(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022656
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】光学装置、全天球カメラ及び全天球カメラの製造方法
(51)【国際特許分類】
G03B 19/07 20210101AFI20240208BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240208BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20240208BHJP
G03B 17/17 20210101ALI20240208BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240208BHJP
G02B 13/04 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
G03B19/07
G03B15/00 W
G03B37/00 A
G03B17/17
H04N23/55
G02B13/04
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207996
(22)【出願日】2023-12-08
(62)【分割の表示】P 2019218416の分割
【原出願日】2019-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100186288
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 英信
(72)【発明者】
【氏名】早川 聡
(57)【要約】
【課題】レンズ系を複数組み合わせた広視野光学装置(全天球カメラ、立体視用光学装置、パノラマ撮像光学装置等)でありながら、小型で高画質の画像を取得する。
【解決手段】複数のレンズ系を有しそれぞれのレンズ系の光軸及び当該光軸を延長した直線が交点を持たないか、4個以上のレンズ系を有し光路が交差するか、センサーとレンズ系を備えた光学装置において前記レンズ系によって生成されるイメージサークルの一部が前記センサーの外側にある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4個以上のレンズ系を有し、光路が交差する全天球カメラ。
【請求項2】
4個のレンズ系を有する、請求項1に記載の全天球カメラ。
【請求項3】
4個のレンズ系が正四面体の配置を取る、請求項1又は2に記載の全天球カメラ。
【請求項4】
前記レンズ系は全て同じレンズ系である、請求項1~3の何れか一項に記載の全天球カメラ。
【請求項5】
前記レンズ系の最物体側面と結像面までの光軸上の距離をTL、前記光路が交差する箇所と前記結像面までの光軸上の距離をKとすると、以下の条件式を満足する請求項1~4の何れか一項に記載の全天球カメラ。
0.1 < K/TL < 0.9
【請求項6】
最大画角が140度以上である前記レンズ系を備えた請求項1~5の何れか1項に記載の全天球カメラ。
【請求項7】
前記レンズ系の最物体側面から絞りまでの焦点距離をfa、絞りから最像側面までの焦点距離をfbとすると、以下の条件式を満足する請求項1~6の何れか1項に記載の全天球カメラ。
-20.0 < fa/fb < 20.0
【請求項8】
前記レンズ系の光路が交差する部分に隣り合う光学要素のうち、最大の直径をφ3、光路が交差する部分の光軸方向の長さをDとすると、以下の条件式を満足する請求項1~7の何れか1項に記載の全天球カメラ。
0.1 < D/φ3 < 10.0
【請求項9】
前記レンズ系の最物体側面と結像面までの光軸上の距離をTL、絞りから前記結像面までの光軸上の距離をSとすると、以下の条件式を満足する請求項1~8の何れか1項に記載の全天球カメラ。
0.20 < S/TL < 0.80
【請求項10】
センサーとレンズ系を備えた光学装置において、前記レンズ系によって生成されるイメージサークルの一部がセンサーの外側にある光学装置。
【請求項11】
前記イメージサークルの面積をS2とし、前記センサーに内接するイメージサークルの面積をS1とすると、以下の条件式を満足する請求項10に記載の光学装置。
S2/S1 > 1.10
【請求項12】
前記センサーの中心位置と前記イメージサークルの中心位置が異なる請求項10又は11に記載の光学装置。
【請求項13】
以下の条件式を満足する請求項10~12の何れか1項に記載の光学装置。
0.00 ≦ d/b ≦ 0.17
但し、
d:前記センサーの中心位置と前記イメージサークルの中心位置との前記センサーの短辺方向での距離、
b:前記センサーの短辺の長さ。
【請求項14】
請求項9~13の何れか1項に記載の光学装置を備えた全天球カメラにおいて、少なくとも4個のレンズ系を有する全天球カメラ。
【請求項15】
前記レンズ系は全て同じレンズ系である、請求項14に記載の全天球カメラ。
【請求項16】
以下の条件式を満足する請求項14又は15に記載の全天球カメラ。
0.10 ≦ d/b ≦ 0.17
【請求項17】
前記レンズ系の数が少なくとも7個であり、以下の条件式を満足する請求項14又は15に記載の全天球カメラ。
0.01 ≦ d/b ≦ 0.06
【請求項18】
最大画角が140度以上である前記レンズ系を4個、または、最大画角が109度以上である前記レンズ系を6個、または、最大画角が109度以上である前記レンズ系を8個、または、最大画角が74度以上である前記レンズ系を12個、または、最大画角が74度以上である前記レンズ系を20個備えた請求項14~17の何れか1項に記載の全天球カメラ。
【請求項19】
前記レンズ系の最物体側面から絞りまでの焦点距離をfa、絞りから最像側面までの焦点距離をfbとすると、以下の条件式を満足する請求項14~18の何れか1項に記載の全天球カメラ。
-20.0 < fa/fb < 20.0
【請求項20】
前記レンズ系の最物体側面と結像面までの光軸上の距離をTL、絞りから前記結像面までの光軸上の距離をSとすると、以下の条件式を満足する請求項14~19の何れか1項に記載の全天球カメラ。
0.20 < S/TL < 0.80
【請求項21】
同一平面上に配置されたセンサーで複数のレンズ系による結像画像を受光する、請求項1に記載の全天球カメラ、又は請求項10に記載の光学装置。
【請求項22】
前記同一平面上に配置されたセンサーは1個のセンサーである請求項21に記載の光学装置。
【請求項23】
光路を折り曲げる光学素子を備えた請求項21又は22に記載の光学装置。
【請求項24】
前記レンズ系及び結像画像の数はそれぞれ2個である請求項21~23の何れか1項に記載の光学装置。
【請求項25】
前記センサーのアスペクト比をPとすると、以下の条件式を満足する請求項21~24の何れか1項に記載の光学装置。
1.0 ≦ P <3.0
【請求項26】
請求項21~25の何れか1項に記載の光学装置を備えた全天球カメラにおいて、少なくとも4個のレンズ系を有する全天球カメラ。
【請求項27】
想定した球の内部に仮想的な多面体を有し、前記多面体の一個の面に対し一個のレンズ系を割り当てた請求項26に記載の全天球カメラ。
【請求項28】
前記多面体の隣り合う2面から入射する光の結像画像を前記1個のセンサーで受光する請求項22に記載の全天球カメラ。
【請求項29】
前記センサーを少なくとも2個備えた請求項26~28の何れか1項に記載の全天球カメラ。
【請求項30】
前記レンズ系は全て同じレンズ系である、請求項26~29の何れか1項に記載の全天球カメラ。
【請求項31】
最大画角が140度以上である前記レンズ系を4個、または、最大画角が109度以上である前記レンズ系を6個、または、最大画角が109度以上である前記レンズ系を8個、または、最大画角が74度以上である前記レンズ系を12個、または、最大画角が74度以上である前記レンズ系を20個備えた請求項26~30の何れか1項に記載の全天球カメラ。
【請求項32】
前記レンズ系の最物体側面から絞りまでの焦点距離をfa、絞りから最像側面までの焦点距離をfbとすると、以下の条件式を満足する請求項26~31の何れか1項に記載の全天球カメラ。
-20.0 < fa/fb < 20.0
【請求項33】
前記レンズ系の最物体側面と結像面までの光軸上の距離をTL、絞りから前記結像面までの光軸上の距離をSとすると、以下の条件式を満足する請求項26~32の何れか1項に記載の全天球カメラ。
0.20 < S/TL < 0.80
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ、フィルムカメラ、ビデオカメラ等の撮影に適した光学装置、全天球カメラ及び全天球カメラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な分野で広視野光学装置として、全天球カメラ(全天球撮影が可能なカメラ)、立体視用光学装置、パノラマ撮像光学装置等が利用されている。これらの光学装置では、広い撮像視野、すなわち広画角で高い性能を持たせるために、高性能のレンズ系を用いたり、複数のレンズ系を組み合わせて複数の結像画像を取得したりすることが行われている。
高性能のレンズ系を用いた場合にはレンズ枚数の増加や、広画角化によるレンズ径方向の増大で、レンズ系全体が大きくなっていた。又、高性能のレンズ系に合わせて高い解像力が得られるよう画素数を増加することが要望されていた。
複数のレンズ系を組み合わせた場合には全てのレンズ系を配置する関係上、光学装置全体が大きくなりがちであった。又、それらのレンズ系から得られる複数の画像をつなぎ合わせるために多くの画素数を使用することが要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国出願公開第2018/0332206号
【発明の概要】
【0004】
第一の形態に係る全天球カメラは、複数のレンズ系を有し、それぞれのレンズ系の光軸及び当該光軸を延長した直線が交点を持たない。
【0005】
また、第二の形態に係る全天球カメラは、4個以上のレンズ系を有し、光路が交差する。
【0006】
また、第三の形態に係る光学装置は、センサーとレンズ系を備えた光学装置において、前記レンズ系によって生成されるイメージサークルの一部がセンサーの外側にある。
【0007】
また、第四の形態に係る全天球カメラ又は光学装置は、同一平面上に配置されたセンサーで複数のレンズ系による結像画像を受光する。
【0008】
また、第五の形態に係る全天球カメラの製造方法は、複数のレンズ系を有しそれぞれのレンズ系の光軸及び当該光軸を延長した直線が交点を持たないように配置するか、4個以上のレンズ系を有し光路が交差するように配置するか、センサーとレンズ系を備えた光学装置において前記レンズ系によって生成されるイメージサークルの一部が前記センサーの外側にある光学装置を少なくとも4個配置する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一の形態に係る全天球カメラ(正四面体)の概略図である。
【
図2】第一の形態に係る全天球カメラ(正四面体)の実施形態である。
【
図3】第一の形態に係る全天球カメラ(正六面体)の実施形態である。
【
図4】第一の形態に係る全天球カメラ(正十二面体)の実施形態である。
【
図5】第一の形態に係る全天球カメラ(正四面体)の説明図である。
【
図6】第一の形態に係る全天球カメラ(正六面体)の説明図である。
【
図7】第一の形態に係る全天球カメラ(正六面体)の説明図である。
【
図8】第一の形態に係る全天球カメラ(正六面体)の説明図である。
【
図9】第一の形態に係る全天球カメラ(正六面体)の説明図である。
【
図10】第一の形態に係る全天球カメラ(正六面体)の説明図である。
【
図11】第一の形態に係る全天球カメラ(正六面体)の説明図である。
【
図12】第二の形態に係る全天球カメラ(正四面体)の説明図である。
【
図13】第二の形態に係る全天球カメラ(正四面体)の説明図である。
【
図14】第二の形態に係る全天球カメラ(正四面体)の説明図である。
【
図15】第二の形態に係る全天球カメラ(正四面体)の説明図である。
【
図16】第三の形態に係るイメージセンサー内の多角形形状の面積比の説明図である。
【
図17】第三の形態に係るイメージセンサー内の正三角形形状(正四面体等)の面積比の説明図である。
【
図18】第三の形態に係るイメージセンサー内の正方形形状(正六面体)の面積比の説明図である。
【
図19】第三の形態に係るイメージセンサー内の正五角形形状(正十二面体)の説明図である。
【
図20】第四の形態に係る光学装置の説明図である。
【
図21】第四の形態に係る光学装置の説明図である。
【
図22】第四の形態に係る光学装置の説明図である。
【
図23】第五の形態に係る全天球カメラの製造方法1を示すフロー図である。
【
図24】第五の形態に係る全天球カメラの製造方法2を示すフロー図である。
【
図25】第五の形態に係る全天球カメラの製造方法3を示すフロー図である。
【
図26】第1実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図27】第1実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図28】第2実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図29】第2実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図30】第3実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図31】第3実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図32】第4実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図33】第4実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図34】第5実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図35】第5実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図36】第6実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図37】第6実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図38】第7実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図39】第7実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図40】第8実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図41】第8実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図42】第9実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図43】第9実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図44】第10実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図45】第10実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図46】第11実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図47】第11実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図48】第12実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図49】第12実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図50】第13実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図51】第13実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図52】第14実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図53】第14実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図54】第15実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図55】第15実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図56】第16実施例に係るレンズ系の断面図である。
【
図57】第16実施例に係るレンズ系の諸収差図である。
【
図58】一般的な全天球カメラの概略図(正四面体、正六面体、正十二面体)である。
【
図59】正四面体の1個の面から被写体を取り込むために必要な最大角度の説明図である。
【
図61】全天球カメラ及び光学装置の説明図である。
【
図63】一般的な正四面体のセンサーの配置を説明する図である。
【
図64】一般的な正四面に配置されるレンズ系の配置図である。(2)は(1)のレンズ系から最物体側レンズ以外のレンズを非表示したものである。
【
図65】2つのセンサーで2つのレンズ系を撮像する光学装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態に係る光学装置、全天球カメラ及び全天球カメラの製造方法について説明する。ただし、以下の各実施形態に限定されるものではなく、任意の組み合わせでも良い。また、各実施形態に係る図に対する各参照符号は、参照符号の増大による説明の煩雑化を避けるため、図面ごとに独立して用いている場合がある。ゆえに、他の図面と共通の参照符号を付していても、それらは他の図面とは必ずしも共通の構成ではない。
【0011】
