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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002213
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】無振動機構レイアウトとその応用機器
(51)【国際特許分類】
   F01C 1/34 20060101AFI20231228BHJP
   F02B 53/02 20060101ALI20231228BHJP
   F02B 57/00 20060101ALI20231228BHJP
   F01C 1/08 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F01C1/34 Z
F02B53/02 A
F02B57/00 B
F01C1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101280
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
(72)【発明者】
【氏名】石野 洋二郎
(57)【要約】
【課題】
Wankel式ロータリーエンジンの低・振動性と、ピストンエンジンの高・作動流体シール性(高効率)を兼ね備えたエンジン、ポンプ等や、無振動の機器を提供する無振動機構レイアウトを提供すること。
【解決手段】
一定距離だけ離れた2点を軸として同角度で回転する2つの直線ユニットによって駆動される軌道ユニットの数が3以上の場合に、合成重心の位置が移動せず、総合運動エネルギーの変化もない特性を有するベース・ラジアル機構に基づき、さらに、2つの直線部分と軌道ユニットの間で変動体積の密閉空間を形成することで、作動流体の漏れが無く高効率で、無振動無揺動のエンジン、流体機械およびその他の機械を提供する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の平面内において、任意の点であるベースライン回転軸に、一端が回転固定され回転する、一定長さのベースライン半径線分の他端点に、前記ベースライン半径線分に対して一定角度で接続されるベースラインと、前記ベースライン回転軸から任意の一定距離だけ離れた点であるラジアルライン回転軸に、一端が回転固定され、前記ベースライン回転軸から前記ラジアルライン回転軸に向かう軸間ベクトルの向きを基準として、前記ベースライン半径線分と常に同じ主角度で回転する基準ラジアルライン半線分とが設定され、一定の質量の軌道ユニットの重心位置が、前記ベースライン上、かつ、前記ベースラインと前記基準ラジアルライン半線分を含む直線の交点から一定の距離だけ偏位した位置として規定されるとき、3以上の自然数nに対して、1番目からn番目までの軌道ユニットの各重心位置が、1番目からn番目までのベースライン半径線分が、360°の全周にわたり、(360/n)°の等間隔の相対角度で配置されることで規定される、n個の軌道ユニットを具備する機械。
【請求項2】
単一の平面内において、任意の点であるベースライン回転軸に、一端が回転固定され回転する、0を含む短い一定長さのベースライン半径線分の他端点に、前記ベースライン半径線分に対して一定角度で接続されるベースラインと、前記ベースライン回転軸から任意の一定距離だけ離れた点であるラジアルライン回転軸に、一端が回転固定され、前記ベースライン回転軸から前記ラジアルライン回転軸に向かう軸間ベクトルの向きを基準として、前記ベースライン半径線分の方向ベクトルと常に同じ主角度で回転する基準ラジアルライン半線分とが設定され、一定の質量の軌道ユニットの重心位置が、前記ベースライン上、かつ、前記ベースラインと、前記基準ラジアルライン半線分から任意の一定距離だけ平行移動させたラジアルライン直線との交点から一定の距離だけ偏位した位置として規定されるとき、3以上の自然数nに対して、1番目からn番目までの軌道ユニットの各重心位置が、1番目からn番目までのベースライン半径線分が、360°の全周にわたり、(360/n)°の等間隔の相対角度で配置されることで規定される、n個の軌道ユニットを具備する機械。
【請求項3】
請求項1および請求項2のいずれか1つに記載の機械において、すべての前記ベースラインを規定するベースユニット、すべての前記ラジアルライン直線を規定するラジアルユニット、ならびに、n個の前記軌道ユニットのうち、2種類以上のユニット種により密閉空間を形成することを特徴とする機械。
【請求項4】
請求項1および請求項2のいずれか1つに記載の機械において、前記ベースライン回転軸と前記ラジアルライン回転軸の位置が固定され、すべての前記ベースラインを規定するベースユニット、すべての前記ラジアルライン直線を規定するラジアルユニット、ならびに、n個の前記軌道ユニットのうち、2種類以上のユニット種により密閉空間を形成することを特徴とする機械。
【請求項5】
請求項1および請求項2のいずれか1つに記載の機械において、前記ベースライン回転軸の位置が固定され、前記ラジアルライン回転軸の位置が前記ベースライン回転軸に対して円周上を前記主角度だけ逆方向の角度で移動し、すべての前記ベースラインを規定するベースユニット、すべての前記ラジアルライン直線を規定するラジアルユニット、ならびに、n個の前記軌道ユニットのうち、2種類以上のユニット種により密閉空間を形成することを特徴とする機械。
【請求項6】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4および請求項5のいずれか1つに記載の機械において、延長ラジアルアームあるいは同期アームを具備するラジアルユニットを前記延長ラジアルアームあるいは前記同期アームの先端を平行リンクで駆動することを特徴とする機械。
【請求項7】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5および請求項6のいずれか1つに記載の機械において、ラジアルアームを側面とするラジアルローターを用いることを特徴とする機械。
【請求項8】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6および請求項7のいずれか1つに記載の機械において、双頭ピストンを用いることを特徴とする機械。
【請求項9】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項5、請求項6、請求項7および請求項8の少なくともいずれか1つに記載の機械において、前記ベースライン回転軸の位置が固定され、前記ラジアルライン回転軸の位置が前記ベースライン回転軸に対して円周上を前記主角度だけ逆方向の角度で移動させるクランクシャフト・アッセンブリのバランス設計ならびにバランス調整において、すべての前記軌道ユニットの合計質量の二分の一の質量もつダミーウエイト成分をクランクピンに仮設置する設計方法、ならびに前記設計方法で設計、製造されたクランクシャフト・アッセンブリ、ならびに、前記ダミーウエイト成分をクランクピンに設置し使用するクランクシャフト・アッセンブリのバランス調整の方法、調整装置、ならびに、前記ダミーウエイト成分を含むウエイト体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無振動機構レイアウトとその応用機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばエンジンを例にとると、クランクシャフト、ピストンおよびコネクティングロッドからなる往復ピストン・エンジンは振動があり、高次の振動まで除去するのは困難であるが、ピストンリングによるシールは優れている。一方、Wankelロータリー・エンジンは無振動ではあるが、流体のシールが難しく低効率である。
