(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002801
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/175 20160101AFI20231228BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20231228BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20231228BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20231228BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20231228BHJP
A61K 31/197 20060101ALI20231228BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231228BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20231228BHJP
A61K 31/525 20060101ALI20231228BHJP
A61K 31/205 20060101ALI20231228BHJP
A61K 36/9068 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A23L33/175
A23L33/15
A23L33/105
A23L5/00 K
A61P9/12
A61K31/197
A61P43/00 121
A61K31/352
A61K31/525
A61K31/205
A61K36/9068
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102222
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】大河内 公一
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD07
4B018MD08
4B018MD18
4B018MD19
4B018MD61
4B018ME04
4B018MF01
4B035LC06
4B035LG04
4B035LG14
4B035LG16
4B035LG32
4B035LP22
4C086AA01
4C086AA02
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4C086ZA42
4C086ZC75
4C088AB81
4C088AC11
4C088BA08
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4C088NA05
4C088ZA42
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA59
4C206GA05
4C206GA36
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA05
4C206ZA42
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、γ-アミノ酪酸を含み、優れた血圧降下作用を有する経口組成物を提供することである。
【解決手段】経口組成物において、γ-アミノ酪酸と、ポリメトキシフラボンと、ビタミンB類とを組み合わせて含有させることとにより、これらの成分の相乗効果によって、γ-アミノ酪酸が有する血圧降下作用が飛躍的に向上する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
γ-アミノ酪酸、ポリメトキシフラボン、及びビタミンB類を含有する、経口組成物。
【請求項2】
前記ポリメトキシフラボンとして、ポリメトキシフラボンを含有するブラックジンジャー抽出物を含む、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
前記ビタミンB類が、パントテン酸、パントテン酸の塩、及びビタミンB2よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の経口組成物。
【請求項4】
更に、カルニチン及び/又はその塩を含有する、請求項1又は2に記載の経口組成物。
【請求項5】
血圧降下用の経口組成物である、請求項1又は2に記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γ-アミノ酪酸を含み、優れた血圧降下作用を有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高血圧症は、代表的な生活習慣病の一つであり、心臓病、脳卒中、動脈硬化等の重篤な症状を引き起こす危険因子である。また、日本人では、若年から中年の男性を中心に、肥満(特に、内臓肥満)を伴う高血圧症の者が増加している。このような肥満を伴う高血圧症は、メタボリックシンドロームに進行し易いため、早期の対策が必要になる。
