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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026451
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/75 20060101AFI20240220BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20240220BHJP
   C11D 3/33 20060101ALI20240220BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20240220BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C11D1/75
C11D1/62
C11D3/33
C11D1/04
B08B3/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215677
(22)【出願日】2023-12-21
(62)【分割の表示】P 2019170487の分割
【原出願日】2019-09-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(71)【出願人】
【識別番号】593085808
【氏名又は名称】ADEKAクリーンエイド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 綾
(57)【要約】
【課題】洗浄性、発泡性、泡の付着・保持性の要件を充分に満足するとともに、除菌性が良好で、かつすすぎ時の泡切れ性が更に向上した洗浄剤組成物を提供する。
洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明の洗浄剤組成物は、(A)成分としてアミンオキシド、(B)成分として総炭素数12以上、24以下の分岐脂肪酸及び/又はその塩、(C)成分としてアルカリ剤、(D)成分としてアルキル(C12~C14)ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、(E)成分として水、(G)成分として総炭素数12以上、16以下の直鎖脂肪酸及び/又はその塩を含有し、25℃におけるpHが9以上、14以下であり、(B)成分と(D)成分とを、質量比で(B)成分/(D)成分の値が0.002以上、50以下となる割合で含有するよう調整される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分としてアミンオキシド、
(B)成分として総炭素数12以上、24以下の分岐脂肪酸及び/又はその塩、
(C)成分としてアルカリ剤、
(D)成分としてアルキル(C12~C14)ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、
(E)成分として水、
(G)成分として総炭素数12以上、16以下の直鎖脂肪酸及び/又はその塩
を含有し、25℃におけるpHが9以上、14以下であり、
(B)成分と(D)成分とを、質量比で(B)成分/(D)成分の値が0.002以上、50以下となる割合で含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項2】
(B)成分と(D)成分とを、質量比で(B)成分/(D)成分の値が0.02以上、50以下となる割合で含有する請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
(B)成分が、イソパルミチン酸及び/又はその塩、イソステアリン酸及び/又はその塩、イソアラキン酸及び/ 又はその塩より選ばれた少なくとも一種を含有する請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
(A)成分のアミンオキシドが、ドデシルジメチルアミンオキシド及び/又はテトラデシルジメチルアミンオキシドを含有する請求項1から3のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
(A)成分のアミンオキシドが、更にオクチルジメチルアミンオキシドを含有する請求項4に記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
(D)成分のカチオン界面活性剤が、4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を含有する請求項1から5のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
更に(F)成分として、キレート剤を含有する請求項1から6のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
前記キレート剤がアミノカルボン酸型キレート剤のモノエタノールアミン塩である請求項7に記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
前記(G)成分として、総炭素数14以上、16以下の直鎖脂肪酸及び/又はその塩を含有する請求項1から8のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項10】
硬質表面の発泡洗浄用である請求項1から9のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄剤組成物に関し、洗浄性、発泡性、垂直表面での泡保持性等に優れるとともに、すすぎ時の泡切れ性に優れ、貯蔵安定性にも優れ、主に調理設備、飲食料品製造加工設備や工場の床、壁等の洗浄、除菌を効率良く行うことのできる洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や食品の製造加工工場や厨房の床、壁面等の硬質表面の洗浄に使用される洗浄剤には、油やタンパク質等の汚れに対する高い洗浄性が要求され、更には食中毒菌やその他の病原菌に対する除菌性も要求されている。また壁等の垂直面の洗浄除菌処理を効果的に行うためには、起泡性が良好で、壁面等への泡の付着・保持性が良好であるとともに、作業時間の短縮や節水の点ですすぎ時の泡切れ性が良いことが要求されている。
