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特開2024-2497薄膜トランジスタを備えた撮像素子及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002497
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタを備えた撮像素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
H01L27/146 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101706
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】今村 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】堺 俊克
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘人
(72)【発明者】
【氏名】相原 聡
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA05
4M118CA15
4M118CA22
4M118CA27
4M118CA32
4M118CB14
4M118CB20
4M118EA14
4M118FB03
4M118FB13
4M118FB16
4M118HA26
4M118HA27
(57)【要約】
【課題】垂直色分離型の撮像素子において、画素開口率を層間で変化させることなく、かつ画素開口率を低下させることなく、各層にて適切な大きさの蓄積容量を設ける。
【解決手段】撮像素子1は、垂直色分離型の3層構造をなし、各層は、光電変換層10、信号読み出し回路11及び層間絶縁層12(第3層の場合は基板13)を備える。光電変換層10は、画素電極20、対向電極21、及びこれらの電極に上下面を挟まれた有機膜22から構成され、信号読み出し回路11は、TFT30、配線31及び蓄積容量用電極32から構成される。TFT30は、ゲート電極40、ゲート絶縁膜41、半導体42、ソース・ドレイン電極43,44及び保護膜45の順で積層して構成される。蓄積容量用電極32は、全面が画素電極20に覆われるように、画素電極20の下部に設けられ、配線31またはゲート電極40と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともN(Nは2以上の整数)以上の波長域の光を入射したときの入射方向である上から下へ向けた順に、第Nから第1までの複数の層が積層して構成され、
前記複数の層のうち第1以外の層(第n(nはN以下かつ2以上の整数)の層)のそれぞれが、第nの波長域の光を吸収して光電変換を行い、当該第nの層が入射した光のうち前記第nの波長域以外の光を透過する第nの光電変換層と、前記第nの光電変換層で発生した信号電荷を読み出す第nの信号読み出し回路と、を備え、
第1の層が、第1の波長域の光を吸収して光電変換を行う第1の光電変換層と、前記第1の光電変換層で発生した信号電荷を読み出す第1の信号読み出し回路と、を備えた垂直色分離型の撮像素子において、
第Nから第1までの信号読み出し回路のそれぞれは、少なくとも1つのTFTを備えると共に、配線及び蓄積容量用電極を備え、
第Nから第1までの光電変換層のそれぞれは、画素電極、有機膜及び対向電極を備えており、
前記TFTは、前記入射の逆方向である下から上へ向けて、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体、ソース・ドレイン電極及び保護膜の順に積層して構成され、
前記蓄積容量用電極は、前記入射方向からの平面視で全面が前記画素電極に覆われるように、前記画素電極の下部に設けられており、前記配線、前記ゲート電極及び前記ソース・ドレイン電極のうちのいずれかと同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された電極である、ことを特徴とする撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記蓄積容量用電極は、
全面が前記画素電極に覆われると共に、前記画素電極との間で前記ゲート絶縁膜を挟むように、前記画素電極の下部に設けられており、前記配線または前記ゲート電極と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された電極である、ことを特徴とする撮像素子。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記蓄積容量用電極は、
全面が前記画素電極に覆われると共に、前記画素電極との間で前記保護膜を挟むように、前記画素電極の下部であって、前記ゲート絶縁膜の直上かつ前記保護膜の直下に設けられており、前記ソース・ドレイン電極と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された電極である、ことを特徴とする撮像素子。
【請求項4】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記蓄積容量用電極は、
全面が前記画素電極に覆われると共に、前記画素電極との間で前記ゲート絶縁膜及び前記保護膜を挟むように、前記画素電極の下部であって、前記ゲート絶縁膜の直下に設けられており、前記配線または前記ゲート電極と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された電極である、ことを特徴とする撮像素子。
【請求項5】
少なくともN(Nは2以上の整数)以上の波長域の光を入射したときの入射方向である上から下へ向けた順に、第Nから第1までの複数の層が積層して構成され、
前記複数の層のうち第1以外の層(第n(nはN以下かつ2以上の整数)の層)のそれぞれが、第nの波長域の光を吸収して光電変換を行い、当該第nの層が入射した光のうち前記第nの波長域以外の光を透過する第nの光電変換層と、前記第nの光電変換層で発生した信号電荷を読み出す第nの信号読み出し回路と、を備え、
第1の層が、第1の波長域の光を吸収して光電変換を行う第1の光電変換層と、前記第1の光電変換層で発生した信号電荷を読み出す第1の信号読み出し回路と、を備えた垂直色分離型の撮像素子の製造方法において、
前記第1の層について、
基板上に、少なくとも1つのTFTであって、前記入射の逆方向である下から上へ向けて、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体、ソース・ドレイン電極及び保護膜の順に積層して構成される前記TFT、配線、蓄積容量用電極及び画素電極を形成する第1工程と、
前記保護膜及び前記画素電極の上に、有機膜を積層する第2工程と、
前記有機膜上に、対向電極を形成する第3工程と、を行い、
前記第nの層のそれぞれについて、
第n-1層に形成された前記対向電極上に、層間絶縁膜または層間基板を設ける第4工程と、
前記層間絶縁膜または前記層間基板の上に、少なくとも1つのTFTであって、前記入射の逆方向である下から上へ向けて、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体、ソース・ドレイン電極及び保護膜の順に積層して構成される前記TFT、配線、蓄積容量用電極及び画素電極を形成する第5工程と、
