(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024580
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】シート給送装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 43/00 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
B65H43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080899
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2022126983
(32)【優先日】2022-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】山本 和也
【テーマコード(参考)】
3F048
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA05
3F048BB02
3F048CC04
3F048CC17
3F048DA06
3F048DB04
3F048DC13
3F048DC14
3F048EA15
3F048EB30
(57)【要約】
【課題】シートの不給送を生じにくくする。
【解決手段】第1検知センサ61に対して給送方向の下流側に所定距離X離れた所定位置に、シートPの後端が達した状態を判別可能な判別手段(制御部80)が設けられている。そして、第2検知センサ62によって先行シートP1の後端が検知された場合には、その検知タイミングをトリガーにして後行シートの給送を開始する。これに対して、第2検知センサ62によって先行シートP1の後端が検知されずに、第1検知センサ61によって先行シートP1の後端が検知された場合には、その検知タイミングをトリガーにして後行シートP2の給送を開始する。さらに、第1検知センサ61によって先行シートP1の後端が検知されずに、判別手段によって先行シートP1の後端が所定位置に達したものと判別された場合には、その判別タイミングをトリガーにして後行シートP2の給送を開始する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートを積載可能な載置部と、
前記載置部に載置されたシートを給送方向に給送する第1給送部材と、
前記第1給送部材によって給送されたシートをさらに前記給送方向に給送する第2給送部材と、
前記第2給送部材に当接してニップを形成する分離部材と、
前記ニップに対して前記給送方向の下流側に設置されて、シートを検知可能な第1検知手段と、
前記第1給送部材に対して前記給送方向の下流側であって、前記ニップに対して前記給送方向の上流側に設置されて、シートを検知可能な第2検知手段と、
前記第1検知手段に対して前記給送方向の下流側に所定距離離れた所定位置に、シートの後端が達した状態を判別可能な判別手段と、
を備え、
前記第2検知手段によって先行シートの後端が検知された場合には、その検知タイミングをトリガーにして後行シートの給送を開始して、
前記第2検知手段によって前記先行シートの後端が検知されずに、前記第1検知手段によって前記先行シートの後端が検知された場合には、その検知タイミングをトリガーにして前記後行シートの給送を開始して、
前記第1検知手段によって前記先行シートの後端が検知されずに、前記判別手段によって前記先行シートの後端が前記所定位置に達したものと判別された場合には、その判別タイミングをトリガーにして前記後行シートの給送を開始することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記判別手段は、レジストローラ対によって前記給送方向の下流側に向けて前記先行シートの搬送が開始されてから所定時間が経過したときに、前記所定位置に前記先行シートの後端が達したものと判別することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記所定位置に設置されてシートを検知可能な第3検知手段の検知結果に基づいて、前記所定位置に前記先行シートの後端が達したものと判別することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記第1検知手段が前記後行シートを検知しない状態から検知する状態に変化した場合に、前記後行シートの給送を一時停止して、前記判別手段によって前記先行シートの後端が前記所定位置に達したものと判別された後に、前記後行シートの給送を再開することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記第2検知手段の検知をトリガーにした前記後行シートの給送が開始された後に、前記第2検知手段が前記後行シートを検知しない状態から検知する状態に変化した場合であって、前記第1検知手段が前記先行シートを検知しているときに、前記後行シートの給送を一時停止して、前記第1検知手段が前記先行シートを検知している状態から検知しない状態に変化した後に前記後行シートの給送を再開することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記第1検知手段は、前記給送方向に直交する幅方向の中央位置から離れた位置に配置されて、第1の幅方向サイズ以上のシートを検知可能に形成され、
前記第2検知手段は、前記第1検知手段よりも前記幅方向の端部側に配置されて、前記第1の幅方向サイズよりも大きな第2の幅方向サイズ以上のシートを検知可能に形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記第1検知手段と前記第2検知手段との検知結果に基づいて、給送されたシートの幅方向サイズと、予め給送されるものと装置に認識されていたシートの幅方向サイズと、の大小関係を判別して、その大小関係に応じて異常処理を実行することを特徴とする請求項6に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記第1検知手段で検知されない幅方向サイズの前記先行シートが給送される場合には、前記判別手段によって前記先行シートの後端が前記所定位置に達したものと判別したときに、その判別タイミングをトリガーにして前記後行シートの給送を開始し、
前記第1検知手段で検知可能であって前記第2検知手段で検知されない幅方向サイズの前記先行シートが給送される場合には、
前記第1検知手段によって前記先行シートの後端が検知されたときに、その検知タイミングをトリガーにして前記後行シートの給送を開始して、
前記第1検知手段によって前記先行シートの後端が検知されずに、前記判別手段によって前記先行シートの後端が前記所定位置に達したものと判別されたときに、その判別タイミングをトリガーにして前記後行シートの給送を開始することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のシート給送装置。
【請求項9】
前記第2給送部材よりも前記給送方向の下流側に下流側搬送ローラ対が設置され、
