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特開2024-26048炭化珪素基板上にコンタクト及び炭化珪素半導体デバイスを製造する方法
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  • 特開-炭化珪素基板上にコンタクト及び炭化珪素半導体デバイスを製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026048
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】炭化珪素基板上にコンタクト及び炭化珪素半導体デバイスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/28 20060101AFI20240220BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20240220BHJP
   H01L 21/266 20060101ALI20240220BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H01L21/28 B
H01L21/265 Z
H01L21/265 602C
H01L21/265 V
H01L21/265 F
H01L21/265 M
H01L21/28 301B
H01L21/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023128850
(22)【出願日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】10 2022 208 301.6
(32)【優先日】2022-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2023 206 489.8
(32)【優先日】2023-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, サウラブ
(72)【発明者】
【氏名】シュスターレダー, ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ, ラヴィ ケシャブ
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ, ハンス-ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】クラスノジョン, ダリア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】炭化珪素基板上にコンタクト及び炭化珪素半導体デバイスを製造する方法を提供する。
【解決手段】半導体デバイス100において、結晶性SiC基板10と、SiC基板表面に直接接触した三元金属相部30を含むコンタクト層20と、を有するSiC基板上にオーム性コンタクトを製造する方法であって、結晶性SiC基板を提供すること、SiC基板の表面領域内の結晶構造を修正し、これにより炭素富化SiC部分を表面領域内に生成すること、炭素富化SiC部分を含む表面領域上へ金属コンタクト材料を蒸着することによりSiC基板上にコンタクト層を形成すること及びSiC基板の炭素富化SiC部分の少なくとも一部とコンタクト層の少なくとも一部とを熱アニールし、これにより少なくとも金属コンタクト材料、珪素及び炭素を含む三元金属相部を生成することを含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素基板上にコンタクトを製造する方法であって、
-結晶性炭化珪素基板を提供すること、
-前記炭化珪素基板の表面領域内の結晶構造を修正し、これにより炭素富化炭化珪素部分を前記表面領域内に生成すること、
-前記炭素富化炭化珪素部分を含む前記表面領域上へ金属コンタクト材料を蒸着することにより前記炭化珪素基板上にコンタクト層を形成すること、及び
-前記炭化珪素基板の前記炭素富化炭化珪素部分の少なくとも一部と前記コンタクト層の少なくとも一部とを熱アニールし、これにより少なくとも前記金属コンタクト材料、珪素及び炭素を含む三元金属相部を生成すること、を含む方法。
【請求項2】
前記結晶構造の前記修正は少なくとも1つの第1の熱アニールレーザービームにより前記炭化珪素基板の表面領域を照射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の熱アニールによる前記照射は少なくとも2つのその後のレーザーアニール工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記結晶構造の前記修正は、前記炭化珪素基板の相分離及び前記炭素富化炭化珪素部分内の少なくとも3C-SiCポリタイプ部分の生成を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記結晶構造の前記修正は、炭素原子を前記炭化珪素基板の表面領域内へ注入し、これにより前記炭化珪素基板の前記表面に又はその近くに前記炭素富化炭化珪素部分を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記注入は炭素のプラズマ蒸着、標準的注入又は傾斜注入により行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記炭素富化炭化珪素部分内の炭素濃度は3E22cm-3~1E23cm-3の範囲内にある、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
構造化保護マスク層が、前記炭化珪素基板の修正及び/又は前記コンタクト層の少なくとも一部の熱アニール時に前記結晶性炭化珪素基板の少なくとも一方の側に提供され、前記保護マスク層は、炭化珪素より高い、レーザー熱アニール中にレーザービームの放射エネルギーの反射率及び/又は吸収率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記炭素富化炭化珪素基板と前記コンタクト層との間の界面の熱アニールは少なくとも1つの第2の熱アニールレーザービームにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記炭素富化炭化珪素部分の少なくとも一部及び前記コンタクト層の少なくとも一部の前記熱アニールは、前記炭素富化炭化珪素部分の少なくともいくつかの部分及び前記コンタクト材料のいくつかの部分の溶融と前記取得された三元金属相部をエピタキシャル的に再編成することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記金属コンタクト材料は少なくともチタンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記三元金属相部はTiSiを含み、ここでx=2.8~3.2、y=1、z=1.8~2.2である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
-結晶性炭化珪素基板、及び
-炭化珪素基板表面に直接接触した三元金属相部を含むコンタクト層であって、前記三元金属相部は、少なくとも金属コンタクト材料、珪素及び炭素を含み、前記結晶性炭化珪素基板上に少なくとも部分的にエピタキシャル成長される、コンタクト層、を含む炭化珪素半導体デバイス。
