(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027225
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】受信装置、可視光通信システム、受信方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/66 20130101AFI20240222BHJP
H04B 10/116 20130101ALI20240222BHJP
H04L 7/04 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H04B10/66
H04B10/116
H04L7/04 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129839
(22)【出願日】2022-08-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)Webサイト掲載日 2022年4月11日 Webサイトのアドレス IEEE Photonics Journal ・URL(論文ページ):https://ieeexplore.ieee.org/document/9755030 ・URL(PDFページ):https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=9755030
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】松永 宏章
(72)【発明者】
【氏名】圓道 知博
(72)【発明者】
【氏名】白木 善史
(72)【発明者】
【氏名】守谷 健弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚
【テーマコード(参考)】
5K047
5K102
【Fターム(参考)】
5K047BB02
5K047GG16
5K047JJ09
5K102AA21
5K102AH27
5K102AL23
5K102PB02
5K102PH31
5K102RD28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】遷移フレーム含む冗長フレームをより正確に検出する可視光通信システム、送信装置、受信装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】可視光通信システムにおいて、受信装置12は、予め定められた値をもつ訓練系列とディジタル伝送信号を位相偏移変調して連結してなる変調信号に基づく光信号を受信し、各々異なる露光タイミングで光信号の2分の1周期に渡り露光する複数の受光素子の標本化器に貯まる電荷に基づいて、受光素子の夫々に対応する複数の受信信号を生成する受光部121と、変調信号の位相を推定し、推定結果のうち訓練系列に対応する部分に基づいて、送受信間の位相のずれである相対位相の推定値及びシンボルが切り替わる露光タイミングにおけるフレームである遷移フレームを含む冗長フレームのインデックスを推定する復調部123と、を含む。復調部は、シンボルが切り替わるタイミングにより近いフレームを冗長フレームとする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた値をもつ訓練系列とディジタル伝送信号を位相偏移変調して連結してなる変調信号に基づく光信号を受信して、前記光信号に、各々異なる露光タイミングで前記光信号の2分の1周期に渡り露光する複数の受光素子の標本化器に貯まる電荷に基づいて、前記受光素子のそれぞれに対応する複数の受信信号を生成する受光部と、
前記光信号と前記露光タイミングの位相差がゼロである場合の受信信号の値を正規化用受信信号値とし、生成された複数の前記受信信号の値と前記正規化用受信信号値に基づいて前記変調信号の位相を推定し、位相の推定結果のうち前記訓練系列に対応する部分に基づいて、送受信間の位相のずれである相対位相の推定値と、シンボルが切り替わる露光タイミングにおけるフレームである遷移フレームを含み得る冗長フレームのインデックスとを推定する復調部と、を含む受信装置であって、
前記復調部は、前記シンボルが切り替わるタイミングにより近いフレームを前記冗長フレームとする、
受信装置。
【請求項2】
請求項1の受信装置であって、
前記復調部は、想定される複数のパターンのそれぞれを仮定した場合の、相対位相の推定値と、前記推定値と相対位相の観測値である前記推定された位相との誤差とを求め、前記誤差が最小となるパターン又は前記誤差が2番目に小さいパターンにより定まる冗長クレームのインデックスを推定する、
受信装置。
【請求項3】
送信装置と受信装置を含む可視光通信システムであって、
前記送信装置は、
予め定められた2つの異なる値を交互に配列した訓練系列とディジタル伝送信号を位相偏移変調して連結してなる変調信号を生成する変調部と、
前記変調信号に基づく光信号を出力する発光部を含み、
前記受信装置は、