前記第5工程により形成された前記TFTの保護膜及び前記画素電極の上に、有機膜を積層する第6工程と、
前記第6工程により積層された前記有機膜上に、対向電極を形成する第7工程と、を行い、
前記第1工程及び前記第5工程により、前記蓄積容量用電極の全面が前記画素電極に覆われ、かつ前記画素電極の下部に設けられるように、前記蓄積容量用電極を、前記配線、前記ゲート電極及び前記ソース・ドレイン電極のうちのいずれかと同一の材料及び膜厚にて、同時に形成する、ことを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ(TFT)を備えた垂直色分離型の撮像素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現行のカメラには、3つの撮像素子を用いてカラー画像を取得する3板式と、1つの撮像素子を用いてカラー画像を取得する単板式の2つの方式が用いられている。
【0003】
3板式では、入射した光を色分解プリズムにより三原色、すなわち赤(R)、緑(G)、青(B)に色分離し、3つの撮像素子でそれぞれの像を取得する。このため、入射光を効率よく利用でき、高画質な撮像が可能であるが、その一方で、色分解プリズムを用いるため小型化が困難である。
【0004】
一方、単板式では、1つの撮像素子にRGBのカラーフィルタを面内配置し、色分離する。このため、小型化が可能である反面、入射光のうち特定の波長域の光以外を吸収するカラーフィルタを用いることから、3板式と比べ光の利用効率が低く、画質が低下する。
【0005】
このように、3板式と単板式には一長一短があり、カメラの高画質化と小型化の両立が可能な撮像素子の開発が求められている。
【0006】
このような中、撮像素子の高画質化と小型化の両立を目的として、1つの撮像素子を用いて、RGB全ての情報を取得する垂直色分離型の撮像素子が提案されている。
【0007】
この撮像素子は、R光、G光、B光それぞれにのみ感度をもつ有機光電変換膜(有機膜)と、光透過型のTFTを用いた信号読み出し回路とを備え、これらを交互に積層した構造で構成される。これにより、光の進行方向に色分離を行い、1つの撮像素子を用いてRGB全ての情報を取得することができる。
【0008】
例えば、1つのガラス基板上に3層の有機膜とTFTを用いた信号読み出し回路と交互に直接積層した撮像素子が開示されている(例えば特許文献1を参照)。また、ガラス基板上にTFTを用いた信号読み出し回路と有機膜を製膜した素子とを3枚積層した撮像素子も開示されている(例えば特許文献2を参照)。さらに、最下部の有機膜及び信号読み出し回路をCMOSイメージセンサに置き換えた撮像素子も開示されている(例えば特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002-217474号公報
【特許文献2】特開2005-51115号公報
【特許文献3】特開2019-102623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の特許文献1,2,3に記載された積層型の撮像素子において、有機膜で発生した信号電荷を蓄積するための容量(画素容量)の値(画素容量値)は、有機膜の容量(有機膜容量)、信号読み出し回路の寄生容量等から決定される。
【0011】
この画素容量値によって撮像素子の感度が決定されるため、有機膜容量を考慮した適切な設計値の蓄積容量を別途設けることが望ましい。RGBの各層に蓄積容量を設けることにより、各層の感度特性を揃えた撮像素子を得ることができるからである。この場合、画素容量値は、有機膜容量、蓄積容量及び寄生容量等から決定されることとなる。
【0012】
しかしながら、各層の有機膜は、各々の特性(光吸収率、量子効率等)の差に対応した膜厚で使用する必要があることから、各層の有機膜容量に差異が生じる。
【0013】
このため、適切な設計値の蓄積容量とするためには、各層の有機膜容量の差異を補償するための蓄積容量(各層において異なる蓄積容量)を各層で別途設ける必要がある。
【0014】
しかしながら、画素レイアウト内に各層に応じたサイズの蓄積容量を設けると、下層へ光を透過させるための画素開口率が低下することがあり得る。また、各層の画素開口率に差異があると、その差異に応じて、信号読み出し回路としての特性に差異が生じる。このため、撮像素子を駆動する際に不都合が生じるという問題がある。ここで、画素開口率とは、画素において画素電極(後述する図2において、入射方向から見たときの平面内の画素電極20-1,20-2,20-3)の占める割合をいう。
【0015】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、垂直色分離型の撮像素子において、画素開口率を層間で変化させることなく、かつ画素開口率を低下させることなく、各層にて適切な大きさの蓄積容量を設けた撮像素子及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、請求項1の撮像素子は、少なくともN(Nは2以上の整数)以上の波長域の光を入射したときの入射方向である上から下へ向けた順に、第Nから第1までの複数の層が積層して構成され、前記複数の層のうち第1以外の層(第n(nはN以下かつ2以上の整数)の層)のそれぞれが、第nの波長域の光を吸収して光電変換を行い、当該第nの層が入射した光のうち前記第nの波長域以外の光を透過する第nの光電変換層と、前記第nの光電変換層で発生した信号電荷を読み出す第nの信号読み出し回路と、を備え、第1の層が、第1の波長域の光を吸収して光電変換を行う第1の光電変換層と、前記第1の光電変換層で発生した信号電荷を読み出す第1の信号読み出し回路と、を備えた垂直色分離型の撮像素子において、第Nから第1までの信号読み出し回路のそれぞれは、少なくとも1つのTFTを備えると共に、配線及び蓄積容量用電極を備え、第Nから第1までの光電変換層のそれぞれが、画素電極、有機膜及び対向電極を備えており、前記TFTが、前記入射の逆方向である下から上へ向けて、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体、ソース・ドレイン電極及び保護膜の順に積層して構成され、前記蓄積容量用電極が、前記入射方向からの平面視で全面が前記画素電極に覆われるように、前記画素電極の下部に設けられており、前記配線、前記ゲート電極及び前記ソース・ドレイン電極のうちのいずれかと同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された電極である、ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項2の撮像素子は、請求項1に記載の撮像素子において、前記蓄積容量用電極が、全面が前記画素電極に覆われると共に、前記画素電極との間で前記ゲート絶縁膜を挟むように、前記画素電極の下部に設けられており、前記配線または前記ゲート電極と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された電極である、