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特開2024-29010ステージ装置、露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029010
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】ステージ装置、露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240227BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20240227BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F9/00 Z
G03F9/00 H
H01L21/68 K
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212981
(22)【出願日】2023-12-18
(62)【分割の表示】P 2022531127の分割
【原出願日】2020-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100136261
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 俊成
(72)【発明者】
【氏名】西野 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】原 篤史
(57)【要約】
【課題】 微動ステージの位置決め精度を向上する。
【解決手段】 ステージ装置は、物体を支持する第1支持面を有する移動体と、前記移動体を下方から接続支持する弾性変形可能な第1支持部材および第2支持部材を有する支持部と、前記支持部を支持する第2支持面を有する支持装置と、前記第1支持面と前記第2支持面とが成す角度が変更されるよう前記移動体を移動させる駆動部と、を備え、前記支持部は、前記駆動部による前記角度の変更に伴い、前記第1支持面と前記第2支持面との間隔が狭い一方側を支持する前記第1支持部材が縮み、前記第1支持面と前記第2支持面との間隔が広い他方側を支持する前記第2支持部材が伸びるように弾性変形して前記移動体を支持する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を支持する第1支持面を有する移動体と、
前記移動体を下方から接続支持する弾性変形可能な第1支持部材および第2支持部材を有する支持部と、
前記支持部を支持する第2支持面を有する支持装置と、
前記第1支持面と前記第2支持面とが成す角度が変更されるよう前記移動体を移動させる駆動部と、を備え、
前記支持部は、前記駆動部による前記角度の変更に伴い、前記第1支持面と前記第2支持面との間隔が狭い一方側を支持する前記第1支持部材が縮み、前記第1支持面と前記第2支持面との間隔が広い他方側を支持する前記第2支持部材が伸びるように弾性変形して前記移動体を支持する、
ステージ装置。
【請求項2】
物体を支持する第1支持面と、前記第1支持面に対向する第2支持面と、を有する移動体と、
前記第2支持面へ重力方向上向きの力を付与し、前記移動体を接続支持する支持部と、
前記移動体が第1状態から前記第1支持面の傾斜角度が変更された第2状態となるように、前記移動体を移動させる駆動部と、を備え、
前記支持部は、前記第2状態となる前記移動体に対して、重力方向と交差する方向に関して、前記第2支持面上の互いに異なる第1位置と第2位置とにおいて、互いに異なる力で前記移動体を支持する、
ステージ装置。
【請求項3】
前記支持部は、接続部を介して前記移動体を接続支持する、
請求項2に記載のステージ装置。
【請求項4】
前記支持部は、前記第1位置で前記移動体を支持する第1支持部材と、前記第2位置で前記移動体を支持する第2支持部材と、を有する、
請求項3に記載のステージ装置。
【請求項5】
前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記移動体に対して異なる弾性力により前記移動体を支持する、
請求項4に記載のステージ装置。
【請求項6】
前記支持部を下方から支持する支持装置を備える、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のステージ装置。
【請求項7】
物体が載置される移動体と、
前記移動体を下方から接続支持する支持部と、
前記移動体を駆動し、前記移動体の姿勢を第1状態から第2状態へ変化させる駆動部と、を備え、
前記支持部は、前記移動体から前記支持部に対する荷重に対して弾性変形可能な弾性部材を含み、
前記弾性部材は、前記駆動部による前記移動体の姿勢変化に対応して、前記弾性部材の高さの分布を変化させる、ステージ装置。
【請求項8】
物体が載置される移動体と、
前記移動体を下方から接続支持する支持部と、
前記移動体を駆動し、前記移動体の姿勢を第1状態から第2状態へ変化させる駆動部と、を備え、
前記支持部は、前記移動体から前記支持部に対する荷重に対して弾性変形可能な弾性部材を含み、
前記弾性部材は、前記駆動部による前記移動体の姿勢変化に対応して、重力方向に直交する方向に関して互いに異なる位置における前記弾性部材の重力方向の高さを、互いに異なる高さに変化させる、ステージ装置。
【請求項9】
物体が載置される移動体と、
前記移動体を下方から接続支持する支持部と、
前記移動体を駆動し、前記移動体の姿勢を第1状態から第2状態へ変化させる駆動部と、を備え、
前記支持部は、前記移動体から前記支持部に対する荷重に対して弾性変形可能な弾性部材を含み、
前記弾性部材は、重力方向に直交する方向に関して互いに異なる第1位置と第2位置とにおける前記弾性部材の重力方向の高さの比を、前記第1状態と前記第2状態とで異なる大きさに変化させる、ステージ装置。
【請求項10】
前記支持部は、接続部を介して前記移動体を接続支持する、
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のステージ装置。
【請求項11】
前記駆動部は、
前記支持部に支持された前記移動体を、前記支持装置に対して相対移動させる第1駆動部と、
前記第1駆動部に設けられた第1部材と前記移動体に設けられた第2部材とを含み、互いに非接触で配置された前記第1部材および前記第2部材を介して、前記第1駆動部に対して前記移動体を相対移動させる第2駆動部と、を有する、
請求項1または請求項6に記載のステージ装置。
【請求項12】
前記第2駆動部は、前記第1駆動部により前記移動体を前記支持装置に対して相対移動させるための駆動力を、前記第1部材および前記第2部材を介して、前記移動体に伝達する、
請求項11に記載のステージ装置。
【請求項13】
前記第1部材は、前記移動体と前記支持部とにより構成された構造物の重心と略一致する位置に設けられる、
請求項12に記載のステージ装置。
【請求項14】
前記第2駆動部は、前記重心を回転中心として、前記構造物を回転移動させる、
請求項13に記載のステージ装置。
【請求項15】
一端が前記移動体と接続され、他端が前記支持部と接続され、厚み方向が前記移動体の移動基準面と直交する方向と平行になるように設置された板ばねを備える、
請求項11から請求項14のいずれか1項に記載のステージ装置。
【請求項16】
前記支持部は、前記移動体に接続される、
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のステージ装置。
【請求項17】
前記支持部は、前記移動体に対して重力方向に減衰力を発生させる減衰機構を有する、
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のステージ装置。
【請求項18】
前記支持部は、内部に気体が満たされた気体ばねである、
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載のステージ装置。
【請求項19】
前記移動体は、中空であり、
前記移動体の内部と前記気体ばねの内部とは連通している、
請求項18に記載のステージ装置。
【請求項20】
前記支持部は、コイルばねである、
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載のステージ装置。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか1項に記載のステージ装置と、
エネルギービームにより、前記物体に所定のパターンを形成するパターン形成装置と、
を備える露光装置。
【請求項22】
前記物体は、フラットパネルディスプレイに用いられる基板である、
請求項21に記載の露光装置。
【請求項23】
前記基板は、少なくとも一辺の長さ又は対角長が500mm以上である、
請求項22に記載の露光装置。
【請求項24】
請求項21から請求項23のいずれか1項に記載の露光装置を用いて前記物体を露光することと、
露光された前記物体を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項25】
請求項21から請求項23のいずれか1項に記載の露光装置を用いて前記物体を露光することと、
露光された前記物体を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ステージ装置、露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャン方式の露光装置において、露光対象の基板の大型化及び描画パターンの高精細化に伴い、ステージの位置決め精度の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-249555号公報
