(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022663
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】化合物、重合体、光安定剤組成物、樹脂組成物、塗料組成物、物品、シーリング材、成形品、耐候性樹脂組成物の製造方法および合成樹脂の耐候性向上方法
(51)【国際特許分類】
C08F 20/36 20060101AFI20240208BHJP
C08L 33/14 20060101ALI20240208BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C08F20/36
C08L33/14
C09K3/00 U
C09K3/00 104Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209329
(22)【出願日】2023-12-12
(62)【分割の表示】P 2023534324の分割
【原出願日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2021181270
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】石附 和弥
(72)【発明者】
【氏名】正井 省吾
(57)【要約】
【課題】樹脂組成物に優れた耐候性を付与できる化合物、重合体、光安定剤組成物、樹脂組成物、塗料組成物、物品、シーリング材、成形品、耐候性樹脂組成物の製造方法および合成樹脂の耐候性向上方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1’)で表されることを特徴とする化合物。
一般式(1’)中、nは1または2を表し、nが1の場合、Xは炭素原子数1~30の置換基を有する若しくは無置換の一価の炭化水素基等を表し、nが2の場合、Xは炭素原子数1~30の置換基を有する若しくは無置換の二価の炭化水素基等を表し、Yは単結合等表し、Zは単結合等を表し、R
1は水素原子等を表し、R
2は炭素原子数1~30の置換基を有する若しくは無置換の一価の炭化水素基等を表し、R
3、R
5およびR
6はそれぞれ独立に炭素原子数1~30の置換基を有する若しくは無置換の一価の炭化水素基を表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1’)で表されることを特徴とする化合物。
(一般式(1’)中、nは1または2を表し、nが1の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基、-C(=O)-R
3で表される基または下記一般式(2)で表される基を表し、nが2の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の炭化水素基、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基を表し、Yは単結合または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の炭化水素基を表し、Zは単結合または酸素原子を表し、R
1は水素原子、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基または-C(=O)-R
5で表される基を表し、R
2は置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基または-C(=O)-R
6で表される基を表し、R
3、R
5およびR
6はそれぞれ独立に置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基を表す。)
(一般式(2)中、*は酸素原子と結合する部位を表し、R
4は水素原子または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1’)中、nは1または2を表し、nが1の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基、-C(=O)-R3で表される基または前記一般式(2)で表される基を表し、nが2の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の脂肪族炭化水素基、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基を表し、Yは単結合または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の脂肪族炭化水素基を表し、Zは単結合または酸素原子を表し、R1は水素原子、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基または-C(=O)-R5で表される基を表し、R2は置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基または-C(=O)-R6で表される基を表し、R3、R5およびR6はそれぞれ独立に置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基を表し、前記一般式(2)中、*は酸素原子と結合する部位を表し、R4は水素原子または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基を表す請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記Zが酸素原子である請求項1記載の化合物。
【請求項4】
前記Zが酸素原子である請求項2記載の化合物。
【請求項5】
下記一般式(1)で表される請求項1記載の化合物。
(一般式(1)中、nは1または2を表し、nが1の場合、Xは炭素原子数1~30の一価の炭化水素基、-C(=O)-R
3で表される基または下記一般式(2)で表される基を表し、nが2の場合、Xは炭素原子数1~30の二価の炭化水素基、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基を表し、Yは単結合または炭素原子数1~30の二価の炭化水素基を表し、R
1は水素原子、炭素原子数1~30の一価の炭化水素基または-C(=O)-R
5で表される基を表し、R
2、R
3およびR
5はそれぞれ独立に炭素原子数1~30の一価の炭化水素基を表す。)
(一般式(2)中、*は酸素原子と結合する部位を表し、R
4は水素原子または炭素原子数1~30の一価の炭化水素基を表す。)
【請求項6】
前記一般式(1)中、nは1または2を表し、nが1の場合、Xは炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基、-C(=O)-R3で表される基または前記一般式(2)で表される基を表し、nが2の場合、Xは炭素原子数1~30の二価の脂肪族炭化水素基、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基を表し、Yは単結合または炭素原子数1~30の二価の脂肪族炭化水素基を表し、R1は水素原子、炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基または-C(=O)-R5で表される基を表し、R2、R3およびR5はそれぞれ独立に炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基を表し、前記一般式(2)中、*は酸素原子と結合する部位を表し、R4は水素原子または炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基を表す請求項5記載の化合物。
【請求項7】
nが1であり、Xが前記一般式(2)で表される基である請求項1~6のうちいずれか一項記載の化合物を含むモノマー成分を重合して得られることを特徴とする重合体。
【請求項8】
請求項1~6のうちいずれか一項記載の化合物を含むことを特徴とする光安定剤組成物。
【請求項9】
液体である請求項8記載の光安定剤組成物。
【請求項10】
請求項7記載の重合体を含むことを特徴とする光安定剤組成物。
【請求項11】
合成樹脂と、請求項1~6のうちいずれか一項記載の化合物または請求項7記載の重合体と、を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項12】
請求項11記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする塗料組成物。
【請求項13】
請求項12記載の塗料組成物を硬化させて得られる塗膜を備えることを特徴とする物品。
【請求項14】
請求項11記載の樹脂組成物を含むことを特徴とするシーリング材。
【請求項15】
請求項11記載の樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする成形品。
【請求項16】
合成樹脂に、請求項1~6のうちいずれか一項記載の化合物または請求項7記載の重合体を配合する工程を含むことを特徴とする耐候性樹脂組成物の製造方法。
【請求項17】
合成樹脂に、請求項1~6のうちいずれか一項記載の化合物または請求項7記載の重合体を配合する工程を含むことを特徴とする合成樹脂の耐候性向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、重合体、光安定剤組成物、樹脂組成物、塗料組成物、物品、シーリング材、成形品、耐候性樹脂組成物の製造方法および合成樹脂の耐候性向上方法に関し、詳しくは、樹脂組成物に優れた耐候性を付与できる化合物、重合体、光安定剤組成物、樹脂組成物、塗料組成物、物品、シーリング材、成形品、耐候性樹脂組成物の製造方法および合成樹脂の耐候性向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、建材などの物品に用いられる樹脂組成物には、耐候性が求められる。樹脂組成物に耐候性を付与できる化合物として、例えば、下記特許文献1では、水酸基を有するヒンダードアミン化合物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1で提案されている化合物は、耐候性の点でさらなる改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、樹脂組成物に優れた耐候性を付与できる化合物、重合体、光安定剤組成物、樹脂組成物、塗料組成物、物品、シーリング材、成形品、耐候性樹脂組成物の製造方法および合成樹脂の耐候性向上方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有する化合物によれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記[1]~[17]の化合物、重合体、光安定剤組成物、樹脂組成物、塗料組成物、物品、シーリング材、成形品、耐候性樹脂組成物の製造方法および合成樹脂の耐候性向上方法である。