また、以下全天球カメラを説明するにあたって、本明細書では、球、多面体(正多面体、正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体、三角柱等)及び多角形(正多角形、正三角形、正方形、正五角形、三角形、四角形、長方形等)という用語を用いる。ただし、これらの用語は、実体の無い仮想的な形状を表現するものとして使用し、各実施形態の物としての構成要素には含まれない場合がある。
【0012】
例えば、全天球撮影を2個のレンズ系で行う場合、1個のレンズ系で半球を担う事になり、撮影領域として少なくとも画角2ω=180°(度)が必要になる。このように1個のレンズ系で担う撮影領域を、以下、2ωAと表記する。ただしωを半画角とする。
実際には、視差、スティッチング(画像の張り合わせ)、製造誤差等を考えた画角も必要になる。例えばそれに対応する画角を40°とすると、180°+40°=220°が必要な画角となる。以下、これを2ωBと表記する。
【0013】
一般的にレンズ枚数や全長が同じレンズ系で比較すると、標準レンズの画角から離れる程、広角レンズにおいては画角が広くなる程、光学性能は低下する。
一方でこれまでより高い解像力で撮影を行いたいという要望があり、高い光学性能が求められている。
そこでレンズ系の数を2より増やす事で、1個のレンズ系が担う画角の負担を狭くする、すなわち、画角を狭くする事が考えられてきている。
【0014】
まずは、球を想定し、それを4つ以上に分割することを考える。
この場合、球を分割する際に各部が均等である事が望ましい。均等に分割することで、レンズ系を共通にすることができ、得られる画像の解像力も同じにすることができるからである。
【0015】
例えば、球面を均等に分割する方法として、球内部に仮想的な正多面体を考える。正多面体は正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体の5つがある。1個の面に1個のレンズ系を割り当てればよく、
図58には、そのような正多面体として、正四面体(
図58(1)参照。)、正六面体(
図58(2)参照。)及び正十二面体(
図58(3)参照。)にレンズ系を配置した例が示されている。
ここで
図59に図示されている正四面体について考えてみる。
図59は不図示の球に内接する正四面体であり、球の中心Oから正四面体の面CBDを見込む最大の角度(
図59においてω=角度HOB)を求めると2ωA=141.06°となる。またこの角度は正四面体であれば全ての面において共通である。
【0016】
次に、球面の均等な分割ではなく、各レンズ系の画角が共通になるように球を分割する方法も考えられる。正多面体ではない場合として例えば三角柱が考えられる。三角柱5面のうち、2面が三角形、3面が四角形となる。四角形は長方形とし短辺と長辺の比を1:√3とすればよい。三角形は正三角形とし、四角形の長辺と共通の辺とすればよく、辺の長さの比は√3になる。このとき、2ωA=126.87°となる(
図60(1)参照。)。
同様に五角柱の場合、2面が五角形、5面が四角形となる。四角形は長方形とし短辺と長辺の比を(1+√5):(10-2√5)とすればよい。このとき、2ωA=102.1°となる(
図60(2)参照。)。
【0017】
このように球の内部に多面体を考え、多面体の各面にレンズ系を割りあてる事で、球を4つ以上に分割することができる。
具体的には、まず球を想定し、想定した球の内部に仮想的な多面体を有するようにし、その多面体の全ての面に対して、一つの面に一つのレンズ系を割り当てる。
また、各レンズ系はそれぞれ割り当てられた面に入射する光束を余すことなく取り込めるように、例えばその面に垂直な軸を光軸とし、球の外部方向を物体側、球の内部方向を像側となるように配置することで、複数のレンズ系を割り当て全天球カメラとする事ができる。
この場合、例えば全てのレンズ系の光軸及び当該光軸を延長した直線が上記多面体の重心(幾何中心)位置で交差するようにレンズ系を配置したり、全てのレンズ系の光軸及び当該光軸を延長した直線が上記多面体の各面の重心位置を通るように配置したりする事ができる。
【0018】
次に全天球カメラについて
図61で説明する。
なお、本明細書において、レンズ系とセンサーを備えたものを光学装置と表記し、全天球カメラは1個の光学装置又は複数の光学装置から構成されているものとする。
但し、光学装置であってもレンズ系としての特徴(例えば光軸等)を含めて説明を行う際にはレンズ系と表記する場合がある。
図61は、光学装置OLを搭載した全天球カメラCAMの構成の一例を示す図である。
【0019】
図61で示すように、全天球カメラCAMは、レンズ系2とセンサー3を有する光学装置OL及びそれと共通の光学装置を3つ、計4個の光学装置を備えた全天球カメラである。
以下、光学装置OLについての撮影原理を説明する。ただし、撮影原理が共通する他の3個の光学装置の説明は省略する。
【0020】
全天球カメラCAMにおいて、不図示の物体(被写体)からの光は、レンズ系2によって集光されて、不図示のOLPF(Optical low pass filter:光学ローパスフィルタ)を介してセンサー3の撮像面上に被写体像を形成する。そして、センサー3に設けられた光電変換素子によって被写体像が光電変換されて被写体の画像が生成される。この画像は、全天球カメラCAMに設けられた不図示の画像処理装置によって、他の3個の光学装置による画像と繋合わされて全天球画像となる。全天球画像は、電気通信回線によって不図示の表示装置に送られる。撮影者は、表示装置等を介して被写体を観察することができる。また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、センサー3で生成された被写体の画像が他の3個の光学装置による画像と繋合わされて全天球画像となり、不図示のメモリー等に記憶される。このようにして、撮影者は全天球カメラCAMによる被写体の撮影を行うことができる。
【0021】
なお、全天球カメラCAMとして、正四面体に対応する全天球カメラの例を説明したが、他の多面体に対応する全天球カメラについても光学装置の構成、機能等は同様なので説明を省略する。また、光学装置、全天球カメラは上記構成のものに限られない。
【0022】
ここで、多面体を構成する多角形について考える。
図62で示すとおり、正四面体、正八面体、正二十面体は各面が正三角形、正六面体は各面が正四角形、正十二面体は各面が正五角形、から成る。
このことは、多面体の各面に割り当てられたレンズ系による必要となる像の形状も同様に考えられる。
すなわち、正四面体、正八面体、正二十面体は像の形状が正三角形、正六面体は像の形状が正四角形、正十二面体は像の形状が正五角形、と成る。
また、レンズ系について、多面体の各面を見込む最大の角度については、
図62で示すとおり、正四面体は141.1度、正六面体は109.5度、正八面体は109.5度、正十二面体は74.8度、正二十面体は74.8度となっている。
【0023】
(第一の形態及び第二の形態)
多面体の構成におけるレンズ系配置について、これまで公知技術が幾つか開示されていたが、小型化に適する配置については開示されていなかった。
これについて、まず正四面体の構成におけるレンズ系配置について説明する。
【0024】
正四面体について、
図63(1)で示すように各面に割り当てられた4個のレンズ系による光軸又は当該光軸を延長した直線が正四面体の中心Oで交わる場合には、センサー同士が接触しないように中心部にスペースを設ける事が必要になる。
これを説明するために、まず、
図63(2)に記載のような正四面体を構成する正三角形の面について考えてみる。
【0025】
センサーISの位置に対し、通常通りイメージサークルICを配置した
図63(2)では、センサーISの短辺とイメージサークルICが内接し、さらにイメージサークルICの外側に正三角形Aが位置するように配置されている。この場合、イメージサークルIC、センサーIS、正三角形Aのそれぞれの中心Cは一致する。全ての面がこのような正三角形Aとなる正四面体を考える事で、センサーが正三角形の内部に位置することになり、センサー同士の接触を防ぐ事ができる。
しかし、このように構成された正四面体の内部にはセンサーを配置する事ができない。すなわちレンズ系が正四面体の中心部から離れることになり、全天球カメラ全体が大型化してしまう(
図58(1)、
図63(1)、
図64参照)。
【0026】
また、正六面体構成の光学装置配置についても、
図58(2)で示すように6個の光軸又は当該光軸を延長した直線が中心で交わる場合、センサー同士が接触しないように中心部にスペースを設ける事が必要になり、正四面体と同様にその内部には光学装置、センサーを配置することができない。すなわち光学装置が正六面体の中心部から離れることになり大型化する。
さらに、正十二面体構成の光学装置配置についても、
図58(3)で示すように12個の光軸又は当該光軸を延長した直線が中心で交わる場合、センサー同士が接触しないように中心部にスペースを設ける事が必要になり、正四面体及び正六面体と同様にその内部には光学装置、センサーを配置することができない。すなわち光学装置が正十二面体の中心部から離れることになり大型化する。
また、正八面体及び正二十面体についても、これらと同様に大型化する要因となっている。
そこで、本実施形態1の全天球カメラを次のように構成した。
【0027】
<実施形態1>
本実施形態1に係る全天球カメラは、複数のレンズ系を有し、それぞれのレンズ系の光軸及び当該光軸を延長した直線が交点を持たない。
この構成とすることで、画質を向上させ、複数のレンズ系を有しているにも関わらず、全天球カメラ全体を小型化することが可能となる。
図1は4個のレンズ系の光軸及び該光軸を延長した直線(以下、「光軸」という。)が交点を持たないことを示す概略図である。また、
図2は
図1の実施形態を2個示したものである。
このように、正四面体の場合、4個の光軸が中心部Oで交わらないので、センサー同士が接触しないように中心部にスペースを設ける必要がなくなり、全天球カメラ全体を小型化することができる。
【0028】
また、正六面体の場合も同様に、
図3(1)、
図3(2)、
図3(3)で示すように、6個の光軸が中心部で交わらないので、センサー同士が接触しないように中心部にスペースを設ける必要がなくなり、全天球カメラ全体を小型化することが可能になる。
さらに、正十二面体の場合も同様に、
図4で示すように、12個の光軸が中心部Oで交わらないので、センサー同士が接触しないように中心部にスペースを設ける必要がなくなり、全天球カメラ全体を小型化することができる。
他の多面体についても、同様に上記構成とすることで、全天球カメラ全体を小型化することが可能になる。
【0029】
本実施形態1に係る全天球カメラは、前記レンズ系の数が4個以上であることが望ましい。
この構成とすることで、4個以上のレンズ系による高画質な画像を得た上で、小型化を図ることができる。
【0030】
本実施形態1に係る全天球カメラは、前記レンズ系の数が、4個、6個、8個、12個又は20個であることが望ましい。
この構成とすることで、正多面体、すなわち、正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体及び正二十面体に対応した適切な数のレンズ系を有した全天球カメラを実現することができる。
【0031】
本実施形態1に係る全天球カメラは、前記レンズ系が全て同じレンズ系であることが望ましい。
この構成とすることで、全てのレンズ系に対して同様の部材や処理機構を使用することができ、シンプルで組立調整作業が容易となり効率的な生産が行える。またレンズ系の諸元や収差が全て同じなので、制御やスティッチング等しやすくなり、処理速度が向上する。さらにシンプルな構成は小型化や高画質化にも寄与する。
【0032】
本実施形態1に係る全天球カメラは、最大画角が140度以上である前記レンズ系を4個、または、最大画角が109度以上である前記レンズ系を8個、または、最大画角が74度以上である前記レンズ系を12個、または、最大画角が74度以上である前記レンズ系を20個備えることが望ましい。
【0033】
この構成とすることで、正四面体、正八面体、正十二面体及び正二十面体のそれぞれに対応した適切なレンズ系を有した全天球カメラを実現することができる。
以下、正四面体、正八面体、正十二面体及び正二十面体のそれぞれに分けて具体的に説明する。
【0034】
(正四面体)
正四面体の場合は、最大画角が140度以上である前記レンズ系を4個備えることが望ましい。
この構成とすることで、正四面体に対応した適切なレンズ系による高画質な画像を得ることができ、又、全天球カメラ全体を小型化することができる。
最大画角が140度未満の場合には、全天球カメラとして適切な画像を構成するために必要な視野の画像を取り込むことができない。
最大画角が150度以上の場合には、視差や製造誤差に対して良好な効果があり好ましい。
最大画角が160度以上の場合には、スティチングの効果をさらに高めることができて好ましい。
【0035】
例えば、
図5(1)で示すように正四面体ADEFの各面に割り当てられた4個のレンズ系(不図示)による4個の光軸(GA、FB、HD、EC)が正四面体の中心Oで交わる場合に、正四面体と頂点(A、D、E、F)を共有する正六面体ABDCHEGFを考える。このうち正六面体の上面の正方形に位置する4個の光軸の頂点(A、B、D、C)のみを真上から見て時計回りに正方形の辺の中点(a,b,d,c)まで移動したとする(
図5(2)参照)。この場合、4個のレンズ系それぞれで必要となる画角は少なくとも2ωA=157.8°である。
これにより4個の光軸が中心で交わらない配置となり、例えば
図1で示すように全天球カメラ全体を小型化することができる。
図2の(1)はこの実施形態を示したものである。
なお、レンズ系の光軸及び該光軸を延長した直線が交点を持たないようにするためには、上記正六面体の上面の正方形に位置する光軸の頂点(A、B、D、C)について、上記正方形の辺の中点(a,b,d,c)への移動に限らず、各辺上の移動量を共通にして上記中点以外の場所に移動しても構わず、さらには各辺上の移動量を共通にしなくても構わない。
図2の(2)はこの実施形態を示したものである。
【0036】
(正八面)
正八面体の場合は、最大画角が109度以上である前記レンズ系を8個備えることが望ましい。
この構成とすることで、正八面体に対応した適切なレンズ系による高画質な画像を得ることができ、又、全天球カメラ全体を小型化することができる。
最大画角が109度未満の場合には、全天球カメラとして適切な画像を構成するために必要な視野画像を取り込むことができない。
最大画角が120度以上の場合には、視差や製造誤差に対して良好な効果があり好ましい。
最大画角が140度以上の場合には、スティチングの効果をさらに高めることができて好ましい。
【0037】
(正十二面)
正十二面体の場合は、最大画角が109度以上である前記レンズ系を12個備えることが望ましい。
この構成とすることで、正十二面体に対応した適切なレンズ系による高画質な画像を得ることができ、又、全天球カメラ全体を小型化することができる。
最大画角が109度未満の場合には、全天球カメラとして適切な画像を構成するために必要な視野画像を取り込むことができない。
最大画角が120度以上の場合には、視差や製造誤差に対して良好な効果があり好ましい。
最大画角が140度以上の場合には、スティチングの効果をさらに高めることができて好ましい。
【0038】
(正二十面)
正二十面体の場合は、最大画角が74度以上である前記レンズ系を20個備えることが望ましい。
この構成とすることで、正二十面体に対応した適切なレンズ系による高画質な画像を得ることができ、又、全天球カメラ全体を小型化することができる。
最大画角が74度未満の場合には、全天球カメラとして適切な画像を構成するために必要な視野画像を取り込むことができない。
最大画角が90度以上の場合には、視差や製造誤差に対して良好な効果があり好ましい。
最大画角が100度以上の場合には、スティチングの効果をさらに高めることができて好ましい。
【0039】
(正六面)
本実施形態1に係る全天球カメラは、最大画角が109度以上である前記レンズ系を6個備えることが望ましい。
この構成とすることで、正六面体に対応した適切なレンズ系による高画質な画像を得ることができ、又、全天球カメラ全体を小型化することができる。
最大画角が109度未満の場合には、全天球カメラとして適切な画像を構成するために必要な視野画像を取り込むことができない。
最大画角が120度以上の場合には、視差や製造誤差に対して良好な効果があり好ましい。
最大画角が140度以上の場合には、スティチングの効果をさらに高めることができて好ましい。
【0040】
正六面体の場合には、例えばそれぞれの光学装置を、正六面体の重心を通る光軸及び当該光軸を延長した直線(以下、「光軸」という。)に対して平行移動することを考える。
図3(1)は、光軸が交点を持つ
図58(2)の光学装置をそれぞれ光軸に対して垂直方向に平行移動したものである。
このままだと、まだ小型化に寄与していないが、
図3(2)、
図3(3)のように光軸を平行移動した後、光軸方向にお互いの光学装置が接近するように移動させることで、小型化を実現することができる。
【0041】
これについては、
図6~
図8による詳細な説明を行う。
通常、全天球カメラに適したレンズ系は、広画角であり、最物体側レンズの物体側面が全レンズ系の中で一番大きな最大有効径となっている。この最大有効径をφ1とすると、例えば
図6(1)で示すように、φ1を底面の直径とし、光軸方向の長さSLを高さとする仮想的な円柱(以下、「円柱」という。)が想定でき、その内部にはレンズ系及び光学装置(又はその一部)を配置することができる。
図6(2)及び
図7(1)はそのような内部にレンズ系が配置された円柱を斜めから見た図である。
次に、正六面体を構成する全てのレンズ系に対して同様な円柱を想定すると、全天球カメラを実現させるために、例えば前述の通り、
図3(1)~(3)のように移動させる事が考えられる。
【0042】
具体的には、
図7(2)で示すように例えば正六面体の重心を通る光軸xを垂直方向に距離k平行移動させて光軸x’とし、それを軸とする円柱(レンズ系)とし、このような平行移動を全ての円柱に対して行い、さらにお互いの円柱が干渉しない範囲で、全ての円柱の重心位置、または、それぞれのレンズ系の最物体側レンズ面から光軸上の長さが、最物体側面と結像面までの光軸上の距離をTLとしたとき、TL/2離れた光軸上の位置、がお互いに接近するように円柱(レンズ系)全体を光軸方向に移動させた配置を考える。なお、前記「お互いに接近するように」とは全天球カメラを構成する各種部材等による制約等を考慮すると、円柱間またはレンズ系間の前記位置でのお互いの円柱が干渉しない最短距離の1.5倍以内の距離であることが望ましい。
