(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026806
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ポリフェノールを含む食品
(51)【国際特許分類】
A23L 29/00 20160101AFI20240220BHJP
A23L 29/281 20160101ALI20240220BHJP
A23L 33/10 20160101ALN20240220BHJP
【FI】
A23L29/00
A23L29/281
A23L33/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024004982
(22)【出願日】2024-01-17
(62)【分割の表示】P 2018119841の分割
【原出願日】2018-06-25
(31)【優先権主張番号】P 2017254409
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】岡 幸歩
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、ポリフェノール及びゼラチンを含んでいながらも、凝集の生成を抑制できる食品を提供することである。
【解決手段】ポリフェノール及びゼラチンを含む食品において、ナットウキナーゼを配合することによって、凝集の生成を抑制できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェノール、ゼラチン、及びナットウキナーゼを含有する、食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェノール及びゼラチンを含みながらも、凝集の生成を抑制できる食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、植物性のポリフェノールは、抗酸化作用を初めとする生体に対して有益な作用を有していることが知られるようになり、化粧品及び飲食品など多岐に亘り利用されている。一方、機能性食品としてポリフェノールを食する場合、ポリフェノールの多くは独特の渋みがあるため、直接味を感じる形態では摂取することは難しいという欠点がある。そこで、ポリフェノールを主成分として含む機能性食品は、ゼラチンでコーティングされた錠剤やカプセルの形態が多く用いられる。
【0003】
しかしながら、ゼラチンはポリフェノールと共存すると、両者が反応して、凝集を生じさせることが知られている。また、ゼラチンが、カプセルやコーティング剤の皮膜基材になっている場合には、ポリフェノールと反応すると、皮膜基材が白濁したり、ゴム状の物質が生じて皮膜基材を不溶化させたりすることが知られている。そのため、ゼラチンとポリフェノールを含む食品では、両者の反応を抑制し、凝集やゴム状の物質の生成を抑制することが求められている。
【0004】
従来、ポリフェノール含有液に予めアルカリ金属塩の一種又は二種以上を添加して製造したゲル状食品は、沈殿の生成を抑制できることが知られている(特許文献1)。また、植物ポリフェノールと水溶性タンパク質を含む液体にペクチンを添加することにより、植物ポリフェノールと水溶性タンパク質による白濁物質及び/又は沈澱物質の生成を抑制できることが知られている(特許文献2)。しかしながら、特許文献1及び2の技術では、アルカリ金属塩やペクチン等の食品添加物を利用しており、食品添加物フリーの食品には適用できないという欠点がある。近年、健康志向の高まりを受けて、食品添加物フリーの食品が注目されており、ゼラチンとポリフェノールを含む食品において、食品添加物を使用しなくても、凝集の生成を抑制する技術の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-337158号公報
【特許文献2】特開2002-27957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ポリフェノール及びゼラチンを含んでいながらも、凝集の生成を抑制できる食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、ポリフェノール及びゼラチンを含む食品において、ナットウキナーゼを配合することによって、凝集の生成を抑制できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. ポリフェノール、ゼラチン、及びナットウキナーゼを含有する、食品。
