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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028539
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】起立台の成形方法及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
A61B1/018 514
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006548
(22)【出願日】2024-01-19
(62)【分割の表示】P 2021540764の分割
【原出願日】2020-08-14
(31)【優先権主張番号】P 2019151975
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】原田 高志
(57)【要約】
【課題】操作ワイヤと一体成形される起立台の成形を、簡便な操作で行うことができる起立台の成形方法及び内視鏡を提供する。
【解決手段】分離方向Aに分離可能な第1金型302と第2金型304とを重ね合わせ、かつ、分離方向Aに対して垂直な方向と操作ワイヤ40のワイヤ軸方向とを一致させた状態で、第1金型302と第2金型304により形成されるキャビティ内に操作ワイヤ40を貫通配置する工程と、キャビティ内に、起立台36の材料である成形材料を注入充填して、起立台36と操作ワイヤ40を一体的に成形する工程と、起立台36を成形した後、第1金型302と第2金型304とを分離方向に分離する工程と、を有し、第1金型302と第2金型304とを操作ワイヤ40及び起立台36の回転軸36Bの位置で分離方向に分離して形成される。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部の先端側に設けられた先端部本体に配置される起立台を、操作ワイヤと一体的に成形する、起立台の成形方法であって、
分離方向に分離可能な第1金型と第2金型とを重ね合わせ、かつ、前記分離方向に対して垂直な方向と前記操作ワイヤのワイヤ軸方向とを一致させた状態で、前記第1金型と前記第2金型により形成されるキャビティ内に前記操作ワイヤを貫通配置する工程と、
前記キャビティ内に、前記起立台の材料である成形材料を注入充填して、前記起立台と前記操作ワイヤを一体的に成形する工程と、
前記起立台を成形した後、前記第1金型と前記第2金型とを前記分離方向に分離する工程と、を有し、
前記起立台は、回転軸を有し、前記第1金型と前記第2金型とを前記操作ワイヤ及び前記回転軸の位置で前記分離方向に分離して成形される、
起立台の成形方法。
【請求項2】
前記起立台は、処置具誘導面と、前記処置具誘導面の反対側に配置された裏面と、を有し、
前記第1金型と前記第2金型とを分離した後、前記処置具誘導面の裏面側から突出した前記操作ワイヤを切断する工程と、を有する、
請求項1に記載の起立台の成形方法。
【請求項3】
前記成形材料は、溶融樹脂である、
請求項1又は2に記載の起立台の成形方法。
【請求項4】
前記成形材料は、溶融金属であり、
前記溶融金属を、金属粉末射出成形により前記キャビティ内に充填する、
請求項1又は2に記載の起立台の成形方法。
【請求項5】
前記操作ワイヤの材質がタングステンである、
請求項4に記載の起立台の成形方法。
【請求項6】
操作部材を有する操作部と、
前記操作部の先端側に設けられた挿入部と、
前記挿入部の先端側に設けられた先端部本体と、
前記先端部本体に設けられ、回転自在に配置された起立台と、
前記操作部材の動作に応じて押し引きされることにより前記起立台を回転させる操作ワイヤと、を備え、
前記起立台は、前記操作ワイヤのワイヤ軸方向に対して垂直な分離方向に分離可能な第1金型と第2金型を用いて前記操作ワイヤと一体成形された一体成形体であり、
前記起立台は、回転軸を有し、前記第1金型と前記第2金型とを前記操作ワイヤ及び前記回転軸の位置で前記分離方向に分離して成形されたものである、
内視鏡。
【請求項7】
前記起立台は、処置具誘導面と、前記処置具誘導面の反対側に配置された裏面と、を備え、
前記処置具誘導面側に、前記操作ワイヤと接続する接続部を有し、
前記接続部に接続した前記操作ワイヤが、前記起立台の内部を通過し、前記裏面側に露出する露出部を有する、
請求項6に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起立台の成形方法及び内視鏡に係り、特に、起立台と操作ワイヤとが直接連結された起立台の成形方法、及び、成形された起立台を備える内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡では、操作部に設けられた処置具導入口から各種の処置具を導入し、この処置具を、挿入部の先端部に開口した処置具導出口から外部に導出して処置に用いている。例えば、十二指腸鏡ではガイドワイヤ又は造影チューブ等の処置具が使用される。超音波内視鏡では穿刺針等の処置具が使用される。その他の直視鏡及び斜視鏡においては鉗子又はスネア等の処置具が使用される。このような処置具は、被検体内の所望の位置を処置するために先端部において導出方向を変更する必要がある。このため、挿入部の先端部には、処置具の導出方向を変更する起立台が設けられている。また内視鏡には、起立台の姿勢を起立位置と倒伏位置との間で変位させる処置具起立機構が設けられている。