【0003】
高血圧の予防又は改善には、塩分の摂取制限による食事療法が有効であるが、かかる食事療法では、長期間継続しなければ効果発現が認められ難く、長期的な塩分の摂取制限にはストレスを伴うことがあるという欠点がある。そこで、血圧降下作用を有する成分を有する経口組成物の摂取によって、高血圧の予防又は改善を図ることが注目されている。
【0004】
従来、γ-アミノ酪酸には血圧降下作用があることが報告されており、γ-アミノ酪酸を含む経口組成物が、高血圧の予防又は改善用途に使用されている。また、従来、γ-アミノ酪酸の血圧降下作用を向上させた経口組成物についても検討されている。例えば、特許文献1には、γ-アミノ酪酸を含むアスパラガス抽出組成物は、γ-アミノ酪酸単独の場合に比べて、優れた血圧降下作用を有することが記載されている。また、特許文献2には、γ-アミノ酪酸とテアニンを5.5:4.5乃至3:7の重量比で併用することによって、血圧降下作用を相乗的に向上させ得ることが記載されている。
【0005】
経口組成物の機能性に対する要求特性は年々高まっており、血圧降下作用の更なる向上、製剤処方の多様化等に対応するために、γ-アミノ酪酸を含み、優れた血圧降下作用を有する経口組成物の新たな処方の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-8904号公報
【特許文献2】特開2007-8866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、γ-アミノ酪酸を含み、優れた血圧降下作用を有する経口組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
γ-アミノ酪酸は、副交感神経を優位にすることにより血圧降下作用を示すことが知られている。一方、ポリメトキシフラボンには、交感神経を優位にすることにより脂肪を燃焼させる作用が知られているが、それ自体は血圧降下作用を有していない。つまり、γ-アミノ酪酸とポリメトキシフラボンでは、自律神経に対して相反する作用を示すため、従来の知見からは、γ-アミノ酪酸とポリメトキシフラボンを併用すると、γ-アミノ酪酸による血圧降下作用を低下させることが懸念される。
【0009】
これに対して、本発明者は、経口組成物において、γ-アミノ酪酸と、ポリメトキシフラボンと、ビタミンB類とを組み合わせて含有させることにより、これらの成分の相乗効果によって、γ-アミノ酪酸が有する血圧降下作用が飛躍的に向上することを見出した。γ-アミノ酪酸とポリメトキシフラボンでは自律神経に対して相反する作用があることを踏まえると、前記3種の成分を併用することにより、γ-アミノ酪酸が有する血圧降下作用が飛躍的に向上することは、極めて意外な知見である。
【0010】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. γ-アミノ酪酸、ポリメトキシフラボン、及びビタミンB類を含有する、経口組成物。
項2. 前記ポリメトキシフラボンとして、ポリメトキシフラボンを含有するブラックジンジャー抽出物を含む、項1に記載の経口組成物。
項3. 前記ビタミンB類が、パントテン酸、パントテン酸の塩、及びビタミンB2よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の経口組成物。
項4. 更に、カルニチン及び/又はその塩を含有する、項1~3のいずれかに記載の経口組成物。
項5. 血圧降下用の経口組成物である、項1~4のいずれかに記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の経口組成物では、γ-アミノ酪酸と、ポリメトキシフラボンと、ビタミンB類とを併用することにより、これらの相乗効果によって、格段に優れた血圧降下作用を備えさせることができる。また、ポリメトキシフラボンには、交感神経を優位にすることにより脂肪を燃焼させる作用があることが知られているので、本発明の経口組成物では、優れた血圧降下作用と共に、脂肪を燃焼させる作用も期待できるので、高血圧と肥満の双方に対する予防又は改善が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】試験例1において、高血圧症を自然発症するモデルラットを使用して、検体投後の血圧変化値(ΔmmHg)を経時的に測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の経口組成物は、γ-アミノ酪酸、ポリメトキシフラボン、及びビタミンB類を含むことを特徴とする。以下、本発明の経口組成物について詳述する。
【0014】
[(A)γ-アミノ酪酸]
本発明の経口組成物は、γ-アミノ酪酸を含有する。γ-アミノ酪酸は、副交感神経を優位にすることにより血圧降下作用を発揮することが知られている成分である。
【0015】
