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特開2024-22741廃液処理設備の運転方法、処理後廃液の性質を予測する方法、運転システム及び予測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022741
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】廃液処理設備の運転方法、処理後廃液の性質を予測する方法、運転システム及び予測システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240214BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240214BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20240214BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q10/04
C02F1/00 V
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126045
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】福田 知世
(72)【発明者】
【氏名】岩見 貴子
(72)【発明者】
【氏名】池川 直樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】廃液の性質の変動に柔軟に対応することができる廃液処理設備の運転方法等を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の運転方法が提供される。この運転方法は、データ取得工程と、廃液予測値出力工程と、運転条件設定工程と、を備える。データ取得工程では、第1の時間における製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータを含む第1のデータを取得する。廃液予測値出力工程では、第1のデータと、廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、第1の時間以降の第2の時間における製品生産プロセスからの廃液の性質に関する予測値を出力する。ここで、予測モデルは、製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、が関連付けられて作成されたモデルである。運転条件設定工程では、廃液予測値出力工程で出力された廃液の性質に関する予測値に基づき、廃液処理設備の運転条件パラメータを設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の運転方法であって、
データ取得工程と、廃液予測値出力工程と、運転条件設定工程と、を備え、
前記データ取得工程では、第1の時間における前記製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータを含む第1のデータを取得し、
前記廃液予測値出力工程では、前記第1のデータと、廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、前記第1の時間以降の第2の時間における前記製品生産プロセスからの廃液の性質に関する予測値を出力し、
ここで、前記予測モデルは、前記製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、が関連付けられて作成されたモデルであり、
前記運転条件設定工程では、前記廃液予測値出力工程で出力された前記廃液の性質に関する予測値に基づき、前記廃液処理設備の運転条件パラメータを設定する、廃液処理設備の運転方法。
【請求項2】
請求項1に記載の廃液処理設備の運転方法において、
前記予測モデルは、前記廃液予測値出力工程が実行される前に更新可能に構成されるモデルである、廃液処理設備の運転方法。
【請求項3】
請求項1に記載の廃液処理設備の運転方法において、
前記予測モデルは、前記製品生産プロセスで生産される製品の所定のパラメータ、がさらに関連付けられて作成されたモデルであり、
前記データ取得工程で取得される前記第1のデータは、前記製品の所定のパラメータに関する情報をさらに含む、廃液処理設備の運転方法。
【請求項4】
製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の処理後廃液の性質を予測する方法であって、
データ取得工程と、処理後廃液予測値出力工程と、を備え、
前記データ取得工程では、第1の時間における前記製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータ及び前記廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを含む第2のデータを取得し、
前記処理後廃液予測値出力工程では、前記第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、前記第1の時間以降の第2の時間における廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を出力し、
ここで、前記予測モデルは、前記製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、その際に前記廃液処理設備が排出された廃液を処理した運転条件パラメータと、処理後廃液の性質と、が関連付けられて作成されたモデルである、処理後廃液の性質を予測する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
データ再取得工程と、処理後廃液予測値再出力工程と、をさらに備え、
前記データ再取得工程では、前記処理後廃液予測値出力工程で出力された前記処理後廃液の性質に関する予測値が所定の範囲に属さない場合、前記廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを再設定の上、前記第2のデータを取得し、
前記処理後廃液予測値再出力工程では、前記データ再取得工程で取得した前記第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する前記予測モデルと、に基づき、前記第2の時間における前記廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を再出力する、処理後廃液の性質を予測する方法。
【請求項6】
請求項4に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記予測モデルは、前記処理後廃液予測値出力工程が実行される前に更新可能に構成されるモデルである、処理後廃液の性質を予測する方法。
【請求項7】
請求項4に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記予測モデルは、前記廃液の温度及び/又は温度の推移と、これらに対応した生物処理能力と、がさらに関連付けられて作成されたモデルであり、
前記データ取得工程で取得される前記第2のデータは、前記廃液の温度及び/又は温度の推移に関する情報をさらに含む、処理後廃液の性質を予測する方法。
【請求項8】
請求項4に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記データ取得工程は、前記廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータの一部に対する制約条件が設定可能に構成される、処理後廃液の性質を予測する方法。
【請求項9】
請求項4に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記予測モデルは、前記製品生産プロセスで生産される製品の所定のパラメータ、がさらに関連付けられて作成されたモデルであり、
前記データ取得工程で取得される前記第2のデータは、前記製品の所定のパラメータに関する情報をさらに含む、処理後廃液の性質を予測する方法。
