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特開2024-28115リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法およびこれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028115
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20240222BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240222BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240222BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/36 C
H01M4/36 D
H01M4/505
C01G53/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089044
(22)【出願日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】10-2022-0104216
(32)【優先日】2022-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】張 錠洙
(72)【発明者】
【氏名】張 東圭
(72)【発明者】
【氏名】金 眞永
(72)【発明者】
【氏名】沈 載賀
(72)【発明者】
【氏名】姜 泰根
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AB02
4G048AB05
4G048AC06
4G048AD03
4G048AE05
5H050AA07
5H050AA08
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA02
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA27
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高容量を実現し、初期充放電効率、寿命特性および安全性が向上したリチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、該活物質を含むリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】複数の1次粒子が凝集された2次粒子および2次粒子の表面に位置するコバルトコーティング部を含む第1正極活物質;およびリチウムニッケル系複合酸化物を含み、単粒子および単粒子の表面に位置するコバルトコーティング部を含む第2正極活物質を含むリチウム二次電池用正極活物質であって、第2正極活物質の単粒子の表面には、ニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量が30at%以上である高濃度コーティング領域と25at%以下である低濃度コーティング領域が存在し、高濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量と、低濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量の差は20at%~50at%である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムニッケル系複合酸化物を含み、複数の1次粒子が凝集された2次粒子および前記2次粒子の表面に位置するコバルトコーティング部を含む第1正極活物質、および
リチウムニッケル系複合酸化物を含み、単粒子および前記単粒子の表面に位置するコバルトコーティング部を含む第2正極活物質を含むリチウム二次電池用正極活物質であって、
第2正極活物質の前記単粒子の表面には、ニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量が30at%以上である高濃度コーティング領域と25at%以下である低濃度コーティング領域が存在し、
前記高濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量と、低濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量の差は20at%~50at%であるリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項2】
第2正極活物質の前記単粒子内部でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量は0at%~15at%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項3】
第2正極活物質の前記単粒子表面でのニッケルとコバルト総量に対するコバルト含量の平均値は20at%~60at%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項4】
第2正極活物質において前記単粒子表面でのニッケルとコバルト総量に対するコバルト含量の平均値と、前記単粒子内部でのニッケルとコバルト総量に対するコバルト含量の差は10at%~60at%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項5】
第2正極活物質の前記リチウムニッケル系複合酸化物は、下記化学式11で表されるものである、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質:
[化学式11]
Lia11Nix11Coy1111 1-x11-y11
上記化学式11中、0.9≦a11≦1.8、0.6≦x11≦1、および0≦y11≦0.15であり、M11はAl、B、Ba、Ca、Ce、Cr、Cu、F、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、P、S、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなる群より選択される一つ以上の元素である。
【請求項6】
前記化学式11中、0.9≦x11≦1、および0≦y11≦0.1である、請求項5に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項7】
第1正極活物質の平均粒径は7μm~25μmであり、
第2正極活物質の平均粒径は1μm~7μmである、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項8】
第1正極活物質と第2正極活物質の総量に対して、第1正極活物質は50重量%~90重量%含まれ、第2正極活物質は10重量%~50重量%含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項9】
第1正極活物質の前記リチウムニッケル系複合酸化物は下記化学式1で表されるものである、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質:
[化学式1]
Lia1Nix1 y1 1-x1-y1
上記化学式1中、0.9≦a1≦1.8、0.3≦x1≦1、0≦y1≦0.7であり、MおよびMはそれぞれ独立してAl、B、Ba、Ca、Ce、Co、Cr、Cu、F、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、P、S、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなる群より選択される一つ以上の元素である。
【請求項10】
第1ニッケル系水酸化物およびリチウム原料を混合し第1熱処理して複数の1次粒子が凝集された2次粒子形態の第1ニッケル系酸化物を準備し;
第2ニッケル系水酸化物およびリチウム原料を混合し第2熱処理して単粒子形態の第2ニッケル系酸化物を準備し;
前記第1ニッケル系酸化物、前記第2ニッケル系酸化物、およびコバルト原料を混合し第3熱処理して、
請求項1~9のうちのいずれか一項によるリチウム二次電池用正極活物質を得ることを含むリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項11】
第1ニッケル系水酸化物は下記化学式21で表され、
第2ニッケル系水酸化物は下記化学式31で表されるものである、請求項10に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法:
[化学式21]
Nix2121 y2122 1-x21-y21(OH)
上記化学式21中、0.3≦x21≦1、0≦y21≦0.7であり、M21およびM22はそれぞれ独立してAl、B、Ba、Ca、Ce、Co、Cr、Cu、F、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、P、S、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなる群より選択される一つ以上の元素であり、
[化学式31]
Nix31Coy3131 1-x31-y31(OH)
上記化学式31中、0.6≦x31≦1、および0≦y31≦0.15であり、M31はAl、B、Ba、Ca、Ce、Cr、Cu、F、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、P、S、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなる群より選択される一つ以上の元素である。
【請求項12】
第1熱処理は、600℃~900℃の温度範囲で5時間~20時間行われる、請求項10に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項13】
