(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023819
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ナットウキナーゼを含む経口組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20240214BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240214BHJP
A23L 33/12 20160101ALI20240214BHJP
A61K 38/48 20060101ALI20240214BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240214BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240214BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240214BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20240214BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/105
A23L33/12
A61K38/48 100
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/26
A61K47/46
A61P7/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217033
(22)【出願日】2023-12-22
(62)【分割の表示】P 2019116666の分割
【原出願日】2019-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】荻山 大輝
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、ナットウキナーゼを含む経口組成物において、経時的なナットウキナーゼの活性低下を抑制し、優れた保存安定性を備えさせる技術を提供することである。
【解決手段】ナットウキナーゼと共に、ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及び/又はルチンを含有させた経口組成物では、保存によるナットウキナーゼの活性低下を抑制でき、優れた保存安定性を備え得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ナットウキナーゼ、並びに(B)ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及びルチンよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、経口組成物。
【請求項2】
食品である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
(A)ナットウキナーゼに、(B)ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及びルチンよりなる群から選択される少なくとも1種を共存させる、ナットウキナーゼの活性低下の抑制方法。
【請求項4】
ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及びルチンよりなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする、ナットウキナーゼの活性低下抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナットウキナーゼを含み、保存安定性を向上させた経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
血栓症は、血管内に血栓が形成され、循環系における血流が閉塞する病態であり、脳梗塞、心筋梗塞、肺梗塞等の重篤な疾患を発症させる要因になっていることが知られている。従来、血栓症の予防又は治療には、抗血小板剤、抗血液凝固剤、血栓溶解剤等の薬剤の投与によって、血栓の形成を妨げたり、血栓を溶解させたりする方法が用いられている。しかしながら、このような薬剤は、副作用を伴ったり、医師の管理下での服用が必要であったりするため、簡易且つ日常的に摂取できるものではない。
【0003】
一方、日本の伝統食品の1つである納豆は、血栓溶解活性を有するナットウキナーゼが含まれていることが報告されて以来、納豆の健康食品としての価値が見直されている。しかしながら、納豆は、独特の臭いや粘りがあり、納豆を食さない人も多く存在しているのが実情である。そこで、従来、ナットウキナーゼを容易に摂取できるようにするために、ナットウキナーゼをカプセル剤や錠剤等の食品に製剤化したものが開発されている。このようなナットウキナーゼを含む食品は、医師の管理下での服用を必要とせず、簡易且つ日常的に摂取できるので、セルフメディケーションの上でも有益である。
【0004】
従来、ナットウキナーゼを利用した経口組成物について種々報告されている。例えば、特許文献1には、凍結乾燥した乳発酵産物、ナットウキナーゼ、及び食品に使用可能な担体を含む食品組成物は、摂取し易く、乳発酵産物とナットウキナーゼに由来する有益な健保効果が得られることが報告されている。
【0005】