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、物体を支持する第1支持面を有する移動体と、所定の厚みを持ち、前記移動体を支持する弾性変形可能な支持部と、前記支持部を支持する第2支持面を有する支持装置と、前記第1支持面と前記第2支持面とが成す角度が変更されるよう前記移動体を移動させる駆動部と、を備え、前記支持部は、前記駆動部による前記角度の変更に伴い、前記第1支持面と前記第2支持面との間隔が狭い一方側の前記所定の厚みが薄く、前記第1支持面と前記第2支持面との間隔が広い他方側の前記所定の厚みが厚くなるように弾性変形して前記移動体を支持する、ステージ装置が提供される。
【0005】
第2の態様によれば、物体を支持する第1支持面を有する移動体と、前記移動体を下方から支持する弾性変形可能な第1支持部材および第2支持部材を有する支持部と、前記支持部を支持する第2支持面を有する支持装置と、前記第1支持面と前記第2支持面とが成す角度が変更されるよう前記移動体を移動させる駆動部と、を備え、前記支持部は、前記駆動部による前記角度の変更に伴い、前記第1支持面と前記第2支持面との間隔が狭い一方側を支持する前記第1支持部材が縮み、前記第1支持面と前記第2支持面との間隔が広い他方側を支持する前記第2支持部材が伸びるように弾性変形して前記移動体を支持する、ステージ装置が提供される。
【0006】
第3の態様によれば、物体を支持する第1支持面を有する移動体と、前記第1支持面とは異なる第2支持面へ重力方向上向きの力を付与し、前記移動体を支持する支持部と、前記移動体が第1状態から前記第1支持面の傾斜角度が変更された第2状態となるように、前記移動体を移動させる駆動部と、を備え、前記支持部は、前記第2状態となる前記移動体に対して、重力方向と交差する方向に関して、前記第2支持面上の互いに異なる第1位置と第2位置とにおいて、互いに異なる力で前記移動体を支持する、ステージ装置が提供される。
【0007】
第4の態様によれば、物体を支持する第1支持面を有する移動体と、前記移動体を支持する第2支持面を有する支持装置と、重力方向において、前記移動体と前記支持装置との間に配置され、前記移動体を支持し、前記第1支持面と前記第2支持面との間隔が狭い一方側において厚みが薄く、前記第1支持面と前記第2支持面との間隔が広い他方側において厚みが厚い支持部と、を備えるステージ装置が提供される。
【0008】
第5の態様によれば、物体が載置される移動体と、前記移動体を下方から支持する支持部と、前記移動体を駆動し、前記移動体の姿勢を第1状態から第2状態へ変化させる駆動部と、を備え、前記支持部は、前記移動体から前記支持部に対する荷重に対して弾性変形可能な弾性部材を含み、前記弾性部材は、前記駆動部による前記移動体の姿勢変化に対応して、前記弾性部材の高さの分布を変化させる、ステージ装置が提供される。
【0009】
第6の態様によれば、物体が載置される移動体と、前記移動体を下方から支持する支持部と、前記移動体を駆動し、前記移動体の姿勢を第1状態から第2状態へ変化させる駆動部と、を備え、前記支持部は、前記移動体から前記支持部に対する荷重に対して弾性変形可能な弾性部材を含み、前記弾性部材は、前記駆動部による前記移動体の姿勢変化に対応して、重力方向に直交する方向に関して互いに異なる位置における前記弾性部材の重力方向の高さを、互いに異なる高さに変化させる、ステージ装置が提供される。
【0010】
第7の態様によれば、物体が載置される移動体と、前記移動体を下方から支持する支持部と、前記移動体を駆動し、前記移動体の姿勢を第1状態から第2状態へ変化させる駆動部と、を備え、前記支持部は、前記移動体から前記支持部に対する荷重に対して弾性変形可能な弾性部材を含み、前記弾性部材は、重力方向に直交する方向に関して互いに異なる第1位置と第2位置とにおける前記弾性部材の重力方向の高さの比を、前記第1状態と前記第2状態とで異なる大きさに変化させる、ステージ装置が提供される。
【0011】
第8の態様によれば、上記のいずれかのステージ装置と、エネルギービームにより、前記物体に所定のパターンを形成するパターン形成装置と、を備える露光装置が提供される。
【0012】
第9の態様によれば、上記の露光装置を用いて前記物体を露光することと、露光された前記物体を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法が提供される。
【0013】
第10の態様によれば、上記の露光装置を用いて前記物体を露光することと、露光された前記物体を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0014】
なお、後述の実施形態の構成を適宜改良しても良く、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させても良い。更に、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
図2図2は、図1の露光装置が有する微動ステージの構成を概略的に示す図である。
図3図3(A)は、基板ステージ装置の平面図であり、図3(B)は、微動ステージを除いた基板ステージ装置の平面図である。
図4図4は、微動ステージ及びY粗動ステージを除いた基板ステージ装置の平面図である。
図5図5(A)及び図5(B)は、気体ばねの除振性能について説明するための図である。
図6図6は、微動ステージへの外乱の伝達について説明するための図である。
図7図7(A)は、第1実施形態の変形例1に係る基板ステージ装置の構成を示す図であり、図7(B)は、変形例1に係る微動ステージを示す図である。
図8図8は、第1実施形態の変形例2に係る基板ステージ装置の構成を概略的に示す図である。
図9図9(A)は、第1実施形態の変形例3-1に係る基板ステージ装置の構成を示す図であり、図9(B)は、第1実施形態の変形例3-2に係る基板ステージ装置の構成を概略的に示す図である。
図10図10は、第1実施形態の変形例4に係る基板ステージ装置の構成を概略的に示す図である。
図11図11は、第1実施形態の変形例5に係る基板ステージ装置の構成を概略的に示す図である。
図12図12は、第1実施形態の変形例6に係る基板ステージ装置の構成を概略的に示す図である。
図13図13は、第2実施形態に係る基板ステージ装置の構成を概略的に示す図である。
図14図14は、第2実施形態の変形例に係る基板ステージ装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
≪第1実施形態≫
まず、本発明に係る第1実施形態について、図1図6に基づいて説明する。
【0017】
図1は、第1実施形態に係る露光装置10Aの構成を概略的に示す図である。図2は、第1実施形態に係る微動ステージ50Aの構成を概略的に示す図である。図3(A)は、基板ステージ装置20Aの平面図であり、図3(B)は、微動ステージ50Aを除いた基板ステージ装置20Aの平面図である。図4(A)は、微動ステージ50A及びY粗動ステージ30を除いた基板ステージ装置20Aの平面図である。
【0018】
露光装置10Aは、例えば液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0019】
露光装置10Aは、照明系12、回路パターン等のパターンが形成されたマスクMを保持するマスクステージ14、投影光学系16、表面(図1で+Z側を向いた面)にレジスト(感応剤)が塗布された基板Pを保持する基板ステージ装置20A、及びこれらの制御系等を有している。以下、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系16に対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でX軸に直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向として説明を行うとともに、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸方向に関する位置をそれぞれX位置、Y位置、及びZ位置として説明を行う。
【0020】
照明系12は、例えば米国特許第5,729,331号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。照明系12は、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。
【0021】
マスクステージ14は、光透過型のマスクMを保持している。マスクステージ14は、例えばリニアモータを含む駆動系(不図示)を介してマスクMを照明系12(照明光IL)に対してX軸方向(スキャン方向)に所定の長ストロークで駆動するとともに、Y軸方向、及びθz方向に微小駆動する。マスクMの水平面内の位置情報は、例えばレーザ干渉計またはエンコーダを含むマスクステージ位置計測系(不図示)により求められる。
【0022】
投影光学系16は、マスクステージ14の下方に配置されている。投影光学系16は、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される投影光学系と同様な構成の、いわゆるマルチレンズ型の投影光学系であり、例えば正立正像を形成する両側テレセントリックな複数の光学系を備えている。
【0023】
