcatcagatcgtgcacgtccgcggggactcggagaccgacctggaggcgctcttcaacgccgtcatgaaccccaagacggccaacgtgccccagaccgtgcccatgaggctccggaagctgcccgactccttcttcaagccgccggagcccaaatcccactcccgacaggccagtactgatgcaggcactgcaggagccctgactccacagcatgttcgagctcattcctctccagcttctctgcagttgggagctgtttctcctgggacactgacccccactggagtagtctctggcccagcagctacacccacagctcagcatcttcgacagtcttcttttgagatacctgatgatgtacctctgccagcaggttgggagatggcaaagacatcttctggtcagagatacttcttaaatcacatcgatcagacaacaacatggcaggaccccaggaaggccatgctgtcccagatgaacgtcacagcccccaccagtccaccagtgcagcagaatatgatgaactcggcttcaggtcctcttcctgatggatgggaacaagccatgactcaggatggagaaatttactatataaaccataagaacaagaccacctcttggctagacccaaggcttgaccctcgttttgccatgaaccagagaatcagtcagagtgctccagtgaaacagccaccacccctggctccccagagcccacagggaggcgtcatgggtggcagcaactccaaccagcagcaacagatgcgactgcagcaactgcagatggagaaggagaggctgcggctgaaacagcaagaactgcttcggcaggcaatgcggaatatcaatcccagcacagcaaattctccaaaatgtcaggagttagccctgcgtagccagttaccaacactggagcaggatggtgggactcaaaatccagtgtcttctcccgggatgtctcaggaattgagaacaatgacgaccaatagctcagatcctttccttaacagtggcacctatcactctcgagatgagagtacagacagtggactaagcatgagcagctacagtgtccctcgaaccccagatgacttcctgaacagtgtggatgagatggatacaggtgatactatcaaccaaagcaccctgccctcacagcagaaccgtttcccagactaccttgaagccattcctgggacaaatgtggaccttggaacactggaaggagatggaatgaacatagaaggagaggagctgatgccaagtctgcaggaagctttgagttctgacatccttaatgacatggagtctgttttggctgccaccaagctagataaagaaagctttcttacatggttatagagccctcaggcagactgaattctaaatctgtgaaggatctaaggagacacatgcaccggaaatttccataagccagttgcagttttcaggctaatacagaaaaagatgaacaaacgtccagcaagatactttaatcctctattttgctcttccttgtccattgctgctgttaatgtattgctgacctctttcacagttggctctaaagaatcaaaagaaaaaaactttttatttcttttgctattaaaactactgttcattttgggggctgggggaagtgagcctgtttggatgatggatgccattccttttgcccagttaaatgttcaccaatcattttaactaaatactcagacttagaagtcagatgcttcatgtcacagcatttagtttgttcaacagttgtttcttcagcttcctttgtccagtggaaaaacatgatttactggtctgacaagccaaaaatgttatatctgatattaaatacttaatgctgatttgaagagatagctgaaaccaaggctgaagactgttttactttcagtattttcttttcctcctagtgctatcattagtcacataatgaccttgattttattttaggagcttataaggcatgagacaatttccatataaatatattaattattgccacatactctaatatagattttggtggataattttgtgggtgtgcattttgttctgttttgttgggttttttgttttttttgtttttggcagggtcggtgggggggttggttggttggttggttttgtcggaacctaggcaaatgaccatattagtgaatctgttaatagttgtagcttgggatggttattgtagttgttttggtaaaatcttcatttcctggttttttttaccaccttatttaaatctcgattatctgctctctcttttatatacatacacacacccaaacataacatttataatagtgtggtagtggaatgtatccttttttaggtttccctgctttccagttaatttttaaaatggtagcgctttgtatgcatttagaatacatgactagtagtttatatttcactggtagtttaaatctggttggggcagtctgcagatgtttgaagtagtttagtgttctagaaagagctattactgtggatagtgcctaggggagtgctccacgccctctgggcatacggtagatattatctgatgaattggaaaggagcaaaccagaaatggctttattttctcccttggactaatttttaagtctcgattggaattcagtgagtaggttcataatgtgcatgacagaaataagctttatagtggtttaccttcatttagctttggaagttttctttgccttagttttggaagtaaattctagtttgtagttctcatttgtaatgaacacattaacgactagattaaaatattgccttcaagattgttcttacttacaagacttgctcctacttctatgctgaaaattgaccctggatagaatactataaggttttgagttagctggaaaagtgatcagattaataaatgtatattggtagttgaatttagcaaagaaatagagataatcatgattatacctttatttttacaggaagagatgatgtaactagagtatgtgtctacaggagtaataatggtttccaaagagtattttttaaaggaacaaaacgagcatgaattaactcttcaatataagctatgaagtaatagttggttgtgaattaaagtggcaccagctagcacctctgtgttttaagggtctttcaatgtttctagaataagcccttattttcaagggttcataacaggcataaaatctcttctcctggcaaaagctgctatgaaaagcctcagcttgggaagatagatttttttccccccaattacaaaatctaagtattttggcccttcaatttggaggagggcaaaagttggaagtaagaagttttattttaagtactttcagtgctcaaaaaaatgcaatcactgtgttgtatataatagttcataggttgatcactcataataattgactctaaggcttttattaagaaaacagcagaaagattaaatcttgaattaagtctggggggaaatggccactgcagatggagttttagagtagtaatgaaattctacctagaatgcaaaattgggtatatgaattacatagcatgttgttgggattttttttaatgtgcagaagatcaaagctacttggaaggagtgcctataatttgccagtagccacagattaagattatatcttatatatcagcagattagctttagcttagggggagggtgggaaagtttggggggggggttgtgaagatttagggggaccttgatagagaactttataaacttctttctctttaataaagacttgtcttacaccgtgctgccattaaaggcagctgttctagagtttcagtcacctaagtacacccacaaaacaatatgaatatggagatcttcctttacccctcaactttaatttgcccagttatacctcagtgttgtagcagtactgtgatacctggcacagtgctttgatcttacgatgccctctgtactgacctgaaggagacctaagagtcctttccctttttgagtttgaatcatagccttgatgtggtctcttgttttatgtccttgttcctaatgtaaaagtgcttaactgcttcttggttgtattgggtagcattgggataagattttaactgggtattcttgaattgcttttacaataaaccaattttataatctttaaatttatcaactttttacatttgtgttattttcagtcagggcttcttagatctacttatggttgatggagcacattgatttggagtttcagatcttccaaagcactatttgttgtaataacttttctaaatgtagtgcctttaaaggaaaaatgaacacagggaagtgactttgctacaaataatgttgctgtgttaagtattcatattaaatacatgccttctatatggaacatggcagaaagactgaaaaataacagtaattaattgtgtaattcagaattcataccaatcagtgttgaaactcaaacattgcaaaagtgggtggcaatattcagtgcttaacacttttctagcgttggtacatctgagaaatgagtgctcaggtggattttatcctcgcaagcatgttgttataagaattgtgggtgtgcctatcataacaattgttttctgtatcttgaaaaagtattctccacattttaaatgttttatattagagaattctttaatgcacacttgtcaaatatatatatatagtaccaatgttacctttttattttttgttttagatgtaagagcatgctcatatgttaggtacttacataaattgttacattattttttcttatgtaatacctttttgtttgtttatgtggttcaaatatattctttccttaaactcttc
【0100】
配列番号4(ヒトTAZ遺伝子のmRNA配列)
gacacactcctctacaacaccagagactcccaaacacaaggccttatattgactcatttcagctcacatcctggcgactctcaagagagaaacctcagagtgactaaaatctccataatgagaagacatgtacattcagtatctattttggcattttccccaatacatctctgctcatctgactcttatcttggcatctgcttcctggtggatctgaactgacccataagccacgcttactagtgattttccagaagatgaatccggcctcggcgccccctccgctcccgccgcctgggcagcaagtgatccacgtcacgcaggacctagacacagacctcgaagccctcttcaactctgtcatgaatccgaagcctagctcgtggcggaagaagatcctgccggagtctttctttaaggagcctgattcgggctcgcactcgcgccagtccagcaccgactcgtcgggcggccacccggggcctcgactggctgggggtgcccagcatgtccgctcgcactcgtcgcccgcgtccctgcagctgggcaccggcgcgggtgctgcgggtagccccgcgcagcagcacgcgcacctccgccagcagtcctacgacgtgaccgacgagctgccactgcccccgggctgggagatgaccttcacggccactggccagaggtacttcctcaatcacatagaaaaaatcaccacatggcaagaccctaggaaggcgatgaatcagcctctgaatcatatgaacctccaccctgccgtcagttccacaccagtgcctcagaggtccatggcagtatcccagccaaatctcgtgatgaatcaccaacaccagcagcagatggcccccagtaccctgagccagcagaaccaccccactcagaacccacccgcagggctcatgagtatgcccaatgcgctgaccactcagcagcagcagcagcagaaactgcggcttcagagaatccagatggagagagaaaggattcgaatgcgccaagaggagctcatgaggcaggaagctgccctctgtcgacagctccccatggaagctgagactcttgccccagttcaggctgctgtcaacccacccacgatgaccccagacatgagatccatcactaataatagctcagatcctttcctcaatggagggccatatcattcgagggagcagagcactgacagtggcctggggttagggtgctacagtgtccccacaactccggaggacttcctcagcaatgtggatgagatggatacaggagaaaacgcaggacaaacacccatgaacatcaatccccaacagacccgtttccctgatttccttgactgtcttccaggaacaaacgttgacttaggaactttggaatctgaagacctgatccccctcttcaatgatgtagagtctgctctgaacaaaagtgagccctttctaacctggctgtaatcactaccattgtaacttggatgtagccatgaccttacatttcctgggcctcttggaaaaagtgatggagcagagcaagtctgcaggtgcaccacttcccgcctccatgactcgtgctccctcctttttatgttgccagtttaatcattgcctggttttgattgagagtaacttaagttaaacataaataaatattctattttcattttctgcaagcctgcgttcttgtgacagattatacagaattgtgtctgcaggattgattatgcagaatacttttctctttcttctctgctgccccatggctaagctttatgggtgttaattgaaatttatacaccaattgattttaaaccataaaaagctgaccacaggcagttacttctgagggcatcttggtccaggaaatgtgcacaaaattcgacctgatttacagtttcaaaaactgtattgatgacagtagtaccaaatgctttaaaaactatttaacttgagctttaaaaatcattgtatggatagtaaaattctactgtatggaatacaatgtaattttgaatccatgctggctctgatggctcttattagtctgtatttataaaggcacacagtcctattgtagcttatctttcgttattttactgcagagcatctagacaacttagtccctccagcgggaaagtagcagcagcagcattagtcacaggtcttacactacagatcttgtgaaagagaccagtttggtactaattatgagcattttattcaaacaaaagtttttgaaatattacaactggggatttaaaaaattgcagcttagaatctgatggtttttttttttcttgatgttgtttgtttgtttttgagatcgagttttgctcttgttgtccaggctggaatgcaatggcacaatctcggctcactgcaacctctgccttctgggttcaagcgattctcctgccttagcctcccgagtagctgggattacaggcacctgccaccacgtccggctaattttttgtattttgagtagagacggggtttcaccataatggtcaggctgttctcaaactcctgatctcaggtgatccacccatctcggcctcccaaagtgctgggattactggcgtgagccaccgcacccggccttgatgtttattttataaagcactgtaattttgtagctgatgacaaaaggcagccaaatgtttttgataaatcagtggcaactgtatttttgtcttttgaaataactctgaaaacatcaggacaacatagatttcaacctgatagcacaccacacacagtgagctgttgctttttaaattctgaagccttgtcaggtttgcttcctagatttcaagtgtttaaaataattctatctatgaaactgaaggatgaagcagatctctgactgacatgtaaaaaaaaatgccctttgagggtgtatggtggagataaatgtttctgaattcagtaaaattgattcctaagtatattatcctaatcctgtttgctacagttggtataaaaaggcatgaaatatgtattcaatacctcttatgtaaccaaaaccatttttaattagcttttaaggactgagagagcatcatgttcaactggcatgcagtctgcctgcattgccaatgaagtcctcaactgtttaatattttgaactaatattatttataatctatgaatttaatcttttttgaaagactttaataatttgagtctctgagaggatactttcaatttccatgggggacttatttgttggggatcttaaataagattccttttgatctaccggaatatacatgtacagagtacattggatcatgttggaaagaaggcaagtgaaaaggtcagagatgaagtagcaaagttatggaatatcgtggaaaggatactagttgtgaaatggaaagagacaagttatagtaccccaaaagcaaaacaagcaggagatgcaagagatgccccaaaaggacaaagcaacaattttctgttgccacctttataccggaagactctgttgtagaagaaaagaaggctttggtgcaccttatgtgggaggaggaggggcagggcatgctgatgctgagcgtacaggcagacaagagcgtagcctgctgttgcctccatcactatgaaatgacttattttacctgaaggacccatggtttatgttcctctaattcctttcactctccctaagccctctgagagagatgaagatagatgattttattgctactaaattgaagggagcactatttctttttgtcttttgttagcaaaaaattgcaaaaagaattgtacattcttgctaaaaataaataaataaataaaaaattaaaaaaacaagggacctaacaaaactcagcagtgttactgtatttttaaaaaatatttttatagactcattttcaggttattaaatgtaagagaaacagatacccctcttttttaaagtaggtaaatcattgatgatttatattaccaatttttagaagtaattttctagtaagcttgtggcatcagaaaatactagaagatttttttagttaaattagttagaacatttatgaatgaatataataaatattttttcagaataaaatatggaccctttgtgtttactaatagataaagccagatataattttttgtttttaaggccacaaaatatggcctttgttaaagaacactaaagttagaaatctaaagttagagcaactttttaatggctatttcctattattgtaagtgttaaaacccctgcagaattcttgataaggtgctatttatactatatttcttattataagataactgtctttagtcttcttagtactagtctttttagtactaaatcaatcagtaaacatcatcatttcaccccaaaattttgtcacagaaaaggcgtatcaaatgaaaaataatttcagagatctttctttcaagatattttttcctgataaaatacattgtcttgaagtaaatacattgtcaaaacctaattgcaattctgttaaatctaagtaatttttagacagtgtttcaccgtattatttaggatgtgaaatgccatttctttcactgattacaccatatacaggaaacaggtaaaacagtgaaaactttattgtgctggttgatgccaacttggttgaaaagctctctgcagaagaagtgatctagactgacagaagtgttgctaattacaagttgtgttctcatgacgtaattagaaagtaacttctcaaagtacaacttttatgaaaaaaataagctgttaaaaaaaggaaatcgtaggttaatttaattgggaaaatgggcaattgacagagaccattttcctaacacatatatgtgctagtactttaactttttaaaattttacttctacgttttgtaatataaaaatttctattttaagtttagaatgttatacgtaccgaaagtatgcagccaaatcgatcagatcaaaccattttacctggagtttggtactggtttttacttctctgaatctgtataagaaaaataaagacaattgaacttcca
【0101】
配列番号7(ヒトTEAD1遺伝子のmRNA配列)
attccgaacattcttagcatcgctcgcgccgcgccgcgccgcctgagccgagccgagcctctgctgccgccgccgcggccccgccgcccgccgcgggcgcccaccaagcactttgcagactcgcttccaccctgcgggccattccgcgcggcggggcccgggcccggggcggccgcgtccaggcacaggccatgcagtgacgcccccccacccctccacctttgcccggagcgcgggcagcagcccagcgcgccagccggccccggggcaggagcggtgctaggcaggggtggggtggccgggcccagggaccgggagccggggagggagccgggcaccgagcagagggcgggggaagcggcgccgaagtttgcctcggactcgccgggcgctgcggtggctccctgggccgaggactgttgctgccgctgccgccgccgcttcattgcacattcaagtggaaaattttcaggagtcagcagaaacattgtgtccaaaaaagactgagtcgcagttaccaccaaacccaggaggagactctccctggaaaacttcccttccctttcggtttattttcttgaaaaggctccaggcttcggcttggaaaatcccaccgccaaaattgagcccagcagctggagcggcagtgagagccctgccgaaaacatggaaaggatgagtgactctgcagataagccaattgacaatgatgcagaaggggtctggagccccgacatcgagcaaagctttcaggaggccctggctatctatccaccatgtgggaggaggaaaatcatcttatcagacgaaggcaaaatgtatggtaggaatgaattgatagccagatacatcaaactcaggacaggcaagacgaggaccagaaaacaggtgtctagtcacattcaggttcttgccagaaggaaatctcgtgattttcattccaagctaaaggatcagactgcaaaggataaggccctgcagcacatggcggccatgtcctcagcccagatcgtctcggccactgccattcataacaagctggggctgcctgggattccacgcccgaccttcccaggggcgccggggttctggccgggaatgattcaaacagggcagccaggatcctcacaagacgtcaagccttttgtgcagcaggcctaccccatccagccagcggtcacagcccccattccagggtttgagcctgcatcggccccagctccctcagtccctgcctggcaaggtcgctccattggcacaaccaagcttcgcctggtggaattttcagcttttctcgagcagcagcgagacccagactcgtacaacaaacacctcttcgtgcacattgggcatgccaaccattcttacagtgacccattgcttgaatcagtggacattcgtcagatttatgacaaatttcctgaaaagaaaggtggcttaaaggaactgtttggaaagggccctcaaaatgccttcttcctcgtaaaattctgggctgatttaaactgcaatattcaagatgatgctggggctttttatggtgtaaccagtcagtacgagagttctgaaaatatgacagtcacctgttccaccaaagtttgctcctttgggaagcaagtagtagaaaaagtagagacggagtatgcaaggtttgagaatggccgatttgtataccgaataaaccgctccccaatgtgtgaatatatgatcaacttcatccacaagctcaaacacttaccagagaaatatatgatgaacagtgttttggaaaacttcacaattttattggtggtaacaaacagggatacacaagaaactctactctgcatggcctgtgtgtttgaagtttcaaatagtgaacacggagcacaacatcatatttacaggcttgtaaaggactgaacatggttatttatatatatagatatctgtatatacacacacacatatgtgcacacacacactctctctccattatcgaacgactgactgtaaacctcaccacacagggtggtgccctggccccgaggtcaccccgacttttctaaatcttgtttgagtgaagtcattttttcatgtgttcatactatcattgtagctgtgaagttctggtacagttgtaaaaagagaaattgagttgtttctctatgttcttcagatgtgcagcccacaattcctcgggaaaggtgaacctgaacaacccaagtctctctctgcagagccctgtttctaattgtggtagaaaatattgagacagagcatttgccatgggacatttacagcctttatacaaatgtatttagttctcttttttccaacataaaattcttgttttaagatacaagtaaaattaatctttaaatataaatgtaaattagtacacaaaactaagaatctttagacttatctttgtaactaattagggtggaagttatgaaagaatgtaattcactaaattattttttaaatgaaacctttttttttctttttgaaaccaaatgttaaactatagccttaagaaatgcttggtagaagtgtcctaatgagacaaatttgtacttttatcctcaaggttaacactaatctcctaatccattaaactcttgaacaggtattacaaaggaagaaaacttcaccccttatccttaacatatatagtatatttaaaaaatataaaattgtattgtactaatgtgatgatggattatttaatgaaaaagaaaaaatggctctttttgcaataagtagatacatactgaaaaaatctaaacttacaatgtttatagtcttgtgtgtgcagttatattttatatggacgaccaaattttttattaagatgagtaaatatttgaaccactgaattttaataacaaaattttaaaattggcatgaatacggaatactgcactgtgagatgcaaagtatacagaatctgtggctgggagaaaatttcatcaaatagacaagtaaaaggctcatcagttttagcatctctgctccccagaaaattgtaagcatcctcaccagcctgtggatacattctttatttctagtgacccaatatgcatattaacctgctataactagggctatatgtgtaggtatgtgtatacatatacacaaatgcacatatagagttaacacatttagtgaacacttgtttagtgtcactcagtttgctaggtgctgatatgtacgtatatctcaatgtgtctgtagacttagatacatcctcttgaagcacatccatttctttagcgtctctcagtaagttacagtacttgtttgacttaggtttaagaggcccagctacctatctctgaccttttcaaataggctcatttgggagattcttttgccaggagagattcaactttccaatctaagtattccagagcattgcccaggcagagttggtttgatgtggccagatgttttgagttatttcccttaagtgtttcactggggagagaacagggagtgctcctccagcttcccaaagaaatatgtttttgtaagtggtaggaacatgtgcacacaatagaacatgaaataagttttttaacttgtaaaacatgtcaagatttttccaccaagctagaaaataaaaaacttagttctaccacatccaattaacttacacacccccttccctgtctcaacacctgctttgaccctgcttttctattattacatcagtcagcatcttgtggtccctaacatgaggatgtggctggctcgtgggaaacagcaaaacactaagcctgacctctcccaaattgggaagaccagaggagaaagtgcaaaactgtccccatttggaatgcccattccttctagaaaccagttggacagtgctcctctgcccttcataaacagactactgttgggtccctgattccaggctggcctgtgaaggattgccccaggtgtcccctttcacggttgtcacatttacagtgacttctgttgaacacccctcttagggatgtttcttttgctcttatttcctgcatctttccttaagggaagccccatcctctcccaggaccaggagtttatgaccaggcgagcacaaatggctaaaagccaagctgtcctagaacttcagtgggagagctgtctggttcatattctacccaggaatggtacttttcagtgcagccaggagggctcttgggatttcctttccaaagcacaaaaatactgggacccaagaagaacagctagaggacaactctgttggcacagagacggggacagcccagtctgctgacctcacagggtcagctgggcccccctggtgcttcaccacctgcatcctcttgctcagaatgcctttgcagttgagttttctgggtttctatgattgaccttgaggtttactccttgctcttacaacatttctaaggatttttaaaagtttacttcttgtcttgttcttctaaagctttctccaggacagatattttccctgtcttaaccactggtccagtcatcccagtgggcttctctttgtctctcccagattagacctttgggtgagattggcatcacaacatctaatctgagtctgtcttttgtccttcattctgtatggcagtctccctttgttataaaagctttctaaagcatactaaagaagccttcccagagccccgtcttgcttctcttccaggtgctctatcccctcgagaccctctggtgccaggcttgcttcacggccatcttgtgttgtcactgcagagtttggaggccagttttccacagcctaaacagggaggagctgcagaatggggctctggtctctgggcattcatttccctcatagaggctgagaataaaacaaggacttattcacacatgttctagaaccccagaatggcccaagttacctgagaccagggtttctcaaccttgacaccattgacattttggactgggtaattctttgttctgcagagctgtcctttgcactgtaggagatttactaatatccctggcctctacccagtagtaccactagcacctattccccacccagcgtgtctccagatattgtcaaatatcccatcgggtgcaaaatgatccctggtcaagatctgttgcccaagatgttacaggtcacaatgaccacatttgaaattgttttccctttcattttaccctgtgaaagcatctctcctagagccttgcaagaggcaggtgacattgtgtccatatttcttcctgtttcagaacttctgtttcacaacaatttctctctcgctacaagtattctttcactcagcactggggaagttgggaacagctggtcaccatcatccctttaatcaactcacacctgtttaaagagtgtttctgatttgaccttcatcccttagtttactggcgttaaaaaaagtctcagcaattttcattatttctcgtgggtctcattatcaaacctttacttatttcggcatatttcctctgggcttcttctagtttctgccttacaagcaatgctgttctgtaaatttattgaaacctctggaacatttcacctttagagatggaggatggaaggattggtaccagaagagggctaagatacgttttctgtcttgagctgaaagcacagtctactctccttcgttttgtcgatgagaaagttgaggccagaggggaggtgacatgtttagagtcacccagctggttagtgacagaaaaagcgtgagagttgtctaggattcctgccactttggtccctggcctctcctgggggaggctgctgttcttaggtgctctaagcttaatccctcagaatgtgtggacaggtcagcttagaagagatggggagattcaggatccccctgtgccagagcacagcctcaccggatgctgcttcccacactgaagtgtcctgtccgaccattgctatctgaggcatccacaagcaggtaggaaagctggcgagccattttacttcctgaggacaattccccagccacaggctctgagtcaaatttctatttggtaagcatcctagcagcaaagtcctgcactcagaccagccaaaaaacagcccccattccaagtacttggtgtcaaaagtccccgaacgacttttaaacccaagtcttcttaaggtttcagtactgtggtggctttagcagttgtttttgtgcaactataaattatttaaatcatctgagatgacagtcaattttacaaaccaggtacatattaatttgtataattttgtatatgctctggtacactacctgaactaacgaagggtagaactaattctgtttgtcagtgttcacacctgtaacattaggaggatatgtctgcattgcttatttctttatgttggtgtttctgtggcaaagccctgcacatggcatttctgaaaagccttaaatctttaagatgttgcatgtagggtatgcagtgcaaaaggctgcctcagaactgtgagcccttttgtaagctggaagcatttctcttactactgttacttttgtaggaagttttcaattcagagctgccaaagtgttcccgtaagcagtgccttagtaataccttagtcatgccgccagccttttcttacaccaattcctaatgttcatttacgaattggcccaatattggaaacaaaacaagcaaaaattgtcttcatttttgttttgtaagcccattttttctccagttctataggaaactgactgcttggtgtaaaatccgaaactggacacaagtcagttctttcaccacactcaaatgtatataccaaaacaaaaggttgcaacttcatagtttactatgaaaagcaaattgtactttttaatgttgccttttaaattcatgaccaaatacttagctatttgtgaatcttctgcactctagcatgaaagtgcctttggtttgagattccagcttagaaaagtgctgccataataacgataatttgtagagagaccaaaaatattttgagatcaccgtaatgcctttggtttaccgggatgagtaaccaaccacaggcctctgttcacaagagcacgacgtggtccccgcctgctgctagtctgtctgccactgggggcctcccaacatccatagcacacttcagcggaaggaccccagaaactgttgtgtttgtgtgtgctgatgacctagtgtgtcatttcacctcgtcacccagccctgcgtccggatgaggggacttctgcacaaatgacagaatctcggctggtggacagatactacagctttctcctcctccttgtgttcgtgttcagtctctgtggagactttcttttccattcaaatgacagtgcgcacttatctggtttacacaatgataccattttgaaagttggaagcctcaaactgagacgacagtgcagaacaaaacaaaagtgagttagggtcgttaaaattgaagtgttcttcttagggcaaacatgttgactccgagtattgtgtatgaatgtgctacgagaaacttccaaagagcaccattcacaatttggcattttcaaagaatgttccagccctcaaaggggcaactctttaaagtccttgttggcttttatccaaaccttgtagaaattgggaaagctgatagaggtaaggaagacgagtgaaaaggacaagaaggccaaacaccagccaaaaagaaactaggaaaaaaagattttctttgctaatatagatgtaaaaataacatcagacatctttgaaaattagcctctaaactcttaatacatacgttctgtgtgtctctacctggcgtctttaagaatatcctctctgggctctgaaattttaggagtgattcttatccactccaagttgtaagtatttgtagaaatttgtgcaaacaaacaaaaactatcaaatgaaaagaaaatgtactcaacctaacttatagttagcagctggaattctcaactcttccctgccagcactataccacagtgtggaagaaattagtcaaatgcttgttttcctgcttctcttttcaactgttactgtgctttgtttgaaagtagttttctctctcaaagccgttgcttatatcgttaagaatgaaggtttgtgtttaaaatttattgcattgcaaagggtagtttcactgaagtcatgcaccattaaataagatgaaatatttgtatttattgtcctacttcctaagccgtaacttcttttcctctgtgaatttgcattgagtcactcatgctacactacatcgctttagtatttgagatggcatttatgtttcctctcgtttatcatgaaatggggtcagattccatcagattccacctctgtcaggtggactcttgtctgccttccatgatgagattttttttctccttcccctttctttaagagaggctgacagatctaggtgtcaatcaattggaaaccagtctctgattttttttcattagttattttctatcattagtttcactgtgtaaattagatatcaactgcacttctttaaaaaaaaatacatctccctattacctccttgaaagatttacttctgtaggcctttttcaataggctcatgactgcagacaaggaaaaaaaaagtaaaaacaaaaacagtatgtgcctgaaaatgacaaaaaaaaaatttgtaacatttaaaaaagaaacctgaatagcctttaattctttaataatacacttaaattttatgtaaatcggttttcgccacgtgtgtttgttcacattctaaatgacttaatgggattctcacggtctgtgtctttgtgtcacgtgtataaaatgggcttgtgatgtaagcgtttcatctggtcagtggttcctttgatattgtactgctgctgggagtgggctgtggaacctgccttcgggtaactgggttcctcttgggtagattggagagatgggggtgggcgtgggcaaattctcacacatgttttcttaacctatttgcagaaactttcaaaaggcatttgattaaacctcttggcagtacagtattcttgtatttgttaacgtctgtgtttaggtactggtacctttttgttttaaaatgttctaagtgttggctttaaagtgaatttatctttagtatgatagttatatgaaaattataggatttgtgtgcagagaatttttttataaagtgctttgtaaaaaaaaaaaaatgtattctagcttttgcggtacatatgtgtgataactttaatacccatgacagttaagtgcaattatttcatcactctaaaaatgctatttttgtgtcagttcctgcaggtgttttcatgtctttgcaaagtgacacattttgatgccttcttgataaagtggtagacattttgtagctttctagaaactttgtattcatacggtatcaatgaaaaataaagaaaatgaaagtgtgggtca