第2熱処理は、800℃~1100℃の温度範囲で5時間~20時間行われる、請求項10に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項14】
第2ニッケル系酸化物を準備することは、第2ニッケル系水酸化物およびリチウム原料を混合し第2熱処理して得られた収得物を粉砕することによって単粒子形態の第2ニッケル系酸化物を得ることである、請求項10に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項15】
第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物を混合することは、第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物の重量比が9:1~5:5になるように混合することである、請求項10に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項16】
第1ニッケル系酸化物、第2ニッケル系酸化物、およびコバルト化合物を混合することは、第1ニッケル系酸化物および第2ニッケル系酸化物においてリチウムを除いた金属の総含量を100モル部とする時、コバルト化合物に含まれるコバルトが0.01モル部~7モル部になるように混合することである、請求項10に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項17】
第1ニッケル系酸化物、第2ニッケル系酸化物、およびコバルト化合物を混合する時、リチウム原料を共に混合する、請求項10に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項18】
前記リチウム原料は、前記コバルト化合物1モル部に対して1モル部~4モル部で混合される、請求項17に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項19】
第3熱処理は、650℃~900℃の温度範囲で5時間~30時間行われる、請求項10に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項20】
請求項1~9のうちのいずれか一項による正極活物質を含む正極、負極および電解質を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法およびこれを含むリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ノートパソコン、スマートフォンなどの移動情報端末器の駆動電源として高いエネルギー密度を有しながらも携帯が容易なリチウム二次電池が主に使用されている。最近はエネルギー密度の高いリチウム二次電池をハイブリッド自動車や電気自動車の駆動用電源または電力貯蔵用電源として使用するための研究が活発に行われている。
【0003】
このような用途に符合するリチウム二次電池を実現するために多様な正極活物質が検討されている。そのうち、リチウムニッケル系酸化物、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物、リチウムコバルト酸化物などが主に正極活物質として使用される。しかし、このような正極活物質は充放電を繰り返すにつれて構造が崩壊するかクラックが発生して、リチウム二次電池の長期寿命が低下し抵抗が増加して満足な容量特性を示すことができない問題がある。よって、高容量、高エネルギー密度を実現しながらも長期寿命特性を確保することができる新たな正極活物質の開発が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高い容量を実現しながら初期充放電効率、寿命特性および安全性が向上したリチウム二次電池用正極活物質とその製造方法およびこれを含むリチウム二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、リチウムニッケル系複合酸化物を含み、複数の1次粒子が凝集された2次粒子および前記2次粒子の表面に位置するコバルトコーティング部を含む第1正極活物質;およびリチウムニッケル系複合酸化物を含み、単粒子および前記単粒子の表面に位置するコバルトコーティング部を含む第2正極活物質を含むリチウム二次電池用正極活物質であって、第2正極活物質の前記単粒子の表面には、ニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量が30at%以上である高濃度コーティング領域と25at%以下である低濃度コーティング領域が存在し、前記高濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量と、低濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量の差は20at%~50at%であるリチウム二次電池用正極活物質を提供する。
【0006】
他の一実施形態では、第1ニッケル系水酸化物およびリチウム原料を混合し第1熱処理して複数の1次粒子が凝集された2次粒子形態の第1ニッケル系酸化物を準備し;第2ニッケル系水酸化物およびリチウム原料を混合し第2熱処理して単粒子形態の第2ニッケル系酸化物を準備し;前記第1ニッケル系酸化物、前記第2ニッケル系酸化物、およびコバルト原料を混合し第3熱処理して、前述のリチウム二次電池用正極活物質を得ることを含むリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供する。
【0007】
また他の一実施形態では、前記正極活物質を含む正極と負極および電解質を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態によって製造されたリチウム二次電池用正極活物質とこれを含むリチウム二次電池は高容量および高エネルギー密度を実現しながら優れた充放電効率と寿命特性および安全性を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態によるリチウム二次電池を示した概略図である。
図2】実施例1の第2正極活物質に対する走査電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光分析(SEM-EDS)イメージである。
図3】実施例1の第2正極活物質に対する走査電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光分析(SEM-EDS)イメージである。
図4】実施例1の第2正極活物質に対する走査電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光分析(SEM-EDS)イメージである。
図5】比較例1の第2正極活物質に対するSEM-EDS分析イメージである。
図6】比較例1の第2正極活物質に対するSEM-EDS分析イメージである。
図7】比較例1の第2正極活物質に対するSEM-EDS分析イメージである。
図8】実施例1の第2正極活物質の破断面に対するSEM-EDS分析イメージである。
図9】実施例1の第2正極活物質の破断面に対するSEM-EDS分析イメージである。
図10】実施例1の第2正極活物質の破断面に対するSEM-EDS分析イメージである。
図11】比較例1の第2正極活物質の破断面に対するSEM-EDS分析イメージである。
図12】比較例1の第2正極活物質の破断面に対するSEM-EDS分析イメージである。
図13】比較例1の第2正極活物質の破断面に対するSEM-EDS分析イメージである。
図14】実施例1の第2正極活物質に対するSEM-EDSイメージである。
図15】実施例1の第2正極活物質に対するSEM-EDSイメージである。
図16】比較例1の第2正極活物質に対するSEM-EDSイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施形態についてこの技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0011】
ここで使用される用語は単に例示的な実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0012】
ここで“これらの組み合わせ”とは、構成物の混合物、積層物、複合体、共重合体、合金、ブレンド、反応生成物などを意味する。
【0013】
ここで“含む”、“備える”または“有する”などの用語は実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするのであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。
【0014】
図面で様々の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、明細書全体にわたって類似の部分については同一図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分“の上に”または“上に”あるという時、これは他の部分“の直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分“の直上に”あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。
【0015】
また、ここで“層”は、平面図で観察した時、全体面に形成されている形状だけでなく、一部面に形成されている形状も含む。
【0016】
また、平均粒径は当業者に広く公知された方法で測定することができ、例えば、粒度分析器で測定するか、または透過電子顕微鏡写真または走査電子顕微鏡写真で測定することもできる。他の方法としては、動的光散乱法を用いて測定しデータ分析を実施してそれぞれの粒子サイズ範囲に対して粒子数をカウンティングした後、これから計算して平均粒径値を得ることができる。別途の定義がない限り、平均粒径は粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径(D50)を意味することができる。
【0017】
ここで“または”は排除的な(exclusive)意味に解釈されず、例えば“AまたはB”はA、B、A+Bなどを含むと解釈される。
