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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029227
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20240227BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240227BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/41
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002648
(22)【出願日】2024-01-11
(62)【分割の表示】P 2019112053の分割
【原出願日】2019-06-17
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】小森園 正彦
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、調製直後からセラミドが析出するような不安定な系であってもセラミド析出を抑制できる新たな製剤技術を提供することである。
【解決手段】(A)セラミド類及び(B)ウフェナマートを含有し、前記(A)成分の含有量が0.001~4重量%である外用組成物によればセラミド析出を抑制できる新たな製剤技術により、調製直後からセラミドが析出するような不安定な系であってもセラミド析出を抑制することが可能になる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)セラミド類及び(B)ウフェナマートを含有し、前記(A)成分の含有量が0.001~4重量%である、外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミド類の析出が抑制された外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミドは、皮膚を構成する重要な成分であり、外部刺激から肌内部を守る機能を有していると考えられている。このため、セラミドは、皮膚の保護を目的とする外用組成物に配合されて用いられている。しかしながら、セラミドは水及び油性成分のいずれに対しても相溶性が良くない。このため、セラミドを配合した外用組成物には、長期保存による不溶物の形成等の製剤上の課題がある。
【0003】
セラミドを安定に配合するために、様々な製剤処方が報告されている。例えば、特許文献1には、セラミド類とアルキロイル乳酸エステル塩を含有することを特徴とする乳化組成物が、経時的なセラミド類の析出を抑制できることが記載されている。特許文献2には、セラミド;グリセリンと、炭素数8~30の脂肪酸と、脂肪族飽和二塩基酸とのエステル化生成物;ポリグリセリン脂肪酸エステル;油;及び多価アルコールを含む混合物を500~2000kg/cm2の圧力で乳化することを特徴とするセラミド含有乳化組成物が、経時的なセラミドの析出を抑制できることが記載されている。特許文献3には、誘電率が2.8~7.0である油性成分と、該油性成分に分散又は溶解して油相を形成するスフィンゴ脂質(セラミド類)と、水相と、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子と、を含み、前記両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子が油相と水相との界面に介在することにより乳化状態を維持したO/W型エマルションの構造を有する化粧料が、常温又は低温での保存後におけるセラミドの析出を抑制できることが記載されている。
【0004】
一方、ウフェナマートは、非ステロイド系抗炎症剤として、医薬品又は医薬部外品の皮膚外用剤に配合して用いられている。例えば、特許文献4には、ウフェナマート等の非ステロイド系抗炎症剤と、特定のアミド誘導体とを含む皮膚外用剤が、薬効の持続性に優れるだけでなく、肌自身にうるおいを与え、皮膚刺激性が低く、肌荒れ改善効果に優れ、しかも使用感が良好であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-256188号公報
【特許文献2】特開2007-031381号公報
【特許文献3】特開2015-007014号公報
【特許文献4】特開平11-302198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~3に記載の処方によれば経時的なセラミドの析出が抑制できるが、その効果は、調製直後ではセラミドが析出せず保存後に析出するような比較的安定な系に限られる。
【0007】
そこで、本発明は、調製直後からセラミドが析出するような不安定な系であってもセラミド析出を抑制できる新たな製剤技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、これまでセラミド類の析出抑制効果が知られていないウフェナマートをセラミド類と組み合わせることで、調製直後からセラミドが析出するような不安定な系に対してもセラミド類の析出を抑制できることを見出した。本発明は、この知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0009】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)セラミド類及び(B)ウフェナマートを含有し、前記(A)成分の含有量が0.001~4重量%である、外用組成物。
項2. 前記(A)成分1重量部当たり前記(B)成分が0.25~20000重量部の比率で含まれる、項1に記載の外用組成物。
項3. 乳化組成物である、項1又は2に記載の外用組成物。
項4. (A)セラミド類を0.001~4重量%含有する外用組成物において、前記(A)成分と共に(B)ウフェナマートを配合する、セラミド類の析出を抑制する方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、セラミド析出を抑制できる新たな製剤技術により、調製直後からセラミドが析出するような不安定な系であってもセラミド析出を抑制することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.外用組成物