【請求項14】
前記三元金属相部は前記炭化珪素基板との界面における粒子の少なくとも1つの層から成る、請求項13に記載の炭化珪素半導体デバイス。
【請求項15】
少なくとも1つの別の金属層が前記コンタクト層の上に蒸着される、請求項13又は14に記載の炭化珪素半導体デバイス。
【請求項16】
前記コンタクト層は裏面側コンタクトとして提供される、請求項13に記載の炭化珪素半導体デバイス。
【請求項17】
半導体基板は前面側表面にいくつかのデバイス構造を含む、請求項16に記載の炭化珪素半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的には、炭化珪素基板上のコンタクトと、とりわけ本明細書に記載される方法により取得可能であるオーム性コンタクトを有する炭化珪素半導体デバイスとを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)ベースダイオード又はパワーMOSFETなどのワイドバンドギャップ半導体に基づく半導体デバイスは、例えば過酷環境内の又はパワーエレクトロニクス領域内のアプリケーションにおける次世代電子デバイスと考えられ得る。このような半導体デバイスの開発では、一態様は、半導体材料と半導体基板表面の上の金属コンタクト又は金属層積み重ねとの間のオーム性コンタクトの生成である。特に、産業全体にわたって広範囲に使用されるSiC基板の良好、再現可能、及び均質な裏面側オーム性コンタクトの生成はクリティカルなトピックである。
【0003】
上記に照らして、信頼可能且つ頑強なオーム性コンタクトを有するSiCベース半導体デバイスを(特に半導体基板の裏面側に)提供する必要性とともに広いプロセスウインドウを提示する方法を提供する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態は炭化珪素基板上にコンタクトを製造する方法に関し、本方法は:結晶性炭化珪素基板を提供すること;炭化珪素基板の表面領域内の結晶構造を修正し、これにより炭素富化(carbon-enriched)炭化珪素部分を表面領域内に生成すること;炭素富化炭化珪素部分を含む表面領域上へ金属コンタクト材料を蒸着することにより炭化珪素基板上にコンタクト層を形成すること;及び炭化珪素基板の炭素富化炭化珪素部分の少なくとも一部とコンタクト層の少なくとも一部とを熱アニールし、これにより少なくとも金属コンタクト材料、珪素及び炭素を含む三元金属相部を生成することを含む。
【0005】
結晶性炭化珪素基板は単結晶性基板であり得る。例えば、六方晶系ポリタイプ(4H-SiC及び/又は6H-SiC結晶性ポリタイプなど)が使用され得る。しかし、基板はまた、異なるポリタイプ(例えば3C-SiC)の領域を含み得る。以下の明細書では、4H-SiCがいくつかの実施形態の技術的効果を説明するために使用される一方で、他のポリタイプ(特にSiCの他の六方晶系単結晶性ポリタイプ)を排除しないものとする。
【0006】
本明細書において説明される方法は、SiC基板(例えば結晶性4H-SiC基板)上に良好且つ信頼可能なオーム性コンタクトを製造することを可能にし得る。従って、本方法は通常、その前面側にいくつかのデバイス構造を任意選択的に有し得るこのような結晶性基板を提供することで始まる。様々な典型的ウエハー処理工程が、裏面側にオーム性コンタクトが提供される前に行われ得る。本明細書において説明される方法はまた、半導体基板の前面側にコンタクトを作製するために使用され得る。従って、裏面側の文脈で説明される方法工程はまた前面側に適用し得る。
【0007】
本明細書では、第1の要素(例えばコンタクト又は層又は領域)が第2の要素(例えばコンタクト又は層又は領域)「上に」提供されれば、これは、別の要素(例えば介在層又は要素)が第1の要素と第2の要素との間に提供されることを排除しない。対照的に、第1の要素が第2の要素「上に直接的に」在る又は第2の要素「上へ直接的に」延伸するとして言及される場合、いかなるさらなる要素も存在しない。
【0008】
接触されるための炭化珪素基板が作製されると、炭化珪素基板の表面領域内の結晶構造が修正される。具体的には、コンタクトが作製されるべき表面は、炭素富化炭化珪素部分が生成されるように修正される。炭素の含有量を増加するための任意のプロセスが炭素富化部分を生成するために使用され得る。この部分は表面領域全体に延伸し得る。いくつかの実施形態では、炭素富化領域は基板表面の特定領域内に生成され得る(例えば規則的にパターン化されるやり方で)。
【0009】
コンタクト層は、炭化珪素基板上にコンタクト材料層を蒸着することによりこの炭素富化炭化珪素部分上に直接形成され得る。コンタクト材料の蒸着は、半導体作製プロセスにおいて一般的に使用される任意の蒸着プロセスにより行われ得、そしてコンタクト材料に依存し得る。
【0010】
本方法はさらに、炭化珪素基板の炭素富化炭化珪素部分の少なくとも一部とコンタクト層の少なくとも一部とを熱アニールすることを含み得る。2つの層のそれぞれの部分は、例えば2つの層の要素を含む混合構造の生成を可能にするためにこれらの層の界面近くに在り得る。具体的には、少なくとも金属コンタクト材料、珪素及び炭素を含む三元金属相部が形成される。従って、本明細書において説明される方法は、低接触抵抗に責任があり得る非常に規則的質感の(highly ordered,textured)金属混合相層を作製するために炭化珪素基板の炭素富化部分内の炭素の存在を利用する。炭化珪素基板とコンタクト層との間の界面におけるこのように形成された三元金属相部は良好なオーム性コンタクトを提供する。金属の適切な選択により、珪化ニッケル層がレーザー熱アニール(LT:laser thermal annealing)により形成される現在のニッケルベースシステムを置換することが可能である。副産物としての炭素が形成されそしてコンタクト材料層の接着性が弱められる珪化ニッケル形成とは異なり、少なくとも三元成分系を含む金属相部の形成が良好な機械的頑強性を有するオーム性コンタクトの生成を可能にする。取得された三成分系は、分離された又は遊離炭素部分を界面に含まなくてもよく、従って、SiC基板上のコンタクトの低接着性による問題を克服する。従って、コンタクトの信頼性及び生成された半導体デバイスの頑強性は本明細書に説明される方法により改善され得る。加えて、珪化ニッケルベース接触方法と比較していかなる追加洗浄工程も必要ではなく、従って、取得される製品の総合収率を増加する。さらに、4H-SiC基板とチタンのコンタクト層との間の良好なオーム性コンタクトは例えば、生成された三元金属相の良好な電気的及び熱的伝導性のためにSiC基板の表面近くのドーパントの必要無く実現され得る。一般的に、本明細書において説明される方法は、いくつかの別の実施形態及び例を参照してこの後本明細書において説明されるように広いプロセスウインドウを提供する。
【0011】
別の実施形態は、結晶性炭化珪素基板と炭化珪素基板表面に直接接触した三元金属相部を含むコンタクト層とを含む炭化珪素半導体デバイスに関する。三元金属相部は、少なくとも金属コンタクト材料、珪素及び炭素を含み、そして結晶性炭化珪素基板上に少なくとも部分的にエピタキシャル成長される。金属相部は本明細書において説明される方法に従って取得され得る。さらに、金属相部は、コンタクト層と半導体相との間の界面の少なくともほとんどの部分に生成され得る。裏面側コンタクトでは、例えば三元相層が界面に形成され得る。この層は、連続的コンタクト層の形式で互いに隣り合って配置された結晶性三元金属相部のいくつかの粒子で構成され得る。加えて、粒子のそれぞれは例えば異なる結晶構造又は結晶格子配向を有し得る。従って、本明細書において説明される方法の1つにより取得可能な半導体デバイスは、提供される特定三元金属相部のおかげで良好且つ信頼可能なオーム性コンタクトを有し得る。
