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特開2024-23024茶樹情報推定方法及び茶樹情報推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023024
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】茶樹情報推定方法及び茶樹情報推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240214BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126556
(22)【出願日】2022-08-08
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成31年度「戦略的プロジェクト研究推進事業」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】廣野 祐平
(72)【発明者】
【氏名】薗部 礼
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】茶樹における新芽の生育量を精度よく推定する。
【解決手段】サーバの三次元情報取得部は、整枝後又は機械摘み後の状態が維持されている茶樹の三次元情報(DSM:図5(b))と、新芽収穫直前の茶樹の三次元情報(DSM:図5(a))を取得する。また、サーバの生育量推定部は、2つの三次元情報の差分(図5(c))に基づいて、茶樹における新芽の生育量を推定する。これにより、整枝後又は機械摘み後の状態を基準にして、収穫直前までの新芽の生育量を精度よく推定することができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶樹を整枝した後の状態又は茶葉の機械摘みが行われた後の状態が維持されている第1期間における、前記茶樹の高さ情報の分布を示す第1の三次元情報と、前記第1期間後の第2期間における、前記茶樹の高さ情報の分布を示す第2の三次元情報を取得し、
前記第2の三次元情報と前記第1の三次元情報との差分に基づいて、前記茶樹における新芽の生育量を推定する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする茶樹情報推定方法。
【請求項2】
茶葉の摘採高さの情報を取得し、
前記新芽の生育量と前記摘採高さの情報と、に基づいて、前記茶葉の収量を推定する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする請求項1に記載の茶樹情報推定方法。
【請求項3】
前記第1の三次元情報及び前記第2の三次元情報は、空撮画像から得られる数値表層モデルである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の茶樹情報推定方法。
【請求項4】
前記第1の三次元情報及び前記第2の三次元情報は、上方からレーザ測量した情報である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の茶樹情報推定方法。
【請求項5】
前記第1期間は、前記茶樹を整枝した後又は前記茶葉の機械摘み後、新芽が萌芽するまでの期間であり、
前記第2期間は、前記新芽が萌芽した後の期間である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の茶樹情報推定方法。
【請求項6】
茶樹を整枝した後の状態又は茶葉の機械摘みが行われた後の状態が維持されている第1期間における、前記茶樹の高さ情報の分布を示す第1の三次元情報と、前記第1期間後の第2期間における、前記茶樹の高さ情報の分布を示す第2の三次元情報を取得し、
前記第2の三次元情報と前記第1の三次元情報との差分に基づいて、前記茶樹における新芽の生育量を推定する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする茶樹情報推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶樹情報推定方法及び茶樹情報推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
緑茶、紅茶等の茶類の生産・製造においては、茶園の茶樹から摘採される茶葉(茶樹の新芽)が用いられるが、摘採部位である茶樹の新芽は日々生長しており、その生育量によって収量が異なる。
【0003】
従来、茶葉の画像情報に含まれる光学データを用いて植生指数(NDVI:Normalized Difference Vegetation Index)を算出し、算出された植生指数を用いて茶葉の摘採適性を評価したり、収量を推定する技術が知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2等参照)。また、画像解析により秋整枝後の切枝断面積の総和を導き出し、切枝断面積の総和に基づいて収量を予測する技術も知られている(例えば、非特許文献3等参照)。