一方、ナットウキナーゼを含む経口組成物については、フィブリン分解作用の経時的な低下を抑制するために保存安定性を高めることが求められる。しかしながら、従来技術では、ナットウキナーゼを含む経口組成物の保存安定性を向上させる技術については十分な検討はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ナットウキナーゼを含む経口組成物において、経時的なナットウキナーゼの活性低下を抑制し、優れた保存安定性を備えさせる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、ナットウキナーゼと共に、ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及び/又はルチンを含有させた経口組成物では、保存によるナットウキナーゼの活性低下を抑制でき、優れた保存安定性を備え得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0009】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)ナットウキナーゼ、並びに(B)ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及びルチンよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、経口組成物。
項2. 食品である、項1に記載の経口組成物。
項3. (A)ナットウキナーゼに、(B)ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及びルチンよりなる群から選択される少なくとも1種を共存させる、ナットウキナーゼの活性低下の抑制方法。
項4. ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及びルチンよりなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする、ナットウキナーゼの活性低下抑制剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ナットウキナーゼを含む経口組成物において、経時的なナットウキナーゼの活性低下を抑制し、優れた保存安定性を備えさせることができるので、優れたフィブリン分解作用を発揮できる経口組成物を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.経口組成物
本発明の経口組成物は、ナットウキナーゼ((A)成分と表記することもある)、並びにブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及びルチンよりなる群から選択される少なくとも1種((B)成分と表記することもある)を含有することを特徴とする。以下、本発明の経口組成物について詳述する。
【0012】
[(A)ナットウキナーゼ]
本発明の経口組成物はナットウキナーゼを含有する。ナットウキナーゼとは、納豆菌が産生するフィブリン分解作用を有する酵素である。
【0013】
本発明で使用されるナットウキナーゼは、公知の製造方法で得ることができる。ナットウキナーゼの具体的な製造方法としては、納豆菌を培養する方法、ナットウキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ形質転換体から得る方法、化学合成によって合成する方法等が挙げられる。本発明で使用されるナットウキナーゼは、いずれの製造方法で得られたものであってもよいが、製造コストの低減等の観点から、納豆菌を培養する方法で得られたものが好ましい。
【0014】
また、本発明で使用されるナットウキナーゼは、精製品であってもよいが、経口組成物に配合可能であることを限度として、精製されていない状態であってもよい。例えば、納豆菌を培養することにより得られたナットウキナーゼを使用する場合であれば、納豆菌の培養物の抽出物であってもよい。更には、納豆菌の培養物を、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー等に供してナットウキナーゼを精製したものであってもよく、また、納豆菌の培養物を必要に応じて固液分離等の粗精製処理に供した後に、水分の除去又は乾燥させたもの等であってもよい。
【0015】
また、ナットウキナーゼは、賦形剤等を添加した粉末品、粗精製品、精製品等として市販されており、本発明では、ナットウキナーゼとして、これらの市販品を使用することもできる。
【0016】
本発明の経口組成物において、ナットウキナーゼの含有量については、当該経口組成物の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1~60000FU/g、好ましくは200~20000FU/g、より好ましくは300~10000FU/gが挙げられる。なお、本発明において、ナットウキナーゼの活性を示す「FU」は、公益財団法人日本健康・栄養食品協会が2003年1月15日に公示したナットウ菌培養エキス食品の規格基準に従うフィブリン分解活性単位である。
【0017】
[(B)ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及び/又はルチン]
本発明の経口組成物は、ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及び/又はルチンを含有する。これらの成分を含むことにより、経時的なナットウキナーゼの活性低下を抑制でき、優れた保存安定性を備えさせることが可能になる。
【0018】
