(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022657
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】処理液、処理液収容体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/308 20060101AFI20240208BHJP
C09K 13/08 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H01L21/308 B
C09K13/08
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208933
(22)【出願日】2023-12-12
(62)【分割の表示】P 2022505043の分割
【原出願日】2021-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2020036719
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】杉村 宣明
(57)【要約】
【課題】SiGeをエッチングした際に被処理部の平滑性を良好にできる処理液を提供する。また、上記処理液に関する処理液収容体を提供する。
【解決手段】フッ化物イオン源と、酸化剤と、添加剤と、を含有し、上記添加剤が、所定の化合物からなる群から選択される1種以上である、処理液。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化物イオン源と、
酸化剤と、
添加剤と、を含有し、
前記添加剤が、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸及びその塩、ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマー、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルアミン、アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩、アリールフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸及びその塩、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、シリコン化合物、アルキルアミン、芳香族アミン、窒素含有複素環化合物、システイン以外のアミノ酸、炭素数が16以下の4級アンモニウム塩、並びに、ホウ素含有化合物からなる群から選択される1種以上である、処理液。
【請求項2】
前記添加剤が、前記ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマーを含有し、
前記ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド、ジメチルアミン・エピハロヒドリン系ポリマー、ヘキサジメトリン塩、ポリジアリルアミン、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリオルニチン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリビニルイミダゾール、及び、ポリメチルジアリルアミンからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の処理液。
【請求項3】
前記添加剤が、前記アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩の少なくともいずれかを含有し、
前記アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩が、プロピルナフタレンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、及び、ジブチルナフタレンスルホン酸からなる群から選択される1種以上である請求項1又は2に記載の処理液。
【請求項4】
前記添加剤が、前記アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩の少なくともいずれかを含有し、
前記アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩が、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸である、請求項1~3のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項5】
前記添加剤が、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸及びその塩の少なくともいずれかを含有し、
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸が、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルスルホン酸、及び、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルスルホン酸からなる群から選択される1種以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項6】
前記添加剤が、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の少なくともいずれかを含有し、
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸が、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンドデシルエーテルカルボン酸、及び、ポリオキシエチレントリデシルエーテルカルボン酸からなる群から選択される1種以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項7】
前記添加剤が、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びその塩の少なくともいずれかを含有し、
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸が、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸である、請求項1~6のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項8】
前記添加剤が、前記シリコン化合物を含有し、
前記シリコン化合物が、アルコキシシラン、シラノール化合物、オキシムシラン、ジシラザン、及び、シロキサンからなる群から選択される1種以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項9】
前記アルコキシシランが、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、t-ブチルメトキシジメチルシラン、3-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、エトキシ(トリメチル)シラン、メトキシ(トリメチル)シラン、ヘキシル(ジメトキシ)シラン、メチルジエトキシシラン、トリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、及び、3-(2-アミノエトキシアミノ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される1種以上である、請求項8に記載の処理液。
【請求項10】
前記シラノール化合物が、トリメチルシラノール、ジメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、シラントリオール、3-アミノプロピルシラントリオール、メチルシラントリオール、2-メチル-2-プロピルシラントリオール、メチルアセテートシラントリオール、2-(クロロエチル)アセテートシラントリオール、及び、3-(ヒドロキシプロピル)シラントリオールからなる群から選択される1種以上である、請求項8又は9に記載の処理液。
【請求項11】
前記オキシムシランが、ジ(エチルアルドオキシム)シラン、モノ(エチルアルドオキシム)シラン、トリス(エチルアルドオキシム)シラン、テトラ(エチルアルドオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトシル(アセトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ジメチルジ(メチルエチルケトオキシム)シラン、トリメチル(メチルエチルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルエチルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルビニルジ(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルビニルジ(シクロヘキサノネキシム)シラン、ビニルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、及び、フェニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シランからなる群から選択される1種以上である、請求項8~10のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項12】
前記ジシラザンが、ヘキサメチルジシラザンである、請求項8~11のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項13】
前記シロキサンが、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンからなる群から選択される1種以上である、請求項8~12のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項14】
前記添加剤が、前記アルキルアミンを含有し、
前記アルキルアミンが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、フェネチルアミン、及び、m-キシリレンジアミンからなる群から選択される1種以上である、請求項1~13のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項15】
前記添加剤が、前記芳香族アミンを含有し、
前記芳香族アミンが、アニリン、及び、トルイジンからなる群から選択される1種以上である、請求項1~14のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項16】
前記添加剤が、前記窒素含有複素環化合物を含有し、
前記窒素含有複素環化合物が、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、オキサゾール、チアゾール、4-ジメチルアミノピリジン、及び、塩化ラウリルピリジニウムからなる群から選択される1種以上である、請求項1~15のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項17】
前記添加剤が、前記システイン以外のアミノ酸を含有し、
前記システイン以外のアミノ酸が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及び、バリンからなる群から選択される1種以上である、請求項1~16のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項18】
前記添加剤が、前記炭素数が16以下の4級アンモニウム塩を含有し、
前記炭素数が16以下の4級アンモニウム塩が、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、メチルトリプロピルアンモニウム塩、メチルトリブチルアンモニウム塩、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジメチルジエチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、及び、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上である、請求項1~17のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項19】
前記添加剤が、前記ホウ素含有化合物を含有し、
前記ホウ素含有化合物が、ホウ酸である、請求項1~18のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項20】
前記添加剤が、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、及び、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物からなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の処理液。
【請求項21】
更に、有機溶媒を含有する、請求項1~20のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項22】
前記有機溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、1,4-ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、スルホラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、モノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレンモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、1-メトキシ-2-ブタノール、2-メトキシ-1-ブタノール、2-メトキシ-2-メチルブタノール、1,1-ジメトキシエタン、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び、1-ブタノールからなる群から選択される1種以上である、請求項21に記載の処理液。
【請求項23】
前記有機溶媒が、プロピレングリコール及びスルホランからなる群から選択される1種以上である、請求項21又は22に記載の処理液。
【請求項24】
前記酸化剤が、過酸化物である、請求項1~23のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項25】
前記酸化剤の含有量が、処理液の全質量に対して、10質量%未満である、請求項1~24のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項26】
