(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022648
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】化学分析装置
(51)【国際特許分類】
B01D 61/00 20060101AFI20240208BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20240208BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20240208BHJP
G01N 35/00 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
B01D61/00
B01D63/02
B01D63/00 500
G01N35/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206387
(22)【出願日】2023-12-06
(62)【分割の表示】P 2022079638の分割
【原出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 篤生
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 洋平
(72)【発明者】
【氏名】大井 和美
(57)【要約】
【課題】長時間の連続使用でも本来の良好な脱気性能を維持可能な中空糸脱気モジュールを具備した化学分析装置を提供する。
【解決手段】中空糸脱気モジュール20Aは、筐体210と、該筐体の内部空間S1に配置された中空糸膜220とを有する。筐体210は、筐体210の外部と中空糸膜220の内部空間S2とを接続し、筐体210の外部から中空糸膜220の内部空間S2に恒温水W1を供給するための液体供給部216Aと、中空糸膜220の内部空間S2と筐体210の外部とを接続し、中空糸膜220の内部空間S2から筐体210の外部に脱気された恒温水W2を排出するための液体排出部217Aと、筐体210の内部空間S1と筐体210の外部とを接続し、筐体210の内部空間S1を減圧するための気体排出部218Aと、筐体210の鉛直方向上部に設けられ、筐体210内にパージガスG
pを供給するためのパージガス供給部219Aを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の化学分析又は生化学分析を行う化学分析装置であって、
検体を含む容器の温度を保持するための恒温槽と、前記恒温槽中の恒温水に含まれる溶存気体を脱気するための中空糸脱気モジュールを有する脱気部と、を備え、
前記中空糸脱気モジュールは、筐体と、前記筐体の内部空間に配置された中空糸膜と、を有し、
前記筐体は、
前記筐体の外部と前記中空糸膜の内部空間とを接続し、前記筐体の外部から前記中空糸膜の内部に前記恒温水を供給するための第1液体供給部と、
前記中空糸膜の内部空間と前記筐体の外部とを接続し、前記中空糸膜の内部空間から前記筐体の外部に脱気された恒温水を排出するための第1液体排出部と、
前記筐体の前記内部空間と前記筐体の外部とを接続し、前記筐体の内部空間を減圧するための少なくとも1つの第1気体排出部と、
前記筐体の鉛直方向上部に設けられ、前記筐体内にパージガスを供給するための第1パージガス供給部と、を有する、化学分析装置。
【請求項2】
前記筐体は、
軸線方向が略鉛直となるように配置された筒体と、
前記筒体の軸線方向下端部に取り付けられた第1蓋部と、
前記筒体の軸線方向上端部に取り付けられた第2蓋部と、を有し、
前記第1液体供給部が前記第1蓋部に設けられると共に、前記第1液体排出部が前記第2蓋部に設けられ、
前記第1パージガス供給部が、前記筒体の外周部に設けられている、請求項1に記載の化学分析装置。
【請求項3】
前記筒体が、軸線方向が鉛直方向と平行となるように配置された円筒形状を有し、
前記第1パージガス供給部が、前記筒体の周壁に設けられている、請求項2に記載の化学分析装置。
【請求項4】
前記筒体は、前記筒体と前記第1蓋部が螺合する第1螺合部と、前記筒体と前記第2蓋部が螺合する第2螺合部とを有する、請求項2に記載の化学分析装置。
【請求項5】
前記中空糸脱気モジュールは、前記筒体の軸線方向下端部を封止する第1封止部と、前記筒体の軸線方向上端部を封止する第2封止部とを有し、
前記中空糸膜の長手方向一端部が第1封止部に固定されており、前記中空糸膜の長手方向他端部が前記第2封止部に固定されている、請求項2に記載の化学分析装置。
【請求項6】
検体の化学分析又は生化学分析を行う化学分析装置であって、
検体を含む容器の温度を保持するための恒温槽と、前記恒温槽中の恒温水に含まれる溶存気体を脱気するための中空糸脱気モジュールを有する脱気部と、を備え、
前記中空糸脱気モジュールは、筐体と、前記筐体の内部空間に配置された中空糸膜と、を有し、
前記筐体は、
前記筐体の外部と前記筐体の内部空間とを接続し、前記筐体の外部から前記筐体の前記内部空間に前記恒温水を供給するための第2液体供給部と、
前記筐体の内部空間と前記筐体の外部とを接続し、前記筐体の内部空間から前記筐体の外部に脱気された恒温水を排出するための第2液体排出部と、
前記中空糸膜の内部空間と前記筐体の外部とを接続し、前記中空糸膜の内部空間を減圧するための少なくとも1つの第2気体排出部と、
前記筐体の鉛直方向上部に設けられ、前記筐体内にパージガスを供給するための第2パージガス供給部と、を有する、化学分析装置。
【請求項7】
前記筐体は、
軸線方向が略水平となるように配置された筒体と、
前記筒体の軸線方向一端部に取り付けられた第3蓋部と、
前記筒体の軸線方向他端部に取り付けられた第4蓋部と、を有し、
前記第2液体供給部が前記
筒体に設けられると共に、前記第2液体排出部が前記第4蓋部に設けられ、
前記第2パージガス供給部が、前記第3蓋部に設けられている、請求項6に記載の化学分析装置。
【請求項8】
前記筒体は、前記筒体と前記第3蓋部が螺合する第3螺合部と、前記筒体と前記第4蓋部が螺合する第4螺合部とを有する、請求項7に記載の化学分析装置。
【請求項9】
前記中空糸脱気モジュールは、前記筒体の軸線方向一端部を封止する第3封止部と、前記筒体の軸線方向他端部を封止する第4封止部とを有し、
前記中空糸膜の長手方向一端部が前記第3封止部に固定されており、前記中空糸膜の長手方向他端部が前記第4封止部に固定されている、請求項7に記載の化学分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学分析装置は、中空糸膜を有する脱気モジュールを備えており、この脱気モジュールは、中空糸膜の外側または内側を負圧にすることで、液体が中空糸膜の内側または外側を通過する際に、液体中のガスのみを中空糸の壁面から分離する仕組みを有している。化学分析装置は、例えば血液や尿などの体液成分を測定するための装置として用いられ、病院の検査室や検査センターなどに広く普及している。
【0003】
従来の化学分析装置として、システム全体の小型化、脱気水貯蔵槽内の脱気部の性能低下を防止する目的で、外部より取り込まれた純水を、プレヒートタンクを中心に構成された脱気部で使用温度より若干高めに加熱保温することで該純水中の溶存気体の脱気を可能とした装置が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この方法では、システムの高速化に充分対応するには、多量の脱気水を貯蔵するための貯蔵槽が必要とならざるを得ず、システム全体の小型化に対応できなかった。
【0004】
このシステムの高速化に対応するため、シリコーン樹脂の中空糸膜でできており、中空糸膜の外側を負圧にすることで、液体が中空糸膜の内側を通過する際に、液体中のガスのみが中空糸の壁面から分離される仕組みを有する中空糸脱気モジュールを用いることが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63-165761号公報
【特許文献2】国際公開第2020/261659号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、医療を取り巻く環境変化の中で、化学分析装置には、高品質なデータ、迅速な検査への対応、検査の効率化などが強く求められているが、その一方で、分析に使用されるRO(Reverse Osmosis)水の気泡が測定精度を低下させるという問題がある。
【0007】
この問題を解消するには、RO水中の溶存気体を除去する方法が有効である。さらに溶存気体の除去を効率良く実行できる方法として、中空糸脱気モジュールを化学分析装置内部に組み込み、連続的に脱気する方法がある。装置内部に組み込むための中空糸脱気モジュールの性能条件としては、(1)所定の脱気性能を有すること、(2)装置に搭載可能な大きさ(小型)であること、(3)低圧力損失であること、及び(4)長寿命であること、が挙げられる。
【0008】
しかしながら、上記のような中空糸脱気モジュールでは、分析装置に設置されると長期間連続使用されるため、モジュール内真空部や真空経路に揮発した水が溜まり、脱気性能を低下させることがある。また真空経路は定期的に開放されるため、菌が繁殖し性能を低下させる要因となっている。
【0009】
本発明は、小型且つ低圧力損失であると共に、長時間の連続使用でも本来の良好な脱気性能を維持することができ、加えて菌等の繁殖を抑制することができる中空糸脱気モジュールを具備した化学分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様における化学分析装置は、検体の化学分析又は生化学分析を行う化学分析装置であって、検体を含む容器の温度を保持するための恒温槽と、前記恒温槽中の恒温水に含まれる溶存気体を脱気するための中空糸脱気モジュールを有する脱気部と、を備え、前記中空糸脱気モジュールは、筐体と、前記筐体の内部空間に配置された中空糸膜と、を有し、前記筐体は、前記筐体の外部と前記中空糸膜の内部空間とを接続し、前記筐体の外部から前記中空糸膜の内部に前記恒温水を供給するための第1液体供給部と、前記中空糸膜の内部空間と前記筐体の外部とを接続し、前記中空糸膜の内部空間から前記筐体の外部に脱気された恒温水を排出するための第1液体排出部と、前記筐体の前記内部空間と前記筐体の外部とを接続し、前記筐体の内部空間を減圧するための少なくとも1つの第1気体排出部と、前記筐体の鉛直方向上部に設けられ、前記筐体内にパージガスを供給するための第1パージガス供給部と、を有する。
【0011】
前記筐体は、軸線方向が略鉛直となるように配置された筒体と、前記筒体の軸線方向下端部に取り付けられた第1蓋部と、前記筒体の軸線方向上端部に取り付けられた第2蓋部と、を有し、前記第1液体供給部が前記第1蓋部に設けられると共に、前記第1液体排出部が前記第2蓋部に設けられ、前記第1パージガス供給部が、前記筒体の外周部に設けられていてもよい。
【0012】
また、前記筒体が、軸線方向が鉛直方向と平行となるように配置された円筒形状を有し、前記第1パージガス供給部が、前記筒体の周壁に設けられていてもよい。
【0013】
更に、前記筒体は、前記筒体と前記第1蓋部が螺合する第1螺合部と、前記筒体と前記第2蓋部が螺合する第2螺合部とを有していてもよい。
【0014】
前記中空糸脱気モジュールは、前記筒体の軸線方向下端部を封止する第1封止部と、前記筒体の軸線方向上端部を封止する第2封止部とを有し、
前記中空糸膜の長手方向一端部が第1封止部に固定されており、前記中空糸膜の長手方向他端部が前記第2封止部に固定されていてもよい。
【0015】
本発明の第2態様における化学分析装置は、検体の化学分析又は生化学分析を行う化学分析装置であって、検体を含む容器の温度を保持するための恒温槽と、前記恒温槽中の恒温水に含まれる溶存気体を脱気するための中空糸脱気モジュールを有する脱気部と、を備え、前記中空糸脱気モジュールは、筐体と、前記筐体の内部空間に配置された中空糸膜と、を有し、前記筐体は、前記筐体の外部と前記筐体の内部空間とを接続し、前記筐体の外部から前記筐体の前記内部空間に前記恒温水を供給するための第2液体供給部と、前記筐体の内部空間と前記筐体の外部とを接続し、前記筐体の内部空間から前記筐体の外部に脱気された恒温水を排出するための第2液体排出部と、前記中空糸膜の内部空間と前記筐体の外部とを接続し、前記中空糸膜の内部空間を減圧するための少なくとも1つの第2気体排出部と、前記筐体の鉛直方向上部に設けられ、前記筐体内にパージガスを供給するための第2パージガス供給部と、を有する。
【0016】
前記筐体は、軸線方向が略水平となるように配置された筒体と、前記筒体の軸線方向一端部に取り付けられた第3蓋部と、前記筒体の軸線方向他端部に取り付けられた第4蓋部と、を有し、前記第2液体供給部が前記筒体に設けられると共に、前記第2液体排出部が前記第4蓋部に設けられ、前記第2パージガス供給部が、前記第3蓋部に設けられている。
【0017】
前記筒体は、前記筒体と前記第3蓋部が螺合する第3螺合部と、前記筒体と前記第4蓋部が螺合する第4螺合部とを有していてもよい。
【0018】
前記中空糸脱気モジュールは、前記筒体の軸線方向一端部を封止する第3封止部と、前記筒体の軸線方向他端部を封止する第4封止部とを有し、前記中空糸膜の長手方向一端部が前記第3封止部に固定されており、前記中空糸膜の長手方向他端部が前記第4封止部に固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、小型且つ低圧力損失であると共に、長時間の連続使用でも本来の良好な脱気性能を維持することができ、加えて菌等の繁殖を抑制することができる中空糸脱気モジュールを具備した化学分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る化学分析装置を備える化学分析システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の化学分析装置に設けられる内部灌流型の中空糸脱気モジュールの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図3】
図3(A)は、
図2における筒体の軸線方向下端部に設けられる第1封止部の構成を示す部分断面図であり、
図3(B)は、
図2における筒体の軸線方向上端部に設けられる第2封止部の構成を示す部分断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の脱気装置に設けられる外部灌流型の中空糸脱気モジュールを示す図である。
【
図5】
図5(A)は、
図2における筒体の軸線方向下端部に設けられる第3封止部の構成を示す部分断面図であり、
図5(B)は、
図2における筒体の軸線方向上端部に設けられる第4封止部の構成を示す部分断面図である。
【
図6】
図6は、
図2の内部灌流型の中空糸脱気モジュールの変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図1における化学分析装置の変形例を概略的に示すブロック図である。
【