【0003】
処置具起立機構としては、起立台に操作ワイヤの先端を直接取り付けたワイヤ牽引方式(オープンタイプ)の機構が知られている。この機構は、操作ワイヤの基端を操作部に備えられた操作レバーに連結し、操作レバーによって操作ワイヤを押し引き操作をすることにより起立台を回転軸周りに回転させ、起立位置と倒伏位置との間で起立台の姿勢を変更させている。
【0004】
起立台に操作ワイヤの先端を直接取り付ける方法としては、起立台と操作ワイヤとをロウ付けする、溶接により取り付ける、又は、カシメにより取り付ける方法が行われている。
【0005】
また、起立台の成形方法として、下記の特許文献1には、鉗子起上ワイヤと鉗子起上台とを一体に成形することが記載されている。特許文献2には、牽引押圧部材の先端部を、半田等により起上台に固定することが記載されている。また、特許文献3は、処置具起立台を成形する際に、操作ワイヤを挿通するワイヤ挿通路も一体成形により成形することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-315459号公報
【特許文献2】国際公開第2016/27574号公報
【特許文献3】特開平11-299728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されている鉗子起上台(起立台)は、鉗子起上台の側面から鉗子起上ワイヤ(操作ワイヤ)を起上台に挿入しており、鉗子起上ワイヤの挿入方向と鉗子起上ワイヤの軸方向が異なるため、成形時に鉗子起上ワイヤを曲げる必要があり、製造工程が煩雑であった。特許文献2に記載されている起上台(起立台)においても、牽引押圧部材(操作ワイヤ)を曲げる必要があった。
【0008】
また、特許文献2は、牽引押圧部材と起上台を半田で固定するものであり、牽引押圧部材と起上台を一体で成形するものではなかった。特許文献3に記載の処置具起立装置においても、処置具起立台に形成されるワイヤ挿通路を一体成形等で形成するものであり、操作ワイヤと処置具起立台を一体で形成するものではなかった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、操作ワイヤと一体成形される起立台の成形を、簡便な操作で行うことができる起立台の成形方法及び内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するために、本発明に係る起立台の成形方法は、内視鏡の挿入部の先端側に設けられた先端部本体に配置される起立台を、操作ワイヤと一体的に成形する、起立台の成形方法であって、分離方向に分離可能な第1金型と第2金型とを重ね合わせ、かつ、分離方向と操作ワイヤのワイヤ軸方向とを一致させた状態で、第1金型と第2金型により形成されるキャビティ内に操作ワイヤを貫通配置する工程と、キャビティ内に、起立台の材料である成形材料を注入充填して、起立台と操作ワイヤを一体的に成形する工程と、起立台を成形した後、第1金型と第2金型とを分離方向に分離する工程と、を有する。
【0011】
本発明の目的を達成するために、本発明に係る起立台の成形方法は、内視鏡の挿入部の先端側に設けられた先端部本体に配置される起立台を、操作ワイヤと一体的に成形する、起立台の成形方法であって、分離方向に分離可能な第1金型と第2金型とを重ね合わせ、かつ、分離方向に対して垂直な方向と操作ワイヤのワイヤ軸方向とを一致させた状態で、第1金型と第2金型により形成されるキャビティ内に操作ワイヤを貫通配置する工程と、キャビティ内に、起立台の材料である成形材料を注入充填して、起立台と操作ワイヤを一体的に成形する工程と、起立台を成形した後、第1金型と第2金型とを分離方向に分離する工程と、を有する。
【0012】
本発明の目的を達成するために、本発明に係る内視鏡は、操作部材を有する操作部と、操作部の先端側に設けられた挿入部と、挿入部の先端側に設けられた先端部本体と、先端部本体に設けられ、回転自在に配置された起立台と、操作部材の動作に応じて押し引きされることにより起立台を回転させる操作ワイヤと、を備え、起立台は、操作ワイヤのワイヤ軸方向に分離可能な第1金型と第2金型を用いて操作ワイヤと一体成形された一体成形体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、キャビティ内への操作ワイヤの配置を容易にし、かつ、第1金型と第2金型を分離方向に分離することで、成形された起立台の取り出しも容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】内視鏡を備えた内視鏡システムの構成図である。
図2】内視鏡の先端部を拡大して示す斜視図である。
図3図2に示す先端部本体の斜視図である。
図4図2に示すキャップの斜視図である。
図5】起立台及び操作ワイヤの斜視図である。
図6】第1実施形態の起立台の成形方法を説明する図である。
図7】第1実施形態の起立台の成形方法を説明する図である。
図8】第1実施形態の起立台の成形方法を説明する図である。
図9】第1実施形態の起立台の成形方法を説明する図である。
