(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022183
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】シート包装体
(51)【国際特許分類】
A47K 7/00 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
A47K7/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125572
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内野 智樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 裕也
(72)【発明者】
【氏名】森 浩喜
(72)【発明者】
【氏名】三宅 大輔
(57)【要約】
【課題】シートを用いて対象者を清拭する使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体の使い終わりが伝わり易かったりする表示であり、かつ、異物と誤解され難い表示を有するシート包装体を提供すること。
【解決手段】シート積層体(11)と袋体(20)を有し、シート(10)は使用者が使用者以外の対象者を拭くシート(10)であるシート包装体(1)であって、シート積層体(11)は、シート積層体(11)の使い終わりを予告する言葉を構成する文字を有する第1表示(41)と、使用者から対象者に向けた言葉を構成する文字を有する第2表示(42)と、対象者から使用者に向けた言葉を構成する文字を有する第3表示(43)と、第3者から使用者に向けた言葉を構成する文字を有する第4表示(44)と、である4種類の表示のうちの少なくとも1つの表示を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積層されたシート積層体と、前記シート積層体を収容する袋体と、を有し、
前記シートは、使用者が、前記袋体から取り出し、前記使用者以外の対象者を拭くシートであるシート包装体であって、
前記シート積層体は、
前記シート積層体の使い終わりを予告する言葉を構成する文字を有する第1表示と、
前記使用者から前記対象者に向けた言葉を構成する文字を有する第2表示と、
前記対象者から前記使用者に向けた言葉を構成する文字を有する第3表示と、
第3者から前記使用者に向けた言葉を構成する文字を有する第4表示と、
である4種類の表示のうちの少なくとも1つの表示を有することを特徴とするシート包装体。
【請求項2】
請求項1に記載のシート包装体であって、
前記シートは、薬液が含浸されたウェットシートであることを特徴とするシート包装体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記シート積層体では、複数枚の前記シートが積層されており、
前記シート積層体は、
前記4種類の表示のうち異なる種類の前記表示を各々有する複数枚の前記シートを備えることと、
前記4種類の表示のうち同じ種類の前記表示であって、前記言葉が異なる前記表示を、各々有する複数枚の前記シートを備えることと、
のうちの少なくとも一方であることを特徴とするシート包装体。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記シート積層体では、複数枚の前記シートが積層されており、
前記シート積層体は、
前記4種類の表示のうち異なる種類の前記表示が各々異なる色で印刷されている複数枚の前記シートを備えることと、
前記4種類の表示のうち同じ種類の前記表示であって、前記言葉が異なる前記表示が、各々異なる色で印刷されている複数枚の前記シートを備えることと、
前記4種類の表示のうち同じ種類の前記表示であって、前記言葉が同じである前記表示が、各々異なる色で印刷されている複数枚の前記シートを備えることと、
のうちの少なくとも何れかであることを特徴とするシート包装体。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記表示は、顔料を含むインクで印刷されていることを特徴とするシート包装体。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記表示を印刷するインクは、
6―アセトキシ2,4ジメチル―m―ジオキサン、アミノエーテル型の抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン等)以外の抗ヒスタミン、エストラジオール,エストロン又はエチニルエストラジオール以外のホルモン及びその誘導体、塩化ビニルモノマー、塩化メチレン、オキシ塩化ビスマス以外のビスマス化合物、過酸化水素、カドミウム化合物、過ホウ酸ナトリウム、クロロホルム、酢酸プログレノロン、ジクロロフェン、水銀及びその化合物、ストロンチウム化合物、スルファミド及びその誘導体、セレン化合物、ニトロフラン系化合物、ハイドロキノンモノベンジルエーテル、ハロゲン化サリチルアニリド、ビタミンL1及びL2、ビチオノール、ピロカルピン、ピロガロール、フッ素化合物のうち無機化合物、プレグナンジオール、プロカイン等の局所麻酔剤、ヘキサクロロフェン、ホウ酸、ホルマリン、及び、メチルアルコール、の中から選択される防腐剤を含有しないことを特徴とするシート包装体。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記表示は、図柄を含むことを特徴とするシート包装体。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記シート積層体では、複数枚の前記シートが積層されており、
前記シート積層体は、染色された部位を有し、かつ、前記表示を有する前記シートを、備えることを特徴とするシート包装体。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記シートは、
前記袋体から取り出される取り出し方向を有し、
前記取り出し方向に直交する方向に沿う折り部であって、前記取り出し方向の最も先端側に位置する折り部を有し、
前記表示の少なくとも一部は、前記折り部で折り返された前記シートの部位と重ならないことを特徴とするシート包装体。
【請求項10】
請求項9に記載のシート包装体であって、
前記表示の全部が、前記折り部で折り返された前記シートの部位と重ならないことを特徴とするシート包装体。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記シートは、
前記袋体から取り出される取り出し方向を有し、
前記取り出し方向に直交する方向に沿う折り部であって、前記取り出し方向の最も先端側に位置する折り部を有し、
前記表示の全部が、前記折り部で折り返された前記シートの部位と重なることを特徴とするシート包装体。
【請求項12】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記表示が有する前記文字は、前記シートの幅方向に並び、
前記幅方向において、前記言葉を構成する前記文字の全体長さは、前記シートの長さ以下であることを特徴とするシート包装体。
【請求項13】
請求項12に記載のシート包装体であって、
前記幅方向において、前記言葉を構成する前記文字の全体長さは、前記シートの1/2の長さ以下であることを特徴とするシート包装体。
【請求項14】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記表示が有する前記文字は、前記シートの幅方向に並び、
前記表示は、前記言葉を構成する前記文字の全てを有し、
前記幅方向における前記シートの中央部に、前記表示が有する前記文字の少なくとも一部が位置していることを特徴とするシート包装体。
【請求項15】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記シートは、前記袋体から取り出される取り出し方向を有し、
前記取り出し方向における前記シートの先端側と、前記表示が有する前記文字の上側とが一致していることを特徴とするシート包装体。
【請求項16】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記シートは、前記袋体から取り出される取り出し方向を有し、
前記表示が有する前記文字は、前記取り出し方向と直交する方向に並んでいることを特徴とするシート包装体。
【請求項17】
請求項1又は2に記載のシート包装体であって、
前記シートは、前記袋体から取り出される取り出し方向を有し、
前記表示が有する前記文字は、前記取り出し方向に並んでいることを特徴とするシート包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
袋体からシートを順番に取り出すシート包装体として、お尻拭きシートや手口拭きシートが知られている。特許文献1には、容器に収納されたウェットティッシュの残りの少なさを知ることができるように、容器内に残る最後又は最後から複数枚目のシートに、目印を設けることが開示されている。目印として、糸やフィルム等の帯状体をウェットティッシュに縫い込むことで、目印の滲みや色落ちを防ぐことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、シート積層体の使い終わりを予告する目印(表示)が糸や帯状体であると、その目印が何を意味するものなのか使用者に伝わり難い。また、使用者が目印を異物混入と誤解してしまう恐れがある。
