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特開2024-25193アンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025193
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】アンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20240216BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128435
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岩上 健一
(72)【発明者】
【氏名】茂木 健
(72)【発明者】
【氏名】吉田 翔
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046AA09
5J046AB07
5J046AB08
5J046AB13
5J046PA07
5J046PA09
5J047AA09
5J047AB07
5J047AB08
5J047AB13
5J047EF01
(57)【要約】
【課題】湾曲面に容易に取り付け可能で、アンテナ特性が良好なアンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置は、可撓性を有し、柱状の取付対象物の湾曲面の周方向に沿って湾曲した状態で取り付けられる支持板と、可撓性を有する平板状のアンテナであって、前記支持板に沿って湾曲した状態で前記支持板に対して間隔を空けて取り付けられるアンテナと、前記湾曲した支持板の前記周方向における複数の位置において、前記支持板に対して前記アンテナを保持する保持部とを含み、前記保持部は、前記周方向における複数の位置のうちの第1位置において、前記アンテナを前記支持板に対して固定的に保持する第1保持部と、前記周方向における複数の位置のうちの第2位置において、前記アンテナを前記支持板に対して前記周方向に移動可能に保持する第2保持部とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有し、柱状の取付対象物の湾曲面の周方向に沿って湾曲した状態で取り付けられる支持板と、
可撓性を有する平板状のアンテナであって、前記支持板に沿って湾曲した状態で前記支持板に対して間隔を空けて取り付けられるアンテナと、
前記湾曲した支持板の前記周方向における複数の位置において、前記支持板に対して前記アンテナを保持する保持部と
を含み、
前記保持部は、
前記周方向における複数の位置のうちの第1位置において、前記アンテナを前記支持板に対して固定的に保持する第1保持部と、
前記周方向における複数の位置のうちの第2位置において、前記アンテナを前記支持板に対して前記周方向に移動可能に保持する第2保持部と
を有する、アンテナ装置。
【請求項2】
前記第2保持部は、前記湾曲面の中心軸の延在方向に沿って延在する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第2保持部は、前記湾曲面の中心軸の延在方向に沿って延在する孔部又は切り欠きを有し、
前記アンテナは、前記孔部又は前記切り欠きに差し込まれている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
可撓性を有し、前記湾曲面に沿って湾曲した状態で、前記アンテナの前記湾曲面の径方向における外側を覆う筐体部をさらに含む、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記筐体部は、前記周方向に沿って形成された蛇腹部を有する、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記蛇腹部は、前記筐体部のうち、前記周方向において前記アンテナの放射強度が最大になる区間以外の区間に形成されている、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記筐体部の前記湾曲面に沿って延在する第1外縁部分は、前記支持板の前記湾曲面に沿って延在する第2外縁部分と当接し、
前記筐体部は、前記第1外縁部分の前記径方向における内側の表面に設けられ、前記第2外縁部分との間を封止する封止部を有する、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記封止部は、前記第1外縁部分の前記径方向における内側の表面から突出し、前記第1外縁部分に沿って設けられる環状の凸部である、請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記筐体部のうちの前記第1外縁部分の前記径方向における外側の表面に取り付けられる治具をさらに含む、請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記取付対象物の周囲に巻き付けられ、前記治具の前記径方向における外側の表面に当接して、前記支持板、前記筐体部、及び前記治具を前記取付対象物に対して固定する固定部材をさらに含む、請求項9に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記アンテナは、パッチアンテナ、スロットアンテナ、又は、ダイポールアンテナを有する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記筐体部は、エラストマー樹脂製であり、前記支持板は金属板である、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
請求項1に記載のアンテナ装置と、
前記取付対象物としての電柱と
を含み、
前記湾曲面は、前記電柱の側面である、電柱アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含む基材と、前記第1面側に位置する第1導電体層を含み、平面視において第1外縁を備える1つ以上のパッチと、前記第2面側に位置する第2導電体層を含み、平面視において前記第1外縁よりも外側に位置する第2外縁を備えるグランドと、を備える、湾曲面に設置可能なアンテナがある。湾曲面は、一例として電柱である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/019320号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のアンテナ(アンテナ装置)は、電柱のような湾曲面を有する取付対象物に対して容易に取り付け可能であるが、アンテナ装置を湾曲面に取り付けて、良好なアンテナ特性を得るのは容易ではない。
【0005】
そこで、湾曲面に容易に取り付け可能で、アンテナ特性が良好なアンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態のアンテナ装置は、可撓性を有し、柱状の取付対象物の湾曲面の周方向に沿って湾曲した状態で取り付けられる支持板と、可撓性を有する平板状のアンテナであって、前記支持板に沿って湾曲した状態で前記支持板に対して間隔を空けて取り付けられるアンテナと、前記湾曲した支持板の前記周方向における複数の位置において、前記支持板に対して前記アンテナを保持する保持部とを含み、前記保持部は、前記周方向における複数の位置のうちの第1位置において、前記アンテナを前記支持板に対して固定的に保持する第1保持部と、前記周方向における複数の位置のうちの第2位置において、前記アンテナを前記支持板に対して前記周方向に移動可能に保持する第2保持部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
