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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022008
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ベルト装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125275
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】永田 春樹
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200FA12
2H200FA17
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200HA02
2H200HB12
2H200JA02
2H200JB07
2H200JC04
2H200JC07
2H200JC09
2H200JC10
2H200LA02
2H200LA17
2H200LA24
2H200LA25
2H200LB13
(57)【要約】
【課題】ベルト部材の交換を容易に行うことができるベルト装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】ベルト装置たる二次転写装置40は、ベルト部材たる二次転写ベルト406の外周面に当接し、テンションを付与するテンションローラ405を備えている。テンションローラ405は、二次転写ベルト406の駆動ローラ404と、寄り止めローラ409との間の張架領域に配置されている。そして、二次転写ベルト406を張架する複数の張架ローラの軸方向一端を保持するローラ保持面板412が、テンションローラ405による二次転写ベルト406へのテンションを解除した状態のとき、ガイド部などの寄り止めガイド406aのループ内に収まる構成となっている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト部材と、
前記ベルト部材のベルト内周面に当接して、前記ベルト部材を張架する複数の張架ローラと、
前記ベルト部材のベルト外周面に当接して、前記ベルト部材にテンションを付与するテンションローラとを備え、
複数の張架ローラのうちのひとつは、前記ベルト内周面の端部に1周にわたり設けられたガイド部に当接して前記ベルト部材の軸方向の移動を規制する規制部を有する規制ローラであり、
前記テンションローラは、前記ベルト部材の前記規制ローラと他の張架ローラとの間の張架領域に配置されたベルト装置において、
前記複数の張架ローラの軸方向一端を保持するローラ保持面板を有し、
前記ローラ保持面板は、前記テンションローラによる前記ベルト部材へのテンションを解除した状態のとき、前記ガイド部のループ内に収まることを特徴とするベルト装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベルト装置において、
前記ガイド部の内周長が、前記ローラ保持面板の外周長よりも長いことを特徴とするベルト装置。
【請求項3】
請求項1に記載のベルト装置において、
前記テンションローラにより前記ベルト部材にテンションが付与された状態のときの前記ベルト部材の前記規制ローラへの巻き付き角度が90°以上であることを特徴とするベルト装置。
【請求項4】
請求項1に記載のベルト装置において、
前記他の張架ローラが、前記ベルト部材を回転駆動させる駆動ローラであることを特徴とするベルト装置。
【請求項5】
請求項4に記載のベルト装置において、
前記ベルト外周面に当接し、前記ベルト外周面をクリーニングするクリーニング部材を備え、
前記クリーニング部材は、前記ベルト部材の前記駆動ローラへの巻き付き領域に当接することを特徴とするベルト装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載のベルト装置において、
前記ベルト外周面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備え、
前記潤滑剤塗布手段は、
前記ベルト部材の前記駆動ローラへの巻き付き領域に当接することを特徴とするベルト装置。
【請求項7】
請求項4に記載のベルト装置において、
前記テンションローラにより前記ベルト部材にテンションが付与された状態のときの前記駆動ローラへの巻き付き角度が90°以上であることを特徴とするベルト装置。
【請求項8】
請求項1に記載のベルト装置において、
前記他の張架ローラが、前記ベルト外周面に当接し前記ベルト外周面をクリーニングするクリーニング部材と、前記ベルト外周面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段とに前記ベルト部材を介して対向する対向ローラであることを特徴とするベルト装置。