【0003】
この種の硬質表面洗浄に用いられている洗浄剤組成物として、アルカリ剤、アニオン界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド、脂肪酸又はその塩を含む洗浄剤組成物(特許文献1)、アミンオキシド、分岐脂肪酸又はその塩を、特定の割合で含む洗浄剤組成物(特許文献2)、特定の複数のアミンオキシドと、特定の2種の脂肪酸とを含み、pHが13.3以上の洗浄剤組成物(特許文献3)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-249383号公報
【特許文献2】特開2018-203853号公報
【特許文献3】特開2015-151462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1から3に記載されている従来の洗浄剤組成物は、洗浄性、除菌性、発泡性、泡の付着・保持性の要件全てを充分に満足しているとはいえず、すすぎ時の泡切れ性(すすぎ性)も充分とは言い難かった。特に、良好な洗浄性及び発泡性を維持しつつ、除菌性にも優れかつ泡切れ性も良好な洗浄剤を提供することは従来困難であった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みなされたもので、洗浄性、発泡性、泡の付着・保持性の要件を充分に満足するとともに、除菌性が良好であり、かつすすぎ時の泡切れ性を更に向上した洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の洗浄剤組成物は、(A)成分としてアミンオキシド、(B)成分として総炭素数12以上、24以下の分岐脂肪酸及び/又はその塩、(C)成分としてアルカリ剤、(D)成分としてアルキル(C12~C14)ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、(E)成分として水、(G)成分として総炭素数12以上、16以下の直鎖脂肪酸及び/又はその塩を含有し、25℃におけるpHが9以上、14以下であり、(B)成分と(D)成分とを、質量比で(B)成分/(D)成分の値が0.002以上、50以下となる割合で含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性に優れ、特に飲料や食品の製造現場で問題となる油やタンパク質等の汚れに対しても高い洗浄性を有するとともに、食中毒菌やその他の細菌に対して優れた除菌効果を発現する。加えて、本発明の洗浄剤組成物は発泡性を有し、泡の付着性、保持性にも優れるため、壁等の垂直面に対しても優れた洗浄性を発現する。
さらに本発明の洗浄剤組成物は、すすぎ時の泡切れが良く、少ない量の水で効率良くすすぎを行うことができ、洗浄、除菌を効率的かつ効果的に行うことができる。本発明の洗浄剤組成物は、種々の材料からなる被洗浄面に対し、洗浄、除菌を効果的に行うことができるが、とりわけ飲料や食品の製造加工工場や厨房の床、壁面等の硬質表面の洗浄、除菌用として好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の洗浄剤組成物は、(A)成分としてアミンオキシド、(B)成分として総炭素数12~24の分岐脂肪酸及び/又はその塩、(C)成分としてアルカリ剤、(D)成分としてカチオン界面活性剤、(E)成分として水を含有し、25℃におけるpHが9以上、14以下となるよう調整される。
【0010】
かかる構成を備える本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性、発泡性、泡の付着・保持性の要件を充分に満足する上、除菌性及びすすぎ時の泡切れ性にも優れる。
【0011】
本発明の洗浄剤組成物の用途は特に限定されず、たとえば、アルミニウム等などから構成される硬質表面の発泡洗浄用の洗浄剤組成物として好適に用いることができる。
以下に、本発明の液体洗浄剤の構成について詳細に説明する。
【0012】
本発明の洗浄剤組成物は、(A)成分としてアミンオキシドを含む。
(A)成分であるアミンオキシドは、一般式R‐Oである化合物である。(A)成分におけるRは炭化水素基を示し、3つの炭化水素基のうちいずれか1つの炭化水素基が炭素数8以上、18以下であることが好ましく、2つの炭化水素基がメチル基であることがより好ましい。上記炭素数8~18である炭化水素基は、アルキル基であってもよいし、アルケニル基であってもよい。(A)成分であるアミンオキシドは、1種であってもよいし、2種以上の組み合わせで含有されてもよい。
【0013】
より良好な洗浄性、泡保持性を示すという観点からは、(A)成分の好ましい例として例えば、アルキル基の炭素数8~18のアルキルジメチルアミンオキシド又はアルケニル基の炭素数8~18のアルケニルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
より具体的には(A)成分として、ドデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、オクチルジメチルアミンオキシド、オクテニルジメチルアミンオキシド、ドデセニルジメチルアミンオキシド、及びテトラデセニルジメチルアミンオキシドからなる群から選択されたいずれか1種又はこれらの組み合わせを含むことが好ましく、ドデシルジメチルアミンオキシド及び/又はテトラデシルジメチルアミンオキシドを含むことがより好ましく、少なくともテトラデシルジメチルアミンオキシドを含むことが特に好ましい。
【0014】
洗浄性、泡保持性に加え、さらに良好なすすぎ性を示すという観点からは、(A)成分として、ドデシルジメチルアミンオキシド及び/又はテトラデシルジメチルアミンオキシドに加えて、オクチルジメチルアミンオキシドを含むことが好ましい。
【0015】
