(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023684
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】電子ビーム検査システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/28 20060101AFI20240214BHJP
H01J 37/244 20060101ALI20240214BHJP
H01J 37/22 20060101ALI20240214BHJP
H01J 37/24 20060101ALI20240214BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01J37/28 B
H01J37/244
H01J37/22 502H
H01J37/24
H01L21/66 J
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211926
(22)【出願日】2023-12-15
(62)【分割の表示】P 2022554285の分割
【原出願日】2020-04-03
(31)【優先権主張番号】16/812,720
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロディー アラン ディー
(72)【発明者】
【氏名】マレー ローレンス ピー
(72)【発明者】
【氏名】フィールデン ジョン
(57)【要約】
【課題】無用なクロストーク及び電磁干渉(EMI)問題を取り除けるシステム及び方法を提供する。
【解決手段】本検査システムには、1本又は複数本の一次電子ビームを生成するよう構成された電子ビーム源を設ける。本検査システムには、その1本又は複数本の一次電子ビームを標本に差し向けるよう構成された一組の電子光学素子を有する、電子光学カラムを設ける。更に検出アセンブリを設け、その標本から発せられる電子を収集するよう構成されその収集電子に応じ光学輻射を生成するよう構成されているシンチレータ基板と、一つ又は複数の導光器と、その光学輻射を受光しその光学輻射をその一つ又は複数の導光器沿いに差し向けるよう構成された一つ又は複数の反射面と、その導光器からその光学輻射を受光するよう構成された一つ又は複数の検出器とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビーム検査システムであって、
複数本の一次電子ビームを生成するよう構成された電子ビーム源と、
前記複数本の一次電子ビームを標本に差し向けるよう構成された一組の電子光学素子を有する電子光学カラムと、
検出アセンブリと、を備え、その検出アセンブリが、
前記複数本の一次電子ビームに応じ前記標本から発せられる電子を収集するよう構成されたシンチレータ基板であり、その収集電子に応じ光学輻射を生成するよう構成されているシンチレータ基板と、
一つ又は複数の導光器と、
前記シンチレータ基板により生成された光学輻射を受光しその光学輻射を前記一つ又は複数の導光器沿いに差し向けるよう構成された一つ又は複数の反射面と、
前記導光器から前記光学輻射を受光するよう構成された一つ又は複数の検出器と、
を備え、
前記電子光学カラムに一つ又は複数のマイクロ電子光学カラムが備わる電子ビーム検査システム。
【請求項2】
電子ビーム検査システムであって、
複数本の一次電子ビームを生成するよう構成された電子ビーム源と、
前記複数本の一次電子ビームを標本に差し向けるよう構成された一組の電子光学素子を有する電子光学カラムと、
検出アセンブリと、を備え、その検出アセンブリが、
前記複数本の一次電子ビームに応じ前記標本から発せられる電子を収集するよう構成されたシンチレータ基板であり、その収集電子に応じ光学輻射を生成するよう構成されているシンチレータ基板と、
一つ又は複数の導光器と、
前記シンチレータ基板により生成された光学輻射を受光しその光学輻射を前記一つ又は複数の導光器沿いに差し向けるよう構成された一つ又は複数の反射面と、
前記導光器から前記光学輻射を受光するよう構成された一つ又は複数の検出器と、
を備え、
更に、前記一つ又は複数の検出器に可通信結合されたコントローラを備え、そのコントローラが、メモリ内に格納されている一組のプログラム命令を実行するよう構成された一つ又は複数のプロセッサを有し、その一組のプログラム命令が、前記一つ又は複数のプロセッサに、
前記光学輻射に応じ前記一つ又は複数の検出器により生成された一つ又は複数の信号を受け取らせ、且つ
前記一つ又は複数の信号に基づき前記標本の一つ又は複数の特性を判別させるよう、
構成されている電子ビーム検査システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電子ビーム検査システムであって、前記標本の前記一つ又は複数の特性が、前記標本の欠陥及び前記標本の計測結果のうち少なくとも一方を含む電子ビーム検査システム。
【請求項4】
請求項2に記載の電子ビーム検査システムであって、前記コントローラが、一つ又は複数の制御信号を生成するよう構成されており、その一つ又は複数の制御信号が、前記判別済の一つ又は複数の特性に基づき一つ又は複数のプロセスツールの一つ又は複数の特性を選択的に調整するよう、構成されている電子ビーム検査システム。
【請求項5】
マルチカラム検査システムであって、
一次電子ビームアレイを生成するよう構成された電子ビーム源と、
複数個の電子光学カラムであり、各電子光学カラムが、前記一次電子ビームアレイのうちのある一次電子ビームを標本上にありアレイをなす諸個所に差し向けるよう構成された一組の電子光学素子を有する、複数個の電子光学カラムであり、前記複数個の電子光学カラムは、複数個のマイクロ電子光学カラムを有し、
検出アセンブリと、を備え、その検出アセンブリが、
前記一次電子ビームアレイに応じ前記標本から発せられる電子を収集するよう構成されたシンチレータ基板アレイであり、その収集電子に応じ光学輻射を生成するよう構成されているシンチレータ基板アレイと、
前記シンチレータ基板アレイに光学結合された複数個の導光器と、
前記シンチレータ基板アレイのうちのあるシンチレータ基板により生成された前記光学輻射を受光するよう構成されている複数個の反射面と、
前記複数個の導光器に光学結合された複数個の検出器であり、その複数個の検出器のうちの各検出器が、前記複数個の導光器のうちのある導光器から前記光学輻射を受光するよう構成されている複数個の検出器と、
を備えるマルチカラム検査システム。
【請求項6】
請求項5に記載のマルチカラム検査システムであって、更に、前記複数個の検出器に可通信結合されたコントローラを備え、そのコントローラが、メモリ内に格納されている一組のプログラム命令を実行するよう構成された一つ又は複数のプロセッサを有し、その一組のプログラム命令が、前記一つ又は複数のプロセッサに、
前記光学輻射に応じ前記複数個の検出器により生成された一つ又は複数の信号を受け取らせ、且つ
前記一つ又は複数の信号に基づき前記標本の一つ又は複数の特性を判別させるよう、
構成されているマルチカラム検査システム。
【請求項7】
請求項5に記載のマルチカラム検査システムであって、前記標本及び前記シンチレータ基板アレイが真空チャンバ内に配されており、その真空チャンバの外部に前記複数個の検出器が配されているマルチカラム検査システム。
【請求項8】
請求項7に記載のマルチカラム検査システムであって、前記複数個の導光器が、前記シンチレータ基板アレイにより生成された前記光学輻射を、前記真空チャンバ内の少なくとも1個の真空フィードスルーポートを介し前記複数個の検出器へと差し向けるよう、構成されているマルチカラム検査システム。
【請求項9】
請求項5に記載のマルチカラム検査システムであって、前記検出アセンブリが、更に、前記シンチレータ基板アレイと前記複数個の導光器との界面に配された一つ又は複数の屈折率整合素材を備えるマルチカラム検査システム。
【請求項10】
請求項5に記載のマルチカラム検査システムであって、前記複数個の導光器のうちの前記ある導光器に、束をなす1本又は複数本の光ファイバが備わるマルチカラム検査システム。
【請求項11】
請求項10に記載のマルチカラム検査システムであって、前記複数個の導光器のうちの前記ある導光器が、更に、
前記シンチレータ基板により生成された前記光学輻射のうち少なくとも一部分を、前記束をなす1本又は複数本の光ファイバのうち少なくとも一部分に集束させるよう構成された、一つ又は複数のマイクロ光学素子を備えるマルチカラム検査システム。
【請求項12】
請求項5に記載のマルチカラム検査システムであって、前記複数個の検出器が、電荷結合デバイス(CCD)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)デバイス、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)及びフォトダイオードアレイのうち少なくとも一つを含むマルチカラム検査システム。
【請求項13】
請求項5に記載のマルチカラム検査システムであって、前記シンチレータ基板アレイのうち少なくとも1枚のシンチレータ基板が、第1領域と少なくとも1個の付加的領域とに区分されているマルチカラム検査システム。
【請求項14】
請求項13に記載のマルチカラム検査システムであって、前記複数個の導光器のうち少なくとも1個の導光器が、
前記シンチレータ基板の前記第1領域により生成された光学輻射を受光しその光学輻射を第1検出器に差し向けるよう構成された第1導光器と、
前記シンチレータ基板の前記少なくとも1個の付加的領域により生成された光学輻射を受光しその光学輻射を少なくとも1個の付加的検出器に差し向けるよう構成された少なくとも1個の付加的導光器と、
を含むマルチカラム検査システム。
【請求項15】
請求項14に記載のマルチカラム検査システムであって、
前記第1導光器が、前記シンチレータ基板の前記第1領域により生成された前記光学輻射を集束させるよう構成されている第1組のマイクロ光学素子を有し、
前記少なくとも1個の付加的導光器が、前記シンチレータ基板の前記少なくとも1個の付加的領域により生成された前記光学輻射を集束させるよう構成されている少なくとも1個の付加組のマイクロ光学素子を有する、
マルチカラム検査システム。
【請求項16】
請求項5に記載のマルチカラム検査システムであって、前記複数個の反射面が、前記シンチレータ基板アレイの表面に対しある角度をなすよう構成されているマルチカラム検査システム。
【請求項17】
請求項16に記載のマルチカラム検査システムであって、前記反射面の前記角度が35~55度であるマルチカラム検査システム。
【請求項18】