また、シート包装体の使用者は、対象者(乳幼児、被介護者、愛玩動物等)のおむつ交換や食事の介助等、大変な作業時にシートを使用することが多い。そのため、シートの使用時に使用者がネガティブな感情(憂鬱な気分や焦り等)を抱き易いという課題があった。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、シートを用いて対象者を清拭する使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体の使い終わりが伝わり易かったりする表示であり、かつ、異物と誤解され難い表示を有するシート包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、シートが積層されたシート積層体と、前記シート積層体を収容する袋体と、を有し、前記シートは、使用者が、前記袋体から取り出し、前記使用者以外の対象者を拭くシートであるシート包装体であって、前記シート積層体は、前記シート積層体の使い終わりを予告する言葉を構成する文字を有する第1表示と、前記使用者から前記対象者に向けた言葉を構成する文字を有する第2表示と、前記対象者から前記使用者に向けた言葉を構成する文字を有する第3表示と、第3者から前記使用者に向けた言葉を構成する文字を有する第4表示と、である4種類の表示のうちの少なくとも1つの表示を有することを特徴とするシート包装体である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートを用いて対象者を清拭する使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体の使い終わりが伝わり易かったりする表示であり、かつ、異物と誤解され難い表示を有するシート包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1Aは開封前のシート包装体1の斜視図であり、
図1Bは開封後のシート包装体1の斜視図である。
【
図2】シート包装体1と併用される収容容器30の斜視図である。
【
図3】
図3Aはシート包装体1の断面模式図であり、
図3B及び
図3Cはシート10が折り畳まれた状態の説明図である。
【
図4】
図4Aは表示40の説明図であり、
図4Bは表示40の変形例を示す図である。
【
図8】シート10の製造方法の一例を示す図である。
【
図10】シート10の折り畳み方法の変形例を示す図である。
【
図11】
図11A及び
図11Bは第2実施形態のシート包装体1に収容されるシート10の組み合わせを説明する図である。
【
図12】
図12~
図12Cは第3実施形態のシート包装体1に収容されるシート10の組み合わせを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
(態様1)
シートが積層されたシート積層体と、前記シート積層体を収容する袋体と、を有し、前記シートは、使用者が、前記袋体から取り出し、前記使用者以外の対象者を拭くシートであるシート包装体であって、前記シート積層体は、前記シート積層体の使い終わりを予告する言葉を構成する文字を有する第1表示と、前記使用者から前記対象者に向けた言葉を構成する文字を有する第2表示と、前記対象者から前記使用者に向けた言葉を構成する文字を有する第3表示と、第3者から前記使用者に向けた言葉を構成する文字を有する第4表示と、である4種類の表示のうちの少なくとも1つの表示を有することを特徴とするシート包装体。
【0010】
態様1によれば、表示が有する文字(言葉)によって、シートの使用時の使用者のネガティブな感情を和らげることができる。また、シート積層体の使い終わりを予告するために、例えば文字を有さない線だけの目印をシートに設ける場合に比べて、表示が有する文字(言葉)によって、シート積層体の使い終わりが使用者に伝わり易くなる。また、表示が異物と誤解されてしまうことを抑制できる。
【0011】
(態様2)
前記シートは、薬液が含浸されたウェットシートであることを特徴とする、態様1に記載のシート包装体。
【0012】
態様2によれば、シートを用いて対象者を清拭しやすくなる。また、ドライシートに比べて、ウェットシートの方が、シート表面の光の乱反射を抑制でき、表示の視認性を高めることができる。
【0013】
(態様3)
前記シート積層体では、複数枚の前記シートが積層されており、前記シート積層体は、前記4種類の表示のうち異なる種類の前記表示を各々有する複数枚の前記シートを備えることと、前記4種類の表示のうち同じ種類の前記表示であって、前記言葉が異なる前記表示を、各々有する複数枚の前記シートを備えることと、
のうちの少なくとも一方であることを特徴とする、態様1又は態様2に記載のシート包装体。
【0014】
態様3によれば、異なる種類や異なる言葉の表示によって、使用者はシートの表示に飽き難く、シートの使用を楽しむことができる。よって、シートの使用時の使用者のネガティブな感情を和らげることができる。
【0015】
(態様4)
前記シート積層体では、複数枚の前記シートが積層されており、前記シート積層体は、前記4種類の表示のうち異なる種類の前記表示が各々異なる色で印刷されている複数枚の前記シートを備えることと、前記4種類の表示のうち同じ種類の前記表示であって、前記言葉が異なる前記表示が、各々異なる色で印刷されている複数枚の前記シートを備えることと、前記4種類の表示のうち同じ種類の前記表示であって、前記言葉が同じである前記表示が、各々異なる色で印刷されている複数枚の前記シートを備えることと、のうちの少なくとも何れかであることを特徴とする、態様1~態様3の何れかに記載のシート包装体。
【0016】
態様4によれば、異なる色の表示によって、使用者はシートの表示に飽き難く、シートの使用を楽しむことができる。よって、シートの使用時の使用者のネガティブな感情を和らげることができる。
【0017】
(態様5)
前記表示は、顔料を含むインクで印刷されていることを特徴とする、態様1~態様4の何れかに記載のシート包装体。
【0018】
態様5によれば、表示が滲み難く、表示の視認性を高めることができる。
【0019】
(態様6)
前記表示を印刷するインクは、6―アセトキシ2,4ジメチル―m―ジオキサン、アミノエーテル型の抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン等)以外の抗ヒスタミン、エストラジオール,エストロン又はエチニルエストラジオール以外のホルモン及びその誘導体、塩化ビニルモノマー、塩化メチレン、オキシ塩化ビスマス以外のビスマス化合物、過酸化水素、カドミウム化合物、過ホウ酸ナトリウム、クロロホルム、酢酸プログレノロン、ジクロロフェン、水銀及びその化合物、ストロンチウム化合物、スルファミド及びその誘導体、セレン化合物、ニトロフラン系化合物、ハイドロキノンモノベンジルエーテル、ハロゲン化サリチルアニリド、ビタミンL1及びL2、ビチオノール、ピロカルピン、ピロガロール、フッ素化合物のうち無機化合物、プレグナンジオール、プロカイン等の局所麻酔剤、ヘキサクロロフェン、ホウ酸、ホルマリン、及び、メチルアルコール、の中から選択される防腐剤を含有しないことを特徴とする、態様1~態様5の何れかに記載のシート包装体。
【0020】
態様6によれば、表示(インク)によって対象者の肌を刺激してしまうことを抑制でき、使用者が安心してシートを使用できる。
【0021】
(態様7)
前記表示は、図柄を含むことを特徴とする、態様1~態様6の何れかに記載のシート包装体。
【0022】
態様7によれば、図柄によって、表示が目立ちやすくなり、表示が使用者に気付かれ易くなる。また、表示のデザイン性が向上するため、使用者はシートの使用を楽しむことができる。その結果、使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体の使い終わりが使用者に伝わり易くなったりする。
【0023】
(態様8)
前記シート積層体では、複数枚の前記シートが積層されており、前記シート積層体は、染色された部位を有し、かつ、前記表示を有する前記シートを、備えることを特徴とする、態様1~態様7の何れかに記載のシート包装体。
【0024】
態様8によれば、表示を有するシートが目立ちやすくなり、表示が使用者に気付かれ易くなる。また、シートのデザイン性が向上するため、使用者はシートの使用を楽しむことができる。その結果、使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体の使い終わりが使用者に伝わり易くなったりする。
【0025】
(態様9)
前記シートは、前記袋体から取り出される取り出し方向を有し、前記取り出し方向に直交する方向に沿う折り部であって、前記取り出し方向の最も先端側に位置する折り部を有し、前記表示の少なくとも一部は、前記折り部で折り返された前記シートの部位と重ならないことを特徴とする、態様1~態様8の何れかに記載のシート包装体。
【0026】
態様9によれば、シートの折り返し部によって表示が覆われて見え難くなってしまうことを抑制でき、表示が使用者に気付かれ易くなる。その結果、使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体の使い終わりが使用者に伝わり易くなったりする。
【0027】
(態様10)
前記表示の全部が、前記折り部で折り返された前記シートの部位と重ならないことを特徴とする、態様9に記載のシート包装体。
【0028】
態様10によれば、シートの折り返し部によって表示が覆われて見え難くなってしまうことを抑制でき、表示が使用者に気付かれ易くなる。その結果、使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体の使い終わりが使用者に伝わり易くなったりする。
【0029】
(態様11)
前記シートは、前記袋体から取り出される取り出し方向を有し、前記取り出し方向に直交する方向に沿う折り部であって、前記取り出し方向の最も先端側に位置する折り部を有し、前記表示の全部が、前記折り部で折り返された前記シートの部位と重なることを特徴とする、態様1~態様8の何れかに記載のシート包装体。
【0030】
