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特開2024-25139短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤及び短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025139
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤及び短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20240216BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240216BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240216BHJP
   A23F 5/24 20060101ALN20240216BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20240216BHJP
【FI】
A61K31/192
A61P43/00 111
A61P3/00
A61P3/04
A23L33/10
A23F5/24
A23L2/00 F
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128344
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉野 進
(72)【発明者】
【氏名】西谷 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】大植 隆司
【テーマコード(参考)】
4B018
4B027
4B117
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE05
4B018MD01
4B018MD08
4B018MD09
4B018MD20
4B018MD21
4B018MD25
4B018MD29
4B018MD30
4B018MD32
4B018MD34
4B018MD35
4B018ME14
4B018MF08
4B018MF14
4B027FB24
4B027FK02
4B027FK04
4B027FK10
4B117LC04
4B117LK01
4B117LK06
4B117LK09
4B117LK12
4B117LL01
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA16
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA70
4C206ZC21
4C206ZC41
(57)【要約】
【課題】優れた短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用を有し、かつ安全性が高い短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤及び短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物の提供。
【解決手段】構造式(1)で表される化合物を含む短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤及び前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤を含む短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤。
【化1】
【請求項2】
請求項1に記載の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤を含むことを特徴とする短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤及び短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
Gタンパク質共役型受容体41(G protein-coupled receptor 41(GPR41)、以下「短鎖脂肪酸受容体GPR41」と称することがある。)は、短鎖脂肪酸をリガンドとする受容体である。
【0003】
これまでに、短鎖脂肪酸やケトン体が短鎖脂肪酸受容体GPR41を介して、交感神経を直接的に調節することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。短鎖脂肪酸受容体GPR41が活性化されると、交感神経活性が高まり、エネルギー消費量が上昇する。
【0004】
そのため、短鎖脂肪酸受容体GPR41を活性化することは、抗肥満や代謝改善に有用であると考えられている。
【0005】
これまでに、腸内における短鎖脂肪酸の産生を促進する組成物として、乳酸菌死菌体と、食物繊維及び/又は難消化性オリゴ糖とを含有する腸内短鎖脂肪酸産生促進用組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記提案の技術は、短鎖脂肪酸受容体GPR41のリガンドとして知られている短鎖脂肪酸の産生を促進するものであり、短鎖脂肪酸受容体GPR41を活性化することができる新たな素材を提供するものではない。
【0006】
したがって、短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用を有し、かつ安全性が高く、そのため、飲食品、医薬品、研究用試薬などの成分として広く利用が可能な新たな素材に対する要望は強く、その速やかな開発が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-68778号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Ikuo Kimura et al.,「Short-chain fatty acids and ketones directly regulate sympathetic nervous system via G protein-coupled receptor 41(GPR41)」,PNAS,May 10,2011,vol.108、no.19,8030-8035
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用を有し、かつ安全性が高い短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤及び短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、下記構造式(1)で表される化合物が、優れた短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用を有し、かつ安全性が高く、短鎖脂肪酸受容体GPR41の活性化に有用であることを知見した。
【化1】
【0011】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記構造式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤である。
【化2】
<2> 前記<1>に記載の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤を含むことを特徴とする短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤及び短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用を有し、かつ安全性が高い短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤及び短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤)
本発明の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤は、下記構造式(1)で表される化合物を有効成分として含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【化3】
【0014】