(A)成分として、テトラデシルジメチルアミンオキシド及びドデシルジメチルアミンオキシドを少なくとも含む場合、テトラデシルジメチルアミンオキシド1質量部に対して、ドデシルジメチルアミンオキシドを0.01質量部以上1質量部以下の範囲で配合することが好ましく、0.02質量部以上0.5質量部以下の範囲で配合することがより好ましい。
また(A)成分として、テトラデシルジメチルアミンオキシド及び/又はドデシルジメチルアミンオキシドとともに、オクチルジメチルアミンオキシドを少なくとも含む場合、
テトラデシルジメチルアミンオキシド及び/又はドデシルジメチルアミンオキシド1質量部に対して、オクチルジメチルアミンオキシドを0.01質量部以上0.8質量部以下の範囲で配合することが好ましく、0.02質量部以上0.5質量部以下の範囲で配合することがより好ましい。
【0016】
(A)成分は、主として本発明の洗浄剤組成物における泡保持性、洗浄性に寄与する。したがって、(A)成分の配合量が少なすぎると泡保持性及び/又は洗浄性が充分でない場合がある。一方、(A)成分の配合量が多すぎる場合には、貯蔵安定性が充分ではない場合がある。
かかる観点からは、洗浄剤組成物における(A)成分の含有比率は、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上7.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であることが特に好ましい。
【0017】
本発明は、(B)成分として総炭素数12以上、24以下の分岐脂肪酸及び/又はその塩を含む。(B)成分と、後述する(D)成分とを組み合わせることによって、泡保持性、すすぎ性、および除菌性のバランスが良好な洗浄剤組成物を実現容易であり、泡保持性、すすぎ性および除菌性の評価の何れか少なくとも1つにおいて特に優れるという観点からは、(B)成分における総炭素数は、14以上、24以下であることが好ましく、16以上、24以下であることがより好ましく、18以上、24以下であることが特に好ましい。(B)成分である上記分岐脂肪酸及び/又はその塩は、1種であってもよいし、2種以上の組み合わせで含有されてもよい。本発明において分岐脂肪酸とは、分岐鎖を有する脂肪酸を指し、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸であってもよく、飽和脂肪酸であることが好ましい。
【0018】
(B)成分である総炭素数12以上、24以下の分岐脂肪酸及び/又はその塩の例としては、たとえば、2-メチルウンデカン酸、10-メチルウンデカン酸等のイソラウリン酸;2,2-ジメチルドデカン酸、2,3-ジメチルドデカン酸、2-ブチル-3-メチルノナン酸等のイソミリスチン酸、2-メチルペンタデカン酸、3-メチルペンタデカン酸、2-ブチルドデカン酸、2-ブチルドデカン酸、2-ヘキシルデカン酸、2-ヘプチルノナン酸等のイソパルミチン酸;2-メチルヘプタデカン酸、2-エチルヘキサデカン酸、2-オクチルデカン酸、2,2-ジメチルヘキサデカン酸等のイソステアリン酸;3-メチルノナデカン酸、18-メチルノナデカン酸、2,2-ジメチルオクタデカン酸、2,4-ジメチルオクタデカン酸、2-ブチル-2-ヘプチルノナン酸等のイソアラキン酸;20-メチルヘンエイコ酸等のイソベヘン酸;3-メチルトリコ酸等のイソリグノセリン酸等、及びその塩からなる群から選択される1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0019】
上記分岐脂肪酸の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられるが、ナトリウム塩、又はカリウム塩が好ましい。
【0020】
より良好な泡保持性及びすすぎ性を示すという観点からは、(B)成分として、イソパルミチン酸又はその塩、イソステアリン酸又はその塩、イソアラキン酸又はその塩からなる群から選択された1種又はそれらの組み合わせを含むことが好ましく、少なくともイソアラキン酸及び/又はその塩を含むことがより好ましい。
【0021】
(B)成分は、本発明の洗浄剤組成物における泡保持性、及び/又はすすぎ性に寄与する。したがって、(B)成分の配合量が少なすぎると泡保持性及び/又はすすぎ性が充分でない場合がある。一方、(B)成分の配合量が多すぎる場合には、貯蔵安定性が充分でない場合があり、また除菌性においても望ましくない影響を与える可能性がある。
かかる観点からは、洗浄剤組成物における(B)成分の含有比率は、0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが特に好ましい。なお、本発明の洗浄剤組成物中の上記(B)成分の割合は、(B)成分中に分岐脂肪酸塩が含まれる場合は、分岐脂肪酸塩を分岐脂肪酸として換算した量より求めた割合である。
【0022】
本発明は、(C)成分としてアルカリ剤を含む。(C)成分であるアルカリ剤としては、たとえばアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩、アルカノールアミン等が挙げられる。(C)成分として、1種のアルカリ剤を含んでもよいし、2種以上のアルカリ剤を含んでもよい。
【0023】
上記アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウム等から選択されるいずれか1種以上が挙げられる。
上記アルカリ金属炭酸塩の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウム等から選択されるいずれか1種以上が挙げられる。
上記アルカリ金属珪酸塩の例としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、具体的には、オルト珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、1号珪酸ナトリウム、2号珪酸ナトリウム、3号珪酸ナトリウム、4号珪酸ナトリウム、1号珪酸カリウム、及び2号珪酸カリウム等から選択されるいずれか1種以上が挙げられる。
上記アルカノールアミンの例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、及びN-メチルジエタノールアミン等から選択されるいずれか1種以上が挙げられる。