複数本の一次電子ビームを電子ビーム源で以て生成し、
前記複数本の一次電子ビームを電子光学カラムで以て標本に差し向け、
前記複数本の一次電子ビームに応じ前記標本から発せられる電子をシンチレータ基板で以て収集し、
前記収集電子に応じ前記シンチレータ基板で以て光学輻射を生成し、
前記光学輻射を反射面で以て導光器に差し向け、
前記光学輻射を前記導光器で以て検出器に差し向け、但しその検出器を、前記光学輻射に応じ一つ又は複数の信号を生成するよう構成されたものとし、
前記一つ又は複数の信号に基づき前記標本の一つ又は複数の特性を判別する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は総じて粒子ビーム検出に関し、より具体的には、二次及び後方散乱電子計測用の高速検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
検査システムにより半導体ウェハ上の欠陥を識別及び分類することで、その標本を対象にして欠陥ポピュレーションを生成することができる。検査システムたりうるものに光学検査システムがあり、また帯電粒子検査システム例えば電子ビームシステムがある。電子ビーム検査システムの場合、電子ビームを標本に差し向け、然るべく構成された検出器にてその標本に発する二次及び/又は後方散乱電子を収集することで、その標本の特性解明が図られる。従来の電子ビーム検査システムでは、二次及び後方散乱電子を収集する目的でシリコン製検出器が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0287675号
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0161511号
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0214002号
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0085361号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シリコン製検出器の静電容量によりその検出帯域幅が制限される。加えて、シリコン製検出器では、通常はトランスインピーダンス増幅器が必要であり、それが低信号環境での信号対雑音比(SNR)に顕著に影響することがある。更に、そのトランスインピーダンス増幅器は検出器からの電流を増幅するのに必要なものであり、通常は、帯域幅及び信号対雑音比を最大化させるべくその検出器の極力近くに配置する必要がある。そのためには、通常、そのトランスインピーダンス増幅器を電子ビーム検査システムの真空チャンバ内に配置する必要があり、それがもとで回路構成部材からのアウトガッシングが生じることがある。そして、そのシリコン製検出器からの電気信号を、ディジタル化に先立ち真空チャンバ外へとかなりの距離に亘り差し向けねばならず、そのことが無用なクロストーク及び電磁干渉(EMI)問題につながっている。従って、短所例えば上述したそれらを取り除けるシステム及び方法を提供することが望ましかろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電子ビーム検査システムが開示される。諸実施形態によれば、本システムを、1本又は複数本の一次電子ビームを生成するよう構成された電子ビーム源を有するものと、することができる。付加的な諸実施形態によれば、本システムを、一組の電子光学素子を有する電子光学カラムを有し、その一組の電子光学素子が、その1本又は複数本の一次電子ビームを標本に差し向けるよう構成されたものとすることができる。付加的な諸実施形態では本システムが検出アセンブリを有するものとされ、その検出アセンブリが、その1本又は複数本の一次電子ビームに応じその標本から発せられる電子を収集するよう構成されたシンチレータ基板でありその収集電子に応じ光学輻射を生成するよう構成されているシンチレータ基板と、一つ又は複数の導光器と、そのシンチレータ基板により生成された光学輻射を受光しその光学輻射をその一つ又は複数の導光器沿いに差し向けるよう構成された一つ又は複数の反射面と、その導光器からその光学輻射を受光するよう構成された一つ又は複数の検出器と、を備えるものとされる。
【0006】
マルチカラム検査システムが開示される。諸実施形態によれば、本システムを、一次電子ビームアレイを生成するよう構成された電子ビーム源を有するものと、することができる。付加的な諸実施形態では、本システムが、複数個の電子光学カラムを有するものとされ、各電子光学カラムが一組の電子光学素子を有するものとされ、その一組の電子光学素子が、その一次電子ビームアレイを構成する一次電子ビームを標本上、アレイをなす諸個所に差し向けるよう構成される。付加的な諸実施形態では、本システムが検出アセンブリを有するものとされ、その検出アセンブリが、その一次電子ビームアレイに応じその標本から発せられる電子を収集するよう構成されたシンチレータ基板アレイでありその収集電子に応じ光学輻射を生成するよう構成されているシンチレータ基板アレイと、そのシンチレータ基板アレイに光学結合された複数個の導光器と、そのシンチレータ基板アレイを構成するシンチレータ基板により生成された光学輻射を受光するよう構成されている複数個の反射面と、その複数個の導光器に光学結合された複数個の検出器と、を備えるものとされ、その複数個の検出器のうちの各検出器が、その複数個の導光器のうちある導光器から光学輻射を受光するよう構成される。
【0007】
方法が開示される。諸実施形態に係る方法では、1本又は複数本の一次電子ビームを電子ビーム源で以て生成し、その1本又は複数本の一次電子ビームを電子光学カラムで以て標本に差し向け、その1本又は複数本の一次電子ビームに応じその標本から発せられる電子をシンチレータ基板で以て収集し、その収集電子に応じそのシンチレータ基板で以て光学輻射を生成し、その光学輻射を反射面で以て導光器に差し向け、その光学輻射をその導光器で以て検出器に差し向け、但しその検出器を、その光学輻射に応じ一つ又は複数の信号を生成するよう構成されたものとし、その一つ又は複数の信号に基づきその標本の一つ又は複数の特性を判別する。
【0008】
前掲の概略記述及び後掲の詳細記述は共に専ら例示的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲記載の発明を必ずしも限定するものではない。添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部分を構成し、本発明の諸実施形態を描出し、概略記述と相俟ち本発明の諸原理を説明する役目を有している。
【0009】
本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、以下の添付図面を参照することによって、本件開示の数多な長所をより良好に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2A】本件開示の一つ又は複数の実施形態に係りシンチレータ基板及び導光器を利用している電子ビーム検査システムの概念図である。
【
図2B】本件開示の一つ又は複数の実施形態に係りシンチレータ基板及び導光器を利用している電子ビーム検査システムの概念図である。
【
図3】本件開示の一つ又は複数の実施形態に係りシンチレータ基板及び導光器を利用している電子ビーム検査システムの概念図である。
【
図4A】本件開示の一つ又は複数の実施形態に係る電子ビーム検査システムに備わるシンチレータ基板及び標本の模式図である。
【
図4B】本件開示の一つ又は複数の実施形態に係る電子ビーム検査システムに備わるシンチレータ基板及び標本の模式図である。
【
図5A】本件開示の一つ又は複数の実施形態に係るマルチカラム検査システムに備わるシンチレータ基板アレイの模式図である。
【
図5B】本件開示の一つ又は複数の実施形態に係るマルチカラム検査システムの概念図である。
【
図6】本件開示の一つ又は複数の実施形態に係る電子ビーム検査方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に描かれ開示されている主題を詳細に参照する。本件開示が、ある種の実施形態及びその具体的諸特徴との関連で具体的に図示及び記述されている。本願中で説明されている諸実施形態は限定ではなく例証であると捉えられるべきである。いわゆる当業者には直ちに察せられるべきことに、本件開示の神髄及び技術的範囲から離隔することなく形態及び細部に様々な改変及び修正を施すことができる。
【0012】
ある種の従来型電子ビーム検査システムでは、シリコン製検出器を利用し二次及び後方散乱電子が収集される。しかしながら、シリコン製検出器の静電容量によりその検出帯域幅が制限される。加えて、シリコン製検出器では、通常はトランスインピーダンス増幅器が必要であり、それが低信号環境での信号対雑音比(SNR)に顕著に影響することがある。
【0013】
例えば、
図1は電子ビーム検査システム100の概念図である。具体的には、
図1描出の電子ビーム検査システム100により電子ビーム検査システムの例を提供している。ここに、本願での考察によれば、この電子ビーム検査システム100についての短い記述により、本件開示に随伴する長所と比較しうる基準点を提供することができる。
【0014】
電子ビーム検査システム100は、電子源106(エミッタ108を有するそれ)からの一次電子ビームを標本130の表面に差し向けるよう構成された電子光学カラム102を、有するものとすることができる。その電子光学カラム102を、複数個の電子光学素子110を有するものとすることができる。電子光学カラム102に備わるそれら様々な電子光学素子を、真空チャンバ104内に配することができる。
【0015】
それら複数個の電子光学素子110のなかに、これは必須ではないが、一つ又は複数のエクストラクタ112、一つ又は複数のコンデンサレンズ114、一つ又は複数のアライメントデフレクタ116、一つ又は複数のビーム制限アパーチャ118、一つ又は複数の検出器120、一つ又は複数のスキャンデフレクタ122(例.上セットのスキャンデフレクタ124と下セットのスキャンデフレクタ126)、並びに一つ又は複数の対物レンズ128を含めることができる。ここで注記されることに、
図1には具体的な電子光学素子構成を示したが、この図示は単に例証目的で提供されており、本件開示の技術的範囲に対する限定事項としては解されない。
【0016】
検出器120(例.シリコン製検出器)は、その一次電子ビームに応じその標本の表面から発せられた二次及び/又は後方散乱電子を収集するよう構成することができる。本願既注の通り、シリコン製検出器(例.
