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特開2024-28227ハロゲン化ポリマー、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028227
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ハロゲン化ポリマー、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/40 20060101AFI20240222BHJP
   C08L 71/10 20060101ALI20240222BHJP
   C08K 3/16 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
C08G65/40
C08L71/10
C08K3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133673
(22)【出願日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2022130888
(32)【優先日】2022-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亮平
(72)【発明者】
【氏名】井立 寛人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 高則
【テーマコード(参考)】
4J002
4J005
【Fターム(参考)】
4J002CH061
4J002DD086
4J002FD131
4J005AA24
4J005BB02
(57)【要約】
【課題】 本発明は、公知のハロゲン含有ポリマーに比べて、耐熱性、及び白色度に優れるハロゲン化ポリマーを提供することを課題とする。
【解決手段】
臭化物イオンを含有する、下記一般式(1)
【化1】
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。nは実数を示す。)
で示されるハロゲン化ポリマーであって、前記臭化物イオンの含有量が1~2,000ppmであることを特徴とする、ハロゲン化ポリマーを用いる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
臭化物イオンを含有する、下記一般式(1)
【化1】
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。nは実数を示す。)
で示されるハロゲン化ポリマーであって、前記臭化物イオンの含有量が1~2,000ppmであることを特徴とする、ハロゲン化ポリマー。
【請求項2】
3重量%の重量減少温度が、10℃/分の昇温速度において、370℃以上である、請求項1に記載のハロゲン化ポリマー。
【請求項3】
色差計を用いて下記式(ユークリッド距離)に基づいて算出される、前記ハロゲン化ポリマーの白色(R:G:B=255:255:255)からの色差Dが33以下である、請求項1に記載のハロゲン化ポリマー。
【化2】
【請求項4】
平均一次粒子径(D50)が、1~50μmである、請求項1に記載のハロゲン化ポリマー。
【請求項5】
下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物と、塩基と、ラジカルトラップ剤と、溶媒とを含む混合物を、撹拌しながら、110~150℃の範囲で加熱することを特徴とする、請求項1に記載のハロゲン化ポリマーの製造方法。
【化3】
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
【化4】
(式中、X、Yは、ハロゲン原子を示す。)
【請求項6】
ラジカルトラップ剤の使用量が、前記一般式(2)で表される化合物の100質量部に対して、0.001~10質量部である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
上記ラジカルトラップ剤が、フェノール系ラジカルトラップ剤、キノン系ラジカルトラップ剤、亜リン酸エステル系ラジカルトラップ剤、アミン系ラジカルトラップ剤、及び硫黄系ラジカルトラップ剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃剤などに用いられる、耐熱性の高いハロゲン化ポリマー、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
難燃剤は、樹脂と混合することで、当該樹脂に難燃性を付与する添加剤としてよく知られている。例えば、複数のハロゲン原子を有する化合物が、ハロゲン系難燃剤として古くから使用されている。なお、一部の低分子量型のハロゲン系難燃剤(例えば、ポリ臭化ビフェニル類)については、その有害性のために、RoHS指令の規制対象となっている。このため、最近のハロゲン系難燃剤の開発は、高分子量型にシフトする傾向にある。
【0003】
高分子量型の臭素系難燃剤として、例えば、テトラブロモビスフェノールAをモノマーとした重合物が知られている。当該重合物として、テトラブロモビスフェノールAと1,2-ジハロエタンを、塩基の存在下に反応させたものが知られている(特許文献1~4)。
【0004】
前記の高分子量型の臭素系難燃剤の耐熱性については、その分解温度が180℃程度である旨の記載があるが、難燃性の向上のために、分解温度がより高い臭素系難燃剤が求められている。分解温度がより高い臭素系難燃剤として、特許文献5のハロゲン含有ポリマーが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭51-117737号公報
【特許文献2】特公昭56-8809号公報
【特許文献3】特開昭53-128656号公報
【特許文献4】特公昭62-1973号公報
