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特開2024-23158荷電粒子顕微鏡システム用の小型補正器モジュール及び荷電粒子システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023158
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】荷電粒子顕微鏡システム用の小型補正器モジュール及び荷電粒子システム
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/153 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
H01J37/153
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023128586
(22)【出願日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】17/883,488
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アリ モハマディ-ゲイダーリ
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンデル ヘンストラ
(72)【発明者】
【氏名】ルイージ メレ
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101AA04
5C101AA05
5C101AA32
5C101EE08
5C101EE13
5C101EE59
5C101EE67
(57)【要約】      (修正有)
【課題】荷電粒子顕微鏡システム内の粒子光学レンズの球面収差を補正するための小型補正器を実現する。
【解決手段】小型補正器100は、電圧が適用されたときに強い六極子場を生成するように構成された強い六極子102、及び強い六極子と試料との間に配置された弱い六極子104を備える。強い六極子は、強い六極子場が荷電粒子ビーム106に少なくともA2収差及びD4収差を適用するように、荷電粒子システムの荷電粒子ビームのクロスオーバが強い六極子の中心を通過しないように位置付けられている。弱い六極子は、弱い六極子に電圧が適用されたときに、弱い六極子が荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームに少なくとも組み合わせA2収差及び組み合わせD4収差を適用する弱い六極子場を生成するように、更に位置付けられているか又は別様に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子顕微鏡システム用の小型補正器モジュールであって、
第1の電圧が適用されたときに、強い多極子場を生成するように構成された強い多極子であって、前記強い多極子が前記荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームに少なくともA2収差及びD4収差を適用することを引き起こす前記強い多極子の中心を、前記荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームのクロスオーバが通過しないように位置付けられている、強い多極子と、
前記補正器モジュールが前記荷電粒子顕微鏡システムにおいて使用されるときに、前記強い多極子と試料との間に位置付けられる弱い多極子であって、前記弱い多極子に第2の電圧が適用されたときに、前記弱い多極子が、前記荷電粒子顕微鏡システムの前記荷電粒子ビームに少なくとも組み合わせA2収差及び組み合わせD4収差を適用する弱い多極子場を生成する、弱い多極子と、を備える小型補正器モジュール。
【請求項2】
前記荷電粒子ビームへの前記A2収差及び前記組み合わせA2収差の前記組み合わせ適用は、前記荷電粒子ビームの前記A2収差が、試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらし、
前記荷電粒子ビームへの前記D4収差及び前記組み合わせD4収差の前記組み合わせ適用は、前記荷電粒子ビームの前記D4収差が、前記試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらす、請求項1に記載の小型補正器モジュール。
【請求項3】
前記強い多極子場が、前記荷電粒子顕微鏡システムの前記荷電粒子ビームにC3収差を更に適用し、
前記弱い多極子場が、前記荷電粒子顕微鏡システムの前記荷電粒子ビームに組み合わせC3収差を更に適用し、
前記荷電粒子ビームへの前記C3収差及び前記組み合わせC3収差の前記組み合わせ適用は、前記荷電粒子ビームの前記C3収差が、前記試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらす、請求項2に記載の小型補正器モジュール。
【請求項4】
前記第2の電圧は、前記弱い多極子場によって引き起こされる前記A2、C3、及びD4収差のうちの1つ以上が前記強い多極子場によって引き起こされる前記A2、C3、及びD4収差との組み合わせであるように、前記荷電粒子ビームの前記クロスオーバと前記強い多極子の前記中心との間の距離に基づいて選択されるように決定される、請求項1に記載の小型補正器モジュール。
【請求項5】
前記弱い多極子が、前記強い多極子よりも少なくとも50倍弱い、請求項1に記載の小型補正器モジュール。
【請求項6】
前記弱い多極子が、前記荷電粒子顕微鏡システムにおいて使用されるときに、対物レンズ内に位置付けられる、請求項1に記載の小型補正器モジュール。
【請求項7】
前記強い多極子と前記弱い多極子との間に位置付けられた丸レンズを更に備え、前記D4収差が前記組み合わせD4収差と組み合わさって前記荷電粒子ビームの前記D4収差が前記試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらすように前記D4収差の大きさが調節されることを、前記丸レンズのレンズ効果が引き起こすように、前記丸レンズは、位置付けられているか、荷電されているか、又は別様に構成されている、請求項1に記載の小型補正器モジュール。
【請求項8】
前記強い多極子が、静電多極子である、請求項1に記載の小型補正器モジュール。
【請求項9】
前記強い多極子が、少なくとも5mmの長さを有する、請求項8に記載の小型補正器モジュール。
【請求項10】
前記強い多極子が、強い六極子であり、前記弱い多極子が、弱い六極子である、請求項1に記載の小型補正器モジュール。
【請求項11】
前記強い多極子に適用される前記第1の電圧が、0.1~30kVの間にある、請求項1に記載の小型補正器モジュール。
【請求項12】
前記小型補正器モジュールは、前記荷電粒子顕微鏡の前記荷電粒子ビームの開口角が、20mradよりも大きいことを許容するように構成されている、請求項1に記載の小型補正器モジュール。
【請求項13】
前記小型補正器が、唯1つの強い多極子を備える、請求項1に記載の小型補正器モジュール。
【請求項14】
荷電粒子システムであって、
試料を保持するように構成された試料ホルダと、
前記試料に向かって荷電粒子ビームを放出するように構成された荷電粒子源と、
前記荷電粒子ビームが前記試料に入射するように、前記荷電粒子ビームを方向付けるように構成された光学カラムであって、請求項1~13のいずれか一項に記載の小型補正器モジュールを含む光学カラムと、
前記試料が前記荷電粒子ビームによって照射されることからもたらされる放出を検出するように構成された検出器システムと、を備える荷電粒子システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
粒子光学顕微鏡は、丸レンズを利用して電子/荷電粒子ビームを方向付けて、試験片を照射する。しかしながら、丸レンズは、より高い開口角を制限し、分解能及びプローブ電流を抑制する正の球面収差係数(Cs)を生成する。長年にわたって、透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)及び走査型透過電子顕微鏡(scanning transmission electron microscope、STEM)などの顕微鏡システムにおける球面収差に対処するために、多くのCs補正器システムが開発されてきた。
【0002】