【0012】
しかし、本開示は上記特徴及び利点に制限されない。実際、当業者は、以下の詳細説明を読むとそして添付図面を見ると追加特徴及び利点を認識することになる。
【0013】
図面の要素は互いに対し必ずしもスケーリングされない。同様な参照符号は対応する同様な部分を指定する。様々な示された例の特徴は互いに排除しない限り組み合わせられ得る。いくつかの例が添付図面内に描かれ、そしてそれに続く明細書において詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】オーム性コンタクトを備えることになる炭化珪素基板を示す。
図2】修正された表面領域を有する炭化珪素基板を示す。
図3】その表面上の金属コンタクト材料層の蒸着後の基板を示す。
図4】炭化珪素基板の炭素富化部分の少なくとも一部分及びコンタクト層の少なくとも一部分の熱アニールレーザービームによる照射後の基板を示す。
図5】本明細書において説明される方法により取得された炭化珪素半導体デバイスの例示的実施形態を示す。
図6図4の炭化珪素半導体デバイスのコンタクト相部分を示す。
図7】オーム性コンタクトを備えることになる炭化珪素基板の別の実施形態を示す。
図8】部分的に修正された表面領域を有する図7の炭化珪素基板を示す。
図9】その表面上の金属コンタクト材料層の蒸着後の図8の基板を示す。
図10】炭化珪素基板の炭素富化部分及びコンタクト層の少なくとも一部分の保護マスク層を介した熱アニールレーザービームによる照射後の図9の基板を示す。
図11】保護マスク層の除去後の図10の基板を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以後、良好且つ信頼可能なオーム性コンタクトの製造と広いプロセスウインドウを提示することとを可能にする炭化珪素(SiC)基板上のコンタクトの製造プロセスについてさらに詳細に説明する。SiC基板は通常、処理される炭化珪素加工物である。例えば、SiC基板はSiCベースウエハーであり得る。SiC基板は代替的に、その上に半導体層が堆積される(例えばエピタキシャルプロセスを使用することにより)ベースウエハー(「成長基板」又は「成長ウエハー」とも呼ばれる)を含み得る。少なくとも1つのエピタキシャル層がSiC基板の前面側に隣接し得る。任意選択的処理工程では、金属コンタクト層はSiC基板の前面側に提供され得る。この場合、SiC基板は処理済みウエハーであり得る。SiC基板を有する例示的処理済みウエハーは、パワーMOSFET、ダイオード、J-FET、IGBTなどのようなMOFSETを含み得る。これらのSiCベース電子部品は通常、金属コンタクト層と接触される基板の裏面側にnドープSiC基板層を有する。基板の前面側では、基板と金属コンタクト層との間の界面におけるpドープ半導体層が信頼可能オーム性コンタクトのために必要とされ得る。パワーMOSFET又はダイオード構成部品におけるオーム性コンタクトのための製造方法に重点が置かれるが、本明細書において説明される実施形態及び例は、これらの特定電子部品に制限されるように意図されていない。その代りに、本方法はSiC基板に基づく他の電子部品(例えばSiC基板により含まれるエピタキシャル層)のオーム性コンタクトの製造のために使用され得る。さらに、用語「基板」は、いくつかのエピタキシャル層を含む処理済みウエハー(ここでは裏面側コンタクトが生成され得る前に成長基板が除去される)を含み得る。加えて、半導体基板前面側及び又は裏面側と金属層との間の界面はドーパントによりドープされ得る。例えば、前面側におけるnドープ層又は裏面側におけるpドープ層がまた、生成される電子デバイスに依存して選択され得る。ドーピング型「n」又は「p」毎に、異なるドーピング濃度が使用され得る。通常、これらの濃度は例えばn又はpとして識別される。本明細書では、基板のドーピングは特に指示されなかったが、必要ならば各実施形態において実施され得る。
【0016】
たとえ、本方法がオーム性コンタクトを有する裏面側及び前面側基板表面を提供するために使用され得ても、本方法はまた、nドープ裏面側コンタクトを提供するために使用され得る。用語「前面側」及び「裏面側」は断面図で示される例における配向を基準に使用される。実施形態の部品は多くの異なる配向で位置決めされ得るので、方向性術語は例示の目的の為だけに使用されており、従って決して制限されると考えられてはならない。
【0017】
オーム性コンタクトをその上に製造するために提供されるSiC基板(及び、適用可能ならばエピタキシャル層)は例えば結晶性(例えば単結晶性炭化珪素基板)であり得る。結晶性半導体材料の例示的実施形態は主として4H-SiC又は6H-SiC基板に基づく。従って、第1の工程は通常、結晶性基板(例えば4H-SiC基板)を提供することである。上に説明されたように、SiC基板は基板内にデバイス構造を含み得る。結晶構造を修正し、コンタクト層を形成し、そして炭化珪素基板の少なくとも一部とそれらの界面におけるコンタクト層の少なくとも一部とを熱アニールする工程の前に、別のデバイス構造が(例えば基板の前面側の)ベース基板内に生成され得る。別のデバイス構造が提供される場合、熱アニールプロセスは、デバイス構造にとって有害であり得る温度を超過しない温度に制限され得る。いくつかの例では、デバイス構造はそうでなければ保護され得る。
【0018】
一実施形態では、4H-SiC基板の結晶構造の修正は、4H-SiC結晶構造の分離(例えばSi-C結合を破壊することによる)を含み得る。熱アニールプロセスによる分解は3C-SiC層、ポリ珪素層及び炭素層への分離を引き起こし得る。4H-SiCの表面をレーザービームにより照射した後、相の分離が発生する。それらは次のように積み重ねられる:4H-SiC(初期基板)/3C-SiC/Si/C。従って、SiC基板の修正された表面領域は、SiC基板の表面に近い炭素豊富(carbon-rich)層を有する炭素富化炭化珪素部分として説明され得る。
【0019】
次の工程では、コンタクト層がSiC基板の炭素富化部分上に形成され得る。コンタクト層は金属コンタクト材料で構成される。例示的コンタクト材料は少なくとも遷移金属(例えばチタン)を含み得る。熱アニールにより珪素及び炭素を有する安定した三元相を形成することができる限りMo、Cr、Vなどの代替遷移金属材料が使用され得る。
【0020】