【0018】
正極活物質
一実施形態では、リチウムニッケル系複合酸化物を含み、複数の1次粒子が凝集された2次粒子および2次粒子の表面に位置するコバルトコーティング部を含む第1正極活物質;およびリチウムニッケル系複合酸化物を含み、単粒子(Single particle)および単粒子の表面に位置するコバルトコーティング部を含む第2正極活物質を含むリチウム二次電池用正極活物質を提供する。ここで、第2正極活物質の単粒子の表面にはニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量が30at%以上である高濃度コーティング領域と25at%以下の低濃度コーティング領域が存在し、高濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量と、低濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量の差は20at%~50at%であることを特徴とする。このような正極活物質は高容量および高エネルギー密度を実現しながら、単粒子形態の第2正極活物質の効率が増加して、全体的に初期充放電効率と寿命特性が向上し電池の安全性が改善できる。
【0019】
第1正極活物質
第1正極活物質は多結晶(polycrystal)形態であって、少なくとも2つ以上の1次粒子が凝集された2次粒子を含む。
【0020】
一実施形態による第1正極活物質は、2次粒子の表面に位置するコバルトコーティング部を含む。コバルトコーティング部は、2次粒子の表面の全体、または少なくとも一部に配置することができる。第1正極活物質はコバルトでコーティングされることによって充放電の繰り返しによる構造の崩壊が効果的に抑制されて常温および高温寿命の特性が向上できる。
【0021】
コバルトコーティング部は、コバルト含有化合物を含む。コバルト含有化合物は例えば、コバルト酸化物、コバルト水酸化物、コバルトカーボネート、これらの合成物またはこれらの混合物などであってもよく、これらはリチウムおよび/またはニッケルなどをさらに含んでもよい。例えば、コバルト含有化合物はリチウムコバルト酸化物などであってもよい。
【0022】
第1正極活物質で、コバルトコーティング部の含量は第1正極活物質全体に対してリチウムを除く金属全体100モル%に対して0.01モル%~7モル%であってもよく、例えば、0.01モル%~6モル%、0.1モル%~5モル%、または0.5モル%~3モル%であってもよく、またリチウムを除く金属全体100原子%に対して0.01原子%~7原子%、0.1原子%~5原子%、または0.5原子%~3原子%であってもよい。この場合、第1正極活物質を含むリチウム二次電池は優れた常温および高温寿命特性を実現することができる。
【0023】
第1正極活物質で、コバルトコーティング部の厚さはコーティング時の焼成温度によって可変的であり、焼成温度によってコバルトが活物質内部に浸透してコーティングおよび/またはドーピングされることもある。これにより、コバルトコーティング部の厚さは例えば、1nm~2μmであってもよく、1nm~1.5μm、1nm~1μm、1nm~900nm、1nm~700nm、1nm~500nm、1nm~300nm、5nm~100nm、または5nm~50nmであってもよい。この場合、第1正極活物質を含むリチウム二次電池は優れた常温および高温寿命特性を示すことができる。ここで、コバルトコーティング部の厚さは、活物質に対する電子顕微鏡写真を通じて測定したものであってもよい。
【0024】
第1正極活物質平均粒径(D50)、即ち、2次粒子の平均粒径は7μm~25μmであってもよい。例えば、9μm~25μm、10μm~25μm、15μm~25μm、または10μm~20μmであってもよい。第1正極活物質の2次粒子の平均粒径は、後述の単粒子の第2正極活物質の平均粒径と同一であるかさらに大きくてもよい。一実施形態による正極活物質は多結晶でありながら大粒子である第1正極活物質と単粒子でありながら小粒子である第2正極活物質を混合した形態であってもよく、これにより合剤密度を向上させることができ、高い容量と高いエネルギー密度を実現することができる。ここで、第1正極活物質の平均粒径は、正極活物質に対する電子顕微鏡写真で2次粒子形態の活物質約30個程度を任意に選択して粒径を測定し、その粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径(D50)を平均粒径として取ったものであってもよい。
【0025】
第1正極活物質はニッケル系正極活物質であって、リチウムニッケル系複合酸化物(または第1ニッケル系酸化物)を含む。リチウムニッケル系複合酸化物においてニッケルの含量は、リチウムと酸素を除いた元素総量を基準にして30モル%以上であってもよく、例えば40モル%以上、50モル%以上、60モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、または90モル%以上であってもよく、99.9モル%以下、または99モル%以下であってもよい。一例として、リチウムニッケル系複合酸化物においてニッケルの含量はコバルト、マンガン、アルミニウムなどの他の元素それぞれの含量に比べてさらに高くてもよい。ニッケルの含量が前記範囲を満足する場合、正極活物質は高い容量を実現しながら優れた電池性能を示すことができる。
【0026】
第1正極活物質は、具体的に下記化学式1で表されるリチウムニッケル系複合酸化物を含むことができる。
【0027】
[化学式1]
Lia1Nix1 y1 1-x1-y1
上記化学式1中、0.9≦a1≦1.8、0.3≦x1≦1、0≦y1≦0.7であり、MおよびMはそれぞれ独立してAl、B、Ba、Ca、Ce、Co、Cr、Cu、F、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、P、S、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなる群より選択される一つ以上の元素である。
【0028】
前記化学式1中、0.4≦x1≦1および0≦y1≦0.6であってもよく、0.5≦x1≦1および0≦y1≦0.5であるか、0.6≦x1≦1および0≦y1≦0.4であるか、0.7≦x1≦1および0≦y1≦0.3であるか、0.8≦x1≦1および0≦y1≦0.2であるか、または0.9≦x1≦1および0≦y1≦0.1であってもよい。
【0029】
第1正極活物質は、例えば、下記化学式2で表されるリチウムニッケル系複合酸化物を含むことができる。
【0030】
[化学式2]
Lia2Nix2Coy2 1-x2-y2
上記化学式2中、0.9≦a2≦1.8、0.3≦x2<1、0<y2≦0.7であり、MはAl、B、Ba、Ca、Ce、Cr、Cu、F、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、P、S、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなる群より選択される一つ以上の元素である。
【0031】
前記化学式2中、0.3≦x2≦0.99および0.01≦y2≦0.7であってもよく、0.4≦x2≦0.99および0.01≦y2≦0.6であるか、0.5≦x2≦0.99および0.01≦y2≦0.5であるか、0.6≦x2≦0.99および0.01≦y2≦0.4であるか、0.7≦x2≦0.99および0.01≦y2≦0.3であるか、0.8≦x2≦0.99および0.01≦y2≦0.2であるか、または0.9≦x2≦0.99および0.01≦y2≦0.1であってもよい。
【0032】
第1正極活物質は、例えば、下記化学式3の化合物を含むことができる。
[化学式3]
Lia3Nix3Coy3 z3 1-x3-y3-z3
上記化学式3中、0.9≦a3≦1.8、0.3≦x3≦0.98、0.01≦y3≦0.69、0.01≦z3≦0.69であり、MはAl、およびMnからなる群より選択される一つ以上の元素であり、MはB、Ba、Ca、Ce、Cr、Cu、F、Fe、Mg、Mo、Nb、P、S、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなる群より選択される一つ以上の元素である。
【0033】
前記化学式3中、0.4≦x3≦0.98、0.01≦y3≦0.59、および0.01≦z3≦0.59であってもよく、0.5≦x3≦0.98、0.01≦y3≦0.49、および0.01≦z3≦0.49であるか、0.6≦x3≦0.98、0.01≦y3≦0.39、および0.01≦z3≦0.39であるか、0.7≦x3≦0.98、0.01≦y3≦0.29、および0.01≦z3≦0.29であるか、0.8≦x3≦0.98、0.01≦y3≦0.19、および0.01≦z3≦0.19であるか、または0.9≦x3≦0.98、0.01≦y3≦0.09、および0.01≦z3≦0.09であってもよい。
【0034】
第2正極活物質
第2正極活物質は単粒子(single particle)形態であって、これは粒子内に粒子境界(grain boundary)を有せず単独で存在し一つの粒子からなるものを意味し、モルフォロジー相に粒子が相互凝集されない独立した相(phase)で存在する単一粒子、モノリス(monolith)構造または単一体構造または非凝集粒子を意味することができ、一例として、単結晶であってもよい。一実施形態による正極活物質はこのような単粒子形態の第2正極活物質を含むことによって高容量、高エネルギー密度を実現しながら向上した寿命特性を示すことができる。
【0035】
第2正極活物質の形状は特に制限されず、多面体、球状、楕円形、プレート形、棒状、無定形など多様な形状を有することができる。一実施形態による単粒子の第2正極活物質は、2つ以上の面を有する多面体構造であってもよい。
【0036】
一実施形態による第2正極活物質は、単粒子表面に位置するコバルトコーティング部を含む。第2正極活物質はコバルトでコーティングされることによって充放電の繰り返しによる構造の崩壊が効果的に抑制されて常温および高温寿命特性が向上できる。
【0037】