【請求項9】
請求項8に記載のベルト装置において、
前記テンションローラにより前記ベルト部材にテンションが付与された状態のときの前記対向ローラへの巻き付き角度が90°以上であることを特徴とするベルト装置。
【請求項10】
請求項1に記載のベルト装置において、
前記ベルト部材は、トナー像を担持する像担持体に当接し、前記像担持体に担持された前記トナー像を記録媒体に転写するための転写ニップを形成する転写ベルトであることを特徴とするベルト装置。
【請求項11】
ベルト装置を備えた画像形成装置において、
前記ベルト装置として、請求項1に記載のベルト装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、次のようなベルト装置が知られている。すなわち、ベルト部材と、ベルト部材のベルト内周面に当接して、ベルト部材を張架する3つ以上の張架ローラと、ベルト部材のベルト外周面に当接して、ベルト部材にテンションを付与するテンションローラとを備える。複数の張架ローラのうちのひとつは、ベルト内周面の端部に1周にわたり設けられたガイド部に当接してベルト部材の軸方向の移動を規制する規制部を有する規制ローラである。テンションローラは、ベルト部材の規制ローラと他の張架ローラとの間の張架領域に配置されているベルト装置である。
【0003】
特許文献1には、上記ベルト装置として、クリーニングブレードおよび潤滑剤塗布部材にベルト部材たる二次転写ベルトを挟んで対向する他の張架ローラとしての対向ローラと、規制ローラとの間の張架領域にテンションローラたる当接部材が配置されたものが記載されている。これによれば、ベルト部材のベルト内周面の端部に設けられたガイド部が、規制ローラの規制部に乗り上げる不具合を抑制できる旨が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、二次転写ベルトなどのベルト部材の交換性に課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、ベルト部材と、前記ベルト部材のベルト内周面に当接して、前記ベルト部材を張架する複数の張架ローラと、前記ベルト部材のベルト外周面に当接して、前記ベルト部材にテンションを付与するテンションローラとを備え、複数の張架ローラのうちのひとつは、前記ベルト内周面の端部に1周にわたり設けられたガイド部に当接して前記ベルト部材の軸方向の移動を規制する規制部を有する規制ローラであり、前記テンションローラは、前記ベルト部材の前記規制ローラと他の張架ローラとの間の張架領域に配置されたベルト装置において、前記複数の張架ローラの軸方向一端を保持するローラ保持面板を有し、前記ローラ保持面板は、前記テンションローラによる前記ベルト部材へのテンションを解除した状態のとき、前記ガイド部のループ内に収まることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ベルト部材の交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る画像形成装置としての電子写真方式のカラープリンタの概略構成図。
図2】二次転写装置の概略構成図。
図3】二次転写ベルトと寄り止めローラとを示す概略斜視図。
図4】駆動ローラとクリーニング部材たるクリーニングブレードとを示す概略斜視図。
図5】駆動ローラとクリーニングブレードとを示す概略斜視図。
図6】二次転写装置を、軸方向の一端側である画像形成装置の手前側見た図。
図7】二次転写ベルトの交換について説明する概略断面図。
図8】一端側のローラ保持面板の変形例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて説明する。図1は実施形態に係る画像形成装置としての電子写真方式のカラープリンタ(以下、「プリンタ」という)の概略構成図である。このプリンタ100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成するための四つの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kを備えている。また、中間転写装置としての転写ユニット30、ベルト装置たる二次転写装置40、被搬送物としての記録材Pを収納するカセット60、定着装置90なども備えている。
【0009】
画像形成部となる四つの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、粉体の現像剤として、互いに異なる色のY、M、C、Kのトナーを用いる。それ以外は同様の構成になっている。画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、像担持体たるドラム状の感光体2Y、2M、2C、2K、ドラムクリーニング装置3Y、3M、3C、3K、除電装置、帯電装置6Y、6M、6C、6K、現像装置8Y、8M、8C、8K等を備えている。