しかしながら、Cs補正器は、そのような補正器を製造することが困難であり、それらの製造コストが非常に高いため、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)カラムにうまく実装することが困難であった。これは、S(T)EMシステムにおいて使用される現在のCs補正器設計は、製造が困難であり、したがって高価であり得る多くの追加の部品を必要とするためである。これらの多くの追加の素子及び励起は、通常の部品製造技術に固有の機械的誤差によって引き起こされる寄生収差を無効にするために通常必要とされる。このため、そのような技術のコストは、ほとんどのSEMユーザの予算を上回る。これらの要因により、SEMシステム用の多くの現行のCs補正器のコストが、SEMカラム自体のコストを上回ることをもたらしているので、SEM光学カラム内の球面収差を補正することができる、より単純でより小型のCs補正器システム(例えば、製造がより容易なより少数の部品を有する)を見つけることが望ましい。更に、MEMS技術などの非常に正確な製造技術も使用する場合には、追加のコスト削減が認められる。
【発明の概要】
【0003】
本開示によれば、荷電粒子顕微鏡システム内の粒子光学レンズの球面収差を補正するための小型補正器と第1の電圧が適用されたときに、強い六極子場を生成するように構成された第1の多極子素子(例えば、六極子素子、八極子素子、一二極子素子など)と、補正器モジュールが荷電粒子顕微鏡システムにおいて使用されるときに、第1の多極子素子と試料との間に位置付けられる弱い六極子場を生成するように第2の多極子素子は構成される。本発明によれば、強い六極子は、第1の多極子素子場が荷電粒子ビームに少なくともA2収差及びD4収差を適用するように、荷電粒子システムの荷電粒子ビームのクロスオーバが第1の多極子素子(すなわち強い六極子)の中心を通過しないように、位置付けられる。第2の多極子素子は更に、第2の電圧が第2の多極子素子に適用されたときに、第2の多極子素子が生成する弱い六極子場は、荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームに少なくとも組み合わせA2収差及び組み合わせD4収差を適用するように、位置付けられるか、又は別様に構成される。このようにして、弱い六極子場及び強い六極子場によって荷電粒子ビームに適用される収差の正味の組み合わせは、試料平面又はその近くに所望のA2、C3、及びD4収差を有するビームをもたらす。
【0004】
加えて、本開示による小型補正器を含む荷電粒子システムは、試料を保持するように構成された試料ホルダと、試料に向かって荷電粒子ビームを放出するように構成された荷電粒子源と、荷電粒子ビームが試料に入射するように荷電粒子ビームを方向付けるように構成された光学カラムと、試料が荷電粒子ビームによって照射されることからもたらされる放出物を検出するように構成された検出器システムと、を含む。光学カラムは、第1の電圧が適用されたときに、強い六極子場を生成するように構成された第1の多極子(すなわち、強い六極子)と、強い六極子と試料との間に位置付けられた第2の多極子(すなわち、弱い六極子)と、を備える小型補正器モジュールを含む。強い六極子は、荷電粒子ビームのクロスオーバが強い六極子の中心を通過せずに、強い六極子場に、荷電粒子に少なくともA2収差及びD4収差を適用させるように位置付けられており、第2の電圧が弱い六極子に適用されたときに、弱い六極子は、荷電粒子ビームに少なくとも組み合わせA2収差及び組み合わせD4収差を適用する弱い六極子場を生成する。
【0005】
更に、本発明による、分割多極子を備える荷電粒子カラム用の光学補正器モジュールは、100mm、10mm、1mm、100μm、及び10μmのいずれか未満の距離だけ分離された2つの多極子(例えば、ウェハ多極子、磁気多極子、静電多極子など)からなる少なくとも1つの分割多極子を含む。個々の多極子の各々は、多極子を通るビーム経路を部分的に画定するように位置付けられた少なくとも2つの電極を備える。本発明によれば、電極の各々は、荷電粒子カラムにおいて使用されるときに、荷電粒子ビームの上流に面する第1の表面と、荷電粒子カラムにおいて使用されるときに、荷電粒子ビームの下流に面する第2の表面と、を備え、電極の各々の第1の表面と第2の表面との間の厚さは、3mm未満である。本開示の範囲内で、分割多極子は静電的であってもよく、六極子に対応していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
詳細な説明は、添付の図面を参照しながら説明される。図では、参照番号の最も左の数字は、参照番号が最初に現れる図を識別する。異なる図の同じ参照番号は、類似又は同一の項目を示している。
図1】本発明による、試料平面又はその近くでA2、C3、及び/又はD4収差を補正するための例示的な小型補正器を示す。
図2】本発明による、試料の成分の検査のための例示的な荷電粒子顕微鏡システムを示しており、その光学カラムは、試料平面又はその近くでA2、C3、及び/又はD4収差を補正するための小型補正器を含む。
図3】本発明による、試料平面又はその近くでA2、C3、及び/又はD4収差を補正するための小型補正器の代替実施形態例を示す。
図4】本開示による、単一分割多極子を備える例示的なクルー補正器を示す。
図5図1図3に関連して説明されるような例示的な補正器を示しており、強い六極子は、2つの六極子からなる分割に対応している。
図6】それぞれ、従来技術のクルー型補正器、及び六極子のうちの1つ以上が分割型六極子である、本開示によるクルー型補正器を示す。
図7】それぞれ、従来技術のクルー型補正器、及び六極子のうちの1つ以上が分割型六極子である、本開示によるクルー型補正器を示す。
図8】少なくとも1つの分割型六極子を備えるローズ型補正器を示す。
図9】本開示による2つの分割型六極子を備えるローズ型補正器の光学的挙動を示す図である。
【0007】
同じ参照番号は、図面のいくつかの図全体にわたって、対応する部分を指す。概して、図では、所与の例において含まれる可能性が高い要素は、実線で図示されているのに対し、所与の例において任意選択的である要素は、破線で図示されている。しかしながら、実線で図示されている要素は、本開示の全ての例に必須であるわけではなく、実線で示される要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の例から省略され得る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
SEM、STEM、TEM、及びFIBを含むがこれらに限定されない荷電粒子顕微鏡システムにおける粒子光学レンズの球面収差を補正するための小型補正器システムが、本明細書に開示される。具体的には、本明細書に開示されるシステムは、A2、C3、及び/又はD4収差を補正するために、多極子(例えば、電磁多極子、静電多極子、分割多極子などであるが、これらに限定されない)を使用する。本開示による例示的な補正器システムは、その中心がビームのクロスオーバと位置ずれするように(例えば、強い六極子の中心がビームのクロスオーバの場所から0.1~2mmに位置付けられるように、強い六極子がシステム内に位置付けられるか、ビームが操作されるか、又はそれらの組み合わせである)、弱い六極子(例えば、強い六極子よりも、10倍、50倍、100倍小さいなど)が、強い六極子の下流に位置付けられるように、位置付けられている、強い六極子を含む。本発明によれば、強い六極子の位置ずれは、弱い六極子の方向にある。この変位のために、強い六極子に第1の電圧が適用されたときに、強い六極子は、第1の電圧がそれに適用されたときに強い六極子場を生成し、補正器モジュールが荷電粒子顕微鏡システムにおいて使用されるときに、強い六極子と試料との間に弱い六極子は位置付けられる。
【0009】
本発明によれば、強い六極子は、強い六極子場が荷電粒子ビームに少なくともA2収差及びD4収差を適用するように、荷電粒子システムの荷電粒子ビームのクロスオーバが強い六極子の中心点を通過しない(すなわち、強い六極子の中心から0.1、0.2、0.5、1mm、1.2mm、1.5mm、又は2mm以内の距離を通過しない)ように位置付けられる。次に、弱い六極子が、荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームに少なくとも組み合わせA2収差及び組み合わせD4収差を適用する弱い六極子場を生成するように、第2の電圧を弱い六極子に適用し得る。いくつかの実施形態では、弱い六極子及び強い六極子は、2つの六極子場が更に組み合わせC3収差をビームに適用するように位置付けられ、荷電され、又は別様に構成され得る。このようにして、弱い六極子場及び強い六極子場によって荷電粒子ビームに適用される収差の正味の組み合わせは、荷電粒子ビームが試料平面又はその近くで所望のA2、C3、及び/又はD4収差を有するように、調節され得る。このようにすることにより、本開示による小型補正器は、荷電粒子顕微鏡の分解能を向上させることができる。例えば、本開示による小型補正器は、30kVビームSEM光学カラムの分解能を、少なくとも2.5倍向上させることができる。
【0010】
