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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026907
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】平面アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20240221BHJP
   H01Q 9/40 20060101ALI20240221BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20240221BHJP
   H01Q 1/50 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q9/40
H01Q1/38
H01Q1/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000843
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山中 大輔
(72)【発明者】
【氏名】森本 康夫
【テーマコード(参考)】
5J045
5J046
【Fターム(参考)】
5J045DA09
5J045HA03
5J046AB06
5J046PA09
5J046TA03
(57)【要約】
【課題】折り曲げることが可能な平面アンテナを提供する。
【解決手段】平面アンテナは、仮想対称線に沿って延在する端辺を有する誘電体基板と、前記誘電体基板とともに平面的に配置され、前記仮想対称線上に位置する一辺を有するアンテナ部と、前記誘電体基板に設けられ、前記アンテナ部の給電部に接続される一端を有する給電線路と、前記誘電体基板に設けられ、前記給電線路の他端に接続されるコネクタ部とを含み、前記給電部は前記仮想対称線上に位置し、前記給電線路の少なくとも一部の区間は、前記仮想対称線から離れて設置される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想対称線に沿って延在する端辺を有する誘電体基板と、
前記誘電体基板とともに平面的に配置され、前記仮想対称線上に位置する一辺を有するアンテナ部と、
前記誘電体基板に設けられ、前記アンテナ部の給電部に接続される一端を有する給電線路と、
前記誘電体基板に設けられ、前記給電線路の他端に接続されるコネクタ部と
を含み、
前記給電部は前記仮想対称線上に位置し、
前記給電線路の少なくとも一部の区間は、前記仮想対称線から離れて設置される、平面アンテナ。
【請求項2】
前記給電線路は、前記一端から前記仮想対称線に沿って延在する第1区間を有し、
前記第1区間の長さは、前記アンテナ部の通信周波数帯のうちの最も低い周波数における波長の1/4以下の長さである、請求項1に記載の平面アンテナ。
【請求項3】
前記給電線路は、前記仮想対称線から離れる方向に延在する1又は複数の第2区間を有する、請求項1又は2に記載の平面アンテナ。
【請求項4】
前記給電線路は、前記仮想対称線に沿って延在する区間と、前記仮想対称線から離れる方向に延在する区間とを組とする組区間を2つ以上含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の平面アンテナ。
【請求項5】
前記2つ以上の組区間に含まれる前記仮想対称線に沿って延在する区間の長さのうちの最大の長さは、前記アンテナ部の通信周波数帯のうちの最も低い周波数における波長の1/4以下の長さである、請求項4に記載の平面アンテナ。
【請求項6】
前記コネクタ部は、前記仮想対称線上に配置される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の平面アンテナ。
【請求項7】
前記給電線路に形成される、インピーダンス整合回路又はフィルタ回路をさらに含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の平面アンテナ。
【請求項8】
前記給電線路は、前記仮想対称線に平行な方向に延在する並行区間と、前記並行区間に対して垂直な方向に延在する垂直区間と、前記並行区間と前記垂直区間とを接続する接続区間とを有し、
前記接続区間は、前記並行区間と前記垂直区間との間で直角に屈曲する区間、前記並行区間と前記垂直区間とに対して斜め方向に延在する区間、又は、前記並行区間と前記垂直区間との間で湾曲する区間である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の平面アンテナ。
【請求項9】
前記給電線路は、前記誘電体基板の第1面に設けられ、前記一端と前記他端との間で延在する信号線導体と、前記誘電体基板の第2面に設けられるグランド層とを有するマイクロストリップラインである、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の平面アンテナ。
【請求項10】
前記アンテナ部は、グランド層を含まない、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の平面アンテナ。
【請求項11】
前記誘電体基板は、平面視で前記アンテナ部が存在する領域にも延在しており、
前記アンテナ部は、前記誘電体基板に設けられる、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の平面アンテナ。
【請求項12】