湾曲面に容易に取り付け可能で、アンテナ特性が良好なアンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のアンテナ装置を含む電柱アンテナ装置の一例を示す図である。
図2】実施形態のアンテナ装置を分解した状態の一例を示す図である。
図3】実施形態のアンテナ装置を分解した状態の一例を示す図である。
図4】前面カバーの一例を示す図である。
図5A】実施形態のアンテナ装置の反射板の構成の一例を示す図である。
図5B】実施形態のアンテナ装置の反射板の構成の一例を示す図である。
図6】実施形態のアンテナ装置の保持部の構成の一例を示す図である。
図7A】実施形態のアンテナ装置の電柱への取付構造の一例を説明する図である。
図7B】実施形態のアンテナ装置の電柱への取付構造の一例を説明する図である。
図8】実施形態のアンテナ装置の電柱への取付構造の一例を説明する図である。
図9】実施形態のアンテナ装置の電柱への取付構造の一例を説明する図である。
図10】実施形態のアンテナ装置の前面カバーの変形度合のシミュレーション結果を説明する図である。
図11】実施形態の変形例のアンテナ装置の反射板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のアンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置を適用した実施形態について説明する。以下では、同一の要素に同一の号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
【0010】
以下では、XYZ座標系を定義して説明する。X軸に平行な方向(X方向)、Y軸に平行な方向(Y方向)、Z軸に平行な方向(Z方向)は、互いに直交する。また、以下では、Z方向は鉛直方向表し、XY平面は水平面に平行な平面である。このため、以下では、説明の便宜上、-Z方向側を下側又は下、+Z方向側を上側又は上と称す場合がある。また、平面視とはXY面視することをいう。また、以下では構成が分かりやすくなるように各部の長さ、太さ、厚さ等を誇張して示す場合がある。また、平行、直角、直交、水平、垂直、上下等の文言は、実施形態の効果を損なわない程度のずれを許容するものとする。
【0011】
また、以下の説明で、「電波」とは電磁波の一種であり、一般的に、3THz以下の電磁波は電波と呼ばれている。以下では、「ミリ波帯」というときは、30GHz~300GHzの周波数帯域に加えて、24GHz~30GHzの準ミリ波帯も含むものとする。
【0012】
実施形態のアンテナ装置が送信又は受信(送受信)する電波は、第五世代移動通信システム(5G)等のミリ波帯や、Sub-6を含む1GHz~30GHzの周波数帯域の電波であると好適である。また、実施形態のアンテナ装置が送受信する電波は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、又はUMB(Ultra Mobile Broadband)であってもよい。また、実施形態のアンテナ装置が送受信する電波は、IEEE802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE802.20、UWB(Ultra-Wideband)、Bluetooth(登録商標)、又はLPWA(Low Power Wide Area)等であってもよい。以下では、特に断らない限り、一例としてSub-6の電波を用いて説明する。また、特に断らない限り、アンテナ装置が電波を放射する場合について説明するが、電波を受信する場合も同様である。
【0013】
<実施形態>
図1は、実施形態のアンテナ装置100を含む電柱アンテナ装置200の一例を示す図である。電柱アンテナ装置200は、電柱10と、アンテナ装置100とを含む。電柱10は、柱状の取付対象物の一例であり、アンテナ装置100が取り付けられる。アンテナ装置100は、Sub-6の電波を用いた通信における基地局のアンテナとして利用可能な装置である。電柱10には、図示しない基地局用の通信装置が取り付けられるとともにアンテナ装置100に接続される。電柱アンテナ装置200は、基地局を設けた電柱として、地面等に設置可能である。
【0014】
電柱10は、例えば、電力会社が送電又は配電を行う電線を支持する電力柱、通信会社が電話回線又は光ケーブルを各家庭に届けるために用いる電信柱、又は、電力柱と電信柱の両方の役割を果たす共用柱、又は、電車の架線の支持に用いられる架線柱等であってもよい。また、電柱10は、電信柱又は電信棒等と呼ばれる場合もある。このような電柱10の長さ及び口径等については、例えば、JIS(日本産業規格)等に定められている。
【0015】
電柱10は、例えば、鉄骨をコンクリートで覆った円柱型の部材であるが、このような形態に限られない。電柱10は、木製や樹脂製等でもよい。電柱10は、電柱10を地面に設置する際に、上端になる端部と、下端になる端部とが決まっている。以下では、特に断らない限り、一例として電柱10が円柱型であり、電柱10の上端側の部分の直径が190mmであり、地中に埋設されない部分における下端側の部分の直径が250mmである。以下では、電柱10の地中に埋設されない部分を除いて、上端部と下端部があるものとして説明する。電柱10は、下端側から上端側に向かって線形的に直径が細くなる円柱型である。
【0016】
アンテナ装置100は、直径が190mmの上端側の部分と、電柱10の直径が250mmの下端側の部分と、上端側及び下端側の間の部分とのどの位置にも取り付け可能である。しかしながら、特に断らない限り、以下では、図面に電柱10の直径が190mmの部分を示し、電柱10の直径が190mmの部分にアンテナ装置100を取り付ける場合について説明する。なお、電柱10には、作業者等が足場として利用する足場ボルト11が取り付けられている。
【0017】
また、アンテナ装置100は、全体的に可撓性を有し、円柱型の電柱10の外周面10Aに押し付けて湾曲させて、外周面10Aに沿って湾曲した状態で取り付けられる。電柱10の外周面10Aは、アンテナ装置100が取り付けられる取付面であり、柱状の取付対象物の湾曲面の一例である。アンテナ装置100の各部は、電柱10の外周面10Aに沿って略同心円状に湾曲している。アンテナ装置100の各部の湾曲形状は、電柱10の外周面10Aに沿っているため、以下で各部を説明する際において、周方向とは円柱型の電柱10の外周面10Aの周方向によって規定される周方向であり、径方向とは円柱型の電柱10の外周面10Aの径方向によって規定される径方向である。円柱型の電柱10の周方向は、平面視における円周に沿った方向であり、円柱型の電柱10の径方向は、平面視における円周上の点から中心に向かう径方向である。
【0018】
また、以下で各部を説明するにあたり、特に断らない限り、アンテナ装置100を電柱10の外周面10Aに取り付けた状態、又は、アンテナ装置100を電柱10の外周面10Aに取り付けた状態における各部の位置関係を保持しながら分解した状態における構成について説明する。
【0019】
<アンテナ装置100の構成>
ここでは、図1に加えて、図2乃至図6を用いて説明する。図2及び図3は、アンテナ装置100を分解した状態の一例を示す図である。図4は、前面カバー130の一例を示す図である。図5A及び図5Bは、反射板110の構成の一例を示す図である。図6は、保持部115の構成の一例を示す図である。