【0004】
また、根菜類などの作物の収穫量を圃場の三次元情報から推定する技術や、果菜類、果実的野菜、葉茎菜類などの画像を用いて収穫量を予測する技術も知られている(例えば、特許文献2、3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/116613号
【特許文献2】特開2021-189763号公報
【特許文献3】特開2021-108586号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】亀山阿由子,「無人航空機(ドローン)の空撮画像を利用した茶収量の推定」,茶業研究報告129,p27-31,2020年6月
【非特許文献2】石川大太郎,関岡信一,石黒悦爾,「分光反射特性を利用した茶の生育・品質推定手法に関する研究」,農業気象,64巻1号,p25-32,2008年3月
【非特許文献3】“農林試ニュース 第14号”,[online],令和3年3月,福岡県農林業総合試験場,[令和4年7月9日検索],インターネット<URL:https://www.farc.pref.fukuoka.jp/oshirase/14.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、植生指数を用いた推定処理を行う場合、マルチスペクトルカメラ等の高価な機材が必要となる。また、茶類の栽培方法は果菜類や果実的野菜、葉茎菜類などの栽培方法と異なるため、特許文献2、3に開示されている技術を用いても、新芽の生育量を精度よく推定することはできない。
【0008】
本発明は、茶樹における新芽の生育量を精度よく推定することが可能な茶樹情報推定方法及び茶樹情報推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の茶樹情報推定方法は、茶樹を整枝した後の状態又は茶葉の機械摘みが行われた後の状態が維持されている第1期間における、前記茶樹の高さ情報の分布を示す第1の三次元情報と、前記第1期間後の第2期間における、前記茶樹の高さ情報の分布を示す第2の三次元情報を取得し、前記第2の三次元情報と前記第1の三次元情報との差分に基づいて、前記茶樹における新芽の生育量を推定する、処理をコンピュータが実行する茶樹情報推定方法である。
【0010】
本発明の茶樹情報推定プログラムは、茶樹を整枝した後の状態又は茶葉の機械摘みが行われた後の状態が維持されている第1期間における、前記茶樹の高さ情報の分布を示す第1の三次元情報と、前記第1期間後の第2期間における、前記茶樹の高さ情報の分布を示す第2の三次元情報を取得し、前記第2の三次元情報と前記第1の三次元情報との差分に基づいて、前記茶樹における新芽の生育量を推定する、処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の茶樹情報推定方法及び茶樹情報推定プログラムは、茶樹における新芽の生育量を精度よく推定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る茶樹情報推定システムの構成を示す図である。
図2図2(a)は、利用者端末のハードウェア構成の一例を示す図であり、図2(b)は、サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】利用者端末及びサーバの機能ブロック図である。
図4】サーバの処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5(a)は、一番茶収穫直前のDSM(Digital Surface Model:数値表層モデル)を示す図であり、図5(b)は、秋冬期の整枝後のDSMを示す図であり、図5(c)は、図5(a)、図5(b)のDSMの差分を示す図である。
図6】摘採長さと収量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態について、図1図6に基づいて詳細に説明する。図1には、一実施形態に係る茶樹情報推定システム100の構成が概略的に示されている。本実施形態の茶樹情報推定システム100は、茶園において茶樹を栽培し、茶樹から茶葉を摘採して出荷する生産者が利用可能なシステムである。
【0014】
図1に示すように、茶樹情報推定システム100は、生産者が利用可能な利用者端末70と、利用者端末70と通信可能なカメラ62及びGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)センサ64を有するドローン60と、サーバ10と、を備える。利用者端末70とサーバ10は、インターネットなどのネットワーク80に接続されており、各装置間において情報のやり取りが可能となっている。ここで、生産者は、茶園の上空にドローン60を飛ばし、カメラ62を用いて茶園を上空から撮影するものとする。例えば、ドローン60を飛ばす際には、対地高度20m、速度4.0m/sなどとすることができる。なお、ドローン60は、生産者によるコントローラの操作に応じて茶園の上空を飛行してもよいし、予め設定された飛行ルートに沿って自動で茶園の上空を飛行してもよい。また、カメラ62による撮影についても、生産者によるコントローラの操作に応じて行われてもよいし、予め定められた位置、タイミングで自動的に行われるようにしてもよい。
