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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023822
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】通信装置、および通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/0806 20220101AFI20240214BHJP
   H04L 69/321 20220101ALI20240214BHJP
   H04L 41/12 20220101ALI20240214BHJP
【FI】
H04L41/0806
H04L69/321
H04L41/12
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217355
(22)【出願日】2023-12-22
(62)【分割の表示】P 2022532232の分割
【原出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 秀
(72)【発明者】
【氏名】横井 俊宏
(57)【要約】
【課題】イーサネット転送装置間に伝送装置が存在し、イーサネット転送装置と伝送装置の設定の整合性がずれた場合でも、正常に機能し続けること。
【解決手段】光伝送システムSは、光伝送路部5を介して接続され、所定のODU規格によって疎通している第1および第2の光送受信部21と、第1の光送受信部に隣接して接続された第1のイーサネット転送部4と、第2の光送受信部に隣接して接続された第2のイーサネット転送部4と、を備え、第1および前記第2のイーサネット転送部4は、所定のODU規格からイーサネット規格を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送路部を介して接続され、所定のODU規格によって疎通している第1および第2の光送受信部と、
前記第1の光送受信部に隣接して接続された第1のイーサネット転送部と、
前記第2の光送受信部に隣接して接続された第2のイーサネット転送部と、を備え、
前記第1および前記第2のイーサネット転送部は、前記所定のODU規格からイーサネット規格を決定する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
光伝送路部を介して対向光送受信部と接続されて光レイヤで通信する光送受信部と、
前記光送受信部に隣接し、対向イーサネット転送部とイーサネットレイヤで通信するイーサネット転送部と、を備えた通信装置であって、
前記イーサネット転送部は、自身が対応する通信規格リストと前記対向イーサネット転送部が対応する通信規格リストとから自身に設定するイーサネットレイヤの通信規格を決定し、
前記光送受信部は、イーサネットレイヤの通信規格から自身に設定する通信規格を自律的に決定する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
コンピュータに、
光伝送路部を介して接続された第1および第2の光送受信部の情報、および、これらに隣接する第1および第2のイーサネット転送部のMAC情報とから前記第1および前記第2の光送受信部が対向することを特定する手順、
前記第1および前記第2の光送受信部間を疎通させる手順、
を実行させるための通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、および通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のネットワーク機器の機能分離進展に伴い、ルータのスイッチファブリック化や光伝送装置からのトランスポンダ分離が検討されている。転送装置に光伝送用光モジュールを搭載したIP(Internet Protocol)光統合装置が開発されている他、IP光統合装置を組み込んだスイッチファブリックの検討もされている。
【0003】
イーサネット転送と光伝送のエンドツーエンドでの設定も検討されており、多様なレートのイーサネット(登録商標)クライアントやMACクライアントを柔軟に収容するFlexイーサネットが、非特許文献1に記載されている。また、多様なクライアント信号を収容するOTN(Optical Transport Network)が非特許文献2に規定されている。なお、これ以降の「イーサネット」と図面の記載では、登録商標である旨の括弧書きを省略する。
【0004】
接続された隣接機器で、お互いの情報を交換するプロトコルとして、非特許文献3にLLDP(Link Layer Discovery Protocol)が規定されている。
