(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025820
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】レジスト下層膜形成組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20240216BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20240216BHJP
C09D 167/00 20060101ALI20240216BHJP
C09D 163/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G03F7/11 503
C09D5/00 D
C09D167/00
C09D163/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211384
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2020533418の分割
【原出願日】2019-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2018144180
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】緒方 裕斗
(72)【発明者】
【氏名】広原 知忠
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠
(72)【発明者】
【氏名】岸岡 高広
(57)【要約】
【課題】
半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおいて、反射防止膜及び平坦化膜として好適に使用できるレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜形成組成物を提供すること。
【解決手段】
主鎖に少なくとも1つの-C(=O)-O-基を含む繰り返し構造単位及び側鎖に少なくとも1つのヒドロキシ基を含む繰り返し構造単位を有するか、又は主鎖に少なくとも1つの-C(=O)-O-基を含みかつ側鎖に少なくとも1つのヒドロキシ基を含む繰り返し構造単位を有する樹脂であって、これら繰り返し構造単位にはエポキシ環又はオキセタン環を含む有機基を有さない樹脂と、該樹脂100質量部に対し0.1質量部乃至10質量部の、酸触媒が一価の酸であるとき25℃水中での酸解離定数pKaが-0.5以下であるか、もしくは酸触媒が多価の酸であるとき25℃水中での酸解離定数pKa1が-0.5以下である酸触媒、又はその塩と、溶剤とを含むレジスト下層膜形成組成物であり、かつモノマーである架橋剤を含有しないレジスト下層膜形成組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖に少なくとも1つの-C(=O)-O-基を含む繰り返し構造単位及び側鎖に少なくとも1つのヒドロキシ基を含む繰り返し構造単位を有するか、又は主鎖に少なくとも1つの-C(=O)-O-基を含みかつ側鎖に少なくとも1つのヒドロキシ基を含む繰り返し構造単位を有する樹脂であって、これら繰り返し構造単位にはエポキシ環又はオキセタン環を含む有機基を有さない樹脂と、
該樹脂100質量部に対し0.1質量部乃至10質量部の酸触媒又はその塩であって、該酸触媒が一価の酸であるとき25℃水中での酸解離定数pKaが-0.5以下であるか、もしくは該酸触媒が多価の酸であるとき25℃水中での酸解離定数pKa1が-0.5以下である、酸触媒又はその塩と、
溶剤と
を含むレジスト下層膜形成組成物であり、かつ
モノマーである架橋剤を含有しないレジスト下層膜形成組成物。
【請求項2】
前記酸触媒の塩はトリフルオロメタンスルホン酸塩である、請求項1に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項3】
前記トリフルオロメタンスルホン酸塩のカチオン成分は第1級乃至第4級アンモニウムイオン、置換基を有してもよいピリジニウムイオン、置換基を有してもよいイミダゾリウムイオン、置換基を有してもよいヨードニウムイオン、置換基を有してもよいスルホニウムイオン、又は置換基を有してもよいピリリウムイオンである、請求項2に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項4】
前記樹脂は下記式(1-1)で表される繰り返し構造単位及び下記式(1-2)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体である、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【化1】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、炭素原子数2乃至20の直鎖状、分岐状又は環状の官能基を含む二価の有機基を表し、該有機基は硫黄原子、窒素原子又は酸素原子を少なくとも1つ有してもよく、i及びjはそれぞれ独立に0又は1を表し、2つのQはそれぞれ単結合、-O-基又は-C(=O)-O-基を表し、ただし、i及びjの両方が0の場合は、2つのQのうち少なく1つのQは-C(=O)-O-基を表す。)
【請求項5】
前記式(1-1)で表される繰り返し構造単位において、R1は炭素原子数2乃至20の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価の炭化水素基を表すか、硫黄原子又は酸素原子を少なくとも1つ有する炭素原子数2乃至20の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価の有機基を表すか、又は炭素原子数6乃至20の芳香族環もしくは炭素原子数3乃至12の複素環を少なくとも1つ含む二価の有機基を表し、該複素環は硫黄原子又は酸素原子を少なくとも1つ有する、請求項4に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項6】
前記式(1-2)で表される繰り返し構造単位において、R2は炭素原子数2乃至20の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価の炭化水素基を表すか、又は炭素原子数6乃至20の芳香族環もしくは炭素原子数3乃至12の複素環を少なくとも1つ含む二価の有機基を表し、該複素環は硫黄原子又は酸素原子を少なくとも1つ有する、請求項4又は請求項5に
記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項7】
下記式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物をさらに含む、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【化2】
(式中、Xはカルボニル基又はメチレン基を表し、l及びmはそれぞれ独立に3≦l+m≦10の関係式を満たす0乃至5の整数を表し、R
3及びR
4はそれぞれ独立に炭素原子数1乃至4のアルキレン基もしくはアルケニレン基又は単結合を表し、n及びpはそれぞれ独立に2乃至4の整数を表し、式(4)における置換基はナフタレン環の1~8位のうち任意の位置で置換することができる。)
【請求項8】