【0020】
ここで、XYZ座標のX方向は、平面視における前面カバー130の両端を結ぶ方向である。また、Y方向は、平面視でX方向に直交する方向である。図2において、反射板110、アンテナ120、前面カバー130、及び枠部材140の径方向外側から視た中心を通る破線は、Y軸に平行である。また、Z方向は、電柱10の中心軸の延在方向と平行な方向である。なお、電柱10は、上端側の直径が190mmであり、下端側の直径が250mmであるため、外周面10Aは、厳密にいうとZ方向とは平行ではなく、Z方向に対して僅かに傾いているが、傾きは僅かであるため、図中ではZ方向に平行に示す。
【0021】
アンテナ装置100は、反射板110(図2図3図5A、及び図5B参照)、アンテナ120(図2及び図3参照)、前面カバー130(図1乃至図4参照)、枠部材140(図1及び図2参照)、及び固定バンド150(図1及び図2参照)を含む。反射板110は、支持板の一例である。前面カバー130は、筐体部の一例である。枠部材140は、治具の一例である。固定バンド150は、固定部材の一例である。
【0022】
アンテナ装置100は、反射板110の保持部115で、反射板110とアンテナ120との間隔を周方向及び径方向において略一定にすることで、良好なアンテナ特性を得る。アンテナ特性は、アンテナ装置100のアンテナ特性であり、アンテナ120のアンテナ特性でもある。良好なアンテナ特性とは、アンテナ120の前面側における均等な放射特性、及び、低い反射係数等である。アンテナ120の前面側における放射特性が均等であるとは、前面側における水平面でのビーム幅が広くて均等であることを意味する。以下では、アンテナ120から見て電柱10の円柱形状の径方向における外側をアンテナ120の前面側と称し、アンテナ120から見て電柱10の円柱形状の径方向における内側をアンテナ120の背面側と称す。
【0023】
<反射板110の構成>
反射板110は、電柱10の外周面10Aの周方向に沿って湾曲した状態で取り付けられる。反射板110は、薄板状の金属部材であり、可撓性を有する。可撓性とは、物体が折れることなく外観で分かる程度に撓む性質である。撓むとは、弓なりに曲がることである。反射板110は、人間が外部から手で力を加えることで弓なりに曲げることができる程度の可撓性を有する。
【0024】
反射板110は、反射板110の径方向における外側の表面110A(図2図3、及び図5A参照)と、反射板110の径方向における内側の表面110B(図5B参照)とを有する。反射板110の表面110Bは、アンテナ装置100が円柱型の電柱10の外周面10Aに取り付けられる際に、外周面10Aに当接する。上述のように、アンテナ装置100は、可撓性を有し、電柱10の外周面10Aに押し付けて湾曲させられた状態で取り付けられる。
【0025】
反射板110は、アンテナ装置100が電柱10に取り付けられる前の状態において、ある程度湾曲されていることが好ましい。予め湾曲させておけば、反射板110を外周面10Aに沿って湾曲させやすいからである。また、薄板状の金属部材で構成される反射板110は、樹脂フィルム等に比べると湾曲しにくいため、湾曲する部位や方向を予め決めておくことで、より湾曲しやすくできるからである。なお、反射板110は、アンテナ装置100が電柱10に取り付けられる前の状態において、平板状であってもよい。
【0026】
ここで、アンテナ装置100が電柱10の外周面10Aに取り付けられて、反射板110が外周面10Aに当接した状態では、反射板110の径方向における内側の表面110B(図5B参照)と、外周面10Aとは当接しているため、外周面10Aの曲率と、反射板110の曲率とは等しいと近似的に考えることができる。この状態における反射板110の曲率は、厳密に言えば、反射板110が外周面10Aに取り付けられて外周面10Aに同心状に配置される状態での曲率であるが、ここでは、外周面10Aの曲率に等しいこととして説明する。
【0027】
本実施形態では、一例として、アンテナ装置100を電柱10に取り付ける前の状態における反射板110の曲率が、外周面10Aの曲率よりも小さい形態について説明する。上述のように、電柱10の直径は、上端側と下端側で異なり、下端側の直径の方が大きいため、アンテナ装置100を電柱10に取り付けられる前の状態における反射板110の曲率は、一例として、下端側の外周面10Aの曲率よりも小さいことが好ましい。反射板110を含むアンテナ装置100を全体的に半径が小さくなるように湾曲させれば、アンテナ装置100の全体的な曲率が大きくなり、上端側又は下端側のいずれの外周面10Aの湾曲形状にも合わせることができるからである。
【0028】
なお、アンテナ装置100を電柱10に取り付ける前の状態における反射板110の曲率は、下端側の外周面10Aの曲率よりも大きくてもよく、上端側の外周面10Aの曲率よりも大きくてもよい。反射板110は可撓性を有し、アンテナ装置100も全体的に可撓性を有するため、反射板110を含むアンテナ装置100を全体的に半径が大きくなるように湾曲させれば、アンテナ装置100の全体的な曲率が小さくなり、上端側又は下端側のいずれの外周面10Aの湾曲形状にも合わせることができるからである。
【0029】
図2乃至図5Bには、アンテナ装置100を電柱10に取り付ける前の状態における反射板110の曲率が、一例として、電柱10の外周面10Aの曲率よりも小さく、アンテナ120、前面カバー130、及び枠部材140が、反射板110の湾曲形状に合わせて湾曲している状態における各部の構成の一例を示す。なお、図2に示す固定バンド150については、図1と同様に、アンテナ装置100が電柱10に取り付けられている状態の湾曲状態を示す。
【0030】
反射板110は、一例として、SPCC(Steel Plate Cold Commercial)のような圧延鋼板、又は、銅若しくはアルミニウム製の金属板等で作製可能であり、一例として厚さは0.3mm~1.0mm程度である。このように十分に薄い金属板で構成される反射板110は、外周面10Aに沿って変形可能な可撓性を有する。反射板110は、一例として、1枚の薄い金属板に対してパンチング処理等の板金加工を施すことで、ネジ孔等を形成するとともに、湾曲させることで作製可能である。
【0031】
反射板110は、アンテナ120を保持し、電柱10に取り付けられる部分である。反射板110は、アンテナ120の背面側に位置し、金属製であるため、反射部として機能する。反射板110は、外縁部分111及び保持部115を有する。
【0032】
<外縁部分111の構成>
外縁部分111は、第2外縁部分の一例であり、アンテナ装置100が電柱10に取り付けられた状態で、外周面10Aに沿って延在する部分である。外縁部分111は、薄板状の反射板110の四辺に沿った外縁と、外縁よりも少し内側の部分とを含む枠状の部分である。外縁部分111は、前面カバー130の外縁部分131及び枠部材140と重なる部分である。
【0033】
<保持部115の構成>
保持部115は、反射板110の径方向における外側の表面110Aに取り付けられている。保持部115は、湾曲した反射板110の周方向における複数の位置において、反射板110に対してアンテナ120を保持する部材である。保持部115は、第1保持部115A及び第2保持部115Bを有する。
【0034】
一例として、第1保持部115Aが周方向における1箇所に設けられ、第2保持部115Bが周方向における2箇所に設けられている。周方向において第1保持部115Aが設けられる位置は、第1位置の一例であり、周方向において第2保持部115Bが設けられる位置は、第2位置の一例である。第2位置は、周方向における第1位置の両側の2箇所に設けられている。