図10】起立台を裏面側から見た図である。
図11】第1実施形態の起立台の成形方法に用いられる金型の斜視図である。
図12】第2実施形態の起立台の成形方法を説明する図である。
図13】第2実施形態の起立台の成形方法を説明する図である。
図14】第2実施形態の起立台の成形方法を説明する図である。
図15】第3実施形態の起立台の成形方法に用いられる金型の側面断面図である。
図16】金型の分離位置と起立台の位置関係を説明する概略図である。
図17】第3実施形態の起立台の成形方法に用いられる金型の分解図である。
図18】第4実施形態の起立台の成形方法により成形される起立台の斜視図である。
図19】第4実施形態の起立台の成形方法に用いられる金型の側面断面図である。
図20】金型の分離位置と起立台の位置関係を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面にしたがって本発明に係る起立台の成形方法及び内視鏡について説明する。
【0016】
図1は、本発明の起立台の成形方法により成形された起立台を備えた内視鏡システムの構成図である。内視鏡システム12は、内視鏡10、プロセッサ装置14、光源装置16及びディスプレイ18を備えている。
【0017】
内視鏡10は、操作部材である起立操作レバー20が設けられた操作部22と、操作部22の先端側に設けられ、被検体内に挿入される挿入部24と、を備える。
【0018】
挿入部24は、基端から先端に向かう長手軸Axを有し、基端から先端に向って順に軟性部26と、湾曲部28と、先端部30とを備えている。先端部30の詳細な構成については後述するが、まず、先端部30の概略構成について説明する。
【0019】
図2は、先端部30を拡大して示す斜視図である。ここで、実施形態の内視鏡10(図1参照)は、例えば十二指腸鏡として用いられる側視内視鏡であり、図2の先端部30は側視内視鏡における構成を有している。
【0020】
また、図3は、先端部30を構成する先端部本体32の斜視図である。図4は、先端部30を構成するキャップ34の斜視図である。図2に示すように、先端部30は、先端部本体32とキャップ34とを有する。キャップ34は先端部本体32に着脱自在に装着される。先端部本体32は、挿入部24(図1参照)の先端側に設けられている。この先端部本体32には後述する処置具誘導面36Aを有する起立台36が設けられる。図2及び図4では、起立台36が倒伏位置に位置された状態が示されている。
【0021】
また、図2では、内視鏡10(図1参照)の挿入部24の内部に配設される各種の内容物が示されている。具体的には、処置具(不図示)の先端部を、先端部本体32から導出される処置具の先端部の導出方向を変更する操作を行うための起立台36及び操作ワイヤ40と、送気送水チューブ42とが設けられる。操作ワイヤ40は起立台36に直接連結されており、起立台36の成形時に、起立台36と操作ワイヤ40が一体的に成形された一体成形体である。また、図2で図示していないが、先端部本体32に導く処置具チャンネルと、湾曲部28(図1参照)の湾曲方向を変更する操作を行うためのアングルワイヤと、画像信号を送信する信号ケーブルと、照明用光を伝送するライトガイド等の内容物も設けられる。
【0022】
なお、本明細書では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の三次元直交座標系を用いて説明する。すなわち、操作部22から先端部30を見て、起立台36によって処置具(不図示)が導出される方向を上方向とした場合に、上方向をZ(+)方向とし、その反対方向である下方向をZ(-)方向とする。また、そのときにおける右方向をX(+)方向とし、左方向をX(-)方向とする。また、そのときにおける前方向(挿入部24の長手軸Ax方向の先端側の方向)をY(+)方向とし、後方向(挿入部24の長手軸Ax方向の基端側の方向)をY(-)方向とする。なお、Y(+)方向とY(-)方向を包含するY軸方向は、挿入部24の長手軸Axの方向と平行である。Z軸方向は長手軸Axの方向と直交する方向である。X軸方向はZ軸方向に直交する方向である。
【0023】
図1に戻り、操作部22は、全体として略円筒状に構成されている。この操作部22は、起立操作レバー20が回転自在に設けられた操作部本体46と、操作部本体46に連接された把持部48とを有する。挿入部24の基端部が把持部48の先端側に折れ止め管50を介して設けられる。この把持部48は、内視鏡10の操作時に術者によって把持される部分である。
【0024】
また、操作部本体46には、ユニバーサルケーブル52が備えられる。このユニバーサルケーブル52の先端側には、光源コネクタ54が設けられる。光源コネクタ54には、電気コネクタ56が分岐して設けられる。そして、電気コネクタ56はプロセッサ装置14に接続され、光源コネクタ54は光源装置16に接続される。
【0025】
また、操作部本体46には、送気送水ボタン57と吸引ボタン59とが並設されている。送気送水ボタン57を操作すると、図2の送気送水チューブ42にエアと水が供給されて、先端部本体32に設けられた送気送水ノズル58からエアと水を噴出することができる。図1の送気送水ボタン57は、2段階の操作となっている。1段階の操作によって、エアが送気送水チューブ42に供給される。2段階の操作によって、水が送気送水チューブ42に供給される。
