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特開2024-24544情報処理装置、情報処理システム、情報処理端末、プログラムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024544
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理端末、プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240215BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
G06F3/12 343
G06F3/12 322
G06F3/12 338
B41J21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127461
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】石倉 和貴
(72)【発明者】
【氏名】小山 忠明
(72)【発明者】
【氏名】橋本 歩
(72)【発明者】
【氏名】中田 祐貴
【テーマコード(参考)】
2C187
【Fターム(参考)】
2C187AD14
2C187AE07
2C187BF26
2C187CD08
2C187DB21
(57)【要約】
【課題】文章のコピーや偽造を防止し、文書の真正性を向上させる。
【解決手段】情報処理端末から送られた文書データの出力を要求する要求信号を受けて、該当する文書データを送信する文書データ生成部と、前記情報処理端末から送られた文書に記載されない情報信号をもとに、前記情報信号と前記文書データとを含む潜像としての潜像データを生成する潜像データ生成部と、前記潜像データを前記文書データとともに出力する画像データ出力部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理端末から送られた文書データの出力を要求する要求信号を受けて、該当する文書データを送信する文書データ生成部と、
前記情報処理端末から送られた文書に記載されない情報信号をもとに、前記情報信号と前記文書データとを含む潜像としての潜像データを生成する潜像データ生成部と、
前記潜像データを前記文書データとともに出力する画像データ出力部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記文書データ生成部からの前記文書データに対して前記潜像データ生成部からの前記潜像データを合成して合成画像を生成する画像合成部を更に備え、
前記画像データ出力部は、前記画像合成部からの前記合成画像を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記文書データ生成部は、前記文書データを蓄積する文書データ蓄積部から前記文書データを取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報信号は、前記潜像データを生成した時間の情報である、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報信号は、前記情報処理端末が持つ固有の番号である、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報信号は、ユーザ設定のパスワードである、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記潜像データ生成部は、前記潜像データを、赤外光で読み取り可能にする、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記潜像データ生成部は、前記潜像データを、紫外光で読み取り可能にする、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理端末と、
請求項1ないし8の何れか一項に記載の情報処理装置と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
文書データの出力を要求する要求信号と、前記文書データに記載されない情報信号と、を情報処理装置に対して送信する情報送信部を備える、
ことを特徴とする情報処理端末。
【請求項11】
コンピュータを、
情報処理端末から送られた文書データの出力を要求する要求信号を受けて、該当する文書データを送信する文書データ生成部と、
前記情報処理端末から送られた文書に記載されない情報信号をもとに、前記情報信号と前記文書データとを含む潜像としての潜像データを生成する潜像データ生成部と、
前記潜像データを前記文書データとともに出力する画像データ出力部と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータを、
前記文書データ生成部からの前記文書データに対して前記潜像データ生成部からの前記潜像データを合成して合成画像を生成する画像合成部として更に機能させ、
前記画像データ出力部は、前記画像合成部からの前記合成画像を出力する、
ことを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
文書データの出力を要求する要求信号と、前記文書データに記載されない情報信号と、を情報処理装置に対して送信する情報送信部として、
機能させるためのプログラム。
【請求項14】
情報処理端末から送られた文書データの出力を要求する要求信号を受けて、該当する文書データを送信する文書データ生成ステップと、
前記情報処理端末から送られた文書に記載されない情報信号をもとに、前記情報信号と前記文書データとを含む潜像としての潜像データを生成する潜像データ生成ステップと、
前記潜像データを前記文書データとともに出力する画像データ出力ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項15】
前記文書データに対して前記潜像データを合成して合成画像を生成する画像合成ステップを更に含み、
前記画像データ出力ステップは、前記合成画像を出力する、
ことを特徴とする請求項14に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理端末、プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文書の改ざんを防止する技術が既に知られている。
【0003】
