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特開2024-26162真空チャンバ内への光ファイバ使用光送給
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026162
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】真空チャンバ内への光ファイバ使用光送給
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240220BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H01L21/66 C
H01J37/28 B
H01L21/66 J
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023198809
(22)【出願日】2023-11-24
(62)【分割の表示】P 2021547437の分割
【原出願日】2019-11-28
(31)【優先権主張番号】62/806,208
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/691,843
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セルヒェン エマヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ペティボーン ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】フロレンド オスカー ジー
(72)【発明者】
【氏名】チェン リ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】ブルッシュ マーティン
(57)【要約】
【課題】光ファイバを用いるレーザ強化電圧コントラストシステムを提供する。
【解決手段】本システムは、ウェハを固持するステージ付の真空チャンバを有する。その真空チャンバ外のレーザ光源から光ファイバに光を差し向ける。その光ファイバにより、そのレーザ光源からの光の波長全てを、その真空チャンバの壁を通じその真空チャンバ内へと伝達する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内に配置されておりウェハを固持しうるよう構成されているステージと、
前記真空チャンバ外に配置された、複数個のレーザを含むレーザ光源と、
前記レーザ光源により生成された光の複数の波長全てを、前記真空チャンバの壁を通じその真空チャンバ内へと同時に伝達する光ファイバと、
前記真空チャンバ内に配置され、前記光ファイバからの光を受け取り回転させて偏光を調整する消色兼偏光ユニットと、
を備え、
前記レーザ光源は、
複数の相異なる偏光状態のレーザビームを結合する偏光依存性ビームスプリッタ
を備え、
前記複数の波長間の電子的スイッチングを行うことで検査対象のウェハのエリアを複数の波長を用いてレーザ強化電圧コントラストにより検査する装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、更に、前記ステージに電子ビームを差し向ける電子ビーム源を備える装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記光ファイバにより伝達される光の波長が200nm~2000nmである装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記レーザ光源が、更に複数個のダイクロイックミラーを有する装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記レーザ光源が、更に、複数枚の半波長板を有する装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記光ファイバがマルチモードファイバである装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記光ファイバがシングルモードファイバである装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、更に、前記真空チャンバ内に配置されており前記光ファイバから前記光を受け取る波長板を備える装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記波長板が半波長板又は1/4波長板である装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記消色兼偏光ユニットが、
