(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025027
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】透明アンテナの製造方法、及び、積層体
(51)【国際特許分類】
H01P 11/00 20060101AFI20240216BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20240216BHJP
H01Q 1/40 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H01P11/00
H01Q1/38
H01Q1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128119
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100160897
【弁理士】
【氏名又は名称】古下 智也
(72)【発明者】
【氏名】大槻 大介
(72)【発明者】
【氏名】野尻 剛
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA12
5J046AA19
5J046AB06
5J046AB11
5J046AB15
5J046PA07
5J046QA02
(57)【要約】
【課題】簡便な手法により透明アンテナを得ることが可能な透明アンテナの製造方法を提供する。
【解決手段】重合性組成物層11と、感光性組成物層13と、重合性組成物層11及び感光性組成物層13の間に配置された導電部材15と、を備える積層体Aにおける重合性組成物層11が感光性組成物層13よりも透明部材20a側に位置する状態で積層体Aを透明部材20a上に積層する積層工程を備え、重合性組成物層11が重合性組成物により形成されており、当該重合性組成物が、エラストマーと、重合性化合物と、重合開始剤と、を含有し、感光性組成物層13が感光性組成物により形成されている、透明アンテナの製造方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層と、第2の層と、前記第1の層及び前記第2の層の間に配置された導電部材と、を備える積層体における前記第1の層が前記第2の層よりも支持部材側に位置する状態で前記積層体を前記支持部材上に積層する積層工程を備え、
前記第1の層が、重合性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、
前記重合性組成物が、エラストマーと、重合性化合物と、重合開始剤と、を含有し、
前記第2の層が、感光性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、透明アンテナの製造方法。
【請求項2】
前記積層工程の後に、前記第2の層の少なくとも一部をパターニングする加工工程を備える、請求項1に記載の透明アンテナの製造方法。
【請求項3】
前記加工工程の後に、前記導電部材の少なくとも一部をパターニングする工程を備える、請求項2に記載の透明アンテナの製造方法。
【請求項4】
前記導電部材が銅を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の透明アンテナの製造方法。
【請求項5】
前記導電部材の厚さが5μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の透明アンテナの製造方法。
【請求項6】
第1の層と、第2の層と、前記第1の層及び前記第2の層の間に配置された導電部材と、を備え、
前記第1の層が、重合性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、
前記重合性組成物が、エラストマーと、重合性化合物と、重合開始剤と、を含有し、
前記第2の層が、感光性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、積層体。
【請求項7】
前記第1の層を挟んで前記導電部材とは反対側に配置された第3の層を更に備える、請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
前記第2の層を挟んで前記導電部材とは反対側に配置された第4の層を更に備える、請求項6に記載の積層体。
【請求項9】
前記導電部材が銅を含有する、請求項6~8のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項10】
前記導電部材の厚さが5μm以下である、請求項6~8のいずれか一項に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、透明アンテナの製造方法、積層体等に関する。
【背景技術】
【0002】
電波を受信するためのアンテナは、画像表示装置(例えば、パソコン、ナビゲーションシステム、携帯電話、時計、電子辞書等の各種電子機器における画像表示装置)、自動車の構成部材、建物などに設置されている。例えば、アンテナを内蔵する画像表示装置が用いられる場合があり、近年、画像表示装置の小型化、薄型化、形状の多様化等に対応し、設計の尤度を確保するために、画像を表示するための画像表示部上に、透明で視認性が低いアンテナ(以下、「透明アンテナ」ともいう)を配置することが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透明アンテナの製造方法に対しては、製造効率を向上させる観点から、簡便な手法により透明アンテナを得ることが求められる。