熱アニールは、修正された結晶構造を有する炭化珪素基板表面とコンタクト層との間の界面において行われ得る。具体的には、炭化珪素基板の炭素富化炭化珪素部分の少なくとも一部及びコンタクト層の少なくとも一部はアニールプロセスにより熱的に処理され得る。熱的に処理された部分における温度は半導体材料に接触する新しい相の形成を開始するためには十分であり得る。レーザー誘起アニールが、熱アニールの際に高温を使用する代わりに使用され得る。これは、ウエハーを前面側デバイス構造が影響されないような温度での熱アニールに晒すことを可能にする。いくつかの例では、熱アニール手順は、良好なオーム性コンタクトを提供する金属相部を界面に生成することを可能にする。いくつかの実施形態では、コンタクト相部分は少なくとも金属コンタクト材料、珪素及び炭素を含む。熱アニール中、金属コンタクト材料層の少なくともいくつかの部分及びSiC半導体基板の少なくともいくつかの部分は結晶構造が少なくとも部分的に分解されるように局所的に加熱(例えばレーザー誘起)される。クールダウン中、金属コンタクト材料層からの金属並びにSiC半導体基板からの珪素及び炭素を含む反応生成物が炭化珪素半導体基板上にエピタキシャル成長し得る。いくつかの例では、取得された金属相部は、金属材料層及びSiC半導体基板の少なくともいくつかの部分(これらの2つの層間の界面の近くの)内の格子不整合無くエピタキシャル成長され得る。少なくともいくつかの部分は、少なくとも1つの又はさらには多くの原子層又は粒子部の生成を含む層の一部であり得、次にいくつかの粒子の層内に再び配置され得る。レーザー誘起熱アニールにより取得される金属相部は、結晶性4H-SiC基板の上の極度に質感のある(extremely textured)金属層として説明され得る。他の接触方法とは異なり、4H-SiC基板と新しく生成された金属相部との間の直接コンタクトが得られるように十分な熱エネルギーが印可されればいかなる3C-SiC層又は炭素層も観察され得ない。ほぼ乱されない結晶構造は、界面に近い4H-SiC層内の相対的に高い移動度に責任があり得る。従って、金属相部の非常に規則的コンタクト相と共に半導体材料のこの非常に規則的結晶構造が、コンタクト層界面の半導体に近い高移動度を有する良好なオーム性コンタクトの形成の理由であり得る。
【0021】
金属相部は、金属コンタクト材料の良好なオーム性コンタクトを炭化珪素へ呈示することを可能にする。炭素がNiSiの上の黒鉛炭素層を形成するために時々追い出されるNiSi系とは異なり、コンタクトが本明細書において説明される方法に従って炭化珪素基板上に製造される場合に金属相部内に存在する炭素などのいかなる副産物も限定数の副産物もほぼ存在しない。従って、本方法は、基板のさらなる処理に対する悪影響を有し得ないし後処理洗浄工程も必要とし得ない。要約すれば、機械的及び電気的観点から、少なくとも金属、炭素及び珪素を含む金属相部は、SiCベース基板上のオーム性コンタクトを提供するための現在のNiSiベース系とは対照的に頑強な系を特色とする。一般的に、本方法は、いくつかの別の実施形態及び例を参照してこの後説明されるように広いプロセスウインドウを提供する。
【0022】
本方法のいくつかの実施形態では、結晶構造の修正は、少なくとも1つの第1の熱アニールレーザービームにより炭化珪素基板の表面領域を照射することを含む。照射は1又は複数の(例えば2、3、又は4以上の)熱レーザーアニール工程により行われ得る。従って、別の実施形態では、第1の熱アニールによる照射は少なくとも2つのその後のレーザーアニール工程を含む。2つ以上の熱アニール工程が結晶構造を修正するために行われ、そして炭素富化炭化珪素部分を生成する場合、レーザービーム照射はその後の工程で適用され得る。例示的レーザービームエネルギー密度は例えば150ns程度のパルス持続時間を有するUVレーザーシステムに関して1J/cmより高い。エネルギー密度は約1~約10J/cmの範囲内にあり得る一方で、繰り返し周波数はエネルギーがより低ければより高くなり得る(例えば2J/cmでは、10サイクルが十分であり得る一方で、4J/cmでは2ショットが十分である)。いくつかの例では、3J/cmより高いレーザービームエネルギー密度が適用され得る。従って、様々なレーザーインカップリング(laser incoupling)特性を有するシステムにおけるエネルギー密度(例えば様々な波長及び/又はパルス持続時間に起因する)が炭素富化層を生成するために調節され得る。これは、多数のレーザーショットを非平衡相内へ加える(例えば複数のレーザーショットをkHz又はMHz周波数範囲内で印可することにより)固有実用的原則を有するレーザーシステムに関して特に当てはまる。この場合、5mJ/cmより高いエネルギー密度値が炭素富化層を生成するために十分である。
【0023】
いくつかの実施形態では、例えば4H-SiC基板の結晶構造の修正は、炭化珪素基板の相分離と炭素富化炭化珪素部分内の少なくとも3C-SiCポリタイプ部分の生成とを含む。上に説明されたように、4H-SiC基板の結晶構造の修正は、Si-C結合の破壊又は結晶格子秩序の少なくとも弱化を引き起こし得る。熱アニール処理による(例えば熱アニールレーザービームによる処理領域の照射による)分解は3C-SiC層、ポリ珪素層及び炭素層への分離を引き起こし得る。このように取得された炭素層は3C-SiC層と下にある元の4H-SiC基板とに近接している。従って、SiC基板の表面に近接した炭素豊富層を有する炭素富化炭化珪素部分が、取得され、そして本明細書において説明される方法に従ってオーム性コンタクトを作製するために好適に使用される。
【0024】
別の実施形態では、結晶構造を修正する工程は炭素原子を炭化珪素基板の表面領域内へ注入することを含む。追加炭素原子を炭化珪素基板の表面領域内へ注入することにより、炭化珪素基板の表面において又はその近くに炭素富化炭化珪素部分が生成され得る。本明細書において説明される処理工程に従って、この炭素富化炭化珪素部分は、前に本明細書において説明された三元金属相部を生成するためにコンタクト層を形成しそしてこれらの層の少なくともいくつかの部分をそれらの界面において熱アニールする工程によりオーム性コンタクトを製造するために使用され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、炭化珪素基板の表面領域中への炭素原子の注入は、炭素のプラズマ蒸着、標準的注入又は傾斜注入により行われ得る。プラズマ蒸着のための例示的前駆体はC又はCFである。非常に表面近くの炭素濃度を作製するために、約1~10keVの範囲内の例示的加速エネルギーが使用され得る。約3E22cm-3~1E23cm-3の範囲内の炭素濃度が、これらのプラズマ蒸着条件を使用することにより炭素富化炭化珪素部分内に生成され得る。追加炭素濃度の最高濃度は、処理される炭化珪素基板の表面の近くの最初の数ナノメートル(例えば2~20nm、より具体的には約5~10nm)内に作製され得る。代替炭素濃度プロファイル形式は照射方法の様々なパラメータをチューニングすることにより取得され得る。
【0026】
本明細書において説明される方法のいくつかの実施形態では、構造化(structured)保護マスク層が、炭化珪素基板の修正及び/又はコンタクト層の少なくとも一部の熱アニール時に結晶性炭化珪素基板の少なくとも一方の側に提供される。デバイス構造がレーザーパルスにより照射される結晶性基板の一方の側に提供されれば保護マスク層(例えばハードマスクの形式の)が使用され得る。この場合、構造化保護マスク層は熱敏感デバイス構造を保護するために使用され得る。いくつかの例では、構造化保護マスク層は半導体基板の表面内に又はその上に提供されるデバイス構造とアライメントされ得る。非保護(non-protected)表面領域は例えば導電性金属構造を備えるべき領域である。珪素基板の修正及び/又は熱アニール後、構造化保護マスク層は、保護マスク層材料の化学的又は物理的特性に依存する適切な工程により除去され得る。従って、本明細書において説明される方法はフロントエンドプロセス(front-end-of-the-line process)及び低温バックエンドプロセス(low-temperature back-end-of-the-line process)において使用され得る。特に、保護マスク層は、デバイス構造が構造化保護マスク層により保護され得るように半導体デバイスの前面側において使用され得る。
【0027】