【0008】
[1]
下記一般式(1’)で表されることを特徴とする化合物。
ここで、一般式(1’)中、nは1または2を表し、nが1の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基、-C(=O)-R
3で表される基または下記一般式(2)で表される基を表し、nが2の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の炭化水素基、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基を表し、Yは単結合または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の炭化水素基を表し、Zは単結合または酸素原子を表し、R
1は水素原子、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基または-C(=O)-R
5で表される基を表し、R
2は置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基または-C(=O)-R
6で表される基を表し、R
3、R
5およびR
6はそれぞれ独立に置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基を表す。
ここで、一般式(2)中、*は酸素原子と結合する部位を表し、R
4は水素原子または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基を表す。
【0009】
[2]
前記一般式(1’)中、nは1または2を表し、nが1の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基、-C(=O)-R3で表される基または前記一般式(2)で表される基を表し、nが2の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の脂肪族炭化水素基、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基を表し、Yは単結合または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の脂肪族炭化水素基を表し、Zは単結合または酸素原子を表し、R1は水素原子、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基または-C(=O)-R5で表される基を表し、R2は置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基または-C(=O)-R6で表される基を表し、R3、R5およびR6はそれぞれ独立に置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基を表し、前記一般式(2)中、*は酸素原子と結合する部位を表し、R4は水素原子または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基を表す[1]の化合物。
【0010】
[3]
前記Zが酸素原子である[1]の化合物。
【0011】
[4]
前記Zが酸素原子である[2]の化合物。
【0012】
[5]
下記一般式(1)で表される[1]の化合物。
ここで、一般式(1)中、nは1または2を表し、nが1の場合、Xは炭素原子数1~30の一価の炭化水素基、-C(=O)-R
3で表される基または下記一般式(2)で表される基を表し、nが2の場合、Xは炭素原子数1~30の二価の炭化水素基、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基を表し、Yは単結合または炭素原子数1~30の二価の炭化水素基を表し、R
1は水素原子、炭素原子数1~30の一価の炭化水素基または-C(=O)-R
5で表される基を表し、R
2、R
3およびR
5はそれぞれ独立に炭素原子数1~30の一価の炭化水素基を表す。
ここで、一般式(2)中、*は酸素原子と結合する部位を表し、R
4は水素原子または炭素原子数1~30の一価の炭化水素基を表す。
【0013】
[6]
前記一般式(1)中、nは1または2を表し、nが1の場合、Xは炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基、-C(=O)-R3で表される基または前記一般式(2)で表される基を表し、nが2の場合、Xは炭素原子数1~30の二価の脂肪族炭化水素基、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基を表し、Yは単結合または炭素原子数1~30の二価の脂肪族炭化水素基を表し、R1は水素原子、炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基または-C(=O)-R5で表される基を表し、R2、R3およびR5はそれぞれ独立に炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基を表し、前記一般式(2)中、*は酸素原子と結合する部位を表し、R4は水素原子または炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基を表す[5]の化合物。
【0014】
[7]
nが1であり、Xが前記一般式(2)で表される基である[1]~[6]のうちいずれかの化合物を含むモノマー成分を重合して得られることを特徴とする重合体。
【0015】
[8]
[1]~[6]のうちいずれかの化合物を含むことを特徴とする光安定剤組成物。
【0016】
[9]
液体である[8]の光安定剤組成物。
【0017】
[10]
[7]の重合体を含むことを特徴とする光安定剤組成物。
【0018】
[11]
合成樹脂と、[1]~[6]のうちいずれかの化合物または[7]の重合体と、を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【0019】
[12]
[11]の樹脂組成物を含むことを特徴とする塗料組成物。
【0020】
[13]
[12]の塗料組成物を硬化させて得られる塗膜を備えることを特徴とする物品。
【0021】
[14]
[11]の樹脂組成物を含むことを特徴とするシーリング材。
【0022】
[15]
[11]の樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする成形品。
【0023】
[16]
合成樹脂に、[1]~[6]のうちいずれかの化合物または[7]の重合体を配合する工程を含むことを特徴とする耐候性樹脂組成物の製造方法。
【0024】
[17]
合成樹脂に、[1]~[6]のうちいずれかの化合物または[7]の重合体を配合する工程を含むことを特徴とする合成樹脂の耐候性向上方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、樹脂組成物に優れた耐候性を付与できる化合物、重合体、光安定剤組成物、樹脂組成物、塗料組成物、物品、シーリング材、成形品、耐候性樹脂組成物の製造方法および合成樹脂の耐候性向上方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。まず、本実施形態の化合物について説明する。
【0027】
<化合物>
本実施形態の化合物は、下記一般式(1’)で表される。
【0028】
【0029】
ここで、一般式(1’)中、nは1または2を表し、nが1の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基、-C(=O)-R3で表される基または下記一般式(2)で表される基を表し、nが2の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の炭化水素基、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基を表し、Yは単結合または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の炭化水素基を表し、Zは単結合または酸素原子を表し、R1は水素原子、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基または-C(=O)-R5で表される基を表し、R2は置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基または-C(=O)-R6で表される基を表し、R3、R5およびR6はそれぞれ独立に置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基を表す。
【0030】
【0031】
ここで、一般式(2)中、*は酸素原子と結合する部位を表し、R4は水素原子または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基を表す。
【0032】
本実施形態の化合物は、樹脂組成物に優れた耐候性を付与できる。
【0033】
Xで表される置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基としては、例えば、置換基を有する若しくは無置換の一価の脂肪族飽和炭化水素基、置換基を有する若しくは無置換の一価の脂肪族不飽和炭化水素基、置換基を有する若しくは無置換の一価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。ここで、一価の脂肪族飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-オクタデシル基、n-エイコシル基、n-ドコシル基、n-トリアコンチル等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-アミル基、2-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、tert-オクチル基、イソノニル基、イソデシル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基等の分岐アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基等の環状アルキル基などが挙げられる。また、一価の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば9-オクタデセニル基、9,12-オクタデカジエニル基などが挙げられる。また、一価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントラシル基などが挙げられる。
