(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027312
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、機械学習装置、情報処理方法、及び、機械学習方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240222BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01L21/304 622R
H01L21/02 Z
H01L21/304 643A
H01L21/304 644A
H01L21/304 644Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130013
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】黄 竟維
(72)【発明者】
【氏名】大滝 裕史
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴正
【テーマコード(参考)】
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
5F057AA12
5F057AA19
5F057BA11
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5F157CB12
5F157CB14
5F157CC03
(57)【要約】
【課題】基板処理スケジュールを適切に作成することを可能とする情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置3Aは、研磨処理及び仕上げ処理の処理内容を示すレシピ情報11と、各搬送処理に要する搬送時間を示す搬送時間情報12とを取得する情報取得部300と、レシピ情報11及び搬送時間情報12に基づいて、最終枚目の仕上げ処理後の基板が基板搬出位置に搬出される最終処理終了時間が最短になるように、各処理の開始タイミングを決定することで、基板処理スケジュール13を作成するスケジュール作成部301とを備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の研磨処理を並行して行う複数の研磨ユニット、前記研磨処理後の前記基板の仕上げ処理を仕上げ工程順に行う複数の仕上げユニット、及び、前記基板を搬送する搬送処理を行う複数の搬送ユニットとを備える基板処理装置において、所定の枚数の前記基板に対して各処理を順次行うときの基板処理スケジュールを作成する情報処理装置であって、
前記研磨処理及び前記仕上げ処理の処理内容を示すレシピ情報と、前記搬送処理として、基板搬入位置から第1の基板受け渡し位置に前記基板を搬入する搬入処理、前記第1の基板受け渡し位置から複数の前記研磨ユニットに前記基板を搬送する研磨前搬送処理、複数の前記研磨ユニットから第2の基板受け渡し位置に前記研磨処理後の前記基板を搬送する研磨後搬送処理、前記第2の基板受け渡し位置から最上流工程の前記仕上げユニットに前記研磨処理後の前記基板を搬送する仕上げ前搬送処理、複数の前記仕上げユニットの間で前記仕上げ処理中の前記基板を前記仕上げ工程順に搬送する仕上げ中搬送処理、及び、最下流工程の前記仕上げユニットから基板搬出位置に前記仕上げ処理後の前記基板を搬出する搬出処理の各々に要する搬送時間を示す搬送時間情報とを取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記レシピ情報及び前記搬送時間情報に基づいて、最終枚目の前記仕上げ処理後の前記基板が前記基板搬出位置に搬出される最終処理終了時間が最短になるように、前記各処理の開始タイミングを決定することで、前記基板処理スケジュールを作成するスケジュール作成部とを備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記スケジュール作成部は、
前記レシピ情報に基づいて、前記研磨処理に要する研磨時間及び前記仕上げ処理に要する仕上げ時間を算出する処理時間算出部と、
前記各処理を行う順序を定める処理順序条件と、前記各処理のうち同時に可能又は不可能な処理を定める同時処理条件とを数理最適化の制約条件とし、前記処理時間算出部にて算出した前記研磨時間及び前記仕上げ時間と、前記搬送時間情報が示す前記搬送時間とを変数に含む前記最終処理終了時間を最短にすることを前記数理最適化の目的関数として、前記各処理の開始タイミングを決定する前記数理最適化を行うことで、前記基板処理スケジュールを作成する数理最適化部とを備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記数理最適化部は、
前記研磨処理の終了タイミングから前記最上流工程の前記仕上げ処理の開始タイミングまでの研磨後仕上げ開始時間の範囲を定める研磨後仕上げ開始範囲条件をさらに前記制約条件として、前記数理最適化を行う、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記数理最適化部は、
前記研磨後仕上げ開始時間の合計値、平均値又は最大値を最短にすることをさらに前記目的関数として、前記数理最適化を行う、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記スケジュール作成部は、
前記レシピ情報及び前記搬送時間情報と、前記枚数の前記基板に対して前記レシピ情報に基づく前記研磨処理及び前記仕上げ処理並びに前記搬送時間情報が示す前記搬送時間を要する搬送処理を順次行うときの前記基板処理スケジュールとの相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに、前記情報取得部により取得された前記レシピ情報及び前記搬送時間情報を入力することで、当該レシピ情報及び当該搬送時間情報に対する前記基板処理スケジュールを作成するスケジュール推論部を備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記スケジュール作成部により作成された前記基板処理スケジュールを評価し、その評価結果として、前記基板処理スケジュールの評価指標を算出するスケジュール評価部をさらに備え、
前記評価指標は、
単位時間当たりの前記基板の処理枚数、
前記各処理のタクトタイム、
前記各処理のうち最も処理時間を要する律速処理、及び、
前記研磨処理の終了タイミングから前記最上流工程の前記仕上げ処理の開始タイミングまでの研磨後仕上げ開始時間のばらつき度合いの少なくとも1つを含む、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
基板の研磨処理を並行して行う複数の研磨ユニット、前記研磨処理後の前記基板の仕上げ処理を仕上げ工程順に行う複数の仕上げユニット、及び、前記基板を搬送する搬送処理を行う複数の搬送ユニットとを備える基板処理装置において、所定の枚数の前記基板に対して各処理を順次行うときの基板処理スケジュールを評価する情報処理装置であって、
前記研磨処理及び前記仕上げ処理の処理内容を示すレシピ情報と、前記搬送処理として、基板搬入位置から第1の基板受け渡し位置に前記基板を搬入する搬入処理、前記第1の基板受け渡し位置から複数の前記研磨ユニットに前記基板を搬送する研磨前搬送処理、複数の前記研磨ユニットから第2の基板受け渡し位置に前記研磨処理後の前記基板を搬送する研磨後搬送処理、前記第2の基板受け渡し位置から最上流工程の前記仕上げユニットに前記研磨処理後の前記基板を搬送する仕上げ前搬送処理、複数の前記仕上げユニットの間で前記仕上げ処理中の前記基板を前記仕上げ工程順に搬送する仕上げ中搬送処理、及び、最下流工程の前記仕上げユニットから基板搬出位置に前記仕上げ処理後の前記基板を搬出する搬出処理の各々に要する搬送時間を示す搬送時間情報とを取得する情報取得部と、
前記レシピ情報及び前記搬送時間情報と、前記枚数の前記基板に対して前記レシピ情報に基づく前記研磨処理及び前記仕上げ処理、並びに、前記搬送時間情報が示す前記搬送時間を要する前記搬送処理を順次行うときの前記基板処理スケジュールを評価したときの評価指標との相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに、前記情報取得部により取得された前記レシピ情報及び前記搬送時間情報を入力することで、当該レシピ情報及び当該搬送時間情報に対する前記評価指標を推論する評価指標推論部とを備える、
情報処理装置。
【請求項8】
基板の研磨処理を並行して行う複数の研磨ユニット、前記研磨処理後の前記基板の仕上げ処理を仕上げ工程順に行う複数の仕上げユニット、及び、前記基板を搬送する搬送処理を行う複数の搬送ユニットとを備える基板処理装置において、所定の枚数の前記基板に対して各処理を順次行うときの基板処理スケジュールを作成するための学習モデルを生成する機械学習装置であって、
前記研磨処理及び前記仕上げ処理の処理内容を示すレシピ情報と、前記搬送処理として、基板搬入位置から第1の基板受け渡し位置に前記基板を搬入する搬入処理、前記第1の基板受け渡し位置から複数の前記研磨ユニットに前記基板を搬送する研磨前搬送処理、複数の前記研磨ユニットから第2の基板受け渡し位置に前記研磨処理後の前記基板を搬送する研磨後搬送処理、前記第2の基板受け渡し位置から最上流工程の前記仕上げユニットに前記研磨処理後の前記基板を搬送する仕上げ前搬送処理、複数の前記仕上げユニットの間で前記仕上げ処理中の前記基板を前記仕上げ工程順に搬送する仕上げ中搬送処理、及び、最下流工程の前記仕上げユニットから基板搬出位置に前記仕上げ処理後の前記基板を搬出する搬出処理の各々に要する搬送時間を示す搬送時間情報とを入力データとし、前記枚数の前記基板に対して前記レシピ情報に基づく前記研磨処理及び前記仕上げ処理、並びに、前記搬送時間情報が示す前記搬送時間を要する前記搬送処理を順次行うときの前記基板処
理スケジュールを出力データとして構成される学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
複数組の前記学習用データを前記学習モデルに入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、を備える、