前記第1検知手段は、前記ニップに対して前記給送方向の下流側の近傍であって、前記下流側搬送ローラ対に対して前記給送方向の上流側に設置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載のシート給送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙(転写紙)や原稿などのシートを給送するシート給送装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、用紙や原稿などのシートを所定の給送方向に給送するシート給送装置が設置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、特許文献1には、分離ローラ対(フィードローラ、及び、分離ローラ)の分離ニップ(ニップ)に対して、給送方向下流側に第1原稿センサ(第1検知センサ)を設置して、給送方向上流側に第2原稿センサ(第2検知センサ)を設置する技術が開示されている。そして、先行の原稿(先行シート)に対して2つの原稿センサのうち少なくとも1つが検知状態から非検知状態に変化したときに、後続の原稿(後行シート)の給送を開始している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、フィードローラと分離ローラとのニップに対して、給送方向下流側に設置した第1検知センサの位置を越えて下流側にまで、後行シートが先行シートとともに連れ送られてしまったときに(「連送」が生じたときに)、第1、第2検知センサがシートを検知した状態が続いてしまって、先行シートの検知状態から非検知状態への変化に基づいて後行シートの給送を開始する制御をおこなうことができなかった。そのため、後行シートの不給送が生じてしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、シートの不給送が生じにくい、シート給送装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるシート給送装置は、複数枚のシートを積載可能な載置部と、前記載置部に載置されたシートを給送方向に給送する第1給送部材と、前記第1給送部材によって給送されたシートをさらに前記給送方向に給送する第2給送部材と、前記第2給送部材に当接してニップを形成する分離部材と、前記ニップに対して前記給送方向の下流側に設置されて、シートを検知可能な第1検知手段と、前記第1給送部材に対して前記給送方向の下流側であって、前記ニップに対して前記給送方向の上流側に設置されて、シートを検知可能な第2検知手段と、前記第1検知手段に対して前記給送方向の下流側に所定距離離れた所定位置に、シートの後端が達した状態を判別可能な判別手段と、を備え、前記第2検知手段によって先行シートの後端が検知された場合には、その検知タイミングをトリガーにして後行シートの給送を開始して、前記第2検知手段によって前記先行シートの後端が検知されずに、前記第1検知手段によって前記先行シートの後端が検知された場合には、その検知タイミングをトリガーにして前記後行シートの給送を開始して、前記第1検知手段によって前記先行シートの後端が検知されずに、前記判別手段によって前記先行シートの後端が前記所定位置に達したものと判別された場合には、その判別タイミングをトリガーにして前記後行シートの給送を開始するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートの不給送が生じにくい、シート給送装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図3】シート給送装置から転写部に至るシートの搬送経路と、搬送機構の駆動系と、を示す概略図である。
【
図5】先行シートの後端を検知するときの3つの態様を示す概略図である。
【
図6】レジストローラ対の駆動開始タイミングをトリガーとして後行シートの給送を開始する制御を示すタイミングチャートである。
【
図7】シート給送装置における連続給送時の制御の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図7に続く制御を示すフローチャートである。
【
図9】シート給送装置から給送されるシートのサイズ異常を検知する制御の一例を示すフローチャートである。
【
図10】変形例としての、シート給送装置から転写部に至るシートの搬送経路を示す概略図である。
【
図11】
図10のシート給送装置において後行シートの給送を開始する制御を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基づいた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像をシートPに転写する転写部(画像形成部)、を示す。
また、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部(自動原稿搬送装置)、12は給紙カセット内に収容されたシートPを給送するシート給送装置(給送装置)、13は画像形成装置本体1の側方に突出する手差し用のシート給送装置(手差し給送装置)、を示す。
また、16は給送機構51の下流側に位置する下流側搬送ローラ対、17は転写部7に向けてシートPを搬送するレジストローラ対(タイミングローラ対)、20はシートP上に担持されたトナー像(未定着画像)を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、31は装置本体1から排紙されたシートPが積載される排出トレイ、を示す。
また、42はシート給送装置12において昇降可能に構成された載置部(昇降板)、51はシート給送装置12に設置された給送手段としての給送機構、を示す。
また、100は画像形成装置1において実行する印刷動作の内容を入力したり画像形成装置1における状態を表示したりするめの操作表示パネル、を示す。
【0011】
図1を参照して、画像形成装置本体1における、通常の画像形成時(印刷時)の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送(給送)されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0012】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は
図1の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、転写部7で、レジストローラ対17により搬送されたシートP上に転写される。なお、本実施の形態では、転写部7として転写ローラ(感光体ドラム5に接触して転写ニップを形成するローラ部材である。)を用いているが、転写部7はこれに限定されず、例えば、転写部7としてコロナ放電方式を用いたワイヤ転写器を用いることもできる。
【0013】
一方、転写部7(画像形成部)に搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数のシート給送装置12、13のうち、1つのシート給送装置が自動又は手動で選択される(例えば、装置本体内のシート給送装置12が選択されたものとする。)。そして、シート給送装置12に収納されたシートPの最上方の1枚が、給送機構51によって給送されて、搬送経路Kに向けて搬送される。その後、シートPは、下流側搬送ローラ対16が配設された搬送経路Kを通過して、レジストローラ対17の位置に達する。このとき、レジストローラ対17は、回転停止した状態であって、そのニップにシートPの先端が突き当たることで、シートPの斜行(スキュー)が補正されることになる。
なお、レジストローラ対17の位置にシートPが送入されるタイミングは、レジストローラ対17の上流側近傍に設置されたレジスト検知センサ63(
図3参照)によって把握される。
【0014】
そして、レジストローラ対17の回転が開始されて、シートPが、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。そして、転写部7で、感光体ドラム5上の画像がシートP上に転写されることになる(転写工程である。)。
そして、転写工程後のシートPは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによってトナー像が定着される(定着工程である)。トナー像が定着された定着工程後のシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(定着ニップである。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出されて、出力画像として排出トレイ31上に積載されることになる。
こうして、一連の画像形成プロセス(印刷動作)が完了する。
【0015】
次に、
図2~
図4等を用いて、本実施の形態におけるシート給送装置について詳述する。
なお、以下、装置本体1に内設されたシート給送装置12について説明するが、手差し用のシート給送装置13も、設置位置が異なる点と、載置部が昇降可能に構成されていない点と、を除いて、装置内のシート給送装置12とほぼ同様の構成となっているため、その説明を省略することにする。