【0034】
Xで表される炭素原子数1~30の一価の炭化水素が置換基を有する場合の置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、tert-ブチルオキシ基などのアルコキシ基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのトリアルキルシリル基、ジメチルメトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基、ジエチルメトキシシリル基、ジエチルエトキシシリル基などのジアルキルアルコキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基などのアルキルジアルコキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などのトリアルキルシロキシ基、ジメチルメトキシシロキシ基、ジメチルエトキシシロキシ基、ジエチルメトキシシロキシ基、ジエチルエトキシシロキシ基などのジアルキルアルコキシシロキシ基、メチルジメトキシシロキシ基、メチルジエトキシシロキシ基、エチルジメトキシシロキシ基、エチルジエトキシシロキシ基などのアルキルジアルコキシシロキシ基、トリメトキシシロキシ基、トリエトキシシロキシ基などのトリアルコキシシロキシ基などが挙げられる。これらの中では、アルコキシ基、トリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基、トリアルキルシロキシ基、トリアルコキシシロキシ基が好ましく、トリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基、トリアルキルシロキシ基、トリアルコキシシロキシ基がより好ましく、トリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基がさらに好ましく、トリアルコキシシリル基が特に好ましい。
【0035】
Xで表される置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の炭化水素基としては、例えば、置換基を有する若しくは無置換の二価の脂肪族飽和炭化水素基、置換基を有する若しくは無置換の二価の脂肪族不飽和炭化水素基、置換基を有する若しくは無置換の二価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。ここで、二価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、ドデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタデシレン基、エイコシレン基、ドコシレン基、トリアコンチレン基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ヘキサン-1,1-ジイル基等の直鎖のアルカンジイル基、プロパン-2,2-ジイル基等の分岐を有するアルカンジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロヘキサン-1,1-ジイル基等の環状アルカンジイル基などが挙げられる。また、二価の不飽和炭化水素基としては、例えば9-オクタデセン-1,18-ジイル基、9,12-オクタデカジエン-1,18-ジイル基などが挙げられる。また、二価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基などが挙げられる。
【0036】
Xで表される炭素原子数1~30の二価の炭化水素が置換基を有する場合の置換基としては、Xで表される炭素原子数1~30の一価の炭化水素が置換基を有する場合の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。
【0037】
Yで表される置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の炭化水素基としては、Xで表される置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の炭化水素基として例示したものと同じものが挙げられる。
【0038】
また、R1~R6で表される置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基としては、Xで表される置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基と同じものが挙げられる。
【0039】
本実施形態の化合物において、樹脂組成物に、より優れた耐候性を付与する観点から、nが1の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基、-C(=O)-R3で表される基または上記一般式(2)で表される基を表し、nが2の場合Xは、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の脂肪族炭化水素基、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基を表し、Yは単結合または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の脂肪族炭化水素基を表し、R1は水素原子、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基または-C(=O)-R5で表される基を表し、R2は置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基または-C(=O)-R6で表される基を表し、R3、R5およびR6はそれぞれ独立に置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基を表し、かつ、R4は水素原子または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基を表すことが好ましい。
【0040】
また、同様の観点から、Zは酸素原子であることが好ましい。
【0041】
なお、Zは単結合であってもよい。すなわち、本実施形態の化合物は、下記一般式(1’’)で表されるものであってもよい。
【0042】
一般式(1’’)中、nは1または2を表し、nが1の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基、-C(=O)-R3で表される基または上記一般式(2)で表される基を表し、nが2の場合、Xは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の炭化水素基、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基を表し、Yは単結合または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の炭化水素基を表し、R1は水素原子、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基または-C(=O)-R5で表される基を表し、R2は置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基または-C(=O)-R6で表される基を表し、R3、R5およびR6はそれぞれ独立に置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基を表す。
【0043】
本実施形態の化合物において、樹脂組成物に、より優れた耐候性を付与する観点から、nが1の場合、Xは-C(=O)-R3で表される基または上記一般式(2)で表される基であることが好ましく、-C(=O)-R3で表される基であることがより好ましい。また、同様の観点から、nが2の場合、Xは-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基であることが好ましく、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基であることがより好ましい。
【0044】
ここで、樹脂組成物に、さらに優れた耐候性を付与する観点から、Yは置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の炭化水素基であることが好ましく、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の二価の脂肪族飽和炭化水素基であることがより一層好ましく、無置換の炭素原子数1~30の二価の脂肪族飽和炭化水素基であることがさらに好ましく、炭素原子数1~30の直鎖のアルカンジイル基であることがさらに一層好ましく、炭素原子数1~30のアルキレン基であることが特に好ましい。また、樹脂組成物にさらに優れた耐候性を付与する観点から、Yの炭素原子数は、2~16であることが好ましく、4~14であることがより好ましく、6~12であることがさらに好ましい。
【0045】
さらに、nが1の場合、Xは上記一般式(2)で表される基であってもよい。この場合、本実施形態の化合物は、重合活性を有する部位を含むため、単独重合体または共重合体の単量体成分となり得る。
【0046】
本実施形態の化合物において、樹脂組成物に、より優れた耐候性を付与する観点から、R1は水素原子または-C(=O)-R5で表される基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。また、R1は-C(=O)-R5で表される基であってもよい。
【0047】