態様11によれば、折り部で折り返されたシートの部位ではシートが積層されており、シートの後ろ側が透け難い。そのため、折り部でシートが折り返された側とは反対側の面に表示が設けられている場合には、表示の視認性を高めることができる。一方、折り部でシートが折り返された側に表示が設けられている場合には、シートの折り返し部がめくられた際に表示が現れるため、使用者は楽しみながら表示を読むことができる。
【0031】
(態様12)
前記表示が有する前記文字は、前記シートの幅方向に並び、前記幅方向において、前記言葉を構成する前記文字の全体長さは、前記シートの長さ以下であることを特徴とする、態様1~態様11の何れかに記載のシート包装体。
【0032】
態様12によれば、シートの幅方向の範囲内において、言葉を構成する全ての文字が収まりやすく、表示を見た使用者に、言葉の意味が伝わりやすくなる。
【0033】
(態様13)
前記幅方向において、前記言葉を構成する前記文字の全体長さは、前記シートの1/2の長さ以下であることを特徴とする、態様12に記載のシート包装体。
【0034】
態様13によれば、言葉を構成する文字の全体長さがシートの1/2の長さよりも長い場合に比べて、シートの幅方向の範囲内において、言葉を構成する全ての文字が収まりやすく、表示を見た使用者に、言葉の意味が伝わりやすくなる。
【0035】
(態様14)
前記表示が有する前記文字は、前記シートの幅方向に並び、前記表示は、前記言葉を構成する前記文字の全てを有し、前記幅方向における前記シートの中央部に、前記表示が有する前記文字の少なくとも一部が位置していることを特徴とする、態様1~態様13の何れかに記載のシート包装体。
【0036】
態様14によれば、シートに収まった言葉によって、表示を見た使用者に、言葉の意味が伝わりやすくなる。また、シートの幅方向の中央部に文字が位置することで、使用者が文字を読み易くなる。
【0037】
(態様15)
前記シートは、前記袋体から取り出される取り出し方向を有し、前記取り出し方向における前記シートの先端側と、前記表示が有する前記文字の上側とが一致していることを特徴とする、態様1~態様14の何れかに記載のシート包装体。
【0038】
態様15によれば、使用者が、シートの先端部を把持してシートを袋体から取り出した時に、文字の上下方向の向きが正しい状態となっているため、使用者が文字を読み易くなる。
【0039】
(態様16)
前記シートは、前記袋体から取り出される取り出し方向を有し、前記表示が有する前記文字は、前記取り出し方向と直交する方向に並んでいることを特徴とする、態様1~態様15の何れかに記載のシート包装体。
【0040】
態様16によれば、使用者が袋体からシートを取り出す際に、概ね同じタイミングで表示(文字)が現れるので、使用者は直ぐに文字を読むことができ、使用者が文字を読み易くなる。
【0041】
(態様17)
前記シートは、前記袋体から取り出される取り出し方向を有し、前記表示が有する前記文字は、前記取り出し方向に並んでいることを特徴とする、態様1~態様15の何れかに記載のシート包装体。
【0042】
態様17によれば、使用者が袋体からシートを取り出す際に、徐々に表れる表示(文字)を読むことができ、使用者は、楽しみながらシートを取り出すことができる。
【0043】
===実施形態===
以下、本発明の実施形態に係るシート包装体として、乳幼児用のお尻拭きシートが収容されたシート包装体を例に挙げて説明する。
【0044】
<<<シート包装体1の基本構成>>>
図1Aは、開封前のシート包装体1の斜視図であり、
図1Bは、開封後のシート包装体1の斜視図である。
図2は、シート包装体1と併用される収容容器30の斜視図である。
【0045】
シート包装体1は、複数枚のシート10が折り重ねられた状態で積層されたシート積層体11と、シート積層体11を収容する袋体20と、有する。
【0046】
シート10は、不織布や紙等からなる長方形状のシートが挙げられる。シート10は、薬液が含浸されたウェットシートである。本実施形態では、シート10として、親水性繊維を含む不織布とする。
シート10が親水性繊維を含むことで、シート10が薬液を保持した状態が維持されやすく、シート10の乾燥を抑制できる。親水性繊維としては、パルプ繊維、コットン繊維、リネン繊維、リヨセル繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維(例えばビスコースレーヨン繊維、キュプラ繊維、モダール繊維)等のセルロース系繊維、ウール、シルク、カシミヤ等の動物繊維が挙げられるが、これに限られず、その他の化学繊維や天然繊維であってもよい。
さらに、シート10は、疎水性繊維を含んでもよい。シート10が疎水性繊維を含むことで、シート10の嵩高さが維持されやすくなる。疎水性繊維としては、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、スパンデックス繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等が挙げられるが、これに限らない。
シート10が有する繊維は、単一成分からなる単一繊維であっても、複数の成分からなる複合繊維であっても、これらの組み合わせであってもよい。また、シート10には、ポリ乳酸繊維等の生分解性素材からなる繊維が含まれても良い。
また、不織布の製造方法としては、スパンボンド法、メルトブローン法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法、スパンレース法等が挙げられるが、これに限られない。柔軟でドレープ性に優れていることから、スパンレース法が好ましい。
【0047】
袋体20は、その上面の中央部に開口部21を有し、開口部21からシート10が取り出される。
図1Aでは、形状が直方体形状であり、マチ付きのガゼット包装である袋体20を例示する。ただし、袋体20の形状及び包装形態は特に限定されるものではない。また、袋体20は、袋体20の外面から開口部21を覆うシール部材22を有する。シール部材22は、袋体20の本体部に繰り返し接着及び剥離が可能な部材であることが好ましい。なお、初めてシート包装体1を開封する際に、使用者がシール部材22をめくることにより、袋体20の一部が切欠かれて、開口部21が形成されるとよい。そうすることで、使用前のシート包装体1の密閉性がより確保される。
【0048】
袋体20を形成する資材としては、シート10がウェットシートであるため、液不透過性を有するものとし、樹脂フィルム等を例示できる。また、袋体20を形成する資材は、ガスバリア性を有するものであっても、ガスバリア性を有さないものであってもよく、また、透明であっても不透明であってもよい。ガスバリア性を有さない資材としては、ポリエチレン(PE)の樹脂フィルム等が挙げられる。ガスバリア性を有する資材としては、アルミ箔フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)や2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等の樹脂フィルムや、アルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルム等が挙げられる。また、袋体20を形成する資材に、バイオマスプラスチック(再生可能なバイオマス資源を原料に合成されたプラスチック)が含まれていてもよい。
【0049】
シート包装体1は、シート包装体1単体で使用することも可能であるが、
図2に示すような収容容器30の内部に収容した状態で使用することも可能である。シート包装体1を単体で使用する場合、使用者は、袋体20の本体部からシール部材22を分離せずに、シート10の取り出し後に、シール部材22で開口部21を覆うことで、シート10の乾燥を抑制できる。
【0050】
収容容器30としては、略直方体形状の中空容器である本体部31と、本体部31の底面の開口を塞ぐ部材である底蓋部32を有するものを例示できる。本体部31は、その上面に、上蓋部311と、開口部312を有する。
図1Bに示すようにシール部材22が剥離されたシート包装体1が、収容容器30の本体部31の内部に収容されると、袋体20の開口部21が、収容容器30の開口部312から露出し、シート10が取り出し可能となる。シート10の取り出し後に、収容容器31の上蓋部311を閉じることで、シート10の乾燥を抑制できる。シート包装体1を交換する際には、本体部31から底蓋部32を取り外すことで、本体部31の底面の開口からシート包装体1の出し入れが可能となる。
【0051】
===第1実施形態===
図3Aは、シート包装体1の断面模式図であり、
図3B及び
図3Cは、シート10が折り畳まれた状態の説明図である。
図4Aは、表示40の説明図であり、
図4Bは、表示40の変形例を示す図である。
図5は、展開状態であるシート10の平面図である。
図6及び
図7は、表示40の変形例を示す図である。
図8は、シート10の製造方法の一例を示す図である。
図9A~
図9Dは、表示40の製造方法の一例を示す図である。
図10は、シート10の折り畳み方法の変形例を示す図である。
【0052】
展開状態であるシート10(
図5)は、長方形状であり、互いに直交する長手方向、幅方向(短手方向)、及び、厚さ方向を有する。シート10は、幅方向に沿う3つの折り部である第1折り部F1と、第2折り部F2と、第3折り部F3を有する。
図3Bや
図5に示すように、シート10の長手方向一方側の端部は、第1折り部F1にて、シート10の一方側面10aが内側となるように折り返されている。同様に、シート10の長手方向他方側の端部は、第3折り部F3にて、シート10の一方側面10aが内側となるように折り返されている。さらに、長手方向において第1折り部F1と第3折り部F3の間に位置する第2折り部F2にて、シート10は、シート10の他方側面10bが内側となるように折り返されている。このように折り畳まれた複数枚のシート10が、
図3Aに示すように、シート10の厚さ方向に積層されている。
【0053】