図8】
図8は、
図1の化学分析システムの変形例を概略的に示すブロック図である。
【
図9】
図9は、
図1における(生)化学分析部の変形例を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る化学分析装置を備える化学分析システムの構成の一例を概略的に示す図である。
図1に示すように、化学分析システムは、純水供給装置1Aと、化学分析装置2Aを有する。化学分析装置2A内には、純水供給装置1Aから供給された恒温水を脱気する脱気装置(脱気部)3と、(生)化学分析部4A内の反応槽5とが配置されている。純水供給装置1Aと脱気装置3とは流路3aによって接続され、脱気装置3と反応槽5とは流路3bによって接続されている。
また、脱気装置3と真空ポンプ6とは流路3cで接続されている。流路3cは、例えば吸気管で構成されている。純水供給装置1Aから脱気装置3に供給された純水は、真空ポンプの作動により、溶存酸素や気泡が脱気される。本実施形態では、脱気装置3で脱気された純水は、流路3bを介して反応槽(恒温槽)5に供給される。後述するように、脱気装置3と反応槽5とが循環経路を形成しており、脱気装置3にて脱気された純水が、当該循環経路に供給されてもよい。
【0023】
脱気装置3は、中空糸脱気モジュール20Aを有している。中空糸脱気モジュール20Aは、複数本の中空糸膜220が縦糸で簾状に束ねられた中空糸膜束22を有している(
図3(A)及び
図3(B)参照)。以下、説明の便宜上、中空糸膜束22を「中空糸膜220」と称する場合がある。中空糸膜の詳細については、後述する。
【0024】
化学分析装置2Aは、検体の化学分析又は生化学分析(以下、「化学分析又は生化学分析」を「(生)化学分析」とも称する)を行う。この化学分析装置2Aは、中空糸膜の外側または内側を減圧することで、液体が中空糸膜の内側または外側を通過する際に、液体中のガスのみを中空糸の壁面を介して当該液体から分離するように構成されている。
【0025】
図2は、
図1の化学分析装置2Aに設けられる内部灌流型の中空糸脱気モジュール20Aの構成の一例を概略的に示す図である。内部灌流型の中空糸脱気モジュール20Aでは、中空糸膜220の内側に恒温水W1を供給するとともに、中空糸膜220の外側を減圧することで恒温水W1を脱気し、脱気された恒温水W2を生成する。
【0026】
中空糸脱気モジュール20Aは、筐体210と、筐体210の内部空間S1に配置された中空糸膜220とを有している。筐体210は、軸線方向Lが略水平となるように配置された筒体211と、筒体211の軸線方向下端部211aに取り付けられた第1蓋部212Aと、筒体211の軸線方向上端部211bに取り付けられた第2蓋部213Aとを有している。
【0027】
筒体211は、内部空間S1を有しており、当該内部空間S1に中空糸膜220が収容されている。筒体211は、例えば軸線方向Lに延びる円筒形状を有しており、筒体211の両端部は、開口している。本実施形態では、筒体211は、筒体211と第1蓋部212Aが螺合する第1螺合部214と、筒体211と第2蓋部213Aが螺合する第2螺合部215とを有する。第1蓋部212A及び第2蓋部213Aは、それぞれ第1螺合部214及び第2螺合部215によって筒体211に固定される。
【0028】
筒体211への第1蓋部212A及び第2蓋部213Aの取付けは、螺合に限らず、嵌合、接着、溶着等により行うことができる。第1蓋部212A及び第2蓋部213Aのいずれか又は双方が、筒体211に着脱可能に取り付けられてもよい。また、筒体211に対する第1蓋部212A及び第2蓋部213Aの取り付け部には、Oリングなどの不図示のシール部を設けてもよい。当該シール部がOリングで構成される場合、Oリングは筒体211の軸線方向下端部211a又は軸線方向上端部211bに形成された環状の溝部等に配置されるのが好ましい。シール部により、筒体211と第1蓋部212A又は第2蓋部213Aとの間で生じ得る液漏れを防止することができる。上記シール部は常時接液することはないため、上記作用効果が得られる範囲で、上記シール部の材料は特に限定されない。耐汚れ性の観点からは、上記シール部の材料は、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂や、上記フッ素樹脂や、ポリカーボネート樹脂やポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂が好ましい。
【0029】
第1蓋部212Aは、軸線方向Lに対して垂直に設けられた略円盤形状の第1壁部212Aaと、第1壁部212Aaの周縁から軸線方向Lに平行に延出した略円環形状の第2壁部212Abとを有する。第1蓋部212Aは、当該第1蓋部212Aの内周面と、筒体211の外周面とが係合することにより、筒体211に固定されている。
【0030】
筐体210は、筐体210の外部と中空糸膜220の内部空間S2とを接続し、筐体210の外部から中空糸膜220の内部空間S2に恒温水W1を供給するための液体供給部(第1液体供給部)216Aを有する。液体供給部216Aは、例えば第1蓋部212Aの第1壁部212Aaに形成され、恒温水W1を第1蓋部212A内に供給するための液体供給口216Aaを有する。液体供給口は、特に制限されないが、例えば筒体211の中心軸線上に形成された側面視円形の開口である。液体供給部216Aには脱気装置3と繋がる流路3aが接続されている。液体供給部216Aと流路3aとの接続は、特に制限されず、螺合、嵌合により行ってもよい。
【0031】
第2蓋部213Aは、軸線方向Lに対して垂直に設けられた略円盤形状の第1壁部213Aaと、第1壁部213Aaの周縁から軸線方向Lに平行に延出した略円環形状の第2壁部213Abとを有する。第2蓋部213Aは、当該第2蓋部213Aの内周面と、筒体211の外周面とが係合することにより、筒体211に固定されている。
【0032】
筐体210は、中空糸膜220の内部空間S2と筐体210の外部とを接続し、中空糸膜220の内部空間S2から筐体210の外部に脱気された恒温水W2を排出するための液体排出部(第1液体排出部)217Aを有する。液体排出部217Aは、例えば第2蓋部213Aの第1壁部213Aaに形成され、恒温水W2を外部に供給するための液体排出口217Aaを有する。液体排出口217Aaは、特に制限されないが、例えば筒体211の中心軸線上に形成された側面視円形の開口である。液体排出部217Aには反応槽5と繋がる流路3bが接続されている。液体排出部217Aと流路3bとの接続は、特に制限されず、螺合、嵌合により行ってもよい。
【0033】
また、筐体210は、筐体210の内部空間S1と筐体210の外部とを接続し、筐体210の内部空間S1を減圧するための気体排出部(第1気体排出部)218Aを有している。気体排出部218Aは、例えば筒体211に形成され、内部空間S1のガスGを排出するための気体排出口218Aaを有する。本実施形態では、気体排出部218Aは、筐体210の鉛直方向上部、すなわち筐体210の鉛直方向中心位置よりも上側に配置されている。気体排出部218Aは、筐体210の外周部に設けられている。筒体211が、軸線方向Lが鉛直方向と平行となるように配置された円筒形状を有している場合、気体排出部218Aは、筒体211の周壁に設けられるのが好ましい。これにより、筒体211内で発生した水分が、筒体211の外周から気体排出部218Aを介して外部に排出される。気体排出部218Aには真空ポンプ6と繋がる流路3cが接続されている。気体排出部218Aと流路3cとの接続は、特に制限されず、螺合、嵌合により行ってもよい。