2つのネットワーク装置の間で、通信速度、通信モード、フロー制御などの伝送パラメータの情報を交換し、最適なものを選択する機能として、非特許文献4にオートネゴシエーションが規定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“OIF, Flex Ethernet 2.0 Implementation Agreement”, インターネット<URL:https://www.oiforum.com/wp-content/uploads/2019/01/OIF-FLEXE-02.0-1.pdf>
【非特許文献2】「JT-G709 光伝送網のインタフェース」, インターネット<URL:https://www.ttc.or.jp/application/files/4615/5425/1895/JT-G709v2.1.pdf>
【非特許文献3】“IEEE, 802.1AB-REV - Station and Media Access Control Connectivity Discovery”, インターネット<URL:http://www.ieee802.org/1/pages/802.1AB-rev.html>
【非特許文献4】“IEEE Standard for Ethernet," in IEEE Std 802.3-2018 (Revision of IEEE Std 802.3-2015) , pp.1-5600, 31 Aug. 2018", インターネット<URL:https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=8457469>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、転送装置に光伝送用光モジュールを搭載したIP光統合装置が開発され、転送と伝送のネットワーク設計・設定を統合する検討がされている。
転送ネットワークと伝送ネットワークの接続点において、密に関連しているのが、双方の経路情報と帯域情報であり、両者の設定を調整して正しい接続先に正しい帯域で設定する必要がある。
【0007】
LLDPやオートネゴシエーションを利用したイーサネットで対向情報取得や帯域の決定をするプロトコルは存在するが、伝送ネットワークとはネゴシエートできない。そのため、転送装置間に伝送装置がある場合、イーサネット信号をOTNフレームにマッピングする必要があり、転送装置間と伝送装置間でネゴシエートしないと疎通しない。
【0008】
IPネットワークと伝送ネットワークの接続点についてはそれぞれ独立したオペレーションにより決定しており、両者間での調整が求められ、IPと転送間の設定の運用は複雑かつ柔軟性の阻害要因となっている。IP光統合装置では設定インタフェースモデルは独立に定義されているため、運用にはそれぞれ異なるスキルが求められ、オペレーションが複雑化する
更にイーサネット転送装置間で自律的に設定する通信方式は、間に伝送装置が存在することで、伝送装置との設定の整合性がずれると信号断が発生し、正常に機能しなくなる。
【0009】
そこで、本発明は、イーサネット転送装置間に伝送装置が存在し、イーサネット転送装置と伝送装置の設定の整合性がずれた場合でも、正常に機能し続けることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明では、光伝送路部を介して接続され、所定のODU規格によって疎通している第1および第2の光送受信部と、前記第1の光送受信部に隣接して接続された第1のイーサネット転送部と、前記第2の光送受信部に隣接して接続された第2のイーサネット転送部と、を備え、前記第1および前記第2のイーサネット転送部は、前記所定のODU規格からイーサネット規格を決定する、ことを特徴とする通信システムとした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、イーサネット転送装置間に伝送装置が存在する場合、伝送装置との設定の整合性がずれても、人間によるオペレーション無しに正常に機能し続けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る光伝送システムの構成図である。
図2】第1の実施形態における疑似ネゴシエーション処理のフローチャートである。
図3】光送受信部の設定処理のフローチャートである。
図4】疑似ネゴシエーションのシーケンス図である。
図5】第2の実施形態のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る光伝送システムSの構成図である。図1に示す光伝送システムSは、第1および第2の実施形態に共通するものである。
【0014】
光伝送システムSは、光伝送制御部1と、光伝送路部5と、光伝送路部5を介して接続された光送受信部21と光送受信部3とを含んで構成される。これらのうち光送受信部21は、第1の光送受信部であり、IP光統合装置2の一部である。光送受信部3は、第2の光送受信部であり、独立した装置である。光伝送システムSは、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルのL2(Layer2)以上の信号を伝送するためL1(Layer1)以下の信号を取り扱う通信システムである。