前記光信号に、各々異なる露光タイミングで前記光信号の2分の1周期に渡り露光する複数の受光素子の標本化器に貯まる電荷に基づいて、前記受光素子のそれぞれに対応する複数の受信信号を生成する受光部と、
前記光信号と前記露光タイミングの位相差がゼロである場合の受信信号の値を正規化用受信信号値とし、生成された複数の前記受信信号の値と前記正規化用受信信号値に基づいて前記変調信号の位相を推定し、位相の推定結果のうち前記訓練系列に対応する部分に基づいて、送受信間の位相のずれである相対位相の推定値と、シンボルが切り替わる露光タイミングにおけるフレームである遷移フレームを含み得る冗長フレームのインデックスとを推定する復調部を含み、
前記復調部は、前記シンボルが切り替わるタイミングにより近いフレームを前記冗長フレームとする、
可視光通信システム。
【請求項4】
受信装置が実行する受信方法であって、
予め定められた値をもつ訓練系列とディジタル伝送信号を位相偏移変調して連結してなる変調信号に基づく光信号を受信して、前記光信号に、各々異なる露光タイミングで前記光信号の2分の1周期に渡り露光する複数の受光素子の標本化器に貯まる電荷に基づいて、前記受光素子のそれぞれに対応する複数の受信信号を生成する受光ステップと、
前記光信号と前記露光タイミングの位相差がゼロである場合の受信信号の値を正規化用受信信号値とし、生成された複数の前記受信信号の値と前記正規化用受信信号値に基づいて前記変調信号の位相を推定し、位相の推定結果のうち前記訓練系列に対応する部分に基づいて、送受信間の位相のずれである相対位相の推定値と、シンボルが切り替わる露光タイミングにおけるフレームである遷移フレームを含み得る冗長フレームのインデックスとを推定する復調ステップと、を含み、
前記復調ステップでは、前記シンボルが切り替わるタイミングにより近いフレームを前記冗長フレームとされる、
受信方法。
【請求項5】
請求項1又は2の受信装置の各部としてコンピュータを機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光およびその周辺帯域の電磁波により通信を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、可視光源は明かりを得るための照明用途のみならず通信用途にも用いられている。これには可視光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)の普及が進んだことが寄与している。発光ダイオードは素子1つあたりの発光量は白熱電球や蛍光灯などの従来の可視光源には及ばないものの、その寿命や大きさおよび消費電力の面で従来の可視光源に対して優れている。発光ダイオードは上記の特徴に加え、応答速度が非常に速いという特性を持つ。また、発光ダイオードの発光を電気的に制御することは容易である。発光ダイオードには上記のような特性があるため、近年では明かりを得るための照明用途のみならず、可視光の点滅を利用した信号伝送に用いるための研究開発が行われている。
【0003】
たとえば非特許文献1には発光ダイオードを用いた家庭用照明器具に信号を重畳させて通信を行うことが開示されている。
【0004】
また、現在のところ可視光は電波法の規制の対象外であることから帯域や電力の制限がなく、これらを大きくとることができる。非特許文献2では、このことを利用して発光ダイオードを通信専用に用いることが開示されている。発光ダイオードなどの可視光源を用いて行う通信を可視光通信と呼ぶ。可視光通信では受信機としてフォトディテクタあるいはそのアレーであるイメージセンサを用いる。フォトディテクタでは通常、信号を連続的に得ることが出来る。一方で、イメージセンサは一度に大量のフォトディテクタからの信号を取得できるが、その性質上通常は周期Tfで標本化された信号のみ取得可能である。以下、主に受光デバイスとしてイメージセンサを用いることを想定する。
【0005】
図1に可視光通信で使用される信号の性質を示す。まず、ディジタル伝送信号S(i)(送信シンボルともいう)を位相の値に変換することにより表現し変調信号M(i)を得る。このような変調方式を位相シフト変調(位相偏移変調)という。例えばS(i)が2値で表される場合、0→0、1→πのように位相の値に変換する(2値位相偏移変調、BPSK)。ここで、iは時間を示すインデックスである。次に、変調信号M(i)に従い搬送波周波数1/Tcを持つ矩形波の位相を変更し、発光素子を駆動するための電気信号E(t)を得る。ここで、tは時間を示す実数である。ただし、時間的に離散的な信号M(i)に対して信号E(t)は時間的に連続的な信号である。発光素子は信号E(t)に従って点灯・消灯を繰り返し光信号F(t)を出力する。時間インデックスiに相当するE(t)の出力時間はインデックスiで示される時刻からある一定の遅延を加えた時刻iTsを基準として時刻iTs-Ts/2から時刻iTs+Ts/2とする。
図1に示すように、インデックスiによって示される時間は時間幅Tsを持つ。
【0006】
