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特開2024-21852半導体ウェーハの評価方法及び半導体ウェーハの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021852
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】半導体ウェーハの評価方法及び半導体ウェーハの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240208BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H01L21/66 N
G01N21/956 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124985
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亮輔
【テーマコード(参考)】
2G051
4M106
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB01
2G051AB07
2G051AC11
2G051BA10
2G051CB01
2G051CB05
4M106AA01
4M106BA05
4M106CB19
4M106DH55
4M106DJ20
(57)【要約】
【課題】製造工程において実施された加工処理に起因して半導体ウェーハ表面に発生した微小加工起因欠陥の評価が可能な新たな評価方法を提供すること。
【解決手段】半導体ウェーハの表面に対して表面処理を複数回施すことを含み、上記表面処理は、上記半導体ウェーハの表面にフッ酸を供給し、このフッ酸の供給後の上記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給することを含むか、又は、上記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給し、このオゾン水の供給後の上記半導体ウェーハの表面にフッ酸を供給することを含み、上記表面処理を行う前、各回の表面処理の後、及び上記複数回の表面処理が終了した後、上記半導体ウェーハの表面を表面欠陥検査装置によって検査する表面検査を行うことを更に含み、上記表面処理を行う前の表面検査ではLPDが検出されなかった座標点においてn回目の表面処理後の表面検査で初検出されたLPDを加工起因欠陥と分類し、上記nは、上記表面処理の総回数をN回として、1以上(N-1)以下の整数であり、上記加工起因欠陥が検出された座標点において、上記表面処理が施される前の半導体ウェーハの表面に存在していた上記加工起因欠陥の想定サイズを、上記複数回の表面処理が終了した後の表面検査において検出されたLPDの検出サイズを目的変数とし、上記初検出後に施された表面処理の合計回数(N-n)を説明変数とする回帰分析によって算出する、半導体ウェーハの評価方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハの評価方法であって、
半導体ウェーハの表面に対して表面処理を複数回施すことを含み、
前記表面処理は、
前記半導体ウェーハの表面にフッ酸を供給し、該フッ酸の供給後の前記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給することを含むか、又は、
前記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給し、該オゾン水の供給後の前記半導体ウェーハの表面にフッ酸を供給することを含み、
前記表面処理を行う前、各回の表面処理の後、及び前記複数回の表面処理が終了した後、前記半導体ウェーハの表面を表面欠陥検査装置によって検査する表面検査を行うことを更に含み、
前記表面処理を行う前の表面検査ではLPDが検出されなかった座標点においてn回目の表面処理後の表面検査で初検出されたLPDを加工起因欠陥と分類し、
前記nは、前記表面処理の総回数をN回として、1以上(N-1)以下の整数であり、
前記加工起因欠陥が検出された座標点において、前記表面処理が施される前の半導体ウェーハの表面に存在していた前記加工起因欠陥の想定サイズを、前記複数回の表面処理が終了した後の表面検査において検出されたLPDの検出サイズを目的変数とし、前記初検出後に施された表面処理の合計回数(N-n)を説明変数とする回帰分析によって算出する、
半導体ウェーハの評価方法。
【請求項2】
前記表面処理は、前記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給し、該オゾン水の供給後の前記半導体ウェーハの表面にフッ酸を供給し、該フッ酸の供給後の前記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給することを含む、請求項1に記載の半導体ウェーハの評価方法。