図1描出の検出器)では、検出帯域幅が制限されることがある。更に、シリコン製検出器を利用する検査システム、例えば
図1描出の電子ビーム検査システム100では、検出器に行き交う電流を増幅するためトランスインピーダンス増幅器(図示せず)が必要になることがある。そうしたトランスインピーダンス増幅器は、通常、電子ビーム検査システム100の真空チャンバ104内に配置しなければならず、それがもとで回路構成部材のアウトガッシングが生じることがある。そして、そのシリコン製検出器からの電気信号を、ディジタル化に先立ち真空チャンバ104外へとかなりの距離に亘り送らねばならず、そのことが無用なクロストーク及び電磁干渉(EMI)問題につながっている。
【0017】
そのため、本件開示の諸実施形態では、上述した従来手法の短所のうち一つ又は複数を取り除くシステム及び方法を目指している。本件開示の諸実施形態では、シンチレータ基板及び導光器を利用し二次及び後方散乱電子を検出する電子ビーム検査システムを目指している。本件開示の付加的諸実施形態では、シンチレータ基板アレイと複数個の導光器とを利用し二次及び後方散乱電子を検出するマルチカラムビーム検査システムを目指している。
【0018】
本願での考察によれば、本件開示の諸実施形態により、帯電粒子(例.電子ビーム)式特性解明システムにおいて用いうる低雑音低プロファイル高速検出器を提供することができる。とりわけ、シンチレータ基板及び導光器による電子検出を可能とすることで、本件開示のシステム及び方法では、上述した従来手法の短所の多くに対処可能としている。
【0019】
図2A及び
図2Bには、本件開示の一つ又は複数の実施形態に係りシンチレータ基板232及び導光器234を利用している電子ビーム検査システム200a,200bの概念的構成が描かれている。
【0020】
諸実施形態によれば、電子ビーム検査システム200a,200bを、電子ビーム源206(エミッタ208を有するそれ)からの一次電子ビームを標本228の表面に差し向けるよう構成された、電子光学カラム202を有するものとすることができる。諸実施形態によれば、電子光学カラム202には、これに限られるものではないがマイクロ電子光学カラム(例.ミニアチュアカラム)、微細電気機械システム(MEMS)カラム、走査型電子顕微法(SEM)カラム等を初め、本件技術分野で既知なあらゆる電子光学カラムが包含されうる。
【0021】
電子光学カラム202は、これに限られるものではないが一つ又は複数のエクストラクタ212、一つ又は複数のコンデンサレンズ214、一つ又は複数のアライメントデフレクタ216、一つ又は複数のビーム制限アパーチャ218、一つ又は複数のスキャンデフレクタ220(例.上セットのスキャンデフレクタ222と下セットのスキャンデフレクタ224)並びに一つ又は複数の対物レンズ226を初め、複数個の電子光学素子210を有するものとすることができる。電子光学カラム202に備わる様々な電子光学素子は、真空チャンバ204内に配することができる。
【0022】
ある種の実施形態によれば、電子ビーム検査システム200a,200bを、シリコン製検出器に代え、1枚又は複数枚のシンチレータ基板232及び一つ又は複数の導光器234が備わる検出アセンブリ230を、有するものとすることができる。諸実施形態では、そのシンチレータ基板232が、一次電子ビーム201に応じ標本250の表面から発せられた二次及び/又は後方散乱電子を収集するよう、構成される。そのシンチレータ基板232を更に、その収集二次/後方散乱電子に応じ光学輻射(例.光)を生成するよう構成することができる。その後段にあり検出アセンブリ230を構成している導光器234を、シンチレータ基板232により生成された光学輻射を受光しその光学輻射を一つ又は複数の検出器(
図2A及び
図2Bには示さず)に差し向けるよう、構成することができる。諸実施形態によれば、その導光器234を、真空チャンバ204内に配された一つ又は複数の真空フィードスルーポート236を介し検出器へと、シンチレータ基板232により生成された光学輻射を送るように、構成することができる。
【0023】
本願での考察によれば、
図2A及び
図2B描出の電子ビーム検査システム200a,200bにより、二次及び/又は後方散乱電子の低雑音低プロファイル高速検出を行うことができる。高速シンチレータ基板232と導光器234とを利用することで、二次電子及び後方散乱電子に由来する信号を、低損失、高利得(例.1M倍)及び低付加雑音で以て真空チャンバ204外に送り検出器(例.光電子増倍管(PMT))に届けることができる。更に、高速シンチレータ基板232と導光器234とを利用することで、検出アセンブリ230を薄くしカラム長を短くする(例.低プロファイルにする)ことができる。この場合、カラム長を75mm未満とすることができる。
【0024】
本願での更なる考察によれば、
図2A及び
図2B描出の電子ビーム検査システム200a,200bにより、
図1描出の電子ビーム検査システム100の一つ又は複数の短所を取り除くことができる。とりわけ、電子ビーム検査システム200に備わる検出器を、その電子ビーム検査システム100の真空チャンバ104内ではなく真空チャンバ204外に実装することができる。検出器を真空チャンバ204外に実装可能とすることで、空間的制約が緩和されると共に、真空コンパチブル素材の必要性を排することができる。加えて、(
図1中の電気信号伝達ではなく)
図2A及び
図2B中の光伝送により、雑音及びクロストークを減らすことができる。更に、
図2A及び
図2B描出の電子ビーム検査システム200a,200bでは、真空チャンバ204内に増幅器を配する必要性が解消されているため、潜在的に不要なアウトガッシング効果を排することができる。
【0025】
図2Aでは検出器アセンブリ230(シンチレータ基板232及び導光器234)がカラム半ばの位置に示されているが、本願中に別様の注記がない限り、これを本件開示の限定事項と見なすべきではない。この点に関していえば、検出器アセンブリ230を、電子光学カラム202内にあり本件技術分野で既知な何れの位置に配置してもよい。例えば、本願詳述の通り、検出アセンブリ230に備わるシンチレータ基板232を、電子光学カラム202の光軸の周囲及び/又は近隣に配することができる。また例えば、
図2Bに示す通り、検出器アセンブリ230(シンチレータ基板及び導光器)を真空チャンバ204外且つ電子光学カラム202外のところ(例.電子光学カラム202の下方)に配置してもよい。
【0026】
ここで注記されることに、
図2A及び