機械学習装置。
【請求項9】
基板の研磨処理を並行して行う複数の研磨ユニット、前記研磨処理後の前記基板の仕上げ処理を仕上げ工程順に行う複数の仕上げユニット、及び、前記基板を搬送する搬送処理を行う複数の搬送ユニットとを備える基板処理装置において、所定の枚数の前記基板に対して各処理を順次行うときの基板処理スケジュールを評価するための学習モデルを生成する機械学習装置であって、
前記研磨処理及び前記仕上げ処理の処理内容を示すレシピ情報と、前記搬送処理として、基板搬入位置から第1の基板受け渡し位置に前記基板を搬入する搬入処理、前記第1の基板受け渡し位置から複数の前記研磨ユニットに前記基板を搬送する研磨前搬送処理、複数の前記研磨ユニットから第2の基板受け渡し位置に前記研磨処理後の前記基板を搬送する研磨後搬送処理、前記第2の基板受け渡し位置から最上流工程の前記仕上げユニットに前記研磨処理後の前記基板を搬送する仕上げ前搬送処理、複数の前記仕上げユニットの間で前記仕上げ処理中の前記基板を前記仕上げ工程順に搬送する仕上げ中搬送処理、及び、最下流工程の前記仕上げユニットから基板搬出位置に前記仕上げ処理後の前記基板を搬出する搬出処理の各々に要する搬送時間を示す搬送時間情報とを入力データとし、前記枚数の前記基板に対して前記レシピ情報に基づく前記研磨処理及び前記仕上げ処理、並びに、前記搬送時間情報が示す前記搬送時間を要する前記搬送処理を順次行うときの前記基板処理スケジュールを評価したときの評価指標を出力データとして構成される学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
複数組の前記学習用データを前記学習モデルに入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、を備える、
機械学習装置。
【請求項10】
基板の研磨処理を並行して行う複数の研磨ユニット、前記研磨処理後の前記基板の仕上げ処理を仕上げ工程順に行う複数の仕上げユニット、及び、前記基板を搬送する搬送処理を行う複数の搬送ユニットとを備える基板処理装置において、所定の枚数の前記基板に対して各処理を順次行うときの基板処理スケジュールをコンピュータにより作成する情報処理方法であって、
前記研磨処理及び前記仕上げ処理の処理内容を示すレシピ情報と、前記搬送処理として、基板搬入位置から第1の基板受け渡し位置に前記基板を搬入する搬入処理、前記第1の基板受け渡し位置から複数の前記研磨ユニットに前記基板を搬送する研磨前搬送処理、複数の前記研磨ユニットから第2の基板受け渡し位置に前記研磨処理後の前記基板を搬送する研磨後搬送処理、前記第2の基板受け渡し位置から最上流工程の前記仕上げユニットに前記研磨処理後の前記基板を搬送する仕上げ前搬送処理、複数の前記仕上げユニットの間で前記仕上げ処理中の前記基板を前記仕上げ工程順に搬送する仕上げ中搬送処理、及び、最下流工程の前記仕上げユニットから基板搬出位置に前記仕上げ処理後の前記基板を搬出する搬出処理の各々に要する搬送時間を示す搬送時間情報とを取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程により取得された前記レシピ情報及び前記搬送時間情報に基づいて、最終枚目の前記仕上げ処理後の前記基板が前記基板搬出位置に搬出される最終処理終了時間が最短になるように、前記各処理の開始タイミングを決定することで、前記基板処理スケジュールを作成するスケジュール作成工程とを備える、
情報処理方法。
【請求項11】
基板の研磨処理を並行して行う複数の研磨ユニット、前記研磨処理後の前記基板の仕上げ処理を仕上げ工程順に行う複数の仕上げユニット、及び、前記基板を搬送する搬送処理を行う複数の搬送ユニットとを備える基板処理装置において、所定の枚数の前記基板に対して各処理を順次行うときの基板処理スケジュールを作成するための学習モデルをコンピュータにより生成する機械学習方法であって、
前記研磨処理及び前記仕上げ処理の処理内容を示すレシピ情報と、前記搬送処理として、基板搬入位置から第1の基板受け渡し位置に前記基板を搬入する搬入処理、前記第1の基板受け渡し位置から複数の前記研磨ユニットに前記基板を搬送する研磨前搬送処理、複数の前記研磨ユニットから第2の基板受け渡し位置に前記研磨処理後の前記基板を搬送する研磨後搬送処理、前記第2の基板受け渡し位置から最上流工程の前記仕上げユニットに前記研磨処理後の前記基板を搬送する仕上げ前搬送処理、複数の前記仕上げユニットの間で前記仕上げ処理中の前記基板を前記仕上げ工程順に搬送する仕上げ中搬送処理、及び、最下流工程の前記仕上げユニットから基板搬出位置に前記仕上げ処理後の前記基板を搬出する搬出処理の各々に要する搬送時間を示す搬送時間情報とを入力データとし、前記枚数の前記基板に対して前記レシピ情報に基づく前記研磨処理及び前記仕上げ処理、並びに、前記搬送時間情報が示す前記搬送時間を要する前記搬送処理を順次行うときの前記基板処理スケジュールを出力データとして構成される学習用データを学習用データ記憶部に複数組記憶する学習用データ記憶工程と、
複数組の前記学習用データを前記学習モデルに入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶する学習済みモデル記憶工程と、を備える、
機械学習方法。
【請求項12】
基板の研磨処理を並行して行う複数の研磨ユニット、前記研磨処理後の前記基板の仕上げ処理を仕上げ工程順に行う複数の仕上げユニット、及び、前記基板を搬送する搬送処理を行う複数の搬送ユニットとを備える基板処理装置において、所定の枚数の前記基板に対して各処理を順次行うときの基板処理スケジュールを評価するための学習モデルをコンピュータにより生成する機械学習方法であって、
前記研磨処理及び前記仕上げ処理の処理内容を示すレシピ情報と、前記搬送処理として、基板搬入位置から第1の基板受け渡し位置に前記基板を搬入する搬入処理、前記第1の基板受け渡し位置から複数の前記研磨ユニットに前記基板を搬送する研磨前搬送処理、複数の前記研磨ユニットから第2の基板受け渡し位置に前記研磨処理後の前記基板を搬送する研磨後搬送処理、前記第2の基板受け渡し位置から最上流工程の前記仕上げユニットに前記研磨処理後の前記基板を搬送する仕上げ前搬送処理、複数の前記仕上げユニットの間で前記仕上げ処理中の前記基板を前記仕上げ工程順に搬送する仕上げ中搬送処理、及び、最下流工程の前記仕上げユニットから基板搬出位置に前記仕上げ処理後の前記基板を搬出する搬出処理の各々に要する搬送時間を示す搬送時間情報とを入力データとし、前記枚数の前記基板に対して前記レシピ情報に基づく前記研磨処理及び前記仕上げ処理、並びに、前記搬送時間情報が示す前記搬送時間を要する前記搬送処理を順次行うときの前記基板処理スケジュールを評価したときの評価指標を出力データとして構成される学習用データを学習用データ記憶部に複数組記憶する学習用データ記憶工程と、
複数組の前記学習用データを前記学習モデルに入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶する学習済みモデル記憶工程と、を備える、
機械学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、機械学習装置、情報処理方法、及び、機械学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ等の基板に対して各種の処理を行う基板処理装置の1つとして、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)処理を行う基板処理装置が知られている。このような基板処理装置は、例えば、基板の研磨処理を行う研磨ユニットと、研磨処理後の基板の仕上げ処理(例えば、洗浄処理や乾燥処理)を行う仕上げユニットと、各ユニット間で基板を搬送する搬送処理を行う搬送ユニットとを備え、各ユニットを順次動作させることで、一連の処理を実行するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処理効率の向上のため、基板処理装置は、複数の研磨ユニットと、複数の仕上げユニットと、複数の搬送ユニットとを備えて構成される。そのため、基板処理装置において、所定の枚数の基板を処理対象として各ユニットを順次動作させる場合、全ての基板に対する各処理が終了する時間が最短になるように、各ユニットの動作順序や動作タイミングを適切に決定することで、各処理の基板処理スケジュールを作成することが求められる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、基板処理スケジュールを適切に作成することを可能とする情報処理装置、機械学習装置、情報処理方法、及び、機械学習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、
基板の研磨処理を並行して行う複数の研磨ユニット、前記研磨処理後の前記基板の仕上げ処理を仕上げ工程順に行う複数の仕上げユニット、及び、前記基板を搬送する搬送処理を行う複数の搬送ユニットとを備える基板処理装置において、所定の枚数の前記基板に対して各処理を順次行うときの基板処理スケジュールを作成する情報処理装置であって、
前記研磨処理及び前記仕上げ処理の処理内容を示すレシピ情報と、前記搬送処理として、基板搬入位置から第1の基板受け渡し位置に前記基板を搬入する搬入処理、前記第1の基板受け渡し位置から複数の前記研磨ユニットに前記基板を搬送する研磨前搬送処理、複数の前記研磨ユニットから第2の基板受け渡し位置に前記研磨処理後の前記基板を搬送する研磨後搬送処理、前記第2の基板受け渡し位置から最上流工程の前記仕上げユニットに前記研磨処理後の前記基板を搬送する仕上げ前搬送処理、複数の前記仕上げユニットの間で前記仕上げ処理中の前記基板を前記仕上げ工程順に搬送する仕上げ中搬送処理、及び、最下流工程の前記仕上げユニットから基板搬出位置に前記仕上げ処理後の前記基板を搬出する搬出処理の各々に要する搬送時間を示す搬送時間情報とを取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記レシピ情報及び前記搬送時間情報に基づいて、最終枚目の前記仕上げ処理後の前記基板が前記基板搬出位置に搬出される最終処理終了時間が最短になるように、前記各処理の開始タイミングを決定することで、前記基板処理スケ
