(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024849
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】混合調味料及び醤油の風味を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
A23L 27/50 20160101AFI20240216BHJP
A23L 27/10 20160101ALI20240216BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20240216BHJP
【FI】
A23L27/50 E
A23L27/10 C
A23L27/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127780
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】713011603
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100196405
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 邦光
(72)【発明者】
【氏名】北川 乃理子
(72)【発明者】
【氏名】齊野 和美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】藤田 明文
【テーマコード(参考)】
4B039
4B047
【Fターム(参考)】
4B039LB14
4B039LC06
4B039LG11
4B039LG12
4B039LG14
4B039LG16
4B039LG32
4B039LG50
4B047LB09
4B047LG03
4B047LG38
4B047LG39
4B047LG42
4B047LG43
4B047LG54
4B047LG60
4B047LG64
4B047LP02
(57)【要約】
【課題】本発明は、醤油の風味が向上した調味料を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の混合調味料は、キャラウェイの粉粒状物又は抽出物と醤油とを含み、それにより醤油の風味が向上している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャラウェイの粉粒状物又は抽出物と醤油とを含む混合調味料。
【請求項2】
前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物の配合量が、キャラウェイの風味を感じさせない量である、請求項1に記載の混合調味料。
【請求項3】
前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物の乾燥物換算の配合量が、前記混合調味料の全質量に対して0.5質量%以下である、請求項1に記載の混合調味料。
【請求項4】
前記醤油が、顆粒又は粉末の形態である、請求項1に記載の混合調味料。
【請求項5】
魚介類、海藻類、及びキノコ類、並びにそれらの抽出物からなる群から選択される少なくとも1種の旨味素材をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の混合調味料。
【請求項6】
前記旨味素材が、カツオ、サバ、煮干し、貝、昆布、及び椎茸、並びにそれらの抽出物からなる群から選択される1種以上を含む、請求項5に記載の混合調味料。
【請求項7】
前記旨味素材以外の風味素材をさらに含む、請求項5に記載の混合調味料。
【請求項8】
前記風味素材が、柑橘類、及び野菜、並びにそれらの抽出物からなる群から選択される1種以上を含む、請求項7に記載の混合調味料。
【請求項9】
食塩をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の混合調味料。
【請求項10】
和風の風味を付与するための、請求項1~4のいずれか1項に記載の混合調味料。
【請求項11】
粉粒状である、請求項1~4のいずれか1項に記載の混合調味料。
【請求項12】
キャラウェイの粉粒状物又は抽出物と醤油とを混合する工程を含む、醤油の風味を向上させる方法。
【請求項13】
前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物の配合量が、キャラウェイの風味を感じさせない量である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物の乾燥物換算の配合量が、前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物及び前記醤油を含む混合物の全質量に対して0.5質量%以下である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記混合工程により混合調味料が調製される、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合調味料に関しており、特に醤油の風味が向上した混合調味料及び醤油の風味を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
