IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファスフォードテクノロジ株式会社の特許一覧

特開2024-24567半導体製造装置および半導体装置の製造方法
<>
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図1
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図2
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図3
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図4
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図5
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図6
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図7
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図8
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図9
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図10
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024567
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240215BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240215BHJP
   H01L 21/67 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/78 Y
H01L21/68 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127491
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】名久井 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 明
(72)【発明者】
【氏名】小橋 英晴
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直樹
【テーマコード(参考)】
5F047
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F047AA17
5F047FA01
5F047FA08
5F047FA14
5F047FA72
5F063AA36
5F063DD86
5F063DE11
5F063DE16
5F063DE23
5F063DE33
5F063EE25
5F131AA04
5F131BA54
5F131CA36
5F131DA03
5F131EC33
5F131EC72
(57)【要約】
【課題】半導体製造装置において生産中にダイ剥離状態の確認が可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体製造装置は、ダイシングテープの下方に設けられる剥離ユニットと、前記ダイシングテープの下方であって前記剥離ユニットの近傍に設けられるカメラと、制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記剥離ユニットにより前記ダイの少なくとも一部から前記ダイシングテープを剥離し、前記カメラにより前記ダイシングテープを透して前記ダイシングテープが剥離された前記ダイの裏面を撮影して画像を取得し、前記画像に基づいて前記ダイの前記ダイシングテープからの剥離状態を確認するよう構成される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハから分割されたダイが貼付されたダイシングテープを保持するウエハリングを保持するウエハ保持台と、
前記ダイシングテープの下方に設けられる剥離ユニットと、
前記ウエハ保持台に保持される前記ダイシングテープの下方であって前記剥離ユニットの近傍に設けられるカメラと、
生産中において、前記剥離ユニットにより前記ダイの少なくとも一部から前記ダイシングテープを剥離し、前記カメラにより前記ダイシングテープを透して前記ダイシングテープが剥離された前記ダイの裏面を撮影して画像を取得し、前記画像に基づいて前記ダイの前記ダイシングテープからの剥離状態を確認するよう構成される制御装置と、
を備える半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記画像を平滑処理および帯エリアにおけるエッジ検出により剥離痕を検出するよう構成される半導体製造装置。
【請求項3】
請求項1半導体製造装置において、
前記制御装置は、ウエハマップデータに基づいて不良ダイの前記ダイシングテープからの剥離状態を確認するよう構成される半導体製造装置。
【請求項4】
請求項2半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記剥離痕に基づいて、前記ウエハ保持台と前記剥離ユニットとの位置関係を補正する構成される半導体製造装置。
【請求項5】
請求項2半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記剥離痕に基づいて、警告の発出、または、前記剥離ユニットの動作条件の設定または修正をするよう構成される半導体製造装置。
【請求項6】
請求項2の半導体製造装置において、
さらに、前記カメラの光学軸に対して所定の角度を有して照明光を照射する照明装置を備える半導体製造装置。
【請求項7】
請求項4または5の半導体製造装置において、
前記カメラは前記剥離ユニットの横に配置して固定されている半導体製造装置。
【請求項8】
請求項7の半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記ダイを前記カメラの上方に動かし、前記カメラにより前記ダイを撮影するよう構成される半導体製造装置。
【請求項9】
請求項8の半導体製造装置において、