【0005】
本開示の一側面は、簡便な手法により透明アンテナを得ることが可能な透明アンテナの製造方法を提供することを目的とする。本開示の他の一側面は、簡便な手法により透明アンテナを得ることが可能な積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、いくつかの側面において、下記の[1]~[10]等に関する。
[1]第1の層と、第2の層と、前記第1の層及び前記第2の層の間に配置された導電部材と、を備える積層体における前記第1の層が前記第2の層よりも支持部材側に位置する状態で前記積層体を前記支持部材上に積層する積層工程を備え、前記第1の層が、重合性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、前記重合性組成物が、エラストマーと、重合性化合物と、重合開始剤と、を含有し、前記第2の層が、感光性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、透明アンテナの製造方法。
[2]前記積層工程の後に、前記第2の層の少なくとも一部をパターニングする加工工程を備える、[1]に記載の透明アンテナの製造方法。
[3]前記加工工程の後に、前記導電部材の少なくとも一部をパターニングする工程を備える、[2]に記載の透明アンテナの製造方法。
[4]前記導電部材が銅を含有する、[1]~[3]のいずれか一つに記載の透明アンテナの製造方法。
[5]前記導電部材の厚さが5μm以下である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の透明アンテナの製造方法。
[6]第1の層と、第2の層と、前記第1の層及び前記第2の層の間に配置された導電部材と、を備え、前記第1の層が、重合性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、前記重合性組成物が、エラストマーと、重合性化合物と、重合開始剤と、を含有し、前記第2の層が、感光性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、積層体。
[7]前記第1の層を挟んで前記導電部材とは反対側に配置された第3の層を更に備える、[6]に記載の積層体。
[8]前記第2の層を挟んで前記導電部材とは反対側に配置された第4の層を更に備える、[6]又は[7]に記載の積層体。
[9]前記導電部材が銅を含有する、[6]~[8]のいずれか一つに記載の積層体。
[10]前記導電部材の厚さが5μm以下である、[6]~[9]のいずれか一つに記載の積層体。
【0007】
透明アンテナの製造方法としては、例えば、支持部材と、当該支持部材上に配置された重合性組成物層と、当該重合性組成物層上に配置された導電部材と、を備える積層体を準備した後に、当該積層体の導電部材上における感光性組成物層の形成、当該感光性組成物層の露光及び現像による硬化物パターンの形成、並びに、当該硬化物パターンを介した導電部材のパターニングを行うことにより透明アンテナを得る方法が考えられる。また、支持部材、重合性組成物層及び導電部材を備える上述の積層体は、支持部材上に重合性組成物層及び導電部材を順に形成することにより得ることができる。しかしながら、これらの場合、透明アンテナを製造する度に支持部材上に各部材を形成することを要するため、製造工程が煩雑化し得る。一方、本開示の一側面に係る透明アンテナの製造方法によれば、第1の層、第2の層及び導電部材を備える積層体を予め準備した上で当該積層体を支持部材上に積層することにより、透明アンテナを製造する度に支持部材上に各部材を形成することを要さず、簡便な手法により透明アンテナを得ることができる。同様に、本開示の他の一側面に係る積層体によれば、第1の層、第2の層及び導電部材を備える積層体を支持部材上に積層することにより、透明アンテナを製造する度に支持部材上に各部材を形成することを要さず、簡便な手法により透明アンテナを得ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一側面によれば、簡便な手法により透明アンテナを得ることが可能な透明アンテナの製造方法を提供することができる。本開示の他の一側面によれば、簡便な手法により透明アンテナを得ることが可能な積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】画像表示装置の一例を示す模式断面図である。
【
図3】透明アンテナの製造方法の一例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。数値範囲の「A以上」とは、A、及び、Aを超える範囲を意味する。数値範囲の「A以下」とは、A、及び、A未満の範囲を意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。「(メタ)アクリル」とは、アクリル、及び、それに対応するメタクリルの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」等の他の類似の表現においても同様である。
【0012】
本実施形態に係る透明アンテナの製造方法は、第1の層と、第2の層と、第1の層及び第2の層の間に配置された導電部材と、を備える積層体(以下、「積層体A」という)における第1の層が第2の層よりも支持部材側に位置する状態で積層体Aを支持部材上に積層する積層工程を備える。本実施形態に係る透明アンテナの製造方法において、第1の層は、重合性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、重合性組成物は、エラストマーと、重合性化合物と、重合開始剤と、を含有し、第2の層は、感光性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。