【0035】
第1保持部115Aは、周方向における第1位置において、+Z方向側及び-Z方向側に1個ずつ設けられている。第2保持部115Bは、周方向における2箇所の第2位置の各々において、1個ずつ設けられている。すなわち、保持部115は、2個の第1保持部115Aと、2個の第2保持部115Bとを有する。2個の第1保持部115Aと、2個の第2保持部115Bとは、外縁部分111と重ならない部分(外縁部分111よりも内側の部分)に設けられている。
【0036】
また、一例として、2個の第1保持部115Aは、周方向において、2個の第2保持部115Bの間に設けられている。より具体的には、2個の第2保持部115Bは、反射板110の周方向の両端にそれぞれ設けられており、2個の第1保持部115Aは、周方向において、2個の第2保持部115Bの中央部に設けられている。
【0037】
<第1保持部115Aの構成>
第1保持部115Aは、一例として樹脂製の円筒状の部材であり、反射板110の径方向外側の表面110Aに固定され、表面110Aから径方向に沿って外側に延在している。第1保持部115Aは、径方向外側の端部にネジ穴を有しており、ネジ115A1をアンテナ120のネジ孔125に通して第1保持部115Aのネジ穴にネジ留めすることによって、アンテナ120を固定的に保持する。
【0038】
2個の第1保持部115Aの径方向における長さは、一例として等しい。また、2個の第1保持部115Aの周方向における位置は、一例として等しい。2個の第1保持部115Aの径方向の長さと、周方向における位置とは、互いに異なっていてもよいが、等しくすることで、反射板110とアンテナ120との径方向における間隔を周方向及びZ方向において均等化しやすくなり、アンテナ120の良好なアンテナ特性を得やすくなる。
【0039】
なお、第1保持部115Aは、図5Bに示すように、反射板110の径方向内側の表面110B側から反射板110の貫通孔に通されるネジ115A2がネジ留めされることによって、反射板110に固定される。
【0040】
<第2保持部115Bの構成>
第2保持部115Bは、周方向における第1保持部115Aの両側の2箇所に、1個ずつ設けられている。第2保持部115Bは、図6に示すようにZ方向に長く、図5Aに示すように周方向には薄い板状の部材である。第2保持部115Bは、外周面10Aの中心軸の延在方向に沿って延在する。外周面10Aの中心軸は、電柱10の中心軸と同一であり、Z方向に延在する。上述のように、外周面10Aは、厳密にいうとZ方向に対して僅かに傾いているが、第2保持部115Bが外周面10Aの中心軸の延在方向に沿って延在するとは、このように僅かに傾いている状態を含む意味である。
【0041】
第2保持部115Bは、一例として樹脂製であるが、金属製であってもよい。第2保持部115Bが金属製である場合には、アンテナ120のアンテナ特性に影響が生じないように、アンテナ素子120Aに対する位置や、第2保持部115B自体の形状等を工夫すればよい。
【0042】
第2保持部115Bは、Z方向にわたって延在するスロット115B1を有する。スロット115B1は、第2保持部115Bの径方向外側の端部の近くにおいて、-Z方向側の端部から+Z方向側の端部まで設けられている細長い貫通孔であり、孔部の一例である。スロット115B1は、アンテナ120を差し込むために設けられている。このため、スロット115B1は、第2保持部115Bを周方向に貫通しており、Z方向の長さは、アンテナ120のZ方向の長さより僅かに長い。また、スロット115B1の径方向の幅は、アンテナ120の厚さよりも広い。
【0043】
スロット115B1の径方向における位置は、第1保持部115Aの径方向における外端の位置と等しくされている。より具体的には、スロット115B1の内表面のうちの径方向における内側に位置する内表面の反射板110の表面110Aに対する位置は、第1保持部115Aの径方向における外端の反射板110の表面110Aに対する位置と等しい。
【0044】
また、第2保持部115Bは、スロット115B1の+Z方向側の端部の位置が+Z方向側の第1保持部115Aの位置と等しく、スロット115B1の-Z方向側の端部の位置が-Z方向側の第1保持部115Aの位置と等しくなるように配置されている。このため、第2保持部115Bの+Z方向側の端部は、+Z方向側の第1保持部115Aよりも+Z方向側に位置し、第2保持部115Bの-Z方向側の端部は、-Z方向側の第1保持部115Aよりも-Z方向側に位置する。
【0045】
スロット115B1には、図3に示すように、アンテナ120の周方向における両端側の部分が差し込まれる。アンテナ120の周方向の両端側の部分は、スロット115B1に差し込まれているだけで、周方向に挿抜自在な状態でスロット115B1に保持されている。このため、スロット115B1は、周方向における第2位置において、アンテナ120を反射板110に対して、図3に示す2個の両矢印で示すように周方向に移動可能に保持する。
【0046】
このような第2保持部115Bは、図5Bに示すように、反射板110の貫通孔に径方向内側から差し込まれるネジ115B2によってネジ留めされている。また、第2保持部115Bは、図6に示すように、反射板110の表面110Aに接する部分に、切り欠き部115B3を有する。切り欠き部115B3は、例えば、図5Aに示すように給電ケーブル118を通すために利用される。
【0047】
上述のような第1保持部115A及び第2保持部115Bを有する保持部115では、第1保持部115Aと、周方向における両側の2個の第2保持部115Bとで、アンテナ120の反射板110に対する間隔(距離)を周方向において略一定に保持できるので、アンテナ120のアンテナ特性が良好になる。
【0048】
また、アンテナ装置100を電柱10に取り付ける際に、アンテナ装置100の全体的な曲率が大きくなるようにアンテナ装置100を湾曲させるときに、スロット115B1に対してアンテナ120が周方向に移動可能であるため、アンテナ120の反射板110に対する間隔(距離)を周方向において略一定に保持しつつ、湾曲させることができる。
【0049】
なお、本実施形態では、支持板の一例が反射板110である形態について説明するが、反射板110の代わりに、金属製ではなく、樹脂製等の湾曲した板状部材を支持板の一例として用いてもよい。
【0050】
また、第2保持部115Bは、スロット115B1の代わりに、例えば図6に示す第2保持部115Bの+Z方向側から-Z方向側に向かって切り欠いたような切り欠き部を設けてもよい。切り欠き部は、アンテナ120を保持できるのであれば、いずれの方向から第2保持部115Bを切り欠いたものであってもよい。また、各第2保持部115Bは、+Z方向側と-Z方向側とに分割されていて、アンテナ120の+Z方向側の端部と-Z方向側の端部とを挟むスリット(切り欠き部)を有するような構成であってもよい。
【0051】
また、本実施形態では、保持部115が2個の第2保持部115Bを有する形態について説明するが、保持部115は、少なくとも1個の第2保持部115Bを有していればよく、3個以上の第2保持部115Bを有していてもよい。
【0052】
<アンテナ120の構成>