コバルトコーティング部はコバルト含有化合物を含む。コバルト含有化合物は例えば、コバルト酸化物、コバルト水酸化物、コバルトカーボネート、これらの合成物またはこれらの混合物などであってもよく、これらはリチウムおよび/またはニッケルなどをさらに含んでもよい。例えば、コバルト含有化合物はリチウムコバルト酸化物などであってもよい。
【0038】
一実施形態では、第2正極活物質の単粒子表面全体にコバルト含有化合物が均等に分布する代わりに、単粒子表面の一部面に高い含量でコーティングされることによって、電池性能の向上と安全性増加を達成した。具体的に、単粒子の表面にはニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量が30at%以上である高濃度コーティング領域と25at%以下である低濃度コーティング領域が存在し、高濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量と低濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量の差は20at%~50at%である。このような第2正極活物質を適用する場合、単粒子表面全体にコバルト含有化合物が均等にコーティングされたものを使用した場合に比べて電池の初期充放電効率と寿命特性が改善できる。
【0039】
高濃度コーティング領域は単粒子表面でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量が30at%以上である領域と定義され、例えば、コバルト含量は30at%~70at%、30at%~60at%、または40at%~70at%であってもよい。このような高濃度コーティング領域は単粒子表面全体面積に対して30%~80%を占め、例えば、30%~70%、または40%~80%を占めることができる。
【0040】
第2正極活物質の単粒子の表面にはニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量が25at%以下である低濃度コーティング領域も存在し、このような低濃度コーティング領域は単粒子表面の全体面積に対して10%以上を占めることができる。
【0041】
低濃度コーティング領域は単粒子表面でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量が25at%以下である領域と定義され、例えば、コバルト含量は0at%~25at%、5at%~25at%、または10at%~20at%であってもよい。このような低濃度コーティング領域は単粒子表面全体面積に対して10%以上を占め、例えば、10%~70%、10%~50%、10%~30%、または10%~20%を占めることができる。このように単粒子表面に高濃度コーティング領域と低濃度コーティング領域がそれぞれ前記面積範囲で存在する場合、コバルト含有化合物が均等にコーティングされた場合、あるいはコバルト含有化合物がコーティングされない場合に比べて初期充放電効率と寿命特性が改善できる。
【0042】
高濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量と、低濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量の差は20at%~50at%であってもよく、例えば20at%~45at%、または25at%~40at%であってもよい。高濃度コーティング領域と低濃度コーティング領域でのコバルト含量差がこのようである場合、単粒子の第2正極活物質の効率が増大できる。
【0043】
一実施形態による第2正極活物質は活物質内部のリチウムニッケル系複合酸化物自体でニッケルとコバルト総量に対するコバルト含量が30at%以上であって高くてその表面でもコバルト含量の高い活物質とは区分され、コバルト含有化合物のコーティングによってコバルト含量が30at%以上である高濃度コーティング領域が一部表面に形成された活物質に該当する。例えば、第2正極活物質の単粒子内部でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量は0at%~10at%であってもよく、例えば、0.1at%~8at%、または0.1at%~6at%であってもよく、また0mol%~10mol%、0.1mol%~8mol%、または0.1mol%~6mol%であってもよい。第2正極活物質表面の高濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量と、第2正極活物質内部でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量の差は約20at%以上、30at%以上、あるいは40at%以上であってもよい。このような第2正極活物質は高容量を実現しながら高い寿命特性を実現することができる。
【0044】
一方、第2正極活物質の単粒子表面でのニッケルとコバルト総量に対するコバルト含量の平均値は20at%~60at%であってもよく、例えば20at%~50at%、または25at%~45at%であってもよい。前記平均値は、高濃度領域と低濃度領域に関係なく単粒子表面の約5~10個部分の濃度を測定してこれらを算術平均した値を意味することができる。
【0045】
第2正極活物質において、単粒子表面でのニッケルとコバルト総量に対するコバルト含量の平均値と、単粒子内部でのニッケルとコバルト総量に対するコバルト含量の差は10at%~60at%であってもよく、例えば20at%~50at%、または25at%~45at%であってもよい。この場合、第2正極活物質は高容量を実現しながら高い効率と寿命特性を示すことができる。
【0046】
一実施形態で、正極活物質の表面でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量を測定する方法は、正極活物質表面に対する走査電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光分析(SEM-EDS)を実施し定量分析を通じてニッケル、コバルトそれぞれの含量を求めた後、その合計に対するコバルト含量の比率を計算して得ることであってもよい。正極活物質内部でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量は、正極活物質の破断面に対するSEM-EDS分析を通じて測定したものであってもよい。コバルト含量を測定する方法としては、SEM-EDS以外にも、誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry;ICP-MS)、あるいは誘導結合プラズマ光放出分光法(Inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectroscopy;ICP-OES)などが使用できる。
【0047】
第2正極活物質は、ニッケル系活物質としてリチウムニッケル系複合酸化物(または第2ニッケル系酸化物)を含む。リチウムニッケル系複合酸化物においてニッケルの含量は、リチウムと酸素を除いた元素総量を基準にして60モル%以上であってもよく、例えば70モル%以上、80モル%以上、または90モル%以上であってもよく、99.9モル%以下、または99モル%以下であってもよい。一例として、リチウムニッケル系複合酸化物においてニッケルの含量はコバルト、マンガン、アルミニウムなどの他の金属それぞれの含量に比べてさらに高くてもよい。ニッケルの含量が前記範囲を満足する場合、正極活物質は高い容量を実現しながら優れた電池性能を示すことができる。
【0048】
第2正極活物質は、例えば、下記化学式11で表されるリチウムニッケル系複合酸化物を含むことができる。
[化学式11]
Lia11Nix11Coy1111 1-x11-y11
上記化学式11中、0.9≦a11≦1.8、0.6≦x11≦1、および0≦y11≦0.1であり、M11はAl、B、Ba、Ca、Ce、Cr、Cu、F、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、P、S、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなる群より選択される一つ以上の元素である。
【0049】
前記化学式11中、Niの含量を示すx11は、例えば、0.7≦x11≦1、0.8≦x11≦1、または0.9≦x11≦1であってもよい。ニッケルの含量が90モル%以上である場合、非常に高い容量を実現することができ、一実施形態によるコバルトコーティング部によって寿命中に構造が崩壊するかクラックが発生するか副反応が起こる問題が抑制できる。
【0050】
第2正極活物質の平均粒径、即ち、単粒子の平均粒径は0.05μm~7μmであってもよく、例えば0.05μm~7μm、0.1μm~6μm、0.5μm~5μm、または0.5μm~7μmであってもよい。第2正極活物質の粒径は第1正極活物質と同一であるかさらに小さくてもよく、これによって正極活物質の密度を一層高めることができる。ここで、第2正極活物質の平均粒径は、正極活物質に対する電子顕微鏡写真で単粒子形態の活物質約30個程度を任意に選択して粒径を測定し、その粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径(D50)を平均粒径として取ったものであってもよい。
【0051】
第1正極活物質と第2正極活物質を含む正極活物質全体のBET比表面積は0.2m/g~0.6m/gであってもよく、例えば0.3m/g~約0.5m/g、0.3m/g~約0.4m/gであってもよい。この場合、正極活物質は優れた充放電効率と寿命特性を実現することができる。BET比表面積は、例えば、MOUNTECH社製の比表面積測定装置のHM model-1208を使用して窒素ガス吸着方法によって測定されたものであってもよい。具体的には、正極活物質試料約0.3gを前処理機で300℃窒素雰囲気中で1時間加熱した後、比表面積測定装置で300℃で15分追加前処理し、液体窒素の温度まで冷却させて窒素30%、He70%のガスで飽和吸着させる。その後、室温まで加熱して脱着したガス量を計測し、得られた結果から通常のBET法によって比表面積を算出することができる。
【0052】