【0016】
図2~
図4等を参照して、シート給送装置12には、複数枚のシートPを積載可能な載置部42、載置部42に載置されたシートPを給送するための給送機構51、第1検知手段としての第1検知センサ61、第2検知手段としての第2検知センサ62、等が設置されている。
載置部42は、載置された最上方のシートPの給送方向下流側(
図2の右側である。)が所定の高さ位置(ピックアップローラ52の位置である。)に達するように、その一部が昇降可能に構成されている。具体的に、載置部42は、回転中心軸42aに回動可能な昇降板と、昇降しない固定板と、で構成されている。昇降板は、固定板よりも給送方向下流側に配置されていて、回転中心軸42aを中心に正逆方向に回動することで昇降するように構成されている。
また、
図2を参照して、給送機構51は、第1給送部材としてのピックアップローラ52、第2給送部材としてのフィードローラ53(給紙ローラ)、分離部材としての分離ローラ54、等で構成されている。
【0017】
フィードローラ53(第2給送部材)は、載置部42に載置されたシートPに対して給送方向(
図2の白矢印方向である。)の先端側(下流側)に設置されていて、シートPの上面に接触してシートPの給送方向に沿うように回転(
図2の反時計方向の回転である。)してシートPを一点鎖線矢印で示す給送方向に給送するものである。なお、フィードローラ53の下流側と上流側とには、それぞれ、シートPを検知可能な検知センサ61、62が設置されているが、これについては後で詳しく説明する。
ピックアップローラ52(第1給送部材)は、載置部42に載置された最上方のシートPの表面(上面)に当接した状態で、走行方向に沿うように
図2の反時計方向に回転して、そのシートPをフィードローラ53の位置に向けて搬送するものである。なお、ピックアップローラ52は、載置部42(昇降板)に載置されたシートP(最上方のシートP)に対して接離可能に構成されている。すなわち、ピックアップローラ52は、載置部42に載置されたシートPに対して、当接しない退避位置と、当接する当接位置(
図2に示す位置である。)と、の間を移動可能に形成されている。
分離部材としての分離ローラ54は、フィードローラ53との間にニップ(分離部)を形成するように設置されている。
そして、分離ローラ54は、ニップに1枚のシートPが挟持されたときと、ニップにシートPが挟持されていないときと、には、給送方向に沿うように順方向(
図2の破線矢印方向であって、時計方向である。)に回転する。これに対して、分離ローラ54は、ニップに複数枚のシートが挟持されたときには、上述した順方向に対して逆方向(
図2の実線矢印方向であって、反時計方向である。)に回転する。これにより、ニップに挟持された複数枚のシートPのうち最上方のシートPがフィードローラ53の回転に沿って給送方向に給送されて、下方のシートPが給送方向(順方向)に対して逆方向に搬送されて、シートPの重送や連送が軽減される。
なお、本実施の形態において、分離部材として分離ローラ54に替えて板状の分離パッドや、逆回転しないローラ部材(逆転機構を有さないローラ部材)を用いてもよい。
また、本実施の形態では、ピックアップローラ52として、上下動可能なものを用いたが、上下動せずに所定の高さ位置に固定されたものを用いることもできる。その場合、載置部42は、積載された最上方のシートPが、固定位置のピックアップローラ52に所定圧で接触するように、上下動することになる。
【0018】
ここで、本実施の形態におけるシート給送装置12は、ピックアップローラ52が載置部42(昇降板)に積載された最上方のシートPに当接できるように、載置部42上に積載されるシートPの枚数によって、載置部42(昇降板)が上下方向に昇降する。そして、上下方向の位置が調整された載置部42(昇降板)に載置されたシートPの上面に当接する位置までピックアップローラ52が降下してから、シートPの給送動作がおこなわれることになる。
また、本実施の形態におけるシート給送装置12には、載置部42上に載置されたシートPの幅方向(
図2、
図3の紙面垂直方向であって、
図4の左右方向である。)の位置を規制する一対のサイドフェンス104(
図4参照)が設けられている。サイドフェンス104は、シートPを挟むように幅方向両端部にそれぞれ設置されていて、手動移動機構によってシートPの幅方向のサイズに合わせて幅方向に互いに連動して移動可能に構成されている(幅方向の間隔を増減可能に構成されている)。
また、本実施の形態におけるシート給送装置12には、載置部42上に載置されたシートPの給送方向(
図2の左右方向である。)の位置を規制する基準フェンス107とエンドフェンス103とが設けられている。基準フェンス107は、シートPの給送方向下流側の側面(先端)が突き当てられるように設置されている。エンドフェンス103は、シートPの給送方向上流側の側面(後端)に当接するように設置されていて、手動移動機構によってシートPの給送方向のサイズに合わせて給送方向に移動可能に構成されている。
【0019】
このように構成されたシート給送装置12において、載置部42にシートPがセットされていない状態では、その状態がエンド検知センサ(不図示)によって検知されて、ピックアップローラ52が退避位置に退避した状態になっている。
そして、載置部42にシートPがセットされると、その状態がエンド検知センサによって検知されて、ピックアップローラ52が退避位置から当接位置(
図2に示す位置である。)に向けて移動される。
そして、
図2に示すように、載置部42に載置された最上方のシートPの上面にピックアップローラ52が当接した状態でピックアップローラ52の反時計方向の回転駆動が開始されて、同じタイミングでフィードローラ53と分離ローラ54との回転が開始される。これにより、ピックアップローラ52によって載置部42に載置されたシート束PTのうち最上方のシートPが、フィードローラ53と分離ローラ54とのニップに向けて搬送されて、さらにそのニップから1枚のシートPが画像形成部に向けて分離され搬送されることになる。
また、載置部42に載置されたすべてのシートPが給送されて載置部42にシートPがセットされていない状態になると、その状態がエンド検知センサによって検知されて、ピックアップローラ52が再び退避位置に移動することになる。
【0020】
なお、本実施の形態では、給送機構51(ピックアップローラ52、フィードローラ53、分離ローラ54)と下流側搬送ローラ対16とレジストローラ対17とが、それぞれ独立した駆動機構(モータ)によって駆動されるように構成されてはおらず、1つの駆動機構(モータ70)によって駆動されるように構成されていて、装置の低コスト化、小型化が図られている。
具体的に、
図3を参照して、レジストローラ対17は、第1クラッチ71を含むギア列を介してモータ70から駆動伝達される。また、下流側搬送ローラ対16は、第2クラッチ72を含むギア列を介してモータ70から駆動伝達される。さらに、給送機構51は、第3クラッチ73を含むギア列を介してモータ70から駆動伝達される。第1~第3クラッチ71~73は、制御部80による制御によって、それぞれ独立してオン・オフ制御される。また、モータ70も、制御部80によって駆動制御される。
制御部80は、CPU(Central Processing Unit)で構成され、時間を計測するタイマーを有する。制御部80は、後述の第1検知センサ61、第2検知センサ62の出力やタイマーによる計測された時間に基づき、第1~第3クラッチ71~73やモータ70を制御して、シートPの搬送の制御をおこなう。
このような構成により、給送機構51と下流側搬送ローラ対16とレジストローラ対17とを、それぞれ独立したタイミングで駆動・駆動停止することが可能になる。
【0021】
以下、
図3~
図9等を用いて、本実施の形態において特徴的な、シート給送装置12(画像形成装置1)について説明する。
先に
図2~
図4等を用いて説明したように、シート給送装置12には、載置部42、第1給送部材としてのピックアップローラ52、第2給送部材としてのフィードローラ53、分離部材としての分離ローラ54、などが設置されている。