界面活性剤をさらに含む、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光時に反射防止膜として使用可能であるだけでなく、凹部又は段差を平坦に埋め込むための平坦化膜として好適に使用できるリソグラフィー用レジスト下層膜を形成するための、レジスト下層膜形成組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造において、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もKrFエキシマレーザ(248nm)からArFエキシマレーザ(193nm)へと短波長化されてきている。
ところが、レジストパターン形成前のレジスト膜へ入射したKrFエキシマレーザ又はArFエキシマレーザ(入射光)は、基板表面で反射することにより、当該レジスト膜中に定在波を発生させる。この定在波の影響によって、パターンエッジの形状が崩れ、所望の形状のレジストパターンを形成できず、すなわち定在波の存在がレジストパターンの寸法の変動やさらには解像不良の原因となることが知られている。
【0003】
また、例えば、2,4-ジヒドロ安息香酸が主鎖に導入された線状ポリマー及び溶剤を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物(特許文献1参照)や、エステル構造或いはエーテル構造を介してベンズアルデヒド構造又はナフトアルデヒド構造が主鎖に導入されているポリマーと、スルホン酸化合物及び溶剤を含む、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物が開示されている(特許文献2参照)。
これら組成物から得られるレジスト下層膜は、反射防止膜としての性能を有し、光源としてArFエキシマレーザを使用しても矩形形状のレジストパターンが得られることが示されている。
【0004】
また、半導体装置のパターンルールの微細化の進行に伴い、半導体装置における配線遅延の問題を解決するために、半導体基板への配線形成方法としてデュアルダマシンプロセスの検討がなされている。該プロセスを採用した基板には通常ホールやトレンチ構造等の凹部又は段差が形成される。そのため、微細なデザインルールを持つ半導体装置を製造するためには、凹部又は段差を有する基板上に凹部を充填しかつ段差のない平坦な塗膜を形成することが可能なレジスト下層膜が必要となる。しかし、特許文献1及び2には、レジスト下層膜(反射防止膜)の平坦化性について開示されていない。
【0005】
例えば、ベンゼン環等の光吸収部位を有する脂環式エポキシ化合物と、架橋反応を促進させるための熱酸発生剤と、溶剤とを含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物が開示されている(特許文献3参照)。この組成物を使用することにより、ホールを有する基板の凹凸を埋めて平坦化できるレジスト下層膜が得られることが示されている。
【0006】
また、架橋性ポリマーと、熱酸発生剤であるαジフルオロスルホン酸のアミン塩とを含んでなるレジスト下層膜が開示されている(特許文献4)。この組成物を使用することにより、裾引きが改良されたレジストパターンが得られることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2009/057458号
【特許文献2】国際公開第2011/004721号
【特許文献3】国際公開第2016/158509号
【特許文献4】特開2008-039815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の課題を鑑み、本発明は、半導体装置の製造に用いることのできるレジスト下層膜形成組成物を提供することを目的とする。すなわち、上層に塗布、形成されるフォトレジスト層とのインターミキシングを起こさず、溶剤耐性を有するレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜形成組成物を提供することを目的とする。
特に本発明は、半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおいて、レジスト層への露光光の基板からの反射を軽減させる反射防止膜として好適に使用可能であるだけでなく、凹部又は段差のある半導体基板を平坦化するための平坦化膜として好適に使用できるレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜形成組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、主鎖に少なくとも1つの-C(=O)-O-基を含む繰り返し構造単位及び側鎖に少なくとも1つのヒドロキシ基を含む繰り返し構造単位を有するか、又は主鎖に少なくとも1つの-C(=O)-O-基を含みかつ側鎖に少なくとも1つのヒドロキシ基を含む繰り返し構造単位を有する樹脂であって、これら繰り返し構造単位にはエポキシ環又はオキセタン環を含む有機基を有さない樹脂と、該樹脂100質量部に対し0.1質量部乃至10質量部の酸触媒又はその塩であって、該酸触媒が一価の酸であるとき25℃水中での酸解離定数pKaが-0.5以下であるか、もしくは該酸触媒が多価の酸であるとき25℃水中での酸解離定数pKa1が-0.5以下である、酸触媒又はその塩と、溶剤とを含むレジスト下層膜形成組成物であり、かつモノマーである架橋剤を含有しないレジスト下層膜形成組成物である。
【0010】
前記酸触媒の塩は、例えばトリフルオロメタンスルホン酸塩である。
前記トリフルオロメタンスルホン酸塩のカチオン成分は、例えば第1級乃至第4級アンモニウムイオン、置換基を有してもよいピリジニウムイオン、置換基を有してもよいイミダゾリウムイオン、置換基を有してもよいヨードニウムイオン、置換基を有してもよいスルホニウムイオン、又は置換基を有してもよいピリリウムイオンである。
【0011】
前記樹脂は、例えば下記式(1-1)で表される繰り返し構造単位及び下記式(1-2)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体である。
【化1】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、炭素原子数2乃至20の直鎖状、分岐状又は環状の官能基を含む二価の有機基を表し、該有機基は硫黄原子、窒素原子又は酸素原子を少なくとも1つ有してもよく、i及びjはそれぞれ独立に0又は1を表し、2つのQはそれぞれ単結合、-O-基又は-C(=O)-O-基を表し、ただし、i及びjの両方が0の場合は、2つのQのうち少なく1つのQは-C(=O)-O-基を表す。)
【0012】
前記式(1-1)で表される繰り返し構造単位において、R1は例えば炭素原子数2乃至20の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価の炭化水素基を表すか、硫黄原子又は酸素原子を少なくとも1つ有する炭素原子数2乃至20の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価の有機基を表すか、又は炭素原子数6乃至20の芳香族環もしくは炭素原子数3乃至12の複素環を少なくとも1つ含む二価の有機基を表し、該複素環は硫黄原子又は酸素原子を少
なくとも1つ有する。
前記式(1-2)で表される繰り返し構造単位において、R2は例えば炭素原子数2乃至20の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価の炭化水素基を表すか、又は炭素原子数6乃至20の芳香族環又は炭素原子数3至12の複素環を少なくとも1つ含む二価の有機基を表し、該複素環は硫黄原子又は酸素原子を少なくとも1つ有する。
【0013】