【請求項10】
製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の運転システムであって、
データ取得部と、廃液予測値出力部と、運転条件設定部と、を備え、
前記データ取得部は、第1の時間における前記製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータを含む第1のデータを取得し、
前記廃液予測値出力部は、前記第1のデータと、廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、前記第1の時間以降の第2の時間における前記製品生産プロセスからの廃液の性質に関する予測値を出力し、
ここで、前記予測モデルは、前記製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、が関連付けられて作成されたモデルであり、
前記運転条件設定部は、前記廃液予測値出力部が出力した前記廃液の性質に関する予測値に基づき、前記廃液処理設備の運転条件パラメータを設定する、運転システム。
【請求項11】
製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の処理後廃液の性質を予測する予測システムであって、
データ取得部と、処理後廃液予測値出力部と、を備え、
前記データ取得部は、第1の時間における前記製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータ及び前記廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを含む第2のデータを取得し、
前記処理後廃液予測値出力部は、前記第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、前記第1の時間以降の第2の時間における廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を出力し、
ここで、前記予測モデルは、前記製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、その際に前記廃液処理設備が排出された廃液を処理したときの運転条件パラメータと、処理後廃液の性質と、が関連付けられて作成されたモデルである、予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃廃液処理設備の運転方法、処理後廃液の性質を予測する方法、運転システム及び予測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場の生産プロセスにおいては、原料の溶解、生産ラインの洗浄、冷却等の様々な用途で水が使用されており、これらの水は、通常、廃棄時に特定の処理が施されることとなる。ここで、処理対象となる水は、処理原料の変化、生産品目や生産量の変化に伴い、その性質も変わってくるため、排水処理工程に対する工夫が必要となることがある。
【0003】
これに関連する技術として、特許文献1に開示された技術が知られている。特許文献1には、互いに異なる複数の予測モデルと、プラント設備の稼働実績データ、現在の稼働状況に関するデータ、気象観測データ、及び天気予報に関するデータとを用いて、プラント設備の監視対象量の一次予測値を複数算出する一次予測ステップと、前記一次予測ステップにおいて予測された各一次予測値に二次予測ステップの実行タイミングに応じた重みを付与し、重みが付与された複数の一次予測値を用いてプラント設備の監視対象量の二次予測値をプラント設備の監視対象量の予測値として算出する二次予測ステップと、を含むことを特徴とする監視対象量予測方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-161336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、廃液処理の条件を最適化させるという点については、依然として改善の余地があることがわかってきた。
【0006】
本発明では上記事情に鑑み、廃液の性質の変動に柔軟に対応することができる廃液処理設備の運転方法等を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的に、本発明は以下のものを提供する。
(1)
製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の運転方法であって、
データ取得工程と、廃液予測値出力工程と、運転条件設定工程と、を備え、
前記データ取得工程では、第1の時間における前記製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータを含む第1のデータを取得し、
前記廃液予測値出力工程では、前記第1のデータと、廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、前記第1の時間以降の第2の時間における前記製品生産プロセスからの廃液の性質に関する予測値を出力し、
ここで、前記予測モデルは、前記製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、が関連付けられて作成されたモデルであり、
前記運転条件設定工程では、前記廃液予測値出力工程で出力された前記廃液の性質に関する予測値に基づき、前記廃液処理設備の運転条件パラメータを設定する、廃液処理設備の運転方法。
(2)
(1)に記載の廃液処理設備の運転方法において、
前記予測モデルは、前記廃液予測値出力工程が実行される前に更新可能に構成されるモデルである、廃液処理設備の運転方法。
(3)
(1)又は(2)に記載の廃液処理設備の運転方法において、
前記予測モデルは、前記製品生産プロセスで生産される製品の所定のパラメータ、がさらに関連付けられて作成されたモデルであり、
前記データ取得工程で取得される前記第1のデータは、前記製品の所定のパラメータに関する情報をさらに含む、廃液処理設備の運転方法。
(4)
製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の処理後廃液の性質を予測する方法であって、
データ取得工程と、処理後廃液予測値出力工程と、を備え、
前記データ取得工程では、第1の時間における前記製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータ及び前記廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを含む第2のデータを取得し、
前記処理後廃液予測値出力工程では、前記第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、前記第1の時間以降の第2の時間における廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を出力し、
ここで、前記予測モデルは、前記製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、その際に前記廃液処理設備が排出された廃液を処理した運転条件パラメータと、処理後廃液の性質と、が関連付けられて作成されたモデルである、処理後廃液の性質を予測する方法。
(5)
(4)に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
データ再取得工程と、処理後廃液予測値再出力工程と、をさらに備え、
前記データ再取得工程では、前記処理後廃液予測値出力工程で出力された前記処理後廃液の性質に関する予測値が所定の範囲に属さない場合、前記廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを再設定の上、前記第2のデータを取得し、
前記処理後廃液予測値再出力工程では、前記データ再取得工程で取得した前記第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する前記予測モデルと、に基づき、前記第2の時間における前記廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を再出力する、処理後廃液の性質を予測する方法。