【請求項3】
前記回帰分析を、前記目的変数をy、前記説明変数をxとして、下記回帰式:
y=ax+b
により行い、
前記回帰式中、aは前記回帰分析によって求められる傾きであり、bは前記回帰分析によって求められる切片であり、
前記加工起因欠陥が検出された座標点において、前記表面処理が施される前の半導体ウェーハの表面に存在していた前記加工起因欠陥の想定サイズを、前記bとして求める、請求項1に記載の半導体ウェーハの評価方法。
【請求項4】
前記オゾン水は、質量基準のオゾン濃度が20ppm以上30ppm以下のオゾン水である、請求項1に記載の半導体ウェーハの評価方法。
【請求項5】
前記フッ酸は、フッ化水素濃度0.1質量%以上1.0質量%以下のフッ酸である、請求項1に記載の半導体ウェーハの評価方法。
【請求項6】
前記フッ酸の供給時間は20秒以下である、請求項1に記載の半導体ウェーハの評価方法。
【請求項7】
前記表面処理は、前記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給し、該オゾン水の供給後の前記半導体ウェーハの表面にフッ酸を供給し、該フッ酸の供給後の前記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給することを含み、
前記回帰分析を、前記目的変数をy、前記説明変数をxとして、下記回帰式:
y=ax+b
により行い、
前記回帰式中、aは前記回帰分析によって求められる傾きであり、bは前記回帰分析によって求められる切片であり、
前記加工起因欠陥が検出された座標点において、前記表面処理が施される前の半導体ウェーハの表面に存在していた前記加工起因欠陥の想定サイズを、前記bとして求め、
前記オゾン水は、質量基準のオゾン濃度が20ppm以上30ppm以下のオゾン水であり、
前記フッ酸は、フッ化水素濃度0.1質量%以上1.0質量%以下のフッ酸であり、かつ、
前記フッ酸の供給時間は20秒以下である、請求項1に記載の半導体ウェーハの評価方法。
【請求項8】
評価対象の製造条件下で半導体ウェーハを製造すること、
前記製造された半導体ウェーハを請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体ウェーハの評価方法によって評価すること、
前記評価の結果に基づき、前記評価対象の製造条件に変更を加えた製造条件をその後の製造条件として決定するか、又は、前記評価対象の製造条件を引き続き採用する製造条件として決定すること、及び、
前記決定された製造条件下で半導体ウェーハを製造すること、
を含む半導体ウェーハの製造方法。
【請求項9】
前記変更が加えられる製造条件は、半導体ウェーハ表面の研磨処理条件である、請求項8に記載の半導体ウェーハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハの評価方法及び半導体ウェーハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハの欠陥の評価方法としては、表面欠陥検査装置によって検出される輝点(LPD:Light Point Defect)に基づく方法が広く用いられている(例えば特許文献1~3参照)。この方法によれば、評価対象の半導体ウェーハ表面に光を入射させ、この表面からの放射光(散乱光又は反射光)を検出することで、半導体ウェーハ表面の欠陥の有無やサイズを評価することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-212009号公報
【特許文献2】特開2019-47108号公報
【特許文献3】特開2020-106399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体ウェーハの表面には、製造工程において実施された加工処理に起因して発生した加工起因欠陥が存在し得る。それら加工起因欠陥の中には、表面欠陥検査装置の検出限界サイズを下回る微小加工起因欠陥も含まれ得る。例えば特許文献1~3に記載されているような従来の評価方法では、そのような微小加工起因欠陥を検出することは困難である。しかし、かかる微小加工起因欠陥に関する情報を得ることが可能になれば、例えば、その情報に基づき、半導体ウェーハの製造条件を微小加工起因欠陥の発生が抑制されるように変更することによって、微小加工起因欠陥が少ない高品質な半導体ウェーハを製造することが可能となる。
【0005】
本発明の一態様は、製造工程において実施された加工処理に起因して半導体ウェーハ表面に発生した微小加工起因欠陥の評価が可能な新たな評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、以下の通りである。
[1]半導体ウェーハ(以下、「ウェーハ」とも記載する。)の評価方法であって、