本明細書において、短鎖脂肪酸受容体GPR41の活性化とは、前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤を投与しない場合と比較して、短鎖脂肪酸受容体GPR41の活性を高めることをいう。
短鎖脂肪酸受容体GPR41は、プロピオン酸、酪酸を主とした短鎖脂肪酸によって活性化される細胞内cAMP濃度の抑制を伴うGi/oと共役しているGタンパク質共役型受容体である。そのため、短鎖脂肪酸受容体GPR41が活性化されたか否かは、細胞内cAMP濃度の変化を指標として判断することができる。
【0015】
前記構造式(1)で表される化合物が、優れた短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用を有し、短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
【0016】
<構造式(1)で表される化合物>
下記構造式(1)で表される化合物の名称は、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸(英名:3-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)propionic acid)(以下、「HMPA」と称することがある。)である。
【化4】
【0017】
前記構造式(1)で表される化合物は公知の化合物であり、市販品を用いてもよいし、植物等から抽出したものを用いることもできる。
【0018】
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤は、前記構造式(1)で表される化合物のみからなるものであってもよいし、前記構造式(1)で表される化合物を製剤化したものであってもよい。
【0019】
前記構造式(1)で表される化合物は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤は、他の組成物(例えば、後述する短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物等)に配合して使用することができるほか、錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤等の経口投与剤;注射剤、点滴剤、坐剤等の非経口投与剤;軟膏剤、点眼剤、外用液剤、貼付剤などとして使用することもできる。
【0020】
製剤化した短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤における前記構造式(1)で表される化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料、美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、皮膚栄養剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記その他の成分の前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0023】
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられる。
【0024】
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤の剤形としては、特に制限はなく、公知の剤形を目的に応じて適宜選択することができる。
任意の剤形の前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【0025】
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤の投与方法、投与量、投与部位、投与期間、投与間隔などとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0026】
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤は、前記構造式(1)で表される化合物が有する短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用を通じて、短鎖脂肪酸受容体GPR41を活性化することができる。これにより、抗肥満や代謝改善に寄与することができる。ただし、本発明の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤は、これらの用途以外にも短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0027】
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤は、優れた短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用を有し、安全性が高いので、医薬品、医薬部外品、飲食品などの幅広い用途に用いることができ、例えば、後述する短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物の有効成分として好適に用いることができる。この場合、前記構造式(1)で表される化合物をそのまま配合してもよいし、前記構造式(1)で表される化合物を製剤化したものを配合してもよい。
【0028】
なお、前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤は、必要に応じて、短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用を有する他の成分を前記構造式(1)で表される化合物と共に配合して有効成分として用いることもできる。
【0029】
本発明の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
【0030】
また、本発明の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤は、短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用の作用機構に関する研究のための試薬としても用いることができる。
【0031】
(短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物)
本発明の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物は、本発明の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0032】
<短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤>
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤は、上述した本発明の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤である。
【0033】
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物における前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤の含有量としては、特に制限はなく、前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物の形態などによって適宜調整することができるが、前記構造式(1)で表される化合物の量に換算して、0.0001質量%~30質量%が好ましく、0.0001質量%~10質量%がより好ましい。前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物は、前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤のみからなるものであってもよい。
【0034】
<その他の成分>