前記アンテナ部は、平面視で四半円の円周部分を有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の平面アンテナ。
【請求項13】
前記誘電体基板は、フレキシブル基板である、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の平面アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、セラミック基板と、セラミック基板の表面に形成されたモノポールアンテナ素子と、セラミック基板の表面に形成され、モノポールアンテナ素子の給電部に接続されるコプレーナ線路とを含むUWB(Ultra-Wide Band)用の平面モノポールアンテナがある。UWB用のモノポールアンテナ素子は対称軸を有する線対称な形状を有する。
【0003】
また、上述のようなモノポールアンテナ素子及びコプレーナ線路の対称軸の片側のみを含む半分の構成にすることで小形化を図った平面モノポールアンテナがある。このように対称軸の片側のみの半分の構成を有するモノポールアンテナ素子を用いても、線対称な構成のモノポールアンテナ素子を用いる場合と同様に広帯域化を図ることができ、UWB用の平面モノポールアンテナとして利用可能である(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】IEEE TRANSACTIONS ON ANTENNAS AND PROPAGATION, VOL. 58, NO. 7, JULY 2010, Miniaturization of Planar Monopole Antenna for Ultrawideband Radios, Mei Sun, Member, IEEE, Yue Ping Zhang, Fellow, IEEE, and Yilong Lu, Member, IEEE
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の対称軸の片側のみの半分の構成を有するモノポールアンテナ素子を用いたUWB用の平面モノポールアンテナは、セラミック基板に形成されているため、基板ごと折り曲げて利用することはできない。
【0006】
そこで、折り曲げることが可能な平面アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の平面アンテナは、仮想対称線に沿って延在する端辺を有する誘電体基板と、前記誘電体基板とともに平面的に配置され、前記仮想対称線上に位置する一辺を有するアンテナ部と、前記誘電体基板に設けられ、前記アンテナ部の給電部に接続される一端を有する給電線路と、前記誘電体基板に設けられ、前記給電線路の他端に接続されるコネクタ部とを含み、前記給電部は前記仮想対称線上に位置し、前記給電線路の少なくとも一部の区間は、前記仮想対称線から離れて設置される。
【発明の効果】
【0008】
折り曲げることが可能な平面アンテナを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の平面アンテナ100を示す図である。
図2】実施形態の平面アンテナ100を示す図である。
図3図1のA-A矢視断面とB-B矢視断面を示す図である。
図4】平面アンテナ100における仮想的な構成を説明する図である。
図5】平面アンテナ100の使用態様の一例を示す図である。
図6】平面アンテナ100のシミュレーションモデルを示す図である。
図7】90度折り曲げた平面アンテナ100のシミュレーションモデルを示す図である。
図8】S11パラメータの周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。
図9】比較例の平面アンテナ10のシミュレーションモデルを示す図である。
図10】平面アンテナ10を折り曲げずに求めたS11パラメータの周波数特性を示す図である。
図11】変形例の平面アンテナ100M1~100M2を示す図である。
図12】変形例の平面アンテナ100M3~100M4を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下、本開示の平面アンテナを適用した実施形態について説明する。以下では、XYZ座標系を定義して説明する。X軸に平行な方向(X方向)、Y軸に平行な方向(Y方向)、Z軸に平行な方向(Z方向)は、互いに直交する。また、以下では、説明の便宜上、-Z方向側を下側又は下、+Z方向側を上側又は上と称す場合がある。また、平面視とはXY面視することをいう。また、以下では構成が分かり易くなるように各部の長さ、太さ、厚さ等を誇張して示す場合がある。また、平行、直角、直交、水平、垂直、上下等の文言は、実施形態の効果を損なわない程度のずれを許容するものとする。
【0011】
<平面アンテナ100の構成>
図1及び図2は、実施形態の平面アンテナ100を示す図である。図1は、平面アンテナ100の上面側を示し、図2は平面アンテナ100の下面側を示す。図3は、図1のA-A矢視断面とB-B矢視断面を示す図である。
【0012】
平面アンテナ100は、基板50、アンテナ素子110、信号線路120、コネクタ130、及びグランド層140を含む。基板50は誘電体基板の一例であり、アンテナ素子110はアンテナ部の一例であり、信号線路120は、信号線導体の一例であり、コネクタ130はコネクタ部の一例である。
【0013】
基板50は、誘電体製の基板であればよく、一例として可撓性を有するフレキシブル基板である。フレキシブル基板としての基板50は、例えばポリイミド製の基板で実現できる。基板50の上面50Aは第1面の一例であり、基板50の下面50Bは第2面の一例である。基板50の上面50Aには、アンテナ素子110、信号線路120、コネクタ130が設けられ、基板50の下面50Bには、グランド層140が設けられる。