半導体ウェーハの表面に対して表面処理を複数回施すことを含み、
上記表面処理は、
上記半導体ウェーハの表面にフッ酸を供給し、このフッ酸の供給後の上記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給することを含むか、又は、
上記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給し、このオゾン水の供給後の上記半導体ウェーハの表面にフッ酸を供給することを含み、
上記表面処理を行う前、各回の表面処理の後、及び上記複数回の表面処理が終了した後、上記半導体ウェーハの表面を表面欠陥検査装置によって検査する表面検査を行うことを更に含み、
上記表面処理を行う前の表面検査ではLPDが検出されなかった座標点においてn回目の表面処理後の表面検査で初検出されたLPDを加工起因欠陥と分類し、
上記nは、上記表面処理の総回数をN回として、1以上(N-1)以下の整数であり、
上記加工起因欠陥が検出された座標点において、上記表面処理が施される前の半導体ウェーハの表面に存在していた上記加工起因欠陥の想定サイズを、上記複数回の表面処理が終了した後の表面検査において検出されたLPDの検出サイズを目的変数とし、上記初検出後に施された表面処理の合計回数(N-n)を説明変数とする回帰分析によって算出する、
半導体ウェーハの評価方法。
[2]上記表面処理は、上記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給し、このオゾン水の供給後の上記半導体ウェーハの表面にフッ酸を供給し、このフッ酸の供給後の上記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給することを含む、[1]に記載の半導体ウェーハの評価方法。
[3]上記回帰分析を、上記目的変数をy、上記説明変数をxとして、下記回帰式:
y=ax+b
により行い、
上記回帰式中、aは上記回帰分析によって求められる傾きであり、bは上記回帰分析によって求められる切片であり、
上記加工起因欠陥が検出された座標点において、上記表面処理が施される前の半導体ウェーハの表面に存在していた上記加工起因欠陥の想定サイズを、上記bとして求める、[1]又は[2]に記載の半導体ウェーハの評価方法。
[4]上記オゾン水は、質量基準のオゾン濃度が20ppm以上30ppm以下のオゾン水である、[1]~[3]のいずれかに記載の半導体ウェーハの評価方法。
[5]上記フッ酸は、フッ化水素濃度0.1質量%以上1.0質量%以下のフッ酸である、[1]~[4]のいずれかに記載の半導体ウェーハの評価方法。
[6]上記フッ酸の供給時間は20秒以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の半導体ウェーハの評価方法。
[7]評価対象の製造条件下で半導体ウェーハを製造すること、
上記製造された半導体ウェーハを[1]~[6]のいずれかに記載の半導体ウェーハの評価方法によって評価すること、
上記評価の結果に基づき、上記評価対象の製造条件に変更を加えた製造条件をその後の製造条件として決定するか、又は、上記評価対象の製造条件を引き続き採用する製造条件として決定すること、及び、
上記決定された製造条件下で半導体ウェーハを製造すること、
を含む半導体ウェーハの製造方法。
[8]上記変更が加えられる製造条件は、半導体ウェーハ表面の研磨処理条件である、[7]に記載の半導体ウェーハの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、製造工程において実施された加工処理に起因して半導体ウェーハ表面に発生した微小加工起因欠陥を評価することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】上記評価方法における工程フローを示す。
図2】繰り返し表面処理の前後のウェーハ表面におけるLPD面内分布の具体例の模式図を示す。
図3】表面処理による微小加工起因欠陥顕在化の説明図である。
図4】シリコンウェーハ(ポリッシュドウェーハ)の表面において表面処理前の表面検査を行った後、表面処理と表面検査を合計6回繰り返し、表面処理前の表面検査でLPDとして検出されていた欠陥を無作為に5つ(欠陥1~欠陥5)選択した例において、各欠陥のLPD検出サイズと表面処理回数との関係を示すグラフである。
図5】シリコンウェーハ(ポリッシュドウェーハ)の表面において表面処理前の表面検査を行った後、表面処理と表面検査を繰り返し、n回目の表面処理後の表面検査で初検出されたLPDについて、初検出後に施された表面処理の合計回数と最終回の表面処理後の表面検査におけるLPD検出サイズとの関係を示すグラフである。