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物におけるその他の成分としては、特に制限はなく、前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤の項目に記載したその他の成分と同様のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記その他の成分の前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0036】
<態様>
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品などが挙げられる。
本発明の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物は、日常的に使用することが可能であり、有効成分である前記構造式(1)で表される化合物の働きによって、短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用をはじめとする様々な生理活性作用を極めて効果的に発揮させることができる。
【0037】
本発明の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
【0038】
本発明の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられるが、経口が好ましい。
【0039】
前記経口用の組成物としては、例えば、経口投与剤や飲食品が挙げられる。ここで、飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではない。したがって、前記飲食品は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を構成する飲食品を幅広く含むものを意味する。
【0040】
前記経口用の組成物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボードーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;サラダ、漬物等の惣菜;種々の形態の健康・美容・栄養補助食品;錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤、ドリンク剤、トローチ、うがい薬等の医薬品、医薬部外品;口中清涼剤、口臭防止剤等の口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤などが挙げられる。
【0041】
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物の製造方法としては、特に制限はなく、前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物の利用形態などに応じて適宜選択することができる。
【0042】
前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物の使用量、使用期間、使用間隔等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0043】
上述したように、本発明の短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤及び短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物は、優れた短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化作用を有する。
したがって、本発明は、個体に前記短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化剤及び短鎖脂肪酸受容体GPR41活性化用組成物からなる群から選択される少なくとも1種を投与することを特徴とする短鎖脂肪酸受容体GPR41を活性化する方法にも関する。
【実施例0044】
以下、本発明の試験例、配合例を説明するが、本発明は、これらの試験例、配合例に何ら限定されるものではない。
【0045】
(試験例1)
前記構造式(1)で表される化合物が、短鎖脂肪酸受容体GPR41への親和性を有する可能性について解析することを目的に、以下の試験を行った。
【0046】
<被験試料>
・ 前記構造式(1)で表される化合物(東京化成工業製)
【0047】
<試験方法>
短鎖脂肪酸受容体GPR41を対象に、前記構造式(1)で表される化合物刺激に伴う細胞内cAMP濃度の変動を指標に、短鎖脂肪酸受容体GPR41への親和性を評価した(非特許文献1参照)。10μg/mLドキシサイクリン(Dox)により誘導された短鎖脂肪酸受容体GPR41安定発現細胞株に、Dox誘導24時間後に、2μMフォルスコリン(Fsk)、並びにFsk共存下で、前記構造式(1)で表される化合物(100μM、200μM、500μM、1mM、2mM、5mM、10mM、20mM)をそれぞれ添加した。添加10分間後に、細胞を0.1N HClにて回収し、cAMP EIA kit(Cayman Chemical)を用いて細胞内cAMP濃度を定量した。Fskは、短鎖脂肪酸受容体GPR41非依存的に細胞内cAMP濃度を上昇させる。従って、前記構造式(1)で表される化合物刺激時の細胞内cAMP濃度の変動に関しては、Fsk単独刺激時の細胞内cAMP濃度を100%とした際の相対値にて算出した。なお、対照として、Dox非誘導下での細胞株を用いて、同様の試験を実施した。
【0048】
<結果>
細胞内cAMP濃度は、下記式により、相対的なcAMP量として算出した。
[化合物刺激時の細胞内cAMP(%)]=[化合物刺激時の細胞内cAMP濃度(pmol/mL)]/[Fsk単独刺激時の細胞内cAMP濃度(pmol/mL)]×100
【0049】
得られた各データ(平均値±標準誤差)を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示したように、Dox誘導により短鎖脂肪酸受容体GPR41を安定発現させた細胞株に各濃度の前記構造式(1)で表される化合物を添加したところ、濃度依存的に細胞内cAMP濃度が抑制され、短鎖脂肪酸受容体GPR41に対する前記構造式(1)で表される化合物のEC50は2.36mMと算出された(EC50の算出にはGraphPad Prism 9(GraphPad Software)を用いた。)。なお、Dox非誘導下における細胞株に対して同様に各濃度の前記構造式(1)で表される化合物を添加したが、細胞内cAMPの変動は観察されなかった。このことから、前記構造式(1)で表される化合物は短鎖脂肪酸受容体GPR41のアゴニストとして作用する可能性が示唆された。
【0052】
以上のように、前記構造式(1)で表される化合物は、短鎖脂肪酸受容体GPR41へ親和性を有する可能性が示唆された。前記構造式(1)で表される化合物は、短鎖脂肪酸受容体GPR41を介して抗肥満や代謝改善に寄与する可能性が考えられる。
【0053】
(配合例1)
常法により、以下の組成を有する錠剤を製造した。
・ 前記構造式(1)で表される化合物 5.0mg
・ ドロマイト 83.4mg
(カルシウム20%、マグネシウム10%含有)
・ カゼインホスホペプチド 16.7mg
・ ビタミンC 33.4mg
・ マルチトール 136.8mg
・ コラーゲン 12.7mg
・ ショ糖脂肪酸エステル 12.0mg
【0054】
(配合例2)
常法により、以下の組成を有する経口液状製剤を製造した。
<1アンプル(1本100mL)中の組成>
・ 前記構造式(1)で表される化合物 0.3質量%
・ ソルビット 12.0質量%
・ 安息香酸ナトリウム 0.1質量%
・ 香料 1.0質量%
・ 硫酸カルシウム 0.5質量%
・ 精製水 残部
【0055】
(配合例3)
常法により、以下の組成を有するコーヒー飲料を製造した。
・ 前記構造式(1)で表される化合物 0.1質量%
・ コーヒー抽出液(L(明度)=20、Brix=3) 40質量%
・ マルチトール 2質量%
・ 香料 適量
・ 水 残部
【0056】
(配合例4)
常法により、以下の組成を有するカプセル剤を製造した。なお、カプセルとしては、1号ハードゼラチンカプセルを使用した。
<1カプセル(1錠200mg)中の組成>
・ 前記構造式(1)で表される化合物 30.0mg
・ コーンスターチ 70.0mg
・ 乳糖 80.0mg
・ 乳酸カルシウム 10.0mg
・ ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L) 10.0mg