【0026】
また、図1の吸引ボタン59を操作すると、図2の先端部本体32に設けられた処置具導出口60から血液等の体液を、処置具チャンネル(不図示)を介して吸引することができる。
【0027】
図1に示すように、操作部本体46には、湾曲部28を湾曲操作する一対のアングルノブ62、62が配置される。一対のアングルノブ62、62は、同軸上で回動自在に設けられる。
【0028】
起立操作レバー20は、アングルノブ62、62と同軸上で回転自在に設けられる。起立操作レバー20は、把持部48を把持する術者の手によって回転操作される。起立操作レバー20が回転操作されると、起立操作レバー20の動作に応じて図2の操作ワイヤ40が押し引き操作される。このような操作ワイヤ40の操作によって、操作ワイヤ40の先端側に連結された起立台36の姿勢が、図2に示される倒伏位置と、不図示の起立位置との間で変更される。
【0029】
図1に示すように、操作部22の把持部48は、処置具を導入する処置具導入口64を備える。処置具導入口64から先端部を先頭にして導入された処置具(不図示)は、不図示の処置具チャンネルに挿通されて、先端部本体32に設けられた処置具導出口60から外部に導出される。
【0030】
図1に示すように、挿入部24の軟性部26は、弾性を有する薄い金属製の帯状板を螺旋状に巻回してなる螺旋管(不図示)を有する。軟性部26は、この螺旋管の外部に、金属線で編んだ筒状の網体を被覆し、この網体の外周面に樹脂からなる外皮を被覆することによって構成される。
【0031】
挿入部24の湾曲部28は、複数のアングルリング(不図示)が相互に回動可能に連結されてなる構造体を有する。湾曲部28は、この構造体の外周に金属線で編んだ筒状の網体を被覆し、この網体の外周面にゴム製の筒状の外皮を被覆することによって構成される。このように構成された湾曲部28からアングルノブ62、62にかけて、例えば4本のアングルワイヤ(不図示)が配設されており、アングルノブ62、62の回動操作によって、これらのアングルワイヤが押し引き操作されることにより湾曲部28が上下左右に湾曲される。
【0032】
実施形態の内視鏡10は、例えば十二指腸鏡として用いられる側視内視鏡であり、挿入部24が口腔を介して被検体内に挿入される。挿入部24は、食道から胃を経て十二指腸まで挿入されて、所定の検査又は治療等の処置が行われる。
【0033】
なお、実施形態の内視鏡10で使用される処置具としては、先端部に生体組織を採取可能なカップを有する生検鉗子、EST(Endoscopic Sphincterotomy:内視鏡的乳頭切開術)用ナイフ又は造影チューブ等の処置具を例示することができる。
【0034】
次に、先端部30の構造について、図2図3及び図4を参照して説明する。
【0035】
図2示すように、先端部30は、先端部本体32と、先端部本体32に着脱自在に装着されるキャップ34と、を備えている。図3に示すように、先端部本体32は、Y(+)方向に向けて突設された隔壁68を有する。キャップ34が先端部本体32に装着されることにより、先端部本体34の隔壁68とキャップ34の壁部34Bとにより起立台収容空間66が形成される。起立台収容空間66は隔壁68のX(+)方向で、処置具導出口60のY(+)方向の位置に配置される。先端部本体32は、耐食性を有する金属材料で構成される。
【0036】
図2及び図3に示すように、隔壁68のZ(+)側の上面68Aには、照明窓74と観察窓76とがY方向に隣接して配設されている。観察窓76は、起立台収容空間66の開口するZ(+)方向の視野領域を観察することを可能にする。
【0037】
送気送水ノズル58は、観察窓76に向けて先端部本体32に設けられる。観察窓76は、送気送水ノズル58から噴射されるエアと水とによって洗浄される。
【0038】
図3に示すように、隔壁68は、内部に光学系収容室72を備える。光学系収容室72は、照明部(不図示)と撮影部(不図示)とを収容する。照明部は、照明窓74の光学系収容室72の側に配置された照明レンズ(不図示)と、照明レンズに先端面が臨むように配置されたライトガイド(不図示)とを備える。ライトガイドは、内視鏡10(図1参照)の挿入部24から操作部22を介してユニバーサルケーブル52に配設される。ライトガイドの基端が光源コネクタ54に接続される。光源コネクタ54が光源装置16に接続されると、光源装置16からの照射光がライトガイドを介して照明レンズに伝達される。照射光が、照明窓74からZ(+)方向に存する視野領域に照射される。
【0039】
撮影部は、観察窓76の内部に配設された撮影光学系(不図示)と、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(charge coupled device)型の撮像素子(不図示)と、を備える。撮像素子には信号ケーブル(不図示)の先端が接続される。信号ケーブルは、内視鏡10(図1参照)の挿入部24から操作部22を介してユニバーサルケーブル52に配設される。信号ケーブルの基端が電気コネクタ56に接続される。電気コネクタ56がプロセッサ装置14に接続されると、撮影部によって得られた被写体像の撮像信号が、信号ケーブルを介してプロセッサ装置14に送信される。撮像信号は、プロセッサ装置14によって画像処理された後、ディスプレイ18に被写体像として表示される。