【0014】
ここで、図1に示す仮想対称線Sは、信号線路120の線路部121の端辺121Aを含む直線であり、Y軸に平行である。線路部121は、アンテナ素子110の給電部115に接続されてY方向に延在する第1区間の一例である。線路部121の給電部115に接続される端部は、一端の一例である。端辺121Aは、仮想対称線S上に位置する一辺の一例であり、線路部121の端辺のうちの-X方向側でY方向に延在する端辺である。なお、仮想対称線Sについては後述する。
【0015】
基板50は、一例として平面視で矩形状であり、Y軸方向に延在する長手方向を有する。基板50の長手方向は、平面アンテナ100の長手方向である。基板50は、端辺51、52、53、54を有する。端辺51は、基板50の-Y方向側でX方向に延在する。端辺52は、基板50の-X方向側でY方向に延在する。端辺53は、基板50の+Y方向側でX方向に延在する。端辺54は、基板50の+X方向側でY方向に延在する。
【0016】
これらのうち、端辺52は、平面視で仮想対称線Sよりも-X方向側にオフセットして仮想対称線Sに沿って延在している。ここで、端辺52が仮想対称線Sに沿って延在するとは、端辺52が仮想対称線Sと一致していなくても(仮想対称線Sに含まれていなくても)、仮想対称線Sと平行に延在していることをいう。なお、上述したように、平行という文言は、実施形態の効果を損なわない程度のずれを許容する。
【0017】
ここでは、アンテナ素子110、信号線路120、コネクタ130、及びグランド層140の外縁が、基板50の端辺51~54に対して、基板50の内側にオフセットしている形態について説明する。外縁とは物体の外側を囲むへりである。しかしながら、このようなオフセットが生じないように作製可能である場合には、アンテナ素子110、信号線路120、コネクタ130、及びグランド層140の外縁のうちの少なくとも一部分は、基板50の端辺51~54と一致していてもよい。
【0018】
アンテナ素子110は、基板50の上面50Aの-Y方向側の約半分の領域内に設けられている。アンテナ素子110は、基板50とともに平面的に配置されている。アンテナ素子110は、金属製であればよく、一例として銅箔又は銅板で作製できる。アンテナ素子110は、平面視で四半円状の四半円部110Aと、平面視で矩形状の矩形部110Bとを有する。ここで、四半円とは円の中心を通り互いに垂直な2本の直線で四等分して得られる1/4の円である。四半円状とは四半円の形状を有することをいう。
【0019】
矩形部110Bは、四半円部110Aの-Y方向側に位置し、平面視で長方形の形状を有する部分である。四半円部110Aと矩形部110Bは一体的に形成されるが、ここでは分かり易くするために、四半円部110Aと矩形部110Bとの境界をX軸に平行な破線で示す。
【0020】
アンテナ素子110の外縁は、端辺51の近傍でX方向に延在する端辺111と、端辺52の近傍でY方向に延在する端辺112と、四半円部110Aの円周部111Aと、端辺54の近傍でY方向に延在する端辺114とで構成される。円周部111Aは円周部分の一例である。端辺112は、四半円部110Aの外縁のうちの-X方向側でY方向に延在する端辺と、矩形部110Bの外縁のうちの-X方向側でY方向に延在する端辺とを合わせた端辺である。端辺114は、矩形部110Bの外縁のうちの+X方向側でY方向に延在する端辺である。
【0021】
端辺112は、信号線路120の線路部121の端辺121Aと同一直線上に位置する。このため、端辺112は、仮想対称線Sと同一直線上に位置する。端辺112は、四半円部110Aの半径に相当する-X方向側の端辺を含む。アンテナ素子110の端辺112は、仮想対称線S上に位置する一辺の一例である。
【0022】
アンテナ素子110は、円周部111Aの端辺52側の端部に給電部115を有する。給電部115は、仮想対称線S上に位置し、アンテナ素子110の円周部111Aと端辺112とが接する接続部に位置する。給電部115の位置は、円周部111Aの両端のうち、グランド層140に近い側の端部である。
【0023】
給電部115には信号線路120が接続される。アンテナ素子110は、給電部115で給電され、電波を放射するモノポールアンテナ素子である。アンテナ素子110の通信周波数帯は、一例として800MHzから5GHzである。四半円部110Aは広帯域化が可能なアンテナ素子である。四半円部110Aを含むアンテナ素子110は、広帯域モノポールアンテナの一例である。なお、このように広帯域化を図ったアンテナ素子110は、四半円部110Aを有していればよく、矩形部110Bを有していなくてもよいが、矩形部110Bを含むことによって、さらに広帯域化を図ることができる。
【0024】
信号線路120は、金属製であればよく、一例として銅箔又は銅板で作製できる。信号線路120は、基板50の上面50Aの+Y方向側の約半分の領域内に設けられている。このため、信号線路120は、平面視でグランド層140と重なっており、マイクロストリップラインを構築する。信号線路120とグランド層140とで構築されるマイクロストリップラインは、平面アンテナ100の給電線路の一例である。マイクロストリップラインの特性インピーダンスは、一例として50Ωに設定される。なお、平面アンテナ100の給電線路は、マイクロストリップライン以外の構成であってもよい。
【0025】
信号線路120は、給電部115から+Y方向に延在する線路部121と、線路部121の+Y方向側の端部から平面視で90度屈曲して+X方向に延在する線路部122と、線路部122の+X方向側の端部から平面視で90度屈曲して+Y方向に延在する線路部123と、線路部123の+Y方向側の端部から平面視で90度屈曲して-X方向に延在する線路部124とを有する。線路部122及び124は、仮想対称線Sから離れる方向に延在する第2区間の一例である。
【0026】
ここで、線路部121の端辺121Aとは反対側の端辺を端辺121Bとする。また、線路部124の-X方向側の端部は、仮想対称線Sよりも+X方向側に位置しており、コネクタ130の信号端子131に接続される。
【0027】
線路部121の端辺121Aは、仮想対称線S上に位置する。換言すれば、端辺121Aは、仮想対称線Sに含まれる。また、線路部122は仮想対称線S上に位置する部分を含まないこととする。このため、線路部122、123、124は、平面視で仮想対称線Sよりも+X方向側に位置している。このように、信号線路120は、給電部115とコネクタ130の信号端子との間で、仮想対称線Sよりも+X方向側にオフセットし、仮想対称線S上に位置しない線路部122、123、124を有する。このように、信号線路120が仮想対称線S上に位置しない区間を有する理由については後述する。
【0028】
線路部121の端辺121Aは、グランド層140の端辺142と同一のYZ平面上に位置する。このため、線路部121の端辺121Aと、グランド層140の端辺142とのX方向における位置は等しい。一般的なマイクロストリップラインは、平面視で線路部よりもグランド層の方が幅広いため、厳密にいうと、線路部121については、X方向において端辺121Bがある+X方向側がマイクロストリップラインを構築していることになる。端辺121Aを含む直線が仮想対称線Sになるのは、端辺121Aは、グランド層140の端辺142と同一のYZ平面上に位置し、端辺121Aと端辺142とのX方向における位置が等しいからである。仮想対称線Sの詳細については、図4を用いて後述する。
【0029】
なお、信号線路120のうち、給電部115に接続される線路部121の長さは、アンテナ素子110の通信周波数帯のうちの最も低い周波数における波長の電気長の1/4以下の長さに設定される。線路部121がアンテナとして機能することを抑制するためである。
【0030】
また、グランド層140の外縁のうちの-Y方向側でX方向に延在する端辺141と、アンテナ素子110との間にY方向のギャップがあると、線路部121の-Y方向側の端部に平面視でグランド層140と重ならない区間が生じる。このような線路部121のグランド層140と重ならない区間をインピーダンスの調整用に利用してもよい。また、線路部121のグランド層140と重ならない区間が生じないように、端辺141とアンテナ素子110との間にY方向のギャップが生じないような構成にしてもよい。
【0031】
コネクタ130は、基板50の端辺52の近傍に位置しており、コネクタ130の-X方向側の端部は、平面視で仮想対称線S上に位置している。コネクタ130は、信号端子131とグランド端子(図示を省略)とを有する。信号端子131は線路部124に接続されており、グランド端子は基板50をZ方向(厚さ方向)に貫通するビアによってグランド層140に接続されている。コネクタ130は、同軸ケーブル等を介して、平面アンテナ100を利用する送信装置、受信装置、又は送受信装置に接続される。
【0032】
グランド層140は、基板50の下面50Bの-Y方向側の約半分の領域内に設けられている。グランド層140は、金属製であればよく、一例として銅箔又は銅板で作製できる。グランド層140の外縁の四辺のうち、-Y方向側でX軸方向に延在する端辺は端辺141であり、-X方向側でY軸方向に延在する端辺は端辺142である。なお、図1には基板50の下面50B側にあるグランド層140の位置を破線で示すが、図2には基板50の下面50Bにあるグランド層140のみを示す。
【0033】
<平面アンテナ100における仮想的な構成要素>
図4は、平面アンテナ100における仮想的な構成を説明する図である。図4には、平面アンテナ100の実在の構成要素である、アンテナ素子110、信号線路120、コネクタ130、グランド層140、及び基板50と、平面アンテナ100の仮想的な構成要素である、アンテナ素子110V、信号線路120V、コネクタ130V、及びグランド層140Vとを示す。また、図4では、各部の構成が分かり易くなるように、信号線路120、コネクタ130、信号線路120V、コネクタ130Vを大型化して示す。
【0034】
アンテナ素子110V、信号線路120V、コネクタ130V、グランド層140Vは、仮想対称線Sを対称軸として、アンテナ素子110、信号線路120、コネクタ130、グランド層140とそれぞれ線対称な形状を有する。信号線路120Vは、線路部121V、122V、123V、124Vを有し、線路部121V、122V、123V、124Vは、仮想対称線Sを対称軸として、線路部121、122、123、124とそれぞれ線対称な形状を有する。
【0035】
信号線路120Vは、グランド層140Vとともに仮想的なマイクロストリップラインを構築する。仮想対称線Sは、線路部121と線路部121Vとの間(境界)をY方向に通る直線である。
【0036】
線路部121と線路部121Vとを合わせた仮想的な線路の仮想対称線Sよりも-X方向側の半分である線路部121Vを取り払うと、線路部121の端辺121A側は、端辺121B側から見るとオープンになり、インピーダンスが無限大になったように見える。このため、線路部121Vが存在しなくても、仮想対称線Sを対称軸として線路部121と線対称な線路部121Vが存在しているのと同じような線対称な電流分布が線路部121に得られる。