図6図5に示した例において、不動欠陥として検出されたLPDの表面処理前のLPD検出サイズ(右図)、及び、増加欠陥が検出された座標点において算出された想定サイズ(左図)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[半導体ウェーハの評価方法]
本発明の一態様は、半導体ウェーハの評価方法であって、半導体ウェーハの表面に対して表面処理を複数回施すことを含み、上記表面処理は、上記半導体ウェーハの表面にフッ酸を供給し、このフッ酸の供給後の上記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給することを含むか、又は、上記半導体ウェーハの表面にオゾン水を供給し、このオゾン水の供給後の上記半導体ウェーハの表面にフッ酸を供給することを含み、上記表面処理を行う前、各回の表面処理の後、及び上記複数回の表面処理が終了した後、上記半導体ウェーハの表面を表面欠陥検査装置によって検査する表面検査を行うことを更に含み、上記表面処理を行う前の表面検査ではLPDが検出されなかった座標点においてn回目の表面処理後の表面検査で初検出されたLPDを加工起因欠陥と分類し、上記nは、上記表面処理の総回数をN回として、1以上(N-1)以下の整数であり、上記加工起因欠陥が検出された座標点において、上記表面処理が施される前の半導体ウェーハの表面に存在していた上記加工起因欠陥の想定サイズを、上記複数回の表面処理が終了した後の表面検査において検出されたLPDの検出サイズを目的変数とし、上記初検出後に施された表面処理の合計回数(N-n)を説明変数とする回帰分析によって算出する、半導体ウェーハの評価方法。
に関する。
以下、上記評価方法について、更に詳細に説明する。
【0010】
<評価対象の半導体ウェーハ>
上記評価方法によって評価される半導体ウェーハは、一般に半導体基板として使用される各種半導体ウェーハであることができる。例えば、半導体ウェーハの具体例としては、各種シリコンウェーハを挙げることができる。シリコンウェーハは、例えば、シリコン単結晶インゴットから切り出した後に各種加工工程を経た単結晶シリコンウェーハ、例えば研磨処理が施されて表面に研磨面を有するポリッシュドウェーハであることができる。評価対象の半導体ウェーハの直径は、例えば、200mm以下、200mm以上(例えば200mm、300mm又は450mm)であるが、特に限定されるものではない。
【0011】
<表面欠陥検査装置による表面検査>
表面欠陥検査装置としては、半導体ウェーハの表面に光を入射させ、この表面からの放射光(散乱光又は反射光)を検出することが可能な公知の表面欠陥検査装置を用いることができる。かかる表面欠陥検査装置は、一般に、光散乱式表面欠陥検査装置、面検機等とも呼ばれる。表面欠陥検査装置の具体例としては、レーザー表面欠陥検査装置を挙げることができる。レーザー表面欠陥検査装置は、通常、半導体ウェーハの評価対象の表面をレーザー光によって走査し、放射光(散乱光又は反射光)によってウェーハの評価対象表面の加工起因欠陥や付着粒子を輝点(LPD)として検出する。また、LPDからの放射光を測定することにより、半導体ウェーハの評価対象の表面における加工起因欠陥や付着粒子の位置(具体的には座標点)及びLPDとして検出されるサイズを求めることができる。かかるLPD検出サイズは、通常、LPDからの放射光の強度を、シリカ粒子等の標準粒子の放射光強度と対比することにより、表面欠陥検査装置の解析部によって出力される。レーザー光としては、紫外光、可視光等を用いることができ、その波長は特に限定されるものではない。紫外光とは、400nm未満の波長域の光をいい、可視光とは、400~600nmの波長域の光をいうものとする。レーザー表面欠陥検査装置の解析部は、通常、検出された複数のLPDのそれぞれについて、評価対象の表面における二次元位置座標(X座標及びY座標)の情報を取得し、取得された二次元位置座標の情報から評価対象の表面におけるLPD面内分布状態を示すLPDマップを作成することができる。市販されているレーザー表面欠陥検査装置の具体例としては、KLA TENCOR社製SurfscanシリーズSP1、SP2、SP3、SP5、SP7等を挙げることができる。但し、これら装置は例示であって、その他の各種表面欠陥検査装置も使用可能である。
【0012】
先に記載したように、表面欠陥検査装置の検出限界サイズを下回る微小加工起因欠陥は、表面欠陥検査装置による通常の表面検査では評価することは困難である。これに対し、上記評価方法によれば、以下の工程を経ることによって、かかる微小加工起因欠陥についての評価を行うことが可能になる。
【0013】
<工程フロー>
図1に、上記評価方法における工程フローを示す。以下、図1に示す工程フローに沿って、上記評価方法における各種工程について説明する。
【0014】
(表面処理前の表面検査、表面処理と表面検査との繰り返し)
上記評価方法では、評価対象の半導体ウェーハに対して表面処理が複数回施される(図1中、S2の繰り返し)。複数回の表面処理が施される前に、評価対象の半導体ウェーハの表面(評価対象表面)の表面検査を行う(図1中、S1)。
