(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025454
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】選定装置、プログラム、選定システムおよび選定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240216BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128916
(22)【出願日】2022-08-12
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム 産学共同(育成型)「畦畔管理のためのデータ活用型農作業支援アプリの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕太
(72)【発明者】
【氏名】菊地 麗
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】作業対象となる土地の実態に適合した作業機体を選定する。
【解決手段】選定装置(50)は、特徴情報(24、25、26)および機体情報(27)を取得する情報取得部(51)と、特徴情報(24、25、26)が所定条件を充足するか否かを判定した上で、機体情報(27)の内容が判定結果の内容に最も適合する作業機体をグリッドに割り当てる機体割当部(52)と、3次元画像(IMG)における、同一種類の作業機体が割り当てられた複数のグリッド(G)の分布態様に基づいて、対象作業機体を選定する機体選定部(53)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の作業機体の中から、作業対象となる土地で使用される前記作業機体を対象作業機体として選定する選定装置であって、
前記土地を仮想的に格子状に分割して得られる複数の単位空間のそれぞれを仮想グリッドとした場合における、当該仮想グリッドの地形の特徴を示す特徴情報を、複数の当該仮想グリッドのそれぞれについて取得するとともに、前記作業機体の性能に関する機体情報を、前記複数種類の作業機体のそれぞれについて取得する情報取得部と、
前記土地が撮像された3次元画像を格子状に分割して得られる複数のグリッドのそれぞれについて、当該グリッドに対応する前記仮想グリッドの前記特徴情報が所定条件を充足するか否かを判定した上で、前記複数種類の作業機体の中から、前記機体情報の内容が判定結果の内容に最も適合する前記作業機体を当該グリッドに割り当てる機体割当部と、
前記3次元画像における、同一種類の前記作業機体が割り当てられた複数の前記グリッドの分布態様に基づいて、前記対象作業機体を選定する機体選定部と、を備えた選定装置。
【請求項2】
なくとも2つ以上で構成される請求項1に記載の選定装置。
(I)前記仮想グリッドに含まれる斜面における、鉛直線を基準とした場合の傾斜角度
(II)前記地形の起伏の程度を示す起伏指標
(III)前記斜面における上端と下端との間の最短距離
【請求項3】
前記情報取得部は、
前記複数種類の作業機体毎の過去の作業履歴を示す作業履歴情報と、
前記対象作業機体を用いて作業を行う予定の作業予定者における、前記複数種類の作業機体毎の操作の熟練度を示す熟練度情報と、を取得し、
前記機体割当部は、前記作業履歴情報および前記熟練度情報の少なくとも一方の内容を加味して、前記作業機体を前記グリッドに割り当てる請求項1または2に記載の選定装置。
【請求項4】
前記機体割当部は、前記特徴情報が示す数値と閾値との大小を比較することで、当該特徴情報が前記所定条件を充足するか否かを判定するとともに、前記作業履歴情報および前記熟練度情報の少なくとも一方の内容に応じて前記閾値の値を増減する請求項3に記載の選定装置。
【請求項5】
前記機体割当部は、前記判定結果を受けて、判定対象となった前記グリッドに対応する前記仮想グリッドにおいて作業を行うことが不適当である旨を決定した場合、当該グリッドに前記作業機体を割り当てることを見送り、
前記機体選定部は、前記3次元画像における、前記作業機体の割り当てが見送られた少なくとも1つ以上の前記グリッドの分布態様を加味して、前記対象作業機体を選定する請求項1に記載の選定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の選定装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記情報取得部、前記機体割当部および前記機体選定部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項7】
複数種類の作業機体の中から、作業対象となる土地で使用される前記作業機体を対象作業機体として選定する、制御装置により制御される選定システムであって、
前記制御装置と送受信可能な端末と、
前記土地を仮想的に格子状に分割して得られる複数の単位空間のそれぞれを仮想グリッドとした場合における、当該仮想グリッドの地形の特徴を示す特徴情報を、複数の当該仮想グリッドのそれぞれについて記憶するとともに、前記作業機体の性能に関する機体情報を、前記複数種類の作業機体のそれぞれについて記憶する記憶部を備えた、前記制御装置および前記端末のそれぞれと送受信可能なサーバと、を備え、
前記制御装置は、
前記端末がユーザの入力操作を受け付けることにより、前記記憶部から、前記特徴情報を、前記土地を構成する複数の前記仮想グリッドのそれぞれについて取得するとともに、前記記憶部から、前記機体情報を、前記複数種類の作業機体のそれぞれについて取得する情報取得処理と、
前記土地が撮像された3次元画像を格子状に分割して得られる複数のグリッドのそれぞれについて、当該グリッドに対応する前記仮想グリッドの前記特徴情報が所定条件を充足するか否かを判定した上で、前記複数種類の作業機体の中から、前記機体情報の内容が判定結果の内容に最も適合する前記作業機体を当該グリッドに割り当てる機体割当処理と、
前記3次元画像における、同一種類の前記作業機体が割り当てられた複数の前記グリッドの分布態様に基づいて、前記対象作業機体を選定する機体選定処理と、を実行する選定システム。
【請求項8】
複数種類の作業機体の中から、作業対象となる土地で使用される前記作業機体を対象作業機体として選定する選定方法であって、
前記土地を仮想的に格子状に分割して得られる複数の単位空間のそれぞれを仮想グリッドとした場合における、当該仮想グリッドの地形の特徴を示す特徴情報を、複数の当該仮想グリッドのそれぞれについて取得するとともに、前記作業機体の性能に関する機体情報を、前記複数種類の作業機体のそれぞれについて取得する情報取得ステップと、
前記土地が撮像された3次元画像を格子状に分割して得られる複数のグリッドのそれぞれについて、当該グリッドに対応する前記仮想グリッドにおける、前記情報取得ステップにて取得した前記特徴情報が、所定条件を充足するか否かを判定した上で、前記複数種類の作業機体の中から、前記情報取得ステップにて取得した前記機体情報の内容が判定結果の内容に最も適合する前記作業機体を当該グリッドに割り当てる機体割当ステップと、
前記3次元画像における、前記機体割当ステップにて同一種類の前記作業機体が割り当てられた複数の前記グリッドの分布態様に基づいて、前記対象作業機体を選定する機体選定ステップと、を含む選定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の作業機体の中から作業対象となる土地で使用される作業機体を選定する選定装置、プログラム、選定システムおよび選定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業対象となる土地の地形に関する情報に基づいて、その土地で使用する作業機体を決定する技術が、従来技術として知られている。例えば特許文献1には、走行作業機に備えられたセンサが検出した地面の傾斜角度、障害物等に基づいて、対象エリアを特定するとともに、対象エリアで作業を行う作業機を決定する支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された支援装置は、作業エリア内における走行作業機の走行範囲の広狭によって、作業エリアにおける地形の状態、障害物の有無等の把握精度が大きく左右される。また、走行作業機が隈なく走行した作業エリア内の領域では把握精度が高まるものの、走行作業機が一部しか走行しなかった作業エリア内の領域では把握精度が低下することから、作業エリア内の領域によって把握精度にバラつきが生じる。これらのことから、特許文献1に開示された支援装置は、作業エリアの実態に適合した作業機の決定という点では十分とは言えない。
【0005】