一実施形態による正極活物質で、第1正極活物質と第2正極活物質の総量に対して、第1正極活物質は50重量%~90重量%で含まれ、第2正極活物質は10重量%~50重量%で含まれてもよい。第1正極活物質は例えば60重量%~90重量%、または70重量%~90重量%で含まれてもよく、第2正極活物質は10重量%~40重量%、または10重量%~30重量%で含まれてもよい。第1正極活物質と第2正極活物質の含量比率がこのようである場合、これを含む正極活物質は、高い容量を実現し合剤密度が向上され高いエネルギー密度を示すことができる。
【0053】
正極活物質の製造方法
一実施形態では、第1ニッケル系水酸化物およびリチウム原料を混合し第1熱処理して複数の1次粒子が凝集された2次粒子形態の第1ニッケル系酸化物を準備し、第2ニッケル系水酸化物およびリチウム原料を混合し第2熱処理して単粒子形態の第2ニッケル系酸化物を準備し、第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物、およびコバルト原料を混合し第3熱処理して、前述の第1正極活物質および第2正極活物質を含む最終正極活物質を得ることを含むリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供する。
【0054】
第1正極活物質は第1ニッケル系酸化物の表面にコバルト含有化合物がコーティングされた物質であり、第2正極活物質は第2ニッケル系酸化物の表面にコバルト含有化合物がコーティングされた物質と言える。
【0055】
一実施形態では、第1正極活物質と第2正極活物質をそれぞれ個別にコバルトコーティングを行わず、第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物を混合した状態で同時にコバルトコーティングを行う。これによれば、第2正極活物質である単粒子表面にコバルト含有化合物が均等にコーティングされる代わりに、一部面にのみ高含量でコーティングされて、単粒子の効率が増大してこれを含むリチウム二次電池の初期充放電効率と寿命特性が改善できる。
【0056】
第1ニッケル系水酸化物と第2ニッケル系水酸化物は正極活物質の前駆体であって、それぞれ独立してニッケル水酸化物であるかニッケル以外に他の元素を含むニッケル系複合水酸化物であってもよく、ニッケル以外に他の金属を含むニッケル-金属複合水酸化物であってもよく、ニッケル以外に他の遷移金属を含むニッケル-遷移金属複合水酸化物であってもよい。
【0057】
例えば、第1ニッケル系水酸化物は、下記化学式21で表されるものであってもよい。
[化学式21]
Nix2121 y2122 1-x21-y21(OH)
上記化学式21中、0.3≦x21≦1、0≦y21≦0.7であり、M21およびM22はそれぞれ独立してAl、B、Ba、Ca、Ce、Co、Cr、Cu、F、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、P、S、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなる群より選択される一つ以上の元素である。
【0058】
第2ニッケル系水酸化物は、下記化学式31で表されるものであってもよい。
[化学式31]
Nix31Coy3131 1-x31-y31(OH)
上記化学式31中、0.6≦x31≦1、および0≦y31≦0.1であり、M31はAl、B、Ba、Ca、Ce、Cr、Cu、F、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、P、S、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなる群より選択される一つ以上の元素である。
【0059】
第1ニッケル系水酸化物と第2ニッケル系水酸化物の粒径は、それぞれ独立して、1μm~30μmであってもよく、例えば1μm~25μm、1μm~20μm、または5μm~20μmであってもよい。ニッケル系水酸化物の粒径はレーザ回折を用いた粒度分析器で測定したものであって、粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径(D50)を意味するものであり得る。
【0060】
リチウム原料は正極活物質のリチウム供給源であって、例えば、LiCO、LiOH、これらの水和物、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0061】
第1ニッケル系水酸化物とリチウム原料を混合する時、第1ニッケル系水酸化物に含まれる金属のモル数に対するリチウム原料でのリチウムのモル数の比は例えば0.8以上、0.85以上、0.9以上、0.95以上、または1.0以上であってもよく、1.8以下、1.5以下、1.2以下、1.1以下、または1.05以下であってもよい。
【0062】
第1熱処理は酸化性ガス雰囲気で行うことができ、例えば、酸素雰囲気または空気雰囲気で行うことができる。また、第1熱処理は例えば600℃~900℃または600℃~800℃で実施することができ、例えば5~20時間、または5~15時間実施することができる。第1熱処理を通じて得られた第1ニッケル系酸化物は、第1リチウムニッケル系酸化物、または第1ニッケル系複合酸化物とも言える。
【0063】
第2ニッケル系水酸化物とリチウム原料を混合する時、第2ニッケル系水酸化物に含まれる金属のモル数に対するリチウム原料でのリチウムのモル数の比は例えば0.8以上、0.85以上、0.9以上、0.95以上、または1.0以上であってもよく、1.8以下、1.5以下、1.2以下、1.1以下、または1.05以下であってもよい。
【0064】
第2熱処理も酸化性ガス雰囲気で行うことができ、例えば、酸素雰囲気または空気雰囲気で行うことができる。また、第2熱処理は例えば800℃~1100℃、または900℃~1000℃で実施することができ、例えば5~20時間または5~15時間実施することができる。第2熱処理を通じて得られた第2ニッケル系酸化物は、第2リチウムニッケル系酸化物または第2ニッケル系複合酸化物と表現することもできる。
【0065】
第2ニッケル系酸化物は単粒子形態であって、第2熱処理の温度、時間などの条件を調節することによって単粒子形態を得ることもでき、第2ニッケル系水酸化物を共沈法で合成する時の様々な条件を通じて単粒子形態を得ることもできる。
【0066】
リチウム二次電池用正極活物質の製造方法は第2ニッケル系水酸化物およびリチウム原料を混合して第2熱処理した後に収得物を粉砕することをさらに含むことができ、これによって単粒子の第2ニッケル系酸化物を得ることもできる。粉砕することは、ジェットミルなど多様な粉砕装置などを用いて行うことができる。ここで、収得物を粉砕することは単粒子の活物質を得る過程であって、一般的な活物質の解砕(crush)とは区分される。
【0067】
第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物を混合する過程で、第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物の重量比は9:1~5:5であってもよく、例えば9:1~6:4、または8:2~7:3であってもよい。第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物の混合比が前述の範囲を満足する場合、製造された正極活物質は高容量、高エネルギー密度を示すことができ、高い極板密度を示すことができる。
【0068】
その次に、第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物、およびコバルト原料を混合し第3熱処理することによってコバルトコーティングを行う。コバルト原料は、例えば、水酸化コバルト、炭酸コバルト、硫酸コバルト、酸化コバルト、硝酸コバルトなどであってもよい。コバルト原料を混合することは、全体正極活物質内リチウムを除いた金属の含量を100モル部にする時、コバルト原料に含まれるコバルトが0.01モル部~7モル部、または0.01モル部~5モル部、または0.1モル部~4モル部などになるように混合することであってもよい。
【0069】
コバルトコーティングは、乾式または湿式で行うことができる。例えば、溶媒なく第1ニッケル系酸化物、第2ニッケル系酸化物およびコバルト原料を混合した後、第3熱処理することによって乾式コーティングを行うことができる。または、蒸留水などの溶媒に第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物を投入して混合しながら洗浄し、コバルト原料を滴下して湿式コーティングを行い第3熱処理を行うこともできる。
【0070】
一実施形態では、第1ニッケル系酸化物、第2ニッケル系酸化物、およびコバルト化合物を混合する時、リチウム原料を共に混合することができる。リチウム原料は、例えば、LiCO、LiOH、これらの水和物、またはこれらの組み合わせであってもよい。リチウム原料は共に投入されるコバルト化合物1モル部に対して1モル部~4モル部で混合することができ、例えば1.5モル部~3モル部で混合することができる。即ち、リチウム原料はコバルト化合物の1倍~4倍、または1.5倍~3倍投入することができる。あるいは、リチウム原料は、全体正極活物質内リチウムを除いた金属の含量100モル部に対して0.01モル部~10モル部、または0.1モル部~8モル部、または1モル部~6モル部で混合することができる。このようにコバルトコーティングする段階でリチウム原料を共に投入する場合、正極活物質表面に安定したコバルトコーティング部を形成することができ、一実施形態によって単粒子表面に高濃度コーティング領域が30%~80%を占める形態にコバルトコーティング部を形成することができる。これにより、リチウム二次電池の初期充放電効率を改善し寿命特性を向上させることができる。
【0071】
一実施形態で、湿式でコバルトコーティングを行う場合には、第1ニッケル系酸化物、第2ニッケル系酸化物、およびコバルト化合物を混合する時、水酸化ナトリウムなどのpH調節剤を共に投入してもよい。pH調節剤は、コバルト化合物1モル部に対して0.5モル部~5モル部で投入することができる。このようにpH調節剤などを使用して一実施形態によるコバルトコーティング部を効果的に形成させることができる。