【0003】
特許文献1には、回転機構のみで機能するため、振動がなく、また、回転運動だけであるので、前記速度型内燃機関のように微小な隙間を保つことが可能であり、シールを無擦動で行うことが可能となる、ローター・セットが記載されている。
【0004】
非特許文献1には、2つの非偏心回転するローターの間に形成される変動体積の作動空間を用いた回転式エンジンについて、その設計と筒内燃焼状態の可視化観察結果が記載されている。非偏心回転式エンジンについて記載されている文献である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2013/137337
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】日本機械学会東海支部講演会講演論文集,「非偏心回転式エンジンの開発(点火燃焼過程の可視化観察)」,酒井悠,手嶋啓介,藤井博之,山本優作,齊木悠,石野洋二郎,2014年3月18日.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ローター・セットを使用するという制限から作動流体の漏洩による、燃料燃焼だけによる自立運転の不成立や、低熱効率の問題があった。そこで、本発明では、Wankel式ロータリーエンジンの低・振動性と、ピストンエンジンの高・作動流体シール性(高効率)を兼ね備えたエンジン、ポンプ等を提供する無振動機構レイアウトを提供することを目的とする。
【0008】
流体機械だけでなく、一般機械に応用し、無振動特性を得ることができる機構を提供することも目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は以下の通りである。
【0010】
[1]単一の平面内において、任意の点であるベースライン回転軸に、一端が回転固定され回転する、一定長さのベースライン半径線分の他端点に、前記ベースライン半径線分に対して一定角度で接続されるベースラインと、前記ベースライン回転軸から任意の一定距離だけ離れた点であるラジアルライン回転軸に、一端が回転固定され、前記ベースライン回転軸から前記ラジアルライン回転軸に向かう軸間ベクトルの向きを基準として、前記ベースライン半径線分と常に同じ主角度で回転する基準ラジアルライン半線分とが設定され、一定の質量の軌道ユニットの重心位置が、前記ベースライン上、かつ、前記ベースラインと前記基準ラジアルライン半線分を含む直線の交点から一定の距離だけ偏位した位置として規定されるとき、3以上の自然数nに対して、1番目からn番目までの軌道ユニットの各重心位置が、1番目からn番目までのベースライン半径線分が、360°の全周にわたり、(360/n)°の等間隔の相対角度で配置されることで規定される、n個の軌道ユニットを具備する機械である。
【0011】
ここで機械とは「無振動機構レイアウト」のことであり、以降「ベース・ラジアル機構」と言う場合もある。
【0012】
[2]単一の平面内において、任意の点であるベースライン回転軸に、一端が回転固定され回転する、0を含む短い一定長さのベースライン半径線分の他端点に、前記ベースライン半径線分に対して一定角度で接続されるベースラインと、前記ベースライン回転軸から任意の一定距離だけ離れた点であるラジアルライン回転軸に、一端が回転固定され、前記ベースライン回転軸から前記ラジアルライン回転軸に向かう軸間ベクトルの向きを基準として、前記ベースライン半径線分の方向ベクトルと常に同じ主角度で回転する基準ラジアルライン半線分とが設定され、一定の質量の軌道ユニットの重心位置が、前記ベースライン上、かつ、前記ベースラインと、前記基準ラジアルライン半線分から任意の一定距離だけ平行移動させたラジアルライン直線との交点から一定の距離だけ偏位した位置として規定されるとき、3以上の自然数nに対して、1番目からn番目までの軌道ユニットの各重心位置が、1番目からn番目までのベースライン半径線分が、360°の全周にわたり、(360/n)°の等間隔の相対角度で配置されることで規定される、n個の軌道ユニットを具備する機械である。
【0013】
[3][1]および[2]に記載の機械において、すべての前記ベースラインを規定するベースユニット、すべての前記ラジアルライン直線を規定するラジアルユニット、ならびに、n個の前記軌道ユニットのうち、2種類以上のユニット種により密閉空間を形成することを特徴とする機械である。
【0014】
[4][1]および[2]に記載の機械において、前記ベースライン回転軸と前記ラジアルライン回転軸の位置が固定され、すべての前記ベースラインを規定するベースユニット、すべての前記ラジアルライン直線を規定するラジアルユニット、ならびに、n個の前記軌道ユニットのうち、2種類以上のユニット種により密閉空間を形成することを特徴とする機械である。
【0015】
[5][1]および[2]に記載の機械において、前記ベースライン回転軸の位置が固定され、前記ラジアルライン回転軸の位置が前記ベースライン回転軸に対して円周上を前記主角度だけ逆方向の角度で移動し、すべての前記ベースラインを規定するベースユニット、すべての前記ラジアルライン直線を規定するラジアルユニット、ならびに、n個の前記軌道ユニットのうち、2種類以上のユニット種により密閉空間を形成することを特徴とする機械である。
【0016】
[6][1]、[2]、[3]、[4]および[5]に記載の機械において、延長ラジアルアームあるいは同期アームを具備するラジアルユニットを前記延長ラジアルアームあるいは前記同期アームの先端を平行リンクで駆動することを特徴とする機械。
[7][1]、[2]、[3]、[4]、[5]、および[6]に記載の機械において、ラジアルアームを側面とするラジアルローターを用いることを特徴とする機械。
[8][1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6]および[7]に記載の機械において、双頭ピストンを用いることを特徴とする機械。
[9][1]、[2]、[3]、[5]、[6]、[7]および[8]に記載の機械において、前記ベースライン回転軸の位置が固定され、前記ラジアルライン回転軸の位置が前記ベースライン回転軸に対して円周上を前記主角度だけ逆方向の角度で移動させるクランクシャフト・アッセンブリのバランス設計ならびにバランス調整において、すべての前記軌道ユニットの合計質量の二分の一の質量もつダミーウエイト成分をクランクピンに仮設置する設計方法、ならびに前記設計方法で設計、製造されたクランクシャフト・アッセンブリ、ならびに、前記ダミーウエイト成分をクランクピンに設置し使用するクランクシャフト・アッセンブリのバランス調整の方法、調整装置、ならびに、前記ダミーウエイト成分を含むウエイト体。
【発明の効果】
【0017】