【0040】
先端部本体32は、基端側にストッパ部63を有する。ストッパ部63は、後述する当接部材37の基端側の面に設けられた被ストッパ部と係合する。先端部本体32には、操作ワイヤ40(不図示)を挿通するための、貫通孔61が設けられる。
【0041】
図4に示すように、キャップ34は、先端側が封止された略筒状に形成された壁部34Bを備える。キャップ34の外周面の一部には、略矩形状の開口窓34Aが壁部34Bにより画定される。Y(+)方向に延びる軸受34Cが、キャップ34の内部に形成される。軸受34Cは、Z(+)方向に高さを有する板形状を有している。キャップ34は、弾性力のある材質、例えばフッ素ゴム又はシリコンゴム等のゴム材料、ポリサルフォン、又はポリカーボネート等の樹脂材料によって構成される。
【0042】
起立台36の回転軸36Bが軸受34Cの貫通孔(不図示)に支持される。回転軸36Bは、軸受34Cと直交するX軸方向に長さを有する棒形状の部材である。回転軸36Bは、起立台36を成形する際に、起立台36と一体で成形される。また、回転軸36Bは、起立台36に貫通孔(不図示)を設け、貫通孔に棒形状の部材を挿入することで、設置するようにしてもよい。
【0043】
操作ワイヤ40は、後述するように、起立台36に直接連結して取り付けられている。操作ワイヤ40は、起立台36の先端側で、処置具誘導面36Aに隣接する位置に取り付けられる。
【0044】
本実施形態においては、起立台36は、図4に示すキャップ34に取り付けられており、起立台36付きのキャップ34として、全体として一部品として使用される。なお、操作ワイヤ40は、起立台36に連結されている。
【0045】
なお、キャップ34の開口窓34Aは、Z(+)方向に向けて開口される。すなわち、キャップ34の開口窓34Aの開口方向は、挿入部の長手軸Axの方向に直交し、かつ、回転軸36Bの軸方向(X方向)に直交する方向である。
【0046】
キャップ34は、壁部34Bと一体成形された当接部材37を備える。当接部材37は樹脂材料で構成される。当接部材37は、開口窓34Aの基端の側(Y(-)方向側)に配置される。当接部材37は、全体としてY(+)方向の側に突出する。一体成形とは、接着や機械的接合を用いないで,部材の接合と同時に製品(キャップ34と当接部材37)を一体で成形することを意味する。
【0047】
操作ワイヤ40及び起立台36を含むキャップ34は、内視鏡10の処置が終了すると、先端部本体32から取り外されて、例えば、ディスポーザブルとして廃棄される。
【0048】
キャップ34が先端部本体32に装着されると、図2に示すように、キャップ34が起立台収容空間66を形成し、開口窓34AがZ(+)方向に向けて開口される。先端部本体32の処置具導出口60が起立台収容空間66を介して開口窓34Aに連通される。当接部材37は、処置具導出口60に対しZ(+)方向に位置し、起立台36が起立位置にある場合、処置具誘導面36Aに対向する位置に設けられる。
【0049】
(起立台の成形方法)
次に起立台の成形方法について説明する。図5は、本発明の起立台の成形方法により成形される起立台の斜視図である。起立台36は、操作ワイヤ40が直接連結されており、起立台36を成形する際に、起立台36と操作ワイヤ40とが一体的に成形される。
【0050】
<第1実施形態>
起立台36の第1実施形態の起立台の成形方法について説明する。第1実施形態の起立台の成形方法は、起立台36を連続して成形する方法である。
【0051】
図6から図10は、第1実施形態の起立台の成形方法を説明する図であり、図6図7図8及び図10は、操作ワイヤ40の位置で切断した平面断面図である。なお、第1金型102及び第2金型104のキャビティ106内の構造については、図面の簡略化のため省略する。
【0052】
起立台36の成形は、第1金型102と第2金型104とからなる金型100を用いて行う。第1金型102と第2金型104とは、矢印Aで示す分離方向(以下、「分離方向A」という)に分離可能である。第2金型104は、さらに、第1部材104Aと第2部材104Bとに矢印Bで示す分離方向(以下、「分離方向B」という)に、分離可能である。第1金型102と第2金型104とを重ね合わせることで、その内部に、起立台36に対応するキャビティ106が形成される。第1金型102には、操作ワイヤ40をキャビティ106内に挿通させるための貫通孔110Aを有する。また、第2金型104には、第1金型102の貫通孔110Aに対向する位置に、操作ワイヤ40をキャビティ106から第2金型104の外側に挿通させるための貫通孔110Bを有する。第2金型104の貫通孔110Bは、第1部材104Aの溝と第2部材104Bの溝とにより形成されている。
【0053】
起立台36の成形は、図6に示すように、第1金型102と第2金型104とを重ね合わせる。操作ワイヤ40は、第1金型102に設けられた貫通孔110Aを貫通し、キャビティ106内に貫通配置させるとともに、第2金型104の貫通孔110Bを貫通させる。操作ワイヤ40は、第1金型102側からキャビティ106内を通過し、第2金型104側に抜けるように配置される。この時、操作ワイヤ40のワイヤ軸方向と分離方向Aを一致させた状態で操作ワイヤ40及び金型100を配置する。なお、「操作ワイヤ40のワイヤ軸方向と分離方向Aを一致させる」とは、操作ワイヤ40のワイヤ軸方向と分離方向Aが完全に同一であることに限定されず、起立台36を取り出す際に、起立台36を分離方向Aと同方向に移動することで取り出せる程度のずれを含んでいてもよい。