ジュールを作成するスケジュール作成部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理装置によれば、スケジュール作成部が、レシピ情報及び搬送時間情報に基づいて、最終処理終了時間が最短になるように、各処理の開始タイミングを決定することで、基板処理スケジュールを作成する。したがって、基板処理スケジュールには、各処理の処理内容や各処理に要する時間が反映されるので、基板処理スケジュールを適切に作成することができる。
【0008】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】基板処理システム1の一例を示す全体構成図である。
【
図2】基板処理装置2の一例を示す概略平面図である。
【
図3】第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bの一例を示す斜視図である。
【
図4】ロールスポンジ洗浄処理を行う第1の仕上げユニット23Aの一例を示す斜視図である。
【
図5】ペンスポンジ洗浄処理を行う第2の仕上げユニット23Bの一例を示す斜視図である。
【
図6】乾燥処理を行う第3の仕上げユニット23Cの一例を示す斜視図である。
【
図7】基板処理装置2の一例を示すブロック図である。
【
図8】コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【
図9】第1の実施形態に係る情報処理装置3Aの一例を示すブロック図である。
【
図10】第1の実施形態に係る情報処理装置3Aの一例を示す機能説明図である。
【
図11】数理最適化前の基板処理スケジュール13Aの一例を示す図である。
【
図12】研磨後仕上げ開始時間TWと、その範囲TWRの一例を示す図である。
【
図13】数理最適化後の基板処理スケジュール13Bの一例を示す図である。
【
図14】基板処理スケジュール13A、13Bに対する評価指標14の一例を示す図である。
【
図15】第1の実施形態に係る情報処理装置3Aによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図16】第2の実施形態に係る情報処理装置3Bの一例を示すブロック図である。
【
図17】第2の実施形態に係る情報処理装置3Bの一例を示す機能説明図である。
【
図18】第2の実施形態に係る学習用データ15A及び学習モデル16Aの一例を示す図である。
【
図19】機械学習装置5Aによる機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
【
図20】第2の実施形態に係る情報処理装置3Bによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図21】第3の実施形態に係る情報処理装置3Cの一例を示すブロック図である。
【
図22】第3の実施形態に係る情報処理装置3Cの一例を示す機能説明図である。
【
図23】第3の実施形態に係る学習用データ15B及び学習モデル16Bの一例を示す図である。
【
図24】第3の実施形態に係る情報処理装置3Cによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説
明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、基板処理システム1の一例を示す全体構成図である。本実施形態に係る基板処理システム1は、その主要な構成として、基板処理装置2と、情報処理装置3Aとを備え、有線又は無線のネットワーク4に接続されて、各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、基板処理装置2及び情報処理装置3Aの数やネットワーク4の接続構成は、
図1の例に限られず、適宜変更してもよい。
【0012】
基板処理装置2は、半導体ウェハ等の基板(以下、「ウェハ」という)Wに対して各種の処理を行う複数の処理ユニット(詳細は後述)を備え、各処理ユニットを動作させることで、ウェハWに対して化学機械研磨処理(以下、「研磨処理」という)、仕上げ処理、搬送処理等を行う装置である。その際、基板処理装置2は、各処理ユニットにそれぞれ設定された複数の装置パラメータからなる装置設定情報10と、研磨処理や仕上げ処理の動作を定める基板レシピ情報11とを参照しつつ、各処理ユニットの動作を制御する。
【0013】
情報処理装置3Aは、ユーザが使用する端末装置であり、据置型や携帯型の装置で構成される。情報処理装置3Aは、例えば、アプリケーションプログラム、ウェブブラウザ等の表示画面を介して各種の入力操作を受け付けるとともに、表示画面を介して各種の情報を表示する。
【0014】
情報処理装置3Aは、基板レシピ情報11や、搬送処理に要する時間を示す搬送時間情報12等に基づいて、基板処理装置2において所定の枚数のウェハWに対して各処理を順次行うときの基板処理スケジュール13を作成したり、その基板処理スケジュール13の評価指標14を算出したりすることで、基板処理装置2の自動運転時のシミュレーションや生産計画の策定を支援する装置である。なお、情報処理装置3Aは、サーバ型又はクラウド型の装置で構成されていてもよく、その場合には、クライアント側のユーザ端末装置(不図示)と連携して動作するようにすればよい。
【0015】
(基板処理装置)
図2は、基板処理装置2の一例を示す概略平面図である。基板処理装置2は、平面視で略矩形状のハウジング20の内部に、ロード/アンロード部21と、研磨部22と、仕上げ部23と、基板搬送部24と、制御ユニット25とを備えて構成される。
【0016】
(ロード/アンロード部)
ロード/アンロード部21は、多数のウェハWを上下方向に収納可能なウェハカセット(FOUP等)が載置される第1及び第2のフロントロード部210A、210Bと、ウェハカセットに収納されたウェハWの収納方向(上下方向)及び第1及び第2のフロントロード部210A、210Bの並び方向(ハウジング20の短手方向)に沿って移動可能な搬送ユニットとしての搬入/搬出ロボット211とを備える。
【0017】
搬入/搬出ロボット211は、基板搬入位置PS、第1の基板受け渡し位置PD1、仕上げ部23(具体的に、後述の最下流工程の仕上げユニット23C)、及び、基板搬出位置PEに対してアクセス可能に構成される。搬入/搬出ロボット211は、ウェハWを受け渡すための上下二段のハンド(不図示)を備える。下側ハンドは、処理前のウェハWを受け渡すときに使用され、上側ハンドは、処理後のウェハWを受け渡すときに使用される。
【0018】
基板搬入位置PS及び基板搬出位置PEは、第1及び第2のフロントロード部210A
、210Bの各々に載置されるウェハカセットの位置である。搬入/搬出ロボット211は、ウェハWの搬送処理として、基板搬入位置PSとしてのウェハカセットから第1の基板受け渡し位置PD1にウェハWを搬入する搬入処理と、仕上げ部23から基板搬出位置PEとしてのウェハカセットに仕上げ処理後のウェハWを搬出する搬出処理とを行う。なお、基板搬入位置PS及び基板搬出位置PEは、同じ位置でもよいし、異なる位置でもよい。
【0019】
(研磨部)
研磨部22は、ウェハWの研磨処理をそれぞれ行う複数(本実施形態では、2つ)の研磨ユニット22A、22Bを備える。本実施形態では、第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bは、ハウジング20の長手方向に沿って並べられて配置され、研磨処理を並行して行う。
【0020】
図3は、第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bの一例を示す斜視図である。本実施形態では、第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bの基本的な構成や機能は共通するものとして説明する。
【0021】
第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bの各々は、研磨面を有する研磨パッド2200を回転可能に支持する研磨テーブル220と、ウェハWを回転可能に保持し、かつウェハWを研磨テーブル220上の研磨パッド2200に押圧しながら研磨するためのトップリング(基板保持部)221と、研磨パッド2200に研磨流体を供給する研磨流体供給部222と、ドレッサディスク2230を回転可能に支持するとともにドレッサディスク2230を研磨パッド2200の研磨面に接触させて研磨パッド2200をドレッシングするドレッサ223と、研磨パッド2200に洗浄流体を噴射するアトマイザ224とを備える。
【0022】
研磨テーブル220は、研磨テーブルシャフト220aにより支持されて、その軸心周りに研磨テーブル220を回転駆動させる回転移動機構部220bと、研磨パッド2200の表面温度を調節する温調機構部220cとを備える。
【0023】
トップリング221は、上下方向に移動可能なトップリングシャフト221aに支持されて、その軸心周りにトップリング221を回転駆動させる回転移動機構部221cと、トップリング221を上下方向に移動させる上下移動機構部221dと、支持シャフト221bを旋回中心にしてトップリング221を旋回(揺動)移動させる揺動移動機構部221eとを備える。回転移動機構部221c、上下移動機構部221d及び揺動移動機構部221eは、研磨パッド2200とウェハWの被研磨面との相対位置を移動させる基板移動機構部として機能する。
【0024】
研磨流体供給部222は、研磨パッド2200の研磨面に研磨流体を供給する研磨流体供給ノズル222aと、支持シャフト222bに支持されて、支持シャフト222bを旋回中心にして研磨流体供給ノズル222aを旋回移動させる揺動移動機構部222cと、研磨流体の流量を調節する流量調節部222dと、研磨流体の温度を調節する温調機構部222eとを備える。研磨流体は、研磨液(スラリー)又は純水であり、さらに、薬液を含むものでもよいし、研磨液に分散剤を添加したものでもよい。
【0025】