露光装置10Aでは、照明系12からの照明光ILによって所定の照明領域内に位置するマスクMが照明されると、マスクMを通過した照明光により、投影光学系16を介してその照明領域内のマスクMのパターンの投影像(部分的なパターンの像)が、基板P上の露光領域に形成される。そして、照明領域(照明光IL)に対してマスクMが走査方向に相対移動するとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pが走査方向に相対移動することで、基板P上の1つのショット領域の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMに形成されたパターン(マスクMの走査範囲に対応するパターン全体)が転写される。ここで、マスクM上の照明領域と基板P上の露光領域(照明光の照射領域)とは、投影光学系16によって互いに光学的に共役な関係になっている。
【0024】
(基板ステージ装置20A)
基板ステージ装置20Aは、基板Pを投影光学系16(照明光IL)に対して高精度で位置制御するための装置であり、基板PをX軸方向及びY軸方向に所定の長ストロークで駆動するとともに、6自由度方向に微小駆動する。露光装置10Aで用いられる基板ステージ装置の構成は、特に限定されないが、本第1実施形態では、一例として米国特許出願公開第2012/0057140号明細書などに開示されるような、ガントリタイプの2次元粗動ステージと、該2次元粗動ステージに対して微小駆動される微動ステージとを含む、いわゆる粗微動構成の基板ステージ装置20Aが用いられている。
【0025】
図1に示すように、基板ステージ装置20Aは、一対のコラム18、定盤19、微動ステージ50A、一対のベースフレーム70、Y粗動ステージ30、X粗動ステージ40、及び基板ステージ装置20Aを構成する各要素を駆動するための基板駆動系、上記各要素の位置情報を計測するための計測系などを備えている。
【0026】
一対のコラム18は、それぞれY軸方向に延びる部材から成り(図3(A)等参照)、その長手方向の両端部が床(床面)F上に設置された除振装置17により下方から支持されている(図1参照)。一対のコラム18は、X軸方向に所定間隔で平行に配置されている。除振装置17上の一対のコラム18は、一対のベースフレーム70とは、分離されて床(床面)F上に設置される。
【0027】
定盤19は、X軸方向に延びる部材から成り(図3(A)等参照)、その長手方向の両端部が一対のコラム18により下方から支持されている。定盤19の上面(+Z側の面)の平面度は、非常に高く仕上げられている。定盤19の上面は、支持機構53Aを支持する支持面として機能する。
【0028】
図2に示すように、微動ステージ50Aは、基板Pを保持する保持装置55Aと、保持装置55Aを支持する支持機構53Aと、を備える。詳細は後述するが、微動ステージ50Aは、定盤19に非接触支持される。
【0029】
保持装置55Aは、基板ホルダ51Aと基板ステージ52Aとを備える。
【0030】
基板ホルダ51Aの上面には基板Pが載置される。基板ホルダ51Aの上面は、基板Pを支持する支持面として機能する。基板ホルダ51Aの上面のX軸及びY軸方向の寸法は、基板Pと同程度に(実際には幾分短く)設定されている。基板ホルダ51Aの上面(+Z側の面)の平面度は、非常に高く仕上げられている。基板Pは、基板ホルダ51Aの上面に載置された状態で基板ホルダ51Aに真空吸着保持されることによって、ほぼ全体(全面)が、平面度が非常に高く仕上げられた基板ホルダ51Aの上面に沿って平面矯正される。
【0031】
基板ステージ52Aは、基板ホルダ51Aを支持する。基板ステージ52Aには、後述するボイスコイルモータ61X,61Y,61Zの一部の要素(例えば、可動子)が取り付けられている。
【0032】
支持機構53Aは、図2に示すように、保持装置55Aと定盤19との間に配置され、基板ステージ52Aに固定されている。支持機構53Aは、基板ステージ52Aの下面へ重力方向上向きの力を付与し、保持装置55Aを支持する。また、支持機構53Aは、定盤19により非接触で支持される。
【0033】
本第1実施形態において、支持機構53Aは、例えば、ゴム製の外枠の内部に高圧ガスを満たした、いわゆる気体ばね531を備える。図2に示すように、気体ばね531は、所定の厚みを有し、上端部が接続部522を介して基板ステージ52Aに接続され、下端部が、定盤19の上方に非接触で配置された支持部533に接続されている。支持部533の下面には、軸受面が-Z側を向いたガスベアリング(以下、ベースパッドと呼ぶ)56が取り付けられている。なお、図3(B)及び図4では、ベースパッド56を破線で示している。これにより、基板ステージ52Aは、支持機構53Aを介して定盤19に非接触に支持される。なお、ベースパッド56は、本実施形態では3つあるものとして記載しているが、3つに限らず、1つでも良いし、複数本であっても良い。
【0034】
気体ばね531は、例えば、図1及び図2に示したようなベローズ型の気体ばねであってもよいし、ダイヤフラム型の気体ばねでもよい。気体ばね531には、ガス用バルブが接続されており、搭載荷重の変化等に対応してその内圧を変化させる。これにより、気体ばね531が発生する重力方向上向きの力が、保持装置55Aを含む系の重量(重力方向下向きの力)と釣り合うようにする。
【0035】
本第1実施形態では、支持機構53Aは、気体ばね531の内圧を変化、つまり気体ばね内の空気の体積を変化させることで重力方向上向きの力を発生させているが、この構成に限定されるものではない。保持装置55Aの姿勢の変化に伴い、弾性変形するよう構成されていれば、気体ばね531に代えて、たとえば、圧縮ばね等を用いても良い。また、圧縮ばねは、一本で構成されていてもよいし、複数本によって構成されていてもよい。
【0036】
気体ばね531は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θx方向、θy方向、及びθz方向に運動の自由度を有する。すなわち、気体ばね531は、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面とが成す角度の変化(保持装置55Aの定盤19上面に対する姿勢の変化)、つまり保持装置55Aのθx及びθy方向の揺動(チルト)に伴い変形する。例えば、保持装置55Aが所定の状態から、θx方向に所定角度分だけ回転した状態になった場合(X軸回りに回転した状態になった場合)、気体ばね531の一方側(例えば、+Y側)が縮み、他方側(例えば、-Y側)が伸びることで、保持装置55Aの姿勢変化に沿って変形する。ここで、微動ステージ50Aは機械的な回転中心を有さないため、微動ステージ50Aは、重心G周りで揺動(チルト)する。なお、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面とが成す角度とは、基板ホルダ51Aの上面を定盤19側に延長した面と、定盤19の上面を含む平面との交差角度である。
【0037】
ここで、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面とが成す角度の変化(保持装置55Aの定盤19上面に対する姿勢の変化)に対する気体ばね531の変形についてさらに詳細に説明する。
【0038】
気体ばね531は、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面とが成す角度の変化に伴い、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が狭い一方側の厚み(重力方向の厚み)が薄く、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が広い他方側の厚みが厚くなるように弾性変形して保持装置55Aを支持する。すなわち気体ばね531は、保持装置55Aの姿勢変化に対応して、重力方向に直交する方向に関して互いに異なる位置(基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が狭い位置と広い位置)における重力方向の高さを変化させる。これは、気体ばね531が、保持装置55Aの姿勢変化に対応して、その高さの分布を変化させているともいえる。なお、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面とが成す角度は、基板ホルダ51Aの上面が定盤19の上面と平行な状態となる0度を含む。
【0039】
なお、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が狭い位置と広い位置とでは、気体ばね531の高さが変化するため、気体ばね531の復元力が異なる。したがって、気体ばね531は、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面とが成す角度の変化に伴い、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が狭い位置と広い位置とにおいて、異なる力で保持装置55Aを支持することとなる。
【0040】
また、気体ばね531は、保持装置55Aが所定の状態から他の状態になった場合とで、重力方向に直交する方向に関して互いに異なる位置における気体ばね531の重力方向の高さの比を、所定の状態と他の状態とで異なる大きさに変化させる。より具体的には、例えば、基板ホルダ51Aの上面が定盤19の上面と平行な状態において、重力方向に直交する方向に関して互いに異なる位置での気体ばね531の重力方向の高さがそれぞれL1およびL2(L1=L2)である場合、重力方向の高さの比(例えば、L1/L2)は1となる。ここで、基板ホルダ51Aの上面がθx方向に所定角度分だけ回転した状態になると、気体ばね531が変形し、当該異なる位置における気体ばね531の重力方向の高さが、例えば、それぞれL1´(<L1)及びL2´(>L2)となり、重力方向の高さの比(L1´/L2´)は1未満となる。このように、気体ばね531は、保持装置55Aの定盤19に対する姿勢の変化に対応して、その、重力方向の高さの比を変化させる。なお、基板ホルダ51Aの上面が定盤19の上面と平行な状態を基準として、重力方向の高さの比を説明したが、これに限られるものではない。