アンテナ120は、図3に示すように、反射板110の保持部115に保持されている。アンテナ120は、アンテナ素子120A、及び、アンテナ素子120Aを覆う樹脂フィルム等を有する。樹脂フィルムは、一例として、ポリイミド等の可撓性を有する樹脂製のフィルムである。アンテナ素子120Aは、一例として、樹脂フィルムに銅箔等の金属箔で形成される薄い金属層で実現され、樹脂フィルムによって覆われている。アンテナ素子120Aは、一例として、アンテナ120の周方向における中央部で、かつ、Z方向における中央部となる位置に設けられている。アンテナ素子120Aは、一例として、パッチアンテナ、スロットアンテナ、又は、ダイポールアンテナ等で構成される。
【0053】
アンテナ120の背面側(径方向内側)には反射板110が配置されるため、アンテナ120から背面側に放射される電波は、前面側(径方向外側)に反射される。アンテナ120の放射強度が最大になるのは、周方向における中央部である。アンテナ120のアンテナ素子120Aには、給電ケーブル118が接続される(図2図3図5A、及び図5B参照)。アンテナ120は、給電ケーブル118を介して、アンテナ装置100の外部の通信装置等に接続される。
【0054】
アンテナ素子120Aは、Sub-6の電波を送受信可能な放射素子であり、ビーム状の電波を放射する。アンテナ装置100の利用状態においては、アンテナ装置100の周りには、スマートフォン、タブレットコンピュータ、又はゲーム機等の携帯型の無線通信装置を利用する利用者が存在することになるため、アンテナ装置100が放射する電波は、電柱10の円柱形状の径方向における外側方向で、かつ、水平方向から下向きの範囲に伝搬することが好ましい。
【0055】
<前面カバー130の構成>
前面カバー130は、可撓性を有する樹脂製であり、電柱10の湾曲形状に応じて湾曲度合を調整可能に構成されている。一例として、前面カバー130は、エラストマー樹脂製である。また、前面カバー130は、反射板110と同様に、電柱10に取り付ける前の状態で、予め湾曲させている。本実施形態では、一例として、前面カバー130が予め湾曲されている形態について説明するが、湾曲されていなくてもよい。
【0056】
前面カバー130は、図1乃至図4に示すように、外縁部分131、収容部132、及び、リブ135(図4参照)を有する。外縁部分131、第1外縁部分の一例であり、リブ135は、封止部の一例である。外縁部分131、収容部132、及び、リブ135は、一例として、可撓性を有する樹脂を成型することによって作製される。
【0057】
外縁部分131は、前面カバー130が反射板110に取り付けられた状態で、反射板110の外縁部分111に重ねられて、外縁部分111に当接する枠状の部分である。外縁部分131の径方向外側から視たサイズは、外縁部分111の径方向外側から視たサイズと等しい。
【0058】
収容部132は、径方向外側から視て、外縁部分131の枠形状の内側に位置する部分であり、外縁部分131よりも径方向外側に突出している。収容部132は、反射板110に沿って延在する湾曲壁部と、周方向の両端において、径方向及びZ方向を含む平面に沿って外縁部分131から径方向外側に立ち上がる2個の壁部と、+Z方向側及び-Z方向側において、XY平面に略平行に外縁部分131から径方向外側に立ち上がる2個の壁部との5面で構成される。このため、図4に示すように径方向内側から見ると、収容部132は、外縁部分131に対して径方向外側にオフセットした凹状の部分である。
【0059】
収容部132は、アンテナ120を収容するために設けられており、径方向外側から視て、アンテナ120よりも大きく、かつ、反射板110に保持されるアンテナ120の位置と合わせて設けられている。収容部132が外縁部分131よりも径方向外側に突出する距離は、周方向において一定であり、Z方向においても一定である。
【0060】
収容部132は、蛇腹部132Aを有する。蛇腹部132Aは、収容部132の周方向における中央部と、両端部分とを除いた2箇所に設けられている。換言すれば、蛇腹部132Aは、収容部132の周方向における中央部の両側に設けられている。収容部132の周方向における中央部に蛇腹部132Aを設けていないのは、収容部132の周方向における中央部は、アンテナ120の放射強度が最大になる部分であるため、蛇腹部132Aのジグザグの形状がアンテナ120のアンテナ特性に影響を与えないようにするためである。このため、蛇腹部132Aは、前面カバー130のうち、周方向においてアンテナ120の放射強度が最大になる区間以外の区間に形成されている。なお、2個の蛇腹部132Aの形状は同一であり、周方向において、収容部132の周方向における中心に対して対称的に配置されている。
【0061】
蛇腹部132Aは、周方向に沿ったジグザグ形状を有し、周方向に伸縮可能に構成されている。蛇腹部132Aは、収容部132の5面の壁部のうちの、反射板110に沿って延在する湾曲壁部と、+Z方向側及び-Z方向側においてXY平面に略平行に外縁部分131から径方向外側に立ち上がる2個の壁部と3面に設けられている。
【0062】
電柱10の外周面10Aの湾曲形状に合わせてアンテナ装置100の全体的な曲率が大きくなるようにアンテナ装置100を湾曲させると、外縁部分131が湾曲形状に合わせて曲率が大きくなるように変形するとともに、収容部132は蛇腹部132Aが周方向に縮むことによって、湾曲形状に合わせて曲率が大きくなるように変形する。
【0063】
リブ135は、図4に示すように、前面カバー130の外縁部分131の径方向内側の表面に設けられており、外縁部分131の径方向内側の表面よりも径方向内側に突出する枠状(環状)の凸部である。リブ135は、一例として、外縁部分131と一体的に成型され、外縁部分131に沿って設けられている。
【0064】
前面カバー130は、図1に示すように、反射板110に重ねられた状態で、外縁部分131のうちの+Z方向側及び-Z方向側で周方向に延在する部分が、枠部材140を介して固定バンド150によって径方向内側に向かって締め付けられる。また、このときに、外縁部分131の周方向の両端でZ方向に延在する部分は、固定バンド150によって直接的には締め付けられないが、枠部材140によって径方向内側に向かって締め付けられる。この状態で、リブ135は、反射板110の外縁部分111に密着した状態で押し潰されるため、反射板110の外縁部分111と前面カバー130の外縁部分131とで囲まれる収容部132の内部の空間が封止され、密閉性が向上する。
【0065】
このような構成によって、収容部132の内部の空間に、水や塵埃等の異物が入り込むことを抑制でき、アンテナ装置100を取り付けた電柱10が屋外で風雨に晒されても、長期間にわたってアンテナ120を雨、塵埃、又は、風で飛ばされた飛来物等から保護できる。また、人間等がアンテナ120を直接的に触れることがない構造を実現できる。
【0066】
なお、封止部の一例としてのリブ135の代わりに、例えば、前面カバー130の外縁部分131の径方向内側の表面に枠状の凹部を設けるとともに、凹部に嵌め込まれるゴム製のパッキン等を封止部として設けてもよい。
【0067】
<枠部材140の構成>
枠部材140は、反射板110の外縁部分111、及び、前面カバー130の外縁部分131と重ねられる枠状の部材であり、可撓性を有する。枠部材140は、径方向外側から視て、外縁部分111及び131と略同一のサイズと略同一の形状を有する薄板状の金属部材である。
【0068】
枠部材140は、アンテナ装置100が電柱10に取り付ける前の状態では、図2に示すように予め湾曲されていることが好ましい。予め湾曲させておけば、枠部材140を外周面10Aに沿って湾曲させやすいからである。また、薄板状の金属部材で構成される枠部材140は、樹脂フィルム等に比べると湾曲しにくいため、湾曲する部位や方向を予め決めておくことで、より湾曲しやすくできるからである。なお、枠部材140は、可撓性を有するため、アンテナ装置100が電柱10に取り付けられる前の状態において、平板状であってもよい。