特許文献1には、申し込み側の改ざんを防止する目的で、申し込み情報とユニーク情報とを二次元コード化し、文書に印刷する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術によれば、文書の複写などにより容易に文書が偽造されてしまう、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、文章のコピーや偽造を防止し、文書の真正性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報処理端末から送られた文書データの出力を要求する要求信号を受けて、該当する文書データを送信する文書データ生成部と、前記情報処理端末から送られた文書に記載されない情報信号をもとに、前記情報信号と前記文書データとを含む潜像としての潜像データを生成する潜像データ生成部と、前記潜像データを前記文書データとともに出力する画像データ出力部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、文章のコピーや偽造を防止し、文書の真正性を向上させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態にかかる情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、MFPのハードウェア構成図である。
図3図3は、サーバのハードウェア構成図である。
図4図4は、従来技術について説明する図である。
図5図5は、従来技術での問題について説明する図である。
図6図6は、情報処理システムの機能構成を示す機能ブロックである。
図7図7は、潜像画像合成部で合成された画像の一例を示す図である。
図8図8は、潜像画像合成部で合成された合成画像および複写時の結果を示す図である。
図9図9は、画像データ出力部から出力される画像が偽造されない効果について説明する図である。
図10図10は、サーバにおける画像データ出力処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、情報処理装置、情報処理システム、情報処理端末、プログラムおよび情報処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施の形態にかかる情報処理システム100のシステム構成の一例を示す図である。図1に示すように、情報処理システム100は、例えばコンビニエンスストアなどに設置された情報処理端末であるMFP(Multifunction Peripheral/Product/Printer)10と、例えば情報処理センターなどに設置された情報処理装置であるサーバ20と、例えば地方公共団体などに設置されたデータサーバ30と、を備える。
【0011】
MFP10は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機である。MFP10は、例えばインターネットなどのネットワークN1を介してサーバ20と接続される。
【0012】
データサーバ30は、例えば住民票データなどの文書データを蓄積する。データサーバ30は、例えばインターネットなどのネットワークN2を介してサーバ20と接続される。
【0013】
サーバ20は、MFP10からの要求に従ってデータサーバ30から文書データを取得する。サーバ20は、データサーバ30から取得した文書データに対して所定の画像処理を施して画像を生成した後、当該画像を出力する。サーバ20が実行する所定の画像処理については、詳細は後述するが、データサーバ30から取得した文書データに基づく二次元コードを潜像とする処理である。潜像とは、何等かの手法を用いて肉眼で見えない(または見えにくい)ように形成した画像である。
【0014】
まず、MFP10のハードウェア構成について説明する。
【0015】
図2は、MFP10のハードウェア構成図である。図2に示されているように、MFP10は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0016】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0017】
これらのうち、CPU901は、MFP9の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0018】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0019】
また、本実施形態のMFP10で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のMFP10で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0020】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0021】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0022】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0023】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931及びプリンタ部932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル940bを備えている。コントローラ910は、MFP9全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0024】
なお、MFP9は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0025】
また、ネットワークI/F950は、ネットワークN1を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0026】
次に、サーバ20およびデータサーバ30のハードウェア構成について説明する。ここでは、サーバ20のハードウェア構成について説明する。サーバ20とデータサーバ30とは、基本的なハードウェア構成は同一である。
【0027】
図3は、サーバ20のハードウェア構成図である。図3に示されているように、サーバ20は、コンピュータによって構築されており、図3に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disc Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0028】