SiGeを含有する被処理物に対して用いられ、前記被処理物が含有するSiGeの少なくとも一部を除去する処理液である、請求項1~25のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項27】
SiGeを含有する被処理物に対して用いられ、前記被処理物が含有するSiGeの少なくとも一部を除去する処理液であって、
前記SiGeにおける、SiとGeとの元素比が、Si:Ge=95:5~50:50の範囲内である、請求項1~26のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項28】
Cu、Co、W、AlOx、AlN、AlOxNy、WOx、Ti、TiN、ZrOx、HfOxおよびTaOxのいずれか1種以上を含有するメタルハードマスクを含有する被処理物に対して用いられる、請求項1~27のいずれか1項に記載の処理液。
なお、x=1~3、y=1~2で表される数である。
【請求項29】
容器と、前記容器内に収容された請求項1~28のいずれか1項に記載の処理液と、を有する処理液収容体であって、
前記容器は、前記容器内の圧力を調整するガス抜き機構を有する、処理液収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液、及び、処理液収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化が進む中で、半導体デバイス製造プロセス中における、処理液を用いたエッチング又は洗浄等の処理を、高効率かつ精度よく実施する需要が高まっている。
例えば、特許文献1においては、「水、酸化剤、水混和性有機溶媒、フッ化物イオン源、及び任意選択で、界面活性剤を含み、マイクロ電子デバイスから、シリコンに対してシリコン-ゲルマニウムを選択的に除去するのに適したエッチング液。(請求項1)」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、特許文献1に記載の処理液(エッチング液)について評価したところ、処理液を用いてSiGe(シリコンゲルマニウムを)をエッチング処理した後の、SiGeの表面の平滑性に改善の余地があることを見出した。
【0005】
本発明は、上記実情を鑑みて、SiGeをエッチングした際に被処理部の平滑性を良好にできる処理液を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記処理液に関する処理液収容体の提供も課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
〔1〕
フッ化物イオン源と、
酸化剤と、
添加剤と、を含有し、
上記添加剤が、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸及びその塩、ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマー、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルアミン、アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩、アリールフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸及びその塩、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、シリコン化合物、アルキルアミン、芳香族アミン、窒素含有複素環化合物、システイン以外のアミノ酸、炭素数が16以下の4級アンモニウム塩、並びに、ホウ素含有化合物からなる群から選択される1種以上である、処理液。
〔2〕
上記添加剤が、上記ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマーを含有し、
上記ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド、ジメチルアミン・エピハロヒドリン系ポリマー、ヘキサジメトリン塩、ポリジアリルアミン、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリオルニチン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリビニルイミダゾール、及び、ポリメチルジアリルアミンからなる群から選択される1種以上である、〔1〕に記載の処理液。
〔3〕
上記添加剤が、上記アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩の少なくともいずれかを含有し、
上記アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩が、プロピルナフタレンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、及び、ジブチルナフタレンスルホン酸からなる群から選択される1種以上である〔1〕又は〔2〕に記載の処理液。
〔4〕
上記添加剤が、上記アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩の少なくともいずれかを含有し、
上記アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩が、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の処理液。
〔5〕
上記添加剤が、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸及びその塩の少なくともいずれかを含有し、
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸が、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルスルホン酸、及び、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルスルホン酸からなる群から選択される1種以上である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の処理液。
〔6〕
上記添加剤が、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の少なくともいずれかを含有し、
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸が、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンドデシルエーテルカルボン酸、及び、ポリオキシエチレントリデシルエーテルカルボン酸からなる群から選択される1種以上である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の処理液。
〔7〕
上記添加剤が、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びその塩の少なくともいずれかを含有し、
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸が、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の処理液。
〔8〕
上記添加剤が、上記シリコン化合物を含有し、
上記シリコン化合物が、アルコキシシラン、シラノール化合物、オキシムシラン、ジシラザン、及び、シロキサンからなる群から選択される1種以上である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の処理液。
〔9〕
上記アルコキシシランが、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、t-ブチルメトキシジメチルシラン、3-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、エトキシ(トリメチル)シラン、メトキシ(トリメチル)シラン、ヘキシル(ジメトキシ)シラン、メチルジエトキシシラン、トリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、及び、3-(2-アミノエトキシアミノ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される1種以上である、〔8〕に記載の処理液。
〔10〕
上記シラノール化合物が、トリメチルシラノール、ジメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、シラントリオール、3-アミノプロピルシラントリオール、メチルシラントリオール、2-メチル-2-プロピルシラントリオール、メチルアセテートシラントリオール、2-(クロロエチル)アセテートシラントリオール、及び、3-(ヒドロキシプロピル)シラントリオールからなる群から選択される1種以上である、〔8〕又は〔9〕に記載の処理液。
〔11〕
上記オキシムシランが、ジ(エチルアルドオキシム)シラン、モノ(エチルアルドオキシム)シラン、トリス(エチルアルドオキシム)シラン、テトラ(エチルアルドオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトシル(アセトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ジメチルジ(メチルエチルケトオキシム)シラン、トリメチル(メチルエチルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルエチルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルビニルジ(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルビニルジ(シクロヘキサノネキシム)シラン、ビニルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、及び、フェニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シランからなる群から選択される1種以上である、〔8〕~〔10〕のいずれかに記載の処理液。
〔12〕
上記ジシラザンが、ヘキサメチルジシラザンである、〔8〕~〔11〕のいずれかに記載の処理液。
〔13〕
上記シロキサンが、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンからなる群から選択される1種以上である、〔8〕~〔12〕のいずれかに記載の処理液。
〔14〕
上記添加剤が、上記アルキルアミンを含有し、
上記アルキルアミンが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、フェネチルアミン、及び、m-キシリレンジアミンからなる群から選択される1種以上である、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の処理液。
〔15〕
上記添加剤が、上記芳香族アミンを含有し、
上記芳香族アミンが、アニリン、及び、トルイジンからなる群から選択される1種以上である、〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の処理液。
〔16〕
上記添加剤が、上記窒素含有複素環化合物を含有し、
上記窒素含有複素環化合物が、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、オキサゾール、チアゾール、4-ジメチルアミノピリジン、及び、塩化ラウリルピリジニウムからなる群から選択される1種以上である、〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の処理液。
〔17〕
上記添加剤が、上記システイン以外のアミノ酸を含有し、
上記システイン以外のアミノ酸が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及び、バリンからなる群から選択される1種以上である、〔1〕~〔16〕のいずれかに記載の処理液。
〔18〕
上記添加剤が、上記炭素数が16以下の4級アンモニウム塩を含有し、
上記炭素数が16以下の4級アンモニウム塩が、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、メチルトリプロピルアンモニウム塩、メチルトリブチルアンモニウム塩、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジメチルジエチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、及び、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上である、〔1〕~〔17〕のいずれかに記載の処理液。
〔19〕
上記添加剤が、上記ホウ素含有化合物を含有し、
上記ホウ素含有化合物が、ホウ酸である、〔1〕~〔18〕のいずれかに記載の処理液。
〔20〕
上記添加剤が、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、及び、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物からなる群から選択される1種以上である、〔1〕に記載の処理液。
〔21〕
更に、有機溶媒を含有する、〔1〕~〔20〕のいずれかに記載の処理液。
〔22〕
上記有機溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、1,4-ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、スルホラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、モノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレンモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、1-メトキシ-2-ブタノール、2-メトキシ-1-ブタノール、2-メトキシ-2-メチルブタノール、1,1-ジメトキシエタン、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び、1-ブタノールからなる群から選択される1種以上である、〔21〕に記載の処理液。
〔23〕
上記有機溶媒が、プロピレングリコール及びスルホランからなる群から選択される1種以上である、〔21〕又は〔22〕に記載の処理液。
〔24〕
上記酸化剤が、過酸化物である〔1〕~〔23〕のいずれかに記載の処理液。
〔25〕
上記酸化剤の含有量が、処理液の全質量に対して、10質量%未満である、〔1〕~〔24〕のいずれかに記載の処理液。
〔26〕
SiGeを含有する被処理物に対して用いられ、上記被処理物が含有するSiGeの少なくとも一部を除去する処理液である、〔1〕~〔25〕のいずれかに記載の処理液。
〔27〕
SiGeを含有する被処理物に対して用いられ、上記被処理物が含有するSiGeの少なくとも一部を除去する処理液であって、