載置部42は、複数枚のシートPを積載可能に構成されている。
第1給送部材としてのピックアップローラ52は、載置部42に載置されたシートPを給送方向(
図2の白矢印方向である。)に給送するローラ部材である。
第2給送部材としてのフィードローラ53は、ピックアップローラ52(第1給送部材)によって給送されたシートPをさらに給送方向に給送するローラ部材である。
分離部材としての分離ローラ54は、フィードローラ53(第2給送部材)に当接してニップ(分離部)を形成するローラ部材である。
【0022】
ここで、
図3、
図4等を参照して、フィードローラ53と分離ローラ54とのニップ(分離部)に対して給送方向の下流側(ニップの近傍である。)には、シートを検知可能な第1検知手段としての第1検知センサ61(ニップ出口センサ)が設置されている。
また、ピックアップローラ52(第1給送部材)に対して給送方向の下流側であって、ニップ(分離部)に対して給送方向の上流側には、シートを検知可能な第2検知手段としての第2検知センサ62(ニップ入口センサ)が設置されている。
なお、本実施の形態では、フィードローラ53(第2給送部材)よりも給送方向の下流側に下流側搬送ローラ対16(
図3等参照)が設置されている。そして、第1検知センサ61(第1検知手段)は、ニップ(分離部)に対して給送方向下流側の近傍であって、下流側搬送ローラ対16に対して給送方向上流側に設置されている。
【0023】
これらの検知センサ61、62は、いずれも反射型フォトセンサであって、その位置にシートPが存在するか否かを光学的に検知するものである。したがって、検知センサ61、62が、シートPが無いことを検知している状態(シート無状態)から、シートPが有ることを検知している状態(シート有状態)に変化したときには、シートPの先端が検知されたことになる。これに対して、検知センサ61、62が、シートPが有ることを検知している状態(シート有状態)から、シートPが無いことを検知している状態(シート無状態)に変化したときには、シートPの後端が検知されたことになる。
なお、本実施の形態では、検知センサ61、62(第1、第2検知手段)として、反射型フォトセンサを用いたが、第1、第2検知手段はこれに限定されることなく、例えば、給送されるシートPに接触したときに搖動(変位)するフィラーと、フィラーの搖動を光学的に検知する透過型フォトセンサと、からなるものを用いることもできる。
【0024】
ここで、本実施の形態におけるシート給送装置12(画像形成装置1)には、第1検知センサ61(第1検知手段)に対して給送方向の下流側に所定距離X離れた所定位置に、シートPの後端が達した状態(シートP1に対して
図5(C)の状態である。)を判別可能な判別手段が設けられている。
詳しくは、
図6を参照して、この判別手段は、レジストローラ対17によって給送方向下流側(転写部7である。)に向けてシートP(特に、
図5(C)の先行シートP1である。)の搬送が開始されてから、シート長さ(搬送方向のサイズである。)と搬送速度(シート厚さや定着温度などによって可変され得るシート搬送速度である。)とによって可変される所定時間Txが経過したときに、所定位置(第1検知センサ61から所定距離X、ニップから所定距離X´、下流側に離れた位置である。)に先行シートP1(シートP)の後端が達したものと判別するものである。
レジストローラ対17と所定位置との距離は不変であって「所定時間Tx」に影響しないのに対して、シート長さが長くなるほど「所定時間Tx」は長くなり、搬送速度が遅くなるほど「所定時間Tx」は長くなる。そして、シートPの先端が挟持された状態のレジストローラ対17が開始されて、「所定時間Tx」が経過したときに、第1検知センサ61から下流側に所定距離X離れた所定位置に、シートPの後端が達したものと判別されることになる。
なお、上述した「所定位置」は、第1検知センサ61と後述のレジスト検知センサ63(
図3参照)との間の位置に設定することができる。
図5(C)では下流側搬送ローラ対16の手前の位置を所定位置としているが、下流側搬送ローラ対16とレジスト検知センサ63との間の位置を所定位置とすることも可能である。
【0025】
さらに具体的に、
図6を参照して、本実施の形態における画像形成装置1は、モノクロ画像形成装置であって、露光部3から感光体ドラム5への露光光Lの潜像書込みが開始されるタイミングをトリガーにして、所定時間T0が経過した後に、駆動停止した状態のレジストローラ対17の駆動を再開して、感光体ドラム5上の画像を、レジストローラ対17によって搬送されるシートP上に転写するようにタイミングを合わせている。このような制御は、制御部80が主体となっておこなわれるものであるため、制御部80が「判別手段」として機能していることになる。
【0026】
なお、本実施の形態では、露光光Lの潜像書込みのタイミングをトリガーにしてレジストローラ対17の駆動を開始したが、レジストローラ対17の駆動開始するためのトリガーはこれに限定されることなく、例えば、複数の感光体ドラムが設置されたカラー画像形成装置において中間転写体上に形成されたカラー画像を検知するタイミングをトリガーにすることもできる。
また、本実施の形態では、「判別手段」として、レジストローラ対17の駆動開始タイミングに基づいたものを用いたが、「判別手段」はシートPの後端が所定位置に達した状態を判別できるものであれば、これに限定されず、種々のもの(後で、その1つを
図10、
図11を用いて変形例として説明する。)を用いることができる。また、先に説明したように、レジストローラ対17の上流側近傍には、レジストローラ対17の位置にシートPが送入されるタイミングを検知するためのレジスト検知センサ63(
図3参照)が設置されているが、このレジスト検知センサ63を判別手段として用いることもできる。
【0027】
ここで、本実施の形態におけるシート給送装置12(画像形成装置1)は、
図5(A)に示すように、第2検知センサ62(第2検知手段)によって先行シートP1の後端が検知された場合には、その検知タイミングをトリガー(第1給送開始トリガー)にして後行シートP2(載置部42に載置された最上方のシートである。)の給送を開始する。
このような第2検知センサ62による先行シートP1の後端検知をトリガーにした後行シートP2の給送開始の制御は、
図5(A)に示すように、後行シートP2の先端が第2検知センサ62の位置まで連送(先行シートP1とともに連れ送られる現象である。)されていないときに成立する制御である。また、このときの第2検知センサ62による先行シートP1の後端検知は、第1検知センサ61による先行シートP1の後端検知や、判別手段(制御部80)による先行シートP1の後端位置の判別よりも、先んじたものである。
【0028】
これに対して、
図5(B)に示すように、第2検知センサ62(第2検知手段)によって先行シートP1の後端が検知されず、第1検知センサ61(第1検知手段)によって先行シートP1の後端が検知された場合には、その検知タイミングをトリガー(第2給送開始トリガー)にして後行シートP2(載置部42に載置された最上方のシートである。)の給送を開始する。
このような第1検知センサ61による先行シートP1の後端検知をトリガーにした後行シートP2の給送開始の制御は、
図5(B)に示すように、後行シートP2の先端が第2検知センサ62の位置まで連送されていて、第2検知センサ62によって先行シートP1の後端検知が不可能であるときにおこなわれる制御である。また、このときの第1検知センサ61による先行シートP1の後端検知は、第2検知センサ61による先行シートP1の後端検知ができないときの次善策としておこなわれるものであって、判別手段(制御部80)による先行シートP1の後端位置の判別よりも先んじたものである。そして、第1検知センサ61による先行シートP1の後端検知をトリガーにした後行シートP2の給送開始の制御は、後行シートP2の先端が第2検知センサ62の位置まで連送されてしまっていても、その連送状態の後行シートP2の給送を開始することができる(進めることができる)。したがって、このような制御がおこなわれたときには、連送状態の後行シートP2の不給送を防止することができる。