【0034】
本実施形態では、筐体210は、1つの気体排出部218A,218Aを有しているが、筐体210の寸法や気体排出口218Aaの寸法、真空ポンプの能力等に応じて、筐体210が複数の気体排出部218A,218A,…を有していてもよい。
【0035】
更に、筐体210は、該筐体210の鉛直方向上部に設けられ、筐体210内にパージガスGpを供給するためのパージガス供給部(第1パージガス供給部)219Aを有している。パージガス供給部219Aは、例えば筒体211に形成され、外部から内部空間S1にパージガスGpを導入するためのパージガス供給口219Aaを有する。筐体210の鉛直方向上部とは、筐体210の鉛直方向中心位置よりも上側であることを意味する。パージガス供給部219Aは、筐体210の内部空間S1内にパージガスGpを供給し、このパージガスGpによって、筐体210内で生じた水分(気体)を押し出し、気体排出部218Aから外部に排出する。パージガスGpは、特に制限されないが、例えば空気又は不活性ガスであり、不活性ガスとしては窒素ガスが挙げられる。また、パージガスGpに筐体210内で生じた水分(気体)を取り込んで、当該パージガスGpを気体排出部218Aから外部に排出してもよい。この場合、水分(気体)の取り込み易さの観点から、乾燥空気或いは乾燥不活性ガスであるのが好ましい。乾燥不活性ガスとしては、例えば乾燥窒素が挙げられる。パージガス供給部219Aは、筐体210の外周部に設けられている。筒体211が、軸線方向Lが鉛直方向と平行となるように配置された円筒形状を有している場合、パージガス供給部219Aは、筒体211の周壁に設けられるのが好ましい。これにより筐体210の内部空間S1で生じた水分がパージガス供給部219Aを介して供給されたパージガスGpによって筐体210の外部に排出され、筐体210内に水が溜まるのを防止することができる。本実施形態では、1つの気体排出部218A219Aが設けられているが、複数の気体排出部218A219Aが設けられてもよい。
【0036】
筐体210を構成する筒体211、第1蓋部212A及び第2蓋部213Aの材料としては、特に制限されないが、製造容易性、耐薬品性、耐汚れ性の観点からは、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂や、ポリカーボネート樹脂やポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂が好ましい。この場合、筒体211、第1蓋部212A及び第2蓋部213Aを、射出成型により製造することができる。
【0037】
中空糸膜220は、気体は透過するが液体は透過しない中空糸状の膜である。中空糸膜220の材料、膜形状、膜形態等は、特に制限されない。中空糸膜220の材料としては、製造容易性、耐薬品性、耐汚れ性の観点から、例えば、ポリプロピレン、ポリ(4-メチルペンテン-1)などのポリオレフィン系樹脂や、PTFE、アモルファスフロロポリマー、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PFAとも称する)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPとも称する)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(以下、ETFEとも称する)、ポリクロロトリフルオロエチレン(以下、PCTFEとも称する)、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFとも称する)等のフッ素樹脂など挙げられる。なお、アモルファスフロロポリマー(以下、「テフロン(登録商標)AF」とも称する)は、より詳しくは、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロ2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールをコモノマーとする共重合体を含んでなる非晶質フッ素樹脂であってよい。中空糸膜220の膜形状(側壁の形状)としては、例えば、多孔質膜、微多孔膜、多孔質を有さない均質膜(非多孔膜)、が挙げられる。中空糸膜220の膜形態としては、例えば、膜全体の化学的あるいは物理的構造が均質な対称膜(均質膜)、膜の化学的あるいは物理的構造が膜の部分によって異なる非対称膜(不均質膜)、が挙げられる。非対称膜(不均質膜)は、非多孔質の緻密層と多孔質とを有する膜である。この場合、緻密層は、膜の表層部分又は多孔質膜内部等、膜中のどこに形成されていてもよい。不均質膜には、化学構造の異なる複合膜、3層構造のような多層構造膜も含まれる。
【0038】
特にポリ(4-メチルペンテン-1)樹脂を用いた不均質膜は、液体を遮断する緻密層を有するため、水以外の液体、例えば、恒温水の脱気に特に好ましい。また、外部灌流型に用いる中空糸の場合は、緻密層が中空糸外表面に形成されていることが好ましい。
【0039】
中空糸膜束22は、例えば、複数の中空糸膜220が縦糸で簾状に束ねられたシート状物に形成することができる。この場合、例えば、上記シート状物を巻回して中空糸膜束22とし、中空糸膜束22の両端部を後述する封止材で固定することにより、中空糸脱気モジュール20Aを製造することができる。縦糸の材料としては、製造容易性、耐薬品性、耐汚れ性の観点から、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂や、上記フッ素樹脂や、ポリカーボネート樹脂やポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂が好ましいものとして挙げられる。
【0040】
図3(A)は、
図2における筒体211の軸線方向下端部211aに設けられる第1封止部231Aの構成を示す部分断面図であり、
図3(B)は、
図2における筒体211の軸線方向上端部211bに設けられる第2封止部232Aの構成を示す部分断面図である。
図3(A)及び
図3(B)に示すように、中空糸脱気モジュール20Aは、筒体211の軸線方向下端部211a(
図2参照)を封止する第1封止部231Aと、筒体211の軸線方向上端部211b(
図2参照)を封止する第2封止部232Aとを有している。そして中空糸膜220の長手方向一端部220aが第1封止部231Aに固定されており、中空糸膜220の長手方向他端部220bが第2封止部232Aに固定されている。すなわち、中空糸膜束22の長手方向一端部22aが第1封止部231Aに固定されており、長手方向他端部22bが第2封止部232Aに固定されている。
【0041】
第1封止部231Aは、筒体211の軸線方向Lと垂直な断面において、中空糸膜220の内部空間S2以外の全域に充填されている。つまり、第1封止部231Aは、中空糸膜220の内部空間S2には充填されておらず、中空糸膜220間、及び中空糸膜束22と筒体211の内壁との間に充填されている。
【0042】
第2封止部232Aは、第1封止部231Aと同様、筒体211の軸線方向Lと垂直な断面において、中空糸膜220の内部空間S2以外の全域に充填されている。つまり、第2封止部232Aは、中空糸膜220の内部空間S2には充填されておらず、中空糸膜220間、及び中空糸膜束22と筒体211の内壁との間に充填されている。
【0043】