上記SiGeにおける、SiとGeとの元素比が、Si:Ge=95:5~50:50の範囲内である、〔1〕~〔26〕のいずれかに記載の処理液。
〔28〕
Cu、Co、W、AlOx、AlN、AlOxNy、WOx、Ti、TiN、ZrOx、HfOxおよびTaOxのいずれか1種以上を含有するメタルハードマスクを含有する被処理物に対して用いられる、〔1〕~〔27〕のいずれかに記載の処理液。
なお、x=1~3、y=1~2で表される数である。
〔29〕
容器と、上記容器内に収容された〔1〕~〔28〕のいずれかに記載の処理液と、を有する処理液収容体であって、
上記容器は、上記容器内の圧力を調整するガス抜き機構を有する、処理液収容体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、SiGeをエッチングした際に被処理部の平滑性を良好にできる処理液を提供できる。
また、本発明は、上記処理液に関する処理液収容体の提供もできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ガス抜きキャップが適用された処理液収容体の上部の概略断面図である。
【
図3】本処理方法で処理された後の被処理物を示す断面図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施形態に制限されない。
【0011】
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0012】
また、本発明において、「ppm」は「parts-per-million(10-6)」を意味し、「ppb」は「parts-per-billion(10-9)」を意味し、「ppt」は「parts-per-trillion(10-12)」を意味する。
【0013】
本明細書において、「室温」は「25℃」である。
【0014】
本明細書において、処理液のpHは、室温(25℃)において、(株)堀場製作所製、F-51(商品名)で測定した値である。
【0015】
本明細書において、特に断りがない限り、分子量分布がある場合の分子量は重量平均分子量である。
本明細書において、樹脂(ポリマー)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算で求めた重量平均分子量である。
【0016】
本明細書において言及する処理液の成分は、処理液中で電離(イオン化)していてもよい。
【0017】
本明細書において、「塩」という場合、カチオン性窒素原子(N+)等を含有する化合物の塩としては、例えば、その化合物の、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物のようなハロゲン化物塩;水酸化物;硝酸塩;及び、硫酸塩等が挙げられる。このような塩は、2種以上のアニオンと塩を形成していてもよい。ただし、塩が添加剤である場合、上記塩はフッ化物以外であることも好ましい。
スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基等を含有する化合物の塩としては、例えば、その化合物の、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;及び、アンモニウム塩等が挙げられる。このような塩は、2種以上のカチオンと塩を形成していてもよい。
また、ポリマーにおいては、塩を形成し得る基の一部のみが塩を形成していてもよく全部が塩を形成していてもよい。
【0018】
[処理液]
本発明の処理液は、フッ化物イオン源と、酸化剤と、添加剤と、を含有する。
上記添加剤は、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸及びその塩、ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマー、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルアミン、アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩、アリールフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、シリコン化合物、アルキルアミン、芳香族アミン、窒素含有複素環化合物、システイン以外のアミノ酸、炭素数が16以下の4級アンモニウム塩、並びに、ホウ素含有化合物からなる群から選択される1種以上である。上記群から選択される1種以上の添加剤を、以下「特定添加剤」ともいう。
【0019】
本発明者は、被処理部の平滑性の改善に有効な性質を示す成分を特定添加剤として選出しており、このような特定添加剤を処理液に含有させることで、本発明の課題が解決されたと考えている。
また、本発明の処理液は、SiGeに対する溶解の選択性にも優れている。例えば、本発明の処理液は、SiGeに対する溶解性が優れる一方で、Si(シリコン)に対する防食性に優れる。
以下、本発明の処理液が、SiGeをエッチングした際に被処理部の平滑性を良好にできること、SiGeに対する溶解性が優れること、及び/又は、Siに対する防食性が優れることを、本発明の効果が優れるともいう。
【0020】
以下、本発明の処理液が含有する成分について詳述する。
【0021】
<フッ化物イオン源>
処理液は、フッ化物イオン源を含有する。
フッ化物イオン源は、処理液中で、フッ化物イオン(F-及び/又はHF2
-のように、フッ素原子を含有するイオン)を放出する成分である。
フッ化物イオンは、後述する酸化剤の作用の下で形成されたシリコン及び/又はゲルマニウムの酸化物の除去を補助し得ると考えられている。
フッ化物イオン源としては、例えば、フッ酸(HF)、フッ化アンモニウム(NH4F)、フルオロホウ酸塩(KBF4、NH4BF4等)、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化アルミニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、AlF2、LiF4、CaF3、NaHF6、NH4HF2、KHF2、H2SiF6、及び、R1NR2R3R4Fで表される化合物が挙げられる。
上記R1NR2R3R4F中、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素数1~4のアルキル基を表す。R1、R2、R3、及び、R4が有する炭素原子の合計数は、1~12が好ましい。R1NR2R3R4Fで表される化合物としては、例えば、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、及び、フッ化テトラブチルアンモニウムが挙げられる。
フッ化物イオン源は、フッ酸、又は、フッ化アンモニウムが好ましい。
【0022】
フッ化物イオン源の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、処理液の全質量に対して、0.001~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.1~3質量%が更に好ましい。
フッ化物イオン源は1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。フッ化物イオン源を2種以上用いる場合は、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
【0023】
<酸化剤>
処理液は、酸化剤を含有する。
SiGeに作用して、酸化物(シリコン酸化物、ゲルマニウム酸化物、及び/又は、シリコン-ゲルマニウム複合酸化物等)を形成し、SiGeをエッチングするために機能すると考えられている。
酸化剤としては、例えば、過酸化物、過硫化物(例えば、モノ過硫化物及びジ過硫化物)、過炭酸塩、それらの酸、及び、それらの塩が挙げられる。
中でも、酸化剤は、過酸化物(1以上のペルオキシ基(-O-O-)を含有する化合物)が好ましい。過酸化物は、ペルオキシ酸(過酢酸、過安息香酸、及び、それらの塩等)であってもよい。
酸化剤としては、他にも、他の適切な酸化剤としては、例えば、酸化ハライド(ヨウ素酸、過ヨウ素酸、及び、それらの塩等)、過ホウ酸、過ホウ酸塩、過マンガン酸塩、セリウム化合物、及び、フェリシアン化物(フェリシアン化カリウム等)が挙げられる。
【0024】
より具体的な酸化剤としては、例えば、過酢酸、過酸化水素、過ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、及び、尿素-過酸化水素付加物が挙げられる。
中でも、酸化剤は、過酢酸、又は、過酸化水素が好ましい。
【0025】
酸化剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、処理液の全質量に対して、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。上記含有量の上限は、処理液の全質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、10質量%未満が特に好ましい。
酸化剤は1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。酸化剤を2種以上用いる場合は、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
【0026】
<特定添加剤(添加剤)>
処理液は、特定添加剤の1種以上を含有する。
特定添加剤は、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸及びその塩、ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマー、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルアミン、アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩、アリールフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、シリコン化合物、アルキルアミン、芳香族アミン、窒素含有複素環化合物、システイン以外のアミノ酸、炭素数が16以下の4級アンモニウム塩、並びに、ホウ素含有化合物からなる群から選択される成分である。
なお、上述のフッ化物イオン源及び酸化剤は、特定添加剤には含めない。
【0027】
中でも、特定添加剤は、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸及びその塩、ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマー、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルアミン、アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩、アリールフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸及びその塩、アルキルアミン、芳香族アミン、窒素含有複素環化合物、システイン以外のアミノ酸、炭素数が16以下の4級アンモニウム塩、並びに、ホウ素含有化合物からなる群から選択される1種以上が好ましく、
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、及び、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物からなる群から選択される1種以上がより好ましい。
【0028】
特定添加剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、処理液の全質量に対して、0.001~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.1~3質量%が更に好ましい。
特定添加剤は1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。特定添加剤を2種以上用いる場合は、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
以下、各特定添加剤について説明する。
【0029】
(ポリビニルアルコール)
ポリビニルアルコールは、-CH2-CH(OH)-で表される繰り返し単位を含有するポリマーである。
ポリビニルアルコールが-CH2-CH(OH)-以外の繰り返し単位も含有する場合、全種の繰り返し単位のうち、-CH2-CH(OH)-で表される繰り返し単位の含有量(モル比)が最大であることが好ましい。
ポリビニルアルコールにおける、-CH2-CH(OH)-で表される繰り返し単位の含有量は、ポリマーの全繰り返し単位に対して、51~100モル%が好ましく、75~100モル%がより好ましい。
ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、400~50000が好ましい。
【0030】
(ポリスチレンスルホン酸及びその塩)
ポリスチレンスルホン酸は、スチレンスルホン酸に基づく繰り返し単位を含有するポリマーである。
ポリスチレンスルホン酸の塩は、上記ポリスチレンスルホン酸における、スチレンスルホン酸に基づく繰り返し単位のスルホン酸基の一部又は全部が塩(ナトリウム塩のようなアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は、アンモニウム塩等)になった形態のポリマーである。
つまり、ポリスチレンスルホン酸及びその塩は、スチレンスルホン酸系繰り返し単位(スチレンスルホン酸に基づく繰り返し単位、及び、スチレンスルホン酸に基づく繰り返し単位のスルホン酸基が塩になっている形態の繰り返し単位の総称)を含有するポリマーである。
ポリスチレンスルホン酸及びその塩が、スチレンスルホン酸系繰り返し単位以外の繰り返し単位も含有する場合、全種の繰り返し単位のうち、スチレンスルホン酸系繰り返し単位の含有量(モル比)が最大であることが好ましい。
ポリスチレンスルホン酸及びその塩における、スチレンスルホン酸系繰り返し単位の含有量は、ポリマーの全繰り返し単位に対して、51~100モル%が好ましく、75~100モル%がより好ましい。
ポリスチレンスルホン酸及びその塩の重量平均分子量は、400~50000が好ましい。
【0031】
(ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマー)
ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマーは、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマーは、窒素原子を含有する繰り返し単位(N含有繰り返し単位)を含有するポリマーである。
ただし、ここでいうN含有繰り返し単位には、-CH2-CH2-N<は含まない。なお、ポリマーがN含有繰り返し単位を含有してさえいれば、全繰り返し単位の一部として-CH2-CH2-N<を含有していたとしても、そのポリマーはポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマーに該当する。
ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマーが、N含有繰り返し単位以外の繰り返し単位も含有する場合、全種の繰り返し単位のうち、N含有繰り返し単位の含有量(モル比)が最大であることが好ましい。
ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマーにおける、N含有繰り返し単位の含有量は、ポリマーの全繰り返し単位に対して、51~100モル%が好ましく、75~100モル%がより好ましい。
ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマーの重量平均分子量は、400~50000が好ましい。
【0032】
N含有繰り返し単位の由来となるモノマーとしては、例えば、ビニルピロリドン、アリルアミン、ビニルアミン、アクリルアミド、ヘキサジメトリン塩(ハロゲン化物塩、水酸化物、硝酸塩、又は、硫酸塩等)、ジアリルアミン、ジメチルジアリルアンモニウム塩(ハロゲン化物塩、水酸化物塩、硝酸塩、又は、硫酸塩等)、4-ビニルピリジン、オルニチン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、ビニルイミダゾール、及び、メチルジアリルアミンが挙げられる。また、N含有繰り返し単位として、ジメチルアミン及びエピハロヒドリン(好ましくはエピクロロヒドリン)からなる繰り返し単位を使用してもよい。
【0033】
ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド、ジメチルアミン・エピヒドリン系ポリマー(好ましくはジメチルアミン-エピハロヒドリン共重合体、より好ましくはジメチルアミン-エピクロロヒドリン共重合体)、ヘキサジメトリン塩(ハロゲン化物塩、水酸化物、硝酸塩、又は、硫酸塩等)、ポリジアリルアミン、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩(ハロゲン化物塩、水酸化物塩、硝酸塩、又は、硫酸塩等)、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリオルニチン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリビニルイミダゾール、及び、ポリメチルジアリルアミンからなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0034】
(ポリオキシエチレンラウリルアミン)
ポリオキシエチレンラウリルアミンは、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
ポリオキシエチレンラウリルアミンは、例えば、「C12H25-N[(C2H4O)PEH]2」で表される化合物である。
「C12H25-N[(C2H4O)PEH]2」中、2つのPEは、それぞれ独立に、1~100の整数を表す。
【0035】
(アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩)
アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
アルキルナフタレンスルホン酸は、「(AL-)NLRNP-SO3H」で表される化合物が好ましい。
「(AL-)NLRNP-SO3H」中、NLは、1~7の整数を表す。
ALは、アルキル基を表す。上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、全体又は一部分が環状構造となっていてもよい。上記アルキル基の炭素数は1~25が好ましい。ALが複数存在する場合、複数のALは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
RNPは、AL-及び-SO3H意外にも置換基を有していてもよいナフタレン環基を表す。
【0036】
アルキルナフタレンスルホン酸の塩は、上記アルキルナフタレンスルホン酸におけるスルホン酸基の一部又は全部が塩(ナトリウム塩のようなアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は、アンモニウム塩等)になった形態の化合物が好ましい。
【0037】
アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩は、プロピルナフタレンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、及び、ジブチルナフタレンスルホン酸からなる群から選択される1種以上が好ましい。また、これらの化合物の塩も好ましい。
【0038】
(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩)
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸は、下記一般式(C1)で表される化合物が好ましい。
【0039】
【0040】
一般式(C1)中、ALは、アルキル基を表す。上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、全体又は一部分が環状構造となっていてもよい。上記アルキル基の炭素数は1~25が好ましい。ALが複数存在する場合、複数のALは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0041】
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸の塩は、上記アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸におけるスルホン酸基の一部又は全部が塩(ナトリウム塩のようなアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は、アンモニウム塩等)になった形態の化合物が好ましい。
【0042】
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩は、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸が好ましい。また、この化合物の塩も好ましい。
【0043】
(フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩)
フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物は、フェノールスルホン酸とホルマリンとが縮合してなる形態の繰り返し単位を含有するポリマーである。
フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物の塩は、上記フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物における、フェノールスルホン酸とホルマリンとが縮合してなる形態の繰り返し単位のスルホン酸基の一部又は全部が塩(ナトリウム塩のようなアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は、アンモニウム塩等)になった形態のポリマーである。
つまり、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩は、フェノールスルホン酸ホルマリン系繰り返し単位(フェノールスルホン酸とホルマリンとが縮合してなる形態の繰り返し単位、及び、フェノールスルホン酸とホルマリンとが縮合してなる形態の繰り返し単位のスルホン酸基が塩になっている形態の繰り返し単位の総称)を含有するポリマーである。
フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩が、フェノールスルホン酸ホルマリン系繰り返し単位以外の繰り返し単位も含有する場合、全種の繰り返し単位のうち、フェノールスルホン酸ホルマリン系繰り返し単位の含有量(モル比)が最大であることが好ましい。
フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩における、フェノールスルホン酸ホルマリン系繰り返し単位の含有量は、ポリマーの全繰り返し単位に対して、51~100モル%が好ましく、75~100モル%がより好ましい。
フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩の重量平均分子量は、400~50000が好ましい。
【0044】
(アリールフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩)
アリールフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
アリールフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩としては、例えば、上述のフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩の説明におけるフェノールスルホン酸を、アリールフェノールスルホン酸に代えた形態のポリマーが挙げられる。
アリールフェノールスルホン酸におけるアリール基としては、例えば、炭素数6~14のアリール基が挙げられる。
【0045】
(ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸及びその塩)
ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸及びその塩は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸及びその塩は、例えば、「AL-O-(C2H4O)PE-SO3H」で表される化合物、及び、その塩である。
「AL-O-(C2H4O)PE-SO3H」中、PEは、1以上の整数を表し、1~100の整数が好ましい。
ALは、アルキル基を表す。上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、全体又は一部分が環状構造となっていてもよい。上記アルキル基の炭素数は1~25が好ましい。
【0046】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸及びその塩は、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルスルホン酸、及び、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルスルホン酸からなる群から選択される1種以上が好ましい。また、これらの化合物の塩も好ましい。
【0047】
(ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩)
ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩は、例えば、「AL-O-(C2H4O)PE-CH2-COOH」で表される化合物、及び、その塩である。
「AL-O-(C2H4O)PE-CH2-COOH」中、PEは、1以上の整数を表し、1~100の整数が好ましい。
ALは、アルキル基を表す。上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、全体又は一部分が環状構造となっていてもよい。上記アルキル基の炭素数は1~25が好ましい。
【0048】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩は、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンドデシルエーテルカルボン酸、及び、ポリオキシエチレントリデシルエーテルカルボン酸からなる群から選択される1種以上が好ましい。また、これらの化合物の塩も好ましい。
【0049】
(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びその塩)
ポリオキシエチレンアルキルリン酸は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びその塩は、例えば、「AL-O-(C2H4O)PE-PO3H2」又は「[AL-O-(C2H4O)PE-]2PO2H」で表される化合物、及び、その塩である。
「AL-O-(C2H4O)PE-PO3H2」及び「[AL-O-(C2H4O)PE-]2PO2H」中、PEは、1以上の整数を表し、1~100の整数が好ましい。
ALは、アルキル基を表す。上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、全体又は一部分が環状構造となっていてもよい。上記アルキル基の炭素数は1~25が好ましい。
「AL-O-(C2H4O)PE-」が複数存在する場合、複数存在する「AL-O-(C2H4O)PE-」は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0050】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びその塩は、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸が好ましい。また、この化合物の塩も好ましい。
【0051】
(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸及びその塩)
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸及びその塩は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸及びその塩は、例えば、「AL-Ph-O-(C2H4O)PE-PO3H2」又は「[AL-Ph-O-(C2H4O)PE-]2PO2H」で表される化合物、及び、その塩である。
「AL-Ph-O-(C2H4O)PE-PO3H2」又は「[AL-Ph-O-(C2H4O)PE-]2PO2H」中、PEは、1以上の整数を表し、1~100の整数が好ましい。
Phは、ベンゼン環基を表す。
ALは、アルキル基を表す。上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、全体又は一部分が環状構造となっていてもよい。上記アルキル基の炭素数は1~25が好ましい。
「AL-Ph-O-(C2H4O)PE-」が複数存在する場合、複数存在する「AL-Ph-O-(C2H4O)PE-」は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0052】
(シリコン化合物)
シリコン化合物は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
シリコン化合物は、ケイ素原子(Si)を有する化合物である。
シリコン化合物が、アルコキシシラン、シラノール化合物、オキシムシラン、ジシラザン、及び、シロキサンからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0053】
・アルコキシシラン
アルコキシシランは、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
アルコキシシランは、例えば、ケイ素原子と直接結合する「アルキル基-O-」で表される基を少なくとも1つ(好ましくは1~6つ)有する化合物である。