(6)
(4)又は(5)に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記予測モデルは、前記処理後廃液予測値出力工程が実行される前に更新可能に構成されるモデルである、処理後廃液の性質を予測する方法。
(7)
(4)ないし(6)のいずれか1項に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記予測モデルは、前記廃液の温度及び/又は温度の推移と、これらに対応した生物処理能力と、がさらに関連付けられて作成されたモデルであり、
前記データ取得工程で取得される前記第2のデータは、前記廃液の温度及び/又は温度の推移に関する情報をさらに含む、処理後廃液の性質を予測する方法。
(8)
(4)ないし(7)のいずれか1項に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記データ取得工程は、前記廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータの一部に対する制約条件が設定可能に構成される、処理後廃液の性質を予測する方法。
(9)
(4)ないし(7)のいずれか1項に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記予測モデルは、前記製品生産プロセスで生産される製品の所定のパラメータ、がさらに関連付けられて作成されたモデルであり、
前記データ取得工程で取得される前記第2のデータは、前記製品の所定のパラメータに関する情報をさらに含む、処理後廃液の性質を予測する方法。
(10)
製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の運転システムであって、
データ取得部と、廃液予測値出力部と、運転条件設定部と、を備え、
前記データ取得部は、第1の時間における前記製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータを含む第1のデータを取得し、
前記廃液予測値出力部は、前記第1のデータと、廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、前記第1の時間以降の第2の時間における前記製品生産プロセスからの廃液の性質に関する予測値を出力し、
ここで、前記予測モデルは、前記製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、が関連付けられて作成されたモデルであり、
前記運転条件設定部は、前記廃液予測値出力部が出力した前記廃液の性質に関する予測値に基づき、前記廃液処理設備の運転条件パラメータを設定する、運転システム。
(11)
製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の処理後廃液の性質を予測する予測システムであって、
データ取得部と、処理後廃液予測値出力部と、を備え、
前記データ取得部は、第1の時間における前記製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータ及び前記廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを含む第2のデータを取得し、
前記処理後廃液予測値出力部は、前記第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、前記第1の時間以降の第2の時間における廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を出力し、
ここで、前記予測モデルは、前記製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、その際に前記廃液処理設備が排出された廃液を処理したときの運転条件パラメータと、処理後廃液の性質と、が関連付けられて作成されたモデルである、予測システム。
【0008】
前述の特許文献1に開示された技術は、あくまで排水の処理を行うプラントそれ自体の稼働状況にしか着目がされていない。これに対し、本願の廃液処理設備の運転方法においては、廃液発生の上流に位置付けられる製品生産プロセスに関するデータを活用し、これによって廃液処理設備の運転条件を最適化し得るものである。
より詳細には、製品生産プロセスデータと、廃液処理データとを関連付けることにより、廃液の性質の変動等を予測し、廃液処理設備の運転条件を最適化することができる。また、これにより廃液処理設備の運転コストや環境負荷の最小化を行うことが可能である。
また、廃液処理設備の限られた処理能力の中であっても、製品生産プロセスに紐づく廃液処理データに関するパラメータを調整することで、追加の設備投資等を行うことなく、目標とする廃液の性質(廃水水質基準値等)を達成することができる。
【0009】
このことから、上記態様によれば、廃液の性質の変動に柔軟に対応することができる廃液処理設備の運転方法等が提供されるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】情報処理システム100の全体構成を示す図である。
図2】情報処理装置1のハードウェア構成を示す図である。
図3】情報処理装置1の機能を示す機能ブロック図である。
図4】情報処理装置1等を用いた情報処理の流れを表すアクティビティ図である。
図5】情報処理装置1等を用いた情報処理の流れを表すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0012】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0013】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0または1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0014】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、およびメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0015】
1.ハードウェア構成
本節では、本実施形態に係る情報処理システム100のハードウェア構成について説明する。図1は、情報処理システム100の全体構成を示す図である。
【0016】
本実施形態の情報処理システム100は、製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の運転方法(単に「運転方法」と称することもある。)や、製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の処理後廃液の性質を予測する方法(単に「予測方法」と称することもある。)を実行可能に構成されるシステムである。また、このような観点から、本実施形態の情報処理システム100を、「運転システム」や「予測システム」と称することもある。
ここで、本実施形態の情報処理システム100は、情報処理装置1と、通信回線2と、を備える。通信回線2は、インターネット等を含み、自回線に接続する装置同士のデータのやり取りを仲介する。なお、本実施形態の情報処理システム100において、情報処理装置1は、通信回線2を介して、プラントPL1と、プラントPL2とに接続されている。
なお、情報処理システム100に例示されるシステムとは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。したがって、情報処理装置1単体であってもシステムの一例となる。
【0017】
ここで、プラントPL1は製品生産プロセスを実行するプラントであり、プラントPL2は製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備として機能するプラントである。すなわち、廃液の流れとしては、プラントPL1はプラントPL2に対して上流に位置するものであり、典型的には、プラントPL1で生じた廃液が液体ラインLL1を介してプラントPL2に移送される。