【0024】
より良好な洗浄性を示すという観点からは、(C)成分として、アルカリ金属水酸化物、及び/又はアルカノールアミンから選択される1種又は2種以上を含むことが好ましく、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムを含むことがより好ましい。
【0025】
(C)成分は、本発明の洗浄剤組成物における洗浄性及び/又は金属腐食防止性に寄与する。(C)成分の配合量が少なすぎると洗浄性が充分でない場合がある。一方、(C)成分の配合量が多すぎる場合には、金属腐食防止性が充分でない場合があり、またすすぎ性、貯蔵安定性においても望ましくない影響を与える可能性がある。
かかる観点からは、洗浄剤組成物における(C)成分の含有比率は、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以上4.0質量%以下であることが特に好ましい。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物は、(D)成分としてカチオン界面活性剤を含む。
(D)成分であるカチオン界面活性剤としては、たとえばジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウム塩、ジアルキルエチルメチルアンモニウム塩、ジアルキルモノメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジメチルヒドロキシルエチルアンモニウム塩、アルキルジポリオキシエチレンメチルアンモニウム塩、アルキルジポリオキシエチレンメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、又はベンゼトニウム塩等の第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤;ポリヘキサメチレンビグアナイドハイドロクロライド、ポリヘキサメチレングアニジンホスフェート、ポリヘキサメチレングアニジンクロライド、又はグルコン酸クロルヘキシジン等のグアニジン系カチオン界面活性剤;ヘキサデシルトリブチルフォスフォニウム、アルキルジアミン、又は上述する化合物の塩等が挙げられる。上述に例示するカチオン界面活性剤は、(D)成分として1種又は2種以上の組み合わせで含有されてよい。
【0027】
より優れた除菌性を示すという観点から、(D)成分として、第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を含むことが好ましい。
(D)成分に含まれる第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、炭素数1以上、22以下のアルキル基を有することが好ましく、炭素数4以上、22以下のアルキル基を有することがより好ましく、炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基を有することがさらに好ましい。(D)成分は、共通の骨格を有し、かつアルキル基の炭素数の異なる化合物を2以上混合して用いてもよい。
【0028】
優れた除菌性を発揮するという観点からは、(D)成分として下記一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を含むことが特に好ましい。一般式(1)で表される第四級アンモニウム塩は、洗浄剤組成物中のアニオンとのコンプレックスを形成しにくく、優れた除菌性を発揮する。下記一般式(1)に示される骨格を有し、かつアルキル基の炭素数が異なる2以上の化合物を(D)成分として用いることができる。
【化1】
(式中、R~Rは炭素数1~18のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、R~Rのいずれか1つ以上が炭素数8~18のアルキル基である。)
【0029】
上記一般式(1)に示されるハロゲン原子(X)は、特に限定されないが、たとえば、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子からなる群から選択することができる。汎用性が高いことからXとして塩素原子又は臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。たとえば上記一般式(1)で表される(D)成分の具体例としては、具体的には、ラウリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド(塩化モノドデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム)、ミリスチルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド(塩化モノテトラデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム)などが挙げられる。これらは単独で含有されてもよく、又は二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0030】
上記(D)成分の塩としては、塩素イオン、臭素イオン、炭素数1又は2のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1以上、12以下の脂肪酸イオン、実質的に置換基を有しないベンゼンスルホン酸イオン、又は炭素数1以上、3以下のアルキル基が1個以上、3個以下の範囲で置換されたベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0031】
(D)成分は、主として本発明の洗浄剤組成物における除菌性に寄与する。したがって、(D)成分の配合量が少なすぎると除菌性が充分でない場合がある。一方、(D)成分の配合量が多すぎる場合には、泡保持性が低下する可能性がある。