また、同様の観点から、R2は置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基であることが好ましく、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族飽和炭化水素基であることがより一層好ましく、無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族飽和炭化水素基であることがさらに好ましく、炭素原子数1~30の直鎖アルキル基であることがさらに一層好ましい。また、同様の観点から、R2の炭素原子数は1~20であることが好ましく、1~10であることがより好ましく、1~5であることがさらに好ましい。なお、R2は-C(=O)-R6で表される基であってもよい。
【0048】
また、同様の観点から、R3は置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族飽和炭化水素基であることがより好ましく、無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族飽和炭化水素基であることがさらに好ましく、炭素原子数1~30の直鎖アルキル基であることがさらに一層好ましい。また、同様の観点から、R3の炭素原子数は5~23であることが好ましく、7~21であることがより好ましく、9~19であることがさらに好ましく、11~17であることがさらに一層好ましい。さらに、R3は炭素原子数1~30の分岐アルキル基であってもよい。
【0049】
また、同様の観点から、R4は置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の炭化水素基であることが好ましく、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族飽和炭化水素基であることがより一層好ましく、無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族飽和炭化水素基であることがさらに好ましく、炭素原子数1~30の直鎖アルキル基であることがさらに一層好ましい。また、同様の観点から、R4の炭素原子数は1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。なお、R4は水素原子であってもよい。
【0050】
また、同様の観点から、R5およびR6は置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族飽和炭化水素基であることがより好ましく、無置換の炭素原子数1~30の一価の脂肪族飽和炭化水素基であることがさらに好ましく、炭素原子数1~30の直鎖アルキル基または炭素原子数1~30の分岐アルキル基であることがさらに一層好ましい。さらに、同様の観点から、R5の炭素原子数は5~23であることが好ましく、7~21であることがより好ましく、9~19であることがさらに好ましく、11~17であることがさらに一層好ましい。また、R5はビニル基もしくは1-メチルエテニル基、1-エチルエテニル基などの1-アルキルエテニル基であってもよい。
【0051】
なお、本実施形態の化合物は、下記一般式(1)で表されるものであってもよい。
【0052】
ここで、一般式(1)中、nは1または2を表し、nが1の場合、Xは炭素原子数1~30の一価の炭化水素基、-C(=O)-R3で表される基または上記一般式(2)で表される基を表し、nが2の場合、Xは炭素原子数1~30の二価の炭化水素基、-C(=O)-Y-C(=O)-で表される基または-C(=O)-基を表し、Yは単結合または炭素原子数1~30の二価の炭化水素基を表し、R1は水素原子、炭素原子数1~30の一価の炭化水素基または-C(=O)-R5で表される基を表し、R2、R3およびR5はそれぞれ独立に炭素原子数1~30の一価の炭化水素基を表す。
【0053】
本実施形態の化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。ただし、本実施形態の化合物は以下の化合物に限定されるものではない。
【0054】
【0055】
本実施形態の化合物は、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オール又はモノカルボン酸若しくはジカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オールのエステルを出発物質として、従来公知の方法で製造することができる。例えば、一般式(1)において、nが1であり、Xが-C(=O)-R3で表される基であり、R1が水素原子であり、R2およびR3がアルキル基である化合物(上記化合物Nо.1、No.2、No.3等)は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オールと飽和脂肪酸のモノエステルを出発物質として、これに塩化亜鉛などの触媒の存在下、アルキルグリシジルエーテルを反応させる方法などによって製造することができる。
【0056】
本実施形態の化合物は、光安定剤組成物、難燃剤組成物、酸化防止剤組成物等の塗料用添加剤組成物または樹脂用添加剤組成物の成分として好適に使用することができる。本実施形態の化合物は、樹脂組成物に優れた耐候性を付与できるため、光安定剤組成物の成分として特に好適に使用することができる。
【0057】
本実施形態の化合物は、液体、固体のいずれであってもよいが、液体であることが好ましい。この場合、化合物は分散性に優れ、特に塗料用添加剤組成物の成分として好適なものとなる。また、本実施形態の化合物が液体である場合、本実施形態の化合物を、液体添加装置を使用して添加することができるので、本実施形態の化合物は、塗料用添加剤組成物の成分として使用する際の取り扱い性に優れたものとなる。なお、本実施形態において、化合物等が「液体である」とは、1気圧、温度25℃の環境下で液体であることを示す。
【0058】
次に、本実施形態の重合体について説明する。
<重合体>
本実施形態の重合体は、上記一般式(1’)で表され、nが1であり、Xが上記一般式(2)で表される基である化合物を含むモノマー成分を重合して得られるものである。
【0059】
本実施形態の重合体は、優れた耐候性を備えるものとなる。
【0060】
重合体は、上記の化合物のみからなるモノマー成分を重合して得られるものであってもよく、上記の化合物に加えて、その他の重合性化合物をさらに含むモノマー成分を重合して得られるものであってもよい。ここで、その他の重合性化合物としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチルなどのメタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン、1-ブテン、ブタジエン、クロロエチレン、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。これらの中では、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルが好ましい。
【0061】
モノマー成分を重合する重合方法は特に限定されるものではなく、例えば、溶液重合、エマルション重合、UV重合などの公知の方法が挙げられる。重合開始剤も特に限定されず、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物系重合開始剤などが挙げられる。重合体の重量平均分子量は特に限定されず、例えば、2,000~200,000であればよい。なお、本実施形態において「重量平均分子量」とは、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)法によって測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0062】
次に、本実施形態の光安定剤組成物について説明する。
<光安定剤組成物>
本実施形態の光安定剤組成物は、上記の化合物を含むもの、または、上記の重合体を含むものである。なお、本実施形態の光安定剤組成物は、上記の化合物と上記の重合体との両方を含むものであってもよい。
【0063】
本実施形態の光安定剤組成物は、樹脂組成物に優れた耐候性を付与できる。
【0064】
本実施形態の光安定剤組成物は、上記の化合物または上記の重合体の他に、上記の化合物または上記の重合体以外のヒンダードアミン化合物(以下、「その他のヒンダードアミン化合物」と呼ぶ)、紫外線吸収剤、ベンゾエート化合物、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などを含むものであってもよい。
【0065】
その他のヒンダードアミン化合物としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノ-ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-tert-オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8-12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ]ウンデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ]ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、ビス(1-ウンデシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルヘキサデカノエート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオクタデカノエート等が挙げられる。