本発明で使用されるγ-アミノ酪酸は、γ-アミノ酪酸を含む植物からの抽出、微生物醗酵、酵素合成、化学合成等のいずれの製造方法で得られたものであってもよい。
【0016】
また、本発明で使用されるγ-アミノ酪酸は、精製された状態のものであってもよく、また、γ-アミノ酪酸を含む植物抽出物、γ-アミノ酪酸が産生された発酵物及びその抽出物等の状態のものであってもよい。
【0017】
本発明の経口組成物におけるγ-アミノ酪酸の含有量については、経口組成物の形態、1日当たりの摂取・投与量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1~50重量%、好ましくは2~30重量%、より好ましくは2~10重量%が挙げられる。
【0018】
[ポリメトキシフラボン]
本発明の経口組成物は、ポリメトキシフラボンを含有する。ポリメトキシフラボンとは、2個以上のメトキシ基を含むフラボンである。
【0019】
本発明で使用されるポリメトキシフラボンにおけるメトキシ基の数については、特に制限されないが、例えば、2~7個、好ましくは2~5個が挙げられる。
【0020】
本発明で使用されるポリメトキシフラボンの種類については、特に制限されないが、例えば、5,7-ジメトキシフラボン、3,5,7-トリメトキシフラボン、5,7,4’-トリメトキシフラボン、3,5,7,4’-テトラメトキシフラボン、5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボン、5,6,7,8,4'-ペンタメトキシフラボン、5,6,7,3',4'-ペンタメトキシフラボン、5,6,7,8,3',4'-ヘキサメトキシフラボン、3,5,6,7,3',4'-ヘキサメトキシフラボン、3,5,6,7,8,3',4'-ヘプタメトキシフラボン等が挙げられる。これらのポリメトキシフラボンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
ポリメトキシフラボンの由来については、特に制限されないが、好適な一例として、ブラックジンジャー由来のポリメトキシフラボンが挙げられる。ブラックジンジャー由来のポリメトキシフラボンとしては、具体的には、5,7-ジメトキシフラボン、3,5,7-トリメトキシフラボン、5,7,4’-トリメトキシフラボン、3,5,7,4’-テトラメトキシフラボン、5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、及び3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボンが挙げられる。
【0022】
本発明で使用されるポリメトキシフラボンは、精製された状態のものであってもよく、また、ポリメトキシフラボンを含む植物抽出物の状態のものであってもよい。ポリメトキシフラボンを含む植物抽出物の好適な一例として、ブラックジンジャー抽出物が挙げられる。
【0023】
ブラックジンジャーとは、別名は黒ショウガ、学名はケンペリア・パルウィフローラ(Kaempferia parviflora)であり、ショウガ科(Zingiberaceae)バンウコン属(Kaempferia)に属する植物である。抽出原料として使用されるブラックジンジャーの部位としては、例えば、花、蕾、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、根、根茎等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、根茎が挙げられる。これらの原料部位は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの抽出原料は、必要に応じて、粉砕、切断、蒸熱、揉捻、乾燥、焙煎等の前処理に供されていてもよい。
【0024】
ポリメトキシフラボンを含むブラックジンジャー抽出物を得るための抽出処理は、通常の植物エキスの製造に使用される一般的な抽出手法であればよい。また、抽出原料として使用されるブラックジンジャーの部位は、生の状態であってもよいが、必要に応じて、粉砕、切断、蒸熱、揉捻、乾燥、焙煎等の前処理に供されていてもよい。
【0025】
抽出処理は、溶媒抽出処理、超臨界抽出処理、水蒸気蒸留処理等によって行うことができる。これらの中でも、好ましくは溶媒抽出処理が挙げられる。
【0026】
溶媒抽出処理に使用される抽出溶媒は、ポリメトキシフラボンを抽出可能なものを適宜選択すればよいが、例えば、水;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の炭素数1~4の低級1価アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;これらの混合溶媒等が挙げられる。これらの抽出溶媒の中でも、好ましくは、水、低級1価アルコール、及びこれらの混合溶媒、より好ましくは水、エタノール、及びこれらの混合溶媒、更に好ましくは水とエタノールの混合溶媒が挙げられる。抽出溶媒として、水と低級1価アルコールの混合溶媒を使用する場合、水と低級1価アルコールとの比率については、特に制限されないが、水:低級1価アルコールの重量比が、1:99~90:10、好ましくは5:95~70:30、より好ましくは5:95~60:40、更に好ましくは5:95~50:50が挙げられる。