本発明の一態様は、作業対象となる土地の実態に適合した作業機体を選定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る選定装置は、 複数種類の作業機体の中から、作業対象となる土地で使用される前記作業機体を対象作業機体として選定する選定装置であって、前記土地を仮想的に格子状に分割して得られる複数の単位空間のそれぞれを仮想グリッドとした場合における、当該仮想グリッドの地形の特徴を示す特徴情報を、複数の当該仮想グリッドのそれぞれについて取得するとともに、前記作業機体の性能に関する機体情報を、前記複数種類の作業機体のそれぞれについて取得する情報取得部と、前記土地が撮像された3次元画像を格子状に分割して得られる複数のグリッドのそれぞれについて、当該グリッドに対応する前記仮想グリッドの前記特徴情報が所定条件を充足するか否かを判定した上で、前記複数種類の作業機体の中から、前記機体情報の内容が判定結果の内容に最も適合する前記作業機体を当該グリッドに割り当てる機体割当部と、前記3次元画像における、同一種類の前記作業機体が割り当てられた複数の前記グリッドの分布態様に基づいて、前記対象作業機体を選定する機体選定部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る選定装置は、前記特徴情報は、下記(I)、(II)および(III)の少なくとも2つ以上で構成されてもよい。
【0008】
(I)前記仮想グリッドに含まれる斜面における、鉛直線を基準とした場合の傾斜角度
(II)前記地形の起伏の程度を示す起伏指標
(III)前記斜面における上端と下端との間の最短距離
本発明の一態様に係る選定装置は、前記情報取得部は、前記複数種類の作業機体毎の過去の作業履歴を示す作業履歴情報と、前記対象作業機体を用いて作業を行う予定の作業予定者における、前記複数種類の作業機体毎の操作の熟練度を示す熟練度情報と、を取得し、前記機体割当部は、前記作業履歴情報および前記熟練度情報の少なくとも一方の内容を加味して、前記作業機体を前記グリッドに割り当ててもよい。
【0009】
本発明の一態様に係る選定装置は、前記機体割当部は、前記特徴情報が示す数値と閾値との大小を比較することで、当該特徴情報が前記所定条件を充足するか否かを判定するとともに、前記作業履歴情報および前記熟練度情報の少なくとも一方の内容に応じて前記閾値の値を増減してもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る選定装置は、前記機体割当部は、前記判定結果を受けて、判定対象となった前記グリッドに対応する前記仮想グリッドにおいて作業を行うことが不適当である旨を決定した場合、当該グリッドに前記作業機体を割り当てることを見送り、前記機体選定部は、前記3次元画像における、前記作業機体の割り当てが見送られた少なくとも1つ以上の前記グリッドの分布態様を加味して、前記対象作業機体を選定してもよい。
【0011】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記選定装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記情報取得部、前記機体割当部および前記機体選定部としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0012】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る選定システムは、複数種類の作業機体の中から、作業対象となる土地で使用される前記作業機体を対象作業機体として選定する、制御装置により制御される選定システムであって、前記制御装置と送受信可能な端末と、前記土地を仮想的に格子状に分割して得られる複数の単位空間のそれぞれを仮想グリッドとした場合における、当該仮想グリッドの地形の特徴を示す特徴情報を、複数の当該仮想グリッドのそれぞれについて記憶するとともに、前記作業機体の性能に関する機体情報を、前記複数種類の作業機体のそれぞれについて記憶する記憶部を備えた、前記制御装置および前記端末のそれぞれと送受信可能なサーバと、を備え、前記制御装置は、前記端末がユーザの入力操作を受け付けることにより、前記記憶部から、前記特徴情報を、前記土地を構成する複数の前記仮想グリッドのそれぞれについて取得するとともに、前記記憶部から、前記機体情報を、前記複数種類の作業機体のそれぞれについて取得する情報取得処理と、前記土地が撮像された3次元画像を格子状に分割して得られる複数のグリッドのそれぞれについて、当該グリッドに対応する前記仮想グリッドの前記特徴情報が所定条件を充足するか否かを判定した上で、前記複数種類の作業機体の中から、前記機体情報の内容が判定結果の内容に最も適合する前記作業機体を当該グリッドに割り当てる機体割当処理と、前記3次元画像における、同一種類の前記作業機体が割り当てられた複数の前記グリッドの分布態様に基づいて、前記対象作業機体を選定する機体選定処理と、を実行する。
【0013】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る選定方法は、複数種類の作業機体の中から、作業対象となる土地で使用される前記作業機体を対象作業機体として選定する選定方法であって、前記土地を仮想的に格子状に分割して得られる複数の単位空間のそれぞれを仮想グリッドとした場合における、当該仮想グリッドの地形の特徴を示す特徴情報を、複数の当該仮想グリッドのそれぞれについて取得するとともに、前記作業機体の性能に関する機体情報を、前記複数種類の作業機体のそれぞれについて取得する情報取得ステップと、前記土地が撮像された3次元画像を格子状に分割して得られる複数のグリッドのそれぞれについて、当該グリッドに対応する前記仮想グリッドにおける、前記情報取得ステップにて取得した前記特徴情報が、所定条件を充足するか否かを判定した上で、前記複数種類の作業機体の中から、前記情報取得ステップにて取得した前記機体情報の内容が判定結果の内容に最も適合する前記作業機体を当該グリッドに割り当てる機体割当ステップと、前記3次元画像における、前記機体割当ステップにて同一種類の前記作業機体が割り当てられた複数の前記グリッドの分布態様に基づいて、前記対象作業機体を選定する機体選定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、作業対象となる土地の実態に適合した作業機体を選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る選定システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】傾斜マップの一例を示す図面代用写真である。
【
図4】起伏マップの一例を示す図面代用写真である。
【
図5】斜面距離マップの一例を示す図面代用写真である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る機体割当処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】機体割当処理を実行する前の3次元画像の一例を示す図面代用写真である。
【
図8】機体割当処理を実行した後の3次元画像の一例を示す図面代用写真である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る機体選定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】閾値が0.1%の場合における潜在的集合体の分布態様の一例を示す模式図である。
【
図11】符号1011は、閾値が0.1%の場合における集合体の分布態様の一例を示す模式図である。符号1012は、閾値が1.0%の場合における集合体の分布態様の一例を示す模式図である。符号1013は、閾値が10.0%の場合における集合体の分布態様の一例を示す模式図である。
【
図12】符号1021は、1種類の作業機体を選定した場合における選定結果が表示された3次元画像の一例を示す図面代用写真である。符号1022は、2種類の作業機体を選定した場合における選定結果が表示された3次元画像の一例を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図12を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態では、作業機体の作業対象となる土地(以下、「対象土地」)として畦畔を例に挙げて説明する。対象土地としては、畦畔の他、堤防敷、道路敷、ため池堤防、工場、住宅地の造成法面、鉄道・線路脇の法面、公園をはじめとする緑地等の様々な土地が挙げられる。
【0017】
〔選定システムの構成〕
図1および
図2を参照して、本発明の一実施形態に係る選定システム100の構成について説明する。選定システム100は、複数種類の作業機体(不図示)の中から、対象土地LT(
図7等参照)で使用される作業機体を対象作業機体として選定するシステムである。本実施形態では、複数種類の作業機体として、刈払機、法面草刈機、リモコン式草刈機およびウィンチ付き草刈機の4種類を例に挙げて説明する。刈払機、法面草刈機およびリモコン式草刈機のそれぞれは、一般的な公知の作業機体である。ウィンチ付き草刈機は、ワイヤー等の紐状の接続体で草刈機本体を保持し制御する機構を有する草刈機である。
図1に示すように、選定システム100は、端末1とサーバ2とを備えている。
【0018】
(端末)
端末1は、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、各種情報の処理を実行可能な情報処理装置である。
図1に示すように、端末1は、入力部11、表示部12、記憶部13、通信部14および制御部15を備えている。入力部11は、各種操作を受け付けるインターフェースである。例えば、端末1が据え置き型のパーソナルコンピュータの場合、キーボードおよびマウスが入力部11となる。
