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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022032
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】導電部材の形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240208BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H01L23/12 D
H05K3/00 R
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125332
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】石谷 豪浩
(57)【要約】
【課題】基体上の所定の領域に導電部材を効率よく形成すること。
【解決手段】導電部材の形成方法は、上面視において、第1領域と、第1領域の内側に位置する第2領域と、を有する基体上に、第1領域が露出する第1開口を有する第1レジストを形成する工程と、第2領域が露出する第2開口と、第1レジスト上に位置し、第1レジストの上面の一部が露出する第3開口と、を有する第2レジストを第1レジスト上および第1開口内の基体上に連続して形成する工程と、第2レジスト上、第2開口内の基体上および第3開口内の第1レジスト上に導電材料を形成する工程と、第1レジストおよび第2レジストを除去することで、第2レジスト上および第3開口内の第1レジスト上に形成された導電材料を除去する工程と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面視において、第1領域と、前記第1領域の内側に位置する第2領域と、を有する基体上に、前記第1領域が露出する第1開口を有する第1レジストを形成する工程と、
前記第2領域が露出する第2開口と、前記第1レジスト上に位置し、前記第1レジストの上面の一部が露出する第3開口と、を有する第2レジストを前記第1レジスト上および前記第1開口内の前記基体上に連続して形成する工程と、
前記第2レジスト上、前記第2開口内の前記基体上および前記第3開口内の前記第1レジスト上に導電材料を形成する工程と、
前記第1レジストおよび前記第2レジストを除去することで、前記第2レジスト上および前記第3開口内の前記第1レジスト上に形成された前記導電材料を除去する工程と、
を備えた導電部材の形成方法。
【請求項2】
前記第2レジストは、上面視において、複数の前記第3開口を有する、請求項1記載の導電部材の形成方法。
【請求項3】
上面視において、前記第3開口の幅は、700μm以下である、
請求項1記載の導電部材の形成方法。
【請求項4】
上面視において、隣り合う前記第3開口間の距離は、5μm以上1000μm以下である、請求項2記載の導電部材の形成方法。
【請求項5】
前記第2レジストは、上面視において、格子状に形成される、
請求項1記載の導電部材の形成方法。
【請求項6】
上面視において、前記第2レジストの幅は、5μm以上1000μm以下である、請求項5記載の導電部材の形成方法。
【請求項7】
前記第1レジストは、ポジ型フォトレジストであり、
前記第2レジストは、ネガ型フォトレジストである、
請求項1~6のいずれか1つに記載の導電部材の形成方法。
【請求項8】
断面視において、前記第2レジストの前記第2開口および前記第3開口の幅は、それぞれ、前記第2レジストの下方から上方に向かって小さくなっている、
請求項1~6のいずれか1つに記載の導電部材の形成方法。
【請求項9】
前記第1レジストの厚さは、前記第2レジストの厚さよりも薄い請求項1~6のいずれか1つに記載の導電部材の形成方法。
【請求項10】
前記基体は、上面視において、前記第1領域の外側に位置する領域に複数の素子領域を有し、