かかる観点からは、洗浄剤組成物における(D)成分の含有比率は、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上4.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上3.0質量%以下であることが特に好ましい。
【0032】
上述する(B)成分及び(D)成分は、質量比で(B)成分/(D)成分の値が、0.002以上、50以下となる割合で含有することが好ましい。
かかる範囲に調整されることで、洗浄剤組成物の泡保持性、すすぎ性、及び除菌性をバランスよく向上させることが可能である。
特に、泡保持性及び/又はすすぎ性の向上という観点からは、上記(B)成分/(D)成分の下限は、0.002以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることさらに好ましい。また充分な除菌性及び/又は貯蔵安定性を維持するという観点からは、上記(B)成分/(D)成分の上限は、50.0以下であることが好ましく、10.0以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物は、(E)成分として水を含む。上記(E)成分の水としては、特に限定はなく、イオン交換水、軟水、純水、水道水などが挙げられる。
【0034】
本発明の洗浄剤組成物は、25℃におけるpHが9以上、14以下である。
上記範囲とすることで、良好な洗浄性、除菌性、及び金属腐食防止性をバランスよく発揮可能である。より具体的には、pHを9以上とすることで、良好な洗浄性及び/又は除菌性を発揮可能であり、pHを14以下とすることで良好な金属腐食防止性を発揮可能である。
【0035】
本発明の洗浄剤組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び(E)成分の他に、(F)成分としてキレート剤を含んでもよい。
(F)成分を含むことで、良好なアルミニウム腐食防止性が発揮されうる。高アルカリの従来の洗浄剤は、油汚れに対する洗浄性は優れているものの、アルミニウム等の金属に対する腐食性対策は充分とはいえなかった。これに対し、(F)成分を含む態様の本発明は、飲料や食品の製造の現場において種々の素材の被洗浄面に適用可能であり汎用性が高い。
【0036】
上記(F)成分としては、たとえばトリポリリン酸、ヘキサメタリン酸等、又はこれらの塩等の縮合リン酸化合物;ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グルタミン酸二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸等又はこれらの塩等のアミノカルボン酸型キレート剤;リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸等又はこれらの塩等のヒドロキシカルボン酸型キレート剤;ホスホン酸型キレート剤等から選択された1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。上記(F)成分の塩としては、例えばカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0037】
特にアルミニウムに対する腐食防止性が高いという観点からは、(F)成分として、アミノカルボン酸型キレート剤を含むことが好ましく、中でもアミノカルボン酸型キレート剤のアルカノールアミン塩を含むことがより好ましい。ここでアルカノールアミンとは、アルカン骨格にヒドロキシ基とアミノ基を有する化合物を指し、例えばエタノールアミン又はプロパノールアミン等が挙げられるがこれに限定されない。
アミノカルボン酸型キレート剤のアルカノールアミン塩の具体例としては、たとえばエチレンジアミン四酢酸、メチルグリシン二酢酸、又はグルタミン酸二酢酸のアルカノールアミン塩が挙げられ、より具体的には、たとえばエチレンジアミン四酢酸ナトリウムモノエタノールアミン塩が挙げられるが、これに限定されない。
【0038】
(F)成分を配合する場合、(F)成分の配合量は、洗浄剤組成物の各成分の配合を勘案しつつ適宜決定することができる。より確実にアルミニウムに対する腐食防止性効果を発揮させるという観点からは、洗浄剤組成物における(F)成分の含有比率は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、0.7質量%以上であることが特に好ましい。
また、経済性を勘案しつつ充分なアルミニウム腐食防止性を発揮するという観点からは、洗浄剤組成物における(F)成分の含有比率は、10.0質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以下であることが特に好ましい。
【0039】
本発明の洗浄剤組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び(E)成分を含み、更に(G)成分として総炭素数12以上、16以下の直鎖脂肪酸及び/又はその塩を含んでもよい。
あるいは、本発明の洗浄剤組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分及び(F)成分を含み、更に上記(G)成分を含んでもよい。
(G)成分を含むことで、優れたすすぎ性が示されうる。
【0040】
上記直鎖脂肪酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、又はアルカノールアミン塩等が挙げられ、ナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。(G)成分として、上記直鎖脂肪酸及び/又はその塩は1種又は2種以上の組み合わせで含まれてよい。
【0041】
上記直鎖脂肪酸及び/又はその塩として、ミリスチン酸及び/又はパルミチン酸を含むことにより、より優れたすすぎ性が示される。
【0042】
(G)成分を配合する場合、(G)成分の配合量は、洗浄剤組成物の各成分の配合を勘案しつつ適宜決定することができる。より確実に良好なすすぎ性を発揮させるという観点からは、洗浄剤組成物における(G)成分の割合は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。