【0019】
表示部12は、各種情報を表示する出力部である。例えば、端末1が据え置き型のパーソナルコンピュータの場合、モニタが表示部12となる。また例えば、端末1がスマートフォンまたはタブレット端末の場合、端末1は入力部11と表示部12とが一体化したタッチパネルを備えていてもよい。
【0020】
記憶部13は、端末1が使用する各種情報を記憶する。記憶部13としては、例えばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクが挙げられる。通信部14は、端末1がサーバ2あるいは他の情報処理装置(不図示)との間で各種情報の送受信を行うための部である。制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)であり、端末1の各部を統括して制御する。また、制御部15は、端末1が具備している各種機能を実現するための処理を実行する。
図1に示すように、制御部15は選定装置50を備えている。
【0021】
選定装置50は、端末1およびサーバ2と送受信可能な制御装置であり、複数種類の作業機体の中から対象作業機体を選定する。つまり、選定システム100は、選定装置50により制御される。なお、選定装置50は、端末1内において制御部15の外部に備えられていてもよいし、サーバ2あるいは他の情報処理装置に備えられていてもよい。
図1に示すように、選定装置50は、情報取得部51、機体割当部52、機体選定部53および表示制御部54を備えている。
【0022】
情報取得部51は、仮想グリッドGK(
図7参照)の地形の特徴を示す特徴情報を、対象土地LTを構成する複数の仮想グリッドGKのそれぞれについて取得する。仮想グリッドは、対象土地LTを仮想的に格子状に分割して得られる複数の単位空間のそれぞれのことである。本実施形態では、特徴情報は、仮想グリッドGKに含まれる斜面の傾斜角度24、仮想グリッドGKの地形の起伏の程度を示す起伏指標25、および仮想グリッドGKに含まれる斜面における上端と下端との間の最短距離(以下、「斜面距離26」)で構成される。ここで、傾斜角度24は、鉛直線を基準(0°)とした場合の斜面の傾斜角度を指す。
【0023】
なお、特徴情報は、傾斜角度24、起伏指標25および斜面距離26の3つの情報が必須構成である必要はなく、例えばこれら3つの情報のうちのいずれか1つで構成されていてもよい。要は、特徴情報は、仮想グリッドGKの地形の特徴を示す情報であればどのような情報であってもよい。但し、特徴情報は、傾斜角度24、起伏指標25および斜面距離26の少なくとも2つ以上で構成されているのが好ましい。
【0024】
また、情報取得部51は、作業機体の性能に関する機体情報27を、複数種類の作業機体のそれぞれについて取得する。以下、情報取得部51が特徴情報および機体情報27を取得する処理を「情報取得処理」と称する。
【0025】
本実施形態では、機体情報27は、第1機体情報271、第2機体情報272、第3機体情報273および第4機体情報274で構成される。第1機体情報271は、刈払機の性能に関する情報である。第2機体情報272は、法面草刈機の性能に関する情報である。第3機体情報273は、リモコン式草刈機の性能に関する情報である。第4機体情報274は、ウィンチ付き草刈機の性能に関する情報である。
【0026】
機体情報27は、作業機体のカタログスペックおよび劣化状態の他、
図2に示す各種情報をその内容とする。
図2において、例えば、「刈払機」の列の各種情報が第1機体情報271の内容の一部となり、「法面草刈機」の列の各種情報が第2機体情報272の内容の一部となる。
【0027】
機体割当部52は、対象土地LTが撮像された3次元画像IMG(
図7参照)を格子状に分割して得られる複数のグリッドG(
図7参照)のそれぞれについて、当該グリッドGに対応する仮想グリッドGKの特徴情報が所定条件を充足するか否かを判定する。また、機体割当部52は、複数種類の作業機体の中から、機体情報27の内容が判定結果の内容に最も適合する作業機体を、割り当て対象となるグリッドGに割り当てる。以下、機体割当部52が特定種類の作業機体をグリッドGに割り当てるまでの一連の処理を「機体割当処理」と称する。
【0028】
機体選定部53は、3次元画像IMG-1(
図8参照)における、同一種類の作業機体が割り当てられた複数のグリッドGの分布態様に基づいて、対象作業機体を選定する。以下、機体選定部53が複数種類の作業機体の中から対象作業機体を選定する処理を「機体選定処理」と称する。
【0029】
表示制御部54は、端末1が処理した各種情報を表示部12に表示させる。また、表示制御部54は、機体割当部52による機体割当処理の実行結果、および機体選定部53による機体選定処理の実行結果のそれぞれを、表示部12に表示させる。
【0030】
(サーバ)
サーバ2は、端末1および選定装置50のそれぞれと送受信可能な記憶装置である。本実施形態では、サーバ2は、端末1と無線接続されているが、端末1および選定装置50の少なくとも一方と有線接続されていてもよい。
図1に示すように、サーバ2は、記憶部21、通信部22および制御部23を備えている。
【0031】
記憶部21は、サーバ2が使用する各種情報を記憶する。また、記憶部21は、特徴情報を、対象土地LTを構成する複数の仮想グリッドGKのそれぞれについて記憶する。本実施形態では、記憶部21は、傾斜マップMI(
図3参照)、起伏マップMU(
図4参照)および斜面距離マップMS(
図5参照)を記憶することで、複数の仮想グリッドGKのそれぞれについて、傾斜角度24、起伏指標25および斜面距離26を記憶する。
【0032】
傾斜マップMIには、対象土地LTを構成する複数の仮想グリッドGKのそれぞれにおける傾斜角度24が記録されている。起伏マップMUには、対象土地LTを構成する複数の仮想グリッドGKのそれぞれにおける起伏指標25が記録されている。斜面距離マップMSには、対象土地LTを構成する複数の仮想グリッドGKのそれぞれにおける斜面距離26が記録されている。傾斜マップMI、起伏マップMUおよび斜面距離マップMSの各詳細については後述する。
【0033】
記憶部21は、前述の3つのマップに替えて、例えば、対象土地LTを構成する複数の仮想グリッドGK毎に、傾斜角度24、起伏指標25および斜面距離26が対応付けられて記録されたデータベースを記憶してもよい。つまり、特徴情報が記憶部21に記憶される形式および態様について、特段の限定はない。
【0034】
さらに、記憶部21は、機体情報27を複数種類の作業機体のそれぞれについて記憶する。本実施形態では、記憶部21は、機体情報27として第1~第4機体情報271~274を記憶する。
【0035】
通信部22は、サーバ2が端末1あるいは他の情報処理装置との間で各種情報の送受信を行うための部である。制御部23は、サーバ2の各部を総括して制御する。また、制御部23は、サーバ2が具備している各種機能を実現するための処理を実行する。
【0036】
〔傾斜マップ、起伏マップおよび斜面距離マップ〕
図3~
図5を参照して、傾斜マップMI、起伏マップMUおよび斜面距離マップMSのそれぞれについて説明する。傾斜マップMIは、対象土地LTが撮像された2次元または3次元の画像(以下、「基礎画像IMGB」)に傾斜角度24の情報が追加されたデータである。起伏マップMUは、基礎画像IMGBに起伏指標25の情報が追加されたデータである。斜面距離マップMSは、基礎画像IMGBに斜面距離26の情報が追加されたデータである。
【0037】
傾斜マップMIは、具体的には、
図3に示すような、基礎画像IMGB内に傾斜角度24の情報を画像化した傾斜画像IMGIが含まれる表示態様の画像データである。より詳細には、傾斜マップMIは、基礎画像IMGBを格子状に分割して得られる複数のグリッド(以下、「基礎グリッド」)のそれぞれが、当該基礎グリッドに対応する仮想グリッドGKの傾斜角度24の値に応じた色に色付けされた画像データである。そして、同一種類の色に色付けされた複数の基礎グリッドで、傾斜画像IMGIが構成されている。つまり、傾斜マップMIは、基礎画像IMGB内に、傾斜角度24の値に応じた複数種類の色毎の傾斜画像IMGIが含まれる表示態様の画像データである。
【0038】
起伏マップMUは、具体的には、
図4に示すような、基礎画像IMGB内に起伏指標25の情報を画像化した起伏画像IMGUが含まれる表示態様の画像データである。より詳細には、起伏マップMUは、基礎画像IMGBを構成する複数の基礎グリッドのそれぞれが、当該基礎グリッドに対応する仮想グリッドGKの起伏指標25の値に応じた色に色付けされた画像データである。そして、同一種類の色に色付けされた複数の基礎グリッドで、起伏画像IMGUが構成されている。つまり、起伏マップMUは、基礎画像IMGB内に、起伏指標25の値に応じた複数種類の色毎の起伏画像IMGUが含まれる表示態様の画像データである。
【0039】
斜面距離マップMSは、具体的には、