【0054】
次に、図7に示すように、キャビティ106内に起立台36の材料である成形材料108を注入充填する。成形材料108としては、樹脂を用いることができ、溶融した溶融樹脂をキャビティ106内に充填する。樹脂として、例えば、PEEK(Poly Ether Ether Ketone:ポリエーテルエーテルケトン)を用いることができる。また、成形材料108として、金属を用い、溶融した溶融金属をMIM(Metal Injection Molding:金属粉末射出成形)により金属をキャビティ106内に充填することもできる。
【0055】
起立台36の材料としてPEEKを用いた場合は、起立台36の成形温度は350℃以上400℃以下となるため、操作ワイヤ40の材質はSUS(StainLess Steel:融点約1400℃)を用いることが好ましい。また、材料として金属を用いた場合は、起立台36の成形温度は1200℃以上1400℃以下となるため、操作ワイヤ40の材質はタングステン(融点約3400℃)を用いることが好ましい。
【0056】
成形材料108をキャビティ106内に充填した後、冷却することで、成形材料108を固化させ、操作ワイヤ40が起立台36の内部に配置された起立台36を形成する。
【0057】
起立台36の成形後、図8に示すように、第1金型102及び第2金型104を分離方向Aに分離するとともに、第2金型104を、第1部材104Aと第2部材104Bとに分離方向Bに分離する。第1金型102と第2金型104の分離方向Aは、操作ワイヤ40のワイヤ軸方向と一致しているため、起立台36と一緒に、第2金型を操作ワイヤ40のワイヤ軸方向に移動させることで、操作ワイヤ40を曲げることなく、第1金型102から起立台36を分離することができる。
【0058】
起立台36を、第2金型104とともに分離方向Aと同じ方向に移動させているため、第1金型102は固定した状態で、起立台36を第1金型102から分離させることができる。第1金型102から分離した起立台36は、第1部材104Aと第2部材104Bとに分離した間から、操作ワイヤ40のワイヤ軸方向に沿って抜き出すことができる。
【0059】
起立台36を金型100から分離した後は、図9に示すように、再度、金型100が重ね合わされる。金型100から起立台36を取り出した後、操作ワイヤ40が切断される。操作ワイヤ40は、起立台36の処置具誘導面36A側は、図1に示す起立操作レバー20と接続可能な長さで切断される。また、起立台36の処置具誘導面36Aの反対側の裏面36C側から突出した操作ワイヤ40は、裏面36Cに沿って切断される。図10は、起立台36の裏面36C側から見た図である。起立台36の裏面36C側には、突出した操作ワイヤ40を切断したことによる、操作ワイヤ40が露出した露出部36Eが形成される。起立台36の処置具誘導面36A側は、図5に示すように、操作ワイヤ40は、処置具誘導面36Aの側部に設けられた接続部36Dで直接接続されている。
【0060】
起立台36が抜き出され、重ね合わされた金型100は、図6の工程に戻り、起立台36を成形する成形材料108がキャビティ106内に充填され、起立台36の連続成形が行われる。
【0061】
図11は、金型100の斜視図である。第1金型102と第2金型104の分離は、起立台36の回転軸36Bの中心(軸心)を通る位置で、分離方向Aに分離されることが好ましい。第1金型102と第2金型104との分離位置を、回転軸36Bの中心とすることで、回転軸36Bを有する起立台36に対して、第1金型102と第2金型104とを容易に分離することができる。
【0062】
なお、第1金型102と第2金型104との分離位置は、回転軸36Bの中心を通る位置に限定されず、回転軸36Bの中心が第2金型104側にあってもよいし、第2金型104側に、回転軸36Bが配置されるように、金型100を設計してもよい。第2金型104は、分離方向Bに第1部材104Aと第2部材104Bとに分離可能であるため、分離方向Bに分離することで、第2金型104から回転軸36Bを抜くことができる。
【0063】
上記においては、回転軸36Bを起立台36と一体で成形する場合の第1金型102と第2金型104との分離位置について説明したが、回転軸36Bを別部材とし、起立台36に回転軸36Bが挿入される孔を設けてもよい。起立台36に孔を設ける場合は、第2金型104に、起立台36の孔に対応する位置に軸部材を設ける。第2金型104は、第1部材104A及び第2部材104Bに分離可能であるため、第2金型104を分離することで、軸部材を抜くことができ、孔を形成することができる。なお、孔を形成するための軸部材は、第2金型104に設けなくとも、第1金型102及び第2金型104とは別の部材としてキャビティ106内に配置してもよい。孔を形成するための軸部材を別部材とした場合、第1金型102と第2金型104との分離位置は、特に限定されない。
【0064】