【0010】
感光体2Y、2M、2C、2Kの表面は、帯電装置6Y、6M、6C、6Kで一様帯電される。次に、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの上方に配設された光書込ユニット101から発せられるレーザー光などの露光光によって光走査されて各色用の静電潜像が形成される。この静電潜像は、各色のトナーを有する現像装置8Y、8M、8C、8Kによって現像されて各色の像としてのトナー像Tになる。感光体2にはトナー像が形成される。感光体2Y、2M、2C、2Kのトナー像Tは、無端状のベルト部材からなる中間転写ベルト31のおもて面上に一次転写されて担持される。
【0011】
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの下方には、中間転写ベルト31を張架しながら図中時計回り方向に無端移動(回転走行)せしめる中間転写装置である転写ユニット30が配設されている。本実施形態では、中間転写ベルト31の表面移動方向をベルト移動方向aとする。
【0012】
転写ユニット30は、中間転写ベルト31の他に、駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、四つの一次転写ローラ35Y、35M、35C、35K、転写前ローラ37などを備えている。中間転写ベルト31は、駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、一次転写ローラ35Y、35M、35C、35K及び転写前ローラ37に巻き掛けられて支持され張架されている。そして、駆動モータなどの駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ32の回転力により、同方向に無端移動して搬送される。
【0013】
中間転写ベルト31のループ外側の下方には、ベルト部材であり転写ベルトである二次転写ベルト406を備えた二次転写装置40が配置されている。二次転写ベルト406は、分離ローラ401、従動ローラ402,403、駆動ローラ404、テンションローラ405、規制ローラたる寄り止めローラ409および二次転写ローラ407に巻き掛けられている。二次転写装置40は、クリーニング部材たるクリーニングブレード410と、潤滑剤塗布手段としての潤滑剤塗布装置411も備えている。潤滑剤塗布装置411は、固形潤滑剤411bと固形潤滑剤を掻き取って二次転写ベルト406に塗布する。
【0014】
二次転写装置40の下方には、記録材Pを複数枚重ねた束の状態で収容可能な収容部となるカセット60が配設されている。このカセット60は、束の一番上の記録材Pにローラ60aを当接させており、これを所定のタイミングで回転駆動させることで、記録材Pをカセット60から二次転写ニップN2に向かう搬送路65に向けて送り出す。搬送路65に送り出された記録材Pは、レジストローラ対61によって二次転写ニップN2内で中間転写ベルト31のおもて面上のトナー像に同期するタイミングで二次転写ニップN2に送り出される。
【0015】
中間転写ベルト31のおもて面のトナー像は、二次転写電界やニップ圧の作用によって二次転写ニップN2で記録材P上に一括二次転写され、記録材Pの白色と相まってフルカラートナー像となる。
【0016】
二次転写ニップN2よりも記録材搬送方向bの下流側には、定着装置90が配設されている。定着装置90は、定着ベルト94の支持ローラとして、加熱ローラ91、定着ローラ93、支持ローラ96、テンション部材でもあるテンションローラ95を備えている。定着装置90は、定着ベルト94を挟んで定着ローラ93に当接する加圧ローラ92も備えている。トナー像が転写された記録材Pは定着装置90に送り込まれ、定着ローラ93と加圧ローラ92とが接触する定着ニップに挟まれる。定着装置90は、ニップ部の加圧と熱源を内部に備えた加熱ローラ91から定着ベルト94によって熱を記録材Pに伝え、フルカラートナー像中のトナーを軟化させて定着する。定着後の記録材Pは、定着装置90内から排出されて機外へと排出される。
【0017】
図2は、二次転写装置40の概略構成図である。
本実施形態の二次転写装置40は、ベルト部材たる二次転写ベルト406を中間転写ベルト31に当接させて二次転写ニップを形成して二次転写を行うベルト転写方式である。ベルト転写方式は、二次転写ローラ407を直接中間転写ベルト31に接触させて二次転写ニップを形成するローラ転写方式に比べて、次の利点がある。すなわち、レイアウトの自由度が高いというメリット、薄紙分離性が向上するというメリットおよび寿命が長いというメリットである。