【特許文献5】特開2019-77857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献5のハロゲン含有ポリマーについては、黄色や灰色を呈する傾向がある。このようなハロゲン含有ポリマーを難燃剤として樹脂に配合した場合、難燃剤由来の色が残ってしまう課題があった。例えば、白物家電等に用いられる樹脂については、白色であることが求められるため、難燃化のために配合される難燃剤についても白色であることが求められている。
【0007】
本発明は、前記のハロゲン含有ポリマーと比べて、耐熱性、及び白色度に優れるハロゲン化ポリマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記の発明が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
[1]
臭化物イオンを含有する、下記一般式(1)
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。nは実数を示す。)
で示されるハロゲン化ポリマーであって、前記臭化物イオンの含有量が1~2,000ppmであることを特徴とする、ハロゲン化ポリマー。
【0012】
[2]
3重量%の重量減少温度が、10℃/分の昇温速度において、370℃以上である、[1]に記載のハロゲン化ポリマー。
【0013】
[3]
色差計を用いて下記式(ユークリッド距離)に基づいて算出される、前記ハロゲン化ポリマーの白色(R:G:B=255:255:255)からの色差Dが33以下である、[1]に記載のハロゲン化ポリマー。
【0014】
【化2】
【0015】
[4]
平均一次粒子径(D50)が、1~50μmである、[1]に記載のハロゲン化ポリマー。
【0016】
[5]
下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物と、塩基と、ラジカルトラップ剤と、溶媒とを含む混合物を、撹拌しながら、110~150℃の範囲で加熱することを特徴とする、上記[1]に記載のハロゲン化ポリマーの製造方法。
【0017】
【化3】
【0018】
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
【0019】
【化4】
【0020】
(式中、X、Yは、ハロゲン原子を示す。)
[6]
ラジカルトラップ剤の使用量が、前記一般式(2)で表される化合物の100質量部に対して、0.001~10質量部である、[5]に記載の製造方法。
【0021】
[7]
上記ラジカルトラップ剤が、フェノール系ラジカルトラップ剤、キノン系ラジカルトラップ剤、亜リン酸エステル系ラジカルトラップ剤、アミン系ラジカルトラップ剤、及び硫黄系ラジカルトラップ剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明のハロゲン化ポリマーは、耐熱性、及び白色度が優れる。このため、本発明のハロゲン化ポリマーは、樹脂への混練、又は成形の加工操作における操作温度域が広がり、外観の美しさが重視される樹脂の難燃剤としての用途が広がるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をさらに詳しく述べる。
【0024】
本発明の一態様は、臭化物イオンを含有する、下記一般式(1)
【0025】
【化5】
【0026】
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。nは実数を示す。)
で示されるハロゲン化ポリマーであって、前記臭化物イオンの含有量が1~2,000ppmであることを特徴とするハロゲン化ポリマーに係る。
【0027】
本発明のハロゲン化ポリマーの末端基は、通常は、原料モノマーに由来する2-ハロエチル基、及び/又はフェノール性水酸基となるが、これらの末端基は、低反応性の化合物で封止されていてもよい。当該封止に用いる化合物としては、特に種類を限定するものではないが、例えば、4-ブロモフェノール、1,3,5-トリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、塩化ベンジル、ハロゲン化メチル、又はハロゲン化ベンゼン等を挙げることができる。本発明のハロゲン化ポリマーについては、その末端基が上記の化合物によって封止されたものを含む。
【0028】
Rで表されるC1~C6のアルキレン基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチレン基、エチレン基、2,2-プロピレン基、2,2-ブチレン基、ヘキサジエン基、又は1,1-シクロヘキシレン基等が挙げられる。
【0029】
Rについては、耐熱性に優れる点で、2,2-プロピレン基であることが好ましい。
【0030】
一般式(1)において、nは、前記ハロゲン化ポリマーの繰返し単位の繰返し数の平均値を表し、本発明においては、nは実数を示す。
【0031】
当該nについては、耐熱性に優れる点で、4~50の実数であることが好ましく、5~30の実数であることがより好ましく、6~20の実数であることがより好ましい。
【0032】
例えば、Rが2,2-プロピレン基であり、末端構造が2-クロロエチル基及びフェノール性水酸基であり、nが11のとき、本発明のハロゲン化ポリマーの理論平均分子量は、6,368になる。
【0033】
本発明のハロゲン化ポリマーは、その成分として臭化物イオンを含有し、当該臭化物イオンの含有量が、ハロゲン化ポリマーの質量(前記臭化物イオンを含んだ質量)を基準として、1~2,000ppmであることを特徴とする。
【0034】
前記の臭化物イオンは、前記のハロゲン化ポリマー中に臭化物塩として分散して存在している。前記の臭化物塩については、臭化物イオンと、ハロゲン化ポリマー製造時に通常用いられる塩基に由来するカチオンとで形成されるものが挙げられ、より具体的には、臭化リチウム、臭化ナトリウム、又は臭化カリウム等が挙げられる。
【0035】
本発明のハロゲン化ポリマーについては、その構成要件を満たすことによって、耐熱性が向上し、白色度が向上するという効果を奏する。これは、前記の臭化物イオンの含有量が、耐熱性、や白色度に影響を与えることによるものと推測される。
【0036】