袋体20において、複数枚のシート10が積層された上下方向を取り出し方向とも称する。取り出し方向において、袋体20の開口部21が位置する上側を先端側とも称し、その反対側である下側を積層側とも称する。シート10は、先端側に位置するシート10から順に、袋体20の開口部21から取り出される。
【0054】
また、袋体20において、シート10の一方側面10aが上側を向くように、シート10は積層されている。取り出し方向(積層方向)に隣り合うシート10は、長手方向の向きを逆にして積層されている。先端側のシート10(例:シート10A)の第2折り部F2での折り返し部(長手方向他方側の部位)の間に、次のシート10(例:シート10B)の第1折り部F1での折り返し部が挟み込まれている。そのため、使用者が先端側のシート10を引き出すと、それに伴って、次のシート10の一部である、第1折り部F1での折り返し部10Fが、袋体20の開口部21から露出する。そのため、使用者は、次のシート10を取り出しやすくなる。特に、シート10がウェットシートである場合、先端側のシート10と次のシート10の重複部分が貼り付きやすく、先端側のシート10と共に、次のシート10の先端部も引き出されやすくなる。このように積層されたシート10では、シート10の「長手方向」が、袋体20からシート10が取り出される「取り出し方向」に対応し、シート10の長手方向の一方側が、取り出し方向の先端側に対応する。つまり、シート10は積層されている状態から90度起こされた状態で取り出される。
【0055】
<<シート積層体11が有する表示40について>>
第1実施形態のシート積層体11では、袋体20内に残るシート10の数が少なくなった段階で取り出される或る1枚のシート10に「表示40」が設けられている。ここでは、残りシート10の数が5枚となった段階で取り出されるシート、すなわち最後から5枚目のシート10に表示40が設けられている。ただし、最後から5枚目以外のN枚目(N≧1)のシート10に表示40が設けられていてもよい。好ましくは、最後から10枚目以内のシート10に表示40が設けられているとよい。
【0056】
具体的に、シート積層体11(最後から5枚目のシート10)は、以下に説明する4種類の表示(第1表示41~第4表示44)のうちの少なくとも1つの表示40を有する。また、本実施形態のシート10は、幼児用のお尻拭きシートであるため、以下の説明において、「使用者」は保護者や保育者等であり、シート10で拭かれる「対象者」は乳幼児である。
【0057】
第1表示41は、シート積層体11の使い終わりを予告する言葉を構成する文字40cを有する表示である。シート積層体11の使い終わりを予告する言葉としては、「そろそろなくなるよ~」や「あと5枚」等を例示できる。
【0058】
第2表示42は、使用者から対象者に向けた言葉を構成する文字40cを有する表示である。使用者から対象者に向けた言葉としては、「かわいいおしり きれいになった?」「いっぱいたべて、いっぱい出たね~」「すっきりしたね」「大きくなったね」「すくすく、わくわく」「うまれてくれてありがとう」等、使用者が対象者に語りかける具体的な言葉や、対象者の成長を実感できる言葉や、対象者の誕生の喜び(初心)を思い出す言葉等を例示できる。
【0059】
第3表示43は、対象者から使用者に向けた言葉を構成する文字40cを有する表示である。対象者から使用者に向けた言葉としては、「ありがとうママ」「ぼくのパパ」「いっしょに遊ぼう」「いっしょに歌おう」「Hello Mamy」「I Love Mamy」等、対象者の気持ち(使用者への感謝の気持ち、使用者のことが大好きな気持ち、使用者に遊んで欲しい気持ち等)を代弁する言葉を例示できる。
【0060】
第4表示44は、第3者から使用者に向けた言葉を構成する文字40cを有する表示である。第3者から使用者に向けた言葉としては、「まいにちおつかれさま」「いつもありがとう」「がんばっているね」等、使用者への労いや感謝の言葉を例示できる。
【0061】
このように、シート積層体11の最後からN枚目(ここでは5枚目)のシート10に表示40が設けられていることで、表示40を見た使用者は、袋体20内に残るシート10の数が少なくなったことを知ることができる。特に、収容容器30にシート包装体1を収容して使用する場合、シート10の残量が分かり難い。そのため、表示40によってシート10の残量を把握可能にすることで、おむつ交換の途中にシート10が無くなり慌てる事態を防止できる。
【0062】
さらに、本実施形態の表示40は、上記4種類の言葉の少なくとも何れかを構成する文字40cを含む。そのため、最後からN枚目のシート10に、例えば線のみで構成される表示(糸、シートの帯状体、印刷線等)だけ設けられる場合に比べて、使用者がシート10に設けられた表示40を異物混入と誤解してしまうことを抑制できる。また、上記4種類の言葉を構成する文字40cには「数字」が含まれてもよい。例えば、「1年間ありがとう」という表示40や「あと5枚」という表示40のように、数字が含まれていてもよい。
【0063】
また、本実施形態のお尻ふきシート10は、主におむつの交換時に使用される。おむつ交換は大変な作業であり、使用者にとって常に楽しい作業とはいえず、憂鬱な気分となることがある。特に乳幼児は排泄物で汚れている状態でも自由に動きたがり、使用者は焦りながら作業を行うことが多い。そのようなシート10の使用者のネガティブな感情(憂鬱な気分や焦り等)を、文字40cを有する表示40によって和らげることができる。
【0064】
例えば、シート10に第2表示42(使用者から対象者に向けた言葉)が設けられている場合、それを見た使用者は、対象者への感情(成長の喜びや、産まれてくれたことへの感謝等)を再認識しやすく、ネガティブな感情が和らぐ。また、使用者は、第2表示42(例:すっきりしたね、かわいいおしり等)を用いて、対象者へ声掛けしながら作業を行いやすくなる。よって、使用者は、黙々と作業する場合に比べて、対象者とコミュニケーションを図りながら、楽しく前向きな気持ちで作業を行い易くなる。
【0065】
また、シート10に第3表示43(対象者から使用者に向けた言葉)が設けられている場合、それを見た使用者は、対象者からの感情(ママ達が大好きな子どもの気持ち)を感じることができ、使用者のネガティブな感情を和らげることができる。特に、自身の感情を言葉で表現できない低月齢の子どものお世話をする使用者が、子どもからの愛情を感じることができ、前向きな気持ちで、おむつ交換やその他の育児を行い易くなる。
【0066】
また、シート10に第4表示44(第3者から使用者に向けた言葉)が設けられている場合、それを見た使用者は、労われ、感謝されている気持ちになり、使用者のネガティブな感情を和らげることができる。周囲から言われたい言葉が表示されていることで、育児中に感じやすい使用者の孤独感や虚しさを軽減でき、使用者は、前向きな気持ちで、おむつ交換やその他の育児を行い易くなる。
【0067】
また、シート10に第1表示41(使い終わりを予告する言葉)が設けられている場合、単なる線のみの表示が設けられている場合に比べて、シート積層体11の使い終わり(シート10の残りが少ないこと)が使用者に伝わり易い。特にシート包装体1の使用に不慣れな使用者であっても、第1表示41を見ることで、シート10の残りが少ないことを理解できる。
さらに、その第1表示41が明るく優しい表現(例:そろそろなくなるよ~)であると、使用者は、事務的な情報を受け取ったと感じ難く、温かさや面白さを感じられる。よって、第1表示41を見た使用者のネガティブな感情を和らげることができる。
【0068】
ここまで、シート包装体として、乳幼児用のお尻ふきシートの包装体を例示したが、使用者が、袋体20から取り出し、使用者以外の対象者を拭くシートの包装体であれば、特に限定されない。例えば、ペット用シートの包装体であってもよく、この場合の使用者は飼い主となり、対象者はペット(愛玩動物)となる。また、介護用シートであってもよく、この場合の使用者は介護者となり、対象者は被介護者となる。また、お尻拭きシートに限らず、対象者の身体や手や口等を拭くシートであってもよい。これらの場合にも、シートが表示40(文字40c)を有することで、シートを用いて対象者を清拭する大変な作業時の、使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体の使い終わりが使用者に伝わり易かったり、表示40が異物と誤解されてしまうことを抑制できる。
【0069】
また、
図5や
図6に例示する1枚のシート10は、1種類の表示40を1つ有するが、これに限らない。1枚のシート10が、複数種類の表示40を有してもよい。例えば、1枚のシート10に、第4表示44(例:まいにちおつかれさま)と、第2表示42(例:いっぱいでたね)とが設けられていてもよい。
【0070】
また、1つの表示40が、同じ種類であるが異なる複数の言葉をそれぞれ構成する文字40cを有してもよい。例えば、1つの第4表示44が、「まいにちおつかれさま」を構成する文字40cと、「がんばっているね」を構成する文字40cとを有してもよい。
【0071】
また、
図4Aでは、シート10の他方側面10b(第1折り部F1によりシート10が折り返されていない方の面)に表示40が設けられているが、シート10の一方側面10a(第1折り部F1によりシート10が折り返された方の面)に表示40が設けられていてもよいし、シート10の両面10a,10bに表示40が設けられていてもよい。
【0072】
また、シート10は、薬液が含浸されたウェットシートであることが好ましい。そうすることで、シートが、液体に含浸されていないドライシートである場合に比べて、使用者はシート10を用いて対象者を清拭しやすくなる。また、ドライシートに比べて、ウェットシートの方が、シート表面の光の乱反射を抑制できる。そのため、ウェットシートに設けられる表示40の視認性が高まり、使用者が表示40(言葉40c)を読み易くなる。特に、シート10が親水性繊維を含む場合、シート10が薬液を保持した状態が維持されやすく、シート10の表示40の視認性も維持されやすくなる。
【0073】