【0015】
(利用者端末70)
利用者端末70は、カメラ62によって撮影された画像と、GNSSセンサ64で計測された画像撮影時のカメラ62の位置情報と、を取得し、取得した画像と位置情報とから茶園の三次元情報(図5(a)、図5(b)参照)を生成する。三次元情報は、一例としてDSM(Digital Surface Model:数値表層モデル)であるものとする。DSMは、地盤(地形)と、その上にある茶樹などの地物を合わせた表層面を数値標高モデル化したものである。DSMは、上空からの複数の写真(画像)を用いて生成する。ただし、これに限らず、ドローン60がレーザ測距装置を有している場合には、レーザ測量技術を用いてDSMを生成してもよい。なお、DSMを上空からの複数の画像を用いて生成する場合、高精度なDSMを得るためには、例えば、画像のオーバーラップ(ドローンの進行方向に関する画像の重複率)が80%、サイドラップ(ドローンの進行方向に垂直な方向(幅方向)に関する画像の重複率)が60%となるように、ドローン60に搭載されたカメラ62を用いて複数の画像を撮影する。
【0016】
図2(a)には、利用者端末70のハードウェア構成が示されている。図2(a)に示すように、利用者端末70は、CPU(Central Processing Unit)190、ROM(Read Only Memory)192、RAM(Random Access Memory)194、ストレージ(HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive))196、通信部197、表示部193、入力部195を備えている。また、利用者端末70は、可搬型記憶媒体191に記憶されたデータやプログラムを読み取り可能な可搬型記憶媒体用ドライブ199を備えている。これら利用者端末70の構成各部は、バス198に接続されている。表示部193は液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等であり、入力部195は、タッチパネル等である。利用者端末70は、CPU190がプログラムを実行することにより、図3に示す、画像・位置情報取得部20、三次元情報生成部22、三次元情報送信部24として機能する。
【0017】
画像・位置情報取得部20は、カメラ62によって撮影された画像と、GNSSセンサ64において計測された画像撮影時のカメラ62の位置情報と、を取得する。なお、画像・位置情報取得部20は、通信部197(図2(a)参照)を介して、カメラ62やGNSSセンサ64から画像や位置情報を取得するものとする。ただし、これに限らず、画像・位置情報取得部20は、可搬型記憶媒体191を用いて、カメラ62が撮影した画像やGNSSセンサ64が計測した位置情報を取得してもよい。
【0018】
三次元情報生成部22は、画像・位置情報取得部20が取得した画像や位置情報を用いて、茶園の三次元情報(DSM)を生成する。なお、生産者は、2つの時期において茶園の撮影を行うものとし、三次元情報生成部22は、2時期それぞれにおける茶園の三次元情報を生成する。ここで、2時期とは、一例として、秋冬期の整枝後かつ新芽の萌芽前の第1期間内の時期(第1時期)と、新芽の萌芽後で一番茶収穫の直前の第2期間内の時期(第2時期)であるものとする。秋冬期の整枝は、翌年の一番茶の摘採面を均一にし、次の茶期の生葉に古葉や木茎などが混入しないようにするための作業である。したがって、三次元情報生成部22は、第1時期に撮影された画像から、整枝後の表面が均一になるように弧状に整えられた茶樹の高さ情報の分布(二次元面内の分布)を示す三次元情報を生成する。また、三次元情報生成部22は、第2時期に撮影された画像から、新芽が伸びた状態の茶樹の三次元情報を生成する。
【0019】
三次元情報送信部24は、三次元情報生成部22が生成した2時期の三次元情報をサーバ10に送信する。
【0020】
(サーバ10)
図1に戻り、サーバ10は、利用者端末70から送信されてくる2時期の三次元情報を取得し、取得した三次元情報から、茶園における新芽の生育量を推定する。また、サーバ10は、茶葉の摘採高さの情報(整枝後の表面(株面)からどの程度の高さを刈り取るかの情報)の入力を受け付け、受け付けた摘採高さの情報と、茶園における新芽の生育量の情報と、に基づいて、茶園における茶葉の収量を推定する。
【0021】