本発明による無振動機構レイアウトによれば、Wankel式ロータリーエンジンの低・振動性と、ピストンエンジンの高・作動流体シール性(高効率)を兼ね備えたエンジン、ポンプ等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1a】本発明の一つの実施形態であるベース・ラジアル機構の「軌道ユニット」の重心Gの位置を規定するための基本関係を示す、主角度が第1象限の場合の図である。
図1b】本発明の一つの実施形態であるベース・ラジアル機構の「軌道ユニット」の重心Gの位置を規定するための基本関係を示す、主角度が第2象限の場合の図である。
図1c】本発明の一つの実施形態であるベース・ラジアル機構の「軌道ユニット」の重心Gの位置を規定するための基本関係を示す、主角度が第3象限の場合の図である。
図1d】本発明の一つの実施形態であるベース・ラジアル機構の「軌道ユニット」の重心Gの位置を規定するための基本関係を示す、主角度が第4象限の場合の図である。
図2】本発明の一つの実施形態であるベース・ラジアル機構の「軌道ユニット」の重心Gの位置を規定するための基本関係を示す、ベースライン半径線分長さRが0の場合の図である。
図3a】軌道ユニットの物理的駆動機構例を説明する第1実施形態の図である。
図3b】軌道ユニットの物理的駆動機構例を説明する第2実施形態の図である。
図3c】軌道ユニットの物理的駆動機構例を説明する第3実施形態の図である。
図3d】軌道ユニットの物理的駆動機構例を説明する第4実施形態の図である。
図3e】軌道ユニットの物理的駆動機構例を説明する第5実施形態の図である。
図3f】軌道ユニットの物理的駆動機構例を説明する第6実施形態の図である。
図4】「軌道ユニット」の個数nが3個の場合の幾何学的構成を示す図である。
図5】本発明の幾何学的構成に基づく設計バリエーションの第1例(第7実施形態)を示す図である。
図6】本発明の幾何学的構成に基づく設計バリエーションの第2例(第8実施形態)を示す図である。
図7】本発明の幾何学的構成に基づく設計バリエーションの第3例(第9実施形態)を示す図である。
図8】本発明の幾何学的構成に基づく設計バリエーションの第4例(第10実施形態)の試作機の外観写真を示す図である。
図9】「ベースライン固定ラジアル軸偏心回転型式:軸配置回転型式B」を採用することで、「ベースライン」を固定できる、「軌道ユニット」の個数nが3個の場合の幾何学的構成を示す図である。
図10図9の幾何学的構成に基づき設計された3気筒エンジン試作機(設計バリエーションの第5例、第11実施形態)を示す図である。
図11図10の設計に基づき製作された実働実機の外観写真を示す図である。
図12図11の実機における自立運転(ファイアリング、モーター補助駆動なし)作動時の3気筒分の燃焼室内圧力変動(主軸回転数311rpm)の測定結果を示す図である。
図13】本発明の幾何学的構成に基づく設計バリエーションの第6例(第12実施形態)を示す図である。
図14】本発明の幾何学的構成に基づく設計バリエーションの第7例(第13実施形態)を示す図である。
図15】本発明の幾何学的構成に基づく設計バリエーションの第8例(第14実施形態)を示す図である。
図16】本発明の幾何学的構成に基づく設計バリエーションの第9例(第15実施形態)を示す図である。
図17】本発明の幾何学的構成に基づく設計バリエーションの第11例(第17実施形態)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0020】
本発明の一態様である無振動、一定運動エネルギーの物体運動を与える機構である「ベース・ラジアル機構」について、この幾何学的構成の特性を説明し、さらに、これを利用した、多様な無振動のエンジンおよびポンプ(応用機器)の形態について説明する。
また、詳細は後述するが、新型の3気筒内燃エンジンの設計・試作を行い、試運転を行った。その結果、モーター等の補助を必要とせず、燃料の燃焼圧力だけで回転する「自立燃焼運転(firing operation)」を達成し、8.1Wの外部軸出力を得た。自立燃焼運転時の3気筒の燃焼室圧力変動の測定結果もあわせて示す。
【0021】
(ベース・ラジアル軌道運動の説明と特長)
本発明「ベース・ラジアル機構」における「ベース・ラジアル軌道運動」とその特長について、説明を行う。
【0022】
なお本発明機構の運動解析において、回転軸に対して回転する部品が定角速度回転することを前提とする。
【0023】
本機構は主として、2つの要素「ベース・ユニット」および「ラジアル・ユニット」と、それらにより運動が規定される質量要素である「軌道ユニット」の3種の要素から成る。
【0024】
「軌道ユニット」の運動が非円周運動であり、装置に振動を発生すると危惧されるにも関わらず、複数の「軌道ユニット」を同時作動させることで、装置全体の無振動作動を実現できることを示すことを目的として、以下に、本機構の構成と、「軌道ユニット」の重心および合成重心の挙動について、説明を行う。
【0025】
図1a、図1b、図1c及び図1dに、本発明機構における「軌道ユニット」の重心Gの位置を規定するための幾何学的構成図を示す。
【0026】
ここでの幾何学的構成図の説明において、各要素は、静止座標系であるxy座標系のxy平面内に存在するものとする。
【0027】
本ベース・ラジアル機構では、「ベースライン回転軸(1)」が置かれる点Zの位置と、軸間ベクトルZAの向きに対して、各要素の位置や角度が定義されるので、点Zの絶対位置の移動や軸間ベクトルZAの向きの変化により、機構全体の特性が変化する。
【0028】
そこで、説明に先立ち、下記に、典型的な「軸配置回転型式」を記載するが、その他の型式も取ることができる。
【0029】
「2軸固定型式:軸配置回転型式A」は、静止座標(xy座標)に対して、図1のように、「ベースライン回転軸(1)」を原点に固定し、さらに「ラジアルライン回転軸(2)」をx軸上の1点に固定する型式である。
【0030】
「ベースライン固定ラジアル軸偏心回転型式:軸配置回転型式B」は、静止座標(xy座標)において、「ベースライン回転軸(1)」が原点に固定され、「ベースライン半径線分(7)」、「ベースライン(3)」などの「ベースユニット(12)」も回転しない一方で、「ラジアルローター(43)」が回転しない状態で、「ラジアルライン回転軸(2)」が原点を中心として円周上を偏心回転する型式である。
【0031】
「ラジアルライン固定ベース軸偏心回転型式:軸配置回転型式C」は、静止座標(xy座標)において、「ラジアルライン回転軸(2)」が原点に固定され、「ベースライン回転軸(1)」が原点を中心として円周上を偏心回転する型式である。
【0032】
「軸間中点まわり型式:軸配置回転型式D」は、静止座標(xy座標)に対して、「ベースライン回転軸(1)」と「ラジアルライン回転軸(2)」の中点Mが原点に固定され、点Mを中心とする円周を両軸(1、2)が偏心回転する型式である。
【0033】
図1a、図1b、図1c及び図1dに、本発明機構における「軌道ユニット」の重心Gの位置を規定するための幾何学的構成図の説明をはじめる。
【0034】
まず、任意の点Zに、一定長さR[m](R≧0)の「ベースライン半径線分ZB(7)」の一端を回転接続する。この回転軸を「ベースライン回転軸(1)」と呼ぶ。