【0043】
また、
図7(2)の配置だとφ1とkの長さは等しく、SLの長さはφ1の長さの3倍となり、この場合円柱間で干渉することはない。また、センサーを正六面体の中心部に配置する必要もなくなるので、小型化が可能となる。
図7(2)に正六面体を重ねると、
図7(3)となり、説明しやすいように円柱を消去した
図7(4)に対して、例えば、
図7(2)の円柱(a,b,c,d,e,f)及び
図7(1)で示すようにレンズ系の物体側から順番に1、2、3と3等分した成分は、
図8で示されるように配置される。なお、
図7(2)の配置だとSLはφ1の3倍の長さであるが、本実施形態1はこの配置に限らない。
ここで、
図8の「上」は
図7(4)を上から見た場合の上の段の配置である。
また、
図8の「中」は
図7(4)を上から見た場合の中の段の配置である。
さらに、
図8の「下」は
図7(4)を上から見た場合の下の段の配置である。
例えば、
図8の「上」の「a1」とは、
図7(1)の「1」に区分された、
図7(2)の「a」の円柱であることが理解できる。
また、例えば
図8の「中」の「e2」とは、
図7(1)の「2」に区分された、
図7(2)の「e」の円柱であることが理解できる。
円柱(a)について考えた場合、a1を物体側、a3を像側となるよう光学系を配置する。円柱(b,c,d,e,f)についても同様に(b,c,d,e,f)1を物体側、(b,c,d,e,f)3を像側に配置する事で、6個の光学系が正六面体の全ての面から画像を得ることができる。なお、(a,b,c,d,e,f)1を像側、(a,b,c,d,e,f)3を物体側に配置してもよい。
正六面体に対してこのような配置を行うことによって、6個のレンズ系による高画質な画像を得た上で、空間を有効に利用する事ができ、全天球カメラ全体を適切に小型化することができる。
【0044】
本実施形態1に係る全天球カメラは、前記レンズ系の最物体側面と結像面までの光軸上の距離をTL、前記レンズ系の最物体側レンズの物体側面の最大有効径をφ1とすると、以下の条件式を満足する。
1.0 < TL/φ1 < 5.0 (1)
【0045】
条件式(1)は正六面体に対応した全天球カメラを小型化するためのレンズ系に対する条件式である。
まず、TLの長さとSLの長さとの関係を
図6及び
図9により説明する。
例えば、
図6(1)で示されるレンズ系はTLの長さが前記円柱の長さSLよりも若干短いが、それ程変わらす、ほぼ同じ長さとなっている。
この円柱を斜めから見ると
図6(2)のようになる。
そして、前述のように正六面体を構成する全てのレンズ系に対して同様な円柱を想定すると、全天球カメラを実現させるために、例えば、
図9のような配置を考えることができる。
図9で示すように、円柱dの長さSLはφ1の3倍の長さとなり、また、前述の通り
図6(1)で示されるレンズ系のTLもほぼ同じ長さとなる。すなわち、条件式(1)の値は約3(TL/φ1≒3)となる。なお、他の円柱についても不図示ではあるが円柱dと同様である。この場合、全ての円柱が立方体内(
図7(4)参照)にも収まるので、このレンズ系は正六面体に対応した全天球カメラの小型化に適したレンズ系であるといえる。
また、
図9のようにTLが、φ1と同じ長さの場合をt1、φ1の5倍の長さの場合をt3とすると、TLがt1からt3の範囲内であれば正六面体に対応した全天球カメラの小型化に適したレンズ系が可能となり、条件式(1)はこれを示している。
【0046】
一方で条件式(1)の上限値を上回ると、レンズ系のTLが上記t3を超えて、TLがφ1に対して必要以上に長くなり、その結果、全天球カメラ全体が大きくなってしまう。
条件式(1)の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を4.5とすることが好ましく、4.0、さらに3.5であることがより好ましい。
また、条件式(1)の下限値を下回ると、レンズ系のTLが上記t1未満となり、レンズ系の光軸方向の長さが必要以上に短くなるのに対し、φ1に比例する光軸の平行移動量が相対的に大きくなってしまい、その結果、全天球カメラ全体が大きくなってしまう。
条件式(1)の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を1.5とすることが好ましく、2.0、さらに2.5であることがより好ましい。
【0047】
なお、上記全天球カメラの構成ではφ1とkの長さが等しいものであったが、この構成に限らない。1≦k/φ1であれば、本実施形態1に含まれる。また、1≦k/φ1≦7であることが小型化に望ましい。
【0048】
次に、全天球カメラ全体で使用する適切なレンズ系としては、物体側から2番目のレンズの物体側面の最大有効径をφ2とすると、例えば、
図10(1)で示すように、φ2を底面の直径とし、光軸方向の長さSLを高さとする仮想的な円柱(以下、「円柱」という。)が想定でき、その内部には対応するレンズ系の内、最大有効径の長さが長い第1レンズを除く、他の全てのレンズ又は他の一部のレンズを配置することができる。こうすることで、前述の
図6(1)で示したφ1を底面とした場合よりも円柱を細くすることができる。
また、前述
図7(2)におけるkとφ1との関係と同様に配置し、φ2とkの長さを等しくし、SLの長さをφ2の長さの3倍とすることで、円柱間で干渉させず、センサーを正六面体の中心部に配置する必要もなくし、さらなる小型化が可能となる。
図10(2)はそのような内部にレンズ系の一部が配置された円柱を斜めから見た図である。
ここで、10(2)で示すようにレンズ系に光線が入射してくる方向から順番に1、2、3と3等分したものを考える。
そうすると、前述
図6のレンズ系と同様に
図8で示すように配置される。
正六面体に対してこのような配置を行うことによって、6個のレンズ系による高画質な画像を得た上で、空間を有効に利用する事ができ、全天球カメラ全体を適切に小型化することができる。
【0049】
本実施形態1に係る全天球カメラは、前記レンズ系の最物体側面と結像面までの光軸上の距離をTL、前記レンズ系の物体側から2番目のレンズの物体側面の最大有効径をφ2とすると、以下の条件式を満足する。
1.0 < TL/φ2 < 10.0 (2)
【0050】
条件式(2)は正六面体に対応した全天球カメラをより小型化するためのレンズ系に対する条件式である。
まず、TLの長さとSLの長さとの関係を
図10及び
図11により説明する。
例えば、
図10(1)で示されるレンズ系はTLが円柱のSLよりも物体側及び象側の両側で長くなっており、SLはφ2の3倍、TLはφ2の約4倍の長さとなっている。
この円柱を斜めから見ると
図10(2)のようになる。
そして、前述のように正六面体を構成する全てのレンズ系に対して同様な円柱を想定すると、全天球カメラを実現させるために、例えば、
図11のような配置を考えることができる。この場合、
図11で示すように、円柱dの物体側(紙面下側)方向t0の長さは、レンズ系の最物体側レンズの物体側面と物体側から二番目のレンズの物体側面までの光軸上の距離である。又、t0の領域に最物体側レンズL11dが配置されるが、この領域はレンズの径方向では隣接して配置された円柱とは干渉しないので、φ2よりも大きくする事が可能である。また円柱dの長さSLはφ2の3倍の長さとなっているのに対して、TLの長さは、φ2の約4倍の長さとなっている。なお、他の円柱についても不図示ではあるが円柱dと同様である。
この場合、条件式(2)の値は約4(TL/φ2≒4)となり、
図11で示すように、円柱dに対応するレンズ系の最物体側レンズL11d及び象側部分が、立方体(
図7(4)参照)の外側領域にはみ出してしまうが、これとは六面体の重心に対して点対称的に配置された円柱aに対応するレンズ系の象側部分及びレンズ系の最物体側レンズL11aが同様にはみ出ることによって、立方体から一部分が突出してはみ出すのを抑える事ができる。
このような円柱dと円柱aの関係は、円柱bと円柱eの関係、及び円柱fと円柱cの関係も同じである。
このように立方体から一部分が突出してはみ出すのを抑える事ができ、正六面体の各面がバランス良くまとまって形成されるので、このレンズ系は正六面体に対応した全天球カメラの小型化に適したレンズ系であるといえる。
よって、条件式(2)の範囲内であれば正六面体に対応した全天球カメラの小型化により適したレンズ系が可能となる。
【0051】
一方で条件式(2)の上限値を上回ると、TLがφ2に対して必要以上に長くなり、その結果、全天球カメラ全体が大きくなってしまう。
条件式(2)の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を9.0とすることが好ましく、8.0、7.0、さらに6.0であることがより好ましい。
また、条件式(2)の下限値を下回ると、レンズ系のTLがφ2未満となり、レンズ系の光軸方向の長さが必要以上に短くなるのに対し、φ2に比例する光軸の平行移動量が相対的に大きくなってしまい、その結果、全天球カメラ全体が大きくなってしまう。
条件式(2)の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を2.0とすることが好ましく、3.0、4.0、さらに5.0であることがより好ましい。
【0052】
なお、上記全天球カメラの構成ではφ2とkの長さが等しいものであったが、この構成に限らない。1≦k/φ2であれば、本実施形態1に含まれる。また、1≦k/φ2≦7であればさらに望ましい。
【0053】
なお、上記正六面体の場合の円柱について、φ1やφ2を底面の直径とし、光軸方向にその3倍の長さSLを高さとする仮想的な円柱を想定したが、円柱はこれに限らない。
レンズ系や光学装置を構成する一部の構成が、光軸を軸とする底面の直径の3倍の高さ(長さ)の仮想的な円柱内に収まるものであれば、例えば
図7(2)で示す配置が実現できるので、本実施形態1とする事ができる。また、その際のkの値は円柱の底面の直径以上の値であればよい。
【0054】
本実施形態1に係る全天球カメラは、前記レンズ系の最物体側面から絞りまでの焦点距離をfa、絞りから最像側面までの焦点距離をfbとすると、以下の条件式を満足することが望ましい。
-20.0 < fa/fb < 20.0 (3)
【0055】
条件式(3)はレンズ系の最物体側面から絞りまで(以下、「前群」という。)の焦点距離と絞りから最像側面まで(以下、「後群」という。)の焦点距離との適切なパワーバランスを規定するものである。この条件式(3)の範囲内であると、像面湾曲や歪曲収差の発生が小さい全天球カメラに合った適度な大きさのレンズ系となるためこのレンズ系との組み合わせにより全天球カメラ全体の小型化が可能となる。条件式(3)の上限値を上回ると、前群の屈折力に対して相対的に後群の屈折力が大きくなり、レンズ系が光軸方向に長くなって全天球カメラ全体が大きくなる。
条件式(3)の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を15.0とすることが好ましく、10.0、7.0、さらに5.0であることがより好ましい。
条件式(3)の下限値を下回ると、前群の屈折力に対して相対的に後群の屈折力が小さくなる結果、前群の相対的パワーが強すぎてしまい、収差補正が困難となる。特に像面湾曲への影響が大きくなる。
条件式(3)の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を-15.0とすることが好ましく、-10.0、-7.0、さらに-5.0であることがより好ましい。
【0056】
本実施形態1に係る全天球カメラは、前記レンズ系の最物体側面と結像面までの光軸上の距離をTL、絞りから前記結像面までの光軸上の距離をSとすると、以下の条件式を満足することが望ましい。
0.20 < S/TL < 0.80 (4)
【0057】
条件式(4)はレンズ系における絞りの位置を規定しており、条件式(4)を満たすと、全天球カメラに合った非点収差とコマ収差が良好に補正(抑制)されたレンズ系を達成できる。
この条件式の下限を下回った場合、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
条件式(4)の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を0.25とすることが好ましく、0.30、0.35、さらに0.40であることがより好ましい。
条件式(4)の上限を上回った場合もコマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
条件式(4)の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を0.75とすることが好ましく、0.70、0.65、さらに0.60であることがより好ましい。
【0058】
本実施形態2の全天球カメラを次のように構成した。
【0059】
<実施形態2>
本実施形態2に係る全天球カメラは、4個以上のレンズ系を有し、光路が交差する。
【0060】
光路の交差について、まず平面で3個のレンズ系を有する場合を考える。
これを光路の概略図で示したのが
図12である。
図12は、3個の面に割り当てられたレンズ系による簡略化された光路だけを示すものである。
3個のレンズ系による光路が交差せず中心Oで光軸が交わる
図12(1)に対して、3個のレンズ系による光路が中心Oで交差する
図12(2)では、それぞれのレンズ系の光路の大きさが変わらずに光路全体の占める領域が少なくなるので、全天球カメラを小型化できることが理解できる。具体的には球の大きさを
図12(1)のCAM1から
図12(2)のCAM2とすることで、長さの比で約50%になるため、面積の比で約25%、体積の比で約12.5%に減少させる事が可能である。
【0061】
次に立体で4個のレンズ系を有する場合を考える。
この構成とすることで、例えば、
図58、
図64、
図13(1)で示すように各面に割り当てられた4個のレンズ系による光軸及び当該光軸を延長した直線(以下、「光軸」という。)が正四面体の中心で交わっていたものが、
図13(2)、
図13(3)のように4個のレンズ系の光路が交差することで、光路が交差した後、それぞれの光路が離れるにつれ、センサー間の距離も離れ、センサー同士の接触が避けられることになり、また、正四面体の中心部にスペースを設ける必要がなくなる。
ここで、本実施形態2の光路が交差するとは物体側から入射した光の内、レンズ系を通過する光線の一部がセンサーに到るまでの間に他のレンズ系を通過する光線の一部と交差することをいう。
なお、
図13(1)は4個のレンズ系の光路が交差しない場合であり、
図13(2)は4個のレンズ系の光路が交差する場合であり、
図13(3)は
図13(2)において、光路の交差部分に最も近いレンズ(物体側、象側各1枚)及び光軸が示されている。
【0062】
また、この構成とすることで、光路が交差する箇所、には何も部材を配置しないか或は各レンズ系で共通となる部材を配置することで、各レンズ系が共有する空間(或は部材)を設けることができ、空間(部材)を有効に利用することができる。また、1個のレンズ系で共有する空間が他の3個のレンズ系でも共有されるため、少なくとも3個のレンズ系分の共通空間が不要となる。さらに、光路が交差した後、結像するまで、光軸間の距離が離れていくので、センサー等をお互いに離れた場所に配置することができるようになり、全体として小型化が可能となる。
【0063】
なお、上記説明は4個のレンズ系からなる正四面体構成に対応するものについてであるが、正四面体以外の他の多面体に対応するものついて、また、そのような多面体に対応するレンズ系が4個以上ある場合も同様のことがいえる。
【0064】
本実施形態2に係る全天球カメラは、4個以上のレンズ系を有する。
この構成とすることで、4個以上のレンズ系によって高画質な画像を得た上で、小型化を図ることができる。
【0065】
本実施形態2に係る全天球カメラは、4個のレンズ系が正四面体の配置を取る。
この構成とする事で、正四面体の4個の面から入射する光束を余すことなく、受光することができ、高画質な画像を得ることができる。
なお、正四面体の配置を取るとは、想定した球の内部に仮想的な正四面体を有し、その正四面体の一個の面に対し一個のレンズ系を割り当て、レンズ系は割り当てられた面に垂直な軸を光軸とし、球の外部方向を物体側、球の内部方向を像側とするように配置されることを意味する。
【0066】
本実施形態2に係る全天球カメラは、前記レンズ系が全て同じレンズ系である。
この構成とすることで、全てのレンズ系に対して同様の部材や処理機構を使用することができ、また、共通部分の構成が同じなので、さらにシンプルで組立調整作業が容易となり効率的な生産が行える。またレンズ系の諸元や収差が全て同じなので、制御やスティッチング等しやすくなり、処理速度が向上する。さらにシンプルな構成は小型化や高画質化にも寄与する。
【0067】
また本実施形態2に係る全天球カメラは、前記レンズ系の最物体側面と結像面までの光軸上の距離をTL、前記光路が交差する箇所と前記結像面までの光軸上の距離をKとすると、以下の条件式を満足する。
0.1 < K/TL < 0.9 (5)
【0068】
条件式(5)は光路が交差する箇所と結像面までの適切な距離を規定するものである。
この条件式(5)の範囲内であると、多面体で表現される全天球カメラを小型化することができる。
以下、
図14、
図15によりこれを説明する。
図14(1)は正八面体である。これを
図14(2)のように正面から見ると、向かい合う面と合わせて正六角形(頂点ABCDEFを結んだ形状が正六角形)となっている。
この
図14(2)で示される正六角形の内側に紙面垂直方向に円柱形状の光路(
図14(2)及び
図14(3)のG)を想定すると、光路は正八面体の向かい合う二面と交差するが、他の六面とは交差しない。この円柱を正四面体の頂点とその頂点と対向する面の中心部を通るように配置すると、
図15(1)のように示される。
図15(2)は