前記真空チャンバ内に配置されており前記光ファイバから前記光を受け取る旋回鏡であり、その光ファイバからの光を前記ステージに差し向けるよう構成されている旋回鏡と、
前記真空チャンバ内に配置された少なくとも1個の消色レンズであり、前記光ファイバから受け取った光を平行光化し及び/又はその光による像を前記ウェハ上に形成するよう構成されている消色レンズと、
を有する装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、前記消色兼偏光ユニットが湾曲鏡を有し、その湾曲鏡が球面鏡又は放物面鏡である装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、更に、前記光ファイバを取り巻くフランジを備え、そのフランジが前記真空チャンバの壁内に配置されており、そのフランジが、
前記光ファイバの周りに配置された外部材と、
前記光ファイバ・前記外部材間に配置されたポリマ層であり、径方向圧縮されてハーメチックシールを形成するポリマ層と、
を有する装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、前記光ファイバ・前記外部材間の前記ハーメチックシールが、更に、金属対金属シールを用いるものである装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置であって、更に、前記光ファイバを取り巻くフランジを備え、そのフランジが前記真空チャンバの壁内に配置されており、そのフランジがエラストマシールであり、そのエラストマシールが径方向圧縮されてハーメチックシールを形成する装置。
【請求項15】
レーザ光源内の複数個のレーザからの光を光ファイバ経由で真空チャンバに差し向けることで、その光ファイバによって、そのレーザ光源により生成された光の複数の波長全てを、その真空チャンバの壁を通じその真空チャンバ内へと同時に伝達させ、
前記真空チャンバ内の消色兼偏光ユニットに前記光ファイバからの光を差し向け、
前記真空チャンバ内に配置されたステージ上で固持されているウェハにその光を差し向け、
前記レーザ光源は、
複数の相異なる偏光状態のレーザビームを結合する偏光依存性ビームスプリッタ
を備え、
前記複数の波長間の電子的スイッチングを行うことで検査対象のウェハのエリアを複数の波長を用いてレーザ強化電圧コントラストにより検査する方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、更に、前記真空チャンバ内の電子ビームを前記ウェハに差し向ける方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記光の波長が200nm~2000nmである方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、前記消色兼偏光ユニットが旋回鏡又は湾曲鏡を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は光ファイバ送給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願では、2019年2月15日付米国仮特許出願第62/806208号に基づく優先権を主張し、参照によりその開示内容を本願に繰り入れる。
【0003】
半導体製造業界の進展により歩留まり管理に、とりわけ計量及び検査システムに寄せられる期待が強まっている。限界寸法が縮まり続けているだけでなく、業界ではより短時間で高歩留まり高付加価値生産を達成することが求められている。歩留まり問題を察知してからそれを正すまでの合計時間を縮めることが、半導体製造業者にとり投資収益率の決め手となっている。
【0004】
半導体デバイス、例えば論理デバイス及び記憶デバイスを製造する際には、通常、多数の製造プロセスを用い半導体ウェハを処理することで、それら半導体デバイスに備わる様々なフィーチャ(外形特徴)及び複数個の階層を形成する。例えばリソグラフィなる半導体製造プロセスでは、半導体ウェハ上に配列されたフォトレジストへとレティクルからパターンを転写する。半導体製造プロセスの更なる例としては、これに限られるものではないが化学機械研磨(CMP)、エッチング、堆積及びイオンインプランテーションがある。単一の半導体ウェハ上に配列をなし複数個の半導体デバイスを作成し、それらを個別の半導体デバイスへと分けるようにするとよい。