図5に示すような、基礎画像IMGB内に斜面距離26の情報を画像化した斜面距離画像IMGSが含まれる表示態様の画像データである。より詳細には、斜面距離マップMSは、基礎画像IMGBを構成する複数の基礎グリッドのそれぞれが、当該基礎グリッドに対応する仮想グリッドGKの斜面距離26の値に応じた色に色付けされた画像データである。そして、同一種類の色に色付けされた複数の基礎グリッドで、斜面距離画像IMGSが構成されている。つまり、斜面距離マップMSは、基礎画像IMGB内に、斜面距離26の値に応じた複数種類の色毎の斜面距離画像IMGUが含まれる表示態様の画像データである。
【0040】
なお、傾斜画像IMGI、起伏画像IMGUおよび斜面距離画像IMGSのそれぞれは、色付けによって種類分けされなくてもよく、例えばハッチングによって種類分けされてもよい。傾斜画像IMGIを例に挙げれば、傾斜角度24の値に応じて線種、あるいは網掛けの態様を異ならせてもよい。要は、これら3つの画像については、種類分けの方法および態様に特段の限定はない。
【0041】
〔選定装置の機体割当処理〕
図6~
図8を参照して、選定装置50が実行する機体割当処理について説明する。前提として、選定装置50が
図6に示すフローチャートの流れに沿って機体割当処理を実行する前に、情報取得部51が、
図7に示す3次元画像IMGを取得して機体割当部52に送信しているものとする。
【0042】
<3次元画像>
3次元画像IMGは、可視光画像であり、前述した複数のグリッドGで構成されている。ここで、グリッドGは、対象土地LTを構成する複数の仮想グリッドGKのそれぞれを画像化したものとも言える。このことから、「グリッドGに対応する仮想グリッドGK」とは、グリッドGが有する位置情報(緯度、経度)と同一の位置情報を有する仮想グリッドGKのことを指す。同様の理由から、「基礎グリッドに対応する仮想グリッドGK」とは、基礎グリッドが有する位置情報と同一の位置情報を有する仮想グリッドGKのことを指す。
【0043】
本実施形態では、3次元画像IMGが記憶部21に予め記憶されており、情報取得部51は、記憶部21から通信部14を介して3次元画像IMGを取得する。なお、3次元画像IMGは、記憶部13に予め記憶されていてもよい。あるいは、ドローン等の飛行体、または対象土地LT上を移動可能な移動体が撮像部を備えており、この飛行体または移動体が撮像した3次元画像IMGを、情報取得部51が通信部14を介して取得してもよい。要は、情報取得部51が3次元画像IMGを取得する方法および態様について、特段の限定はない。
【0044】
<機体割当処理の詳細>
以下、機体割当処理の詳細を説明する。この説明においては、対象土地LTは、n個(n:2以上の自然数)の仮想グリッドGKで構成されているものとする。傾斜マップMI、起伏マップMUおよび斜面距離マップMSのそれぞれは、n個の基礎グリッドで構成されているものとする。3次元画像IMGは、n個のグリッドGで構成されているものとする。
【0045】
まず、
図6に示すフローチャートのS101では、情報取得部51が、記憶部21から通信部14を介して傾斜マップMI、起伏マップMUおよび斜面距離マップMSを取得する。これにより、情報取得部51は、特徴情報(傾斜角度24、起伏指標25、斜面距離26)を、n個の仮想グリッドGKのそれぞれについて取得する(情報取得ステップ)。また、情報取得部51は、記憶部21から通信部14を介して機体情報27を取得し(情報取得ステップ)、機体割当部52に送信する。
【0046】
次に、S102では、情報取得部51が、n個の仮想グリッドGKの中の任意の仮想グリッドGKに着目した上で、3種類のマップから、当該任意の仮想グリッドGKに対応する基礎グリッドに記録された特徴情報を読み出す。具体的には、情報取得部51は、傾斜マップMIから前述の基礎グリッドに記録された傾斜角度24を読み出す。また、情報取得部51は、起伏マップMUから前述の基礎グリッドに記録された起伏指標25を読み出す。さらには、情報取得部51は、斜面距離マップMSから前述の基礎グリッドに記録された斜面距離26を読み出す。そして、情報取得部51は、読み出した傾斜角度24、起伏指標25および斜面距離26を機体割当部52に送信する。
【0047】
なお、
図6に関する以降の説明では、情報取得部51が着目した仮想グリッドGKを「グリッドp」と称する。また、情報取得部51が機体割当部52に送信した傾斜角度24を「傾斜s」と称し、起伏指標25を「指標c」と称し、斜面距離26を「斜面距離l」と称する。
【0048】
次に、S103~S403では、機体割当部52が、グリッドpの特徴情報が所定条件を充足するか否かを判定する(機体割当ステップ)。本実施形態では、機体割当部52は、グリッドpの特徴情報が示す数値と閾値との大小を比較することで、当該特徴情報が所定条件を充足するか否かを判定する。
【0049】
また本実施形態では、前述の閾値として、閾値i1、i2、i3、j1、j2、k1、k2およびk3が記憶部13に記憶されている。これらの各閾値は、「閾値i1<閾値i2<閾値i3、閾値j1<閾値j2、閾値k1<閾値k2<閾値k3」の関係にある。なお、これらの各閾値は、記憶部21に記憶されていてもよいし、選定装置50に内蔵された不図示のメモリに記憶されていてもよい。
【0050】
S103では、機体割当部52が、傾斜sの値と閾値i3との大小を比較して、傾斜sの値が閾値i3以上か否かを判定する。閾値i3は、対象作業機体を用いて作業を行う予定の作業予定者が立つことができる傾斜角度24の上限値である。
【0051】
傾斜sの値が閾値i3以上(S103でYES)の場合、機体割当部52は、グリッドpでの作業自体が危険を伴うと判断して、グリッドpにおいて作業を行うことが不適当である旨を決定する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGへの作業機体の割り当てを見送る(S104)。このように、機体割当部52は、判定結果を受けて、判定対象となったグリッドpにおいて作業を行うことが不適当である旨を決定した場合、当該グリッドpに対応するグリッドGに作業機体を割り当てることを見送る。
【0052】
次に、S105では、機体割当部52が、n個のグリッドGのすべてについて作業機体の割り当てを検討したか否かを判定する。S105でYESの場合、選定装置50は機体割当処理を終了する。一方、S105でNOの場合、機体割当部52はS102以降の処理を再び実行する。
【0053】
次に、S103において傾斜sの値が閾値i3未満(NO)の場合、機体割当部52が、傾斜sの値と閾値i1との大小を比較して、傾斜sの値が閾値i1未満か否かを判定する(S106)。閾値i1は、リモコン式草刈機が作業可能な傾斜角度24の上限値である。
【0054】
傾斜sの値が閾値i1未満(S106でYES)の場合、機体割当部52は、指標cの値と閾値k1との大小を比較して、指標cの値が閾値k1未満か否かを判定する(S201)。閾値k1は、リモコン式草刈機が作業可能な起伏指標25の上限値である。
【0055】
指標cの値が閾値k1未満(S201でYES)の場合、機体割当部52は、第3機体情報273の内容が第S103~S201の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGにリモコン式草刈機を割り当てる(S202;機体割当ステップ)。S202の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0056】
次に、S201において指標cの値が閾値k1以上(NO)の場合、機体割当部52は、斜面距離lの値と閾値j2との大小を比較して、斜面距離lの値が閾値j2未満か否かを判定する(S203)。閾値j2は、ウィンチ付き草刈機のワイヤー長の最大値である。
【0057】
斜面距離lの値が閾値j2以上(S203でNO)の場合、機体割当部52は、第1機体情報271の内容が第S103~S203の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGに刈払機を割り当てる(S204;機体割当ステップ)。S204の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0058】
次に、S203において斜面距離lの値が閾値j2未満(YES)の場合、機体割当部52は、傾斜sの値と閾値i2との大小を比較して、傾斜sの値が閾値i2未満か否かを判定する(S205)。閾値i2は、法面草刈機が作業可能な傾斜角度24の上限値である。
【0059】
傾斜sの値が閾値i2以上(S205でNO)の場合、機体割当部52は、第4機体情報274の内容が第S103~S205の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGにウィンチ付き草刈機を割り当てる(S206;機体割当ステップ)。S206の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0060】
次に、S205において傾斜sの値が閾値i2未満(YES)の場合、機体割当部52は、斜面距離lの値と閾値j1との大小を比較して、斜面距離lの値が閾値j1未満か否かを判定する(S207)。閾値j1は、法面草刈機のハンドル長の最大値である。
【0061】
斜面距離lの値が閾値j1以上(S207でNO)の場合、機体割当部52は、第4機体情報274の内容が第S103~S207の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGにウィンチ付き草刈機を割り当てる(S206)。S206の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0062】