前記剥離ユニットは、前記ダイシングテープを介して前記ダイを突上げる複数のブロックを有し、
前記制御装置は、
複数のブロックのすべてを突き上げた後、前記ダイシングテープと当接する前記複数のブロックを外側から順次前記ダイシングテープから離間して前記ダイシングテープを前記ダイから剥離するよう前記剥離ユニットを動作させる場合において、
前記複数のブロックのうち少なくとも一つのブロックを前記ダイシングテープから離間した後、前記剥離ユニットを下降させ、
前記ウエハ保持台により前記ダイを前記カメラの上方に動かすよう構成される半導体製造装置。
【請求項10】
請求項4または5の半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記剥離ユニットを下げると共に、前記カメラを前記ダイの下方に動かし、前記カメラにより前記ダイを撮影するよう構成される半導体製造装置。
【請求項11】
請求項10の半導体製造装置において、
前記剥離ユニットは、前記ダイシングテープを介して前記ダイを突上げる複数のブロックを有し、
前記制御装置は、
複数のブロックのすべてを突き上げた後、前記ダイシングテープと当接する前記複数のブロックを外側から順次前記ダイシングテープから離間して前記ダイシングテープを前記ダイから剥離するよう前記剥離ユニットを動作させる場合において、
前記複数のブロックのうち少なくとも一つのブロックを前記ダイシングテープから離間した後、前記剥離ユニットを下降させ、
前記カメラを前記ダイの下方に動かすよう構成される半導体製造装置。
【請求項12】
請求項1の半導体製造装置において、
前記剥離ユニットは、透明素材により形成され、前記ダイシングテープと当接するドームヘッドを備え、
前記カメラは光学軸が上下方向から傾いて前記ダイの裏面を撮影する位置に設けられ、
前記制御装置は、前記剥離ユニットを前記ダイシングテープと当接したまま、前記カメラにより前記ドームヘッドおよび前記ダイシングテープを透して前記ダイシングテープが剥離された前記ダイの裏面を撮影するよう構成される半導体製造装置。
【請求項13】
請求項1の半導体製造装置において、
さらに、前記カメラの上方に第一の光学反射機構を備え、
前記剥離ユニットは、透明素材により形成され、前記ダイシングテープと当接するドームヘッドと、当該ドームヘッド内に設けられる第二の光学反射機構と、を備え、
前記制御装置は、前記剥離ユニットを前記ダイシングテープと当接したまま、前記カメラ、前記第一の光学反射機構および前記第二の光学反射機構により前記ダイシングテープを透して前記ダイシングテープが剥離された前記ダイの裏面を撮影するよう構成される半導体製造装置。
【請求項14】
ウエハから分割されたダイが貼付されたダイシングテープを保持するウエハリングを保持するウエハ保持台と、
前記ダイシングテープの下方に設けられる剥離ユニットと、
前記ウエハ保持台に保持される前記ダイシングテープの下方であって前記剥離ユニットの近傍に設けられるカメラと、
前記ダイを吸着するコレットを有するヘッドと、
前記剥離ユニットにより前記ダイの一部から前記ダイシングテープを剥離し、前記コレットで前記ダイを吸着した状態で前記カメラにより前記ダイシングテープを透して前記ダイシングテープが剥離された前記ダイの裏面を撮影して画像を取得し、前記画像に基づいて前記ダイの前記ダイシングテープからの剥離状態を確認するよう構成される制御装置と、
を備える半導体製造装置。
【請求項15】
ウエハから分割されたダイが貼付されたダイシングテープを保持するウエハリングを保持するウエハ保持台と、前記ダイシングテープの下方に設けられる剥離ユニットと、前記ダイシングテープの下方に設けられるカメラと、を備える半導体製造装置にウエハリングを搬入する搬入工程と、
前記剥離ユニットにより前記ダイの少なくとも一部から前記ダイシングテープを剥離し、前記カメラにより前記ダイシングテープを透して前記ダイシングテープが剥離された前記ダイの裏面を撮影して画像を取得し、前記画像に基づいて前記ダイの前記ダイシングテープからの剥離状態を確認する剥離確認工程と、
前記ウエハリングが保持するダイをピックアップするピックアップ工程と、
ピックアップした前記ダイを基板または既に基板にボンドされたダイにボンドするボンド工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15の半導体装置の製造方法において、
前記剥離確認工程は、ウエハマップデータに基づいて不良ダイの前記ダイシングテープからの剥離状態を確認する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体製造装置に関し、例えばダイ剥離状態の確認を行うダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
ダイボンダ等の半導体製造装置は、接合材料を用いて、例えば、素子を基板または素子の上にボンド(載置して接着)する装置である。接合材料は、例えば、液状またはフィルム状の樹脂やはんだ等である。素子は、例えば、半導体チップ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)およびガラスチップ等のダイや電子部品である。基板は、例えば、配線基板や金属薄板で形成されるリードフレーム、ガラス基板等である。
【0003】
例えば、ダイボンダによるダイボンディング工程の中には、半導体ウエハ(以下、単に、ウエハという。)から分割されたダイをダイシングテープから剥離する剥離工程がある。ダイシングテープはウエハリングに保持されてダイボンダに搬入される。剥離工程では、ダイシングテープ裏面から突上げユニットによってダイを突き上げて、ウエハ供給部に保持されたダイシングテープから、1個ずつ剥離し、ピックアップヘッドまたはボンドヘッドに設けられたコレット等の吸着ノズルを使ってダイがピックアップされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-158166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ピックアップの安定化のため、ダイシングテープからダイが剥離される量の管理が要望されている。例えば、突上げユニット等の剥離ユニットによりダイシングテープからダイを剥離し、ダイのダイシングテープからの剥離状態(ダイ剥離状態)を確認する場合、剥離されたダイを有するダイシングテープが保持されたウエハリングを半導体製造装置から搬出する。そして、ダイの裏面を撮影してダイ剥離状態を確認することがある。