【0013】
本実施形態に係る透明アンテナの製造方法によれば、積層体Aを予め準備した上で積層体Aを支持部材上に積層することにより、透明アンテナを製造する度に支持部材上に各部材を形成することを要さず、簡便な手法により透明アンテナを得ることができる。
【0014】
本実施形態に係る積層体は、上述の積層体Aを有してよく、上述の積層体Aであってよい。すなわち、本実施形態に係る積層体は、第1の層と、第2の層と、第1の層及び第2の層の間に配置された導電部材と、を備え、第1の層は、重合性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、重合性組成物は、エラストマーと、重合性化合物と、重合開始剤と、を含有し、第2の層は、感光性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。本実施形態に係る積層体は、本実施形態に係る透明アンテナの製造方法に用いることができる。本実施形態に係る積層体によれば、積層体Aを支持部材上に積層することにより、透明アンテナを製造する度に支持部材上に各部材を形成することを要さず、簡便な手法により透明アンテナを得ることができる。
【0015】
積層体Aは、第1の層、導電部材及び第2の層がこの順に積層して得られる構造を有している。積層体Aにおいて、第1の層と導電部材とは互いに当接していてよく、第2の層と導電部材とは互いに当接していてよい。
【0016】
第1の層は、重合性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、重合性組成物は、エラストマーと、重合性化合物と、重合開始剤と、を含有する。第1の層は、硬化性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよく、未硬化部及び硬化部からなる群より選ばれる少なくとも一種を有してよい。第1の層は、透明基材であってよい。
【0017】
エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、シリコーン系エラストマー等が挙げられる。スチレン系エラストマーとしては、スチレン-ブタジエンランダム共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体、これらの水素添加型共重合体等が挙げられる。
【0018】
重合性化合物としては、加熱、活性光線(紫外線等)の照射などによって重合する化合物を用いることができる。重合性化合物としては、(メタ)アクリル化合物((メタ)アクリロイル基を有する化合物)、エポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物)、マレイミド化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、スチレン化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、ナジイミド化合物、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、オキセタン化合物、ラクトン化合物等が挙げられる。重合性化合物は、(メタ)アクリル化合物((メタ)アクリロイル基を有する化合物)を含んでよく、エポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物)を含んでよい。(メタ)アクリル化合物としては、エポキシ基を有さない化合物を用いてよい。エポキシ化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有さない化合物を用いてよい。
【0019】
重合開始剤としては、加熱、活性光線(紫外線等)の照射などによって重合を開始させる化合物を用いることが可能であり、例えば、熱重合開始剤及び光重合開始剤(熱重合開始剤に該当する化合物を除く)が挙げられる。熱重合開始剤としては、ケトンパーオキシド、パーオキシケタール、ヒドロパーオキシド、ジアルキルパーオキシド、ジアシルパーオキシド、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル、酸無水物、アゾ化合物等が挙げられる。光重合開始剤としては、アシルホスフィンオキサイド化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、ベンゾフェノン化合物、イミダゾール化合物、アクリジン化合物、オキシムエステル化合物等が挙げられる。
【0020】
重合性組成物は、エラストマー、重合性化合物及び重合開始剤以外の添加剤を含有してよい。このような添加剤としては、硬化促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、着色剤、可塑剤、安定剤、充填剤、有機溶剤等が挙げられる。
【0021】
第1の層の厚さは、透明アンテナを薄型化しやすい観点から、1000μm以下、800μm以下、500μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、又は、100μm以下であってよい。第1の層の厚さは、アンテナ特性が向上しやすい観点から、1μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、30μm以上、50μm以上、80μm以上、又は、100μm以上であってよい。これらの観点から、第1の層の厚さは、1~1000μm、10~500μm、20~200μm、又は、50~200μmであってよい。