従来の技術(たとえば非特許文献1)では受光素子によって捉えられたF(t)にノイズが重畳した光信号F'(t)を、電気信号E'(t)に変換する。その後、E'(t)から位相信号M'(k)が推定される。理想的にはF(t)=F'(t)であるが、イメージセンサの性能や媒質中の伝搬、遅延により変化する場合もあるのでここではF(t)とF'(t)を分けて記述する。おおよそF(t+TL)=F'(t)であることが想定される。TLは伝搬遅延を表す。
【0007】
図2を参照して、可視光通信における信号のやり取りの例について説明する。
図2は発光素子の点滅をイメージセンサにより受光する様子を説明する図である。送信機(発光素子)の点滅がイメージセンサ上の領域Ωに結像するものとする。受信機は領域Ωのすべてのフォトディテクタの出力値の合計を送信機からの受信信号としてとらえる。
【0008】
通信路において情報を伝送する際には元の情報をなんらかのかたちで符号化することが一般的である。符号化された情報を構成する最小単位の信号をシンボルと呼ぶ。ディジタル通信路ではシンボルのクロック(1つのシンボルを伝送する際に使用する時間幅)と位相を検出することが重要である。これを行うことを受信機と送信機の間でのシンボルタイミング同期という。シンボルタイミング同期は通信をしている間常に行われていることが望ましい。これは、一般に受信機と送信機の間で同じ発振器を共有する手段がないため、同期が常にずれてしまう可能性があるからである。
【0009】
シンボルタイミング同期を行うためには、例えば非特許文献3のようにシンボルタイミング再生回路を用いる必要がある。これは入力された2つの信号の位相差を検出しフィードバック制御をかけることで位相を同期させるものである。2つの信号のうち片方が発振器からの入力であり、もう片方が同期させたい信号である。受信機としてフォトディテクタを用いる場合、信号を連続的に得ることが出来るのでシンボルタイミング再生回路を用いることは容易である。一方でイメージセンサを用いる場合は、受信処理に用いることができる信号は標本化されたものであるため、離散時間信号となる。この場合は、シンボルタイミング再生回路によるシンボルタイミング同期を行うためにはある程度の標本化周波数が必要である。
【0010】
上述したシステムでは位相の復調に必要な標本化周波数は搬送波周波数の2倍以上大きな周波数となる。一方で、イメージセンサは一般的に一度の撮像で得られる画素数と時間当たりの撮像回数、すなわち標本化周波数、の積の上限が一定に制約されている。したがって、上記のようなシステムの受光部としてイメージセンサを用いて、復調のために大きな標本化周波数を採用した場合には、一度の標本化で得られる画素数を犠牲にせざるを得なくなる。
【0011】
ところで、2つのカメラを用いて、
図3に例示するように、各々異なるタイミングで撮像することで伝送信号の相対的な位相を知ることができる。これを用いて、時間当たりの撮像回数を時間当たりのシンボルの送信回数と同程度にしたとしても位相偏移変調による通信を行うことができることが知られている。
【0012】
ところが、この方法には下記の2つの課題a),b)がある。
【0013】
a)位相偏移変調された符号語の位相と観測可能な相対的な位相との対応関係が自明でない。2つのカメラを用いて各々異なるタイミングで撮像を行った結果を用いて伝送された信号の位相を知ろうとする場合、基準となる位相、すなわち位相偏移変調された符号語がどの位相に対応しているか、を知る必要がある。しかしながら、2つのカメラを用いるだけでは基準となる位相を知ることができない。
【0014】
b)露光時間中にシンボルが切り替わってしまう。
図4に例示するように、シンボルが切り替わるタイミングで撮像を行った場合、画素値が想定されるような値にならず、相対的な位相を求めることができなくなる。以下ではこのようなタイミングで撮像されたフレームを「遷移フレーム」と呼ぶ。
【0015】
これらの2つの課題に対応するために、特許文献1の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0016】
特許文献1の技術は、上記課題a)に、相対的な位相θrelの推定値Θrelを受信装置で定期的に取得可能とすることで対処している。また、特許文献1の技術は、上記課題b)に、冗長なフレームを挿入することにより対処している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
特許文献1に記載された手法は、露光時間の中心で位相が変わるような明確な遷移フレームに対しては有効である。しかし、フレームの検出位相の内連続する2つが近い値をとる場合は、誤った判定を行う可能性があった。
【0019】
例えば、
図5に示す例では、上側がPattern 2、下側がPattern 3と判定されるべき状態となっている。Pattern 2及びPattern 3等のパターンについては後述する。このような時間関係の場合ノイズが全く無い状況でもframe2,frame3でほぼ同じ画素値組が得られる条件となっている。このため、わずかなノイズによって冗長フレームの検出結果が変化してしまう状況にある。ここで、実際の画素値にはカメラの熱雑音や周辺からの光のノイズといったノイズが含まれる。したがって、