【0037】
別な視点から説明すれば、線路部121と線路部121Vとを合わせた線路を有するマイクロストリップラインが実際に存在する場合に、このマイクロストリップラインのX方向の幅の中央をY方向に通る直線を含むYZ平面はオープンな平面(インピーダンスが無限な平面)になる。このため、片側である線路部121Vが存在しなくても、仮想対称線Sを対称軸として線路部121と線対称な線路部121Vが存在しているのと同じような線対称な電流分布が線路部121に得られる。
【0038】
このような対称軸が存在すると、線路部122、123、124についても同様に、線路部122V、123V、124Vが存在しなくても、仮想対称線Sを対称軸として線路部122、123、124と線対称な線路部122V、123V、124Vが存在しているのと同じような線対称な電流分布が得られる。また、グランド層140についても同様に、線対称なグランド層140Vが存在しているのと同じような線対称な電流分布が得られる。
【0039】
また、信号線路120及びグランド層140について線対称な信号線路120V及びグランド層140Vが存在しているのと同じような線対称な電流分布が得られることにより、アンテナ素子110についても同様に、アンテナ素子110Vが存在しなくても、仮想対称線Sを対称軸としてアンテナ素子110と線対称なアンテナ素子110Vが存在しているのと同じような線対称な電流分布が得られる。
【0040】
このため、仮想対称線Sを対称軸としてアンテナ素子110V、信号線路120V、コネクタ130V、グランド層140Vが実際に存在しているのと同じように仮想対称線Sを対称軸とした線対称な電流分布が得られ、平面アンテナ100の小形化を図りつつ、アンテナ素子110及び110Vを合わせた半円状で広帯域なアンテナ素子(110+110V)が存在しているのと同等の放射特性を得ることができる。
【0041】
<平面アンテナ100の使用態様の一例>
図5は、平面アンテナ100の使用態様の一例を示す図である。図5には、湾曲した壁部30に平面アンテナ100を固定した状態を示す。壁部30は、金属以外の材料で形成されていれば、どのような構造物であってもよい。ここでは、一例として平面アンテナ100は、X方向に延在する折り曲げ線に対して、長手方向において折り畳まれるように折り曲げられている。このため、図5に示すように湾曲した壁部30に沿って、アンテナ素子110、信号線路120、及びグランド層140が位置している。また、コネクタ130には同軸ケーブル31の一端が接続されている。同軸ケーブル31の他端は、一例として800MHzから5GHzまでの高周波電力を出力可能な高周波電源に接続されている。
【0042】
ここで、平面アンテナ100のうちのアンテナ素子110の区間を折り曲げると、アンテナ素子110の-Y方向側と+Y方向側が向かい合うため、結合等が生じて放射特性が劣化する。また、グランド層140の区間を同様に向かい合うように折り曲げても結合等が生じて放射特性が劣化する。このため、平面アンテナ100を長手方向において折り曲げる際には、Y方向において信号線路120が位置する区間で折り曲げることが好ましい。このような理由から、図5では壁部30の曲率が最も小さい部分に信号線路120が位置するように平面アンテナ100が配置されている。
【0043】
ただし、信号線路120の線路部121又は線路部123のようにY方向に延在する区間が長いと結合等が生じてインピーダンス特性等が劣化し、平面アンテナ100の放射特性が劣化するおそれがある。このため、信号線路120は、Y方向に延在する区間を短くして、X方向に延在する区間を長くした方が、折り曲げた場合のインピーダンス特性等の劣化を抑制できる。信号線路120の区間を折り曲げる際に、Y方向に延在する区間が折り曲げられると、折り曲げられた部分が弧を形成するように湾曲するため、非常に近い距離で向かい合う部分が生じ、結合が増大する。これに対して、線路部122及び線路部124のようにX方向に延在する別々の区間であれば、位置の調整等によって向かい合うことを避けやすく、結合の増大を抑制しやすい。
【0044】
このような理由から、信号線路120は、線路部122及び線路部124のようにX方向に延在する区間を有し、X方向に延在する区間の長さをなるべく長く取っている。給電部115に接続される線路部121は、仮想対称線S上に位置するため、信号線路120は、仮想対称線Sよりも+X方向側にオフセットする区間を有する。本実施形態では、一例として信号線路120は、線路部122及び124のようにX方向に延在する区間を有するとともに、線路部121以外でY方向に延在する区間としては、仮想対称線Sよりも+X方向側にオフセットした線路部123を有する。信号線路120は、給電部115に接続される線路部121を+Y方向に一直線状に延在させたような構成は採用しない。
【0045】
特に、信号線路120は、仮想対称線Sに沿ってY方向に延在する区間と、仮想対称線Sから離れる方向に延在する区間とを組とする組区間を2つ以上含むことが好ましい。このようにすることで、Y方向に延在している各区間の長さを短くできるので、仮にY方向に延在する区間で図5に示すように折り曲げられたとしても、その影響が遠くまで及ぶことを抑制できる。具体的には、例えば、信号線路120では、線路部121及び123が仮想対称線Sに沿ってY方向に延在する区間であり、線路部122及び124が仮想対称線Sから離れる方向に延在する区間である。また、線路部121及び122が1つの組区間であり、線路部123及び124が1つの組区間である。信号線路120は、仮想対称線Sに沿ってY方向に延在する区間と、仮想対称線Sから離れる方向に延在する区間とを組とする組区間を2つ含む構成を有する。