【0018】
二次転写装置40は、二次転写ベルト406をベルトループ内側で支える六本の張架ローラを有している。六本の張架ローラは、具体的には、二次転写ローラ407、分離ローラ401、2本の従動ローラ402,403、駆動ローラ404および寄り止めローラ409である。
【0019】
また、二次転写装置40は、二次転写ベルト406を外周面から加圧するテンションローラ405が設けられており、テンションローラ405は、バネ408によって二次転写ベルト406に付勢されることで二次転写ベルト406にテンションを付与する。このテンションローラ405により、二次転写ベルト406にテンションを加えることで、二次転写ベルト内の各張架ローラに対して密着した状態を維持する。
テンションローラ405は二次転写ベルト406に対してスリップさせないこと、二次転写ベルト406のおもて面に傷をつけないことが必要なため、ローラ表面は柔らかいスポンジなどで形成される。
【0020】
テンションローラ405は、二次転写ベルト406の駆動ローラ404と寄り止めローラ409とに張架された領域に配置され、その領域をバネ408の付勢力によりループ内側へ向けて押圧している。このテンションローラ405の押圧により、二次転写ベルト406の駆動ローラ404と寄り止めローラ409とに張架された領域が二次転写ベルト406のループ内側へ凹む形で張架される。これにより、二次転写ベルト406の駆動ローラ404への巻き付き角度βおよび寄り止めローラ409への巻き付き角度αをそれぞれ90°以上にできる。
【0021】
駆動ローラ404は、外部の動力源とギア、カップリングなどの駆動伝達機構によって動力が伝達され、二次転写ベルト406を所定の方向、速度で駆動させる。二次転写ベルト406を狙いの速度で駆動させるため、駆動ローラ404は二次転写ベルト406に対してスリップせずに密着状態を維持することが求められる。そのため、二次転写ベルト406に対して十分な摩擦力を得るため、駆動ローラ404の表面は硬質のゴムなどで形成される。駆動ローラ404によって二次転写ベルト406は駆動され、二次転写ベルト406内の駆動ローラ以外の各張架ローラは二次転写ベルト406により従動回転する。
【0022】
二次転写ローラ407は、中間転写ベルト31の周方向における全域のうち、二次転写裏面ローラ33への巻き付き領域に二次転写ベルト406を当接させて、中間転写ベルト31との間で二次転写ニップを形成する。分離ローラ401は、分離ローラ401の曲率により二次転写ベルト406から記録材Pを分離する。二次転写ローラ407は、芯金となる金属シャフトの表面にスポンジ部材にて形成したスポンジ層を有している。
【0023】
二次転写装置40は、従動ローラ402の軸を支点して回動可能に画像形成装置の本体に支持されており、付勢手段たる加圧バネにより中間転写ベルトに向けて加圧されている。この加圧バネによる加圧により二次転写裏面ローラ33のスポンジ層が潰れ、二次転写ニップのニップ幅が十分に確保される。
【0024】
図3は、二次転写ベルト406と寄り止めローラ409とを示す概略斜視図である。
図3に示すように、二次転写ベルト406の内周面の両端には、ガイド部としての寄り止めガイド406aが接着固定されている。二次転写ベルト406との接着性、材質としての耐久性などを考慮して、寄り止めガイド406aの材質はゴムなどが選択される。
【0025】
規制ローラたる寄り止めローラ409の軸方向両端には、規制部としての寄り止めカラー409aが設けられている。寄り止めカラー409aは、ゴムからなる寄り止めガイド406aに対して摺動性や耐摩耗性が必要なためPOMなどの摺動性の高い樹脂で形成されている。
【0026】
二次転写ベルト406が幅方向に向けて片寄り走行しようとすると、二次転写ベルト406に設けられた寄り止めガイド406aが、寄り止めローラ409の寄り止めカラー409aに当接し、二次転写ベルト406の幅方向の片寄りを規制する。このように、二次転写ベルト406の片寄りを抑制することで、印刷画像のスキュー、二次転写ニップでの密着不足による放電による異常画像、二次転写ベルトの破損を抑制することができる。
【0027】
図4は、駆動ローラ404とクリーニング部材たるクリーニングブレード410とを示す概略斜視図である。
二次転写ベルト406に付着したトナーや紙紛などクリーニングするために、クリーニング部材たるクリーニングブレード410が、二次転写ベルト406の駆動ローラ404への巻き付き領域に当接ししている。安定したクリーニング能力を維持するために、クリーニングブレード410は、硬質のゴムブレードを用い、二次転写ベルト406に対して所定の転写圧、角度となるようにクリーニングブレード410を配置している。二次転写ベルト406に付着したトナーや紙紛などの付着物が、クリーニングブレード410によって除去されることで、記録材の裏面が汚れるのを抑制することができる。