一方、斜面距離lの値が閾値j1未満(S207でYES)の場合、機体割当部52は、第2機体情報272の内容が第S103~S207の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGに法面草刈機を割り当てる(S208;機体割当ステップ)。S208の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0063】
次に、S106において傾斜sの値が閾値i1以上(NO)の場合、機体割当部52は、指標cの値と閾値k2との大小を比較して、指標cの値が閾値k2未満か否かを判定する(S301)。閾値k2は、ウィンチ付き草刈機が作業可能な起伏指標25の上限値である。指標cの値が閾値k2未満(S301でYES)の場合、機体割当部52は、斜面距離lの値と閾値j2との大小を比較して、斜面距離lの値が閾値j2未満か否かを判定する(S302)。
【0064】
斜面距離lの値が閾値j2以上(S302でNO)の場合、機体割当部52は、第1機体情報271の内容が第S103~S106およびS301~S302の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGに刈払機を割り当てる(S204)。S204の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0065】
一方、斜面距離lの値が閾値j2未満(S302でYES)の場合、機体割当部52は、斜面距離lの値と閾値j1との大小を比較して、斜面距離lの値が閾値j1未満か否かを判定する(S303)。
【0066】
斜面距離lの値が閾値j1以上(S303でNO)の場合、機体割当部52は、第1機体情報271の内容が第S103~S106およびS301~S303の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGに刈払機を割り当てる(S204)。S204の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0067】
一方、斜面距離lの値が閾値j1未満(S303でYES)の場合、機体割当部52は、傾斜sの値と閾値i2との大小を比較して、傾斜sの値が閾値i2未満か否かを判定する(S304)。
【0068】
傾斜sの値が閾値i2未満(S304でYES)の場合、機体割当部52は、第2機体情報272の内容が第S103~S106およびS301~S304の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGに法面草刈機を割り当てる(S208)。S208の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0069】
一方、傾斜sの値が閾値i2以上(S304でNO)の場合、機体割当部52は、第4機体情報274の内容が第S103~S106およびS301~S304の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGにウィンチ付き草刈機を割り当てる(S206)。S206の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0070】
次に、S301において指標cの値が閾値k2以上(NO)の場合、機体割当部52は、指標cの値と閾値k3との大小を比較して、指標cの値が閾値k3未満か否かを判定する(S401)。閾値k3は、法面草刈機が作業可能な起伏指標25の上限値である。
【0071】
指標cの値が閾値k3以上(S401でNO)の場合、機体割当部52は、第1機体情報271の内容が第S103~S106、S301およびS401の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGに刈払機を割り当てる(S204)。S204の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0072】
一方、指標cの値が閾値k3未満(S401でYES)の場合、機体割当部52は、斜面距離lの値と閾値j1との大小を比較して、斜面距離lの値が閾値j1未満か否かを判定する(S402)。
【0073】
斜面距離lの値が閾値j1以上(S402でNO)の場合、機体割当部52は、第1機体情報271の内容が第S103~S106、S301およびS401~S402の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGに刈払機を割り当てる(S204)。S204の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0074】
一方、斜面距離lの値が閾値j1未満(S402でYES)の場合、機体割当部52は、傾斜sの値と閾値i2との大小を比較して、傾斜sの値が閾値i2未満か否かを判定する(S403)。
【0075】
傾斜sの値が閾値i2未満(S403でYES)の場合、機体割当部52は、第2機体情報272の内容が第S103~S106、S301およびS401~S403の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGに法面草刈機を割り当てる(S208)。S208の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0076】
一方、 傾斜sの値が閾値i2以上(S403でNO)の場合、機体割当部52は、第1機体情報271の内容が第S103~S106、S301およびS401~S403の判定結果の内容に最も適合すると判断する。そして、機体割当部52は、グリッドpに対応するグリッドGに刈払機を割り当てる(S204)。S204の終了後、機体割当部52はS105の処理に進む。
【0077】
次に、選定装置50が、n個のグリッドGのすべてに対してS103~S403の各処理を実行することにより、3次元画像IMGに対する機体割当処理が終了する。
【0078】
ここで、S103~S403の判定結果の内容から、刈払機を割り当てるためにグリッドpの特徴情報が充足すべき所定条件はないことになる。一方、法面草刈機を割り当てるためにグリッドpの特徴情報が充足すべき所定条件は、「傾斜sの値<閾値i2、かつ、指標cの値<閾値k3、かつ、斜面距離lの値<閾値j1」となる。また、リモコン式草刈機を割り当てるためにグリッドpの特徴情報が充足すべき所定条件は、「傾斜sの値<閾値i1、かつ、指標cの値<閾値k1」となる。さらに、ウィンチ付き草刈機を割り当てるためにグリッドpの特徴情報が充足すべき所定条件は、「指標cの値<閾値k2、かつ、斜面距離lの値<閾値j2」となる。
【0079】
機体割当処理が終了した後、機体割当部52は、作業機体が割り当てられた状態の3次元画像IMG-1を機体選定部53に送信する。3次元画像IMG-1は、
図8に示すように、割り当てられた作業機体の種類に応じた色にグリッドGが色付けされた状態になっている。また、どの種類の作業機体も割り当てられなかったグリッドGについては、白色に色付けされる。
図8の例では、n個のグリッドGのすべてに対して、いずれかの種類の作業機体が割り当てられている。色付けの替わりに、例えばハッチングで割り当てられた作業機体の種類分けをしてもよい点については、傾斜画像IMGI、起伏画像IMGUおよび斜面距離画像IMGSと同様である。
【0080】
表示制御部54は、3次元画像IMG-1を表示部12に表示させてもよい。この場合、例えば、機体割当部52が3次元画像IMG-1を表示制御部54に送信する。そして、表示制御部54が、3次元画像IMG-1を表示部12に送信して当該表示部12を制御することにより、3次元画像IMG-1を表示部12に表示させる。
【0081】
〔選定装置の機体選定処理〕
図9~
図12を参照して、選定装置50が実行する機体選定処理について説明する。前提として、選定装置50が
図9に示すフローチャートの流れに沿って機体選定処理を実行する前に、機体選定部53が、機体割当部52から
図8に示す3次元画像IMG-1を取得しているものとする。
【0082】
図9に示すフローチャートのS501~S608では、機体選定部53が、3次元画像IMG-1における、機体割当ステップS103~S403にて同一種類の作業機体が割り当てられた複数のグリッドGの分布態様に基づいて、対象作業機体を選定する(機体選定ステップ)。
【0083】
具体的には、まず、機体選定部53が、4種類のグリッド集合体のすべてについて、3次元画像IMG-1内に面積割合が閾値m以上のグリッド集合体が存在しているか否かを判定する(S501)。
【0084】
グリッド集合体は、同一種類の作業機体が割り当てられた複数のグリッドGのうち、隣接する2つ以上のグリッドGの集合体である。本実施形態では、刈払機が割り当てられたグリッド集合体、法面草刈機が割り当てられたグリッド集合体、リモコン式草刈機が割り当てられたグリッド集合体、およびウィンチ付き草刈機が割り当てられたグリッド集合体の4種類のグリッド集合体が形成される。
【0085】