【0069】
枠部材140は、開口部141及び位置合わせ部142を有する。枠部材140は、一例として、SPCCのような圧延鋼板、又は、銅若しくはアルミニウム製の金属板等で作製可能であり、一例として厚さは0.3mm~1.0mm程度である。このように十分に薄い金属板で構成される枠部材140は、外周面10Aに沿って変形可能な可撓性を有する。枠部材140は、一例として、1枚の薄い金属板に対してパンチング処理等の板金加工を施すことで、開口部141を形成するとともに、周方向の両端を折り曲げて位置合わせ部142を形成し、さらに湾曲させることで作製可能である。
【0070】
開口部141は、枠部材140の中央部に位置し、前面カバー130の収容部132を差し込むために設けられている。開口部141の開口サイズは、収容部132よりも大きければよい。
【0071】
位置合わせ部142は、枠部材140の周方向の両端から径方向外側に起立するように、枠部材140の周方向の両端を径方向外側に折り曲げた部分である。位置合わせ部142は、Z方向において、開口部141が存在する区間内に設けられている。位置合わせ部142は、Z方向において、枠部材140のうちの+Z方向側及び-Z方向側で周方向に延在する部分が存在する区間内には設けられていない。
【0072】
位置合わせ部142は、枠部材140の+Z方向側及び-Z方向側を固定バンド150で締結する際に、2個の固定バンド150のZ方向における位置決めのために設けられている。位置合わせ部142と重ならないように固定バンド150をZ方向で位置決めすれば、図1に示すように、枠部材140、前面カバー130の外縁部分131、及び、反射板110の外縁部分111のうちの+Z方向側及び-Z方向側で周方向に延在する部分を固定バンド150で径方向外側から締結できる。
【0073】
<固定バンド150の構成>
固定バンド150は、図2に示すように、略円環状のバンドであり、互いに同様の構成を有する。固定バンド150は、バンド151及び締結金具152を有し、締結金具152でバンド151を締結する位置を自在に変更可能である。このような固定バンド150としては、一例として、イワブチ株式会社が販売するステンレスバンドや自在バンド等を用いることができる。なお、固定バンド150は、このようなステンレスバンドや自在バンドに限られず、様々なものを用いることができる。
【0074】
<アンテナ装置100の電柱10への取付>
図7A図7B図8図9は、アンテナ装置100の電柱10への取付構造の一例を説明する図である。ここでは、一例として、電柱10の直径が190mmの部分にアンテナ装置100を取り付ける場合について説明する。
【0075】
まず、図7A及び図7Bに示すように、反射板110及び前面カバー130を重ね合わせるとともに、反射板110及び前面カバー130の径方向における外側から枠部材140の位置を合わせる準備を行う。この状態で、アンテナ120は反射板110によって保持されており、反射板110と前面カバー130の収容部132によって囲まれる空間内に収容されている。
【0076】
次に、電柱10の外周面10A上で、反射板110、前面カバー130、及び枠部材140の位置を合わせて、外周面10Aの湾曲形状に合わせて湾曲させる。反射板110、前面カバー130、及び枠部材140を外周面10Aの湾曲形状に合わせて湾曲させる前の状態では、一例として、図8に示すように、反射板110、前面カバー130、及び枠部材140の周方向の中央部が外周面10Aに接触しており、周方向の両端は外周面10Aから浮いている。図8に示す状態で、作業員が、反射板110、前面カバー130、及び枠部材140の周方向の両端を外周面10Aに向けて手で押圧することで、図9に示すように、反射板110、前面カバー130、及び枠部材140の全体を外周面10Aに沿って湾曲させることができる。
【0077】
さらに、固定バンド150を電柱10の外周面10Aに沿って巻き付けて、位置合わせ部142を利用して、枠部材140の+Z方向側及び-Z方向側を固定バンド150で締結すれば、図1に示すように、アンテナ装置100を電柱10の外周面10Aの湾曲形状に合わせて湾曲させた状態で取り付けることができる。
【0078】
また、ここでは、電柱10の直径が190mmの部分にアンテナ装置100を取り付ける場合について説明したが、電柱10の直径が250mmの部分に対しても、同様にアンテナ装置100を取り付けることができる。
【0079】
また、ここでは、アンテナ装置100を電柱10に取り付けられる前の状態における反射板110の曲率が、下端側の外周面10Aの曲率よりも小さい形態について説明した。しかしながら、アンテナ装置100を電柱10に取り付ける前の状態における反射板110の曲率は、下端側の外周面10Aの曲率よりも大きくてもよい。この場合には、アンテナ装置100を電柱10の外周面10Aに沿って押し広げる形で湾曲させて、反射板110を外周面10Aに当接させればよい。このときに、前面カバー130の蛇腹部132Aは、周方向に引き伸ばされることになる。
【0080】
<前面カバー130の変形度合のシミュレーション結果>
図10は、前面カバー130の変形度合のシミュレーション結果を説明する図である。図10には各部の符号を示さないが、前面カバー130の外縁部分131、収容部132、及び蛇腹部132A(図3参照)の変形度合について説明する。前面カバー130は、図3に示すように予め湾曲されている。図10を用いて説明する変形度合は、電柱10の外周面10Aの湾曲形状に合わせて全体的に曲率が大きくなるように前面カバー130を湾曲させた場合に、外周面10Aの湾曲形状に合わせて湾曲させる前の形状に対する、外周面10Aの湾曲形状に合わせて湾曲させた後の形状の変形度合である。
【0081】
図10(A)には、比較用に、前面カバー130から蛇腹部132Aを省いた比較用の前面カバー13を周方向に湾曲させた際の変形度合を示す。比較用の前面カバー13は、蛇腹部132Aが設けられていない収容部を有する。図10(B)には、前面カバー130を周方向に湾曲させた際の変形度合を示す。図10(C)には、実施形態の変形例の前面カバー130Mを周方向に湾曲させた際の変形度合を示す。変形例の前面カバー130Mは、蛇腹部132Aが収容部132の周方向の両端の間の全区間に設けられている点が前面カバー130と異なる。すなわち、変形例の前面カバー130Mは、前面カバー130の2個の蛇腹部132Aの間の区間についても蛇腹部132Aが形成されている点が前面カバー130と異なる。
【0082】
図10(A)に示す比較用の前面カバー13では、収容部のトーンが明るくなっており、収容部の変形が大きいことが分かる。蛇腹部132Aがないため、全体的に曲率が大きくなるように湾曲されると、収容部の径方向外側の壁部が周方向に引っ張られて変形するからである。
【0083】
図10(B)に示す前面カバー130では、図10(A)に示す比較用の前面カバー13に比べると、収容部132の蛇腹部132Aのトーンが暗くなっており、蛇腹部132Aを設けたことで、収容部132の変形が抑制されていることが分かる。全体的に曲率が大きくなるように湾曲された場合に、収容部132の蛇腹部132Aが周方向に広がることで、全体的な変形度合が小さく抑えられたものと考えられる。このように、収容部132の変形が小さいことは、全体的に曲率が大きくなるように湾曲されても、湾曲される前と同様にアンテナ120と収容部132との径方向の間隔が周方向において略一定に保たれて、良好なアンテナ特性が得られるという効果をもたらす。また、収容部132の変形が小さいことは、様々な湾曲形状に合わせて変形可能なことを示しており、反射板110との高い密閉性が得られるという効果をもたらす。