本開示は、分割多極子を含む、開示された様々なタイプの補正器システムを更に説明する。分割多極子は、ある距離(例えば、20mm未満)だけ分離された2つの六極子からなり、多極子は各々、10mm、5mm、3mm、又は1mm未満の厚さを有する2つ以上の電極からなる。例えば、多重体がウェハ多極子である場合、そのようなウェハ多極子は各々、1~100μmの厚さを有する2つ以上の電極からなる。いくつかの実施形態では、そのようなウェハ六極子は、CHARGED PARTICLE OPTICS COMPONENTS AND THEIR FABRICATIONと題され、2022年7月22日に出願された、米国特許出願第XX/XXX,XXX号に開示されるシステム及び方法に対応し得、及び/又はそれを使用して構築され得、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。分割多極子は、電圧(例えば、100V~300kV)がウェハ多極子の各々に適用されるときに、強い多極子場を生成するように構成される。多極子の各々に同じ電圧を適用することによって、2つの多極子によって生成された組み合わせられた電磁場が組み合わさって、強い多極子の効果を提供する。分割多極子は多極子からなるので、分割多極子は、10keVよりも大きいエネルギーを有する荷電粒子ビームの収差を補正するために使用することができる。
【0011】
図1は、本発明による、試料平面又はその近くでA2、C3、及び/又はD4収差を補正するための例示的な小型補正器100の図である。例示的な小型多極子補正器100は、第1の電圧が適用されたときに、強い六極子場を生成するように構成される、有効長さLを有する強い六極子102(例えば、第1の六極子、八極子、又は十二極子素子)と、第2の電圧が適用されたときに弱い六極子場を生成するように構成される、荷電粒子システムにおいて使用されるときに、強い六極子102の下流に位置付けられる弱い六極子104(例えば、第2の六極子、八極子、又は十二極子素子)と、を含む。強い六極子及び弱い六極子の強度及び/又は配向は、それらの生成された場のA2、C3、及び/又はD4への寄与の所望の値を可能にするように調節され得る。様々な実施形態では、強い六極子102は、0.01~10mmの範囲内(例えば、少なくとも5mm)の長さを有する静電多極子であり得、第1の電圧は、0.1kV~30kVであり得る。更に、弱い六極子104は、強い六極子102よりも少なくとも30倍、50倍、又は100倍弱い。図9に示されるように、いくつかの実施形態では、強い六極子102は、100mm、10mm、1mm、100μm、及び10μmのいずれか未満の距離だけ分離された2つの六極子からなる分割六極子であり得る。そのような多極子は、10mm、5mm、3mm、又は1mm未満の厚さを有する2つ以上の電極からなる。
【0012】
小型補正器100を備える荷電粒子システムの動作中、荷電粒子ビーム106は、中心軸108に沿って、小型補正器の第1の端部110に方向付けられる。本発明によれば、弱い六極子104は、弱い六極子場が強い六極子場と組み合わさって、A2、C3、及び/又はD4収差効果のうちの1つ以上を、荷電粒子ビームが補正器100を通過するときに荷電粒子ビームに適用する、組み合わせ収差を作成するように位置決めされ、励起され、かつ/又は別様に構成される。本発明によれば、A2、C3、及び/又はD4収差のうちの1つ以上に対する強い六極子場の寄与、並びに強い六極子場と弱い六極子場との組み合わせによって生成されるこの組み合わせ収差効果は、A2、C3、及び/又はD4収差のうちの1つ以上に対する強い六極子場の寄与及び組み合わせ収差効果の正味の結果が、試料平面又はその近くの荷電粒子106におけるA2、C3、及び/又はD4収差のうちの1つ以上の値が所望の値を有するようなものであるようなものであり得る。いくつかの実施形態では、これは、荷電粒子ビーム106が補正器100を出るときに、ゼロ又はほぼゼロのA2、C3、及び/又はD4収差を有する荷電粒子ビーム102をもたらし得る。代替的に又は追加的に、補正器は、荷電粒子ビーム106が補正器100を出るときに、荷電粒子ビーム106に所望のA2、C3、及び/又はD4収差値を有させてもよく、これは、A2、C3、及び/又はD4収差の所望の値が試料平面において荷電粒子ビーム106に存在するように、荷電粒子システム内の補正器100の下流の他の光学素子の他の収差効果と組み合わさる。
【0013】
従来技術の補正器では、部品多極子は、収差を妨げるように、荷電粒子ビームのクロスオーバに位置付けられる。しかしながら、例示的な小型補正器100では、変位εが、強い六極子の中心112と荷電粒子ビームのクロスオーバ114との間に存在するように、強い六極子102が位置付けられ、又は荷電粒子ビーム106が調節され、又はそれらの組み合わせとなる。このようにして、強い六極子102が荷電粒子ビームクロスオーバ114と位置合わせされないので、荷電粒子ビーム106 A2、C3、及びD4収差への強い六極子場の寄与。具体的には、荷電粒子ビーム106に対するA2、C3、及びD4収差の各々に寄与する強い六極子場の寄与は、各々、変位εの関数である。例えば、六極子が磁気六極子であるモデル小型補正器100では、ハミルトン方程式を使用して、位置114における補正器によるA2、C3、及びD4収差の各々に対する逆外挿された寄与は、以下のように示すことができる。
【0014】
【数1】
更に、第2の例では、六極子102が静電的であるモデル小型補正器100において、位置114における補正器によるA2、C3、及びD4収差の各々に対する逆外挿された寄与は、以下のように示すことができる。
【0015】
【数2】
当業者であれば、このような例示的なシステムにおける強い六極子102の特性(すなわち、第1の電圧、L、kなど)及び変位εの値が、荷電粒子ビーム106が強い六極子102を通過するときに、106荷電粒子ビームにおけるA2、C3、及びD4収差に影響を及ぼし得るか、又は別様に誘導し得るかを、(1)~(6)から理解するであろう。当業者であれば、後続のレンズ118及び/又は弱い六極子104は、荷電粒子ビーム106のA2、C3、及び/又はD4収差からもたらされる値が試料平面において所望の値を有し得るように、どのように設計され、位置付けられ、又は別様に調整され得るかを理解するであろう。例えば、変位εは、A2、C3、及び/又はD4収差の各々が、試料平面において所望の非ゼロ又はゼロ値を有し得るように、調節され得る。別の例では、後続のレンズ118及び弱い六極子104の寸法、位置、及び励起は、荷電粒子ビーム106内のA2、C3、及びD4収差へのそれらの寄与が、荷電粒子ビームへの強い六極子104の対応する寄与と組み合わされて、A2及びD4がほぼゼロになるように選択され得る。そのような実施形態では、強い六極子102、弱い六極子104、及び/又はレンズ118の特性は、補正器100を通過した後の荷電粒子ビーム106に存在するわずかな負の球面収差が、荷電粒子ビームの球面収差に対する対物レンズ116の寄与を補償するように調整され得る。上記の式において、kは、強い六極子の強度であり、Lは、六極子の有効長さである。
【0016】
図1は、荷電粒子システムの対物レンズ116に近接している弱い六極子を示している。いくつかの実施形態では、弱い六極子104は、荷電粒子システムの対物レンズ116の視野内、及び/又は荷電粒子システム自体の対物レンズ116内に位置付けられ得る。しかしながら、当業者であれば、本発明によれば、(1)試料に衝突するビーム106に影響を与えることが可能であり、(2)弱い六極子104及び/又は強い六極子102に適用される電圧が、それらの対応する六極子場の各々によるA2、C3、及び/又はD4寄与が組み合わさって、ビーム106への所望の正味のA2、C3、及び/又はD4寄与をもたらすように調節される限り、弱い六極子104は、強い六極子102と調査中の試料との間の任意の位置に配置されてもよいことを理解するであろう。
【0017】
更に、図1には描かれていないが、弱い六極子104は、顕微鏡ビーム走査システム(例えば、AC走査ユニット)の上流又は下流のいずれかに位置付けられ得る。例えば、一実施形態では、弱い六極子104は、顕微鏡走査ユニットの下流に位置付けられ得、弱い六極子104を通るビームの経路に基づいて、弱い六極子104が作成する六極子場を動的に調節するように構成され得る。加えて、本発明のいくつかの実施形態では、弱い六極子104は、それが使用される顕微鏡システムの1つ以上の部品に基づいて動的に調整されることが可能であり得る。例えば、弱い六極子104は、そのような顕微鏡システム内のレンズによって作成されるビーム回転を補償するように調整可能であり得る。
【0018】