【0041】
このように気体ばね531が変形することで、基板ホルダ51Aの上面がZ軸方向及びθx及びθy方向に自由に移動できるようになっている。
【0042】
図1及び図2に示すように、基板ステージ52Aは、軽量高剛性化のために中空で内部にリブを有した気密構造になっている。本第1実施形態では、基板ステージ52Aの内部と気体ばね531の内部とを、中空の接続部522により連結しており、これにより、基板ステージ52Aを、気体ばね531のタンクとして機能させている。これにより、気体ばね531のばね定数を小さくすることができ、支持機構53Aの除振性能を向上させることができる。
【0043】
図5(A)及び図5(B)は、気体ばねの除振性能について説明するための図である。図5(A)において、kはばね定数を表し、cは減衰係数を表し、mは質量を表す。また、Z0は床の変位を表し、Zは質量の変位を表す。
【0044】
図5(A)に示すように、ばねの上に質量を搭載すると、ばねの設置面から入る外乱に対して、図5(B)に示すように、ばねの固有振動数より低い周波数帯では遅れなく追従し、固有振動数付近の周波数帯では振動を増幅し(振動伝達率が0より大きい)、固有振動数より高い周波数帯では振動を減衰させる(振動伝達率が0より小さい)。ばね定数が小さいほど除振領域は拡大し除振率も向上する。
【0045】
本第1実施形態では、基板ステージ52Aが気体ばね531のタンクとして機能するため、気体ばね531のばね定数を小さくすることができる。微動ステージ50Aの重量をばね定数が小さな気体ばね531で支えるため、支持機構53Aは高い除振性能を有する。これにより、図6に示すように、露光装置10A内の他のユニットから微動ステージ50Aに伝達される外乱(矢印A1参照)及び露光装置10A外から微動ステージ50Aに伝達される外乱(矢印A2参照)を効果的に減衰させることができる。これにより、微動ステージ50Aの制御性を向上させることができる。
【0046】
なお、気体ばね531には、ガス用バルブにより常時ガスを供給するので、基板ステージ52Aの気密性は厳密でなくてもよく、例えば、基板ステージ52Aを鋳物で製作し、図1及び図2に示すように、鋳抜き穴にフタ521をして密閉する構成としてもよい。
【0047】
図1に戻り、X粗動ステージ40は、微動ステージ50Aの下方(-Z側)であって、一対のベースフレーム70上に一対のリニアガイド装置71を介して載置されている。図4に示すように、X粗動ステージ40は、平面視矩形の板状部材から成り、その中央部に開口部が形成されている。X粗動ステージ40のX軸方向の両端部には、一対のリニアガイド装置41が設けられている。
【0048】
Y粗動ステージ30は、X粗動ステージ40の上方(+Z側)であって、微動ステージ50Aの下方に(微動ステージ50AとX粗動ステージ40との間に)配置されている。図3(B)に示すように、Y粗動ステージ30は、平面視矩形の板状部材から成り、その中央部に開口部が形成されている。Y粗動ステージ30は、X粗動ステージ40上に、X粗動ステージ40が有する一対のリニアガイド装置41を介して載置されており、X粗動ステージ40に対してY軸方向に関して移動自在であるのに対し、X軸方向に関しては、X粗動ステージ40と一体的に移動する。
【0049】
基板駆動系は、微動ステージ50Aを定盤19に対して6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy及びθzの各方向)に微小駆動するための第1駆動系、X粗動ステージ40をベースフレーム70上でX軸方向に長ストロークで駆動するための第2駆動系、及びY粗動ステージ30をX粗動ステージ40上でY軸方向に長ストローク駆動するための第3駆動系を備えている。第2駆動系及び第3駆動系を構成するアクチュエータの種類は、特に限定されないが、一例として、リニアモータ、あるいは、ボールねじ駆動装置などを使用することができる。第2駆動系及び第3駆動系によりX粗動ステージ40とY粗動ステージ30とを駆動する駆動力は、後述する第1駆動系を構成するボイスコイルモータを介して、微動ステージ50Aへ付与される。微動ステージ50Aは、第2駆動系によりX粗動ステージ40がX軸方向へ動く駆動力によって、X軸方向へ移動される。また、微動ステージ50Aは、第3駆動系によりY粗動ステージ30がY軸方向へ動く駆動力によって、Y軸方向へ移動される。
【0050】
第1駆動系を構成するアクチュエータの種類も特に限定されないが、例えば、図2においては、X軸、Y軸、Z軸の各方向へ推力を発生する推力付与装置として複数のボイスコイルモータが図示されている。
【0051】
複数のボイスコイルモータは、保持装置55AをX軸方向に微小駆動するXボイスコイルモータ61X(図3(A)参照)と、保持装置55AをY軸方向に微小駆動するYボイスコイルモータ61Y(図2図3(A)参照)と保持装置55Aをθx、θy、及びZ軸方向の3自由度方向に微小駆動するための複数のZボイスコイルモータ61Z(図2参照)と、を含んでいる。各ボイスコイルモータ61X,61Y,61Zは、固定子がY粗動ステージ30に取り付けられ、可動子が保持装置55Aの基板ステージ52Aに取り付けられている。
【0052】
図3(A)に示されるように、Xボイスコイルモータ61Xは、Y軸方向に離間して一対設けられ、Yボイスコイルモータ61Yは、X軸方向に離間して一対設けられている。また、Xボイスコイルモータ61X及びYボイスコイルモータ61Yは、微動ステージ50Aに対してモーメントを生じさせないよう、図2に示すように、Z軸方向において、微動ステージ50Aの略重心Gの位置で、Y粗動ステージ30及び微動ステージ50Aに取り付けられている。その結果、微動ステージ50Aは、重心駆動により、並進移動(X軸方向および/又はY軸方向への水平移動)することができる。また、先述のとおり、微動ステージ50Aは、重心G周りで揺動(チルト、回転移動)する。よって、微動ステージ50Aは、重心駆動により、並進移動、且つ、回転移動することができる。仮に、微動ステージ50Aが、機械的な回転中心を有している場合、その回転中心が重心と一致しない場合がある。すると、微動ステージ50Aは、並進移動と回転移動とで基準となる点(並進運動は重心G、回転運動は機械的な回転中心)が異なることとなり、ステージを駆動する制御性が悪化する。それに対して、微動ステージ50Aの並進移動と回転移動とが同じ重心Gを基準になされるため、ステージを駆動する制御性を向上させることができる。
【0053】
複数のZボイスコイルモータ61Zは、基板ステージ52Aの底面の四隅部に対応する箇所に配置されている(図2では、4つのZボイスコイルモータ61Zのうち2つのみが示され、他の2つは図示省略)。なお、Zボイスコイルモータ61Zの数は4つに限られるものではなく、3つでも、5つ以上でもよい。
【0054】
微動ステージ50A(保持装置55A)には、Y粗動ステージ30に対して、各ボイスコイルモータ61X,61Y,61Zを介して6自由度方向に推力が付与される(伝達される)。微動ステージ50Aは、マスクM上のパターンの投影像が基板P上で結像するように、各ボイスコイルモータ61X,61Y,61Zからの推力によって、その位置や姿勢が変更される。
【0055】
平坦に見える基板Pの表面も、ミクロレベルでは、凹凸を有する。当該凹凸によって、投影像が基板Pの表面上で結像しない場合がある。また、例えば、基板P上に2回目の露光を行う場合、1回目の露光によって基板Pが変形する場合があり、当該変形によって投影像が基板Pの表面上で結像しない場合がある。そこで、投影光学系16の結像面と基板Pの表面とが一致する(基板Pの表面が投影光学系16の最良結像面の焦点深度の範囲内に入る)ように、Zボイスコイルモータ61Zによって微動ステージ50A(保持装置55A)のZ位置及び傾斜角度(基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面とが成す角度)を調整している。また、定盤19の上面の平面度は、非常に高く仕上げられていると説明したが、仮にその上面が変形していた場合、投影光学系16の結像面と基板Pの表面とが一致しない。その際には、微動ステージ50Aは、Zボイスコイルモータ61Zによって、Z位置および傾斜角度が調整される。
【0056】
第1~第3駆動系の詳細な構成に関しては、一例として米国特許出願公開第2010/0018950号明細書などに開示されているので、説明を省略する。基板ステージ52Aに取り付けられた可動子とY粗動ステージ30に取り付けられた固定子とは、非接触で接続され、発生する推力を微動ステージ50Aへ付与することができる。
【0057】
このように、本第1実施形態において、微動ステージ50Aは、X粗動ステージ40及びY粗動ステージ30から機械的に切り離されているため(機械的に接続されていないため)、粗動ステージ30,40から微動ステージ50Aに外乱が伝達されるのを抑制することができる(図6の矢印A3)。また、X粗動ステージ40を支持する一対のベースフレーム70は、微動ステージ50Aを支持する除振装置17に対して離間して床(床上)Fに配置されてあり、粗動ステージ30,40で発生した外乱が、ベースフレーム70や除振装置17を介して微動ステージ50Aに伝達されるのを抑制することができる。
【0058】