第1封止部231A,第2封止部232Aは、特に制限されないが、製造容易性、耐薬品性、耐汚れ性の観点からは、例えば、エポキシ樹脂や(メタ)アクリル樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物や、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂で形成されていることが好ましい。
【0044】
本実施形態では、第1封止部231Aは、第1蓋部212Aの内部空間S3と中空糸膜220の内部空間S2とを連通した状態で、筒体211の軸線方向下端部211aを封止している。また、第2封止部232Aは、第2蓋部213Aの内部空間S4と中空糸膜220の内部空間S2とを連通した状態で、筒体211の軸線方向上端部211bを封止している。すなわち、第1蓋部212Aの内部空間S3及び第2蓋部213Aの内部空間S4と筐体210の内部空間S1とが、それぞれ第1封止部231A,第2封止部232Aによって隔壁され、且つ、第1蓋部212Aの内部空間S3、中空糸膜220の内部空間S2及び第2蓋部213Aの内部空間S4がこの順に連通している。
【0045】
このため、液体供給部216Aから第1蓋部212Aの内部空間S3に供給された恒温水W1は、中空糸膜220の内部空間S2のみに供給され、筐体210の内部空間S1に流れ込むのが阻止される。また、真空ポンプ6により気体排出口218Aaから排気されることで、筐体210の内部空間S1が減圧され、好ましくは真空となる。そうすると、恒温水W1が中空糸膜220の内部空間S2を通過する際に、恒温水W1の溶存気体及び気泡が中空糸膜220の外側に引き込まれ、これにより、恒温水W1の脱気が行われる。
【0046】
そして、脱気された恒温水W2は、中空糸膜220の内部空間S2のみから第2蓋部213Aの内部空間S4に流れ込み、液体排出部217Aから(生)化学分析部4Aの反応槽5内に供給される。
【0047】
このように中空糸脱気モジュール20Aでは、恒温水W1,W2との接液部が、主として、第1蓋部212A、第1封止部231A、中空糸膜220、第2封止部232A及び第2蓋部213Aで構成される。接液部の構成する各部に上述の好ましい材料を用いることで、恒温水の脱気に長期間使用しても、耐薬品性に優れ、異物混入を抑制できる。
【0048】
中空糸脱気モジュール20Aの製造方法としては、例えば、中空糸膜220を所定の本数束ねて中空糸膜束22とする。このとき、外部支持体234を用い、該外部支持体234で中空糸膜束22を覆ってもよい。また、筒状体の周壁に気体排出口218Aaを設け、必要に応じて筒状体の軸線方向両端部に螺合部及び/又はOリング用溝部を設けて、筒体211とする。そして中空糸膜束22を筒体211に収容した状態で、筒体211の軸線方向一端部と中空糸膜束22の長手方向一端部22aとを封止材で固定して第1封止部231Aを形成し、更に、筒体211の軸線方向他端部と中空糸膜束22の長手方向他端部22bとを封止材で固定して第2封止部232Aを形成する。その後、第1封止部231Aおよび第2封止部232Aの端面を切断する。最後に筒体211の上記軸線方向一端部に第1蓋部212Aを、筒体211の上記軸線方向他端部に第2蓋部213Aをそれぞれ取り付けて筐体210とし、これにより、筐体210及び中空糸膜220を有する中空糸脱気モジュール20Aが製造される。
【0049】
上述したように、本実施形態によれば、中空糸脱気モジュール20Aにおいて、筐体210は、該筐体210の鉛直方向上部に設けられ、筐体210内にパージガスGpを供給するためのパージガス供給部219Aを有しているので、筐体210内で生じた水分が、パージガス供給部219Aから供給されるパージガスGpによって筐体210の外部に排出される。よって、筐体210の内部空間S1や気体排出部218Aに水が溜まり難くなり、長時間の連続使用でも本来の良好な脱気性能を維持することができる。また、筐体210の内部空間S1や気体排出部218Aの湿度を低く抑えることができるので、運転後に開放された場合であっても菌等が発生し難く、筐体210の内部空間S1や気体排出部218Aでの菌等の繁殖を抑制することができる。
【0050】
図4は、
図1の脱気装置3に設けられる外部灌流型の中空糸脱気モジュールを示す図である。化学分析装置2Aは、内部還流型の中空糸脱気モジュールに代えて、外部還流型の中空糸脱気モジュール20Bを有していてもよい。中空糸脱気モジュール20Bでは、中空糸膜220の外側に恒温水W1を供給するとともに中空糸膜220の内側を減圧することで、恒温水W1を脱気し、脱気された恒温水W2を生成する。
【0051】
中空糸脱気モジュール20Bは、筐体210と、筐体210の内部空間S1に配置された中空糸膜220とを有している。筐体210は、軸線方向Lが略水平となるように配置された筒体211と、筒体211の軸線方向一端部211cに取り付けられた第3蓋部212Bと、筒体211の軸線方向他端部211dに取り付けられた第4蓋部213Bとを有している。
【0052】
筒体211は、内部空間S1を有しており、当該内部空間S1に中空糸膜220が収容されている。筒体211は、例えば軸線方向Lに延びる円筒形状を有しており、筒体211の両端部は、開口している。本実施形態では、筒体211は、筒体211と第3蓋部212Bが螺合する第1螺合部214と、筒体211と第4蓋部213Bが螺合する第2螺合部215とを有する。第3蓋部212B及び第4蓋部213Bは、それぞれ第1螺合部214及び第2螺合部215によって筒体211に固定される。
【0053】
筒体211への第3蓋部212B及び第4蓋部213Bの取付けは、螺合に限らず、嵌合、接着、溶着等により行うことができる。第3蓋部212B及び第4蓋部213Bのいずれか又は双方が、筒体211に着脱可能に取り付けられてもよい。また、筒体211に対する第3蓋部212B及び第4蓋部213Bの取り付け部には、Oリングなどの不図示のシール部を設けてもよい。当該シール部がOリングで構成される場合、Oリングは筒体211の軸線方向一端部211c又は軸線方向他端部211dに形成された環状の溝部等に配置されるのが好ましい。シール部により、筒体211と第3蓋部212B又は第4蓋部213Bとの間で生じ得る液漏れを防止することができる。上記シール部は常時接液することはないため、上記作用効果が得られる範囲で、上記シール部の材料は特に限定されない。耐汚れ性の観点からは、上記シール部の材料は、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂や、上記フッ素樹脂や、ポリカーボネート樹脂やポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂が好ましい。
【0054】
第3蓋部212Bは、軸線方向Lに対して垂直に設けられた略円盤形状の第1壁部212Baと、第1壁部212Baの周縁から軸線方向Lに平行に延出した略円環形状の第2壁部212Bbとを有する。第3蓋部212Bは、当該第3蓋部212Bの内周面と、筒体211の外周面とが係合することにより、筒体211に固定されている。
【0055】
第4蓋部213Bは、軸線方向Lに対して垂直に設けられた略円盤形状の第1壁部213Baと、第1壁部213Baの周縁から軸線方向Lに平行に延出した略円環形状の第2壁部213Bbとを有する。第4蓋部213Bは、当該第4蓋部213Bの内周面と、筒体211の外周面とが係合することにより、筒体211に固定されている。
【0056】