本実施形態の起立台の成形方法のように、操作ワイヤ40のワイヤ軸方向と第1金型102と第2金型104の分離方向Aを一致させることで、第1金型102を固定した状態で起立台36と第2金型104とを抜くことができる。また、第1金型102を固定することで、金型の重ね合わせを容易に行うことができる。さらに、第1金型102に、常に操作ワイヤ40が通った状態で、起立台36の連続成形を行うことができるので、操作ワイヤ40の位置合わせを容易に行うことができる。したがって、連続した起立台36の成形を容易に行うことができる。
【0065】
また、処置具誘導面36Aは、操作ワイヤ40のワイヤ軸方向に対して凹形状に形成されているため、処置具誘導面36Aを当接部材37の形状に合わせた形状で成形しやすくすることができる。
【0066】
<第2実施形態>
第2実施形態の起立台の成形方法は、起立台を1つずつ成形する方法である。
【0067】
図12から図14は、第2実施形態の起立台の成形方法を説明する図であり、操作ワイヤ40の部分で切断した平面断面図である。第2実施形態の起立台の成形方法は、連続成形でないため、第1金型202と第2金型204とは分離するが、第2金型204は分離しない点が、第1実施形態の起立台の成形方法と異なっている。なお、第1金型202及び第2金型204のキャビティ106内の構造については、図面の簡略化のため省略する。
【0068】
起立台の成形は、第1金型202と第2金型204とからなる金型200を用いて行う。第1金型202と第2金型204とを重ね合わせることで、その内部に、起立台36に対応するキャビティ206が形成される。第2金型202には、操作ワイヤ40をキャビティ206内に挿通させるための貫通孔210を有する。
【0069】
起立台36の成形は、まず、図12に示すように、第1金型202と第2金型204とを重ね合わせる。操作ワイヤ40は、第1金型202に設けられた貫通孔210を貫通し、キャビティ206内に操作ワイヤ40の先端を、貫通配置する。この際、操作ワイヤ40のワイヤ軸方向と、第1金型202と第2金型204との分離方向Aが一致するように、配置させる。
【0070】
次に、図13に示すように、キャビティ206内に起立台36の材料である成形材料108を注入充填する。成形材料としては、第1実施形態の材料と同様の材料を用いることができる。成形材料108をキャビティ内に充填した後、冷却することで、成形材料108を固化させ、操作ワイヤ40が内部に挿入された起立台36が形成される。
【0071】
最後に、第1金型202及び第2金型204を分離方向Aに分離し、起立台36を金型200から抜き出す。第1金型202と第2金型204の分離方向Aは、操作ワイヤ40の軸方向と一致しているため、第1金型202と第2金型204を、分離方向Aに分離させることで、容易に、金型200から起立台36を抜くことができる。
【0072】
本実施形態においても、第1金型202は固定した状態で、第2金型204を分離方向Aに分離することで、第1金型202から起立台36及び第2金型204を分離することができる。起立台36は、金型200の分離方向Aに抜くことで、操作ワイヤ40も金型200から抜くことができる。
【0073】
なお、第1金型202と第2金型204との分離位置は、起立台36に回転軸36Bを一体成形する場合は、回転軸36Bの中心(軸心)を通る位置を分離位置とする。回転軸36Bを別部材とし、回転軸36Bを挿入する孔を設ける場合、第1金型202及び第2金型204とは別に、孔を形成するための軸部材を別部材として配置することが好ましい。
【0074】
<第3実施形態>
第3実施形態の起立台の成形方法は、起立台を連続して成形する方法において、第1金型と第2金型の分離方向Aが、操作ワイヤ40のワイヤ軸方向に対して、垂直方向である点が、第1実施形態及び第2実施形態の起立台の成形方法と異なっている。
【0075】
図15は、第3実施形態の起立台の成形方法に用いられる金型の側面断面図である。図16は、金型の分離位置と起立台の位置関係を説明する概略図であり、操作ワイヤのワイヤ軸方向から見た図である。図16においては、金型300内で成形される起立台36を透過線(破線)で示す。
【0076】
第3実施形態の起立台の成形方法に用いられる金型300は、第1金型302と第2金型304から構成される。第1金型302と第2金型304とは、操作ワイヤ40のワイヤ軸方向に対して分離方向Aに分離可能である。また、金型300は、図16に示すように、起立台36の処置具誘導面36Aを形成するための誘導面形成部材305を有する。誘導面形成部材305を設けることで、処置具誘導面36Aを、処置具を誘導しやすい所望の形状、又は、当接部材37の形状に合わせた形状を形成しやすくすることができる。
【0077】
起立台36の成形は、第1金型302と第2金型304とを重ね合わせ、さらに、起立台36の処置具誘導面36Aを形成するための誘導面形成部材305を重ね合わせ、キャビティ306を形成する。操作ワイヤ40は、図16に示すように、第1金型302及び第2金型304の間に挿通される。すなわち、第1金型302と第2金型304との分離方向Aに対して垂直な方向と、操作ワイヤ40のワイヤ軸方向とを一致させた状態で、キャビティ306内に挿通配置される。操作ワイヤ40がキャビティ306内に配置された後、成形材料が充填される。成形材料の充填後、冷却することで、成形材料を固化させ、操作ワイヤ40が内部に配置された起立台36を形成する。