プラントPL2内に配置される機器などは、廃液の種類に応じて適宜設定できる。たとえば、廃液が水系である場合は、生物処理装置等がプラントPL2内に備えられていてもよい。なお、この生物処理装置には廃水を浄化しうる微生物等が適用されていてもよい。
なお、図1には図示しないが、液体ラインLL1に対してセンサが取り付けられ、このセンサと情報処理装置1とが通信回線2を介して接続されていてもよい。
【0018】
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置1は、制御部11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、通信部15とを有しており、これらの各部を通信バス10が電気的に接続することで構成される。以下、情報処理装置1に備えられる各部について説明を行う。
【0019】
(制御部11)
制御部11は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、情報処理装置1に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部11は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部11を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0020】
(記憶部12)
記憶部12は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部11によって実行される情報処理装置1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部11によって実行される情報処理装置1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0021】
(入力部13)
入力部13は、情報処理装置1の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部13は、表示部14と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部13がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バス10を介して制御部11に転送され、制御部11が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0022】
(表示部14)
表示部14は、例えば、情報処理装置1の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部14は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、情報処理装置1の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0023】
(通信部15)
通信部15は、情報処理装置1から種々の電気信号を外部の構成要素に送信可能に構成される。また、通信部15は、外部の構成要素から情報処理装置1への種々の電気信号を受信可能に構成される。なお、通信部15がネットワーク通信機能を有し、これにより通信回線2を介して、情報処理装置1と外部機器との間で種々の情報を通信可能に実施してもよい。
【0024】
また、図示はしないが、通信回線2を介して情報処理装置1と接続されているプラントPL1と、プラントPL2とについても、前述の情報処理装置1と同様のハードウェア構成の装置を備えていてもよい。
【0025】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。図3は、情報処理装置1の機能を示す機能ブロック図である。前述の通り、ソフトウェア(記憶部12に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部11)によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。
【0026】
具体的には、情報処理装置1(制御部11)は、各機能部としてデータ取得部111と、廃液予測値出力部112と、運転条件設定部113と、処理後廃液予測値出力部114と、データ再取得部115と、処理後廃液予測値再出力部116と、予測モデル作成部117と、記憶管理部118と、を備えうる。なお、このような各機能部については、情報処理装置1を適用する用途等に応じて適宜増加又は省略されていてもよい。
【0027】
(データ取得部111)
データ取得部111は、データ取得工程を実行可能に構成される。データ取得工程において、データ取得部111は、第1の時間における製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータを含む第1のデータを取得する。また、データ取得工程において、データ取得部111は、第1の時間における製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータ及び廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを含む第2のデータを取得する。この取得に際して、データ取得部111は、例示的にはプラントPL1に配置されたセンサや計器から、通信部15を介して種々の情報(分析データ等)を取得するように構成される。
【0028】
(廃液予測値出力部112)
廃液予測値出力部112は、廃液予測値出力工程を実行可能に構成される。廃液予測値出力工程において、廃液予測値出力部112は、前述した第1のデータと、廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、第1の時間以降の第2の時間における製品生産プロセスからの廃液の性質に関する予測値を出力する。ここで、予測モデルは、製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、が関連付けられて作成されたモデルである。この情報処理の詳細は追って述べることとする。
【0029】
(運転条件設定部113)
運転条件設定部113は、運転条件設定工程を実行可能に構成される。運転条件設定工程において、運転条件設定部113は、廃液予測値出力部が出力した廃液の性質に関する予測値に基づき、廃液処理設備の運転条件パラメータを設定する。この運転条件設定に際して、運転条件設定部113は、典型的にはプラントPL2に配置された各種機器に対し、通信部15を介して種々の情報(信号等)を送信するように構成される。
【0030】
(処理後廃液予測値出力部114)
処理後廃液予測値出力部114は、処理後廃液予測値出力工程を実行可能に構成される。処理後廃液予測値出力工程において、処理後廃液予測値出力部114は、前述した第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、第1の時間以降の第2の時間における廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を出力する。ここで、予測モデルは、製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、その際に廃液処理設備が排出された廃液を処理したときの運転条件パラメータと、処理後廃液の性質と、が関連付けられて作成されたモデルである。この情報処理の詳細は追って述べることとする。
【0031】
(データ再取得部115)
データ再取得部115は、データ再取得工程を実行可能に構成される。データ再取得工程において、データ再取得部115は、処理後廃液予測値出力工程で出力された処理後廃液の性質に関する予測値が所定の範囲に属さない場合、廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを再設定の上、第2のデータを取得する。具体的な態様については追って説明することとする。
【0032】
(処理後廃液予測値再出力部116)