光伝送路部5は、光伝送システムSにおける光送受信部3,21を除く機能部群である。
【0015】
イーサネット転送部22は、IP光統合装置2の一部であり、かつ光送受信部21と隣接してて接続された第1のイーサネット転送部である。このイーサネット転送部22は、不図示の外部装置と光送受信部21との間で相互にイーサネット信号を転送する機能を有している。イーサネット転送部22内のデータベース221は、インタフェース帯域と、このインタフェース帯域に対応しているイーサネット規格リストと、イーサネット転送部22の隣接装置情報とを格納する記憶部である。
【0016】
光送受信部21は、イーサネット転送部22からイーサネット信号を受信し、OTNフレームに格納して光信号として送信する。光送受信部21は更に、光信号を受信し、光信号に含まれるOTNフレームからイーサネット信号を取り出し、イーサネット転送部22に送信する。光送受信部21は、OTNフレーム伝送方式決定部211とデータベース212を含んで構成される。
【0017】
OTNフレーム伝送方式決定部211は、ODU(Optical channel Data Unit)、OPU(Optical channel Payload Unit)、OTU(Optical channel Transport Unit)フレームや伝送方式を自律的に決定する。
【0018】
光送受信部21内のデータベース212は、設定可能な変調方式・変調速度・OTNフレームの前方誤り訂正方式、光送受信部21の隣接装置を格納する機能部である。
【0019】
光送受信部3は、OTNフレーム伝送方式決定部31とデータベース32を含んで構成される。光送受信部3は、前記した光送受信部21と同様の機能を有する第2の光送受信部である。OTNフレーム伝送方式決定部31は、前記したOTNフレーム伝送方式決定部211と同様の機能を有している。データベース32には、前記したデータベース212と同様の情報が格納されている。
【0020】
イーサネット転送部4は、独立した装置であり、かつ光送受信部3と隣接してて接続された第2のイーサネット転送部である。このイーサネット転送部4は、不図示の外部装置と光送受信部3との間で相互にイーサネット信号を転送する機能を有している。イーサネット転送部4内のデータベース41は、インタフェース帯域と、このインタフェース帯域に対応しているイーサネット規格リストと、イーサネット転送部4の隣接装置情報とを格納する記憶部である。
【0021】
光伝送制御部1は、光送受信部21から光送受信部21とイーサネット転送部22の接続関係を取得し、光送受信部3から光送受信部3とイーサネット転送部4の接続関係を取得する。光伝送制御部1は、イーサネット転送部22の隣接装置情報から光送受信部21の隣接装置情報を特定するか、またはイーサネット転送部4の隣接装置情報から光送受信部21の隣接装置情報を特定する。つまり光伝送制御部1は、これらの情報から、光送受信部21と光送受信部3とが対向することを特定する。そして光伝送制御部1は、光送受信部3,21間で信号が疎通するように設定する。
【0022】
光伝送制御部1内のデータベース11は、光送受信部21とイーサネット転送部22の接続関係、光送受信部3とイーサネット転送部4の接続関係、光伝送システムSのトポロジー、その他、光伝送システムSの設定に必要な情報を格納する。
【0023】
なお、図1に示すように、イーサネット転送部22と光送受信部21のように、ひとつの装置として構成してもよい。イーサネット転送部4と光送受信部3のように、別々の装置としてもよい。
【0024】
《各種パラメータ情報交換・調整方式》
《拡張LLDP》
イーサネット転送部22と光送受信部21間や、イーサネット転送部4と光送受信部3間で、下記に示すような情報の送受信を行う。
【0025】
光送受信部21は、接続されているイーサネット転送部22から、このイーサネット転送部22のインタフェース情報と、イーサネット転送装置としての隣接装置情報と、対応しているイーサネットの規格リストを受信する。ここで、イーサネット転送装置としての隣接装置情報とは、イーサネット転送部22の対向装置の情報のことであり、イーサネット転送部4のMACアドレス情報のことをいう。光送受信部3も、接続されているイーサネット転送部4から同様な情報を受信する。
【0026】
イーサネット転送部22は、接続されている光送受信部21から、伝送装置としての隣接装置情報と、ODUフレームフォーマット規格とを受信する。イーサネット転送部4も、接続されている光送受信部3から同様な情報を受信する。
【0027】
《疑似オートネゴシエーション》