【0078】
起立台36の形成後、図17に示すように、第1金型302と第2金型304とを、操作ワイヤ40の軸方向と垂直な分離方向Aに分離するとともに、誘導面形成部材305を操作ワイヤ40の軸方向と平行な方向にスライドさせる。成形された起立台36は、分離方向Aに分離した第1金型302と第2金型304との間から抜き出すことができる。
【0079】
起立台36を金型300から抜いた後は、第1金型302、第2金型304、及び誘導面形成部材305が、再度重ね合わさる。重ね合わされた金型300は、キャビティ306内に形成材料が充填され、起立台36の連続成形が行われる。
【0080】
操作ワイヤ40は、第1実施形態の成形方法と同様に、処置具誘導面36A側は、起立操作レバー20と接続可能な長さで切断される。また、裏面36C側から突出した操作ワイヤ40は、裏面36Cに沿って切断される。
【0081】
第3実施形態の起立台36の成形方法に用いられる金型300は、第1金型302と第2金型304とは、図16に示すように、操作ワイヤ40の位置、及び、回転軸36Bの位置で分離させる。これにより、第1金型302と第2金型304とを、操作ワイヤ40の軸方向に対して垂直方向に分離させることができる。
【0082】
なお、回転軸36Bを起立台36と別部材とすることもできる。この場合、起立台36に回転軸36Bを挿通する孔を形成するため、孔を形成するための軸部材をキャビティ306内に配置することで、孔を形成する。
【0083】
第3実施形態においては、成形された起立台36を金型300から取り出す際に、第1金型302及び第2金型304の両方の金型を操作ワイヤ40の軸方向に対して垂直方向に移動させる必要がある。そのため、第1金型302及び第2金型304を重ね合わせる際に、操作ワイヤ40の位置決めを行う必要がある。
【0084】
<第4実施形態>
図18から図20は、第4実施形態の起立台の成形方法を説明する図である。図18は、第4実施形態の起立台の成形方法により成形される起立台136の斜視図である。第4実施形態の起立台の成形方法も、第3実施形態の起立台の成形方法と同様に、第1金型402と第2金型404の分離方向に対して、垂直な方向に操作ワイヤ40のワイヤ軸方向を一致させた状態で、起立台136の成形を行う。また、第4実施形態の起立台の成形方法により成形される起立台136は、処置具誘導面136Aが、平面である点が、図5に示す起立台36と異なっている。
【0085】
第4実施形態の起立台の成形方法においては、処置具誘導面136Aが、凹状の湾曲部でなく、平面であるため、第3実施形態の成形方法に用いられる誘導面形成部材305を設けることなく、起立台136を成形することができる。すなわち、第4実施形態の成形方法においては、第1金型402と第2金型404の二つの部材で構成される金型400を用いて起立台の成形を行うことができる。
【0086】
図19は、第4実施形態の起立台の成形方法に用いられる金型の側面断面図であり、図20は、金型の分離位置と起立台の位置関係を説明する概略図であり、操作ワイヤのワイヤ軸方向から見た図である。図20においては、金型400内で成形される起立台136を透過線(破線)で示す。
【0087】
第1金型402と第2金型404との分離位置は、操作ワイヤ40及び回転軸136Bの位置で分離させる。これにより、第1金型402と第2金型404とを、操作ワイヤ40の軸方向に対して垂直方向に分離させることができる。処置具誘導面136Aに対応する部分は、成形される起立台136の処置具誘導面136Aにつなぎ部分が形成されないように、第1金型402、又は、404のいずれかの金型で成形されることが好ましい。図20においては、第1金型402により、処置具誘導面136Aが成形される。処置具誘導面136Aにつなぎ部分を形成しないことで、処置具導出口60から導出された処置具をスムーズに誘導することができる。
【符号の説明】
【0088】
10 内視鏡
12 内視鏡システム
14 プロセッサ装置
16 光源装置
18 ディスプレイ
20 起立操作レバー
22 操作部
24 挿入部
26 軟性部
28 湾曲部
30 先端部
32 先端部本体
34 キャップ
34A 開口窓
34B 壁部
34C 軸受
36、136 起立台
36A、136A 処置具誘導面
36B 回転軸
36C 裏面
36D 接続部
36E 露出部
37 当接部材
40 操作ワイヤ
42 送気送水チューブ
46 操作部本体
48 把持部
50 折れ止め管
52 ユニバーサルケーブル
54 光源コネクタ
56 電気コネクタ
57 送気送水ボタン
58 送気送水ノズル
59 吸引ボタン
60 処置具導出口
61 貫通孔
62 アングルノブ
63 ストッパ部
64 処置具導入口
66 起立台収容空間
68 隔壁
68A 上面
72 光学系収容室
74 照明窓
76 観察窓
100、200、300、400 金型
102、202、302、402 第1金型
104、204、304、404 第2金型
104A 第1部材
104B 第2部材
106、206、306 キャビティ
108 成形材料
110A、110B、210 貫通孔
305 誘導面形成部材
A、B 分離方向
Ax 挿入部の長手軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20