当該臭化物イオン含有量については、ハロゲン化ポリマーの耐熱性、及び白色度を向上させ、平均一次粒子径(D50)を小さくすることができるという点で、ハロゲン化ポリマーの質量(前記臭化物イオンを含んだ質量)を基準として、1~1,800ppmであることが好ましく、10~1,500ppmであることがより好ましく、20~1,200ppmであることがより好ましい。
【0037】
前記の臭化物イオン含有量については、特に限定するものではないが、例えば、溶媒抽出とイオンクロマトグラフによって測定することができる。当該測定方法については、実施例にさらに詳細に記載した。
【0038】
本発明のハロゲン化ポリマーは、耐熱性に優れる点で、その重量減少温度が高い方が好ましい。より具体的には、本発明のハロゲン化ポリマーは、耐熱性に優れる点で、3重量%の重量減少温度が、10℃/分の昇温速度において、370℃以上であることが好ましく、370℃~400℃であることがより好ましい。
【0039】
3重量%の重量減少温度については、一般公知の熱分析装置を用いて測定することができる。前記の熱分析装置としては、特に限定するものではないが、例えば、熱重量・示唆熱(TG-DTA)同時測定装置を用いることができる。
【0040】
なお、本発明においては熱重量減少温度の測定は、リガク社製のThermoPlus TG8120を用い、アルミニウム容器を使用し、約10mgのサンプルを使用して、空気雰囲気下、10℃/分の条件で測定した。測定については、装置マニュアルやJIS K 7120-1987に基づいて行った。
【0041】
特に高温で成形加工される樹脂において、難燃剤は、より高温での耐熱性に優れることが求められる。本発明のハロゲン化ポリマーは、上記のとおり優れた耐熱性を示すため、250~300℃付近での温度において成形加工が行われる樹脂向けの難燃剤として、品質安定性の向上や生産性の向上に寄与することが期待される。
【0042】
本発明のハロゲン化ポリマーのような難燃剤については、その一次粒子径が小さいことが求められている。これは、一次粒子径が小さいほど、難燃剤の樹脂中での分散性が向上し、それに伴って樹脂燃焼時の可燃性ガス、及び酸素等と前記難燃剤との反応の確率が高まる(すなわち、難燃効果が発現する確率が高まる)という作用が生じるためであると考えられている(出展:難燃学入門―火災からあなたの命と財産を守る 北野大監修、化学工業日報社)。
【0043】
本発明のハロゲン化ポリマーは、公知のハロゲン含有ポリマーに比べて非常に小さい一次粒子径(平均一次粒子径(D50))を示すという特長を示し、その結果として樹脂への分散性に優れるという顕著異質な効果を奏するものである。また、本発明のハロゲン化ポリマーは、前記の優れた分散性という作用に基づいて、樹脂に顕著に高い難燃性を付与することができるという点で、公知のハロゲン含有ポリマーにはない、極めて顕著な効果を奏すると期待される。
【0044】
なお、本発明のハロゲン化ポリマーについては、その臭化物イオン含有量とその平均一次粒子径(D50)の間に相関性があると推測される。
【0045】
すなわち、本発明のハロゲン化ポリマーについては、その臭化物イオン含有量が少ないために、いびつな形状のポリマー一次粒子の生成を抑制することができ、その結果として、その平均一次粒子径(D50)を小さくすることができると推察される。また、逆に、本発明のハロゲン化ポリマーについては、その平均一次粒子径(D50)を小さくすることができるために、前記ハロゲン化ポリマー内部における臭化物イオンの残留を抑制することができ、その結果として、その臭化物イオン含有量を少なくすることができると推察される。
【0046】
本発明のハロゲン化ポリマーについては、特に限定するものではないが、樹脂への分散性に優れる点で、その平均一次粒子径(D50)が、1~50μmであることが好ましく、2~30μmであることがより好ましく、3~15μmであることがより好ましい。
【0047】
前記の平均一次粒子径(D50)の測定方法については、特に限定するものではないが、例えば、レーザー回折・散乱法、撮像法、沈降法、電気抵抗法、電子顕微鏡法、比表面積法、又は篩通過法等を挙げることができる。これらのうち、レーザー回折・散乱法、又は撮像法が好ましく、レーザー回折・散乱法がより好ましい。これらのうち、レーザー回折・散乱法による測定方法については、実施例にさらに詳細に記載した。
【0048】
本発明のハロゲン化ポリマーについては、より高い耐熱性が得られる点で、ゲル浸透クロマトグラフィー測定によって求められる標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が、4,000以上であることが好ましく、8,000以上であることがより好ましく、11,000以上であることがさらに好ましい。
【0049】
本発明のハロゲン化ポリマーについては、より高い耐熱性が得られる点で、ゲル浸透クロマトグラフィー法によって測定される標準ポリスチレン換算における重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.0~4.0であることが好ましく、1.0~3.0であることがより好ましく、1.0~2.0であることがより好ましい。
【0050】
本発明のハロゲン化ポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー法による重量平均分子量測定の方法や条件については、ISO 16014-3:2012(JIS K 7252-3:2016)に準拠した。前記方法や条件については、実施例にさらに詳細に記載した。
【0051】
本発明のハロゲン化ポリマーについては、高い難燃性が期待される点で、その臭素含有量が53~60重量%であることが好ましく、54~60重量%であることがより好ましい。
【0052】
本発明のハロゲン化ポリマーの臭素含有量(重量%)については、特に限定するものではないが、燃焼-イオンクロマトグラフ法によって定量することができる。なお、燃焼-イオンクロマトグラフ法の具体的な分析方法及び分析条件についてはIEC 62321-3-2に記載されている。
【0053】
本発明のハロゲン化ポリマーは、特に限定するものではないが、一例として、下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物と、塩基と、ラジカルトラップ剤と、溶媒とを含む混合物を、撹拌しながら、110~150℃の範囲で加熱することによって製造することができる。