【0015】
その後、評価対象表面に1回目の表面処理を施し(図1中、S2)、この表面処理後に評価対象表面の表面検査を行う(図1中、S3)。その後、表面処理と表面処理後の表面検査が複数回行われる。
【0016】
一形態では、1回目の表面処理及びその後の各回の表面処理において、評価対象表面にフッ酸を供給し(以下、「フッ酸供給工程」とも記載する。)、このフッ酸の供給後の評価対象表面にオゾン水を供給する(以下、「パッシベーションのためのオゾン水供給工程」とも記載する。)。本実施形態を、「方法1」と記載する。方法1では、更に、フッ酸供給工程の前に、評価対象表面にオゾン水を供給すること(以下、「酸化膜形成のためのオゾン水供給工程」とも記載する。)もできる。酸化膜形成のためのオゾン水供給工程の実施は、任意であるが、実施することが好ましい。好ましい理由は後述する。
また、他の一形態では、1回目の表面処理及びその後の各回の表面処理において、評価対象表面にオゾン水を供給し(以下、「酸化膜形成のためのオゾン水供給工程」とも記載する。)、このオゾン水の供給後の評価対象表面にフッ酸を供給する(以下、「フッ酸供給工程」とも記載する。)。本実施形態を、「方法2」と記載する。
方法1及び方法2の表面処理の詳細については、後述する。また、通常、各回の表面処理後、評価対象表面に対して、公知の方法によって乾燥処理を施した後に表面検査を行うことができる。
【0017】
半導体ウェーハ表面には、欠陥として、単に表面に付着している付着粒子と、先に記載したように製造工程において実施された加工処理に起因して発生した欠陥と、が存在し得る。1回目の表面処理によって、通常、評価対象表面上の付着粒子は除去される。したがって、表面処理前の表面検査で検出されたLPDが、そのLPDが検出された座標点において、1回目の表面処理後の表面検査では検出されない場合、そのLPDは付着粒子によるLPDと推定できる。このように1回目の表面処理後にLPDとして検出されなかった欠陥を、以下において、「消失欠陥」と呼ぶ。
これに対し、表面処理前の表面検査で検出されたLPDが、そのLPDが検出された座標点において、1回目の表面処理後の表面検査、更にはその後に繰り返される表面処理後の表面検査においても検出されることがある。そのようなLPDは、表面欠陥検査装置の検出限界サイズ以上の加工起因欠陥によるLPDと推定できる。かかる加工起因欠陥を、以下において、「不動欠陥」と呼ぶ。
一方、上記表面処理によって加工起因欠陥を顕在化させることができる。したがって、表面欠陥検査装置の検出限界サイズを下回るため表面処理前の表面検査ではLPDとして検出されなかった微小加工起因欠陥が、1回目又は2回目以降の表面処理後の表面検査では、LPDとして検出され得る。そのような微小加工起因欠陥を、以下において、「増加欠陥」と呼ぶ。上記の顕在化について、詳細は後述する。
【0018】
図2に、繰り返し表面処理の前後のウェーハ表面におけるLPD面内分布の具体例の模式図を示す。図2中、上図及び下図のいずれにも、消失欠陥、不動欠陥及び増加欠陥が含まれている。図2に示すような表面処理前後のLPDの位置情報(座標情報)から、
表面処理前のみ存在する消失欠陥は付着粒子、
表面処理前後で同位置に存在する不動欠陥は、表面欠陥検査装置の検出限界サイズ以上のサイズの大サイズ加工起因欠陥、
表面処理前には存在せず、n回目の表面処理後以降のみ存在する増加欠陥は、n回の表面処理によって顕在化した微小加工起因欠陥、
と推定できる。なお、増加欠陥が次の表面処理によって消失欠陥となった場合は、付着粒子として除外することが好ましい。ここで、「n」は、複数回の表面処理の総回数をNとして、1以上(N-1)以下の整数とする。
【0019】
次に、上記の顕在化について、更に詳細に説明する。
図3は、先に記載した方法1の表面処理による微小加工起因欠陥顕在化の説明図である。
微小加工起因欠陥は、例えば図3(a)に模式的に示したように、凸状欠陥であることができる。かかる凸状欠陥の具体例としては、PID(Polished Induced Defect)を挙げることができる。PIDは、研磨処理において半導体ウェーハ表面に導入された凸状欠陥である。
微小加工起因欠陥を有するウェーハ表面にオゾン水を供給すると(酸化膜形成のためのオゾン水供給工程)、ウェーハ表層部がオゾン水によって酸化され、酸化膜が形成される(図3(b))。なお、1回目の表面処理及び2回目以降の表面処理においてフッ酸供給工程が実施される前の評価対象表面には、通常、自然酸化膜が形成されている。したがって、酸化膜形成のためのオゾン水供給工程の実施は、任意であるが、実施することが好ましい。酸化膜形成のためのオゾン水供給工程を実施することが好ましい理由は、後述する。