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項3の撮像素子は、請求項1に記載の撮像素子において、前記蓄積容量用電極が、全面が前記画素電極に覆われると共に、前記画素電極との間で前記保護膜を挟むように、前記画素電極の下部であって、前記ゲート絶縁膜の直上かつ前記保護膜の直下に設けられており、前記ソース・ドレイン電極と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された電極である、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項4の撮像素子は、請求項1に記載の撮像素子において、前記蓄積容量用電極が、全面が前記画素電極に覆われると共に、前記画素電極との間で前記ゲート絶縁膜及び前記保護膜を挟むように、前記画素電極の下部であって、前記ゲート絶縁膜の直下に設けられており、前記配線または前記ゲート電極と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された電極である、ことを特徴とする。
【0020】
さらに、請求項5の撮像素子の製造方法は、少なくともN(Nは2以上の整数)以上の波長域の光を入射したときの入射方向である上から下へ向けた順に、第Nから第1までの複数の層が積層して構成され、前記複数の層のうち第1以外の層(第n(nはN以下かつ2以上の整数)の層)のそれぞれが、第nの波長域の光を吸収して光電変換を行い、当該第nの層が入射した光のうち前記第nの波長域以外の光を透過する第nの光電変換層と、前記第nの光電変換層で発生した信号電荷を読み出す第nの信号読み出し回路と、を備え、第1の層が、第1の波長域の光を吸収して光電変換を行う第1の光電変換層と、前記第1の光電変換層で発生した信号電荷を読み出す第1の信号読み出し回路と、を備えた垂直色分離型の撮像素子の製造方法において、前記第1の層について、基板上に、少なくとも1つのTFTであって、前記入射の逆方向である下から上へ向けて、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体、ソース・ドレイン電極及び保護膜の順に積層して構成される前記TFT、配線、蓄積容量用電極及び画素電極を形成する第1工程と、前記保護膜及び前記画素電極の上に、有機膜を積層する第2工程と、前記有機膜上に、対向電極を形成する第3工程と、を行い、前記第nの層のそれぞれについて、第n-1層に形成された前記対向電極上に、層間絶縁膜または層間基板を設ける第4工程と、前記層間絶縁膜または前記層間基板の上に、少なくとも1つのTFTであって、前記入射の逆方向である下から上へ向けて、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体、ソース・ドレイン電極及び保護膜の順に積層して構成される前記TFT、配線、蓄積容量用電極及び画素電極を形成する第5工程と、前記第5工程により形成された前記TFTの保護膜及び前記画素電極の上に、有機膜を積層する第6工程と、前記第6工程により積層された前記有機膜上に、対向電極を形成する第7工程と、を行い、前記第1工程及び前記第5工程により、前記蓄積容量用電極の全面が前記画素電極に覆われ、かつ前記画素電極の下部に設けられるように、前記蓄積容量用電極を、前記配線、前記ゲート電極及び前記ソース・ドレイン電極のうちのいずれかと同一の材料及び膜厚にて、同時に形成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、垂直色分離型の撮像素子において、画素開口率を層間で変化させることなく、かつ画素開口率を低下させることなく、各層にて適切な大きさの蓄積容量を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態による撮像素子の構成例を模式的に示す断面図である。
図2】本発明の実施形態による撮像素子の断面図における構成要素の具体例を示す図である。
図3】本発明の実施形態による撮像素子の製造工程の例を示す図である。
図4】第3層の形成工程の例を説明する図である。
図5】第1の変形例による撮像素子の断面図における構成要素の具体例を示す図である。
図6】第2の変形例による撮像素子の断面図における構成要素の具体例を示す図である。
図7】1画素1トランジスタ構成における単層の回路例を示す図である。
図8】1画素1トランジスタ構成における単層のレイアウト例を示す図である。
図9】1画素3トランジスタ構成における単層の回路例を示す図である。
図10】1画素3トランジスタ構成における単層のレイアウト例を示す図である。
図11】第1の変形例における1画素1トランジスタ構成の場合の単層のレイアウト例を示す図である。
図12】第1の変形例における1画素3トランジスタ構成の場合の単層のレイアウト例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔撮像素子の構成〕
まず、本発明の実施形態による撮像素子の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態による撮像素子の構成例を模式的に示す断面図であり、1画素の断面を示している。
【0024】
この撮像素子1は、垂直色分離型の有機撮像素子であり、第1の光電変換層10-1と第2の光電変換層10-2と第3の光電変換層10-3とを、所定の光を入射したときの入射方向である上から下へ向けた順に備えている。また、撮像素子1は、第1の信号読み出し回路11-1を第1の光電変換層10-1の下であってかつ第2の光電変換層10-2の上に、第2の信号読み出し回路11-2を第2の光電変換層10-2の下であってかつ第3の光電変換層10-3の上に、第3の信号読み出し回路11-3を第3の光電変換層の下に、それぞれ備えている。また、撮像素子1は、第1の層間絶縁層12-1を第1の信号読み出し回路11-1の下であってかつ第2の光電変換層10-2の上に、第2の層間絶縁層12-2を第2の信号読み出し回路11-2の下であってかつ第3の光電変換層10-3の上に、基板13を第3の信号読み出し回路11-3の下に、それぞれ備えている。
【0025】
図1に示すように、撮像素子1は3層構造をなしており、入射方向である上から下へ向けて、第1の光電変換層10-1、第1の信号読み出し回路11-1及び第1の層間絶縁層12-1による第1層、第2の光電変換層10-2、第2の信号読み出し回路11-2及び第2の層間絶縁層12-2による第2層、並びに第3の光電変換層10-3、第3の信号読み出し回路11-3及び基板13による第3層から構成される。
【0026】
この撮像素子1は、少なくとも第1の波長域の光、第2の波長域の光及び第3の波長域の光を含む光を、図1に示す入射方向から入射するものとする。
【0027】
第1の光電変換層10-1は、撮像素子1の入射光のうち第1の波長域の光を吸収して光電変換を行い、かつ第2の波長域の光及び第3の波長域の光を透過する。第1の信号読み出し回路11-1は、第1の光電変換層10-1の光電変換により発生した信号電荷を読み出す。
【0028】
第2の光電変換層10-2は、第1の光電変換層10-1にて透過した第2の波長域の光及び第3の波長域の光のうち第2の波長域の光を吸収して光電変換を行い、かつ第3の波長域の光を透過する。第2の信号読み出し回路11-2は、第2の光電変換層10-2の光電変換により発生した信号電荷を読み出す。