【0054】
【化6】
【0055】
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
【0056】
【化7】
【0057】
(式中、X、及びYは、ハロゲン原子を示す。)
上記一般式(2)で表される化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、又はビス(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジブロモフェニル)スルホンを挙げることができる。これらのうち、耐熱性に優れるハロゲン化ポリマーが得られる点で、テトラブロモビスフェノールAが好ましい。
【0058】
本発明の製造方法において、X、及びYで表されるハロゲン原子としては、特に限定するものではないが、例えば、塩素、臭素、又はヨウ素を挙げることができる。これらのうち、耐熱性に優れるハロゲン化ポリマーが得られる点で、塩素が好ましい。
【0059】
上記一般式(3)で表される化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、二塩化エタン、二臭化エタン、二沃化エタン、1-ブロモ-2-クロロエタン、1-クロロ-2-ヨードエタン、又は1-ブロモ-2-ヨードエタン等を挙げることができる。これらのうち、白色度に優れるハロゲン化ポリマーが得られる点で、二塩化エタン、又は二臭化エタンが好ましく、二塩化エタンがより好ましい。
【0060】
本発明の製造方法において、塩基は、特に限定するものではないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素セシウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、又は水酸化バリウム等が挙げられる。これらのうち、耐熱性に優れるハロゲン化ポリマーが得られる点で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、又は炭酸水素カリウムが好ましく、炭酸カリウムがより好ましい。
【0061】
本発明の製造方法において、溶媒は、基質と反応しないものであれば特に限定するものではないが、例えば非プロトン性の極性溶剤が、挙げられる。
【0062】
非プロトン性の極性溶剤としては、特に限定するものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ピリジン、N-メチルピロリドン、炭酸プロピレン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらのうち、耐熱性に優れるハロゲン化ポリマーが得られるという点で、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドが好ましい。
【0063】
本発明の製造方法において、反応の温度は、110~150℃の範囲であることを特徴とするが、白色度に優れるハロゲン化ポリマーが得られる点で、120~145℃の間の範囲で行うことが好ましい。
【0064】
本発明の製造方法については、減圧下、常圧下、及び加圧下のいずれの条件で行ってもよいが、耐熱性に優れるハロゲン化ポリマーが得られる点で、常圧下、又は加圧下で行うことが好ましい。
【0065】
本発明の製造方法の雰囲気については、特に限定するものではなく、例えば、大気雰囲気、窒素雰囲気、又はアルゴン雰囲気を挙げることができる。
【0066】
本発明の製造方法については、相間移動触媒を併用してもよい。前記相間移動触媒としては、特に限定するものではないが、例えば4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、及びクラウンエーテルが挙げられる。より具体的には、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムヘキサフルオロホスファート、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド、トリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムブロミド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、12-クラウン-4-エーテル、15-クラウン-5-エーテル、18-クラウン-6-エーテル、ベンゾ-12-クラウン-4-エーテル、ベンゾ-15-クラウン-5-エーテル、ジベンゾ-18-クラウン-6-エーテル、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6-エーテル、ジベンゾ-24-クラウン-8-エーテル、ジシクロヘキシル-24-クラウン-8-エーテル、1-アザ-15-クラウン-5-エーテル、又は1-アザ-18-クラウン-6-エーテル等が挙げられる。
【0067】
本発明の製造方法については、連続式で行うこともできるし、回分式(バッチ式)で行うこともできる。
【0068】
本発明の製造方法については、より白色度に優れるハロゲン化ポリマーが得られる点で、非水系で重合反応を行うことが好ましい。非水系で重合反応を行う方法としては、特に限定するものではないが、例えば、脱水溶剤を用いる、脱水剤を用いて重合反応系中を脱水する、反応中に水を生成する原因となる原材料を用いないようにする等を挙げることができる。前記の脱水剤としては、特に限定するものではないが、例えば、モレキュラーシーブやゼオライトを挙げることができる。
【0069】
前記の非水系については、具体的には、重合反応系中における水分濃度が1,000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましく、200ppm以下であることがより好ましい。
【0070】