図15(1)から円柱を除いたものである。これは、辺の長さを1とする正八面体と辺の長さを1とする4個の正四面体から構成されており、正八面体の一面と正四面体の1面が重なっている。全体として辺の長さが2となる正四面体となっている。このような正四面体の頂点とその頂点と対向する面の中心部を通る円柱は全部で4個考えられ、これらは正八面体の領域以外では光路が干渉することはない。また円柱はレンズ系の光路の一部だと考えられるので、このようなレンズ系における光路が交差する共通領域である正八面体の領域を同じ媒質、例えば空気やガラスで構成し、正四面体に対応した4個のレンズ系の光路を交差させることで、全天球カメラ全体を小型化することが可能となる。
具体的には、例えばレンズ系を構成するレンズとそのレンズに隣接する他のレンズ等を両者の面間隔が正八面体の向かい合う2面の距離に対応するようにレンズ系を配置し、この面間隔の中点で他のレンズ系の光路(光軸等)と交差するように構成すれば良い。
そして、条件式(5)はこのような全天球カメラを小型化するに適したレンズ系における光路が交差する箇所と結像面までの適切な距離を規定するものである。
【0069】
条件式(5)の範囲内であると、正四面体の中心から離れた箇所にセンサーを配置することができ、センサー間の接触を避け全天球カメラを小型化することができる。条件式(5)の上限値を上回ると、物体側に配置されるレンズ間の距離が近づく事で、物体側レンズ間の接触が生じやすくなる。条件式(5)の上限値を0.85とすることが好ましく、0.8、0.75、0.7、0.65、0.6、さらに0.55であることがより好ましい。
また、条件式(5)の下限値を下回ると、正四面体の中心近くにセンサーが配置されることで、センサー間の接触が生じやすくなる。条件式(5)の下限値を0.15とすることが好ましく、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、さらに0.45であることがより好ましい。
【0070】
また本実施形態2に係る全天球カメラは、最大画角が140度以上であることが望ましい。
この構成とすることで、正四面体に対応した適切なレンズ系による高画質な画像を得ることができ、又、全天球カメラ全体を小型化することができる。
最大画角が140度未満の場合には、全天球カメラとして適切な画像を構成するために必要な視野の画像を取り込むことができない。
最大画角が150度以上の場合には、視差や製造誤差に対して良好な効果があり好ましい。
最大画角が160度以上の場合には、スティチングの効果をさらに高めることができて好ましい。
【0071】
また本実施形態2に係る全天球カメラは、前記レンズ系の最物体側面から絞りまでの焦点距離をfa、絞りから最像側面までの焦点距離をfbとすると、以下の条件式を満足することが望ましい。
-20.0 < fa/fb < 20.0 (6)
【0072】
条件式(6)はレンズ系の最物体側面から絞りまで(以下、「前群」という。)の焦点距離と絞りから最像側面まで(以下、「後群」という。)の焦点距離との適切なパワーバランスを規定するものである。この条件式(6)の範囲内であると、像面湾曲や歪曲収差の発生が小さい全天球カメラに合った適度な大きさのレンズ系となるため好ましい。条件式(6)の上限値を上回ると、前群の屈折力に対して相対的に後群の屈折力が大きくなり、レンズ系が光軸方向に長くなって全天球カメラ全体が大きくなる。
条件式(6)の効果をより確実にするために、条件式(6)の上限値を15.0とすることが好ましく、10.0、7.0、さらに5.0であることがより好ましい。
条件式(6)の下限値を下回ると、前群の屈折力に対して相対的に後群の屈折力が小さくなる結果、前群の相対的パワーが強すぎてしまい、収差補正が困難となる。特に像面湾曲への影響が大きくなる。
条件式(6)の効果をより確実にするために、条件式(6)の下限値を-15.0とすることが好ましく、-10.0、-7.0、さらに-5.0であることがより好ましい。
【0073】
また本実施形態2に係る全天球カメラは、前記レンズ系の光路が交差する部分に隣り合う光学要素のうち、最大の直径をφ3、光路が交差する部分の光軸方向の長さをDとすると、以下の条件式を満足することが望ましい。
0.1 < D/φ3 < 10.0 (7)
【0074】
条件式(7)はレンズ系における光路が交差する部分の適切な範囲を規定するものである。
この条件式(7)の範囲内であると、多面体で表現される全天球カメラを小型化することができる。
以下、
図14、
図15によりこれを説明する。
【0075】
図14(1)は正八面体である。これを
図14(2)のように正面から見ると、向かい合う面と合わせて正六角形(頂点ABCDEFを結んだ形状が正六角形)となっている。
この
図14(2)で示される正六角形の内側に紙面垂直方向に円柱形状の光路(
図14(2)及び
図14(3)のG)を想定すると、光路は正八面体の二面と交差するが、他の六面とは交差しない。この円柱を正四面体の頂点とその頂点と対向する面の中心部を通るように配置すると、
図15(1)のように示される。
図15(2)は
図15(1)から円柱を除いたものである。このような正四面体の頂点とその頂点と対向する面の中心部を通る円柱は全部で4個考えられ、これらは正八面体の領域以外では光路が干渉することはない。また円柱はレンズ系の光路の一部だと考えられるので、このようなレンズ系における光路が交差する共通領域である正八面体の領域を同じ媒質、例えば空気やガラスで構成し、正四面体に対応した4個のレンズ系の光路を交差させることで、全天球カメラ全体を小型化することが可能となる。
具体的には、例えばレンズ系を構成するレンズとそのレンズに隣接する他のレンズ等を両者の面間隔が正八面体の向かい合う2面の距離に対応するようにレンズ系を配置し、この面間隔及び光路の範囲(円柱状の範囲)が他のレンズ系の光路と交差するように構成すれば良い。
そして、条件式(7)はこのような全天球カメラを小型化するのに適したレンズ系における適切な光路が交差する部分(円柱)との関係を規定するものである。
なお、光路が交差する部分とは他の一個のレンズ系の光路の一部と交差すれば本実施形態2の光路が交差する部分とすることができる。
【0076】
条件式(7)の上限値を上回ると、光路が交差する部分の光軸方向の長さが長くなるのに対して、光束の幅が狭くなり、小型化が難しくなったり、暗くなったりするなど光学性能が悪化する。
条件式(7)の上限値を9.0とすることが好ましく、8.0、7.0、さらに6.0であることがより好ましい。
条件式(7)の下限値を下回ると、光路が交差する部分の光軸方向の長さが短くなるのに対して、光束の幅が広くなり、レンズ系の光路が適切に交差できなくなってしまう。
条件式(7)の下限値を0.2とすることが好ましく、0.3、0.4、さらに0.5であることがより好ましい。
【0077】
また本実施形態2に係る全天球カメラは、前記レンズ系の最物体側面と結像面までの光軸上の距離をTL、絞りから前記結像面までの光軸上の距離をSとすると、以下の条件式を満足することが望ましい。
0.20 < S/TL < 0.80 (8)
【0078】
条件式(8)はレンズ系における絞りの位置を規定しており、条件式(8)を満たすと、全天球カメラに合った非点収差とコマ収差が良好に補正(抑制)されたレンズ系を達成できる。
この条件式の下限を下回った場合、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
条件式(8)の効果をより確実にするために、条件式(8)の下限値を0.25とすることが好ましく、0.30、0.35、さらに0.40であることがより好ましい。
条件式(8)の上限を上回った場合もコマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
条件式(8)の効果をより確実にするために、条件式(8)の上限値を0.75とすることが好ましく、0.70、0.65、さらに0.60であることがより好ましい。
【0079】
また本実施形態2に係る全天球カメラは、前記レンズ系の光路が交差する部分で本来の光路以外の光路に光が進み、フレアーやゴーストが発生することが考えられる。従って、光路の周辺に壁やフレアカッターなどを設け遮光することがより好ましい。
【0080】
(第三の形態)
一般の撮影においては、レンズ系によるイメージサークルはその全ての領域がセンサーの内側にあるように構成される。
また、全天球カメラなどで用いられる複数のレンズ系による必要となる結像画像領域は、多角形となる場合が多いが、そのような多角形の結像画像領域はレンズ系によるイメージサークルの内側になるように配置されている。
例えば、前述のように正四面体、正八面体、正二十面体は正三角形の面から構成されるので、それぞれ各面に対応したレンズ系による必要となる結像画像領域は同様に正三角形となるが、通常、これら正三角形は
図17(1)で示すように、センサーISの内側にあるイメージサークルICのさらに内側に位置するように配置されている。
なお、
図17、18、19において、ICはその全ての領域がセンサーの内側にあるイメージサークル、IC’は実施形態3によるレンズ系のイメージサークル、ISはセンサー、K、K’は必要となる結像画像領域、bは撮像センサーの短辺の長さ、Pはセンサーの中心、Oはその全ての領域がセンサーの内側にあるイメージサークルの中心、O’は実施形態3によるレンズ系のイメージサークルの中心である。
【0081】
同様に正六面体は正四角形の面から構成されるので、それぞれ各面に対応したレンズ系による必要となる結像画像領域は正四角形となるが、通常、これら正四角形は
図18(1)で示すように、その全ての領域がセンサーの内側にあるイメージサークルICのさらに内側に位置するように配置されている。
【0082】
また、同様に正十二面体は正五角形の面から構成されるので、それぞれ各面に対応したレンズ系による必要となる結像画像領域は正五角形となるが、通常、これら正五角形は
図19(1)で示すように、その全ての領域が撮像センサーの内側にあるイメージサークルICのさらに内側に位置するように配置されている。
【0083】
このような構成であると視差、スティッチング、製造誤差等については有利となるが、スティッチング後に得られる画像の画素数は少なくなってしまう。これまで、正四面体、正六面体に対応する光学装置などの配置について提案されているが、空間的な配置のみであり、具体的な光学装置自体の提案やセンサー配置の提案は行われていなかった。
また、このような状況は全天球カメラだけに限った事ではなく、例えば、立体視用の光学装置等においても同様の状況であった。そこで、本実施形態3の光学装置を次のように構成した。
【0084】
<実施形態3>
本実施形態3に係る光学装置は、センサーとレンズ系を備えた光学装置において、前記レンズ系によって生成されるイメージサークルの一部がセンサーの外側にある。
この構成とすることで、撮像センサーの短辺bよりイメージサークルの直径を大きくすることができるので、撮像に用いられる撮像センサーの画素数を増やす事ができる。
具体的には
図17(1)で示される正三角形状の結像画像領域Kを
図17(2)のK’のようにセンサーISに内接するように構成する事ができ、センサーの撮像する際の画素数を増やす事ができる。
また、
図18(1)で示される正方形状の結像画像領域Kを
図18(2)のK’のようにセンサーに内接するように構成する事ができ、センサーの撮像する際の画素数を増やす事ができる。
さらに、
図19(1)で示される正五角形状の結像画像領域Kを
図19(2)のK’のようにセンサーに内接するように構成する事ができ、センサーの撮像する際の画素数を増やす事ができる。
【0085】
また、
図16では、正多面体に対応した正多角形の形状に関わらずレンズ系によって生成されるイメージサークル内の必要画像形状が正三角形、正四面形、正五角形、正六角形、正八角形及び正十角形の場合が示されている。通常は、
図16の左側のイメージサークルとセンサーとの関係図に示すようにセンサーに内接したイメージサークル内の領域の内側にさらにこれらの多角形が内接するように構成されている。
本実施形態3では、
図16の右側のイメージサークルとセンサーとの関係図に示すようにレンズ系によって生成されるイメージサークルの一部がセンサーの外側にあるように構成することで、これら多角形がセンサーに内接するように構成することができ、撮像センサーの撮像領域を広げることが可能となり、撮像する際の画素数を増やす事ができる。
【0086】
本実施形態3に係る光学装置は、前記イメージサークルの面積をS2とし、前記センサーに内接するイメージサークルの面積をS1とすると、以下の条件式を満足する。
S2/S1 > 1.10 (9)
【0087】
条件式(9)はセンサーに内接するイメージサークルの面積と前記レンズ系によって生成されるイメージサークルの面積の適切な面積比(S2/S1)を規定するものである。
この構成とすることで、センサーに内接するイメージサークルの面積よりも前記レンズ系によって生成されるイメージサークルの面積を大きくすることができるので、その分画素数を増やす事ができる。
この面積比は、前述の
図16で示すように、レンズ系によって生成されるイメージサークル内の必要画像形状が、例えば正三角形、正四面形、正五角形、正六角形、正八角形又は正十角形の場合には、それぞれ、1.78、2.00、1.22、1.33、1.17、1.11となる。すなわち、例えば全天球カメラなどで用いられる複数のレンズ系による必要となる結像画像領域は多角形となる場合が多いが、これら多角形の画素数を、この面積比の割合に応じてセンサー内の結像画像領域が広がる事で増やすことができる。よって、この条件式(9)の範囲内であると、上記示した全ての多角形の場合に要するセンサー画素数を増やす事ができる。
条件式(9)の下限値を下回ると、センサー画素を有効に利用することができない。
条件式(9)の効果をより確実にするために、条件式(9)の下限値を1.15とすることが好ましく、1.20、1.25さらに1.30であることがより好ましい。
【0088】
本実施形態3に係る光学装置は、前記センサーの中心位置とイメージサークルの中心位置が異なる。
この構成とすることで、撮像センサーの短辺よりイメージサークルの直径を大きくすることができるのでその分画素数を増やす事ができる。
これを具体的に示したのが
図17、19である。
図17は正四面体、正八面体及び正十二面体の面を構成する正三角形に対応した必要画像形状が正三角形の場合の説明図であり、
図19は正十二面体の面を構成する正五角形に対応した必要画像形状が正五角形の場合の説明図である。
通常は、
図17(1)又は
図19(1)に示すようにセンサーに内接したイメージサークル内の領域の内側に、さらに正三角形又は正五角形が内接するように構成されている。
本実施形態3では、
図17(2)又は
図19(2)に示すようにセンサーの中心位置Pとレンズ系によって生成されるイメージサークルの中心位置O’が異なるように構成することで、正三角形又は正五角形がセンサーに内接するように構成することができ、撮像センサーの撮像領域を広げることが可能となり、撮像する際の画素数を増やす事ができる。
【0089】
本実施形態3に係る光学装置は、以下の条件式を満足することが望ましい。
0.00 ≦ d/b ≦ 0.17 (10)
但し、
d:センサーの中心位置とイメージサークルの中心位置とのセンサーの短辺方向での距離、
b:センサーの短辺の長さ。
【0090】
条件式(10)はセンサーの中心位置とレンズ系によって生成されるイメージサークルの中心位置とのセンサー短辺方向での適切な距離を規定するものである。この距離dは
図17(2)、
図19(2)で示すようにセンサーの中心位置Pとレンズ系によって生成されるイメージサークルの中心位置O’との距離の差となる。
この条件式(10)の範囲内であると、多面体を構成する多角形、特に正三角形や正五角形、の場合に要するセンサー画素数を増やす事ができる。
条件式(10)の上限値を上回ると、多角形がセンサーに収まりきれずに画像が欠けてしまう。
【0091】
本実施形態3に係る全天球カメラは、前記光学装置を備え、少なくとも4個のレンズ系を有することが望ましい。
この構成とすることで、4個のレンズ系によって高画質な画像を得た上で、小型化を図ることができる。
【0092】
本実施形態3に係る全天球カメラは、前記レンズ系が全て同じレンズ系であることが望ましい。
この構成とすることで、全てのレンズ系に対して同様の部材や処理機構を使用することができ、シンプルで組立調整作業が容易となり効率的な生産が行える。またレンズ系の諸元や収差が全て同じなので、制御やスティッチングしやすくなり、処理速度が向上する。さらにシンプルな構成は小型化や高画質化にも寄与する。
【0093】
本実施形態3に係る全天球カメラは、以下の条件式を満足することが望ましい。
0.10 ≦ d/b ≦ 0.17 (10-1)
【0094】
条件式(10-1)は、条件式(10)に対して全天球カメラに対応する多面体の形状を考慮することにより、センサーの中心位置とイメージサークルの中心位置とのセンサー短辺方向での適切な距離をさらに規定するものである。この距離dは、例えば
図17(2)で示すようにセンサーの中心位置Pとイメージサークルの中心位置O’との距離の差となる。
この条件式(10-1)の範囲内であると、例えば必要となる像の形状が正三角形のもの、すなわち正四面体、正八面体及び正二十面体で表現される全天球カメラにおいて、センサーの画素領域を広く利用することができ、画素数の多い、解像力の高い画像を取得することができる(
図17(2)参照)。
条件式(10-1)の上限値を上回ると、多角形がセンサーに収まりきれずに画像が欠けてしまったり、適切なスティッチングができなかったりする。
条件式(10-1)の効果をより確実にするために、条件式(10-1)の上限値を0.16とすることが好ましく、0.15、0.14さらに0.13であることがより好ましい。
また、条件式(10-1)の下限値を下回ると、センサー画素を有効に利用することができない。
条件式(10-1)の効果をより確実にするために、条件式(10-1)の下限値を0.09とすることが好ましく、0.08、0.07さらに0.06であることがより好ましい。
【0095】
本実施形態3に係る全天球カメラは、前記レンズ系の数が少なくとも7個であり、以下の条件式を満足することが望ましい。
0.01 ≦ d/b ≦ 0.06 (10-2)
【0096】
条件式(10-2)は、条件式(10-1)と同様、条件式(10)に対して全天球カメラに対応する多面体の形状を考慮することにより、センサーの中心位置とイメージサークルの中心位置とのセンサー短辺方向での適切な距離をさらに規定するものである。この距離dは、例えば