また、経済性を勘案しつつ充分なすすぎ性を発揮させるという観点からは、洗浄剤組成物における(G)成分の含有比率は、3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることが特に好ましい。なお、本発明の洗浄剤組成物中の上記(G)成分の割合は、(G)成分中に脂肪酸塩が含まれる場合は、脂肪酸塩を脂肪酸として換算した量より求めた割合である。
【0043】
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の効果が損なわない範囲で、必要に応じて当該技術分野で通常使用される他の成分を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、本発明の(A)~(G)成分を除く界面活性剤、金属腐食防止剤、水溶性溶剤、消泡剤、殺菌剤、酸化剤、粘稠剤、香料、色素等が挙げられる。
【0044】
本発明の(A)~(G)成分を除く界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等のノニオン界面活性剤、αオレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルスルホベタイン、アルキルアミノプロピオン酸、アルキルアミノエチルグリシン等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0045】
金属腐食防止剤としてはベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、5-ニトロ-ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、チアゾリルベンゾイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール等のチアゾール系化合物、ジメルカプトチアジアゾール等のチアジアゾール系化合物等が挙げられる。
【0046】
水溶性溶剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール等のポリオール類が挙げられる
【0047】
消泡剤としてはシリコーンオイル、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合体等が挙げられる。
【0048】
殺菌剤としては、例えば、チアゾリン類、ヒダントイン類や、ヨード-2-プロピニルブチルカーバメイト、イソプロピルメチルフェノール、ヘキサクロロフェン、イルガサン、トリクロサン等が挙げられる。
【0049】
酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸塩、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム等の亜塩素酸塩、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム等の塩素酸塩、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、塩素化イソシアヌル酸カリウム等の塩素化イソシアヌル酸塩、二酸化塩素、過酸化水素等が挙げられる。
【0050】
粘稠剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸等の高分子ポリカルボン酸のアルカリ中和塩等が挙げられる。
【0051】
香料としては、例えば、天然香料、合成香料、これらの調合香料等が挙げられる。また、色素としては、例えば、天然色素、合成色素、又はこれらの混合物が挙げられる。
【実施例0052】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例の洗浄剤組成物において配合に用いた各成分を表1~7に示す。尚、表1~7に示す配合量に関する数値は、液体洗浄剤組成物に対する各成分の純分の割合(質量%)である。
尚、表中における(B)成分の配合量は、(B)成分として含まれる分岐脂肪酸塩を分岐脂肪酸として換算した量より求めた値であり、同様に、表中における(G)成分の配合量は、(G)成分として含まれる脂肪酸塩を脂肪酸として換算した量より求めた値である。
【0053】
(A)成分
A-1:テトラデシルジメチルアミンオキシド
A-2:ドデシルジメチルアミンオキシド
A-3:オクチルジメチルアミンオキシド
【0054】
(B)成分
B-1:イソアラキン酸カリウム(日産化学工業社製 イソアラキン酸を中和したもの)
B-2:イソステアリン酸カリウム(日産化学工業社製 イソステアリン酸Nを中和したもの)
B-3:イソパルミチン酸カリウム(日産化学工業社製 イソパルミチン酸を中和したもの)
【0055】
(B)成分の比較成分
B’-1:2-エチルヘキサン酸(KHネオケム社 オクチル酸を中和したもの)
【0056】
(C)成分
C-1:水酸化カリウム
C-2:炭酸カリウム
C-3:モノエタノールアミン
C-4:N-メチルエタノールアミン
C-5:トリエタノールアミン
【0057】
(D)成分
D-1:アルキル(C12~16)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド
D-2:アルキル(C12~14)ジメチルヒドロキシルエチルアンモニウムクロライド
D-3:ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート
尚、上記D-1は、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドであって、これに含まれるアルキル基の炭素数が12~16の化合物が混合されている。また上記D-2は、アルキルジメチルヒドロキシルエチルアンモニウムクロライドであって、これに含まれるアルキル基の炭素数が12~14の化合物が混合されている。
【0058】
(E)成分
E-1:イオン交換水
【0059】
(F)成分
F-1:エチレンジアミン四酢酸モノエタノールアミン塩
F-2:メチルグリシン二酢酸モノエタノールアミン塩
F-3:グルタミン酸二酢酸モノエタノールアミン塩