【0035】
ここでは、点Zを便宜的にxy座標の原点Oに置く。
【0036】
点Zから、任意の向き、かつ、一定距離d[m](d>0)のベクトル「軸間ベクトルZA」だけ進んだ点Aには、直線「基準ラジアルラインAC(8)」が回転接続される。この回転軸を、「ラジアルライン回転軸(2)」と呼ぶ。
【0037】
ここでは、便宜的に点Aをx軸上の点(d,0)(d>0)の領域に置き、ベクトルZAをx軸に一致させておく。
【0038】
すなわち、ここでの理論解析では、「2軸固定型式:軸配置回転型式A」を採用した場合の考察を行う。
【0039】
さて、つぎに、「軸間ベクトルZA」に対して、「ベースライン半径線分ZB(7)」の向きを表すベクトルZBがなす角度を「主角度」と定義し、T[rad](反時計回りが正値)で表して、図1a、図1b、図1cおよび図1dに図示した。
【0040】
図1a、図1b、図1c、図1d及び図2は、それぞれ、主角度Tが、第1象限、第2象限、第3象限、第4象限および第1象限の場合を表す。
【0041】
なお、図2のようにR=0の場合、点Zと点Bは一致し、「ベースライン半径線分ZB(7)」の長さは0となるが、この場合であっても、「ベースライン半径線分の方向ベクトル(11)」を図2のように定義する。
【0042】
つぎに、「ベースライン半径線分ZB(7)」の他端点Bに、まず、仮想的な直線「基準ベースラインBC´(9)」を「ベースライン半径線分ZB(7)」に対して垂直に接続する。
【0043】
さらに端点Bに、「軌道ユニット(6)」の重心G(5)の座標G=(x,y)の決定に重要な直線「ベースラインBC(3)」を、「基準ベースラインBC´(9)」に対して任意の一定角度f[rad]で接続する。
【0044】
最も単純なf=0[rad]の場合、「ベースラインBC(3)」は、「基準ベースラインBC´(9)」と一致する。
【0045】
ここで、点C´は「基準ラジアルラインAC(8)」と「基準ベースラインBC´(9)」の交点であり、また、点C「クロスポイントC」(座標X=(x,y))は、「基準ラジアルラインAC(8)」と「ベースラインBC(3)」の交点である。
【0046】
本発明機構において、「軌道ユニット(6)」の質量重心G(5)の位置は、以下の2つの条件を同時に満たすように定義され、その定義に従って駆動される。
【0047】
「ベース線上条件」:「ベースラインBC(3)」上に存在
【0048】
「重心点距離条件」:「クロスポイントC」から点Zを基準として反時計回りの方向に距離p(-∞<p<∞)だけ離れた点。ただし、pが負値の場合は、時計回りの方向に|p|の距離だけ離れた点。
【0049】
重心G(5)の位置は、ここまで、「基準ラジアルラインAC(8)」を用いて定義を行ってきたが、図1a、図1b、図1c、図1d及び図2に示すように、「基準ラジアルラインAC(8)」をサポート体(10)を介して、「ラジアルライン回転軸(2)」に対して反時計回りの方向に任意の一定距離hだけ平行移動した「ラジアルラインDD´(4)」を用いても重心点Gの位置を定義することができる。
【0050】
なお、hが負値の場合は、時計回りの方向に|h|の距離だけ平行移動させる。
【0051】
h≠0のとき、上記<距離条件>の代わりに、下記<平行移動距離条件>を用いて重心Gを定義するとき、p=p-pの関係は主角度Tが変化しても変わらず、「ラジアルラインDD´(4)」を用いても、「基準ラジアルラインAC(8)」を用いた場合と全く同じ諸特性が得られる。
【0052】
ここで、点D´は「ラジアルラインDD´(4)」と「基準ベースラインBC´(9)」の交点であり、また、点Dは、「ラジアルラインDD´(4)」と「ベースラインBC(3)」の交点である。
【0053】
サポート体の形状は、「ラジアルラインDD’(4)」を「ラジアルライン回転軸(2)」まわりに回転できるように連結させる形状ならば、いかなる形状でもよい。
【0054】
なお、上述の「軌道ユニット(6)の重心G(5)」の駆動は、物理的な部品の組み合わせで、容易に実現できる。
【0055】
図3a、図3bおよび図3cに「軌道ユニット(6)の重心G(5)」の駆動機構の実施形態の例を示す。
【0056】
ただし、簡単のため、f=0とした。
【0057】
図3aに、「軌道ユニット(6,6a)」の物理的駆動機構例を説明する第1実施形態の図を示す。なお、図3a~図3fは、f=0として描画されているが、いずれの実施形態もfが0でなくとも成立する。
第1実施形態は、面接触を多用する設計で、摺動抵抗が大きいが、耐面圧が高く、強度が高いく設計された。摺動面には、ホワイトメタルなどの摺動材料を採用し、油潤滑を実施するとよい。
また、「ベースライン回転軸(1)」を仮想軸として、「ラジアルライン回転軸」との干渉を回避できる設計である。
第1実施形態では、「ベース線上条件」は「ベース線上条件設計A」により実現され、「重心点距離条件」は「重心点距離条件設計A」により達成される。
ここで、「ベース線上条件設計A」は、
(1)ベース板の長凹部「ベースライン用ベース板溝/スリット(12b)」の2面×1箇所、
(2)軌道ユニットの長凸部「ベースライン用軌道ユニット長凸部(6h)」2面×1箇所 および
(3)必要ならば、「シリンダー(12d)」および「ピストン(6a)」
により実現される設計である。
ただし、図3a~図3fの説明で用いる数量は、xy平面上への投影図形における数量で示されている。
また、「重心点距離条件設計A」は、
(1)軌道ユニットの長凹部「ラジアルライン用軌道ユニット角穴(6i)」の2面 および
(2)ラジアルアーム(13a)の側面「ラジアルライン(4)」の2面
により実現される設計である。
【0058】
図3bに、「軌道ユニット(6,6a)」の物理的駆動機構例を説明する第2実施形態の図を示す。
第2実施形態は、長い接触面を利用する第1実施例に対して、短凸部を利用するもので、ベアリングを配置し摺動抵抗を低減することができる実体設計である。
本明細書で説明する機構において、摺動抵抗の低減のため、摺動部には、必要に応じてラジアルベアリングやリニアベアリングを使用できる。本明細書ではラジアルベアリングが図示されているが、ベアリングの使用は必須として限定しているわけではない。
第2実施形態では、「ベース線上条件」は「ベース線上条件設計B」により実現され、「重心点距離条件」は「重心点距離条件設計B」により達成される。
【0059】
ここで、「ベース線上条件設計B」は、
(1)ベース板の長凹部「ベースライン用ベース板溝/スリット(12b)」2面×1箇所、
(2)軌道ユニットの短凸部「ベースライン用軌道ユニットベアリング(6b)」の2点×2箇所 および
(3)必要ならば、「シリンダー(12d)」および「ピストン(6a)」
により実現される設計である。
また、「重心点距離条件設計B」は、
(1)軌道ユニットの短凸部「ラジアルライン用軌道ユニットベアリング(6c)」の1点×2箇所 および
(2)ラジアルアーム(13a)の側面「ラジアルライン(4)」2面
により実現される設計である。
【0060】
図3cに、「軌道ユニット(6,6a)」の物理的駆動機構例を説明する第3実施形態の図を示す。
第3実施形態は、ベースライン方向にコンパクトにできる特長を持つ実体設計である。
第3実施形態では、「ベース線上条件」は「ベース線上条件設計C」により実現され、「重心点距離条件」は「重心点距離条件設計C」により達成される。
