(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002445
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】クロマトグラフ装置
(51)【国際特許分類】
G01N 30/02 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
G01N30/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101619
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】503460323
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大月 繁夫
(72)【発明者】
【氏名】森 聖年
(72)【発明者】
【氏名】中村 寛
(72)【発明者】
【氏名】阿部 幹
(72)【発明者】
【氏名】栗本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正人
(57)【要約】
【課題】クロマトグラフ装置のリモートコントロール装置の移動の自由度を高める。
【解決手段】分析装置本体110は指向性が互いに異なる複数の受発光部111~113と、これらの各受発光部111~113を識別する識別情報と誤り訂正符号とを含む赤外線信号を出力させる通信回路とを有し、リモートコントローラ120は、各受発光部111~113から出力された赤外線信号を受信する受発光部123・124と、誤り訂正が可能な赤外線信号を出力した受発光部111~113を特定し、それとの間で通信を行う通信回路とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置本体と、操作および表示の少なくとも一方を行うリモートコントローラとを備えたクロマトグラフ装置であって、
上記分析装置本体は、指向性が互いに異なる複数の赤外線発光素子と、上記赤外線発光素子に、各赤外線発光素子を識別する識別情報と、誤り訂正符号とを含む赤外線信号を出力させる通信回路とを有し、
上記リモートコントローラは、上記各赤外線発光素子から出力された赤外線信号を受信する赤外線受光素子と、受信された赤外線信号のうち、誤り訂正が可能な赤外線信号を出力した赤外線発光素子を特定し、特定された赤外線発光素子との間で通信を行う通信回路とを有することを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項2】
請求項1のクロマトグラフ装置であって、
上記リモートコントローラは、さらに、上記各赤外線受光素子に対応する赤外線発光素子を有し、上記リモートコントローラの通信回路は、上記赤外線発光素子に、上記分析装置本体に向けた赤外線信号を出力させる一方、
上記分析装置本体は、さらに、上記各赤外線発光素子に対応する赤外線受光素子を有し、
上記分析装置本体とリモートコントローラとの間で双方向の通信が行われることを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項3】
請求項2のクロマトグラフ装置であって、
上記リモートコントロール装置は、上記赤外線発光素子と赤外線受光素子との組を2組有し、上記2組の赤外線発光素子および赤外線受光素子は、互いに逆方向の指向性を有していることを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項4】
請求項2のクロマトグラフ装置であって、
上記分析装置本体は、それぞれ複数の赤外線発光素子、および通信回路を有する複数の装置モジュールを備えて構成され、
上記リモートコントローラは、その配置位置に応じて、何れかの装置モジュールと選択的に通信することを特徴とするクロマトグラフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 本発明は、未知試料の分析を行うクロマトグラフ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置の筐体とは独立な表示装置を用い、この表示装置と自動分析装置の制御部との間を無線または有線で通信できるようにして、検査技師が持ち運びしながら、表示装置に表示される情報を容易に、かつ確実に観ることができるようにする技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、表示装置と自動分析装置の制御部との間を無線で通信する場合、表示装置が移動可能な範囲は、通信装置の指向性によって制約される。このため、例えば赤外線通信が用いられる場合などには、表示装置の移動の自由度を高くすることは困難であった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、クロマトグラフ装置の操作や表示を行うリモートコントロール装置の移動の自由度を高くすることが容易にできるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
本発明は、
分析装置本体と、操作および表示の少なくとも一方を行うリモートコントローラとを備えたクロマトグラフ装置であって、
上記分析装置本体は、指向性が互いに異なる複数の赤外線発光素子と、上記赤外線発光素子に、各赤外線発光素子を識別する識別情報と、誤り訂正符号とを含む赤外線信号を出力させる通信回路とを有し、
上記リモートコントローラは、上記各赤外線発光素子から出力された赤外線信号を受信する赤外線受光素子と、受信された赤外線信号のうち、誤り訂正が可能な赤外線信号を出力した赤外線発光素子を特定し、特定された赤外線発光素子との間で通信を行う通信回路とを有することを特徴とする。
【0007】
これにより、複数の赤外線発光素子が互いに異なる指向性を有するとともに、誤り訂正が可能な赤外線信号を出力した赤外線発光素子が特定されて通信が行われるので、通信可能な方向を広く確保しつつ、各赤外線発光素子間の信号の干渉などを回避して適切な通信を行わせることができ、リモートコントローラの配置の自由度を高めて、柔軟な位置や姿勢で用いることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、クロマトグラフ装置の操作や表示を行うリモートコントロール装置の移動の自由度を高くすることが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】クロマトグラフ装置100の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】装置モジュール110a~110cの構成を示す斜視図である。
【
図3】装置モジュール110a~110cの受発光の指向性を示す側面図である。
【
図4】リモートコントローラ120の構成を示す斜視図である。
【
図5】装置モジュール110a~110cとリモートコントローラ120との位置関係の例を示す斜視図である。
【