図1は、強い六極子102と弱い六極子104との間で弱い六極子の下流に位置付けられた任意選択の転送レンズ118を含むものとして、小型補正器100を更に示している。しかしながら、補正器システム100の実施形態は、これらの転送レンズのうちの1つのみ、追加の転送レンズを含んでもよく、又はそのような転送レンズを含まなくてもよい。例えば、本発明の実施形態では、補正器100は、強い六極子と弱い六極子との間に位置付けられた丸レンズ118を含み得、このレンズは、荷電粒子ビーム106内のD4収差の大きさが、荷電粒子ビームが試料平面においてD4収差の所望の値を有することを可能にするように影響を受けるように、荷電粒子ビームにレンズ効果を適用するように位置付けられ、荷電され、又は別様に構成される。図1では、多極子補正器100は、複数の光学部品(すなわち、多極子及びレンズ)を含むボックスとして示されている。様々な実施形態では、これらの光学部品は、保護及び/若しくは支持構造によって包まれているか、又は部分的に包まれていてもよい。加えて、そのような構造を含む実施形態では、1つ以上の光学部品がそのような構造内になくてもよい。
【0019】
図2は、本発明による、試料202の成分の検査/画像化のための例示的な荷電粒子顕微鏡システム200を示しており、その光学カラムは、試料平面又はその近くでA2、C3、及び/又はD4収差を補正するための小型補正器100を含む。例示的な荷電粒子顕微鏡システム200は、荷電粒子のビーム204(通常は電子ビーム又はイオンビーム)で試料202に照射及び/又は別様に衝突させるように構成された電子顕微鏡(electron microscope、EM)セットアップ又は電子リソグラフィセットアップを含むことができる。様々な実施形態では、荷電粒子顕微鏡システム200は、これらに限定されないが、走査型電子顕微鏡(SEM)、走査型透過電子顕微鏡(scanning transmission electron microscope、STEM)、透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)、荷電粒子顕微鏡(charged particle microscope、CPM)、二重ビーム顕微鏡システムなどのような1つ以上の異なるタイプのEM及び/又は荷電粒子顕微鏡であるか、又はこれらを含むことができる。加えて、いくつかの実施形態では、TEMは、STEMとしても動作することができる。図2は、SEMシステム206として、例示的な荷電粒子顕微鏡システム200を示している。しかしながら、本発明による小型補正器100は、広範囲の励起(例えば、50kV及び300kVを含むが、これらに限定されない)を受け入れることができる静電六極子からなることができるので、小型補正器は、TEM及びSTEMシステムにおけるA2、C3、及び/又はD4を補正することができる。
【0020】
例示的な荷電粒子顕微鏡システム200は、荷電粒子ビーム204を放出軸210に沿って加速レンズ212に向けて放出する荷電粒子源208(例えば、熱電子源、ショットキー放出源、電場放出源、液体金属イオン源、プラズマイオン源など)を含む。放出軸210は、荷電粒子源208から例示的な荷電粒子顕微鏡システム200の長さに沿って、かつ試料202を通って延びる中心軸である。
【0021】
加速レンズ212は、荷電粒子ビーム204を集束カラム214に向けて加速/減速、集束、及び/又は方向付けする。集束カラム214は、試料202に入射するように荷電粒子ビーム204を集束させる。加えて、集束カラム214は、荷電粒子ビーム204の収差(例えば、幾何学的収差、色収差)を補正及び/又は調整する。
【0022】
図2では、集束カラム214は、本発明に従って試料平面若しくはその近くでA2、C3、及び/又はD4収差を補正するための小型補正器100を含むものとして示されている。すなわち、図2は、強い六極子102及び弱い六極子104を備える、SEM多極子補正器システム100を含む、荷電粒子顕微鏡システム200を示しており、強い六極子102の中心は、荷電粒子ビームの軸方向クロスオーバ114から変位εだけ変位している。強い六極子102は、第1の電圧が適用されたときに、強い六極子場を生成するように構成され得、弱い六極子104は、第2の電圧が適用されたときに、弱い六極子場を生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、強い六極子102は、100mm、10mm、1mm、100μm、及び10μmのいずれか未満の距離によって分離された2つのウェハ六極子からなる分割六極子であってもよい。当業者であれば、弱い六極子場が、荷電粒子ビーム204におけるA2、C3、及び/又はD4収差のうちの1つ以上への強い六極子場の寄与との組み合わせである、荷電粒子ビーム204におけるA2、C3、及び/又はD4収差のうちの1つ以上への寄与を行うように、弱い六極子104がどのように位置付けられ、励起され、かつ/又は別様に構成され得るかを理解するであろう。このようにして、弱い六極子104の位置付け及び励起を調節することによって、A2、C3、及び/又はD4収差のうちの1つ以上に対する弱い六極子場の寄与は、それらが強い六極子場の寄与と組み合わさって、荷電粒子ビーム204に試料平面又はその近くで所望のA2、C3、及び/又はD4収差を有させるようなものであり得る。
【0023】
対物レンズ216は、荷電粒子ビーム204を試料202上の点に集束させる光学素子である。対物レンズ216は、単極ピースレンズ、磁気静電複合レンズ、静電検出器対物レンズ、又は別のタイプの対物レンズを含み得る。本発明による小型補正器100の追加の利点は、荷電粒子ビームの開口角の増加を可能にすることである。例えば、例示的な小型補正器100は、荷電粒子ビームの開口角が20mradよりも大きいことを可能にすることができる。
【0024】
図2は、試料202を保持する試料ホルダ218を含むものとして、例示的な荷電粒子顕微鏡システム200を更に示している。例示的な荷電粒子顕微鏡システム300はまた、荷電粒子ビーム204が試料202に入射することからもたらされる試料202からの放出物を検出するように構成される、検出器システム220を含むものとして示されている。加えて、図2には示されていないが、例示的な荷電粒子顕微鏡システム200は、荷電粒子ビーム204に試料202の表面を走査させるための非点収差補正及び/又は走査コイルを含み得る。例えば、走査コイルを動作させることによって、荷電粒子ビーム204の方向は、それが試料202の異なる場所に衝突するようにシフトされ得る。当業者であれば、TEM又は(S)TEMシステムにおいて、検出器システム220はまた、試料の下の1つ以上の検出器位置を含んでもよく、かつ/又はそれからなってもよいことを理解するであろう。
【0025】
図2は、コンピューティングデバイス230を任意選択的に含むものとして、例示的な荷電粒子顕微鏡システム200を更に示している。当業者であれば、図2に示されるコンピューティングデバイス230は単なる例示であり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。コンピューティングシステム及びデバイスは、コンピュータ、ネットワークデバイス、インターネット家電、PDA、無線電話、コントローラ、オシロスコープ、増幅器などを含む、指定された機能を実行することができるハードウェア又はソフトウェアの任意の組み合わせを含み得る。コンピューティングデバイス230はまた、図示されていない他のデバイスに接続されてもよく、又は代わりに、スタンドアロンシステムとして動作してもよい。
【0026】
図3は、本発明による、試料平面又はその近くでA2、C3、及び/又はD4収差を補正するための例示的な小型補正器300の代替実施形態の図である。例示的な小型多極子補正器300は、第1の電圧が適用されたときに、強い六極子場を生成するように構成された有効長さLを有する強い六極子102と、第2の電圧が適用されたときに、弱い六極子場を生成するように構成された荷電粒子システムにおいて使用されるときの強い六極子102の下流の弱い六極子104と、を含む。小型補正器300を備える荷電粒子システムの動作中、荷電粒子ビーム302は、中心軸304に沿って、小型補正器300の第1の端部306に方向付けられる。
【0027】
図3は、強い六極子102の各側に、弱い六極子104の下流に位置付けられた任意選択の転送レンズ118を含むものとして小型補正器300を更に示している。いくつかの実施形態では、AC走査ユニットは、弱い六極子104の上流に位置付けられ得るが、図3は、AC走査ユニット308が、小型補正器300と顕微鏡システムの対物レンズ310との間に位置付けられる実施形態を示している。
【0028】