【0022】
第2の層は、感光性組成物及びその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。感光性組成物は、活性光線(紫外線等)に対する感光性を有しており、ポジ型の感光性を有してよく、ネガ型の感光性を有してよい。感光性組成物は、光照射によって硬化する光硬化性を有してよい。第2の層は、未硬化部及び硬化部からなる群より選ばれる少なくとも一種を有してよい。感光性組成物の構成材料は、特に限定されない。第2の層の厚さは、5~200μm、5~25μm、又は、5~15μmであってよい。
【0023】
導電部材は、第1の層及び第2の層の間に配置されている。導電部材の構成材料としては、金属材料、炭素材料(例えばグラフェン)、導電性高分子等が挙げられる。金属材料としては、銅、銀、金等が挙げられる。導電部材は、優れた導電性を得やすい観点、及び、製造コストを低減しやすい観点から、銅を含有してよい。導電部材は、単層であってよい。導電部材は、中実であってよい。
【0024】
導電部材の厚さは、導電部材が欠けにくい観点、及び、パターニングしやすい観点から、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、18μm以下、15μm以下、10μm以下、8μm以下、5μm以下、3μm以下、又は、2μm以下であってよい。導電部材の厚さは、優れた伸びを得やすい観点から、0.1μm以上、0.3μm以上、0.5μm以上、0.8μm以上、1μm以上、1.2μm以上、1.5μm以上、2μm以上、3μm以上、5μm以上、8μm以上、10μm以上、15μm以上、18μm以上、又は、20μm以上であってよい。これらの観点から、導電部材の厚さは、0.1~50μm、0.1~30μm、0.1~20μm、0.1~10μm、0.5~5μm、又は、1~3μmであってよい。
【0025】
本実施形態に係る積層体は、第1の層、導電部材及び第2の層以外の部材を備えてよい。本実施形態に係る積層体は、第1の層を挟んで導電部材とは反対側に配置された第3の層を備えてよく、第2の層を挟んで導電部材とは反対側に配置された第4の層を備えてよく、第1の層と導電部材との間に配置された部材を備えてよい。本実施形態に係る積層体が第3の層を備えることにより第1の層を保護することができる。本実施形態に係る積層体が第4の層を備えることにより第2の層を保護することができる。
【0026】
第3の層及び第4の層の構成材料としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー等)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィドなどが挙げられる。第3の層及び第4の層の構成材料は、互いに同一であってよく、互いに異なっていてよい。第3の層及び第4の層からなる群より選ばれる少なくとも一種は、透明基材であってよい。
【0027】
第3の層及び第4の層の厚さは、1~200μm、10~100μm、又は、20~50μmであってよい。第3の層及び第4の層の厚さは、互いに同一であってよく、互いに異なっていてよい。
【0028】
図1は、積層体の一例を示す模式断面図である。
図1の積層体10は、重合性組成物層(第1の層)11と、感光性組成物層(第2の層)13と、導電部材15と、基材フィルム(第3の層)17と、保護フィルム(第4の層)19と、を備える。積層体10では、基材フィルム17と、重合性組成物層11と、導電部材15と、感光性組成物層13と、保護フィルム19とがこの順に積層して得られる構造を有している。重合性組成物層11は、エラストマーと、重合性化合物と、重合開始剤と、を含有する重合性組成物により形成されている。感光性組成物層13は、感光性組成物により形成されている。導電部材15は、重合性組成物層11と感光性組成物層13との間に配置されている。重合性組成物層11、感光性組成物層13及び導電部材15は、積層体Aを構成している。基材フィルム17は、重合性組成物層11を挟んで導電部材15とは反対側に配置されている。保護フィルム19は、感光性組成物層13を挟んで導電部材15とは反対側に配置されている。
【0029】
本実施形態に係る透明アンテナは、本実施形態に係る透明アンテナの製造方法により得ることができる。本実施形態に係る透明アンテナは、支持部材と、支持部材上に配置された基材と、基材上に配置された導電パターンと、を備えてよい。
【0030】
支持部材の形状は、特に限定されず、フィルム状、基板状、不定形状等であってよい。支持部材の構成材料としては、樹脂材料、無機材料等が挙げられる。樹脂材料としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー等)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィドなどが挙げられる。無機材料としては、ガラス等が挙げられる。支持部材は、透明であることに限られず、透明部材であってよく、透明ではない部材であってよい。支持部材は、90%以上の全光線透過率を有する材料により形成されてよい。支持部材は、低誘電である観点から、ポリオレフィンを含んでよい。
【0031】
本実施形態に係る透明アンテナにおける基材は、本実施形態に係る積層体における第1の層の重合性組成物の硬化物を含む。基材は、透明基材であってよい。
【0032】
本実施形態に係る透明アンテナにおける導電パターンは、本実施形態に係る積層体における導電部材の少なくとも一部をパターニングすることにより得ることができる。導電パターンの形状としては、メッシュ状、渦状等が挙げられる。