イーサネット転送部22と接続された光送受信部21は、OTUのGCC(General Communication Channel)またはOSC(Optical Supervise Channel)を利用して、光送受信部21,3同士でイーサネット転送部22のオートネゴシエーションを代替する。
【0028】
《光伝送パス決定方式》
光送受信部21は、事前に拡張LLDPにより取得したイーサネット転送部22と光送受信部21との接続関係を、光伝送制御部1へ通知する。光送受信部3も同様に、事前に拡張LLDPにより取得したイーサネット転送部4と光送受信部3との接続関係を、光伝送制御部1へ通知する。
【0029】
光送受信部21は更に、イーサネット転送部22から取得した隣接装置情報または光送受信部21に設定された隣接装置情報を、光伝送制御部1へ通知する。光送受信部3も同様に、イーサネット転送部4から取得した隣接装置情報または光送受信部3に設定された隣接装置情報を、光伝送制御部1へ通知する。
光伝送制御部1は、通知された隣接装置情報と、事前に取得したイーサネット転送部4,22と光送受信部3,21の接続関係から、パスを開通するイーサネット転送部4,22と光送受信部3,21とを特定する。光伝送制御部1は、特定した端点情報をもとにパスを決定し、各装置に設定する。
【0030】
《イーサネット規格とODUフレームフォーマットの適合ならびにOPU,ODUフレーム割当》
信号のビットレートBは、変調方式多値度Mと変調速度Dと前方誤り訂正(Forward Error Correction)の冗長度Rとで、以下の式(1)のように計算される。

B=M・D・(1-R) ・・・(1)
【0031】
《第1の実施形態》
以下の図2から図4を参照しつつ、第1の実施形態を説明する。
図2は、疑似ネゴシエーション処理のフローチャートである。
互いに接続されたイーサネット転送部4と光送受信部3、イーサネット転送部22と光送受信部21は、拡張LLDPにより接続されたイーサネット転送部4,22と光送受信部3,21の組み合わせを取得するとともに、帯域や隣接装置の情報を取得する。
【0032】
ステップS20において、光送受信部21は、イーサネット転送部22と光送受信部21との接続関係を、光伝送制御部1へ通知する。同様に光送受信部3は、イーサネット転送部4と光送受信部3との接続関係を、光伝送制御部1へ通知する。
【0033】
ステップS21において、光伝送制御部1は、光送受信部3,21間が疎通しているか否かを判定する。光伝送制御部1は、光送受信部3,21間に疎通性がない場合(No)、イーサネット転送部4またはイーサネット転送部22の隣接装置情報から対向装置の情報を取得し、この対向装置の情報から光送受信部3または光送受信部21が対向する隣接装置を特定して伝送経路(波長)を決定する(S22)。
【0034】
ステップS23において、光伝送制御部1は、イーサネットの物理リンクの帯域設定が有るか否かを判定する。
【0035】
ステップS23でイーサネットの物理リンクの帯域設定がない場合(No)、光伝送制御部1は、光送受信部3,21間で信号疎通ができるよう伝送方式を決め打ちして設定投入する(S24)。そして、光送受信部3および光送受信部21は、イーサネット転送部4,22から取得したイーサネット規格リストをOTNのGCCを利用して交換し、イーサネット転送部4,22のイーサネット規格を決定し(S25)、ステップS26の処理に進む。ステップS24~S25の処理を、疑似オートネゴシエーションと呼ぶ。
【0036】
ステップS23でイーサネットの物理リンクの帯域設定が有る場合(Yes)、光伝送制御部1は、ステップS26の処理に進み、イーサネット規格の設定を参照して光送受信部3,21の設定処理を行う。ステップS27において、イーサネット転送部4,22は、従来のLLDPを利用して、イーサネット転送装置としての隣接装置(対向装置)の情報を相互に取得すると、図2の処理を終了する。
【0037】
ステップS21において、光送受信部3,21間に疎通性がある場合(Yes)、光送受信部3,21は、自身に設定されたODU規格から、イーサネット規格を決定し(S11)、上記するステップS27の処理に進む。
【0038】
前提としてイーサネット転送部4,22または光送受信部3,21のどちらか一方は既に設定済みとする。光送受信部3,21の設定変更を検知したならば(S10)、ステップS26の処理に進む。これ以降、システムは、上記したステップS26~27の処理と同様である。
また、イーサネット転送部4,22の設定変更を検知したならば(S30)、ステップS11の処理に進む。これ以降、システムは、上記したステップS11,S27の処理を実行する。
【0039】
図3は、光送受信部3,21の設定処理のフローチャートである。
イーサネット物理リンクの帯域設定がある場合、もしくは疑似オートネゴシエーションで決定した後、光伝送制御部1は、光送受信部3,21の設定処理を行う。光送受信部3,21または光伝送制御部1は、イーサネット規格に対応したODU規格を決定し(S40)、次にOPU,OTUの規格を決定する(S41)。