なお、ウェットシートにおける薬液の含浸倍率(シートがA(g)、薬液がB(g)である場合、B/A×100(%))については、160%以上であることが好ましく、200%以上であることがより好ましく、240%以上であることがさらに好ましい。含浸倍率が高いと含浸ムラ(シート10のうち薬液が含浸されている部分と含浸されていない部分ができること)が生じにくく、シート10の表面の光の乱反射の程度にばらつきが生じ難く、表示40の視認性が上がる。また、含浸ムラを抑えることで、薬液が含浸されていない部分にカビが生えるリスクが低くなる。
【0074】
なお、シート10に含まれる薬液としては、当技術分野で採用さている公知の成分が挙げられ、天然化合物、合成化合物、無機物、有機物を含み、ウェットシートや化粧品で使用されている成分が好ましい。具体的には、水、ph調整剤(例:乳酸等)、防腐剤又は防腐助剤(例:セトリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド等の四級アンモニウム塩、安息香酸Na等の有機酸、ポリアミノプロピルビグアニド、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、塩化セチルピリジニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ソルビン酸カリウム等)、溶解助剤(例:グリコール(プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール)、フェノキシエタノール、エタノール等)、キレート剤(例:EDTA-2Na等)、保湿剤(例:ヒアルロン酸Na、グリセリン、ソルビトール、ポリクオタニウム、セテアレス等)、界面活性剤(例:カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等)、を含むものを例示できる。ただし、薬液の成分は特に限定されるものではなく、上記の全ての要素が含まれていなくてもよい。また、上記の成分の他に、増粘剤、酸化防止剤、香料、エキスを含んでもよい。
【0075】
また、シート10が、液体に含浸されていないドライシートであってもよい。その場合、ドライ状態のシート10を用いて、対象者を清拭することもできるが、使用者が準備した液体(例:保湿剤、化粧水等)をシート10に染み込ませてから、対象者を清拭することもできる。この場合、使用者や対象者の好みに合わせて液体を選ぶことができる。また、ドライシートを収容する袋体20の資材は、液不透過性を有するものに限られず、紙等であってもよい。また、袋体20にシール部材22や蓋があってもなくてもよい。
【0076】
また、表示40は、図柄40pを含んでいてもよい。図柄40pとしては、何かを表す絵、模様(例:水玉模様、ストライプ柄、格子柄)、直線、曲線、記号(例:音符、感嘆符)等を例示できる。絵の具体例としては、キャラクター、雲、楽器、足跡、おまる(アヒル)、星、ハート、車、動物、花、草が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0077】
図5に例示する表示40(第4表示44)では、「まいにちおつかれさま」という文字40cの両側に、クローバーの図柄40pが設けられている。また、
図6に例示する表示40(第3表示43)では、「Sing with me」の文字40cが、ハートの図柄40pで囲まれており、表示40には、キャラクターの図柄40pや、星等の図柄40pも含まれている。文字40cと図柄40pのサイズの大小関係は特に限定されず、例えば、
図5に示すように、文字40cと図柄40pが同程度の大きさであってもよいし、
図6に示すように、大きな図柄40pの一部に文字40cが設けられていてもよい。また、文字40cと図柄40pの位置関係も特に限定されず、同一シート10内に設けられていればよいが、好ましくは、文字40cと図柄40pが近接しているとよい。
【0078】
このように表示40が、文字40cだけでなく、図柄40pを有することで、表示40のデザイン性が高まり、使用者を楽しませることができる。よって、シート10の使用時の使用者のネガティブな感情を和らげることができる。
また、図柄40pによって、表示40全体が目立ち易くなり、表示40が使用者に気付かれ易くなる。また、
図6に示すように、ハートの図柄40pで文字40cを囲う等することで、使用者が文字40cに着目し易くなり、文字40cが使用者に読まれ易くなる。
【0079】
また、図柄40pによって、文字が読めない対象者や対象者の兄弟姉妹等も、シート10の残量が少ないことを把握できたり、楽しめたりできる。特に、図柄40pを、乳幼児が楽しめるものや、季節に関係するもの(例えば、どんぐりやクリスマスツリー等)にすることで、使用者は、対象者と、図柄40pを用いてコミュニケーションを図りやすくなる。よって、シート10の使用時の使用者のネガティブな感情を和らげることができる。
【0080】
また、文字40cと線の図柄40pを並べて配置することで(後述の
図11A参照)、シート10の幅いっぱいに、表示40を設けることができる。この場合、使用者が表示40に気付き易くなる。その結果、表示40によって、使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体11の使い終わりが使用者に伝わり易くなったりする。
【0081】
また、
図5に示すように、表示40は、言葉(例:まいにちおつかれさま)を構成する文字40cの全てを有することが好ましい。そうすることで、表示40を見た使用者に、言葉の意味が伝わりやすくなる。その結果、使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体11の使い終わりが伝わり易くなったりする。
【0082】
さらに、
図5に示すように、表示40が有する文字40cが、シート10の幅方向に並ぶ場合、幅方向におけるシート10の中央部10Cに、表示40が有する文字40cの少なくとも一部が位置していることが好ましい。より好ましくは、シート10の幅方向の中心と、文字40cが表す言葉の幅方向の中心とが揃っているとよい。そうすることで、使用者が、表示40が有する文字40cに着目しやすくなり、また、文字40cを読みやすくなる。
【0083】
なお、幅方向におけるシート10の中央部10Cとは、幅方向におけるシート10の最大長さW1を3分割したときの中央の領域とする。また、本実施形態では、長方形状であるシート10の短手方向を、シート10の幅方向としているが、シート10の長手方向を、シート10の幅方向としてもよい。例えば、図示しないが、シート10の短手方向を上下方向とする文字40cが、シート10の長手方向(幅方向)に並んでいてもよい。
【0084】
ここで、シート10の製造方法の一例を、
図8を用いて簡単に説明する。
図8では、シート10の幅方向に対応する方向に連続して搬送されるシートの連続体10’に、先ず表示40が形成される。その後、シート10の幅方向の製品長W1毎に、シートの連続体10’が切断されることで、シート10が製造される。
【0085】
図8に示すように、シートの連続体10’に対して、複数の表示40が搬送方向に並んで設けられる場合において、表示40(文字40c)の位置に関係なく、シート10を切断する製造方法がある。その場合、シート10の製造方法を容易にできるが、文字(例:まいにちおつかれさま)の途中で、シート10が切断されることがある。
【0086】
そのため、表示40は、言葉(例:まいにちおつかれさま)を構成する文字の全部を有するに限らず、一部だけを有していてもよい。また、表示40は、言葉を構成する文字の一部が離れて、順番が異なっていてもよい。具体的には、シート10に、「にちおつかれさま」という文字40cを有する表示40が設けられていたり、シート10の幅方向の一方に、「ちおつかれさま」という文字40cが設けられ、シート10の幅方向の他方側に、「まいにち」という文字40cが設けられていたりしてもよい。これらの表示40であっても、使用者は、文字40cから言葉の意味を類推できる。その結果、表示40(文字40c)によって、使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体11の使い終わりが伝わり易くなったりする。
【0087】
これに対して、
図5に示すように、シート10の幅方向の所望の位置に、言葉を構成する文字40cの全部を設ける場合には、シートの連続体10’における表示40の位置に基づいて、シートの連続体10’を切断する製造方法を行うとよい。例えば、表示40の位置をカメラ等で確認して切断位置を決定したり、表示40を形成したタイミングに基づいて切断タイミングを決定したりするとよい。この場合、シート10の製造方法が複雑になるが、読み易い文字40cを有する表示40をシート10に設けることができる。
【0088】
また、表示40の形成方法としては、印刷による形成方法や、凹凸による形成方法や、それらの組み合わせ等が挙げられる。印刷による形成方法とは、具体的には、白色のシート10に対して、インクジェット印刷により表示40を印刷する方法を例示できる。表示40の色としては、青色や緑色等を例示できるが、色は特に限定されるものではない。印刷によって表示40を形成することで、表示40の色の調整を行いやすく、例えば視認性の高い表示40を形成できる。また、印刷方法としてはインクジェットによる印刷方法が挙げられ、この場合、表示40の内容を容易に変更できる。凹凸による形成方法とは、具体的には、表示40を形成する部分において、シート10を厚さ方向に圧搾して(エンボス加工を施して)凹部(圧搾溝)を形成したり、シート10を構成する繊維の坪量(g/m2)を低減して凹部(溝)を形成したりする方法(例えば、特許第6632579号公報に記載の方法)を例示できる。凹部はシート10を貫通する貫通孔であってもよい。これらの場合にも、凹凸の陰影により、使用者が表示40を視認できる。
【0089】
図9A~
図9Dを用いて、ウェブ10Wを搬送しながら加工することにより凹部による表示40が形成されるシート10の製造方法(製造装置)について簡単に説明する。