【0029】
これに対して、
図5(C)に示すように、第1検知センサ61(第1検知手段)によって先行シートP1の後端が検知されず、判別手段(制御部80)によって先行シートP1の後端が所定位置(第1検知センサ61から所定距離X下流側に離れた位置である。)に達したものと判別された場合には、その判別タイミングをトリガー(第3給送開始トリガー)にして後行シートP2(載置部42に載置された最上方のシートである。)の給送を開始する。
このような判別手段(制御部80)による先行シートP1の後端位置の判別をトリガーにした後行シートP2の給送開始の制御は、
図5(C)に示すように、後行シートP2の先端が第1検知センサ61の位置まで連送されていて、第1検知センサ61(及び、第2検知センサ62)によって先行シートP1の後端検知が不可能であるときにおこなわれる制御である。また、このときの判別手段(制御部80)による先行シートP1の後端位置の判別は、第2検知センサ61でも第1検知センサ61でも先行シートP1の後端検知ができないときの最終的な策としておこなわれるものである。そして、判別手段(制御部80)による先行シートP1の後端位置の判別をトリガーにした後行シートP2の給送開始の制御は、後行シートP2の先端が第1検知センサ61の位置まで連送されてしまっていても、その連送状態の後行シートP2の給送を開始することができる(進めることができる)。したがって、このような制御がおこなわれたときには、連送状態の後行シートP2の不給送を防止することができる。
なお、上述した「所定位置」は、後行シートP2が最も下流側に連送してしまっても、その後行シートP2の先端が達し得ない位置であることが好ましい。
【0030】
具体的に、本実施の形態では、先に
図6を用いて説明したように、レジストローラ対17の駆動が開始されてから所定時間Txが経過したときに、先行シートP1の後端が所定位置(
図5(C)の位置である。)に達したものと判別(認定)して、そのタイミングを「第3給送開始トリガー」として後行シートP2の給送開始の制御をおこなっている。そして、本実施の形態では、
図6に示すように、「第3給送開始トリガー」のオン時から一定時間T6が経過した後に、後行シートP2の給送(給送機構51の駆動)を開始している。
この時間T6は、0秒以上の時間であって、制御上のマージンや、達成すべきシート給送の生産性などを加味して決定されたものである。また、この時間T6は、先に説明したようにシートPの搬送速度が可変されたときに、それにともない最適な時間に可変されても良い。これらのことは、後で
図7、
図8を用いて説明する時間T1~T5についても同様である。
【0031】
このように、本実施の形態では、後行シートP2の連送の有無や程度に応じて、第1、第2検知センサ61、62及び判別手段(制御部80)のうち、先行シートP1の後端を検知可能(又は、判別可能)なものによる検知タイミング(又は、判別タイミング)をトリガーにして、後行シートP2の給送を開始している。そのため、後行シートP2の連送の有無や程度に関わらず、後行シートPの不給送を生じにくくすることができる。
また、本実施の形態では、搬送方向の離れた位置で先行シートP1の後端を検知可能な3つの手段(第1、第2検知センサ61、62及び判別手段(制御部80)である。)を設けているため、後行シートP2の位置(連送の有無や程度)に関わらず、紙間が大きくなり過ぎることがない。そのため、連続給送時における生産性が向上する。例えば、第2検知センサ62を設置しない場合には、紙間が最大でピックアップローラ52と第1検知センサ61との距離分だけ広がる可能性があるが、本実施の形態では、搬送方向の離れた位置で先行シートP1の後端を検知可能な3つの手段が設けられているため、そのような不具合が生じにくくなる。
【0032】
ここで、本実施の形態では、上述した第1、第2検知センサ61、62及び判別手段(制御部80)を用いた制御において、第1検知センサ61(第1検知手段)が後行シートP2を検知しない状態から検知する状態に変化した場合(後行シートP2の先端を検知した場合である。)に、後行シートP2の給送を一時停止して、判別手段(制御部80)によって先行シートP1の後端が所定位置(
図5(C)の位置である。)に達したものと判別された後に、後行シートP2の給送(給送機構51の駆動)を再開するようにしている。この制御は、後述する
図8のフローチャートにおけるステップS10~S13に相当するものである。
このような制御をおこなうのは、フィードローラ53及び分離ローラ54(分離部)とレジストローラ対17との間で、先行シートP1と後行シートP2との間隔(紙間)が詰まり過ぎてしまって、シートP1、P2の搬送不良などが生じてしまうのを避けるためである。
【0033】
また、本実施の形態では、上述した第1、第2検知センサ61、62及び判別手段(制御部80)を用いた制御において、第2検知センサ62(第2検知手段)の検知をトリガーにした後行シートP2の給送が開始された後に、第2検知センサ62が後行シートP2を検知しない状態から検知する状態に変化した場合(後行シートP2の先端を検知した場合である。)であって、第1検知センサ61(第1検知手段)が先行シートP1を検知しているときに、後行シートP2の給送を一時停止して、第1検知センサ61が先行シートP1を検知している状態から検知しない状態に変化した後(先行シートP1の後端を検知した後である。)に、後行シートP2の給送(給送機構51の駆動)を再開している。この制御は、後述する
図7のフローチャートにおけるステップS3~S8に相当するものである。
このような制御をおこなうのは、第2検知センサ62と第1検知センサ61との間で、先行シートP1と後行シートP2との間隔(紙間)が詰まり過ぎてしまって、シートP1、P2の搬送不良などが生じてしまうのを避けるためである。
【0034】
ここで、
図4を参照して、本実施の形態において、第1検知センサ61(第1検知手段)は、幅方向(給送方向に直交する方向であって、
図4の左右方向である。)の中央位置(
図4において一点鎖線で示す位置であって、搬送されるシートPの幅方向中央位置に一致する位置である。)から離れた位置に配置されている。そして、第1検知センサ61は、第1の幅方向サイズM2(例えば、A5サイズである。)以上のシートPを検知可能に形成されている。
これに対して、第2検知センサ62(第2検知手段)は、第1検知センサ61よりも幅方向の端部側(
図4の右側である。)に配置されている。そして、第2検知センサ62は、第1の幅方向サイズよりも大きな第2の幅方向サイズM1(例えば、A4サイズである。)以上のシートPを検知可能に形成されている。
したがって、第2の幅方向サイズM1を超える幅方向サイズのシートPであれば、第1検知センサ61でも第2検知センサ62でも検知可能になる。しかし、第1、第2検知センサ61、62は、いずれも、その幅方向位置に達しない幅方向サイズM3のシートPは検知できないことになる。
【0035】
このように、第1の幅方向サイズM2に満たないサイズ(例えば、A6サイズなどである。)のシートPを検知できないように構成したのは、幅方向中央位置の近傍に設置されたフィードローラ53や分離ローラ54やそれらを保持するブラケット(不図示)などの部材が邪魔して、第1、第2検知センサ61、62を設置するためのスペースを確保できないためである。
また、第1検知センサ61と第2検知センサ62とを、同じ幅方向位置ではなく、異なる幅方向位置に設置したのは、第1、第2検知センサ61、62の給送方向(
図4の上下方向である。)の間隔が狭くて、第1、第2検知センサ61、62を同じ幅方向位置に設置してしまうと互いに干渉してしまうためである。
さらに、第1検知センサ61を第2検知センサ62よりも中央側に配置したのは、後行シートP2の連送にともなう第1検知センサ61を用いた制御が、後行シートP2の連送をともなわない第2検知センサ62を用いた制御よりも、頻度が多いと考えられるためである。
【0036】
また、本実施の形態では、後で