また、本発明のレジスト下層膜形成組成物は、下記式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物をさらに含んでもよい。
【化2】
(式中、Xはカルボニル基又はメチレン基を表し、l及びmはそれぞれ独立に3≦l+m≦10の関係式を満たす0乃至5の整数を表し、R
3及びR
4はそれぞれ独立に炭素原子数1乃至4のアルキレン基もしくはアルケニレン基又は単結合を表し、n及びpはそれぞれ独立に2乃至4の整数を表し、式(4)における置換基はナフタレン環の1~8位のうち任意の位置で置換することができる。)
【0014】
また、本発明のレジスト下層膜形成組成物は、界面活性剤をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上層に塗布、形成されるフォトレジスト層とのインターミキシングを起こさず、溶剤耐性を有するレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜形成組成物を提供することができる。
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、架橋剤等の低分子化合物を含まないので、ベーク中の昇華物量を低減し、ボイド(隙間)を発生させることなく凹部内部の高い充填性を達成できる。したがって、本発明によれば、凹部又は段差を有する基板を平坦化することができるレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜形成組成物を提供できる。
また、本発明によれば、レジスト層への露光光の基板からの反射を軽減させる反射防止膜として好適に使用可能なレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜形成組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、樹脂と、特定量の25℃水中での酸解離定数pKaもしくはpKa1が-0.5以下である酸触媒又はその塩と、溶剤とを含むことにより、モノマーである架橋剤を含有しなくても硬化してレジスト下層膜を形成できる。ここで、上記モノマーとは、繰り返し単位を有さない単量体であり、複数のモノマーが重合して得られるポリマー及びオリゴマーはモノマーに該当しない。そして、本発明のレジスト下層膜形成組成物は、斯かる酸触媒の使用により、凹部又は段差を有する半導体基板上に、平坦化性に優れたレジスト下層膜を形成することができる。
本発明のレジスト下層膜形成組成物が含有しないモノマーである架橋剤として、例えば、メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基を1分子中に2個以上有するメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、及び芳香族化合物;並びにエポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、アジ基、アルケニルエーテル基、アクロイ
ルオキシ基、及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる少なくとも1つの基を1分子中に2個以上有するエポキシ化合物、オキセタン化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル化合物、アクリル化合物、及びメタクリル化合物が挙げられる。
なお、本明細書では、本発明のレジスト下層膜形成組成物を定量分析した結果、検出限界未満である成分は、その成分を含有しないものと定義する。
本発明のレジスト下層膜形成組成物に含まれる成分について、以下に詳細を説明する。
【0017】
[酸触媒又はその塩]
本発明のレジスト下層膜形成組成物の必須成分である酸触媒又はその塩は、酸触媒が一価の酸であるとき25℃水中での酸解離定数pKaが-0.5以下であるか、もしくは酸触媒が多価の酸であるとき25℃水中での酸解離定数pKa1が-0.5以下である酸触媒又はその塩であれば特に限定されない。
酸解離定数pKaの値が小さいほど強酸であることを示し、本発明にとって好ましい。ここで、酸解離定数pKaは、酸の電離平衡の平衡定数Kaの負の常用対数、すなわちpKa=-log10Kaである。酸触媒が多価の酸である場合、酸の平衡定数Kaは解離順に複数得られる(Ka1、Ka2、Ka3、・・・)が、本発明では一段目の酸の電離平衡の平衡定数Ka1の負の常用対数、すなわち酸解離定数pKa1が-0.5以下である酸触媒が選択される。
【0018】
酸解離定数pKa又はpKa1が-0.5以下の酸触媒として、例えばp-トルエンスルホン酸(pKa=-2.8)、p-フェノールスルホン酸(pKa1=-2.59)、5-スルホサリチル酸(pKa1=-2.81)、及びトリフルオロメタンスルホン酸(pKa=-14.0)又はその塩が挙げられる。
【0019】
これら酸の塩のカチオン成分は、特に限定されないが、例えば第1級乃至第3級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、第4級アンモニウム体、ヨードニウム化合物、スルホニウム化合物、ピラン等から誘導されるカチオンが挙げられ、好ましくは第1級乃至第4級アンモニウムイオン、置換基を有してもよいピリジニウムイオン、置換基を有してもよいイミダゾリウムイオン、置換基を有してもよいヨードニウムイオン、置換基を有してもよいスルホニウムイオン、又は置換基を有してもよいピリリウムイオンが挙げられる。ここで、該置換基は、特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フルオロ基、フェニル基、ベンジル基が挙げられる。
【0020】
酸触媒としては、特に好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸の塩であり、例えば下記式で表される化合物が挙げられる。
【化3】
【0021】
本発明の酸触媒は、ベークしてレジスト下層膜形成組成物中の樹脂を架橋させる際にも、揮発量が極めて低い。そのため、本発明のレジスト下層膜形成組成物は、架橋剤等の低分子量の揮発成分が含まれないので、ベーク中に生じる昇華物量を低減でき、ボイド等の空隙を有さない平坦化されたレジスト下層膜を形成できる。
【0022】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、前記酸触媒又はその塩を、前記樹脂100質量部に対し、例えば0.1質量部乃至10質量部を含むものである。酸触媒又はその塩の含有量が樹脂100質量部に対して0.1質量部未満である場合、本発明の効果を得られないことがある。酸触媒又はその塩の含有量が樹脂100質量部に対して10質量部を超える場合、ベーク中に生じる昇華物量が増加することで、ボイド等の空隙が生じ、本発明の効果を得られないことがある。
【0023】
[樹脂]
本発明のレジスト下層膜形成組成物の必須成分である樹脂は、主鎖に少なくとも1つの-C(=O)-O-基を含む繰り返し構造単位及び側鎖に少なくとも1つのヒドロキシ基を含む繰り返し構造単位を有するか、又は主鎖に少なくとも1つの-C(=O)-O-基を含みかつ側鎖に少なくとも1つのヒドロキシ基を含む繰り返し構造単位を有し、これら繰り返し構造にエポキシ環又はオキセタン環を含む有機基を有さない樹脂であれば、特に限定されない。ここで、エポキシ環又はオキセタン環を含む有機基とは、例えばグリシジル基及びオキセタニル基が挙げられる。そして、該有機基を有さない樹脂とは、グリシジル基、オキセタニル基等を有さない樹脂である。当該樹脂の重量平均分子量は、例えば500乃至50,000、好ましくは900乃至50,000である。