ドレッサ223は、上下方向に移動可能なドレッサシャフト223aに支持されて、その軸心周りにドレッサ223を回転駆動させる回転移動機構部223cと、ドレッサ223を上下方向に移動させる上下移動機構部223dと、支持シャフト223bを旋回中心にしてドレッサ223を旋回移動させる揺動移動機構部223eとを備える。
【0026】
アトマイザ224は、支持シャフト224aに支持されて、支持シャフト224aを旋回中心にしてアトマイザ224を旋回移動させる揺動移動機構部224bと、洗浄流体の流量を調節する流量調節部224cとを備える。洗浄流体は、液体(例えば、純水)と気体(例えば、窒素ガス)の混合流体又は液体(例えば、純水)である。
【0027】
ウェハWは、トップリング221の下面に吸着保持されて、研磨テーブル220上の所定の研磨位置PP1、PP2に移動された後、研磨流体供給ノズル222aから研磨流体が供給された研磨パッド2200の研磨面に対してトップリング221により押圧されることで研磨される。
【0028】
(仕上げ部)
仕上げ部23は、ウェハWの仕上げ処理をそれぞれ行う複数(本実施形態では、3つ)の仕上げユニット23A~23Cと、研磨処理後のウェハWが待機可能なウェハステーション23Dとを備える。第1乃至第3の仕上げユニット23A~23C及びウェハステーション23Dは、ハウジング20の長手方向に沿って並べられて配置されて、第1乃至第3の仕上げユニット23A~23Cは、その並び順(仕上げ工程順)に仕上げ処理をそれぞれ行う。
【0029】
本実施形態では、第1の仕上げユニット23Aは、最上流工程の仕上げ処理として、ロールスポンジ2300を用いて研磨処理後のウェハWを洗浄するロールスポンジ洗浄処理を行う。第2の仕上げユニット23Bは、ペンスポンジ2301を用いてロールスポンジ洗浄処理後のウェハWを洗浄するペンスポンジ洗浄処理を行う。第3の仕上げユニット23Cは、最下流工程の仕上げ処理として、ペンスポンジ洗浄処理後のウェハWを乾燥させる乾燥処理を行う。ウェハステーション23Dは、研磨処理用トランスポータ240(詳細は後述)から受け渡された研磨処理後のウェハWを保持し、その研磨処理後のウェハWを仕上げ処理用トランスポータ241(詳細は後述)に受け渡すまで待機させる待機処理を行う。なお、仕上げ処理は、例えば、ロールスポンジ洗浄処理を省略して、ペンスポンジ洗浄処理から開始してもよい。
【0030】
なお、仕上げ部23は、第1及び第2の仕上げユニット23A、23Bのいずれかに代えて又は加えて、バフを用いてウェハWを洗浄するバフ洗浄処理を行う仕上げユニット(不図示)を備えるようにしてもよいし、第1及び第2の仕上げユニット23A、23Bのいずれかを省略してもよい。また、本実施形態では、第1乃至第3の仕上げユニット23A~23Cは、ウェハWを水平置きで保持(水平保持)するものとして説明するが、ウェハWを垂直保持又は斜め保持するものでもよい。
【0031】
図4は、ロールスポンジ洗浄処理を行う第1の仕上げユニット23Aの一例を示す斜視図である。第1の仕上げユニット23Aは、ウェハWを保持する基板保持部231と、ウェハWに基板洗浄流体を供給する洗浄流体供給部232と、ロールスポンジ2300を回転可能に支持するとともにロールスポンジ2300をウェハWに接触させてウェハWを洗浄する基板洗浄部230と、ロールスポンジ2300を洗浄具洗浄流体にて洗浄(セルフクリーニング)する洗浄具洗浄部233とを備える。基板洗浄流体は、純水(リンス液)及び薬液のいずれでもよく、液体でもよいし、液体及び気体を混合させた二流体でもよいし、ドライアイスのような固体を含むものでもよい。洗浄具洗浄流体は、純水(リンス液)及び薬液のいずれでもよい。
【0032】
第1の仕上げユニット23Aによるロールスポンジ洗浄処理では、ウェハWは、基板保持部231により第1の仕上げ位置PC1に保持された状態で回転される。そして、洗浄流体供給部232からウェハWの被洗浄面に基板洗浄流体が供給された状態で、基板洗浄部230により軸心周りに回転されたロールスポンジ2300がウェハWの被洗浄面に摺
接することでウェハWは洗浄される。
【0033】
図5は、ペンスポンジ洗浄処理を行う第2の仕上げユニット23Bの一例を示す斜視図である。第2の仕上げユニット23Bは、ウェハWを保持する基板保持部231と、ウェハWに基板洗浄流体を供給する洗浄流体供給部232と、ペンスポンジ2301を回転可能に支持するとともにペンスポンジ2301をウェハWに接触させてウェハWを洗浄する基板洗浄部230と、ペンスポンジ2301を洗浄具洗浄流体にて洗浄(セルフクリーニング)する洗浄具洗浄部233とを備える。
【0034】
第2の仕上げユニット23Bによるペンスポンジ洗浄処理では、ウェハWは、基板保持部231により第2の仕上げ位置PC2に保持された状態で回転される。そして、洗浄流体供給部232からウェハWの被洗浄面に基板洗浄流体が供給された状態で、基板洗浄部230により軸心周りに回転されたペンスポンジ2301がウェハWの被洗浄面に摺接することでウェハWは洗浄される。
【0035】
図6は、乾燥処理を行う第3の仕上げユニット23Cの一例を示す斜視図である。第3の仕上げユニット23Cは、ウェハWを保持する基板保持部231と、ウェハWに基板乾燥流体を供給する乾燥流体供給部235とを備える。基板乾燥流体は、例えば、IPA蒸気及び純水(リンス液)であり、液体でもよいし、液体及び気体を混合させた二流体でもよいし、ドライアイスのような固体を含むものでもよい。
【0036】
第3の仕上げユニット23Cによる乾燥処理では、ウェハWは、基板保持部231により第3の仕上げ位置PC3に保持された状態で回転される。そして、乾燥流体供給部235からウェハWの被洗浄面に基板乾燥流体が供給された状態で、乾燥流体供給部235がウェハWの側縁部側(径方向外側)に移動される。その後、ウェハWは、高速回転されることでウェハWが乾燥される。
【0037】
(基板搬送部)
基板搬送部24は、
図2に示すように、第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bの並び方向(ハウジング20の長手方向)に沿って移動可能であるとともに、第2の基板受け渡し位置PD2としてのウェハステーション23Dに移動可能な搬送ユニットとしての研磨処理用トランスポータ240と、ウェハステーション23D及び第1乃至第3の仕上げユニット23A~23Cの並び方向(ハウジング20の長手方向)に沿って移動可能な搬送ユニットとしての仕上げ処理用トランスポータ241とを備える。
【0038】
研磨処理用トランスポータ240は、第1の基板受け渡し位置PD1、第1及び第2の搬送位置PT1、PT2、並びに、第2の基板受け渡し位置PD2に対してアクセス可能に構成される。したがって、研磨処理用トランスポータ240は、ウェハWの搬送処理として、第1の基板受け渡し位置PD1から第1及び第2の研磨ユニット22A、22B(本実施形態では、第1及び第2の搬送位置PT1、PT2)にウェハWを搬送する研磨前搬送処理と、第1及び第2の研磨ユニット22A、22B(本実施形態では、第1及び第2の搬送位置PT1、PT2)から第2の基板受け渡し位置PD2に研磨処理後のウェハWを搬送する研磨後搬送処理とを行う。
【0039】
第1の基板受け渡し位置PD1は、搬入/搬出ロボット211と研磨処理用トランスポータ240との間でウェハWを受け渡す位置である。第1の基板受け渡し位置PD1は、研磨処理用トランスポータ240の移動範囲において搬入/搬出ロボット211側に設定された位置であり、搬入/搬出ロボット211が移動することでアクセスされる。
【0040】
第1及び第2の搬送位置PT1、TP2は、第1及び第2の研磨ユニット22A、22
Bと研磨処理用トランスポータ240との間でウェハWをそれぞれ受け渡す位置である。第1及び第2の搬送位置PT1、TP2は、研磨処理用トランスポータ240の移動範囲に所定の間隔を空けて設置されるとともに、第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bのトップリング221が揺動移動することでアクセスされる。
【0041】
仕上げ処理用トランスポータ241は、第2の基板受け渡し位置PD2、及び、第1乃至第3の仕上げユニット23A~23Cに対してアクセス可能に構成される。したがって、仕上げ処理用トランスポータ241は、ウェハWの搬送処理として、第2の基板受け渡し位置PD2から最上流工程の仕上げユニット23Aに研磨処理後のウェハWを搬送する仕上げ前搬送処理と、第1乃至第3の仕上げユニット23A~23Cの間で仕上げ処理中のウェハWを仕上げ工程順に搬送する仕上げ中搬送処理とを行う。本実施形態では、仕上げ処理用トランスポータ241は、仕上げ中搬送処理として、第1の仕上げユニット23Aから第2の仕上げユニット23Bに仕上げ処理中のウェハWを搬送する第1の仕上げ中搬送処理と、第2の仕上げユニット23Bから第2の仕上げユニット23Cに仕上げ処理中のウェハWを搬送する第2の仕上げ中搬送処理とを行う。
【0042】
第2の基板受け渡し位置PD2は、研磨処理用トランスポータ240と仕上げ処理用トランスポータ241との間でウェハWをそれぞれ受け渡す位置である。第2の基板受け渡し位置PD2は、ウェハステーション23Dの内部に設定された位置であり、研磨処理用トランスポータ240及び仕上げ処理用トランスポータ241がそれぞれ移動することでアクセスされる。
【0043】
(制御ユニット)
図7は、基板処理装置2の一例を示すブロック図である。制御ユニット25は、各部21~24と電気的に接続されて、各部21~24を統括的に制御する制御部として機能する。以下では、基板搬送部24の制御系(モジュール、センサ、シーケンサ)を例にして説明するが、ロード/アンロード部21、研磨部22及び仕上げ部23も基本的な構成や機能は共通するため、説明を省略する。
【0044】
基板搬送部24は、基板搬送部24が備える各搬送ユニット(例えば、研磨処理用トランスポータ240、仕上げ処理用トランスポータ241)にそれぞれ配置されて、制御対象となる複数のモジュール247と、複数のモジュール247にそれぞれ配置されて、各モジュール247の制御に必要なデータ(検出値)を検出する複数のセンサ248と、各センサ248の検出値に基づいて各モジュール247の動作を制御するシーケンサ249とを備える。基板搬送部24のモジュール247には、各搬送ユニットに設けられた回転モータ、リニアモータ、エアアクチュエータ、油圧アクチュエータ等が含まれる。また、基板搬送部24のセンサ248には、例えば、エンコーダセンサ、リニアセンサ、リミットセンサ、ウェハWの有無を検出する非接触センサ等が含まれる。