項2. ポリフェノール1gに対して、ナットウキナーゼが90~40000FUとなる比率で含まれる、項1に記載の食品。
項3. ポリフェノールが、フラボノイド系ポリフェノール、エラグ酸、縮合型タンニン、及び加水分解型タンニンよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の食品。
項4. ポリフェノールが、フラバノール類、アントシアニン類、フラバノン類、イソフラボン類、及びエラグ酸よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1~3のいずれかに記載の食品。
項5. ポリフェノール及びゼラチンを含む食品において凝集を抑制する方法であって、
食品に、ポリフェノール及びゼラチンと共に、ナットウキナーゼを配合する、凝集の抑制方法。
項6. フラバノール類及びゼラチンを含む食品において白濁を抑制する方法であって、
食品に、フラバノール類及びゼラチンと共に、ナットウキナーゼを配合する、白濁の抑制方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポリフェノール及びゼラチンを含んでいても、凝集の生成を抑制できるので、良好な外観性状を維持させると共に、ポリフェノールを安定に保持できるのでその機能性を有効に発揮させることができる。また、本発明において、ゼラチンをカプセル皮膜として含む場合には、凝集によるカプセルの崩壊遅延を抑制できるので、バイオアベイラビリティーや服用感(食感)を損なうことなく、製剤安定性に優れたカプセル剤の提供が可能になる。
【0010】
また、従来技術では、フラバノール類(特にカテキン)をゼラチンと共存させると、凝集だけでなく、白濁も生じるという問題点があったが、本発明では、フラバノール類とゼラチンが共存していても、凝集の生成と共に白濁を抑制し、良好な外観性状を維持させることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.食品
本発明の食品は、ポリフェノール、ゼラチン、及びナットウキナーゼを含有することを特徴とする。以下、本発明の食品について詳述する。
【0012】
[ポリフェノール]
ポリフェノールは、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基を有する植物成分の総称である。本発明において、ポリフェノールの由来については、特に制限されず、植物由来のもの、微生物によって産生されたもの、化学合成されたもの等のいずれであってもよい。
【0013】
本発明で使用されるポリフェノールの種類については、特に制限されず、フラボノイド系ポリフェノール又は非フラボノイド系ポリフェノール(フェニルカルボン酸系、リグナン系、クルクミン系、クマリン系、スチルベノイド系)のいずれであってもよい。
【0014】
フラボノイド系ポリフェノールとしては、例えば、フラバノール類、アントシアニン類、フラボン類、フラボノール類、フラバノン類、フラバノノール類、イソフラボン類、カルコン類等が挙げられる。
【0015】
フラボノイド系ポリフェノールとして、より具体的には、カテキン(エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート等)、テアフラビン、ロイコアントシアニジン等のフラバノール類;ペラルゴニジン、シアニジン、ペツニジン、ペオニジン、ペチュニジン、デルフィニジン、マルビジン等のアントシアニン類;フラボン、アピゲニン、ルテオニン、アピゲニニジン、ルテリオニジン、バイカレイン等のフラボン類;ケルセチン、ケンフェロール、ミリセチン等のフラボノール類;ナリジン、ヘスペリジン、リキリチゲニン等のフラバノン類;アルピノン、タキシフォリン等のフラバノノール類;ゲニステイン、ダイゼイン、ダイジン、グリシテイン、エクオール、ビオカニンA、クメストロール、プエラリン、ホルモノネチン等のイソフラボン類;カルタミン、プロレチン等のカルコン類;これらが重合した縮合型タンニン等が挙げられる。
【0016】
非フラボノイド系ポリフェノールとしては、例えば、没食子酸、フェノール酸、クロロゲン酸、エラグ酸、リグナン、セサミン、ピノレジノール、ラリシレジノール、セコイソラリシレジノール、マタイレジノール、クルクミン、クマリン、レスベラトロール、加水分解型タンニン(グルコース等の環状多価アルコールと、没食子酸、エラグ酸等の多価フェノールカルボン酸とのエステル)等が挙げられる。
【0017】
また、本発明で使用されるポリフェノールは、アグリコン又は配糖体のいずれの形態であってもよい。
【0018】
これらのポリフェノールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
これらのポリフェノールの中でも、ゼラチンとの共存下で生じる凝集をより一層効果的に抑制するという観点から、好ましくはフラボノイド系ポリフェノール、エラグ酸、縮合型タンニン、及び加水分解型タンニン;更に好ましくはフラバノール類、アントシアニン類、フラバノン類、イソフラボン類、エラグ酸が挙げられる。
【0020】
特に、ポリフェノールの中でもフラバノール類(特にカテキン)には、ゼラチンとの共存下で凝集だけでなく、白濁も生じさせる特性があるが、本発明では、フラバノール類(特にカテキン)とゼラチンが共存していても、凝集の生成を抑制できるだけでなく、白濁を抑制することもできる。このような本願発明の効果を鑑みれば、本発明で使用されるポリフェノールの好適な一例として、フラバノール類(特にカテキン)が挙げられる。
【0021】
本発明の食品におけるポリフェノールの含有量は、使用するポリフェノールの種類、付与すべき機能性、食品の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.001~80重量%、好ましくは1~50重量%、更に好ましくは5~25重量%が挙げられる。
【0022】
[ゼラチン]
ゼラチンとは、動物の皮、骨、腱等の主成分であるコラーゲンに熱を加え、抽出したものである。本発明において、ゼラチンは、公知の製造方法で得られたものを使用でき、例えば、牛、豚、鶏、魚等の皮、骨、腱等を原料とし、酸又はアルカリで処理して得られる粗コラーゲンを加熱抽出して製造されたものを使用することができる。また、本発明で使用されるゼラチンは、加水分解物、酸素分解物、ゼラチン誘導体(例えば、アシル化ゼラチン等)等であってもよい。
【0023】
本発明の食品において、ゼラチンは、食品の形態に応じた様々な目的・態様で含むことができる。具体的には、本発明の食品において、ゼラチンは、カプセル剤であればカプセル皮膜、コーティング製剤の場合であればコーティング皮膜、ゲル状食品であればゲル化剤、液状食品の場合であれば増粘剤等の態様で含むことができる。
【0024】
本発明の食品において、ゼラチンの含有量については、ゼラチンの使用目的、食品の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、3~80重量%、好ましくは5~50重量%、更に好ましくは10~40重量%が挙げられる。
【0025】
[ナットウキナーゼ]
ナットウキナーゼとは、納豆菌(Bacillus subtilis (natto))が産生するフィブリン分解作用を有する酵素である。本発明の食品では、ポリフェノール及びゼラチンと共にナットウキナーゼを含むことにより、ポリフェノールとゼラチンの反応によって生じる凝集を抑制することが可能になる。
【0026】
本発明で使用されるナットウキナーゼは、公知の製造方法で得ることができる。ナットウキナーゼの具体的な製造方法としては、納豆菌を培養する方法、ナットウキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ形質転換体から得る方法、化学合成によって合成する方法等が挙げられる。本発明で使用されるナットウキナーゼは、いずれの製造方法で得られたものであってもよいが、製造コストの低減等の観点から、納豆菌を培養する方法で得られたものが好ましい。
【0027】
また、本発明で使用されるナットウキナーゼは、精製品であってもよいが、食品に配合可能であることを限度として、精製されていない状態であってもよい。例えば、納豆菌を培養することにより得られたナットウキナーゼを使用する場合であれば、納豆菌の培養物の抽出物であってもよい。更には、納豆菌の培養物を、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー等に供してナットウキナーゼを精製したものであってもよく、また、納豆菌の培養物を必要に応じて固液分離等の粗精製処理に供した後に、水分の除去又は乾燥させたもの等であってもよい。
【0028】
また、ナットウキナーゼは、賦形剤等を添加した粉末品、粗精製品、精製品等として市販されており、本発明では、ナットウキナーゼとして、これらの市販品を使用することもできる。
【0029】
本発明の食品において、ポリフェノールとナットウキナーゼの比率については、特に制限されないが、例えば、ポリフェノール1gに対して、ナットウキナーゼが90~40000FUとなる比率が挙げられる。ポリフェノールとゼラチンの反応によって生じる凝集をより一層効果的に抑制するという観点から、ポリフェノールとナットウキナーゼの比率として、ポリフェノール1gに対して、ナットウキナーゼが、好ましくは420~27000FU、更に好ましくは2520~10500FUとなる比率が挙げられる。