前記樹脂が反応性の高いエポキシ環又はオキセタン環を含む有機基を有さないので、本発明のレジスト下層膜形成組成物は、貯蔵安定性に優れる。
【0024】
本発明のレジスト下層膜形成組成物の必須成分である樹脂は、好ましくは上記式(1-1)で表される繰り返し構造単位及び上記式(1-2)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体である。
【0025】
さらに好ましくは、式(1-1)中の基R1が、炭素原子数2乃至20の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価の炭化水素基を表すか、硫黄原子又は酸素原子を少なくとも1つ有する炭素原子数2乃至20の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価の有機基を表すか、又は炭素原子数6乃至20の芳香族環もしくは炭素原子数3乃至12の複素環を少なくとも1つ含む二価の有機基を表し、該複素環は硫黄原子又は酸素原子を少なくとも1つ有する。
【0026】
さらに好ましくは、式(1-2)中の基R2が、炭素原子数2乃至20の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価の炭化水素基を表すか、又は炭素原子数6乃至20の芳香族環又は炭素原子数3乃至12の複素環を少なくとも1つ含む二価の有機基を表し、該複素環は硫黄原子又は酸素原子を少なくとも1つ有する。
芳香族環及び複素環は、リソグラフィー工程で使われるKrFエキシマレーザ又はArFエキシマレーザに対する吸収性を有する。そのため、本発明のレジスト下層膜形成組成物から得られるレジスト下層膜は、式(1-2)で表される繰り返し構造単位中に芳香族環又は複素環を少なくとも1つ有することにより、反射防止膜としてより好適に使用できる。
前記芳香族環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、ピレン環及びクリセン環が挙げられ、好ましくはベンゼン環及びナフタレン環である。
前記複素環としては、例えばトリアジン環、シアヌル環、ピリミジン環、イミダゾール環、カルバゾール環が挙げられる。
【0027】
前記共重合体は、市販品又は市販品から公知の方法により合成される共重合体を使用できる。
例えば、本発明の樹脂は、下記式(A)
【化4】
(式中、R
1、i及びjは上記と同じ意味を表す。)で表される少なくとも一種の化合物と、下記式(B)
【化5】
(式中、R
2は及びQは上記と同じ意味を表す。)で表される少なくとも一種のジエポキシ化合物との共重合体を使用できる。
すなわち、式(A)で表される少なくとも一種の化合物と式(B)で表される少なくとも一種のジエポキシ化合物を、適切なモル比になるよう有機溶剤へ溶解させ、必要であれば触媒の存在のもと、重合させることによって、前記式(1-1)で表される繰り返しの構造単位及び前記式(1-2)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体が得られる。
【0028】
前記式(A)で表される化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば下記式で表される化合物が挙げられる。
【化6】
【0029】
前記式(B)で表されるジエポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば下記のジエポキシ化合物が例示される。
【化7】
【0030】
上記式(1-1)で表される繰り返し構造単位及び下記式(1-2)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体としては、例えば、下記式(1a)乃至式(1n)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体が挙げられる。
【化8】
【化9】
【0031】
[式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物]
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、任意成分として前記式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物を含有することができる。前記式(2)で表される化合物として、例えば下記式(2-1)乃至式(2-20)で表される化合物が挙げられる。
【化10】
【0032】
前記式(3)で表される化合物として、例えば下記式(3-1)乃至式(3-22)で表される化合物が挙げられる。
【化11】
【0033】
前記式(4)で表される化合物として、例えば下記式(4-1)乃至式(4-9)で表される化合物が挙げられる。
【化12】
【0034】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、前記式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物を、前記樹脂の含有量100質量部に対し、例えば0.01質量部乃至60質量
部、好ましくは0.1質量部乃至20質量部含むことができる。
式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物を含むことにより、本発明のレジスト下層膜形成組成物から形成されるレジスト下層膜は、過酸化水素水溶液に対する耐性を高めることができる。これにより、本発明のレジスト下層膜形成組成物から形成されるレジスト下層膜は、過酸化水素水溶液を用いたエッチングプロセス及び洗浄プロセスにおけるマスクとして使用できる。
【0035】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、任意成分として、基板に対する塗布性を向上させるために界面活性剤を含むことができる。前記界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R-30、同R-30N、同R-40-LM(DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(スリーエムジャパン(株)製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(AGC(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
【0036】
上記界面活性剤が使用される場合、当該界面活性剤の含有量は、前記樹脂の含有量100質量部に対し、例えば、0.01質量部乃至5質量部、好ましくは0.1質量部乃至3質量部である。
【0037】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、上記各成分を適当な溶剤に溶解させることによって調製でき、均一な溶液状態で用いられる。そのような溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN-メチルピロリドンを用いることができる。これらの溶剤は単独または2種以上の組合せで使用することができる。さらに、これらの溶剤に、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することもできる。
【0038】
調製した組成物は、孔径が例えば0.2μm、又は0.1μm、もしくは0.05μmのフィルター等を用いてろ過した後、使用することが好ましい。本発明のレジスト下層膜形成組成物は、室温で長期間の貯蔵安定性にも優れる。