本発明の外用組成物は、(A)セラミド類(以下、「(A)成分」とも記載する)、及び(B)ウフェナマート(以下、「(B)成分」とも記載する)、を含有することを特徴とする。以下、本発明の外用組成物について詳述する。
【0012】
(A)セラミド類
本発明の外用組成物は、(A)成分としてセラミド類を含有する。セラミド類には、セラミド及び擬似セラミドが含まれる。セラミド類は、セラミド及び擬似セラミドのいずれかを単独で用いてもよいし、セラミド及び擬似セラミドを組み合わせて用いてもよい。
【0013】
セラミドはスフィンゴ脂質の一種であり、スフィンゴシンのアミノ基に長鎖脂肪酸がアミド結合した化合物群の総称として公知の成分である。セラミドは、スフィンゴシンの構造(N-アシル基の構造など)及び長鎖脂肪酸の構造の違いにより、セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6I、セラミド6II、セラミド7、セラミド8、セラミド9、セラミド10等が挙げられる。これらのセラミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのセラミドの中でも、好ましくはセラミド1、セラミド2、セラミド3が挙げられる。
【0014】
本発明で使用されるセラミドの由来については、特に制限されず、セラミドの種類等に応じて適宜設定すればよく、例えば、動植物から抽出したもの、微生物醗酵法によって得られたもの、化学的に合成したもの等のいずれであってもよい。
【0015】
擬似セラミドは、セラミドと構造及び性質が類似したセラミド類縁体であり、具体的には、下記一般式(I)で示される化合物、及び一般式(II)で示される化合物から選択される化合物が挙げられる。
【0016】
【化1】
【0017】
式(I)中、R11は炭素数10~26の炭化水素基を表し、R12は炭素数9~25の炭化水素基を表し、Xは-(CH2n-を表し、nは2~6の整数を表す。炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。式(I)に示される擬似セラミドの具体例としては、N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミドが挙げられる。
【0018】
【化2】
【0019】
式(II)中、R21及びR22は同一又は異なっていてよい炭素数1~40のヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基を表し、R23は炭素数1~6のアルキレン基又は単結合を表し、R24は水素原子、炭素数1~12のアルコキシ基又は2,3-ジヒドロキシプロピルオキシ基を表す。但し、R23が単結合であるときはR24は水素原子である。炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。
【0020】
これらの擬似セラミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
本発明の外用組成物における(A)成分の含有量は、セラミド類による効能を得る観点及びセラミド類の析出を抑制する観点から、総量で、0.001~4重量%である。これらの効果をより一層良好に得る観点から、本発明の外用組成物における(A)成分の含有量は、総量で、好ましくは0.01~4重量%、より好ましくは0.01~3重量%、更に好ましくは0.01~2.5重量%が挙げられる。
【0022】
本発明の外用組成物はセラミド類の析出抑制効果に優れているため、セラミド類の含有量が比較的多い場合でも効果的にセラミド類の析出を抑制することができる。このような観点から、本発明の外用組成物における(A)成分の含有量は、例えば0.1~4重量%、0.1~3重量%、又は1.0~2.5重量%であってもよい。
【0023】
(B)ウフェナマート
本発明の外用組成物は、(B)成分としてウフェナマートを含有する。ウフェナマートは、フルフェナム酸ブチルとも称され、水難溶性の非ステロイド性抗炎症薬として公知の成分である。
【0024】
本発明の外用組成物において、(B)成分の含有量については特に限定されないが、例えば1~20重量%、好ましくは2~10重量%、更に好ましくは3~7重量%が挙げられる。
【0025】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の比率については、(A)成分及び(B)成分の各含有量に応じて定まるが、より優れたセラミド類析出抑制効果を得る観点から、例えば、(A)成分の総量1重量部当たりの(B)成分の含有量として、0.25~20000重量部、好ましくは0.6~20000重量部、更に好ましくは0.6~1000重量部が挙げられる。
【0026】
本発明の外用組成物はセラミド類の析出抑制効果に優れているため、セラミド類の含有量が相対的に多い場合でも効果的にセラミド類の析出を抑制することができる。このような観点から、本発明の外用組成物における(A)成分の総量1重量部当たりの(B)成分の含有量として、例えば2~50重量部又は2~5重量部であってもよい。
【0027】
油分
本発明の外用組成物は、さらに、油分を含有することができる。油分は、製剤形態等に応じて適宜使用することができ、例えば、本発明の外用組成物が乳化組成物である場合の油相として、又は、本発明の外用組成物が油性ゲル状組成物である場合の基剤として使用される。
【0028】
本発明で使用される油分については、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、液状油、固形油、高級アルコール等が挙げられ、好ましくは液状油が挙げられる。これらの油分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
本発明の外用組成物に油分を含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1~60重量%、好ましくは3~40重量%、より好ましくは5~20重量%、更に好ましくは5~10重量%が挙げられる。
【0030】
(液状油)