【0045】
制御ユニット25は、制御部250、通信部251、入力部252、出力部253、及び、記憶部254を備える。制御ユニット25は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図8参照)で構成される。
【0046】
通信部251は、ネットワーク4に接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。入力部252は、各種の入力操作を受け付けるとともに、出力部253は、表示画面、シグナルタワー点灯、ブザー音を介して各種の情報を出力することで、ユーザインターフェースとして機能する。
【0047】
記憶部254は、基板処理装置2の動作で使用される各種のプログラム(オペレーティングシステム(OS)、アプリケーションプログラム、ウェブブラウザ等)やデータ(装
置設定情報10、基板レシピ情報11等)を記憶する。装置設定情報10及び基板レシピ情報11は、表示画面を介してユーザにより編集可能なデータである。
【0048】
制御部250は、複数のシーケンサ219、229、239、249(以下、「シーケンサ群」という)を介して複数のセンサ218、228、238、248(以下、「センサ群」という)の検出値を取得するとともに、複数のモジュール217、227、237、247(以下、「モジュール群」という)を連携して動作させる。そして、基板処理装置2は、制御部250により各部21~24を制御し、ウェハカセット内の複数のウェハWに対して研磨処理、仕上げ処理、搬送処理等を順次行うことで、自動運転を実行する。
【0049】
(各装置のハードウエア構成)
図8は、コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。基板処理装置2の制御ユニット25、及び、情報処理装置3Aの各々は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0050】
コンピュータ900は、
図8に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0051】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0052】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD(Solid State Drive)等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0053】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(
図1のネットワーク4と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置で構成され、DVD、CD等のメディア(非一時
的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0054】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA、ASIC等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0055】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。コンピュータ900は、基板処理装置2及び情報処理装置3A以外の装置にも適用されてもよい。
【0056】
(情報処理装置)
図9は、第1の実施形態に係る情報処理装置3Aの一例を示すブロック図である。
図10は、第1の実施形態に係る情報処理装置3Aの一例を示す機能説明図である。
【0057】
情報処理装置3Aは、制御部30、通信部31、記憶部32、入力部33、及び、出力部34を備える。
図9に示す各部30~34の具体的なハードウエア構成は、
図8に示す汎用又は専用のコンピュータ900で構成されるため、詳細な説明を省略する。
【0058】
制御部30は、情報取得部300、スケジュール作成部301、スケジュール評価部302、及び、出力処理部303として機能する。通信部31は、ネットワーク4を介して外部装置(例えば、基板処理装置2)と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。記憶部32は、情報処理装置3Aの動作で使用される各種のプログラム(オペレーティングシステムや情報処理プログラム等)やデータ(装置設定情報10、基板レシピ情報11、搬送時間情報12、基板処理スケジュール13、評価指標14)等を記憶する。入力部33は、各種の入力操作を受け付けるとともに、出力部34は、表示画面や音声を介して各種の情報を出力することで、ユーザインターフェースとして機能する。
【0059】
情報取得部300は、例えば、通信部31を介して基板処理装置2との間でデータを送受信したり、記憶部32を参照したりすることで、基板レシピ情報11と、搬送時間情報12とを取得する。なお、基板レシピ情報11及び搬送時間情報12は、ユーザの入力操作に基づくものでもよいし、外部の生産管理装置(不図示)から取得してもよい。
【0060】
基板レシピ情報11は、研磨処理及び仕上げ処理の処理内容を示す情報である。研磨処理の処理内容としては、例えば、研磨テーブル220によるテーブル回転速度、トップリング221によるトップリング押付時間、ウェハ押付荷重、ウェハ回転速度、研磨流体供給部222による研磨流体の供給量、供給タイミング、ドレッサ223によるドレッサ動作時間、アトマイザ224によるアトマイザ動作時間等が含まれる。仕上げ処理の処理内容としては、例えば、ロールスポンジ洗浄処理でのロールスポンジ動作時間、ロールスポンジ回転速度、ウェハ回転速度、基板洗浄流体の供給量、供給タイミング、ペンスポンジ洗浄処理でのペンスポンジ動作時間、ペンスポンジ回転速度、ウェハ回転速度、基板洗浄流体の供給量、供給タイミング、ウェハ回転速度、乾燥処理での乾燥動作時間、ウェハ回
転速度、基板乾燥流体の供給量、供給タイミング等が含まれる。なお、基板レシピ情報11は、ウェハWの1枚毎に設定されていてもよいし、ロットを構成する複数枚毎に設定されていてもよい。
【0061】
搬送時間情報12は、搬送処理として、搬入処理、研磨前搬送処理、研磨後搬送処理、仕上げ前搬送処理、仕上げ中搬送処理(本実施形態では、第1及び第2の仕上げ中搬送処理)、及び、搬出処理の各々に要する搬送時間TT1~TT7を示す情報である。搬送時間TT1~TT7は、例えば、搬送ユニット(例えば、搬入/搬出ロボット211、研磨処理用トランスポータ240、仕上げ処理用トランスポータ241)が実際に動作したときの時間を計測した実測値でもよく、例えば、搬送時間の実測値が基板処理装置2や外部の生産管理装置に記憶されている場合には、基板処理装置2や外部の生産管理装置から取得してもよい。また、搬送時間TT1~TT7は、搬送ユニットの仕様から算出された理論値でもよく、装置設定情報10に搬送ユニットの移動速度が含まれる場合には、基板処理装置2又は記憶部32から装置設定情報10を取得し、装置設定情報10に基づいて算出してもよい。さらに、搬送時間TT1~TT7は、上記の理論値に対して、搬送ユニットが実際に動作したときの実測値との誤差(実動誤差)を考慮した推論値でもよく、例えば、機械学習等の推定モデルを用いて実動誤差を算出してもよい。なお、搬送時間情報12は、ウェハWの1枚毎に設定されていてもよいし、ロットを構成する複数枚毎に設定されていてもよい。
【0062】
スケジュール作成部301は、基板処理装置2において所定の枚数のウェハWに対して各処理を順次行うときの基板処理スケジュール13を作成する。具体的には、スケジュール作成部301は、情報取得部300により取得された基板レシピ情報11及び搬送時間情報12に基づいて、最終枚目の仕上げ処理後のウェハWが基板搬出位置PEに搬出される最終処理終了時間が最短になるように、各処理の開始タイミングを決定することで、基板処理スケジュール13を作成する。なお、スケジュール作成部301は、最終処理終了時間が最短になることに代えて又は加えて、研磨処理の終了タイミングから最上流工程の仕上げ処理の開始タイミングまでの研磨後仕上げ開始時間が均一で最小になるように、各処理の開始タイミングを決定することで、基板処理スケジュール13を作成するようにしてもよい。
【0063】
本実施形態に係るスケジュール作成部301は、その構成として、処理時間算出部301Aと、数理最適化部301Bとを備える。
【0064】
処理時間算出部301Aは、基板レシピ情報11に基づいて、研磨処理に要する研磨時間及び仕上げ処理に要する仕上げ時間を算出する。例えば、処理時間算出部301Aは、基板レシピ情報11が示す研磨処理の処理内容のうち、研磨時間に関する設定値に基づいて、研磨処理に要する研磨時間TPを算出する。また、処理時間算出部301Aは、基板レシピ情報11が示す仕上げ処理の処理内容のうち、仕上げ時間に関する設定値に基づいて、仕上げ処理に要する仕上げ時間を算出する。本実施形態では、仕上げ時間として、ロールスポンジ洗浄処理に要する仕上げ時間TC1、ペンスポンジ洗浄処理に要する仕上げ時間TC2、乾燥処理に要する仕上げ時間TC3が算出される。なお、研磨時間TPや仕上げ時間TC1~TC3は、例えば、研磨ユニット22A、22Bや仕上げユニット23A~23Cが実際に動作したときの時間を計測した実測値を考慮したものでもよい。その際、例えば、実測値が基板処理装置2や外部の生産管理装置に記憶されている場合には、処理時間算出部301Aは、基板処理装置2や外部の生産管理装置からその実測値を研磨時間TPや仕上げ時間TC1~TC3として取得してもよいし、その実測値に基づいて、基板レシピ情報11から算出した研磨時間TPや仕上げ時間TC1~TC3を補正してもよい。
【0065】
数理最適化部301Bは、数理最適化により基板処理スケジュール13を最適化問題に定式化し、その最適解を探索することで基板処理スケジュール13を作成する。数理最適化の手法は、例えば、混合整数線形計画法(MIP)を用いればよく、他の手法を用いてもよい。また、最適解の探索手法は、厳密解法、近似解法、発見的解法等の任意の探索アルゴリズムを用いることができる。