【0028】
また、二次転写ベルト406の外周面に当接しているテンションローラ405よりも二次転写ベルト406の表面移動方向上流側で、クリーニングブレード410により二次転写ベルト406に付着した付着物を除去している(図2参照)。これにより、テンションローラ405の表面が、二次転写ベルト406に付着した付着物により汚れるのを抑制できる。二次転写ベルト406の外周面に付着する付着物としては、トナーや紙紛が挙げられる。
【0029】
なお、クリーニング能力向上のために複数のクリーニングブレードを設けてもよい。また、二次転写ベルト406に付着したトナーや紙紛などの付着物を機械的に除去するクリーニングブレードと、二次転写ベルト406に付着した付着物を静電的に除去する静電クリーニングブラシとを設けてもよい。
【0030】
図5は、駆動ローラ404と潤滑剤塗布装置411とを示す概略斜視図である。
本実施形態では、安定したクリーニング能力を維持するため、クリーニングブレード410よりも二次転写ベルト406の表面移動方向上流側に潤滑剤塗布装置411を設けている。潤滑剤塗布装置411は、固形潤滑剤411bと、この固形潤滑剤411bを掻き取って、二次転写ベルト406に潤滑剤を塗布する塗布ブラシ411aとを有している。固形潤滑剤411bとしては、ステアリン酸亜鉛をバー形状に加工したものが一般的に用いられるが、これに限らず、無機潤滑剤、ワックス等、公知のものを用いることができる。固形潤滑剤411bは、加圧スプリング411cにより塗布ブラシ411aに押し当てられている。塗布ブラシ411aは、二次転写ベルト406の駆動ローラ404への巻き付き領域に当接している。
【0031】
塗布ブラシ411aによって、二次転写ベルト406の外周面に潤滑剤を塗布することで、二次転写ベルト外周面の低摩擦化が図られ、クリーニングブレード410のめくれやカケを防止でき安定したクリーニング性を維持し続けることができる。また、二次転写ベルト406の外周面に潤滑剤を塗布することで、二次転写ベルト406の光沢性や表面性を維持することができる。
【0032】
二次転写ベルト406の駆動ローラ404への巻き付き量が多くなれば多くなるほど摩擦力(グリップ力)が増加し、スリップしにくくなる。そのため、駆動ローラ404と二次転写ベルト406はレイアウト上可能な限り巻き付き量を多くすることが望ましい。十分な摩擦力(グリップ力)が得るために、二次転写ベルト406の駆動ローラ404に対する巻き付き角度βは、90°以上確保することが求められる。
【0033】
また、二次転写ベルト406の寄り止めローラ409に対する巻き付き角度が小さいと、寄り止めガイド406aが寄り止めカラー409aに乗り上げてしまうことがある。そのため、二次転写ベルト406の寄り止めローラ409に対する巻き付き角度αも90°以上確保することが求められる。
【0034】
また、省スペース化のためにクリーニングブレード410と潤滑剤塗布装置411の塗布ブラシ411aとを、一つの張架ローラに二次転写ベルト406を介して対向配置した場合、この張架ローラ(以下、対向ローラという)についても、レイアウト上の制約として、90°以上の巻きつき角度が必要となる。
【0035】
本実施形態のように、二次転写ベルト406をベルトループ内側で支える張架ローラが多数の場合、張架ローラの配置だけで、対向ローラ、駆動ローラおよび寄り止めローラのすべてについて、90°以上の巻き付き角度にすることは困難である。
【0036】
そこで、本実施形態では、駆動ローラ404を、二次転写ベルト406を介して塗布ブラシ411aおよびクリーニングブレード410と対向する対向ローラとして用いている。また、二次転写ベルト406に駆動ローラ404と寄り止めローラ409とで張架される領域を形成し、その領域をテンションローラ405でループ内側へ押圧するように構成した。これにより、二次転写ベルト406の駆動ローラ404と寄り止めローラ409とで張架される領域が、図2に示すように、二次転写ベルト406のループ内側へ蛇行する。この蛇行により二次転写ベルト406の対向ローラの機能も有する駆動ローラ404に対する巻き付き角度βおよび寄り止めローラ409に対する巻き付き角度αを、180°近くにできる。その結果、駆動ローラ404と二次転写ベルト406との間の摩擦力(グリップ力)が十分に得ることができ、二次転写ベルト406の駆動ローラ404に対するスリップを良好に抑制することができる。また、二次転写ベルト406の駆動ローラ404への巻き付き領域に、クリーニングブレード410と塗布ブラシ411aとを当接させることができ、装置の省スペース化を図ることができる。さらに、二次転写ベルト406の寄り止めガイド406aが、寄り止めカラー409aカラーに乗り上げてしまうのを抑制することもできる。