保護マスク層材料は、レーザー熱アニール中にレーザービームの放射エネルギーの反射率及び/又は吸収率(炭化珪素より高い)を有する被覆材料から選択され得る。いくつかの例では、保護マスク層は、材料及びその厚さに依存して、レーザー熱アニールにより処理される炭化珪素基板の表面上に照射されるレーザービームの放射エネルギーの少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも70%を反射又は吸収し得る。使用される材料は、十分な反射率、吸収率、又は反射率及び吸収率を同時に提供し得る。反射率及び吸収率は、保護マスク層の厚さ及び使用される材料に依存して変動し得る。
【0028】
保護マスク層の例示的材料(例えば高反射率を有する材料)は、酸化珪素(例えばSiOなどのSiO)又は窒化珪素(例えばSiなどのSi)又は両材料の組み合わせで構成され得る。保護マスク層の層厚又は保護マスク層の構造(例えば、異なる材料の2つ以上の層は積み重ねられた保護マスク層としてラミネート化される)に依存して、少なくとも50%、少なくとも60%又は少なくとも70%(例えばブラッグ被膜と組み合わせで)の反射率がLTA工程中に取得され得る。これらの結果は例えば308nmの波長を有する典型的レーザーが使用されれば達成され得る。適切な吸収率のレーザーエネルギーを有する代替材料は例えばSiに基づき得る。いくつかの材料は、炭化珪素より高い反射率及び吸収率を有し得、従って、本明細書において説明されるプロセスにおいて保護マスク層材料として適切に使用され得る。いくつかの例では。保護マスク層は、炭化珪素基板の表面上でBragg状構成で様々な材料を被覆することにより作製される層であり得る。従って、Bragg状被膜において使用される材料は異なる反射率を有し得る一方で、全反射率又は吸収率は炭化珪素又は各被覆材料自体のものより高い。
【0029】
保護マスク層は、例えば吸収率又は吸収率及び反射率を提供するためのSiO及びSi(Si)を含み得る(例えばBragg状構成との組み合わせで)。酸化珪素又は窒化珪素又は珪素は適切な被覆工程により容易に構築され得る。よく知られ且つ最適化された被覆プロセスは炭化珪素基板処理に利用可能である一方で、これらの被覆プロセスの化学は知られおり、そして適切な厚さ又は厚さ変動は既知のプロセスにより調節され得る。
【0030】
従って、保護マスク層の使用は、レーザーパルスにより結晶性炭化珪素基板の前面側を照射する際の(4H-SiC基板から離れた)前面側デバイス構造(例えばSiO/4H-SiC又はSiO/ポリSi界面に作製された構造)の劣化のリスクを回避又は低下することを可能にする。デバイス構造は保護マスク層により遮蔽又は保護される一方で、三元金属相は反射性マスク層により保護されない領域内に生成され得る。本明細書において説明される三元金属相を有する領域は改善された接触抵抗振る舞いを有するコンタクト領域を提供する。
【0031】
本明細書においてさらに説明されるのは、例えばコンタクト領域が形成されるべき半導体デバイスの前面側における半導体デバイスの特定領域内への(特に、デバイス構造又は熱敏感構造を有する領域内への)レーザーインカップリングの影響を低減又は削除するための保護マスク層(例えば反射性マスク層及び/又は吸収層)の使用である。裏面側コンタクトは、本明細書において説明される実施形態による反射性マスク層の使用により同様に実現され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、処理されるが保護マスク層により保護されない領域は反射防止被膜を追加的に備え得る。このような反射防止被膜を使用することは、良好な接触抵抗を有する領域を生じ得る一方で、三元金属相の生成に必要とされるレーザーパルスのエネルギーを低下させる。反射防止被膜は一般的に、それらの表面におけるレーザーパルスの反射の量を低下させる。従って、より高いエネルギーレベルが、これらの反射防止被膜の下の領域内で測定され得る。従って、保護マスク層(例えば反射性マスク層及び/又は吸収層)と反射防止被膜との組み合わせは、選択された領域において高接触抵抗を有する半導体デバイスを作製する方法を改善するために使用され得る一方で、修正されるように意図されていない領域中へのレーザーインカップリングが同時に低減又は削除され得る。
【0033】
保護マスク層を使用する上記方法は、二重LTAプロセスにおいてだけでなく炭化珪素基板上へ金属コンタクト材料層を蒸着しそして炭化珪素基板の少なくとも一部及び金属コンタクト材料層の少なくとも一部を照射することにより炭化珪素半導体基板上のコンタクトを製造する方法においても使用され得る。照射レーザーパルスのエネルギーは溶融プロセスにより炭化珪素基板を分解し得る。溶融された炭化珪素基板領域のクールダウン後、コンタクト相部分が炭化珪素材料とコンタクト材料との間の界面に生成され得る。冷やされた材料は、少なくとも金属、珪素及び炭素の三相系を含む結晶子の粒子から構成され得る既に本明細書において説明された三元相(時にMAX相とも呼ばれる)を含み得る。構造化形式の保護マスク層の使用は、例えば炭化珪素半導体製品の裏面側だけでなく前面側の良好なコンタクトの製造のためのこの方法の使用を可能にし得る。
【0034】
いくつかの実施形態によると、取得された炭素富化炭化珪素基板表面上に蒸着されたコンタクト層はコンタクト材料としての金属成分に基づく。コンタクト層の例示的金属成分は、金属、珪化金属、金属炭化物又は金属の三元珪化物及び炭化物を含む。いくつかの例では、金属は遷移金属であり得る。遷移金属は、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、クロム(Cr)及びタングステン(W)のグループから選択され得る。これらのすべては、SiCベース半導体デバイスの良好なコンタクト材料を確立するのに好適であり得る化学的及び物理的性質を有する珪素及び炭素を有する安定三元相を生成し得る。いくつかの実施形態では、金属コンタクト材料は少なくともチタンを含む。
【0035】
一実施形態では、コンタクト層材料は、チタン、炭素及び珪素の混合物(例えばTiSiCに化学量論的に等しい又は似た)を含み得る。例えば、前に説明したように作製された半導体基板上へのこの混合材料のスパッタリングは前面側オーム性コンタクトのために使用され得る。同様な効果は裏面側コンタクトの作製に使用されると取得され得る。基板上への混合材料のスパッタリング後、TiSiCの略エピタキシャル的再配置を生成するのに十分な高熱を提供するエネルギー密度を有するLTAパルスが印加され得る。LTAプロセスは、前に形成された炭素及び珪素を消費する非常に規則的三元相(例えばMAX相)の生成を開始し、従って、金属層間剥離のすべての原因を削除し、そして金属相部を高移動度4H-SiC層上へ提供する。このように生成されたオーム性コンタクトは、接触抵抗を悪化すること無く源ドーピングレベルを低下し得る。従って、オーム性コンタクトは、短絡頑強性のためのこの方法により生成される半導体デバイスを改善し得る。TiSiCは、非常に良好な電気的及び熱的伝導性を有し、従って電流フィラメント化の場合の良好な熱拡散を可能にする。さらに、混合チタン珪素炭素相は非常に高い熔融温度を有し、良好且つ頑強なオーム性コンタクトを有する半導体デバイスの製造を可能にする。
【0036】