【0005】
検査プロセスは半導体製造中の様々な工程にて用いられており、それによりウェハ側の欠陥を検出することで、その製造プロセスの歩留まり向上ひいては利益増進を促進することができる。検査は、常に、半導体デバイス例えば集積回路の製造の重要部分とされてきた。しかしながら、半導体デバイスの寸法が小さくなるにつれ、小さめな欠陥でもデバイスに不調が起きうるようになったため、許容しうる半導体デバイスの首尾よい製造のため検査がかつてなく重要になっている。例えば、半導体デバイスの寸法が小さくなるにつれて、相対的に小さな欠陥でさえもそれら半導体デバイスに不要な異常を引き起こしかねないことから、より小さなサイズの欠陥の検出が必要になってきている。
【0006】
しかしながら、デザインルールが縮小されるにつれ、半導体製造プロセスが、それらプロセスの性能限界のより近くで稼働することとなりうる。加えて、そのデザインルール収縮故に小さめな欠陥でもそのデバイスの電気的パラメタに影響が及びかねず、より繊細な検査へと駆り立てられている。デザインルールが縮小されるにつれ、検査により検出される潜在的な歩留まり関連欠陥の集団が劇的に成長し、検査により検出されるヌーサンス欠陥の集団も劇的に肥大する。従って、より多くの欠陥がそれらウェハ上で検出されかねず、それらプロセスの補正による全欠陥解消が困難且つ高費用なものになりかねない。それら欠陥のうち何れがそれらデバイスの電気的パラメタ及び歩留まりに実際に影響するのかを判別することで、プロセス制御方法の焦点をそれら欠陥にしつつその他を概ね無視することができよう。更に、小さめなデザインルールでは、場合にもよるが、プロセス起因不調が系統的になりがちである。即ち、プロセス起因不調により、そのデザイン内でしばしば多数回反復される所定のデザインパターンにて不調が生じがちである。空間系統的電気関連欠陥をなくすことで、歩留まりに影響を及ぼすことができる。
【0007】
レーザ強化電圧コントラスト(LEVC)が走査型電子顕微鏡(SEM)と併用されてきた。例えば、二通りの相異なる電圧コントラスト効果を、照明下で好適に切り換えることができる。これにより、さもなければ検出できなかったであろう欠陥の検出を、SEM検査にて必要とされる高い速度で行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6507388号
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0007539号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以前は、空気・真空間連接部に光学窓が設けられていた。固定波長を有する別々の自由空間レーザビームが順々に個別印加されていた。その波長の切換に、レーザの交換及びそれに続く光学的再配置が必要であった。偏光を変化させることができなかった。用いられる波長同士が結合されていないため、波長間切換に時間がかかっていた。光学窓を用いているため、光源から注目領域まで直線方向をなしていることが必要であった。
【0010】
光ファイバを真空チャンバとつなぐためのフィードスルー(貫通部)も問題含みであった。以前は、幾つかのOリングを用いシール(封止体)を形成していた。こうして光ファイバに径方向力を働かせることで、真空障壁を発生させていた。しかしながら、光ファイバに圧縮力(例.軸方向又は径方向のそれ)が働くことで伝達損失が生じていた。この伝達損失は特に可視赤色波長で目立つ。
【0011】
Oリングに代えポリマが光ファイバ周りで用いられていたが、十分なハーメチックシール(気密封止)を実現することができなかった。そのポリマの漏れ率が、半導体検査を初め多くの製造用途で必要とされるそれより高かったのである。
【0012】
従って、改善されたシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1実施形態では装置を提供する。本装置は、真空チャンバと、その真空チャンバ内に配置されておりウェハを固持しうるよう構成されているステージと、その真空チャンバ外に配置されたレーザ光源と、そのレーザ光源により生成された光の波長全てをその真空チャンバの壁を通じその真空チャンバ内へと伝達する光ファイバと、消色兼偏光ユニットとを有する。
【0014】
本装置は、前記ステージに電子ビームを差し向ける電子ビーム源を有するものとすることができる。
【0015】
前記光ファイバにより伝達される光の波長を200nm~2000nmとすることができる。
【0016】