【0030】
本発明の食品において、ナットウキナーゼの含有量については、含まれるポリフェノール及びゼラチンの量や種類、食品の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1~45000FU/g、好ましくは420~27000FU/g、更に好ましくは1260~10500FU/gが挙げられる。
【0031】
なお、本発明において、ナットウキナーゼの活性を示す「FU」は、公益財団法人日本健康・栄養食品協会が2003年1月15日に公示したナットウ菌培養エキス食品の規格基準に従うフィブリン分解活性単位である。
【0032】
[その他の成分]
本発明の食品は、前述する成分の他に、必要に応じて、他の栄養成分や機能性成分を含有していてもよい。このような栄養成分や機能性成分としては、食品に使用可能なものであることを限度として特に制限されないが、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、リコペン等のビタミン類;塩酸ベタイン、塩化カルニチン、塩化ベタネコール等の健胃剤;カルシウム、イオウ、マグネシウム、亜鉛、セレン、鉄等のミネラル類;大豆タンパク、卵白粉末、乳清タンパク等のタンパク質;グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、フェニルアラニン、タウリン、トリプトファン等のアミノ酸;リノール酸、γ-リノレン酸、α-リノレン酸等の脂肪酸類;カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、アナトー色素、パプリカ色素、紅花色素、紅麹色素、フラボノイド色素、コチニール色素、アマランス、エリスロシン、アルラレッドAC、ニューコクシン、フロキシン、ローズベンガル、アシッドレッド、タートラジン、サンセットイエローFCF、ファストグリーンFCF、ブリリアントブルーFCF、インジゴカルミン等の色素;各種フルーツのフレーバーやエッセンス等の香料;クエン酸及びその塩、リンゴ酸及びその塩、酒石酸及びその塩、酢酸及びその塩、乳酸及びその塩、食塩、グルタミン酸及びその塩、みりん、食酢、天然果汁、植物抽出エキス、果実・海産物等の裁断物又は粉末化物等の調味剤;アガリクス、シイタケエキス、レイシ、ヤマブシタケ等のキノコ類又はそのエキス;食物繊維、ローヤルゼリー、プロポリス、ハチミツ、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、セラミド、ヒアルロン酸等のその他機能性素材等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する成分の種類や食品の形態等に応じて適宜設定される。
【0033】
また、本発明の食品は、所望の形態に調製するために、必要に応じて、基剤や添加物等が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤としては、食品に使用可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、低級アルコール類、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等が挙げられる。これらの基剤や添加物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの基剤や添加物の含有量については、使用する基剤や添加物の種類や食品の形態等に応じて適宜設定される。
【0034】
[形態]
本発明の食品は、固体状、半固体状、又は液体状のいずれであってもよい。
【0035】
本発明の食品の形態としては、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品等が挙げられる。本発明の食品の形態として、具体的には、カプセル剤(ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤)、錠剤、顆粒剤、粉剤、ゼリー剤等のサプリメント;栄養ドリンク、果汁飲料、炭酸飲料等の飲料;団子、アイス、シャーベット、グミ、キャンディー等の嗜好品等が例示される。これらの飲食品の中でも、好ましくはサプリメント、更に好ましくはカプセル剤、錠剤、顆粒、より好ましくはカプセル剤、特に好ましくはソフトカプセル剤が挙げられる。
【0036】