【0040】
光送受信部3,21または光伝送制御部1は、OTUの規格が決定するとそれに応じた変調方式と、変調速度と、OTUの前方誤り訂正方式を決定する(S42)。
光伝送制御部1は、伝送路条件および波長・伝送方式から出力パワーを決定し(S43)、図3の設定処理を終了する。
【0041】
図4は、疑似ネゴシエーションのシーケンス図である。
イーサネット転送部22は、光送受信部21と接続されたインタフェースの隣接装置情報として接続先のであるイーサネット転送部4のMACアドレス情報(Mac#2)を保持している。イーサネット転送部4は、光送受信部3と接続されたインタフェースの隣接装置情報として接続先のであるイーサネット転送部22のMACアドレス情報(Mac#1)を保持している。更に光送受信部3,21は、未設定で疎通していないものとする。
【0042】
ステップS50において、光送受信部21は、拡張LLDPにより、イーサネット転送部22から、インタフェースのMACアドレス情報(Mac#1)と対応するイーサネット規格リスト(#1)、隣接装置のMACアドレス情報(Mac#2)を取得する。
【0043】
ステップS51において、光送受信部21は、自身の情報と接続先のMACアドレス情報との組み合わせに(IPOpt#1)、イーサネット規格を疑似ネゴシエーションするオプションを付加し、光伝送制御部1にパス開通をリクエストする。
【0044】
ステップS52において、光送受信部3は、拡張LLDPにより、イーサネット転送部4から、インタフェースのMACアドレス情報(Mac#2)と対応するイーサネット規格リスト(#2)、隣接装置のMACアドレス情報(Mac#1)を取得する。
【0045】
ステップS53において、光送受信部3は、自身の情報と接続先のMACアドレス情報との組み合わせに(IPOpt#2)、イーサネット規格を疑似ネゴシエーションするオプションを付加し、光伝送制御部1にパス開通をリクエストする。
【0046】
ステップS54において、光伝送制御部1は、自身のデータベース11に格納された光送受信部21の情報と、これに隣接するイーサネット転送部22のMAC情報から、宛先の光送受信部3を特定する。光伝送制御部1は、光送受信部3に対してクライアント信号レート及び波長を一旦決め打ちで設定し(S55)、光伝送路部5に対してもクライアント信号レート及び波長を設定し(S56)更に光送受信部21に対しても同様にクライアント信号レート及び波長を決め打ちで設定する(S57)。この時決定した波長(193.1 THz)は経路情報として利用する。なお、決め打ちで設定する波長は、193.1 THzに限定されず、他の波長を設定してもよく、限定されない。
【0047】
光伝送制御部1が各装置にクライアント信号レート及び波長を設定し、光送受信部3,21間で疎通性が取れた後、光送受信部3,21は、OTUフレームのGCCで、イーサネット転送部4の対応イーサネット規格(#2)とイーサネット転送部22の対応イーサネット規格(#1)とを交換する(S58)。
【0048】
ステップS59において、光送受信部21は、イーサネット転送部22に適用するイーサネット規格を決定し、イーサネット転送部22に通知して設定する。ここでイーサネット転送部22に適用するイーサネット規格とは、イーサネット転送部4の対応イーサネット規格(#2)とイーサネット転送部22の対応イーサネット規格(#1)の両方に含まれるものである。
【0049】
ステップS60において、光送受信部3は、イーサネット転送部4に適用するイーサネット規格を決定し、イーサネット転送部4に通知して設定する。ここでイーサネット転送部4に適用するイーサネット規格とは、イーサネット転送部4の対応イーサネット規格(#2)とイーサネット転送部22の対応イーサネット規格(#1)の両方に含まれるものである。
【0050】
ステップS61において、光送受信部21は、自身の装置設定(#1)を光伝送制御部1に通知する。
ステップS62において、光送受信部3は、自身の装置設定(#2)を光伝送制御部1に通知する。
ステップS63において、光伝送制御部1は、装置設定(#1)と装置設定(#2)に基づき、光送受信部3,21が疎通可能な装置設定を決定し、光伝送路部5に対して、この装置設定を反映させる(S64)。
【0051】
本実施形態において適用するイーサネット規格が、例えば100GbEの場合を考える。イーサネット規格が100GbEであるため、光送受信部3,21は、OTNのフレームフォーマット(ODU4,OTU4)を自身に再設定する。
【0052】
光送受信部3,21は更に、OTU4と適合する伝送方式として、伝送方式(変調方式:DP-QPSK・変調速度:32GBaud・前方誤り訂正方式:20%FEC)を判定して自身に再設定し、これを自身の装置設定とする。なお、光送受信部3,21が設定する伝送方式は、DP-QPSKの変調方式、32GBaudの変調速度、20%FECの前方誤り訂正方式に限定されない。
【0053】