アルコキシシランは、「(AL2-O-)S1SiRSi
S2」で表される化合物が好ましい。
「(AL2-O-)S1SiRSi
S2」中、S1は、1~4の整数を表す。
S2は、0~3の整数を表す。
ただし、S1+S2は、4である。
AL2は、アルキル基を表す。上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、全体又は一部分が環状構造となっていてもよい。上記アルキル基の炭素数は1~5が好ましい。
RSiは、水素原子、又は、「AL2-O-」及び以外の置換基を表す。上記置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは1~10)、アリール基(好ましくは炭素数6~15)、アミノアルキル基(好ましくは炭素数1~10)、アミノアルコキシアミノアルキル基(好ましくは炭素数1~12)、ハロゲン原子、又は、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。また、上記置換基は、全体として、炭素数1~15の有機基であるという要件を満たすことも好ましい。
AL2及び/又はRSiが複数存在する場合、複数存在するAL2及び/又はRSiは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0054】
また、アルコキシシランは、「LSi[-Si(-O-AL2)S3RSi
S4]2」で表される化合物であることが好ましい。
「LSi[-Si(-O-AL2)S3RSi
S4]2」中、LSiは、単結合又は二価の連結基を表す。上記二価の連結基はアルキレン基(好ましくは炭素数1~10)が好ましい。
S3は、1~3の整数を表す。
S4は、0~2の整数を表す。
ただし、1つの「-Si(-O-AL2)S3RSi
S4」中におけるS3+S4は、3である。
「LSi[-Si(-O-AL2)S3RSi
S4]2」中のAL2及びRSiは、「(AL2-O-)S1SiRSi
S2」中のAL2及びRSiと、それぞれ同義である。
AL2、RSi、S3、及び/又は、S4が複数存在する場合、複数存在するAL2、RSi、S3、及び/又は、S4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0055】
アルコキシシランは、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、t-ブチルメトキシジメチルシラン、3-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、エトキシ(トリメチル)シラン、メトキシ(トリメチル)シラン、ヘキシル(ジメトキシ)シラン、メチルジエトキシシラン、トリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、及び、3-(2-アミノエトキシアミノ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0056】
・シラノール化合物
シラノール化合物は、例えば、ケイ素原子と直接結合する水酸基を少なくとも1つ(好ましくは1~6つ)有する化合物である。
ただし、シラノール化合物は、ケイ素原子と直接結合するアルコキシ基を有さない。
シラノール化合物は、「RSJ
S5Si(OH)S6」で表される化合物が好ましい。
「RSJ
S5Si(OH)S6」中、S5は、0~4の整数を表す。
S6は、1~4の整数を表す。
ただし、S5+S6は、4である。
RSJは、水素原子、又は、アルコキシ基でも水酸基でもない置換基を表す。上記置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは1~10)、アルケニル基(好ましくは2~10)、アリール基(好ましくは炭素数6~15)、アミノ基、アセチル基、ハロゲン原子、及び、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。また、上記置換基は、全体として、炭素数1~15の有機基であるという要件を満たすことも好ましい。
RSJが複数存在する場合、複数存在するRSJは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0057】
シラノール化合物は、トリメチルシラノール、ジメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、シラントリオール、3-アミノプロピルシラントリオール、メチルシラントリオール、2-メチル-2-プロピルシラントリオール、メチルアセテートシラントリオール、2-(クロロエチル)アセテートシラントリオール、及び、3-(ヒドロキシプロピル)シラントリオールからなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0058】
・オキシムシラン
オキシムシランは、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
オキシムシランは、ケイ素原子と直接結合する「-O-N=CROX
2」で表される基を少なくとも1つ(好ましくは1~6つ)有する化合物である。同一の炭素原子に結合する2つのROXは、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表す。また、同一の炭素原子に結合する2つのROXが互いに結合して環を形成していてもよい。ただし、同一の炭素原子に結合する2つのROXのうち、少なくとも一方は水素原子以外である。
上記有機基は、アルキル基が好ましい。上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、全体又は一部分が環状構造となっていてもよい。上記アルキル基の炭素数は1~25が好ましい。2つのROXが互いに結合して環を形成する場合、2つのROXが互いに結合される基は、アルキレン基(好ましくは炭素数2~15)が好ましい。
ただし、オキシムシランは、ケイ素原子と直接結合する、アルコキシ基で表される基、及び/又は、水酸基を有さない。
【0059】
オキシムシランは、「RSK
S7Si(-O-N=CROX
2)S8」で表される化合物が好ましい。
「RSK
S7Si(-O-N=CROX
2)S8」中、S7は、0~4の整数を表す。
S8は、1~4の整数を表す。
ただし、S7+S8は、4である。
RSKは、水素原子、又は、アルコキシ基でも水酸基でも「-O-N=CROX
2」で表される基でもない置換基を表す。上記置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは1~10)、アルケニル基(好ましくは2~10)、アリール基(好ましくは炭素数6~15)、アミノ基、アセチル基、ハロゲン原子、及び、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。また、上記置換基は、全体として、炭素数1~15の有機基であるという要件を満たすことも好ましい。
ROXについては上述の通りである。
RSK及び/又はROXが複数存在する場合、複数存在するRSK及び/又はROXは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0060】
オキシムシランは、ジ(エチルアルドオキシム)シラン、モノ(エチルアルドオキシム)シラン、トリス(エチルアルドオキシム)シラン、テトラ(エチルアルドオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトシル(アセトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ジメチルジ(メチルエチルケトオキシム)シラン、トリメチル(メチルエチルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルエチルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルビニルジ(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルビニルジ(シクロヘキサノネキシム)シラン、ビニルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、及び、フェニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シランからなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0061】
・ジシラザン
ジシラザンは、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
ジシラザンは、例えば、「RSL
3Si-NH-SiRSL
3」で表される化合物である。
RSKは、水素原子、又は、アルコキシ基でも水酸基でも「-O-N=CROX
2」で表される基でもない置換基を表す。上記置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは1~10)、アルケニル基(好ましくは2~10)、アリール基(好ましくは炭素数6~15)、アミノ基、アセチル基、ハロゲン原子、及び、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。また、上記置換基は、全体として、炭素数1~15の有機基であるという要件を満たすことも好ましい。
ただし、ジシラザンは、ケイ素原子と直接結合する、アルコキシ基、「-O-N=CROX
2」で表される基、及び/又は、水酸基を有さない。
【0062】
ジシラザンは、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。
【0063】
・シロキサン
シロキサンは、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
シロキサン化合物は、例えば、「RSM
3Si(-O-SiRSN
2-)S9RSO」で表される化合物である。
「RSM
3Si(-O-SiRSN
3-)S9RSO」中、S9は、1以上の整数を表し、1~10の整数が好ましい。
3個のRSM、2×S9個のRSN、及び、RSOは、それぞれ独立に、水素原子、又は、アルコキシ基でも水酸基でも「-O-N=CROX
2」で表される基でもない置換基を表す。
上記置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは1~10)、アルケニル基(好ましくは2~10)、アリール基(好ましくは炭素数6~15)、アミノ基、アセチル基、ハロゲン原子、及び、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。また、上記置換基は、全体として、炭素数1~15の有機基であるという要件を満たすことも好ましい。
また、3個のRSMのうちの1個と、RSOとが互いに結合して、二価の連結基を形成してもよい。二価の連結基を形成する場合、上記二価の連結基としては-O-が好ましい。
【0064】
シロキサンは、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンからなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0065】
(アルキルアミン)
アルキルアミンは、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
アルキルアミンは、少なくとも1つの、「アルキル基-N」で表される部分構造を含有する化合物である。上記アルキル基は、置換基を有していてもよい。
ただし、アルキルアミンは、上述の特定添加剤、後述の窒素含有複素環化合物、及び、後述のシステイン以外のアミノ酸の、いずれでもないことが好ましい。
アルキルアミンの分子量は、15以上400未満が好ましく、15以上300以下がより好ましい。
アルキルアミンは、「RN
2N(-LN-NRLN-)XNRN」で表される化合物が好ましい。
「RN
2N(-LN-NRLN-)XNRN」中、XNは0~6の整数を表す。
3個のRN、及び、XN個のRLNは、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を有してもよいアルキル基を表す。
上記置換基を有してもよいアルキル基におけるアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、全体又は一部分が環状構造となっていてもよい。上記アルキル基の炭素数は1~120が好ましい。
上記置換基を有してもよいアルキル基における置換基は、アリール基(好ましくは炭素数6~15)、アミノアルキル基(好ましくは炭素数1~5)、又は、これらを組み合わせた基が好ましい。上記置換基は、カルボキシ基以外であることも好ましい。
上記置換基を有してもよいアルキル基の全体の炭素数は、1~20が好ましい。
XN個のLNは、それぞれ独立に、炭素数1~8のアルキレン基を表す。
ただし、XNが0の場合、3個のRNのうちの少なくとも1つは、上記置換基を有してもよいアルキル基である。
【0066】
アルキルアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、フェネチルアミン、及び、m-キシリレンジアミンからなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0067】
(芳香族アミン)
芳香族アミンは、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
芳香族アミンは、少なくとも1つの、「芳香環基-N」で表される部分構造を含有する化合物である。上記芳香環基は、置換基を有していてもよい。
ただし、芳香族アミンは、上述の特定添加剤、後述の窒素含有複素環化合物、及び、後述のシステイン以外のアミノ酸の、いずれでもないことが好ましい。
芳香族アミンの分子量は、15以上400未満が好ましく、15以上300以下がより好ましい。
芳香族アミンは、「RN
2N-置換基を有してもよい芳香環基」で表される化合物が好ましい。
「RN
2N-置換基を有してもよい芳香環基」中、2個のRNは、それぞれ独立に、水素原子、又は、アルキル基以外の置換基を表す。
上記置換基を有してもよい芳香環基における置換基は、アルキル基(好ましくは炭素数1~20)、アリール基(好ましくは炭素数6~15)、アミノアルキル基(好ましくは炭素数1~5)、又は、これらを組み合わせた基が好ましい。
上記置換基を有してもよい芳香環基の全体の炭素数は、1~20が好ましい。
置換基を有してもよい芳香環基における芳香環基の炭素数は5~15が好ましく、環員原子としてヘテロ原子を含有していてもよい。
【0068】
芳香族アミンは、アニリン、及び、トルイジンからなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0069】
(窒素含有複素環化合物)
窒素含有複素環化合物は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
窒素含有複素環化合物は、環員原子として少なくとも1つ(好ましくは1~4)の窒素原子を有する複素環構造を有する化合物である。