図2に戻り、基板ステージ52Aの-Y側の側面には、ミラーベース57Yを介して、Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡(バーミラー)58Yが固定されている。また、基板ステージ52Aの+X側の側面には、図3(A)に示すように、ミラーベース57Xを介して、X軸に直交する反射面を有するX移動鏡58Xが固定されている。微動ステージ50AのXY平面内の位置情報は、X移動鏡58X、及びY移動鏡58Yを用いたレーザ干渉計システム(以下、基板干渉計システムと呼ぶ)91(図2参照)によって、例えば0.5~1nm程度の分解能で常時検出されている。なお、実際には、基板干渉計システム91は、X移動鏡58Xに対応するXレーザ干渉計、及びY移動鏡58Yに対応するYレーザ干渉計をそれぞれ複数備えているが、図2では、代表的にYレーザ干渉計のみが図示されている。複数のレーザ干渉計は、それぞれ装置本体に固定されている。なお、微動ステージ50Aの位置情報を、レーザ干渉計でなく、例えば、1次元以上のエンコーダによって検出してもよい。
【0059】
また、微動ステージ50Aのθx、θy、及びZ軸方向に関する位置情報は、基板ステージ52Aの下面に固定された不図示のセンサ(Zセンサ)により、例えば支持部533に固定されたターゲットを用いて求められる。上記微動ステージ50Aの位置計測系の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されているため、詳細な説明を省略する。
【0060】
以上、詳細に説明したように、第1実施形態に係る基板ステージ装置20Aは、基板Pを支持する支持面(基板ホルダ51Aの上面)を有する保持装置55Aと、所定の厚みを持ち、保持装置55Aを支持する弾性変形可能な支持機構53Aと、支持機構53Aを支持する支持面(定盤19の上面)を有する定盤19と、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面とが成す角度が変更されるよう保持装置55Aを移動させるZボイスコイルモータ61Zと、を備える。支持機構53Aは、Zボイスコイルモータ61Zによる角度の変更に伴い、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が狭い一方側の厚みが薄く、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が広い他方側の厚みが厚くなるように弾性変形して保持装置55Aを支持する。
【0061】
上述したように、微動ステージ50Aは機械的な回転中心を有さないため、微動ステージ50Aは、重心G周りで揺動(チルト)する。したがって、微動ステージ50Aは、回転中心の位置が並進移動する基準となる重心Gの位置と一致するため、微動ステージ50Aは高い制御性を有し、微動ステージ50Aの位置決め精度が向上する。
【0062】
また、本第1実施形態によれば、基板ステージ装置20Aは、基板Pを支持する支持面(基板ホルダ51Aの上面)を有する保持装置55Aと、基板ステージ52Aの下面に重力方向上向きの力を付与し、保持装置55Aを支持する支持機構53Aと、保持装置55Aが第1状態(例えば、基板ホルダ51Aの上面が定盤19の上面と平行な状態)から基板ホルダ51Aの上面の傾斜角度が変更された第2状態となるように、保持装置55Aを移動させるZボイスコイルモータ61Zと、を備える。支持機構53Aは、第2状態となる保持装置55Aに対して、重力方向と交差する方向に関して、基板ステージ52Aの下面上の互いに異なる位置において、互いに異なる力で保持装置55Aを支持する。これにより、上記と同様に、微動ステージ50Aの位置決め精度が向上する。
【0063】
また、本第1実施形態によれば、基板ステージ装置20Aは、基板Pを支持する支持面(基板ホルダ51Aの上面)を有する保持装置55Aと、保持装置55Aを支持する支持面を有する定盤19と、重力方向において、保持装置55Aと定盤19との間に配置され、保持装置55Aを支持し、基板ホルダ51Aの上面
と定盤19の上面との間隔が狭い一方側において厚みが薄く、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が広い他方側において厚みが厚い支持機構53Aと、を備える。これにより、上記と同様に、微動ステージ50Aの位置決め精度が向上する。
【0064】
また、本第1実施形態によれば、基板ステージ装置20Aは、基板Pが載置される保持装置55Aと、保持装置55Aを下方から支持する支持機構53Aと、保持装置55Aを駆動し、保持装置55Aの姿勢を第1状態(例えば、θx方向にチルトしていない状態)から第2状態(θx方向に所定角度回転した状態)へ変化させるZボイスコイルモータ61Zと、を備える。支持機構53Aは、保持装置55Aから支持機構53Aに対する荷重に対して弾性変形可能な気体ばね531を含み、気体ばね531は、Zボイスコイルモータ61Zによる保持装置55Aの姿勢変化に対応して、気体ばね531の高さの分布を変化させる。これにより、上記と同様に、微動ステージ50Aの位置決め精度が向上する。なお、高さの分布は、厚さの分布であってもよいし、弾性力の分布であってもよい。
【0065】
また、本第1実施形態によれば、基板ステージ装置20Aは、基板Pが載置される保持装置55Aと、保持装置55Aを下方から支持する支持機構53Aと、保持装置55Aを駆動し、保持装置55Aの姿勢を第1状態(例えば、θx方向にチルトしていない状態)から第2状態(θx方向に所定角度回転した状態)へ変化させるZボイスコイルモータ61Zと、を備える。支持機構53Aは、保持装置55Aから支持機構53Aに対する荷重に対して弾性変形可能な気体ばね531を含み、気体ばね531は、Zボイスコイルモータ61Zによる保持装置55Aの姿勢変化に対応して、重力方向に直交する方向に関して互いに異なる位置における気体ばね531の重力方向の高さを、互いに異なる高さに変化させる。これにより、上記と同様に、微動ステージ50Aの位置決め精度が向上する。なお、重力方向の高さは、重力方向の厚さであってもよいし、重力方向の弾性力であってもよい。
【0066】
また、本第1実施形態によれば、基板Pが載置される保持装置55Aと、保持装置55Aを下方から支持する支持機構53Aと、保持装置55Aを駆動し、保持装置55Aの姿勢を第1状態(例えば、θx方向にチルトしていない状態)から第2状態(θx方向に所定角度回転した状態)へ変化させるZボイスコイルモータ61Zと、を備える。支持機構53Aは、保持装置55Aから支持機構53Aに対する荷重に対して弾性変形可能な気体ばね531を含み、気体ばね531は、重力方向に直交する方向に関して互いに異なる位置における気体ばね531の重力方向の高さの比を、第1状態と第2状態とで異なる大きさに変化させる。これにより、上記と同様に、微動ステージ50Aの位置決め精度が向上する。なお、高さの比は、重力方向の厚さの比であってもよいし、重力方向の弾性力の比であってもよい。
【0067】
また、本第1実施形態において、支持機構53Aは保持装置55Aと接続される。保持装置55Aと支持機構53Aとが接続され一体となっているため、保持装置55Aが移動されると支持機構53Aも移動される。そのため、保持装置55Aを移動させる構成とは別に支持機構53Aを移動させる構成を設ける必要がない。保持装置55Aは、固定子と可動子とが非接触で接続されたボイスコイルモータを介して移動される。保持装置55Aと粗動ステージ30,40とは、機械的な連結がない構成となっており、粗動ステージ30,40から微動ステージ50Aに外乱が伝達されるのを抑制することができる。
【0068】
また、本第1実施形態において、基板ステージ装置20Aは、支持機構53Aに支持された保持装置55Aを、定盤19に対して相対移動させるY粗動ステージ30及びX粗動ステージ40と、Y粗動ステージ30に設けられた固定子と、保持装置55Aに設けられた可動子とを含み、互いに非接触で配置された可動子及び固定子を介して、Y粗動ステージ30及びX粗動ステージ40に対して保持装置55Aを相対移動させるボイスコイルモータ61X,61Y,61Zと、を有する。これにより、所望の位置に基板Pを移動させることができるとともに、投影光学系16の結像面と基板Pの表面とを一致させることができる。
【0069】
また、本第1実施形態において、ボイスコイルモータ61X,61Y,61Zは、Y粗動ステージ30及びX粗動ステージ40により保持装置55Aを定盤19に対して相対移動させるための駆動力を、可動子及び固定子を介して、保持装置55Aに伝達する。微動ステージ50AとY粗動ステージ30及びX粗動ステージ40とを固定子及び可動子により、非接触で接続できるため、Y粗動ステージ30及びX粗動ステージ40の振動が微動ステージ50Aに伝達することを抑制することができる。
【0070】
また、保持装置55Aと支持機構53Aとを機械的に切り離し、支持機構53AをY粗動ステージ30で牽引する場合、支持機構53AにY粗動ステージ30の振動が伝達される可能性がある。支持機構53Aの支持部533には、例えば、Zセンサのターゲットが設けられているため、支持機構53Aへ振動が伝達されると、Zセンサの計測に影響を与える。したがって、支持機構53Aへの振動伝達の影響等を考慮しなければならず、基板ステージ52Aと支持機構53Aとが機械的に切り離された微動ステージでは、制御に対する微動ステージの動きをシミュレーションしにくい。
【0071】
一方、本第1実施形態の微動ステージ50Aでは、保持装置55Aと支持機構53Aとが接続され一体となっており、Y粗動ステージ30の振動が、支持機構53Aに伝達されない。したがって、Y粗動ステージ30の振動がZセンサの計測に影響を与えないため、微動ステージ50Aでは、制御に対する微動ステージの動きをシミュレーションしやすい。
【0072】
また、微動ステージが、例えば、基板ステージをθx方向及びθy方向に回転されるための回転機構を有する場合、回転中心と、微動ステージの重心位置とを合わせるためには、微動ステージの剛性を落とす(具体的には中央部を薄くして、回転機構をできるだけ上に設置する)必要がある。一方、本第1実施形態では、回転機構を設ける必要がないため、基板ステージの剛性を上げることができ、基板ホルダの平面度を向上させることができる。さらに、基板ステージの剛性を上げることにより、基板ステージの位置決め精度も向上させることができる。