液状油とは、25℃において液状の形態を保つ油である。本発明で使用される液状油としては、化粧料や外用医薬品等に通常用いられるものであればよく、例えば、;オレイン酸、インステアリン酸等の脂肪酸;エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ2-エチルへキサン酸グリセリル、オレイン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジバラメトキシケイヒ酸-モノエチルへキサン酸グリセリル等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のシリコーン油;流動パラフィン、スクワレン、スクワラン等の液状炭化水素油等が挙げられる。
【0031】
これらの液状油の中でも、より一層優れたセラミド類析出抑制効果を得る観点から、好ましくは、エステル油、液状炭化水素油が挙げられ、より好ましくはミリスチン酸イソプロピル、流動パラフィンが挙げられる。
【0032】
これらの液状油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
本発明の外用組成物に液状油を含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.01~30重量%、好ましくは0.1~20重量%、より好ましくは1~10重量%が挙げられる。
【0034】
本発明の外用組成物にエステル油を含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1~10重量%、好ましくは1~8重量%、より好ましくは1~5重量%が挙げられる。
【0035】
本発明の外用組成物に液状炭化水素油がを含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1~10重量%、好ましくは1~8重量%、より好ましくは1~5重量%が挙げられる。
【0036】
(固形油)
固形油とは、25℃において固形の形態を保つ油である。本発明で使用される固形油としては、通常化粧料や外用医薬品等に用いられるものであればよく、例えば、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ミツロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ラノリン、セラックロウ、オゾケライト、セレシン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸イヌリン、水素添加ホホバ油、セレシンワックス、固形パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス等の固形油が挙げられる。
【0037】
これらの固形油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
本発明の外用組成物に固形油を含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、更に好ましくは1.5~5重量%が挙げられる。
【0039】
(高級アルコール)
高級アルコールとは、1分子中の炭素原子数が6個以上の1価アルコールである。本発明で使用される高級アルコールにおける1分子中の炭素原子数について、6以上であればよいが、好ましくは6~34、更に好ましくは14~22が挙げられる。
【0040】
本発明で使用される高級アルコールとしては、通常化粧料や外用医薬品等に用いられるものであればよく、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0041】
これらの高級アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
本発明の乳化組成物に高級アルコールを含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、乳化組成物の乳化タイプ、形態、用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1~15重量%、好ましくは1~10重量%、より好ましくは2~5重量%が挙げられる。
【0043】
界面活性剤
本発明の外用組成物は、さらに、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤は製剤形態等に応じて適宜使用することができ、例えば、本発明の外用組成物が乳化組成物である場合は、乳化状態とするために使用される。界面活性剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、より一層優れたセラミド類析出抑制効果を得る観点から、好ましくはノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0044】
ノニオン性界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル(ステアリン酸グリセリン)、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);グリセリンアルキルエーテル;ステアレス-2;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート等);ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビットモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビットペンタオレエート、ポリオキシエチレンソルビットモノステアレート等);ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノイソステアレート、ポリオキシエチレングリセリントリイソステアレート等);ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンモノステアレート(ステアリン酸ポリオキシル)、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン2-オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン-セチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン-2-デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン水添ラノリン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリセリンエーテル等);ステアレス-21等が挙げられる。