【0066】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等の2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-tert-オクチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-アクリロイルオキシエチル)-5-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-アミル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(2-メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、トリオクチル-2,2’,2”-((1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(3-ヒドロシキベンゼン-4-,1-ジイル)トリプロピオネート)、2-〔2-ヒドロキシ-4-{2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ}フェニル〕-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、1,12-ビス[2-[4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシフェノキシ]エチル]ドデカンジオエート等のトリアジン類;各種の金属塩、または金属キレート、特にニッケル、クロムの塩、またはキレート類等が挙げられる。これらの中では、トリアジン類が特に好ましい。また、トリアジン類の中では、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-〔2-ヒドロキシ-4-{2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ}フェニル〕-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンが好ましく、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンがより好ましく、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンがさらに好ましい。
【0067】
ベンゾエート化合物としては、例えば、フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート等が挙げられる。
【0068】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス-(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-メチル-4,6-ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール、2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、2,2’-オキサミド-ビス[エチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-エチルヘキシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-エチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸およびC13-15アルキルのエステル、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、ヒンダードフェノールの重合物(ADEKA POLYMER ADDITIVES EUROPE SAS社製 商品名「AO.OH.98」)、2,2’-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルベンズ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフォビン、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[モノエチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート]カルシウム塩、5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)-3-ヒドロキシ-2(3H)-ベンゾフラノンとo-キシレンとの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、DL-a-トコフェノール(ビタミンE)、2,6-ビス(α-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、ビス[3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-フェニル)ブタン酸]グリコールエステル、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル-3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2-オクチルチオ-4,6-ジ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-s-トリアジン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス[3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’-ブチリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、3,9-ビス[2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルヒドロシンナモイルオキシ)-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、パルミチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ミリスチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ラウリル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド等の3-(3,5-ジアルキル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸誘導体等が挙げられる。
【0069】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、ヘプタキス(ジプロピレングリコール)トリホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジオレイルヒドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、テトラフェニルジジプロピレングリコールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2-tert-ブチル-4-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、トリ(デシル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールとステアリン酸カルシウム塩との混合物、アルキル(C10)ビスフェノールAホスファイト、テトラフェニル-テトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、(1-メチル-1-プロペニル-3-イリデン)トリス(1,1-ジメチルエチル)-5-メチル-4,1-フェニレン)ヘキサトリデシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-オクタデシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フルオロホスファイト、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス-tert-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン、3,9-ビス(4-ノニルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル-2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールホスファイト、ポリ4,4’-イソプロピリデンジフェノールC12-15アルコールホスファイト、ビス(ジイソデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
【0070】
本実施形態の光安定剤組成物は、液体、固体のいずれであってもよいが、液体であることが好ましい。光安定剤組成物が液体である場合、光安定剤組成物は分散性に優れ、特に塗料用光安定剤組成物として好適なものとなる。また、本実施形態の光安定剤組成物が液体である場合、本実施形態の光安定剤組成物を、液体添加装置を使用して添加することができるので、本実施形態の光安定剤組成物は、塗料用光安定剤組成物として使用する際の取り扱い性に優れたものとなる。また、光安定剤組成物は、さらに樹脂成分やシリカなどの担体を含むマスターバッチであってもよい。
【0071】
次に、本実施形態の樹脂組成物について説明する。
<樹脂組成物>
本実施形態の樹脂組成物は、合成樹脂と、上述の化合物または上述の重合体とを含むものである。なお、本実施形態の樹脂組成物は、上述の化合物と上述の重合体との両方を含むものであってもよい。
【0072】
本実施形態の樹脂組成物は、優れた耐候性を備えるものとなる。
【0073】
樹脂組成物に含まれる合成樹脂は特に限定されず、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ乳酸、ポリフェニレンサルファイド等の結晶性樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、含ハロゲン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキサイド等の非晶性樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、合成ゴム等が挙げられる。合成樹脂は、1種が単独で含まれていても、2種以上が組み合わせて含まれていてもよい。また、合成樹脂は共重合体であってもよく、ポリマーアロイであってもよい。
【0074】
本実施形態の樹脂組成物が塗料用の樹脂組成物である場合、合成樹脂はアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド樹脂、ウレタン系樹脂などにメラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を配合して得られる加熱架橋型樹脂を含むことが好ましく、アクリルメラミン樹脂およびポリエステルメラミン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことがより好ましく、アクリルメラミン樹脂を含むことがさらに好ましい。
