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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029413
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】バスバー保持部材及び電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/507 20210101AFI20240228BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20240228BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20240228BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240228BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20240228BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240228BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/503
H01M50/505
H01M50/569
H01M50/298
H01M50/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131650
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信
(72)【発明者】
【氏名】森下 慎也
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA14
5H040AA19
5H040AS07
5H040AT02
5H040DD03
5H040NN03
5H043AA01
5H043AA03
5H043AA13
5H043CA04
5H043CA22
5H043FA02
5H043FA04
5H043LA21F
5H043LA22F
(57)【要約】
【課題】複数の電池が並列方向に膨張してもバスバーと電池との良好な接続状態を維持すること。
【解決手段】電池20と電気的に接続するバスバー3を保持するバスバー保持部52および、バスバー3と電気的に接続され、並列方向Lに延出するハーネス4を収容するハーネス収容部51を備える複数の保持部材本体50と、ハーネス収容部51の開口Dを覆うカバー60とで構成され、複数の保持部材本体50は、並列方向Lに隣接するように配置され、カバー60は、隣接するハーネス収容部51同士を跨いで配置され、隣接するハーネス収容部51の一方と他方が、並列方向Lに沿って相対移動可能に、ハーネス収容部51とカバー60とを取り付ける取付部70が設けられた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池が並列方向に沿って配置された電池ユニットに取り付けられるバスバーを保持するバスバー保持部材であって、
前記電池と電気的に接続する前記バスバーを保持するバスバー保持部および、前記バスバーと電気的に接続されるハーネスを収容するハーネス収容部を備えた複数の保持部材本体と、
前記ハーネス収容部における、開口の少なくとも一部を覆うカバーとで構成され、
複数の前記保持部材本体は、前記並列方向に沿って配置され、
前記カバーは、隣接する前記ハーネス収容部同士の間部分を跨いで配置され、
隣接する前記ハーネス収容部の一方と他方が、前記並列方向に沿って相対移動可能に、前記ハーネス収容部と前記カバーとを取り付ける取付部が設けられた
バスバー保持部材。
【請求項2】
前記ハーネス収容部は、
前記並列方向に向けて延設する底部と、前記底部の幅方向の両端部分から立設し、前記開口を形成する一対の側壁部とを有し、
前記取付部は、
前記カバー及び前記側壁部の少なくとも一方に設けられた、前記並列方向と交差する方向に窪んだ凹条部と、
他方に設けられた、前記凹条部に対して挿入される凸条部とで構成され、
前記凹条部と前記凸条部とのうち少なくとも一方は、前記並列方向に延設され、
前記凹条部と前記凸条部とは、前記並列方向に沿って相対移動可能に構成された
請求項1に記載のバスバー保持部材。
【請求項3】
前記凹条部に挿入された前記凸条部が前記並列方向に移動することを所定範囲内で規制する移動規制部が設けられた
請求項2に記載のバスバー保持部材。
【請求項4】
前記ハーネス収容部は、
前記並列方向に向けて延設する底部と、前記底部の幅方向の両端部分から立設する一対の側壁部とを有し、
前記取付部は、
前記カバー及び前記側壁部の少なくとも一方に設けられた、前記幅方向に向けて突出する係止凸部と、