【0006】
本開示の課題は、半導体製造装置においてダイ剥離状態の確認が可能な技術を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、半導体製造装置は、ダイシングテープの下方に設けられる剥離ユニットと、前記ダイシングテープの下方であって前記剥離ユニットの近傍に設けられるカメラと、制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記剥離ユニットにより前記ダイの少なくとも一部から前記ダイシングテープを剥離し、前記カメラにより前記ダイシングテープを透して前記ダイシングテープが剥離された前記ダイの裏面を撮影して画像を取得し、前記画像に基づいて前記ダイの前記ダイシングテープからの剥離状態を確認するよう構成される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、半導体製造装置においてダイ剥離状態の確認が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施形態におけるダイボンダの構成例を示す概略上面図である。
図2図2図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
図3図3図1に示すウエハ供給部の主要部を示す概略断面図である。
図4図4図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図5図5(a)は図3に示す剥離ユニットの概略上面図である。図5(b)はダイシングテープに接している状態の図5(a)に示す剥離ユニットの要部断面図である。図5(c)はブロックが突上げられている状態の図5(a)に示す剥離ユニットの要部断面図である。
図6図6図3に示すウエハ供給部の主要部構成および剥離状態を示す図である。
図7図7(a)は第二状態における剥離ユニットおよびダイ剥離が不十分な場合の画像を示す図である。図7(b)は第二状態における剥離ユニットおよびダイ剥離が十分な場合の画像を示す図である。
図8図8(a)はダイ剥離が不均一の場合の画像を示す図である。図8(b)は未剥離領域がx方向に位置ずれしている場合の画像を示す図である。図8(c)は未剥離領域がy方向に位置ずれしている場合を示す図である。図8(d)は未剥離領域がθ方向に位置ずれしている場合の画像を示す図である。
図9図9は第一変形例におけるウエハ供給部の主要部構成を示す図である。
図10図10(a)は第二変形例におけるウエハ供給部の主要部構成を示す上面図である。図10(b)は第二変形例におけるウエハ供給部の主要部構成を示す断面図である。
図11図11は第三変形例におけるウエハ供給部の主要部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0011】
半導体製造装置の一実施形態であるダイボンダの構成について図1から図3を用いて説明する。図1は実施形態におけるダイボンダの構成例を示す概略上面図である。図2図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。図3図1に示すウエハ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【0012】
ダイボンダ1は、大別して、ウエハ供給部10と、ピックアップ部20、中間ステージ部30と、ボンディング部40と、搬送部50、基板供給部60と、基板搬出部70と、制御部(制御装置)80と、を有する。Y方向がダイボンダ1の前後方向であり、X方向が左右方向であり、Z方向が上下方向である。ウエハ供給部10がダイボンダ1の前側に配置され、ボンディング部40が後側に配置される。
【0013】
ウエハ供給部10は、ウエハカセットリフタ11と、ウエハ保持台12と、剥離ユニット13と、ウエハ認識カメラ14と、アンダビジョンカメラ15と、を有する。
【0014】
ウエハカセットリフタ11は複数のウエハリングWRが格納されるウエハカセット(不図示)をウエハ搬送高さまで上下動させる。ウエハ修正シュート(不図示)はウエハカセットリフタ11から供給されるウエハリングWRのアライメントを行う。ウエハエキストラクタ(不図示)はウエハリングWRをウエハカセットから取出してウエハ保持台12に供給したり、ウエハ保持台12から取り出してウエハカセットに収納したりする。
【0015】
ウエハ保持台12は、ウエハリングWRを保持するエキスパンドリング121と、ウエハリングWRに保持されダイシングテープDTを水平に位置決めする支持リング122と、を有する。剥離ユニット13およびアンダビジョンカメラ15は支持リング122の内側に配置される。
【0016】
ダイシングテープDT上にウエハWが接着(貼付)されており、そのウエハWは複数のダイDに分割されている。ダイシングテープDTは可視光に対して透明である。ウエハWとダイシングテープDTとの間にダイアタッチフィルム(DAF)と呼ばれるフィルム状の接着材料DFを貼り付けている。接着材料DFは加熱することで硬化する。
【0017】
ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを剥離ユニット13の位置に移動させる。また、ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってXY平面内においてウエハリングWRを回転またはXY移動させる。剥離ユニット13は図示しない駆動部によって上下方向に移動する。剥離ユニット13はダイシングテープDTからダイDを剥離する。
【0018】
ウエハ認識カメラ14はウエハWからピックアップするダイDのピックアップ位置を把握したり、ダイDの表面検査をしたりする。アンダビジョンカメラ15はダイ剥離状態を確認する。
【0019】
ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21と、Y駆動部23と、を有する。ピックアップヘッド21には、剥離されたダイDを先端に吸着保持するコレット22が設けられる。ピックアップヘッド21はウエハ供給部10からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。Y駆動部23はピックアップヘッド21をY軸方向に移動させる。ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21を昇降、回転及びX方向移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0020】