図19(2)で示すようにセンサーの中心位置Pとイメージサークルの中心位置O’との距離の差となる。
この条件式(10-2)の範囲内であると、必要となる像の形状が、例えば正五角形のもの、すなわち正十二面体で表現される全天球カメラにおいて、センサーの画素領域を広く利用することができ、画素数の多い、解像力の高い画像を取得することができる(
図19(2)参照)。
条件式(10-2)の上限値を上回ると、多角形がセンサーに収まりきれずに画像が欠けてしまったり、適切なスティッチングができなかったりする。
条件式(10-2)の効果をより確実にするために、条件式(10-2)の上限値を0.05とすることが好ましく、0.04、さらに0.03であることがより好ましい。
また、条件式(10-2)の下限値を下回ると、センサー画素を有効に利用することができない。
条件式(10-2)の効果をより確実にするために、条件式(10-2)の下限値を0.015とすることが好ましく、0.02、さらに0.025であることがより好ましい。
【0097】
本実施形態3に係る全天球カメラは、最大画角が140度以上である前記レンズ系を4個、または、最大画角が109度以上である前記レンズ系を6個、または、最大画角が109度以上である前記レンズ系を8個、または、最大画角が74度以上である前記レンズ系を12個、または、最大画角が74度以上である前記レンズ系を20個備えることが望ましい。
【0098】
この構成とすることで、正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体及び正二十面体のそれぞれに対応した適切なレンズ系を有した全天球カメラを実現することができる。
以下、正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体及び正二十面体に分けて具体的に説明する。
【0099】
(正四面体)
正四面体の場合は、最大画角が140度以上である前記レンズ系を4個備えることが望ましい。
この構成とすることで、正四面体に対応した適切なレンズ系による高画質な画像を得ることができ、又、全天球カメラ全体を小型化することができる。
最大画角が140度未満の場合には、全天球カメラとして適切な画像を構成するために必要な視野の画像を取り込むことができない。
最大画角が150度以上の場合には、視差や製造誤差に対して良好な効果があり好ましい。
最大画角が160度以上の場合には、スティチングの効果をさらに高めることができて好ましい。
【0100】
(正六面)
正六面体の場合は、最大画角が109度以上である前記レンズ系を6個備えることが望ましい。
この構成とすることで、正六面体に対応した適切なレンズ系による高画質な画像を得ることができ、又、全天球カメラ全体を小型化することができる。
最大画角が109度未満の場合には、全天球カメラとして適切な画像を構成するために必要な視野画像を取り込むことができない。
最大画角が120度以上の場合には、視差や製造誤差に対して良好な効果があり好ましい。
最大画角が140度以上の場合には、スティチングの効果をさらに高めることができて好ましい。
【0101】
(正八面)
正八面体の場合は、最大画角が109度以上である前記レンズ系を8個備えることが望ましい。
この構成とすることで、正八面体に対応した適切なレンズ系による高画質な画像を得ることができ、又、全天球カメラ全体を小型化することができる。
最大画角が109度未満の場合には、全天球カメラとして適切な画像を構成するために必要な視野画像を取り込むことができない。
最大画角が120度以上の場合には、視差や製造誤差に対して良好な効果があり好ましい。
最大画角が140度以上の場合には、スティチングの効果をさらに高めることができて好ましい。
【0102】
(正十二面)
正十二面体の場合は、最大画角が109度以上である前記レンズ系を12個備えることが望ましい。
この構成とすることで、正十二面体に対応した適切なレンズ系による高画質な画像を得ることができ、又、全天球カメラ全体を小型化することができる。
最大画角が109度未満の場合には、全天球カメラとして適切な画像を構成するために必要な視野画像を取り込むことができない。
最大画角が120度以上の場合には、視差や製造誤差に対して良好な効果があり好ましい。
最大画角が140度以上の場合には、スティチングの効果をさらに高めることができて好ましい。
【0103】
(正二十面)
正二十面体の場合は、最大画角が74度以上である前記レンズ系を20個備えることが望ましい。
この構成とすることで、正二十面体に対応した適切なレンズ系による高画質な画像を得ることができ、又、全天球カメラ全体を小型化することができる。
最大画角が74度未満の場合には、全天球カメラとして適切な画像を構成するために必要な視野画像を取り込むことができない。
最大画角が90度以上の場合には、視差や製造誤差に対して良好な効果があり好ましい。
最大画角が100度以上の場合には、スティチングの効果をさらに高めることができて好ましい。
【0104】
本実施形態3に係る全天球カメラは、前記レンズ系の最物体側面から絞りまでの焦点距離をfa、絞りから最像側面までの焦点距離をfbとすると、以下の条件式を満足する。
-20.0 < fa/fb < 20.0 (11)
【0105】
条件式(11)はレンズ系の最物体側面から絞りまで(以下、「前群」という。)の焦点距離と絞りから最像側面まで(以下、「後群」という。)の焦点距離との適切なパワーバランスを規定するものである。この条件式(11)の範囲内であると、像面湾曲や歪曲収差の発生が小さい全天球カメラに合った適度な大きさのレンズ系となるため好ましい。条件式(11)の上限値を上回ると、前群の屈折力に対して相対的に後群の屈折力が大きくなり、レンズ系が光軸方向に長くなって全天球カメラ全体が大きくなる。
【0106】
条件式(11)の効果をより確実にするために、条件式(11)の上限値を15.0とすることが好ましく、10.0、7.0、さらに5.0であることがより好ましい。
条件式(11)の下限値を下回ると、前群の屈折力に対して相対的に後群の屈折力が小さくなる結果、前群の相対的パワーが強すぎてしまい、収差補正が困難となる。特に像面湾曲への影響が大きくなる。
条件式(11)の効果をより確実にするために、条件式(11)の下限値を-15.0とすることが好ましく、-10.0、-7.0、さらに-5.0であることがより好ましい。
【0107】
本実施形態3に係る全天球カメラは、前記レンズ系の最物体側面と結像面までの光軸上の距離をTL、絞りから前記結像面までの光軸上の距離をSとすると、以下の条件式を満足する。
0.20 < S/TL < 0.80 (12)
【0108】
条件式(12)はレンズ系における絞りの位置を規定しており、条件式(12)を満たすと、全天球カメラに合った非点収差とコマ収差が良好に補正(抑制)されたレンズ系を達成できる。
この条件式の下限を下回った場合、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
条件式(12)の効果をより確実にするために、条件式(12)の下限値を0.25とすることが好ましく、0.30、0.35、さらに0.40であることがより好ましい。
条件式(12)の上限を上回った場合もコマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
条件式(12)の効果をより確実にするために、条件式(12)の上限値を0.75とすることが好ましく、0.70、0.65、さらに0.60であることがより好ましい。
【0109】
(第四の形態)
通常の撮影では、
図65(1)で示すように、1個の像を1個のセンサーで受けることから、2個の像に対しては、例えば、特開2013-45089号公報のように、2個の像を2個のセンサーで受けている(
図65(2)、(3)参照。)。
この
図65(1)、(2)、(3)のように、一般にセンサーが四角形であり像が円形であるため、センサーの一部の領域しかイメージサークルと重ならず、撮像に寄与するセンサーの画素が少なくなることが挙げられる。
複数のレンズ系を用いる全天球カメラの場合には、このことは顕著であり、また、立体視用の光学装置等においても同様の状況である。
そこで、本実施形態4の光学装置を次のように構成した。
【0110】
<実施形態4>
本実施形態4に係る光学装置は、同一平面上に配置されたセンサーで複数のレンズ系による結像画像を受光する。
【0111】
この構成とすることで、センサーの画素のうち、撮像に寄与する画素を多くすることができる。また、センサーの配置作業及び調整作業が容易になり、シンプルな構成でコストを削減することができる。また、センサー領域の小型化にも寄与する。
具体的には、例えば、
図20(1)、(2)、(3)で示すように2個の像を同一平面上に配置された撮像センサーで受ける。
このように、イメージサークルの直径が撮像センサーの短辺と同じか小さい場合であっても、複数の像を同一平面上に配置された撮像センサーで受けることにより、センサーの配置に要する作業を簡略化することができ、また、同一平面上に結像された2個の像に対して、同様の調整をすることで、効率的な調整作業を行うことができる。また、光学装置全体からセンサーの占める領域を少なくすることができる。
なお、本実施形態4において、同一平面上に配置されたセンサーとは同一平面上に配置された複数のセンサーを含む。
また、本実施形態4において、「レンズ系」には光学素子(光ファイバー含む)やセンサーを含まない場合がある。
【0112】
本実施形態4に係る光学装置は、前記同一平面上に配置されたセンサーは1個のセンサーである。
【0113】
この構成とすることで、使用するセンサーの数を少なくした上で不使用画素を削減することができる。また、複数のレンズ系に対して同様の画像処理を行うことができる。
具体的には、例えば、
図20(2)、(3)で示すように2個の像を1個の撮像センサーで受ける。
このように、イメージサークルの直径が撮像センサーの短辺と同じか小さい場合であっても、複数の像を1個のセンサーで受けることにより、撮像に寄与するセンサーの画素を増やすことができる。
また、複数のレンズ系に対応するセンサーは1個なので、その1個のセンサーだけを制御すればよく、調整作業や構成もシンプルとなり、個体差がなくノイズ、輝度等の対策が容易である。
また、1個のセンサーに対応するレンズ系を複数とすることで、撮像に寄与する画素が増加し、より高い光学性能を得る事ができる。
【0114】
なお、本実施形態4において、1個のセンサーとはセンサー内部に設けられた制御回路が共通のものやセンサーの結像面が一体的に構成されたものをいう。
【0115】
本実施形態4に係る光学装置は、光路を折り曲げる光学素子を備える。
この構成とすることで、レンズ系を配置する際の自由度が増加するので、光学装置全体を小型化しやすくなる。
具体的には、例えば
図20(2)では、プリズム(光路を折り曲げる光学素子)に対して、紙面左側と右側にレンズ系をそれぞれ配置し、両レンズ系からプリズムに入射する光線をプリズムで下側に反射(折り曲げ)させ、同一平面上に配置されたセンサーに受光させることが可能な構成となっている。
このような光路を折り曲げる光学素子が無ければ、同一平面上に配置されたセンサーに受光させるのは難しく、光学装置全体からセンサーの占める領域を少なくすることは困難である。
なお、本実施形態4において、光路を折り曲げる光学素子とはプリズム、反射ミラー又は光ファイバー等を指す。
【0116】
本実施形態4に係る光学装置は、前記レンズ系及び結像画像の数がそれぞれ複数である。
この構成とすることで、複数のレンズ系による結像画像を1個のセンサーで受光することができるので、センサーの画素を有効に利用することができ、高画質の画像を得ることが可能となる。また、センサーの数を削減することができるので、小型化に寄与する。
【0117】
本実施形態4に係る光学装置は、前記センサーのアスペクト比をPとすると、以下の条件式を満足する。
1.0 ≦ P < 3.0 (13)
【0118】
センサーの最適なアスペクト比(幅/高さ)を規定する条件式(13)によると、2個のレンズ系による結像画像を適切に受光し、高画質の画像を得て処理することができる。条件式(13)の上限値を上回ると、センサーの高さ方向の結像画像がセンサーに収まりきれずに画像が欠けてしまう。また、条件式(13)の下限値を下回ると、センサーの幅方向の結像画像がセンサーに収まりきれずに画像が欠けてしまう。
条件式(13)の効果をより確実にするために、条件式(13)の上限値を2.9とすることが好ましく、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、さらに1.6であることがより好ましい。
条件式(13)の効果をより確実にするために、条件式(13)の下限値を1.1とすることが好ましく、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、さらに1.9であることがより好ましい。
【0119】
本実施形態4に係る全天球カメラは、前記光学装置を備え、少なくとも4個のレンズ系を有する。
この構成とすることで、四面体以上の面をもつ多面体で表現される全天球カメラにおいて、少なくとも4個のレンズによる高画質な画像を得た上で、センサーの数を削減することができ、小型化を図ることができる。
【0120】
本実施形態4に係る全天球カメラは、想定した球の内部に仮想的な多面体を有し、前記多面体の一個の面に対し一個のレンズ系を割り当てる。
この構成とすることで、多面体の全ての面から入射する光束を余すことなく、受光することができ、高画質な画像を得ることができる。
【0121】
本実施形態4に係る全天球カメラは、前記多面体の隣り合う2面から入射する光の結像画像を前記1個のセンサーで受光する。
この構成とすることで、多面体の隣り合う2面から入射するそれぞれの光に対して、1個の光学素子で光路を折り曲げることができるので光学素子が少なくなり、また、1個のセンサーに結像する2個のレンズ系を近接配置することもできるので全天球カメラをさらに小型化することが可能となる。
具体的には、
図21(1)において、正四面体PQRSの頂点P、Qと正四面体の辺RSの中点Yを結んでできる三角形PYQを考える。そして、正四面体の面PRSから入射する側をA側、面QSRから入射する側をB側とし、角度PYQをθ、正四面体に内接する正六面体の一辺の長さを1とすると、上記三角形は
図21(2)のような値となる。
ここで、
図21(3)で示すように上記三角形のA側から入射する光線Dを考える。
例えば、
図20(2)のように、真下にあるセンサーに入射するように光線Dを、光学素子C(Cは、例えば反射ミラー等の光路を折り曲げる光学素子である。)で光路を折り曲げ、反射後の光線を光線Eとする。
また、上記三角形に入射する光線Dの入射角をα、光路を折り曲げる光学素子が反射ミラーの場合には、真下に配置されたセンサーに垂直な線に対して反射ミラーの角度をβ、反射ミラーの反射面と正四面体のRSP面上の上記三角形の辺YPとの角度をγとすると、α、β、γは、
図21(4)で示す値となる。
このような構成とすることで、A側から入射する光の光路を折り曲げて適切にセンサーまで導くことが可能となる。なお、上記B側についても同様の構成のため、説明を省略する。また、上記A側及びB側の光路を1つの光学素子(例えばプリズム等)で折り曲げることで全天球カメラをさらに小型化することができる。
【0122】
光路を折り曲げる光学素子をこのように構成することで、正四面体の隣り合う2面から入射する光の結像画像を適切に1個のセンサーで受光することができ、全天球カメラを小型化することができる。
これは正四面体の場合であるが、多面体についても同様に考えられる。
なお、これらの数値は設計誤差やスティッチング等を考慮すると示された数値を中心としてプラスマイナス5%の範囲内で満たされていれば良い。
このような折り曲げ角度とすることで、多面体の隣り合う2面から入射するそれぞれの光に対して、1個の光学素子で光路を折り曲げることができるようになるので光学素子を少なくすることができ、全天球カメラ全体を小型化することができる。
【0123】
本実施形態4に係る全天球カメラは、前記センサーを少なくとも2個備える。
この構成とすることで、例えば、正四面体に対応する全天球カメラでは、4個のレンズ系による結像画像を2個のセンサーで受光することができる。例えば、これを示す
図22では面ABCから入射する光線a2と面DCBから入射する光線a1を1個のイメージセンサIS1で受け、面ADCから入射する光線b1と面ADBから入射する光線b2を他の1個のイメージセンサIS2で受けている。このように、2個のレンズ系に対応する1個のセンサーを2個備えることで、通常の場合よりもセンサーを2個減らすことができ、全天球カメラをより小型化することができる。
このことは他の多面体に対応する全天球カメラにおいても同様である。
【0124】
本実施形態4に係る全天球カメラは、前記レンズ系は全て同じレンズ系であることが望ましい。
この構成とすることで、全てのレンズ系に対して同様の部材や処理機構を使用することができ、シンプルで組立調整作業が容易となり効率的な生産が行える。またレンズ系の諸元や収差が全て同じなので、制御やスティッチングしやすくなり、処理速度が向上する。
さらにシンプルな構成は小型化や高画質化にも寄与する。
【0125】
この構成とすることで、適切なレンズ系を有した全天球カメラを実現することができる。
以下、正四面体について具体的に説明する。
【0126】
正四面体の場合は、最大画角が140度以上である前記レンズ系を4個備えることが望ましい。
この構成とすることで、正四面体に対応した適切なレンズ系による高画質な画像を得ることができ、又、全天球カメラ全体を小型化することができる。
最大画角が140度未満の場合には、全天球カメラとして適切な画像を構成するために必要な視野の画像を取り込むことができない。
最大画角が150度以上の場合には、視差や製造誤差に対して良好な効果があり好ましい。
最大画角が160度以上の場合には、スティチングの効果をさらに高めることができて好ましい。
【0127】
本実施形態4に係る全天球カメラは、前記レンズ系の最物体側面から絞りまでの焦点距離をfa、絞りから最像側面までの焦点距離をfbとすると、以下の条件式を満足する。
-20.0 < fa/fb < 20.0 (14)
【0128】