処理後廃液予測値再出力部116は、処理後廃液予測値再出力工程を実行可能に構成される。処理後廃液予測値再出力工程において、処理後廃液予測値再出力部116は、データ再取得工程で取得した第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、第2の時間における廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を再出力する。
【0033】
(予測モデル作成部117)
予測モデル作成部117は、予測モデル作成工程を実行可能に構成される。予測モデル作成工程においては、予測モデル作成部117は、前述した廃液予測値出力工程や、処理後廃液予測値出力工程等の際に用いられる予測モデルを作成又は更新する。
【0034】
(記憶管理部118)
記憶管理部118は、記憶管理工程を実行可能に構成される。記憶管理工程において、記憶管理部118は、本実施形態の情報処理システム100に関連する、記憶すべき種々の情報について管理するように構成される。典型的には、記憶管理部118は、プラントPL1や、プラントPL2から情報処理装置1に入力した情報等を記憶領域に記憶させるように構成される。この記憶領域は、たとえば情報処理装置1の記憶部12や各種端末の記憶部が例示されるが、この記憶領域は必ずしも情報処理システム100のシステム内である必要はなく、記憶管理部118は、種々の情報を外部記憶装置などに記憶するように管理することもできる。
【0035】
3.情報処理の詳細
第3節では、アクティビティ図等を参照しながら、情報処理装置1等が実行する情報処理方法について説明する。
【0036】
(適用対象)
まず、本実施形態の情報処理装置1の適用対象について説明する。前述の通り、本実施形態の情報処理システム100(情報処理装置1)は、廃液処理設備の運転方法や、廃液処理設備の処理後廃液を予測する方法に用いられるが、ここでの廃液の種類は適宜設定することができる。
すなわち、製品生産プロセスから供給される廃液は、当該製品生産プロセスの種類に応じるものであって、水系のものであっても、油系のものでもあってもよい。すなわち、本実施形態における製品生産プロセスを実行するプラントPL1は、その製造品目が限定されることはなく、製紙プラント、鉄鋼プラント、発電プラント、石油プラント、化学プラント等、公知の種々のプラントである場合が想定される。
以下、製品生産プロセスからの廃液が水系である場合を想定して、廃液処理設備の運転方法、廃液処理設備の処理後廃液を予測する方法のそれぞれについての情報処理の流れを説明していくこととする。
【0037】
(情報処理の流れ(廃液処理設備の運転方法))
本実施形態の情報処理装置1等の行う情報処理の流れについて、図4等を用いて説明する。図4は、情報処理装置1等を用いた情報処理の流れを表すアクティビティ図である。
【0038】
まず、本実施形態の運転方法では、データ取得部111が、第1の時間における製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータを含む第1のデータを取得する(アクティビティA101)。
【0039】
ここでの第1のデータは、第1の時間における製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータを含むが、この製品生産プロセスデータとは、製品の生産量、生産銘柄、使用薬品およびその量、被処理廃液の量、プラントPL1内における制御パラメータ等が包含される。
【0040】
このデータの取得は、例示的にはプラントPL1に配置されたセンサや計器から、通信部15を介して種々の情報(分析データ等)を取得することで達成される。すなわち、製品の生産量であれば、生産された製品を秤量する際の重量を、データ取得部111が第1のデータの少なくとも一部として取得することによって本アクティビティは達成される。
なお、第1のデータを構成するデータ(データ群)は、定量的なものであっても、定性的なものであってもよい。定性的なパラメータを用いる場合、数値を割り振って、定量的なデータとして扱ってもよい。
【0041】
このような製品生産プロセスデータに関し、以下、製品生産プロセス中に水系を用いる製紙工程における各種パラメータの具体例について説明する。この各種パラメータとしては水質パラメータ、制御パラメータ及び結果パラメータが例示される。
【0042】
水質パラメータとしては、例えば水系のpH、電気伝導率、酸化還元電位、ゼータ電位、濁度、温度、泡高さ、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD(例えばCODMn、CODCr))、吸光度(例えば、UV吸光度)、色(例えば、RGB値)、薬品残留濃度、粒度分布、凝集度合い、異物量、水面の発泡面積、水中の汚れ面積、気泡の量、グルコースの量、有機酸の量、デンプンの量、カルシウムの量、全塩素の量、遊離塩素の量、溶存酸素量、カチオン要求量、硫化水素の量、過酸化水素の量及び系内の微生物の呼吸速度等が挙げられる。
【0043】
制御パラメータとしては、例えば抄紙機の運転速度(抄速)、原料脱水機のろ布回転速度、洗浄機のろ布回転速度、水系に対する薬品添加量、水系に添加する原料に対する薬品添加量、水系に関連する設備に対する薬品添加量、加熱用の蒸気量、加熱用の蒸気温度、加熱用の蒸気圧力、種箱からの流量、プレスパートのニップ圧、プレスパートのフェルトバキューム圧、製紙原料の配合比率、製紙原料の損紙配合量、製紙原料のスクリーンの目開き、叩解機のローターとステーターの間の隙間距離、フリーネス及び叩解度等が挙げられる。なお、「水系に関連する設備」としては、例えば薬品を直接添加する抄紙機のワイヤーやフェルト等の設備が挙げられる。
【0044】
結果パラメータとしては、例えば白水濃度、紙製品を製造する設備内の蒸気量、紙製品を製造する設備内の蒸気量、紙製品を製造する設備内の蒸気温度、紙製品を製造する設備内の蒸気圧力、工程内における断紙の時期、フリーネス、叩解度及び曝気量等が挙げられる。このうち、紙製品を製造する設備内の蒸気量としては、例えば抄紙機ドライヤーの蒸気量、クラフトパルプ黒液エバポレータの蒸気量、クラフトパルプ蒸解釜の黒液ヒーターの蒸気量、パルプ原料や白水加温のために吹き込んでいる蒸気量を用いることができる。
【0045】
なお、第1のデータは、製品の所定のパラメータに関する情報をさらに含んでもよい。ここで製品の所定のパラメータとは、典型的には製品に関する分析値であり、製品の出来栄えや品質(製品純度や、含有される不純物、機器による分析値等)である場合が例示される。このような製品の所定のパラメータは、プラントPL1内に配置された各種センサから、通信部15を介して取得することもできるし、また、プラントPL1が発行する品質保証書等の内容を元に取得することもできる。
【0046】
前述に倣い、製品生産プロセス中に水系を用いる製紙工程における各種パラメータの具体例について説明すると、このような製品の所定のパラメータとしては、紙製品の単位重量(米坪)、歩留率、紙製品の含水率、紙製品の厚さ、紙製品中の灰分濃度、紙製品の欠点の種類、紙製品の欠点の数等が挙げられる。
【0047】
本実施形態の運転方法では、このように第1のデータを取得した後、第1のデータと、廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、第1の時間以降の第2の時間における製品生産プロセスからの廃液の性質に関する予測値を出力する(アクティビティA102)。
【0048】
本アクティビティにおいて、予測モデルは、製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、が関連付けられて作成されたモデルである。
ここで本予測モデルは、事前に製品生産プロセスの実績と、その際に排出された廃液の性質との関係性をモデル化したものであるが、このモデルとしては、例えば両者の関係を示す関数、ルックアップテーブルであってもよく、両者の関係を学習させた学習済モデルであってもよい。
【0049】