図4は、本開示による、単一分割多極子を備える例示的なクルー型補正器400を示している。具体的には、図4は、クルー型六極子Cs補正器を示している。上で考察されたように、いくつかの実施形態では、強い多極子は、厚さdを有し、ある距離(例えば、20mm未満)だけ分離された2つのウェハ六極子404からなる分割多極子402に対応し得る。本発明によれば、光学部品(レンズ、多極子など)は、分割多極子のための部品ウェハ多極子404の間に位置付けられない。分割多極子402が長さLを有する場合、分離は、したがって、L-2dと書くことができる。ウェハ多極子は、10mm、5mm、3mm、又は1mm未満の厚さを有する2つ以上の電極からなる。
【0029】
図4は、第1の転送レンズ406及び第2の転送レンズ408を更に備えるものとしてクルー補正器400を示しており、第1の転送レンズ406は、補正器400を通過する荷電粒子ビーム410に集束効果を適用し、分割多極子402の部品である2つのウェハ多極子404の間で荷電粒子ビームのクロスオーバを引き起こす。図4は、クロスオーバが各部品ウェハ多極子に対して等距離であるように示しているが、他の実施形態(図5に示される実施形態など)では、第1の転送レンズ406は、荷電粒子ビーム410のクロスオーバが各部品ウェハ多極子404に対して等距離にならないようにする集束効果を適用するように構成され得る。
【0030】
図5は、図1図3に関連して説明した例示的な補正器500を示しており、強い六極子502は、2つのウェハ六極子506からなる分割六極子504に対応している。図5は、3つの転送レンズ508と弱い六極子510とを含む補正器500を示している。上で考察されたように、初期転送レンズ512は、補正器500を通過する荷電粒子ビーム514に集束効果を適用し、分割多極子504の2つのウェハ多極子506間で等距離ではないクロスオーバを引き起こす。上で考察されたように、弱い六極子510が生成する弱い六極子場が、荷電粒子ビーム514におけるA2、C3、及び/又はD4収差のうちの1つ以上への強い六極子場の寄与との組み合わせである、荷電粒子ビーム514におけるA2、C3、及び/又はD4収差のうちの1つ以上への寄与を行うように、弱い六極子510がどのように位置付けられ、励起され、かつ/又は別様に構成され得るかを理解するであろう。このようにして、弱い六極子510の位置付け及び励起を調節することによって、A2、C3、及び/又はD4収差のうちの1つ以上に対する弱い六極子場の寄与は、それらが強い六極子場の寄与と組み合わさって、荷電粒子ビーム514に試料平面又はその近くで所望のA2、C3、及び/又はD4収差を有させるようなものであり得る。
【0031】
図6及び図7は、六極子のうちの1つ以上が分割六極子である、本開示によるクルー型補正器600及びクルー型補正器700を示している。具体的には、図6は、2つの六極子602から等距離にある荷電粒子ビーム606の軸方向クロスオーバに位置付けられた単一の転送レンズ604を有する、2つの強い六極子602を備える補正器を示している。しかしながら、図7に示すように、本発明によれば、そのようなクルー型補正器は、1つ以上の分割六極子を用いて作製することもできる。例えば、図7は、両方の強い六極子702が分割六極子704である、本発明によるCrew型補正器700を示している。しかしながら、当業者であれば、いくつかの実施形態では、強い六極子702のうちの1つのみが分割六極子704であり得ることを理解するであろう。図7はまた、2つの分割六極子704から等距離にある荷電粒子ビーム708の軸方向クロスオーバに位置付けられた単一の転送レンズ706を含むものとして、補正器700を示している。
【0032】
図8は、少なくとも1つの分割型六極子を備えるローズ型(Rose type corrector
)補正器800を示している。具体的には、図8は、2つの強い六極子802のうちの1つが、2つのウェハ多極子806からなる分割六極子804に対応するローズ型補正器を示している。しかしながら、当業者であれば、分割六極子804に対応する両方の強い六極子802を用いて補正器800を構築することができる方法を理解するであろう。補正器800は、分割六極子804の間に位置付けられた2つの転送レンズ808を有するものとして示されている。
【0033】
図9は、本開示による2つの分割六極子を備えるローズ型補正器000の光学的挙動を示す図900である。具体的には、図900は、2つの分割六極子を備えるローズ型補正器800に存在する収差を考慮するための光学挙動を示している。図9は、2つの六極子が本発明による静電分割六極子904である例示的なローズ型補正器800を通過する軸方向光線902の挙動を示している。具体的には、図9は、分割六極子904を、長さLを有し、厚さdを有する2つのウェハ六極子からなるものとして示しており、ウェハ六極子の各々に同じ電荷が適用される。例えば、ウェハ六極子の厚さが2mmである場合、分割六極子の長さは12mmであり得、各ウェハ六極子に適用される電圧は±170Vであり得る。様々な実施形態では、分割六極子904は、六極子場に加えて、小さい双極子及び/又は四極子場を生成するように構成され得る。本開示を限定するものではないが、当業者であれば、ローズ型補正器800の補正器強度を、以下に相当するものとして理解するであろう。
【0034】
【数3】
図9は更に、ローズ型補正器800の上流に位置付けられた集光レンズ906、及び荷電粒子ビームを試料910上に集束させるように構成された対物レンズ908を示している。軸方向光線902は、光軸912に平行であり、光軸912からxexit距離に位置付けられているように、ローズ型補正器800を出るものとして示されている。
【0035】
図4図9は、いくつかの例示的な補正器システム内に含まれる分割多極子を示しているが、当業者であれば、本明細書で説明される分割多極子技術が、生成される六極子場の二次効果が重要である任意の一般的な多極子要素の代替として、他の補正器システムにどのように含まれ得るかを理解するであろう。
【0036】
本開示による本発明の主題の例は、以下に列挙される段落で説明される。
【0037】
A1.荷電粒子顕微鏡システム用の小型補正器モジュールであって、補正器モジュールは、第1の電圧が適用されたときに、強い六極子場を生成するように構成された強い六極子であって、荷電粒子システムの荷電粒子ビームのクロスオーバが強い六極子の中心を通過せず、強い六極子場に、荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームに少なくともA2収差及びD4収差を適用させるように位置付けられている、強い六極子と、荷電粒子顕微鏡システムにおいて使用されるときに、強い六極子と試料との間に位置付けられる弱い六極子であって、第2の電圧が弱い六極子に適用されたときに、弱い六極子が、荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームに少なくとも組み合わせA2収差及び組み合わせD4収差を適用する、弱い六極子場を生成する、弱い六極子と、を備える、小型補正器モジュール。
【0038】
A1.1.荷電粒子ビームへのA2収差及び組み合わせA2収差の組み合わされた適用は、荷電粒子ビームのA2収差が試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらす、段落A1に記載の小型補正器モジュール。
【0039】
A1.2.荷電粒子ビームへのD4収差及び組み合わせD4収差の組み合わされた適用は、荷電粒子ビームのD4収差が試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらす、段落A1~A1.1のいずれか1つに記載の小型補正器モジュール。
【0040】
A1.3.強い六極子場が、荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームにC3収差を更に適用し、弱い六極子場が、荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームに組み合わせC3収差を更に適用する、段落A1~A1.2のいずれか1つに記載の小型補正器モジュール。
【0041】
A1.3.1.荷電粒子ビームへのC3収差及び組み合わせC3収差の組み合わされた適用は、荷電粒子ビームのC3収差が試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらす、段落A1.3に記載の小型補正器モジュール。
【0042】
A2.第2の電圧が、荷電粒子ビームのクロスオーバと強い六極子の中心との間の距離に基づいて決定され、選択される、段落A1~A1.3.1のいずれか1つに記載の小型補正器モジュール。
【0043】
A2.1.第2の電圧は、弱い多極子場によって引き起こされるA2、C3、及びD4収差のうちの1つ以上が、強い多極子場によって引き起こされるA2、C3、及びD4収差との組み合わせであるように、荷電粒子ビームのクロスオーバと強い六極子の中心との間の距離に基づいて決定され、選択される、段落A2に記載の小型補正器モジュール。