【0075】
また、本実施形態の樹脂組成物が成形用の樹脂組成物である場合、合成樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂は結晶性樹脂であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ乳酸、ポリフェニレンサルファイドからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことがより好ましく、ポリオレフィン系樹脂を含むことがさらに好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ブロックコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、ハイインパクトコポリマーポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン-1、シクロオレフィンポリマー、ポリ-3-メチル-1-ブテン、ポリ-3-メチル-1-ペンテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のα-オレフィン共重合体等が挙げられる。樹脂組成物の耐熱性をより優れたものにする観点から、ポリオレフィン系樹脂の中では、ポリプロピレン系樹脂が特に好ましい。ポリオレフィン系樹脂の分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合に使用される触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等は特に限定されるものではなく、適宜選択される。本実施形態の樹脂組成物が成形用の樹脂組成物である場合、合成樹脂は合成ゴム、熱可塑性エラストマー等のエラストマーを含むものであってもよい。この場合、樹脂組成物からなる成形品は、優れた耐衝撃性を備えるものとなる。
【0076】
本実施形態の樹脂組成物において、上述の化合物または上述の重合体の含有量は、例えば、合成樹脂100質量部に対して0.001~10質量部であればよく、0.01~5質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましく、0.1~3質量部であることがさらに好ましい。
【0077】
本実施形態の樹脂組成物は、上述したその他のヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤、ベンゾエート化合物、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などを含むものであってもよい。また、本実施形態の樹脂組成物は、さらに硫黄系酸化防止剤、その他の酸化防止剤、核剤、脂肪酸金属塩、難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、帯電防止剤、蛍光増白剤、顔料、染料などを含むものであってもよい。
【0078】
さらに優れた耐候性を備えた樹脂組成物を得る観点から、本実施形態の樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤としては、上述の光安定剤組成物に含まれていてもよい紫外線吸収剤として例示したものと同じものが挙げられる。これら紫外線吸収剤の中では、トリアジン類が特に好ましい。また、トリアジン類の中では、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-〔2-ヒドロキシ-4-{2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ}フェニル〕-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンが好ましく、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンがより好ましく、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンがさらに好ましい。樹脂組成物に含まれる紫外線吸収剤は、例えば、合成樹脂100質量部に対して0.001~10質量部であればよく、0.01~5質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましく、0.1~3質量部であることがさらに好ましい。
【0079】
<耐候性樹脂組成物の製造方法>
次に、本実施形態の耐候性樹脂組成物の製造方法について説明する。本実施形態の耐候性樹脂組成物の製造方法は、合成樹脂に、上述の化合物または上述の重合体を配合する工程を含む。なお、本実施形態の耐候性樹脂組成物の製造方法においては、上述の化合物と上述の重合体との両方が配合されてもよい。
【0080】
本実施形態の耐候性樹脂組成物の製造方法によれば、優れた耐候性を備える樹脂組成物を製造することができる。
【0081】
本実施形態の耐候性樹脂組成物の製造方法において、上述の化合物は液体であることが好ましい。この場合、化合物は分散性に優れたものとなるため、さらに優れた耐光性を備える塗料組成物用の耐候性樹脂組成物を製造することができる。また、上述の化合物が液体である場合、上述の化合物を、液体添加装置を使用して配合することができるので、塗料組成物用の耐候性樹脂組成物を効率的に製造することができる。
【0082】
本実施形態の耐候性樹脂組成物の製造方法は、例えば、上述の化合物または上述の重合体および必要に応じてその他の添加剤を準備する準備工程と、準備工程で準備した各成分を合成樹脂に配合する配合工程とを含む方法などであればよい。配合工程において、各成分を配合する方法としては特に限定されるものではなく、例えば、合成樹脂に準備工程で準備した各成分を添加した後、FMミキサー、ミルロール、バンバリーミキサー、スーパーミキサー等の混合装置を用いて混合する方法などが挙げられる。また、本実施形態の耐候性樹脂組成物の製造方法は、先ず上述の化合物または上述の重合体および必要に応じてその他の添加剤のうち少なくとも一つを、合成樹脂モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーの重合前または重合中に添加して合成樹脂重合体を製造し、次に残りの成分を得られた合成樹脂重合体に添加する方法であってもよい。さらに、本実施形態の耐候性樹脂組成物の製造方法は、上記の準備工程および配合工程に加え、配合工程で得られた混合物を単軸押出機、二軸押出機等の溶融混練装置を用いて溶融混練する溶融混練工程をさらに含む方法であってもよい。ここで、溶融混練工程における溶融混練の温度は、例えば、180~280℃であればよい。また、本実施形態の耐候性樹脂組成物の製造方法は、溶融混練工程で得られた混練物を造粒する造粒工程をさらに含む方法であってもよい。ここで、造粒の方法としては特に限定されるものではなく、例えば、ペレタイザー等の造粒装置を用いる方法等が挙げられる。また、造粒して得られる樹脂組成物の形状は特に限定されず、例えば、ペレット状であればよい。
【0083】
<合成樹脂の耐候性向上方法>
次に、本実施形態の合成樹脂の耐候性向上方法について説明する。本実施形態の合成樹脂の耐候性向上方法は、合成樹脂に、上述の化合物または上述の重合体を配合する工程を含む。なお、本実施形態の合成樹脂の耐候性向上方法においては、上述の化合物と上述の重合体との両方が配合されてもよい。
【0084】
本実施形態の合成樹脂の耐候性向上方法によれば、合成樹脂の耐候性を向上させることができる。
【0085】
本実施形態の合成樹脂の耐候性向上方法において、上述の化合物は液体であることが好ましい。この場合、化合物は分散性に優れたものとなるため、特に塗料組成物用の樹脂組成物において、合成樹脂の耐候性を顕著に向上させることができる。また、上述の化合物が液体である場合、上述の化合物を、液体添加装置を使用して配合することができるので、本実施形態の耐候性向上方法は、塗料組成物用の樹脂組成物として好適なものとなる。
【0086】
次に、本実施形態の塗料組成物について説明する。
<塗料組成物>
本実施形態の塗料組成物は、上述の樹脂組成物を含むものである。
【0087】
本実施形態の塗料組成物は、優れた耐候性を備えるものとなる。
【0088】
塗料組成物には、必要に応じて、さらに溶剤、硬化促進触媒、黄変防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤および防曇剤などが含まれていてもよい。
【0089】
本実施形態の塗料組成物は、例えば、バンパー、ラジエーターグリル、フロントグリル、フロントパネル、フェンダー、ピラー、ピラーカバー、ドアミラーステーカバー、グラスランチャンネル、ドアミラーハウジング、ランプハウジング、ホイールカバー、スポイラー、エアスポイラー、ウェザーストリップ、ウインドウモール、ベルトモール、サンルーフ、フロントエンドモジュール、ドアモジュール、バックドアモジュール、外板等の自動車外装部品、屋根、壁、床、窓枠等の建築部品、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等の家電製品の筐体などの塗装に好適に用いることができる。
【0090】
次に、本実施形態の物品について説明する。
<物品>
本実施形態の物品は、上述の塗料組成物を硬化させて得られる塗膜を備えるものである。
【0091】
本実施形態の物品は、優れた耐候性を備えるものとなる。
【0092】
本実施形態の物品は、例えば、基材を備え、上記塗膜が基材の上に積層されたものであればよい。また本実施形態の物品は、基材と、基材の上に積層された一層または二層以上の下塗り層を備え、下塗り層の上に上記塗膜が積層されたものであってもよい。さらに、本実施形態の物品は、上記塗膜の上に積層された一層または二層以上のコート層を備えるものであってもよい。
【0093】
上記物品の基材の材質としては、例えば、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金メッキ鋼、ステンレス鋼、錫メッキ鋼等の金属、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリルイミド樹脂、ポリアリルジグリコールカーボネート樹脂等の合成樹脂などが挙げられる。
【0094】
上記塗膜は、例えば、上述の塗料組成物を基材または下塗り層の上に塗布して塗料層を形成し、この塗料層を硬化させることにより形成することができる。上記の塗料組成物を塗布する方法としては、例えば、ハケ塗り、バーコート、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、カーテンコートなどの公知の方法が挙げられる。塗料層を硬化させる方法としては、例えば、常温硬化、加熱硬化、紫外線照射などの公知の方法が挙げられる。
【0095】
上記塗膜の厚さは特に限定されるものではなく、例えば、ドライ膜厚として10~300μmであればよい。
【0096】
本実施形態の物品の具体例としては、バンパー、ラジエーターグリル、フロントグリル、フロントパネル、フェンダー、ピラー、ピラーカバー、ドアミラーステーカバー、グラスランチャンネル、ドアミラーハウジング、ランプハウジング、ホイールカバー、スポイラー、エアスポイラー、ウェザーストリップ、ウインドウモール、ベルトモール、サンルーフ、フロントエンドモジュール、ドアモジュール、バックドアモジュール、外板等の自動車外装部品、屋根、壁、床、窓枠等の建築部品、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等の家電製品の筐体などが挙げられる。
【0097】
次に、本実施形態のシーリング材について説明する。
<シーリング材>
本実施形態のシーリング材は、上述の樹脂組成物を含むものである。
【0098】
本実施形態のシーリング材は、優れた耐候性を備えるものとなる。
【0099】
シーリング材には、必要に応じて、さらに溶剤、レベリング材、チキソトロピー剤、整泡剤、消泡剤、発泡剤、離型剤、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等が含まれていてもよい。本実施形態のシーリング材は、例えば、自動車、土木、住居設備、家電製品などの用途に好ましく用いることができる。
【0100】
次に、本実施形態の成形品について説明する。
<成形品>
本実施形態の成形品は、上述の樹脂組成物を成形して得られるものである。
【0101】
本実施形態の成形品は、優れた耐候性を備えるものとなる。
【0102】
本実施形態の成形品としては、例えば、ドアモール、ドアミラーのフレーム枠、ホイールキャップ、スポイラー、バンパー、ウィンカーレンズ、ピラーガーニッシュ、リアフィニッシャー、インスツルメントパネル、コンソールボックス、メーターカバー、ドアロックベゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドウスイッチベース、センタークラスター、ダッシュボード、サイドステップ、バッテリーケース、ラゲッジケース、フロントフェンダー、フェンダーライナー、ドアパネル、ルーフパネル、フードパネル、トランクリッド、バックドアパネル、アームレスト、エアコンケース等の自動車部材、壁材、床材、窓枠、壁紙、窓等の建築資材、ハウス、トンネル、フラットヤーンメッシュバッグ等の農業用資材、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等の家電製品の筐体、パレット、ペール缶、バックグラインドテープ、液晶プロテクト用テープ、パイプ等の工業用資材、食器、ボトルキャップ、バケツ、入浴用品等の家庭用品、ラップ、トレイ、カップ、フィルム、ボトル、キャップ、保存容器等の食品包装材、玩具、収納容器、合成紙等の雑貨品、医療用パック、注射器、カテーテル、医療用チューブ、シリンジ製剤、輸液バッグ、試薬容器、飲み薬容器、飲み薬個包装等の医療用品、3Dプリンター材料、衣類、織布、不織布等の繊維などが挙げられる。
【0103】
本実施形態の成形品を製造する方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、回転成形法、真空成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、スラッシュ成形法、ディップ成形法、発泡成形法などが挙げられる。
【実施例0104】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら制限を受けるものではない。
【0105】
<化合物の製造>
(製造例1)
100mLの三ツ口フラスコに2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オール5g及び混合キシレン15gを仕込み、窒素雰囲気下、50℃で加熱撹拌ながら、滴下漏斗を用いてラウリン酸クロリド7.1gを滴下した。滴下終了後反応混合物を80℃で2時間加熱撹拌し、続いて50℃に冷却した。この反応混合物に炭酸ナトリウム0.35gおよび蒸留水12gを加えてさらに撹拌し、反応混合物を中和した後、静置して水相と有機相に分離し、水相を除去した。続いて有機相に蒸留水12gを加えて撹拌した後、静置して水相と有機相に分離し、水相を除去した。続いて、n-ブチルグリシジルエーテル4.4gおよび塩化亜鉛0.26gを加え、140℃で6時間加熱撹拌した後、50℃に冷却した。この反応混合物に蒸留水12gを加えて撹拌した後、静置して水相と有機相に分離し、水相を除去した。続いて有機相を、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/アセトン)で精製し、10.8gの淡黄色液体を得た。
【0106】
得られた淡黄色液体について、1H-NMR(CDCl3,400MHz)分析を行った。分析結果を以下に示す。
【0107】
(1H-NMR)
δ(v.s.TMS):5.17(m,1H),3.65(m,1H),3.48(d,2H),3.41(t,2H),2.64(d,2H),2.27(t,2H),1.89(m,2H),1.48-1.66(m,6H),1.43-1.34(m,18H),1.21-1.34(m,12H),0.85-0.95(t,6H)
【0108】
上記の分析結果より、得られた淡黄色液体が下記の構造を有するドデカン酸1-[3-(n-ブチルオキシ)-2-ヒドロキシプロピル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルであることが確認された。
【0109】
【0110】
そして、この淡黄色液体を化合物1とした。
【0111】
(製造例2)
ラウリン酸クロリドに代えて、セバシン酸クロリドを4.0g使用した以外は製造例1と同様にして、9.2gの淡黄色液体を得た。
【0112】
得られた淡黄色液体について、1H-NMR(CDCl3,400MHz)分析を行った。分析結果を以下に示す。
【0113】
(1H-NMR)
δ(v.s.TMS):5.11(m,2H),3.63(m,2H),3.48(d,4H),3.41(t,4H),2.62(d,4H),2.27(t,4H),1.88(m,4H),1.45-1.66(m,12H),1.22-1.44(m,12H),1.02-1.22(m,24H),0.88-0.95(t,6H)
【0114】
上記の分析結果より、得られた淡黄色液体が下記の構造を有するデカン二酸ビス[1-[3-(n-ブチルオキシ)-2-ヒドロキシプロピル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル]であることが確認された。
【0115】
【0116】
そして、この淡黄色液体を化合物2とした。
【0117】
(製造例3)
100mLの三ツ口フラスコに2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オール5g、n-ブチルグリシジルエーテル4.2g、塩化亜鉛0.13gおよび混合キシレン15gを仕込み、窒素雰囲気下、140℃で6時間加熱撹拌し、続いて50℃に冷却した。この反応混合物に蒸留水10gを加えて撹拌した後、静置して水相と有機相に分離し、水相を除去した。つづいて、混合キシレン20gを加えて有機相を希釈し、窒素雰囲気下、50℃で加熱撹拌ながら、滴下漏斗を用いて3,5,5-トリメチルヘキサン酸クロリド10.9gを滴下した。滴下終了後反応混合物を80℃で2時間加熱撹拌し、続いて50℃に冷却した。この反応混合物に炭酸ナトリウム0.7gおよび蒸留水12gを加えてさらに撹拌し、反応混合物を中和した後、静置して水相と有機相に分離し、水相を除去した。続いて有機相に蒸留水12gを加えて撹拌した後、静置して水相と有機相に分離し、水相を除去した。続いて有機相を、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/アセトン)で精製し、13.3gの淡黄色液体を得た。
【0118】
得られた淡黄色液体について、1H-NMR(CDCl3,400MHz)分析を行った。分析結果を以下に示す。
【0119】
(1H-NMR)
δ(v.s.TMS):5.01-5.12(m,2H),3.34-3.54(m,4H)2.73(d,2H),1.96-2.21(m,4H),1.74-1.84(m,2H),1.48-1.58(m,2H),1.20-1.47(m,6H),1.11-1.20(m,8H),1.04-1.11(m,6H),0.96-1.04(m,6H),0.87-0.94(m,23H)
【0120】
上記の分析結果より、得られた淡黄色液体が下記の構造を有する3,5,5-トリメチルヘキサン酸1-[3-(n-ブチルオキシ)-2-(3,5,5-トリメチルヘキサノイルオキシ)プロピル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルであることが確認された。
【0121】
【0122】
そして、この淡黄色液体を化合物3とした。
【0123】
(製造例4)
ラウリン酸クロリドに代えて、メタクリル酸クロリドを3.7g使用した以外は製造例1と同様にして、7.9gの淡黄色液体を得た。
【0124】
得られた淡黄色液体について、1H-NMR(CDCl3,400MHz)分析を行った。分析結果を以下に示す。
【0125】
(1H-NMR)
δ(v.s.TMS):6.09(s,1H),5.55(s,1H),5.18(m,1H),3.64(m,1H),3.48(d,2H),3.42(t,2H),2.64(d,2H),1.88-2.00(m,5H),1.52-1.63(m,4H),1.32-1.43(m,2H),1.08-1.23(m,12H),0.90-0.95(t,3H)
【0126】
上記の分析結果より、得られた淡黄色液体が下記の構造を有するメタクリル酸1-[3-(n-ブチルオキシ)-2-ヒドロキシプロピル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルであることが確認された。
【0127】
【0128】
そして、この淡黄色液体を化合物4とした。
【0129】
(製造例5)
n-ブチルグリシジルエーテルに代えて、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランを8.0g使用した以外は製造例1と同様にして、13.2gの淡黄色液体を得た。