ここで、「ベース線上条件設計C」は、
(1)ベース板の短凸部「ベースライン用ベース板上設置ベアリング(12e)」の2点×1箇所、
(2)軌道ユニットの長穴溝「ベースライン用軌道ユニット溝/スリット(6d)」の2面×1箇所、
(3)軌道ユニットの短凸部「ラジアルライン用軌道ユニットベアリング(6c)」の1点×4箇所 および
(4)必要ならば、「シリンダー(12d)」および「ピストン(6a)
により実現される設計である。
また、「重心点距離条件設計C」は、
(1)軌道ユニットの短凸部「ラジアルライン用軌道ユニットベアリング(6c)」の1点×4箇所 および
(2)ラジアルアーム(13a)の側面「ラジアルライン(4)」2面
により実現される設計である。
【0061】
図3dに、「軌道ユニット(6,6a)」の物理的駆動機構例を説明する第4実施形態の図を示す。
第4実施形態は、ベースライン方向にコンパクトにできる、ラジアルアームの幅が広くとれ強度が増す、といった特長を持つ実体設計である。
また、「ベースライン回転軸(1)」を貫通軸とする代わりに、「ラジアルライン回転軸(2)」を「サポート体(10)」を利用して仮想軸として、2軸の干渉を回避できる設計である。
【0062】
第4実施形態では、「ベース線上条件」は「ベース線上条件設計D」により実現され、「重心点距離条件」は「重心点距離条件設計D」により達成される。
ここで、「ベース線上条件設計D」は、
(1)ベース板の長凹部「ベースライン用ベース板溝/スリット(12b)」の2面×1箇所、
(2)軌道ユニットの短凸部「ベースライン用軌道ユニットベアリング(6b)」の2点×1箇所、
(3)「シリンダー(12d)」の内壁、および
(4)「ピストン(6a)」の短凸部「ピストンリング」または「シリンダー内壁ベースライン用軌道ユニットベアリング(6e)」1点×2箇所
により実現される設計である。
また、「重心点距離条件設計D」は、
(1)軌道ユニットの短凸部「ラジアルライン用軌道ユニットベアリング(6c)」の2点×1箇所 および
(2)ラジアルアーム(13a)の長凹部「ラジアルライン用ラジアルアームスリット(13b)」の2面
により実現される設計である。
【0063】
図3eに、「軌道ユニット(6,6a)」の物理的駆動機構例を説明する第5実施形態の図を示す。
第5実施形態は、ベースライン方向にコンパクトにできる効果を持つ実体設計である。また、「ラジアルアーム凹部(13c)」は、スリット穴より長溝の方が、ラジアルアームの強度低下を防止できるので、ラジアルアームの強度を増加する設計となっている。
第5実施形態では、「ベース線上条件」は「ベース線上条件設計E」あるいは「ベース線上条件設計E’」により実現され、「重心点距離条件」は「重心点距離条件設計E」により達成される。
【0064】
ここで、「ベース線上条件設計E」は、
(1)ベース板の長凹部「ベースライン用ベース板溝/スリット(12b)」の2面×1箇所、
(2)軌道ユニットの短凸部「ベースライン用軌道ユニットベアリング(6b)」の2点×1箇所、
(3)「シリンダー脇ベースライン用ベース板溝/スリット(12f)」の2面×1箇所、
(4)「シリンダー脇ベースライン用軌道ユニットベアリング(6f)」の2点×1箇所 および
(5)必要ならば、「シリンダー(12d)」および「ピストン(6a)」により実現される設計である。
また「ベース線上条件設計E’」は、
(1)ベース板の長凹部「ベースライン用ベース板溝/スリット(12b)」の2面×1箇所、
(2)軌道ユニットの短凸部「ベースライン用軌道ユニットベアリング(6b)」の2点×1箇所、
(3)「シリンダー「12d」の外壁」の2面、
(4)「シリンダー外壁ベースライン用軌道ユニットベアリング(6j)」の1点×2箇所 および
(5)必要ならば、「シリンダー(12d)」および「ピストン(6a)」により実現される設計である。
また、「重心点距離条件E」は、
(1)軌道ユニットの短凸部「ラジアルライン用軌道ユニットベアリング(6c)」の2点×1箇所 および
(2)ラジアルアーム(13a)の長凹部「13c:ラジアルライン用ラジアルアーム溝」の2面により実現される設計である。
【0065】
図3fに、「軌道ユニット(6,6a)」の物理的駆動機構例を説明する第6実施形態の図を示す。
第6実施形態は、「ラジアルアーム(13a)」の先端に「ベアリング(13d)」を配置し、「ラジアルアーム(13a)」の長さを短くし、ラジアルアームの強度を高める効果を持つ実体設計である。
また、「ベースライン回転軸(1)」を片持ち軸「ベースローター軸(12h)」で保持し、「ラジアルライン回転軸(2)」を反対方向に延びる片持ち軸「ラジアルローター軸(44)」で保持する、2軸の干渉を回避できる設計である。
第6実施形態では、「ベース線上条件」は図3bと同様に「ベース線上条件設計F」により実現され、「重心点距離条件」は「重心点距離条件設計F」により達成される。
【0066】
ここで、「ベース線上条件設計F」は、
(1)ベース板の長凹部「ベースライン用ベース板溝/スリット(12b)」2面×1箇所、
(2)軌道ユニットの短凸部「ベースライン用軌道ユニットベアリング(6b)」の2点×2箇所 および
(3)必要ならば、「シリンダー(12d)」および「ピストン(6a)により実現される設計である。
また、「重心点距離条件設計F」は、
(1)軌道ユニットの長凹部「ラジアルライン用軌道ユニット角穴(6i)」の2面 および、
(2)ラジアルアーム(13a)の先端凸部「ラジアルライン用ラジアルアームベアリング(13d)」の2点×1箇所
により実現される設計である。
【0067】
上記では、「ベース線上条件設計」や「重心点距離条件設計」の例を提示したにすぎず、これに限定されるものではなく、本明細書の記述を参考に他の設計も可能となる。
【0068】
さて、ここで、本機構において無振動無揺動の特性が得られることを示すために、理論的な考察を行う。
【0069】
図1a~図1dおよび図2に示す、「軌道ユニット」が単独の場合の重心Gの座標G(1)は、式(1)で表される。(iは虚数単位ベクトル)
(数1)

【0070】
式(1)から、単独の「軌道ユニット(6)」により装置を構成する場合、主角度T[rad]の変化に伴い、「軌道ユニットの重心(5)」は、座標(x,y)=(d/2,(d/2)tan(f))の周囲を主角度Tに対する2倍角速度成分を伴う非円周上を移動し、系に振動が発生することがわかる。
【0071】
「軌道ユニット(6)」が2個の場合、合成重心は、式(2)となり、Rおよびpの値に無関係に、点Mの上方あるいは下方に位置する座標(x,y)=(d/2,(d/2)tan(f))の周囲を、Tの2倍の角速度で移動し、系に振動が発生することがわかる。
(数2)

【0072】
図4に、「軌道ユニット(6)」の個数nがn=3個の場合の幾何学的構成を示すが、以下では、n≧3について考察する。
【0073】
要素数がnの場合、各重心G(n)~G(n)の座標において、k番目の要素の重心G(n)は式(3)のように表される。
【0074】
(数3)

【0075】
式(3)について1~nまでの総和を算出した結果、合成重心の位置は座標(x,y)=(d/2,(d/2)tan(f))と表され、主角度Tによらず、常に、定点上にあり、角速度一定で回転する本装置はx方向あるいはy方向への振動を発生しないことが示された。