【0044】
A3.弱い六極子は、強い六極子よりも少なくとも50倍又は100倍弱い、段落A1~A2.1のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0045】
A4.弱い六極子が、荷電粒子システムにおいて使用されるときに、対物レンズ内に位置付けられる、段落A1~A3のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0046】
A5.弱い六極子が、対物レンズの視野内に位置付けられる、段落A1~A4のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0047】
A6.荷電粒子顕微鏡が、走査電子顕微鏡(SEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)、及び透過電子顕微鏡(TEM)のうちの1つである、段落A1~A5のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0048】
A7.強い六極子が、静電六極子又は電磁六極子である、段落A1~A6のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0049】
A7.1.強い六極子が、少なくとも5mmの(有効)長さを有する、段落A7に記載の小型補正器。
【0050】
A8.補正器モジュールがプローブ補正器である、段落A1~A7.1のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0051】
A9.強い六極子と弱い六極子との間に位置付けられた転送レンズを更に含む、段落A1~A8のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0052】
A9.1.弱い六極子の下流に位置付けられた追加の転送レンズを更に含む、段落A9に記載の小型補正器。
【0053】
A10.強い六極子に適用される第1の電圧が、50~300kVである、段落A1~A9のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0054】
A11.小型補正器モジュールは、荷電粒子顕微鏡の荷電粒子ビームの開口角が20mradよりも大きいことを可能にするように構成されている、段落A1~A10のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0055】
A12.荷電粒子システムにおいて使用されるときに、強い六極子の上流に位置付けられた集光レンズを更に含む、段落A1~A11のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0056】
A13.小型補正器が、わずか1つの強い六極子を備える、段落A1~A12のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0057】
B1.荷電粒子システムであって、試料を保持するように構成された試料ホルダと、試料に向かって荷電粒子ビームを放出するように構成された、荷電粒子源と、荷電粒子ビームが試料に入射するように荷電粒子ビームを方向付けるように構成された光学カラムであって、光学カラムが、第1の電圧が適用されたときに強い六極子場を生成するように構成された強い六極子であって、強い六極子が、荷電粒子ビームのクロスオーバが強い六極子の中心を通過せずに、強い六極子場に荷電粒子ビームに少なくともA2収差及びD4収差を適用させるように位置付けられている、強い六極子、並びに強い六極子と試料との間に位置付けられた弱い六極子であって、弱い六極子に第2の電圧が適用されたときに、荷電粒子ビームに少なくとも組み合わせA2収差及び組み合わせD4収差を適用する弱い六極子場を生成する、弱い六極子、を備える、光学カラムと、試料が荷電粒子ビームによって照射されることからもたらされる放出物を検出するように構成された検出器システムと、を備える、小型補正器モジュール。
【0058】
B1.1.荷電粒子ビームへのA2収差及び組み合わせA2収差の組み合わされた適用は、荷電粒子ビームのA2収差が試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらす、段落B1に記載の小型補正器モジュール。
【0059】
B1.2.荷電粒子ビームへのD4収差及び組み合わせD4収差の組み合わされた適用は、荷電粒子ビームのD4収差が試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらす、段落B1~B1.1のいずれか1つに記載の小型補正器モジュール。
【0060】
B1.3.強い六極子場が、荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームにC3収差を更に適用し、弱い六極子場が、荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームに組み合わせC3収差を更に適用する、段落B1~B1.2のいずれか1つに記載の小型補正器モジュール。
【0061】
B1.3.1.荷電粒子ビームへのC3収差及び組み合わせC3収差の組み合わされた適用は、荷電粒子ビームのC3収差が試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらす、段落B1.3に記載の小型補正器モジュール。
【0062】
B2.第2の電圧が、荷電粒子ビームのクロスオーバと強い六極子の中心との間の距離に基づいて決定され、選択される、段落B1~B1.3.1のいずれか1つに記載の小型補正器モジュール。
【0063】
B2.1.第2の電圧は、弱い多極子場によって引き起こされるA2、C3、及びD4収差のうちの1つ以上が、強い多極子場によって引き起こされるA2、C3、及びD4収差との組み合わせであるように、荷電粒子ビームのクロスオーバと強い六極子の中心との間の距離に基づいて決定され、選択される、段落B2に記載の小型補正器モジュール。
【0064】
B3.弱い六極子が、強い六極子よりも少なくとも50倍又は100倍弱い、段落B1~B2.1のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0065】
B4.弱い六極子が、荷電粒子システムにおいて使用されるときに、対物レンズ内に位置付けられる、段落B1~B3のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0066】
B5.弱い六極子が、対物レンズの視野内に位置付けられる、段落B1~B4のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0067】
B6.荷電粒子顕微鏡が、走査電子顕微鏡(SEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)、及び透過電子顕微鏡(TEM)のうちの1つである、段落B1~B5のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0068】
B7.強い六極子が、静電六極子又は電磁六極子である、段落B1~B6のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0069】
B7.1.強い六極子が、少なくとも5mmの長さを有する、段落B7に記載の小型補正器。
【0070】
B8.補正器モジュールが、プローブ補正器である、段落B1~B7.1のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0071】
B9.強い六極子と弱い六極子との間に位置付けられた転送レンズを更に含む、段落B1~B8のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0072】
B9.1.弱い六極子の下流に位置付けられた追加の転送レンズを更に含む、段落B9に記載の小型補正器。
【0073】
B10.強い六極子に適用される第1の電圧が、50~300kVである、段落B1~B9のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0074】
B11.小型補正器モジュールは、荷電粒子顕微鏡の荷電粒子ビームの開口角が20mradよりも大きいことを可能にするように構成されている、段落B1~B10のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0075】
B12.荷電粒子システムにおいて使用されるときに、強い六極子の上流に位置付けられる集光レンズを更に含む、段落B1~B11のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0076】