【0072】
第3熱処理は、酸素または空気雰囲気などの酸化性ガス雰囲気で行うことができる。また、第3熱処理は、例えば650℃~900℃または650℃~800℃で実施することができる。第3熱処理時間は熱処理温度などによって可変的であるが、例えば5~30時間または10~24時間実施する。
【0073】
その後、熱処理を終了し室温に冷却させて、前述の一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質を製造することができる。製造された正極活物質は、1次粒子が凝集してなる2次粒子を含む第1正極活物質と、単粒子形態の第2正極活物質が混合された状態であり、第2正極活物質の単粒子の表面にはニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量が30at%以上である高濃度コーティング領域と25at%以下である低濃度コーティング領域が存在し、高濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量と、低濃度コーティング領域でのニッケルとコバルト総量に対するコバルトの含量の差は20at%~50at%である。
【0074】
正極
リチウム二次電池用正極は集電体およびこの集電体上に位置する正極活物質層を含むことができる。正極活物質層は正極活物質を含み、バインダーおよび/または導電材をさらに含むことができる。
【0075】
バインダーは正極活物質粒子を互いによく付着させ、また正極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たし、その代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これに限定されるのではない。
【0076】
正極活物質層で、バインダーの含量は、正極活物質層全体重量に対して大略1重量%~5重量%であってもよい。
【0077】
導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などを含有する金属粉末または金属繊維形態の金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0078】
正極活物質層で、導電材の含量は正極活物質層全体重量に対して1重量%~5重量%であってもよい。
【0079】
正極集電体としてはアルミニウム箔を使用することができるが、これに限定されるのではない。
【0080】
負極
リチウム二次電池用負極は、集電体、およびこの集電体上に位置する負極活物質層を含む。負極活物質層は負極活物質を含み、バインダーおよび/または導電材をさらに含むことができる。
【0081】
負極活物質は、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質または遷移金属酸化物を含む。
【0082】
リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質としては、炭素系負極活物質であって、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらの組み合わせを含むことができる。結晶質炭素の例としては無定形、板状型、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、非晶質炭素の例としてはソフトカーボンまたはハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0083】
リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選択される金属の合金を使用することができる。
【0084】
リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としてはSi系負極活物質またはSn系負極活物質を使用することができ、Si系負極活物質としてはシリコン、シリコン-炭素複合体、SiO(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qはアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn系負極活物質としてはSn、SnO、Sn-R合金(前記Rはアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)などが挙げられ、またこれらのうちの少なくとも一つとSiOを混合して使用することもできる。前記元素QおよびRとしてはMg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0085】
シリコン-炭素複合体は、例えば、結晶質炭素およびシリコン粒子を含むコア、およびこのコア表面に位置する非晶質炭素コーティング層を含むシリコン-炭素複合体であってもよい。結晶質炭素は、人造黒鉛、天然黒鉛またはこれらの組み合わせであってもよい。非晶質炭素前駆体としては、石炭系ピッチ、メソフェーズピッチ、石油系ピッチ、石炭系オイル、石油系重質油またはフェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂などの高分子樹脂を使用することができる。この時、シリコンの含量は、シリコン-炭素複合体全体重量に対して10重量%~50重量%であってもよい。また、結晶質炭素の含量はシリコン-炭素複合体全体重量に対して10重量%~70重量%であってもよく、非晶質炭素の含量はシリコン-炭素複合体全体重量に対して20重量%~40重量%であってもよい。また、非晶質炭素コーティング層の厚さは5nm~100nmであってもよい。シリコン粒子の平均粒径(D50)は10nm~20μmであってもよい。シリコン粒子の平均粒径(D50)は好ましく10nm~200nmであってもよい。シリコン粒子は酸化された形態で存在し、この時、酸化程度を示すシリコン粒子内Si:Oの原子含量比率は99:1~33:67であってもよい。シリコン粒子はSiO粒子であってもよく、この時、SiO中、x範囲は0超過、2未満であってもよい。本明細書で、別途の定義がない限り、平均粒径(D50)は粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径を意味する。
【0086】
Si系負極活物質またはSn系負極活物質は炭素系負極活物質と混合して使用することができる。Si系負極活物質またはSn系負極活物質と炭素系負極活物質を混合使用時、その混合比は重量比として1:99~90:10であってもよい。
【0087】
負極活物質層で、負極活物質の含量は負極活物質層全体重量に対して95重量%~99重量%であってもよい。
【0088】
一実施形態で、負極活物質層はバインダーをさらに含み、選択的に導電材をさらに含むことができる。負極活物質層で、バインダーの含量は負極活物質層全体重量に対して1重量%~5重量%であってもよい。また、導電材をさらに含む場合、負極活物質層は負極活物質を90重量%~98重量%、バインダーを1重量%~5重量%、導電材を1重量%~5重量%含むことができる。
【0089】
バインダーは負極活物質粒子を互いによく付着させ、また負極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たす。バインダーとしては非水溶性バインダー、水溶性バインダーまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0090】
非水溶性バインダーとしては、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0091】
水溶性バインダーとしては、ゴム系バインダーまたは高分子樹脂バインダーが挙げられる。ゴム系バインダーはスチレンブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレンブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、およびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。高分子樹脂バインダーは、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。
【0092】
負極バインダーとして水溶性バインダーを使用する場合、粘性を付与することができるセルロース系列化合物をさらに含むことができる。このセルロース系列化合物としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。アルカリ金属としてはNa、KまたはLiを使用することができる。このような増粘剤使用含量は負極活物質100重量部に対して0.1重量部~3重量部であってもよい。
【0093】
導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などを含み、金属粉末または金属繊維形態の金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0094】
負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0095】
リチウム二次電池
他の一実施形態は、正極、負極、正極と負極の間に位置する分離膜および電解質を含むリチウム二次電池を提供する。
【0096】
図1は、一実施形態によるリチウム二次電池を示した概略図である。図1を参照すれば、一実施形態によるリチウム二次電池100は、正極114、正極114と対向して位置する負極112、正極114と負極112の間に配置されているセパレータ113および正極114、負極112およびセパレータ113を含浸するリチウム二次電池用電解質を含む電池セルと、電池セルが収納されている電池容器120、および電池容器120を密封する密封部材140を含む。
【0097】
電解質は、非水性有機溶媒とリチウム塩を含む。
【0098】