図9のフローチャートを用いて説明するように、第1検知センサ61(第1検知手段)と第2検知センサ62(第2検知手段)との検知結果に基づいて、実際に給送されたシートPの幅方向サイズと、予め給送されるものと装置に認識されていたシートPの幅方向サイズ(ユーザーによって操作表示パネル100の操作によって入力されたシートPのサイズである。)と、の大小関係を判別して、その大小関係に応じて異常処理を実行している。
【0037】
具体的に、本実施の形態では、実際に給送されたシートPの幅方向サイズが、操作表示パネル100に入力されたシートPの幅方向サイズよりも小さい場合には、そのまま印刷動作(画像形成プロセス)を続行してしまうと、転写工程時に感光体ドラム5上に形成したトナー像(画像)がシートPからはみ出してしまって、転写部7がトナーで汚れてしまう。そのような不具合を軽減するため、搬送中のシートPが小さいことが判別された場合には、直ちに印刷動作(シート搬送動作)を強制的に中断して、それによってジャム(紙詰まり)したシートPのジャム処理をユーザーにしてもらうようにしている。このとき、操作表示パネル100には、不具合の内容や、ジャム処理の方法などが表示されることになる。
これに対して、実際に給送されたシートPの幅方向サイズが、操作表示パネル100に入力されたシートPの幅方向サイズよりも大きい場合には、小さい場合とは異なり、そのまま印刷動作を続行しても転写部7がトナーで汚れる不具合は生じないため、印刷動作(シート搬送動作)を強制的に中断するような制御はおこなわずに、サイズの大きなシートPを排出トレイ31(
図1参照)に排出するまでの印刷動作(シート搬送動作)を最後まで続ける。これにより、ユーザーによるジャム処理が不要になる。このとき、操作表示パネル100には、主として不具合の内容のみが表示されることになる。
なお、このような制御におけるシートPの大小関係の判別については、後で
図9のフローチャートを用いて詳述する。
【0038】
ここで、本実施の形態では、上述した第1、第2検知センサ61、62及び判別手段(制御部80)を用いた制御において、第1検知センサ61(第1検知手段)で検知されない幅方向サイズの先行シートP1が給送される場合には、判別手段(制御部80)によって先行シートP1の後端が所定位置(
図5(C)の位置である。)に達したものと判別したときに、その判別タイミングをトリガーにして後行シートP2の給送を開始している。この制御は、後述する
図7、
図8のフローチャートにおけるステップS1、S14、S13に相当するものである。
これにより、第1検知センサ61では検知することができない幅方向サイズの小さなシートPが給送される場合にも、シートPの不給送を軽減することができる。
【0039】
これに対して、第1検知センサ61(第1検知手段)で検知可能であって第2検知センサ62(第2検知手段)で検知されない幅方向サイズの先行シートP1が給送される場合には、次の(1)、(2)のいずれかの制御がおこなわれる。
(1)第1検知センサ61によって先行シートP1の後端が検知されたときには、その検知タイミングをトリガーにして後行シートP2の給送を開始する。
(2)第1検知センサ61によって先行シートP1の後端が検知されずに、判別手段(制御部80)によって先行シートP1の後端が所定位置(
図5(C)の位置である。)に達したものと判別されたときに、その判別タイミングをトリガーにして後行シートP2の給送を開始する。
上述した(1)の制御は、後述する
図7、
図8のフローチャートにおけるステップS2、S15、S16、S10~S13に相当するものである。これに対して、(2)の制御は、後述する
図7、
図8のフローチャートにおけるステップS2、S15、S14、S13に相当するものである。
このような制御により、第2検知センサ62では検知することができない幅方向サイズの小さなシートPが給送される場合にも、シートPの不給送を軽減することができる。
【0040】
以下、
図7、
図8のフローチャートを用いて、連続給送時(連続印刷時)におけるシート給送装置12の制御の一例について説明する。
図7に示すように、給送動作(印刷動作)がスタートすると、まず、給送装置12から給送されるシートPのシート幅(幅方向サイズ)が第1検知センサ61で検知可能なものであるかが判別される(ステップS1)。そして、そのシートPのシート幅が第1検知センサ61で検知可能なものである場合には、さらに、そのシートPのシート幅が第2検知センサ62で検知可能なものであるかが判別される(ステップS2)。
その結果、そのシートPのシート幅が第2検知センサ62で検知可能なものである場合、第2検知センサ62で先行シートP1の後端が検知されたかが判別される(ステップS3)。そして、第2検知センサ62で先行シートP1の後端が検知された場合には、
図5(A)に示すように連送が生じていない状態であるものとして、T1秒後に後行シートP2の給送を開始する(ステップS4)。そして、第2検知センサ62で後行シートP2の先端が検知されると(ステップS5)、そのときに第1検知センサ61で先行シートP1がある状態が検知されている最中であるかが判別される(ステップS6)。
その結果、第1検知センサ61で先行シートP1の検知中である場合には、先行シートP1と後行シートP2との間隔(紙間)が短か過ぎるものとして、T3秒後に後行シートP2の給送を一時停止する(ステップS7)。その後、第1検知センサ61によって先行シートP1の後端が検知されると、一時停止していた後行シートP2の給送を再開する(ステップS8、S9)。
【0041】
その後、
図8に示すように、第1検知センサ61によって後行シートP2の先端が検知されたかが判別されて(ステップS10)、検知された場合には、先行シートP1と後行シートP2との間隔(紙間)が短か過ぎるものとして、T5秒後に後行シートP2の給送を一時停止する(ステップS11)。
その後、第3給送開始トリガーがオンになったかが判別される(ステップS12)。すなわち、判別手段(制御部80)によって先行シートP1の後端が
図5(C)に示す所定位置に達したかが判別される。
そして、第3給送開始トリガーがオンになってからT6秒後に、一時停止していた後行シートP2の給送を再開して(ステップS13)、本フローを終了する。
これに対して、ステップS10で、第1検知センサ61によって後行シートP2の先端が検知されない場合には、第3給送開始トリガーがオンになったかが判別される(ステップS17)。すなわち、判別手段(制御部80)によって先行シートP1の後端が
図5(C)に示す所定位置に達したかが判別される。そして、第3給送開始トリガーがオンになっている場合には、先行シートP1と後行シートP2との間隔(紙間)が充分に確保されているものとして、ステップS13以降のフローがおこなわれる。これに対して、第3給送開始トリガーがオンになっていない場合には、ステップS10以降のフローがおこなわれる。
【0042】
また、
図7のステップS3において、第2検知センサ62で先行シートP1の後端が検知されない場合には、第2検知センサ62の位置を越える後行シートP2の連送が生じている状態であるものとして、第1検知センサ61で先行シートP1の後端が検知されたかが判別される(ステップS15)。そして、第1検知センサ61で先行シートP1の後端が検知された場合には、
図5(B)に示すような連送が生じている状態であるものとして、T2秒後に後行シートP2の給送を開始する(ステップS16)。その後、
図8のステップS10以降のフローがおこなわれる。
これに対して、
図7のステップS15において、第1検知センサ61で先行シートP1の後端が検知されない場合には、
図5(C)に示すような連送が生じている状態であるものとして、第3給送開始トリガーがオンになったかが判別される(ステップS14)。すなわち、判別手段(制御部80)によって先行シートP1の後端が
図5(C)に示す所定位置に達したかが判別される。そして、第3給送開始トリガーがオンになっている場合には、
図8のステップS13以降のフローがおこなわれる。これに対して、第3給送開始トリガーがオンになっていない場合には、
図7のステップS1以降のフローがおこなわれる。
【0043】
また、
図7のステップS2において、給送されたシートPのシート幅が第2検知センサ62で検知可能なものでない場合、第2検知センサ62の検知結果に基づいた後行シートP2の給送開始制御はできないものとして、ステップS15以降のフローがおこなわれる。すなわち、第1検知センサ61の検知結果や判別手段(制御部80)の判別結果に基づいた後行シートP2の給送開始制御がおこなわれる。