図5に示すような状況においては、誤ったパターンが検出される可能性がある。
【0020】
この結果、遷移フレームの決定を誤ってしまうと、1パケット中において誤ったフレームを破棄し、本来破棄されるべき画素値を用いて復調を行ってしまうことから、パケット単位でシンボル誤りが増大してしまう可能性がある。
【0021】
本発明は、遷移フレーム含み得る冗長フレームを従来よりも正確に検出することができる受信装置、可視光通信システム、受信方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この発明の一態様による受信装置は、予め定められた値をもつ訓練系列とディジタル伝送信号を位相偏移変調して連結してなる変調信号に基づく光信号を受信して、光信号に、各々異なる露光タイミングで光信号の2分の1周期に渡り露光する複数の受光素子の標本化器に貯まる電荷に基づいて、受光素子のそれぞれに対応する複数の受信信号を生成する受光部と、光信号と露光タイミングの位相差がゼロである場合の受信信号の値を正規化用受信信号値とし、生成された複数の受信信号の値と正規化用受信信号値に基づいて変調信号の位相を推定し、位相の推定結果のうち訓練系列に対応する部分に基づいて、送受信間の位相のずれである相対位相の推定値と、シンボルが切り替わる露光タイミングにおけるフレームである遷移フレームを含み得る冗長フレームのインデックスとを推定する復調部と、を含む受信装置であって、復調部は、シンボルが切り替わるタイミングにより近いフレームを冗長フレームとする。
【発明の効果】
【0023】
遷移フレーム含み得る冗長フレームを従来よりも正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、背景技術を説明するための図である。
【
図2】
図2は、背景技術を説明するための図である。
【
図3】
図3は、背景技術を説明するための図である。
【
図4】
図4は、背景技術を説明するための図である。
【
図5】
図5は、背景技術を説明するための図である。
【
図6】
図6は、可視光通信システム、送信装置、受信装置の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、可視光通信システムの処理手続きの例を示す図である。
【
図8】
図8は、変調信号の系列の例を示す図である。
【
図10】
図10は、シンボル周期Tsymbol、フレーム周期Tframe及び露光のタイミングの例を示す図である。
【
図12】
図12は、コンピュータの機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、図面中において同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【0026】
以下、
図6を参照して、可視光通信システムの実施形態の構成を説明する。同図に示すように、本実施例の可視光通信システム1は、送信装置11と受信装置12を含み、送信装置11は、変調部111と、発光部112を含み、発光部112は、発光信号制御部1121と、発光素子9122を含む。受信装置12は、受光部121と、復調部123を含み、受光部121は、第1受光素子1211と、第2受光素子1212と、第1受信信号生成部1213と、第2受信信号生成部1214を含み、復調部123は、位相信号推定部1231と、フレーム解釈部1232と、伝送信号推定部1233を含む。
【0027】
以下、
図7を参照して、各部の入出力、動作について説明する。
【0028】
<変調部111>
変調部111はメモリ、演算装置などからなる。
【0029】
入力:変調部111には、ディジタル伝送信号S(j)の系列S(1),S(2),…,S(J)が入力される。伝送信号S(j)は、1ビットまたはlog2Gビットの情報であり、jは伝送信号の番号を表す整数である。
【0030】
出力:変調部111からは、変調信号M(i)の系列M(1),M(2),…が出力される。変調信号M(i)は、ディジタル伝送信号S(j)および予め定められた訓練系列に指定された値に対応した値を持つ位相の情報である。また、iは変調信号の番号を表す番号である。iは時間を表すインデックスとしても用いる。
【0031】
動作:変調部111は、入力されたディジタル伝送信号S(j)の系列の変調信号MM(j)の系列MM(1),MM(2),…,MM(J)を生成する(S111)。変調部111は、例えばS(j)の値がLであればMM(j)を2*π/G*Lとして、変調信号を生成する。さらに変調部111は、訓練系列の変調信号MT(jj)の系列MT(1),MT(2),…,MT(JJ)を生成する(S111)。系列MT(1),MT(2),…,MT(JJ)は予め決められた位相ΘRの変調信号である。変調部111はJJ個の訓練系列の変調信号の系列MT(1),MT(2),…,MT(JJ)をM(1),M(2),…,M(JJ)とし、J個の変調信号の系列MM(1),MM(2),…,MM(J)をM(JJ+1),M(JJ+2),…,M(JJ+J)として出力する。すなわち、