前記レーザ光源を、複数個のレーザ及び複数個のダイクロイックミラーを有するものとすることができる。
【0017】
前記レーザ光源を、更に、複数個のレーザ、偏光依存性ビームスプリッタ及び複数枚の半波長板を有するものとすることができる。
【0018】
前記光ファイバをマルチモードファイバとしてもシングルモードファイバとしてもよい。
【0019】
本装置は、更に、前記真空チャンバ内に配置されており前記光ファイバから光を受け取る波長板を有するものと、することができる。その波長板を半波長板又は1/4波長板とすることができる。
【0020】
前記消色兼偏光ユニットを、前記真空チャンバ内に配置された旋回鏡と、その真空チャンバ内に配置された少なくとも1個の消色レンズとを、有するものとすることができる。その旋回鏡は前記光ファイバから光を受け取るものであり、その光ファイバからの光を前記ステージに差し向けるよう構成する。その消色レンズは、その光ファイバから受け取った光を平行光化し及び/又はその光による像を前記ウェハ上に形成するよう構成する。
【0021】
前記消色兼偏光ユニットを湾曲鏡、例えば球面鏡又は放物面鏡を有するものとすることができる。
【0022】
前記レーザ光源からの光を、複数通りの波長を有するものとしてもよい。
【0023】
本装置は、更に、前記光ファイバを取り巻くフランジを有するものとすることができる。そのフランジを、前記真空チャンバの壁内に配置することができる。ある例によれば、そのフランジを、その光ファイバの周りに配置された外部材と、それら光ファイバ・外部材間に配置されたポリマ層とを、有するものとすることができる。そのポリマ層を径方向圧縮することで、ハーメチックシールを形成することができる。それら光ファイバ・外部材間のハーメチックシールを、更に、金属対金属シールを用いるものとすることができる。
【0024】
別例としては前記フランジをエラストマシールとする。そのエラストマシールを径方向圧縮することで、ハーメチックシールを形成することができる。
【0025】
第2実施形態では方法を提供する。本方法では、レーザ光源からの光を光ファイバ経由で真空チャンバに差し向ける。その光ファイバによって、そのレーザ光源により生成された光の波長全てを、その真空チャンバの壁を通じその真空チャンバ内に伝達する。その光を、その真空チャンバ内の消色兼偏光ユニットに差し向ける。その光を、その真空チャンバ内に配置されたステージ上で固持されているウェハに差し向ける。
【0026】
本方法では、更に、前記真空チャンバ内の電子ビームを前記ウェハに差し向けることができる。
【0027】
その光の波長を200nm~2000nmとすることができる。
【0028】
前記消色兼偏光ユニットを、旋回鏡又は湾曲鏡を有するものとすることができる。
【0029】
本件開示の性質及び目的についてのより遺漏なき理解のためには、後掲の詳細記述と併せ、以下の添付図面を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本件開示に係るシステムの一実施形態を示す図である。
図2図1のシステムを用いたウェハ照明の一実施形態を示す図である。
図3図1のシステム向けのレーザ光源の一実施形態を示す図である。
図4図1のシステムで以て用いることができるフランジ内シールの一実施形態の展開断面図である。
図5図1のシステムで以て用いることができるフランジ内シールの別の実施形態の展開断面図である。
図6】本件開示に係る方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
特定の諸実施形態により特許請求の範囲記載の主題につき記述するが、本件開示の技術的範囲内には、本願中で説明される諸利益及び諸特徴が全ては提供されない諸実施形態を含め、他の諸実施形態も存在している。本件開示の技術的範囲から離隔することなく様々な構造的、論理的、処理ステップ的及び電子的改変を施すことができる。従って、本件開示の技術的範囲は専ら別項の特許請求の範囲への参照によって定まる。
【0032】
電子ビーム像における電圧コントラスト効果は、ウェハに備わるある種のフィーチャ(例.集積回路)上で、撮像中にその電子ビーム像領域を光に露出させることで変化させることができる。その電子ビームを例えば走査型電子顕微鏡(SEM)の一部分とすることができる。ある例によれば、p-ドープ領域内のn+コンタクトがレーザ照明下にある間に、オープンになっているタングステンコンタクトを検出することができる。こうしたレーザ強化電圧コントラスト(LEVC)を、電子ビームツールにおいて、例えば57°の入射角にて発生させることができる。57°を一例として用いるが、直交角や他の斜め角も用いることができる。用いる波長を青色~赤色の可視スペクトルとすることで、ウェハ内への浸透深さを様々に変え、そこでその効果を発生させることができる。