図2(b)には、サーバ10のハードウェア構成の一例が示されている。図2(b)に示すように、サーバ10は、CPU90、ROM92、RAM94、ストレージ96、通信部97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。これらサーバ10の構成各部は、バス98に接続されている。サーバ10では、ROM92あるいはストレージ96に格納されているプログラム(茶樹情報推定プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラムをCPU90が実行することにより、図3に示す各部の機能が実現される。なお、図3の各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0022】
図3には、サーバ10の機能ブロック図が示されている。サーバ10においては、CPU90がプログラムを実行することにより、図3に示すように、三次元情報取得部30、生育量推定部32、摘採高さ情報取得部34、収量推定部36、として機能する。
【0023】
三次元情報取得部30は、利用者端末70の三次元情報送信部24から送信されてくる2時期の三次元情報を取得する。
【0024】
生育量推定部32は、三次元情報取得部30が取得した2時期の三次元情報の差分をとることにより、茶園内の茶樹の新芽が第1時期と第2時期の間においてどれだけ生育したかを推定する。
【0025】
摘採高さ情報取得部34は、秋冬期の整枝を行ったときの株面からどの程度の高さにおいて茶葉を刈りとるかの情報(摘採高さ情報)を取得する。なお、摘採高さ情報は、生産者が利用者端末70から入力してもよいし、予め設定されていてもよい。
【0026】
収量推定部36は、生育量推定部32が推定した生育量と、摘採高さ情報と、に基づいて、茶園における茶葉の収量を推定する。
【0027】
(サーバ10の処理について)
次に、サーバ10の処理について、図4のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
図4の処理は、利用者端末70から同一茶園の2時期(第1時期及び第2時期)における三次元情報が送信されてきたときに開始される。図4の処理が開始されると、まず、ステップS10において、三次元情報取得部30は、2時期の三次元情報を取得する。例えば、2時期の三次元情報として、図5(a)に示すような一番茶収穫直前の時期(第2時期)のDSMと、図5(b)に示すような秋冬期の整枝後、新芽の萌芽前の時期(第1時期)のDSMが得られたとする。
【0029】
次いで、ステップS12において、生育量推定部32は、2時期の三次元情報の差分を求め、生育量を推定する。2時期の三次元情報の差分は、図5(c)に示すようになり、図5(c)は、茶園の各位置において新芽が秋冬期からどれだけ伸びたか(生育量)を表している。
【0030】
次いで、ステップS14において、摘採高さ情報取得部34は、摘採高さ情報を取得する。例えば、摘採高さ情報取得部34は、摘採高さ情報として、秋冬期の整枝後の株面からの高さS(m)の位置で摘採を行うという情報を取得する。
【0031】
次いで、ステップS16において、収量推定部36は、摘採高さ情報と生育量の差分を求め、収量を推定する。例えば、収量推定部36は、図5(c)から、茶園の一定範囲(例えば1m2の範囲)を特定し、特定した範囲の平均生育量D(m)を取得する。また、収量推定部36は、特定した範囲の平均生育量D(m)から摘採高さ情報S(m)を差し引いた値を摘採長さL(m)(=D-S)とする。そして、収量推定部36は、予め準備されている図6に示すようなグラフ(摘採長さLと収量Hとの関係を示すグラフ)を用いて、特定した範囲の収量Hを求める。なお、図6のグラフの各点は、事前に得られた摘採長さLの実測値と、そのときの収量の実測値との関係をプロットしたものであり、破線は、各プロットを最小二乗法等により近似した直線である。図6のグラフは、茶園ごとに準備してもよいし、地域ごと、品種ごとなど、同一のグラフを利用可能な範囲を定めて準備してもよい。
【0032】
その後は、収量推定部36は、特定する範囲を異ならせながら、上記処理を繰り返し実行し、各範囲の収量を推定する。そして、収量推定部36は、各範囲の収量を積算することで、茶園全体における収量を推定する。
【0033】
なお、三次元情報取得部30は、DSMとともに茶園のオルソ画像を取得してもよい。この場合、収量推定部36は、ステップS16において茶園の一定範囲を順次特定する際に、オルソ画像の緑色部分に対応する範囲のみを特定するようにすることができる。これにより、一定範囲を順次特定する際に、茶樹が存在する範囲(摘採面)のみを特定することができるため、茶園全体の収量を精度よく推定することができる。なお、三次元情報生成部22は、茶園の三次元情報(DSM)を生成する際に、RGBカメラ(可視光カメラ)で取得した色に関する情報を三次元情報に含めるようにしてもよい。このようにすることで、収量推定部36は、茶園の一定範囲を順次特定する際に、三次元情報に基づいて緑色部分に対応する範囲のみを特定するようにすることができる。
【0034】
次いで、ステップS18において、収量推定部36は、利用者端末70に対して、ステップS12で推定された生育量や、ステップS16で推定された収量を出力する。これにより、利用者端末70には、茶園における新芽の生育量や収量の推定結果が表示されることになる。生産者は、利用者端末70に表示された情報を見ることで、茶園における茶樹の成長が順調であるかや、茶園においてどの程度の茶葉が収穫できるかを認識することができる。
