(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022214
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】温度調整部材及び温度調整部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240208BHJP
H05B 3/74 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H05B3/74
H01L21/68 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125635
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 渓太
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 駿
【テーマコード(参考)】
3K092
5F131
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA03
3K092QA05
3K092QB02
3K092QB43
3K092RF03
3K092RF11
3K092RF19
3K092RF27
3K092VV21
5F131AA02
5F131BB03
5F131CA03
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA04
5F131EB11
5F131EB14
5F131EB15
5F131EB16
5F131EB17
5F131EB18
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】温度調整の対象物が取り付けられる面の温度分布の安定性を向上することができる温度調整部材及び温度調整部材の製造方法を提供する。
【解決手段】温度調整部材は、基体と、発熱体を内蔵し、前記発熱体の一部が露出する開口部が形成された絶縁体基板と、前記開口部を通じて前記発熱体に接続された電線と、前記基体と前記絶縁体基板とを接着する接着層と、を有し、前記基体には、前記開口部につながり、前記電線が通る貫通穴が形成されており、前記接着層は、前記基体と前記絶縁体基板との間の第1部分と、前記貫通穴を充填する第2部分と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
発熱体を内蔵し、前記発熱体の一部が露出する開口部が形成された絶縁体基板と、
前記開口部を通じて前記発熱体に接続された電線と、
前記基体と前記絶縁体基板とを接着する接着層と、
を有し、
前記基体には、前記開口部につながり、前記電線が通る貫通穴が形成されており、
前記接着層は、
前記基体と前記絶縁体基板との間の第1部分と、
前記貫通穴を充填する第2部分と、
を有することを特徴とする温度調整部材。
【請求項2】
前記絶縁体基板は、セラミック焼結体を含むことを特徴とする請求項1に記載の温度調整部材。
【請求項3】
前記第1部分と前記絶縁体基板との間に位置する第1接着補助層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の温度調整部材。
【請求項4】
前記第1部分と前記基体との間に位置する第2接着補助層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の温度調整部材。
【請求項5】
前記基体は、冷媒が流れる流路を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の温度調整部材。
【請求項6】
発熱体を内蔵し、前記発熱体の一部が露出する開口部が形成された絶縁体基板を準備する工程と、
前記開口部を通じて前記発熱体に電線を接続する工程と、
前記開口部につながり、前記電線が通る貫通穴が形成された基体を準備する工程と、
第1接着剤により、前記基体と前記絶縁体基板とを接着する工程と、
第2接着剤を前記貫通穴に充填する工程と、
前記第1接着剤及び前記第2接着剤を硬化させる工程と、
を有することを特徴とする温度調整部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温度調整部材及び温度調整部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハ等の基板の温度を調整する温度調整部材では、絶縁体基板と基体とが接着剤を用いて貼り合わされている。絶縁体基板は、基板を加熱するための発熱体を内蔵し、絶縁体基板には、発熱体につながる開口部が形成されている。そして、発熱体に接続された電線が開口部内に設けられている。また、基体には、発熱体の開口部につながる貫通穴が形成されており、電線は貫通穴を通っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-133401号公報
【特許文献2】特開2019-156648号公報
【特許文献3】特許第3993408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の温度調整部材では、複数の温度調整部材の間で、温度調整の対象物が取り付けられる面(以下、「取付面」ということがある)の使用時の温度分布に相違が生じることがある。また、取付面の使用時の温度分布が、予め定められた範囲から外れることもある。