F-4:エチレンジアミン四酢酸ナトリウム
【0060】
(G)成分
G-1:ミリスチン酸カリウム(花王社製 ルナックMY-98を中和したもの)
G-2:ラウリン酸カリウム(花王社製 ルナックL-98を中和したもの)
G-3:パルミチン酸カリウム(花王社製 ルナックP-95を中和したもの)
【0061】
その他成分
(H)成分
H-1:エタノール
H-2:αオレフィンスルホン酸ナトリウム
H-3:メタキシレンスルホン酸ナトリウム
H-4:アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩(竹本油脂(株)製 パイオニンC-156)
【0062】
※1:pHの測定方法
<pHメーターの校正>
pHメーター(HORIBA製;pH/イオンメーター F-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製;ガラスすり合わせスリーブ型)を接続し、電源を入れた。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33mol/L)を使用した。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86標準液(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬した。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86、pH9.18、pH4.01の順に校正操作を行った。
<pH測定>
恒温槽内にて25℃の恒温に調整された各洗浄剤組成物100mLにpH測定用電極を3分間浸し、pHを測定した。
【0063】
※2:洗浄性試験
<試験方法>
ステンレス片[ステンレス(SUS304)、縦70mm×横60mm×厚さ1mm]にモデル汚れ(牛脂と大豆油とを体積比1:1で混合した油脂20g、モノオレイン酸グリセリンエステル0.25g及びオレイン酸レッド0.1gをクロロホルム60mlに均一溶解して調製したもの)を塗布し、25℃、2時間乾燥したものを試験片とした。尚、モデル汚れを付する前のステンレス片の重量(W1)およびモデル汚れを付した後のステンレス片の重量(W2)を測定した。この試験片を炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各洗浄剤組成物を5質量%に希釈して調整した洗浄液200mLを、DEMA社製910PORTABLEFOAMERを用いて、比重0.15g/立方センチメートルの泡状に発泡させた後、垂直面に立て掛けた試験片の範囲に10秒間噴射し、5分間放置した。その後、イオン交換水で15秒間すすぎ、自然乾燥させた後、サンプルの重量(W3)を測定した。牛脂汚れの洗浄率を洗浄前後の試験片の重量変化に関し、下記数式(1)より算出し、以下の評価基準で評価した。
[数1]
洗浄率(%)=[(W2-W1)-(W3-W1)]÷(W2-W1)×100 (1)
<評価基準>
◎:洗浄率80%以上
○:洗浄率60%以上、80%未満
△:洗浄率40%以上、60%未満
×:洗浄率40%未満
上述の評価において、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0064】
※3:垂直面の泡保持性試験
<試験方法>
炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各洗浄剤組成物を20℃で3質量%に希釈して調製した洗浄液を、DEMA社製910PORTABLEFOAMERを用いて、比重0.15g/立方センチメートルの泡状に発泡させた。そして上述のとおり発泡させた泡状の各洗浄液500gを、ステンレス板[ステンレス(SUS304)]の垂直面に対し、縦1m、横1mの範囲に対し2cm以下の泡の厚みとなるように吹付けた。吹き付け時間は30秒とした。吹付終了から3分経過後、上記垂直面における泡状の洗浄剤組成物の付着具合を目視により観察し、吹付範囲(縦1m、横1m)を100%とした場合の、泡が残っている面積の比率を、下記評価基準で評価した。
<評価基準>
◎:泡の保持が80%以上
○:泡の保持が65%以上、80%未満
△:泡の保持が50%以上、65%未満
×:泡の保持が50%未満
上述の評価において、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0065】
※4:すすぎ性試験(すすぎ時の泡切れ性評価試験)
<試験方法>
炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各洗浄剤組成物を20℃で3質量%に希釈して調製した洗浄液を、DEMA社製910PORTABLEFOAMERを用いて、比重0.15g/立方センチメートルの泡状に発泡させた後、ステンレス製ボックス[ステンレス(SUS304)]の内側底面(縦500mm、横幅700mm)に対し10秒間噴霧した。噴霧終了から一分経過後、シャワーノズルを用いて炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水を上記内側底面全体に対し散水し、ステンレス製ボックスの上記内側底面中央に設けられた排水口(直径50mm、内部に40メッシュのポリエチレン網あり)周辺から泡が消えるまですすいだ。そしてこの散水時間(すすぎ時間)について次の尺度で判定した。
<評価基準>
◎:240秒未満
○:240秒以上、360秒未満
△:360秒以上、480秒未満
×:480秒以上
上述の評価において、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0066】
※5:除菌性試験
<供試菌>
供試菌として、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)を用いた。各供試菌はSCD寒天培地(栄研化学株式会社製)に塗抹し、37℃で24時間培養後、コロニーを掻き取り、それぞれ滅菌リン酸緩衝生理食塩水に希釈したものを菌懸濁液として用いた。
<試験方法>