【0037】
また、テンションローラ405により二次転写ベルト406をループ内側へ押圧して、二次転写ベルト406をループ内側へ蛇行させることで、テンション付与時の二次転写ベルト406のループ内断面積を小さくできる。これにより、二次転写装置40の小型化を図ることができる。
【0038】
図6は、二次転写装置40を、軸方向の一端側である画像形成装置の手前側見た図である。
二次転写ベルト406をベルトループ内側で支える六本の張架ローラ(分離ローラ401、従動ローラ402,403、駆動ローラ404、寄り止めローラ409および二次転写ローラ407)は、軸方向一端側と他端側に設けられたローラ保持面板に回転自在に保持されている。図5に示すように、画像形成装置の正面側である軸方向一端側のローラ保持面板412の外周は、六本の張架ローラに支持された二次転写ベルト406の寄り止めガイド406aの内周よりも内側にある。つまり、ローラ保持面板412は、寄り止めガイド406aのループ内に収まるように構成されている。
また、ローラ保持面板412は、バネ受け412aを有しており、バネ408の一端がこのバネ受け412aに取り付けられている。
【0039】
二次転写ベルト406の内周面に設けられた寄り止めガイド406aは、寄り止めローラ409の寄り止めカラー409aに摺動することで徐々に摩耗する。そのため、二次転写ベルト406は、一定の走行距離ごとに定期的に交換する必要がある。
【0040】
図7は、二次転写ベルト406の交換について説明する概略断面図である。
図7は、二次転写装置40の軸方向中央で切断した断面図であり、図中点線が、軸方向一端側のローラ保持面板412を示している。
二次転写ベルト406の交換時は、図7(a)に示す状態から、図7(b)に示すようにテンションローラ405を装置から取り外して、二次転写ベルト406へのテンションを解除する。次に、二次転写ベルト406の寄り止めローラ409への巻き付き付近と、分離ローラ401への巻き付き付近とを手でつまんで持ち上げることで、図7(c)の状態とする。そして、二次転写ベルト406を軸方向一端側へ移動させる。
【0041】
図中点線に示す軸方向一端側のローラ保持面板412は、上述したように、寄り止めガイド406aのループ内に収まっている。そのため、図7(c)の状態から、二次転写ベルト406を軸方向一端側へ移動させることで、ローラ保持面板412に引っ掛かることなく、二次転写ベルト406を装置から取り外すことができる。
【0042】
次に、新品の二次転写ベルト406を装置に取り付けるときも、取り外すときと同様に二次転写ベルトを持って、ローラ保持面板412を寄り止めガイド406aのループ内に通すように、二次転写ベルト406を軸方向他端側(画像形成装置の奥側)へ移動させる。そして、二次転写ベルト406の内周面が、張架ローラに対向する位置まで新品の二次転写ベルト406を移動させたら、二次転写ベルト406から手を離して二次転写ローラ等に引っ掛ける。そして、テンションローラ405を取り付けて、二次転写ベルト406にテンションを付与する。
【0043】
このように、テンションが解除された状態の二次転写ベルト406の寄り止めガイド406aのループ内に収まるよう一端側のローラ保持面板412を構成したので、二次転写ベルト406がローラ保持面板412に引っ掛かることがない。これにより、ローラ保持面板412を取り外すことなく、二次転写ベルト406の交換を行うことができ、二次転写ベルト406の交換を容易に行うことができる。また、二次転写ベルトを伸ばして二次転写ベルトのループを広げずに、一端側のローラ保持面板412を二次転写ベルトのループ内を通すことができる。これにより、より一層、二次転写ベルトの交換を容易に行うことができる。
【0044】
図8は、一端側のローラ保持面板412の変形例を示す概略図である。
この変形例のローラ保持面板412は、テンションローラ405も回転自在に保持している。
図8(a)に示すように、テンションローラ405によりテンションが付与されているとき、二次転写ベルト406の駆動ローラ404から寄り止めローラ409までの領域は、軸方向において、ローラ保持面板412と対向しており、ローラ保持面板412は、二次転写ベルト406の寄り止めガイド406aのループ内に収まっていない。しかし、図8(b)に示すように、テンションローラ405を取り外して、テンションを解除した状態とすると、ローラ保持面板412は、寄り止めガイド406aのループ内に収まる。よって、この変形例においても、ローラ保持面板412を寄り止めガイド406aのループ内を通すように二次転写ベルト406を軸方向に移動させて、二次転写ベルト406の着脱を行うことができる。よって、この変形例においても、ローラ保持面板412を取り外すことなく、二次転写ベルト406の交換を行うことができ、二次転写ベルト406の交換を容易に行うことができる。