中間ステージ部30は、ダイDが載置される中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識するためのステージ認識カメラ34と、を有する。中間ステージ31は載置されたダイDを吸着する吸引孔を備える。載置されたダイDは中間ステージ31に一時的に保持される。中間ステージ31はダイDが載置される載置ステージであると共に、ダイDがピックアップされるピックアップステージでもある。
【0021】
ボンディング部40は、ボンドヘッド41と、Y駆動部43と、基板認識カメラ44と、ボンドステージ46と、を有する。ボンドヘッド41にはダイDを先端に吸着保持するコレット42が設けられる。Y駆動部43はボンドヘッド41をY軸方向に移動させる。基板認識カメラ44は基板Sの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンド位置を認識する。ここで、基板Sには、最終的に一つのパッケージとなる、複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)が形成されている。位置認識マークはパッケージエリアPごとに設けられる。ボンドステージ46は、基板SにダイDが載置される際、上昇させられ、基板Sを下方から支える。ボンドステージ46は基板Sを真空吸着するための吸引口(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。ボンドステージ46は基板Sを加熱する加熱部(不図示)を有する。ボンディング部40は、ボンドヘッド41を昇降、回転及びX方向移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0022】
このような構成によって、ボンドヘッド41は、ステージ認識カメラ34の撮像データに基づいてピックアップ位置や姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップする。そして、ボンドヘッド41は、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板SのパッケージエリアP上にボンドし、または既に基板SのパッケージエリアPの上にボンドされたダイの上に積層する形でボンドする。
【0023】
搬送部50は、基板Sを掴み搬送する搬送爪51と、基板Sが移動する搬送レーン52と、を有する。基板Sは、搬送レーン52に設けられた搬送爪51の図示しないナットを搬送レーン52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによってX方向に移動する。このような構成によって、基板Sは、基板供給部60から搬送レーン52に沿ってボンド位置まで移動し、ボンド後、基板搬出部70まで移動して、基板搬出部70に基板Sを渡す。
【0024】
基板供給部60は、搬送治具に格納されて搬入された基板Sを搬送治具から取り出して搬送部50に供給する。基板搬出部70は、搬送部50により搬送された基板Sを搬送治具に格納する。
【0025】
制御部80は、ダイボンダ1の各部の動作を監視し制御するプログラム(ソフトウエア)およびデータを格納する記憶装置と、記憶装置に格納されたプログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、入出力装置(不図示)と、を備える。入出力装置は、画像取込装置(不図示)、モータ制御装置(不図示)およびI/O信号制御装置(不図示)等を有する。画像取込装置は、ウエハ認識カメラ14、アンダビジョンカメラ15、ステージ認識カメラ34および基板認識カメラ44からの画像データを取り込む。モータ制御装置は、ウエハ供給部10の駆動部、ピックアップ部20の駆動部、ボンディング部40の駆動部等を制御する。I/O信号制御装置は、種々のセンサ信号を取り込んだり、照明装置などのスイッチ等の信号部を制御したりする。
【0026】
ダイボンダ1を用いた半導体装置の製造工程の一部(半導体装置の製造方法)について図4を用いて説明する。図4図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。以下の説明において、ダイボンダ1を構成する各部の動作は制御部80により制御される。
【0027】
(ウエハ搬入工程:工程S1)
ウエハリングWRがウエハカセットリフタ11のウエハカセットに供給される。供給されたウエハリングWRがウエハ保持台12に供給される。なお、ウエハWは、予めプローバ等の検査装置により、ダイ毎に検査され、ダイの良、不良を示すウエハマップデータが生成されている。このウエハマップデータは制御部80の記憶装置に記憶される。
【0028】
(基板搬入工程:工程S2)
基板Sが格納された搬送治具が基板供給部60に供給される。基板供給部60で搬送治具から基板Sが取り出され、基板Sが搬送爪51に固定される。
【0029】
(ピックアップ工程:工程S3)
工程S1後、所望するダイDをダイシングテープDTからピックアップできるようにウエハ保持台12が動かされる。ウエハ認識カメラ14によりダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データを画像処理することによって、ダイボンダのダイ位置基準点からのウエハ保持台12上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、ウエハ保持台12の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データを画像処理することによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0030】
位置決めされたダイDは剥離ユニット13およびピックアップヘッド21によりダイシングテープDTから剥離される。ダイシングテープDTから剥離されたダイDは、ピックアップヘッド21に設けられたコレット22に吸着、保持されて、中間ステージ31に搬送されて載置される。
【0031】