前記のラジカルトラップ剤については、特に限定するものではないが、例えば、フェノール系ラジカルトラップ剤、キノン系ラジカルトラップ剤、亜リン酸エステル系ラジカルトラップ剤、アミン系ラジカルトラップ剤、及び硫黄系ラジカルトラップ剤からなる願より選ばれる少なくとも1種のラジカルトラップ剤を挙げることができる。より具体的には、例えば、4-メトキシフェノール、6-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2,6-ジtert-ブチルフェノール、2,6-ジtert-ブチル-p-クレゾール(別名、ジブチルヒドロキシトルエン)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tertブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tertブチルフェノール)、3,6-ジヒドロキシベンゾノルボルナン、2,2’-メチレンビス(6-シクロヘキシル-p-クレゾール)、ヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、1,4-ベンゾキノン、2-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン、4-tert-ブチルカテコール、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ジフェニルアミン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、アンモニウムニトロソフェニルヒドロキシルアミン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、2-ベンゾイミダゾールチオール、フェノチアジン、3,3’-チオジプロピオン酸ジドデシル、3,3’-チオジプロピオン酸ジオクタデシル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリヘキシル、亜リン酸トリス(1,1,1-ヘキサフルオロ-2-プロピル)、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(2-メチルフェニル)、亜リン酸トリス(4-メチルフェニル)、亜リン酸トリス(4-ノニルフェニル)、ペンタエリトリトールビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニルホスファイト)、又は亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)等が挙げられる。
【0071】
本発明の製造方法において、上記一般式(2)で表される化合物と、上記一般式(3)で表される化合物の混合比率は、上記一般式(2)で表される化合物 1モル部に対して、上記一般式(3)で表される化合物が0.8~2.0モル部であることが好ましく、1.0~1.8モル部であることがより好ましく、1.2~1.5モル部であることがより好ましい。
【0072】
本発明の製造方法において、塩基の使用量は、上記一般式(3)で表される化合物 1モル部に対して、0.8~2.5モル部であることが好ましく、0.9~2.0モル部であることがより好ましく、1.0~1.8モル部であることがより好ましい。
【0073】
本発明の製造方法において、ラジカルトラップ剤の使用量は、前記一般式(2)で表される化合物の100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.005~8質量部であることがより好ましく、0.01~5質量部であることがより好ましい。
【0074】
本発明の製造方法において、前記溶媒の使用量は、上記一般式(2)で表される化合物 100質量部に対して、200~2,000質量部であることが好ましく、250~900質量部であることがより好ましく、300~700質量部であることがより好ましい。
【0075】
本発明のハロゲン化ポリマーは、樹脂に配合することによって当該樹脂に難燃性を付与することが可能である。
【0076】
当該樹脂としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩ビ酢ビ、ポリウレタン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレア、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフロロエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、又はポリアミドイミド等が挙げられる。
【0077】
前記の樹脂に対する本発明のハロゲン化ポリマーの混合量としては、前記の樹脂 100質量部に対して、5~30質量部であることが好ましく、10~28質量部であることがより好ましく、12~25質量部であることがより好ましい。
【0078】
本発明のハロゲン化ポリマーは、繊維に含浸することによって当該繊維に難燃性を付与することが可能である。
【0079】
当該繊維としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル、モダクリル、アクリレート、アセテート、レーヨン、メラミン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリアリレート、ポリフェニレンスルファイド、又はポリエーテルエステル等が挙げられる。
【実施例0080】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[重量減少温度の測定]
ハロゲン化ポリマーの熱安定性の指標として、下記条件で重量減少温度を測定した。
【0081】
分析装置:リガク社製 ThermoPlus TG8120
測定条件:サンプル10mgに対し、空気中、10℃/分の速度で昇温を実施。
[重量平均分子量の測定]
ハロゲン化ポリマーの分子量(重量平均分子量)を以下の条件で測定した。
【0082】
分析法:ゲル浸透クロマトグラフィー
分析装置:東ソー社製 HLC-8320GPC
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