図2Bには電子光学素子210の具体的構成を示したが、この図示は単に例証目的で提示されたものであり、本件開示の技術的範囲を限定するものとしては解されない。電子光学素子210は、一次電子ビームを標本の表面に差し向けるのに適する何れの構成でもよい。
【0027】
電子ビーム検査システム200a,200bを、
図3描出の電子検査システム200を参照して更に図示及び記述することができる。
【0028】
図3は、本件開示の一つ又は複数の実施形態に係りシンチレータ基板232及び導光器234を利用している電子ビーム検査システム200の概念図である。ここで注記されることに、
図2A及び
図2B描出の電子ビーム検査システム200a,200bに係る何れの議論も、本願中に別様の注記がない限り、
図3描出の電子ビーム検査システム200に適用されるものと見なすことができる。逆に、
図3描出の電子ビーム検査システム200に係る何れの議論も、本願中に別様の注記がない限り、
図2A及び
図2B描出の電子ビーム検査システム200a,200bに適用されるものと見なすことができる。
【0029】
諸実施形態によれば、電子ビーム検査システム200を、これに限られるものではないが、一つ又は複数の電子ビーム源206と、一つ又は複数の電子光学カラム202と、検出アセンブリ232と、一つ又は複数のプロセッサ244及びメモリ246を有するコントローラ242と、を有するものとすることができる。諸実施形態によれば、その検出アセンブリ230を、これに限られるものではないが1枚又は複数枚のシンチレータ基板232、一つ又は複数の導光器234、並びに一つ又は複数の検出器240を有するものと、することができる。
【0030】
ある実施形態では、電子ビーム検査システム200が、ステージアセンブリ252上に配された標本250を検査及び/又は計測するよう構成される。この場合、その電子ビーム検査システム200を、標本250の画像を1枚又は複数枚獲得するよう構成することができる。ある実施形態では、電子ビーム源206が、1本又は複数本の一次電子ビーム201を生成しその1本又は複数本の一次電子ビーム201を標本250に差し向けるよう構成される。電子ビーム源206には、これに限られるものではないが電子銃、フォトカソード式電子ビーム源等を初め、本件技術分野で既知なあらゆる電子ビーム源が包含されうる。とはいえ、ここで更に注記されることに、本件開示の諸実施形態は電子ビーム及び電子ビーム源以外の脈絡にて実施することもできる。その際に、そのシステム200を、これに限られるものではないがイオン銃、カソード式ビーム源、エミッタチップ、アノード等を初め、本件技術分野で既知な何れの種類の粒子ビーム源を有するものともすることができる。
【0031】
諸実施形態によれば、電子光学カラム202を、1本又は複数本の一次電子ビーム201を受光しその1本又は複数本の一次電子ビーム201を標本250に集束させ及び/又は差し向けるよう構成された、一つ又は複数の電子光学素子254を有するものとすることができる。その一つ又は複数の電子光学素子254には、これに限られるものではないがエクストラクタ、ビーム制限アパーチャ、デフレクタ、電子光学レンズ、コンデンサレンズ(例.磁気コンデンサレンズ)、対物レンズ(例.磁気コンデンサレンズ)等を初め、本件技術分野で既知なあらゆる電子光学素子を含めることができる。また例えば、電子ビーム検査システム200(例.電子光学素子254)を、これに限られるものではないが、標本250の表面に対する1本又は複数本の一次電子ビーム201の位置を制御するのに適した一つ又は複数の電磁走査コイル又は静電デフレクタを初め、一つ又は複数の電子ビーム走査素子を有するものとすることができる。更に、その一つ又は複数の走査素子を、指定パターンに従い1本又は複数本の一次電子ビーム201で標本250を走査するのに、利用することができる。
【0032】
諸実施形態では、電子ビーム源206及び/又は電子光学カラム202(例.電子光学素子254)が、一つ又は複数のシールド256を通じ標本250の表面へと1本又は複数本の一次電子ビーム201を差し向けるよう構成される。標本250には、これに限られるものではないがウェハ、レティクル、フォトマスク等を初め、本件技術分野で既知なあらゆる標本が包含されうる。ある実施形態では、標本250の運動を容易化すべく標本250がステージアセンブリ252上に配される。また、ある実施形態ではそのステージアセンブリ252が可駆動ステージとされる。例えば、そのステージアセンブリ252を、これに限られるものではないが、一つ又は複数の直線方向(例.x方向、y方向及び/又はz方向)に沿い標本250を選択的に並進させるのに適した、一つ又は複数の並進ステージを有するものとすることができる。また例えば、そのステージアセンブリ252を、これに限られるものではないが、ある回動方向に沿い標本250を選択的に回動させるのに適した、一つ又は複数の回動ステージを有するものとすることができる。また例えば、そのステージアセンブリ252を、これに限られるものではないが、回動方向に沿い標本250を選択的に回動させ及び/又は直線方向に沿い標本250を選択的に並進させるのに適した、回動ステージ及び並進ステージを有するものとすることができる。ここで注記されることに、電子ビーム検査システム200を本件技術分野で既知な何れの走査モードで動作させてもよい。
【0033】
諸実施形態では、電子光学検査システム200が、1本又は複数本の一次電子ビーム201に応じ標本250の表面から発せられた二次及び/又は後方散乱電子203(以下単純化のため「二次電子203」と呼ぶ)を収集するよう構成された、検出アセンブリ230を有するものとされる。諸実施形態によれば、その検出アセンブリ230を、これに限られるものではないが1枚又は複数枚のシンチレータ基板232、一つ又は複数の導光器234及び一つ又は複数の検出器240を有するものと、することができる。
【0034】
諸実施形態では、シンチレータ基板232が、一次電子ビーム201に応じ標本250の表面から発せられた二次電子203を収集するよう構成される。そのシンチレータ基板232を更に、その収集二次電子203に応じ光学輻射(例.光)を生成するよう、構成することができる。シンチレータ基板232は、これに限られるものではないがサファイア基板、ガラス基板等を初め、本件技術分野で既知なあらゆるシンチレータ素材から作成することができる。シンチレータ基板232は、そのシンチレータ基板232の素材次第で様々な厚みを呈しうる。例えば、シンチレータ基板232を、約0.4mm~0.5mmの厚み(例.