【0035】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、三次元情報取得部30が、秋冬期の整枝後の状態が維持されている時期(第1時期)の茶樹の三次元情報(DSM)と、一番茶収穫直前の時期(第2時期)の茶樹の三次元情報(DSM)を取得する。また、生育量推定部32は、2つの三次元情報の差分に基づいて、茶樹における新芽の生育量を推定する。これにより、生育量推定部32は、秋冬期の整枝後の状態を基準にして、収穫直前における新芽の生育量を精度よく推定することができる。また、本実施形態では、第1時期と第2時期の茶園のDSMを用いることで、茶園の位置や土地形状等によらずに、精度よく新芽の生育量を推定することができる。また、本実施形態では、生育量の推定に植生指数(NDVI)を用いないことから、マルチスペクトルカメラ等の高価な機材を用意する必要が無い。これにより、生育量の推定を簡易且つ安価に行うことができる。
【0036】
また、本実施形態によると、摘採高さ情報取得部34が、茶葉の摘採高さ情報S(m)を取得し、収量推定部36は、新芽の生育量D(m)と摘採高さ情報S(m)と、に基づいて、茶葉の収量を推定する。これにより、生産者がどの高さ(深さ)において一番茶を摘採するかを考慮して、収量を精度よく推定することができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、三次元情報取得部30は、秋冬期の整枝後の時期と、一番茶の収穫直前の時期の2時期のDSMを取得する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、冬期に寒害を受けやすい地域や春の凍霜害常襲茶園においては、春期に整枝を行う場合がある。この場合、三次元情報取得部30は、春整枝の後の時期と、一番茶の収穫直前の時期の2時期のDSMを取得することとしてもよい。また、二番茶の品質低下を防ぐために、一番茶を摘採した後、所定期間(例えば10日前後)経過後に、整枝を行う場合がある。このような場合には、三次元情報取得部30は、一番茶を摘採した後に整枝を行った直後の時期と、二番茶の収穫直前の時期と、の2時期のDSMを取得するようにしてもよい。同様に、二番茶の摘採後に整枝を行う場合には、三次元情報取得部30は、二番茶を摘採した後に整枝を行った直後の時期と、三番茶の収穫直前の時期と、の2時期のDSMを取得するようにしてもよい。また、一番茶等を機械摘みする場合、その後に整枝を行わない場合であっても、機械摘みすることで茶樹の表面が均一に整う。このため、三次元情報取得部30は、一番茶等を機械摘みした直後の時期と、次の新芽(二番茶等)の収穫直前の時期と、の2時期のDSMを取得するようにしてもよい。いずれの場合においても、生育量推定部32は、2時期の間の新芽の生育量を精度よく推定することができる。また、収量推定部36は、2時期の間の新芽の生育量の推定結果に基づいて、収量を精度よく推定することができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、サーバ10が図4の処理を実行する場合について説明したが、これに限らず、図4の処理を利用者端末70が実行することとしてもよい。この場合、図3のサーバ10の機能を利用者端末70に持たせるようにすればよい。また、サーバ10が、図3の利用者端末70の機能の一部(三次元情報生成部22)を有していてもよい。利用者端末70に三次元情報生成部22の機能を持たせないようにすることで、利用者端末70の処理量を低減することができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、ドローン60(無人航空機)に設けられたカメラ62を用いて上空から画像を撮影する場合について説明したが、これに限らず、有人航空機から画像を撮影してもよい。
【0040】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0041】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0042】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0043】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 サーバ
20 画像・位置情報取得部
22 三次元情報生成部
24 三次元情報送信部
30 三次元情報取得部
32 生育量推定部
34 摘採高さ情報取得部
36 収量推定部
60 ドローン
62 カメラ
64 GNSSセンサ
70 利用者端末
80 ネットワーク
100 茶樹情報推定システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6