光伝送制御部1は、装置設定(#1)や装置設定(#2)や光伝送路部5の条件から出力パワーを、例えば+1dBmとして決定し(S63)、光伝送路部5に対しても増幅器の利得や経路情報を再設定する(S64)。ここで光伝送制御部1が決定する出力パワーは、+1dBmに限定されない。
【0054】
ステップS65において、イーサネット転送部4,22は、相互にLLDPで隣接装置情報を取得するが、元々の設定に基づいてパス開通されているため変更はされない。
【0055】
《第2の実施形態》
光送受信部3,21間では信号疎通しており、光送受信部3,21は、隣接装置情報やイーサネット信号を収容するODUフレームフォーマット情報を保持している。イーサネット転送部4,22は、光送受信部3,21と接続されたインタフェースの帯域設定と隣接装置情報とが未設定である。
【0056】
図5は、第2の実施形態のシーケンス図である。
イーサネット転送部22は、拡張LLDPにより、光送受信部21からODUフレームフォーマット情報を取得する(S70)。イーサネット転送部22は、ODUフレームフォーマット(ODU4)から対応するイーサネット規格(100GbE)を判定し、設定する(S72)。
【0057】
イーサネット転送部4は、拡張LLDPにより、光送受信部3からODUフレームフォーマット情報を取得する(S71)。イーサネット転送部4は、ODUフレームフォーマット(ODU4)から対応するイーサネット規格(100GbE)を判定し、設定する(S73)。
イーサネット転送部4,22は、隣接装置の情報をLLDPで取得する(S74)。
【0058】
このようにすることで、イーサネット転送装置間に伝送装置が存在し、伝送装置側の設定変更によりイーサネット転送装置と伝送装置の設定の整合性がずれた場合でも、イーサネット転送装置は正常に機能し続けることができる。
【0059】
《実施形態の効果》
IPネットワークと光伝送ネットワークの接続点についてはそれぞれ独立したオペレーションにより決定しており、両者間での調整が求められ、IPと転送間の設定の運用は複雑かつ柔軟性の阻害要因となっている。そのため、両者間で調整が必要なパラメータを自動で設定することで、オペレーションを簡易化することができる。更に設定変更に対して自律的に追随することで運用負荷を軽減し、柔軟なネットワーク構成を簡易に実現する。
【0060】
IP光統合装置では設定インタフェースモデルは独立に定義されているため、運用にはそれぞれ異なるスキルが求められ、オペレーションが複雑化する。そのため、転送装置と伝送装置(光送受信部)との間で調整が必要なパラメータを自動で設定することで、必要なスキルを削減し、オペレーションを簡易化する
【0061】
イーサネット転送装置間で自律的に設定する通信方式は、イーサネット転送装置間に伝送装置が存在することで、転送装置と伝送装置との設定の整合性がずれると信号断が発生し、正常に機能しなくなる。
【0062】
そのため、イーサネット転送装置と伝送装置間で通信して整合性をとり、イーサネット転送装置間での調整を伝送装置間で代替する。これにより、従来の方式ではできなかったイーサネット転送装置間の調整が可能となる。
【0063】
《本発明とその作用効果》
(1)光伝送路部を介して接続された第1および第2の光送受信部と、前記第1の光送受信部に隣接して接続された第1のイーサネット転送部と、前記第2の光送受信部に隣接して接続された第2のイーサネット転送部と、前記第1または前記第2のイーサネット転送部の隣接装置情報、前記第1のイーサネット転送部と前記第1の光送受信部の接続関係、および、前記第2のイーサネット転送部と前記第2の光送受信部の接続関係から前記第1および前記第2の光送受信部が対向することを特定し、前記第1および前記第2の光送受信部間を疎通させる光伝送制御部と、を備え、前記第1および前記第2の光送受信部間が疎通したならば、前記第1および前記第2のイーサネット転送部のイーサネット規格リストを交換し、適用するイーサネット規格を決定する、ことを特徴とする通信システムとした。
【0064】
このようにすることで、イーサネット転送装置間に伝送装置が存在し、イーサネット転送装置と伝送装置の設定の整合性がずれた場合でも、イーサネット転送装置は正常に機能し続けることができる。
【0065】
(2)前記第1および前記第2のイーサネット転送部にイーサネットの帯域が設定されている場合、または、前記第1および前記第2の光送受信部が前記第1および前記第2のイーサネット転送部のイーサネット規格リストを交換して適用するイーサネット規格を決定した場合、前記第1および前記第2の光送受信部は、イーサネット規格に対応したODU規格とOPU規格とOTU規格を自身に再設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の通信システムとした。
【0066】
このようにすることで、イーサネット転送装置間に伝送装置が存在し、イーサネット転送装置と伝送装置の設定の整合性がずれた場合でも、伝送装置は正常に機能し続けることができる。