醤油は、大豆や小麦で作った麹と食塩水とを原料として醸造される褐色の液体調味料であり、特に日本料理(和食)の風味付けのために広く利用されている。特許文献1には、醤油を顆粒化し、ジンジャー、ガーリック、唐辛子、又はブラックペッパーなどのスパイスと混合した和風スパイス調味料が記載されている。また、特許文献2には、和食によく用いられる出汁について、その風味を増感させるスパイスミックスが記載されている。特許文献3には、スパイス又はハーブを、出汁などの風味成分が付着している食塩粒を有する顆粒と混合して混合調味料を調製できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-87068号公報
【特許文献2】特開2018-102143号公報
【特許文献3】特開2022-66700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
混合調味料における醤油の風味を高めようとして醤油の配合量を増やすと、塩辛さが目立ってしまう。従来は、醤油特有の上品な味わいを向上するスパイスの探索は十分には行われていなかった。本発明は、醤油の風味が向上した混合調味料を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、キャラウェイが醤油の風味を向上することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下に示す混合調味料及び醤油の風味を向上させる方法を提供するものである。
〔1〕キャラウェイの粉粒状物又は抽出物と醤油とを含む混合調味料。
〔2〕前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物の配合量が、キャラウェイの風味を感じさせない量である、前記〔1〕に記載の混合調味料。
〔3〕前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物の乾燥物換算の配合量が、前記混合調味料の全質量に対して0.5質量%以下である、前記〔1〕に記載の混合調味料。
〔4〕前記醤油が、顆粒又は粉末の形態である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の混合調味料。
〔5〕魚介類、海藻類、及びキノコ類、並びにそれらの抽出物からなる群から選択される少なくとも1種の旨味素材をさらに含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の混合調味料。
〔6〕前記旨味素材が、カツオ、サバ、煮干し、貝、昆布、及び椎茸、並びにそれらの抽出物からなる群から選択される1種以上を含む、前記〔5〕に記載の混合調味料。
〔7〕前記旨味素材以外の風味素材をさらに含む、前記〔5〕又は〔6〕に記載の混合調味料。
〔8〕前記風味素材が、柑橘類、及び野菜、並びにそれらの抽出物からなる群から選択される1種以上を含む、前記〔7〕に記載の混合調味料。
〔9〕食塩をさらに含む、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の混合調味料。
〔10〕和風の風味を付与するための、前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の混合調味料。
〔11〕粉粒状である、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の混合調味料。
〔12〕キャラウェイの粉粒状物又は抽出物と醤油とを混合する工程を含む、醤油の風味を向上させる方法。
〔13〕前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物の配合量が、キャラウェイの風味を感じさせない量である、前記〔12〕に記載の方法。
〔14〕前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物の乾燥物換算の配合量が、前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物及び前記醤油を含む混合物の全質量に対して0.5質量%以下である、前記〔12〕に記載の方法。
〔15〕前記混合工程により混合調味料が調製される、前記〔12〕~〔14〕のいずれか1項に記載の方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明に従えば、キャラウェイの粉粒状物又は抽出物と醤油とを配合することにより、醤油の風味を向上することができる。そのため、塩辛さを抑えつつ、醤油特有の上品な味わいが豊かに感じられる混合調味料を調製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、キャラウェイの粉粒状物又は抽出物と醤油とを含む混合調味料に関している。本発明の混合調味料は、種々の料理に対して使用することができるが、醤油の風味が向上しているため、特に和風の風味を付与するために好適に利用できる。前記混合調味料の形態は、特に制限されないが、例えば、顆粒や粉末を含む粉粒状であってもよい。
【0008】