【0029】
第3の光電変換層10-3は、第2の光電変換層10-2にて透過した第3の波長域の光を吸収して光電変換を行う。第3の信号読み出し回路11-3は、第3の光電変換層10-3の光電変換により発生した信号電荷を読み出す。
【0030】
図2は、図1に示した本発明の実施形態による撮像素子1の断面図における構成要素の具体例を示す図である。
【0031】
撮像素子1の第1層における第1の光電変換層10-1は、透明な画素電極(以下、「画素電極」という。)20-1、透明な対向電極(以下、「対向電極」という。)21-1、及びこれらの電極に上下面を挟まれた有機膜22-1から構成される。
【0032】
第1層における第1の信号読み出し回路11-1は、TFT30-1、配線31-1及び透明な蓄積容量用電極(以下、「蓄積容量用電極」という。)32-1を備えている。TFT30-1は、層間絶縁層12-1である層間絶縁膜50-1の上に、入射方向の逆方向である下から上へ向けて、ゲート電極40、ゲート絶縁膜41、半導体42、ソース・ドレイン電極43,44(ソース電極43及びドレイン電極44)及び保護膜45の順で積層して構成される。TFT30-1のソース電極43及び配線31-1は、ビアホール51により接続される。
【0033】
蓄積容量用電極32-1は、入射方向からの平面視で全面が画素電極20-1に覆われるように、かつ画素電極20-1の下部にゲート絶縁膜41を挟むように設けられており、配線31-1またはゲート電極40と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された(配線31-1またはゲート電極40と一体的に(同じプロセスにて)形成された)電極である。また、層間絶縁層12-1は、層間絶縁膜50-1により構成される。
【0034】
第2層における第2の光電変換層10-2は、第1層における第1の光電変換層10-1と同様の構成要素からなり、画素電極20-2、対向電極21-2及び有機膜22-2から構成される。また、第2の信号読み出し回路11-2は、第1の信号読み出し回路11-1と同様の構成要素からなり、TFT30-2、配線31-2及び蓄積容量用電極32-2を備えている。蓄積容量用電極32-2は、第1層における蓄積容量用電極32-1と同様の電極である。また、層間絶縁層12-2は、層間絶縁膜50-2により構成される。
【0035】
第3層における第3の光電変換層10-3は、第1層における第1の光電変換層10-1と同様の構成要素からなり、画素電極20-3、対向電極21-3及び有機膜22-3から構成される。また、第3の信号読み出し回路11-3は、第1の信号読み出し回路11-1と同様の構成要素からなり、TFT30-3、配線31-3及び蓄積容量用電極32-3を備えている。蓄積容量用電極32-3は、第1層における蓄積容量用電極32-1と同様の電極である。
【0036】
〔撮像素子の製造方法〕
次に、本発明の実施形態による撮像素子1の製造方法について説明する。図3は、図1及び図2に示した本発明の実施形態による撮像素子1の製造工程の例を示す図であり、図4は、撮像素子1における第3層の形成工程の例を説明する図である。
【0037】
図3に示すように、撮像素子1の製造は、第3層の形成(工程P301~P303)、第2層の形成(工程P304~P306)及び第1層の形成(工程P307~P309)の順で行われる。
【0038】
(第3層の形成)
まず、第3層の形成のために、図3及び図4を参照して、基板13上に配線31-3及び蓄積容量用電極32-3を、同一の材料及び膜厚にて同時に形成する(工程P301)。
【0039】
尚、工程P301では、基板13上に配線31-3及び蓄積容量用電極32-3を、同一の材料及び膜厚にて同時に形成するようにしたが、基板13上にゲート電極40及び蓄積容量用電極32-3を、同一の材料及び膜厚にて同時に形成するようにしてもよい。この場合、配線31-3は、後段の工程により基板13上に形成され、後段の工程P302-1では、基板13上にゲート電極40を形成する必要はない。後述する工程P305,P308についても同様である。
【0040】
次に、工程P301の後、基板13上にTFT30-3を形成すると共に、TFT30-3のゲート絶縁膜41上に画素電極20-3を形成する(工程P302)。
【0041】
具体的には、図4を参照して、工程P301の後、基板13上にゲート電極40を形成し、基板13、配線31-3、ゲート電極40及び蓄積容量用電極32-3上にゲート絶縁膜41を積層し、ゲート絶縁膜41上に画素電極20-3を形成する(工程P302-1)。
【0042】
そして、配線31-3と後述するソース電極43とを接続するためのビアホール51をゲート絶縁膜41の所定箇所に形成し、ゲート絶縁膜41上に半導体42を形成し、ゲート絶縁膜41及び半導体42上にソース電極43を形成し、ゲート絶縁膜41、半導体42及び画素電極20-3上にドレイン電極44を形成する(工程P302-2)。
【0043】
そして、ゲート絶縁膜41、半導体42、ソース電極43、ドレイン電極44及び画素電極20-3の上に保護膜45を積層する(工程P302-3)。
【0044】
これにより、工程P302-1~P302-3にて、TFT30-3が基板13上にゲート電極40、ゲート絶縁膜41、半導体42、ソース・ドレイン電極43,44及び保護膜45の順で積層して構成される。
【0045】
図3及び図4を参照して、工程P302の後(工程P302-3の後)、画素電極20-3及び保護膜45上に有機膜22-3を積層し、有機膜22-3上に対向電極21-3を形成する(工程P303)。
【0046】
これにより、工程P301~P303にて、撮像素子1の第3層が形成される。このようにして作製された第3層の単層素子に対し、後述する工程P304,P307にて層間絶縁膜50-2,50-1を設ける等の工程P304~P309によって3層積層することで、撮像素子1が形成される。
【0047】
(第2層の形成)
次に、第3層が形成された後、第2層の形成のために、図3を参照して、第3層の対向電極21-3上に層間絶縁膜50-2を積層する(工程P304)。
【0048】
次に、層間絶縁膜50-2上に配線31-2及び蓄積容量用電極32-2を、同一の材料及び膜厚にて同時に形成する(工程P305)。
【0049】
次に、前述の工程P302と同様に、層間絶縁膜50-2上にTFT30-2を形成すると共に、TFT30-2のゲート絶縁膜41上に画素電極20-2を形成する。そして、前述の工程P303と同様に、画素電極20-2及び保護膜45上に有機膜22-2を積層し、有機膜22-2上に対向電極21-2を形成する(工程P306)。
【0050】
これにより、工程P304~P306にて、撮像素子1の第2層が形成される。
【0051】
(第1層の形成)
次に、第2層が形成された後、第1層の形成のために、第2層の対向電極21-2上に層間絶縁膜50-1を積層する(工程P307)。
【0052】
次に、層間絶縁膜50-1上に配線31-1及び蓄積容量用電極32-1を、同一の材料及び膜厚にて同時に形成する(工程P308)。
【0053】
次に、前述の工程P302と同様に、層間絶縁膜50-1上にTFT30-1を形成すると共に、TFT30-1のゲート絶縁膜41上に画素電極20-1を形成する。そして、前述の工程P303と同様に、画素電極20-1及び保護膜45上に有機膜22-1を積層し、有機膜22-1上に対向電極21-1を形成する(工程P309)。