ステージ認識カメラ34により中間ステージ31の上のダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データを画像処理することによって、ダイボンダのダイ位置基準点からの中間ステージ31上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、中間ステージ31の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データを画像処理することによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0032】
ダイDを中間ステージ31に搬送したピックアップヘッド21はウエハ供給部10に戻される。上述した手順に従って、次のダイDがダイシングテープDTから剥離され、以後同様の手順に従ってダイシングテープDTから1個ずつダイDが剥離される。
【0033】
(ボンド工程:工程S4)
搬送部50により基板Sがボンドステージ46に搬送される。ボンドステージ46上に載置された基板Sが基板認識カメラ44により撮像され、撮影によって画像データが取得される。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダ1の基板位置基準点からの基板Sのずれ量(X、Y、θ方向)が算出される。なお、基板位置基準点は、予め、ボンディング部40の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。
【0034】
工程S3において算出された中間ステージ31上のダイDのずれ量からボンドヘッド41の吸着位置が補正されてダイDがコレット42により吸着される。中間ステージ31からダイDを吸着したボンドヘッド41によりボンドステージ46に支持された基板Sの所定箇所にダイDがボンドされる。ここで、基板Sの所定箇所は、基板SのパッケージエリアP、または、すでに素子が載置されており、それに加える形で素子をボンドする際の領域、または、積層ボンドする素子のボンド領域である。基板認識カメラ44により基板SにボンドされたダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDが所望の位置にボンドされたかどうか等の検査が行われる。
【0035】
ダイDを基板Sにボンドしたボンドヘッド41は中間ステージ31に戻される。上述した手順に従って、次のダイDが中間ステージ31からピックアップされ、基板Sにボンドされる。これが繰り返されて基板SのすべてのパッケージエリアPにダイDがボンドされる。
【0036】
(基板搬出工程:工程S5)
ダイDがボンドされた基板Sが基板搬出部70に搬送される。基板搬出部70で搬送爪51から基板Sが取り出されて搬送治具に格納される。ダイボンダ1から基板Sが格納されている搬送治具が搬出される。
【0037】
上述したように、ダイDは、基板S上に実装され、ダイボンダ1から搬出される。その後、例えば、ダイDが実装された基板Sが格納された搬送治具がワイヤボンディング工程に搬送され、ダイDの電極はAuワイヤ等を介して基板Sの電極と電気的に接続される。そして、基板Sがモールド工程に搬送され、ダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、半導体パッケージが完成する。
【0038】
積層ボンドする場合は、ワイヤボンディング工程に続いて、ダイDが実装された基板Sが載置格納された搬送治具がダイボンダに搬入されて基板S上に実装されたダイDの上にダイDが積層される。そして、ダイボンダから搬出された後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。第二段目より上のダイDは、上述した方法でダイシングテープDTから剥離された後、ボンディング部に搬送されてダイDの上に積層される。上記工程が所定回数繰り返された後、基板Sがモールド工程に搬送され、複数個のダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、積層パッケージが完成する。
【0039】
剥離ユニット13の構成および動作について図5(a)から図5(c)を用いて説明する。図5(a)は図3に示す剥離ユニットの概略上面図である。図5(b)はダイシングテープに接している状態の図5(a)に示す剥離ユニットの要部断面図である。図5(c)はブロックが突上げられている状態の図5(a)に示す剥離ユニットの要部断面図である。
【0040】
図5(a)に示すように、剥離ユニット13は複数のブロック131a~131dを有するブロック部131と、ダイシングテープDTを吸着する複数の吸引孔(不図示)を有するドームヘッド132と、を有する。四つのブロック131a~131dは制御部80により独立に上下運動が可能である。同心四角状のブロック131a~131dの平面形状はダイDの形状に合うように構成される。
【0041】
ピックアップ動作はダイシングテープDT上の目的とするダイDが剥離ユニット13に位置決めされ、ピックアップヘッド21のコレット22がダイDに位置決めされるところから開始する。図5(b)に示すように、位置決めが完了すると剥離ユニット13の図示していない吸引孔および間隙を介して真空引きすることによって、ダイシングテープDTが剥離ユニット13の上面に吸着される。このとき、ブロック131a~131dの上面はドームヘッド132の上面と同一の高さ(初期位置)にある。その状態で真空供給源から真空が供給され、コレット22がダイDのデバイス面(上面)に向けて真空引きしながら降下し、ダイDの上面に着地する。
【0042】
その後、ブロック131a~131dが同時に突上げられて、剥離ユニット13は第一状態(PU1)にされる。第一状態(PU1)は、ブロック131a~131dがダイシングテープDTと当接している状態である。その後さらに、ブロック131b~131dが同時に突上げられて、剥離ユニット13は第二状態(PU2)にされる。第二状態(PU2)は、ブロック131b~131dがダイシングテープDTと当接している状態である。その後さらに、ブロック131c,131dが同時に突上げられて、剥離ユニット13は第三状態(PU3)にされる。第三状態(PU3)は、ブロック131c,131dがダイシングテープDTと当接している状態である。その後さらに、図5(c)に示すように、ブロック131dが突上げてられてブロック部131がピラミッド状にされ、剥離ユニット13は第四状態(PU4)にされる。第四状態(PU4)は、ブロック131dがダイシングテープDTと当接している状態である。本開示では、この動作をMS(Multi Step)動作という。