上記複素環構造の環員原子である窒素原子は、カチオン性窒素原子(N+)となっていてもよい。
上記複素環構造は、窒素原子以外にもヘテロ原子(酸素原子、又は、硫黄原子等)を環員原子として有していてもよい。
上記複素環構造は、単環でも多環でもよい。単環の場合、5~8員環が好ましい。多環の場合、全体の環の数は2~5が好ましく、各環が5~8員環であることも好ましい。
上記複素環構造は、芳香族性を有していてもよいし、芳香族性を有していなくてもよい。また、上記複素環構造が多環の場合、芳香族性を有する環同士が縮環していてもよいし、芳香族性を有さない環同士が縮環していてもよいし、芳香族性を有する環と芳香族性を有さない環とが縮環していてもよい。
上記複素環構造を構成する環員原子の数は3~20が好ましい。
上記複素環構造は置換基(1~3級アミノ基等)を含有していてもよい。
窒素含有複素環化合物は、上記複素環構造を化合物全体として1つだけ有していてもよいし、複数有していてもよい。
また、窒素含有複素環化合物の分子量は、40以上400未満が好ましく、50以上300以下がより好ましい。
【0070】
窒素含有複素環化合物は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、オキサゾール、チアゾール、4-ジメチルアミノピリジン、及び、塩化ラウリルピリジニウムからなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0071】
(システイン以外のアミノ酸)
システイン以外のアミノ酸は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
システイン以外のアミノ酸は、カルボキシ基と、一級又は二級アミノ基とを含有する化合物であることが好ましい。
システイン以外のアミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及び、バリンからなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0072】
(炭素数が16以下の4級アンモニウム塩)
炭素数が16以下の4級アンモニウム塩は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
炭素数が16以下の4級アンモニウム塩に、ピリジニウム塩は含まれない。
炭素数が16以下の4級アンモニウム塩は、例えば、「RT
4N+・T-」で表される化合物である。
「RT
4N+・T-」中、4つのRTは、それぞれ独立に、N+と直接結合する原子が炭素原子である有機基を表す。上記有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、又は、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
上記置換基を有してもよいアルキル基におけるアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、全体又は一部分が環状構造となっていてもよい。上記アルキル基の炭素数は1~110が好ましい。
上記置換基を有してもよいアルキル基における置換基は、水酸基、又は、アリール基(好ましくは炭素数6~10)が好ましい。
上記置換基を有してもよいアリール基におけるアリール基は、炭素数6~12が好ましい。
上記置換基を有してもよいアリール基における置換基は、水酸基、又は、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)が好ましい。
T-は、F-以外の対アニオンを表す。上記対アニオンは、OH-が好ましい。
ただし、「RT
4N+・T-」で表される化合物に含まれる炭素原子の数の合計は16以下であり、4~16が好ましい。
【0073】
炭素数が16以下の4級アンモニウム塩は、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、メチルトリプロピルアンモニウム塩、メチルトリブチルアンモニウム塩、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジメチルジエチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、及び、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0074】
(ホウ素含有化合物)
ホウ素含有化合物は、ここまでに上述した特定添加剤以外であることが好ましい。
ホウ素含有化合物はホウ素原子(B)を含有する化合物である。
ホウ素原子含有化合物は、ホウ素原子に直成結合する「-OH」を有する化合物であることが好ましい。
また、ホウ素含有化合物の分子量は、50以上400未満が好ましく、60以上300以下がより好ましい。
ホウ素含有化合物は、ホウ酸が好ましい。
【0075】
<有機溶媒>
処理液は、有機溶媒を含有することが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤(例えば、両末端がアルキル基又はアミノ基で置換された(ポリ)アルキレングリコールを含む)、スルホン系溶剤、スルホキシド系溶剤、ニトリル系溶剤、及び、アミド系溶剤が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、アルカンジオール(例えば、アルキレングリコールを含む)、アルコキシアルコール(例えば、グリコールモノエーテルを含む)、飽和脂肪族一価アルコール、不飽和非芳香族一価アルコール、及び、環構造を含有する低分子量のアルコールが挙げられる。
【0076】
上記有機溶媒は、アセテート系溶剤以外であることも好ましい。
また、処理液が、アセテート系溶剤を実質的に含有しないことも好ましく、例えば、アセテート系溶剤の含有量が、処理液の全質量に対して、0~1質量%であることも好ましい。
【0077】
上記有機溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、1,4-ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、スルホラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、モノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレンモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、1-メトキシ-2-ブタノール、2-メトキシ-1-ブタノール、2-メトキシ-2-メチルブタノール、1,1-ジメトキシエタン、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び、1-ブタノールからなる群から選択される1種以上が好ましく、プロピレングリコール及びスルホランからなる群から選択される1種以上がより好ましい。
【0078】
有機溶媒の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、処理液の全質量に対して、1~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましく、20~45質量%が更に好ましい。
有機溶媒は1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。有機溶媒を2種以上用いる場合は、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
【0079】
<水>
処理液は、水を含有することが好ましい。
水は特に制限されず、例えば、蒸留水、イオン交換水、及び、純水が挙げられる。
【0080】
処理液中における水の含有量は特に制限されないが、処理液の全質量に対して、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、55質量%以上が更に好ましい。上限は、100質量%未満であり、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
【0081】
<処理液の製造方法>
上記処理液の製造方法は特に制限されず、公知の製造方法が使用できる。例えば、水、フッ化物イオン源、酸化剤、及び、特定添加剤等を所定量で混合する方法が挙げられる。なお、上記成分を混合する際に、必要に応じて、他の任意成分を合わせて混合してもよい。
また、処理液を製造する際には、必要に応じて、フィルターを用いて処理液をろ過して精製してもよい。
【0082】
処理液のpHは、本発明の効果がより優れる点で7未満が好ましく、4未満がより好ましい。
pHを調整するために、処理液はpH調整剤を含有してもよい。pH調整剤としては、上述した成分以外の酸化合物(無機酸又は有機酸等)、及び、塩基化合物(無機塩基又は有機塩基等)が挙げられる。
【0083】
<処理液収容体、処理液の提供方法>
処理液は、容器に収容されて使用時まで保管してもよい。
このような容器と、容器に収容された処理液とをあわせて処理液収容体という。保管された処理液収容体からは、処理液が取り出され使用される。また、処理液収容体として運搬されて、メーカーからユーザー、又は、保管場所から使用場所等の間で、処理液が提供されることも好ましい。
【0084】
容器は、容器内の圧力(内圧)を調整するためのガス抜き機構を有することも好ましい。ガス抜き機構は、例えば、処理液収容体の保管時に容器内部の処理液の温度上昇、及び/又は、処理液の一部の成分の分解等によって処理液からガスが発生した際に、発生したガスを容器内から外部に放出させて、内圧を過剰に上昇させることなく、一定の範囲に収める機構である。
ガス抜き機構としては、例えば、逆止弁が挙げられる。
また、容器が有するキャップとして、ガス抜き機構を備えるガス抜きキャップを採用することで、容器にガス抜き機構を具備させることも好ましい。つまり、処理液収容体の容器は、容器内の圧力を調整するガス抜き機構を備えるガス抜きキャップを有することも好ましい。
また、処理液の取り扱いの便宜等の点から、このような処理液収容体を用いた方法で、メーカーからユーザー、又は、保管場所から使用場所等の間で、処理液が提供されることが好ましい。
【0085】
ガス抜きキャップとしては、例えば、キャップに一定程度以上の圧力(内圧)が負荷された場合に、容器内部のガスを外部に放出する弁(好ましくは逆止弁)が供えられたキャップが挙げられる。
その他の例として、
図1に、ガス抜きキャップが適用された処理液収容体の上部の概略断面図を例示する。
処理液収容体100は、キャップ本体102、防水通気膜104、及び、通気層106で構成されるキャップ(ガス抜きキャップ)と、上記キャップによって封止された容器本体108とからなる容器を有する。処理液収容体100は、更に、上記容器本体108内に収容された処理液110を有する。破線矢印は、処理液110から発生したガスの仮想的な流路112である。
処理液110から発生したガスは、防水通気膜104を透過した後、通気層106、及び、キャップ本体102と容器本体108との間隙を通じて容器の外部に放出され、処理液から発生したガスによって内圧が過剰に上昇することが抑止されている。
【0086】
防水通気膜104は、ガスは透過できるが液体は透過できない、ガス透過性の高い膜である。
通気層106は、防水通気膜104を透過してきたガスが、迅速に外部に移動されるように設けられた層である。通気層106は、例えば、多孔体(ポリエチレンフォーム等)によって形成される。通気層106は省略してもよい。
図中に記載はないが、キャップ本体102と容器本体108とには、キャップによって容器本体に蓋をした状態で固定するための構造(例えば、キャップ本体102を容器本体108に螺合して固定できるようにする構造)が形成されていることも好ましい。上記構造は、ガスが外部に放出されるのを阻害しないような構造であることが好ましい。
【0087】
容器(特に容器本体)は、半導体用途向けに、容器内のクリーン度が高く、不純物の溶出が少ないものが好ましい。使用可能な容器としては、例えば、アイセロ化学(株)製の「クリーンボトル」シリーズ、及び、コダマ樹脂工業製の「ピュアボトル」が挙げられる。
容器(特に容器本体)の内壁は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン-ポリプロピレン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂、若しくは、これとは異なる樹脂から形成されることが好ましい。また、容器(特に容器本体)の内壁は、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びモネル等、防錆及び金属溶出防止処理が施された金属から形成されることも好ましい。
【0088】
上記の異なる樹脂としては、フッ素系樹脂(パーフルオロ樹脂)が好ましい。内壁がフッ素系樹脂である容器を用いることで、内壁が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は、ポリエチレン-ポリプロピレン樹脂である容器と比べて、エチレン又はプロピレンのオリゴマーの溶出という不具合の発生を抑制できる。
内壁がフッ素系樹脂である容器としては、Entegris社製 FluoroPurePFA複合ドラム等が挙げられる。また、特表平3-502677号公報の第4頁等、国際公開第2004/016526号パンフレットの第3頁等、及び、国際公開第99/46309号パンフレットの第9頁及び16頁等に記載の容器も用いることができる。
【0089】
また、容器(特に容器本体)の内壁には、上述したフッ素系樹脂の他に、石英及び電解研磨された金属材料(すなわち、電解研磨済みの金属材料)も好ましく用いられる。
上記電解研磨された金属材料の製造に用いられる金属材料は、クロム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種を含有し、クロム及びニッケルの含有量の合計が金属材料全質量に対して25質量%超である金属材料であることが好ましく、例えば、ステンレス鋼、及び、ニッケル-クロム合金が挙げられる。
金属材料におけるクロム及びニッケルの含有量の合計は、金属材料全質量に対して、30質量%以上が好ましい。
なお、金属材料におけるクロム及びニッケルの含有量の合計の上限値としては特に制限されないが、金属材料全質量に対して、90質量%以下が好ましい。
【0090】
ステンレス鋼は特に制限されず、公知のステンレス鋼を用いることができる。なかでも、ニッケルを8質量%以上含有する合金が好ましく、ニッケルを8質量%以上含有するオーステナイト系ステンレス鋼がより好ましい。
オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えば、SUS(Steel Use Stainless)304(Ni含有量8質量%、Cr含有量18質量%)、SUS304L(Ni含有量9質量%、Cr含有量18質量%)、SUS316(Ni含有量10質量%、Cr含有量16質量%)、及び、SUS316L(Ni含有量12質量%、Cr含有量16質量%)が挙げられる。
【0091】
ニッケル-クロム合金は特に制限されず、公知のニッケル-クロム合金を用いることができる。なかでも、ニッケル含有量が40~75質量%、クロム含有量が1~30質量%のニッケル-クロム合金が好ましい。