前記第1レジストは、前記複数の素子領域を有する前記領域に形成する請求項1~6のいずれか1つに記載の導電部材の形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、導電部材の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、化学増幅型ネガレジストと化学増幅型ポジレジストとを重ね塗布して積層膜を形成する方法が記載されている。具体的には、貫通穴形成基板上に化学増幅型ネガレジストを塗布してネガレジスト膜を形成し、このネガレジスト膜を選択的に露光する。この露光されたネガレジスト膜上に化学増幅型ポジレジストを重ね塗布してネガレジスト膜とポジレジスト膜とからなる積層膜を形成し、このポジレジスト膜を選択的に露光する。その後現像して、ネガレジスト膜の露光部分とポジレジスト膜の未露光部分との積層膜からなるパターンを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-188359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、基体上の所定の領域に導電部材を効率よく形成することができる導電部材の形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る導電部材の形成方法は、上面視において、第1領域と、前記第1領域の内側に位置する第2領域と、を有する基体上に、前記第1領域が露出する第1開口を有する第1レジストを形成する工程と、前記第2領域が露出する第2開口と、前記第1レジスト上に位置し、前記第1レジストの上面の一部が露出する第3開口と、を有する第2レジストを前記第1レジスト上および前記第1開口内の前記基体上に連続して形成する工程と、前記第2レジスト上、前記第2開口内の前記基体上および前記第3開口内の前記第1レジスト上に導電材料を形成する工程と、前記第1レジストおよび前記第2レジストを除去することで、前記第2レジスト上および前記第3開口内の前記第1レジスト上に形成された前記導電材料を除去する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態は、基体上の所定の領域に導電部材を効率よく形成することができる導電部材の形成方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る導電部材の形成方法の一例を示すフローチャート。
図2】基体上に形成された導電部材の一例を説明するための模式上面図。
図3図2のIII-III線における断面の一部を示す模式断面図。
図4】レジストを基体に形成する工程を説明するための模式断面図。
図5】第1マスクを用いてレジストを露光する工程を説明するための模式断面図。
図6】第1の熱処理を行う工程を説明するための模式断面図。
図7】現像する工程を説明するための模式断面図。
図8】レジストを形成する工程を説明するための模式断面図。
図9】第2マスクを用いてレジストを露光する工程を説明するための模式断面図。
図10】露光工程を説明するための模式断面図。
図11】第2の熱処理を行う工程を説明するための模式断面図。
図12】全面を露光する工程を説明するための模式断面図。
図13】現像する工程を説明するための模式断面図。
図14】導電材料を形成する工程を説明するための模式断面図。
図15】導電材料を除去する工程を説明するための模式断面図。
図16】配線形成部110の配置の一例を示す模式上面図。
図17】導電材料を形成する前の状態における図16の配線形成部とその周辺を拡大した一例を示す模式上面図。
図18図17の格子状パターンの一部を拡大した一例を示す模式上面図。
図19図16のXIX-XIX線における断面の一部の一例を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
図1は、導電部材の形成方法の一例を示すフローチャートである。
図1に示されるように、導電部材の形成方法は、第1レジストを形成する工程(ST210)と、第2レジストを形成する工程(ST220)と、導電材料を形成する工程(ST230)と、導電材料を除去する工程(ST240)とを備える。
【0010】
図2は、図1に示される導電部材の形成方法により、基体10上に形成された導電部材20の一例を説明するための模式上面図である。
図3は、図2のIII-III線における模式断面図である。
図2、および図3に示されるように、基体10上には、後述する導電部材20を形成する工程で使用されるレジスト、導電材料が除去され、導電部材20だけが形成されている。基体10は、例えば、サファイア基板である。導電部材20は、例えば、配線、接続端子として用いられる。導電部材20の材料は、導電性の材料であればよく、例えば、金(Au)、銅(Cu)又はこれらの材料のうち少なくとも一つを含む合金である。以下では、実施形態に係る導電部材20の形成方法について詳細に説明する。
【0011】