【0073】
また、微動ステージ50Aの重量を支持機構53Aが支える(キャンセルする)ため、基板ステージ52AをZ軸方向、θx方向、θy方向に駆動するために必要なZボイスコイルモータ61Zの推力を低減することができる。これにより、Zボイスコイルモータ61Zの発熱量を低減させることができるため、Zボイスコイルモータ61Zの発熱による温度変動を低減することができる。温度変動は位置計測へ影響を与えるが、第1実施形態によれば温度変動が低減されるため、位置計測の精度を向上させることができる。
【0074】
また、本第1実施形態において、支持機構53Aは、内部に気体が満たされた気体ばね531である。支持機構53Aの構成部品が気体ばね531のみであるため、微動ステージ50Aを容易かつ安価に低背化することができる。また、支持機構53Aが小型であることから、微動ステージ50Aを軽量化することができ、さらに、気体ばね531の剛性が小さいことから、小さな推力で基板ステージ52Aをチルト駆動することができるため、ボイスコイルモータ61X,61Y,61Zの発熱量を低減することができる。これにより、熱による露光装置10Aの性能悪化を抑制することができる。
【0075】
また、本第1実施形態において、基板ステージ52Aは、中空であり、基板ステージ52Aの内部と気体ばね531の内部とは連通している。これにより、基板ステージ52Aが気体ばね531のタンクとして機能するため、気体ばね531のばね定数を小さくすることができ、気体ばね531の除振性能を向上させることができる。
【0076】
さらに、気体ばね531のばね定数が小さいため、Z軸方向、θx方向、及びθz方向に基板ステージ52Aを駆動する場合に、ばねの復元力に対抗するために必要な推力が小さくて済み、Z軸方向、θx方向及びθy方向駆動用のボイスコイルモータの推力を小さくすることができる。これにより、ボイスコイルモータの発熱量を小さくすることができるため、露光装置10Aへの熱の影響を低減することができる。
【0077】
また、本第1実施形態において、保持装置55Aに対してX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方向の推力を付与するボイスコイルモータ61X,61Yの一部の要素(例えば、固定子)は、Z軸方向に関し保持装置55Aと支持機構53Aとを含む微動ステージ50Aの重心Gと略一致する位置でY粗動ステージ30に設けられている。これにより、X軸方向及びY軸方向については、ボイスコイルモータ61X,61YのZ軸方向における推力発生点の位置と、微動ステージ50Aの重心Gとが略一致する。そのため、X軸方向及びY軸方向については、他の方向の運動に干渉することなく、微動ステージ50Aを駆動することができる。すなわち、X軸方向に微動ステージ50Aを駆動する場合、例えばθy方向の運動に干渉することなく、微動ステージ50AをX軸方向に駆動することができる。また、Y軸方向に微動ステージ50Aを駆動する場合、例えばθx方向の運動に干渉することなく、微動ステージ50AをY軸方向に駆動することができる。
【0078】
Z軸方向については、Zボイスコイルモータ61Zがモーメントの釣り合いを保ちながら推力を発生させることで他の軸に干渉することなく微動ステージ50Aを駆動させることができる。θz方向については、微動ステージ50Aにその方向のモーメントを与えることで、微動ステージ50Aは最も安定するように重心G周りに運動する。θx方向及びθy方向は、気体ばね531の運動が規制されていないので、基板ステージ52Aにその方向のモーメントを与えることで、基板ステージ52Aは最も安定するように重心G周りに運動する。このように、軸間の干渉がないため、微動ステージ50Aの位置決め精度を向上させることができる。
【0079】
また、本第1実施形態において、Zボイスコイルモータ61Zは、重心Gを回転中心として微動ステージ50Aを回転移動させる。これにより、微動ステージ50Aの並進移動と回転移動とが同じ重心Gを基準になされるため、ステージを駆動する制御性を向上させることができる。
【0080】
(変形例1)
図7(A)は、第1実施形態の変形例1に係る基板ステージ装置20Bの構成を示す図であり、図7(B)は、変形例1に係る微動ステージ50Bを示す図である。
【0081】
図7(B)に示すように、変形例1に係る微動ステージ50Bは、板ばね501を備える。板ばね501は、一端が基板ステージ52Aの下面から重力方向(Z軸方向)に延びる接続部材523の下端部に接続され、他端が支持部533に接続されている。板ばね501は、厚み方向が定盤19の上面(微動ステージ50Bの移動基準面)と直交する方向(すなわちZ軸方向)と平行となるように設置されている。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0082】
第1実施形態の変形例1に係る微動ステージ50Bは、一端が基板ステージ52Aと接続され、他端が支持部533と接続され、厚み方向がZ軸方向と平行になるように設置された板ばね501を備える。このように設置した板ばね501のX軸方向及びY軸方向の剛性は大きく、Z軸方向の剛性は小さい。したがって、板ばね501は、微動ステージ50Bのθx方向及びθy方向の駆動を阻害しない。一方、板ばね501により支持機構53Aの基板ステージ52Aへの追従性が向上するとともに、気体ばね531の下部の固有振動数を上げることができる。このため、支持機構53Aが外乱により揺れた場合でも、振幅が小さいため、定盤19を介して露光装置10Aに伝達される力(加振力)が小さくなり、露光装置10A全体としての性能が向上する。
【0083】
(変形例2)
第1実施形態及びその変形例1では、基板ステージ52Aを気体ばね531のタンクとして機能させていたが、これに限られるものではない。
【0084】
図8は、第1実施形態の変形例2に係る基板ステージ装置20Cの構成を概略的に示す図である。図8に示すように、変形例2では、支持機構53Bの気体ばね531の内部と、保持装置55Bの基板ステージ52Bの内部とが連通しておらず、気体ばね531のみがタンクとして機能している。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0085】
基板ステージ52Bを気体ばね531のタンクとして用いない場合、基板ステージ52Bをタンクとして用いる場合と比較して、気体ばね531のばね定数が大きくなるが、微動ステージ50Cをより容易に構成することができる。また、タンクが小さくなるため、気体ばね531の内圧変動に対して供給する気体の量が少なくて済む。
【0086】
なお、変形例2において、気体ばね531は、上端部が接続部522を介して基板ステージ52Bに接続されているとしたが、接続部522を省略し、気体ばね531を、基板ステージ52Bに直接接続するようにしてもよい。第1実施形態の変形例2に限らず、他の実施形態およびその変形例においても、同様である。
【0087】
(変形例3-1)
図9(A)は、変形例3-1に係る基板ステージ装置20D1の構成を示す図である。変形例3-1に係る基板ステージ装置20D1において、支持機構53D1は、気体ばね531に加えて、減衰機構54Aを備える。減衰機構54Aは、移動基準面(XY平面)と垂直な方向(Z軸方向)に減衰力を発生させる。
【0088】
変形例3-1では、減衰機構54Aは、保持装置55Cの基板ステージ52Cに形成された絞り541と、圧力損失要素542と、を備える。気体ばね531が変形すると、基板ステージ52Cの内部(タンク)と気体ばね531の内部との間に気体の行き来が起こり、絞り541を通過する気体の圧力損失によって、減衰作用を得ることができる。これにより、微動ステージ50D1に伝達される外乱をより減衰させることができる。
【0089】
圧力損失要素542は、例えばフィルタであり、図9(A)に示すように、絞り541と直列に配置される。圧力損失要素542は、絞り541に起因して発生する配管共振を減衰させる。なお、圧力損失要素542を省略してもよい。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0090】
絞り541は、基板ステージ52Cの下面に形成され、圧力損失要素542は、基板ステージ52Cの内側(タンク内)に設けられるため、支持機構53D1を大型化させることなく、すなわち、微動ステージ50D1を大型化させることなく、微動ステージ50D1に伝達される外乱をより減衰させることができる。
【0091】
(変形例3-2)
図9(B)は、第1実施形態の変形例3-2に係る基板ステージ装置20D2の構成を概略的に示す図である。変形例3-2に係る基板ステージ装置20D2において、支持機構53D2は、気体ばね531に加えて、減衰機構としてダンパ機構54Bを備える。これにより、微動ステージ50D2に伝達された外乱をより減衰させることができる。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0092】
ダンパ機構54Bは、気体ばね531と基板ステージ52Aとによって形成されるタンク内部に設置可能であるため、支持機構53D2を大型化させることなく、すなわち、微動ステージ50D2を大型化させることなく、微動ステージ50D2に伝達される外乱をより減衰させることができる。
【0093】
(変形例4)
図10は、第1実施形態の変形例4に係る基板ステージ装置20Eの構成を概略的に示す図である。図10に示すように、変形例4に係る基板ステージ装置20Eは、微動ステージ50Eを支持する微動ステージ支持機構80Aを備える。
【0094】