【0045】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、画像形成装置としては、プリンタではなく、複写機、ファクシミリ単体、あるいは、複写機、プリンタ、ファクシミリ、スキャナのうちの少なくとも2つの機能を備えた複合機であってもよい。ベルト装置は二次転写ベルト装置に限られず種々のベルト装置に適用できる。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0046】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
二次転写ベルト406などのベルト部材と、ベルト部材のベルト内周面に当接して、ベルト部材を張架する複数の張架ローラと、ベルト部材のベルト外周面に当接して、ベルト部材にテンションを付与するテンションローラ405とを備え、複数の張架ローラのうちのひとつは、ベルト内周面の端部に1周にわたり設けられた寄り止めガイド406aなどのガイド部に当接してベルト部材の軸方向の移動を規制する寄り止めカラー409aなどの規制部を有する寄り止めローラ409などの規制ローラであり、テンションローラ405は、ベルト部材の規制ローラと他の張架ローラとの間の張架領域に配置された二次転写装置40などのベルト装置において、複数の張架ローラの軸方向一端を保持するローラ保持面板412を有し、ローラ保持面板412は、テンションローラ405によるベルト部材へのテンションを解除した状態のとき、ガイド部のループ内に収まる。
二次転写ベルト406などのベルト部材の寄り止めガイド406aなどのガイド部が寄り止めローラ409などの規制ローラの寄り止めカラー409aなどの規制部に摺擦し、ガイド部が摩耗する。そのため、ベルト部材は一定の走行距離毎に交換する必要がある。無端状のベルト部材の交換は、まず、テンションローラ405をベルト部材から離間させ、テンションを解除した状態で、ベルト部材を軸方向一端側へ移動させてベルト部材を取り外す。次に、新品のベルト部材を軸方向へ移動させて、ベルト部材を張架ローラに引っ掛けた後、テンションローラによりベルト部材にテンションを付与することで、ベルト部材の交換が完了する。
態様1では、ローラ保持面板412が、テンションローラ405によるベルト部材へのテンションを解除した状態のとき、ガイド部のループ内に収まるように構成されているので、ローラ保持面板412をガイド部のループ内を通すような形でベルト部材を軸方向へ移動させて装置に対してベルト部材の着脱を行うことができる。これにより、ローラ保持面板412を取り外すことなく、ベルト部材の交換を行うことができ、ベルト部材の交換を容易に行うことができる。
【0047】
(態様2)
態様1において、寄り止めガイド406aなどのガイド部の内周長が、ローラ保持面板412の外周長よりも長い。
これによれば、実施形態で説明したように、テンションローラ405により二次転写ベルト406などのベルト部材へのテンションを解除したとき、ローラ保持面板412を寄り止めガイド406aなどのガイド部のループ内に収めることができる。
【0048】
(態様3)
態様1または2において、テンションローラ405により二次転写ベルト406などのベルト部材にテンションが付与された状態のときのベルト部材の寄り止めローラ409などの規制ローラへの巻き付き角度αが90°以上である。
これによれば、実施形態で説明したように、二次転写ベルト406などのベルト部材の寄り止めガイド406aなどのガイド部が、寄り止めローラ409などの規制ローラの寄り止めカラー409aなどの規制部に乗り上げるのを抑制することができる。
【0049】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、他の張架ローラが、二次転写ベルト406などのベルト部材を回転駆動させる駆動ローラ404である。
これによれば、実施形態で説明したように、二次転写ベルト406などのベルト部材の駆動ローラ404への巻き付き角度を大きくすることができ、駆動ローラ404とベルト部材との間でのスリップを抑制し、良好にベルト部材を回転駆動することができる。
【0050】
(態様5)
態様4において、ベルト外周面に当接し、ベルト外周面をクリーニングするクリーニングブレード410などのクリーニング部材を備え、クリーニング部材は、ベルト部材の駆動ローラ404への巻き付き領域に当接する。
これによれば、二次転写ベルト406などのベルト部材への駆動ローラ404への巻き付き角度を大きいため、ベルト部材の駆動ローラへの巻き付き領域が広い。よって、クリーニングブレード410などのクリーニング部材を容易にベルト部材の駆動ローラへの巻き付き領域に当接させることができる。