図9Aは、表示40を形成する装置50の模式図である。装置50は、第1のサクションドラム51と、第2のサクションドラム52と、水供給装置53と、第1の水流ノズル装置54と、第2の水流ノズル装置55とを有する。ウェブ製造装置(不図示)で製造されたウェブ10Wが、装置50に搬送される。ウェブ10Wとは、繊維同士を交絡させるための交絡処理が行われていない繊維積層体である。繊維積層体の製法は、エアレイド法やスパンボンド法等の周知の方法、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0090】
まず、ウェブ10Wは、第1のサクションドラム51の外周面に巻き掛けられ、吸着しながら搬送される。第1のサクションドラム51の外周面51a(第1の支持体)には、
図9Cに示すように、液体や気体が通過可能な吸引孔51a1を有する基材の上に、表示40の形状に応じた凹凸パターン(凸部51a2)が設けられている。第1のサクションドラム51の外周面51aに対向して、水供給装置53と、その下流側に第1の水流ノズル装置54が設けられている。水供給装置53がウェブ10Wに水を供給し、第1のサクションドラム51の吸引によりウェブ10W内の水が脱水されることで、ウェブ10Wの厚さが薄くなり、繊維密度が高まる(4~8×10
-2g/cm
3程度)。そうすることで、下流にて第1の水流ノズル装置54から噴射される水流の衝撃でウェブ10Wの繊維が飛散して地合が乱れてしまうことを防止できる。なお、水供給装置53は、単にウェブ10Wに水を含ませるための装置であり、ウェブ10Wの繊維を交絡させる程の高圧では水を供給しない。
【0091】
次に、第1の水流ノズル装置54が、ウェブ10Wに対して高圧の水を噴射することにより、ウェブ10Wの繊維同士を交絡させつつ、第1のサクションドラム51の凹凸パターンがウェブ10Wに転写され、表示40が形成された半製品ウェブ10Pが形成される。水流により、ウェブ10Wが凹凸パターンに押し付けられつつ、凹凸パターンの凸部51a2に位置していた繊維の一部が凹部に移動し、表示40に対応する部位の繊維の坪量が低減する。
図9Aの装置50では、第1の水流ノズル装置54は、2つのノズルユニット541,542を搬送方向に間隔を空けて有し、段階的に水流の噴射圧を上げる。そうすることで、上流側では、急激な高圧水流によるウェブ10Wの繊維飛散を防止でき、繊維を繊細に移動させることができ、下流側では、高圧水流によりウェブ10Wを凹凸パターンに隙間なく押し付けることができ、視認性の高い表示40を形成できる。しかし、これに限らず、第1の水流ノズル装置54は1つのノズルユニットから構成されてもよい。
図9Bは、2つのノズルユニット541,542の一方を代表して示す図である。ノズルユニット541,542の下面(ウェブ10Wとの対向面)では、水を噴射する複数のノズル54aが、搬送方向に直交するCD方向に、ウェブ10のCD方向の長さ以上に亘り並んでいる。よって、ウェブ10は、CD方向の全幅に亘り第1の水流ノズル装置54からの水流を受ける。こうして、表示40に対応した凹部(低坪量部)が形成された半製品ウェブ10Pが形成される。このように、ウェブ10Wの繊維を交絡しながら凹凸パターンを転写することで、凹凸パターンに応じてウェブ10Wの繊維が移動しやすく、凹凸パターン(表示40)の視認性が向上する。また、第1の水流ノズル装置54の水流の圧力を小さくでき、生産効率が向上する。
【0092】
次に、半製品ウェブ10Pは、第2のサクションドラム52の外周面に巻き掛けられ、吸着しながら搬送される。第2のサクションドラム52の外周面52a(第2の支持体)は、吸引孔を有する基材から構成され、凹凸パターンは設けられていない。第2のサクションドラム52の外周面52aに対向して、第2の水流ノズル装置55が設けられている。半製品ウェブ10Pは、第1のサクションドラム51にてウェブ10Wが巻き掛けられていた時の内側面10Wbが外側を向くように、第2のサクションドラム52に巻き掛けられる。よって、第1の水流ノズル装置54から水流を受けるウェブの面10Waと、第2の水流ノズル装置55から水流を受ける半製品ウェブの面10Pb(10Wb)は、反対側の面となる。また、半製品ウェブ10Pは、
図9Dに示すように、表示40(凹凸パターン)が存在する凹凸パターン存在領域Rpと、表示40が存在しない非存在領域Rnとを有する。第2の水流ノズル装置55は、半製品ウェブ10Pの非存在領域Rnに、水を高圧で噴射し、繊維同士を更に交絡させる。そのために、
図9Dに示すように、第2の水流ノズル装置55の下面のうち存在領域Rpに対向する部位にはノズル55aを設けないか、或いは、存在領域Rpに対向するノズル55aからの水の噴射を停止するとよい。これにより、表示40(凹凸パターン)の形状が保たれつつ、繊維同士の交絡が進み、半製品ウェブ10Pの強度を高められる。なお、第1の水流ノズル装置54と第2の水流ノズル装置55は、ウェブ10Wの異なる面に水流を噴射するため、ウェブ10Wの両面の繊維が交絡しやすいが、同じ面に水流を噴射してもよい。
【0093】
その後、半製品ウェブ10Pは、不図示の脱水工程や乾燥工程(繊維の熱融着工程)等を経て、表示40(凹凸パターン)が形成されたシート10の連続体が完成し、製品サイズ毎にカットされシート10が製造される。このように水流噴射で表示40を形成した場合、例えば印刷インク等の添加物を用いて表示40を形成する場合に比べ、使用者はシート10を安心して使用できる。また例えば圧搾溝(高剛性部)により表示40を形成する場合に比べて、シート10の柔軟性が確保され、拭き心地が良好となる。特に本実施形態のシート10は、使用者と対象者が異なり、比較的に肌の弱い対象者(乳幼児、愛玩動物、老人等)を清拭する際に使用される為、安心して使用でき、且つ、柔軟性の良いシート10が有効に適用される。また、表示40が形成されている部位の繊維の坪量が低いので、使用者は、シート10を介して対象者の肌が見え易く、清拭すべき部位を把握し易くなる。
【0094】
一方、印刷によって表示40を形成する場合、表示40は、顔料を含むインクで印刷されていることが好ましい。顔料インクを使用する場合、シート10の繊維表面に顔料が付着するため、染料インクを使用する場合に比べ、表示40が滲み難く、表示40の視認性が高まる。また、ウェットシートであるシート10に染料インクが染み込んだ表示40に比べて、顔料がシート10に定着している表示40の方が、対象者へのインク移りを抑制できる。
【0095】
なお、インクが含む顔料は、無機顔料と有機顔料の何れでもよく、公知の顔料から選択できる。また、染料インクによって、表示40を印刷してもよく、染料は公知の染料から選択できる。また、シート10の表示40を光学顕微鏡等で観察し、顔料の有無を確認することで、表示40が顔料インクで印刷されたことを確認できる。
【0096】
また、印刷によって表示40を形成する場合、表示40は、防腐剤を含有しないインクで印刷されていることが好ましい。具体的には、平成12年9月29日厚生労働省告示第331号において定められた「化粧品基準」の別表第1(ネガティブリスト)に記載の化合物を防腐剤として含有しないインクで表示40が形成されていることが好ましい。
つまり、表示40を印刷するインクは、6―アセトキシ2,4ジメチル―m―ジオキサン、アミノエーテル型の抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン等)以外の抗ヒスタミン、エストラジオール,エストロン又はエチニルエストラジオール以外のホルモン及びその誘導体、塩化ビニルモノマー、塩化メチレン、オキシ塩化ビスマス以外のビスマス化合物、過酸化水素、カドミウム化合物、過ホウ酸ナトリウム、クロロホルム、酢酸プログレノロン、ジクロロフェン、水銀及びその化合物、ストロンチウム化合物、スルファミド及びその誘導体、セレン化合物、ニトロフラン系化合物、ハイドロキノンモノベンジルエーテル、ハロゲン化サリチルアニリド、ビタミンL1及びL2、ビチオノール、ピロカルピン、ピロガロール、フッ素化合物のうち無機化合物、プレグナンジオール、プロカイン等の局所麻酔剤、ヘキサクロロフェン、ホウ酸、ホルマリン、及び、メチルアルコール、の中から選択される防腐剤を含有しないことが好ましい。
【0097】
そうすることで、表示40を形成したインクによって対象者の肌を刺激してしまうことを抑制でき、シート10を安全に使用できる。よって、使用者がシート10を安心して使用できる。ただし、表示40を印刷するインクの成分は上記に限定されることなく、防腐剤を含有するインクであってもよい。
【0098】
また、
図4A及び
図5に示すように、シート10は、袋体20から取り出される取り出し方向を有する。本実施形態では、シート10の長手方向がシート10の取り出し方向に対応する。そして、シート10は、取り出し方向に直交する幅方向に沿う折り部であって、取り出し方向の最も先端側(先に取り出される側)に位置する第1折り部F1を有する。この場合、
図4Aに示すように、表示40の少なくとも一部は、第1折り部F1で折り返されたシート10の部位(折り返し部10F)と(シート10の厚さ方向において)重ならないことが好ましい。より好ましくは、表示40の全部が、シート10の折り返し部10Fと重ならないとよい。
【0099】
本実施形態のように、第1折り部F1でシート10が折り返される側とは反対側の面10bに表示40が形成(特に印刷)されている場合、
図3Cに示すように、シート10が折り返された側の面10aから表示40が透けて視認される。そのため、上記の場合、透けて視認される表示40が、シート10の折り返し部10Fに覆われて見え難くなってしまうことを抑制できる。また、図示しないが、第1折り部F1でシート10が折り返される側の面10aに表示40が形成されている場合も同様に、表示40(印刷面)がシート10の折り返し部10Fに覆われて見え難くなってしまうことを抑制できる。これらの場合、シート10の両面10a,10bから表示40が視認されやすく、使用者が表示40に気付きやすくなる。