【0045】
これらのノニオン性界面活性剤の中でも、より一層優れたセラミド類析出抑制効果を得る観点から、好ましくはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類が挙げられ、より好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートが挙げられる。
【0046】
これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0047】
本発明の外用組成物に界面活性剤を含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.5~10重量%、好ましくは1~8重量%、より好ましくは3~6重量%が挙げられる。
【0048】

本発明の外用組成物は、水を含有することができる。水は、製剤形態等に応じて適宜使用することができ、例えば、本発明の外用組成物が乳化組成物である場合の水相として、又は、本発明の外用組成物が水性液状組成物や水性ゲル状組成物である場合の基剤として使用される。
【0049】
本発明の外用組成物が水を含有する場合、その含有量については、製剤形態に応じて適宜設定すればよいが、例えば30~99重量%、好ましくは40~90重量%、より好ましくは50~80重量%、更に好ましくは60~70重量%が挙げられる。
【0050】
その他の成分
本発明の外用組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、通常使用される他の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、多価アルコール、増粘剤、pH調節剤、緩衝剤、可溶化剤、キレート剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、香料、着色料等が挙げられる。
【0051】
多価アルコールとしては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール(BG)、エチレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコール、マクロゴール4000、マクロゴール6000等のポリエチレングリコール等が挙げられ、好ましくは2価アルコール及び3価アルコールが挙げられ、より好ましくは、1,3-ブチレングリコール(BG)及びグリセリンが挙げられる。
【0052】
これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0053】
本発明の外用組成物が多価アルコールを含有する場合、その含有量については、製剤形態に応じて適宜設定すればよいが、例えば1~20重量%、好ましくは5~17重量%、より好ましくは10~14重量%が挙げられる。
【0054】
本発明の外用組成物が2価アルコールを含有する場合、その含有量については、製剤形態に応じて適宜設定すればよいが、例えば2~12重量%、好ましくは4~9重量%が挙げられる。
【0055】
本発明の外用組成物が3価アルコールを含有する場合、その含有量については、製剤形態に応じて適宜設定すればよいが、例えば2~9重量%、好ましくは3~6重量%が挙げられる。
【0056】
また、増粘剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウムベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ペクチン等が挙げられ、好ましくはカルボキシビニルポリマーが挙げられる。
【0057】
これらの増粘剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0058】
本発明の外用組成物が増粘剤を含有する場合、その含有量については、使用する増粘剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.01~5重量%、好ましくは0.01~2重量%、更に好ましくは0.05~0.5重量%が挙げられる。
【0059】
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸等)、有機酸(乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン-アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸)、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム)、有機塩基(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジン等)が挙げられ、好ましくは水酸化カリウムが挙げられる。
【0060】
更に、本発明の外用組成物は、前述する成分の他に、薬学的又は香粧学的な生理機能を発揮できる薬効成分が、必要に応じて含まれていてもよい。このような薬効成分としては、例えば、ステロイド剤(デキサメタゾン、塩酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、塩酸ヒドロコルチゾン、吉草酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン等)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン、プロカイン、テトラカイン、ブピバカイン、メピバカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩)、安息香酸アルキルエステル(例えばアミノ安息香酸エチル、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル)、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(アラントイン、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、殺菌剤(塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、アンモニア水、スルファジアジン、乳酸、フェノール等)、鎮痒剤(クロタミトン、チアントール等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、ビタミン類(ビタミンA,B,C,D,E等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン、ヒアルロン酸等)等が挙げられる。これらの薬効成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の外用組成物において、これらの薬効成分を含有させる場合、その含有量については、使用する薬効成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