筐体210は、筐体210の外部と筐体210の内部空間S1とを接続し、筐体210の外部から筐体210の内部空間S1に恒温水W1を供給するための液体供給部(第2液体供給部)216Bを有する。本実施形態では、液体供給部216Bが筒体211に設けられている。液体供給部216Bは、例えば筒体211に形成され、恒温水W1を筒体211内に供給するための液体供給口216Baを有する。液体供給口は、特に制限されないが、筒体211の鉛直方向下端部に形成された側面視円形の開口である。液体供給口216Baには脱気装置3と繋がる流路3aが接続されている。液体供給口216Baと流路3aとの接続は、特に制限されず、螺合、嵌合により行ってもよい。
【0057】
また、筐体210は、筐体210の内部空間S1と筐体210の外部とを接続し、筐体210の内部空間S1から筐体210の外部に脱気された恒温水W2を排出するための液体排出部(第2液体排出部)217Bを有する。本実施形態では、液体排出部217Bが第4蓋部213Bに設けられている。液体排出部217Bは、例えば第4蓋部213Bの第1壁部213Baに形成され、恒温水W2を外部に供給するための液体排出口217Baを有する。液体排出口217Baは、特に制限されないが、例えば筒体211の中心軸線上に形成された側面視円形の開口である。液体排出口217Baには反応槽5と繋がる流路3bが接続されている。液体排出口217Baと流路3bとの接続は、特に制限されず、螺合、嵌合により行ってもよい。
【0058】
更に、筐体210は、中空糸膜220の内部空間S2と筐体210の外部とを接続し、中空糸膜220の内部空間S2を減圧するための気体排出部(第2気体排出部)218Bを有している。気体排出部218Bは、例えば第3蓋部212Bの第1壁部212Baに形成され、内部空間S2のガスGを排出するための気体排出口218Baを有する。気体排出口218Baは、特に制限されないが、例えば筒体211の中心軸線上に形成された側面視円形の開口である。これにより、中空糸膜220の内部空間S2及び/又は第3蓋部212Bの内部空間S3で生じた水分が、中空糸膜220の軸線方向一端部から気体排出部218Bを介して外部に排出される。気体排出部218Bには真空ポンプ6と繋がる流路3cが接続されている。気体排出部218Bと流路3cとの接続は、特に制限されず、螺合、嵌合により行ってもよい。
【0059】
更に、筐体210は、該筐体210の鉛直方向上部に設けられ、筐体210内にパージガスGpを供給するためのパージガス供給部(第2パージガス供給部)219Bを有している。筐体210の鉛直方向上部とは、筐体210の鉛直方向中心位置よりも上側であることを意味する。パージガス供給部219Bは、例えば第3蓋部212Bに形成され、外部から内部空間S3にパージガスGpを導入するためのパージガス供給口219Baを有する。パージガス供給部219Bは、中空糸膜220の内部空間S2及び/又は第3蓋部212Bの内部空間S3内にパージガスGpを供給し、このパージガスGpによって、筐体210内で生じた水分(気体)を押し出し、気体排出部218Bから外部に排出する。パージガスGpは、特に制限されないが、例えば空気又は不活性ガスであり、不活性ガスとしては窒素ガスが挙げられる。また、パージガスGpに筐体210内で生じた水分(気体)を取り込んで、当該パージガスGpを気体排出部218Bから外部に排出してもよい。この場合、水分(気体)の取り込み易さの観点から、乾燥空気或いは乾燥不活性ガスであるのが好ましい。乾燥不活性ガスとしては、例えば乾燥窒素が挙げられる。パージガス供給部219Bは、筐体210の外周部に設けられている。筒体211が、軸線方向Lが鉛直方向と平行となるように配置された円筒形状を有している場合、パージガス供給部219Bは、筒体211の周壁に設けられるのが好ましい。これにより中空糸膜220の内部空間S2及び/又は第3蓋部212Bの内部空間S3で生じた水分がパージガス供給部219Bを介して筐体210の外部に排出され、筐体210内に水が溜まるのを防止することができる。本実施形態では、1つのパージガス供給部219Bが設けられているが、2つのパージガス供給部219B,219Bが設けられてもよい。
【0060】
また、筐体210は、筒体211の内部に該筒体211の軸線方向と平行となるように配置された中心パイプ233と、該中心パイプ233と略同軸であって、筒体211と中心パイプ233との間に配置された外部支持体234とを有している。筐体210の径方向に関して中心から外側に向かって、中心パイプ233、外部支持体234及び筒体211がこの順に配置されている。中心パイプ233と外部支持体234との間には中空糸膜束22が配設されている。
【0061】
筐体210を構成する筒体211、第3蓋部212B及び第4蓋部213Bの材料、及び中空糸膜220の材料は、内部灌流型の中空糸脱気モジュール20Aの場合と同様のものを用いることができる。
【0062】
中空糸膜束22は、例えば、複数の中空糸膜220が縦糸で簾状に束ねられたシート状物に形成することができる。この場合、例えば、シート状物を円筒状に束ねて中空糸膜束とし、円筒状に束ねられた中空糸膜束の両端部を封止材で固定することにより、中空糸脱気モジュール20Bを製造することができる。縦糸の材料としては、内部灌流型の中空糸脱気モジュール20Aの場合と同様のものを用いることができる。
【0063】
図5(A)は、
図4における筒体211の軸線方向一端部211cに設けられる第3封止部231Bの構成を示す部分断面図であり、
図5(B)は、
図4における筒体211の軸線方向他端部211dに設けられる第4封止部232Bの構成を示す部分断面図である。
図5(A)及び
図5(B)に示すように、中空糸脱気モジュール20Bは、筒体211の軸線方向一端部211c(
図4参照)を封止する第3封止部231Bと、筒体211の軸線方向他端部211d(
図2参照)を封止する第4封止部232Bとを有している。そして中空糸膜220の長手方向一端部220aが第3封止部231Bに固定されており、中空糸膜220の長手方向他端部220bが第4封止部232Bに固定されている。すなわち、中空糸膜束22の長手方向一端部22aが第3封止部231Bに固定されており、長手方向他端部22bが第4封止部232Bに固定されている。
【0064】
第3封止部231Bは、筒体211の軸線方向Lと垂直な断面において、中空糸膜220の内部空間S2以外の全域に充填されている。つまり、第3封止部231Bは、中空糸膜220の内部空間S2には充填されておらず、中空糸膜220間、及び中空糸膜束22と筒体211の内壁との間に充填されている。
【0065】
第4封止部232Bは、第3封止部231Bと同様、筒体211の軸線方向Lと垂直な断面において、中空糸膜220の内部空間S2以外の全域に充填されている。つまり、第4封止部232Bは、中空糸膜220の内部空間S2には充填されておらず、中空糸膜220間、及び中空糸膜束22と筒体211の内壁との間に充填されている。そして第4封止部232Bには、筐体210の内部空間S1と第4蓋部213Bの内部空間S4とを連通する連通口232Baが形成されている。また、第4封止部232Bは、中空糸膜220の長手方向他端部220bを閉塞している。このため、中空糸膜220の内部空間S2は、第4蓋部213Bの内部空間S4とは連通していない。
【0066】
第3封止部231B,第4封止部232Bの材料としては、内部灌流型の中空糸脱気モジュール20Aの場合と同様のものを用いることができる。
【0067】
本実施形態では、第3封止部231Bは、第3蓋部212Bの内部空間S3と中空糸膜220の内部空間S2とを連通した状態で、筒体211の軸線方向一端部211cを封止している。また、第4封止部232Bは、第4蓋部213Bの内部空間S4と中空糸膜220の内部空間S2とを閉塞した状態で、筒体211の軸線方向他端部211dを封止している。すなわち、第3蓋部212Bの内部空間S3と筐体210の内部空間S1とが第3封止部231Bによって隔壁されると共に、第4蓋部213Bの内部空間S4と筐体210の内部空間S1とが連通しており、且つ、第3蓋部212Bの内部空間S3と中空糸膜220の内部空間S2とが連通している。