図3に示されているところの高さ)を呈するものとすることができる。ある種の実施形態によれば、電子光学カラム202を、標本250の表面から発せられた二次電子203を収集しシンチレータ基板232に差し向け/集束させるよう構成された、一つ又は複数の電子光学素子254を有するものとすることができる。
【0035】
その後段にあり検出アセンブリ230を構成している導光器234を、シンチレータ基板232により生成された光学輻射を受光しその光学輻射を一つ又は複数の検出器240に差し向けるよう、構成することができる。本願既注の通り、本件開示の諸実施形態によれば、電子ビーム検査システム200に備わる様々な部材(例.電子ビーム源206、シンチレータ基板232、導光器234)を真空チャンバ204内に配しつつ、検出器240を電子ビーム検査システム200の真空チャンバ204外に配置可能とすることができる。その際に、ある種の実施形態によれば、導光器234を、真空チャンバ204内に配された一つ又は複数の真空フィードスルーポート236を通じ検出器240へと、シンチレータ基板232により生成された光学輻射を伝えるように、構成することができる。
【0036】
本願での考察によれば、導光器234を、1枚又は複数枚のシンチレータ基板232により生成された光学輻射(例.光)を収集して差し向けるよう構成されており本件技術分野で既知な、何れの光学部材を有するものともすることができる。例えば、導光器234を、1本又は複数本の光ファイバを有するものとすることができる。一例としては、導光器234を、光ファイバ束を有するものとすることができる。また例えば、導光器234を、固体導光素材(例.ライトチューブ、光導波路等)を有するものとすることができる。
【0037】
また、ある実施形態では、検出アセンブリ230が、光を収集し検出器240に差し向ける(例.結合させる)よう構成された、一つ又は複数の反射面及び/又は屈折面を有するものとされる。例えば、検出アセンブリ230に備わる導光器234を、シンチレータ基板232の表面に対しある角度をなすよう構成された反射面238を有するものとし、その反射面238を、そのシンチレータ基板232からの光学輻射(光)を検出器240に差し向けるよう構成することができる。例えば、その反射面238を、35~55度の角度をなすよう構成することができる。その反射面238を鏡面、金属被覆処置面等とすることができる。例えば、その反射面238がアルミニウム被覆を有していてもよい。また例えば、導光器234の一端又は複数端が、そのシンチレータ基板232の表面に対しある角度をなすよう構成された反射面238を有していてもよい。
【0038】
ある種の実施形態によれば、その検出アセンブリ230を更に、真空チャンバ204外との光学輻射の結合を容易に行えるよう構成された、一つ又は複数の屈折率整合素材を有するものとすることができる。例えば、その検出アセンブリ230を、シンチレータ基板232により生成された光学輻射の収集及び伝達を容易化すべくシンチレータ基板232と一つ又は複数の導光器234との界面に配された、一つ又は複数の屈折率整合素材を有するものとすることができる。
【0039】
付加的及び/又は代替的諸実施形態によれば、その検出アセンブリ230を更に、シンチレータ基板232からの光学輻射の伝達が容易化されるよう構成された、一つ又は複数のマイクロ光学素子を有するものとすることができる。例えば、その検出アセンブリ230を、シンチレータ基板232により生成された光学輻射のうち少なくとも一部分を導光器234のうち少なくとも一部分に集束させるよう構成された、一つ又は複数のマイクロ光学素子を有するものとすることができる。例えば、光ファイバ束の場合、マイクロ光学素子を用いることで、シンチレータ基板232の特定個所にて生成された光学輻射の諸部分を、その光ファイバ束を構成している特定の光ファイバへと、集束させることができる。この例におけるマイクロ光学素子は、シンチレータ基板232と導光器234(例.そのシンチレータ基板232の表面上に配されているそれ)との間に配することができる。ここで注記されることに、検出アセンブリ230内にマイクロ光学素子を付加することで、一つ又は複数の検出器240上での生成光学輻射の空間分解能を、改善することができる。その一つ又は複数のマイクロ光学素子のなかに、これに限られるものではないがレンズ、鏡、プリズム、ビームスプリッタ等を初め、本件技術分野で既知なあらゆるマイクロ光学素子を含めることができる。例えば、その一つ又は複数のマイクロ光学素子のなかに、これに限られるものではないがマイクロレンズアレイ、一つ又は複数の回折性光学素子(DOE)、一つ又は複数の屈折性光学素子(ROE)、一つ又は複数のホモジナイザ等を含めることができる。
【0040】
諸実施形態によれば、一つ又は複数の検出器240を、導光器234により伝達された光学輻射(例.光)を受光するよう、構成することができる。その検出器240には、これに限られるものではないがマルチチャネル又はシングルチャネル検出器を初め、シンチレータ基板232により生成された光学輻射を検出するよう構成されており本件技術分野で既知なあらゆる検出器が包含されうる。例えば、検出器240には、これに限られるものではないが、電荷結合デバイス(CCD)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)デバイス、光電子増倍管(PMT)、フォトダイオードアレイ、アバランシェフォトダイオード検出器(APD)、イメージングデバイス等が包含されうる。諸実施形態では、検出器240が、光学輻射を受光しその受光光学輻射に基づき信号及び/又は画像を生成するよう、構成される。諸実施形態では、その一つ又は複数の検出器240が、導光器234を介し受光した光学輻射に応じ一つ又は複数の信号(例.検出器信号)及び/又は1枚又は複数枚の画像を生成するよう、構成される。
【0041】
電子ビーム検査システム200は更に、検出器240に可通信結合され及び/又は自電子ビーム検査システム200の様々な構成部材(例.電子ビーム源206、電子光学素子254、ステージアセンブリ252等)に可通信結合された、コントローラ242を有するものとすることができる。そのコントローラ242を、メモリ246内に格納されている一組のプログラム命令を実行するよう構成された一つ又は複数のプロセッサ244を有するものとし、その一組のプログラム命令を、本件開示の様々なステップ/機能をその一つ又は複数のプロセッサ244に実行させるよう構成されたものとすることができる。例えば、そのコントローラ242を、検出器240の出力を分析する(例.画像/検出器信号を分析する)よう構成することができる。また、ある実施形態では、そのコントローラ242が、検出器240から受け取った検出器信号に基づき標本250の一つ又は複数の特性を分析するよう構成される。また、ある実施形態では、そのコントローラ242が、標本250上に焦点を合わせ続けるべく電子ビーム検査システム200の一つ又は複数の特性を修正するよう構成される。例えば、その一つ又は複数のプロセッサ244を、一次電子ビーム201を標本250の表面上に集束させるため、電子ビーム検査システム200に備わる電子ビーム源206及び/又はその他の諸素子の一つ又は複数の特性を調整するよう、構成することができる。また例えば、そのコントローラ242を、1本又は複数本の一次電子ビーム201の位置又はアライメントを独立的に調整しその一次電子ビーム201により標本250上を走査させるため、一つ又は複数の電子光学素子254に印加される一つ又は複数の合焦電圧を調整するよう、構成することができる。
【0042】
付加的諸実施形態によれば、コントローラ242を、受光光学輻射に応じ一つ又は複数の検出器240により生成された検出器信号及び/又は画像を受け取るよう、構成することができる。そのコントローラ242を、受け取った検出器信号及び/又は画像をメモリ246内に格納するよう構成することができる。諸実施形態によれば、そのコントローラ242を更に、受け取った検出器信号及び/又は画像に基づき標本250の一つ又は複数の特性を判別するよう、構成することができる。標本250の特性のうち、検出器240から受け取った信号/画像に基づきコントローラ242により判別可能なものには、これに限られるものではないが、標本250についての計測結果(例.限界寸法(CD)の計測結果)、標本250上における欠陥の存否、欠陥位置、欠陥サイズ等があろう。特性判別結果はメモリ246内に格納することができる。
【0043】
付加的及び/又は代替的諸実施形態によれば、コントローラ242を、標本250の一つ又は複数の判別済特性に基づき一つ又は複数のプロセスツールの一つ又は複数の特性を選択的に調整するよう構成された、一つ又は複数の制御信号を生成するよう、構成することができる。この場合、そのコントローラ242を、上流及び/又は下流側プロセスツールを選択的に調整すべくフィードフォワード又はフィードバックループ内で一つ又は複数の制御信号を生成するよう、構成することができる。プロセスツールのうち、標本250の判別済特性に基づき調整されうるものには、これに限られるものではないがリソグラフィツール、エッチングツール、研磨ツール、堆積ツール等がある。
【0044】
またある実施形態では、