検出器:UV検出器
分子量標準:ポリスチレン
[臭化物イオン含有量の測定]
ハロゲン化ポリマー 0.2gと超純水10gを混合し、1時間かけて臭化物イオンを浸透抽出した。次いで、前記の混合物を遠心分離(2800ppm、30分間)し、水層を分離した。得られた水層について、前処理カートリッジ(東ソー社製 TOYOPAC IC-SP M)に通液した後、イオンクロマトグラフ測定によってハロゲン化物イオン濃度を測定し、前記の臭化物イオン含有量を算出した。臭化物イオン濃度は、絶対検量線法により算出した。
【0083】
測定装置:東ソー社製 IC-2010
分析カラム:TSKgel SuperIC-Anion HS
ガードカラム:TSKguardcolumn SuperIC-A HS
溶離液:7.5mmol/L 炭酸水素ナトリウム水溶液+0.8mmol/L 炭酸ナトリウム水溶液
流速:1.5mL/min
カラム温度:40℃
注入量:30μL
サプレッサーゲル:TSKgel suppress IC-A
検出:電気伝導度
[平均一次粒子径(D50)の測定]
下記溶媒中で超音波分散させたハロゲン化ポリマーの平均一次粒子径を、下記条件で測定した。
【0084】
分析法:レーザー回折/散乱式粒子径分布測定
測定装置:マイクロトラック・ベル社製 MICROTRAC MT3300EXII
測定条件:湿式
溶媒:水
[色度の測定、及び白色からの色差Dの評価]
ハロゲン化ポリマー 2.0gを使用し、下記の色差計を用いてRGBカラーモデルに基づく前記ハロゲン化ポリマーの色度RGBを測定した。
【0085】
分析法:色差計法
測定装置(色差計):株式会社ソフトウェア・トゥー製 Pico モバイルカラーピッカー
(RGB R=Red, G=Green, B=Blue)。
【0086】
測定で得られた色度RGBについて、白色(R:G:B=255:255:255)からの色差Dを算出した。当該色差Dは、下記式ユークリッド距離に基づき算出した
【0087】
【化8】
【0088】
色差Dの値が小さいほど、白色(R:G:B=255:255:255)との色度差が小さくなり、測定サンプルの色が白色に近いことを示す。
【0089】
実施例1.
300mLのガラス製ナス型フラスコに、テトラブロモビスフェノールA 20.0g(37mmol)、二塩化エタン 4.7g(48mmol)、炭酸カリウム 6.4(46mmol)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT) 0.4g(1.8mmol)、及びジメチルホルムアミド 30mLを投入し、撹拌混合しながら140℃まで昇温させた。140℃にて2時間撹拌した後、室温まで放冷させた。反応液に水を加え、固体を析出させた。析出した固体をろ過し、水で洗浄し、次いで乾燥させた。収率94%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。
【0090】
得られたハロゲン化ポリマーについて、[重量減少温度の測定]、[重平均分子量の測定]、[臭化物イオン含有量の測定]、[平均一次粒子径(D50)の測定]、及び[色度の測定、及び白色からの色差Dの評価]を行った。
【0091】
重量平均分子量は12,000であった。臭化物イオン含有量は220ppmであった。平均粒径は8μmであった。白色からの色差Dは29であった。結果を表1に示した。
【0092】
実施例2.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、4-tert-ブチルフェノール(PTBP) 0.2g(1.3mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率93%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表1に示した。
【0093】
実施例3.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)(TDBPP) 0.02g(0.01mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率95%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表1に示した。
【0094】
実施例4.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、ヒドロキノン(HQ) 0.02g(0.18mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表1に示した。
【0095】
実施例5.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、4-メトキシフェノール(4OMeP) 0.02g(0.16mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表1に示した。
【0096】
実施例6.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、4-tert-ブチルフェノール(PTBP) 0.02g(0.16mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表1に示した。
【0097】
実施例7.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、4-tert-ブチルカテコール(4tBuC) 0.02g(0.12mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率97%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表2に示した。
【0098】
実施例8.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ) 0.02g(0.12mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率97%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表2に示した。