前記醤油としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができ、例えば、濃口醤油、淡口醤油、溜醤油、白醤油、又は再仕込醤油などが挙げられる。ある態様では、前記醤油は、顆粒又は粉末の形態、すなわち顆粒醤油又は粉末醤油などであってもよい。前記顆粒醤油又は前記粉末醤油の種類は特に制限されず、市販品を使用してもいいし、常法により適宜調製してもよい。前記顆粒醤油は、固結しにくいため、本発明の混合調味料においても好適に使用できる。また、前記醤油の配合量は、特に制限されないが、混合調味料の使用量に対して、料理ごとに必要な醤油の香りを付与できる量を配合すればよく、例えば、前記混合調味料の全質量に対して約0.1質量%~約20質量%であってもよく、好ましくは約2質量%~約8質量%である。
【0009】
本明細書に記載の「キャラウェイ」とは、柑橘系の爽やかな香りを有する香辛料の1種であり、セリ科の二年草であるキャラウェイの特に種子のことをいう。本発明の混合調味料には、前記キャラウェイを粉砕した粉粒状物(粉末状又は粒状などの形態)、又は、前記キャラウェイから抽出溶媒により抽出された抽出物が含まれる。前記キャラウェイの抽出物は、当技術分野で通常使用される抽出方法により適宜調製することができるが、例えば、前記キャラウェイの抽出物は、水蒸気蒸留抽出物、熱水抽出物、有機溶媒抽出物、又は超臨界抽出物などであってもよく、粉粒状の形態であってもよい。前記有機溶媒としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができ、例えば、エタノール及びプロピレングリコールなどのアルコール類、アルデヒド類、有機酸類、エステル類、並びにエーテル類などが挙げられる。
【0010】
前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物の配合量は、特に制限されないが、例えば、前記混合調味料を料理に使用したときに、前記キャラウェイそのものの風味を感じさせない量であってもよく、より具体的には、前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物の乾燥物換算の配合量が、前記混合調味料の全質量に対して約0.5質量%以下であってもよく、好ましくは約0.01質量%~約0.5質量%又は約0.1質量%~約0.3質量%である。ある態様では、前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物の乾燥物換算の配合量(C)の前記醤油の配合量(S)に対する比率(C/S)が、質量比で約0.003~約0.3であってもよい。すなわち、前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物は、たとえ少量であっても、醤油特有の上品な味わい及び/又は複雑で深い旨味を向上することができる。
【0011】
ある態様では、本発明の混合調味料は、旨味を呈する素材(旨味素材)をさらに含んでもよい。前記旨味素材としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができるが、例えば、前記旨味素材は、魚介類、海藻類、及びキノコ類、並びにそれらの抽出物などからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。具体的には、前記旨味素材は、カツオ、サバ、煮干し、貝、昆布、及び椎茸、並びにそれらの抽出物(例えば、水蒸気蒸留抽出物、熱水抽出物、有機溶媒抽出物、又は超臨界抽出物など;具体的にはキャラウェイの抽出物についての説明を参照)などからなる群から選択される1種以上を含んでもよい。前記旨味素材は、乾燥物(魚節など)又はその粉砕物などの形態であってもよい。なお、前記旨味素材の抽出物は、出汁(熱水抽出物)又はエキスなどと呼ばれることもある。前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物は、前記旨味素材の風味も向上することができる。
【0012】
前記旨味素材の配合量は、特に制限されないが、例えば、前記混合調味料の全質量に対して乾燥物換算で約0.1質量%~約80質量%であってもよく、好ましくは約10質量%~約30質量%である。ある態様では、前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物の乾燥物換算の配合量(C)の前記旨味素材の乾燥物換算の配合量(U)に対する比率(C/U)が、質量比で約0.001~約0.1であってもよい。
【0013】
ある態様では、本発明の混合調味料は、前記旨味素材以外の風味素材をさらに含んでもよい。前記風味素材としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができるが、例えば、前記風味素材は、柑橘類、野菜、及び畜肉(例えば、牛肉、豚肉、又は鶏肉など)、並びにそれらの抽出物(例えば、水蒸気蒸留抽出物、熱水抽出物、有機溶媒抽出物、又は超臨界抽出物など;具体的にはキャラウェイの抽出物についての説明を参照)からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。前記柑橘類としては、特に制限されないが、例えば、ユズ、スダチ、及びカボスなどが挙げられ、それらの皮又は果汁などを使用してもよい。前記柑橘類は、本発明の混合調味料の後味のキレをさらに向上することができる。前記野菜としては、特に制限されないが、例えば、玉ねぎ、人参、キャベツ、白菜、ゴボウ、大根、及びもやしなどが挙げられ、当該野菜の抽出物は、野菜出汁又は野菜エキスなどと呼ばれることもある。