【0033】
本願開示の諸実施形態では、光ファイバにより、青色(400nm)~赤色(685nm)の可視スペクトルに属する複数通りの波長を導波(案内)する。その光ファイバにより他の諸波長、例えば紫外(例.10nm又は200nm)又は赤外(例.700nm)から2000nmにも達する波長域内の波長を導波することもできる。その又はそれらの光源は真空カラム外に配置することができる。その光ファイバにより、その光をその真空カラム内へと伝搬させる。消色光学系を用いることで、ウェハの所望注目領域を、その広い波長域に亘り均質に照明することができる。加えて、そのレーザ光の偏光の向きを適合させてLEVC効果を強化することができる。
【0034】
本願開示の諸実施形態に係る多波長システムは、電子ビーム検査又は電子ビームレビューツール上、例えば半導体産業その他の産業で用いられているそれの上で、LEVCアプリケーション向けに用いることができる。本システムではファイバ光学系及びレーザ結合器モジュールを用いることができる。本システムでは自由空間レーザ及びダイクロイックフィルタを用いることができる。その送給光学系により、波長如何によらずほぼ同じスポットサイズを提供することができる。
【0035】
その送給光学系により、入射光の偏光制御を行うことや、その照明を毎フレームベース、毎ラインベース又は毎画素ベースでターンオン及びオフすることを可能にする変調能力を提供することもできる。そのレーザをターンオン及びオフすることで、それら光ビーム及び電子ビームが協調的要領で働くよう、そのフィーチャを電子ビームにリンクさせることができる。そのコントラスト及び/又は波長を、そのウェハ上の様々な点にて調整することができる。
【0036】
図1は一実施形態に係るシステム100である。本システム100は多波長ファイバ送給をLEVCに用いるものであり、1本の光ファイバ106を用い、広い可視スペクトル域内で且つ複数通りの波長にて、光を伝達することができる。本システム100には拡張性を持たせることができる。光ファイバ106内を通る波長の個数を、例えばレーザ110及びダイクロイックミラー111の組合せを通じ増やすことができる。レーザ出力パワーを、レーザ電流を用い電子的に制御することができる。減衰器は必須ではない。即ち、能動部材をシステム100内に設ける必要がなく、保守を減らすことができる。諸波長を1本の光ファイバ106内へと結合させているため、各波長のレーザを電子的に作動させることができる。
【0037】
可撓性のある光ファイバ106を用い真空チャンバ101の内部にレーザ光を送給しているので、本システム100内で諸部材を配置決めするに当たり付加的な選択肢を提供することができる。例えば、ウェハ104のそばにある加速コイルの隣に光ファイバ106を配置することができる。これは、ファイバ導波型ソリューション抜きでは可能でない。照明角を約57°その他の角度にすることができ、それによりウェハ内への浸透を強化することができる。
【0038】
本システムは、壁102により囲われた真空チャンバ101を有している。その真空チャンバ101内にはステージ103があり、ウェハ104を固持しうるよう構成されている。即ち、ステージ103及びウェハ104を真空圧の領域内に所在させることができる。その真空圧は10-9Torr未満或いは10-10Torr未満でよい。
【0039】
レーザ光源105が、その真空チャンバ101の外側に配置されている。即ち、レーザ光源105を、例えば大気圧又は近大気圧の領域に配置することができる。そのレーザ光源105からの光を複数波長とすることができる。レーザ光源105を、1個又は複数個のレーザ110及び1個又は複数個のダイクロイックミラー111を有するものとすることができる。
【0040】
光ファイバ106によって、そのレーザ光源105により生成された光の波長全てを真空チャンバ101内へと伝達することができる。即ち、この光ファイバ106は大気圧下から真空下へと光を伝達するものであり、1m以上の長さに亘るものとすることができる。一例に係る光ファイバ106は光学グラスファイバである。光ファイバ106をマルチモードファイバとすることもシングルモードファイバとすることもできる。
【0041】