【0027】
溶媒抽出処理は、抽出溶媒中にブラックジンジャーの原料部位を浸漬又は還流させて行えばよい。抽出処理後に固液分離により固形物を除去することにより、植物の抽出液が得られる。得られたブラックジンジャーの抽出液は、そのままブラックジンジャー抽出物として使用してもよいが、必要に応じて、一部又は全ての溶媒を除去して濃縮物又は乾燥物として使用してもよい。
【0028】
本発明の経口組成物におけるポリメトキシフラボンの含有量については、経口組成物の形態、1日当たりの摂取・投与量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.5~60重量%、好ましくは1~30重量%、より好ましくは1~20重量%が挙げられる。なお、本明細書におけるポリメトキシフラボンの含有量に関する記載は、ポリメトキシフラボンを含む植物抽出物を使用する場合は、当該植物抽出物に含まれるポリメトキシフラボン量に換算した値である。
【0029】
本発明の経口組成物において、γ-アミノ酪酸とポリメトキシフラボンとの比率としては、例えば、γ-アミノ酪酸100重量部当たり、ポリメトキシフラボンが0.1~10000重量部、好ましくは1~1000重量部、より好ましくは10~350重量部、更に好ましくは40~80重量部が挙げられる。
【0030】
[ビタミンB類]
本発明の経口組成物は、ビタミンB類を含有する。本発明で使用されるビタミンB類の種類については、特に制限されないが、例えば、パントテン酸、ビタミンB2(リボフラビン、リボフラビン酢酸エステル等)、チアミン、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、アデノシルコバラミン、メチルコバラミン、スルフィトコバラミン、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミンナイアシン、葉酸、ビオチン、ニコチン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。これらのビタミンB類は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
これらのビタミンB類の中でも、より一層効果的に血圧降下作用を向上させるという観点から、好ましくは、パントテン酸、パントテン酸の塩、及びビタミンB2の少なくとも1種、より好ましくは、パントテン酸及び/又はその塩とビタミンB2との組み合わせが挙げられる。
【0032】
ビタミンB類として、パントテン酸及び/又はその塩とビタミンB2とを組み合わせて使用する場合、これらの比率としては、例えば、パントテン酸及び/又はその塩の総量100重量部当たり、ビタミンB2が総量で0.1~10000重量部、好ましくは1~1000重量部、より好ましくは10~200重量部、更に好ましくは20~80重量部が挙げられる。
【0033】
本発明の経口組成物におけるビタミンB類の含有量については、経口組成物の形態、1日当たりの摂取・投与量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、2~80重量%、好ましくは3~50重量%、より好ましくは5~30重量%が挙げられる。
【0034】
本発明の経口組成物において、γ-アミノ酪酸とビタミンB類との比率としては、例えば、γ-アミノ酪酸100重量部当たり、ビタミンB類が1~10000重量部、より好ましくは10~1000重量部、更に好ましくは100~400重量部が挙げられる。
【0035】
[カルニチン及び/又はその塩]
本発明の経口組成物には、前述する成分に加えて、カルニチン及び/又はその塩を含んでいてもよい。カルニチンとは、リジンとメチオニンから合成されるビタミン様物質である。
【0036】
本発明では、カルニチンとして、L-カルニチン、D-カルニチン、レボカルニチン、及びDL-カルニチンのいずれを使用してもよいが、好ましくはL-カルニチン、DL-カルニチン、より好ましくはL-カルニチンが挙げられる。
【0037】
カルニチンの塩としては、可食性のものであることを限度として特に制限されないが、例えば、塩化物塩;ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩等の金属塩;アンモニウム塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩等の有機酸塩;塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩等が挙げられる。
【0038】
本発明の経口組成物にカルニチン及び/又はその塩を含有させる場合、その含有量については、経口組成物の形態、1日当たりの摂取・投与量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、2~80重量%、好ましくは4~60重量%、より好ましくは8~40重量%が挙げられる。