導電部材の形成方法は、第1レジストを形成する工程を備える(ST210)。より詳細には、第1レジストを形成する工程は、上面視において、第1領域と、第1領域の内側に位置する第2領域と、を有する基体上に、第1領域が露出する第1開口を有する第1レジストを形成する工程を含む。第1レジストを形成する工程について、図4図7を参照して説明する。
図4はレジストを基体上に形成する工程を説明するための模式断面図である。
図5は第1マスクを用いてレジストを露光する工程を説明するための模式断面図である。
図6図7は、現像する工程を説明するための模式断面図である。
【0012】
第1レジストを形成する工程は、図4に示されるように、基体10上にレジスト30を形成する工程を含む。レジスト30は、例えば、ポジ型フォトレジストである。ポジ型フォトレジストは、露光された箇所が現像液に対して溶解性が増大し、現像によって露光されなかった部分が残る機能を有する。ポジ型フォトレジストとしては、例えば、東京応化工業社製のTCIR-ZR8800PB等を用いることができる。実施形態では、例えば、スピンコータ装置を用いて、基体10上に、レジスト30を、滴下量1.6cc以上2.4cc以下、回転数1600rpm以上2400rpm以下で塗布することができる。実施形態では、例えば、滴下量2cc、回転数2000rpmで塗布する。これにより、レジスト30が基体10上に塗布される。レジスト30の厚さは、例えば、1.0μm以上4.0μm以下であり、例えば、2.0μmである。
【0013】
第1レジストを形成する工程は、第1マスクを用いてレジスト30を露光する工程を含む。レジスト30を露光する工程では、図5に示されるように、レジスト30が形成された基体10上に、開口を有する第1マスクM1を配置する。次に、この第1マスクM1を介して、基体10上に形成されたレジスト30を露光する。図示の矢印は、露光方向を示しており、実施形態では、露光方向を基体10の上面に対して垂直な方向としている。実施形態では、露光量は、1800j/m以上2600j/m以下であり、例えば、2200j/mである。基体10上に形成されたレジスト30には、露光される、基体10の第1領域AR1上に位置する部分と、第1マスクM1により露光されない、基体10の第4領域AR4上に位置する部分と、が含まれる。以下、レジスト30のうち、第1領域AR1に対応する部分をレジスト31とし、第4領域AR4に対応する部分をレジスト32と称する。
【0014】
第1レジストを形成する工程は、現像する工程を含む。現像する工程は、図6に示されるように、レジスト30が塗布された基体10に対して第1の熱処理を行う工程と、図7に示されるように、レジストを現像する工程と、を含む。実施形態では、第1の熱処理は、105℃以上125℃以下の温度において、70秒以上110秒以下の間加熱することで行うことができる。実施形態では、第1の熱処理は、例えば、115℃の温度において、90秒間加熱することで行う。露光されていないレジスト32の部分は、第1の熱処理後に、感光、現像されにくくなる。
次に、現像液により、レジスト31を現像する。実施形態では、現像時間は、85秒以上125秒以下とすることができ、例えば105秒である。これにより、レジスト30を露光する工程において露光された第1領域AR1のレジスト31が現像される。図7に示されるように、露光された第1領域AR1上のレジスト31が除去され、レジスト32に囲まれた第1開口OP1が形成される。第1開口OP1内に基体10の第1領域AR1が露出している。実施形態では、レジスト32を第1レジスト32と称する。
【0015】
導電部材の形成方法は、第2レジストを形成する工程を備える(ST220)。より詳細には、第2レジストを形成する工程は、第2領域が露出する第2開口と、第1レジスト上に位置し、第1レジストの上面の一部が露出する第3開口と、を有する第2レジストを第1レジスト上および第1開口内の基体上に連続して形成する工程を含む。第2レジストを形成する工程について、図8図13を参照して説明する。
図8は、レジスト40を形成する工程を説明するための模式断面図である。
図9は、第2マスクを用いてレジストを露光する工程を説明するための模式断面図である。
図10は、露光工程を説明するための模式断面図である。
図11は、第2の熱処理をする工程を説明するための模式断面図である。
図12は、全面を露光する工程を説明するための模式断面図である。
図13は、現像する工程を説明するための模式断面図である。
【0016】