微動ステージ支持機構80Aは、テーブル部83と、ガスベアリング81,82と、を備える。テーブル部83は、Y粗動ステージ30に形成された開口部(図3(B)参照)内に挿入されている。テーブル部83は、Y粗動ステージ30に対して複数の接続装置90(フレクシャ装置とも称される)を介して機械的に接続されており、テーブル部83がY粗動ステージ30に牽引されることにより、微動ステージ支持機構80Aは、Y粗動ステージ30と一体的にXY平面に沿って移動する。
【0095】
テーブル部83の下面(-Z側の面)には、軸受面が-Z側を向いたガスベアリング82が取り付けられている。これにより、微動ステージ支持機構80Aは、上面の平面度が非常に高く仕上げられた定盤19上にガスベアリング82を介して非接触状態で載置される。テーブル部83の上面(+Z側の面)には、軸受面が+Z側を向いたガスベアリング81(シーリングパッドという)が取り付けられている。
【0096】
また、変形例4において、気体ばね531を支持する支持部533の下面の平面度は非常に高く仕上げられており、微動ステージ支持機構80Aの前述したシーリングパッド81のガイド面として機能する。
【0097】
変形例4では、支持機構53Eの気体ばね531は、基板ステージ52Aに直接接続されており、基板ステージ52Aの内部と気体ばね531の内部とは連通している。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0098】
変形例4の微動ステージ50Eを採用しても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、変形例4において、変形例1と同様に、基板ステージ52Aと支持部533とを板ばねによって接続してもよい。これにより、変形例1と同様の効果を得ることができる。また、変形例4において、変形例2と同様に、基板ステージ52Aの内部と気体ばね531の内部とを連通させなくてもよい。また、変形例4において、変形例3-1及び変形例3-2と同様に、支持機構53Eは、気体ばね531に加えて、減衰機構54A又はダンパ機構54Bを備えていても良い。
【0099】
(変形例5)
図11は、第1実施形態の変形例5に係る基板ステージ装置20Fの構成を概略的に示す図である。変形例5では、微動ステージ支持機構80Bのテーブル部83の上面(+Z側の面)が微動ステージ50Fのガイド面として機能し、テーブル部83と支持機構53Fの支持部533との間に、軸受面が-Z側を向いたガスベアリング85が取り付けられている。その他の構成は、変形例4と同様であるため、詳細な説明を省略する。変形例5の微動ステージ50Fを採用しても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
(変形例6)
上記第1実施形態及びその変形例1~5における支持機構53A,53B,53D1,53D2,53E,53Fは、気体ばね531を備えていたが、支持機構は他の構成を有していてもよい。
【0101】
図12は、第1実施形態の変形例6に係る基板ステージ装置20Gの構成を概略的に示す図である。図12に示すように、変形例6に係る微動ステージ50Gの支持機構53Gは、複数のコイルばね534と、減衰機構54Cと、を備える。
【0102】
複数のコイルばね534は、基板ステージ52Bの下面内の異なる位置に配置されており、コイルばね534の一端は、基板ステージ52Bの下面に固定され、コイルばね534の他端は、支持部533に固定されている。複数のコイルばね534は、保持装置55Bの定盤19上面に対する姿勢の変化、つまり保持装置55Bのθx及びθy方向の揺動(チルト)に伴い変形する。例えば、保持装置55Bが所定の状態から、θx方向に所定角度分だけ回転した場合(X軸回りに回転した場合)、あるコイルばね534(例えば、保持装置55BのY軸方向における中心より+Y側に設けられたコイルばね534)は縮み、他のコイルばね534(例えば、保持装置55BのY軸方向における中心より-Y側に設けられたコイルばね534)は伸びる。
【0103】
すなわち、複数のコイルばね534は、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面とが成す角度の変化に伴い、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が狭い一方側に位置するコイルばね534の重力方向の高さが低くなり、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が広い他方側に位置するコイルばね534の重力方向の高さが高くなるように弾性変形して保持装置55Bを支持する。
【0104】
なお、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が狭い位置と広い位置とでは、コイルばね534の高さが変化するため、コイルばね534の復元力が異なる。したがって、基板ステージ52Bの下面内の異なる位置に配置された複数のコイルばね534は、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面とが成す角度の変化に伴い、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が狭い位置と広い位置とにおいて、異なる力で保持装置55Bを支持することとなる。
【0105】
減衰機構54Cは、移動基準面(XY平面)と垂直な方向(Z軸方向)に減衰力を発生させる。その他の構成は、変形例4と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0106】
変形例6に係る基板ステージ装置20Gは、基板Pを支持する支持面(基板ホルダ51Aの上面)を有する保持装置55Bと、保持装置55Bを下方から支持する弾性変形可能な複数のコイルばね534を有する支持機構53Gと、支持機構53Gを支持する支持面を有する定盤19と、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面とが成す角度が変更されるよう保持装置55Bを移動させるZボイスコイルモータ61Zと、を備え、Zボイスコイルモータ61Zによる角度の変更に伴い、支持機構53Gは、複数のコイルばね534のうち、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が狭い一方側を支持するコイルばね534が縮み、基板ホルダ51Aの上面と定盤19の上面との間隔が広い他方側を支持するコイルばね534が伸びるように弾性変形して保持装置55Bを支持する。このように、気体ばね531の代わりに、コイルばね534を使用しても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0107】
コイルばね534を使用した場合、気体ばねよりもばね定数は大きくなるが、支持機構53Gを容易に構成できる。また、タンクが必要ないため、エネルギ消費を減少させることができる。また、減衰機構54Cによって、微動ステージ50Gに伝達した外乱を減衰させることができる。減衰機構54Cとしては粘性流体によるダンパ機構や、粘弾性体による固体ダンパなどが好ましい。
【0108】
《第2実施形態》
第1実施形態の微動ステージは、θx方向及びθy方向にチルト可能であったが、第2の実施形態の微動ステージはθx方向及びθy方向にチルトしないものである。
【0109】
図13は、第2実施形態に係る基板ステージ装置20Hの構成を概略的に示す図である。基板ステージ装置20Hは、定盤19と、微動ステージ50Hと、を備える。
【0110】
微動ステージ50Hは、定盤19上に配置されている。微動ステージ50Hは、基板ホルダ51Hと、基板ステージ52Hとを含む保持装置55Hと、支持機構53Hと、ガスベアリング58と、を備える。
【0111】
支持機構53Hは、複数(例えば、3つ)の気体ばね531Hと、支持部533と、を備える。複数の気体ばね531Hは、微動ステージ50Hの重心Gを囲むように設けられ、基板ホルダ51Hと基板ステージ52Hとを含む系の重量と釣り合う力を重力方向(Z軸方向)に発生させる。
【0112】
第2実施形態では、微動ステージ50Hは、基板ステージ52HをZ軸方向に駆動するためのZボイスコイルモータ62Zを含む。Zボイスコイルモータ62Zの可動子は、例えば、基板ステージ52Hの下面に取り付けられ、固定子は、支持部533の上面に取り付けられる。Zボイスコイルモータ62Zは、基板ステージ52Hに対しZ軸方向に推力を付与する。Zボイスコイルモータ62Zは、Zボイスコイルモータ62Zによる基板ステージ52Hの駆動方向をZ軸方向に規制するZガイド(不図示)を有する。これにより、微動ステージ50Hは、θx方向及びθy方向にチルトできないようにしている。なお、基板ステージ52Hに対してZ軸方向に推力を付与するZボイスコイルモータ62Zと、基板ステージ52Hの駆動方向をZ軸方向に規制するZガイドとを別々に設けても良い。
【0113】
このように、第2実施形態に係る基板ステージ装置20Hは、基板Pを保持して移動する基板ステージ52Hと、基板ステージ52Hに接続され、基板ステージ52Hが移動するときの基準となる移動基準面(定盤19の上面)と直交する方向(Z軸方向)において基板ステージ52Hを移動基準面に対して非接触に支持する支持機構53Hと、を備え、支持機構53Hは、上端部が基板ステージ52Hに接続され、下端部が、移動基準面の上方に非接触で配置された支持部533に接続された複数の気体ばね531Hを含む。これにより、第1実施形態及びその変形例1~5と同様に、気体ばね531Hによって、定盤19から伝達される外乱を減衰させることができる。
【0114】
また、保持装置55Hの重量を複数の気体ばね531Hが支持するため、Zボイスコイルモータ62Zは小さな推力によって保持装置55HをZ軸方向に駆動することができる。これにより、Zボイスコイルモータ62Zの発熱量を低減することができ、温度変動による位置計測制度の悪化を防止することができる。