【0039】
本発明の経口組成物にカルニチン及び/又はその塩を含有させる場合、γ-アミノ酪酸とカルニチン及び/又はその塩との比率としては、例えば、γ-アミノ酪酸100重量部当たり、カルニチン及び/又はその塩が総量で1~100000重量部、より好ましくは10~10000重量部、更に好ましくは100~1000重量部が挙げられる。
【0040】
[その他の成分]
本発明の経口組成物は、前述する成分に加えて、他の栄養成分や薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分や薬理成分としては、食品や内服用医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミン(ビタミンB類以外)、アミノ酸、ミネラル、糖質、脂肪酸、香料、調味剤、植物エキス、抗酸化剤、血糖降下剤、抗コレステロール剤、免疫賦活剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する添分の種類や経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
【0041】
更に、本発明の経口組成物は、所望の製剤形態に調製するために、必要に応じて前述する成分の他に、基剤や添加剤等が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤としては、食品や内服用医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、増粘剤、低級アルコール、固形油、高級アルコール、水溶性高分子、界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、水等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの基剤や添加剤の含有量については、使用する成分の種類や経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
【0042】
[剤型・製剤形態]
本発明の経口組成物の剤型については、経口摂取又は経口投与が可能であることを限度として特に制限されず、固体状、半固体状、又は液体状のいずれであってもよく、経口組成物の種類や用途に応じて適宜設定すればよい。
【0043】
本発明の経口組成物の製剤形態については、経口摂取又は経口投与が可能であることを限度として特に制限されないが、具体的には、飲食品及び内服用医薬品が挙げられる。
【0044】
本発明の経口組成物を飲食品の製剤形態にする場合、前述する成分を、そのまま又は他の食品素材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような飲食品としては、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性表示食品、病者用食品等が挙げられる。これらの飲食品の形態として、特に制限されないが、具体的には、カプセル剤(ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤)、錠剤(コーティング錠を含む)、顆粒剤、散剤、ゼリー剤等のサプリメント;栄養ドリンク、果汁飲料、炭酸飲料、乳酸飲料等の飲料;団子、アイス、シャーベット、グミ、キャンディー等の嗜好品等が例示される。これらの飲食品の中でも、好ましくはサプリメント、より好ましくは錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤が挙げられる。
【0045】
本発明の経口組成物を内服用医薬品の製剤形態にする場合、前述する成分を、そのまま又は他の添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような内服用医薬品としては、具体的には、カプセル剤(ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤)、錠剤(コーティング錠を含む)、顆粒剤、散剤、ゼリー剤、シロップ剤、液剤等が挙げられる。これらの内服用医薬品の中でも、好ましくは、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤が挙げられる。
【0046】
[用途]
本発明の経口組成物の用途については、特に制限されないが、γ-アミノ酪酸の血圧降下作用を増強して発揮できるので、血圧降下用の経口組成物として好適に使用できる。本明細書において、血圧降下用の経口組成物とは、対象者の血圧を降下させる目的、又は対象者における血圧上昇を抑制する目的で使用される経口組成物を指す。また、高血圧は、高血圧症、メタボリックシンドローム、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞等の疾患又は症状の危険因子になっているので、本発明の経口組成物は、これらの疾患又は症状の予防又は改善目的で使用することができる。