条件式(14)はレンズ系の最物体側面から絞りまで(以下、「前群」という。)の焦点距離と絞りから最像側面まで(以下、「後群」という。)の焦点距離との適切なパワーバランスを規定するものである。この条件式(14)の範囲内であると、像面湾曲や歪曲収差の発生が小さい全天球カメラに合った適度な大きさのレンズ系となるためこのレンズ系との組み合わせにより全天球カメラ全体の小型化が可能となる。条件式(14)の上限値を上回ると、前群の屈折力に対して相対的に後群の屈折力が大きくなり、レンズ系が光軸方向に長くなって全天球カメラ全体が大きくなる。
条件式(14)の効果をより確実にするために、条件式(14)の上限値を15.0とすることが好ましく、10.0、7.0、さらに5.0であることがより好ましい。
条件式(14)の下限値を下回ると、前群の屈折力に対して相対的に後群の屈折力が小さくなる結果、前群の相対的パワーが強すぎてしまい、収差補正が困難となる。特に像面湾曲への影響が大きくなる。
条件式(14)の効果をより確実にするために、条件式(14)の下限値を-15.0とすることが好ましく、-10.0、-7.0、さらに-5.0であることがより好ましい。
【0129】
本実施形態4に係る全天球カメラは、前記レンズ系の最物体側面と結像面までの光軸上の距離をTL、絞りから前記結像面までの光軸上の距離をSとすると、以下の条件式を満足する。
0.20 < S/TL < 0.80 (15)
【0130】
条件式(15)はレンズ系における絞りの位置を規定しており、条件式(15)を満たすと、全天球カメラに合った非点収差とコマ収差が良好に補正(抑制)されたレンズ系を達成できる。
この条件式の下限を下回った場合、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
条件式(15)の効果をより確実にするために、条件式(15)の下限値を0.25とすることが好ましく、0.30、0.35、さらに0.40であることがより好ましい。
条件式(15)の上限を上回った場合もコマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
条件式(15)の効果をより確実にするために、条件式(15)の上限値を0.75とすることが好ましく、0.70、0.65、さらに0.60であることがより好ましい。
【0131】
(第五の形態)
<実施形態5>
以下、本実施形態5に係る全天球カメラの製造方法を製造方法1、製造方法2及び製造方法3に分けて説明する。
【0132】
まず、本実施形態5に係る全天球カメラの製造方法1は複数のレンズ系を有しそれぞれのレンズ系の光軸及び当該光軸を延長した直線が交点を持たないように配置する。
以下、実施形態5に係る全天球カメラOLの製造方法1の概略について、
図23を参照して説明する。まず、複数のレンズ系を配置する(S1)。次に、それぞれのレンズ系の光軸及び当該光軸を延長した直線が交点を持たないように配置する(S2)。
上述の全天球カメラの製造方法1によれば、小型化した全天球カメラを製造することができる。
【0133】
次に、本実施形態5に係る全天球カメラの製造方法2は4個以上のレンズ系を有し光路が交差するように配置する。
以下、実施形態5に係る全天球カメラOLの製造方法2の概略について、
図24を参照して説明する。まず、4個以上のレンズ系を配置する(S1)。次に、これらを光路が交差するように配置する(S2)。
上述の全天球カメラの製造方法2によれば、小型化した全天球カメラを製造することができる。
【0134】
さらに、本実施形態5に係る全天球カメラの製造方法3はセンサーとレンズ系を備えた光学装置において前記レンズ系によって生成されるイメージサークルの一部がセンサーの外側にある光学装置を少なくとも4個配置する。
以下、実施形態5に係る全天球カメラOLの製造方法3の概略について、
図25を参照して説明する。まず、センサーとレンズ系を備えた光学装置を配置する(S1)。次に、レンズ系によって生成されるイメージサークルの一部がセンサーの外側にあるように配置する(S2)。そして、上記光学装置を少なくとも4個配置する(S3)。
上述の全天球カメラの製造方法3によれば、画素数の多い全天球カメラを製造することができる。
【0135】
なお、以上で説明した条件及び構成は、それぞれが上述した効果を発揮するものであり、全ての条件及び構成を満たすものに限定されることはなく、いずれかの条件又は構成、或いは、いずれかの条件又は構成の組み合わせを満たすものでも、上述した効果を得ることが可能である。
【0136】
また、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である。
【0137】
レンズはオートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用の(超音波モータ等の)モータ駆動にも適している。また、パンフォーカスの場合にはさらにシンプルな構成とすることができる。
【0138】
また、レンズ、レンズ群または部分レンズ群を光軸に直交方向の変位成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手振れによって生じる像ブレを補正する防振レンズ群としてもよい。
【0139】
また、レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
【0140】
開口絞りSは、レンズ群の中或いは外に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用してもよい。
【0141】
さらに、各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し高コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。
【0142】
以上のような構成により、良好な光学性能を有し、明るいレンズ系、光学装置OL及びこの光学装置OLを有する全天球カメラを提供することができる。
【0143】
以下、各実施形態に係る各実施例について、図面に基づいて説明する。以下に、表1~表16を示すが、これらは第1実施例~第16実施例における各レンズ系の諸元の表である。
【0144】
図26に示す光学系断面図は、第1実施例の光学系断面図である。
図26の各レンズは物体側(紙面左側)から順にL11、L12、L13、・・・と示されている。
また、
図27は第1実施例の収差図である。但し、FNOはFナンバー、Yは像高、d,g,C,Fはそれぞれd線,g線,C線,F線の収差曲線であることを示している。
但し、非点収差において、実線はサジタル像面、点線はメリジオナル像面を示している。
光学系断面図及び収差図に関して、上記事項は他の実施例に係る図面についても共通である。
【0145】
なお、各実施例に係る図に対する各参照符号は、参照符号の桁数の増大による説明の煩雑化を避けるため、実施例ごとに独立して用いている。ゆえに、他の実施例に係る図面と共通の参照符号を付していても、それらは他の実施例とは必ずしも共通の構成ではない。
【0146】
各実施例では収差特性の算出対象として、C線(波長656.3nm)、d線(波長587.6nm)、F線(波長486.1nm)、g線(波長435.8nm)を選んでいる。
【0147】
表中の(基本諸元)において、fはレンズ系の焦点距離、FNOはFナンバー、Yは像高、TLはレンズ全長(光軸上でのレンズ最前面からレンズ最終面までの距離)、BFはバックフォーカス(光軸上でのレンズ最終面から近軸像面までの距離)を示す。
【0148】
表中の(面データ)において、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序、rは各光学面の曲率半径、dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔、ndは光学部材の材質のd線に対する屈折率、νdは光学部材の材質のd線を基準とするアッベ数をそれぞれ示す。また、(物面)は物体面、曲率半径の「∞」は平面又は開口、(絞り)は開口絞りS、像面は像面I、BFはバックフォーカス(光軸上でのレンズ最終面から近軸像面までの距離)をそれぞれ示す。BFは(可変)と示されなくても可変である場合を含む。空気の屈折率「1.000000」は省略する。
【0149】
表中の(適切な全天球カメラの態様)において、多面体はレンズ系とセンサーから構成された光学装置OLに対応する適切な多面体を示す。面形状はその多面体を構成する面の形状を示す。画角2ωAは光学装置OLで全天球カメラが実現できる最小の画角、画角2ωBは光学装置OLの適用可能な最大の画角を示す。
なお、各実施例のレンズ系は、通常、ここで示される多面体よりも面数の多い他の多面体にも適用可能である場合が多い。
【0150】
表中の(適切なセンサーの態様)において、bはセンサーの短辺の長さ、aはセンサーの長辺の長さ、2Y―bは像高を2倍した値からセンサーの短辺の長さを引いた値であり、この値が正であれば、レンズ系によって生成されるイメージサークルの一部がセンサーの外側にあることを意味する。
【0151】
表中の(適切な実施形態)において、前述の各実施形態の内、各実施例のレンズ系の適用に適切な実施形態が示されている。但し、ここで示される実施形態以外の実施形態も適用可能である場合がある。
【0152】
以下、全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径r、面間隔d、その他の長さ等は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学装置は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、単位は「mm」に限定されることなく、他の適当な単位を用いることが可能である。
【0153】
ここまでの表の説明は全ての実施例において共通であり、以下での説明を省略する。
【0154】
(第1実施例)
第1実施例について、
図26,
図27及び表1を用いて説明する。第1実施例に係るレンズ系は、
図26に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0155】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、両凹形状の負レンズL13と、両凸形状の正レンズL14とからなる。
【0156】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0157】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図26にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表1に、第1実施例における各諸元の値を示す。
【0158】
(表1)第1実施例
(基本諸元)
f 1.2
FNO 2.4
Y 1.9
TL 25.3
BF 4.2
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 11.6728 1.0000 1.816000 46.59
2 4.2875 2.8000
3 392.8840 1.0000 1.651600 58.57
4 2.7357 2.2000
5 -48.1033 1.0000 1.618000 63.34
6 5.7672 1.0000
7 11.4369 2.3000 1.784700 26.27
8 -6.3985 1.7000
9(絞り)∞ 1.5000
10 15.8418 1.0000 1.846660 23.80
11 2.7021 3.4000 1.640000 60.20
12 -6.7021 0.2000
13 6.8935 2.0000 1.487490 70.31
14 -7.3412 4.1507
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:正四面体
面形状:正三角形
画角2ωA=141.06°
画角2ωB=189.54°
(適切なセンサーの態様)
b 3.6
a 4.8
2Y-b 0.2
(適切な実施形態)
実施形態1、3、4、5
【0159】
図27は、本願の第1実施例に係る光学系の諸収差図である。
図27より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0160】
(第2実施例)
第2実施例について、
図28,
図29及び表2を用いて説明する。第2実施例に係るレンズ系は、
図28に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0161】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL13と、両凸形状の正レンズL14とからなる。
【0162】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0163】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図28にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表2に、第2実施例における各諸元の値を示す。
【0164】
(表2)第2実施例
(基本諸元)
f 5.0
FNO 2.4
Y 6.3
TL 101.1
BF 16.7
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 74.2196 4.0000 1.816000 46.59
2 17.9744 11.2000
3 71.2348 4.0000 1.651600 58.57
4 12.7880 8.8000
5 224.3105 4.0000 1.618000 63.34
6 15.9543 4.0000
7 57.4800 9.2000 1.784700 26.27
8 -21.2053 6.8000
9(絞り)∞ 6.0000
10 1614.8232 4.0000 1.846660 23.80
11 11.6377 13.6000 1.640000 60.20
12 -19.7584 0.8000
13 24.6901 8.0000 1.487490 70.31
14 -42.0412 16.6522
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:正六面体
面形状:正四角形
画角2ωA=109.47°
画角2ωB=150.50°
(適切なセンサーの態様)
b 8.8
a 13.2
2Y-b 3.8
(適切な実施形態)
実施形態1、3、4、5
【0165】
図29は、本願の第2実施例に係る光学系の諸収差図である。
図29より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0166】
(第3実施例)
第3実施例について、
図30,
図31及び表3を用いて説明する。第3実施例に係るレンズ系は、
図30に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0167】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と両凸形状の正レンズL15からなる接合レンズと、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL16と物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL17からなる接合レンズとからなる。
【0168】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0169】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図30にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表3に、第3実施例における各諸元の値を示す。
【0170】
(表3)第3実施例
(基本諸元)
f 10.6
FNO 2.9
Y 10.1
TL 105.0
BF 41.2
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 59.1940 2.1000 1.772500 49.62
2 15.2430 9.7000
3 78.1034 1.7000 1.834810 42.73
4 20.9438 5.7000
5 56.8025 4.0000 1.581440 40.98
6 -22.4154 0.3000
7 -19.9258 2.8000 1.772500 49.62
8 11.9633 5.0000 1.728250 28.38
9 -62.7285 9.5000
10 -54.3964 2.6000 1.517420 52.20
11 -12.9020 1.4000 1.902650 35.73
12 -20.9423 1.8000
13(絞り)∞ 8.3000
14 -1129.0079 1.5000 1.846660 23.80
15 33.7105 4.0000 1.497820 82.57
16 -27.3470 0.2000
17 44.4578 3.2000 1.651600 58.57
18 -50.4316 41.2208
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:正十二面体
面形状:正五角形
画角2ωA=74.75°
画角2ωB=115.64°
(適切なセンサーの態様)
b 13.8
a 20.7
2Y-b 6.4
(適切な実施形態)
実施形態1、3、4、5
【0171】
図31は、本願の第3実施例に係る光学系の諸収差図である。
図31より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0172】
(第4実施例)
第4実施例について、
図32,
図33及び表4を用いて説明する。第4実施例に係るレンズ系は、
図32に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0173】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と両凸形状の正レンズL15からなる接合レンズと、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL16と物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL17からなる接合レンズとからなる。