ニッケル-クロム合金としては、例えば、ハステロイ(商品名、以下同じ。)、モネル(商品名、以下同じ)、及び、インコネル(商品名、以下同じ)が挙げられる。より具体的には、ハステロイC-276(Ni含有量63質量%、Cr含有量16質量%)、ハステロイ-C(Ni含有量60質量%、Cr含有量17質量%)、及び、ハステロイC-22(Ni含有量61質量%、Cr含有量22質量%)が挙げられる。
また、ニッケル-クロム合金は、必要に応じて、上記した合金の他に、更に、ホウ素、ケイ素、タングステン、モリブデン、銅、又は、コバルトを含有していてもよい。
【0092】
金属材料を電解研磨する方法としては特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、特開2015-227501号公報の段落[0011]-[0014]、及び、特開2008-264929号公報の段落[0036]-[0042]等に記載された方法を用いることができる。
【0093】
なお、金属材料はバフ研磨されていることが好ましい。バフ研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。バフ研磨の仕上げに用いられる研磨砥粒のサイズは特に制限されないが、金属材料の表面の凹凸がより小さくなり易い点で、#400以下が好ましい。
なお、バフ研磨は、電解研磨の前に行われることが好ましい。
また、金属材料は、研磨砥粒のサイズ等の番手を変えて行われる複数段階のバフ研磨、酸洗浄、及び磁性流体研磨等を、1又は2以上組み合わせて処理されたものであってもよい。
【0094】
これらの容器(容器本体及びキャップ等)は、処理液を充填前にその内部が洗浄されることが好ましい。洗浄に使用される液体は、その液中における金属不純物量が低減されていることが好ましい。
処理液は、製造後にガロン瓶又はコート瓶等の容器にボトリングし、輸送又は保管されてもよい。
【0095】
保管における処理液中の成分の変化を防ぐ目的で、容器内を純度99.99995体積%以上の不活性ガス(チッソ、又はアルゴン等)で置換しておいてもよい。特に、含水率が少ないガスが好ましい。また、輸送、及び保管に際しては、常温でもよいが、変質を防ぐため、-20℃から20℃の範囲に温度制御してもよい。
【0096】
なお、上記処理液は、その原料を複数に分割したキットとしてもよい。
また、処理液は、濃縮液として準備してもよい。処理液を濃縮液とする場合には、その濃縮倍率は、構成される組成により適宜決められるが、5~2000倍であることが好ましい。つまり、濃縮液は、5~2000倍に希釈して用いられる。
【0097】
[被処理物の処理方法]
<被処理物>
本発明の処理液は、SiGeを含有する被処理物の処理方法(以下、単に「本処理方法」ともいう。)に適用されることが好ましい。
本処理方法では、上記被処理物が含有するSiGeの少なくとも一部を除去(エッチング)することが好ましい。
【0098】
SiGeは、シリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)との組み合わせからなる材料であり、半導体材料として使用できることが好ましい。
SiGeは、意図的又は不可避的にシリコン及びゲルマニウム以外の成分が含有されていてもよい。SiGeにおける、シリコン及びゲルマニウムの合計含有量は、SiGeの全質量に対して、95~100質量%が好ましく、99~100質量%がより好ましく、99.9~100質量%が更に好ましい、
また、SiGeにおける、シリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)との元素比(SiGe中においてSi原子が占めるatom%と、Ge原子が占めるatom%との比、Si:Ge)は、99:1~30:70が好ましく、95:5~50:50がより好ましく、85:15~65:35が更に好ましい。
【0099】
被処理物の形態はSiGeを含有すれば他には特に制限されないが、例えば、
図2に示すように、基板202と、基板202上に交互に積層されたSiGe204及びその他の材料206とを含有する、被処理物200が挙げられる。
図2では、被処理物200が、複数のSiGe204と複数のその他の材料206とを含有する態様を示したが、複数のSiGe204と複数のその他の材料206との一方又は両方が、1つの層しか存在していなくてもよい。また、
図2では、基板202上に、SiGe204及びその他の材料206のいずれも存在しない個所が示されているが、このような個所をSiGe204が被覆していてもよい。
図2では、基板202上にSiGe204が直接配置されているが、更に別の層を介して配置されていてもよい。
その他の材料206は、SiGe以外であればよい。また、複数のその他の材料206がそれぞれ異なる層であってもよい。中でも、被処理物200は、ケイ素(Si)であるその他の材料206を少なくとも1つ含有していることが好ましい。
【0100】
被処理物が含有する基板の種類は特に制限されず、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び、光磁気ディスク用基板等の各種基板が挙げられる。
半導体基板を構成する材料としては、例えば、ケイ素、及び、GaAs等の第III-V族化合物、又は、それらの任意の組合せが挙げられる。
中でも、基板はケイ素(Si)からなることが好ましい。
基板の大きさ、厚さ、形状、及び、層構造等は、特に制限はなく、所望に応じ適宜選択できる。
【0101】
被処理物は、メタルハードマスクを含有していてもよい。例えば、
図2に示す被処理物200が更にメタルハードマスクを含有していてもよい。
メタルハードマスクとしては、例えば、Cu、Co、W、AlO
x、AlN、AlO
xN
y、WO
x、Ti、TiN、ZrO
x、HfO
xおよびTaO
xのいずれか1種以上を含有するメタルハードマスクが挙げられる(なお、x=1~3、y=1~2で表される数である。)。
メタルハードマスクは、Cu、Co、W、AlO
x、AlN、AlO
xN
y、WO
x、Ti、TiN、ZrO
x、HfO
xおよびTaO
xのいずれか1種以上を、全質量に対して、30~100質量%含有することが好ましく、60~100質量%含有することがより好ましく、95~100質量%含有することが更に好ましい。
【0102】
被処理物が含有するSiGe及び/又はその他の材料の形態は特に制限されず、例えば、膜状の形態、配線状の形態、及び、粒子状の形態のいずれであってもよい。
SiGe及び/又はその他の材料が膜状である場合、その厚みは特に制限されず、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、1~50nmである。
SiGe及び/又はその他の材料は、基板の片側の主面上にのみに配置されていてもよいし、両側の主面上に配置されていてもよい。また、SiGe及び/又はその他の材料は、基板の主面全面に配置されていてもよいし、基板の主面の一部に配置されていてもよい。
【0103】
上記被処理物は、SiGe及び/又はその他の材料以外に、所望に応じた種々の層、及び/又は、構造を含有していてもよい。例えば、基板は、金属配線、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、絶縁層、強磁性層、及び/又は、非磁性層等を含有していてもよい。
基板は、曝露された集積回路構造、例えば金属配線及び誘電材料等の相互接続機構を含有していてもよい。相互接続機構に使用する金属及び合金としては、例えば、アルミニウム、銅アルミニウム合金、銅、チタン、タンタル、コバルト、ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、及び、タングステンが挙げられる。基板は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、及び/又は、炭素ドープ酸化ケイ素の層を含有していてもよい。
【0104】
被処理物の製造方法は、特に制限されない。例えば、基板上に絶縁膜を形成し、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、及び、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法等で、絶縁膜上にSiGe等を配置した後、CMPなどの平坦化処理を実施して、
図2で示す被処理物を製造してもよい。
【0105】
<処理方法>
本発明の被処理物の処理方法としては、少なくともSiGeを含有する被処理物と、上記処理液とを接触させて、SiGeを溶解させる方法が挙げられる。
被処理物と処理液とを接触させる方法は特に制限されず、例えば、タンクに入れた処理液中に被処理物を浸漬する方法、被処理物上に処理液を噴霧する方法、被処理物上に処理液を流す方法、及び、それらの任意の組み合わせが挙げられる。中でも、被処理物を処理液に浸漬する方法が好ましい。
【0106】
更に、処理液の洗浄能力をより増進するために、機械式撹拌方法を用いてもよい。
機械式撹拌方法としては、例えば、被処理物上で処理液を循環させる方法、被処理物上で処理液を流過又は噴霧させる方法、及び、超音波又はメガソニックにて処理液を撹拌する方法が挙げられる。
【0107】
被処理物と処理液との接触時間は、適宜調整できる。
処理時間(処理液と被処理物との接触時間)は特に制限されないが、0.25~20分間が好ましく、0.5~15分間がより好ましい。
処理の際の処理液の温度は特に制限されないが、20~75℃が好ましく、20~60℃がより好ましい。
【0108】
本処理を実施することにより、主に、被処理物中のSiGeが溶解される。
SiGeの溶解速度は、例えば、10Å/min以上が好ましく、40~300Å/minがより好ましく、50~200Å/minが更に好ましく、70~150Å/minが特に好ましい。
【0109】
被処理物が、SiGeに加えて、その他の材料(例えば、ケイ素)を含有する場合、本処理によって、その他の材料は、SiGeとともに溶解されてもよいし、溶解されなくてもよい。その他の材料が溶解される場合、その他の材料は、意図的に溶解されてもよいし、不可避的に溶解されてもよい。
その他の材料を、意図的には溶解しない場合、その他の材料が不可避的に溶解される量は少ないことが好ましい。
意図的には溶解しない材料に対する、不可避的に溶解される量は少ないことをその材料に対する部材耐性に優れるともいう。
例えば、処理液はケイ素に対して部材耐性が優れることが好ましい。
本処理におけるケイ素の溶解速度は、10Å/min未満が好ましく、0.01~5Å/minがより好ましく、0.01~1Å/minが更に好ましく、0.01~0.5Å/minが特に好ましい。
【0110】
本処理方法において、被処理物が含有するSiGeの一部が溶解されてもよいし、全部が溶解されてもよい。
図3に示す被処理物200は、
図2に示した被処理物200を本処理方法で処理した後の一形態である。
この場合の被処理物200において、その他の材料206が意図的には溶解しない材料(ケイ素等)であり、SiGe204の一部が側面から溶解されて、凹部を形成している。
なお、
図2に示した構成の被処理物200において、その他の材料206が意図的には溶解しない材料である場合であって、かつ、本処理方法によってSiGe204の全てを溶解する場合、その他の材料206は、図示しない他の材料によって支持されていることも好ましい。
【0111】
本処理方法は、必要に応じて、リンス液を用いて、被処理物に対してリンス処理を行うリンス工程を含有していてもよい。
例えば、被処理物を処理液に接触させた後に、更に、リンス工程を実施してもよい。
【0112】
リンス液としては、例えば、水、フッ酸(好ましくは0.001~1質量%フッ酸)、塩酸(好ましくは0.001~1質量%塩酸)、過酸化水素水(好ましくは0.5~31質量%過酸化水素水、より好ましくは3~15質量%過酸化水素水)、フッ酸と過酸化水素水との混合液(FPM)、硫酸と過酸化水素水との混合液(SPM)、アンモニア水と過酸化水素水との混合液(APM)、塩酸と過酸化水素水との混合液(HPM)、二酸化炭素水(好ましくは10~60質量ppm二酸化炭素水)、オゾン水(好ましくは10~60質量ppmオゾン水)、水素水(好ましくは10~20質量ppm水素水)、クエン酸水溶液(好ましくは0.01~10質量%クエン酸水溶液)、硫酸(好ましくは1~10質量%硫酸水溶液)、アンモニア水(好ましくは0.01~10質量%アンモニア水)、イソプロピルアルコール(IPA)、次亜塩素酸水溶液(好ましくは1~10質量%次亜塩素酸水溶液)、王水(好ましくは「37質量%塩酸:60質量%硝酸」の体積比として「2.6:1.4」~「3.4:0.6」の配合に相当する王水)、超純水、硝酸(好ましくは0.001~1質量%硝酸)、過塩素酸(好ましくは0.001~1質量%過塩素酸)、シュウ酸水溶液(好ましくは0.01~10質量%シュウ酸水溶液)、酢酸(好ましくは0.01~10質量%酢酸水溶液、若しくは、酢酸原液)、又は、過ヨウ素酸水溶液(好ましくは0.5~10質量%過ヨウ素酸水溶液。過ヨウ素酸は、例えば、オルト過ヨウ素酸及びメタ過ヨウ素酸が挙げられる)が好ましい。
【0113】
APMの組成は、例えば、「アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:1」~「アンモニア水:過酸化水素水:水=1:3:45」の範囲内(質量比)が好ましい。
FPMの組成は、例えば、「フッ酸:過酸化水素水:水=1:1:1」~「フッ酸:過酸化水素水:水=1:1:200」の範囲内(質量比)が好ましい。
SPMの組成は、例えば、「硫酸:過酸化水素水:水=3:1:0」~「硫酸:過酸化水素水:水=1:1:10」の範囲内(質量比)が好ましい。
HPMの組成は、例えば、「塩酸:過酸化水素水:水=1:1:1」~「塩酸:過酸化水素水:水=1:1:30」の範囲内(質量比)が好ましい。
なお、これらの好ましい組成比の記載は、アンモニア水は28質量%アンモニア水、フッ酸は49質量%フッ酸、硫酸は98質量%硫酸、塩酸は37質量%塩酸、過酸化水素水は30質量%過酸化水素水である場合における組成比を意図する。
また、体積比は、室温における体積を基準とする。
好適範囲としての[「A:B:C=x:y:z」~「A:B:C=X:Y:Z」]という記載は、[「A:B=x:y」~「A:B=X:Y」]、[「B:C=y:z」~「B:C=Y:Z」]、及び、[「A:C=x:z」~「A:C=X:Z」]の範囲のうちの少なくとも1個(好ましくは2個、より好ましくは全部)を満たすのが好ましいことを示す。
なお、フッ酸、硝酸、過塩素酸、及び、塩酸は、それぞれ、HF、HNO3、HClO4、及び、HClが、水に溶解した水溶液を意図する。
オゾン水、二酸化炭素水、及び、水素水は、それぞれ、O3、CO2、及び、H2を水に溶解させた水溶液を意図する。
リンス工程の目的を損なわない範囲で、これらのリンス液を混合して使用してもよい。
また、リンス液には有機溶媒が含まれていてもよい。
【0114】
リンス工程の具体的な方法としては、リンス液と、被処理物とを接触させる方法が挙げられる。
接触させる方法としては、タンクに入れたリンス液中に基板を浸漬する方法、基板上にリンス液を噴霧する方法、基板上にリンス液を流す方法、又はそれらの任意の組み合わせた方法で実施される。
【0115】
処理時間(リンス液と被処理物との接触時間)は特に制限されないが、例えば、5秒間~5分間である。
処理の際のリンス液の温度は特に制限されないが、例えば、一般に、16~60℃が好ましく、18~40℃がより好ましい。リンス液として、SPMを用いる場合、その温度は90~250℃が好ましい。