図8に示すように、変調部111は2つの変調信号の系列MM,MTを生成したうえでこれらを連結して変調信号Mとし、変調信号M(i)の系列M(1),…,M(JJ),M(JJ+1),…,M(JJ+J)を出力する。
【0032】
<発光部112>
上述したように、発光部112は、発光信号制御部1121と、発光素子9122を含む。発光素子9122は例えばLEDである。
【0033】
入力:発光部112には、変調信号M(i)の系列M(1),M(2),…が入力される。
【0034】
出力:発光部112からは、光信号F(t)が出力される。
【0035】
動作:発光部112の発光信号制御部1121は、入力された変調信号M(i)がΘM(Mは任意の値)である場合は、時刻iTs-Ts/2から所定時間Ts経過した時刻iTs+Ts/2までの間、周期Tc、周波数1/Tc、位相ΘMの矩形波(電気信号)を生成して、発光素子9122に与える(S1121)。発光素子9122は発光信号制御部1121から与えられた電気信号により発光する(S9122)。これらにより、発光部112から光信号F(t)が出力される。ただし、発光信号制御部1121が生成する電気信号は発光素子の性能や特性を考慮し、発光素子の光信号F(t)が所望の値になるように制御されているものとする。
【0036】
ここで、各変調信号M(i)は、時間長n×Tcの電気信号又は光信号で表される。この時間長を、シンボル周期Tsymbolと呼ぶ。nは、所定の正の整数である。
【0037】
図9に、変調部111による変調及び発光部112の発光により、送信装置91により送信されるある1つのパケットの例を示す。この例では、パケットは、プリアンブルとデータ(ペイロード)から構成されている。プリアンブルは、
図9でAで示す先頭パートと、
図9でBで示す訓練パートとで構成されている。この例では、2×Tsymbolの時間長である先頭パートで、先頭発光部112であるLEDの最大輝度の半分の輝度で点滅が行われる。そして、訓練パートで、0°, 180°, 0°, 180°, 0°の位相でn回点滅するシンボルが挿入される。nは、後述するように所定の正の整数である。この0°, 180°, 0°, 180°, 0°の位相でn回点滅するシンボルの系列が、予め決められた位相ΘRの系列MT(1),MT(2),…,MT(JJ)の一例である。
図9に示す、データ(ペイロード)のD[1],D[2],…,D[50]は、データのシンボルである。このD[1],D[2],…,D[50]が、J個の変調信号の系列MM(1),MM(2),…,MM(J)の一例である。
【0038】
<受光部121>
上述したように本実施例では、受光部121は、受光素子と受信信号生成部の組を2組含む構成であるが、受光素子と受信信号生成部の組は2組に限定されない。
【0039】
受光部121の動作を一般的に表現すると以下のように表現できる。受光部121は、予め定められた値をもつ訓練系列とディジタル伝送信号S(j)を位相偏移変調して連結してなる変調信号M(i)に基づく光信号F1(t),F2(t),...を受信して、光信号F1(t),F2(t),...に、各々異なる露光タイミングで光信号F1(t),F2(t),...の2分の1周期に渡り露光する複数の受光素子の標本化器に貯まる電荷に基づいて、受光素子のそれぞれに対応する複数の受信信号B1'(t),B2'(t),...を生成する(S121)。
【0040】
以下、受光素子と受信信号生成部の組を2組含む前提として、受光部121の動作を詳細に説明する。従来技術と同様に、第1、第2受光素子1211、1212は、たとえばフォトディテクタである。また、第1、第2受光素子1211、1212の前段に光学レンズを設けてもよい。さらに、第1、第2受光素子1211、1212はフォトディテクタを格子状に並べたイメージセンサでもよい。第1、第2受信信号生成部1213、1214は標本化素子及びメモリ、演算装置などからなる。
【0041】
入力:受光部121には、発光部112から出力された第1光信号F1'(t)、第2光信号F2'(t)が入力される。
【0042】
出力:受光部121からは、第1受信信号B1'(k)の系列B1'(1),B1'(2),…および第2受信信号B2'(k)の系列B2'(1),B2'(2),…が出力される。
【0043】
動作:受光部121の第1受光素子1211は、入力された第1光信号F1'(t)に対応する第1電気信号E1'(t)を第1受信信号生成部1213に対して出力する(S1211)。
【0044】
第1受光素子1211がイメージセンサの場合、具体的には
図3のように、各フォトディテクタは時刻TI+iTf-Tf/2-τ/2からTI+iTf-Tf/2+τ/2までに標本化器にたまった電荷を測定する。ただし、TIは相対位相(オフセット)、iTfは、i番目のフレームの中心にあたる時刻、iTf-Tf/2はi番目のフレームの先頭にあたる時刻、τは露光時間である。相対位相TIを、相対位相θrelと表現することもある。
【0045】
同様に、受光部121の第2受光素子1212は、入力された第2光信号F2'(t)に対応する第2電気信号E2'(t)を第2受信信号生成部1214に対して出力する(S1212)。第2受光素子1212がイメージセンサの場合、具体的には