面積割合は、2次元画像IMG-2の面積に対する、グリッド集合体を平面視した場合に視認される図形の面積の割合である。2次元画像IMG-2は、
図10および
図11に示すような、3次元画像IMG-1を平面視した場合に視認される2次元(緯度、経度)の画像である。なお、
図10および
図11の例では、図示を簡略化する観点から、2次元画像IMG-1の外形を矩形にしている。
【0086】
閾値mは、対象土地LTの大きさおよび地形の特徴、対象作業機体となり得る作業機体の種類等に応じて増減可能な閾値である。本実施形態では、4種類のグリッド集合体のすべてに対して閾値mを一律に適用しているが、例えば作業機体の種類に応じて閾値mを重み付けしてもよい。この重み付けを行うことにより、4種類のグリッド集合体のそれぞれについて、第1~第4機体情報271~274の内容により則した分布態様を特定できる。これにより、4種類の作業機体の中から、対象作業機体をより的確に選定できる。
【0087】
次に、4種類のグリッド集合体の面積割合がすべて閾値m未満の場合(S501でNO)、機体選定部53はS507の処理に進む。一方、少なくとも1種類以上のグリッド集合体の面積割合が閾値m以上の場合(S501でYES)、機体選定部53は、
図10に示すように、面積割合が閾値m以上のグリッド集合体を潜在的集合体giと定義して仮IDを割り振る(S502)。
【0088】
図10の例では、3次元画像IMG-1が下記の表1に示す作業機体の割当態様になっており、かつ閾値mが0.1%の場合において、機体選定部53が5つのグリッド集合体を潜在的集合体giと定義し、仮ID「1」~「5」を割り振っている。仮ID「1」および「4」が割り振られた潜在的集合体giは、刈払機が割り当てられたグリッド集合体である。仮ID「2」が割り振られた潜在的集合体giは、法面草刈機が割り当てられたグリッド集合体である。仮ID「3」が割り振られた潜在的集合体giは、ウィンチ付き草刈機が割り当てられたグリッド集合体である。仮ID「5」が割り振られた潜在的集合体giは、リモコン式草刈機が割り当てられたグリッド集合体である。仮ID「1」~「5」が割り振られた各潜在的集合体giについては、下記の表2に示すような内容になっている。
【0089】
【0090】
【0091】
前述の表1において、「定数r」は、作業効率を重視する場合の作業機体の選択順位である。ここで、選択順位が低い作業機体ほど、言い換えれば「定数r」の値が大きい作業機体ほど、作業時の安全性が高くなる。なお、「定数r」の値は、作業のどの面を重視するか、あるいは作業機体の種類等に応じて任意の変更でき、例えば作業の安全性を重視して値を決めてもよい。「ポリゴン」は
図10に示す2次元画像IMG-2のことである。
【0092】
次に、S503では、機体選定部53が、定義した複数の潜在的集合体giの中に複合潜在的集合体が存在するか否かを判定する。複合潜在的集合体は、ある種類の潜在的集合体gi(以下、「内側の潜在的集合体gi」)の全周に亘って他の種類の潜在的集合体gi(以下、「外側の潜在的集合体gi」)が接触するように、外側の潜在的集合体giが内側の潜在的集合体giを囲んだ構造のグリッド集合体である。本実施形態における複合潜在的集合体の構造の例としては、2~4種類以上の潜在的集合体giが略同心円状に配置された層構造が挙げられる。また、本実施形態における複合潜在的集合体の構造の他の例としては、最も外側の潜在的集合体giの中に、2または3種類の内側の潜在的集合体giが互いに離間して配置された構造が挙げられる。
【0093】
複合潜在的集合体が存在する旨判定した場合(S503でNO)、機体選定部53はS511の処理に進む。一方、複合潜在的集合体が存在しない旨判定した場合(S503でYES)、機体選定部53が、複合潜在的集合体を構成する外側の潜在的集合体giの定数rと、同じく複合潜在的集合体を構成する内側の潜在的集合体giの定数rと、の大小を比較する。そして、機体選定部53は、外側の潜在的集合体giの定数rの方が、内側の潜在的集合体giの定数rよりも値が小さいか否かを判定する(S504)。
【0094】
S504でYESの場合、機体選定部53は、外側の潜在的集合体giおよび内側の潜在的集合体giのそれぞれを個別の集合体と見なす(S505)。一方、S504でNOの場合、機体選定部53は、内側の潜在的集合体giを外側の潜在的集合体giと同一種類のグリッド集合体に置き換えた上で、置き換え後の新たな潜在的集合体giを1つの集合体と見なす(S506)。
【0095】
次に、S507では、機体選定部53が、面積割合が閾値m未満の複数のグリッド集合体の中に複合グリッド集合体が存在するか否かを判定する。複合グリッド集合体は、ある種類のグリッド集合体(以下、「内側のグリッド集合体」)の全周に亘って他の種類のグリッド集合体(以下、「外側のグリッド集合体」)が接触するように、外側のグリッド集合体が内側のグリッド集合体を囲んだ構造となっている。つまり、複合グリッド集合体は複合潜在的集合体と同様の構造になっている。また、複合グリッド集合体の面積割合、つまり外側のグリッド集合体の面積割合と内側のグリッド集合体の面積割合との合計は、閾値m以上になっている。
【0096】
複合グリッド集合体が存在しない旨判定した場合(S507でNO)、機体選定部53はS511の処理に進む。一方、複合グリッド集合体が存在する旨判定した場合(S507でYES)、機体選定部53は、存在する複合グリッド集合体を複合潜在的集合体と見なし、S508においてS504と同様の処理を実行する。S508でYESの場合、機体選定部53は、S509においてS505と同様の処理を実行し、S511の処理に進む。一方、S508でNOの場合、機体選定部53は、S510においてS506と同様の処理を実行する。
【0097】
次に、S511では、機体選定部53は、複合潜在的集合体を構成するすべての潜在的集合体giに対してS505およびS506の各処理を実行することにより、複合潜在的集合体の中から1つ以上の集合体を確定する。また、機体選定部53は、複合グリッド集合体を構成するすべてのグリッド集合体に対して、S509およびS510の各処理を実行することにより、複合グリッド集合体の中から1つ以上の集合体を確定する。そして、機体選定部53は、確定した1つ以上の集合体に一意のIDを割り振る。さらに、機体選定部53は、複合潜在的集合体および複合グリッド集合体を除くすべての潜在的集合体giを集合体として確定し、集合体毎に一意のIDを割り振る。S511の処理が終了した後、機体選定部53はS601の処理に進む。
【0098】
ここで、S502~S511の一連の処理について、
図10および
図11、ならびに下記の表3および表4を例に挙げて具体的に説明する。なお、S502~S511の一連の処理に関する以降の説明において、閾値mが0.1%および1.0%の場合では複合グリッド集合体が存在しないものとする。
【0099】
【0100】
閾値mが0.1%の場合、機体選定部53は、
図10および前述の表3に示すように、5つのグリッド集合体に仮ID「1」~「5」を割り振って潜在的集合体giとする。
図10の例では、仮ID「4」が割り振られた外側の潜在的集合体giと、仮ID「5」が割り振られた内側の潜在的集合体giと、で2層構造の複合潜在的集合体が形成されている。そして、外側の潜在的集合体giの定数r(=4)の方が、内側の潜在的集合体giの定数r(=1)よりも値が大きい(S505でNO)。
【0101】
よって、機体選定部53は、内側の潜在的集合体giを外側の潜在的集合体giと同一種類のグリッド集合体に置き換えて、新たに潜在的集合体giを生成する。また、機体選定部53は、下記の表4に示すように、新たに生成した潜在的集合体giに対して仮ID「4(統合)」を割り振る。そして、機体選定部53は、
図11の符号1011に示すように、仮ID「1」~「3」が割り振られた潜在的集合体giのそれぞれを集合体として確定して、一意のID「1」~「3」を割り振る。同様に、機体選定部53は、仮ID「4(統合)」が割り振られた潜在的集合体giを集合体として確定して、一意のID「4」を割り振る。
【0102】
【0103】
閾値mが1.0%の場合、機体選定部53は、前述の表3に示すように、3つのグリッド集合体に仮ID「2」、「4」および「5」を割り振って潜在的集合体giとする。また、機体選定部53は、閾値が0.1%の場合と同様に、仮ID「4」が割り振られた潜在的集合体giおよび仮ID「5」が割り振られた潜在的集合体giから生成された新たな潜在的集合体giに対して、前述の表4に示すように仮ID「4(統合)」を割り振る。そして、機体選定部53は、
図11の符号1012に示すように、仮ID「2」が割り振られた潜在的集合体giを集合体として確定して、一意のID「1」を割り振る。同様に、機体選定部53は、仮ID「4(統合)」が割り振られた潜在的集合体giを集合体として確定して、一意のID「2」を割り振る。
【0104】
閾値mが10.0%の場合、前述の表3に示すように潜在的集合体giが存在しない。しかしながら、刈払機が割り当てられた面積割合7.9%のグリッド集合体と、リモコン式草刈機が割り当てられた面積割合12%のグリッド集合体と、で複合グリッド集合体が形成されている(
図10参照)。よって、機体選定部53は、このグリッド集合体を潜在的集合体giと見なして、前述の表4に示すように仮ID「4(統合)」を割り振る。そして、機体選定部53は、