【0054】
これにより、工程P307~P309にて、撮像素子1の第1層が形成され、結果として撮像素子1が作製される。
【0055】
尚、前述した図1図4では、画素電極20-1,20-2,20-3がゲート絶縁膜41の直上にある場合について説明した。
【0056】
これに対し、撮像素子1の全体に保護膜45を形成し、保護膜45の直上に開口部を設けることで、当該の開口部に、画素電極20-1,20-2,20-3を、配置するようにしてもよい。いずれの場合も、蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3は、配線31-1,31-2,31-3またはゲート電極40と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成される。
【0057】
〔変形例〕
次に、図1図4に示した本発明の実施形態による撮像素子1の変形例について説明する。
(第1の変形例)
図5は、第1の変形例による撮像素子の断面図における構成要素の具体例を示す図であり、図2に示した撮像素子1の断面図の第3層に対応する構造を示している。
【0058】
この第1の変形例による撮像素子2は、図1と同様の3層構造をなしており、入射方向である上から下へ向けて、第1層、第2層及び第3層から構成される。図5には、第3層のみが示されており、第1層及び第2層は、第3層の基板13の代わりに、層間絶縁層12-1である層間絶縁膜50-1及び層間絶縁層12-2である層間絶縁膜50-2をそれぞれ備えている。
【0059】
撮像素子2においては、画素電極20-1,20-2,20-3が保護膜45の直上に形成されると共に、蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3がゲート絶縁膜41の直上かつ保護膜45の直下に形成される。
【0060】
具体的には、第3層における第3の信号読み出し回路11-3は、TFT30-3、配線31-3及び蓄積容量用電極32-3を備えている。TFT30-3は、図2に示したTFT30-3と同様に、基板13の上にゲート電極40、ゲート絶縁膜41等及び保護膜45の順で積層して構成される。TFT30-3のソース電極43及び配線31-3は、ビアホール51により接続され、画素電極20-3及びドレイン電極44は、ビアホール52により接続される。
【0061】
蓄積容量用電極32-3は、入射方向からの平面視で全面が画素電極20-3に覆われるように、かつ画素電極20-3の下部に保護膜45を挟み、かつゲート絶縁膜41の上部に設けられており、ソース・ドレイン電極43,44と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された電極である。つまり、蓄積容量用電極32-3は、全面が画素電極20-3に覆われると共に、保護膜45の直下かつゲート絶縁膜41の直上に設けられている。第2層及び第1層についても同様である。
【0062】
次に、第1の変形例による撮像素子2の製造方法について説明する。撮像素子2の製造は、図3に示した撮像素子1の場合と同様に、第3層の形成、第2層の形成及び第1層の形成の順で行われる。
【0063】
まず、第3層の形成のために、基板13上に配線31-3を形成し、そして、基板13上にTFT30-3を形成すると共に、ゲート絶縁膜41の直上かつ保護膜45の直下に蓄積容量用電極32-3を形成する。
【0064】
具体的には、基板13上にゲート電極40を形成し、基板13、配線31-3及びゲート電極40上にゲート絶縁膜41を積層し、ゲート絶縁膜41上に蓄積容量用電極32-3を形成する。
【0065】
次に、配線31-3と後述するソース電極43とを接続するためのビアホール51をゲート絶縁膜41の所定箇所に形成し、ゲート絶縁膜41上に半導体42を形成し、ゲート絶縁膜41及び半導体42上にソース電極43を形成し、ゲート絶縁膜41及び半導体42上にドレイン電極44を形成する。
【0066】
次に、蓄積容量用電極32-3、ゲート絶縁膜41、半導体42、ソース電極43及びドレイン電極44上に保護膜45を積層する。そして、ドレイン電極44と後述する画素電極20-3とを接続するためのビアホール52を保護膜45の所定箇所に形成し、保護膜45上に画素電極20-3を形成する。
【0067】
次に、画素電極20-3及び保護膜45上に有機膜22-3を積層し、有機膜22-3上に対向電極21-3を形成する。
【0068】
これにより、撮像素子2の第3層が形成される。このようにして作製された第3層の単層素子に対し、層間絶縁膜50-2,50-1を設ける等によって、第2層及び第1層を積層することで、3層構造の撮像素子2が形成される。
【0069】
(第2の変形例)
図6は、第2の変形例による撮像素子の断面図における構成要素の具体例を示す図であり、図2に示した撮像素子1の断面図の第3層に対応する構造を示している。
【0070】
この第2の変形例による撮像素子3は、図1と同様の3層構造をなしており、入射方向である上から下へ向けて、第1層、第2層及び第3層から構成される。図6には、第3層のみが示されており、第1層及び第2層は、第3層の基板13の代わりに、層間絶縁層12-1である層間絶縁膜50-1及び層間絶縁層12-2である層間絶縁膜50-2をそれぞれ備えている。
【0071】
撮像素子3においては、画素電極20-1,20-2,20-3が保護膜45の直上に形成されると共に、蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3がゲート絶縁膜41の直下に形成される。
【0072】
具体的には、第3層における第3の信号読み出し回路11-3は、TFT30-3、配線31-3及び蓄積容量用電極32-3を備えている。TFT30-3は、図2に示したTFT30-3と同様に、基板13の上にゲート電極40、ゲート絶縁膜41等及び保護膜45の順で積層して構成される。TFT30-3のソース電極43及び配線31-3は、ビアホール51により接続され、画素電極20-3及びドレイン電極44は、ビアホール52により接続される。
【0073】
蓄積容量用電極32-3は、入射方向からの平面視で全面が画素電極20-3に覆われるように、かつ画素電極20-3の下部に保護膜45及びゲート絶縁膜41を挟み、かつゲート絶縁膜41の下部に設けられており、配線31-3またはゲート電極40と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された電極である。つまり、蓄積容量用電極32-3は、全面が画素電極20-3に覆われると共に、画素電極20-3の下部であって、かつゲート絶縁膜41の直下に設けられている。第2層及び第1層についても同様である。
【0074】
次に、第2の変形例による撮像素子3の製造方法について説明する。撮像素子3の製造は、図3に示した撮像素子1の場合と同様に、第3層の形成、第2層の形成及び第1層の形成の順で行われる。
【0075】
まず、第3層の形成のために、基板13上に配線31-3及び蓄積容量用電極32-3を、同一の材料及び膜厚にて同時に形成する。そして、基板13上にTFT30-3を形成する。尚、蓄積容量用電極32-3は、後述するゲート電極40と同一の材料及び膜厚にて同時に形成するようにしてもよい。