好ましくは酸化膜形成のためのオゾン水供給工程を行った後、ウェーハ表面にフッ酸を供給すると(フッ酸供給工程)、ウェーハ表面の酸化膜の少なくとも一部が除去(所謂エッチング)される(図3(c))。これにより、微小加工起因欠陥のサイズを大きくすること(即ち顕在化)ができる。微小加工起因欠陥を顕在化させるためには、ウェーハ表面の酸化膜が完全に剥離されず、その一部が残るように、フッ酸供給工程を行うことが好ましい。かかるフッ酸供給工程については後述する。
その後に行われるオゾン水の供給(パッシベーションのためのオゾン水供給工程)は、フッ酸供給工程後のウェーハ表面を不活性化することによって有機物等によるウェーハ表面の汚染を抑制するための処理(所謂パッシベーション処理)である。パッシベーションのためのオゾン水供給工程によって、フッ酸供給工程後のウェーハ表層部を酸化して酸化膜を形成することができ(図3(d))、これによりウェーハ表面を不活性化することができる。
ただし、フッ酸供給工程後のウェーハ表面を不活性化することは必須ではない。そのため、先に記載した方法2の表面処理を行う場合には、酸化膜形成のためのオゾン水供給工程を行い、その後にフッ酸供給工程を行った後、パッシベーションのためのオゾン水供給工程を実施することなく、表面検査を行うことができる。
【0020】
(回帰分析による微小加工起因欠陥の想定サイズの算出)
上記の微小加工起因欠陥のサイズは、表面検査に使用する表面欠陥検査装置の検出限界サイズを下回るため、表面処理前の表面検査の結果としては、上記の微小加工起因欠陥のLPD検出サイズを求めることができない。
【0021】
一方、本発明者は検討を重ねる中で、複数回行われる表面処理の各回の表面処理による加工起因欠陥のサイズの変化量は一定と見做すことができることを見出した。
図4は、シリコンウェーハ(ポリッシュドウェーハ)の表面において表面処理前の表面検査を行った後、表面処理と表面検査を合計6回繰り返し、表面処理前の表面検査でLPDとして検出されていた欠陥を無作為に5つ(欠陥1~欠陥5)選択した例において、各欠陥のLPD検出サイズと表面処理回数との関係を示すグラフである。6回の表面処理は、それぞれ同じ表面処理条件で行った。図4から、複数回行われる表面処理の各回の表面処理による加工起因欠陥のサイズの変化量は一定と見做すことができることが確認できる。
【0022】
そして、本発明者は更に鋭意検討を重ねた結果、複数回行われる表面処理の各回の表面処理による微小加工起因欠陥のサイズの変化量は一定という前提の下、微小加工起因欠陥について、検出限界サイズがより小さい表面欠陥検査装置であれば検出されるであろうと想定されるサイズを、以下のように回帰分析によって算出できることを新たに見出した。
まず、上記表面処理を行う前の表面検査ではLPDが検出されなかった座標点において、n回目(nは先に記載した通り、1以上(N-1)以下の整数)の表面処理後の表面検査で初検出されたLPDを、加工起因欠陥(詳しくは上記の微小加工起因欠陥)と分類する。この微小加工起因欠陥が検出された座標点において、上記表面処理が施される前の半導体ウェーハの表面に存在していた微小加工起因欠陥の想定サイズを、複数回の表面処理が終了した後の表面検査におけるLPDの検出サイズを目的変数とし、初検出後に施された表面処理の合計回数(N-n)を説明変数とする回帰分析によって算出する。
【0023】
以下に具体例を示し、上記算出までの工程について、更に詳細に説明する。
【0024】
サンプルの半導体ウェーハとして、直径300mmのポリッシュドウェーハ(単結晶シリコンウェーハ)を用いて評価した。
図5は、上記サンプルウェーハの表面において表面処理前の表面検査を行った後、表面処理と表面検査を繰り返し、n回目の表面処理後の表面検査で初検出されたLPDについて、初検出後に施された表面処理の合計回数と最終回の表面処理後の表面検査におけるLPD検出サイズとの関係を示すグラフである。表面欠陥検査装置としては、KLA TENCOR社製Surfscanシリーズ(レーザー表面欠陥検査装置)のSP7を使用し、測定モードとしては、High Sensitivity Oblique Mode(HSO Mode)を使用した。HSO Modeの各チャンネルは、下記の感度を有する。
DW1O(Dark-Field Wide1 Oblique)チャンネル:15nm
DW2O(Dark-Field Wide2 Oblique)チャンネル:25nm
DNO(Dark-Field Narrow Oblique)チャンネル:31nm
上記チャンネルのうち、最も感度の高いチャンネルはDW1Oである。DW1Oは、Particleに対しては感度が高い。一方、加工起因欠陥に対しては、DW2O及びDNOが感度が高い。