【0043】
剥離ユニット13は、上述したMS動作の他に下記の動作も可能である。ブロック131a~131dが同時に突上げられて、剥離ユニット13は第一状態(PU1)にされる。第一状態(PU1)は、ブロック131a~131dがダイシングテープDTと当接している状態である。その後、ブロック131aが下げられて、剥離ユニット13は第二状態(PU2)にされる。第二状態(PU2)は、ブロック131b~131dがダイシングテープDTと当接している状態である。その後、ブロック131bが下げられて、剥離ユニット13は第三状態(PU3)にされる。第三状態(PU3)は、ブロック131c,131dがダイシングテープDTと当接している状態である。その後、ブロック131cが下げられてブロック部131がピラミッド状にされ、剥離ユニット13は第四状態(PU4)にされる。第四状態(PU4)は、ブロック131dがダイシングテープDTと当接している状態である。本開示では、この動作をRMS(Reverse Multi Step)動作という。
【0044】
MS動作またはRMS動作をしている間、ダイDはコレット22とブロック部131の全体または一部に挟まれたままである。ブロック部131をピラミッド状にする等、複数のブロック間に段差を設けることにより、ダイシングテープDTの張力によりダイシングテープDTがダイDから剥離される。図5(c)に示す状態では、ブロック131dがダイシングテープDTと当接している箇所のみにおいて、ダイシングテープDTはダイDと接着している。
【0045】
その後、コレット22が上方に引き上げられると共に、ブロック131dが引き下げられることにより、ダイDがダイシンテープDTから完全に剥離してピックアップされる。
【0046】
MS動作およびRMS動作における第一状態(PU1)、第二状態(PU2)、第三状態(PU3)および第四状態(PU4)は剥離ユニット13の複数のステップ動作により行われる。タイムチャートレシピ(ピックアップレシピ)に基づいて、制御部80は各ブロック131a~131dをそれぞれ駆動するモータ等を制御する。ここで、タイムチャートレシピには各ブロック131a~131dの動作がブロック毎およびステップ毎にステップの時間、ブロックの上昇または下降の速度、ブロックの高さ(位置)等により設定される。これにより、剥離ユニット13はステップ動作を行う。
【0047】
ウエハ供給部におけるダイの剥離状態の確認について図2図5(b)、図5(c)および図6を用いて説明する。図6図3に示すウエハ供給部の主要部構成およびダイの剥離状態の画像例を示す図である。図6における画像IMに示したx軸およびy軸は、ダイボンダ1のX軸およびY軸に対応する。
【0048】
図2に示すように、アンダビジョンカメラ15は剥離ユニット13の横であって、剥離ユニット13と干渉せず、ウエハ保持台12の可動範囲内に固定して配置される。アンダビジョンカメラ15はその上方を撮影するよう上を向いて配置され、その光学軸はZ方向に沿っている。この撮影はアンダビジョンカメラ15の光学軸に対して傾いた方向から照明光が照射される斜光照明を用いるのが好ましい。
【0049】
本実施形態では、ダイボンダ1を連続動作させる前(生産開始前)における装置の条件出しの際に、ダイ剥離状態を確認する。または、ダイボンダ1の連続動作中(生産中)において、例えば、新たなウエハリングWRをウエハ保持台12にローディングした際に、ダイ剥離状態を確認する。なお、連続動作中は、上述した工程S1と工程S3との間に、ウエハリングWRをローディングする毎にダイ剥離状態の確認を行ってもよいし、ウエハリングWRの複数回のローディングに一回の割合で行ってもよい。複数回は所定回数であってもよいし、任意回数であってもよい。また、連続動作中は、ウエハマップデータによって不良とされるダイを用いてダイ剥離状態を確認するのが好ましい。この場合、ダイ剥離状態を確認するダイはウエハの端部に位置しないダイを用いるのが好ましい。以下、そのシーケンスを説明する。
【0050】
まず、制御部80は、例えば、上述したピックアップ動作により、図5(c)に示すように、剥離ユニット13を第四状態(PU4)にし、ブロック部131を突き上げてダイDからダイシングテープDTを部分的に剥離する。
【0051】
次に、制御部80は、剥離ユニット13を図5(c)に示す第四状態(PU4)から図5(b)に示す初期状態に戻す。
【0052】
次に、図6に示すように、制御部80は剥離ユニット13を下方に退避する。そして、制御部80はウエハ保持台12を動かして、突き上げによりダイシングテープDTが部分的に剥離されたダイ(剥離ダイDp)をアンダビジョンカメラ15の上方に配置する。この場合、ピックアップヘッド21のコレット22も上方に退避されている。
【0053】
次に、制御部80は、アンダビジョンカメラ15によりダイシングテープDTを透して剥離ダイDpを撮影して画像IMを取得する。画像IMは剥離ダイDpがダイシングテープDTから剥離している剥離領域PLDおよび剥離していない未剥離領域UPLを含む剥離痕の画像である。
【0054】
上述したシーケンスにより、ダイ剥離状態をウエハ受払することなく確認することが可能となる。ウエハ受払とは、剥離ダイDp等を有するダイシングテープDTを保持するウエハリングWRをダイボンダ1から搬出したり搬入したりすることである。
【0055】
次に、制御部80は、アンダビジョンカメラ15により撮影して取得した画像IMを画像処理して剥離領域PLDと未剥離領域UPLを分離してダイ剥離状態を確認する。例えば、制御部80は、ブロック部131のうちダイシングテープDTと当接している最も外側に位置するブロックの四つの外側端部OPと未剥離領域UPLとの位置関係によりダイ剥離状態を確認する。
【0056】
剥離ユニット13を第二状態(PU2)にすることにより、ブロック131bの四つの外側端部OPと未剥離領域UPLとの位置関係によりダイ剥離状態を確認することが可能になる。剥離ユニット13が第三状態(PU3)にすることにより、ブロック131cの四つの外側端部と未剥離領域UPLとの位置関係によりダイ剥離状態を確認することが可能になる。剥離ユニット13が第四状態(PU4)にすることにより、ブロック131dの四つの外側端部と未剥離領域UPLとの位置関係によりダイ剥離状態を確認することが可能になる。
【0057】