【0066】
図11は、数理最適化前の基板処理スケジュール13Aの一例を示す図である。
図11に示す基板処理スケジュール13Aは、例えば、数理最適化部301Bによる最適化前(又は最適化途中)のデフォルトとして作成されたものである。
図11では、簡略化のため、4枚のウェハWに対する基板処理スケジュール13Aを示しているが、基板処理スケジュール13AにおけるウェハWの枚数は適宜変更してもよい。また、基板処理スケジュール13Aは、数理最適化部301Bによる最適化前に、基板処理装置2により自動運転が実行されたときの各処理を時系列で記録した実績値でもよい。
【0067】
基板処理装置2の自動運転では、各処理を行う順序を守りつつ、各処理のうち同時に可能な処理を並列的に行い、各処理のうち同時に不可能な処理を直列的に行うようにして、各処理が行われる。そこで、数理最適化部301Bは、各処理を行う順序を定める処理順序条件と、各処理のうち同時に可能又は不可能な処理を定める同時処理条件とを数理最適化の制約条件とし、処理時間算出部301Aにて算出した研磨時間TP及び仕上げ時間TC1~TC3と、搬送時間情報12が示す搬送時間TT1~TT7とを変数に含む最終処理終了時間TFを最短にすることを数理最適化の目的関数として、各処理の開始タイミングを数理最適化の決定変数として決定する数理最適化を行うことで、基板処理スケジュール13を作成する。
【0068】
本実施形態に係る基板処理装置2では、処理順序条件としては、搬入処理(TT1)、研磨前搬送処理(TT2)、研磨処理(TP)、研磨後搬送処理(TT3)、待機処理(WS)、仕上げ前搬送処理(TT4)、ロールスポンジ洗浄処理(TC1)、第1の仕上げ中搬送処理(TT5)、ペンスポンジ洗浄処理(TC2)、第2の仕上げ中搬送処理(TT7)、乾燥処理(TC3)、搬出処理(TT7)の順序で定められる。また、同時処理条件としては、第1の研磨ユニット22Aによる研磨処理(TP_A)と、第2の研磨ユニット22Bによる研磨処理(TP_B)とは、同時に可能な処理として定められ、仕上げ前搬送処理(TT5)と、第1の仕上げ中搬送処理(TT6)と、第2の仕上げ中搬送処理(TT7)とは、同時に不可能な処理として定められる。
【0069】
その際、数理最適化部301Bは、研磨処理(TP_A、TP_B)の終了タイミングから最上流工程の仕上げ処理(TC1)の開始タイミングまでの研磨後仕上げ開始時間TWを考慮して、数理最適化を行うようにしてもよい。
【0070】
図12は、研磨後仕上げ開始時間TWと、その範囲TWRの一例を示す図である。基板処理スケジュール13Aでは、
図12に示すように、4枚のウェハWに対する研磨後仕上げ開始時間TW1~TW4がそれぞれ定められる。研磨後仕上げ開始時間TW1~TW4の範囲TWRは、研磨後仕上げ開始時間TW1~TW4のうちの最小値TW3と最大値TW2との差分値として定められる。
【0071】
例えば、数理最適化部301Bは、研磨後仕上げ開始時間TWの範囲TWRを定める研磨後仕上げ開始範囲条件をさらに制約条件として、数理最適化を行うようにしてもよい。研磨後仕上げ開始時間TWの範囲TWRを、例えば、1秒以内のように定めた場合、最小値と最大値との差が1秒以内になるように、基板処理スケジュール13が作成される。これにより、複数のウェハWに対して自動運転を行ったときに、複数のウェハWの間で研磨後仕上げ開始時間TWのばらつきを抑制し、研磨後仕上げ開始時間TWの均一化を図るこ
とができる。
【0072】
また、数理最適化部301Bは、研磨後仕上げ開始時間TWの合計値、平均値又は最大値を最短にすることをさらに目的関数として、数理最適化を行うようにしてもよい。その場合、例えば、最終処理終了時間TFの最短化と、研磨後仕上げ開始時間TWの最短化とを重み係数等を用いて組み合わせることで、目的関数を定義するようにすればよい。これにより、複数のウェハWに対して自動運転を行ったときに、研磨処理(TP_A、TP_B)が行われてから仕上げ処理(TC1)が行われるまでの待ち時間を低減することができる。さらに、数理最適化部301Bは、研磨後仕上げ開始時間TWのばらつき度合い(例えば、標準偏差、分散、最大値と最小値の差分値等)を最小にすることをさらに目的関数として、数理最適化を行うようにしてもよい。
【0073】
図13は、スケジュール作成部301により作成された数理最適化後の基板処理スケジュール13Bの一例を示す図である。
図13に示す基板処理スケジュール13Bは、スケジュール作成部301による数理最適化により作成されたものである。数理最適化後の基板処理スケジュール13Bは、
図11に示す数理最適化前の基板処理スケジュール13Aと比較すると、各処理の開始順序と開始タイミングとが変更されている。
【0074】
スケジュール評価部302は、スケジュール作成部301により作成された基板処理スケジュール13を評価し、その評価結果として基板処理スケジュール13の評価指標14を算出する。基板処理スケジュール13の評価指標14は、単位時間当たりのウェハWの処理枚数(WPH)、各処理のタクトタイム、各処理のうち最も処理時間を要する律速処理、及び、研磨後仕上げ開始時間TWのばらつき度合いの少なくとも1つを含む。
【0075】
図14は、基板処理スケジュール13A、13Bに対する評価指標14の一例を示す図である。WPHは、最終処理終了時間TFを処理枚数で除算することで算出される。各処理のタクトタイムとしては、研磨処理及び仕上げ処理のタクトタイムが算出される。研磨後仕上げ開始時間TWのばらつき度合いとしては、例えば、標準偏差、分散、最大値と最小値の差分値が算出される。なお、
図14の例では、数理最適化後の基板処理スケジュール13Bにおける研磨処理(TP_A、TP_B)のタクトタイムが、数理最適化前の基板処理スケジュール13Aよりも短縮されている。また、研磨処理(TP_A、TP_B)が、律速処理として特定されている。
【0076】
出力処理部303は、スケジュール作成部301により作成された基板処理スケジュール13と、スケジュール評価部302により算出された評価指標14とを出力するための出力処理を行う。例えば、出力処理部303は、基板処理スケジュール13及び評価指標14を出力部34により表示出力するようにしてもよいし、記憶部32に記憶するようにしてもよい。また、出力処理部303は、基板処理スケジュール13を通信部31により基板処理装置2に送信し、基板処理装置2が基板処理スケジュール13に従って自動運転を行うようにしてもよい。
【0077】
(情報処理方法)
図15は、第1の実施形態に係る情報処理装置3Aによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【0078】
まず、ステップS100において、ユーザが、例えば、情報処理装置3Aに表示された基板処理最適化画面に対して基板処理スケジュール13の作成条件(例えば、自動運転の対象とするウェハWのロット番号、自動運転を行う基板処理装置2の型式番号、処理枚数等)を指示するとともに、基板処理スケジュール13の作成開始を指示することにより、情報処理装置3Aは、その入力操作を受け付ける。
【0079】
次に、ステップS110において、情報取得部300は、ステップS100にて受け付けた入力操作に基づいて、基板レシピ情報11と、搬送時間情報12とを取得する。例えば、ロット番号が指示された場合には、そのロット番号に対応付けられた基板レシピ情報11を取得し、基板処理装置2の型式番号が指示された場合には、その型式番号に対応付けられた搬送時間情報12を取得する。
【0080】
次に、ステップS120において、処理時間算出部301Aは、ステップS110にて取得した基板レシピ情報11に基づいて、研磨処理に要する研磨時間及び仕上げ処理に要する仕上げ時間を算出する。
【0081】
次に、ステップS130において、数理最適化部301Bは、処理順序条件、同時処理条件、及び、研磨後仕上げ開始範囲条件を数理最適化の制約条件とし、ステップS120にて算出した研磨時間及び仕上げ時間と、ステップS110にて取得した搬送時間情報12が示す搬送時間とを変数に含む最終処理終了時間TFの最短化及び研磨後仕上げ開始時間TWの最短化を数理最適化の目的関数として設定し、数理最適化を行うことで、基板処理スケジュール13を作成する。
【0082】
次に、ステップS140において、スケジュール評価部302は、ステップS130にて作成された基板処理スケジュール13に基づいて、基板処理スケジュール13の評価指標14を算出する。
【0083】
そして、ステップS150において、出力処理部303は、ステップS130にて作成された基板処理スケジュール13と、ステップS140にて算出された評価指標14とを出力するための出力処理を行い、
図15に示す一連の情報処理学習方法を終了する。上記の情報処理方法において、ステップS110が情報取得工程、ステップS120、S130がスケジュール作成工程、ステップS140がスケジュール評価工程、ステップS150が出力処理工程に相当する。
【0084】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置3A及び情報処理方法によれば、スケジュール作成部301が、基板レシピ情報11及び搬送時間情報12に基づいて、最終処理終了時間TFが最短になるように、各処理の開始タイミングを決定することで、基板処理スケジュール13を作成する。したがって、基板処理スケジュール13には、各処理の処理内容や各処理に要する時間が反映されるので、基板処理スケジュール13を適切に作成することができる。
【0085】
(第2の実施形態)
図16は、第2の実施形態に係る情報処理装置3Bの一例を示すブロック図である。
図17は、第2の実施形態に係る情報処理装置3Bの一例を示す機能説明図である。
【0086】
第2の実施形態に係る情報処理装置3Bは、学習用データ15Aを用いて機械学習により学習モデル16Aを生成する機械学習装置5Aとして動作するとともに、スケジュール作成部301のスケジュール推論部301Cが、