【実施例0039】
以下、本発明のレジスト下層膜形成組成物の具体例を、下記実施例を用いて説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0040】
下記合成例で得られた反応生成物の重量平均分子量の測定に用いた装置等を示す。
装置:東ソー(株)製HLC-8320GPC
GPCカラム:TSKgel Super-MultiporeHZ-N(2本)
カラム温度:40℃
流量:0.35ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
標準試料:ポリスチレン
【0041】
<合成例1>
プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、本明細書ではPGMEと略称する。)65.05gに、1,6-ビス(2,3-エポキシプロパン-1-イルオキシ)ナフタレン(DIC(株)製、商品名:HP-4032D)10.00g、1,8-オクタンジカルボン酸7.72g、及び触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.54gを添加した後、140℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は4,400であった。得られた反応生成物は、下記式(1a)で表され繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化13】
【0042】
<合成例2>
PGME65.57gに、ジエポキシ化合物として商品名:RE303S-L(日本化薬(株)製)8.00g、1,8-オクタンジカルボン酸7.94g、及び触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.46gを添加した後、140℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は4,500であった。得られた反応生成物は、下記式(1b)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化14】
【0043】
<合成例3>
PGME65.35gに、ジエポキシ化合物として商品名:YX4000(三菱ケミカル(株)製)9.00g、1,8-オクタンジカルボン酸6.89g、及び触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.45gを添加した後、140℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は5,600であった。得られた反応生成物は、下記式(1c)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化15】
【0044】
<合成例4>
PGME123.90gに、ジエポキシ化合物として商品名:RE810-NM(日本化薬(株)製)18.00g、1,8-オクタンジカルボン酸11.96g、触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.78g、及びラジカルトラップ剤としてヒドロキノンを0.23g添加した後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は6,500であった。得られた反応生成物は、下記式(1d)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化16】
【0045】
<合成例5>
PGME65.15gに、ジエポキシ化合物として商品名:RE810-NM(日本化薬(株)製)10.00g、1,6-ヘキサンジカルボン酸5.72g、触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.44g、及びラジカルトラップ剤としてヒドロキノンを0.13g添加した後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は5,900であった。得られた反応生成物は、下記式(1e)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化17】
【0046】
<合成例6>
PGME72.62gに、ジエポキシ化合物として商品名:RE810-NM(日本化薬(株)製)10.00g、1,10-ドデカンジカルボン酸7.67g、触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.44g、及びラジカルトラップ剤としてヒドロキノンを0.13g添加した後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は5,400であった。得られた反応生成物は、下記式(1f)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化18】
【0047】
<合成例7>
PGME64.88gに、ジエポキシ化合物として商品名:RE810-NM(日本化薬(株)製)10.00g、cis-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸5.66g、触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.44g、及びラジカルトラップ剤としてヒドロキノンを0.13g添加した後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は5,400であった。得られた反応生成物は、下記式(1g)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化19】
【0048】
<合成例8>
PGME40.51gに、ジエポキシ化合物として商品名:RE810-NM(日本化薬(株)製)6.00g、1,3-アダマンタンジカルボン酸3.79g、触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.26g、及びラジカルトラップ剤としてヒドロキノンを0.078g添加した後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は2,200であった。得られた反応生成物は、下記式(1h)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化20】
【0049】
<合成例9>
PGME36.25gに、ジエポキシ化合物として商品名:RE810-NM(日本化薬(株)製)6.00g、2,3-ノルボルナンジカルボン酸2.72g、触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.26g、及びラジカルトラップ剤としてヒドロキノンを0.078g添加した後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は1,600であった。得られた反応生成物は、下記式(1i)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化21】
【0050】
<合成例10>