光ファイバ106は、レーザ光源105から真空チャンバ101の壁102を経てその真空チャンバ101内の出力カプラ112に至る、連続的なものとすることができる。その出力カプラ112は抜き身(裸)のファイバ端をフランジ内に封止したものであり、それによりそのファイバ端が他の機械部品と機械的に連結されている。即ち、空気・真空間移行中に結合損失が入り込まない。光ファイバ106はフランジ113の内側にて封止されている。
【0042】
本システム100に、光ファイバ106から出る光で以てウェハ104を照明する結合、撮像及び/又は照明光学系を設けることもできる。
【0043】
一例としては偏光保持性シングルモード光ファイバ106を用いる。この光ファイバ106から出射される光の偏光は定まっており、波長板(例.半波長板又は1/4波長板)によってその向きを変化させることで、LEVC効果を強化することができる。また、例えばウェハ上の様々なタングステンプラグのLEVC効果に対する、偏光の影響を、計測することもできる。また、光ファイバ106のコア形状により偏光の向きが定まるので、その光ファイバ106の出射端にあるファイバコネクタを回動させることで、直線偏光を回転させることもできる。
【0044】
光ファイバ106により伝達する光の波長は、例えば400nm~680nm、或いは400nm~700nmとすることができる。他の波長でもよく、この範囲は一例に過ぎない。それら波長を400nm未満や2000nm超とすることもできる。
【0045】
本システム100は消色兼偏光ユニット107をも有している。消色兼偏光ユニット107は真空チャンバ101内に配置することができ、光ファイバ106に発する光路上に所在している。この消色兼偏光ユニット107により、その光ファイバから受け取った光を平行光化し及び/又はその光による像をウェハ104上に形成することができる。
【0046】
本システム100は、ステージ103に電子ビーム109を差し向ける電子ビーム源108を有している。電子ビーム源108は、真空チャンバ101内にある態で描かれているが、真空チャンバ101外に配置することもできる。電子ビーム109は、真空チャンバ101内を通り、例えばウェハ104の方に運ばれている。
【0047】
図1の実施形態では、相異なる三通りの波長λ、λ及びλを有するレーザ光源105同士がダイクロイックミラー111及び強反射鏡114により結合され、その後にそれら相異なる三通りの波長が光ファイバ106内へと結合されている。光ファイバ106は連続的であり、真空・空気間移行部にてフランジ113内に封止されている。ファイバ106の出射端には消色レンズがあり、光ファイバ106からの光がそれにより平行光化されている。真空チャンバ101内の偏光ユニット107における偏光制御は、半波長板又は1/4波長板で以て実行することができる。この広帯域レーザビームが、旋回鏡115によりウェハ104上へと差し向けられている。旋回鏡115は光ファイバ106からの光を受け取りうるものであり、光ファイバ106からの光をステージ103へ、或いはそのステージ103上のウェハ104へと差し向けるよう構成されている。
【0048】
真空チャンバ101内における広帯域レーザ出射光を、消色系又は湾曲鏡により消色することができる。その湾曲鏡に代えレンズシステムを用いることもできる。
【0049】
本システム100では、その光学系からウェハ104の表面に至る約50mmの作動距離を用いることができるが、他の距離にすることもできる。これにより、ウェハ104の表面におけるスポット安定性を改善することができる。この作動距離短縮により、鏡角度安定性及び光ビーム指向安定性の角度公差を、例えば6倍軽減することができる。
【0050】
図2は、図1のシステム100を用いたウェハ照明の一実施形態である。ウェハ104が旋回鏡115を用い照明されている。この旋回鏡115は、例えば、図2に描かれているそれに類する球面鏡又は放物面鏡とすることができる。光ファイバ106のコネクタを、出力カプラ112を基準として回動させることで、その偏光を調整することができる。ウェハ104を所望のスポットサイズで以て照明すべく、ウェハ104上へのファイバコアの倍率を調整することができる。
【0051】
「ダーティフォーカス概念」を用いウェハ104を照明することができる。光ファイバ106による像をウェハ104の僅か手前で形成させるのである。即ち、図1及び図2に示す通り、ウェハ104への到達に際し光を僅かに拡散させる。これにより、焦点領域における回折限定性スポットのサイズに比し、そのウェハ104におけるスポットのサイズを大きくすることができる。その大きなスポットサイズを、電子ビーム109に相応しい視野に適合させることができる。このスポットサイズ適合は、光ファイバ106の出射端と集束レンズ又は集束鏡との位置関係を調整することによっても、行うことができる。