【0084】
図10(C)に示す前面カバー130Mは、収容部132の周方向の全区間に蛇腹部132Aが設けられているため、周方向において蛇腹部132Aが設けられている区間が長い分だけ、図10(B)に示す前面カバー130よりも変形が小さく抑えられると考えられる。しかしながら、図10(B)と図10(C)とを比べると、収容部132のトーンの明るさは略同程度であり、図10(C)に示す前面カバー130Mのように、収容部132の周方向の全区間に蛇腹部132Aを設けなくても、図10(B)のように2個の蛇腹部132Aを有する構成で、図10(C)に示す前面カバー130Mと同程度の小さな変形度合を実現できることが分かった。なお、アンテナ120の放射に影響が殆ど生じないような場合には、蛇腹部132Aは、図10(C)に示す前面カバー130Mのように、収容部132の周方向の全区間に設けられていてもよい。
【0085】
<効果>
アンテナ装置100は、可撓性を有し、電柱10(柱状の取付対象物の一例)の外周面10Aの周方向に沿って湾曲した状態で取り付けられる反射板110(支持板の一例)と、可撓性を有する平板状のアンテナ120であって、反射板110(支持板の一例)に沿って湾曲した状態で反射板110(支持板の一例)に対して間隔を空けて取り付けられるアンテナ120と、湾曲した反射板110(支持板の一例)の周方向における複数の位置において、反射板110(支持板の一例)に対してアンテナ120を保持する保持部115とを含む。保持部115は、周方向における複数の位置のうちの第1位置において、アンテナ120を反射板110(支持板の一例)に対して固定的に保持する第1保持部115Aと、周方向における複数の位置のうちの第2位置において、アンテナ120を反射板110(支持板の一例)に対して周方向に移動可能に保持する第2保持部115Bとを有する。反射板110のような支持板と、アンテナ120とが可撓性を有するため、電柱10のような柱状の取付対象物の湾曲形状に合わせて容易に取り付けることができる。また、アンテナ120を第1保持部115Aで固定的に保持するとともに、第2保持部115Bで周方向に移動可能に保持するので、アンテナ120と、反射板110のような支持板との間隔を略一定に保持できる。
【0086】
したがって、湾曲面に容易に取り付け可能で、アンテナ特性が良好なアンテナ装置100を提供できる。
【0087】
また、第2保持部115Bは、外周面10Aの中心軸の延在方向に沿って延在するので、アンテナ120と、反射板110のような支持板との間隔を外周面10Aの中心軸に沿った方向において略一定に保持でき、良好なアンテナ特性が得られる。
【0088】
また、第2保持部115Bは、外周面10Aの中心軸の延在方向に沿って延在する孔部(一例として、スロット115B1)又は切り欠きを有し、アンテナ120は、孔部又は切り欠きに差し込まれている。このため、第2保持部115Bでアンテナ120を周方向に挿抜自在な状態で保持でき、アンテナ装置100を全体的に半径が小さくなる方向、又は、大きくなる方向に湾曲させても、反射板110とアンテナ120との間の周方向における間隔を略一定に保持できる。この結果、湾曲面に容易に取り付け可能で、アンテナ特性が非常に良好なアンテナ装置100を提供できる。
【0089】
また、可撓性を有し、外周面10Aに沿って湾曲した状態で、アンテナ120の外周面10Aの径方向における外側を覆う前面カバー130をさらに含む。このため、アンテナ120の前面側を覆うことで、水や塵埃等の異物が入り込むことを抑制でき、アンテナ装置100を取り付けた電柱10が屋外で風雨に晒されても、長期間にわたってアンテナ120を雨、塵埃、又は、風で飛ばされた飛来物等から保護できる。また、人間等がアンテナ120を直接的に触れることがない構造を実現できる。
【0090】
また、前面カバー130は、周方向に沿って形成された蛇腹部132Aを有するので、アンテナ装置100を全体的に半径が小さくなる方向、又は、大きくなる方向に湾曲させても、前面カバー130が湾曲形状の変化に追従しやすくなり、様々な湾曲度合の外周面10Aに合わせて変形可能なアンテナ装置100を提供できる。また、前面カバー130が湾曲形状の変化に追従しやすくなることで、水や塵埃等の異物が入り込むことをより効果的に抑制でき、長期間にわたって雨、塵埃、又は、風で飛ばされた飛来物等から、アンテナ120をより確実に保護できる。また、蛇腹部132Aを有することで、外周面10Aに合わせて湾曲する前と、外周面10Aに合わせて湾曲させた後との変形度合が小さく抑えられるので、外周面10Aに合わせて湾曲させた後においてもアンテナ120と収容部132との径方向の間隔が周方向において略一定に保たれ、良好なアンテナ特性が得られるとともに、反射板110との高い密閉性が得られる。
【0091】
また、蛇腹部132Aは、前面カバー130のうち、周方向においてアンテナ120の放射強度が最大になる区間以外の区間に形成されているので、アンテナ特性への影響を最小限にでき、湾曲面に容易に取り付け可能で、アンテナ特性が非常に良好なアンテナ装置100を提供できる。
【0092】
また、前面カバー130の外周面10Aに沿って延在する外縁部分131は、反射板110(支持板の一例)の外周面10Aに沿って延在する外縁部分111と当接し、前面カバー130は、外縁部分131の径方向における内側の表面に設けられ、外縁部分111との間を封止するリブ(封止部の一例)を有する。このため、反射板110と前面カバー130の合わせ目をリブ135で封止でき、水や塵埃等の異物が入り込むことをより効果的に抑制でき、長期間にわたってアンテナ120を雨、塵埃、又は、風で飛ばされた飛来物等から、より確実に保護できる。
【0093】
また、リブ135(封止部の一例)は、外縁部分131の径方向における内側の表面から突出し、外縁部分131に沿って設けられる環状の凸部である。このため、簡易な構成のリブ135で、反射板110と前面カバー130の合わせ目をより確実に封止でき、水や塵埃等の異物が入り込むことをさらに効果的に抑制でき、簡易な構成で、長期間にわたってアンテナ120を雨、塵埃、又は、風で飛ばされた飛来物等から、より確実に保護できる。
【0094】
また、前面カバー130のうちの外縁部分131の径方向における外側の表面に取り付けられる枠部材140(治具の一例)をさらに含む。このため、前面カバー130の外縁部分131を径方向外側から電柱10に向かって枠部材140で押し付けることができ、電柱10の外周面10Aに対してアンテナ装置100を容易かつ安定的に取り付けることができる。また、枠部材140は、径方向外側から視て、アンテナ120と重ならないため、アンテナ120の良好なアンテナ特性を保持できる。
【0095】
また、電柱10(取付対象物の一例)の周囲に巻き付けられ、枠部材140(治具の一例)の径方向における外側の表面に当接して、反射板110(支持板の一例)、前面カバー130、及び枠部材140を電柱10に対して固定する固定バンド150(固定部材の一例)をさらに含む。枠部材140は、反射板110の外縁部分111に当接する外縁部分131の径方向における外側の表面に取り付けられて、固定バンド150によって電柱10に対して固定されるので、固定バンド150で、アンテナ120を保持する反射板110、前面カバー130、及び枠部材140のすべてを電柱10に対して締結できる。すなわち、固定バンド150で、アンテナ120を保持する反射板110、前面カバー130、及び枠部材140のすべてを電柱10に対して固定できるので、湾曲面に非常に容易に取り付け可能である。また、固定バンド150は、径方向外側から視て、アンテナ120と重ならないため、アンテナ特性が非常に良好なアンテナ装置100を提供できる。また、電柱10は上端側と下端側で直径が異なるが、アンテナ装置100の全体の湾曲度合を調整することで、外周面10Aの湾曲に合わせて固定バンド150で締め上げることができ、様々な曲率の湾曲面に対して取り付け容易である。