本発明では、(B)成分として、ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及びルチンの中から、1種を選択して単独で使用してもよく、また、これらの中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
これらの(B)成分の中でも、保存によるナットウキナーゼの活性低下をより一層効果的に抑制するという観点から、好ましくはヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、及びα-リノレン酸、より好ましくは糖転移ヘスペリジン及びα-リノレン酸が挙げられる。
【0020】
以下、(B)成分について、それぞれの成分毎に、構成及び含有量等について説明する。
【0021】
(ブラックジンジャーの抽出物)
ブラックジンジャーの抽出物とは、ブラックジンジャーを抽出原料として抽出処理を行うことにより得られる成分である。ブラックジンジャーとは、黒ショウガとも称されており、ショウガ科バンウコン属の植物(Kaempferia parviflora)である。
【0022】
抽出原料として使用されるブラックジンジャーの抽出対象部位については、特に制限されないが、好ましくは根茎が挙げられる。また、抽出処理に供されるブラックジンジャーの根茎は、抽出効率を高めるために、必要に応じて、乾燥、裁断、粉砕等の処理が施されていてもよい。
【0023】
抽出処理については、植物抽出物の製造に使用される一般的な抽出手法であればよく、例えば、溶媒抽出処理、超臨界抽出処理、水蒸気蒸留処理等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは溶媒抽出処理が挙げられる。
【0024】
溶媒抽出処理で使用される抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール等の低級アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン等の親水性溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。これらの抽出溶媒の中でも、好ましくは水、低級アルコール、及びこれらの混合溶媒、より好ましくは水、エタノール、及びこれらの混合溶媒、更に好ましくは水とエタノールの混合溶媒が挙げられる。水と低級アルコールの混合溶媒において、水と低級アルコールの比率については、特に制限されないが、例えば、低級アルコールの含有量が5~90重量%程度、好ましくは20~80重量%程度、更に好ましくは40~80重量%程度であればよい。
【0025】
溶媒抽出処理は、抽出溶媒中に、ブラックジンジャーの抽出対象部位を浸漬させて、必要に応じて撹拌することによって行えばよく、例えば、ブラックジンジャーの抽出対象部位100g当たり抽出溶媒0.3~20L程度、好ましくは0.5~1.5L程度に浸漬させて、例えば0.5~24時間程度行えばよい。溶媒抽出処理の温度条件としては、特に制限されないが、例えば、40~95℃程度であればよい。
【0026】
抽出処理後に固液分離により固形物を除去することにより、ブラックジンジャーの抽出物(抽出液)が得られる。抽出処理により得られた抽出液は、必要に応じて、濾過処理;ポリスチレンゲル(ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体等)、イオン交換樹脂、活性炭等の担体を充填したカラムを用いた各種クロマトグラフィー等の吸着処理に供して精製処理に供してもよい。また、得られた抽出液は、非濃縮エキスとしてそのまま使用してもよいが、必要に応じて濃縮工程に供して軟エキスとして使用したり、更に乾燥工程に供してエキス末として使用したりしてもよい。
【0027】
本発明の経口組成物において、ブラックジンジャーの抽出物の含有量については、ナットウキナーゼの含有量、当該経口組成物の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、ブラックジンジャーの抽出物の乾燥重量換算で、0.1~75重量%、好ましくは0.1~70重量%、より好ましくは0.2~40重量%、更に好ましくは0.2~10重量%が挙げられる。
【0028】
また、本発明の経口組成物において、ナットウキナーゼとブラックジンジャーの抽出物の比率は、前述する各成分の含有量に応じた範囲内であればよいが、例えば、ナットウキナーゼ100FU当たり、ブラックジンジャーの抽出物が乾燥重量換算で0.25~150mg、好ましくは0.25~100mg、より好ましくは0.5~5mgが挙げられる。
【0029】
(ヘスペリジン・糖転移ヘスペリジン)
ヘスペリジンとは、ヘスペレチンをアグリコンとし、これにルチノースが結合した化合物である。
【0030】
糖転移ヘスペリジンとは、ヘスペリジンのルチノース単位中のグルコース残基に、1個以上のグルコースがα-1,4結合した化合物である。糖転移ヘスペリジンにおいて、ヘスペリジンに付加しているグルコースの数については、特に制限されないが、例えば、1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、更に好ましくは1~3、特に好ましくは1が挙げられる。
【0031】