【0076】
つぎに、運動エネルギーについて記載すると、1要素(質量m[kg])の場合の運動エネルギーE(1)は、角速度W[rad/s]のとき、式(4)となり、主角度T[rad]によって大きさが変化し、xy平面内での回転方向のトルク変動が発生する。
【0077】
(数4)


【0078】
一方、要素数nの場合の運動エネルギーE(n)は、式(5)で表され、一定値となり、要素数がn=2以上ならば、トルク変動のない滑らかな回転動作が得られることが示される。
【0079】
(数5)

【0080】
以上のように、本機構では、「軌道ユニット(6)」の個数がn=3以上ならば、無振動無揺動の装置を提供することができる。
【0081】
図5に、本発明の幾何学的構成に基づく設計バリエーションの第1例(第7実施形態)を示す。
第7実施形態において、変動体積空間(作動空間)は、ベースユニット(「ベースブロック(41)」+「ベース板(12a)」、軌道ユニット(2枚の「スライドバルブ様軌道ユニット(42))およびラジアルユニット(「ラジアルアーム(13a)および「ラジアルローター(43)の側面」」による三種要素密閉方式(密閉方式A)により形成される。
「ベースライン回転軸(1)」と「ラジアルライン回転軸(2)」を固定し、「ベースライン半径線分(7)」と「基準ラジアルライン(8)」を同じ「主角度T」で回転させることで、無振動のまま「作動空間(52)」の体積変化が得られる。
作動流体の供給排出を「供給排出ポート(69)」を通じて適切な「主角度」の角度域で行うことで、ポンプや内燃機関として利用することができる。出力は、図示のように「ラジアルローター軸(44)」の他、「ラジアルユニット(13)」、「非軌道ユニット平面受動平行クランク(51b)」および「同期歯車列(47)」からも取り出すことができる。
【0082】
図5では、「主角度T」の同期方式の実施例として、下記の2方式を同時に描いた。
<主角度同期方式A>=「ラジアルローター(43)」に接続された「ラジアルローター軸(44)」を介して回転する「ラジアルローター非軌道ユニット平面同期板(46)」と「ベース板(12a)」とを、同一直径上にない2個以上の「非軌道ユニット平面受動平行クランク(51b)」でリンク接続する方式。3個以上の平行クランクの重心(51a)の合成重心を点Mに固定することができ、平行クランクによる振動は防止できる。
【0083】
または、
<主角度同期方式B>=「ラジアルローター(43)」に接続された「ラジアルローター軸(44)」を介して回転する「ラジアルローター非軌道ユニット平面同期板(46)」に配置された「ラジアルローター側同期歯車(48)」と、「ベース板(12a)」に配置された「ベースローター側同期歯車(50)」とを、「同期中間歯車(49)」で接続した「同期歯車列(47)」により「主角度」を同期させる方式。
図6に、本発明の幾何学的構成に基づく設計バリエーションの第2例(第8実施形態)を示す。
第8実施形態において、ベースユニット(「ベース板上設置シリンダー(12d)」)および軌道ユニット(「ピストン様軌道ユニット(6a))による二種要素密閉方式(密閉方式B)により、密閉空間(作動空間)が形成される。
「ベースライン回転軸(1)」と「ラジアルライン回転軸(2)」を固定し、「ベースライン半径線分(7)」と「基準ラジアルライン(8)」を同じ「主角度T」で回転させることで、無振動のまま「作動空間(52)」の体積変化が得られる。
作動流体の供給排出を、「ベース板上設置シリンダー(12d)」に設置したバルブ機構(図示省略)や、図5と同様に、「ベース板上設置シリンダー(12d)」、「ベース板(12a)」および「ケーシング(60)」を貫く「供給排出ポート(69)」を通じて、適切な「主角度」の角度域で行うことで、ポンプや内燃機関として利用することができる。
【0084】
「主角度同期方式」としては、「主角度同期方式C」を採用した。
ここで、「主角度同期方式C」は、軌道ユニットが存在する平面である「軌道ユニット平面」において、「ラジアルローター(43)」に接続された「軌道ユニット平面同期アーム(51f)」と「ベース板(12a)」とを、同一直径上にない2個以上の「軌道ユニット平面受動平行クランク(51c)」でリンク接続する方式。装置の厚み方向のサイズをコンパクト化できる特長がある。3個以上の平行クランクの重心(51a)の合成重心を点Mに固定することができ、平行クランクによる振動は防止できる。
【0085】
図7に、本発明の幾何学的構成に基づく設計バリエーションの第3例(第9実施形態)を示す。
この第9実施形態において、密閉空間(作動空間)の形成は、図6と同様に、ベースユニット(「ベース板上設置シリンダー(12d)」)および軌道ユニット(「ピストン様軌道ユニット(6a))による「密閉方式B」で実現されている。
作動流体の供給排出を、「ベース板上設置シリンダー(12d)」に設置したバルブ機構(図示省略)や、図5および図6と同様に、「ベース板上設置シリンダー(12d)」、「ベース板(12a)」および「ケーシング(60)」を貫く「供給排出ポート(69)」を通じて、適切な「主角度」の角度域で行うことで、ポンプや内燃機関として利用することができる。
【0086】
<主角度同期方式D>=軌道ユニットが存在する平面である「軌道ユニット平面」において、1個以上の「ラジアルアーム(13a)」を「軌道ユニット」(「ピストン様軌道ユニット(6a)」)より遠方まで延長した「延長ラジアルアーム(13e)」を用い、その先端部を「軌道ユニット平面駆動平行クランク(51d)」により駆動する方式。装置の厚み方向のサイズをコンパクト化できる特長がある。この方式では、「平行クランク」は1個でも良く、「同期歯車列(47)」の個数を低減することができる。平行クランクの数が1個の場合、「ラジアルローター(43)」の重心を「ラジアルライン回転軸(2)」に一致させ、平行クランクの重心(51a)を2本のクランク軸のどちらか一方に一致させることで、振動を防止することができる。
【0087】
図8に、「2軸固定型式:軸配置型式A」、「密閉方式B」および「主角度同期方式A」を採用して設計し、製作した3気筒試作機の外観写真を、設計バリエーションの第4例(第10実施形態)として、示す。設計パラメーターは以下のとおりである。n=3,d=15mm,R=37.5mm,f=0,h=0mm,-15mm,シリンダーボア直径30mm,ストローク30mm,排気量21cc/気筒。「主角度同期方式A」の主角度同期には、3個の「非軌道ユニット平面受動平行クランク(51b)」が用いられている。
【0088】
つぎに、図9に示す「ベースライン固定ラジアル軸偏心回転型式:軸配置回転型式B」に対する幾何学的構成について、説明を行う。
図9は、「ベースライン固定ラジアル軸偏心回転型式:軸配置回転型式B」を採用することで、「ベースライン(3)」すなわち、「ベースユニット(12)」全体を固定できる、「軌道ユニット」の個数nが3個の場合の幾何学的構成を示す図である。n=3以上の場合も、n=3と同様に考えることができる。
「ベース軸固定ラジアル軸公転型式:軸配置回転型式B」では、実際に、静止座標(xy座標)に対して、「ベースライン回転軸(1)」が原点に固定され、「ラジアルライン回転軸(2)」が原点を中心とする円周を移動する型式である。