【0076】
次に、配線31-3と後述するソース電極43とを接続するためのビアホール51をゲート絶縁膜41の所定箇所に形成し、ゲート絶縁膜41上に半導体42を形成し、ゲート絶縁膜41及び半導体42上にソース電極43を形成し、ゲート絶縁膜41及び半導体42上にドレイン電極44を形成する。
【0077】
次に、ゲート絶縁膜41、半導体42、ソース電極43及びドレイン電極44上に保護膜45を積層する。そして、ドレイン電極44と後述する画素電極20-3とを接続するためのビアホール52を保護膜45の所定箇所に形成し、保護膜45上に画素電極20-3を形成する。
【0078】
次に、画素電極20-3及び保護膜45上に有機膜22-3を積層し、有機膜22-3上に対向電極21-3を形成する。
【0079】
これにより、撮像素子3の第3層が形成される。このようにして作製された第3層の単層素子に対し、層間絶縁膜50-2,50-1を設ける等によって、第2層及び第1層を積層することで、3層構造の撮像素子3が形成される。
【0080】
〔回路例及び平面視のレイアウト例〕
前述の図1図4では、撮像素子1について、画素電極20とドレイン電極44(またはソース電極43)とが接続される1つのTFT30が設けられた1画素1トランジスタ構成(1層1トランジスタ構成)として説明した。これに対し、撮像素子1は、1画素に複数のトランジスタが設けられた1画素複数トランジスタ構成(1層複数トランジスタ構成)であってもよい。図5に示した第1の変形例の撮像素子2及び図6に示した第2の変形例の撮像素子3についても同様である。
【0081】
以下、1画素1トランジスタ構成における単層の回路、及び1画素3トランジスタ構成における単層の回路について説明する。尚、画素電極20-1,20-2,20-3を総称して画素電極20とし、対向電極21-1,21-2,21-3を総称して対向電極21とし、蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3を総称して蓄積容量用電極32とする。また、配線31-1,31-2,31-3を総称して配線31とし、TFT30-1,30-2,30-3を総称してTFT30とする。
【0082】
(撮像素子1における1画素1トランジスタ構成)
まず、図2に示した本発明の実施形態の撮像素子1における回路例及び平面視のレイアウト例について説明する。
【0083】
図7は、1画素1トランジスタ構成における単層の回路例を示す図である。この撮像素子1の回路は、画素電極20とソース電極43またはドレイン電極44とが接続される選択用TFT30A(MS)、対向電極21と画素電極20とに挟まれた有機膜22によるコンデンサ要素、及び、画素電極20と蓄積容量用電極32とに挟まれたゲート絶縁膜41によるコンデンサ要素(CS)により構成され、図2に示した各層の構造に対応している。この場合、有機膜22によるコンデンサ要素の有機膜容量に、コンデンサ要素(CS)の蓄積容量を加算した容量値は、各層において同じとなる。
【0084】
図8は、1画素1トランジスタ構成における単層のレイアウト例を示す図であり、図7に示した回路例に対応している。
【0085】
図8に示すように、撮像素子1の単層には、1つの選択用TFT30Aに加え、蓄積容量用電極32の上部に画素電極20が形成されており、これらのレイヤのさらに上部の全面に、図示しない有機膜22及び対向電極21が形成されている(図2を参照)。
【0086】
画素電極20は、保護膜45が存在しない保護膜開口部60の内部に配置されている。
【0087】
(撮像素子1における1画素3トランジスタ構成)
図9は、1画素3トランジスタ構成における単層の回路例を示す図である。この撮像素子1の回路は、後述する増幅用TFT30Bとソース電極43またはドレイン電極44とが接続される選択用TFT30A(MS)、画素電極20とゲート電極40とが接続される増幅用TFT30B(MA)、蓄積容量用電極32をリセットするリセット用TFT30C(MR)、対向電極21と画素電極20とに挟まれた有機膜22によるコンデンサ要素、及び、画素電極20と蓄積容量用電極32とに挟まれたゲート絶縁膜41によるコンデンサ要素(CS)により構成され、図2に示した各層において3つのTFT30を備えた構造に対応している。
【0088】
図10は、1画素3トランジスタ構成における単層のレイアウト例を示す図であり、図9に示した回路例に対応している。
【0089】
図10に示すように、撮像素子1の単層には、3つのTFTである選択用TFT30A、増幅用TFT30B及びリセット用TFT30Cに加え、蓄積容量用電極32の上部に画素電極20が形成されており、これらのレイヤのさらに上部の全面に、図示しない有機膜22及び対向電極21が形成されている(図2を参照)。
【0090】
画素電極20は、保護膜45が存在しない保護膜開口部60の内部に配置されている。また、ビアホール51’は、図示しないゲート絶縁膜41内に形成されている。
【0091】
尚、図8及び図10に示したレイアウト例では、図1図4及び図6に示したように、蓄積容量用電極32が配線31またはゲート電極40と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された場合を示している。蓄積容量用電極32から画素外に接続される配線は、他の横方向の配線と交差することなく形成される。
【0092】
(撮像素子2における1画素1トランジスタ構成)
次に、図5に示した第1の変形例の撮像素子2における回路例及び平面視のレイアウト例について説明する。前述のとおり、図5に示した第1の変形例の撮像素子2では、蓄積容量用電極32がソース・ドレイン電極43,44と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成された場合を示している。
【0093】
図11は、第1の変形例における1画素1トランジスタ構成の場合の単層のレイアウト例を示す図であり、図7に示した回路例に対応している。
【0094】
図11に示すように、撮像素子2の単層には、1つの選択用TFT30Aに加え、蓄積容量用電極32の上部に画素電極20が形成されており、これらのレイヤのさらに上部の全面に、図示しない有機膜22及び対向電極21が形成されている(図5を参照)。
【0095】
画素電極20は、保護膜開口部60の内部に配置されている。また、ビアホール51’は、図示しないゲート絶縁膜41内に形成されている。
【0096】
蓄積容量用電極32から画素外に接続される配線は、横方向の配線を形成するときに、縦方向の配線との交差部(図示しないゲート絶縁膜41内に形成されたビアホール51’の箇所)に予め形成しておく。そして、ゲート絶縁膜41を開口した後に、縦配線と同時に蓄積容量用電極32を形成し、蓄積容量用電極32は、予め形成しておいた横方向の配線(蓄積容量用電極32から画素外に接続される配線)に接続される。また、蓄積容量用電極32から画素外に接続される配線31は、他の横方向の配線と交差することなく形成される。後述する図12についても同様である。
【0097】
(撮像素子2における1画素3トランジスタ構成)
図12は、第1の変形例における1画素3トランジスタ構成の場合の単層のレイアウト例を示す図であり、図9に示した回路例に対応している。