レジスト40を形成する工程は、第1レジスト32が形成された基体10上に、レジスト40を形成する工程を含む。レジスト40を形成する工程では、図8に示されるように、第1レジスト32が形成された基体10上にレジスト40を形成する。レジスト40は、例えば、ネガ型フォトレジストである。ネガ型フォトレジストは、露光された箇所が現像液に対して溶解性が低下し、現像によって露光した部分が残る機能を有する。ネガ型フォトレジストとしては、例えば、メルクエレクトロニクス株式会社製のAZ-5218E等を用いることができる。図8に示されるように、レジスト40は第1レジスト32上および第1開口OP1内の基体10上に連続して形成される。第1レジスト32の厚さは、レジスト40の厚さより薄い。このようにすることで、第1開口OP1周辺における第1レジスト32上のレジスト40が基体10側に垂れ下がる、いわゆるだれが生じることを低減することができる。レジスト40の厚さは、例えば、1.0μm以上4.0μm以下であり、例えば、3.0μmである。
【0017】
第2レジストを形成する工程は、第2マスクを用いてレジスト40を露光する工程を含む。レジスト40を露光する工程では、図9に示されるように、レジスト40が塗布された基体10上に、開口を有する第2マスクM2を配置する。第2マスクM2は、第1領域AR1内の一部の第2領域AR2、および第1領域AR1に隣接するそれぞれの領域AR4の一部の第3領域AR3に対向して配置される。ここで、露光量は、レジスト40の表面部分だけが感光される程度の大きさに設定される。実施形態では、露光量は、220j/m以上540j/m以下とすることができ、例えば380j/mである。このようにレジスト40が露光されることで、図10に示されるように、レジスト40に感光された表面部分41が形成される。
【0018】
第2レジストを形成する工程は、第2の熱処理を行う工程を含む。第2の熱処理としては、例えば、90℃以上110℃以下の温度において、100秒以上140秒以下の間加熱する。実施形態では、第2の熱処理は、例えば、100℃の温度において、120秒間加熱することで行う。レジスト40のうち、露光された表面部分41は、第2の熱処理後に硬化する。これにより、表面部分41は、感光されなくなる。図11において、第2の熱処理後の表面部分41を表面部分42として示している。一方、レジスト40のうち、露光されていない、表面部分42以外の部分は、第2の熱処理後にポジ型フォトレジストと同様の機能を有するようになる。つまり、第2の熱処理後の表面部分42以外のレジスト40は、後述する露光する工程において露光される箇所が現像液に対して溶解性が増大する機能を有する。
【0019】
第2レジストを形成する工程は、全面を露光する工程を含む。全面を露光する工程では、図12に示されるように、表面部分42を含むレジスト40が形成された基体10の上面の全面を露光する。実施形態では、露光量は、0.20mj/cm以上0.30mj/cm以下とすることができ、例えば、0.25mj/cmである。基体10の上面の全面を露光することにより、表面部分42以外のレジスト40は、感光する。全面を露光する工程において感光されるレジスト40の部分をレジスト43と称する。一方、レジスト40を露光する工程において露光されていた表面部分42は、感光されない。
【0020】
第2レジストを形成する工程は、現像する工程を含む。現像液により、第2領域AR2、および第3領域AR3のレジスト43の現像を行う。実施形態では、現像時間は、55秒以上95秒以下とすることができ、例えば75秒である。ここで、表面部分42は現像液によって溶解されにくい。そのため、レジスト43のうち、表面部分42の下方に位置する部分よりも、第2領域AR2および第3領域AR3に位置する部分の方が優先的に現像液よって溶解される。これにより、レジスト43のうち第2領域AR2および第3領域AR3に位置する部分が除去され、図13に示されるように、第2開口OP2、および第3開口OP3が形成される。また、第2開口OP2および第3開口OP3が形成される際に、第2開口OP2および第3開口OP3から現像液が流れ込み、表面部分42の下方に位置するレジスト43の表面の一部に現像液が接触して溶解される。そのため、断面視において、第2開口OP2および第3開口OP3の幅は、それぞれ、レジスト43の下方から上方に向かって小さくなる。このように、第2開口OP2、および第3開口OP3が形成されたレジスト40、および表面部分42を含む部分を第2レジスト44と称する。
【0021】