B13.小型補正器が、わずか1つの強い六極子を備える、段落B1~B12のいずれか1つに記載の小型補正器。
【0077】
C1.荷電粒子カラム用の光学補正器モジュールであって、光学補正器モジュールが、100mm未満の距離だけ分離された2つのウェハ多極子からなる分割多極子を備え、個々のウェハ多極子が、ウェハ多極子を通るビーム経路を部分的に画定するように位置付けられた少なくとも2つの電極を備え、電極の各々が、荷電粒子カラムにおいて使用されるときに、荷電粒子ビームの上流に面する第1の表面と、荷電粒子カラムにおいて使用されるときに、荷電粒子ビームの下流に面する第2の表面とを備え、電極の各々の第1の表面と第2の表面との間の厚さが、3mm未満である、光学補正器モジュール。
【0078】
C1.1.分割多極子は、第1の電圧がウェハ多極子の各々に適用されたときに、強い多極子場を生成するように構成されている、段落C1に記載の光学補正器モジュール。
【0079】
C1.1.1.分割多極子の2つのウェハ多極子は、10mm、1mm、100μm、及び10μmのうちのいずれか1つの距離だけ分離されている、段落C1.1に記載の光学補正器モジュール。
【0080】
C1.2.電極の各々の第1の表面と第2の表面との間の厚さは、100μm未満である、段落C1~C1.1.1のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0081】
C1.2.1.電極の各々の第1の表面と第2の表面との間の厚さは、1~100μmである、段落C1.2に記載の光学補正器モジュール。
【0082】
C1.2.2.電極の各々の第1の表面と第2の表面との間の厚さは、10mm、1mm、100μm、及び10μmのいずれか未満である、段落C1.2又はC1.2.1に記載の光学補正器モジュール。
【0083】
C1.3.分割多極子内のウェハ多極子間の距離は、20mm未満である、段落C1~C1.2.2のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0084】
C1.4.荷電粒子ビームがウェハ多極子を通過する際に荷電粒子ビームに面する電極の各々の第3の表面が、Ra0.05μmの最大表面粗さを有する、段落C1~C1.3のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0085】
C1.5.個々のウェハ多極子が、10keVよりも大きい荷電粒子ビームエネルギーで使用されるように構成されている、段落C1~C1.4のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0086】
C1.6.ウェハ六極子に適用される電圧が、100V~300kVである、段落C1~C1.4のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0087】
C1.7.ウェハ六極子の各々に適用される電圧が、同じである、段落C1~C1.6のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0088】
C1.8.荷電粒子ビーム経路に沿った2つのウェハ多極子の間に、光学部品が位置付けられていない、段落C1~C1.7のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0089】
C1.9.分割多極子は、第1の電圧がウェハ多極子の各々に適用されるときに、強い六極子場を生成するように構成された分割六極子である、段落C1~C1.8のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0090】
C1.9.1.ウェハ多極子の各々は、電圧がウェハ六極子の各々に適用されるときに、六極子場を生成するように構成されたウェハ六極子である、段落C1.9に記載の光学補正器モジュール。
【0091】
C1.10.第1の転送レンズ及び第2の転送レンズを備え、第1の転送レンズが、分割多極子のすぐ上流にある光学素子であり、第2の転送レンズが、分割多極子のすぐ下流にある光学素子である、段落C1~C1.9.1のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0092】
C1.10.1.第1の軸上光線が、分割多極子の部品である2つのウェハ多極子の間で荷電粒子ビームのクロスオーバを引き起こす集束効果を適用する、段落C1.10に記載の光学補正器モジュール。
【0093】
C1.10.1.1.荷電粒子ビームのクロスオーバが、各部品ウェハ多極子に対して等距離である、段落C1.10.1に記載の光学補正器モジュール。
【0094】
C1.10.1.2.荷電粒子ビームのクロスオーバが、各部品ウェハ多極子に対して等距離でない、段落C1.10.1に記載の光学補正器モジュール。
【0095】
C2.分割多極子が、強い六極子である、段落C1~C1.10のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0096】
C2.0.1.光学補正器モジュールが、クルー型六極子Cs補正器である、段落C2に記載の光学補正器モジュール。
【0097】
C2.0.2.補正器が、荷電粒子カラムにおいて使用されるときに、強い六極子と試料との間に位置付けられた弱い六極子を更に備える、段落C2~C2.0.1のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0098】
C2.1.分割六極子は、荷電粒子ビームのクロスオーバが分割六極子の中心を通過せずに、分割六極子場に、荷電粒子カラムにおいて使用されるときの荷電粒子ビームに少なくともA2収差及びD4収差を適用させるように位置付けられている、段落C2に記載の光学補正器モジュール。
【0099】
C2.1.1.弱い六極子に第2の電圧が適用されたときに、弱い六極子は、荷電粒子ビームに少なくとも組み合わせA2収差及び組み合わせD4収差を適用する弱い六極子場を生成する、段落C2.1に記載の光学補正器モジュール。
【0100】
C2.1.1.1.荷電粒子ビームへのA2収差及び組み合わせA2収差の組み合わされた適用は、荷電粒子ビームのA2収差が試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらす、段落C2.1.1に記載の光学補正器モジュール。
【0101】
C2.1.1.2.D4収差及び組み合わせD4収差の荷電粒子ビームへの組み合わされた適用は、荷電粒子ビームのD4収差が試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらす、段落C2.1.1~C2.1.1.1のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0102】
C2.1.3.強い六極子場が、荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームにC3収差を更に適用し、弱い六極子場が、荷電粒子顕微鏡システムの荷電粒子ビームに組み合わせC3収差を更に適用する、段落C2~C2.1.1.2のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0103】
C2.1.3.1.C3収差及び組み合わせC3収差の荷電粒子ビームへの組み合わされた適用は、荷電粒子ビームのC3収差が試料平面又はその近くでゼロ又はほぼゼロになることをもたらす、段落C2.1.3に記載の光学補正器モジュール。
【0104】
C2.2.第2の電圧が、荷電粒子ビームのクロスオーバと分割六極子の中心との間の距離に基づいて決定され、選択される、段落CA2.1.1~C2.1.3.1のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0105】
C2.2.1.第2の電圧は、弱い多極子場によって引き起こされるA2、C3、及びD4収差のうちの1つ以上が、強い多極子場によって引き起こされるA2、C3、及びD4収差との組み合わせであるように、荷電粒子ビームのクロスオーバと強い六極子の中心との間の距離に基づいて決定され、選択される、段落C2.2に記載の光学補正器モジュール。
【0106】
C2.2.2.弱い六極子が、強い六極子よりも少なくとも50倍又は100倍弱い、段落C2.2~C2.2.1のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0107】
C2.3.弱い六極子が、荷電粒子システムにおいて使用されるときに、対物レンズ内に位置付けられる、段落C2~C2.2.2のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0108】