図3に示されている通り、電子ビーム検査システム200が、コントローラ242に可通信結合されたユーザインタフェース248を有するものとされる。また、ある実施形態では、そのユーザインタフェース248が、ユーザ入力デバイス及びディスプレイを有するものとされる。ユーザインタフェース248に備わるユーザ入力デバイスは、ユーザから一つ又は複数の入力コマンドを受け取るよう構成することができ、またその一つ又は複数の入力コマンドを、電子ビーム検査システム200内にデータを入力し及び/又は電子ビーム検査システム200の一つ又は複数の特性を調整するよう構成されたものとすることができる。また、ある実施形態によれば、ユーザインタフェース248に備わるディスプレイを、電子ビーム検査システム200のデータをユーザ向けに表示するよう構成することができる。
【0045】
注記されることに、電子ビーム検査システム200は
図2A、
図2B及び
図3記載の電子光学素子に限定されるものではなく、それら電子光学素子は単に例証目的で提示されたものである。更に注記されることに、電子ビーム検査システム200は、1本又は複数本の一次電子ビーム201を標本250上に差し向け/集束させ、それに応じ発せられた二次及び/又は後方散乱電子203をシンチレータ基板232上に収集してイメージングするのに必要な、何個か及び何種類かの電子光学素子を有するものと、することができる。
【0046】
図4Aは、本件開示の一つ又は複数の実施形態に係る電子ビーム検査システム200に備わるシンチレータ基板232の模式図である。
【0047】
図3を参照し本願既注の通り、電子ビーム源206及び/又は電子光学素子254は、シールド256を通じシンチレータ基板232の能動エリア260へと1本又は複数本の一次電子ビーム201を差し向けるよう、構成することができる。ある種の実施形態によれば、そのシールド256を、(
図3に示す如く)その一次電子ビーム201を伝達させるため、50~100μmオーダの内径258を呈するものとすることができる。シンチレータ基板232の能動エリア260は4~5mmオーダの直径を呈するものとすることができ、デッドエリア262がその能動エリア260外にあってシンチレータ基板232の縁まで延びている。このシンチレータ基板232は、8~9mmオーダの直径を有するものとすることができる。ここで注記されることに、これらの寸法は単なる例示であるので、本件開示の技術的範囲を限定するものとは解されない。寸法は、電子光学カラムの幾何形状及び寸法と整合するよう選択すればよい。
【0048】
図4Bは、本件開示の一つ又は複数の実施形態に係る電子ビーム検査システム200に備わるシンチレータ基板232の模式図である。
【0049】
ある種の実施形態によれば、1枚又は複数枚のシンチレータ基板232を複数個の領域264a~264dに区分することができる。本願での考察によれば、シンチレータ基板232を2個以上の領域に区分することによって、シンチレータ基板232及び/又は検出器240上で高レベルな空間分解能を提供することができる。例えば、
図4Bに示されている通り、そのシンチレータ基板232を4個の個別領域(例.4個の個別象限)、即ち第1領域264a、第2領域264b、第3領域264c及び第4領域264dに区分することができる。本願での考察によれば、シンチレータ基板232の個別領域264a~264dが物理的に相互空間分離されていてもよいし、されていなくてもよい。例えば、シンチレータ基板232が複数個の領域264a~264dへと専ら名目的に区分されていて、そのシンチレータ基板232がなおも単一の凝集連続的シンチレータ基板232を構成しているのでもよい。また例えば、シンチレータ基板232が複数個の領域264a~264dへと物理的及び空間的に区分されていて、そのシンチレータ基板232の各領域264a~264dがあるスペース又はギャップで以て隣の領域264a~264dから分離されているのでもよい。
【0050】
ある種の実施形態によれば、シンチレータ基板232の個別領域264a~264dそれぞれを、個別の導光器を介し単一の検出器240に結合させることができ、またその検出器240を、空間分解が可能でありどの光学輻射がどの個別領域264a~264dに発するものかを判別可能なものとすることができる。従って、本願での認識によれば、1枚又は複数枚のシンチレータ基板232を個別領域264a~264nに区分することによって、そのシンチレータ基板232及び/又は検出器240の空間分解能(例.角度分布)改善が可能となり、またその電子ビーム検査システム200により標本250をより正確に特性解明することが可能となる。
【0051】
図4B中のシンチレータ基板232は4個の個別象限に区分された態で図示及び記述されているが、本願中に別様の注記がない限り、これを本件開示の限定事項として解すべきではない。これに関していえば、シンチレータ基板232は、本件技術分野で既知な何れの個数、形状及び/又は構成の領域264a~264nにも区分することができる。
【0052】
図5Aは、本件開示の一つ又は複数の実施形態に係るマルチカラム検査システム200に備わるシンチレータ基板アレイ268の模式図である。
【0053】
ある種の実施形態によれば、電子ビーム検査システム200のなかに、一次電子ビーム201のアレイを生成するよう構成された、マルチカラム検査システム200を含めることができる。例えば、その電子ビーム検査システム200を、複数個の電子光学カラム202a~202nで以て一次電子ビーム201a~201nのアレイを生成するよう構成された、一つ又は複数の電子ビーム源206を有するものとすることができる。この例では、各電子光学カラム202a~202nを、それら複数本の一次電子ビーム201a~201nのうちある一次電子ビーム201を標本250に差し向けるよう構成することができる。
【0054】
例えば、
図5Aに示されている通り、電子ビーム検査システム200を、4×4アレイの態で配列された複数個の電子光学カラム202a~202nを有するものと、することができる。各電子光学カラム202a~202nを、標本250上にありアレイをなす諸個所/諸位置に一次電子ビーム201a~201nを差し向けるよう、構成することができる。この例によれば、その電子ビーム検査システム200を、複数本の一次電子ビーム201a~201nに応じ標本250上の諸個所のアレイから発せられる二次電子203を収集するよう構成された、シンチレータ基板232a~232nのアレイを有するものと、することができる。この場合、その電子ビーム検査システム200を、マルチカラム構成(例.4×4カラム構成)に従う配列とすることができる。ここで察せられうる通り、その電子ビーム検査システム200に備わる複数個の電子光学カラム202a~202nは、本件技術分野で既知な何れの個数、配列又は構成のカラムを有するものともすることができる。それらカラムの配列は正方アレイ、例えば4×4のそれに限定されない。それらのカラムを、長方形アレイの態(例.x方向沿いとy方向沿いとでカラムの個数が異なるアレイの態)、1ローの態、2ローの態、或いはその他の構成の態で配列してもよい。
【0055】
図5Bは、本件開示の一つ又は複数の実施形態に係るマルチカラム検査システム200におけるシンチレータ基板アレイ268の概念図である。
【0056】
ある種の実施形態によれば、マルチカラム電子ビーム検査システム200の各電子光学カラム202a~202bを、別々な検出アセンブリ230を有するものとすることができる。例えば、
図5Bに示されている通り、その電子ビーム検査システム200を、第1電子光学カラム202a、第2電子光学カラム202b、第3電子光学カラム202c及び第n電子光学カラム202nを有するものと、することができる。各電子光学カラム202a~202nを、一次電子ビーム201a~201nを標本250(及び/又は複数個の標本250a~250n)に差し向けるよう構成することができる。更に、各電子光学カラム202a~202nを、二次電子203を収集するよう構成された個別のシンチレータ基板232a~232nを有するものと、することができる。この例によれば、第1電子光学カラム202aに備わる第1シンチレータ基板232aを第1導光器234a及び第1検出器240aに結合させることができる。同様に、第2電子光学カラム202bに備わる第2シンチレータ基板232bを第2導光器234b及び第2検出器240bに結合させることができ、第3電子光学カラム202cに備わる第3シンチレータ基板232cを第3導光器234c及び第3検出器240cに結合させることができ、そして第n電子光学カラム202nに備わる第nシンチレータ基板232nを第n導光器234n及び第n検出器240nに結合させることができる。
【0057】
ある種の実施形態では、
図5A及び
図5B記載のシンチレータ基板232のうち1枚又は複数枚が、
図4Bに示されている通り2個以上のセグメントへとセグメント化される。ここに、
図4Bに示したシンチレータ基板232のセグメント化に関する議論が、
図5A及び
図5Bの諸実施形態に敷衍されるものと解されるべきである。
図5A及び
図5B記載のアレイ268内にセグメント化基板232が組み込まれている場合、それらセグメント化シンチレータ基板232の各領域を、別々の導光器234を介し、一つ又は複数の検出器240に光学結合させることができる。この構成によれば、そのシンチレータ基板232の様々な領域を検出器アレイに光学結合させることができる。例えば、
図4B描出のシンチレータ基板232及び
図5A及び
図5B中のシンチレータ基板アレイ268に関していえば、そのシンチレータ基板232の第1領域264aを、第1導光器234aを介し第1検出器240aに結合させることができる。同様に、そのシンチレータ基板232の第2領域264bを、第2導光器234bを介し第2検出器240bに結合させることができ、そのシンチレータ基板232の第3領域264cを、第3導光器234cを介し第3検出器240cに結合させることができ、そしてそのシンチレータ基板232の第4領域264dを、第4導光器234dを介し第4検出器240dに結合させることができる。この例によれば、個別導光器234a~234nそれぞれを、個別領域264a~264dそれぞれにより生成された光学輻射をそれに対応する導光器へと集束させるよう構成された、別々の組のマイクロ光学素子(例.第1組のマイクロ光学素子、第2組のマイクロ光学素子、第3組のマイクロ光学素子及び第4組のマイクロ光学素子)を有するものと、することができる。