一実施形態によると、炭素富化炭化珪素基板とコンタクト層との間の界面の熱アニールは、少なくとも1つの第2の熱アニールレーザービームにより行われる。金属コンタクト材料としてチタンを有するシステムでは、例えば、約20~40nmの厚さにおいて、例示的熱アニール手順は、少なくとも4.0J/cmのエネルギーを有するレーザービームの使用を含み得る。三元相形成に必要とされるエネルギー密度は、実装された炭素の含有量を増加することにより低減され得る。従って、追加炭素注入が三元相の成長及び接触抵抗の低減を促進し得る。金属層のより厚い厚さは、チタン、珪素及び炭素を含む結晶子の粒子を形成するためにより高いエネルギー処方を必要とし得る。2つ以上のその後のレーザーパルスが同じ場所に印加される場合、より低いエネルギー密度(例えば3.8J/cm以上)、より具体的には3.9J/cm以上(例えば約4.0J/cm)が結晶子を形成するのに十分であり得る。他の金属がコンタクト材料として使用される場合、異なるエネルギー密度及び厚さが適用され得る。オーム性コンタクトを生成するために、結晶子の少なくとも一部は、金属コンタクト材料層と半導体基板との界面の近くの炭化珪素半導体基板上でエピタキシャル的やり方で成長すべきである。
【0037】
別の実施形態では、炭素富化炭化珪素部分の少なくとも一部及びコンタクト層の少なくとも一部の熱アニールは、炭素富化炭化珪素部分の少なくともいくつかの部分及びコンタクト材料のいくつかの部分の溶融と取得された三元金属相部をエピタキシャル的に再編成することとを含む。従って、前に説明されたレーザー熱アニール手順は、単一レーザービーム照射として又は2つの又はさらには3つ以上の独立レーザービームを有するその後の照射として使用され得る。いくつかの実施形態によると、少なくとも1つの熱アニールレーザービームによる照射は、金属コンタクト層を溶融するために調節され、そして炭化珪素半導体基板と金属コンタクト材料層との少なくとも部分的界面における炭化珪素半導体基板内の金属原子の拡散を可能にする。「少なくとも1つ」は、同じ場所に2つ以上の独立して印可されるレーザービームの印可を意味し得る。2つ以上のレーザービームの印可の適時重なりが可能であり得る。いくつかの実施形態では、2つ以上のレーザービームは、照射の場所における生成された混合相のクールダウンに続いて印加され得る。少なくとも1つのレーザービームにより照射されると、金属材料は炭化珪素と反応する。従って、半導体基板の構成元素(すなわち珪素と炭素)は反応溶融により消費され、金属、珪素及び炭素の三元相を形成する。炭化珪素半導体基板のレーザー熱アニールにより時々取得される副産物は、金属材料成分を有する三元相の形成に起因してこのプロセスにおいて生成され得ない。三元相の形成は溶融炭化珪素半導体基板成分内の金属原子の拡散プロセスとして説明され得る。「溶融された」は、炭化珪素結晶構造及び炭化珪素結合の分解、従って新しい結晶性相(所謂三元相)の形成を可能にすることを意味する。
【0038】
第2の熱アニール手順の印加エネルギーは、金属、珪素及び炭素の三元相を含む三元金属相部が取得されるように調節される。三元相は、金属、珪素及び炭素を含む結晶性(相単結晶性又は多結晶性など)を含む任意の三成分相系であり得、ここで、金属は半導体基板上に蒸着される金属コンタクト材料に基づく。
【0039】
いくつかの実施形態では、界面における金属相部は三成分系の2つの成分の混合された結晶性相であるが、第3の成分が挿入される。いくつかの実施形態では、界面における金属相部はすべての3成分を含む結晶相であり得る。化学量論だけでなく結晶構造も、三元相内に存在する3つの成分のそれぞれ成分の含有量に高度に依存する。
【0040】
いくつかの実施形態では、界面における金属相部は粒子を含み得、これらの粒子の少なくとも一部は六方晶系結晶構造を含み得る。具体的には、すべての粒子は、例えば連続的結晶でないかもしれないので、これらすべてが厳密にエピタキシャル的に成長されるわけではない。例えば、粒子は、非六方晶系構造を含む可能性がある様々な配向の不連続六方晶系粒子であり得る。しかし、粒子の少なくとも一部は、三元相が結晶性SiC半導体基板材料と同じ又は同等である格子定数を有し得るので半導体基板上にエピタキシャル成長される。六方晶系結晶構造を有する例示的三元相はMn+1AX相(MAX相とも呼ばれる)として特徴付けられ得、ここで、Mは金属又は初期遷移金属であり、Aはメタロイド(例えばグループ12~16からの元素)であり、例えば珪素であり、そしてXは炭素又は窒素である。六方晶系SiCと同様な格子定数を有するこのようなMAX相の例は、TiSiC、TiSiC又はMoSiCである。金属コンタクト成分としてのチタンの場合、三元金属相部はTiSiを含み得、ここで、x=2.8~3.2、y=1、z=1.8~2.2である。
【0041】
いくつかの実施形態では、取得された金属相部は、特別な化学的及び物理的性質を有する材料として文献において説明される所謂MAX相と同様な珪素の挿入層を有する遷移金属炭化物の層を含む。しかし、いくつかの例では、金属相部は、これらのMAX相に関し説明されたような厳密な化学量論から逸脱し得、そして十分なエネルギー密度を有する照射により取得されるいくつかの粒子内に異なる含有量(例えばより高い含有量)の珪素を有し得る。いくつかの例では、粒子は、いかなる遷移金属炭化物結晶構造もEDX(元素分析)又はXRD測定において観察され得ない三元相から主として構成される。界面に近接した粒子又は三元相層は最低珪素濃度を含み得る一方で、金属コンタクト材料層内へさらに延伸する層内の粒子はより高い含有量の珪素を三元相内に有し得る。従って、異なる秩序のMAX相がコンタクト相部分内に含まれ得る。例示的MAX相では、我々は異なる数の積み重ねられた又は積層化された遷移金属炭化物結晶ユニットを発見し得る。例えば、1つのSi層が挿入される前に1又は2又は3つのこのような結晶ユニットの積み重ねが生成され得、従って三元相を形成する。従って、結晶ユニットの積み重ねの数に依存して、珪素含有量は金属相部のこのような三元相内で変動する。いくつかの例では、結晶ユニットは、金属相部のSi欠乏(Si-poor)又はSi豊富(Si-rich)三元相が生成され得るように様々な含有量のSiマトリクス内に埋め込まれていると見なされ得る。いくつかの例では、粒子の層又は連続的三元相層は、約0~25%珪素、より具体的には約5~15%珪素、特には約5~7%珪素により挿入されたチタン遷移金属炭化物結晶構造を含む。
【0042】
前に説明された方法は炭化珪素半導体デバイスを作製するために使用され得る。従って、これらの方法により取得可能な又は取得される炭化珪素半導体デバイスは本明細書において説明された製品の範囲内に入り得る。炭化珪素半導体デバイスのいくつかの実施形態は、結晶性炭化珪素基板と炭化珪素基板表面に直接接触した三元金属相部を含むコンタクト層とを含み、三元金属相部は少なくとも金属コンタクト材料、珪素及び炭素を含む。いくつかの実施形態によると、三元金属相部は結晶性炭化珪素基板上に少なくとも部分的にエピタキシャル成長され得る。これらの半導体デバイスでは、良好なオーム性コンタクトは本明細書において説明される改善された金属相部の存在のおかげで実現され得る。金属相は、少なくとも金属コンタクト材料、珪素及び炭素を、混合で、より具体的には半導体基板表面と金属コンタクト材料層との間の界面において良好なオーム性コンタクトを提供する結晶性形式で、含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、炭化珪素半導体基板との界面における金属コンタクト相部分は粒子を含み、これらの粒子の少なくとも一部は六方晶系結晶構造を含む。六方晶系結晶構造は、界面の少なくともいくつかの部分における半導体基板表面上にエピタキシャル的やり方で成長され得、これにより少なくともこれらの部分におけるオーム性コンタクトを改善する。いくつかの例では、基板表面全体は界面に金属相の非常に規則的な結晶構造に起因するオーム性コンタクトを備える。従って、非常に規則的な金属相部は、高移動度を有する4H-SiC基板との良好なオーム性コンタクトを提供し得る。3C-SiC中間層に基づくコンタクトと比較して、4H-SiC半導体材料は、自由電荷担体のより高い移動度のおかげで電荷担体の改善された移動度を提供し、従って接触抵抗を著しく低減する。4H-SiC層配置内の局所3C-SiC領域もまた可能である。