図3のように、各フォトディテクタは時刻TI+iTf-Tf/2-τ/2+Tf/4からTI+iTf-Tf/2+τ/2+Tc/4までに標本化器にたまった電荷を測定する。Tc/4は、第1受光素子1211と、第2受光素子1212の露光タイミングのずれを表し、搬送波の周期Tcの4分の1である。
【0046】
第1受信信号生成部1213は、入力された第1電気信号E1'(t)の強度を時間間隔Tframe毎に計測し、第1受信信号B1'(k)として出力する(S1213)。Tframeは、後に説明するフレーム周期である。第1受光素子1211がイメージセンサの場合、第1受信信号生成部1213は、予め定められた範囲Ωにわたって電荷の測定結果の和をとり、測定結果の和を第1受信信号B1'(k)として出力する(S1213)。同様に、第2受信信号生成部1214は、入力された第2電気信号E2'(t)の強度を時間間隔Ts毎に計測し、第2受信信号B2'(k)として出力する(S1214)。第2受光素子1212がイメージセンサの場合、第2受信信号生成部1214は予め定められた範囲Ωにわたって電荷の測定結果の和をとり、測定結果の和を第2受信信号B2'(k)として出力する(S1214)。
【0047】
ここで、フレーム周期Tframe=(n-1)×Tcである。先に述べたようにシンボル周期Tsymbol=n×Tcとし、フレーム周期Tframe=(n-1)×Tcとすることで、nフレームごとに定期的な冗長なフレームが現れる。この冗長なフレームを「冗長フレーム」と呼ぶ。
図10に、n=6とした場合のシンボル周期Tsymbol、フレーム周期Tframe及び露光のタイミングを示す。冗長フレームは、冗長フレームの前又は後ろのフレームで観測されるシンボルと同じシンボルが観測されるフレームであるか、遷移フレームとなっている。このような、シンボル周期Tsymbol=n×Tcとし、フレーム周期Tframe=(n-1)×Tcとする条件の下では、継続して遷移フレームばかりを得ることを防ぐことができる。すなわち、この条件の下では、一度遷移フレームが現れても、遷移フレームの前又は後のフレームで同じシンボルの位相が正しく推定できるようになる。
【0048】
なお、予め決められた位相ΘRの系列が、
図9に例示する、0°, 180°, 0°, 180°, 0°という訓練系列である場合には、受信装置92では、相対位相θrelだけずれた0°, 180°, 0°, 180°, 0°のシンボルに加えて、前または後ろのフレームと同じ画素値をとるかシンボル遷移タイミングを含み正しい復調に用いることができない冗長フレームが観測できる。JJ=5であり、n=5であり、シンボル周期Tsymbol=n×Tcであり、フレーム周期Tframe=(n-1)×Tcであり、予め決められた位相ΘRの系列が0°, 180°, 0°, 180°, 0°という訓練系列である場合、観測できるシンボルのパターンの種類は、
図11に示すPattern 1からPattern 6の6種類となる。後述する復調部123のフレーム解釈部1232の処理により、どのパターンが適切であるかを判断することで、遷移フレームを含む冗長フレームを検出することができる。冗長フレームを除くことで、より適切な相対位相θrel及びシグナルを得ることができる。
【0049】
<復調部123>
上述したように復調部123は、位相信号推定部1231と、フレーム解釈部1232と、伝送信号推定部1233を含む。位相信号推定部1231、フレーム解釈部1232、伝送信号推定部1233はメモリ、演算装置などからなる。
【0050】
復調部123の動作を一般的に表現すると以下のように表現できる。復調部123は、光信号F1(t),F2(t),...と露光タイミングの位相差がゼロである場合の受信信号の値を正規化用受信信号値R1,R2,...とし、生成された複数の受信信号B1'(t),B2'(t),...の値と正規化用受信信号値R1,R2,...に基づいて変調信号の位相を推定し、位相の推定結果M'(k)のうち訓練系列に対応する部分に基づいて、送受信間の位相のずれである相対位相の推定値Θrelと、シンボルが切り替わる露光タイミングにおけるフレームである遷移フレームを含み得る冗長フレームのインデックスとを推定する(S123)。その際、復調部123は、シンボルが切り替わるタイミングにより近いフレームを冗長フレームとする。
【0051】
以下、
図7を参照し、受光素子と受信信号生成部の組を2組含む前提として、復調部123の動作を詳細に説明する。
【0052】
入力:復調部123には、受光部121から第1受信信号B1'(k)の系列、および第2受信信号B2'(k)の系列が入力される。
【0053】
出力:復調部123からは、推定結果S'(j)が出力される。
【0054】
動作:復調部123の位相信号推定部1231は、第1受信信号B1'(k)の系列、および第2受信信号B2'(k)の系列に基づいて、相対的な位相の推定結果M'(k)を生成し、フレーム解釈部1232および伝送信号推定部1233に出力する(S1231)。
【0055】