糖転移ヘスペリジンは、ヘスペリジンにグルコース源の存在下、糖転移酵素を作用させる方法等より得ることができる。グルコース源としては、例えば、アミロース、デキストリン、シクロデキストリン、マルトオリゴ糖、液化澱粉、糊化澱粉等が挙げられる。糖転移酵素としては、例えば、α-グリコシダーゼ(EC 3.2.1.20)、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19)、α-アミラーゼ(EC 3.2.1.1)等を、グルコース源の種類に応じて適宜選択して使用することができる。具体的な製造方法は、例えば、特許第3060227号明細書等に記載されている。また、糖転移ヘスペリジンは、商品名「αGヘスペリジンH」、「αGヘスペリジンPA-T」(以上、東洋精糖社製)等として市販されており、本発明では、糖転移ヘスペリジンは市販品を使用することができる。
【0032】
本発明の経口組成物において、ヘスペリジン及び/又は糖転移ヘスペリジンの含有量については、ナットウキナーゼの含有量、当該経口組成物の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、ヘスペリジン及び/又は糖転移ヘスペリジンの総量で、0.2~75重量%、好ましくは0.2~70重量%、より好ましくは0.2~50重量%、更に好ましくは0.2~10重量%が挙げられる。
【0033】
また、本発明の経口組成物において、ナットウキナーゼとヘスペリジン及び/又は糖転移ヘスペリジンとの比率は、前述する各成分の含有量に応じた範囲内であればよいが、例えば、ナットウキナーゼ100FU当たり、ヘスペリジン及び/又は糖転移ヘスペリジンが総量で0.08~150mg、好ましくは0.1~100mg、より好ましくは0.1~50mgが挙げられる。
【0034】
(α-リノレン酸)
α-リノレン酸は、ω3脂肪酸の一種であり、二重結合数が3の多価不飽和脂肪酸である。
【0035】
本発明では、精製されたα-リノレン酸を使用してもよいが、α-リノレン酸を含む油脂を使用してもよい。例えば、シソ油、アマニ油、エゴマ油、チアシード油、サチャインチ油等の植物油は、α-リノレン酸を豊富に含んでいることが知られており、α-リノレン酸として、これらの植物油を使用してもよい。
【0036】
本発明の経口組成物において、α-リノレン酸の含有量については、ナットウキナーゼの含有量、当該経口組成物の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.05~40重量%、好ましくは0.2~40重量%、より好ましくは0.2~25重量%、更に好ましくは0.2~10重量%が挙げられる。
【0037】
また、本発明の経口組成物において、ナットウキナーゼとα-リノレン酸の比率は、前述する各成分の含有量に応じた範囲内であればよいが、例えば、ナットウキナーゼ100FU当たり、α-リノレン酸が0.0075~85mg、好ましくは0.05~55mg、より好ましくは0.3~50mg、更に好ましくは0.3~28mgが挙げられる。
【0038】
(ルチン)
ルチンとは、ケルセチン配糖体の一種である。本発明では、精製されたルチンを使用してもよいが、ルチンを含有する植物抽出物等を使用してもよい。
【0039】
本発明の経口組成物において、ルチンの含有量については、ナットウキナーゼの含有量、当該経口組成物の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1~50重量%、好ましくは0.2~50重量%、より好ましくは0.2~25重量%が挙げられる。
【0040】
また、本発明の経口組成物において、ナットウキナーゼとルチンの比率は、前述する各成分の含有量に応じた範囲内であればよいが、例えば、ナットウキナーゼ100FU当たり、ルチンが0.05~100mg、好ましくは0.05~75mg、より好ましくは0.05~50mgが挙げられる。
【0041】
[その他の成分]
本発明の経口組成物は、前述する(A)及び(B)成分に加えて、他の栄養成分や薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分や薬理成分としては、食品や内服用医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミン、アミノ酸、ミネラル、糖質、植物性油脂、植物性油脂、脂肪酸、香料、調味剤、植物エキス(ブラックジンジャーの抽出物以外)、抗酸化剤、血糖降下剤、抗コレステロール剤、免疫賦活剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する添分の種類や経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
【0042】
更に、本発明の経口組成物は、所望の製剤形態に調製するために、必要に応じて、前述する(A)及び(B)成分の他に、基剤や添加剤等が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤としては、食品や医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、水、低級アルコール、高級アルコール、水溶性高分子、界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、キレート剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの基剤や添加剤の含有量については、使用する成分の種類や経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
【0043】
[剤型・製剤形態]
本発明の経口組成物の剤型については、経口摂取又は経口投与が可能であることを限度として特に制限されず、固体状、半固体状、又は液体状のいずれであってもよく、該経口組成物の種類や用途に応じて適宜設定すればよい。
【0044】
本発明の経口組成物の製剤形態については、経口摂取又は経口投与が可能であることを限度として特に制限されないが、具体的には、食品及び内服用医薬品が挙げられる。