【0100】
特に、
図3Aに示すように、シート10が、袋体20の開口部21から第1折り部F1にて折り返されている状態で露出しており、折り返し部10Fが使用者に把持されてシート10が引き出される際にも、表示40が使用者に視認され易くなる。その結果、表示40(文字40c)によって、使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体11の使い終わりが伝わり易くなったりする。また、表示40の全部がシート10の折り返し部10Fに覆われていない場合には、使用者は、折り返し部10Fをめくらずとも、表示40の文字40cを読み易くなる。
【0101】
しかし、上記とは逆に、
図4Bの変形例に示すように、取り出し方向の最も先端側に位置する第1折り部F1で折り返されたシート10の部位(折り返し部10F)と、表示40の全部とが(シート10の厚さ方向において)重なっていてもよい。
【0102】
そうすることで、本実施形態のように第1折り部F1でシート10が折り返される側とは反対側の面10bに表示40が形成されている場合には、シート10が2重に積層されている部位に表示40が設けられる。シート10が積層されている部位では、シート10の後ろ側が透け難く、表示40の視認性が高まる。例えばシート10の色が白色である場合には、白色の濃度が高まる。そのため、周囲のシート10の部位と、表示40との、コントラストが高まり、表示40の視認性が高まる。
【0103】
一方、図示しないが、第1折り部F1でシート10が折り返される側の面10aに表示40が形成されている場合、折り返し部10Fを介して表示40が透けて視認される。そのため、使用者はシート10に何かが記載されていること(表示40)に興味を持ちやすく、シート10の折り返し部10Fがめくられた際に表示40が現れるため、使用者は楽しみながら表示40を読むことができる。
【0104】
なお、本実施形態のシート10(例:シート10B)は、
図3Aに示すように、袋体20内において、先端側の第1折り部f1での折り返し部10Fが、先のシート10(例:シート10A)の第2折り部f2での折り返し部の間に挟まれている。そのため、先のシート10が袋体20から取り出された際に、次のシートは、第1折り部f1の折りが維持された状態で開口部21から露出し易い。この場合、使用者は、2重であり剛性のある折り返し部10Fをしっかりと摘まむことができる。また、シート10の取り出し時に、折り返し部10Fが伸び難いため、シート積層体11からシート10を分離しやすく、取り出しやすくなる。
【0105】
ただし、袋体20内におけるシート10の折り畳み方法は、
図3Aに示すものに限らない。例えば、
図10に示すように、第1折り部f1と第2折り部F2にて、シート10の長手方向の両端部がそれぞれ反対側に折り返されたZ字状の折り畳み方法であってもよい。また、先のシート10の折りの間に、次のシート10の一部が挟み込まれていなくてもよく、その場合、シート10を1枚ずつ取り出しやすくなる。また、シートの1方向に沿う折り部だけでなく、2方向に沿う折り部にて、シートが折り畳まれていてもよい。図示しないが、例えば、シートの幅方向の側部が折り畳まれて、さらに、シートの幅方向に直交する方向に2つ折りされるような折り畳み方法であってもよい。この場合、幅方向の側部の折り部の数は任意であり、折り部が複数ある場合、その折り方向は全てが山折りであっても、全てが谷折りであっても、山折りと谷折りの組み合わせであってもよい。
また、マルチスタンド式の折り加工機を用いる場合には、
図5に示すようにシート10の幅方向に表示40を印刷しやすい。ポケット折り加工機やインターホルダー機を用いる場合には、
図7に示すようにシート10の長手方向に表示40を印刷しやすいが、折り加工機は特に限定されるものではない。好ましくは、シートの流れ方向に並行に表示40を印字することで、生産効率が上がる。
【0106】
また、ここまで、シート10の折り返し部10Fと表示40の位置関係について説明したが、
図2や
図3Aに示すように、袋体20から飛び出しているシート10の飛び出し高さhに基づいて、表示40の位置を決定してもよい。飛び出し高さhとは、先のシート10が袋体20から取り出された際に、袋体20(開口部21)から露出する次のシート10の部位の取り出し方向(ここでは長手方向)の長さである。
飛び出し高さhに対応するシート10の部位に表示40が位置する場合、収容容器30や袋体20から予め露出している部位に表示40が位置することになる。そのため、表示40が使用者に気付かれ易くなる。一方、飛び出し高さhに対応するシート10の部位よりも積層側に表示40が位置する場合、使用者がシート10を袋体20から取り出すことによって表示40が現れるため、意外性があり、使用者はシート10の使用を楽しむことができる。
なお、飛び出し高さhに対応するシート10の部位(すなわち袋体20から露出しているシート10の部位)とは、
図3Aに示すシート積層体11のように、シート10の先端部が折り返されている状態で露出する場合には、折返し部10Fの先端(第1折り部f1)から長手方向の内側に長さhまでのシート10の部位(
図5参照)となる。一方、
図10に示すシート積層体11のように、シート10の先端部が折り返されない状態で露出する場合には、シート10の取り出し方向の先端から長手方向の内側に長さhまでのシート10の部位が、飛び出し高さhに対応するシート10の部位となる。
【0107】
また、本実施形態のシート10では、表示40が有する文字40cが、シート10の幅方向に並んでいる。この場合、
図5に示すように、言葉(例:まいにちおつかれさま)を構成する文字40cの幅方向の全体長さW2は、シート10の幅方向の長さW1以下であるとよい(W2≦W1)。そうすることで、シート10の幅方向の範囲内に、言葉の全てを収めることができ、表示40を見た使用者に、言葉の意味が伝わりやすくなる。その結果、使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体11の使い終わりが伝わり易くなったりする。
【0108】
さらに、言葉を構成する文字40cの幅方向の全体長さW2を、幅方向におけるシート10の1/2の長さ(W1/2)以下にしてもよい(W2≦W1/2)。そうすることで、言葉を構成する文字40cの全体長さW2がシート10の1/2の長さよりも長い場合に比べて、シート10の幅方向の範囲内に、言葉の全てがより収まり易くなる。特に、
図8にて説明したシート10の製造方法のように、シートの連続体10’における表示40(文字40c)の位置に関係なく、シートの連続体10’を切断する場合であっても、シート10に言葉の全てが収まりやすくなる。また、言葉を短くすることで、おむつ交換で慌ただしい使用者でも直ぐに文字40cを読むことができ、使用者を煩わせることなく、言葉を使用者に伝えられる。
【0109】
また、シート10は、袋体20から取り出される取り出し方向(ここではシート10の長手方向)を有するが、
図4Aに示すように、取り出し方向におけるシート10の先端側と、表示40が有する文字40cの上側とが一致していることが好ましい。そうすることで、使用者が、シート10の先端部を把持してシート10を袋体20から取り出した時に、文字40cの上下方向の向きが正しい状態となっているため、使用者が文字40cを読み易くなる。換言すると、使用者が文字40cを読むために、シート10の向きを変える必要がなくなる。
【0110】
また、
図4Aに例示する表示40では、表示40が有する文字40cが、シート10の取り出し方向と直交する方向(ここではシート10の幅方向であり短手方向)に並んでいる。この場合、袋体20からシート10を取り出す際に、文字40cが設けられているシート10の部位が概ね同じタイミングで現れるので、使用者は、直ぐに文字40cを読むことができ、読み易い。
【0111】
しかし、上記に限らず、
図7に示す変形例のように、表示40が有する文字40cは、シート10の取り出し方向(ここではシート10の長手方向)に並んでいてもよい。そうすることで、使用者が袋体20からシート10を取り出す際に文字40cが徐々に現れるため、文字40cは、使用者に興味を持たれ易く、着目され易くなる。また、使用者は、楽しみながら袋体20からシート10を取り出すことができる。なお、文字40cは、
図7に示すように、シート10の幅方向の中央部に設けられていることが好ましい。そうすることで、使用者に文字40cが着目され易くなるが、文字40cの配置位置は特に限定されるものではない。
【0112】
===第2実施形態===
図11A及び
図11Bは、第2実施形態のシート包装体1に収容されるシート10の組み合わせを説明する図である。第1実施形態では、シート積層体11において最後からN枚目の1枚のシート10に表示40が設けられるが、第2実施形態では、シート積層体11が有する複数枚のシート10に表示40が設けられる。なお、シート積層体11が有する一部のシート10に表示40が設けられていてもよいし、シート積層体11が有する全てのシート10に表示40が設けられていてもよい。また、表示40の形成方法としては、前述したように、印刷による形成方法(シート10の色と異なる色や色の濃度が異なる表示40を設ける方法)と、凹凸による形成方法等が挙げられるが、複数枚のシート10にそれぞれ設けられている表示40の形成方法は、同じ形成方法であってもよいし、異なる形成方法であってもよい。また、表示40を有するシート10の全ての表示40が同じ(例えば
図4Aに示す「まいにちおつかれさま」)であってもよい。しかし、好ましくは、シート積層体11が、以下の2つの形態の少なくとも一方を満たすとよい。
【0113】
1つ目は、シート積層体11が、4種類の表示(第1表示41~第4表示44)のうち異なる種類の表示40を各々有する複数枚のシート10を備える形態である。例えば、シート積層体11が、