【0046】
また、2つ以上の組区間に含まれる仮想対称線Sに沿って延在する区間の長さのうちの最大の長さは、アンテナ素子110の通信周波数帯のうちの最も低い周波数における波長の1/4以下の長さであることが好ましい。仮想対称線Sに沿って延在する区間がアンテナとして機能することを抑制するためである。具体的には、例えば、信号線路120では、仮想対称線Sに沿って延在する線路部121及び123のうち、線路部123の長さの方が線路部121よりも長い場合には、線路部123の長さが、アンテナ素子110の通信周波数帯のうちの最も低い周波数における波長の1/4以下の長さであればよい。また、例えば、線路部121の長さの方が線路部123よりも長い場合には、線路部121の長さが、アンテナ素子110の通信周波数帯のうちの最も低い周波数における波長の1/4以下の長さであればよい。
【0047】
また、ノイズの発生を抑制する観点から、信号線路120のうちのX方向又はY方向に延在している各区間の長さは、各区間の幅の3倍以上であることが好ましい。具体的には、例えば、Y方向に延在する線路部121及び123のY方向の長さは、それぞれ、線路部121及び123のX方向の幅の3倍以上であることが好ましい。また、例えば、X方向に延在する線路部122及び124のX方向の長さは、それぞれ、線路部122及び124のY方向の幅の3倍以上であることが好ましい。なお、一例として、線路部121乃至124の幅は等しい。
【0048】
<シミュレーションモデルと結果>
図6は、平面アンテナ100のシミュレーションモデルを示す図である。XYZ座標の原点は、基板50の上面50A(図1、3参照)の中心である。図7は、90度折り曲げた平面アンテナ100のシミュレーションモデルを示す図である。図7では、平面アンテナ100は、図6における+Y方向側の半分の部分が-Z方向側に延在するように、図6におけるY方向の中心部分(線路部123がある部分)で折り曲げられている。
【0049】
図8は、S11パラメータの周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。電磁界シミュレーションによって、図6及び図7に示す2つのシミュレーションモデルにおけるS11パラメータの周波数特性を求めた。S11パラメータは、コネクタ130の信号端子131(図1参照)を入力ポートとして、信号端子131に入力する電力に対する、反射によって信号端子131に戻ってくる電力の比を表す。図8には、折り曲げなしの図6のシミュレーションモデルで得られた特性を実線で示し、90の折り曲げた図7のシミュレーションモデルで得られた特性を破線で示す。
【0050】
図8に示すように、90度折り曲げの特性は、折り曲げ無しの特性に比べて殆ど遜色のない結果を示した。90度折り曲げのS11パラメータは、-10dBを基準とすると、0.8GHzから2GHzあたりの周波数帯で折り曲げ無しのS11パラメータよりも少し劣るが、-5dB以下の値が得られている。また、2GHz以上の周波数帯では、90度折り曲げのS11パラメータの方が折り曲げ無しのS11パラメータよりも全体的に低くなる結果が得られた。平面アンテナ100は、折り曲げた状態においても折り曲げていない状態と同様に、通信可能な広い帯域が得られることを確認することができた。
【0051】
このようなシミュレーションにより、平面アンテナ100は、折り曲げる用途に適用可能であり、折り曲げることによって反射特性の劣化が非常に少ないことを確認することができた。
【0052】
<比較例のシミュレーションモデルの結果>
図9は、比較例の平面アンテナ10のシミュレーションモデルを示す図である。比較例の平面アンテナ10は、アンテナ素子110の円周部111Aのうち、アンテナ素子110のX方向の幅の中央に位置する部分に給電部115を有する。すなわち、給電部115は、仮想対称線S(図1参照)から+X方向側にオフセットしている。また、信号線路20は、給電部115から+Y方向に延在する線路部21と、線路部21の+Y方向側の端部から平面視で90度屈曲して-X方向に延在する線路部22とを有する。コネクタ130の-X方向側の端部は、仮想対称線S上に位置している。
【0053】
図9に示す平面アンテナ10を折り曲げずに、S11パラメータの周波数特性を求める電磁界シミュレーションを行ったところ、図10に示す特性を得た。図10は、平面アンテナ10を折り曲げずに求めたS11パラメータの周波数特性を示す図である。図10に示すように、S11パラメータの値は図8に示す2つの特性よりも全体的に高くなっており、特に約2.7GHzから5GHzの周波数帯では、-2dB前後の値になった。約2.7GHz以上の周波数帯は、良好な通信を行うことが困難なレベルである。
【0054】
このように、比較例の平面アンテナ10では、平面アンテナ100のような広帯域は得られないことが分かった。比較例の平面アンテナ10の反射特性が劣化したのは、給電部115及び線路部21が仮想対称線S上に位置していないため、図4に示したような仮想的なアンテナ素子110V及び信号線路120V等による線対称な電流分布が得られなかったためである。また、線対称な電流分布が得られなかったため、広帯域化を図ることができなかったものと考えられる。
【0055】