「ベース軸固定ラジアル軸偏心回転型式:軸配置回転型式B」では、主角度がTのとき、「ラジアルライン回転軸(2,A)」を、原点(O,Z)まわりに-Tだけ円周移動させる。このとき、図9のように、「ベースライン半径線分(7)」、「基準ラジアルライン(8)」および「ラジアルライン(4)」の絶対主角度T’は変化せず、ベースユニットは静止し、さらに、「ラジアルローター(43)」も非回転のまま、偏心円周移動する。
【0089】
「2軸固定型式:軸配置回転型式A」の場合、図4を参照した動作解析から、
軌道ユニット数がn=3以上の場合、n個の軌道ユニット(質量をmとする)の合成重心が、常に中点Mにあることがわかっているので、図9に示す「ベースライン固定ラジアル軸偏心回転型式:軸配置回転型式B」の場合、軌道ユニット(全質量n×m)の合成重心は原点を中心とする半径d/2の円周上を移動することになる。
図9を実機で実現する場合、回転軸を原点とする偏心量dの「クランクシャフト(61)」等を用いて「ラジアルライン回転軸(2,A)」を円周動作させることが考案されるが、振動を防止するためには、偏心量dのクランクピンの位置に、クランクピンの質量、「ラジアルローター(43)」の質量、および、全軌道ユニットの質量の1/2の質量があるとしてモーメントを算出し、これを相殺する「静的カウンターウエイト(66a)」ならびに「動的カウンターウエイト(66b)」を「クランクシャフト(61)」の軸に設置すると、振動を防止することができる。
【0090】
(製造時のメインクランクシャフト・アッセンブリのバランス調整方法)
「クランクシャフト(61)」、「静的カウンターウエイト(66a)」および「動的カウンターウエイト(66b)」から成る「メインクランクシャフト・アッセンブリ」の製造時の静的・動的バランスの微調整は、
(1)まず、組付けられる「ラジアルローター(43)」と全「軌道ユニット(6)」の質量を実測し、
(2)実測結果から、「ラジアルローター(43)」の質量と全「軌道ユニット(6)」の総合質量の1/2の質量を合計した質量を持つ「クランクピン挿入用穴付きダミーウエイト」を製作し、
(3)その「ダミーウイエト」を「メインクランクシャフト・アッセンブリ」のクランクピンに挿入組付けし、
(4)(3)の「メインクランクシャフト・アッセンブリ」の回転時の静的バランスならびに動的バランスを計測装置で計測し、その結果に基づいて「静的カウンターウエイト(66a)」および「動的カウンターウエイト(66b)」を調整、または、
(5)簡易的には、(3)の「メインクランクシャフト・アッセンブリ」の主軸両端中央に穿ったセンター穴等を利用し、当該「アッセンブリ」を水平に置き回転させ、主軸周りの静的バランスを確認し、「静的カウンターウエイト(66a)」および「動的カウンターウエイト(66b)」を調整し、さらに、その「メインクランクシャフト・アッセンブリ」を、その出力側端(非クランクピン側端)の中央に取り付けた糸等で吊るし、空気噴流により回転させ、アッセンブリの揺動を目視等で検知し、「静的カウンターウエイト(66a)」および「動的カウンターウエイト(66b)」を再調整する、
方法により、実現できる。
【0091】
図10に、図9の幾何学的構成に基づき設計された3気筒エンジンの設計図を、設計バリエーションの第5例(第11実施形態)として示す。また、図11に、図10の設計に基づき製作された実働実機の外観写真を示す。
この実機の設計パラメーターを以下に示す。
軸配置回転型式は「ベースライン固定ラジアル軸偏心回転型式:軸配置回転型式B」であり、密閉方式は「密閉方式B」である。
主角度同期方式は、「主角度同期方式D」(図7参照)が採用され、2本の通常長さの「ラジアルアーム(13a)」と1本の「延長ラジアルアーム(13e)」が用いられ、「延長ラジアルアーム(13e)」の先端部が、「同期歯車列(47)」により駆動される「軌道ユニット平面駆動平行クランク(51d)」である「サブクランクシャフト(62)」で駆動される。
軌道ユニット数nはn=3,n=3,d=15mm,R=55mm,f=0,h=-10mm,-30mm、シリンダーボア直径30mm,ストローク30mm,排気量21cc/気筒,圧縮比4.9である。
【0092】
作動流体の供給排出にはロータリーバルブが採用され、「ベース板上設置シリンダー(12d)」の先端に回転挿入されているバルブローターに取り付けられた「ロータリーバルブギヤ(64)」が、「メインクランクシャフト(61)」により回転駆動される「多条スクロール溝板(65)」により駆動される。その結果、「メインクランクシャフト(61)」が2回転する際に「ロータリーバルブ」は1回転するので、オットーサイクルによる燃焼サイクルが達成されている。
【0093】
なお、「延長ラジアルアーム(13e)」の延長部分の質量の偏心回転による振動については、延長部分の設計に際して、その重心を「サブクランクシャフト(62)」のクランクピン軸に置くように設計することで、「サブクランクシャフト(62)」側の「静的カウンターウエイト(66a)」および「動的カウンターウエイト(66b)」により相殺し、振動を防止できる。
図10および図11の実機は、モーターの補助を必要とせず、燃料の燃焼だけでの自立運転が達成されている。
図12に、その際の3気筒分の圧力変動波形を示す。このときの主軸回転数は311rpmであり、8.1Wの軸出力が計測されている。図12から、毎燃焼サイクルごとの、燃焼による圧力上昇が確認される。
【0094】
図13に、ベースライン半径線分長さRをR=0として、「ラジアルローター(43)」を高強度化した実機構成を、設計バリエーションの第6例(第12実施形態)として示す。
軸配置回転型式は「ベースライン固定ラジアル軸偏心回転型式:軸配置回転型式B」であり、密閉方式は「密閉方式B」である。
「主角度同期方式」としては、「主角度同期方式E」を採用した。
ここで、「主角度同期方式E」は、軌道ユニットが存在する平面である「軌道ユニット平面」において、「ラジアルローター(43)」に接続された「軌道ユニット平面同期アーム(51f)」と「ベース板(12a)」とを、1個以上の「軌道ユニット平面駆動平行クランク(51d)」でリンク接続する方式である。
【0095】
図14に、図13と同様、ベースライン半径線分長さRをR=0として、「ラジアルローター(43)」を高強度化した実機構成を、設計バリエーションの第7例(第13実施形態)として示す。
軸配置回転型式は「ベースライン固定ラジアル軸偏心回転型式:軸配置回転型式B」であり、密閉方式は「密閉方式B」である。
「主角度同期方式」としては、「主角度同期方式F」を採用した。
ここで、「主角度同期方式F」は、「ベース板(12a)」の「軌道ユニット(6)」側に固定された「同期歯車(47)」と、「メインクランクシャフト(61)」のクランクピン周りに設置した「同期歯車(47)」とを、「メインクランクシャフト(61)」に回転軸を固定した「同期中間歯車(49)」で回転接続させる方式である。
【0096】
図15に、図13および図14と同様にベースライン半径線分長さRをR=0とするが、図13および図14とは異なり、ピストンの圧縮方向を内向きにし、全3気筒の作動流体の供給排出のコントロールを容易にした機器構成を、設計バリエーションの第8例(第14実施形態)として示す。