【0174】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0175】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図32にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表4に、第4実施例における各諸元の値を示す。
【0176】
(表4)第4実施例
(基本諸元)
f 10.6
FNO 2.9
Y 11.8
TL 105.0
BF 41.2
(面データ)
面番号 r d nd νd
1 60.1136 2.1000 1.772500 49.62
2 15.3022 9.7000
3 79.6717 1.7000 1.834810 42.73
4 20.9269 5.7000
5 56.4966 4.0000 1.581440 40.98
6 -22.9875 0.3000
7 -20.3569 2.8000 1.772500 49.62
8 11.9459 5.0000 1.728250 28.38
9 -62.1390 9.5000
10 -55.8816 2.6000 1.517420 52.20
11 -12.9209 1.4000 1.902650 35.73
12 -21.1407 1.8000
13(絞り)∞ 8.3000
14 -1343.4000 1.5000 1.846660 23.80
15 33.6080 4.0000 1.497820 82.57
16 -27.3417 0.2000
17 45.0478 3.2000 1.651600 58.57
18 -49.8177 41.2223
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:六角柱
面形状:四角形、正六角形
画角2ωA=98.21°
画角2ωB=139.22°
(適切なセンサーの態様)
b 15.6
a 23.6
2Y-b 8.0
(適切な実施形態)
実施形態1、3、4、5
【0177】
図33は、本願の第4実施例に係る光学系の諸収差図である。
図33より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0178】
(第5実施例)
第5実施例について、
図34,
図35及び表5を用いて説明する。第5実施例に係るレンズ系は、
図34に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0179】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と両凸形状の正レンズL15からなる接合レンズと、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL16と物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL17からなる接合レンズとからなる。
【0180】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0181】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図34にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表5に、第5実施例における各諸元の値を示す。
【0182】
(表5)第5実施例
(基本諸元)
f 10.6
FNO 2.9
Y 11.5
TL 105.0
BF 41.2
(面データ)
面番号 r d nd νd
1 59.5096 2.1000 1.772500 49.62
2 15.2641 9.7000
3 78.3754 1.7000 1.834810 42.73
4 20.9309 5.7000
5 56.7899 4.0000 1.581440 40.98
6 -22.6020 0.3000
7 -20.0667 2.8000 1.772500 49.62
8 11.9574 5.0000 1.728250 28.38
9 -62.4989 9.5000
10 -54.7635 2.6000 1.517420 52.20
11 -12.9062 1.4000 1.902650 35.73
12 -21.0011 1.8000
13(絞り)∞ 8.3000
14 -1197.8838 1.5000 1.846660 23.80
15 33.6728 4.0000 1.497820 82.57
16 -27.3468 0.2000
17 44.6445 3.2000 1.651600 58.57
18 -50.2228 41.2213
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:切頂六面体
面形状:正三角形、正八角形
画角2ωA=94.53°
画角2ωB=134.82°
(適切なセンサーの態様)
b 15.6
a 23.6
2Y-b 7.4
(適切な実施形態)
実施形態1、3、4、5
【0183】
図35は、本願の第5実施例に係る光学系の諸収差図である。
図35より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0184】
(第6実施例)
第6実施例について、
図36,
図37及び表6を用いて説明する。第6実施例に係るレンズ系は、
図36に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0185】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と両凸形状の正レンズL15からなる接合レンズとからなる。
【0186】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0187】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図36にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表6に、第6実施例における各諸元の値を示す。
【0188】
(表6)第6実施例
(基本諸元)
f 10.6
FNO 2.9
Y 9.3
TL 105.0
BF 41.2
(面データ)
面番号 r d nd νd
1 71.9072 2.1000 1.772500 49.62
2 17.1053 9.7000
3 40.1145 1.7000 1.834810 42.73
4 16.8705 5.7000
5 64.2046 4.0000 1.581440 40.98
6 -20.2776 0.3000
7 -18.2901 2.8000 1.772500 49.62
8 13.8623 5.0000 1.728250 28.38
9 -60.1567 15.3000
10(絞り)∞ 8.3000
11 162.6653 1.5000 1.846660 23.80
12 25.7615 4.0000 1.497820 82.57
13 -30.6071 0.2000
14 36.1144 3.2000 1.651600 58.57
15 -50.6940 41.2163
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:切頂十二面体
面形状:正三角形、正十角形
画角2ωA=66.03°
画角2ωB=106.42°
(適切なセンサーの態様)
b 13.8
a 20.7
2Y-b 4.8
(適切な実施形態)
実施形態1、3、4、5
【0189】
図37は、本願の第6実施例に係る光学系の諸収差図である。
図37より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0190】
(第7実施例)
第7実施例について、
図38,
図39及び表7を用いて説明する。第7実施例に係るレンズ系は、
図38に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0191】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、両凹形状の負レンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と両凸形状の正レンズL15からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL16と物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL17からなる接合レンズとからなる。
【0192】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0193】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図38にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表7に、第7実施例における各諸元の値を示す。
【0194】
(表7)第7実施例
(基本諸元)
f 5.3
FNO 2.9
Y 7.1
TL 52.3
BF 20.6
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 19.0510 1.0500 1.772500 49.62
2 7.7351 4.1500
3 -53.2941 0.8500 1.834810 42.73
4 10.8083 5.1500
5 18.1526 2.0000 1.581440 40.98
6 -12.9851 0.1500
7 -11.2798 1.4000 1.772500 49.62
8 5.9220 2.5000 1.728250 28.38
9 -33.5208 2.9500
10 114.5371 1.3000 1.517420 52.20
11 -7.7586 0.7000 1.902650 35.73
12 -17.8547 0.9000
13(絞り)∞ 4.1500
14 -287.5466 0.7500 1.846660 23.80
15 15.1655 2.0000 1.497820 82.57
16 -12.2550 0.1000
17 22.1529 1.6000 1.651600 58.57
18 -24.4248 20.6125
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:四面体
面形状:三角形
画角2ωA=150.00°
画角2ωB=191.64°
(適切なセンサーの態様)
b 13.0
a 17.3
2Y-b 1.1
(適切な実施形態)
実施形態1、2、3、4、5
【0195】
図39は、本願の第7実施例に係る光学系の諸収差図である。
図39より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0196】
(第8実施例)
第8実施例について、
図40,
図41及び表8を用いて説明する。第8実施例に係るレンズ系は、
図40に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0197】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、両凹形状の負レンズL13と、両凸形状の正レンズL14とからなる。
【0198】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0199】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図40にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表8に、第8実施例における各諸元の値を示す。
【0200】
(表8)第8実施例
(基本諸元)
f 1.2
FNO 2.4
Y 2.0
TL 25.3
BF 4.2
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 11.2896 1.0000 1.816000 46.59
2 4.4729 2.8000
3 34.6641 1.0000 1.651600 58.57
4 2.6641 2.2000
5 -26.3544 1.0000 1.618000 63.34
6 5.1320 1.0000
7 8.6583 2.3000 1.784700 26.27
8 -7.1171 1.7000
9(絞り)∞ 1.5000
10 23.3054 1.0000 1.846660 23.80
11 2.7304 3.4000 1.640000 60.20
12 -6.3833 0.2000
13 5.2791 2.0000 1.487490 70.31
14 -9.0012 4.1543
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:四面体
面形状:三角形
画角2ωA=168.99°
画角2ωB=210.46°
(適切なセンサーの態様)
b 3.6
a 4.8
2Y-b 0.4
(適切な実施形態)
実施形態1、3、4、5
【0201】
図41は、本願の第8実施例に係る光学系の諸収差図である。
図41より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0202】
(第9実施例)
第9実施例について、
図42,
図43及び表9を用いて説明する。第9実施例に係るレンズ系は、
図42に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0203】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL13と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL14と、両凸形状の正レンズL15とからなる。
【0204】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL23と、両凸形状の正レンズL24とからなる。
【0205】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図42にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表9に、第9実施例における各諸元の値を示す。
【0206】
(表9)第9実施例
(基本諸元)
f 24.7
FNO 2.9
Y 21.6
TL 100.5
BF 38.7
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 78.0268 3.2000 1.607380 56.74
2 253.6694 0.1000
3 32.8224 2.0000 1.620410 60.25
4 16.9540 5.4000
5 31.2315 1.7000 1.620410 60.25
6 15.2730 11.9000
7 81.5836 10.3000 1.620040 36.40
8 49.8037 0.9000
9 28.3581 7.0000 1.672700 32.19
10 -85.8793 0.5000
11(絞り)∞ 2.0000
12 -443.5370 3.3000 1.620410 60.25
13 -24.8916 1.7000
14 -19.1429 3.8000 1.755200 27.57
15 51.7457 1.4000
16 -54.7480 2.7000 1.620410 60.25
17 -19.6274 0.1000
18 62.5972 3.8000 1.603110 60.69
19 -37.5242 38.7419
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:十二面体
面形状:五角形
画角2ωA=41.56°
画角2ωB=83.68°
(適切なセンサーの態様)
b 32.8
a 43.8
2Y-b 10.4
(適切な実施形態)
実施形態1、3、4、5
【0207】
図43は、本願の第9実施例に係る光学系の諸収差図である。
図43より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0208】
(第10実施例)
第10実施例について、
図44,
図45及び表10を用いて説明する。第10実施例に係るレンズ系は、
図44に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0209】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、両凸形状の正レンズL12とからなる。
【0210】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL22と、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0211】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図44にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表10に、第10実施例における各諸元の値を示す。
【0212】
(表10)第10実施例
(基本諸元)
f 28.8
FNO 2.9
Y 21.6
TL 85.1
BF 38.2
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 35.2519 1.8000 1.744000 44.81
2 15.6000 22.0000
3 27.5072 3.7000 1.667550 41.87
4 -44.7541 3.4000
5(絞り)∞ 6.1000
6 -16.2873 2.5000 1.755200 27.57
7 55.0934 0.7000
8 -92.3218 3.2000 1.620410 60.25
9 -17.2910 0.1000