このような予測モデルに関して、製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、の関係性については、公知の解析手法に基づき解析することができる。典型的には、回帰分析法(線形モデル、一般化線形モデル、一般化線形混合モデル、リッジ回帰、ラッソ回帰、エラスティックネット、サポートベクター回帰、射影追跡回帰等)、時系列分析(VARモデル、SVARモデル、ARIMAXモデル、SARIMAXモデル、状態空間モデル等)、決定木(決定木、回帰木、ランダムフォレスト、XGBoost等)、ニューラルネットワーク(単純パーセプトロン、多層パーセプトロン、DNN、CNN、RNN、LSTM等)、ベイズ(ナイーブベイズ等)、クラスタリング(k-means、k-means++等)、アンサンブル学習(Boosting、Adaboost等)等を用いて解析し、所望の予測モデルを得ることができる。
なお、予測モデルの作成は、予測モデル作成部117が実行する場合が例示されるが、必ずしもこれには限定されず、情報処理システム100外でこのような予測モデルが作成され、作成物を情報処理装置1等にインストールすることで、本実施形態の運転方法が行われてもよい。また、予測モデルは、廃液予測値出力工程が実行される前に更新可能に構成されるモデルであってもよい。この場合は、予測モデル作成部117は、廃液処理の実績の蓄積等に応じて、逐次予測モデルを更新するように構成される態様であってもよい。
【0050】
また、この予測モデルは第1の時間以降の第2の時間における廃液の性質に関する予測値を出力するものであるが、この予測モデルは廃液の経時的な変化(変質)を予測するように構成されていてもよい。なお、このような経時的な変化(変質)を予測するにあたっては、情報処理システム100の存在する環境(温度、天候)等を参照情報として加味し、予測精度を高めてもよい。
なお、本実施形態の情報処理システム100の適用場面によっては、第1の時間と第2の時間は、実質的に同時であってもよい。
【0051】
ここで、予測モデルで関連付けられた排出された廃液の性質は適宜設定することができるが、廃液が水系である場合としては、前述した水質パラメータの各種項目等が挙げられる。
【0052】
なお、予測モデルは、製品生産プロセスで生産される製品の所定のパラメータ、がさらに関連付けられて作成されたモデルであってもよい。すなわち、製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、に加え、製品生産プロセスで生産される製品の所定のパラメータ、がさらに関連付けられて予測モデルが作成されていてもよい。データ取得部111で取得する第1のデータが製品の所定のパラメータを含む場合は、この製品の所定のパラメータが関連付けられた予測モデルを適用することにより、本アクティビティにおける予測精度の向上に資することができる。
【0053】
続いて、本実施形態の運転方法では、廃液予測値出力工程で出力された廃液の性質に関する予測値に基づき、廃液処理設備の運転条件パラメータを設定する(アクティビティA103)。
【0054】
典型的な態様では、情報処理装置1の運転条件設定部113が、プラントPL2に配置された各種機器に対し、通信部15を介して種々の情報(信号等)を送信することでこのアクティビティは達成される。
より具体的には、運転条件設定部113は、廃液の性質についてプラントPL2から排出可能な水準となるような条件を設定し、当該条件でプラントPL2が稼働するように制御する。たとえば、プラントPL1から供給される廃液のpHが通常とは異なることが予測される場合は、プラントPL2で用いる中和剤の量を適正化するように調整することができる。同様に、プラントPL1から供給される廃液の化学的酸素要求量(COD)の数値が通常より高い水準となることが予測される場合は、プラントPL2で行われる生物処理工程における溶存酸素濃度、汚泥管理濃度等の条件を適切な範囲に設定することができる。その他、運転条件設定部113は、プラントPL2内での処理温度条件、プラント内の湿度条件、撹拌槽の撹拌条件等、種々の条件を設定することができる。
【0055】
このようにして処理された廃液は、適宜、プラントPL2から排出される。たとえば、プラントPL2で処理された処理後廃液が水である場合は、水質等の最終検査を行った上で、河川などに放流されてもよい。
【0056】
(情報処理の流れ(処理後廃液の性質を予測する方法))
本実施形態の情報処理装置1等の行う情報処理の流れについて、図5等を用いて説明する。図5は、情報処理装置1等を用いた情報処理の流れを表すアクティビティ図である。なお、本予測方法は、前述の運転方法の説明と重複する部分もあるため、以下では、相違点を中心に説明していくこととする。
【0057】
まず、本実施形態の予測方法では、データ取得部111が、第1の時間における製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータ及び廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを含む第2のデータを取得する(アクティビティA201)。
【0058】
この第2のデータに含まれる製品生産プロセスデータは、前述の予測方法における製品生産プロセスデータと同様の内容であってもよく、ここでの説明を割愛する。また、第2のデータに含まれる運転条件パラメータは、前述の予測方法における運転条件パラメータと同様の内容であってもよく、ここでの説明を割愛する。
【0059】
なお、本実施形態の予測方法においては、データ取得部111が、廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータの一部に対する制約条件が設定可能に構成されてもよい。典型的な例を交えて説明すると、この制約条件とは、廃液処理設備の運転限界値、コスト、環境負荷制約等の条件が挙げられ、本実施形態の予測方法は、このような一定の制約が課されながらも、最適な処理仕様を提案できるものといえる。具体的には、目標値に合わせた運転条件パラメータを設定する際に、コスト条件として、例えば薬品の使用量、環境負荷条件として、例えば希釈水使用量や、薬品使用量、ポンプ運転条件、曝気量などの制約条件を設定し、その制約がある範囲内で、最適な運転条件を提案することができる。
【0060】
なお、第2のデータは、製品の所定のパラメータに関する情報をさらに含んでもよい。この第2のデータに含まれ得る製品の所定のパラメータは、前述の予測方法における製品の所定のパラメータと同様の内容であってもよく、ここでの説明を割愛する。
【0061】
また、第2のデータは、廃液の温度及び/又は温度の推移に関する情報をさらに含んでもよい。すなわち、このように第2のデータに含ませることのできるパラメータを増加させることで処理後廃液の性質を予測する精度を向上させることができるが、この処理の詳細は追って説明することとする。
【0062】
本実施形態の予測方法では、このように第2のデータを取得した後、処理後廃液予測値出力部114が、第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、第1の時間以降の第2の時間における廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を出力する(アクティビティA202)。
【0063】
本アクティビティにおいて、予測モデルは、製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、その際に廃液処理設備が排出された廃液を処理した運転条件パラメータと、処理後廃液の性質と、が関連付けられて作成されたモデルである。
【0064】
前述の運転方法との相違点について説明すると、本実施形態で用いられる予測モデルは、製品生産プロセスにおける過去の製品生産プロセスデータと、その際に排出された廃液の性質に関するデータと、に加え、廃液処理設備が排出された廃液を処理した運転条件パラメータと、処理後廃液の性質と、が関連付けられているという特徴を有する。
【0065】
すなわち、このような予測モデルにおいては、少なくともこれら4つのパラメータ等が関連付けられたモデルであるため、実際に廃液処理設備が廃液を処理した後の、処理後廃液の性質を精度高く予測しやすいといえる。
なお、この予測モデルも、処理後廃液予測値出力工程が実行される前に更新可能に構成されるモデルであってもよい。