【0096】
また、アンテナ120は、パッチアンテナ、スロットアンテナ、又は、ダイポールアンテナを有する。様々な種類のアンテナを用いることで、湾曲面に容易に取り付け可能で、アンテナ特性が良好なアンテナ装置100を実現可能である。
【0097】
前面カバー130は、エラストマー樹脂製であり、反射板110(支持板の一例)は金属板である。前面カバー130がエラストマー樹脂製であることにより、外周面10Aの湾曲形状に合わせて湾曲させやすい構成を実現できるとともに、前面側に電波を放射可能な構成を実現できる。また、支持板が金属製の反射板110であることにより、アンテナ120から背面側に放射された電波を前面側に反射でき、放射効率を増大させて、より良好なアンテナ特性が得られる。
【0098】
電柱アンテナ装置200は、アンテナ装置100と、取付対象物としての電柱10とを含み、湾曲面は、電柱10の外周面10A(側面の一例)である。反射板110のような支持板と、アンテナ120とが可撓性を有するため、電柱10のような柱状の取付対象物に容易に取り付けることができる。また、アンテナ120を第1保持部115Aで固定的に保持するとともに、第2保持部115Bで周方向に移動可能に保持するので、アンテナ120と、反射板110のような支持板との間隔を略一定に保持できる。
【0099】
したがって、湾曲面に容易に取り付け可能で、アンテナ特性が良好な電柱アンテナ装置200を提供できる。
【0100】
<実施形態の変形例の反射板110M>
図11は、実施形態の変形例の反射板110Mを示す図である。実施形態の変形例の反射板110Mは、1個の第1保持部115Aと、2個の第2保持部115Bとの周方向における配置を変更したものである。反射板110Mでは、2個の第2保持部115Bが隣り合うように配置されており、第1保持部115Aは、1個の第1保持部115Aと、2個の第2保持部115Bとが周方向において配置される3個の位置のうちの端の位置に配置されている。
【0101】
1個の第1保持部115Aをこのように配置しても、アンテナ120は2個の第2保持部115Bのスロット115B1に差し込まれて挿抜自在であるため、外周面10Aの曲率に合わせて、アンテナ装置100を全体的に半径が小さくなる方向、又は、大きくなる方向に湾曲させても、反射板110とアンテナ120との周方向における間隔を略一定に保持できる。なお、アンテナ素子120A(図2参照)の放射特性に影響が生じないように、第2保持部115Bがアンテナ素子120Aと重ならない位置に配置する、又は、第2保持部115Bを+Z方向側と-Z方向側に分離する等の工夫を行えばよい。
【0102】
以上、本開示の例示的なアンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置について説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0103】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
可撓性を有し、柱状の取付対象物の湾曲面の周方向に沿って湾曲した状態で取り付けられる支持板と、
可撓性を有する平板状のアンテナであって、前記支持板に沿って湾曲した状態で前記支持板に対して間隔を空けて取り付けられるアンテナと、
前記湾曲した支持板の前記周方向における複数の位置において、前記支持板に対して前記アンテナを保持する保持部と
を含み、
前記保持部は、
前記周方向における複数の位置のうちの第1位置において、前記アンテナを前記支持板に対して固定的に保持する第1保持部と、
前記周方向における複数の位置のうちの第2位置において、前記アンテナを前記支持板に対して前記周方向に移動可能に保持する第2保持部と
を有する、アンテナ装置。
(付記2)
前記第2保持部は、前記湾曲面の中心軸の延在方向に沿って延在する、付記1に記載のアンテナ装置。
(付記3)
前記第2保持部は、前記湾曲面の中心軸の延在方向に沿って延在する孔部又は切り欠きを有し、
前記アンテナは、前記孔部又は前記切り欠きに差し込まれている、付記1又は2に記載のアンテナ装置。
(付記4)
可撓性を有し、前記湾曲面に沿って湾曲した状態で、前記アンテナの前記湾曲面の径方向における外側を覆う筐体部をさらに含む、付記1乃至3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記5)
前記筐体部は、前記周方向に沿って形成された蛇腹部を有する、付記4に記載のアンテナ装置。
(付記6)
前記蛇腹部は、前記筐体部のうち、前記周方向において前記アンテナの放射強度が最大になる区間以外の区間に形成されている、付記5に記載のアンテナ装置。
(付記7)
前記筐体部の前記湾曲面に沿って延在する第1外縁部分は、前記支持板の前記湾曲面に沿って延在する第2外縁部分と当接し、
前記筐体部は、前記第1外縁部分の前記径方向における内側の表面に設けられ、前記第2外縁部分との間を封止する封止部を有する、付記4乃至7のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記8)
前記封止部は、前記第1外縁部分の前記径方向における内側の表面から突出し、前記第1外縁部分に沿って設けられる環状の凸部である、付記7に記載のアンテナ装置。
(付記9)
前記筐体部のうちの前記第1外縁部分の前記径方向における外側の表面に取り付けられる治具をさらに含む、付記7又は8に記載のアンテナ装置。
(付記10)
前記取付対象物の周囲に巻き付けられ、前記治具の前記径方向における外側の表面に当接して、前記支持板、前記筐体部、及び前記治具を前記取付対象物に対して固定する固定部材をさらに含む、付記9に記載のアンテナ装置。
(付記11)
前記アンテナは、パッチアンテナ、スロットアンテナ、又は、ダイポールアンテナを有する、付記1乃至10のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記12)
前記筐体部は、エラストマー樹脂製であり、前記支持板は金属板である、付記4乃至10のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記13)
付記1乃至12のいずれか1項に記載のアンテナ装置と、
前記取付対象物としての電柱と
を含み、
前記湾曲面は、前記電柱の側面である、電柱アンテナ装置。
【符号の説明】
【0104】
10 電柱(柱状の取付対象物の一例)
10A 外周面(湾曲面の一例)
100 アンテナ装置
110 反射板(支持板の一例)
111 外縁部分(第2外縁部分の一例)
115 保持部
115A 第1保持部
115B 第2保持部
120 アンテナ
120A アンテナ素子
130 前面カバー(筐体部の一例)
131 外縁部分(第1外縁部分の一例)
135 リブ(封止部の一例)
140 枠部材(治具の一例)
141 開口部
142 位置合わせ部
150 固定バンド(固定部材の一例)
151 バンド
152 締結金具
200 電柱アンテナ装置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11