【0067】
(3)前記第1および前記第2の光送受信部は、自身が設定した規格の信号レートに応じた変調方式と変調速度と前方誤り訂正方式を再設定する、ことを特徴とする請求項2に記載の通信システムとした。
【0068】
このようにすることで、イーサネット転送装置間に伝送装置が存在し、イーサネット転送装置と伝送装置の設定の整合性がずれて、伝送装置が自身にODU規格とOPU規格とOTU規格を再設定した場合、この伝送装置は、規格に応じた変調方式と変調速度と前方誤り訂正方式を自律的に設定することができる。
【0069】
(4)前記光伝送制御部は、前記光伝送路部の伝送路条件および波長、伝送方式から前記第1および前記第2の光送受信部の出力パワーを決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の通信システムとした。
【0070】
このようにすることで、イーサネット転送装置間に伝送装置が存在し、イーサネット転送装置と伝送装置の設定の整合性がずれて、伝送装置が自身にODU規格とOPU規格とOTU規格を再設定した場合、伝送装置の出力パワーを適切に設定することができる。
【0071】
(5)光伝送路部を介して接続され、所定のODU規格によって疎通している第1および第2の光送受信部と、前記第1の光送受信部に隣接して接続された第1のイーサネット転送部と、前記第2の光送受信部に隣接して接続された第2のイーサネット転送部と、を備え、前記第1および前記第2のイーサネット転送部は、前記所定のODU規格からイーサネット規格を決定する、ことを特徴とする通信システムとした。
【0072】
このようにすることで、イーサネット転送装置間に伝送装置が存在し、伝送装置側の設定変更によりイーサネット転送装置と伝送装置の設定の整合性がずれた場合でも、イーサネット転送装置は正常に機能し続けることができる。
【0073】
(6)光伝送制御部が、第1または第2のイーサネット転送部の隣接装置情報、前記第1のイーサネット転送部と第1の光送受信部の接続関係、および、前記第2のイーサネット転送部と第2の光送受信部の接続関係から前記第1および前記第2の光送受信部が対向することを特定し、前記第1および前記第2の光送受信部間を疎通させるステップと、前記第1および前記第2の光送受信部間が疎通したならば、前記第1および前記第2のイーサネット転送部が対応するイーサネット規格リストを交換するステップと、前記第1および前記第2のイーサネット転送部がイーサネット規格を決定するステップと、を実行することを特徴とする通信システムの通信設定方法とした。
【0074】
このようにすることで、イーサネット転送装置間に伝送装置が存在し、イーサネット転送装置と伝送装置の設定の整合性がずれた場合でも、イーサネット転送装置は正常に機能し続けることができる。
【0075】
(7)光伝送路部を介して対向光送受信部と接続されて光レイヤで通信する光送受信部と、前記光送受信部に隣接し、対向イーサネット転送部とイーサネットレイヤで通信するイーサネット転送部と、を備えた通信装置であって、前記イーサネット転送部は、自身が対応する通信規格リストと前記対向イーサネット転送部が対応する通信規格リストとから自身に設定するイーサネットレイヤの通信規格を決定し、前記光送受信部は、イーサネットレイヤの通信規格から自身に設定する通信規格を自律的に決定する、ことを特徴とする通信装置とした。
【0076】
このようにすることで、イーサネット転送装置間に伝送装置が存在し、イーサネット転送装置と伝送装置の設定の整合性がずれた場合でも、伝送装置は、イーサネット転送装置の通信規格と自身に設定する通信規格を自律的に決定できるので、正常に機能し続けることができる。
【0077】
(8)コンピュータに、光伝送路部を介して接続された第1および第2の光送受信部の情報、および、これらに隣接する第1および第2のイーサネット転送部のMAC情報とから前記第1および前記第2の光送受信部が対向することを特定する手順、前記第1および前記第2の光送受信部間を疎通させる手順、を実行させるための通信プログラムとした。
【0078】
このようにすることで、イーサネット転送装置間に伝送装置が存在し、イーサネット転送装置と伝送装置の設定の整合性がずれた場合でも、イーサネット転送装置は正常に機能し続けることができる。
【符号の説明】
【0079】
S 光伝送システム (通信システム)
1 光伝送制御部
11 データベース
2 IP光統合装置
21 光送受信部 (第1の光送受信部)
211 OTNフレーム伝送方式決定部
212 データベース
22 イーサネット転送部 (第1のイーサネット転送部)
221 データベース
3 光送受信部 (第2の光送受信部)
31 OTNフレーム伝送方式決定部
32 データベース
4 イーサネット転送部 (第2のイーサネット転送部)
41 データベース
5 光伝送路部
図1
図2
図3
図4
図5