図11Aに示すように、第4表示44(例:いつもありがとう)を有するシート10と、第1表示41(例:そろそろなくなるよ~)を有するシート10を備えるとよい。なお、第1表示41は、シート10の残りが少なくなった段階で取り出されるシート10に設けるとよく、他の第2表示42~第4表示44は何れのシート10に設けてもよい。
【0114】
2つ目は、シート積層体11が、4種類の表示(41~44)のうち同じ種類の表示であって、言葉が異なる表示を、各々有する複数枚のシート10を備える形態である。例えば、シート積層体11が、
図11Bに示すように、第2表示42である「かわいいおしり きれいになった?」という文字40c(言葉)を有するシート10と、同じ第2表示42であるが「いっぱいたべて、いっぱい出たね~」という異なる文字40c(言葉)を有するシート10を備えるとよい。
【0115】
このように、シート積層体11の中の複数枚のシート10が、異なる種類の表示40や言葉の異なる表示40を各々備えるとよい。そうすることで、使用者は、シート10の表示40に飽き難く、表示40を有するシート10を袋体20から取り出す度に、表示40を楽しむことができる。よって、シート10の使用時のネガティブな感情を表示40によって和らげることができる。
【0116】
===第3実施形態===
図12A~
図12Cは、第3実施形態のシート包装体1に収容されるシート10の組み合わせを説明する図である。第3実施形態も第2実施形態と同様に、シート積層体11が有する複数(一部又は全部)のシート10に表示40が設けられている。第3実施形態のシート積層体11は、異なる色で印刷された表示40が設けられた複数枚のシート10を備え、以下の3つの形態のうちの少なくとも何れか1つを満たすとよい。
【0117】
1つ目は、シート積層体11が、4種類の表示(41~44)のうち異なる種類の表示が各々異なる色で印刷されている複数枚のシート10を備える形態である。例えば、
図12Aに示すように、「第1の色」で印刷された第4表示44(例:いつもありがとう)を有するシート10と、「第2の色」で印刷された第1表示41(例:そろそろなくなるよ)を有するシート10を備えるとよい。
【0118】
2つ目は、シート積層体11が、4種類の表示(41~44)のうち同じ種類の表示40であって、言葉が異なる表示40が、各々異なる色で印刷されている複数枚のシート10を備える形態である。例えば、
図12Bに示すように、第1表示41であるが「あと5まい」という「第1の色」の文字40cを有するシート10と、同じ第1表示41であるが「そろそろなくなるよ」という「第2の色」の文字40cを有するシート10を備えるとよい。
【0119】
3つ目は、シート積層体11は、4種類の表示(41~44)のうち同じ種類の表示40であって、言葉も同じである表示40が、各々異なる色で印刷されている複数枚のシート10を備える形態である。例えば、
図12Cに示すように、第4表示44であり「ありがとう」という「第1の色」の文字40cを有するシート10と、第4表示44であり「ありがとう」という「第2の色」の文字40cを有するシート10を備えるとよい。
【0120】
このように、シート積層体11の中の複数枚のシート10が、異なる色の表示40を各々備えるとよい。そうすることで、表示40の印象が変わり、使用者は、シート10の表示40に飽き難く、表示40を有するシート10を袋体20から取り出す度に、表示40を楽しむことができる。よって、シート10の使用時のネガティブな感情を表示40によって和らげることができる。なお、1つの表示40が、2色以上の色で印刷されてもよく、その場合、シート10によって、表示40を印刷する色の組み合わせを異ならせるとよい。
【0121】
その他、シート10の残り枚数に応じて表示40の色を異ならせてもよい。例えば、最後から10枚目のシート10の表示40を青色にし、最後から5枚目のシート10の表示40を赤色にしてもよい。好ましくは、複数の包装体1において、シート10の残数に応じた色の関係を同じにすることで、シート10の色とシート10の残数の関係を使用者に刷り込むことができる。よって、使用者は、シート10の表示40の色によって、シート10の残数を段階的に直ぐに知ることができる。
【0122】
なお、表示40の色が異なるとは、目視によって色の違いが認識できる場合に色が異なると判断してもよいし、色差計を利用して、対象の表示40の色差を測定して判断してもよい。なお、色差の測定は、汎用の色差計(例えば、コニカミノルタ社製のCR-300、又はそれと同等のもの)を利用し、20度の恒温室で測定する(第4実施形態の色差に関しても同様に測定する)。具体的な色差は、対象となる2つの色が離れて位置する場合にも区別がつく程度以上の色差となるように、各シート10の表示40の色を異ならせるとよい。具体的には、JIS規格又は各種の工業会で一般的に使用されている許容差の等級に基づいて、例えば、CIE1976に準拠したL*a*b*色空間内における色差式にて算出される色差(ΔE76)が、3.2以上である場合、好ましくは6.5以上である場合、より好ましくは13.0以上である場合、さらに好ましくは25.0以上である場合に、色が異なるとするとよい。
【0123】
===第4実施形態===
図13A及び
図13Bは、第4実施形態のシート包装体1に収容されるシート10の説明図である。第4実施形態のシート積層体11は、染色された部位を有し、かつ、表示40を有するシート10を備える。そのようなシート10を、シート積層体11は1枚有するだけでもよいし、複数枚有してもよい。なお、
図13Aに示すように、シート10の全面を染色してもよいし、シート10の一部分を染色してもよい。シート10の染色には、公知の顔料や染料、又はその組み合わせを使用できる。また、シート10が備える「染色された部位」とは、シート10の不織布部分が染色された部位に限らず、シート10の不織布部分に縫い込まれた染色された糸(例えば青糸等)であってもよい。つまり、染色された糸と表示40によって、使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体11の使い終わりを伝えたりしてもよい。
【0124】
染色されたシート10によって表示40の印象を変えることができ、シート10のデザイン性が向上するため、使用者を楽しませることができる。よって、使用者のネガティブな感情を和げることができる。なお、シート10を染色する色と、表示40の色は、異なる色であってもよいし、濃度の異なる同色であってもよい。シート10の色と表示40の色の色差は、対象となる2つの色が隣接して位置する場合にも区別がつく程度以上の色差であるとよい。具体的には、JIS規格又は各種の工業会で一般的に使用されている許容差の等級に基づいて、例えば、CIE1976に準拠したL*a*b*色空間内における色差式にて算出される色差(ΔE76)が、0.8以上であり、好ましくは1.6以上であり、より好ましくは3.2以上であり、より好ましくは6.5以上であり、より好ましくは13.0以上であり、さらに好ましくは25.0以上であるとよい。
【0125】
また、シート積層体11が有する他のシート10が染色されていない場合、染色されたシート10は目立ち易く、シート10に設けられた表示40が使用者に着目され易くなる。その結果、表示40(文字40c)によって、使用者のネガティブな感情を和らげたり、シート積層体11の使い終わりが伝わり易くなったりする。
【0126】
さらに、
図13A及び
図13Bに示すように、シート積層体10は、表示40を有する複数のシート10であって、各々の染色された色が異なるシート10を備えてもよい。そうすることで、使用者は、シート10の表示40や染色されたシート10の色に飽き難く、染色されたシート10を楽しむことができる。よって、使用者のネガティブな感情を和らげることができる。
【0127】
また、
図13A及び
図13Bに示すように、シート10の残り枚数に応じてシート10を染色する色を異ならせてもよい。好ましくは、複数の包装体1において、シート10の残数に応じたシート10の染色された色の関係を同じにすることで、シート10の色とシート10の残数の関係を使用者に刷り込むことができる。そうすることで、使用者は、シート10の染色された色によって、シート10の残数を段階的に直ぐに知ることができる。なお、各シート10の染色された色の色差は、対象となる2つの色が離れて位置する場合にも区別がつく程度以上の色差であるとよい。具体的には、JIS規格又は各種の工業会で一般的に使用されている許容差の等級に基づいて、例えば、CIE1976に準拠したL
*a
*b
*色空間内における色差式にて算出される色差(ΔE76)が、3.2以上である場合、好ましくは6.5以上である場合、より好ましくは13.0以上である場合、さらに好ましくは25.0以上である場合に、色が異なるとするとよい。
【0128】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでもない。
【0129】
例えば、前述の実施形態では、シート積層体11として、複数枚のシート10が積層されたものを例示したが、これに限らず、シートがロール状に積層されたシート積層体であってもよい。ロールタイプのシートは、連続するシートにミシン目が設けられており、使用者がシートを袋体や収容容器から取り出す際に、連続するシートの一部が分離される。このようなロールタイプのシート積層体にも、文字40cを有する表示40を設けることで、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0130】
1 シート包装体、
10 シート、
11 シート積層体、
20 袋体、
21 開口部、22 シール部材、
30 収容容器、
31 本体部、311 上蓋部、312 開口部。
32 底蓋部、
40 表示、
40c 文字、40p 図柄、
41 第1表示、
42 第2表示、
43 第3表示、
44 第4表示、
51 第1のサクションドラム、
52 第2のサクションドラム、
53 水供給装置、
54 第1の水流ノズル装置、
55 第2の水流ノズル装置、