【0098】
図12に示すように、撮像素子2の単層には、3つのTFTである選択用TFT30A、増幅用TFT30B及びリセット用TFT30Cに加え、蓄積容量用電極32の上部に画素電極20が形成されており、これらのレイヤのさらに上部の全面に、図示しない有機膜22及び対向電極21が形成されている(図5を参照)。
【0099】
画素電極20は、保護膜開口部60の内部に配置されている。また、ビアホール51’は、図示しないゲート絶縁膜41内に形成されている。蓄積容量用電極32から画素外に接続される配線は、図11と同様である。
【0100】
尚、図1図12に示した例は、撮像素子1,2,3の1画素のみを示しているが、撮像素子1,2,3は、実際はアレイ状に縦横に配列された数の画素を備えている。また、図1図12に示した例は、蓄積容量用電極32が画素外でグランドに接続された場合を示しているが(図7及び図9を参照)、蓄積容量用電極32は、リセット電位以下であって、かつ固定電位の電源に接続されるようにしてもよい。
【0101】
〔撮像素子1の構成要素の材料等〕
次に、図2に示した撮像素子1の構成要素の材料等について説明する。図5に示した第1の変形例による撮像素子2及び図6に示した第2の変形例による撮像素子3についても同様である。
【0102】
以下、第1の光電変換層10-1、第2の光電変換層10-2及び第3の光電変換層10-3を総称して光電変換層10とし、第1の信号読み出し回路11-1、第2の信号読み出し回路11-2及び第3の信号読み出し回路11-3を総称して信号読み出し回路11とする。また、第1の層間絶縁層12-1及び第2の層間絶縁層12-2を総称して層間絶縁層12とし、層間絶縁膜50-1,50-2を総称して層間絶縁膜50とする。
【0103】
基板13の材料としては、ガラス、シリコン、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、プラスチックフィルム、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が用いられる。
【0104】
光電変換層10は、光の入射方向から見て四角形状となっており、光電変換層10の有機膜22は、特定の波長域の光を吸収し、他の波長域の光を透過する性質を有する単独の有機材料が用いられる。尚、有機膜22は、有機材料を2種類以上混合または積層して構成するようにしてもよい。
【0105】
青色光のみに感度を有する(青色光の波長域の光を吸収し、これ以外の光を透過する)有機材料としては、例えばクマリン誘導体、ポルフィリン誘導体が用いられる。緑色光のみに感度を有する(緑色光の波長域の光を吸収し、これ以外の光を透過する)有機材料としては、例えばキナクリドン誘導体、ペリレン誘導体が用いられる。赤色光のみに感度を有する(赤色光の波長域の光を吸収し、これ以外の光を透過する)有機材料としては、例えばフタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体が用いられる。
【0106】
有機膜22の膜厚は、10nm~1μm程度であることが望ましい。また、光電変換層10には、電極からの電荷注入を防ぐために、膜厚5nm~50nm程度の電子ブロッキング層または正孔ブロッキング層を適宜挿入するようにしてもよい。
【0107】
画素電極20の材料としては、光透過性を有する透明な導電性材料が望ましい。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム・酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等が用いられる。画素電極20の膜厚は5nm~100nm程度であることが望ましい。
【0108】
対向電極21の材料としては、光透過性を有する透明な導電性材料が望ましい。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム・酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等が用いられる。
【0109】
蓄積容量用電極32の材料は、配線31、ゲート電極40及びソース・ドレイン電極43,44のうちのいずれかと同じ材料を用いて一括形成される。蓄積容量用電極32の膜厚は5nm~100nm程度であることが望ましい。
【0110】
信号読み出し回路11のTFT30としては、光透過性を有する半導体材料からなるTFTを用いたものが望ましい。例えば半導体材料として、酸化亜鉛(ZnO)、アモルファス酸化物半導体であるインジウム・ガリウム・酸化亜鉛(InGaZnO)等が用いられる。TFT30の膜厚は5nm~100nmであることが望ましい。
【0111】
保護膜45の材料としては、縁性材料で形成されるものが望ましい。例えば、シリコン、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料、または、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系等の有機絶縁材料が用いられる。また、これらを2種類以上積層したもの等が用いられる。保護膜45の膜厚は50nm~数μm程度であることが望ましい。
【0112】
TFT30のゲート絶縁膜41の材料としては、例えばシリコン、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料、または、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系等の有機絶縁材料が用いられる。また、それらを2種類以上積層したもの等が用いられる。ゲート絶縁膜41の膜厚は50nm~数100nm程度であることが望ましい。
【0113】
基板13及び層間絶縁層12(層間絶縁膜50)の材料としては、光透過性を有する絶縁性材料で形成されたものが望ましい。例えばシリコン、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、プラスチックフィルム、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が用いられる。
【0114】
〔カラー撮像素子の例〕
次に、撮像素子1を3層積層カラー撮像素子に適用した場合について説明する。撮像素子2,3についても同様である。
【0115】
画素ピッチを50μmとし、画素開口率、すなわち画素において画素電極20-1,20-2,20-3の占める割合を37%とし、画素電極20-1,20-2,20-3の面積を9.25×10-10とする。また、第1の波長域の光を青色光(ピーク波長450nm)、第2の波長域の光を緑色光(ピーク波長500~540nm)、第3の波長域の光を赤色光(ピーク波長650nm)とする。
【0116】
第1の光電変換層10-1の有機膜22-1としてクマリン誘導体(比誘電率4.0)を400nm、第2の光電変換層10-2の有機膜22-2としてキナクリドン誘導体(比誘電率4.0)を200nm、第3の光電変換層10-3の有機膜22-3としてナフタロシアニン誘導体(比誘電率4.0)を100nm積層すると共に、第1~3の光電変換層10-1,10-2,10-3のそれぞれに電子ブロッキング層及び正孔ブロッキング層(共に誘電率4.0)を各30nm挿入する。