非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質役割を果たす。非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒を使用することができる。カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができる。エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、ジメチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ-ブチロラクトン、デカノリド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。エーテル系溶媒としてはジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができ、ケトン系溶媒としてはシクロヘキサノンなどを使用することができる。また、アルコール系溶媒としてはエチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、非プロトン性溶媒としてはR-CN(ここで、Rは炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合、芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0099】
非水性有機溶媒は単独でまたは一つ以上混合して使用することができ、一つ以上混合して使用する場合の混合比率は目的とする電池性能によって適切に調節することができ、これは当該分野に従事する者には広く理解されるはずである。
【0100】
また、カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用することができる。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは約1:1~約1:9の体積比で混合して使用する場合に電解液の性能が優れることになる。
【0101】
非水性有機溶媒は、カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含んでもよい。この時、カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系有機溶媒は、約1:1~約30:1の体積比で混合することができる。
【0102】
芳香族炭化水素系溶媒としては、下記化学式Iの芳香族炭化水素系化合物を使用することができる。
【0103】
【化1】
【0104】
上記化学式I中、R~Rは互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0105】
芳香族炭化水素系溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2-ジヨードベンゼン、1,3-ジヨードベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,2,3-トリヨードベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3-ジフルオロトルエン、2,4-ジフルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、2,3,4-トリフルオロトルエン、2,3,5-トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3-ジクロロトルエン、2,4-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロトルエン、2,3,4-トリクロロトルエン、2,3,5-トリクロロトルエン、ヨードトルエン、2,3-ジヨードトルエン、2,4-ジヨードトルエン、2,5-ジヨードトルエン、2,3,4-トリヨードトルエン、2,3,5-トリヨードトルエン、キシレン、またはこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0106】
電解液は、電池寿命を向上させるためにビニレンカーボネートまたは下記化学式IIのエチレン系カーボネート系化合物を寿命向上添加剤としてさらに含んでもよい。
【0107】
【化2】
【0108】
上記化学式II中、R10およびR11は互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択され、前記R10およびR11のうちの少なくとも一つはハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択されるが、但しR10およびR11が全て水素ではない。
【0109】
エチレン系カーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネートまたはフルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。このような寿命向上添加剤をさらに使用する場合、その使用量は適切に調節することができる。
【0110】
リチウム塩は、非水性有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極の間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。
【0111】
リチウム塩の代表的な例としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiN(SO、Li(CFSON、LiN(SO、Li(FSON(リチウムビスフルオロスルホニルイミド;lithium bis(fluorosulfonyl)imide;LiFSI)、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiPO、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、xおよびyは自然数であり、例えば1~20の整数である)、リチウムジフルオロビスオキサラトホスフェート(lithium difluoro(bisoxalato)phosphate)、LiCl、LiI、LiB(C(リチウムビス(オキサラト)ボレート(lithium bis(oxalato)borate;LiBOB)、およびリチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOB)からなる群より選択される一つまたは二つ以上が挙げられる。
【0112】
リチウム塩の濃度は0.1M~2.0M範囲内で使用することがよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適切な伝導度および粘度を有するので優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動可能である。
【0113】
セパレータ113は正極114と負極112を分離しリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、リチウムイオン電池で通常使用されるものであれば全て使用することができる。即ち、電解質のイオン移動に対して低い抵抗を有しながら電解液含湿能力に優れたものを使用することができる。例えば、セパレータ113はガラス繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンまたはこれらの組み合わせを含むことができ、不織布または織布形態であってもよい。例えば、リチウムイオン電池にはポリエチレン、ポリプロピレンなどのようなポリオレフィン系高分子セパレータが主に使用され、耐熱性または機械的強度確保のためにセラミック成分または高分子物質が含まれているコーティングされたセパレータを使用することもでき、選択的に単層または多層構造で使用することができる。
【0114】
リチウム二次電池は使用するセパレータと電解質の種類によってリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、およびリチウムポリマー電池に分類することができ、形態によって円筒形、角型、コイン型、パウチ型などに分類することができ、サイズによってバルクタイプと薄膜タイプに分類することができる。これら電池の構造と製造方法はこの分野に広く知られているので、詳細な説明は省略する。
【0115】
一実施形態によるリチウム二次電池は高容量を実現し、高温で保存安定性、寿命特性および高率特性などに優れて電気車両(electric vehicle、EV)に使用することができ、プラグインハイブリッド車両(plug-in hybrid electric vehicle、PHEV)などのハイブリッド車両に使用することができ、携帯用電子機器などに使用することができる。
【0116】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。下記の実施例は本発明の一例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるのではない。
【実施例0117】
実施例1
1.2次粒子形態の第1ニッケル系酸化物の製造
金属原料として硫酸ニッケル(NiSO・6HO)、硫酸コバルト(CoSO・7HO)および硫酸マンガン(MnSO・HO)を95:4:1モル比になるように溶媒である蒸留水に溶かして混合溶液を準備し、錯化合物形成のために10重量%のアンモニア水(NHOH)と沈殿剤として20重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)を準備した。
【0118】
連続式反応器にアンモニア水希釈液を投入した後に金属原料混合溶液を連続的に投入し、反応器内部のpHを維持するために水酸化ナトリウムを投入する。大略80時間徐々に反応を行い、反応が安定化すると、オーバーフローされる生成物を収集して洗浄および乾燥工程を行って最終前駆体を得る。これにより1次粒子が凝集された2次粒子形態の第1ニッケル系水酸化物(Ni0.95Co0.04Mn0.01(OH))を得て洗浄および乾燥する。