図5に示す例では、表面処理の総回数は6回(N=6)である。したがって、例えば、図5中の横軸が「1回」のプロットは、5回目の表面処理後の表面検査で初検出され、その後に更に1回(6回-5回)の表面処理が施されたLPDに関するプロットであり、横軸が「2回」のプロットは、4回目の表面処理後の表面検査で初検出され、その後に更に2回(6回-4回)の表面処理が施されたLPDに関するプロットである。横軸が「3回」、「4回」、「5回」のプロットも同様である。図5には、横軸1回~5回のそれぞれの平均値について線形近似した直線が示されている。図5に示す結果から、表面処理回数が少ない内に初検出されたLPDほど、最終回の表面処理後の表面検査におけるLPD検出サイズが大きい傾向が確認できる。この結果から、微小加工起因欠陥は、表面処理前のウェーハ表面でのサイズが大きいほど、少ない表面処理回数で早期に顕在化し、最終的なLPD検出サイズも大きくなる傾向があるといえる。更に統計的に変化量を算出することで、1回の表面処理によるサイズ変化量を見積もることが可能となる。例えば、最終回(図5に示す例では6回目)の表面処理後、即ち複数回の表面処理の終了後、の表面検査におけるLPD検出サイズを目的変数とし、初検出後に施される表面処理の合計回数(N-n)を説明変数として、図5に示す近似直線の一次式を回帰式「y=ax+b」とすれば、傾きa及び切片bを単回帰分析によって求めることができる。微小加工起因欠陥が検出された座標点において、上記表面処理が施される前の半導体ウェーハの表面に存在していた微小加工起因欠陥の想定サイズは、例えばこうして、上記bとして算出することができる。例えば、表面処理条件毎に予め回帰式を作成しておくことで、その後に、その表面処理条件での表面処理を行う場合には、予め作成した回帰式を用いて、その表面処理条件での表面処理が施される前の半導体ウェーハの表面に存在していた微小加工起因欠陥の想定サイズを、複数回の表面処理の終了後の表面検査におけるLPD検出サイズを目的変数とし、初検出後に施される表面処理の合計回数(N-n)を説明変数とする回帰分析によって算出することができる。
【0025】
図6に、図5に示した例において、不動欠陥として検出されたLPDの表面処理前のLPD検出サイズ(右図)、及び、増加欠陥が検出された座標点において算出された想定サイズ(左図)を示す。図6から、上記評価方法によって、図5に示した例で用いた表面欠陥検査装置では通常検出できない、LPD検出サイズが25nm以下の微小加工起因欠陥を顕在化させて表面欠陥検査装置で検出することが可能であり、先に記載した方法によって想定サイズを算出できたことが確認できる。
【0026】
<表面処理>
先に記載したように、上記評価方法において複数回行われる表面処理では、上記方法1又は上記方法2の表面処理が行われる。複数回の表面処理は、同じ表面処理条件で行うことが好ましい。ここで「同じ表面処理条件」については、表面処理のための薬液調製中、表面処理中等に不可避的に生じ得る条件の変動は許容されるものとする。
【0027】
複数回行われる表面処理の総回数Nは、2以上であり、3以上、4以上又は5以上とすることができる。また、Nは、例えば、10以下、9以下、8以下、7以下又は6以下とすることができる。但し、表面処理回数を増やすほど、より微小な加工起因欠陥も顕在化させることができるため、表面処理回数は、ここに例示した回数に限定されず、より多くの回数の表面処理を行うこともできる。
【0028】
オゾン水としては、例えば、質量基準のオゾン濃度が20ppm以上30ppm以下のオゾン水を用いることができる。フッ酸としては、例えば、フッ化水素濃度0.1質量%以上1.0質量%以下のフッ酸を用いることができる。評価対象表面へのオゾン水の供給及びフッ酸の供給は、半導体ウェーハに通常施される洗浄処理と同様に行うことができる。図4及び図5に示した例では、質量基準のオゾン濃度が25ppmのオゾン水、フッ化水素濃度が1.0質量%のフッ酸を使用し、半導体ウェーハに通常施される洗浄処理と同様に、酸化膜形成のためのオゾン水供給工程、フッ酸供給工程及びパッシベーションのためのオゾン水供給工程を実施した。
【0029】
オゾン水の供給について、パッシベーションのためのオゾン水供給工程は、酸化膜形成のためのオゾン水供給工程より長時間行うことが、フッ酸供給工程後のパッシベーション処理の観点から好ましい。オゾン水の供給時間は、例えば、酸化膜形成のためのオゾン水供給工程では、10秒~60秒程度とすることができ、パッシベーションのためのオゾン水供給工程では、20秒~60秒程度とすることができる。図4及び図5に示した例では、オゾン水の供給時間は、酸化膜形成のためのオゾン水供給工程では15秒、パッシベーションのためのオゾン水供給工程では30秒とした。
【0030】
フッ酸供給工程では、フッ酸の供給時間は、例えば1秒以上、2秒以上又は3秒以上とすることができる。先に記載したように、微小加工起因欠陥を顕在化させるためには、フッ酸供給工程前に形成された酸化膜が完全に剥離されず、その一部が残るように、フッ酸供給工程を行うことが好ましい。この点からは、フッ酸の供給時間は、20秒以下とすることが好ましい。図4及び図5に示した例では、フッ酸供給工程におけるフッ酸の供給時間は、4秒とした。また、上記の通り、フッ酸供給工程後、フッ酸供給工程前に形成された酸化膜が完全に剥離されずに一部が残ることが好ましい。そのため、先に記載した方法1の表面処理では、フッ酸供給工程前に、酸化膜形成のためのオゾン水供給工程を実施することが好ましい。