【0005】
本開示は、温度調整の対象物が取り付けられる面の温度分布の安定性を向上することができる温度調整部材及び温度調整部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、基体と、発熱体を内蔵し、前記発熱体の一部が露出する開口部が形成された絶縁体基板と、前記開口部を通じて前記発熱体に接続された電線と、前記基体と前記絶縁体基板とを接着する接着層と、を有し、前記基体には、前記開口部につながり、前記電線が通る貫通穴が形成されており、前記接着層は、前記基体と前記絶縁体基板との間の第1部分と、前記貫通穴を充填する第2部分と、を有する温度調整部材が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、温度調整の対象物が取り付けられる面の温度分布の安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る温度調整部材を例示する断面図である。
【
図2】実施形態に係る温度調整部材の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図3】実施形態に係る温度調整部材の製造方法を例示する断面図(その1)である。
【
図4】実施形態に係る温度調整部材の製造方法を例示する断面図(その2)である。
【
図5】実施形態に係る温度調整部材の製造方法を例示する断面図(その3)である。
【
図6】実施形態に係る温度調整部材の製造方法を例示する断面図(その4)である。
【
図7】実施形態に係る温度調整部材の製造方法を例示する断面図(その5)である。
【
図8】実施形態に係る温度調整部材の製造方法を例示する断面図(その6)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明者らは、従来の温度調整部材において、使用時の取付面の温度分布に相違が生じる原因を究明すべく鋭意検討を行った。この結果、絶縁体基板と基体との接着の際に接着剤が基体の貫通穴に流れ込むが、その量にばらつきがあることが明らかになった。例えば、複数の温度調整部材の間で、貫通穴に流れ込んだ接着剤の量が相違することがある。また、一つの温度調整部材に複数の貫通穴が設けられている場合には、これら複数の貫通穴の間で、流れ込んだ接着剤の量が相違することがある。例えば、基体の厚さが約40mmであり、同一の条件で温度調整部材を製造する場合であっても、基体の絶縁体基板とは反対側の面(下面)から5mm程度の位置まで接着剤が流れ込むこともあり、30mm程度の位置まで接着剤が流れ込むこともある。そして、このような接着剤の流れ込み量の相違は、熱伝導率の相違につながり、使用時の取付面の温度分布に相違が生じるのである。
【0010】
貫通穴に流れ込んだ接着剤を除去するとしても、基体と絶縁体基板との間に接着剤を残しながら貫通穴の接着剤を完全に除去することは困難であり、貫通穴内に不可避的に接着剤が残存する。そして、不可避的に残存する接着剤の量を安定させることは困難であり、熱伝導率の相違が生じてしまう。
【0011】
本開示は、このような知見に基づきなされたものであって、接着剤の流れ込み量の相違があっても、取付面の温度分布の安定性を向上する。
【0012】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0013】
本実施形態は温度調整部材に関する。
図1は、実施形態に係る温度調整部材を例示する断面図である。
【0014】
図1に示すように、実施形態に係る温度調整部材1は、主要な構成要素として、基体10と、第2接着補助層52と、接着層20と、第1接着補助層51と、絶縁体基板30と、電線40とを有する。
【0015】
なお、本実施形態では、便宜上、基体10から視て絶縁体基板30が位置する側を上側又は一方の側、絶縁体基板30から視て基体10が位置する側を下側又は他方の側とする。また、各部位の絶縁体基板30側の面を上面又は一方の面、基体10側の面を下面又は他方の面とする。
【0016】
絶縁体基板30は、例えば円板状の形状を有する。絶縁体基板30の上面30Aに、温度を調整する対象物が取り付けられる。絶縁体基板30はセラミック焼結体又はガラス等の絶縁体を含む。セラミック焼結体の材料としては、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)及び窒化アルミニウム(AlN)が挙げられる。例えば、絶縁体基板30の厚さは1mm~10mm程度であり、絶縁体基板30の比誘電率は1kHzの周波数で9~10程度である。絶縁体基板30は発熱体として機能する導電性パターン31を内蔵する。導電性パターン31は金属粒子の焼結体又は金属箔を含む。導電性パターン31に電流を流すと、導電性パターン31が発熱する。導電性パターン31が発熱することで、絶縁体基板30の上面30Aに取り付けられた基板等の対象物を加熱することができる。導電性パターン31の絶縁体基板30内の位置は特に限定されない。絶縁体基板30は1つ以上の導電性パターン31を内蔵することができる。絶縁体基板30が、物体を静電吸着するための静電電極として機能する静電吸着パターンを含んでもよく、高周波電圧を印加してプラズマを引き寄せるパターンを含んでもよい。絶縁体基板30が他の種々のパターンを含んでもよい。絶縁体基板30が静電吸着パターンを含む場合、温度調整部材1は静電チャックとして使用することができる。