導電部材の形成方法は、導電材料を形成する工程を備える(ST230)。より詳細には、導電材料を形成する工程は、第2レジスト上、第2開口内の基体上および第3開口内の第1レジスト上に導電材料を形成する工程である。導電材料を形成する工程について、図14を参照して説明する。
図14は、導電材料を形成する工程を説明するための模式断面図である。
【0022】
導電材料を形成する工程では、例えば、図14に示されるように、第2レジスト44上、第2開口OP2内の基体10上、および第3開口OP3内の第1レジスト32上に導電部材20を形成する。導電部材20は、例えば、スパッタリング法により形成することができる。
【0023】
導電部材20の形成方法は、導電材料を除去する工程を備える(ST240)。より詳細には、導電材料を除去する工程は、第1レジスト32および第2レジスト44を除去することで、第2レジスト44上、および第3開口内の第1レジスト32上に形成された導電部材20を除去する工程である。
図15は、導電材料を除去する工程を説明するための模式断面図である。
【0024】
導電材料を除去する工程では、図15に示されるように、まず、第1レジスト32及び第2レジスト44を基体10から剥離する機能を有する剥離液を基体10上に流し込む。図15に示す矢印は、剥離液の流れる方向の例を示している。これにより、剥離液を第2開口OP2、および第3開口OP3から第2レジスト44、および第1レジスト32に浸透させる。剥離液と、第2レジスト44および第1レジスト32との接触時間(浸漬時間)は、600秒以上1800秒以下とすることができ、例えば、1200秒とする。その後、第2レジスト44、および第1レジスト32を基体10から剥離する。これにより、導電部材20のうち、基体10の第2領域AR2に位置する部分以外の部分は、第2レジスト44および第1レジスト32とともに除去される。このようにすることで、図1に示されるように、基体10の第2領域AR2以外の部分に導電材料が形成されることなく、導電部材20を基体10の所定の領域に効率よく形成することができる。
【0025】
次に、導電材料を除去する工程について、より具体的に説明する。
導電部材20は、例えば、ウェーハ上に形成された半導体部の導電性能を試験するために用いられる。
【0026】
図16は、配線形成部110の配置の一例を示す模式上面図である。
図17は、導電材料を形成する前の状態における図16の配線形成部110とその周囲を拡大した図であり、第2領域AR2及び第3領域AR3の一例を示す模式上面図である。
図18は、図17における格子状パターンPの一部120を拡大した一例を示す模式上面図である。
領域100は、例えば、複数の素子領域150が含まれるウェーハの一部である。素子領域150は、電極が形成された発光部である。図16において、領域100には、図示の横方向(以下、第1方向)及び縦方向(以下、第2方向)に、それぞれ、2つの配線形成部110が離隔して配置されている。第1方向における隣り合う配線形成部110同士の間隔W1は、1000μm以上100mm以下とすることができ、例えば、11500μmである。第2方向における隣り合う配線形成部110同士の間隔W2は、1000μm以上100mm以下とすることができ、例えば、13500μmである。配線形成部110は、基体10の第1領域AR1に位置している。上面視において、第1領域AR1の外側に位置する基体10の第4領域AR4に複数の素子領域150が含まれる。
【0027】
配線形成部110内には、2つの導電部材20が配置される。導電部材20の周囲には、第2開口OP2が存在する。第2領域AR2の周囲には、第2レジスト44が配置されている。実施形態では、第2レジスト44が、例えば、複数の第3開口OP3を有する格子状パターンPで形成される。
【0028】
図18に示されるように、格子状パターンPの一部120は、2つの第3開口OP3
を含む。上面視における第3開口OP3の形状としては、三角形、四角形等の多角形、円形、楕円形等が挙げられる。図18に示される例においては、第3開口OP3の形状は長方形である。第3開口OP3間の距離W3は、5μm以上20μm以下とすることができ、例えば、10μmである。第2レジスト44に形成する第3開口OP3の開口形状は、ストライプ状、島状等であってもよい。また、実施形態の導電部材の形成方法が、例えば、素子領域150を形成する工程に含まれる場合には、素子の電極の形状と同じ形状を、第2レジスト44に形成する第2開口OP2の開口形状として用いてもよい。これにより、第2開口OP2を形成するために、他の工程で用いるマスクを流用することができ、導電部材を形成するコストを低減することができる。