図11の符号1013に示すように、仮ID「4(統合)」が割り振られた潜在的集合体gi(複合グリッド集合体)を集合体として確定して、一意のID「1」を割り振る。
【0105】
次に、S601では、機体選定部53が、対象土地LTでの作業に2種類以上の作業機体を用いる否かを決定する。機体選定部53は、対象土地LTの広さおよび地形、作業機体の種類毎の性能等を考慮要素として、作業効率と作業予定者の安全確保とを両立させる観点からこの決定を行う。
【0106】
2種類以上の作業機体を用いる旨決定した場合(S601でYES)、機体選定部53は、対象土地LTにおける面積割合が閾値o以上の領域を1種類の作業機体で作業することが可能か否かについて判定する(S602)。
【0107】
ここで、「対象土地LTにおける面積割合」とは、対象土地LT全体の地表面の表面積に対する、対象土地LT内における特定領域の地表面の表面積の割合を指す。本実施形態では、機体選定部53は、2次元画像IMG-2の面積に対する、2次元画像IMG-2内における特定領域の面積の割合を、「対象土地LTにおける面積割合」と見なす。また、閾値oは、対象土地LTの広さおよび地形、作業機体の種類毎の性能等を考慮要素として、1種類の作業機体だけで作業を行っても作業効率と作業予定者の安全確保とを両立できる面積割合の下限値として設定される。
【0108】
作業可能と判定した場合(S602でYES)、機体選定部53は、合計グリッド面積の面積割合が閾値o以上となる1種類以上の作業機体の中から、合計グリッド面積の面積割合が最も大きい1種類の作業機体を対象作業機体として選定する(S603)。ここで、合計グリッド面積は、同一種類の作業機体が割り当てられた複数のグリッドGについて、当該グリッドGを平面視した場合に視認される図形の面積を合計した合計面積である。また、合計グリッド面積の面積割合は、2次元画像IMG-2の面積に対する、合計グリッド面積の割合である。
【0109】
機体選定部53がS603のような処理を実行することで、対象土地LTに生じる刈り残しの領域(未作業の領域)を許容範囲に留め、かつ作業予定者の安全を確保しつつ、作業効率が最も高まる1種類の作業機体を選定できる。S603の処理が終了することにより、機体割当処理が終了する。
【0110】
一方、作業不可能と判定した場合(S602でNO)、機体選定部53は、対象土地LTにおける面積割合が閾値q以上の領域を2種類の作業機体で作業することが可能か否かについて判定する(S604)。閾値qは、対象土地LTの広さおよび地形、作業機体の種類毎の性能等を考慮要素として、2種類の作業機体で作業を行うことにより作業効率と作業予定者の安全確保とを両立できる面積割合の下限値として設定される。
【0111】
作業可能と判定した場合(S604でYES)、機体選定部53は、合計グリッド面積の面積割合が閾値q以上となる2種類以上の作業機体の中から、合計グリッド面積の面積割合が大きい順に上位2種類の作業機体を、対象作業機体として選定する(S605)。機体選定部53がこのような処理を実行することで、対象土地LTに生じる刈り残しの領域(未作業の領域)を許容範囲に留め、かつ作業予定者の安全を確保しつつ、作業効率が最も高まる2種類の作業機体を選定できる。
【0112】
一方、作業不可能と判定した場合(S604でNO)、機体選定部53は、4種類の作業機体のすべてを対象作業機体として選定する(S606)。S605またはS606のいずれかの処理が終了することにより、機体割当処理が終了する。
【0113】
次に、S601において1種類の作業機体のみを用いる旨決定した場合(NO)、機体選定部53は、合計面積割合が閾値n未満か否かを判定する(S607)。合計面積割合は、2次元画像IMG-2の面積に対する、1種類以上の集合体の面積を合計した合計面積の割合である。
【0114】
閾値nは、対象土地LTの広さおよび地形、作業機体の種類毎の性能等を考慮要素として、作業効率と作業予定者の安全確保とを両立させる観点から設定される合計面積割合の基準値である。本実施形態では、合計面積割合に対して閾値nを設定しているが、例えば、閾値nに対して集合体の種類毎に異なる重み付けをしてもよい。そして、集合体の種類毎の面積割合と、前述の異なる重み付けをした後の閾値と、の大小を比較してもよい。この重み付けを行うことにより、集合体において作業を行うことの危険の度合いを、集合体の種類毎に精度高く把握できる。これにより、4種類の作業機体の中から、対象作業機体をより的確に選定できる。
【0115】
合計面積割合が閾値n未満である旨判定した場合(S607でYES)、機体選定部53は、4種類以上の作業機体の中から、合計グリッド面積の面積割合が最も大きい1種類の作業機体を対象作業機体として選定する(S603)。S607でYESの場合、対象土地LT内における集合体に対応する領域、つまり作業を行うこと自体が不適当な箇所を無視できる。そのため、機体選定部53がS603のような処理を実行することで、作業予定者の安全を確保しつつ作業効率が最も高まる1種類の作業機体を選定できる。
【0116】
一方、合計面積割合が閾値n以上である旨判定した場合(S607でNO)、機体選定部53は、4種類以上の作業機体の中から、定数rの値が最も大きい1種類の作業機体を対象作業機体として選定する(S608)。S607でNOの場合、対象土地LT内における集合体に対応する領域、つまり作業を行うこと自体が不適当な箇所を無視できない。そのため、機体選定部53がS608のような処理を実行することで、作業予定者の安全確保および負担軽減の点において最も確実な1種類の作業機体を選定できる。S608の処理が終了することにより、機体割当処理が終了する。
【0117】
ここで、S603、S607およびS608の一連の処理について、下記の表5を例に挙げて具体的に説明する。なお、下記の表5中、「〇」は作業効率を重視することを示し、「×」は作業予定者の安全確保および負担軽減を重視することを示す。
【0118】
【0119】
閾値mが0.1%の場合、集合体は一意のID「1」~「4」が割り振られた4種類となることから(
図11の符号1011および表4参照)、合計面積割合は前述の表5に示すように16.7%となる。閾値mが1.0%の場合、集合体は一意のID「1」および「2」が割り振られた2種類となることから(
図11の符号1012および表4参照)、合計面積割合は15.4%となる。閾値mが10.0%の場合、集合体は一意のID「1」が割り振られた1種類となることから(
図11の符号1013および表4参照)、合計面積割合は10.3%となる。
【0120】
閾値mが0.1%の場合において、閾値nを18.0%に設定すると合計面積割合が閾値n未満になる(S607でYES)。したがって、機体選定部53は、作業効率を重視し、4種類の作業機体の中で合計グリッド面積の面積割合が最も大きいリモコン式草刈機(
図11の符号1011参照)を対象作業機体として選定する(S603)。一方、閾値nを16.0%または14.0%に設定すると合計面積割合が閾値n以上になる(S607でNO)。したがって、機体選定部53は、作業予定者の安全確保および負担軽減を重視し、4種類の作業機体の中で定数rの値が最も大きい刈払機(表4参照)を対象作業機体として選定する(S608)。
【0121】
閾値mが1.0%の場合において、閾値nを18.0%または16.0%に設定すると合計面積割合が閾値n未満になる(S607でYES)。したがって、機体選定部53は、作業効率を重視し、リモコン式草刈機(
図11の符号1012参照)を対象作業機体として選定する(S603)。一方、閾値nを14.0%に設定すると合計面積割合が閾値n以上になる(S607でNO)。したがって、機体選定部53は、作業予定者の安全確保および負担軽減を重視し、刈払機(表4参照)を対象作業機体として選定する(S608)。
【0122】
閾値mが10.0%の場合においては、閾値nを18.0%、16.0%または14.0%のいずれに設定しても、合計面積割合が閾値n未満になる(S607でYES)。したがって、機体選定部53は、作業効率を重視し、リモコン式草刈機(
図11の符号1012参照)を対象作業機体として選定する(S603)。
【0123】
なお、表示制御部54は、
図12に示すように、対象作業機体の選定結果を3次元画像IMGに反映させた3次元画像IMG-3を、表示部12に表示させてもよい。この場合、例えば、機体選定部53が3次元画像IMG-3を生成して表示制御部54に送信する。そして、表示制御部54が、3次元画像IMG-3を表示部12に送信して当該表示部12を制御することにより、3次元画像IMG-3を表示部12に表示させる。
【0124】
図12の符号1021は、機体選定部53が刈払機のみを対象作業機体として選定した場合に表示部12に表示される3次元画像IMG-3の例である。
図12の符号1022は、対象土地LTを構成する複数のポリゴンのそれぞれにおいて、機体選定部53が2種類の作業機体を対象作業機体として選定した場合に表示部12に表示される3次元画像IMG-3の例である。
【0125】
〔選定システムが奏する効果〕