【0045】
本発明の経口組成物を食品の製剤形態にする場合、前述する(A)~(C)成分を、そのまま又は他の食品素材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような飲食品としては、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品等が挙げられる。これらの飲食品の形態として、特に制限されないが、具体的にはカプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)、錠剤、顆粒剤、粉剤、ゼリー剤等のサプリメント;栄養ドリンク、清涼飲料、炭酸飲料、乳酸飲料等の飲料;グミ、キャンディー等の嗜好品等が例示される。これらの飲食品の中でも、好ましくはサプリメント、より好ましくはカプセル剤、錠剤、顆粒、粉剤、更に好ましくはカプセル剤、特に好ましくは軟カプセル剤が挙げられる。
【0046】
本発明の経口組成物を内服用医薬品の製剤形態にする場合、前述する(A)~(C)成分を、そのまま又は他の添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような内服用の医薬品としては、具体的には、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)、錠剤、顆粒剤、粉剤、ゼリー剤、シロップ剤等が挙げられる。これらの内服用医薬品の中でも、好ましくは、カプセル剤、錠剤、顆粒、粉剤、更に好ましくはカプセル剤、特に好ましくは軟カプセル剤が挙げられる。
【0047】
2.ナットウキナーゼの活性低下の抑制方法・ナットウキナーゼの活性低下抑制剤
本発明のナットウキナーゼの活性低下の抑制方法は、(A)ナットウキナーゼに、(B)ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及びルチンよりなる群から選択される少なくとも1種を共存させることを特徴とする。
【0048】
また、本発明のナットウキナーゼの活性低下抑制剤は、ブラックジンジャーの抽出物、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸、及びルチンよりなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とすることを特徴とする。
【0049】
これらの方法及び剤において、使用される成分の種類や使用量、具体的実施態様等については、前記「1.経口組成物」の欄に記載の通りである。
【実施例0050】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
なお、以下に示す実施例、比較例、及び処方例において、使用した成分の入手元、組成等については、以下の通りである。
ナットウキナーゼ粉末:「納豆菌培養エキスNSK-SD40」(株式会社日本生物.科学研究所製)
ブラックジンジャーの抽出物:「ブラックジンジャー抽出物」(丸善製薬株式会社製)、ブラックジンジャーの根茎をエタノール水溶液で抽出処理した抽出物の乾燥粉末
糖転移ヘスペリジン:「αGヘスペリジンPA-T」(東洋精糖株式会社製)、ヘスペリジンにグルコースを転移させた酵素処理ヘスペリジン
α-リノレン酸含有植物油:「シソ油」(オリザ油化株式会社製)、α-リノレン酸を55重量%含有
ルチン:「αGルチンP」(東洋精糖株式会社製)
【0052】
試験例1
表1に示す組成の経口組成物を調製した。得られた各経口組成物20gを透明ガラス瓶(直径30mm、高さ65mm;マルエム製スクリュー管No.6)に充填し、遮光条件下で40℃又は50℃で7日間保存した。保存後の各経口組成物について、以下の方法でゼラチン分解能を指標としてナットウキナーゼ活性を測定した。
【0053】
20重量%のゼラチンを溶解させた水溶液(0.2重量%メチルパラベン含有)を用いて形成したゼラチン皮膜(厚さ3mm、面積約57cm2)を準備した。ゼラチン皮膜の上に、保存後の各経口組成物0.3mlを添加し、25℃で12時間静置した。その後、経口組成物を添加した部分のゼラチン皮膜の状態を観察し、以下の判定基準に従って、ナットウキナーゼ活性を評価した。
<ナットウキナーゼ活性の判定基準>
5:ゼラチン皮膜が底まで完全に溶解している(深さ3mmまで溶解)。
4:ゼラチン皮膜が殆ど底まで溶解している(深さ2.5mm以上3mm未満まで溶解)。
3:ゼラチン皮膜が半分位の深さまで溶解している(深さ1.5mm以上2.5mm未満まで溶解)。
2:ゼラチン皮膜が少し溶解している(深さ0.5mm以上1.5mm未満まで溶解)。1:ゼラチン皮膜がややへこむ程度溶解している(深さ0.5mm未満まで溶解)。
0:ゼラチン皮膜は溶解していない。
【0054】
得られた結果を表1に示す。ナットウキナーゼ単独の場合には、保存後に活性が著しく低下していた(比較例1)。これに対して、ナットウキナーゼと共に、ブラックジンジャーの抽出物、糖転移ヘスペリジン、α-リノレン酸含有植物油、又はルチンを含む場合には、保存によるナットウキナーゼの活性低下を効果的に抑制でき、高い保存安定性が認められた(実施例1~7)。
【0055】
【0056】
処方例
表2~5に示す組成の内容液、及び表6に示す組成の剤皮(カプセル皮膜)を用いて、ソフトカプセル剤(1剤当り、内容液300mg又は400mg、剤皮150mg含有)を製造した。得られたソフトカプセル剤は、保存によるナットウキナーゼの活性低下を効果的に抑制できていた。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】