【0044】
いくつかの実施形態では、炭化珪素半導体デバイスはコンタクト層の上に蒸着された少なくとも1つの別の金属層を含み得る。これは、完成品内の他のデバイス構造に対する完成半導体デバイスの接触及び結合特性を改善することを可能にする。いくつかの実施形態では、コンタクト層は裏面側コンタクトとして提供される。別の実施形態では、半導体基板は、後面側のオーム性コンタクトが製造され得る前に前面側表面にいくつかのデバイス構造を含み得る。
【0045】
本明細書において説明される製造方法は、広いプロセスウインドウを提示する効率的やり方でオーム性コンタクトの製造を可能にする。副産物のほぼいかなる析出もオーム性コンタクトの製造中に観察されないので、後処理洗浄工程は必要でないかもしれない。これは総合収率を増加させる。同時に、取得された半導体デバイスは、電荷担体の良好な機械的頑強性、高信頼性及び高移動度を提示する。このように取得されたSiCベース半導体デバイスは良好且つ均質なオーム性コンタクト(特に半導体基板の裏面側の)と共に生成される。金属相部内の特定三元相のおかげで、オーム性接触抵抗は現在の珪化ニッケルベース系又は3C-SiCベース系におけるものより低くなり得、従って本明細書において説明される方法により取得可能な半導体デバイスの電気抵抗を低減する。界面における非常に良好な接触抵抗は、MOSFET、ダイオード、J-FET、IGBTなどのSiCベース半導体デバイスのオン状態損失の低下に寄与する。
【0046】
上記実施形態は、本方法とそれにより取得される半導体デバイスとの特定例を示す添付図面を参照することによりさらに説明されることになる。次に図1~4を参照すると、半導体デバイスの例示的実施形態を製造する方法が示される。図1はオーム性コンタクトを備えることになるSiC基板の断面図を示す。単結晶SiC基板層10は例えば4H-SiCウエハー材料を主として含み得る。準備工程として、ウエハーはSiCの研磨された表面を提供するために典型的薄膜化技術により作製され得る。
【0047】
次に図2を参照すると、本明細書において説明される例示的方法の別の工程では、SiC基板裏面側内への炭素のプラズマ蒸着は前駆体(例えばC又はCF)を利用して行われた。加速エネルギーは1~10keVの範囲内であった。約3E22cm-3~1E23cm-3の取得された高炭素濃度が、SiC基板表面の非常に近くの位置においてその最大を有する濃度プロファイルで検出されることができた。炭素原子のほとんどは約5~10nmの表面までの距離を有する領域内に注入された。炭素富化SiC部分15の全厚は約50nm、より具体的には約40nm(例えば約30nm)である。
【0048】
炭素富化SiC基板部分15はまた、少なくとも1つのレーザービームによる第1のレーザー熱アニールにより生成され得、従ってSiC基板10の上にこの順番で積み重ねられる3C-SiC層、ポリ珪素層及び炭素層を生成する。
【0049】
次の工程では、コンタクト層20が図3に示されるようにSiC基板10の炭素富化SiC部分15上に蒸着される。例えば、チタン層が約40nmの厚さでスパッタリング又は化学気相蒸着技術により蒸着され得る。代替厚さレベルは約20~150nm(より具体的には約20nm又は約40nm又は約100nm)であり得る。
【0050】
金属化SiC基板表面(SiC基板の炭素富化部分15とその上に蒸着されたコンタクト層20との間の界面を意味する)はレーザー熱アニールに晒される。炭素富化SiC基板15の少なくとも一部及びコンタクト層20の少なくとも一部の照射が、金属材料としてのチタンと半導体基板のSiCとの反応を生成するためにアニールレーザービームによる照射により行われ得る。半導体基板の構成元素(すなわちSi及びC)は、高温下のこの反応により消費され、そしてチタン、珪素及び炭素の三元相を含む層(金属相部30)を生成する。遊離炭素クラスタなどの副産物はほぼ生成されないということが観測された。さらに、3C-SiC層が第1の熱アニール工程において形成された場合、この層はまた、十分なエネルギー密度のレーザービームが印加されていれば再結晶されたかもしれない。4H-SiC基板に対する三元金属相30の直接接触は電荷担体の高移動度を可能にし、従って良好なオーム性コンタクトを可能にする。このようにして作製されたSiC半導体デバイス100が図4に示される。金属相部30のほとんどは少なくとも3つの成分(すなわちチタン、珪素及び炭素)を含む三元相で構成される。いくつかの例では、特に、混合金属コンタクト材料が使用されれば、第4の成分又は追加成分がコンタクト相部分内に存在し得、これにより三元相の代わりに4つ以上の成分の混合相を形成する。
【0051】
SiC結晶構造を分解するのに十分高い温度を生成しそしてチタンを有する三成分系を形成するために、レーザービームのエネルギー密度はそれに応じて調節される。いくつかの例では、2つ以上のレーザーパルスが結晶構造の溶融及び三元相の形成を実現するために印加され得る。特に、金属コンタクト材料としてチタンの系では、4.0J/cm以上は、SiC基板10と蒸着されたチタンコンタクト層20との間のオーム性コンタクトを1つのレーザー熱アニール工程で形成するために十分である。炭素富化部分15内の炭素のより高い含有量はレーザー熱アニール工程において印加されるエネルギー密度を低減することにより良好なオーム性コンタクトを生じ得るということが観測された。2つのレーザー熱アニール工程又は2つのその後のレーザービーム照射を使用することにより、各レーザービームのエネルギー密度が低減され得る。例えば、2回の3.8又は4.0J/cmは、約4.0J/cmを有する単一レーザー熱アニール工程と比較して、同様な又は改善されたオーム性コンタクトを取得するために十分であり得る。
【0052】
図5は、本明細書において説明される方法により取得された炭化珪素半導体デバイス100の例示的実施形態を示す。結晶性SiC基板10は、薄膜化工程がその後面側に行われ得る前に前もって作製されたいくつかのデバイス構造50を有するその前面側表面に提供され得る。SiC半導体デバイス100はさらに、金属相部30、コンタクト層20、及び結晶性SiC基板層10の裏面側上に蒸着された別の金属層25を含む。本明細書において説明される方法を使用することにより、ウエハー全体を加熱すること無く結晶性SiC半導体基板の裏面側に良好なオーム性コンタクトを生成することが可能である。従って、既に作製されたデバイス構造50は過度な熱に起因して破損されない可能性が高い。SiC基板との界面における又はその近くの三元金属相部の生成は十分に高いエネルギー密度で行われるので、三元TiSiC相の成長はエピタキシャル的やり方で発生し、SiC基板の格子定数をコンタクト相部分の少なくともいくつかの部分内で採用する。従って、たとえコンタクト相部分が典型的MAX相のTiSiC化学量論と必ずしも整合しなくても良好なオーム性コンタクトの形成が得られる。恐らく、コンタクト相部分内の成長された結晶子同士の整合はSiC半導体基板との接触抵抗を著しく低減する。同時に、このコンタクトは良好な機械的頑強性及び高信頼性を提供する。