図17に示すように、機械学習装置5Aにより生成された学習モデル16Aを用いて基板処理スケジュール13を作成する点で、第1の実施形態に係る情報処理装置3Aと相違する。その他の基板処理装置2及び情報処理装置3Bの構成及び動作は、第1の実施形態と同様であるため、同一符号を振って詳細な説明を省略する。
【0087】
制御部30は、学習用データ取得部304A、及び、機械学習部305Aとしてさらに機能する。なお、本実施形態では、機械学習装置5Aは、情報処理装置3Bに組み込まれ
たものとして説明するが、機械学習装置5Aと情報処理装置3Bとは、別々の装置として構成されてもよく、その場合には、学習済みの学習モデル16Aは、ネットワーク4や任意の記憶媒体等を介して情報処理装置3Bに提供されるようにすればよい。
【0088】
第1の記憶部32Aは、第1の実施形態の記憶部32と同様に、各種のプログラムやデータ等を記憶し、第2の記憶部32Bは、学習用データ15A及び学習モデル16Aを記憶する。第2の記憶部32Bは、学習用データ15Aを記憶する学習用データ記憶部、及び、学習済みの学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部として機能する。なお、第1及び第2の記憶部32A、32Bは、単一の記憶部で構成されていてもよいし、外部の記憶装置であってもよい。
【0089】
図18は、第2の実施形態に係る学習用データ15A及び学習モデル16Aの一例を示す図である。学習モデル16Aの機械学習に用いられる学習用データ15Aは、基板レシピ情報11と、搬送時間情報12とを入力データとし、基板処理スケジュール13を出力データとして構成される。なお、搬送時間情報12は、実測値、理論値及び推論値のいずれでもよい。
【0090】
学習用データ取得部304Aは、例えば、数理最適化部301Bと連携し、処理内容が異なる複数の基板レシピ情報11と、搬送時間が異なる複数の搬送時間情報12との各組み合わせに対して数理最適化を行うことで、基板処理スケジュール13をそれぞれ作成する。そして、学習用データ取得部304Aは、各組み合わせにおいて、基板レシピ情報11及び基板搬送情報と、それら基板レシピ情報11及び基板搬送情報から作成された基板処理スケジュール13とを対応付けることで複数組の学習用データ15Aを取得し、その複数組の学習用データ15Aを第2の記憶部32Bに記憶する。
【0091】
学習モデル16Aは、例えば、ニューラルネットワークの構造を採用したものであり、入力層160、中間層161、及び、出力層162を備える。各層の間には、各ニューロンをそれぞれ接続するシナプス(不図示)が張られており、各シナプスには、重みがそれぞれ対応付けられている。各シナプスの重みからなる重みパラメータ群が、機械学習により調整される。入力層160は、入力データとしての基板レシピ情報11及び搬送時間情報12に対応する数のニューロンを有し、基板レシピ情報11及び搬送時間情報12の各値が各ニューロンにそれぞれ入力される。出力層162は、出力データとしての基板処理スケジュール13に対応する数のニューロンを有し、基板レシピ情報11及び搬送時間情報12に対する基板処理スケジュール13の予測結果(推論結果)が、出力データとして出力される。
【0092】
機械学習部305Aは、第2の記憶部32Bに記憶された複数組の学習用データ15Aを用いて機械学習を実施する。すなわち、機械学習部305Aは、学習モデル16Aに学習用データ15Aを複数組入力し、学習用データ15Aに含まれる入力データと出力データとの相関関係を学習モデル16Aに学習させることで学習済みの学習モデル16Aを生成し、その学習モデル16A(具体的には、調整済みの重みパラメータ群)を第2の記憶部32Bに記憶する。
【0093】
スケジュール推論部301Cは、学習モデル16Aに、情報取得部300により取得された基板レシピ情報11及び搬送時間情報12を入力することで、当該基板レシピ情報11及び当該搬送時間情報12に対する基板処理スケジュール13を作成する。
【0094】
(機械学習方法)
図19は、機械学習装置5Aによる機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
【0095】
まず、ステップS200において、学習用データ取得部304Aは、機械学習を開始するための事前準備として、数理最適化部301Bと連携し、所望の数の学習用データ15Aを取得し、その取得した学習用データ15Aを第2の記憶部32Bに記憶する。
【0096】
次に、ステップS210において、機械学習部305Aは、機械学習を開始すべく、各シナプスの重みが初期値に設定された学習前の学習モデル16Aを準備する。
【0097】
次に、ステップS220において、機械学習部305Aは、第2の記憶部32Bに記憶された複数組の学習用データ15Aから、例えば、ランダムに1組の学習用データ15Aを取得する。
【0098】
次に、ステップS230において、機械学習部305Aは、1組の学習用データ15Aに含まれる流体供給情報(入力データ)を、準備された学習前(又は学習中)の学習モデル16Aの入力層160に入力する。その結果、学習モデル16Aの出力層162から推論結果として出力データが出力されるが、当該出力データは、学習前(又は学習中)の学習モデル16Aによって生成されたものである。そのため、学習前(又は学習中)の状態では、推論結果として出力された出力データは、学習用データ15Aに含まれる出力データ(正解ラベル)とは異なる情報を示す。
【0099】
次に、ステップS240において、機械学習部305Aは、ステップS220において取得された1組の学習用データ15Aに含まれる出力データ(正解ラベル)と、ステップS230において出力層から推論結果として出力された出力データ(推論結果)とを比較し、各シナプスの重みを調整する処理(バックプロバケーション)を実施することで、機械学習を実施する。
【0100】
次に、ステップS250において、機械学習部305Aは、所定の学習終了条件が満たされたか否かを、例えば、学習用データ15Aに含まれる出力データ(正解ラベル)と、推論結果としての出力データとに基づく誤差関数の評価値や、第2の記憶部32B内に記憶された未学習の学習用データ15Aの残数に基づいて判定する。
【0101】
ステップS250において、機械学習部305Aが、学習終了条件が満たされておらず、機械学習を継続すると判定した場合(ステップS250でNo)、ステップS220に戻り、学習中の学習モデル16Aに対してステップS220~S240の工程を未学習の学習用データ15Aを用いて複数回実施する。一方、ステップS250において、機械学習部305Aが、学習終了条件が満たされて、機械学習を終了すると判定した場合(ステップS250でYes)、ステップS260に進む。
【0102】
そして、ステップS260において、機械学習部305Aは、各シナプスに対応付けられた重みを調整することで生成された学習済みの学習モデル16A(調整済みの重みパラメータ群)を第2の記憶部32Bに記憶し、
図19に示す一連の機械学習方法を終了する。上記の機械学習方法において、ステップS200が学習用データ記憶工程、ステップS210~S250が機械学習工程、ステップS260が学習済みモデル記憶工程に相当する。
【0103】
(情報処理方法)
図20は、第2の実施形態に係る情報処理装置3Bによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【0104】
まず、ステップS300において、ユーザが、第1の実施形態と同様に、基板処理スケジュール13の作成条件と、基板処理スケジュール13の作成開始とを指示すると、ステ
ップS310において、情報取得部300は、基板レシピ情報11と、搬送時間情報12とを取得する。
【0105】
次に、ステップS320において、スケジュール推論部301Cは、ステップS310にて取得した基板レシピ情報11及び搬送時間情報12を入力データとして学習モデル16Aに入力することで学習モデル16Aから出力された出力データに基づいて、当該基板レシピ情報11及び当該搬送時間情報12に対する基板処理スケジュール13を作成する。
【0106】
次に、ステップS330において、スケジュール評価部302は、ステップS320にて作成された基板処理スケジュール13に基づいて、基板処理スケジュール13の評価指標14を算出する。そして、ステップS340において、出力処理部303は、ステップS320にて作成された基板処理スケジュール13と、ステップS330にて算出された評価指標14とを出力するための出力処理を行い、
図20に示す一連の情報処理学習方法を終了する。上記の情報処理方法において、ステップS310が情報取得工程、ステップS320、S320がスケジュール作成工程、ステップS330がスケジュール評価工程、ステップS340が出力処理工程に相当する。
【0107】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置3B及び情報処理方法によれば、スケジュール推論部301Cが、基板レシピ情報11及び搬送時間情報12を学習モデル12Aに入力することで、基板処理スケジュール13を作成することができる。
【0108】
(第3の実施形態)
図21は、第3の実施形態に係る情報処理装置3Cの一例を示すブロック図である。
図22は、第3の実施形態に係る情報処理装置3Cの一例を示す機能説明図である。
【0109】
第3の実施形態に係る情報処理装置3Cは、学習用データ15Bを用いて機械学習により学習モデル16Bを生成する機械学習装置5Bとして動作するとともに、評価指標推論部306が、機械学習装置5Bにより生成された学習モデル16Bを用いて基板処理スケジュール13の評価指標14を推論する点で、第1の実施形態に係る情報処理装置3Aと相違する。その他の基板処理装置2及び情報処理装置3Cの構成及び動作は、第1の実施形態と同様であるため、同一符号を振って詳細な説明を省略する。
【0110】
制御部30は、学習用データ取得部304B、機械学習部305B、及び、評価指標推論部306としてさらに機能する。なお、本実施形態では、機械学習装置5Bは、第2の実施形態と同様に、情報処理装置3Cに組み込まれたものとして説明するが、機械学習装置5Bと情報処理装置3Cとは、別々の装置として構成されてもよく、その場合には、学習済みの学習モデル16Bは、ネットワーク4や任意の記憶媒体等を介して情報処理装置3Cに提供されるようにすればよい。