【0031】
[半導体ウェーハの製造方法]
本発明の一態様は、評価対象の製造条件下で半導体ウェーハを製造すること、上記製造された半導体ウェーハを上記半導体ウェーハの評価方法によって評価すること、上記評価の結果に基づき、上記評価対象の製造条件に変更を加えた製造条件をその後の製造条件として決定するか、又は、上記評価対象の製造条件を引き続き採用する製造条件として決定すること、及び、上記決定された製造条件下で半導体ウェーハを製造すること、を含む半導体ウェーハの製造方法に関する。
【0032】
上記製造方法の具体的形態としては、以下を例示できる。
製造条件Aの下で半導体ウェーハの製造を行う。
別途、製造条件Aとは異なる製造条件Bの下で半導体ウェーハの製造を行う。
評価対象の製造条件を、「製造条件B」とする。
製造条件Aの下で製造されたウェーハ群及び製造条件Bの下で製造されたウェーハ群から、それぞれ、評価用ウェーハを抜き取り、先に記載した評価方法によって評価する。
例えば、評価の結果、先に記載した評価方法において加工起因欠陥と分類された微小加工起因欠陥の総数が、製造条件Aの下で製造されたウェーハ群から抜き取った評価用ウェーハにおいて、製造条件Bの下で製造されたウェーハ群から抜き取った評価用ウェーハより少なかった場合、製造条件Aは、製造条件Bと比べて、微小加工起因欠陥が発生し難い製造条件と判定できる。この場合、製造条件Bを製造条件Aに近づけるように変更し、かかる変更を加えた製造条件を改良製造条件Bとして、その後の半導体ウェーハの製造を行うことができる。
また、例えば、評価の結果、先に記載した評価方法において算出された、加工起因欠陥と分類された微小加工起因欠陥の想定サイズの代表値(平均値、最大値等)が、製造条件Bの下で製造されたウェーハ群から抜き取った評価用ウェーハにおいて、製造条件Aの下で製造されたウェーハ群から抜き取った評価用ウェーハより大きかった場合、製造条件Bは、製造条件Aと比べて、より大きな微小加工起因欠陥が発生し易い製造条件と判定できる。この場合、製造条件Bを製造条件Aに近づけるように変更し、かかる変更を加えた製造条件を改良製造条件Bとして、その後の半導体ウェーハの製造を行うことができる。
【0033】
また、上記製造方法の具体的形態としては、以下も例示できる。
実際に製品として出荷する半導体ウェーハを製造するための製造条件(以下、「実製造条件」と記載する。)を決定するために、まず、テスト製造条件を決定する。
このテスト製造条件下で半導体ウェーハを製造する。
テスト製造条件下で製造された半導体ウェーハを、先に記載した評価方法によって評価する。
評価の結果に基づき、テスト製造条件に変更を加えた製造条件を実製造条件として決定するか、又は、テスト製造条件そのものを、実製造条件として決定することができる。そして、決定された実製造条件下で半導体ウェーハを製造することができる。
例えば、評価の結果、テスト製造条件下で製造された半導体ウェーハにおいて、先に記載した評価方法において加工起因欠陥と分類された微小加工起因欠陥の総数が、予め設定した目標値を上回る場合には、微小加工起因欠陥の発生が抑制されるようにテスト製造条件に変更を加えた製造条件を、実製造条件として決定することができる。
また、例えば、評価の結果、テスト製造条件下で製造された半導体ウェーハにおいて、先に記載した評価方法において算出された、加工起因欠陥と分類された微小加工起因欠陥の想定サイズの代表値(平均値、最大値等)が、予め設定した目標値を上回る場合にも、微小加工起因欠陥の発生が抑制されるようにテスト製造条件に変更を加えた製造条件を、実製造条件として決定することができる。
【0034】
半導体ウェーハの製造工程について、例えばポリッシュドウェーハの製造工程は、シリコン単結晶インゴット等の半導体インゴットからのウェーハの切断(スライシング)、面取り加工、粗研磨(例えばラッピング)、エッチング、鏡面研磨(仕上げ研磨)、上記加工工程間又は加工工程後に行われる洗浄工程を含む製造工程により製造することができる。微小加工起因欠陥の一形態であるPIDは研磨処理において生じる欠陥であるため、上記変更が加えられる製造条件は、半導体ウェーハ表面の研磨処理条件であることができる。具体的には、研磨スラリーの交換、研磨スラリーの組成変更、研磨パッドの交換、研磨パッドの種類の変更、研磨装置の運転条件の変更等の各種の研磨条件の変更を挙げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の一態様は、ポリッシュドウェーハの各種半導体ウェーハの製造分野において有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6