【0014】
ある態様では、本発明の混合調味料は、食塩をさらに含んでもよい。前記食塩としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができるが、例えば、前記食塩は、イオン交換膜製塩法による塩、天日塩、せんごう塩、岩塩、及び藻塩などからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。前記藻塩は、前記混合調味料の和風の風味を高めることができるため、醤油の風味と相性が良く、好適に使用することができる。前記食塩の配合量は、特に制限されないが、例えば、前記混合調味料の全質量に対して約0.5質量%~約80質量%であってもよく、好ましくは約20質量%~約60質量%である。
【0015】
本発明の混合調味料は、本発明の目的を損なわない限り当技術分野で通常使用される任意の調味料、任意の添加剤、及び/又は任意の食材をさらに含んでもよく、醤油の風味を向上させる他の添加剤をさらに含んでもよい。前記任意の調味料としては、特に制限されないが、例えば、オニオン、ニンニク、ショウガ、コショウ、サンショウ、コリアンダー、シソ、パセリ、トウガラシ、及びパプリカなどの香辛料や、アミノ酸系調味料(グルタミン酸及びその塩(グルタミン酸ナトリウム等)、グリシン、アラニン、並びにアスパラギン酸及びその塩(アスパラギン酸ナトリウム等)など)、核酸系調味料(イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムなど)、有機酸(クエン酸など)、及び有機酸塩(コハク酸二ナトリウムなど)などの旨味調味料などが挙げられる。
【0016】
別の態様では、本発明は、キャラウェイの粉粒状物又は抽出物と醤油とを混合する工程を含む、醤油の風味を向上させる方法にも関している。料理において醤油の風味を向上させる場合には、前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物を、前記醤油と同時に又は連続的に料理に対して配合又は添加してもよい。料理に配合又は添加する前に前記キャラウェイの粉粒状物又は抽出物と前記醤油とを混合する場合には、当該工程の結果として混合調味料が調製される。この混合調味料は、上述した本発明の混合調味料に相当し、前記キャラウェイ及び前記醤油については、本発明の混合調味料に関連して説明したとおりである。
【0017】
本発明の醤油の風味を向上させる方法は、本発明の目的を損なわない限り当技術分野で通常使用される任意の工程、例えば、任意の調味料、任意の添加剤、及び/又は任意の食材を混合する工程をさらに含んでもよく、醤油の風味を向上させる他の添加剤をさらに含んでもよい。
【0018】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例0019】
〔試験例〕
後掲の表1に記載の原料を常法により適宜混合して、実施例1~5及び比較例1の混合調味料を作製した。作製した混合調味料を、100gの牛ステーキ肉の両面に、片面に対し3gずつ均一に振り掛けた。その後、油をひいたフライパンを用い中火のガスコンロで、片面に対し2分間ずつ両面を焼いた。調理されたステーキにおける醤油の味わい、後味のキレ、及び旨味を、4名のパネラーが以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0020】
(醤油の味わい)
◎:上品な味わいが強く感じられる(実施例5)
〇:上品な味わいが感じられる
△:上品な味わいが少し感じられる
×:上品な味わいが感じられない(比較例1)
(後味のキレ)
◎:キレが非常に良く味に締まりがある(実施例5)
〇:キレが良い
△:キレが少しある
×:キレがない(比較例1)
(旨味)
◎:複雑で深い旨味が強く感じられる(実施例5)
〇:複雑で深い旨味が感じられる
△:複雑で深い旨味が少し感じられる
×:複雑で深い旨味が感じられない(比較例1)
【0021】
【0022】
比較例1の混合調味料を使用しても、醤油特有の上品な味わいや複雑な旨味は感じられなかったが、実施例1~5の混合調味料を使用すると、比較例1と同じ量の醤油しか含んでいないにも関わらず、醤油特有の上品な味わい及び複雑な旨味が良好に感じられるようになった。また、比較例1の混合調味料を使用すると、後味にキレがなく、カツオ節由来の魚臭さを感じ、全体として複雑味のない単調な風味になってしまったが、実施例1~5の混合調味料を使用すると、後味のキレが向上し、カツオ節や昆布に由来する出汁様の風味も良好に感じられた。したがって、キャラウェイ粉末を配合したことにより、醤油の上品な風味及び複雑な旨味だけでなく、出汁様の風味も向上し、調理品に和風の風味を付与することができた。
【0023】
なお、実施例1~5の混合調味料においては、40質量部の食塩のうち30質量部が藻塩であるため、和風の風味が特に高まっていた。また、柚子皮を追加で含む実施例5の混合調味料を使用すると、後味のキレが非常に良くなり締まりのある味になったので、柑橘系の風味は、キャラウェイ及び醤油を含む混合調味料の後味のキレの向上に有用であると考えられる。
【0024】
以上より、キャラウェイの粉粒状物又は抽出物と醤油とを配合することにより、醤油の風味を向上できることが分かった。そのため、塩辛さを抑えつつ、醤油特有の上品な味わいが豊かに感じられる調味料を調製することができる。