【0111】
第1の記憶部32Aは、第1の実施形態の記憶部32と同様に、各種のプログラムやデータ等を記憶し、第2の記憶部32Bは、学習用データ15B及び学習モデル16Bを記憶する。第2の記憶部32Bは、学習用データ15Bを記憶する学習用データ記憶部、及び、学習済みの学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部として機能する。
【0112】
図23は、第3の実施形態に係る学習用データ15B及び学習モデル16Bの一例を示す図である。学習モデル16Bの機械学習に用いられる学習用データ15Bは、基板レシピ情報11と、搬送時間情報12とを入力データとし、基板処理スケジュール13の評価指標14を出力データとして構成される。
【0113】
学習用データ取得部304Bは、例えば、数理最適化部301B及びスケジュール評価部302と連携し、処理内容が異なる複数の基板レシピ情報11と、搬送時間が異なる複数の搬送時間情報12との各組み合わせに対して基板処理スケジュール13の評価指標14をそれぞれ算出する。そして、学習用データ取得部304Bは、各組み合わせにおいて、基板レシピ情報11及び基板搬送情報と、それら基板レシピ情報11及び基板搬送情報から算出された基板処理スケジュール13の評価指標14とを対応付けることで複数組の学習用データ15Bを取得し、その複数組の学習用データ15Bを第2の記憶部32Bに記憶する。
【0114】
学習モデル16Bは、第2の実施形態と同様に、例えば、ニューラルネットワークの構造を採用したものであり、入力層160、中間層161、及び、出力層162を備える。入力層160は、入力データとしての基板レシピ情報11及び搬送時間情報12に対応する数のニューロンを有し、基板レシピ情報11及び搬送時間情報12の各値が各ニューロンにそれぞれ入力される。出力層162は、出力データとしての基板処理スケジュール13の評価指標14に対応する数のニューロンを有し、基板レシピ情報11及び搬送時間情報12に対する基板処理スケジュール13の評価指標14の予測結果(推論結果)が、出力データとして出力される。
【0115】
機械学習部305Bは、第2の記憶部32Bに記憶された複数組の学習用データ15Bを用いて機械学習を実施する。すなわち、機械学習部305Bは、学習モデル16Bに学習用データ15Bを複数組入力し、学習用データ15Bに含まれる入力データと出力データとの相関関係を学習モデル16Bに学習させることで学習済みの学習モデル16Bを生成し、その学習モデル16B(具体的には、調整済みの重みパラメータ群)を第2の記憶部32Bに記憶する。なお、機械学習装置5Bによる機械学習方法は、第2の実施形態(
図19)と同様であるため、説明を省略する。
【0116】
評価指標推論部306は、学習モデル16Bに、情報取得部300により取得された基板レシピ情報11及び搬送時間情報12を入力することで、当該基板レシピ情報11及び当該搬送時間情報12に対する基板処理スケジュール13の評価指標14を推論する。
【0117】
(情報処理方法)
図24は、第3の実施形態に係る情報処理装置3Cによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【0118】
まず、ステップS400において、ユーザが、基板処理スケジュール13の評価開始を指示すると、ステップS410において、情報取得部300は、基板レシピ情報11と、搬送時間情報12とを取得する。
【0119】
次に、ステップS420において、評価指標推論部306は、ステップS410にて取得した基板レシピ情報11及び搬送時間情報12を入力データとして学習モデル16Bに入力することで学習モデル16Bから出力された出力データに基づいて、当該基板レシピ情報11及び当該搬送時間情報12に対する基板処理スケジュール13の評価指標14を推論する。
【0120】
次に、ステップS430において、出力処理部303は、ステップS420にて推論された基板処理スケジュール13の評価指標14を出力するための出力処理を行い、
図24に示す一連の情報処理学習方法を終了する。上記の情報処理方法において、ステップS410が情報取得工程、ステップS420が評価指標推論工程、ステップS430が出力処理工程に相当する。
【0121】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置3C及び情報処理方法によれば、評価指標推論部306が、基板レシピ情報11及び搬送時間情報12を学習モデル12Bに入力することで、基板処理スケジュール13の評価指標14を算出することができる。
【0122】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0123】
上記実施形態では、基板処理装置2及び情報処理装置3A~3Cは、別々の装置で構成されたものとして説明したが、単一の装置で構成されていてもよく、例えば、情報処理装置3A~3Cが、基板処理装置2の制御ユニット25に組み込まれていてもよい。また、機械学習装置5A、5Bは、基板処理装置2の制御ユニット25に組み込まれていてもよい。
【0124】
上記実施形態では、基板処理装置2が、研磨処理として化学機械研磨処理を行うものとして説明したが、基板処理装置2は、化学機械研磨処理に代えて、物理機械研磨処理を行うものでもよい。
【0125】
上記実施形態では、基板処理装置2が、
図2に示すように、各処理ユニット(研磨ユニット、仕上げユニット、搬送ユニット)を備える場合につて説明したが、各処理ユニットの構成として、各処理の数、配置、上流・下流の関係、並列関係、直列関係は、
図2の例に限れられず、適宜変更してもよい。例えば、研磨ユニットの数を3つ以上にしてもよいし、搬送ユニットとして、複数の研磨処理用トランスポータ240又は複数の仕上げ処理用トランスポータ241を備えることで、搬送処理を並列的に行うように構成してもよいし、仕上げ処理ユニットとして、第1乃至第3の仕上げユニット23A~23Cを1組として、これらを複数組備えることで、仕上げ処理を並列的に行うように構成してもよい。また、各処理ユニットの間でウェハWを受け渡す位置や、ウェハWを一時的に待機させる位置等を適宜変更してもよいし、それらの数を適宜追加してもよい。上記のような場合には、各処理ユニットの構成に合わせて、数理最適化部301Bにおける数理最適化の制約条件、目的関数及び決定変数を変更すればよい。また、各処理ユニットの構成に合わせて、学習用データ15A、15B及び学習モデル16A、16Bにおける入力データ及び出力データのデータ構成を変更すればよい。
【0126】
上記実施形態では、機械学習部305A、305Bによる機械学習を実現する学習モデルとして、ニューラルネットワークを採用した場合について説明したが、他の機械学習のモデルを採用してもよい。他の機械学習のモデルとしては、例えば、決定木、回帰木等のツリー型、バギング、ブースティング等のアンサンブル学習、再帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、LSTM等のニューラルネット型(ディープラ
ーニングを含む)、階層型クラスタリング、非階層型クラスタリング、k近傍法、k平均
法等のクラスタリング型、主成分分析、因子分析、ロジスティク回帰等の多変量解析、サポートベクターマシン等が挙げられる。また、機械学習部305A、305Bによる機械学習アルゴリズムは、教師あり学習に代えて、強化学習を採用するようにしてもよい。
【0127】
(機械学習プログラム及び情報処理プログラム)
本発明は、情報処理装置3A~3Cが備える各部としてコンピュータ900を機能させるためのプログラム(情報処理プログラム)や、上記実施形態に係る情報処理方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラム(情報処理プログラム)の態様で提供することもできる。また、また、本発明は、機械学習装置5A、5Bが備える各部としてコンピュータ900を機能させるプログラム(機械学習プログラム)や、機械
学習方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラム(機械学習プログラム)の態様で提供することもできる。
【符号の説明】
【0128】
1…基板処理システム、2…基板処理装置、3A~3C…情報処理装置、
4…ネットワーク、5A、5B…機械学習装置、
10…装置設定情報、11…基板レシピ情報、12…搬送時間情報、
13、13A、13B…基板処理スケジュール、14…評価指標、
15A、15B…学習用データ、16A、16B…学習モデル
20…ハウジング、21…ロード/アンロード部、
22…研磨部、22A、22B…研磨ユニット、
23…仕上げ部、23A~23C…仕上げユニット、23D…ウェハステーション、
24…基板搬送部、25…制御ユニット、
30…制御部、31…通信部、32、32A、32B…記憶部、
33…入力部、34…出力部、
210A、210B…フロントロード部、211…搬出ロボット(搬送ユニット)
220…研磨テーブル、221…トップリング、222…研磨流体供給部、
223…ドレッサ、224…アトマイザ、
230…基板洗浄部、231…基板保持部、232…洗浄流体供給部、
233…洗浄具洗浄部、235…乾燥流体供給部、
240…研磨処理用トランスポータ(搬送ユニット)、
241…仕上げ処理用トランスポータ(搬送ユニット)、
250…制御部、251…通信部、252…入力部、253…出力部、254…記憶部、300…情報取得部、301…スケジュール作成部、
301A…処理時間算出部、301B…数理最適化部、301C…スケジュール推論部、302…スケジュール評価部、303…出力処理部、
304A、304B…学習用データ取得部、305A、305B…機械学習部、
306…評価指標推論部、
PS…基板搬入位置、PE…基板搬出位置、PP1、PP2…研磨位置、
PC1…第1の仕上げ位置、PC2…第2の仕上げ位置、PC3…第3の仕上げ位置、
PT1…第2の搬送位置、PT2…第2の搬送位置、
PD1…第1の基板受け渡し位置、PD2…第2の基板受け渡し位置、
TP…研磨時間、TC1~TC3…仕上げ時間、TT1~TT7…搬送時間、
TF…最終処理終了時間、TW、TW1~TW4…研磨後仕上げ開始時間