【0068】
このため、液体供給部216Bから筐体210の内部空間S1に供給された恒温水W1は、第4蓋部213Bの内部空間S4のみに供給され、第3蓋部212Bの内部空間S3に流れ込むのが阻止される。また、真空ポンプ6により気体排出口218Baから排気されることで、中空糸膜220の内部空間S2が減圧され、好ましくは真空となる。そうすると、恒温水W1が筐体210の内部空間S1を通過する際に、恒温水W1の溶存気体及び気泡が中空糸膜220の内側に引き込まれ、これにより、恒温水W1の脱気が行われる。
【0069】
そして、脱気された恒温水W2は、筐体210の内部空間S1のみから第4蓋部213Bの内部空間S4に流れ込み、液体排出部217Bから(生)化学分析部4Aの反応槽5内に供給される。
【0070】
このように中空糸脱気モジュール20Bでは、恒温水W1,W2との接液部が、主として、第3封止部231B、中空糸膜220、第4封止部232B及び第4蓋部213Bで構成される。接液部の構成する各部に上述の好ましい材料を用いることで、恒温水の脱気に長期間使用しても、耐薬品性に優れ、異物混入を抑制できる。
【0071】
中空糸脱気モジュール20Bの製造方法としては、例えば、複数の中空糸膜220が縦糸で簾状に束ねられたシート状物を筒状の中心パイプ233に巻き付けて円筒状に束ねて中空糸膜束22とする。このとき外部支持体234を用い、該外部支持体234で中空糸膜束22を覆ってもよい。また、筒状体の周壁に液体供給口216Baを設け、必要に応じて筒状体の軸線方向両端部に螺合部及び/又はOリング用溝部を設けて、筒体211とする。そして中空糸膜束22と中心パイプ233を筒体211に収容した状態で、筒体211の軸線方向一端部と中空糸膜束22の長手方向一端部22aとを封止材で固定し、第3封止部231Bを形成する。また、筒体211の軸線方向他端部と中空糸膜束22の長手方向他端部22bとを封止材で固定して第4封止部232Bを形成する。その後、第3封止部231Bの端面のみ、もしくは第3封止部231Bおよび第4封止部232Bの端面を切断する。その後、第3封止部231Bが設けられた筒体211の上記軸線方向一端部に第3蓋部212Bを、第4封止部232Bが設けられた筒体211の上記軸線方向他端部に第4蓋部213Bをそれぞれ取り付けて筐体210とし、これにより、筐体210及び中空糸膜220を有する中空糸脱気モジュール20Bが製造される。
【0072】
上述したように、本実施形態によれば、中空糸脱気モジュール20Bにおいて、筐体210は、該筐体210の鉛直方向上部に設けられ、筐体210内にパージガスGpを供給するためのパージガス供給部219Bを有しているので、筐体210内で生じた水分が、パージガス供給部219Bから供給されるパージガスGpによって筐体210の外部に排出される。よって、中空糸膜220の内部空間S2、第3蓋部212Bの内部空間S3及び気体排出部218Bに水が溜まり難くなり、長時間の連続使用でも本来の良好な脱気性能を維持することができる。また、中空糸膜220の内部空間S2、第3蓋部212Bの内部空間S3及び気体排出部218Bの湿度を低く抑えることができるので、運転後に開放された場合であっても菌等が発生し難く、中空糸膜220の内部空間S2、第3蓋部212Bの内部空間及び気体排出部218Bでの菌等の繁殖を抑制することができる。
【0073】
図6は、
図2の中空糸脱気モジュール20Aの変形例を示す図である。
図6に示すように、中空糸脱気モジュール20Cは、筐体210Cと、筐体210Cの内部空間に配置された中空糸膜220Cとを有する。筐体210Cは、長手方向Lが略水平となるように配置された筒体211Cと、筒体211Cの長手方向一端部211Caに取り付けられた蓋部212Cとを有している。
【0074】
筐体210Cは、筐体210Cの外部と中空糸膜220Cの内部空間S5とを接続し、筐体210Cの外部から中空糸膜220Cの内部に恒温水W1を供給するための液体供給部(第1液体供給部)216Cを有する。液体供給部216Cは、例えば蓋部212Cに形成され、恒温水W1を第1蓋部212A内に供給するための第1コネクタ部216Caを有する。第1コネクタ部216Caには、中空糸膜220Cの長手方向一端部220Caが固定されている。
【0075】
筐体210Cは、中空糸膜220Cの内部空間S6と筐体210Cの外部とを接続し、中空糸膜220Cの内部空間S5から筐体210Cの外部に脱気された恒温水W2を排出するための液体排出部(第1液体排出部)217Cを有する。液体排出部217Cは、例えば蓋部212Cに形成され、恒温水W1を第1蓋部212A内に供給するための第2コネクタ部217Caを有する。第2コネクタ部217Caには中空糸膜220Cの長手方向他端部220Cbが固定されている。筐体210Cは、中空糸膜220Cで構成される中空糸膜束22Cを覆う外部支持体234Cを有していてもよい。
【0076】
また、筐体210Cは、筐体210Cの内部空間S5と筐体210Cの外部とを接続し、筐体210Cの内部空間S5を減圧するための気体排出部(第1気体排出部)218Cを有している。気体排出部218Cは、例えば筒体211Cに形成され、内部空間S5のガスGを排出するための気体排出口218Caを有する。気体排出部218Cは、筐体210Cの鉛直方向上部、すなわち筐体210Cの鉛直方向中心位置よりも上側に配置されている。筒体211Cが、長手方向Lが水平方向と平行となるように配置された円筒形状を有している場合、気体排出部218Cは、筒体211Cの端面の鉛直方向上部に設けられるのが好ましい。
【0077】
更に、筐体210Cは、該筐体210Cの鉛直方向上部に設けられ、筐体210内にパージガスGpを供給するためのパージガス供給部(第1パージガス供給部)219Cを更に備えている。筐体210Cの鉛直方向上部とは、筐体210Cの鉛直方向中央位置よりも上側であることを意味する。パージガス供給部219Cは、例えば筒体211Cに形成され、内部空間S5にパージガスGpを導入するためのパージガス供給口219Caを有する。パージガス供給部219Cは、パージガス供給部219Cは、筐体210Cの内部空間S5内にパージガスGpを供給し、このパージガスGpによって、筐体210C内で生じた水分(気体)を押し出し、気体排出部218Cから外部に排出する。パージガス供給部219Cの構成は、上記のパージガス供給部219Aと同様とすることができる。
【0078】
本構成によっても、筐体210Cの内部空間S5や気体排出部218Cに水が溜まり難くなり、長時間の連続使用でも本来の良好な脱気性能を維持することができる。また、筐体210Cの内部空間S5や気体排出部218Cの湿度を低く抑えることができるので、運転後に開放された場合であっても菌等が発生し難く、筐体210Cの内部空間S5や気体排出部218Cでの菌等の繁殖を抑制することができる。
【0079】
図7は、
図1における化学分析装置2Aの変形例を示すブロック図である。
図7に示すように、化学分析装置2Bは、反応ディスク401、反応容器402、反応槽403及び循環用ポンプ306を備える。円形の反応ディスク401の円周上に取り付けられた反応容器402は、同じく円形の反応槽403に保持された液体に浸漬されている。反応槽403内の液体は、排出配管404と供給配管405との間に設置された循環用ポンプ306により常時循環されており、ヒータ307のオン/オフ制御により温度制御されている。排出配管404と供給配管405の間の循環用ポンプ306及びヒータ307を含む経路が、温水循環経路を構成している。これにより、反応容器402の内部に保持された反応液を反応に最適な温度(例えば37℃)に保っている。