【0017】
絶縁体基板30には、導電性パターン31の一部が露出する開口部32が形成されている。電線40は、導体41と、絶縁性の被覆42とを有する。導体41は、金属等の電気抵抗率が低い材料からなる。導体41は、例えば単線又は撚線を有する。導体41の外周面が被覆42により覆われている。導体41の一方の端部が導電性接合材43により導電性パターン31に接続されている。導電性接合材43は、例えば、金属ろう、はんだ又は導電性接着剤である。導体41と導電性パターン31との間に、導電性接合材43に加えて電極部材が含まれてもよい。
【0018】
基体10は、例えば円板状の形状を有する。基体10はアルミニウム等の金属又はセラミック焼結体を含む。基体10の厚さは、例えば、20mm~50mm程度である。基体10には冷却媒が流れる流路11が形成されている。冷却媒用の流路11の基体10内の位置は特に限定されない。基体10には1つ以上の流路11が形成されていてよい。流路11に冷却媒を循環させ基体10を冷却することで、絶縁体基板30の上面30Aに取り付けられた基板等の対象物を冷却することができる。基体10には、開口部32につながり、電線40が通る貫通穴12が形成されている。
【0019】
接着層20は基体10と絶縁体基板30とを接着している。接着層20は、例えば高分子化合物を含む。接着層20が高分子化合物から構成されてもよい。接着層20の材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリイミド樹脂が挙げられる。これらの複合材料が、接着層20に用いられてもよい。また、接着層20にフィラーが含まれていてもよい。フィラーの材料としては、例えば、シリカ、アルミナ及び窒化アルミニウムが挙げられる。
【0020】
接着層20は、基体10と絶縁体基板30との間の第1部分21と、貫通穴12を充填する第2部分22とを有する。例えば、基体10の下面10Aと、第2部分22の下面22Aとは面一である。なお、本開示において、第2部分22が貫通穴12を充填した状態は、第2部分22が貫通穴12の全体を過不足なく充填した状態のみを意味するのではない。貫通穴12内の第2部分22の体積が、貫通穴12内の電線40の体積を除いた貫通穴12の容積(以下、「貫通穴12の実質容積」ということがある)の90%以上100%未満である状態も、第2部分22が貫通穴12を充填した状態に含まれる。また、第2部分22の体積が貫通穴12の実質容積の100%超110%以下となる範囲で第2部分22の一部が貫通穴12からはみ出た状態も、第2部分22が貫通穴12を充填した状態に含まれる。好ましくは、第2部分22の体積は貫通穴12の実質容積の95%以上105%以下である。
【0021】
第1接着補助層51は、接着層20の第1部分21と絶縁体基板30との間に位置する。第1接着補助層51は、例えば表面改質剤又はカップリング剤を含む。表面改質剤は、絶縁体基板30の表面を、接着層20を構成する接着剤と相互作用しやすくする。第1接着補助層51が樹脂を含んでいてもよい。第1接着補助層51は絶縁体基板30と基体10との間の接着強度を強くする。
【0022】
第2接着補助層52は、接着層20の第1部分21と基体10との間に位置する。第2接着補助層52は、例えば表面改質剤又はカップリング剤を含む。表面改質剤は、基体10の表面を、接着層20を構成する接着剤と相互作用しやすくする。第2接着補助層52が樹脂を含んでいてもよい。第2接着補助層52は絶縁体基板30と基体10との間の接着強度を強くする。
【0023】
温度調整部材1は、このような構成を備えている。
【0024】
次に、実施形態に係る温度調整部材1の製造方法について説明する。
図2は、実施形態に係る温度調整部材1の製造方法を例示するフローチャートである。
図3~
図8は、実施形態に係る温度調整部材1の製造方法を例示する断面図である。
【0025】
まず、
図3に示すように、発熱体として機能する導電性パターン31を内蔵し、導電性パターン31の一部が露出する開口部32が形成された絶縁体基板30を準備する(ステップS1)。次いで、第1接着補助層51を絶縁体基板30の開口部32が形成されている面に形成する(ステップS2)。次いで、開口部32を通じて導電性パターン31に電線40を接続する(ステップS3)。電線40は、例えば導電性接合材43を用いて導電性パターン31に接続する。なお、電線40を導電性パターン31に接続した後に第1接着補助層51を形成してもよい。
【0026】
また、別途、
図4に示すように、開口部32につながり、電線40が通る貫通穴12が形成された基体10を準備する(ステップS4)。次いで、基体10の絶縁体基板30に接着する面に第2接着補助層52を形成する(ステップS5)。次いで、第2接着補助層52上に液状の第1接着剤61を設ける(ステップS6)。第1接着剤61の量は、基体10と絶縁体基板30との間の距離が予め定められた距離である場合の基体10と絶縁体基板30との間の空間の容積よりも大きくする。
【0027】
その後、