他方に設けられた、前記並列方向に沿うとともに、前記係止凸部の前記並列方向の長さよりも長い棒状で構成され、前記係止凸部に対して前記カバーが前記保持部材本体から離間する方向に対して係止する被係止部と、
前記被係止部の両端部分に連結され、前記保持部材本体に対する前記カバーの前記並列方向に沿った相対移動を規制する一対の移動規制部とで構成された
請求項1に記載のバスバー保持部材。
【請求項5】
前記係止凸部は、前記幅方向の外側に向けて突出する
請求項4に記載のバスバー保持部材。
【請求項6】
前記保持部材本体は、前記並列方向に沿った軸を対称軸として対となって配置され、
前記並列方向に隣接する前記保持部材本体の間部分が、対となって配置された一対の前記保持部材本体の相互間で異なる位置とした
請求項2又は請求項4に記載のバスバー保持部材。
【請求項7】
並列配置された複数の電池と、
前記電池と電気的に接続するバスバーと、
前記バスバーを保持するバスバー保持部材と、
前記バスバーと電気的に接続されるハーネスとを備え、
前記バスバー保持部材は、
前記バスバーを搭載するバスバー保持部および、前記ハーネスを収容するハーネス収容部を備えた複数の保持部材本体と、
前記ハーネス収容部における、開口の少なくとも一部を覆うカバーとで構成され、
複数の前記保持部材本体は、前記電池が並列配置された並列方向に沿って配置され、
前記カバーは、隣接する前記ハーネス収容部同士の間部分を跨いで配置され、
隣接する前記ハーネス収容部の一方と他方が、前記並列方向に沿って相対移動可能に、前記ハーネス収容部と前記カバーとを取り付ける取付部が設けられた
電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気車両やハイブリッド車両に搭載される電池モジュールは、特許文献1に例示するように、複数の電池を並列方向に沿って配置した電池ユニットと、電池と電気的に接続されるバスバーと、バスバーを保持するバスバー保持部材と、バスバーと電気的に接続されるハーネスを備えている。これにより、ハーネスは、先端部がバスバーを介して電池と接続され、電池の電圧を電池モジュールの外部に出力する。
【0002】
しかし、特許文献1に例示されるように、電池ユニットは、上述したように、複数の電池が並列方向に沿って配置されているため、これら電池が発熱により膨張すると、バスバー保持部材に保持されたバスバーと、電池との間に並列方向の位置ずれが生じる。これにより、バスバーと電池との良好な接続状態を維持できないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-534540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の電池が並列方向に熱膨張してもバスバーと電池との良好な接続状態を維持できるバスバー保持部材及び電池モジュールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、複数の電池が並列方向に沿って配置された電池ユニットに取り付けられるバスバーを保持するバスバー保持部材であって、前記電池と電気的に接続する前記バスバーを保持するバスバー保持部および、前記バスバーと電気的に接続されるハーネスを収容するハーネス収容部を備えた複数の保持部材本体と、前記ハーネス収容部における、開口の少なくとも一部を覆うカバーとで構成され、複数の前記保持部材本体は、前記並列方向に沿って配置され、前記カバーは、隣接する前記ハーネス収容部同士の間部分を跨いで配置され、隣接する前記ハーネス収容部の一方と他方が、前記並列方向に沿って相対移動可能に、前記ハーネス収容部と前記カバーとを取り付ける取付部が設けられたことを特徴とする。
【0006】
またこの発明は、並列配置された複数の電池と、前記電池と電気的に接続するバスバーと、前記バスバーを保持するバスバー保持部材と、前記バスバーと電気的に接続されるハーネスとを備えた電池モジュールであって、前記バスバー保持部材は、前記バスバーを搭載するバスバー保持部および、前記ハーネスを収容するハーネス収容部を備えた複数の保持部材本体と、前記ハーネス収容部における、開口の少なくとも一部を覆うカバーとで構成され、複数の前記保持部材本体は、前記電池が並列配置された並列方向に沿って配置され、前記カバーは、隣接する前記ハーネス収容部同士の間部分を跨いで配置され、隣接する前記ハーネス収容部の一方と他方が、前記並列方向に沿って相対移動可能に、前記ハーネス収容部と前記カバーとを取り付ける取付部が設けられたことを特徴とする。
【0007】
この発明により、隣接する前記ハーネス収容部の一方と他方は、カバーを介して前記並列方向に沿って相対移動できるため、バスバー保持部に保持された前記バスバーは、電池の熱膨張による並列方向の位置ずれに追従して並列方向に移動できる。従って、複数の電池が並列方向に熱膨張してもバスバーと電池との良好な接続状態を維持できる。