選定システム100によれば、機体選定部53が、3次元画像IMG-1における同一種類の作業機体が割り当てられたグリッドGの分布態様に基づいて、複数種類の作業機体の中から対象作業機体を選定する。これにより、仮想グリッドGK毎の細かな地形の特徴、および対象土地LT内における各作業機体の割当バランスの双方を考慮して、対象作業機体を選定できる。よって、グリッドG毎に一旦作業機体を割り当てることなく、対象土地LT全体の地形の特徴を示す情報に基づいて作業機体を直接選定する場合に比べて、対象土地LTの地形の実態に適合した作業機体を選定できる。
【0126】
また、選定システム100によれば、機体割当部52が、傾斜角度24、起伏指標25および斜面距離26の少なくとも2つ以上の観点において最も適合する作業機体をグリッドGに割り当てる。これら3つの情報は、作業機体が仮想グリッドGKでの作業に適合するか否かを判定する上で重要な情報であることから、機体割当部52は、仮想グリッドGKでの作業に最も適合する作業機体を精度高く割り当てることができる。これにより、対象土地LTの地形の実態に適合した作業機体を精度高く選定できる。
【0127】
〔変形例〕
<作業履歴情報および熟練度情報の参照>
選定システム100は、機体割当部52が、作業履歴情報および熟練度情報の少なくとも一方の内容を加味して、4種類の作業機体の中からいずれか1種類の作業機体をグリッドGに割り当ててもよい。
【0128】
作業履歴情報は、複数種類(本実施形態では4種類)の作業機体毎の、過去の作業履歴を示す情報である。作業履歴情報の例としては、過去の走行軌跡、および過去の作業停止履歴が挙げられる。作業停止履歴には、故障履歴、転倒履歴、障害物等との接触による進行不能履歴が含まれる。また、作業履歴情報の対象となる土地は対象土地LTに限定されず、作業機体が過去に作業を行った実績のあるすべての土地が対象となる。
【0129】
熟練度情報は、作業予定者における、複数種類(本実施形態では4種類)の作業機体毎の操作の熟練度を示す情報である。熟練度情報は、作業予定者の過去の作業実績(作業時間、作業内容の難易、作業結果の良否、作業停止の回数等)、総操作時間および総操作距離等で構成される。
【0130】
具体的には、情報取得部51が、作業履歴情報および熟練度情報の少なくとも一方を記憶部21から通信部14を介して取得して、機体割当部52に送信する。作業履歴情報および熟練度情報は、記憶部13または選定装置50に内蔵されたメモリに記憶されていてもよい。そして、機体割当部52は、
図6に示すフローチャートの処理によってグリッドGに割り当てる作業機体を一旦決めた後、情報取得部51から取得した作業履歴情報および熟練度情報の少なくとも一方を参照してこの割り当てを見直す。
【0131】
例えば、一旦割り当てを決めた作業機体の作業履歴情報の内容が芳しくない場合、機体割当部52は、作業履歴情報の内容がより良好、かつグリッドGに対応する仮想グリッドGKでの作業の安全性が確保できる別種類の作業機体を、替わりに割り当てる。また例えば、一旦割り当てを決めた作業機体の種類が刈払機以外の種類であり、かつ熟練度情報が芳しくない場合、機体割当部52は、4種類の作業機体の中で定数rの値が最も大きい刈払機を、替わりに割り当てる。さらには、一旦割り当てを決めた作業機体の種類がリモコン式草刈機以外の種類であり、かつ熟練度情報が良好な場合、機体割当部52は、一旦割り当てを決めた作業機体よりも定数rの値が小さく、かつグリッドGに対応する仮想グリッドGKでの作業の安全性が確保できる別種類の作業機体を、替わりに割り当てる。
【0132】
機体割当部52が、このような処理を実行することで、対象土地LTの地形の実態のみならず、作業機体および作業予定者の各作業実態にも適合した作業機体を選定できる。
【0133】
また、選定システム100は、機体割当部52が、作業履歴情報および熟練度情報の少なくとも一方の内容に応じて、閾値i1、i2、j1、j2、k1、k2およびk3の少なくとも1つ以上の値を増減してもよい。
【0134】
具体的には、機体割当部52は、特定種類の作業機体の作業履歴情報における内容の良否に応じて、前述の各閾値のうち、特定種類の作業機体の割り当てに関連する少なくとも1つ以上の閾値の値を増減する。また、機体割当部52は、熟練度情報の内容の良否に応じて、前述の各閾値のうち、熟練度情報の内容によって影響を受ける少なくとも1つ以上の閾値の値を増減する。「熟練度情報の内容によって影響を受ける閾値」としては、例えば、熟練度情報の中に斜面での作業の得手不得手を示す情報が含まれている場合であれば、閾値i1~i3が該当する。
【0135】
機体割当部52が、このような処理を実行することで、作業機体および作業予定者の各作業実態に適合した所定条件を設定できる。これにより、作業機体をグリッドGに割り当てる前提となる機体割当部52の判定結果が、作業機体および作業予定者の各作業実態に則したものになる。よって、対象土地LTの地形の実態のみならず、作業機体および作業予定者の各作業実態にも適合した作業機体を選定できる。
【0136】
なお、機体割当部52は、作業履歴情報および熟練度情報の他に、例えば属性情報を加味してもよい。属性情報は、作業予定者の老化、体力、性別等を示す情報で構成される。また例えば、機体割当部52は、作業履歴情報および熟練度情報の他に気象情報を加味してもよい。気象情報は、対象土地LTが属する地域における、数時間から一か月程度までの気象状態を示す情報である。気象情報の例としては、対象土地LTが属する地域における、(i)作業予定日の天気予報(作業予定日の数日前までの天気予報を含んでもよい)、(ii)作業予定者等が作業予定日までの一定期間記録した天候、が挙げられる。天候情報は、前述の(i)および(ii)の両方を含んでいてもよい。
【0137】
気象情報をも加味する場合、機体割当部52は、グリッドpの傾斜sに関する閾値i1~i3(
図6参照)の少なくともいずれか1つを、対象土地LTが属する地域の気象状態に応じた値に調整してもよい。例えば、作業予定日の当日から数日前までの天候がすべて大雨という気象情報であれば、機体割当部52は、閾値i1~i3のすべてを小さくしてもよい。
【0138】
<不適当グリッドの分布態様の加味>
選定システム100は、機体選定部53が、3次元画像IMG-1における不適当グリッドの分布態様を加味して、4種類の作業機体の中から対象作業機体を選定してもよい。不適当グリッドは、機体割当部52が、
図6のS104の処理において作業機体の割り当てを見送ったグリッドGである。
【0139】
具体的には、一意のIDが割り振られた集合体に不適当グリッドが隣接している場合において、この集合体に割り当てられている作業機体の種類が刈払機以外の種類であれば、機体選定部53は、この集合体に割り当てる作業機体を刈払機に変更する。この処理は、不適当グリッドが隣接する集合体に対応する仮想グリッドGKにおいて、作業予定者が安全性を確保しつつ作業を行う目的で実行される。
【0140】
機体選定部53が、このような処理を実行することで、対象土地LT内における作業を行うことが不適当な仮想グリッドGKの分布態様をも考慮して対象作業機体を選定できる。これにより、対象土地LTの地形の実態により適合した作業機体を選定できる。また、作業機体を用いた作業の安全性が向上するとともに作業機体の破損・損傷を低減できる。
【0141】
〔ソフトウェアによる実現例〕
選定装置50(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部15に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0142】
この場合、前述の装置は、前述のプログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により前述のプログラムを実行することにより、前述の実施形態で説明した各機能が実現される。
【0143】
前述のプログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、前述の装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、前述のプログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して前述の装置に供給されてもよい。
【0144】
また、前述の各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、前述の各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより前述の各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0145】
〔付記事項〕
本発明は前述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、前述の実施形態および変形例のそれぞれに開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0146】
1 端末
2 サーバ
21 記憶部
24 傾斜角度(特徴情報)
25 起伏指標(特徴情報)
26 斜面距離(特徴情報)
27 機体情報
28 作業履歴情報
29 習熟度情報
50 選定装置(制御装置)
100 選定システム
G グリッド
GK 仮想グリッド
IMG、IMG-1 3次元画像
LT 対象土地(作業対象となる土地)