【0047】
また、本発明の経口組成物に含まれるポリメトキシフラボンには、交感神経を優位にすることにより脂肪を燃焼させる作用があり、本発明の経口組成物は、血圧降下作用と共に脂肪燃焼作用も発揮し得るので、肥満の予防又は改善、内臓脂肪又は体脂肪の低減、メタボリックシンドロームの予防又は改善等の目的で使用することもできる。
【0048】
[摂取又は服用量]
本発明の経口組成物の摂取又は服用量については、特に限定されず、製剤形態、用途等に応じて適宜設定されるが、例えば、成人の場合、1日当たりのγ-アミノ酪酸の摂取又は服用量が、5~50mg程度、好ましくは10~30mg程度となるように設定すればよい。
【実施例0049】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
試験例1:血圧降下作用の評価
1.試験材料及び方法
(1)実験動物
高血圧症を自然発症するモデルラット(SHR/Izm、雄、13週齢;日本エスエルシー株式会社)を使用した。
【0051】
(2)飼育条件
温度18~28度、湿度30~80%RH、照明時間12時間/日(7~19時)の環境下で、1ケージに1匹を収容して飼育した。
【0052】
(3)飼料及び飲料
固形飼料MF(オリエンタル酵母工業株式会社)をケージ蓋の給餌部に入れて自由に摂取させた。また、オートクレーブ滅菌済みの給水瓶に水道水を充填し、ノズルより自由摂取させた。
(4)検体
表1に示す検体を調製した。
【表1】
【0053】
(5)被験体の投与及び血圧測定
馴化期間中の一般状態に異常を認めなかったラットについて、血圧測定を実施し、各群の平均血圧と体重の測定値が均等になるように、対照群、比較例1の検体投与群、及び実施例1の検体投与群の3群(1群6匹)に分けた。対照群には、生理食塩水を経口投与した。比較例1の検体投与群のラットには、比較例1の検体0.5mgを生理食塩水5mLに溶解させた溶液を、検体投与量が0.5mg/kg体重(γ-アミノ酪酸の投与量が0.5mg/kg体重)となるように経口投与した。実施例1の検体投与群のラットには、実施例1の検体6.9mgを生理食塩水5mLに溶解させた溶液を、検体投与量が6.9mg/kg体重(γ-アミノ酪酸の投与量が0.5mg/kg体重)となるように経口投与した。
【0054】
検体投与直前、検体投与後4、8及び24時間後に、非観血式血圧計を用いて血圧測定を行った。検体投与後の各時点での血圧値から検体投与直前の血圧値を差し引いた値を血圧変化値(ΔmmHg)として求めた。
【0055】
(6)統計解析
血圧変化値は平均±標準誤差(平均値±標準偏差)で表記した。血圧変化値についてそれぞれ多群間比較を行った。血圧変化値について等分散の測定(Bartlett検定、両側)を行った結果、検体投与後4及び24時間の時点では等分散であったため、Dunnett検定を実施し、検体投与後8時間の時点では不等分散であったため、Steel-Dwass検定及びSteel検定(両側)を行った。いずれの場合も有意水準を5%とした。
【0056】
2.試験結果
結果を表2及び
図1に示す。γ-アミノ酪酸を単独で含む検体(比較例1)を投与した群は、投与から8時間後に僅かな血圧降下が認められるに止まっていた。これに対して、γ-アミノ酪酸とポリメトキシフラボンを含む検体(実施例1)を投与した群は、投与から4時間後には血圧降下が認められ、8時間後には対照群に比べて有意な血圧降下が認められた。
【表2】
【0057】
また、実施例1の検体から、L-カルニチンを除外した検体についても、前記と同様に試験(γ-アミノ酪酸の投与量が0.5mg/kg体重となるように設定)したところ、実施例1の検体投与群と同様に、優れた血圧降下効果が認められた。一方、実施例1の検体から、パントテン酸カルシウム、リボフラビン、及びL-カルニチンを除外した検体についても、前記と同様に試験(γ-アミノ酪酸の投与量が0.5mg/kg体重となるように設定)したところ、血圧変化値の経時変化は対照群と略同じであった。また、実施例1の検体から、パントテン酸カルシウム及びリボフラビンを除外した検体についても、前記と同様に試験(γ-アミノ酪酸の投与量が0.5mg/kg体重となるように設定)したところ、血圧変化値の経時変化は対照群と略同じであった。更に、ブラックジンジャー抽出物を単独で3.7mg/kg体重となるように投与して前記と同様に試験したところ、血圧変化値の経時変化は対照群と略同じであった。また、パントテン酸カルシウム0.7mg/kg体重とリボフラビン0.3mg/kg体重を同時投与して前記と同様に試験したところ、血圧変化値の経時変化は対照群と略同じであった。
【0058】
以上の結果から、γ-アミノ酪酸とポリメトキシフラボンとビタミンB類を組み合わせて使用することにより、これらの相乗効果によって、γ-アミノ酪酸の血圧降下作用が飛躍的に向上することが明らかとなった。
【0059】
処方例
表3に示した経口組成物(錠剤)を調製し、錠剤を粉砕し試験例1と同様の方法で、血圧降下作用を評価したところ、処方例1~5のいずれの経口組成物においても、血圧降下効果が認められた。
【0060】