図6】装置モジュール110a~110cとリモートコントローラ120との位置関係の他の例を示す斜視図である。
【
図7】装置モジュール110a~110cの要部の回路構成を示すブロック図である。
【
図8】リモートコントローラ120の要部の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
クロマトグラフ装置100は、
図1に示すように、例えばポンプ、オートサンプラ、カラムオーブン、または検出器などの複数の装置モジュール110a~110cが、積み重ねられるように設けられた分析装置本体110と、少なくとも1台のリモートコントローラ120とが組み合わされて構成されている。
【0012】
各装置モジュール110a~110cには、
図2に示すように、例えば互いに上下方向にずれた位置に配置される3つの赤外線の受発光部111~113が設けられている。各受発光部111~113は、
図3に2点鎖線で示すように、それぞれ互いに異なった指向性を有していることにより、クロマトグラフ装置100の前面側の広い範囲で通信可能になっている。
【0013】
リモートコントローラ120は、例えば
図4に示すように、液晶ディスプレイなどの表示部121と、テンキーなどの入力部122とを有している。表示部121は、クロマトグラフ装置100の状態や、計測条件、計測結果などを表示し得るようになっている。また、入力部122は、クロマトグラフ装置100に種々の設定をしたり動作指示をしたりするために用いられるようになっている。リモートコントローラ120には、また、互いに逆方向(
図4における手前方向と奥方向)の指向性を有する受発光部123・124が設けられている。
【0014】
上記のようなリモートコントローラ120は、例えば
図5に示すように、手に持つなどして受発光部123が装置モジュール110a~110cの正面に向かい合うようにすることにより、何れかの受発光部111~113との間で通信が行われる。また、例えば
図6に示すように、装置モジュール110a~110cの表面にフックにかけるなどして設置することができる。この場合、その設置位置に応じて、受発光部111と受発光部123との間や、受発光部113と受発光部124との間などで通信が行われる。
【0015】
上記装置モジュール110a~110c、およびリモートコントローラ120における通信を行う回路は、例えば
図7、
図8に示すように構成されている。すなわち、装置モジュール110a~110cには、受発光部111~113の受発光信号を処理する通信部201と、上記通信部201を制御するとともに、計測等の動作を制御する制御部202とが設けられている。また、リモートコントローラ120には、受発光部123・124の受発光信号を処理する通信部211と、上記通信部211を制御するとともに、表示部121への表示動作や入力部122への入力動作を制御する制御部212とが設けられている。
【0016】
より詳しくは、装置モジュール110a~110cの通信部201は、各受発光部111~113に、これらを識別する識別情報(ID番号)と、誤り訂正符号とを含む赤外線信号を出力させるようになっている。一方、リモートコントローラ120の通信部211は、受発光部123・124のうち受光された方からの受光信号に対して誤り訂正を行い、誤り訂正が可能な赤外線信号を出力した装置モジュール110a~110cの受発光部111~113を特定し、特定された受発光部111~113の識別情報を装置モジュール110a~110cに通知するようになっている。そこで、装置モジュール110a~110cの通信部201が、通知された受発光部111~113だけを動作状態にすることにより、適切な通信が行われる受発光部111~113のうちの1つと、受発光部123・124との間で赤外線の受発光による通信が行われる。なお、誤り訂正が可能な受発光部111~113が複数ある場合には、予め定められた識別情報の順序や信号強度の大きい順序などによって定まる優先順位に従って、通信される受発光部111~113が選択されるようにしてもよい。
【0017】
また、リモートコントローラ120が
図6に示したように設置されて受発光部123・124の両方に受発光部111~113からの信号が受信されるような場合にも、同様に、誤り訂正が可能な受発光部111~113と受発光部123・124との組み合わせで通信が行われる。さらに、リモートコントローラ120が、各装置モジュール110a~110cの何れと通信するかも、同様に誤り訂正が可能な信号が選択されるようにすれば、装置の使用者がリモートコントローラ120の配置位置や向きを設定することによって、1台のリモートコントローラ120で、各装置モジュール110a~110cについての操作や表示をすることが可能になる。
【0018】
なお、リモートコントローラ120に設けられる受発光部は、上記のように互いに逆方向の指向性を有するのに限らず、装置モジュール110a~110cの受発光部111~113と同様に重なりを生じ得る指向性を有する受発光部が設けられて、装置モジュール110a~110c側でも、リモートコントローラ120と同様に通信可能な受発光部を選択するようにしてもよい。
【0019】
ここで、上記のようにして通信される内容自体は、特に制約されず、種々設定することができる。具体的には、例えば、装置モジュール110a~110cが、表示部121への表示データを生成、記憶して、表示内容のリフレッシュを装置モジュール110a~110c側が行うようにしてもよいし、表示の基になるデータが通信されて、リモートコントローラ120側で、実際の表示データの生成や記憶が行われるようにしてもよい。また、入力部122の操作に応じた信号が、そのままリモートコントローラ120から送信されるようにしてもよいし、リモートコントローラ120側で種々の処理が行われて、生成されたデータが装置モジュール110a~110cに送られるようにしてもよい。
【0020】
上記のように、複数の受発光部111~113が互いに異なる指向性を有するように配置されるとともに、そのうちの1つが選択されて通信されることにより、通信可能な方向を広く確保できるとともに、各受発光部111~113間の信号の干渉などを回避して適切な通信を行わせることができるので、リモートコントローラ120の配置の自由度を高めて、柔軟な位置や姿勢でリモートコントローラ120を用いることができる。それゆえ、特に、クロマトグラフ装置のように、各装置モジュール110a~110cのフロントパネルに、操作や保守のために種々の付属品が設けられたり、配管が接続されたり、部品が前面から取り外し、交換できるようにされたりするなど、フロントパネルの前面が有効に利用されている場合でも、リモートコントローラ120を任意の装置モジュールに取り付け、または切り離しても操作でき、リモートコントローラ120の操作性などを向上させることが容易にできる。
【符号の説明】
【0021】
100 クロマトグラフ装置
110 分析装置本体
110a~110c 装置モジュール
111~113 受発光部
120 リモートコントローラ
121 表示部
122 入力部
123・124 受発光部
201 通信部
202 制御部
211 通信部
212 制御部