【0029】
図19は、図16のXIX-XIX線における断面の一部の一例を示す模式断面図である。
図19に示されるように、格子状パターンP、配線形成部110、格子状パターンP、配線形成部110が図示の横方向に沿って配置される。配線形成部110には、第2領域AR2が存在する。基体10には、上面視において第1レジスト32に囲まれた第1領域AR1が存在する。第2領域AR2に位置する第2レジスト44には、第2開口OP2が形成される。第2領域AR2の端部と、第1領域AR1の端部との間の幅W11は、50μm以上760μm以下であり、例えば、100μmである。幅W11をこのような範囲とすることにより、段差を有する第1レジスト32上に、第2レジスト44を安定して配置させることができる。2つの第2領域AR2同士の間隔W12は、10000μm以上であり、例えば、11000μmである。第2レジスト44の格子状パターンPは、断面視において、複数の第3開口OP3を有する。第3開口OP3の幅W13は、断面視において、10μm以上760μm以下であり、例えば、700μmである。第2レジスト44上には、導電部材20が配置されている。導電部材20の厚さは、0.05μm以上1.0μm以下とすることができ、例えば、0.2μmである。隣り合う第3開口OP3の間の第2レジスト44上に配置される導電部材20の幅W14は、断面視において、5μm以上1000μm以下であり、例えば、700μmである。断面視において、第2開口OP2と第3開口OP3との間における第2レジスト44の幅W15は、5μm以上1000μm以下である。
【0030】
このように第2開口OP2、第3開口OP3が配置された領域100において、まず、剥離液を基体10の上面に流し込む。第2開口OP2において、剥離液は、第2レジスト44の壁面から第2レジスト44に浸透すると共に、剥離液が浸透した第2レジスト44から第1レジスト32内に浸透する。第3開口OP3において、剥離液は、第2レジスト44の壁面から第2レジスト44内に浸透すると共に、導電部材20から露出する第1レジスト32の上面、および剥離液が浸透した第2レジスト44から第1レジスト32内に浸透する。第2開口OP2と、第3開口OP3と、の間の幅W15は、5μm以上1000μm以下である。このため、第2開口OP2と、第3開口OP3と、の間に位置する第1レジスト32、および第2レジスト44に十分に剥離液が浸透する。隣り合う第3開口OP3の幅W14は、5μm以上1000μm以下である。このため、隣り合う第3開口OP3の間に位置する第1レジスト32、および第2レジスト44に十分に剥離液が浸透する。このようにすることで、剥離液が基体10上の第1レジスト32、および第2レジスト44に十分に浸透する。幅W15、および幅W14は、剥離液が第1レジスト32,および第2レジスト44に浸透する機能が高い場合に大きくし、浸透する機能が低い場合に小さくすればよい。規定の接触時間(浸漬時間)が経過した後、例えば、基体10から第1レジスト32、および第2レジスト44をリフトオフ法により除去する。これにより、第1レジスト32および第1レジスト32上の導電部材20、第2レジスト44および第2レジスト44上の導電部材20が基体10上から除去される。
【0031】
レジストを用いて導電部材を形成する際、レジストの開口から剥離液を浸透させることでレジストを剥離するが、レジストの開口間の距離が大きくなると、剥離液がレジストに浸透し難くレジストを剥離することが難しい場合がある。また、レジストを完全に除去するために、リフトオフ法を繰り返し行う処理や、アセトン等にレジストを長時間浸漬させる処理等が必要になり処理時間が長くなってしまう。そのため、導電部材を所定の領域に効率よく形成することが難しい。また、導電部材を配置する領域以外の部分に、剥離液を浸透させ易くするための複数の開口を有するレジストを用いた場合、導電部材を配置したい領域以外の基体上に導電材料が形成されてしまう。
実施形態の導電部材の形成方法によると、導電部材20を配置する第2領域AR2以外の基体10上に、第1レジスト32と、第2開口OP2と第1レジスト32上に位置する第3開口OP3とを有する第2レジストと、を形成し、導電材料を形成している。これにより、第2レジスト44上、第2開口OP2内の基体10の第2領域AR2上、および第3開口OP3内の第1レジスト32上に導電材料が形成される。その後、第2開口OP2及び第3開口OP3から剥離液を浸透させることで、基体10とレジストとの界面全体に剥離液を容易に浸透させることができるため、基体10上からレジストを容易に除去することができる。第2領域AR2以外の部分に形成された導電材料は、第1レジスト32及び第2レジスト44とともに除去されるため、基体10上の所定の領域に導電部材20を効率よく形成することができる。