これらのうち、CPU501は、サーバ20全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、ネットワークN1、ネットワークN2を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図3に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0029】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0030】
本実施形態のサーバ20およびデータサーバ30で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0031】
また、本実施形態のサーバ20およびデータサーバ30で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のサーバ20およびデータサーバ30で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0032】
続いて、従来の問題点について説明する。
【0033】
従来、文書データを要求する側の改ざんを防止する目的で、文書データを要求する側の申込情報とユニーク情報とを二次元コード化し、文書に印刷する従来技術が知られている。
【0034】
ここで、図4は、従来技術について説明する図である。図4(a)は従来技術の処理例を示し、図4(b)は従来技術における出力例を示すものである。図4に示す従来技術は、入力端末で申込情報の一部を暗号化して二次元コードに変換し、文書データとユニーク情報とを合成した画像を生成することで、申し込み時の作業者の改ざんを防ぐ技術である。
【0035】
より詳細には、図4(a)に示すように、申し込み時において作業者は、入力端末へ申込情報(住民票の記載情報など)を入力する(ステップS101)。入力端末は、入力された申込情報の一部を暗号化し、ユニーク情報(例えば、印刷日時)とともに二次元コードに変換する(ステップS102)。入力端末は、二次元コードを含む申込書をプリンタによってプリントする(ステップS103)。
【0036】
図4(b)に示す出力例に示されるように、申込書50には、申込情報とユニーク情報とを含んだ二次元コード51が印刷されている。
【0037】
図5は、従来技術での問題について説明する図である。ここでは、従来技術で生成された文書が偽造されてしまう問題について説明する。例えば、複合機などで出力された申込書50を偽造するケースを考える。偽造方法の例としては、申込書50の複写が挙げられる。この場合、二次元コード51も複写されてしまうため、真贋判定者も、申込書50と、申込書50の複写とを区別することはできない。なお、複写への対策としては、複写文字の利用やコピー防止用紙を使うなどがあるが、これらは複写の際の濃度変更や用紙の購入などで、偽造時に容易に対策出来る。以上より、偽造が簡単に行えてしまうため、文書の原本性が守れていない。
【0038】
そこで、本実施形態の情報処理システム100においては、二次元コードを潜像とすることで、偽造の問題へ対応し、文書の真正性を向上させることができるようにしたものである。
【0039】
続いて、本実施形態の情報処理システム100の特徴的な機能について説明する。
【0040】
ここで、図6は情報処理システム100の機能構成を示す機能ブロックである。図6に示すように、情報処理システム100のMFP10は、CPU901がRAM902bからプログラムを読み出して実行することにより実現される情報送信部101を備える。
【0041】
情報送信部101は、MFP10の操作パネル940の操作などにより文書要求を受け付けると、後述するサーバ20の文書データ生成部201に対して文書データの出力を要求する要求信号を送信するとともに、潜像データ生成部202に対して文書に記載されない情報信号を送る。ここで、情報処理端末であるMFP10が有している文書に記載されない情報信号とは、後述する改ざん防止潜像データを生成した時間の情報、発行店舗を示す情報、MFP10が持つ固有の番号であるロット番号、ユーザ設定のパスワードなどである。
【0042】
情報処理システム100のデータサーバ30は、CPU501がROM502またはHD504からプログラムを読み出して実行することにより実現される文書データ蓄積部301を備える。
【0043】
文書データ蓄積部301は、文書データを記憶部であるHD504に蓄積する。また、文書データ蓄積部301は、HD504に蓄積する文書データを、後述するサーバ20の文書データ生成部201に対して送信する。このように、サーバ20は、データサーバ30の文書データ蓄積部301から文書データを取得することで、MFP10が他システムと連携できるため、作成できる画像データのパターンを増すことができる。
【0044】
情報処理システム100のサーバ20は、CPU501がROM502またはHD504からプログラムを読み出して実行することにより実現される、文書データ生成部201と、潜像データ生成部202と、潜像画像合成部203と、画像データ出力部204と、を備える。
【0045】
文書データ生成部201は、MFP10の情報送信部101から送られた要求信号を受けて、データサーバ30の文書データ蓄積部301からから文書データを取得する。そして、文書データ生成部201は、文書データを潜像データ生成部202と潜像画像合成部203とに送信する。
【0046】
潜像データ生成部202は、MFP10の情報送信部101から送られた文書に記載されない情報信号をもとに、情報信号と文書データとを含む潜像としての二次元コードなどの改ざん防止潜像データを生成する。なお、潜像データである改ざん防止潜像データは、二次元コードに限るものではない。
【0047】
潜像画像合成部203は、文書データ生成部201から送信された文書データに対して、潜像データ生成部202が生成した改ざん防止潜像データを潜像として合成する画像合成部である。改ざん防止潜像データは、赤外光又は紫外光などの不可視光下で読み取り可能なトナー、インクなどで画像形成されるデータである。
【0048】
画像データ出力部204は、改ざん防止潜像データを文書データとともに出力する。本実施形態においては、画像データ出力部204は、潜像画像合成部203で合成された合成画像を出力する。
【0049】
ここで、図7は潜像画像合成部203で合成された画像の一例を示す図である。図7に示すように、潜像画像合成部203は、文書データ生成部201から送信された文書データの文書記載情報と、MFP10から送信された文書に記載されない情報と、に基づいて生成された改ざん防止潜像データを、文書データ生成部201から送信された文書データに対して潜像として埋め込む。このように画像を合成して出力することで、情報の集約性を上げることができる。
【0050】