具体的には、位相信号推定部1231は、第1受信信号B1'(k)および第2受信信号B2'(k)のそれぞれについて、露光タイミングと搬送波の位相差が0であるときの受信信号の値を正規化用受信信号値R1、R2として予め保持している。これらの正規化用受信信号値は何らかのかたちで外部から与えるか、予め推定しておくものとする。位相信号推定部1231は第1受信信号B1'(k)および第2受信信号B2'(k)に基づいて、受信信号の相対的な位相を推定し、相対的な位相の推定結果M'(k)として出力する。
【0056】
通常、位相信号推定部1231は、ある程度の数(=LLとする)のB1'(k)とB2'(k)の組を使って位相の推定を行う。この時出力される相対的な位相の推定結果M'(k)の数はやはりLLである。上記の相対的な位相の推定は例えば下記の数式によって実行することができる。
【数1】
ただし、B1''(k)は、B1'(k)をR1で、B2''(k)は、B2'(k)をR2で割ることによって正規化した値である。
【0057】
フレーム解釈部1232は、M’(k)の初めのJJ×n/(n-1)個について下記の処理を行うことにより、冗長フレームの検出を行う。フレーム解釈部1232は、予め定められた位相情報ΘR、訓練系列の変調信号の系列の長さJJ、シンボルの変調信号の系列の長さJ及びnの値を予め保持しているものとする。
【0058】
まず、フレーム解釈部1232は、想定される複数のパターンのそれぞれを仮定した場合の、相対位相θrelの推定値Θrelと、推定値Θrelと相対位相の観測値であるM'(k)との誤差Drelとを求める。想定されるパターンの例は、
図11に示すPattern 1からPattern 6である。想定されるパターンの種類は、例えばJJ×n/(n-1)種類である。c=1,…,JJとして位相情報ΘRを構成するJJ個のシンボルの左からc番目のシンボルの左に「冗長フレーム」を挿入し、位相情報ΘRを構成するJJ個のシンボルの一番右のシンボルの右に「冗長フレーム」を挿入することで、JJ×n/(n-1)種類の想定されるパターンを作ることができる。
【0059】
例えば、フレーム解釈部1232は、以下の式により定義される二乗誤差を最小にする相対位相θrelを、パターンpに対応する、相対位相θrelの推定値Θrelとする。また、フレーム解釈部1232は、この二乗誤差を、パターンpに対応する誤差Drelとする。
【0060】
Σ
k=1
JJ×n/(n-1)(M’(k)-Pp(k))
2
ここで、Pp(k)は、パターンpのk番目のフレームに対応する位相である。例えば、
図11のPattern 2(p=2)では、P2(1)=θrelであり、P2(2)=M’(k)であり、P2(3)=180+θrelであり、P2(4)=θrelであり、P2(5)=180+θrelであり、P2(6)=θrelである。この例のように、パターンpのk番目のフレームに対応する位相が冗長である場合には、その位相をM’(k)として誤差Drelを計算する。
【0061】
次に、フレーム解釈部1232は、誤差Drelが最小となるパターンを選択して、選択したパターンにおける冗長フレームの位相Θredとその前又は後のフレームの相対位相の推定値Θrelとの位相差Θdを計算する。フレーム解釈部1232は、例えば、以下の式に基づいて位相差Θdを計算することができる。選択したパターンにおける冗長フレームの位相Θredは、選択したパターンにおける冗長フレームにおける相対位相M’(k)である。
【0062】
Θd = |Θrel-Θred|, |Θrel-Θred| <180
Θd = 360 - |Θrel-Θred|, |Θrel-Θred| ≧180
フレーム解釈部1232は、Θd>Θtであるか判断する。Θd>Θtである場合には、選択したパターン、言い換えれば誤差Drelが最小となるパターンを実際の受信信号のパターンとして選択する。位相差閾値Θtは、予め定められた閾値である。
【0063】
Θd>Θtでない場合には、フレーム解釈部1232は、誤差Drelが最小のパターンと誤差Drelが2番目に小さいパターンを候補とし、相対位相の推定値Θrel>45°であれば、冗長フレームがより後にあるパターンを、逆の場合は冗長フレームがより前にあるパターンを実際の受信信号のパターンである選択する。
【0064】
フレーム解釈部1232は、受信のパターンであると選択したパターン及び相対位相M’(k)のインデックスkから、冗長フレームとなるフレームの間隔d及び訓練系列の後に最初に冗長フレームなると推定されるフレームのインデックスeを制御信号C’(K)=(d,e)として出力する。
【0065】
このようにして、復調部123は、想定される複数のパターンのそれぞれを仮定した場合の、相対位相の推定値Θrelと、推定値Θrelと相対位相の観測値である推定された位相M’(k)との誤差Drelとを求め、誤差Drelが最小となるパターン又は誤差Drelが2番目に小さいパターンにより定まる冗長クレームのインデックスを推定してもよい。
【0066】
パラメータJJ,nについて、下記のように設定した際の具体的な動きについて述べる。JJ=5、n=5とした場合において、訓練系列に関する(B1'(1), B2'(1)), (B1'(2), B2'(2)),…,(B1'(6), B2'(6))のうち冗長フレームに対応するインデックスが2であったとする。