【0117】
この場合の第1~3の光電変換層10-1,10-2,10-3の静電容量(有機膜22-1,22-2,22-3を挟む対向電極21-1,21-2,21-3と画素電極20-1,20-2,20-3との間の静電容量)は、それぞれ71.2fF,126fF,205fFである。
【0118】
いま、図4に示したように、蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3を、それぞれ配線31-1,31-2,31-3と同時に、かつ画素電極20-1,20-2,20-3との間でゲート絶縁膜41を挟む形で形成し、画素容量値を40fFにする場合を想定する。
【0119】
この場合、ゲート絶縁膜41として膜厚200nmの酸化シリコン(比誘電率3.9)を用いるとすると、蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3の静電容量(ゲート絶縁膜41を挟む蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3と画素電極20-1,20-2,20-3との間の静電容量)は、それぞれ91.3fF,58.6fF,49.7fFとすればよい。
【0120】
したがって、蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3の面積は、それぞれ5.29×10-10,3.39×10-10,2.88×10-10とすればよい。
【0121】
このように、前述の面積を有する蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3を設けることにより、各層の有機膜22-1,22-2,22-3の膜厚の違いに伴う有機膜容量の違いを吸収し、各層で同一の画素容量値である40fFを実現することができる。
【0122】
また、画素電極20-1,20-2,20-3の面積は9.25×10-10であり、蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3の面積はそれぞれ5.29×10-10,3.39×10-10,2.88×10-10であるため、蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3の面積を画素電極20-1,20-2,20-3の面積よりも小さくすることができ、レイアウト設計に矛盾が生じることはない。
【0123】
つまり、蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3は、入射方向の平面視で全面がそれぞれ画素電極20-1,20-2,20-3に覆われるように、画素電極20-1,20-2,20-3の下部に設けることができる。
【0124】
また、撮像素子1を3層積層カラー撮像素子に適用した場合、各層に異なる材料及び膜厚の有機膜22-1,22-2,22-3を用いたとしても、画素開口率を層間で変化させることなく同一にすることができる。また、TFT30をそのまま配置することができ、かつ他の金属材料は不要であるため、画素開口率を低下させることなく、すなわち画素開口率を犠牲にすることなく、各層にて適切な大きさの蓄積容量用電極32-1,32-2,32-3を設けることができる。そして、各層にて画素容量値を同一にすることができる。
【0125】
以上のように、本発明の実施形態による撮像素子1によれば、垂直色分離型の3層構造をなし、各層は、光電変換層10、信号読み出し回路11及び層間絶縁層12(第3層の場合は基板13)を備えて構成される。
【0126】
光電変換層10は、画素電極20、対向電極21、及びこれらの電極に上下面を挟まれた有機膜22から構成され、信号読み出し回路11は、TFT30、配線31及び蓄積容量用電極32から構成される。
【0127】
TFT30は、層間絶縁層12である層間絶縁膜50(第3層の場合は基板13)の上に、ゲート電極40、ゲート絶縁膜41、半導体42、ソース・ドレイン電極43,44及び保護膜45の順で積層して構成される。
【0128】
蓄積容量用電極32は、全面が画素電極20に覆われるように、画素電極20の下部に設けられ、配線31またはゲート電極40と同一の材料及び膜厚からなり、かつ同時に形成される。
【0129】
これにより、画素開口率を変化及び低下させることなく、また他のレイヤと同一プロセスにて蓄積容量用電極32を形成することで、工程を増やすことなく、各層の回路特性を一致させながら、適切な大きさの蓄積容量を設けることができる。
【0130】
つまり、垂直色分離型の撮像素子1において、画素開口率を層間で変化させることなく、かつ画素開口率を低下させることなく、すなわち各層の画素開口率を同じにすると共に、画素開口率を犠牲にすることなく、各層にて適切な大きさの蓄積容量を設けることができる。
【0131】
以上、実施形態、第1の変形例及び第2の変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態等に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0132】
例えば図1図4に示した撮像素子1、図5に示した撮像素子2及び図6に示した撮像素子3では、層間に層間絶縁膜50-1,50-2を設けるようにしたが、層間に基板13(層間基板)を設けるようにしてもよい。この場合、第3層の単層素子を3層積層することで、層間絶縁層12-1,12-2に基板13を用いた撮像素子1が作製される。
【0133】
また、図1図4に示した撮像素子1、図5に示した撮像素子2及び図6に示した撮像素子3では、合計3層により構成される例を示したが、本発明の層数は、必ずしも3である必要はなく、2層であっても4層であってもよく、N(Nは2以上の整数)層であればよい。すなわち、本発明は、少なくともN以上の波長域の光を入射したときの入射方向である上から下へ向けた順に、第Nから第1までの複数の層が積層して構成される垂直色分離型の有機撮像素子に適用がある。
【0134】
また、図1図4に示した撮像素子1、図5に示した撮像素子2及び図6に示した撮像素子3において、第1層における第1の光電変換層10-1上に、赤外光を吸収するフィルタを備えるようにしてもよい。
【0135】
また、図1図4に示した撮像素子1、図5に示した撮像素子2及び図6に示した撮像素子3では、各層に1つのTFT30を備えるようにし、図9図10及び図12の例では、各層に3つのTFT30を備えるようにしたが、これ以外の数のTFT30を備えるようにしてもよい。要するに本発明は、各層に少なくとも1つのTFT30を備えていればよい。
【符号の説明】
【0136】
1,2,3 撮像素子
10 光電変換層
11 信号読み出し回路
12 層間絶縁層
13 基板
20 画素電極
21 対向電極
22 有機膜
30 TFT
30A 選択用TFT
30B 増幅用TFT
30C リセット用TFT
31 配線
32 蓄積容量用電極
40 ゲート電極
41 ゲート絶縁膜
42 半導体
43 ソース電極
44 ドレイン電極
45 保護膜
50 層間絶縁膜
51,51’,52 ビアホール
60 保護膜開口部
図1
図2
図3
図4
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図12