【0099】
実施例9.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、6-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール(6tBu4,6DMP) 0.02g(0.11mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率97%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表2に示した。
【0100】
実施例10.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、2,6-Di―tert-ブチルフェノール(2,6DtBuP) 0.02g(0.10mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率97%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表2に示した。
【0101】
実施例11.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール(2tBu4OMeP) 0.02g(0.11mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表2に示した。
【0102】
実施例12.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、2,5-Di―tert-ブチルヒドロキノン(2,5DtBuHQ) 0.02g(0.09mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率97%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表2に示した。
【0103】
実施例13.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、3,6-ジヒドロキシベンゾノルボルナン(3,6DHN) 0.02g(0.11mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表3に示した。
【0104】
実施例14.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、2,2’-メチレンビス(6-シクロヘキシル-p-クレゾール)(2,2’MB(6CHPC)) 0.02g(0.05mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表3に示した。
【0105】
実施例15.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル―4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート](PETP) 0.02g(0.04mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表3に示した。
【0106】
実施例16.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、1,4-ベンゾキノン(1,4BQ) 0.02g(0.19mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表3に示した。
【0107】
実施例17.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、2―tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン(2tBu1,4BQ) 0.02g(0.12mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率97%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表3に示した。
【0108】
実施例18.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、亜リン酸トリエチル(TEP) 0.01g(0.06mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表3に示した。
【0109】
実施例19.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、亜リン酸トリヘキシル(THP) 0.01g(0.03mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表4に示した。
【0110】
実施例20.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、亜リン酸トリス(1,1,1-ヘキサフルオロ-2-プロピル)(THFPP) 0.01g(0.02mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率97%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表4に示した。
【0111】
実施例21.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、亜リン酸トリフェニル(TPPI) 0.01g(0.03mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表4に示した。
【0112】
実施例22.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、亜リン酸トリス(2-メチルフェニル)(T2MPP) 0.002g(0.006mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率97%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表4に示した。