【0066】
また、前述の運転方法と同様に、製品生産プロセスで生産される製品の所定のパラメータ、がさらに関連付けられて作成されたモデルであってもよい。この場合、処理後廃液の性質をより精度高く予測しやすくなる。
【0067】
さらに、この予測モデルは、廃液の温度及び/又は温度の推移と、これらに対応した生物処理能力と、がさらに関連付けられて作成されたモデルであってもよい。
すなわち、前述の第2のデータには、廃液の温度及び/又は温度の推移に関する情報が含まれうるため、このような予測モデルを用いることによって、季節ごとの生物処理能力の変化を考慮した予測を行うことが可能となる。典型的な例では、夏場は廃液温度(特には水温)の上昇により生物処理装置の稼働状況が不十分になることがあるが、このときの廃液温度(特には水温)の推移や前後の温度管理設備の稼働条件などを考慮して、生物処理装置にとって最適な運転条件パラメータを設定することができる。なお、予測モデルとして関連付けられた、廃液(廃水)の温度のデータは、プラントPL1及び/又はプラントPL2内における廃液の温度、生物処理装置(およびその前後の工程)における廃液の温度のデータ、または気象データに基づくものであってよい。
【0068】
以上の処理後廃液予測値出力により、プラントPL2で処理された後の廃液の管理が可能となる。このようにして処理された廃液は、前述の運転方法での説明と同様に、適宜、プラントPL2から排出されてもよい。たとえば、プラントPL2で処理された処理後廃液が水である場合は、水質等の最終検査を行った上で、河川などに放流されてもよい。
【0069】
なお、本実施形態の予測方法では、データ再取得部115が、処理後廃液予測値出力工程で出力された処理後廃液の性質に関する予測値が所定の範囲に属さない場合、廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを再設定の上、第2のデータを取得するように構成されてもよい(この工程を「データ再取得工程」と称してもよい)。また、処理後廃液予測値再出力部116が、データ再取得工程で取得した第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、第2の時間における廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を再出力するように構成してもよい(この工程を「処理後廃液予測値再出力工程」と称してもよい)。
【0070】
図5のアクティビティ図で示されるように、いったん処理後廃液予測値を出力した場合において、あるパラメータが所定の範囲にない場合(たとえば、河川などに放流することが適切ではない数値となる場合)、改めて第2のデータを取得するように構成することができる。すなわち、前述のアクティビティA201と同様の操作を行うように構成することができるが、本明細書では、便宜上、この操作を「データ再取得工程」と呼ぶこととする。
また、データ再取得工程で取得した第2のデータに基づいて、処理後廃液予測値を出力することができるのは前述の通りであるが、この処理の繰り返しについては、管理するパラメータが所定の範囲内となるまで繰り返して行うことができる。
典型的には、このデータ再取得工程は、廃液処理に関する運転条件パラメータを変更しながら行うことができる。すなわち、管理するパラメータが所定の範囲内となるまで繰り返して行うことは、実質的には、この廃液処理に関する運転条件パラメータを適正化することができる、という側面を有する。
【0071】
なお、この所定の範囲に属さないパラメータの例としては、前述の水質パラメータ等が例示されるが、廃液の種類に応じて適宜設定できるものである。
【0072】
以上の通り、本実施形態によれば、廃液の性質の変動に柔軟に対応することができる廃液処理設備の運転方法等が提供されるといえる。このような実施形態によれば、廃液処理設備への投資の程度も軽減され、また、環境負荷の低減などの効果も見込むことができる。
【0073】
4.変形例
第4節では、前述した情報処理装置1等の情報処理方法の変形例について説明する。
【0074】
前述の実施形態は、情報処理装置1の構成として説明したが、コンピュータを、情報処理装置の各部として機能させるプログラムが提供されてもよい。
【0075】
前述の実施形態では、液体ラインLL1で接続されたプラントPL1とPL2とに対して情報処理装置1が適用されたが、両プラントは必ずしも液体ラインLL1で接続されている必要はなく、ロータリー等でプラントPL1からプラントPL2まで廃液を搬送する態様なども採用することができる。なお、プラントPL1を所有する事業体と、プラントPL2を所有する事業体は、同一でも異なっていてもよい。
【0076】
前述の実施形態では、予測モデルを用いた運転方法や予測方法を示したが、予測モデルを作成するにあたって関連付けられる情報は、上述のものに限らない。すなわち、本実施形態で用いられる予測モデルは、他に、気象条件、地域に関する条件、設備の築年数に関する条件等の各種条件が関連付けられていてもよい。
【0077】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
1 :情報処理装置
2 :通信回線
10 :通信バス
11 :制御部
12 :記憶部
13 :入力部
14 :表示部
15 :通信部
100 :情報処理システム
111 :データ取得部
112 :廃液予測値出力部
113 :運転条件設定部
114 :処理後廃液予測値出力部
115 :データ再取得部
116 :処理後廃液予測値再出力部
117 :予測モデル作成部
118 :記憶管理部
LL1 :液体ライン
PL1 :プラント
PL2 :プラント
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを処理して生じた排水に該当しない製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の運転方法であって、
データ取得工程と、廃液予測値出力工程と、運転条件設定工程と、を備え、
前記データ取得工程では、第1の時間における前記製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータを含む第1のデータを取得し、
前記廃液予測値出力工程では、前記第1のデータと、廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、前記第1の時間以降の第2の時間における前記製品生産プロセスからの廃液の性質に関する予測値を出力し、
ここで、前記予測モデルは、前記製品生産プロセスにおける過去の製品生産に関する製品生産プロセスデータと、前記過去の製品生産の際に排出された廃液の性質に関するデータと、が関連付けられて作成されたモデルであり、
前記予測モデルにおける、前記過去の製品生産に関する製品生産プロセスデータの取得時点と、前記排出された廃液の性質に関するデータの取得時点と、の時間差は、前記第1の時間と前記第2の時間との時間差に対応し、
前記運転条件設定工程では、前記廃液予測値出力工程で出力された前記廃液の性質に関する予測値に基づき、前記廃液処理設備の運転条件パラメータを設定する、廃液処理設備の運転方法。
【請求項2】
請求項1に記載の廃液処理設備の運転方法において、
前記予測モデルは、前記廃液予測値出力工程が実行される前に更新可能に構成されるモデルである、廃液処理設備の運転方法。
【請求項3】
請求項1に記載の廃液処理設備の運転方法において、
前記予測モデルは、前記過去の製品生産の際に前記製品生産プロセスで生産され製品の所定のパラメータ、がさらに関連付けられて作成されたモデルであり、
前記データ取得工程で取得される前記第1のデータは、前記製品の所定のパラメータに関する情報をさらに含む、廃液処理設備の運転方法。
【請求項4】
請求項3に記載の廃液処理設備の運転方法において、
前記製品の所定のパラメータは、前記製品生産プロセスで生産される製品の出来栄え又は品質に関する情報である、廃液処理設備の運転方法
【請求項5】
請求項1に記載の廃液処理設備の運転方法において、
前記データ取得工程で取得される前記製品生産プロセスデータは、生産される製品の重量に関するデータを含む、廃液処理設備の運転方法