【0032】
また、断面視において、第2開口OP2、および第3開口OP3の幅は、それぞれ、第2レジスト44の下方から上方に向かって小さくなっている。これにより、基体10における第2レジスト44が配置される部分の面積を小さく、また第3開口OPに露出する第1レジスト32の面積を大きくすることができる。このため、剥離液が第1レジスト32と第2レジスト44との界面と、および第2レジスト44と基体10との界面とに浸透しやすくなる。
【0033】
上記実施形態では、レジスト30をポジ型フォトレジスト、このレジスト30上に形成されるレジスト40をネガ型フォトレジストである場合を説明したが、これに限るものではない。例えば、レジスト30について、露光によってネガ型からポジ型に機能が反転するレジストを使用し、レジスト40について、ネガ型レジストを使用するようにしてもよい。レジスト30にネガ型からポジ型に機能が反転するレジストを使用することにより、レジスト40を露光するときにレジスト30がその露光による影響を受けにくくなる。よって、レジスト30に影響を与えず、レジスト40のパターニングが可能になる。
【0034】
実施形態は、以下の態様を含む。
【0035】
(付記1)
上面視において、第1領域と、前記第1領域の内側に位置する第2領域と、を有する基体上に、前記第1領域が露出する第1開口を有する第1レジストを形成する工程と、
前記第2領域が露出する第2開口と、前記第1レジスト上に位置し、前記第1レジストの上面の一部が露出する第3開口と、を有する第2レジストを前記第1レジスト上および前記第1開口内の前記基体上に連続して形成する工程と、
前記第2レジスト上、前記第2開口内の前記基体上および前記第3開口内の前記第1レジスト上に導電材料を形成する工程と、
前記第1レジストおよび前記第2レジストを除去することで、前記第2レジスト上および前記第3開口内の前記第1レジスト上に形成された前記導電材料を除去する工程と、
を備えた導電部材の形成方法。
【0036】
(付記2)
前記第2レジストは、上面視において、複数の前記第3開口を有する、付記1記載の導電部材の形成方法。
【0037】
(付記3)
上面視において、前記第3開口の幅は、700μm以下である、
付記1または2に記載の導電部材の形成方法。
【0038】
(付記4)
上面視において、隣り合う前記第3開口間の距離は、5μm以上1000μm以下である、付記2または3に記載の導電部材の形成方法。
【0039】
(付記5)
前記第2レジストは、上面視において、格子状に形成される、
付記1~4のいずれか1つに記載の導電部材の形成方法。
【0040】
(付記6)
上面視において、前記第2レジストの幅は、5μm以上1000μm以下である、付記1~5のいずれか1つに記載の導電部材の形成方法。
【0041】
(付記7)
前記第1レジストは、ポジ型フォトレジストであり、
前記第2レジストは、ネガ型フォトレジストである、
付記1~6のいずれか1つに記載の導電部材の形成方法。
【0042】
(付記8)
断面視において、前記第2レジストの前記第2開口および前記第3開口の幅は、それぞれ、前記第2レジストの下方から上方に向かって小さくなっている、
付記1~7のいずれか1つに記載の導電部材の形成方法。
【0043】
(付記9)
前記第1レジストの厚さは、前記第2レジストの厚さよりも薄い請求項1~8のいずれか1つに記載の導電部材の形成方法。
【0044】
(付記10)
前記基体は、上面視において、前記第1領域の外側に位置する領域に複数の素子領域を有し、
前記第1レジストは、前記複数の素子領域を有する前記領域に形成する請求項1~9のいずれか1つに記載の導電部材の形成方法。
【符号の説明】
【0045】
10…基体、20…導電部材、30…レジスト(ポジ型フォトレジスト)、32…第1レジスト、40…レジスト(ネガ型フォトレジスト)、44…第2レジスト、100…領域、110…配線形成部、M1…第1マスク、M2…第2マスク、P…格子状パターン

図1
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