【0058】
また例えば、そのシンチレータ基板232の個別領域264a~264dそれぞれを、個別導光器を介し単一の検出器240に結合させることができ、またその検出器240を、空間分解が可能でありどの光学輻射がどの個別領域264a~264dに発するものかを判別可能なものとすることができる。従って、本願での認識によれば、1枚又は複数枚のシンチレータ基板232を個別領域264a~264nに区分することによって、そのシンチレータ基板232及び/又は検出器240の空間分解能(例.角度分布)改善が可能となり、またその電子ビーム検査システム200により標本250をより正確に特性解明することが可能となる。
【0059】
ここで注記されることに、電子ビーム検査システム200に備わる一つ又は複数の部材を、電子ビーム検査システム200に備わる様々な他部材に、本件技術分野で既知な何れの要領で可通信結合させてもよい。例えば、一つ又は複数のプロセッサ244を互いに、また電子ビーム検査システム200の他の諸部材に対し、有線接続(例.銅線、光ファイバケーブル等)や無線接続(例.RF結合、IR結合、データ網通信、WiFi(登録商標)、WiMax(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、3G、4G、4G LTE、5G等)を介し可通信結合させてもよい。
【0060】
ある実施形態によれば、一つ又は複数のプロセッサ244のなかに、本件技術分野で既知なあらゆる一つ又は複数の処理素子を含めることができる。その意味で、この一つ又は複数のプロセッサ244のなかに、ソフトウェアアルゴリズム及び/又は命令群を実行するよう構成されたあらゆるマイクロプロセッサ型デバイスを含めることができる。ある実施形態によれば、その一つ又は複数のプロセッサ244を、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサその他のコンピュータシステム(例.ネットワーク接続されたコンピュータ)であり、本件開示の随所に記載の如く電子ビーム検査システム200を動作させるよう構成されているプログラムを実行するよう構成されたもので、構成することができる。認識されるべきことに、本件開示の随所に記載の諸ステップを、単一のコンピュータシステムにより実行してもよいし、それに代え複数個のコンピュータシステムにより実行してもよい。一般に、語「プロセッサ」は、メモリ246から得たプログラム命令を実行する処理素子を一つ又は複数有するデバイス全てが包括されるよう、広義に定義することができる。更に、電子ビーム検査システム200に備わる別々なサブシステム(例.電子ビーム源206、電子光学カラム202、検出器240、コントローラ242、ユーザインタフェース248)に、本件開示の随所に記載の諸ステップのうち少なくとも一部分を実行するのに適したプロセッサ又は論理素子を組み込んでもよい。従って、上掲の記述は、本件開示に対する限定事項としてではなく単に例証として解されるべきである。
【0061】
メモリ246には、連携している一つ又は複数のプロセッサ244により実行可能なプログラム命令群及び/又は検出器240から受け取った画像を格納するのに適し本件技術分野で既知な、あらゆる格納媒体が包含されうる。例えば、そのメモリ246のなかに非一時的記憶媒体が包含されうる。例えば、そのメモリ246のなかに、これに限られるものではないがリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気又は光学記憶デバイス(例.ディスク)、磁気テープ、固体ドライブ等が包含されうる。更に注記されることに、メモリ246を、一つ又は複数のプロセッサ244と共に共通コントローラハウジング内に収容することができる。ある代替的実施形態によれば、そのメモリ246を、プロセッサ244、コントローラ242等の物理的居所に対し遠隔配置することができる。また、ある実施形態では、本件開示の随所に記載されている様々なステップを一つ又は複数のプロセッサ244に実行させるためのプログラム命令群が、そのメモリ246により保持される。
【0062】
ある実施形態ではユーザインタフェース248がコントローラ242に可通信結合される。ある実施形態によれば、そのユーザインタフェース248のなかに、これに限られるものではないが1台又は複数台のデスクトップ、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチ(登録商標)等を含めることができる。また、ある実施形態では、そのユーザインタフェース248がディスプレイを有するものとされ、それを用い電子ビーム検査システム200のデータがユーザ向けに表示される。ユーザインタフェース248のディスプレイには本件技術分野で既知なあらゆるディスプレイが包含されうる。例えば、そのディスプレイのなかに、これに限られるものではないが液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)式ディスプレイ又はCRTディスプレイが包含されうる。いわゆる当業者には認識されるべきことに、ユーザインタフェース248との統合が可能なディスプレイデバイスは皆、本件開示における実装に適している。また、ある実施形態によれば、ユーザが、そのユーザインタフェース248を介しユーザ向けに表示されたデータに応じ選択事項及び/又は命令を入力することができる。
【0063】
図6には、本件開示の一つ又は複数の実施形態に従い電子ビーム検査システム200を動作させる方法600のフローチャートが描かれている。ここで注記されることに、方法600の諸ステップは、電子ビーム検査システム200により全て又は部分的に実行することができる。とはいえ、更なる認識によれば、方法600は電子ビーム検査システム200に限定されるものではなく、付加的又は代替的なシステムレベル実施形態により方法600の諸ステップの全て又は一部を実行してもよい。
【0064】
ステップ602では、電子ビーム源で以て1本又は複数本の一次電子ビームが生成される。例えば、
図3に示されている通り、電子ビーム源206が、1本又は複数本の一次電子ビーム201を生成しその1本又は複数本の一次電子ビーム201を標本250に差し向けるよう構成される。その電子ビーム源206には、これに限られるものではないが電子銃、フォトカソード式電子ビーム源等を初め、本件技術分野で既知なあらゆる電子ビーム源が包含されうる。
【0065】
ステップ604では、その1本又は複数本の一次電子ビームが電子光学カラムで以て標本に差し向けられる。例えば、電子光学カラム202を、その1本又は複数本の一次電子ビーム201を受光しその1本又は複数本の一次電子ビーム201を標本250に差し向けるよう構成された、一つ又は複数の電子光学素子254を有するものとすることができる。その一つ又は複数の電子光学素子254には、これに限られるものではないがエクストラクタ、ビーム制限アパーチャ、デフレクタ、電子光学レンズ、コンデンサレンズ(例.磁気コンデンサレンズ)、対物レンズ(例.磁気コンデンサレンズ)等を初め、本件技術分野で既知なあらゆる電子光学素子が包含されうる。
【0066】
ステップ606では、その1本又は複数本の一次電子ビームに応じその標本から発せられる電子がシンチレータ基板で以て収集される。例えば、そのシンチレータ基板232が、その一次電子ビーム201に応じ標本250の表面から発せられた二次電子203を収集するよう構成される。そのシンチレータ基板232は、これに限られるものではないがサファイア基板、ガラス基板等を初め、本件技術分野で既知なあらゆるシンチレータ素材から作成することができる。
【0067】
ステップ608では、その収集電子に応じそのシンチレータ基板で以て光学輻射が生成される。例えば、そのシンチレータ基板232を更に、その収集二次電子203に応じ光学輻射(例.光)を生成するよう構成することができる。
【0068】
ステップ610では、その光学輻射が反射面を用い導光器に差し向けられる。諸実施形態によれば、検出アセンブリ230を、その光学輻射を導光器234の入射面に差し向けるよう構成された、反射面238を有するものとすることができる。例えば、その反射面238を、シンチレータ基板232の表面に対しある角度(例.35~55度)をなすよう構成することができる。
【0069】
ステップ612では、その光学輻射がその導光器を用い検出器に差し向けられる。諸実施形態では、その検出器240が、その光学輻射に応じ一つ又は複数の信号を生成するよう構成される。例えば、検出アセンブリ230に備わる導光器234を、シンチレータ基板232により生成された光学輻射を受光しその光学輻射を一つ又は複数の検出器240に差し向けるよう、構成することができる。導光器234には、これに限られるものではないが1本又は複数本の光ファイバ、1本又は複数本の光ファイバ束、1本又は複数本のライトチューブ、1本又は複数本の光導波路等を初め、その1枚又は複数枚のシンチレータ基板232により生成された光学輻射(例.光)を収集し差し向けるよう構成されており本件技術分野で既知な、あらゆる光学部材が包含されうる。
【0070】