C2.4.弱い六極子は、対物レンズの視野内に位置付けられる、段落C2~C2.3のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0109】
C2.5.強い六極子が、静電六極子である、段落C2~C2.4のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0110】
C2.6.強い六極子が、少なくとも5mmの(有効)長さを有する、段落C2.5に記載の光学補正器モジュール。
【0111】
C2.8.強い六極子と弱い六極子との間に位置付けられた転送レンズを更に含む、段落C2~C2.7のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0112】
C2.8.1.弱い六極子の下流に位置付けられた追加の転送レンズを更に含む、段落C2.8に記載の光学補正器モジュール。
【0113】
C2.9.強い六極子に適用される第1の電圧が、50~300kVである、段落C2~C9のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0114】
C2.10.光学補正器モジュールは、荷電粒子顕微鏡の荷電粒子ビームの開口角が20mradよりも大きいことを可能にするように構成されている、段落C2~C2.9のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0115】
C2.11.荷電粒子システムにおいて使用されるときに、強い六極子の上流に位置付けられる集光レンズを更に含む、段落C2~C2.10のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0116】
C3.補正器が、追加の多極子を更に備える、段落C1~C2.11のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0117】
C3.1.追加の多極子が、分割多極子である、段落C3に記載の光学補正器モジュール。
【0118】
C3.1.1.追加の多極子が、10mm未満の距離だけ分離された2つの追加のウェハ多極子からなり、個々の追加のウェハ多極子が、
追加のウェハ多極子を通るビーム経路を部分的に画定するように位置付けられた少なくとも2つの追加の電極であって、追加の電極の各々が、
荷電粒子カラムにおいて使用されるときに、荷電粒子ビームの上流に面する第1の表面と、
荷電粒子カラムにおいて使用されるときに、荷電粒子ビームの下流に面する第2の表面と、を備える、段落C3.1に記載の光学補正器モジュール。
【0119】
C3.1.2.追加の電極の各々の第1の表面と第2の表面との間の厚さが、3mm未満である、段落C3.1~C3.1.1のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0120】
C3.1.3.追加の電極の各々の第1の表面と第2の表面との間の厚さが、100μm未満である、段落C3.1~C3.1.1のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0121】
C3.2.追加の多極子が、荷電粒子システムにおいて使用されるときに、分割多極子の下流に位置付けられる、段落C3~C3.1.3のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0122】
C3.3.追加の多極子が、荷電粒子システムにおいて使用されるときに、分割多極子の上流に位置付けられる、段落C3~C3.1のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0123】
C3.4.追加の多極子が、荷電粒子システムにおいて使用されるときに、分割多極子の下流に位置付けられる、段落C3~C3.3のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0124】
C3.5.分割多極子と追加の多極子との間に位置付けられた多極子が存在しない、段落C3~C3.4のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0125】
C3.6.分割多極子と追加の多極子との間に位置付けられた転送レンズを備える、段落C3~C3.5のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0126】
C3.6.1.転送レンズが、荷電粒子ビームの軸方向クロスオーバに位置付けられている、段落C3.6に記載の光学補正器モジュール。
【0127】
C3.6.2.荷電粒子ビームの軸方向クロスオーバが、分割多極子及び追加の多極子の各々に対して等距離である、段落C3.6~C3.6.1のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0128】
C3.6.3.荷電粒子ビームは、光学補正器モジュールが荷電粒子システムにおいて使用されるときに、分割多極子を通過するときに平行ビームではない、段落C3.6~C3.6.2のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0129】
C3.7.分割多極子と追加の多極子との間に位置付けられた第1の転送レンズ及び第2の転送レンズを備える、段落C3~C3.5のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0130】
C3.7.1.第1の転送レンズが、荷電粒子ビームの軸方向クロスオーバの上流に位置付けられており、第2の転送レンズが、荷電粒子ビームの軸方向クロスオーバの下流に位置付けられている、段落C3.7に記載の光学補正器モジュール。
【0131】
C3.7.2.荷電粒子ビームの軸方向クロスオーバが、分割多極子及び追加の多極子の各々に対して等距離である、段落C3.7~C3.7.1のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0132】
C3.7.3.荷電粒子ビームの軸方向クロスオーバが、第1の転送レンズ及び第2の転送レンズの各々に対して等距離である、段落C3.7~C3.7.2のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0133】
C3.7.4.荷電粒子ビームは、光学補正器モジュールが荷電粒子システムにおいて使用されるときに、分割多極子を通過するときに平行ビームである、段落C3.7~C3.7.3のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0134】
C3.7.5.荷電粒子ビームは、光学補正器モジュールが荷電粒子システムにおいて使用されるときに、分割多極子を通過するときに実質的に平行ビームである、段落C3.7~C3.7.3のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0135】
C3.8.分割多極子及び追加の多極子が、両方とも静電多極子である、段落C3~C3.7.5のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0136】
C3.9.分割多極子及び追加の多極子が、両方とも六極子である、段落C3~C3.8のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0137】
C4.光学補正器モジュールが、プローブ補正器である、段落C2~C2.6のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0138】
C5.光学補正器モジュールの補正器強度が、以下の関係に対応する、段落C1~C4のいずれか1つに記載の光学補正器モジュール。
【0139】
【数4】
【0140】
D1.荷電粒子システムであって、試料を保持するように構成された試料ホルダと、試料に向かって荷電粒子ビームを放出するように構成された荷電粒子源と、荷電粒子ビームが試料に入射するように荷電粒子ビームを方向付けるように構成された光学カラムであって、段落C1~C5のいずれか1つに記載の光学補正器モジュールを含む、光学カラムと、試料が荷電粒子ビームによって照射されることからもたらされる放出物を検出するように構成された検出器システムと、を備える、荷電粒子システム。
【0141】
E1.段落A1~A13及びC1~C5のいずれか1つに記載の補正器モジュールの使用。
【0142】
F1.段落B1~B13及びD1のいずれか1つに記載の荷電粒子システムの使用。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】