【0067】
このとき、最初の冗長フレームのインデックスは8、その間隔は6あると推測できる。このため、フレーム解釈部1232は、制御信号C’(K)=(6,8)を、伝送信号推定部1233に出力する(S1232)。
【0068】
また、フレーム解釈部1232は、受信信号のパターンを想定したときの相対位相θrelの推定値Θrelを、伝送信号推定部1233に出力する(S1232)。
【0069】
復調部123の伝送信号推定部1233は、訓練系列以外のJ個のM'(k)からなる系列M'(JJ+1),…,M'(JJ+J)の中の、制御信号C'(K)により指し示されたM'(k)を除いた系列に基づいて、最小二乗法などを用いてシンボルの系列S'(j)を推定する(S1233)。
【0070】
制御信号C'(K)により指し示されたM'(k)は、M'(e),M'(e+d),M'(e+2d),M'(e+3d),…である。
【0071】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計の変更等があっても、本発明に含まれることはいうまでもない。
【0072】
実施の形態において説明した各種の処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。
【0073】
例えば、送信装置又は受信装置の構成部間のデータのやり取りは直接行われてもよいし、図示していない記憶部を介して行われてもよい。
【0074】
パケットのプリアンブルの長さは、言い換えればJJの値は、所定の値よりも大きくてもよい。これにより、推定の安定性を高めることができる。
【0075】
訓練系列、言い換えれば予め決められた位相ΘRの系列は、0°, 90°, 180°, 270°, 180°, 90°,…等の予め定められた位相の系列であれば、上記の例示した0°, 180°, 0°, 180°, 0°以外の系列であってもよい。
【0076】
上記の説明では、受光素子と受信信号生成部の数はそれぞれ2つであったが、これを3つ以上にしてもよい。この場合もそれぞれの受光のタイミングを搬送波周期Tcの4分の1ずつずらすことで、上記と同様に位相の推定を1および2の間、2および3の間、3および4の間…のように行うことで、ノイズ耐性を増すことができる。
【0077】
上記の説明では、1つの送信装置上の発光素子に対して2つ以上の受光素子を必要としたが、送信装置の発光素子を2つ以上にして、それぞれの発光タイミングの位相を異なるようにすることで同様の効果を得ることができる。
【0078】
送信装置が複数(例えばH個)ある場合でも、本発明の方法を適用することができる。この場合は、受信信号生成部、復調部を複数用意すればよい。この場合は復調信号の推定はそれぞれの送信装置に対応して実行される。
【0079】
訓練系列に加えて、送信の開始を知らせるプリアンブルをパケットに挿入してもよい。
【0080】
[プログラム、記録媒体]
上述した各装置の各部の処理をコンピュータにより実現してもよく、この場合は各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムを
図12に示すコンピュータ1000の記憶部1020に読み込ませ、演算処理部1010、入力部1030、出力部1040、表示部1060などに動作させることにより、上記各装置における各種の処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0081】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、例えば、非一時的な記録媒体であり、具体的には、磁気記録装置、光ディスク、等である。
【0082】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0083】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の非一時的な記憶装置である補助記録部1050に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の非一時的な記憶装置である補助記録部1050に格納されたプログラムを記憶部1020に読み込み、読み込んだプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを記憶部1020に読み込み、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0084】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。例えば、変調部111、第1受信信号生成部1213、第2受信信号生成部1214、復調部123は、処理回路により構成されてもよい。
【0085】
その他、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。