軸配置回転型式は「ベースライン固定ラジアル軸偏心回転型式:軸配置回転型式B」であり、密閉方式は「密閉方式B」である。
「主角度同期方式」としては、図13と同様に、「主角度同期方式E」が採用された。ただし、環状の「ラジアルローター(43)」が使用され、「ラジアルアーム(13a)」と「軌道ユニット平面同期アーム(51f)」は「軌道ユニット(6,6a)」を取り囲むように配置される。
中央に集まった3方向の「シリンダー(12d)」の中央穴部に挿入された「供給排出ロータリーバルブ付き出力シャフト(70)」により、作動流体の供給排出が1箇所でコントロールされ、供給管や排出管の取り回しが簡易化できる。
【0097】
図16に、ラジアルユニット(「ピストン様ラジアルアーム(13f)」)および軌道ユニット(「シリンダー様軌道ユニット(6g))による二種要素密閉方式(密閉方式C)により、密閉空間(作動空間)が形成される機器構成を、設計バリエーションの第9例(第15実施形態)として示す。軸配置回転型式は「ベースライン固定ラジアル軸偏心回転型式:軸配置回転型式B」である。
「主角度同期方式」は、「軌道ユニット平面同期アーム(51f)」と「ベース板(12a)」とを、同一直径上にない2個以上の「軌道ユニット平面受動平行クランク(51c)」でリンク接続する「主角度同期方式C」(図6参照)や、1個以上の「軌道ユニット平面駆動平行クランク(51d)」が使用される「主角度同期方式E」(図13参照)が採用されている。
【0098】
ここで、図16の例とは反対に、「シリンダー様のラジアルユニット」および「ピストン様の軌道ユニット」による二種要素密閉方式(密閉方式D)により、密閉空間(作動空間)が形成される機器構成も、図示は省略するが、設計バリエーションの第10例(第16実施形態)として提供する。
【0099】
図17に、双頭の「ピストン様軌道ユニット(12d)」により気筒数を2倍化した構成を、設計バリエーションの第11例(第17実施形態)として示す。
第17実施形態は、図6に示した第8実施形態を基本として、軸配置回転型式を「ベースライン固定ラジアル軸偏心回転型式:軸配置回転型式B」に変更し、ピストンを双頭化した設計バリエーションである。密閉方式は「密閉方式B」が採用された。
「主角度同期方式」は、図16と同様に、「主角度同期方式C」あるいは「主角度同期方式E」が採用されている。
ピストンの両側にシリンダーが存在するのでこれをピストン運動のガイドとして使用すれば、最も少ない部品数の構成が提供できる。
すなわち、「シリンダー(12d)」の内壁2箇所と「ピストン6a」の摺動面2箇所をガイドとして使用するとき、3個の「シリンダー(12d)」、3個の双頭の「ピストン(6a)」、3本の「ラジアルアーム(13a,13e)」からなる「ラジアルローター(43)」、「主角度同期装置(45)」および「ベース板(12a)」のみにより、6気筒エンジンが構成できる。
【0100】
以上のように、
本発明は、機器設計に際し、
とくに、エンジン、流体機械の設計において、
「軸配置回転型式」
「ベース線上条件設計」
「重心距離条件設計」
「密閉方式」
「主角度同期方式」
「n(ただしn>3),R,h,f,d,pの値」
「ピストン圧縮方向」
を選定、設定することで、様々な型式の無振動機器を設計することができる設計方法を提供し、その設計機器を提供するものである。
また、エンジン、流体機器以外の機械構造の設計方法、設計機器も提供することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0101】
「無振動機構レイアウト」(「ベース・ラジアル機構」)を適用した内燃エンジン、外燃エンジン又はポンプについて、内燃エンジン・外燃エンジンは、NH燃料のEVレンジエクステンダーまたはH都市ガスのコジェネ発電用内燃エンジンとして、一方ポンプは、ロケット推進剤用、人工心肺用または静音環境用ポンプとして利用可能である。
機械式時計などの精密機械や、製造工場のメカトロニクス機器など、多ユニットが回転しながら作動する機械において、振動の発生や、運動エネルギーの増減などを嫌う機構への適用が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 ベースライン回転軸
2 ラジアルライン回転軸
3 ベースライン(3-1,3-2,3-3)
4 ラジアルライン(4-1,4-2,4-3)
5 軌道ユニット(6-1,6-2,6-3)の重心(5-1,5-2,5-3)
6 軌道ユニット(6-1,6-2,6-3)
6a ピストン様軌道ユニット
6b ベースライン用軌道ユニットベアリング
6c ラジアルライン用軌道ユニットベアリング
6d ベースライン用軌道ユニット溝/スリット
6e シリンダー内壁ベースライン用軌道ユニットベアリング
6f シリンダー脇ベースライン用軌道ユニットベアリング
6g シリンダー様軌道ユニット
6h ベースライン用軌道ユニット長凸部
6i ラジアルライン用軌道ユニット角穴
6j シリンダー外壁ベースライン用軌道ユニットベアリング
7 ベースライン半径線分(7-1,7-2,7-3)
8 基準ラジアルライン
9 基準ベースライン(9-1,9-2,9-3)
10 サポート体(10-1,10-2,10-3)
11 ベースライン半径線分(7)の方向ベクトル
12 ベースユニット
12a ベース板
12b ベースライン用ベース板溝/スリット
12c 代替ベースライン用ベース板溝
12d ベース板上設置シリンダー
12e ベースライン用ベース板上設置ベアリング
12f シリンダー脇ベースライン用ベース板溝/スリット
12g 供給排出ポート付き突き合わせシリンダーブロック
12h ベースローター軸
13 ラジアルユニット
13a ラジアルアーム
13b ラジアルライン用ラジアルアームスリット
13c ラジアルライン用ラジアルアーム溝
13d ラジアルライン用ラジアルアームベアリング
13e 延長ラジアルアーム
13f ピストン様ラジアルアーム
40 ベースローター
41 ベースブロック
42 スライドバルブ様軌道ユニット
43 ラジアルローター
44 ラジアルローター軸
45 主角度同期装置
46 ラジアルローター非軌道ユニット平面同期板
47 同期歯車列
48 ラジアルローター側同期歯車
49 同期中間歯車
50 ベースローター側同期歯車
51 平行クランク
51a 平行クランクの重心
51b 非軌道ユニット平面受動平行クランク
51c 軌道ユニット平面受動平行クランク
51d 軌道ユニット平面駆動平行クランク
51e 平行クランク駆動歯車
51f 軌道ユニット平面同期アーム
52 作動空間
60 ケーシング
61 メインクランクシャフト
62 サブクランクシャフト
63 中間シャフト
64 ロータリーバルブギヤ
65 多条スクロール溝板
66 カウンターウエイト
66a 静的カウンターウエイト
66b 動的カウンターウエイト
67 逆回転フライホイール
68 中間歯車サポート体
69 供給排出ポート
70 供給排出ロータリーバルブ付き出力シャフト

図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図4
図5
図6
図7
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