10 1171.3554 3.4000 1.620410 60.25
11 -25.8389 38.2029
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:十二面体
面形状:五角形
画角2ωA=38.21°
画角2ωB=75.76°
(適切なセンサーの態様)
b 32.8
a 43.8
2Y-b 10.4
(適切な実施形態)
実施形態1、3、4、5
【0213】
図45は、本願の第10実施例に係る光学系の諸収差図である。
図45より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0214】
(第11実施例)
第11実施例について、
図46,
図47及び表11を用いて説明する。第11実施例に係るレンズ系は、
図46に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0215】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、両凹形状の負レンズL13と、両凸形状の正レンズL14とからなる。
【0216】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0217】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図46にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表11に、第11実施例における各諸元の値を示す。
【0218】
(表11)第11実施例
(基本諸元)
f 1.3
FNO 2.4
Y 1.8
TL 29.4
BF 4.1
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 13.9231 1.0000 1.816000 46.59
2 5.7304 2.8000
3 11.5364 1.0000 1.640000 60.20
4 3.5677 2.2000
5 -7.0323 1.0000 1.618000 63.34
6 6.0645 1.0000
7 48.5130 2.3000 1.784720 25.64
8 -7.1368 6.4000
9(絞り)∞ 1.0000
10 8.6863 1.0000 1.860740 23.08
11 3.4253 3.4000 1.640000 60.20
12 -7.7283 0.2000
13 5.0069 2.0000 1.497820 82.57
14 -111.8112 4.1435
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:四面体
面形状:三角形
画角2ωA=141.06°
画角2ωB=176.95°
(適切なセンサーの態様)
b 3.6
a 4.8
2Y-b 0.0
(適切な実施形態)
実施形態2、4、5
【0219】
図47は、本願の第11実施例に係る光学系の諸収差図である。
図47より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0220】
(第12実施例)
第12実施例について、
図48,
図49及び表12を用いて説明する。第12実施例に係るレンズ系は、
図48に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0221】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL13と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL14とからなる。
【0222】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0223】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図48にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表12に、第12実施例における各諸元の値を示す。
【0224】
(表12)第12実施例
(基本諸元)
f 1.6
FNO 2.4
Y 2.4
TL 26.8
BF 5.5
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 19.5882 1.0000 1.785900 44.17
2 5.1167 2.8000
3 34.8507 1.0000 1.651600 58.57
4 3.0717 2.1000
5 23.1776 1.0000 1.620410 60.25
6 6.3466 1.0000
7 -93.1757 2.0000 1.805180 25.45
8 -5.4075 3.7000
9(絞り)∞ 1.0000
10 18.0176 1.0000 1.755200 27.57
11 3.3693 2.6000 1.456000 91.36
12 -5.1070 0.2000
13 8.2839 1.9000 1.487490 70.31
14 -6.5914 5.4920
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:四面体
面形状:三角形
画角2ωA=147.68°
画角2ωB=187.68°
(適切なセンサーの態様)
b 3.6
a 4.8
2Y-b 1.12
(適切な実施形態)
実施形態2、3、4、5
【0225】
図49は、本願の第12実施例に係る光学系の諸収差図である。
図49より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0226】
(第13実施例)
第13実施例について、
図50,
図51及び表13を用いて説明する。第13実施例に係るレンズ系は、
図50に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0227】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と両凸形状の正レンズL15からなる接合レンズと、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL16と物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL17からなる接合レンズとからなる。
【0228】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0229】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図50にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表13に、第13実施例における各諸元の値を示す。
【0230】
(表13)第13実施例
(基本諸元)
f 5.3
FNO 2.9
Y 6.3
TL 52.5
BF 20.6
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 30.0568 1.0500 1.772500 49.62
2 7.6511 4.8500
3 39.8358 0.8500 1.834810 42.73
4 10.4634 2.8500
5 28.2483 2.0000 1.581440 40.98
6 -11.4938 0.1500
7 -10.1784 1.4000 1.772500 49.62
8 5.9730 2.5000 1.728250 28.38
9 -31.0695 4.7500
10 -27.9408 1.3000 1.517420 52.20
11 -6.4605 0.7000 1.902650 35.73
12 -10.5703 0.9000
13(絞り)∞ 4.1500
14 -671.7000 0.7500 1.846660 23.80
15 16.8040 2.0000 1.497820 82.57
16 -13.6708 0.1000
17 22.5239 1.6000 1.651600 58.57
18 -24.9089 20.6111
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:正八面体
面形状:正三角形
画角2ωA=109.47°
画角2ωB=150.02°
(適切なセンサーの態様)
b 8.8
a 13.2
2Y-b 3.7
(適切な実施形態)
実施形態3、4、5
【0231】
図51は、本願の第13実施例に係る光学系の諸収差図である。
図51より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0232】
(第14実施例)
第14実施例について、
図52,
図53及び表14を用いて説明する。第14実施例に係るレンズ系は、
図52に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0233】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と両凸形状の正レンズL15からなる接合レンズと、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL16と物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL17からなる接合レンズとからなる。
【0234】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0235】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図52にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表14に、第14実施例における各諸元の値を示す。
【0236】
(表14)第14実施例
(基本諸元)
f 10.6
FNO 2.9
Y 10.2
TL 105.0
BF 41.2
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 58.7110 2.1000 1.772500 49.62
2 15.3501 9.7000
3 96.6445 1.7000 1.834810 42.73
4 21.1455 5.7000
5 52.2647 4.0000 1.581440 40.98
6 -23.5276 0.3000
7 -20.7612 2.8000 1.772500 49.62
8 11.8123 5.0000 1.728250 28.38
9 -64.2676 9.5000
10 -63.6732 2.6000 1.517420 52.20
11 -12.9573 1.4000 1.902650 35.73
12 -21.5909 1.8000
13(絞り)∞ 8.3000
14 -1118.3104 1.5000 1.846660 23.80
15 33.9487 4.0000 1.497820 82.57
16 -26.9411 0.2000
17 45.9639 3.2000 1.651600 58.57
18 -49.7473 41.2241
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:正二十面体
面形状:正三角形
画角2ωA=74.75°
画角2ωB=115.40°
(適切なセンサーの態様)
b 13.8
a 20.7
2Y-b 6.4
(適切な実施形態)
実施形態3、4、5
【0237】
図53は、本願の第14実施例に係る光学系の諸収差図である。
図53より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0238】
(第15実施例)
第15実施例について、
図54,
図55及び表15を用いて説明する。第15実施例に係るレンズ系は、
図54に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0239】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と両凸形状の正レンズL15からなる接合レンズと、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL16と物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL17からなる接合レンズとからなる。
【0240】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0241】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図54にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表15に、第15実施例における各諸元の値を示す。
【0242】
(表15)第15実施例
(基本諸元)
f 10.6
FNO 2.9
Y 6.3
TL 105.0
BF 41.2
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 60.1136 2.1000 1.772500 49.62
2 15.3022 9.7000
3 79.6717 1.7000 1.834810 42.73
4 20.9269 5.7000
5 56.4966 4.0000 1.581440 40.98
6 -22.9875 0.3000
7 -20.3569 2.8000 1.772500 49.62
8 11.9459 5.0000 1.728250 28.38
9 -62.1390 9.5000
10 -55.8816 2.6000 1.517420 52.20
11 -12.9209 1.4000 1.902650 35.73
12 -21.1407 1.8000
13(絞り)∞ 8.3000
14 -1343.4000 1.5000 1.846660 23.80
15 33.6080 4.0000 1.497820 82.57
16 -27.3417 0.2000
17 45.0478 3.2000 1.651600 58.57
18 -49.8177 41.2223
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:正八面体
面形状:正三角形
画角2ωA=109.47°
画角2ωB=150.02°
(適切なセンサーの態様)
b 8.8
a 13.2
2Y-b 3.7
(適切な実施形態)
実施形態3、4、5
【0243】
図55は、本願の第15実施例に係る光学系の諸収差図である。
図55より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0244】
(第16実施例)
第16実施例について、
図56,
図57及び表16を用いて説明する。第16実施例に係るレンズ系は、
図56に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ前群GFと、開口絞りSと、正の屈折力を持つ後群GRとから構成されている。
【0245】
前群GFは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL12と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL13と、両凸形状の正レンズL14とからなる。
【0246】
後群GRは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL21と両凸形状の正レンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0247】
このレンズ系によってセンサー上に像が結像されて撮影が行われる。
図56にはこのレンズ系の像面Iが図示されている。
以下の表16に、第16実施例における各諸元の値を示す。
【0248】
(表16)第16実施例
(基本諸元)
f 1.3
FNO 2.4
Y 2.0
TL 25.3
BF 4.2
(面データ)
面番号 r d nd νd
0(物面) ∞ (可変)
1 18.0049 1.0000 1.785900 44.17
2 4.0576 2.8000
3 24.2007 1.0000 1.651600 58.57
4 2.8982 2.2000
5 40.6251 1.0000 1.620410 60.25
6 4.0195 1.0000
7 27.1564 2.3000 1.805180 25.45
8 -4.8159 1.7000
9(絞り)∞ 1.5000
10 19.1090 1.0000 1.784720 25.64
11 2.6361 3.4000 1.603110 60.69
12 -4.5563 0.2000
13 11.3779 2.0000 1.487490 70.31
14 -12.5346 4.1837
像面 ∞
(適切な全天球カメラの態様)
多面体:半球(2眼)
画角2ωA=180.00°
画角2ωB=221.88°
(適切なセンサーの態様)
b 3.6
a 4.8
2Y-b 0.5
(適切な実施形態)
実施形態3、4、5
【0249】
図57は、本願の第16実施例に係る光学系の諸収差図である。
図57より、本実施例に係る光学系は諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
また、色収差に関しても良好に補正されていることがわかる。
【0250】
以下、表17に各実施例の各条件式の値を示す。
【表17】
【0251】
上記の各実施例によれば、レンズ系を複数組み合わせた広視野光学装置でありながら、小型で高画質の画像を取得することができた。
【0252】
ここまで本発明を分かりやすくするために、上記のように実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0253】
OL 光学装置
GF 第1レンズ群
GR 第2レンズ群
S 開口絞り
I 像面
IS センサー
a センサーの長辺の長さ
b センサーの短辺の長さ
IC イメージサークル
CAM 全天球カメラ(光学装置)