【0052】
図3は、図1のシステム100向けのレーザ光源105の一実施形態である。光ファイバ106内で導波されるレーザパワーを、二通りの偏光状態を1本の光ファイバ106内へと結合させることで、増大させることができる。偏光依存性ビームスプリッタを用い相異なる偏光状態を足し合わせることで、レーザビームを結合させてよりハイパワーなものにすることができる。図3にはレンズL、偏光依存性ビームスプリッタPBS、半波長板λ/2及び個別のレーザが示されており、またそれらに対応する偏光状態がs-偏光、p-偏光又はx-偏光であること、そのx-偏光がs-及びp-間にあり45°をなすことが示されている。
【0053】
図3の実施形態によれば、全てのレーザ波長が1本の光ファイバ106内へと結合されているため、それら波長間の高速且つ単純な電子的スイッチングを行うことができる。即ち、そのエリアを複数通りの波長で以て調べ、様々な欠陥種別向けにLEVCコントラストを最適化することができるので、本システムのスループットは高くなる。それらの相対的浸透深さが10倍変化するので、様々な波長にて光の強度をチューニングすることでこれが実現される。
【0054】
図4は、図1のシステム100で以て用いることができるフランジ113内シールの一実施形態の展開断面図である。図5は、図1のシステム100で以て用いることができるフランジ113内シールの別の実施形態の展開断面図である。図1に見られる通り、フランジ113内にて光ファイバ106の周りにシールを設けることができる。それらシール及びフランジ113を真空チャンバ101の壁内に配置することができる。
【0055】
図4では光ファイバ106がフランジ200内を通っている。このフランジ200は図1中のフランジ113の一例である。フランジ200は歪軽減ユニット201及びスペーサ202を有している。そのスペーサ202は、歪軽減ユニット201の内側に嵌め込めるよう構成されている。スペーサ202は、アルミニウムその他の素材で作成すればよい。
【0056】
スペーサ202はシール継手203の内側、例えばSwagelok(登録商標)その他の種類のシール継手の内側に嵌め込めるようにも、構成することができる。シール継手203はアダプタ溶接することができる。そのシール継手203の端のうちスペーサ202とは逆側の端に、シール204を挿入することができる。カバー205及びスリーブ206も設けることができる。スリーブ206はステンレス鋼とすることができる。ステンレス鋼管207で光ファイバ106を囲うことができる。このシール継手203を壁102内に配置すればよい。
【0057】
シール204は外部材208を有しており、それにより注入口211が画定されている。この注入口211は、例えばニップルを用い開閉することができる。シール継手シール210、例えば金属で作成されたものがその外部材208上に配置されている。そのシール継手シール210により、シール継手203との金属対金属シールを提供することができる。外部材208・光ファイバ106間にはポリマ層209がある。このポリマ層209を、注入口211を介しシール204内に挿入することができる。
【0058】
外部材208はViton(登録商標)その他、アウトガスが少ない真空調和性素材で作成すればよい。外部材208を、アルミニウム、その他の金属又は合金で作成してもよい。ポリマ層209はエポキシとすることができる。そのエポキシを、アウトガスが少ない真空調和性のものとすることができる。
【0059】
シール継手203・シール204間ハーメチックシールを、金属対金属シールを用い形成することができる。例えば、シール継手を金属対金属融接継手により置き換えてアウトガッシングを減らすことができる。
【0060】
光ファイバ106は、そのシール204の内側に分岐管カバーが備わるものとすることができる。
【0061】
フランジ200は、ファイバカプリングを用いることなく真空チャンバ101の壁に差し込むことができ、それにより、他波長でも構わないが、紫外~赤外を包含する諸波長に関し90%超の伝達率を実現することができる。偏波消光比を1:30以上とすることができる。光ファイバ106に応力がほとんど又は全く作用しないため、こうした伝達率及び偏波消光比を実現することができる。
【0062】
図4の実施形態を用いた試験では、赤色、緑色及び青色光の伝達率が90%超であった。偏波消光比は30超であった。
【0063】