図5に示すように、第1接着剤61を間に挟み、電線40が貫通穴12を通るようにして基体10と絶縁体基板30とを貼り合わせる(ステップS7)。
【0028】
次いで、
図6に示すように、基体10を絶縁体基板30に押し付けることで、基体10と絶縁体基板30との間の距離を予め定められた距離にする。つまり、基体10と絶縁体基板30との間の距離を調整する(ステップS8)。この時、第1接着剤61の一部は基体10と絶縁体基板30との間に留まり、他の一部は貫通穴12に流れ出す。なお、基体10を絶縁体基板30に押し付ける際には、例えば、絶縁体基板30の上面となる面が鉛直下方を向くようにして基体10及び絶縁体基板30を含む積層体を定盤等の支持部材2の上に載置し、基体10を鉛直上方から絶縁体基板30に向けて加圧する。
【0029】
次いで、
図7に示すように、貫通穴12に第2接着剤62を充填する(ステップS9)。例えば、第2接着剤62は第1接着剤61と同種の接着剤である。第2接着剤62の充填では、例えば、第2接着剤62をシリンジに詰め、ニードルを通じて貫通穴12内に第2接着剤62を注入する。なお、貫通穴12が第1接着剤61により充填されている場合には、第2接着剤62の充填は省略してよい。
【0030】
次いで、
図8に示すように、第1接着剤61及び第2接着剤62を硬化させる(ステップS10)。第1接着剤61及び第2接着剤62は、例えば加熱炉等を使用して硬化させる。この結果、第1部分21及び第2部分22を備えた接着層20が形成される。貫通穴12から第2部分22が過剰にはみ出している場合には、第2部分22の下面22Aが基体10の下面10Aと面一になるようにはみ出している部分を除去する。ただし、下面22Aが下面10Aと完全に面一になる必要はなく、第2部分22の体積が貫通穴12の実質容積の90%以上110%以下となればよい。
【0031】
このようにして、実施形態に係る温度調整部材1を製造することができる。
【0032】
温度調整部材1においては、接着層20の第2部分22が基体10の貫通穴12を充填する。このため、貫通穴12内の接着層20の量が安定し、貫通穴12内の熱伝導率が安定する。従って、対象物が取り付けられる面である絶縁体基板30の上面30Aの温度分布の安定性を向上することができる。
【0033】
また、貫通穴12内の熱伝導率が安定するため、導電性パターン31や流路11の設計を変更する場合に、設計変更後の温度分布をシミュレーションしやすい。
【0034】
なお、温度調整部材1が第1接着補助層51及び第2接着補助層52の一方又は両方を含まなくてもよい。
【0035】
基体10、第2接着補助層52、接着層20、第1接着補助層51及び絶縁体基板30に、対象物に吹き付けるガス、例えば不活性ガスが流れる流路が形成されていてもよい。
【0036】
ここで、本願発明者らが行ったシミュレーションについて説明する。このシミュレーションでは、実施形態に係る温度調整部材1から、貫通穴12内の接着層20の量を変化させた場合の、絶縁体基板30の上面30Aの温度分布の変化を計算した。具体的には、基体10の厚さが約40mm、絶縁体基板30の厚さが約7.0mm、接着層20の第1部分21の厚さが約0.2mmであるとした。貫通穴12内の接着層20の量は5条件で変化させ、第2部分22の下面22Aと基体10の下面10Aとの間の距離で表すこととした。また、流路11に流す冷媒の温度が20℃とした。
【0037】
そして、貫通穴12内の接着層20の量の条件毎に、絶縁体基板30の上面30Aの平均温度が60℃となるように導電性パターン31に流す電流を調整した場合の、上面30A内で貫通穴12に直近の位置における温度を計算した。この結果を
図9に示す。
図9は、シミュレーションの結果を示す図である。
図9の横軸は、下面22Aと下面10Aとの間の距離を示す。
図9の縦軸は、貫通穴12内に接着層20が存在しない条件での温度を基準としたときに、他の条件での温度がどれだけ低いか(温度差)を示す。
【0038】
図9に示すように、貫通穴12内の接着層20の量に応じて、上面30A内で貫通穴12に直近の位置における温度が相違する。また、貫通穴12内の接着層20の量が少ない場合ほど、貫通穴12内の接着層20の量の変化に対する温度差の変化が大きい。そして、例えば下面22Aと下面10Aとの間の距離が10mm~30mmの範囲で変化した場合には、0.04℃もの温度差が生じるのに対し、距離が0mm~10mmの範囲で変化した場合の温度差は0.01℃ですむ。
【0039】
このことは、第2部分22により貫通穴12が充填されていることで、上面30A内で貫通穴12に直近の位置における温度のばらつきが抑制され、上面30Aの温度分布の安定性を向上できることを示している。また、第2部分22の体積が貫通穴12の実質容積の90%以上110%以下であれば、下面22Aと下面10Aとが完全に面一でなくても、安定した温度分布を得られるといえる。
【0040】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 温度調整部材
10 基体
10A 下面
12 貫通穴
20 接着層
21 第1部分
22 第2部分
22A 下面
30 絶縁体基板
30A 上面
31 導電性パターン
32 開口部
40 電線
51 第1接着補助層
52 第2接着補助層
61 第1接着剤
62 第2接着剤