【0130】
得られた淡黄色液体について、1H-NMR(CDCl3,400MHz)分析を行った。分析結果を以下に示す。
【0131】
(1H-NMR)
δ(v.s.TMS):5.17(m,1H),3.95(tt,1H),3.32-3.75(m,13H),2.64(d,2H),2.27(t,2H),1.41-1.95(m,8H),1.03-1.40(m,27H),0.85-0.95(t,6H)
【0132】
上記の分析結果より、得られた淡黄色液体が下記の構造を有するドデカン酸1-[2-ヒドロキシ-3-(3-(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロピル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルであることが確認された。
【0133】
【0134】
そして、この淡黄色液体を化合物5とした。
【0135】
(製造例6)
n-ブチルグリシジルエーテルに代えて、酪酸(R)-グリシジルを4.9g使用した以外は製造例1と同様にして、11.2gの淡黄色液体を得た。
【0136】
得られた淡黄色液体について、1H-NMR(CDCl3,400MHz)分析を行った。分析結果を以下に示す。
【0137】
(1H-NMR)
δ(v.s.TMS):5.17(m,1H),4.20(d,1H),3.95(d,1H),3.76(m,1H),2.76(d,1H),2.56(d,1H),2.22-2.39(tt,4H),1.40-1.95(m,8H),1.02-1.39(m,28H),0.85-1.02(t,6H)
【0138】
上記の分析結果より、得られた淡黄色液体が下記の構造を有するドデカン酸(R)1-[3-(ブタノイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルであることが確認された。
【0139】
そして、この淡黄色液体を化合物6とした。
【0140】
(製造例7)
n-ブチルグリシジルエーテルに代えて、1,2-エポキシオクタンを4.6g使用した以外は製造例1と同様にして、11.7gの淡黄色液体を得た。
【0141】
得られた淡黄色液体について、1H-NMR(CDCl3,400MHz)分析を行った。分析結果を以下に示す。
【0142】
(1H-NMR)
δ(v.s.TMS):5.17(m,1H),3.43(m,1H),2.68(d,2H),2.29(t,2H),1.87(m,2H),1.21-1.75(m,30H),1.06-1.20(m,12H),0.85-0.95(t,6H)
【0143】
上記の分析結果より、得られた淡黄色液体が下記の構造を有するドデカン酸1-(2-ヒドロキシオクチル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルであることが確認された。
【0144】
そして、この淡黄色液体を化合物7とした。
【0145】
<重合体の製造>
(製造例8)
滴下漏斗を備えた三つ口フラスコにo-キシレン4.0質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.74質量部を仕込み、窒素雰囲気下125℃で撹拌しながら、2.6質量部のメタクリル酸2-ヒドロキシエチル、3.7質量部のメタクリル酸イソブチル、7.4質量部の化合物4および0.8質量部の2,2’-アゾビスイソブチロニトリルからなる混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、反応溶液を窒素雰囲気下125℃で1時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物にо-キシレン1.5質量部および酢酸イソブチル3.1質量部を添加して希釈し、樹脂固形分60質量%の重合体をスラリーとして得た。この重合体を重合体1とした。
【0146】
<塗料組成物の調製>
(実施例1~10)
滴下漏斗を備えた三つ口フラスコにo-キシレン18.2質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.4質量部を仕込み、窒素雰囲気下125℃で撹拌しながら、スチレンモノマー13.6質量部、アクリル酸0.48質量部、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル22質量部、メタクリル酸イソブチル31.6質量部および重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル3.1質量部の混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、反応溶液を窒素雰囲気下125℃で1時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物にo-キシレン2質量部および酢酸イソブチル14.2質量部を添加して希釈し、樹脂固形分65質量%、水酸基価(JIS K 0070)139、重量平均分子量7000の塗料組成物前駆体を得た。こうして得られた塗料組成物前駆体70質量部(固形分)に対し、n-ブタノール変性メラミン樹脂(三井化学社製 商品名 ユーバン20SE60、樹脂固形分60質量%)を50質量部、化合物1~3、5~7、重合体1および紫外線吸収剤1を表1、2に記載の添加量、触媒としてp-トルエンスルホン酸を0.5質量部、レベリング剤としてポリフロー KL-400X(共栄社化学社製)を0.2質量部添加した後、о-キシレンで希釈して均一に混合し、25℃まで冷却して、樹脂組成物からなり、樹脂固形分50質量%、アクリル樹脂:メラミン樹脂=7:3(質量比)である塗料組成物をクリア塗料組成物として得た。なお、表1、2において、化合物1~3、5~7および紫外線吸収剤1の添加量は、樹脂固形分100質量部に対する添加量(質量部)であり、重合体1の添加量は、樹脂固形分100質量部に対する添加量(樹脂固形分、質量部)である。
【0147】
なお、本実施例において使用した紫外線吸収剤1は、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンからなるものである。
【0148】
(比較例1)
化合物1を添加しない以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物からなり、樹脂固形分50質量%、アクリル樹脂:メラミン樹脂=7:3(質量比)である塗料組成物を得た。
【0149】
【0150】
【0151】
<塗料組成物の特性評価>
リン酸亜鉛処理を施した鋼板の表面に、下塗り塗料としてエポキシ樹脂系カチオン電着塗料を電着塗装し、ドライ膜厚20μmの下塗り塗膜を形成した。こうして形成された下塗り塗膜上に、中塗り塗料としてポリエステルメラミン樹脂系塗料を塗装して140℃で20分間焼き付け、ドライ膜厚35μmの中塗り塗膜を形成した。こうして形成された中塗り塗膜上に、上塗りベース塗料として、アクリルメラミン樹脂系塗料(ソリッドカラー、白)を塗装して140℃で30分間焼き付け、ドライ膜厚15μmの上塗りベース塗膜を形成した。こうして形成された上塗りベース塗膜上に、実施例1~10および比較例1の塗料組成物を、バーコーターを備えた自動塗工機を用いて塗布した後、140℃で30分間焼き付けて塗料組成物を硬化させ、ドライ膜厚40μmの塗膜を形成し、これを試験体とした。
【0152】
こうして得られた試験体について、キセノン耐候試験機(アトラス社製 装置名「Ci4000」)を用い、下記の条件に従って耐候性試験を行った。
【0153】
(耐候性試験)
あらかじめ、耐候性試験前の試験体表面の光沢度を測定してから、ISО4892-2の規格に準じ、表3の条件で耐候性試験を実施した。
【0154】
【0155】
そして、試験開始後、試験体表面の光沢度が、耐候性試験前の試験体表面の光沢度の80%となるまでの時間(h)を「80%光沢度保持時間」と設定し、耐候性の指標とした。結果を表1、2に併記する。
【0156】
なお、試験体表面の光沢度は、光沢計(日本電色工業社製 装置名VG-2000)を用いてJIS Z8741の規格に準じ、入射角20°の条件にて測定した。
【0157】
表1、2に示す結果より、実施例1~10の塗料組成物は、比較例1の塗料組成物と比べ、優れた耐候性を備えるものであることがわかった。
【0158】
<成形品の作製>
(実施例11)
ホモポリプロピレン(温度230℃、荷重2.16kgにおけるMFR10g/10分)100質量部に対し、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.1質量部、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトを0.1質量部、ステアリン酸カルシウムを0.05質量部、化合物1を0.05質量部配合し、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX28V)を用いて、溶融温度230℃、スクリュー速度150rpmの条件で溶融混練し、造粒して樹脂組成物ペレットを得た。得られた樹脂組成物ペレットを60℃で8時間乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製 EC100-2A)を用いて、樹脂温度230℃、金型温度40℃の成形条件にて射出成形し、寸法6.0cm×2.7cm×2mmの長方形シート状試験片を作製した。
【0159】
(比較例2)
化合物1を配合しない以外は実施例11と同様にして、寸法6.0cm×2.7cm×2mmの長方形シート状試験片を作製した。
【0160】
<成形品の特性評価>
実施例11および比較例2の試験片について、あらかじめ、耐候性試験前の試験片表面の光沢度を測定してから、キセノン耐候試験機(アトラス社製 装置名「Ci4000」)を用い、SAEJ1885(J2412)の規格に準じ、波長340nmにおける照射強度0.55W/m2、連続照射、ブラックパネル温度89℃±3℃、降雨なしの条件にて耐候性試験を実施した。そして、試験開始後、試験片表面の光沢度が、耐候性試験前の試験片表面の光沢度の80%となるまでの時間(h)を「80%光沢度保持時間」と設定し、耐候性の指標とした。
【0161】
その結果、実施例11の試験片の80%光沢度保持時間は780hであった。一方、比較例2の試験片の80%光沢度保持時間は120hであった。
【0162】
以上より、本発明の化合物は、樹脂組成物に優れた耐候性を付与できるものであることが確認された。