【0008】
この発明の態様として、前記ハーネス収容部は、前記並列方向に向けて延設する底部と、前記底部の幅方向の両端部分から立設し、前記開口を形成する一対の側壁部とを有し、前記取付部は、前記カバー及び前記側壁部の少なくとも一方に設けられた、前記並列方向と交差する方向に窪んだ凹条部と、他方に設けられた、前記凹条部に対して挿入される凸条部とで構成され、前記凹条部と前記凸条部とのうち少なくとも一方は、前記並列方向に延設され、前記凹条部と前記凸条部とは、前記並列方向に沿って相対移動可能に構成されてもよい。
【0009】
この発明により、凹条部に挿入された凸条部は前記並列方向に沿って延びる凹条部にガイドされながら並列方向に移動するため、隣接する前記ハーネス収容部の一方と他方は、カバーを介して並列方向にスムーズに相対移動することができる。
【0010】
ここで、本発明は、凹条部が、前記カバー及び前記側壁部の少なくとも一方に設けられるとともに、凸条部が、前記カバー及び前記側壁部の少なくとも他方に設けられた構成であればよく、例えば、前記カバーに凹条部を、前記側壁部に凸条部が夫々設けられた構成としてもよい。
【0011】
またこの発明の態様として、前記凹条部に挿入された前記凸条部が前記並列方向に移動することを所定範囲内で規制する移動規制部が設けられた構成としてもよい。
【0012】
この発明により、前記移動規制部によって、前記凹条部と前記凸条部との前記並列方向における相対移動を規制することで、カバーに対するハーネス収容部の移動を所定範囲内に規制することができる。
従って、隣接する前記ハーネス収容部が、カバーを介して所定の範囲を超えて過度に移動することを、移動規制部によって規制できる。
【0013】
ここで、前記移動規制部は、隣接する前記ハーネス収容部が、互いに近接する方向と互いに離間する方向とのうち少なくとも何れかの方向へ移動することを所定範囲内で規制できる。
【0014】
さらに、前記所定範囲は、隣接する前記ハーネス収容部が互いに近接する方向へ移動する場合は、所定の近接位置まで移動可能な範囲を示す。例えば、所定の近接位置とは、隣接する前記ハーネス収容部が互いに近接した際に、互いの間隔を保持可能な位置を挙げることができる。
【0015】
また、前記所定範囲は、隣接する前記ハーネス収容部が互いに離間する方向へ移動する場合は、所定の離間位置まで移動可能な範囲を示す。例えば、所定の離間位置とは、隣接する前記ハーネス収容部が互いに離間した際に、互いに分離する手前の位置を挙げることができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記ハーネス収容部は、前記並列方向に向けて延設する底部と、前記底部の幅方向の両端部分から立設する一対の側壁部とを有し、前記取付部は、前記カバー及び前記側壁部の少なくとも一方に設けられた、前記幅方向に向けて突出する係止凸部と、他方に設けられた、前記並列方向に沿うとともに、前記係止凸部の前記並列方向の長さよりも長い棒状で構成され、前記係止凸部に対して前記カバーが前記保持部材本体から離間する方向に対して係止する被係止部と、前記被係止部の両端部分に連結され、前記保持部材本体に対する前記カバーの前記並列方向に沿った相対移動を規制する一対の移動規制部とで構成してもよい。
【0017】
この発明により、係止凸部が被係止部に係止された状態で前記並列方向に沿って移動できるため、隣接する前記ハーネス収容部の一方と他方は、カバーを介して並列方向にスムーズに相対移動することができる。
【0018】
また、被係止部は、前記係止凸部の前記並列方向の長さよりも長い棒状で構成されているため、係合した前記係止凸部の並列方向に沿った移動をガイドすることができる。
【0019】
係止凸部と被係止部とを係止することで、ハーネス収容部に対してカバーを閉塞状態にロックする機能として機能させることができる。これにより、ハーネス収容部に収容したハーネスを該ハーネス収容部とカバーとでしっかりと保護することができる。
【0020】
すなわち、隣接する前記ハーネス収容部の相対移動を可能とする機能とカバーを閉塞状態にロックする機能とを、同じ係止凸部と被係止部とによって担うことができるため、構成を簡素化することができる。
【0021】
また、並列方向に隣接する前記ハーネス収容部の間に跨って配置されるカバーに対して、隣接する前記ハーネス収容部の夫々を係止凸部と被係止部とで係止することで、隣接する前記ハーネス収容部をカバーを介して連結することができる。
これにより、隣接する前記ハーネス収容部は一体性が高まるため、持ち運びと、電池ユニットに対する取り付けを容易に行うことができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記係止凸部は、前記幅方向の外側に向けて突出する構成としてもよい。