【0113】
実施例23.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、亜リン酸トリス(4-メチルフェニル)(T4MPP) 0.002g(0.006mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表4に示した。
【0114】
実施例24.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、亜リン酸トリス(4-ノニルフェニル)(T4NPP) 0.002g(0.003mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率95%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表4に示した。
【0115】
実施例25.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、ペンタエリトリトールビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニルホスファイト)(PEBPP) 0.002g(0.003mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表5に示した。
【0116】
実施例26.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、ジフェニルアミン(DPA) 0.02g(0.12mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表5に示した。
【0117】
実施例27.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン(DEHA) 0.02g(0.22mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表5に示した。
【0118】
実施例28.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO) 0.02g(0.13mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表5に示した。
【0119】
実施例29.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、アンモニウムニトロソフェニルヒドロキシルアミン(ANPHA) 0.02g(0.13mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表5に示した。
【0120】
実施例30.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、2-ベンゾイミダゾールチオール(2BIT) 0.02g(0.13mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表5に示した。
【0121】
実施例31.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、フェノチアジン(PT) 0.02g(0.10mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表6に示した。
【0122】
実施例32.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、3、3’-チオジプロピオン酸ジドデシル(3,3’TDPDD) 0.02g(0.04mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表6に示した。
【0123】
実施例33.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、3,3’-チオジプロピオン酸ジオクタデシル(3,3’TDPDOD) 0.02g(0.03mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率96%で白色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表6に示した。
【0124】
比較例1.
実施例1において、BHTを添加しないこと以外は実施例1と同様の操作を行い、収率92%で褐色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表7に示した。
【0125】
比較例2.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、t-ブチルベンゼン(TBB) 0.2g(1.49mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率95%で褐色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表7に示した。
【0126】
比較例3.
実施例1において、BHT 0.4g(1.8mmol)に代えて、リン酸トリフェニル(TPPA) 0.4g(1.2mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、収率95%で褐色固体状のハロゲン化ポリマーを得た。得られたハロゲン化ポリマーの評価結果を表7に示した。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
【表3】
【0130】
【表4】
【0131】
【表5】
【0132】
【表6】
【0133】
【表7】
【0134】
上記のとおり、本発明のハロゲン化ポリマーは、公知のハロゲン含有ポリマーと比べて、耐熱性が高く、白色度も高いものである。