【0033】
本実施形態に係る透明アンテナは、画像表示装置、自動車の構成部材(フロントガラス、リアガラス、サンルーフ、窓等)、建物などにおいて用いることができる。本実施形態に係る画像表示装置、自動車又は建物は、本実施形態に係る透明アンテナを備える。画像表示装置は、画像を表示する画像表示部と、画像表示部の周囲に位置するベゼル部(額縁部)と、を有してよく、透明アンテナが画像表示部に配置されていてよい。画像表示装置は、パソコン、ナビゲーションシステム、携帯電話、時計、電子辞書等の各種電子機器に用いられてよい。本実施形態に係る画像表示装置は、本実施形態に係る透明アンテナと、透明アンテナ上に配置された保護層と、保護層上に配置された被覆部材と、を備えてよい。
【0034】
図2は、画像表示装置の一例を示す模式断面図であり、画像表示装置の画像表示部の一部を示す。
図2の画像表示装置100は、透明アンテナ20と、透明アンテナ20上に配置された保護層30と、保護層30上に配置された被覆部材40と、を備える。透明アンテナ20は、透明部材(支持部材)20aと、透明部材20a上に配置された透明基材11aと、透明基材11a上に配置された導電パターン15aと、を備える。
【0035】
画像表示装置100は、
図1の積層体10を用いて得ることができる。透明基材11aは、重合性組成物層11の硬化物により形成されている。導電パターン15aは、導電部材15の少なくとも一部をパターニングして得られた部材であり、メッシュ状の部材である。透明部材20aは、ポリオレフィンにより形成されている。保護層30は、90%以上の全光線透過率を有する材料により形成されている。被覆部材40は、ガラス板である。
【0036】
本実施形態に係る透明アンテナの製造方法は、積層体Aにおける第1の層が第2の層よりも支持部材側に位置する状態で積層体Aを支持部材上に積層する積層工程を備える。本実施形態に係る積層体が、第1の層を挟んで導電部材とは反対側に配置された第3の層を備えている場合、積層工程の前に、第3の層を剥離してよい。本実施形態に係る積層体が、第2の層を挟んで導電部材とは反対側に配置された第4の層を備えている場合、積層工程の前、又は、積層工程の後に、第4の層を剥離してよい。
【0037】
図3は、透明アンテナの製造方法の一例を示す模式断面図であり、
図2の画像表示装置100の透明アンテナ20を得るための積層工程の一例として、
図1の積層体10を用いた積層工程を示す模式断面図である。積層体10を用いて透明アンテナを得る場合、積層体10の基材フィルム17を剥離した後に、重合性組成物層11、導電部材15、感光性組成物層13及び保護フィルム19から構成される積層体を透明部材20a上に積層し、さらに、保護フィルム19を剥離することにより、
図3に示すように、重合性組成物層11、導電部材15及び感光性組成物層13から構成される積層体Aを透明部材20a上に有する積層体100aを得ることができる。このような透明アンテナの製造方法によれば、積層体Aを有する積層体10を予め準備した上で積層体Aを透明部材20a上に積層することにより、透明アンテナを製造する度に透明部材20a上に各部材を形成することを要さず、簡便な手法により透明アンテナを得ることができる。
【0038】
本実施形態に係る透明アンテナの製造方法は、積層工程の後に、第2の層の少なくとも一部をパターニングすることによりパターン状の第2の層(レジスト層)を得る第1の加工工程を備えてよい。第1の加工工程では、未露光部(第2の層がネガ型の感光性を有する場合)又は露光部(第2の層がポジ型の感光性を有する場合)を除去(現像)することにより第2の層の少なくとも一部をパターニングすることが可能であり、第2の層を露光した後に未露光部又は露光部を除去(現像)することにより第2の層の少なくとも一部をパターニングしてよい。本実施形態に係る透明アンテナの製造方法は、積層工程の前に、第2の層の少なくとも一部を露光する露光工程を備えてもよい。本実施形態に係る積層体が、第2の層を挟んで導電部材とは反対側に配置された第4の層を備えている場合、第4の層を剥離した後に露光工程を行ってよく、第4の層を剥離することなく露光工程を行ってよい。露光工程では、マスクを用いて第2の層の少なくとも一部を露光してよく、直接描画法により第2の層の少なくとも一部を露光してよい。
【0039】
本実施形態に係る透明アンテナの製造方法は、第1の加工工程の後に、導電部材の少なくとも一部をパターニングする(例えばメッシュ状に加工する)ことにより導電パターンを得る第2の加工工程を備えてよい。第2の加工工程では、パターン状の第2の層(レジスト層)をマスクとして用いて、導電部材の少なくとも一部をエッチングすることにより導電部材の少なくとも一部をパターニングしてよい。
【0040】
本実施形態に係る透明アンテナの製造方法は、第2の加工工程の後に、第2の層を除去する工程を備えてよい。
【0041】
本実施形態に係る透明アンテナの製造方法は、積層工程の前、積層工程の後、又は、積層工程の前後において、第1の層の少なくとも一部を硬化する硬化工程を備えてよい。硬化工程では、加熱、活性光線(紫外線等)の照射などによって第1の層の少なくとも一部を硬化することができる。
【符号の説明】
【0042】
10,100a,A…積層体、11…重合性組成物層(第1の層)、11a…透明基材、13…感光性組成物層(第2の層)、15…導電部材、15a…導電パターン、17…基材フィルム(第3の層)、19…保護フィルム(第4の層)、20…透明アンテナ、20a…透明部材(支持部材)、30…保護層、40…被覆部材、100…画像表示装置。