PGME72.88gに、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(四国化成工業(株)製、商品名:MA-DGIC)10.00g、3,3’-ジチオジプロピオン酸(SC有機化学(株)製、商品名:DTDPA)7.89g、及び触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイドを0.33g添加した後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は5,300であった。得られた反応生成物は、下記式(1j)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化22】
【0051】
<合成例11>
PGME110.51gに、ジグリシジルテレフタレート(ナガセケムテックス(株)製、商品名:EX-711)15.00g、3,3’-ジチオジプロピオン酸(SC有機化学(株)製、商品名:DTDPA)11.65g、及び触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイドを0.98g添加した後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は4,900であった。得られた反応生成物は、下記式(1
k)で表され繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化23】
【0052】
<合成例12>
PGME289.49gに、1,6-ビス(2,3-エポキシプロパン-1-イルオキシ)ナフタレン(DIC(株)製、商品名:HP-4032D)15.00g、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(四国化成工業(株)製、製品名MA-DGIC)23.10g、3,3’-ジチオジプロピオン酸(SC有機化学(株)製、商品名:DTDPA)31.72g、及び触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド2.55gを添加した後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は4,500であった。得られた反応生成物は、下記式(1n)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化24】
【0053】
<合成例13>
PGME146.03gに、ジエポキシ化合物として商品名:RE810-NM(日本化薬(株)製)40.00g、cis-1,2-シクロヘキシルジカルボン酸18.58g、触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド3.48g、及びラジカルトラップ剤としてヒドロキノンを0.52g添加した後、140℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は2,200であった。得られた反応生成物は、下記式(1l)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化25】
【0054】
<合成例14>
PGME148.30gに、ジエポキシ化合物として商品名:YX4000(三菱ケミカル(株)製)40.00g、cis-1,2-シクロヘキシルジカルボン酸19.54g、及び触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド4.01gを添加した後、140℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は1.900であった。得られた反応生成物は、下記式(1m)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化26】
【0055】
<合成例15>
PGME57.97gに、ジエポキシ化合物として商品名:RE810-NM(日本化薬(株)製)20.00g、2,2-ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(小西化学工業(株)製、商品名:BPA-CA)16.65g、触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド1.74g、及びラジカルトラップ剤としてヒドロキノンを0.26g添加した後、140℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は16,000であった。得られた反応生成物は、下記式(1p)で表される繰り返し構造単位を有する重合体と推定される。
【化27】
【0056】
<合成例16>
PGME215.23gに、ジエポキシ化合物として商品名:RE810-NM(日本化薬(株)製)30.00g、1,8-オクタンジカルボン酸22.16g、触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド1.27g、及びラジカルトラップ剤としてヒドロキノンを0.38g添加した後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含む
溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は5,000であった。得られた反応生成物は、下記式(1o)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体と推定される。
【化28】
【0057】
〔レジスト下層膜形成組成物の調製〕
<実施例1>
前記合成例1で得た、共重合体0.56gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)3.69gに、PGME3.46g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、本明細書ではPGMEAと略称する。)2.83g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.021g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.0006gを混合し、5.8質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0058】
<実施例2>
前記合成例2で得た、共重合体0.56gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)3.79gに、PGME3.37g、PGMEA2.83g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.021g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.0006gを混合し、5.8質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0059】
<実施例3>
前記合成例3で得た、共重合体0.56gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)3.63gに、PGME3.52g、PGMEA2.83g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.021g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.0006gを混合し、5.8質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0060】
<実施例4>