【0051】
(態様6)
態様4または5において、ベルト外周面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置411などの潤滑剤塗布手段を備え、潤滑剤塗布手段は、ベルト部材の駆動ローラ404への巻き付き領域に当接する。
これによれば、二次転写ベルト406などのベルト部材への駆動ローラ404への巻き付き角度を大きいため、ベルト部材の駆動ローラへの巻き付き領域が広い。よって、潤滑剤塗布手段を容易にベルト部材の駆動ローラへの巻き付き領域に配置することができる。
【0052】
(態様7)
態様4乃至6いずれかにおいて、テンションローラ405により二次転写ベルト406などのベルト部材にテンションが付与された状態のときのベルト部材の寄り止めローラ409などの規制ローラへの巻き付き角度および駆動ローラ404への巻き付き角度が90°以上である。
これによれば、実施形態で説明したように、テンションローラ405により二次転写ベルト406などのベルト部材にテンションが付与された状態のときの駆動ローラ404への巻き付き角度βが90°以上である。
これによれば、実施形態で説明したように、駆動ローラ404とベルト部材との間でのスリップを抑制し、良好にベルト部材を回転駆動することができる。
【0053】
(態様8)
態様1乃至3いずれかにおいて、他の張架ローラが、二次転写ベルトなどのベルト部材の外周面に当接し、外周面をクリーニングするクリーニングブレード410などのクリーニング部材と、外周面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置411などの滑剤潤滑剤塗布手段とにベルト部材を介して対向する対向ローラである。
これによれば、実施形態で説明したように、二次転写ベルト406などのベルト部材の対向ローラへの巻き付き領域を広くでき、クリーニングブレード410などのクリーニング部材と、ベルト外周面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置411などの滑剤潤滑剤塗布手段とを容易に対向ローラに対向配置することができる。
【0054】
(態様9)
態様8において、テンションローラ405により二次転写ベルト406などのベルト部材にテンションが付与された状態のときの対向ローラへの巻き付き角度が90°以上である。
これによれば、実施形態で説明したように、クリーニングブレード410などのクリーニング部材と、ベルト外周面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置411などの滑剤潤滑剤塗布手段とを容易に対向ローラに対向配置することができる。
【0055】
(態様10)
態様1乃至9いずれかにおいて、ベルト部材は、トナー像を担持する中間転写ベルト31などの像担持体に当接し、像担持体に担持されたトナー像を記録材Pなどの記録媒体に転写するための二次転写ニップなどの転写ニップを形成する転写ベルトである。
これによれば、実施形態で説明したように、ローラを中間転写ベルト31などの像担持体に直接当接させて二次転写ニップなどの転写ニップを形成するローラ方式に比べて、レイアウトの自由度を高くでき、薄紙分離性を向上させることができ、寿命を延ばすことができるなどの利点を得ることができる。
【0056】
(態様11)
ベルト装置を備えた画像形成装置において、ベルト装置として、態様1乃至10いずれかのベルト装置を用いる。
これによれば、ベルトの交換を容易に行うことができる画像形成装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0057】
30 :転写ユニット
31 :中間転写ベルト
33 :二次転写裏面ローラ
40 :二次転写装置
100 :プリンタ
401 :分離ローラ
402 :従動ローラ
403 :従動ローラ
404 :駆動ローラ
405 :テンションローラ
406 :二次転写ベルト
406a :寄り止めガイド
407 :二次転写ローラ
408 :バネ
409 :寄り止めローラ
409a :寄り止めカラー
410 :クリーニングブレード
411 :潤滑剤塗布装置
411a :塗布ブラシ
411b :固形潤滑剤
411c :加圧スプリング
412 :ローラ保持面板
412a :バネ受け
N2 :二次転写ニップ
P :記録材
α :二次転写ベルトの寄り止めローラへの巻き付き角度
β :二次転写ベルトの駆動ローラへの巻き付き角度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】2021-38034号公報
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8