図5では光ファイバ106がフランジ300内を通っている。このフランジ300は図1中のフランジ113の一例である。フランジ300はエラストマシール304を有しており、シール継手203の端のうちスペーサ202とは逆側の端にそれを挿入することができる。エラストマシール304はViton(登録商標)その他、アウトガスが少ない真空調和性素材で作成することができる。エラストマシール304をシリコーンで作成することもできる。
【0064】
光ファイバ106は、そのエラストマシール304の内側に分岐管カバーが備わるものとすることができる。
【0065】
ある例によれば、そのエラストマシール304を圧縮することで、シール継手203とのハーメチックシールを形成することができる。光ファイバ106に働く軸方向応力及び径方向応力を制御し最小化することで、もたらされる伝達損失を5%未満、偏波消光比を1:30超とすることができる。
【0066】
図5の実施形態によれば、紫外~赤外を包含する諸波長に関し90%超の伝達率を実現すること、並びに2×10-10atm・cc/s未満のヘリウム漏れ率を実現することができる。他の波長でも構わない。図5の実施形態によれば、超高真空調和性、低損失、偏光保持性のシングルモードファイバ真空フィードスルーを提供することができる。
【0067】
光ファイバ106に対するハーメチックシールは、光ファイバ106と小孔厚壁管の内法との間で二成分ポリマ封止剤で以て、或いは精密成型されたエラストマシール304で以て成し遂げることができる。光ファイバ106をその管により囲うことで、ハーメチックな金属対金属シールが実現される。そのエラストマシール304を所定量圧縮することで、そのハーメチックシールが実現される。
【0068】
クイックフランジを破砕銅ガスケットフランジで以て置き換えることにより、超高真空バージョンを構築することができる。
【0069】
歪軽減ユニット201は、通常、フランジ200又はフランジ300を保持する壁の真空側に配置する。カバー205及びスリーブ206は、通常、フランジ200又はフランジ300を保持する壁の大気側に配置する。
【0070】
シール継手203により、シール204又はエラストマシール304を均一に搾ることができる。そのシール204及びエラストマシール304により、シール継手203の襟部内への挿入時に光ファイバ106が搾られる。光ファイバ106に働く圧力は、その大半又は全てがその光ファイバ106の径方向沿いのものである。光ファイバ106に働く軸方向圧力が軽減又は解消されるので、その光ファイバ106が捩れる余地が少なくなる。光ファイバ106は、一般に、径方向圧縮に耐えることができる。
【0071】
光ファイバ106は、シール204又はエラストマシール304内では抜き身とすることができる。即ち光ファイバ106を取り巻く被覆又はジャケットを取り除くことができる。これにより、そのシール204又はエラストマシール304を介した漏れが低減される。その抜き身の光ファイバ106が金属部材と出会うところに接着剤を付加してもよく、それにより漏れを更に減らすことができる。
【0072】
図4及び図5の設計によれば、従来のシール設計に比し、赤色、緑色及び青色波長の伝達率を、約15%良好なものとすることができる。従来デザインでは光ファイバ106に軸方向力が加わっていた。
【0073】
図6は一実施形態に係る方法400のフローチャートであり、図1のシステム100にて実行することができる。401では、レーザ光源からの光を、光ファイバを介し真空チャンバへと差し向ける。この光ファイバによって、レーザ光源により生成された光の波長全てがその真空チャンバ内へと伝達される。そのレーザ光源を真空チャンバ外に所在させてもよい。その光の波長は200nm~2000nm、例えば400nm~680nmとすることができる。
【0074】
402では、その光をその真空チャンバ内の消色兼偏光ユニットに差し向ける。この消色兼偏光ユニットは、旋回鏡又は湾曲鏡を有するものとすることができる。
【0075】
403では、その光を、その真空チャンバ内に配置されたステージ上で固持されているウェハに差し向ける。
【0076】
本方法400にて、更に、その真空チャンバ内の電子ビームをウェハに差し向けることができる。その電子ビームと光とを同期要領にてそのウェハに差し向けることができる。
【0077】
1個又は複数個の具体的実施形態を基準にして本件開示につき記述してきたが、理解し得るように、本件開示の技術的範囲から離隔することなく本件開示の他の諸実施形態をなすこともできる。即ち、本件開示は、添付する特許請求の範囲及びその合理的解釈によってのみ限定されるものと解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6