【0119】
第1ニッケル系水酸化物の金属総量に対するリチウムのモル比率が1.04になるように、第1ニッケル系水酸化物とLiOHを混合し、酸素雰囲気で約750℃で15時間第1熱処理することによって、第1ニッケル系酸化物(LiNi0.95Co0.04Mn0.01)を得る。得られた第1ニッケル系酸化物の平均粒径は大略15μmであり、1次粒子が凝集された2次粒子形態である。
【0120】
2.単粒子形態の第2ニッケル系酸化物の製造
硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンを溶媒である蒸留水に溶かして混合溶液を準備する。錯化合物形成のために10重量%のアンモニア水(NHOH)希釈液と、沈殿剤として20重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)を準備する。その後、反応器に金属原料混合溶液、アンモニア水、水酸化ナトリウムをそれぞれ反応器内部に投入する。その次に、攪拌を行いながら約20時間反応を行う。その後、反応器内のスラリー溶液をろ過および高純度の蒸留水で洗浄後、24時間乾燥して第2ニッケル系水酸化物(Ni0.94Co0.05Mn0.01(OH))粉末を得る。得られた第2ニッケル系水酸化物粉末は平均粒径が約4.0μmであり、BET測定法によって測定される比表面積は約15m/gである。
【0121】
得られた第2ニッケル系水酸化物とLiOHをLi/(Ni+Co+Mn)=1.05(モル比)を満足するように混合して焼成炉に投入し、酸素雰囲気で910℃で8時間第2熱処理を実施する。その後、収得物を約30分間粉砕して、単粒子形態を有する多数の第2ニッケル系酸化物に分離/分散させる。得られた単粒子形態の第2ニッケル系酸化物(LiNi0.94Co0.05Mn0.01)の平均粒径は約3.7μmである。
【0122】
3.コバルトコーティングおよび最終正極活物質の製造
第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物を7:3の重量比で混合し、この混合物と水の重量比を1:1にして攪拌機で水洗浄を行い、150℃で乾燥する。ここに全体ニッケル系酸化物の遷移金属100モル部に対して水酸化リチウム5モル部および酸化コバルト2.5モル部を追加的に混合して焼成炉に投入後、酸素雰囲気で約710℃で15時間第3熱処理を実施する。その後、焼成炉を室温に冷却して、第1正極活物質と第2正極活物質が混合された最終正極活物質を得る。
【0123】
最終正極活物質は2次粒子形態の第1正極活物質と単粒子形態の第2正極活物質が混合されており、それぞれはコバルトでコーティングされている。
【0124】
4.正極の製造
最終正極活物質95重量%、ポリビニリデンフルオライドバインダー3重量%および炭素ナノチューブ導電材2重量%をN-メチルピロリドン溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造する。アルミニウム集電体に前記正極活物質スラリーを塗布し乾燥した後、圧延して正極を準備する。
【0125】
5.リチウム二次電池の製造
準備した正極とリチウム金属対極を使用し、その間にポリエチレンポリプロピレン多層構造のセパレータを介在させ、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを50:50体積比で混合した溶媒に1.0MのLiPFリチウム塩を添加した電解液を注入してコインハーフセルを製造する。
【0126】
比較例1
前記実施例1の“3.コバルトコーティングおよび最終正極活物質の製造”で、第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物を混合した後にコバルトコーティングを行わず、第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物を個別にコバルトコーティングを行った後に混合する方法を使用することを除いては実施例1と同様な方法で正極活物質と電池を製造する。
【0127】
コバルトコーティング工程は次の通りである。第1ニッケル系酸化物に遷移金属100モル部に対して水酸化リチウム5モル部および酸化コバルト2.5モル部を混合して焼成炉に投入後、酸素雰囲気で約710℃で15時間第3熱処理を実施し、焼成炉を室温に冷却して第1正極活物質を得る。また、第2ニッケル系酸化物に遷移金属100モル部に対して水酸化リチウム5モル部および酸化コバルト2.5モル部を混合して焼成炉に投入後、酸素雰囲気で約850℃で15時間第3熱処理を実施し、焼成炉を室温に冷却して第2正極活物質を得る。コバルトがコーティングされた第1正極活物質とコバルトがコーティングされた第2正極活物質を7:3の重量比で混合して比較例1による最終正極活物質を準備する。
【0128】
評価例1:単粒子の表面および破断面に対する分析
図2図4は実施例1によって製造された最終正極活物質において第2正極活物質に該当する粒子に対するSEM-EDS分析イメージであって、コバルト元素が空色でハイライトされている。また、図8図10は実施例1の第2正極活物質の破断面に対するSEM-EDS分析イメージであり、同様にコバルト元素が空色でハイライトされている。
【0129】
図2図4図8図10を参照すれば、コバルト元素は単粒子表面に均等に分布しているよりは一部面に集中的に高濃度に分布しているのが分かる。
【0130】
図5図7は比較例1によって製造された第2正極活物質に対するSEM-EDS分析イメージであって、コバルト元素が空色でハイライトされている。また、図11図13は比較例1の第2正極活物質の破断面に対するSEM-EDS分析イメージであり、同様にコバルト元素が空色でハイライトされている。
【0131】
図5図7、および図11図13を参照すれば、比較例1による第2正極活物質の場合、コバルト元素が単粒子表面に均等に分布されているのを確認することができる。
【0132】
評価例2:単粒子表面のコバルト含量分析
実施例1と比較例1で製造したそれぞれの第2正極活物質の表面に対してSEM-EDS分析を行って表面でのニッケルおよびコバルト総量に対するコバルト含量を測定する。
【0133】
図14および図15は実施例1の第2正極活物質に対するSEM-EDS分析イメージであり、図16は比較例1の第2正極活物質に対するSEM-EDS分析イメージであって、各番号の位置でコバルト含量を測定しその結果を下記表1に示す。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
上記表1のように、実施例1の第2正極活物質の場合、コバルト含量が30at%以上である高濃度コーティング領域と、コバルト含量が25at%以下である低濃度コーティング領域に区分されている。高濃度コーティング領域でコバルト含量の算術平均値は52.9at%であり、低濃度コーティング領域でコバルト含量の算術平均値は18.3at%であり、前記二つの値の差は34.6at%に計算される。反面、表2のように、比較例1の第2正極活物質の場合、単粒子表面全体でコバルト含量は類似に測定されて高濃度や低濃度領域が区分されず、単粒子表面全体でのコバルト含量は15.5at%以下と確認される。
【0137】
評価例3:単粒子表面と内部のコバルト含量差分析
実施例1と比較例1で製造したそれぞれの第2正極活物質の表面に対してSEM-EDS分析を行って表面でのニッケルおよびコバルト総量に対するコバルト含量を測定する。また、実施例1と比較例1で製造したそれぞれの第2正極活物質の破断面に対してSEM-EDS分析を行って単粒子内部でのニッケルおよびコバルト総量に対するコバルト含量を測定する。表面でのコバルト含量と内部でのコバルト含量の差を計算して下記表3に示した。ここで、表面および内部でのコバルト含量は平均値を意味し、5~10個の部分の含量を測定した後、これらを算術平均出した値を示す。
【0138】
【表3】
【0139】
上記表3を参照すれば、実施例1の場合、第2正極活物質表面のコバルト含量は35.61at%であって大略25~40at%水準と把握され、比較例1の場合、第2正極活物質表面のコバルト含量は11.25at%であって大略10~20at%水準と把握される。これによってコーティング方法の差によって第2正極活物質表面にコーティングされるコバルトの含量に大きな差が出るのを確認することができる。また、単粒子表面でのコバルト含量と単粒子内部でのコバルト含量の差を比較してみれば、実施例1は29.61at%であり、比較例1は5.25at%と分析された。実施例1の場合が比較例1に比べて単粒子表面と内部のコバルト含量差がはるかに大きいということが確認できる。このような特性を有する第2正極活物質は、高容量を実現しながら効率が増大することが理解される。
【0140】
評価例4:充放電効率および寿命特性
実施例1と比較例2のコインハーフセルそれぞれを定電流(0.2C)および定電圧(4.25V、0.05C cut-off)条件で充電させて充電容量を測定し、10分間休止し定電流(0.2C)条件下で3.0Vになるまで放電させて放電容量を測定する。充電容量に対する放電容量の比率を効率と示す。結果は下記表4に示した。
【0141】
また、初期充放電実施後、45℃で1Cで50回充放電を繰り返して50回での放電容量を測定し、初期放電容量に対する50回放電容量の比率(%)を容量維持率、即ち、寿命特性として表4に示す。
【0142】
【表4】
【0143】
上記表4を参照すれば、実施例1は比較例1に比べて放電容量が増加し充放電効率が改善され、高温寿命特性も向上したとのことが確認できる。
【0144】
以上、好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の請求範囲で定義している基本概念を用いた当業者の様々の変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0145】
100:リチウム二次電池
112:負極
113:分離膜
114:正極
120:電池容器
140:封入部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16