前記合成例4で得た、共重合体20.66gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)126.18gに、PGME110.47g、PGMEA110.47g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.77g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.021gを混合し、6.5質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0061】
<実施例5>
前記合成例5で得た、共重合体1.08gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)6.33gに、PGME7.97g、PGMEA5.66g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.040g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.0011gを混合し、5.6質量%溶液とした。そ
の溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0062】
<実施例6>
前記合成例6で得た、共重合体1.08gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)6.59gに、PGME7.71g、PGMEA5.66g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.040g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.0011gを混合し、5.6質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0063】
<実施例7>
前記合成例7で得た、共重合体1.44gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)8.78gに、PGME9.12g、PGMEA7.05g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.054g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.0014gを混合し、6.0質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0064】
<実施例8>
前記合成例8で得た、共重合体1.44gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)8.61gに、PGME9.28g、PGMEA7.05g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.054g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.0014gを混合し、6.0質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0065】
<実施例9>
前記合成例9で得た、共重合体1.44gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)7.84gに、PGME10.06g、PGMEA7.05g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.054g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.0014gを混合し、6.0質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0066】
<実施例10>
前記合成例10で得た、共重合体0.64gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)3.74gに、PGME3.44g、PGMEA2.80g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.024g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.00064gを混合し、6.6質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0067】
<実施例11>
前記合成例11で得た、共重合体0.64gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)4.06gに、PGME3.11g、PGMEA2.80g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.024g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.00064gを混合し、6.6質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0068】
<実施例12>
前記合成例12で得た、共重合体0.61gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)3.66gに、PGME6.29g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.023g、没食子酸水和物(東京化成工業(株)製)0.030g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.00061gを混合し、6.6質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0069】
<実施例13>
前記合成例13で得た、共重合体0.86gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)3.34gに、PGME7.39g、PGMEA4.24g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.024g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.00086gを混合し、5.9質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0070】
<実施例14>
前記合成例14で得た、共重合体0.86gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)3.26gに、PGME7.48g、PGMEA4.23g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.024g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.00086gを混合し、5.9質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0071】
<実施例15>
前記合成例10で得た、共重合体0.60gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)3.77gに、PGME6.21g、5-スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)0.022g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.00060gを混合し、6.2質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0072】