また、
図7のステップS1において、給送されたシートPのシート幅が第1検知センサ61で検知可能なものでない場合、第1検知センサ61(及び、第2検知センサ62)の検知結果に基づいた後行シートP2の給送開始制御はできないものとして、ステップS14以降のフローがおこなわれる。すなわち、判別手段(制御部80)の判別結果に基づいた後行シートP2の給送開始制御がおこなわれる。
【0044】
以下、
図9のフローチャートを用いて、シート給送装置12から給送されるシートPのサイズ異常を検知する制御の一例について説明する。
図9に示すように、給送動作(連続的なものに限られない。)がスタートすると、まず、レジスト検知センサ63によってシートPの先端が検知されたかが判別される(ステップS20)。なお、レジスト検知センサ63は、第1、第2検知センサ61、62とは異なり、通紙可能なすべての幅方向サイズのシートPを検知可能な位置(例えば、幅方向中央位置である。)に設置されている。
そして、設定されたシート幅(操作表示パネル100に入力された幅方向サイズである。)が第1検知センサ61で検知可能なものであるかが判別される(ステップS21)。そして、第1検知センサ61で検知可能なものである場合、さらに、設定されたシート幅が第2検知センサ62で検知可能なものであるかが判別される(ステップS22)。そして、第2検知センサ62で検知可能なものである場合であって、第2検知センサ62で実際にシートPが検知されると、設定されたシート幅(幅方向サイズ)と、実際に給送されたシートPのシート幅(幅方向サイズ)と、が一致しているものとして、正常処理を実行する(ステップS23、S24)。すなわち、通常の給送動作(印刷動作)を継続しておこなう。
これに対して、ステップS23において、第2検知センサ62でシートPが検知されない場合には、設定されたシート幅(幅方向サイズ)に対して、実際に給送されたシートPのシート幅(幅方向サイズ)が小さいものとして、異常処理を実行する(ステップS25)。この場合の異常処理は、先に説明したように、転写部7の汚れを防止するために、印刷動作を強制的に停止するものとなる。また、操作表示パネル100への異常内容の報知をおこなう。
【0045】
また、
図9のステップS22において、設定されたシート幅が第2検知センサ62で検知可能なものでない場合には、第1検知センサ61で実際にシートPが検知されたかが判別される(ステップS26)。その結果、第1検知センサ61でシートPが検知されない場合には、実際に給送されたシートPのシート幅が小さいものとして、ステップS25以降のフローがおこなわれる。
これに対して、第1検知センサ61でシートPが検知された場合には、さらに、第2検知センサ62で実際にシートPが検知されたかが判別される(ステップS27)。その結果、第2検知センサ62でシートPが検知されない場合には、実際に給送されたシートPのシート幅の異常はないものとして、ステップS24以降のフローがおこなわれる。これに対して、第2検知センサ62でシートPが検知された場合には、設定されたシート幅(幅方向サイズ)に対して、実際に給送されたシートPのシート幅(幅方向サイズ)が大きいものとして、異常処理を実行する(ステップS28)。この場合の異常処理は、先に説明したように、転写部7の汚れが生じないために、サイズの異なるシートPをそのまま排出トレイ31に排出するものとなる。また、操作表示パネル100への異常内容の報知をおこなう。
【0046】
また、
図9のステップS21において、設定されたシート幅が第1検知センサ61で検知可能なものでない場合には、第1検知センサ61で実際にシートPが検知されたかが判別される(ステップS29)。その結果、第1検知センサ61でシートPが検知されない場合には、実際に給送されたシートPのシート幅の異常はないものとして、ステップS24以降のフローがおこなわれる。これに対して、第1検知センサ61でシートPが検知された場合には、実際に給送されたシートPのシート幅が大きいものとして、ステップS28以降のフローがおこなわれる。
なお、本実施の形態では、ステップS20で説明したように、レジスト検知センサ63によるシートPの先端検知をトリガーにして、シートサイズの異常の有無を判別したが、そのトリガーは本実施の形態のものに限定されず、例えば、他のシート検知センサによるシートPの検知をトリガーにしてシートサイズの異常の有無を判別することもできる。
【0047】
<変形例>
図10に示すように、変形例としてのシート給送装置12(画像形成装置1)において、判別手段は、所定位置(
図5(C)に示す先行シートP1の後端を検知可能な位置である。)に設置されてシートを検知可能な第3検知手段としての第3検知センサ64の検知結果に基づいて、
図5(C)に示す所定位置に先行シートP1の後端が達したものと判別するものである。
すなわち、変形例では、レジストローラ対17の駆動開始タイミングに基づいて
図5(C)に示す所定位置に先行シートP1の後端が達した状態を予想するのではなくて、
図5(C)に示す所定位置に先行シートP1の後端が達した状態を第3検知センサ64によって直接的に検知している。そして、
図11に示すように、第3検知センサ64が先行シートP1の後端を検知したタイミングをトリガー(第3給送開始トリガー)にして、そのT6秒後に後行シートP2の給送(給送機構51の駆動)を開始する。
なお、第3検知センサ64としては、第1、第2検知センサ61、62と同様に、反射型フォトセンサなどを用いることができる。
そして、判別手段として第3検知センサ64(第3検知手段)を用いた場合であっても、シートPの不給送を生じにくくすることができる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態におけるシート給送装置12は、複数枚のシートPを積載可能な載置部42と、載置部42に載置されたシートPを給送方向に給送するピックアップローラ52(第1給送部材)と、ピックアップローラ52によって給送されたシートPをさらに給送方向に給送するフィードローラ53(第2給送部材)と、フィードローラ53に当接してニップを形成する分離ローラ54(分離部材)と、が設けられている。また、シートを検知可能な第1検知センサ61(第1検知手段)が、ニップに対して前記給送方向の下流側に設置されている。また、シートPを検知可能な第2検知センサ62(第2検知手段)が、ピックアップローラ52に対して給送方向の下流側であって、ニップに対して給送方向の上流側に設置されている。さらに、第1検知センサ61に対して給送方向の下流側に所定距離X離れた所定位置に、シートPの後端が達した状態を判別可能な判別手段(制御部80や第3検知センサ64である。)が設けられている。そして、第2検知センサ62によって先行シートP1の後端が検知された場合には、その検知タイミングをトリガーにして後行シートの給送を開始する。これに対して、第2検知センサ62によって先行シートP1の後端が検知されずに、第1検知センサ61によって先行シートP1の後端が検知された場合には、その検知タイミングをトリガーにして後行シートP2の給送を開始する。さらに、第1検知センサ61によって先行シートP1の後端が検知されずに、判別手段によって先行シートP1の後端が所定位置に達したものと判別された場合には、その判別タイミングをトリガーにして後行シートP2の給送を開始する。