【0115】
また、基板ステージ52HをZ軸方向に駆動するためにボールねじ駆動装置を利用する場合と比較して、Zボイスコイルモータ62Zの使用により微動ステージ50Hの位置制御精度を向上させることができる。
【0116】
(変形例)
図14は、第2実施形態の変形例に係る基板ステージ装置20Jの構成を示す図である。変形例では、第2実施形態に係る微動ステージ50Hをガントリーステージへ適用し、さらに、基板ステージ52Hをθx方向及びθy方向にチルト可能に構成した。
【0117】
図14に示すように、基板ステージ装置20Jは、一対のXガイド2(図14では、1本のみを図示)、Xキャリッジ3、Yビームガイド4、及びYキャリッジ7を備える。
【0118】
X軸方向に延在する一対のXガイド2は、ベッド1の上面に、Y軸方向に間隔をあけて平行に敷設されており、各Xガイド2と係合するXキャリッジ3がそれぞれ移動自在に設けられている。Xキャリッジ3の上部には、Y軸方向に沿って延在し、両キャリッジ3を結ぶブリッジ状にYビームガイド4が懸架されて締結固定されている。
【0119】
図14において、点線で示すように、Xキャリッジ3とXガイド2の上面との間には、ガスベアリング5が複数配置されており、Xキャリッジ3とXガイド2の側面との間には、ガスベアリング6が複数配置されている。ガスベアリング5、6はXキャリッジ3に固定されており、Xガイド2に対して非接触支持されたXキャリッジ3(及びXキャリッジ3に固定されたYビームガイド4)は、Xガイド2にガイドされてX軸方向に移動自在の構成となっている。なお、Xキャリッジ3のいずれか一方のガスベアリング6は、省略しても構わない。
【0120】
Yビームガイド4の上部には、Yキャリッジ7が載置されている。図14に示すように、Yキャリッジ7とYビームガイド4の上面との間には、ガスベアリング8が複数配置されており、Yキャリッジ7の側面7aとYビームガイド4の側面4aとの間には、ガスベアリング9が複数配置されている。これらガスベアリング8、9はYキャリッジ7に固定されており、Yビームガイド4に非接触支持されたYキャリッジ7は、Yビームガイド4にガイドされてY軸方向に移動自在の構成となっている。Yビームガイド4の上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。第2実施形態の変形例では、Yビームガイド4の上面が移動基準面となる。
【0121】
Yキャリッジ7の上面には、支持機構53Jとしての複数の気体ばね531Hを介して基板ステージ52Hが載置されている。複数の気体ばね531Hは、基板ステージ52Hの下面内の異なる位置に配置されており、気体ばね531Hの一端は、基板ステージ52Hの下面に固定され、気体ばね531Hの他端は、Yキャリッジ7の上面に固定されている。
【0122】
また、基板ステージ52Hの下面には、例えば、Zボイスコイルモータ61Zの可動子が取り付けられ、Yキャリッジ7の上面には、Zボイスコイルモータ61Zの固定子が取り付けられている。
【0123】
変形例におけるZボイスコイルモータ61Zは、第2実施形態におけるZボイスコイルモータ61Zと異なり、基板ステージ52Hの駆動をZ軸方向のみに規制するZガイドを有さない。したがって、基板ステージ52Hは、θx方向及びθy方向にチルト可能となっている。
【0124】
複数の気体ばね531Hは、基板ステージ52HのYビームガイド4の上面に対する姿勢の変化、つまり基板ステージ52Hのθx及びθy方向の揺動(チルト)に伴い変形する。例えば、基板ステージ52Hが所定の状態から、θx方向に所定角度分だけ回転した場合(X軸回りに回転した場合)、ある気体ばね531H(例えば、基板ステージ52HのY軸方向における中心より+Y側に設けられた気体ばね531H)は縮み、他の気体ばね531H(例えば、基板ステージ52HのY軸方向における中心より-Y側に設けられた気体ばね531H)は伸びる。これにより、基板ステージ52Hの下面内の異なる位置に配置された複数の気体ばね531Hは、互いに異なる力で基板ステージ52Hを支持することとなる。
【0125】
また、変形例に係る微動ステージ50Jは、板ばね501を備える。板ばね501は、一端が基板ステージ52Hの下面から重力方向(Z軸方向)に延びる接続部材523の下端部に接続され、他端がYキャリッジ7に接続されている。板ばね501は、厚み方向がZ軸方向と平行となるように設置されている。
【0126】
このように設置した板ばね501のZ軸方向の剛性は小さく、X軸方向及びY軸方向の剛性は大きい。したがって、板ばね501は、基板ステージ52HをXY平面において拘束する一方で、基板ステージ52Hのθx方向及びθy方向の駆動を阻害しない。板ばね501により、気体ばね531下部の固有振動数を上げることができるため、第1実施形態の変形例1と同様に、露光装置全体の性能を向上させることができる。
【0127】
第2実施形態の変形例に係る基板ステージ装置20Jは、基板Pを支持する支持面を有する保持装置55Hと、保持装置55Hが備える基板ステージ52Hの下面へ重力方向上向きの力を付与し、保持装置55Hを支持する支持機構53Jと、移動体が第1状態(例えば、基板ホルダ51Aの上面が定盤19の上面と平行な状態)から保持装置55Hの支持面(基板ホルダ51Aの上面)の傾斜角度が変更された第2状態となるように、保持装置55Hを移動させるZボイスコイルモータ61Zと、を備える。支持機構53Jは、第2状態となる保持装置55Hに対して、重力方向と交差する方向に関して、基板ステージ52Hの下面上の互いに異なる位置において、互いに異なる力で保持装置55Hを支持する。
【0128】
保持装置55Hの重量を複数の気体ばね531Hが支持するため、Zボイスコイルモータ61Zは小さな推力によって保持装置55HをZ軸方向に駆動することができる。これにより、Zボイスコイルモータ61Zの発熱量を低減することができ、温度変動による位置計測制度の悪化を防止することができる。
【0129】
なお、上記第2実施形態およびその変形例において、複数の気体ばね531ではなく、第1実施形態と同様に、1つの気体ばね531を微動ステージの重心Gの下に設けてもよい。また、第1実施形態の変形例3と同様に、複数の気体ばね531に加えて、ダンパ機構等の減衰機構を設けてもよい。また、複数の気体ばね531に代えて、第1実施形態の変形例6と同様に、複数のコイルばねと減衰機構とを支持機構として用いてもよい。また、気体ばねとコイルばねとを併用させて、基板ステージを支持する構成であってもよい。さらに、減衰機構を併用させてもよい。
【0130】
また、第1実施形態及びその変形例1~5では、微動ステージが気体ばね531を1つ有する場合について説明したが、これに限らず、第2実施形態及びその変形例と同様、微動ステージは気体ばねを複数有していてもよい。
【0131】
また、上記第1実施形態、第2実施形態及びこれらの変形例において、気体ばねやコイルばねを使用せずに、基板ステージを支持部533上で磁気浮上させるようにしてもよい。なお、気体ばねやコイルばねと磁気浮上を併用させて、基板ステージが支持部533上に支持されるようにしてもよい。
【0132】
なお、上記各実施形態では、投影光学系16として、等倍系が用いられたが、これに限られず、縮小系、あるいは拡大系を用いても良い。
【0133】
露光装置の用途としては、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば有機EL(Electro―Luminescence)パネル製造用の露光装置、半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも適用できる。
【0134】
また、露光対象となる基板はガラスプレートに限られず、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。なお、本実施形態の露光装置は、一辺の長さ、又は対角長が500mm以上の基板が露光対象物である場合に特に有効である。また、露光対象の基板が可撓性を有するシート状である場合には、該シートがロール状に形成されていても良い。
【0135】
また、上記各実施形態に係る露光装置を用いて、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造することができる。まず、パターン像を感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に形成する、いわゆる光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成される。その後、カラーフィルタ形成工程、セル組み立て工程、及びモジュール組立工程等を経ることによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることができる。
【0136】
なお、これまでの説明で引用した露光装置などに関する全ての公報、国際公開、米国特許出願公開明細書及び米国特許明細書の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
【0137】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0138】
10A 露光装置
20A~20J 基板ステージ装置
50A~50J 微動ステージ
51A,51H 基板ホルダ
52A~52H 基板ステージ
53A~53J 支持機構
61X,61Y,61Z ボイスコイルモータ
501 板ばね
531,531H 気体ばね
533 支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14