<実施例16>
前記合成例16で得た、共重合体5.38gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)36.15gに、PGME35.31g、PGMEA28.32g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.22g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.0054gを混合し、5.6質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0073】
<比較例1>
前記合成例4で得た、共重合体0.50gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)2.63gに、PGME2.50g、PGMEA2.81g、モノマーである架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(商品名:パウダーリンク1174,日本サイテックインダストリーズ(株)製)0.13g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.019g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.0005gを混合し、6.5質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。本比較例は、モノマーである架橋剤を含む例である。
【0074】
<比較例2>
前記合成例10で得た、共重合体0.54gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)3.19gに、PGME3.86g、PGMEA2.79g、モノマーである架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(商品名:パウダーリンク1174,日本サイテックインダストリーズ(株)製)0.14g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.020g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.0005gを混合し、7.0質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。本比較例は、モノマーである架橋剤を含む例である。
【0075】
<比較例3>
前記合成例15で得た、共重合体0.28gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)2.31gに、PGME1.27g、PGMEA1.41g、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.011g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.0003gを混合し、5.8質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。本比較例は、共重合体中に-C(=O)-O-基を含まない例である。
【0076】
<比較例4>
前記合成例10で得た、共重合体0.58gを含む溶液(溶剤は合成時に用いたPGME)3.65gに、PGME6.33g、トリフルオロ酢酸(東京化成工業(株)製)0.022g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.00058gを混合し、6.0質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。本比較例は、使用した酸触媒のpKaが-0.5よりも大きい例である。
【0077】
〔フォトレジスト溶剤への溶出試験〕
実施例1乃至実施例16、比較例1乃至比較例4で調製されたレジスト下層膜形成組成物を、それぞれ、スピナーにより、シリコンウエハー上に塗布した。その後、ホットプレート上で下記表1に示す温度で1分間ベークし、レジスト下層膜(膜厚0.2μm)を形成した。これらのレジスト下層膜を、フォトレジスト溶液に使用される溶剤であるPGME及びPGMEAに浸漬した。下記表1に、両溶剤に不溶である場合“○”、両溶剤に溶解する場合“×”で、溶剤耐性の評価結果を表した。
【0078】
〔光学パラメーターの試験〕
実施例1乃至実施例16、比較例1乃至比較例4で調製されたレジスト下層膜形成組成物を、スピナーにより、シリコンウエハー上に塗布した。その後、ホットプレート上で下記表1に示す温度で1分間ベークし、レジスト下層膜(膜厚0.2μm)を形成した。そして、これらのレジスト下層膜を光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、VUV-VASE VU-302)を用い、波長193nm及び248nmでの、屈折率(n値)及び減衰係数(k値)を測定した。その結果を下記表1に示す。上記レジスト下層膜が十分な反射防止機能を有するためには、波長193nmでのk値は0.1以上であることが望ましい。
【0079】
【0080】
〔段差基板への被覆試験〕
平坦化性の評価として、230nm膜厚のSiO2基板で、トレンチ幅200nm、ピッチ600nmのトレンチエリア(TRENCH)とパターンが形成されていないオープンエリア(OPEN)の被覆膜厚の比較を行った。実施例1乃至実施例16、比較例1及び比較例2のレジスト下層膜形成組成物を上記基板上に200nmの膜厚で塗布後、ホットプレート上で上記表1に示す温度で1分間ベークし、レジスト下層膜(膜厚0.2μm)を形成した。この基板の段差被覆性を、日立ハイテクノロジーズ(株)製走査型電子顕微鏡(S-4800)を用いて観察し、段差基板のトレンチエリア(パターン部)とオープンエリア(パターンなし部)との膜厚差(トレンチエリアとオープンエリアとの塗布段差であり“Bias”という。)を測定することで平坦化性を評価した。トレンチエリア、オープンエリアそれぞれの膜厚と塗布段差の値を表2に示した。塗布段差の値が小さいほど、平坦化性が高いと評価できる。上記表1に、下記表2に示す塗布段差が40nm未満である場合“○”、40nm以上である場合“×”で、平坦化性の評価結果を表した。
【0081】
【表2】
平坦化性を比較すると、実施例1乃至実施例16のトレンチエリアとオープンエリアとの塗布段差が、比較例1及び比較例2のトレンチエリアとオープンエリアとの塗布段差よりも小さいことから、実施例1乃至実施例16のレジスト下層膜形成組成物から得られたレジスト下層膜は平坦化性が良好と言える。
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、基板に塗布後、ベーク工程によって高いリフロー性が発現し、段差を有する基板上でも平坦に塗布でき、平坦な膜を形成することができる。また、適切な反射防止効果を有しているため、レジスト下層膜形成組成物として有用である。
前記トリフルオロメタンスルホン酸塩のカチオン成分は第1級乃至第4級アンモニウムイオン、置換基を有してもよいピリジニウムイオン、置換基を有してもよいイミダゾリウムイオン、置換基を有してもよいヨードニウムイオン、置換基を有してもよいスルホニウムイオン、又は置換基を有してもよいピリリウムイオンである、請求項1に記載のレジスト下層膜形成組成物。