上述のように、比較例の平面アンテナ10は、給電部115が仮想対称線Sからオフセットしていることにより、実施形態の平面アンテナ100と比べると、反射特性が悪く広帯域化を図ることができない。また、このような比較例の平面アンテナ10を図5又は図7に示すように折り曲げると、信号線路20の全長に対して折り曲げた部分の弧の長さの割合が大きくなることや、実施形態の平面アンテナ100に比べて給電部115が-Y方向にオフセットすることによってY方向に延在する区間である線路部21の長さが長くなることから、さらに反射特性が劣化し、折り曲げて利用することは困難である。
【0056】
これに対して、実施形態の平面アンテナ100は、図5又は図7に示すように折り曲げても反射特性が劣化しないため、折り曲げて利用できる。したがって、折り曲げることが可能な平面アンテナ100を提供できる。
【0057】
平面アンテナ100では、給電部115が円周部111Aの両端のうちのグランド層140に近い側の端部において仮想対称線S上に位置し、信号線路120が給電部115から+Y方向に延在する線路部121を有する。また、線路部121の-X方向側の端辺121Aは、グランド層140の端辺142と同一のYZ平面上に位置し、端辺121Aと端辺142とのX方向における位置が等しい。このため、線路部121の端辺121Aを含む直線が仮想対称線Sとなる。
【0058】
線路部121の端辺121Aを含む直線が仮想対称線Sになることにより、図4に示すように、仮想対称線Sを対称軸として、アンテナ素子110、信号線路120、コネクタ130、グランド層140と線対称で仮想的なアンテナ素子110V、信号線路120V、コネクタ130V、及びグランド層140Vが存在している場合と同様の線対称な電流分布や放射特性が得られる。これにより平面アンテナ100の小形化を図ることができる。
【0059】
平面アンテナ100は、仮想対称線Sに沿って延在する端辺52を有する基板50と、仮想対称線S上に位置する端辺112を有するアンテナ素子110と、仮想対称線S上に位置する給電部115と、給電部115に接続される信号線路120と、信号線路120に接続されるコネクタ130とを含み、信号線路120の少なくとも一部の区間である線路部122~124は、仮想対称線Sから離れて設置される。このため、図5又は図7に示すように折り曲げても、折り曲げていない場合と同様の反射特性が得られる。また、信号線路120の少なくとも一部の区間である線路部122~124が仮想対称線Sから離れて設置されることにより、線路部の両側にグランド層140が位置する区間を十分に確保することができるとともに、線路部122~124を取り回す(引き回す)ことで、仮想対称線Sの付近にコネクタ130を設置できるという配置の自由度が得られる。
【0060】
また、信号線路120は、給電部115に接続される一端から仮想対称線Sに沿って延在する線路部121を有し、線路部121の長さは、アンテナ素子110の通信周波数帯のうちの最も低い周波数における波長の1/4以下の長さである。このため、線路部121がアンテナとして動作することを抑制した平面アンテナ100を提供できる。
【0061】
また、コネクタ130は、仮想対称線S上に配置されるので、信号線路120の取り回し(引き回し)を行いやすい平面アンテナ100を提供できる。また、コネクタ130は、仮想対称線S上に配置されることによって、信号線路120を短くできる。
【0062】
また、信号線路120は、仮想対称線Sから離れる方向に延在する第2区間の一例である線路部122及び124を有するので、信号線路120のうちの仮想対称線Sに沿って延在する区間を短くすることができ、折り曲げても反射特性の劣化を抑制しやすい構成を実現できる。
【0063】
また、平面アンテナ100の給電線路は、基板50の上面50Aに設けられる信号線路120と、基板50の下面50Bに設けられるグランド層140とを有するマイクロストリップラインであるので、アンテナ素子110とコネクタ130との間において、伝送損失の少ない良好な状態で信号を伝送できる。
【0064】
また、基板50は、平面視でアンテナ素子110が存在する領域にも延在しており、アンテナ素子110は基板50に設けられるので、銅箔等の金属箔や金属粉末を含むような導電ペースト等でアンテナ素子110を形成する場合においても、アンテナ素子110を安定的に保持できる。
【0065】
また、アンテナ素子110は、平面視で四半円の円周部111Aを有するので、例えば、三角形を対称軸で半分にしたアンテナ素子や、T字型を対称軸で半分にしたアンテナ素子等に比べると、円周部111Aに沿ってより長い電流経路を得ることができる。このため、高い周波数帯の短い波長から低い周波数帯の長い波長の送受信が可能な広帯域アンテナを実現できる。
【0066】
また、基板50はフレキシブル基板であるので、容易に折り曲げることができる。セラミック製の基板等のように可撓性を殆ど有さない基板では、図5又は図7のように折り曲げることは不可能であり、例えば図5に示すように湾曲した壁部30に固定することはできない。
【0067】
なお、以上では、アンテナ素子110が基板50の上面50Aに設けられる形態について説明したが、基板50は平面視でグランド層140が設けられる+Y方向側の部分にのみ存在し、アンテナ素子110が存在する+Y方向側には設けられなくてもよい。すなわち、アンテナ素子110は、例えばモノポールアンテナ素子のようにグランド層を含まない構成でよい。このため、平面アンテナ100の構成部品を少なくできる。この場合には、アンテナ素子110を板金等で作製すればよい。
【0068】