【請求項6】
請求項1に記載の廃液処理設備の運転方法において、
製品生産プロセスからの廃液は、前記製品生産プロセスにおいて、原料の溶解、生産ラインの洗浄又は冷却のために用いられた排水である、廃液処理設備の運転方法
【請求項7】
排ガスを処理して生じた排水に該当しない製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の処理後廃液の性質を予測する方法であって、
データ取得工程と、処理後廃液予測値出力工程と、を備え、
前記データ取得工程では、第1の時間における前記製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータ及び前記第1の時間以降に前記廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを含む第2のデータを取得し、
前記処理後廃液予測値出力工程では、前記第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、前記第1の時間以降の第2の時間における廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を出力し、
ここで、前記予測モデルは、前記製品生産プロセスにおける過去の製品生産に関する製品生産プロセスデータと、前記過去の製品生産の際に前記廃液処理設備が排出された廃液を処理した運転条件パラメータと、処理後廃液の性質と、が関連付けられて作成されたモデルであ
前記予測モデルにおける、前記過去の製品生産に関する製品生産プロセスデータの取得時点と、前記処理後廃液の性質の取得時点と、の時間差は、前記第1の時間と前記第2の時間との時間差に対応する、処理後廃液の性質を予測する方法。
【請求項8】
請求項に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
データ再取得工程と、処理後廃液予測値再出力工程と、をさらに備え、
前記データ再取得工程では、前記処理後廃液予測値出力工程で出力された前記処理後廃液の性質に関する予測値が所定の範囲に属さない場合、前記廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを再設定の上、前記第2のデータを取得し、
前記処理後廃液予測値再出力工程では、前記データ再取得工程で取得した前記第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する前記予測モデルと、に基づき、前記第2の時間における前記廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を再出力する、処理後廃液の性質を予測する方法。
【請求項9】
請求項に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記予測モデルは、前記処理後廃液予測値出力工程が実行される前に更新可能に構成されるモデルである、処理後廃液の性質を予測する方法。
【請求項10】
請求項に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記予測モデルは、前記廃液の温度及び/又は温度の推移と、これらに対応した生物処理能力と、がさらに関連付けられて作成されたモデルであり、
前記予測モデルにおける、前記過去の製品生産に関する製品生産プロセスデータの取得時点と、廃液の温度及び/又は温度の推移ならびにこれらに対応した生物処理能力との取得時点と、の時間差は、前記第1の時間と、前記廃液処理設備が運転を実行しようとする時間の時間差に対応し、
前記データ取得工程で取得される前記第2のデータは、前記廃液の温度及び/又は温度の推移に関する情報をさらに含
前記第2のデータに含まれる前記運転条件パラメータには、廃液の生物処理能力が含まれる、処理後廃液の性質を予測する方法。
【請求項11】
請求項に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記データ取得工程は、前記廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータの一部に対する制約条件が設定可能に構成される、処理後廃液の性質を予測する方法。
【請求項12】
請求項に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記予測モデルは、前記過去の製品生産の際に前記製品生産プロセスで生産され製品の所定のパラメータ、がさらに関連付けられて作成されたモデルであり、
前記データ取得工程で取得される前記第2のデータは、前記製品の所定のパラメータに関する情報をさらに含む、処理後廃液の性質を予測する方法。
【請求項13】
請求項12に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記製品の所定のパラメータは、前記製品生産プロセスで生産される製品の出来栄え又は品質に関する情報である、処理後廃液の性質を予測する方法
【請求項14】
請求項7に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
前記データ取得工程で取得される前記製品生産プロセスデータは、生産される製品の重量に関するデータを含む、処理後廃液の性質を予測する方法
【請求項15】
請求項7に記載の処理後廃液の性質を予測する方法において、
製品生産プロセスからの廃液は、前記製品生産プロセスにおいて、原料の溶解、生産ラインの洗浄又は冷却のために用いられた排水である、処理後廃液の性質を予測する方法
【請求項16】
排ガスを処理して生じた排水に該当しない製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の運転システムであって、
データ取得部と、廃液予測値出力部と、運転条件設定部と、を備え、
前記データ取得部は、第1の時間における前記製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータを含む第1のデータを取得し、
前記廃液予測値出力部は、前記第1のデータと、廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、前記第1の時間以降の第2の時間における前記製品生産プロセスからの廃液の性質に関する予測値を出力し、
ここで、前記予測モデルは、前記製品生産プロセスにおける過去の製品生産に関する製品生産プロセスデータと、前記過去の製品生産の際に排出された廃液の性質に関するデータと、が関連付けられて作成されたモデルであり、
前記予測モデルにおける、前記過去の製品生産に関する製品生産プロセスデータの取得時点と、前記排出された廃液の性質に関するデータの取得時点と、の時間差は、前記第1の時間と前記第2の時間との時間差に対応し、
前記運転条件設定部は、前記廃液予測値出力部が出力した前記廃液の性質に関する予測値に基づき、前記廃液処理設備の運転条件パラメータを設定する、運転システム。
【請求項17】
排ガスを処理して生じた排水に該当しない製品生産プロセスからの廃液を処理する廃液処理設備の処理後廃液の性質を予測する予測システムであって、
データ取得部と、処理後廃液予測値出力部と、を備え、
前記データ取得部は、第1の時間における前記製品生産プロセスでの製品生産プロセスデータ及び前記第1の時間以降に前記廃液処理設備が実行しようとする運転条件パラメータを含む第2のデータを取得し、
前記処理後廃液予測値出力部は、前記第2のデータと、処理後廃液の性質を予測する予測モデルと、に基づき、前記第1の時間以降の第2の時間における廃液処理設備の処理後廃液の性質に関する予測値を出力し、
ここで、前記予測モデルは、前記製品生産プロセスにおける過去の製品生産に関する製品生産プロセスデータと、前記過去の製品生産の際に前記廃液処理設備が排出された廃液を処理したときの運転条件パラメータと、処理後廃液の性質と、が関連付けられて作成されたモデルであ
前記予測モデルにおける、前記過去の製品生産に関する製品生産プロセスデータの取得時点と、前記処理後廃液の性質の取得時点と、の時間差は、前記第1の時間と前記第2の時間との時間差に対応する、予測システム。