【0080】
上記温水循環流路には、反応槽403内の恒温水の温度が高くなりすぎた場合に恒温水を冷却するための冷却ユニット308が設けられてもよい。また、上記温水循環流路には、給水タンク309及び給水用ポンプ310が接続されており、給水タンク309からの純水の供給が、給水用ポンプ310と給水用弁311によって制御されている。更に、上記温水循環流路には廃液用弁312が設けられており、反応槽403を循環する高温水を交換する際に恒温水を流路の外に廃液として排出する。更に、上記温水循環流路には、中空糸脱気モジュール20A又は20Bを有する脱気装置313が設けられており、脱気装置313内に供給された恒温水中の溶存気体は真空ポンプ314の作動により脱気される。
【0081】
この化学分析装置2Bでは、反応容器402に保持した試料と試薬を混合した反応液を、光源ランプ315から照射された光の束が通過し、透過してきた光を多波長光度計316で測定することにより、試料中の特定成分の定性・定量分析を行う。
【0082】
図8は、
図1の化学分析システムの変形例を概略的に示すブロック図である。
図8に示すように、化学分析装置2Cは、反応ディスク501、反応容器502、反応槽503、給水タンク504及び給水用ポンプ506を備える。円形の反応ディスク501の円周上に取り付けられた反応容器502は、同じく円形の反応槽503に保持された恒温水に浸漬されている。反応槽503には、給水タンク504から恒温水が供給される。給水タンク504と反応槽503の間の流路上には、中空糸脱気モジュール20A又は20Bを有する脱気装置505が設けられており、給水用ポンプ506と給水用弁507によって恒温水の供給が制御されている。脱気装置505内に供給された恒温水中の溶存気体は、真空ポンプ508の作動により脱気されて、供給配管517から反応槽503に供給される。
【0083】
一方、反応槽503内の恒温水は、排出配管509と供給配管510との間に設置された循環用ポンプ511により常時循環されており、ヒータ512のオン/オフ制御により温度制御されている。排出配管509と供給配管510の間の循環用ポンプ511及びヒータ512を含む経路が、温水循環経路を構成している。これにより、反応容器502の内部に保持された反応液を反応に最適な温度(例えば37℃)に保っている。
【0084】
上記温水循環流路には、反応槽503内の恒温水の温度が高くなりすぎた場合に恒温水を冷却するための冷却ユニット513が設けられてもよい。また、上記温水循環流路は廃液用弁514が設けられており、反応槽503を循環する恒温水を交換する際に恒温水を流路の外に廃液として排出する。
【0085】
この化学分析システムでは、反応容器502に保持した試料と試薬を混合した反応液を、光源ランプ515から照射された光の束が通過し、透過してきた光を多波長光度計516で測定することにより、試料中の特定成分の定性・定量分析を行う。
【0086】
図9は、
図1における(生)化学分析部4Aの変形例を概略的に示すブロック図である。
図9に示すように、(生)化学分析部4Bは、検体容器601、検体分注機構602、反応容器603、試薬容器604及び試薬分注機構605を有していてもよい。(生)化学分析部4Aでは、例えば、検体容器601から検体分注機構602を介して反応容器603に送られた検体と、試薬容器604から試薬分注機構605を介して反応容器603に送られた試薬を、混合・攪拌することができる。反応容器603は、反応槽606に貯められた恒温水により、一定の温度に保たれる。反応槽606に恒温水を供給する流路上には、中空糸脱気モジュール20A又は20Bを有する不図示の脱気装置が設けられ、恒温水の供給が制御される。
【0087】
また、上記実施形態の化学分析装置は、CPU・メモリ・I/O、マイコン、ラッチ等を有する情報処理装置等で構成された制御部(図示せず)、メモリに格納された自動分析及び診断のプログラムおよびデータを有していてもよい。これらを利用して、化学分析装置の動作及び分析動作に必要な情報をCPUで処理又は統括制御することができる。
【実施例0088】
以下、本発明の実施例を説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0089】
(実施例1,2,4,5)
図2の中空糸脱気モジュールと同様の構造を有する内部灌流型の中空糸脱気モジュールを準備した。中空糸脱気モジュールの型式、製造メーカー名、灌流方式、水蒸気透過量、真空ラインの位置及び真空ラインの加温の有無を、表1に示す。
【0090】
(実施例3,6)
図5の中空糸脱気モジュールと同様の構造を有する外部灌流型の中空糸脱気モジュールを準備した。
【0091】
[モジュール内及び真空ラインでの水溜まりの有無]
各実施例の中空糸脱気モジュールを用いて、循環流量:500ml/min、真空度:10, 20kPa(abs)、温度:25.5±0.1℃の条件で試験運転を行った。1日後、3日後、7日後のそれぞれについて、モジュール内での水溜まりの発生の有無、及び真空ライン(気体排出ライン)での水溜まりの発生の有無を、目視で確認した。
【0092】
[脱気性能評価]
脱気性能の評価として、前記中空糸脱気モジュールによりRO水の溶存酸素濃度を7.0ppm以下の範囲である場合を良好「〇」、7.0~8.0ppmの範囲である場合をやや不良「△」、8.0ppm以上の範囲である場合を不良「×」とした。結果を表1~表3に示す。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
表1~表3の結果から、実施例1,2,4,5における内部灌流型の中空糸脱気モジュールのいずれでも、パージガス供給部を設けると、モジュール内での水溜まりや真空ラインでの水溜まりは確認されなかった。また、内部灌流型の中空糸脱気モジュールのいずれでも、試験開始から7日後でも本来の脱気性能を維持していることが分かった。
また、実施例3,6における外部灌流型の中空糸脱気モジュールのいずれでも、パージガス供給部を設けると、モジュール内での水溜まりや真空ラインでの水溜まりは確認されなかった。また、外部灌流型の中空糸脱気モジュールのいずれでも、試験開始から7日後でも本来の脱気性能を維持していることが分かった。
【0097】
(比較例1~6)
ドレインを設けなかったこと以外は、実施例1~6と同様にして内部灌流型の中空糸脱気モジュールを準備した。結果を表1~表3に示す。
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
表4~6の結果から、比較例1,2,4,5における内部灌流型の中空糸脱気モジュールのいずれでも、パージガス供給部を設けないと、モジュール内での水溜まり及び真空ラインでの水溜まりが確認された。また、比較例1,2,4,5における内部灌流型の中空糸脱気モジュールのいずれでも、試験開始から7日後に脱気性能が低下していることが分かった。
また、比較例3,6における外部灌流型の中空糸脱気モジュールのいずれでも、パージガス供給部を設けないと、モジュール内での水溜まり及び真空ラインでの水溜まりが確認された。また、比較例3,6における外部灌流型の中空糸脱気モジュールのいずれでも、試験開始から7日後に脱気性能が低下していることが分かった。