また、以上では、アンテナ素子110が四半円部110Aと矩形部110Bとを含む広帯域アンテナである形態について説明したが、アンテナ素子110は、このような形状のものに限られない。アンテナ素子110の形状は、例えば、三角形の半分の形状、T字型の半分の形状、又は、その他の形状であってもよい。好適には、対称軸で二等分されるうちの片方を表す形状のものであればよい。
【0069】
また、図11及び図12に示すような構成の平面アンテナ100M1~100M4であってもよい。図11及び図12は、変形例の平面アンテナ100M1~100M4を示す図である。
【0070】
図11(A)に示す平面アンテナ100M1は、図1に示す信号線路120をメアンダ状の信号線路120M1に置き換えた構成を有する。メアンダ状の信号線路120M1は、仮想対称線Sから離れるX方向に延在する複数の区間と、仮想対称線Sと平行なY方向に延在する複数の区間とを交互に接続した形状を有する。仮想対称線Sと平行なY方向に延在する区間は並行区間の一例である。仮想対称線Sから離れるX方向に延在する区間は、仮想対称線Sと平行なY方向に延在する区間に対して垂直な方向に延在する垂直区間の一例であるとともに、第2区間の一例である。並行区間と垂直区間とを接続する部分は、接続区間の一例である。また、一例として、メアンダ状の信号線路120M1は、仮想対称線Sに沿ってY方向に延在する区間と、仮想対称線Sから離れる方向に延在する区間とを組とする組区間を10組含む。
【0071】
メアンダ状の信号線路120M1の接続区間は、図11(A)に示すように平面視で直角に屈曲する形状に限らず、直角に屈曲する接続区間の外側が斜めに面取りされることで、並行区間と垂直区間とに対して斜め方向に延在する区間であってもよい。また、接続区間は、並行区間と垂直区間との間で湾曲する区間であってもよい。また、このような並行区間と垂直区間とに対して斜め方向に延在する接続区間、又は、並行区間と垂直区間との間で湾曲する接続区間は、例えば図1に示す平面アンテナ100の信号線路120の線路部121~124の接続区間に適用されてもよい。
【0072】
図11(B)に示す平面アンテナ100M2は、図1に示す平面アンテナ100の信号線路120の線路部123にフィルタ回路150を追加したものである。フィルタ回路150は、線路部123に対して垂直に交差する2本の線路151、152を有する。線路151、152は、X方向に延在し、線路部123に垂直に交差している。線路151、152の長さ設定することでインダクタンス成分(L成分)を設定可能であり、2本の線路151、152の容量結合でキャパシタンス成分(C成分)を設定可能である。このようなL成分とC成分によって、例えば、LPF(Low Pass Filter)又はHPF(High Pass Filter)を構築できる。また、線路151、152でインダクタンス成分(L成分)とキャパシタンス成分(C成分)を実現できるため、このような線路151、152を用いて、インピーダンス整合回路を実現してもよい。
【0073】
また、図12(A)に示す平面アンテナ100M3は、図1に示す平面アンテナ100の信号線路120を信号線路120M3に置き換えたものである。信号線路120M3は、給電部115に接続される線路部121と、線路部121の+Y方向側の端部から平面視で90度屈曲して+X方向に延在する線路部122M3とを有する。線路部122M3は、第2区間の一例であり、基板50の端辺52側から端辺54側まで直線状に延在している。また、コネクタ130は、端辺54側に配置されている。
【0074】
このような信号線路120M3は、線路部122M3が仮想対称線Sから離れて配置されている。このため、平面アンテナ100M3は、図1に示す平面アンテナ100と同様に、図5又は図7に示すように折り曲げても反射特性が劣化せず、折り曲げて利用できる。
【0075】
また、図12(B)に示す平面アンテナ100M4は、図1に示す平面アンテナ100の信号線路120を信号線路120M4に置き換えたものである。信号線路120M4は、給電部115に接続される線路部121と、線路部121の+Y方向側の端部から平面視で90度屈曲して+X方向に延在する線路部122M4と、線路部122M4の+X方向側の端部から平面視で90度屈曲して+Y方向に延在する線路部123M4とを有する。線路部122M4は、第2区間の一例であり、基板50のX方向の幅の中央まで直線状に延在している。線路部123M4は、平面視におけるグランド層140の略中央に相当する位置まで直線状に延在している。また、コネクタ130は、平面視におけるグランド層140の略中央に相当する位置に配置されている。
【0076】
このような信号線路120M4は、線路部122M4が仮想対称線Sから離れて配置されている。このため、平面アンテナ100M4は、図1に示す平面アンテナ100と同様に、図5又は図7に示すように折り曲げても反射特性が劣化せず、折り曲げて利用できる。
【0077】
以上、本発明の例示的な実施形態の平面アンテナについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
S 仮想対称線
50 基板(誘電体基板の一例)
50A 上面(第1面の一例)
50B 下面(第2面の一例)
52 端辺(仮想対称線に沿って延在する端辺の一例)
100 平面アンテナ
110 アンテナ素子(アンテナ部の一例)
111A 円周部
120 信号線路(信号線導体の一例)
121 線路部(第1区間の一例)
121A 端辺(仮想対称線上に位置する一辺の一例)
122、124 線路部(第2区間の一例)
130 コネクタ(コネクタ部の一例)
140 グランド層
142 端辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12