本発明の食品がカプセル剤の場合には、ゼラチンがカプセル皮膜として含まれ、ポリフェノール及びナットウキナーゼが内容物に含まれている態様が好ましい。また、食品が錠剤又は顆粒の場合には、錠剤又は顆粒中でポリフェノール、ゼラチン、及びナットウキナーゼが混合された状態で含まれていてもよく、また、ポリフェノール及びナットウキナーゼを含む錠剤又は顆粒に対してゼラチンがコーティング皮膜として被覆しているコーティング製剤であってもよい。
【0037】
2.凝集の抑制方法
本発明の凝集の抑制方法は、ポリフェノール及びゼラチンを含む食品において凝集を抑制する方法であって、食品に、ポリフェノール及びゼラチンと共に、ナットウキナーゼを配合することを特徴とする。
【0038】
本発明の凝集の抑制方法において、使用するポリフェノール、ゼラチン、及びナットウキナーゼの種類や配合量、食品に配合できる他の成分、食品の形態等については、前記「1.食品」の欄に記載の通りである。
【0039】
3.白濁の抑制方法
本発明の白濁の抑制方法は、フラバノール類及びゼラチンを含む食品において白濁を抑制する方法であって、食品に、フラバノール類及びゼラチンと共に、ナットウキナーゼを配合することを特徴とする。
【0040】
本発明の白濁の抑制方法において、使用するフラバノール類、ゼラチン、及びナットウキナーゼの種類や配合量、食品に配合できる他の成分、食品の形態等については、前記「1.食品」の欄に記載の通りである。
【実施例0041】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
なお、以下に示す試験例において、使用した成分の入手元、組成等については、以下の通りである。
ポリフェノールA:主成分はカテキン、商品名「ティアカロン90S」、株式会社常磐植物
化学研究所製、カテキン濃度45.1重量%、総ポリフェノール濃度97.3重量%
ポリフェノールB:主成分はヘスペリジン、商品名「α-GヘスペリジンPA-T」、東洋製糖株式会社製、ヘスペリジン濃度70重量%
ポリフェノールC:主成分はザクロ由来のエラグ酸、商品名「ザクロエラグ酸」、サビンサジャパンコーポレーション製、エラグ酸濃度90重量%
ポリフェノールD:主成分はビルベリー由来のアントシアニン、商品名「ビルベリー乾燥エキス」、INDENA SpA,Italia製、アントシアニン濃度38.4重量%ポリフェノールE:主成分はイソフラボン、商品名「イソフラボンパウダー40」、日本新薬株式会社製、イソフラボン濃度50.7重量%
ポリフェノールF:主成分は赤ブドウ葉由来のポリフェノール、商品名「赤ブドウ葉乾燥エキス085.945」、アスク薬品株式会社製、赤ブドウポリフェノール濃度30.0重量%
ナットウキナーゼ粉末:商品名「納豆菌培養エキス NSK-SD40」、株式会社日本生物.科学研究所製
難消化性デキストリン:商品名「ファイバーソル2AG」、松谷化学工業株式会社製
【0043】
試験例1
表1~6に示す組成の液状組成物を調製した。具体的には、成分を溶解させた原料水溶液を成分毎に調製し、表1~6に示す組成となるように、精製水に各原料水溶液を15ml容の遠沈管内で添加することにより、液状組成物(総重量10g)を得た。なお、ゼラチンの原料水溶液は、50℃に加温した精製水に所定量のゼラチンを添加して溶解させることにより調製した。
【0044】
次いで、室温にて2日間静置した。静置後の各液状組成物について、凝集の程度及び白濁の有無を以下の方法で評価した。
<凝集の程度>
各液状組成物を遠心分離(1,567×g、30分間)に供し、凝集物を沈殿させ、上澄みを除去した。次いで、遠沈管内に残った沈殿の量(湿潤重量)を測定した。
<白濁の有無>
沈殿量の測定時に除去した上澄みの外観を観察し、白濁の有無を判定した。白濁している場合は「×」、白濁していない場合は「○」として評価した。
【0045】
得られた結果を表1~6に示す。この結果、ナットウキナーゼ非存在下で各種ポリフェノールとゼラチンが共存すると、顕著な凝集の生成が認められた(比較例1~11)。これに対して、各種ポリフェノール及びゼラチンと共に、ナットウキナーゼが存在する場合には、凝集の生成を効果的に抑制できていた(実施例1~31)。
【0046】
また、ポリフェノールとして、フラバノール類(ポリフェノールA)を使用して、ナットウキナーゼ非存在下でゼラチンと共存させると、白濁が生じていたが、(比較例1~4)、フラバノール類(ポリフェノールA)とゼラチンと共に、ナットウキナーゼを共存させると、白濁が抑制されていた(実施例1~7)。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】