イオン交換水を用いて3質量%に希釈した各洗浄剤組成物10ml中に10~1010cfu/mlとなるよう各菌懸濁液100μlを加え、良く混合した後3分間もしくは5分間接触させた。続いて、その混合液100μlを10mlのSCDLP液体培地(栄研化学株式会社製)中に加え、良く混合し37℃で48時間培養後、以下の基準で評価した。培地の濁りの有無は目視で判定した。
<評価基準>
○:3分間及び5分間の接触の両方で培地が濁っていない。
△:3分間及び5分間の接触のいずれかで培地が濁っている。
×:3分間及び5分間の接触の両方で培地が濁っている。
上述の評価において、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0067】
※6:金属腐食防止性試験(ステンレス)
<試験方法>
試験片として、ステンレス片[(SUS304)、縦70mm×横20mm×厚さ1mm]を予め中性洗剤で洗浄しアセトン処理して乾燥させたもの準備した。炭酸カルシウム換算で、75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で各洗浄剤組成物を5質量%に希釈して調製した洗浄液100mLを、100mL容量のポリプロピレン容器に入れ、その中に上記試験片を浸漬し、25℃の恒温器内で24時間保存した。保存終了後、試験片を取り出し、所定量のイオン交換水にてすすぎ、乾燥させて、試験片表面の状態を目視により外観観察し、下記基準で腐食性を評価した。
<評価基準>
○:腐食がない
△:やや腐食がみられるが、使用上問題ないレベル
×:腐食した
上述の評価において、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0068】
※7:希釈した洗浄液の安定性試験
<試験方法>
各洗浄剤組成物を炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で3質量%に希釈して調製した洗浄液を作製し、作製から15分以内に当該洗浄液に濁りが生じるか目視観察し、以下の基準で安定性を判定した。
<評価基準>
◎:濁りが生じていない
○:わずかに濁りが生じている
△:やや濁りが生じているが、使用上問題ないレベルである
×:顕著な濁りが生じている
上述の評価において、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0069】
※8:貯蔵安定性試験
<試験方法>
250mlの透明ポリプロピレン製容器に各洗浄剤組成物を200mlとり、蓋をして-5℃、25℃、40℃の恒温槽に保管し静置した。1ヶ月後、外観を観察し以下の基準で評価した。
<評価基準>
○:析出物や濁りが見られず安定である。
△:析出物や濁りが若干見られる。
×:析出物又は濁りが顕著に見られる。
上述の評価において、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0070】
※9:金属腐食防止性試験(アルミ)
<試験方法>
試験片として、アルミニウム(A1100P)[縦75mm×横25mm×厚さ1mm]を予め中性洗剤で洗浄しアセトン処理して乾燥させたもの準備した。炭酸カルシウム換算で、75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で各洗浄剤組成物を5質量%に希釈して調製した洗浄液100mLを、100mL容量のポリプロピレン容器に入れ、その中に試験片を浸漬し、25℃の恒温器内で1時間保存した。保存終了後、試験片を取り出し、所定量のイオン交換水にてすすぎ、乾燥させて、試験片表面の状態を目視により外観観察し、下記基準で腐食性を評価した。
<評価基準>
○:腐食がない
△:やや腐食がみられるが、使用上問題ないレベル
×:腐食した
上述の評価において、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
【表7】
【0078】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)(A)成分としてアミンオキシド、(B)成分として総炭素数12以上、24以下の分岐脂肪酸及び/又はその塩、(C)成分としてアルカリ剤、(D)成分としてカチオン界面活性剤、(E)成分として水を含有し、25℃におけるpHが9以上、14以下であることを特徴とする洗浄剤組成物。
(2)(B)成分と(D)成分とを、質量比で(B)成分/(D)成分の値が0.02以上、50以下となる割合で含有する上記(1)に記載の洗浄剤組成物。
(3)(B)成分が、イソパルミチン酸及び/又はその塩、イソステアリン酸及び/又はその塩、イソアラキン酸及び/又はその塩より選ばれた少なくとも一種を含有する上記(1)又は(2)に記載の洗浄剤組成物。
(4)(A)成分のアミンオキシドが、ドデシルジメチルアミンオキシド及び/又はテトラデシルジメチルアミンオキシドを含有する上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
(5)(A)成分のアミンオキシドが、更にオクチルジメチルアミンオキシドを含有する上記(4)に記載の洗浄剤組成物。
(6)(D)成分のカチオン界面活性剤が、4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を含有する上記(1)から(5)のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
(7)更に(F)成分として、キレート剤を含有する上記(1)から(6)のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
(8)前記キレート剤がアミノカルボン酸型キレート剤のアルカノールアミン塩である上記(7)に記載の洗浄剤組成物。
(9)更に(G)成分として、総炭素数12以上、16以下の直鎖脂肪酸及び/又はその塩を含有する上記(1)から(8)のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
(10)硬質表面の発泡洗浄用である上記(1)から(9)のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。