【0116】
また、本処理方法は、リンス工程の後に、必要に応じて、乾燥処理を実施する乾燥工程を含有していてもよい。乾燥処理の方法は特に制限されないが、スピン乾燥、基板上での乾燥ガスの流動、基板の加熱手段例えばホットプレート又は赤外線ランプによる加熱、IPA(イソプロピルアルコール)蒸気乾燥、マランゴニ乾燥、ロタゴニ乾燥、又は、それらの組合せが挙げられる。
乾燥時間は、用いる特定の方法に応じて変わるが、通例は30秒~数分程度である。
【0117】
本処理方法は、被処理物の洗浄用途に用いられてもよい。
より具体的には、例えば、ドライエッチング後の基板を被処理物として処理液を適用し、基板上のドライエッチング残渣物を除去する洗浄用途に処理液が用いられてもよい。
この時、ドライエッチング残渣物はSiGeを含有していてもよいし、含有していなくてもよい。
また、被処理物が、ドライエッチング残渣物以外の形態で、SiGeを含有していてもよいし、していなくてもよい。
このような洗浄用途において被処理物に処理液を適用する洗浄処理の方法としては、例えば、被処理物を処理液に接触させる方法が挙げられ、具体的には、上述のSiGeを溶解させる方法において説明した、被処理物と上記処理液とを接触させる方法と同様にしてもよい。
また、洗浄処理の後に、上述のSiGeを溶解させる方法において説明、リンス工程及び/又は乾燥処理を実施してもよい。
更に、洗浄処理は、上述のSiGeを溶解させる方法と同時に実施してもよい。
【0118】
処理液を用いた処理方法は、半導体デバイスの製造方法で行われるその他の工程の前又は後に組み合わせて実施してもよい。本処理方法を実施する中にその他の工程に組み込んでもよいし、その他の工程の中に本処理方法を組み込んで実施してもよい。
その他の工程としては、例えば、金属配線、ゲート構造、ソース構造、ドレイン構造、絶縁層、強磁性層及び/又は非磁性層等の各構造の形成工程(層形成、エッチング、化学機械研磨、変成等)、レジストの形成工程、露光工程及び除去工程、熱処理工程、洗浄工程、並びに、検査工程等が挙げられる。
本処理方法において、バックエンドプロセス(BEOL:Back end of the line)中で行っても、フロントエンドプロセス(FEOL:Front end of the line)中で行ってもよい。
なお、処理液の適用対象は、例えば、NAND、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ReRAM(Resistive Random Access Memory)、FRAM(登録商標)(Ferroelectric Random Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、又は、PRAM(Phase change Random Access Memory)等であってもよいし、ロジック回路又はプロセッサ等であってもよい。
【実施例0119】
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例により制限的に解釈されるべきものではない。
【0120】
[処理液の調製]
下記表に記載の各化合物(フッ化物イオン源、酸化剤、添加剤、有機溶媒)、及び、水を、それぞれ各化合物の含有量が表に示した値になるように混合して、各試験に適用する処理液をそれぞれ調製した。
なお、処理液における、上記各化合物以外の全ての成分(残部)は、水である。
特に断らない限り、添加剤として使用したそれぞれの高分子(ポリマー)は、その名称のポリマーを構成するための代表的な繰り返し単位のみを含有する。例えば、実施例で使用されたポリビニルアルコールは、-CH2-CH(OH)-で表される繰り返し単位のみを含有する。また、実施例で使用されたフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物は、フェノールスルホン酸とホルマリンとが縮合してなる形態の繰り返し単位のみを含有する。
各原料はいずれも半導体グレードの高純度原料を使用し、必要に応じて、更に精製処理を実施した。
【0121】
[試験X]
<試験及び評価>
シリコンゲルマニウム(Si:Ge=75:25(元素比))が膜厚100nmで積層された基板と、ポリシリコンが膜厚100nmで積層された基板とを作製し、これらの基板をそれぞれ、2×2cm角に切断して試験体を得た。
試験体を、実施例又は比較例の処理液(25℃)に10分間浸漬した。
浸漬前後の、膜(シリコンゲルマニウムの膜及びポリシリコンの膜)の膜厚を、光学式膜厚計 Ellipsometer M-2000(JA Woollam社製)で測定し、溶解速度(Å/min)を算出した。シリコンゲルマニウムに対する溶解性は高いほど好ましく、ポリシリコンに対する溶解性は低いほど好ましい。
更に、浸漬後におけるシリコンゲルマニウムの膜の表面を、原子間力顕微鏡(AFM Dimension Icon、Bruker社製)を用いて観測し表面粗さRaを求め、処理後のシリコンゲルマニウムの膜の表面荒れを評価した。
以下に評価基準を示す。
いずれの評価でも、Aに近いほど評価が良好である。
【0122】
(SiGe ER(シリコンゲルマニウムに対する溶解速度))
A:70Å/min以上
B:50Å/min以上、70Å/min未満
C:40Å/min以上50Å/min未満
D:10Å/min以上40Å/min未満
E:10Å/min未満
【0123】
(Si ER(ポリシリコンに対する溶解速度))
A:0.5Å/min未満
B:0.5Å/min以上、1Å/min未満
C:1Å/min以上5Å/min未満
D:5Å/min以上
【0124】
(SiGe表面荒れ(処理後のシリコンゲルマニウムの膜の表面荒れ))
A:Ra(表面粗さ)が、0.30nm以下
B:Raが、0.30nm超、0.40nm以下
C:Raが、0.40nm超、0.60nm以下
D:Raが、0.60nm超、1.00nm以下
E:Raが、1.00nm超
【0125】
<結果>
一連の試験Xに使用した処理液の配合及び結果を表1に示す。
表1中、「量(%)」欄は、各成分の処理液全体に対する含有量(質量%)を示す。
「フッ化物イオン源」欄ににおけるNH4Fは、NH4F(フッ化アンモニウム)を意味する。
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
表に示す結果より、本発明の処理液によれば、本発明の課題を解決できることが確認された。
【0147】
また、特定添加剤は、本発明の効果がより優れる点で、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸及びその塩、ポリエチレンイミン以外の窒素原子含有ポリマー、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルアミン、アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩、アリールフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、アルキルアミン、窒素含有複素環化合物、システイン以外のアミノ酸、炭素数が16以下の4級アンモニウム塩、並びに、ホウ素含有化合物からなる群から選択される1種以上が好ましく、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、及び、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物からなる群から選択される1種以上がより好ましいことが確認された(実施例155、248~398の結果の比較などを参照)。
【0148】
本発明の効果がより優れる点で、処理液が、有機溶媒を含有することが好ましいことが確認された(実施例24と実施例154~200との結果の比較などを参照)。
中でも、上記有機溶媒は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、及び、スルホランからなる群から選択される1種以上が好ましく、プロピレングリコール、及び、スルホランからなる群から選択される1種以上がより好ましいことが確認された(実施例154~200の結果の比較などを参照)。
【0149】
本発明の効果がより優れる点で、酸化剤の含有量は、処理液の全質量に対して、5~15質量%が好ましいことが確認された(実施例155と実施例554との結果の比較などを参照)。
【0150】
本発明の効果がより優れる点で、有機溶媒の含有量は、処理液の全質量に対して、20~45質量%が好ましいことが確認された(実施例155と実施例570との結果の比較などを参照)。
【0151】
[試験Y]
使用する処理液を試験Xにおける実施例202の処理液に固定し、かつ、シリコンゲルマニウムにおけるシリコンとゲルマニウムの比率(Si:Ge(元素比))を変化させた以外は、試験Xに示したのと同様にして、シリコンゲルマニウムに対する溶解速度、及び、処理後のシリコンゲルマニウムの膜の表面荒れを評価した。
その結果を下記表に示す。
表中「SiGe比率」欄は、試験に供したシリコンゲルマニウムの膜におけるシリコンとゲルマニウムの比率(Si:Ge(元素比))を示す。
【0152】
【0153】
表に示す結果より、処理液によって処理されるSiGeのシリコンとゲルマニウムの比率(Si:Ge(元素比))は、本発明の効果がより優れる点で、95:5~50:50が好ましく、85:15~65:35がより好ましいことが確認された。
【0154】
[試験Z]
容量20LのHDPE(高密度ポリエチレン)製ボトルを2つ用意し、試験Xにおける実施例202の処理液をこれらのボトルに、それぞれ15Lずつ入れた。上記2つのボトルの一方は、
図1に示したガス抜きキャップであって、ボトルと螺合して固定可能なキャップを用いて蓋をした。他方のボトルは、ガス抜き機構を備えていないキャップであって、ボトルと螺合して固定可能なキャップを用いて蓋をした。
得られた2つのボトルを、室温(25℃)に30日間静置した後、それぞれのボトルの外観を観察した。その結果、ガス抜きキャップで蓋をしたボトルに外観の変化は見られなかった。一方で、ガス抜き機構を備えていないキャップで蓋をしたボトルは、ボトルが膨らんでいることが確認された。
このような結果から、ガス抜きキャップを有する容器に処理液を入れた、処理液収容体の形式で、処理液を、保管、及び/又は、提供するのが好ましいことが確認された。
前記アルコキシシランが、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、t-ブチルメトキシジメチルシラン、3-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、エトキシ(トリメチル)シラン、メトキシ(トリメチル)シラン、ヘキシル(ジメトキシ)シラン、メチルジエトキシシラン、トリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、及び、3-(2-アミノエトキシアミノ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される1種以上である、請求項2又は10に記載の処理液。
前記シラノール化合物が、トリメチルシラノール、ジメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、シラントリオール、3-アミノプロピルシラントリオール、メチルシラントリオール、2-メチル-2-プロピルシラントリオール、メチルアセテートシラントリオール、2-(クロロエチル)アセテートシラントリオール、及び、3-(ヒドロキシプロピル)シラントリオールからなる群から選択される1種以上である、請求項10に記載の処理液。
前記オキシムシランが、ジ(エチルアルドオキシム)シラン、モノ(エチルアルドオキシム)シラン、トリス(エチルアルドオキシム)シラン、テトラ(エチルアルドオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトシル(アセトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ジメチルジ(メチルエチルケトオキシム)シラン、トリメチル(メチルエチルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルエチルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルビニルジ(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルビニルジ(シクロヘキサノネキシム)シラン、ビニルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、及び、フェニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シランからなる群から選択される1種以上である、請求項2及び10~12のいずれか1項に記載の処理液。
前記シロキサンが、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンからなる群から選択される1種以上である、請求項10に記載の処理液。
前記有機溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、1,4-ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、スルホラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、モノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、1-メトキシ-2-ブタノール、2-メトキシ-1-ブタノール、2-メトキシ-2-メチルブタノール、1,1-ジメトキシエタン、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び、1-ブタノールからなる群から選択される1種以上である、請求項22に記載の処理液。
Cu、Co、W、AlOx、AlN、AlOxNy、WOx、Ti、TiN、ZrOx、HfOxおよびTaOxのいずれか1種以上を含有するメタルハードマスクを含有する被処理物に対して用いられる、請求項1~27のいずれか1項に記載の処理液。
なお、x=1~3、y=1~2で表される数である。
上記有機溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、1,4-ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、スルホラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、モノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、1-メトキシ-2-ブタノール、2-メトキシ-1-ブタノール、2-メトキシ-2-メチルブタノール、1,1-ジメトキシエタン、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び、1-ブタノールからなる群から選択される1種以上が好ましく、プロピレングリコール及びスルホランからなる群から選択される1種以上がより好ましい。