これにより、シートPの不給送を生じにくくすることができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置されるシート給送装置12に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置されるシート給送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置されるシート給送装置12に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷機などである。)に設置されるシート給送装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、画像形成装置1の内部に設置されたシート給送装置12に対して本発明を適用したが、画像形成装置1の外部に露呈するように設置されたシート給送装置(例えば、手差し用のシート給送装置13である。)や、シートとしての原稿Dを給送(搬送)するシート給送装置としての原稿搬送部10(自動原稿搬送装置)に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、シート給送装置12が設置された画像形成装置1に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、例えば、シートとしての原稿Dを給送(自動搬送)するシート給送装置が設置されたスキャナ装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、第1、第2給送部材としてローラ部材が用いられたシート給送装置に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、例えば、第1、第2給送部材としてベルト部材が用いられたシート給送装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、判別手段を構成する制御部80をシート給送装置12に設置したが、制御部80をシート給送装置12ではなく、画像形成装置1に設置することもできる。そして、そのような場合に、画像形成装置1に設置された制御部80は、画像形成装置1の全体の動作を制御する制御部として機能させることができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0050】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0051】
なお、本願明細書等において、「シート」とは、用紙の他に、コート紙、ラベル紙、OHPシート、フィルムシート等のシート状の記録媒体のすべてを含むものと定義する。
また、本願明細書等において、「先行シート」と「後行シート」とは、給送装置から連続的に給送される複数枚のシートにおいて、先に給送されるシートと、その次に給送されるシートと、の関係になる。したがって、例えば、3枚のシートが連続的に給送される場合、1枚目のシートと2枚目のシートとの関係は前者が「先行シート」となり後者が「後行シート」となり、2枚目のシートと3枚目のシートとの関係は前者が「先行シート」となり後者が「後行シート」となる。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
12 シート給送装置(給送装置)、
16 下流側搬送ローラ対、
17 レジストローラ対、
52 ピックアップローラ(第1給送部材)、
53 フィードローラ(第2給送部材)、
54 分離ローラ(分離部材)、
61 第1検知センサ(第1検知手段)、
62 第2検知センサ(第2検知手段)、
63 レジスト検知センサ、
64 第3検知センサ(第3検知手段、判別手段)、
80 制御部(判別手段)、
P シート、
P1 先行シート(シート)、 P2 後行シート(シート)。
【0053】
なお、本発明における態様は、例えば、以下の通り付記1~10の組み合わせとすることもできる。
(付記1)
複数枚のシートを積載可能な載置部と、
前記載置部に載置されたシートを給送方向に給送する第1給送部材と、
前記第1給送部材によって給送されたシートをさらに前記給送方向に給送する第2給送部材と、
前記第2給送部材に当接してニップを形成する分離部材と、
前記ニップに対して前記給送方向の下流側に設置されて、シートを検知可能な第1検知手段と、
前記第1給送部材に対して前記給送方向の下流側であって、前記ニップに対して前記給送方向の上流側に設置されて、シートを検知可能な第2検知手段と、
前記第1検知手段に対して前記給送方向の下流側に所定距離離れた所定位置に、シートの後端が達した状態を判別可能な判別手段と、
を備え、
前記第2検知手段によって先行シートの後端が検知された場合には、その検知タイミングをトリガーにして後行シートの給送を開始して、
前記第2検知手段によって前記先行シートの後端が検知されずに、前記第1検知手段によって前記先行シートの後端が検知された場合には、その検知タイミングをトリガーにして前記後行シートの給送を開始して、
前記第1検知手段によって前記先行シートの後端が検知されずに、前記判別手段によって前記先行シートの後端が前記所定位置に達したものと判別された場合には、その判別タイミングをトリガーにして前記後行シートの給送を開始することを特徴とするシート給送装置。
(付記2)
前記判別手段は、レジストローラ対によって前記給送方向の下流側に向けて前記先行シートの搬送が開始されてから所定時間が経過したときに、前記所定位置に前記先行シートの後端が達したものと判別することを特徴とする付記1に記載のシート給送装置。
(付記3)
前記判別手段は、前記所定位置に設置されてシートを検知可能な第3検知手段の検知結果に基づいて、前記所定位置に前記先行シートの後端が達したものと判別することを特徴とする付記1に記載のシート給送装置。
(付記4)
前記第1検知手段が前記後行シートを検知しない状態から検知する状態に変化した場合に、前記後行シートの給送を一時停止して、前記判別手段によって前記先行シートの後端が前記所定位置に達したものと判別された後に、前記後行シートの給送を再開することを特徴とする付記1~付記3のいずれかに記載のシート給送装置。
(付記5)
前記第2検知手段の検知をトリガーにした前記後行シートの給送が開始された後に、前記第2検知手段が前記後行シートを検知しない状態から検知する状態に変化した場合であって、前記第1検知手段が前記先行シートを検知しているときに、前記後行シートの給送を一時停止して、前記第1検知手段が前記先行シートを検知している状態から検知しない状態に変化した後に前記後行シートの給送を再開することを特徴とする付記1~付記4のいずれかに記載のシート給送装置。
(付記6)
前記第1検知手段は、前記給送方向に直交する幅方向の中央位置から離れた位置に配置されて、第1の幅方向サイズ以上のシートを検知可能に形成され、
前記第2検知手段は、前記第1検知手段よりも前記幅方向の端部側に配置されて、前記第1の幅方向サイズよりも大きな第2の幅方向サイズ以上のシートを検知可能に形成されたことを特徴とする付記1~付記5のいずれかに記載のシート給送装置。
(付記7)
前記第1検知手段と前記第2検知手段との検知結果に基づいて、給送されたシートの幅方向サイズと、予め給送されるものと装置に認識されていたシートの幅方向サイズと、の大小関係を判別して、その大小関係に応じて異常処理を実行することを特徴とする付記6に記載のシート給送装置。
(付記8)
前記第1検知手段で検知されない幅方向サイズの前記先行シートが給送される場合には、前記判別手段によって前記先行シートの後端が前記所定位置に達したものと判別したときに、その判別タイミングをトリガーにして前記後行シートの給送を開始し、
前記第1検知手段で検知可能であって前記第2検知手段で検知されない幅方向サイズの前記先行シートが給送される場合には、
前記第1検知手段によって前記先行シートの後端が検知されたときに、その検知タイミングをトリガーにして前記後行シートの給送を開始して、
前記第1検知手段によって前記先行シートの後端が検知されずに、前記判別手段によって前記先行シートの後端が前記所定位置に達したものと判別されたときに、その判別タイミングをトリガーにして前記後行シートの給送を開始することを特徴とする付記6又は付記7に記載のシート給送装置。
(付記9)
前記第2給送部材よりも前記給送方向の下流側に下流側搬送ローラ対が設置され、
前記第1検知手段は、前記ニップに対して前記給送方向の下流側の近傍であって、前記下流側搬送ローラ対に対して前記給送方向の上流側に設置されたことを特徴とする付記1~付記8のいずれかに記載のシート給送装置。
(付記10)
付記1~付記9のいずれかに記載のシート給送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】