【0053】
図6図5の炭化珪素半導体デバイスの金属相部を示す。金属相部30では、粒子40の少なくとも1つの層が、十分なエネルギー密度を有する少なくとも1つのレーザービームによる照射により形成される。各粒子は三元TiSiC相で構成される。SiC基板10との界面における粒子40の少なくともいくつかは結晶性六方晶系構造を含む。いくつかの例では、粒子40のほとんどは六方晶系結晶構造を有し、従って接触抵抗率を減少させそして良好なオーム性コンタクトを提供する。別の例では、これらの粒子40の少なくとも一部は、SiC基板10とコンタクト層20との界面での接触抵抗をさらに減少させるために結晶性SiC基板10の結晶格子に対しエピシャル的に配向される。粒子の層はこの図では単に概略的に示される。粒子の層は、様々なサイズを有する粒子、珪素により満たされた穴、又はTiSiCマトリクス材を含み得る。粒子の層はまた、いくつかの粒子層の積み重ねられた層を含み得る。
【0054】
次に図7~11を参照すると、例示的実施形態の半導体デバイスを製造する代替方法が示された。図7はオーム性コンタクトを備えることになるSiC基板の断面図を示す。図1の実施形態に関し説明された単結晶SiC基板層10は例えば4H-SiCウエハー材料を主として含む。図1~4に示される実施形態により説明されたいかなる特徴も、ここで再び繰り返されないとしてもこの実施形態において具現化され得る。この代替実施形態では、SiC基板はその一方の側において、基板の表面において又はその近くにいくつかのデバイス構造50を有する。デバイス構造50は、熱敏感であり得、従って熱による変質を回避するためにLTA処理中にレーザーパルスにより直接照射され得ない。逐次的処理工程中にそれらを保護するために、構造化保護マスク層70がSiC基板上に設けられる。保護マスク層70は、LTAレーザーパルスから保護されるようにSiC基板10のそれらの領域に生成され得る。
【0055】
次に図8を参照すると、本明細書において説明された例示的方法の別の工程では、SiC基板10中への炭素のプラズマ蒸着がコンタクト領域が設けられるべき表面の近くの炭素濃度を増加させるために行われた。炭素富化SiC基板部分15はまた、少なくとも1つのレーザービームによる第1のレーザー熱アニールにより生成され得、こうしてSiC基板10の上のこの順番で積み重ねられる3C-SiC層、ポリ珪素層、及び炭素層を生成する。保護マスク層70はマスクの下の(すなわちデバイス構造50がSiC基板10の前面側に提供される領域における)レーザーパルスの影響を低減又は削除する。この実施形態では、酸化珪素を含む反射性マスク層が使用され得る。代替的に、様々な材料(例えば酸化珪素と窒化珪素)の反射性マスク層が例えば3つ以上の異なる逐次的層のBragg状ラミネート構造の薄い被覆として提供され得る。加えて又は代替的に、吸収層としての珪素層が保護マスク層内で使用され得る。
【0056】
次の工程では、コンタクト層20が図9に示されるようにSiC基板10の炭素富化SiC部分15上に蒸着される。従って、コンタクト層20は、完成品の金属コンタクト(デバイス構造50の上には金属コンタクトは無い)のために使用されるべきである領域に提供される。例えば、チタン層が約40nmの厚さでスパッタリング又は化学気相蒸着技術により蒸着され得る。代替厚さレベルは約20~150nmであり得、より具体的には約20nm又は約40nm又は約100nmであり得る。
【0057】
金属化されたSiC基板表面(すなわちSiC基板の炭素富化部分15とその上に蒸着されたコンタクト層20との間の界面)はレーザー熱アニールに晒される。炭素富化SiC基板15の少なくとも一部及びコンタクト層20の少なくとも一部の照射が、金属材料としてのチタンと半導体基板のSiCとの反応を生成するためにアニールレーザービームによる照射により行われ得る。半導体基板の構成元素(すなわちSi、C)は高温下のこの反応により消費され、そして図1~4の実施形態により説明されたようにチタン、珪素及び炭素の三元相を含む層(金属相部30)を生成する。図10に示すように、保護マスク層70は、レーザーパルスによるデバイス構造50の直接照射を低減又は削除しこれによりデバイス構造50を熱変質から保護するために使用される。
【0058】
いくつかの例では、非反射性被膜(図には示されない)が、処理される基板表面のこれらの部分上に被覆される。非反射性被膜は、三元相へ変換される基板のいくつかの部分においてエネルギーを増加し得る一方で、処理される基板の近隣領域(特に、保護マスク層70による保護されるとともにデバイス構造50を含む領域)は実質的に加熱され得ない。本明細書において説明される保護マスク層70に加えての反射防止被膜の使用は取得される半導体デバイス100の信頼性を改善し得る。
【0059】
(第2)熱アニール後、保護マスク層70は好適な機械的又は化学的プロセス(エッチプロセスなど)により除去され得る。保護マスク層70の使用は図11に示すSiC半導体デバイス100を生じる。金属相部30の大部分は少なくとも3つの成分(すなわちチタン、珪素、炭素)を含む三元相で構成される。いくつかの例では、特に、混合金属コンタクト材料が使用されれば、第4の成分又は追加成分がコンタクト相部分内に存在し得、これにより三元相の代わりに4つ以上の成分の混合相を形成する。金属コンタクト領域が作製されない領域内に、デバイス構造50が存在し得る。従って、この実施形態はまた、前面側コンタクトプロセスのために適切に使用され得る。一般的に、保護マスク層は、1又は複数のLTAプロセス有り又は無しのいずれかで裏面側及び/又は前面側コンタクトの作製方法において使用され得る。
【0060】
単結晶SiC基板上のコンタクトの上記製造方法は、広いプロセスウインドウ内の信頼可能オーム性コンタクトの製作を可能にする。従って、製造プロセス全体は、より容易であり、そして良好且つ信頼可能なオーム性コンタクトと取得されたSiC半導体デバイスの改善された頑強性とを生じる。
【0061】
「第1」、「第2」などの用語は、様々な実施形態、層、工程、順番などを説明するために使用されており、そしてまた制限するように意図されていない。同様な用語は本明細書全体にわたって同様な要素を指す。
【0062】
本明細書で使用されるように、用語「有する」、「含む」などは、上述の要素又は特徴の存在を示す開放型用語であり、追加要素又は特徴を排除するものではない。単数形式の不定冠詞及び定冠詞は文脈が明確に指示しない限り単数形式だけでなく複数形式のものも含むように意図されている。
【0063】
本明細書において説明される様々な実施形態の特徴は別途特記しない限り互いに組み合わせられ得るということを理解すべきである。
【0064】
特定実施形態が本明細書において示されそして説明されたが、多種多様な代替及び/又は等価実装形態が、本開示の範囲から逸脱すること無く、示され説明された特定実施形態及び例を置換し得るということが当業者により認識されることになる。本出願は、本明細書において論述された特定実施形態の任意の適応化又は変形形態をカバーするように意図されている。従って、本開示は特許請求の範囲及びその等価物だけにより制限されるということが意図されている。
【符号の説明】
【0065】
10 SiC基板
15 炭素富化SiC基板
20 コンタクト層
25 別の金属相
30 三元金属相部
40 粒子
50 デバイス構造
70 保護マスク層
100 半導体デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】