実際の画像IMは、図6に示すような、剥離領域PLDと未剥離領域UPLとのコントラストが高い画像ではなく、コントラストの低い淡い画像になる。そのため、ダイ剥離状態の確認において、制御部80は、画像IMを平滑化処理し、平滑化処理によりノイズが除去された画像を帯エリアでのエッジ検出処理を行って、剥離領域PLDと未剥離領域UPLを分離して剥離痕を検出する。
【0058】
平滑化処理としては、平滑化フィルタを一回または複数回実施する。例えば、5×5のフィルタや7×7のフィルタを用いる場合は一回でもよいが、3×3のフィルタを用いる場合は複数回実施するのが好ましい。
【0059】
帯エリアでのエッジ検出(帯状にエッジ検出)とは、1画素に対してではなく、複数の画素に対して行うエッジ検出である。通常エッジ検出は1直線上の濃淡の変化から導き出すため検査幅は1画素になるが、ノイズ除去を目的としエッジ長が十分長い場合には検査幅を複数画素にして平均化を行って求めることもある。このため、対象とする画像が矩形である場合に有効であり、各辺につき例えば10程度の画素のエッジを検出し、検出した各エッジを延伸して矩形状エリアを設定する。なお、未剥離領域UPLの形状はブロックの平面視における形状に倣った矩形状である。
【0060】
制御部80は、ダイ剥離状態の確認後、画像IMを用いてピックアップレシピの適正判断またはピックアップレシピ自体の修正または警告を行うことが可能である。これについて、図7(a)および図7(b)を用いて説明する。図7(a)は第二状態における剥離ユニットおよびダイ剥離が不十分な場合の画像を示す図である。図7(b)は第二状態における剥離ユニットおよびダイ剥離が十分な場合の画像を示す図である。図7(a)および図7(b)においては、ブロック131aはドームヘッド132の上面とブロック131b~131dの上面との間に位置している。
【0061】
制御部80は、図7(b)に示すように、剥離領域PLDと未剥離領域UPLの境界部がダイシングテープDTに当接しているブロックの四つの外側端部OPにより構成されるブロック外周と同等または小さい場合、完全に剥離している(ダイ剥離が十分である)と判断する。
【0062】
制御部80は、図7(a)に示すように、剥離領域PLDと未剥離領域UPLの境界部がブロック外周よりも大きい場合、ダイ剥離が不十分であると判断する。ダイ剥離が不十分である場合、下記に示すように、ピックアップレシピの修正を行ってもよい。
【0063】
MS動作においては、撮影直前のブロック高さおよびピックアップタイマーの時間を増やす。
【0064】
RMS動作においては、第一状態(PU1)にするステップのブロック全体の上昇するブロック高さを増やす。または、撮影直前のブロックが下降するブロック高さを下げる(図7(a)においては、ブロック131aのブロック高さ)。またはピックアップタイマーの時間を増やす。またはこれらを組み合わせてもよい。
【0065】
RMS動作においては、高速性と低ストレス性の優先度を決めてそれに基づいてピックアップレシピの修正を選択する。高速性を優先する場合は突き上げ高さを増やす、またはピックアップタイマーの時間を減らす。または両者を実施する。低ストレス性を優先する場合は突き上げ高さを減らす、またはピックアップタイマーの時間を増やす。または両者を実施する。
【0066】
剥離領域PLD(未剥離領域UPL)がx、y、θ方向において均一でない場合、制御部80はダイ剥離状態から機構の位置補正を行うことが可能である。これについて、図8(a)~図8(d)を用いて説明する。図8(a)はダイ剥離が不均一の場合の画像を示す図である。図8(b)は未剥離領域がx方向に位置ずれしている場合の画像を示す図である。図8(c)は未剥離領域がy方向に位置ずれしている場合を示す図である。図8(d)は未剥離領域がθ方向に位置ずれしている場合の画像を示す図である。
【0067】
図8(a)に示すように、ブロック外周OPに対して未剥離領域UPLが不均一に位置する場合(ダイ剥離が不均一の場合)、制御部80は、楕円で囲まれた領域はダイシングテープDTに当接しているブロックの高さが設定よりも低い。すなわち、ブロック部131が傾いて上昇していると判断する。これにより、ブロック平坦度の正常度を診断することが可能となる。制御部80はブロック部131が傾いていると判断した場合、警告を行ってもよい。
【0068】
剥離領域PLDと未剥離領域UPLの境界部がブロック外周の大きさと同等である場合、制御部80はダイDに対するブロック部131の位置ずれ量が確認可能である。制御部80は、図8(b)に示すように、本来のブロック外周OPaに対して未剥離領域UPLがy軸の(+)方向にずれて確認される場合、ブロック部131がY軸の(+)方向に位置がずれていると判断する。制御部80は、図8(c)に示すように、本来のブロック外周OPaに対して未剥離領域UPLがx軸の(-)方向にずれて確認される場合、ブロック部131がX軸の(+)方向に位置がずれていると判断する。制御部80は、図8(d)に示すように、本来のブロック外周OPaに対して未剥離領域UPLがθの(+)方向にずれて確認される場合、ブロック部131がθの(-)方向に位置がずれていると判断する。制御部80は、これらの位置ずれ量を算出して、算出した位置ずれ量に基づいてウエハ保持台12と剥離ユニット13の位置関係を補正する。例えば、ウエハ保持台12の位置や姿勢を補正してもよいし、剥離ユニット13の位置や姿勢を補正するようにしてもよい。
【0069】
実施形態によれば、ダイボンダ等の半導体製造装置において、ダイ剥離状態の確認が可能となる。これにより、ダイ剥離状態に基づいてピックアップレシピの良否や剥離ユニットの動作不良などの判断が可能となる。
【0070】
また、実施形態によれば、複数ブロックによる多段の突き上げの各段階の途中経過のダイ剥離確認が可能となる。
【0071】
また、実施形態によれば、ピックアップレシピの剥離条件の最適化が図れ、ピックアップ時のダイの割れや欠けを防止することが可能となるる。これにより、より薄いダイのピックアップに対応することができる。例えば、半導体装置の高密度実装を推進する目的で、配線基板上に複数枚のダイを三次元的に実装する積層パッケージが実用化されている。このような積層パッケージを組み立てるに際しては、厚さが数十μm程度まで薄く加工されたいわゆる薄ダイが使用される。このような薄ダイのピックアップに対応することが可能である。
【0072】
<変形例>
以下、実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施例の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0073】