【0061】
製剤形態・用途
本発明の外用組成物の製剤形態については特に制限されず、例えば、水性液状組成物、水性ゲル状組成物、油性ゲル状組成物、乳化組成物等が挙げられる。より一層セラミド類析出抑制効果を得る観点から、本発明の外用組成物の製剤形態としては、好ましくは水性ゲル状組成物、油性ゲル状組成物、乳化組成物が挙げられ、より好ましくは乳化組成物が挙げられる。本発明の外用組成物が乳化組成物である場合の乳化タイプについては、水中油型又は油中水型のいずれであってもよいが、好ましくは水中油型が挙げられる。
【0062】
本発明の外用組成物は、セラミド類の析出を抑制する目的で使用される。本発明の外用組成物によるセラミド類の析出抑制効果は非常に優れているため、セラミド類の析出抑制作用を示すウフェナマートを含まない場合に調整直後でセラミド類が析出するような、セラミド類にとって本来的に不安定な系であっても、効果的にセラミド類の析出を抑制することができる。このような本発明の効果に鑑みると、本発明の外用組成物は、調製直後におけるセラミド類の析出を抑制する目的で使用でされる場合に特に有用である。
【0063】
また、本発明の外用組成物は、化粧料、外用医薬部外品、外用医薬品等の外用剤として使用することができる。本発明の外用組成物の製品形態については、特に制限されないが、例えば、クリーム剤、軟膏剤、乳液剤、ゲル剤、油剤、ローション剤、リニメント剤、エアゾール剤等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、乳液剤、ローション剤が挙げられ、より好ましくは、ゲル剤、クリーム剤が挙げられる。
【0064】
製造方法
本発明の外用組成物は、製剤形態に応じて、公知の製剤化手法に従って製造することができる。例えば、本発明の外用組成物の製造方法としては、上記(A)成分及び(B)成分、必要に応じて配合される他の成分、薬効成分、添加剤等を所望量混合することにより調製される。本発明の外用組成物が乳化組成物である場合は、乳化タイプに応じて、公知の乳化製剤の製剤化手法に従って製造することができる。例えば、乳化組成物である場合の本発明の外用組成物の製造方法としては、含有させる成分を水溶性成分と油性成分に分けて、水溶性成分を含む水相と、油性成分を含む油相とを調製し、これらを公知の手法に従って乳化させる方法が挙げられる。
【0065】
2.セラミド類の析出を抑制する方法
上述するように、ウフェナマートは、セラミド類を含む外用組成物において優れたセラミド類析出抑制効果を発現させる。従って、本発明は、更に、(A)セラミド類を0.001~4重量%含有する外用組成物において、前記(A)成分と共に(B)ウフェナマートを配合する、セラミド類の析出を抑制する方法を提供する。
【0066】
本発明のセラミド類の析出を抑制する方法において、使用する各成分の種類や含有量、乳化組成物に配合される成分の種類や含有量、及び製剤形態等については、前記「1.外用組成物」の場合と同様である。
【実施例0067】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0068】
試験例
表1及び表2に示す乳化型の外用組成物を調製した。具体的には、表1に示す(I)の各成分を加熱混合し固形分を溶解させ、更に(A)成分及び(B)成分を混合し80~90℃で溶解させて得た油相に、表1に示す(II)の各成分を75~85℃で加熱混合し固形分を溶解させて得た水相を加えて、ホモミキサーを用いて乳化し、35℃まで冷却撹拌することにより、クリーム状の水中油型乳化組成物を製造した。
【0069】
なお、外用組成物の調製に用いたセラミド類の詳細は以下の通りである。
・天然型セラミド:セラミド2
・擬似セラミド:C3775NO4(N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-
ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)
【0070】
調製直後の各外用組成物10gを、ガラス瓶(スクリュー管瓶No.4、容量13.5mL、マルエム社製、透明)に充填し、偏光顕微鏡(100倍視野)で結晶析出の有無を確認した。なお、100倍視野で最大幅100μm以上の結晶が認められた場合には、結晶析出有りと判断した。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
表1及び表2から明らかなように、セラミド類を含有する外用組成物(比較例1~6)は調製直後からセラミド類の析出が認められたが、セラミド類とともにウフェナマートを含有する外用組成物(実施例1~6)ではセラミド類の析出が抑制された。また、このセラミド類の析出抑制効果は、セラミド類の含有量が所定量を超える外用組成物(比較例7)では奏されないことから、セラミド類の含有量が所定量である場合に特有の効果であることがわかった。なお、実施例1、4及び5の外用組成物においては100倍視野でも全く結晶が認められない程に完全に析出が抑制されていた。実施例2、3及び6の外用組成物においては100倍視野で微小な結晶がわずかに視認されたが、結晶の大きさが極めて小さく少ないため、析出を生じることなく安定に分散しており、また、乳化安定性や使用感への影響も全くなかった。さらに、実施例1~6の外用組成物は、室温保存で2週間後においてもセラミド類の析出が認められず、製剤安定性にも優れていた。
【0074】
処方例
表3に示す処方の乳化型の外用組成物を、上記試験例と同様にして調製した。いずれの処方の外用組成物も、調製直後におけるセラミド類の析出が抑制されており、また、製剤安定性にも優れていた。
【0075】
【表3】