ステップ614では、その一つ又は複数の信号に基づきその標本の一つ又は複数の特性が判別される。例えば、コントローラ242を更に、受け取った検出器信号及び/又は画像に基づきその標本250の一つ又は複数の特性を判別するよう、構成することができる。標本250の特性のうち、検出器240から受け取った信号/画像に基づきコントローラ242により判別可能なものには、これに限られるものではないが、その標本250についての計測結果(例.限界寸法(CD)の計測結果)、その標本250上における欠陥の存否、欠陥位置、欠陥サイズ等があろう。
【0071】
本願記載の諸部材(例.諸動作)、諸デバイス、諸物体及びそれらに付随する議論は、概念的明瞭性さに資する例として用いられており、様々な構成上の修正が考慮されている。従って、本願にて用いられ説明される具体的な手本及びそれに付随する議論は、想定上、それらのより広範な分類階級を代表するものである。一般に、どのような具体的手本の使用も、想定上、その分類階級の代表するものであり、具体的な諸部材(例.諸動作)、諸デバイス及び諸物体が含まれていないことを限定として捉えるべきではない。
【0072】
本願記載のプロセス及び/又はシステム及び/又はその他のテクノロジを実行・実現可能な手段は種々あるし(例.ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェア)、どの手段が相応しいかはそのプロセス及び/又はシステム及び/又はその他のテクノロジが利用される状況によって変わってくる。例えば、速度及び正確性が肝要であると実施者が判断している場合、その実施者は主としてハードウェア的及び/又はファームウェア的な手段を選択するであろうし、そうではなく柔軟性が肝要である場合は、実施者は主としてソフトウェア的な実現形態を選択するであろうし、その何れでもない場合は、実施者はハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの何らかの組合せを選択するであろう。このように、本願記載のプロセス及び/又はデバイス及び/又はその他のテクノロジを実行・実現可能な潜在的手段が幾通りかあるなか、何れかのものが他のものに比べ本質的に優れているわけではなく、どの手段を利用するかは、その手段が重用される状況や実施者の具体的懸念(例.速度、柔軟性又は予測可能性)といった、変転しうる事項によって左右される選択的事項となっている。
【0073】
以上の記述を提示したのは、いわゆる当業者が、ある具体的な用途及びその諸条件の文脈に従い提示されている通り、本発明を作成及び使用することができるようにするためである。本願で用いられている方向指示語、例えば「頂」、「底」、「上方」、「下方」、「上寄り」、「上向き」、「下寄り」、「下降」及び「下向き」の趣旨は、記述目的で相対位置を提示することにあり、絶対的な基準座標系を指定することを企図していない。様々な修正を記載諸実施形態になしうることはいわゆる当業者にとり明らかであろうし、本願にて規定されている一般的諸原理は他の諸実施形態にも適用することができる。従って、本発明は、想定上、図示及び記述されている具体的諸実施形態に限定されるものではなく、本願開示の諸原理及び新規特徴と符合する最大限の技術的範囲に紐づけされるものである。
【0074】
本願におけるほぼ全ての複数形語及び/又は単数形語の使用に関しては、いわゆる当業者であれば、複数形から単数形へ及び/又は単数形から複数形へと、その文脈及び/又は用途に相応しく読み替えることができる。明瞭さに鑑み、本願では、様々な単数形/複数形読み替えについて明示的に説明していない。
【0075】
本願記載の何れの方法にも、それら方法実施形態の一つ又は複数のステップの結果のメモリ内格納を含めることができる。それら結果には本願記載の諸結果の何れも含まれうるし、その格納が本件技術分野で既知な何れの要領で行われるのでもよい。そのメモリには、本願記載のあらゆるメモリや、本件技術分野にて既知で好適な他のあらゆる格納媒体が包含されうる。結果格納後は、そのメモリ内の諸結果にアクセスし、本願記載の方法又はシステム実施形態のうち何れかで用いること、ユーザへの表示向けにフォーマットすること、別のソフトウェアモジュール、方法又はシステムにて用いること等々ができる。更に、その結果格納が「恒久的」であっても「半恒久的」であっても「一時的」であっても或いは幾ばくかの期間に亘るのでもよい。例えば、そのメモリをランダムアクセスメモリ(RAM)としてもよく、結果がそのメモリ内に必ずしも永久には存在しないのでもよい。
【0076】
更なる考察によれば、上述した方法の各実施形態に、本願記載のあらゆる他方法(群)のあらゆる他ステップ(群)を組み込むことができる。加えて、上述した方法の各実施形態を、本願記載のシステムの何れにより実行してもよい。
【0077】
本願記載の主題は、ときとして、諸部材が他部材内に組み込まれ又は他部材に接続・連結された態を採る。その種の図示構成は単なる例示であり、実のところは、他の多くの構成を実施し同じ機能を実現することが可能である。概念的には、どのような部材配置であれ同じ機能を実現しうる部材配置では、それら部材がその所望機能が実現されるよう有効に「連携」しているのである。従って、本願中の何れの二部材であれ特定機能を実現すべく組み合わされているものは、その所望機能が実現されるよう互いに「連携」していると見なせるのであり、構成や介在部材の如何は問われない。同様に、何れの二部材であれそのように連携しているものはその所望機能を実現すべく互いに「接続・連結され」又は「結合され」ているとも見ることができ、また何れの二部材であれそのように連携させうるものはその所望機能を実現すべく互いに「結合可能」であるとも見ることができる。結合可能、の具体例としては、これに限られないが、部材同士が物理的に嵌合可能であり及び/又は物理的に相互作用すること、及び/又は部材同士が無線的に相互作用可能であり及び/又は無線的に相互作用すること、及び/又は部材同士が論理的に相互作用可能であり及び/又は論理的に相互作用することがある。
【0078】
更に、本発明は別項の特許請求の範囲によって定義される。総じて、本願特に別項の特許請求の範囲(例.別項の特許請求の範囲の本文)にて用いられる語は概ね「開放」語たる趣旨のものである(例.語「~を含んでいる」は「~を含んでいるが~に限られない」、語「~を有している」は「少なくとも~を有している」、語「~を含む」は「~を含むが~に限られない」等々と解されるべきである)。ある具体的個数の請求項内導入要件を意図しているのであれば、その意図がその請求項に明示されるので、そうした要件記載がなければそうした意図がないということである。例えば、理解の助けとして、後掲の添付諸請求項のなかには、導入句「少なくとも1個」及び「一つ又は複数」の使用による請求項内要件の導入が組み込まれているものがある。しかしながら、不定冠詞「a」又は「an」による請求項内導入要件の導入によりその請求項内導入要件を含む個別請求項全てがその構成要件を1個しか含まない発明に限定される、といった含蓄があるかのように、そうした語句の使用を解釈すべきではないし、まさにその請求項に導入句「一つ又は複数」又は「少なくとも1個」と不定冠詞例えば「a」又は「an」が併存している場合でもそう解釈すべきではないし(例えば「a」及び/又は「an」は、通常、「少なくとも1個」又は「一つ又は複数」を意味するものと解されるべきである)、またこれと同じことが定冠詞の使用による請求項内要件の導入に関しても成り立つ。加えて、ある請求項内導入要件につき具体的な個数が明示されている場合でも、通常は、少なくともその明示個数、という意味にその個数記載を解すべきである(例.他の修飾語句を欠く「2個の構成要件」なる抜き身的表現は、通常、少なくとも2個の要件或いは2個以上の要件という意味になる)。更に、「A、B及びCのうち少なくとも1個等々」に類する規約が用いられている例では、総じて、そうした構文の意図が、いわゆる当業者がその規約を理解するであろう感覚に従う(例.「A、B及びCのうち少なくとも一つを有するシステム」には、これに限られるものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A・B双方、A・C双方、B・C双方、及び/又は、A・B・C三者を有するシステム等々が包含されることとなろう)。「A、B又はCのうち少なくとも1個等々」に類する規約が用いられている例では、総じて、そうした構文の意図が、いわゆる当業者がその規約を理解するであろう感覚に従う(例.「A、B又はCのうち少なくとも一つを有するシステム」には、これに限られるものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A・B双方、A・C双方、B・C双方、及び/又は、A・B・C三者を有するシステム等々が包含されることとなろう)。2個以上の代替的な語を提示する分離接続詞及び/又は分離接続句はほぼ全て、明細書、特許請求の範囲及び図面のうちどこにあるのかを問わず、一方の語、何れかの語、或いは双方の語を包含する可能性が考慮されているものと理解されるべきである。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を包含するものと解されよう。
【0079】
本件開示及びそれに付随する長所の多くについては前掲の記述により理解できるであろうし、開示されている主題から離隔することなく或いはその主要な長所全てを損なうことなく諸部材の形態、構成及び配置に様々な改変を施せることも明らかであろう。述べられている形態は単なる説明用のものであり、後掲の特許請求の範囲の意図はそうした改変を包括、包含することにある。更に、本発明を定義しているのは別項の特許請求の範囲である。