(第一変形例)
図9は第一変形例におけるウエハ供給部の主要部構成を示す図である。
【0074】
実施形態では、アンダビジョンカメラ15を固定して配置する例を説明した。これに対して、第二変形例におけるアンダビジョンカメラ15は剥離ユニット13の上方の位置と剥離ユニット13と干渉しない位置との間を移動可能に設けられる。制御部80は、剥離ユニット13をアンダビジョンカメラ15と干渉の無い下方に退避して、アンダビジョンカメラ15自体を剥離ダイDpの位置に動かす。アンダビジョンカメラ15による撮影は、実施形態と同様に、アンダビジョンカメラ15の光学軸に対して傾いた方向から照明光が照射される斜光照明を用いるのが好ましい。制御部80はウエハ保持台12を動かして剥離ダイDpを動かす必要がないので、ピックアップヘッド21のコレット22を上方に退避する必要はなくなる。これにより、コレット22で剥離ダイDpを吸着したまま撮影できるので、撮影中の剥離ダイDpのダイシングテープDTへの再付着を防止することができる。
【0075】
(第二変形例)
図10(a)は第二変形例におけるウエハ供給部の主要部構成を示す上面図である。図10(b)は第二変形例におけるウエハ供給部の主要部構成を示す断面図である。図10(a)においては、ダイシングテープDTおよび剥離ダイDpを除いて示されている。
【0076】
第二変形例における剥離ユニット13のドームヘッド132は透明素材により構成される。そして、アンダビジョンカメラ15の光学軸をZ方向に対して傾けて、剥離ダイDpの裏面を斜め下方から撮影する位置にアンダビジョンカメラ15が設置される。アンダビジョンカメラ15は剥離ダイDpの一辺に対向して一つ配置する。なお、アンダビジョンカメラ15は剥離ダイDpの隣接する二辺に対向して二つ配置してもよい。また、アンダビジョンカメラ15は剥離ダイDpの四辺に対向して四つ配置してもよい。
【0077】
このような構成により、ブロック部131の突き上げ後、剥離ユニット13を下方に退避したり、コレット22から剥離ダイDpをリリースしたりしなくても、剥離ダイDpにおけるダイ剥離状態を確認することが可能である。よって生産中におけるピックアップ動作中にもダイ剥離状態を確認することが可能である。また、第一変形例と同様に、コレット22で剥離ダイDpを吸着したまま撮影できるので、撮影中の剥離ダイDpのダイシングテープDTへの再付着を防止することができる。
【0078】
(第三変形例)
図11は第三変形例におけるウエハ供給部の主要部構成を示す図である。
【0079】
第三変形例における剥離ユニット13のドームヘッド132は透明素材により構成される。アンダビジョンカメラ15は実施形態と同様に配置すされる。さらに、プリズムやミラーなど光学反射機構16aがアンダビジョンカメラ15の上方であってダイシングテープDTよりも下方に設置される。光学反射機構16aはアンダビジョンカメラ15の光学軸に対して略45度の反射面を有する。さらに、光学反射機構16bがドームヘッド132内に設けられる。光学反射機構16bはドームヘッド132の上面に対して45度よりも小さく角度の反射面を有する。アンダビジョンカメラ15は剥離ダイDpの一辺に対向して一つ配置する。
【0080】
なお、アンダビジョンカメラ15は剥離ダイDpの隣接する二辺に対向して二つ配置してもよい。二つのアンダビジョンカメラ15に対応して二組も光学反射機構16a,16bを設けられる。また、アンダビジョンカメラ15は剥離ダイDpの四辺に対向して四つ配置してもよい。四つのアンダビジョンカメラ15に対応して四組の光学反射機構16a,16bを設けられる。
【0081】
このような構成により、ブロック部131の突き上げ後、剥離ユニット13を下方に退避したり、コレット22から剥離ダイDpをリリースしたりしなくても、剥離ダイDpにおけるダイ剥離状態を確認することが可能である。よって、生産中におけるピックアップ動作中にもダイ剥離状態を確認することが可能である。また、第一変形例と同様に、コレット22で剥離ダイDpを吸着したまま撮影できるので、撮影中の剥離ダイDpのダイシングテープDTへの再付着を防止することができる。
【0082】
以上、本開示者らによってなされた開示を実施形態および変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0083】
例えば、実施形態では、ブロック数は四個の例を説明したが、ダイサイズに応じてブロック数が三個以下や五個以上であってもよい。
【0084】
また、実施形態では、剥離ユニットの複数のブロックは同心四角状のものについて説明したが、同心円形状や同心楕円形状のものであってもよいし、四角状ブロックを平行に並べて構成してもよい。
【0085】
また、実施形態では、剥離ユニットの複数のブロックを突き上げて剥離する例を説明したが、ブロック等をスライドして剥離するようしてもよい。
【0086】
また、実施形態では、ダイアタッチフィルムを用いる例を説明したが、基板に接着剤を塗布するプリフォーム部を設けてダイアタッチフィルムを用いなくてもよい。
【0087】
また、実施形態では、ウエハ供給部からダイをピックアップヘッドでピックアップして中間ステージに載置し、中間ステージに載置されたダイをボンディングヘッドで基板にボンディングするダイボンダについて説明した。しかし、これに限定されるものではなく、ダイ供給部からダイをピックアップするダイボンディング装置に適用可能である。
【0088】
例えば、中間ステージとピックアップヘッドがなく、ウエハ供給部のダイをボンディングヘッドで基板にボンディングするダイボンダにも適用可能である。
【0089】
また、中間ステージがなく、ウエハ供給部からダイをピックアップしダイピックアップヘッドを上に回転してダイをボンディングヘッドに受け渡しボンディングヘッドで基板にボンディングするフリップチップボンダに適用可能である。
【0090】
実施形態では、ダイボンダを例に説明したが、ピックアップしたダイをトレイに載置する半導体製造装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0091】
1・・・ダイボンダ(半導体製造装置)
12・・・ウエハ保持台
13・・・剥離ユニット
15・・・アンダビジョンカメラ(カメラ)
80・・・制御部(制御装置)
D・・・ダイ
Dp・・・剥離ダイ
W・・・ウエハ
WR・・・ウエハリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11