上述したように情報処理端末であるMFP10が有している文書に記載されない情報信号とは、改ざん防止潜像データを生成した時間の情報、発行店舗を示す情報、MFP10が持つ固有の番号であるロット番号、ユーザ設定のパスワードなどである。このような第三者が分からない情報を記載することで偽造が困難になるので、偽造を防ぐことができる。なお、MFP10が有している文書に記載されない情報信号においては、確認者が、MFP10のログを検索することで判断可能なものがある。ただし、MFP10のログを検索する何らかのシステムが必要である。なお、MFP10が有している文書に記載されない情報信号がユーザ設定のパスワードである場合、ユーザ自ら、真正性の確認が可能である。
【0051】
図8は、潜像画像合成部203で合成された合成画像および複写時の結果を示す図である。図8(a)は潜像画像合成部203で合成された合成画像を示し、図8(b)は合成画像の複写時の結果を示すものである。本実施形態においては、合成画像の合成部Aは、文書データ生成部201から送信された文書データである表部Bと、改ざん防止潜像データである潜像部Cとで構成される。潜像部Cは、複写時において、赤外光又は紫外光などの不可視光下で読み取り可能に画像形成されるものとする。
【0052】
これにより、潜像画像合成部203によって生成された合成画像の合成部Aは、読み取る際の光の周波数特性を変えることで、違う情報として読み取ることができる。具体的には、図8(a)に示すように、合成画像の合成部Aは、文書データ生成部201から送信された文書データである表部Bと、改ざん防止潜像データである潜像部Cとにおいて、2つの情報を入れることができる。このため、文書の情報集約性が上がる効果がある。
【0053】
また、図8(b)に示すように、合成画像の合成部Aを一般的な可視光で複写した場合、赤外光又は紫外光下で読み取り可能な潜像部Cを読み取ることはできないため、潜像部Cの情報が消えることになる。よって、合成画像の合成部Aを可視光で読み取る場合、複写されたものは潜像部Cの改ざん防止潜像データが消えるため、文書の真正性を向上させることができるようになる。
【0054】
なお、潜像部Cを赤外光下で読み取り可能とした場合、一般的なスキャナの改良で読み取りの実現が可能となる。このため、赤外光による読み取りの効果として、読み取りデバイスの汎用性が高くなる、という効果を奏することになる。
【0055】
一方、潜像部Cを紫外光下で読み取り可能とした場合、ブラックライトを照射するだけで読み取りの実現が可能となる。このため、紫外光による読み取りの効果としては、確認手段が容易になる、という効果を奏することになる。
【0056】
ここで、図9は画像データ出力部204から出力される画像が偽造されない効果について説明する図である。図9に示すように、例えば、画像データ出力部204から出力される画像を、所定のMFP10から文書として出力したものとする。偽造する者Xは、MFP10により出力された文書を別の複合機で複写しても、同じ文書は作成できない。これは別の複合機で複写しても、改ざん防止潜像データはコピーされないためである。また、仮に、偽造する者Xが潜像として画像を生成する潜像生成技術を持っており、この潜像生成技術を用いて文書の偽造を試みたとしても、文書データの文書記載情報に含まれない固有の情報(文書に記載されない情報)が二次元コード化されているため、文書以外の情報を組み込んでいるため情報信号が何か分からず文書を偽造することはできない。以上より、偽造が容易にできないため、文書の真正性を上げることができる。
【0057】
したがって、本実施形態によれば、合成画像の読取者としての真贋判定者を、専用の特殊な読み取り手段を持つ特定の人/機関に限定することができる。
【0058】
次に、上述したようなサーバ20における画像データ出力処理の流れについて説明する。
【0059】
ここで、図10はサーバ20における画像データ出力処理の流れを示すフローチャートである。
【0060】
図10に示すように、まず、文書データ生成部201は、MFP10から送られた要求信号を受けて、文書データを潜像データ生成部202と潜像画像合成部203とに送信する(ステップS1)。
【0061】
次に、潜像データ生成部202は、MFP10から送られた文書に記載されない情報信号をもとに、情報信号と文書データとを含む潜像としての二次元コードなどの改ざん防止潜像データを生成する(ステップS2)。
【0062】
次に、潜像画像合成部203は、文書データ生成部201から送信された文書データに対して、潜像データ生成部202が生成した改ざん防止潜像データを潜像として合成する(ステップS3)。
【0063】
最後に、画像データ出力部204は、潜像画像合成部203で合成された画像を出力する(ステップS4)。
【0064】
このように本実施形態によれば、文章のコピーや偽造を防止し、文書の真正性を向上させることができる、という効果を奏する。より詳細には、文書画像と潜像用の潜像画像(改ざん防止潜像データ)とを出力し、潜像画像をセキュリティ用途として利用することで、コピーによる偽造を防ぐことができるため、セキュア度を高めることができる。また、文書に含まれない情報を埋め込むことにより、潜像画像を生成する技術を持っていたとしても、文書以外の情報を組み込んでいるため情報信号が何か分からず、潜像印刷技術を持つものからの文書の偽造を防ぐことができるため、真正性を高めることができる。
【0065】
なお、上記実施の形態では、本発明の情報処理端末を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0066】
なお、情報処理端末は、通信機能を備えた装置であれば、画像形成装置に限られない。情報処理端末は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【0067】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0068】
なお、本実施形態においては、文書の改ざん防止について説明したが、利用分野はこれに限るものではなく、二次元コードを潜像とすることで有用な効果が得られる分野、例えばデータ保護(個人情報、プライバシー保護など)の分野などで用いられてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0069】
10 情報処理端末
20 情報処理装置
100 情報処理システム
101 情報送信部
201 文書データ生成部
202 潜像データ生成部
203 画像合成部
204 画像データ出力部
301 文書データ蓄積部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2006-146334号公報
図1
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