この発明により、ハーネス収容部の外側から係止凸部に対して作業者がアクセス可能となるため、係止凸部と被係止部との係合を容易に解除することができる。
【0023】
また、この発明により、係止凸部と被係止部との係合状態をハーネス収容部の外側から作業者が目視により容易に確認できる。
【0024】
さらにまた、この発明により、前記係止凸部がハーネス収容部の内部空間に向けて突出しないため、内部空間の大きさを確保することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記保持部材本体は、前記並列方向に沿った軸を対称軸として対となって配置され、前記並列方向に隣接する前記保持部材本体の間部分が、対となって配置された一対の前記保持部材本体の相互間で異なる位置としてもよい。
【0026】
この発明により、隣接する前記保持部材本体の間の位置は、前記並列方向における他の位置と比して剛性が低いため、この位置を対となった前記保持部材本体の相互間で異なる構成とすることで、バスバー保持部材全体としての曲げ剛性を確保することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、複数の電池が並列方向に膨張してもバスバーと電池との良好な接続状態を維持できるバスバー保持部材及び電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態の電池モジュールを上方から視た概略斜視図
図2】本実施形態の電池モジュールの分解斜視図
図3図1の領域X1におけるバスバー保持部材の拡大図
図4図3においてカバーを仮想線で示した拡大図
図5図3中のA-A線に沿った要部拡大断面図
図6】(a)は図1の領域X1におけるバスバー保持部材の右側面図、(b)は隣接するハーネス収容部を互いに離間する方向へ移動させた状態を示す図6(a)に対応する右側面図、(c)は同じく近接する方向へ移動させた状態を示す右側面図
図7】変形例1のバスバー保持部材の要部を図1中の領域X2に対応して示した拡大図
図8図7においてカバーを仮想線で示した拡大図
図9】(a)は変形例1のバスバー保持部材の取付部周辺の右側面図、(b)は隣接するハーネス収容部が互いに離間する方向へ移動させた状態を示す図6(a)に対応する右側面図、(c)は同じく近接する方向へ移動させた状態を示す右側面図
図10】(a)は変形例2のバスバー保持部材の図5に対応する断面図、(b)は図10(a)中のB-B線に沿った要部断面図
図11】変形例3のバスバー保持部材の図5に対応する断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
図1は電池モジュール1を上方から視た概略斜視図を示し、図2は電池モジュール1の略分解斜視図を示す。図3図1の領域X1におけるバスバー保持部材5の拡大図を示し、図4図3においてカバー60を仮想線で示した拡大図を示す。
【0030】
ここで、図1における上下方向を高さ方向Hとし、図1において、複数の電池セル20が並列配置されている方向を並列方向Lとする。ここで、高さ方向Hと並列方向Lとは互いに直交する。また、並列方向L及び高さ方向Hと直交する方向を幅方向Wとする。そして、図1において、並列方向Lに沿って左方を先端側LFとし、図1における右方を基端側LBとし、幅方向Wに沿って左方を左側WLとし、右方を右側WRとする。また、高さ方向Hに沿って上方を上側HUとし、下方を下側HDとする。
【0031】
電池モジュール1は、図1及び図2に示すように、複数の電池セル20を並列方向Lに沿って並列配置された電池ユニット2と、電池セル20と電気的に接続される複数の導通部材3と、導通部材3と電気的に接続されたワイヤーハーネス4と、導通部材3を保持するバスバー保持部材5で構成されている。
【0032】
電池ユニット2は、並列方向Lに沿って並列配置された複数の電池セル20で構成されている。換言すると、電池セル20は並列方向Lに沿って積層されている。
電池セル20は、扁平な略箱状に形成された電池本体21と、電池本体21の上面から上側HUに突出するボルト形状の正極端子22と負極端子23とを備えている。なお、正極端子22と負極端子23とは、電池本体21の幅方向Wの両端部分からそれぞれ突出している。
【0033】
このように構成された電池セル20は、上述のように並列方向Lに沿って積層されている。詳述すると、複数の電池セル20は、電池本体21の上面が同一平面状となるとともに、隣接する電池本体21同士の正極端子22と負極端子23とが互いに隣り合うように並列方向Lに沿って並んで配置している。換言すると、電池セル20は、正極端子22と負極端子23とが交互に逆向きとなるように、電池本体21が並列方向Lに沿って並んで配置されている。
【0034】
導通部材3は、図1及び図2に示すように、バスバー保持部材5の幅方向Wの両側のそれぞれにおいて並列方向Lに沿って複数配置されている。導通部材3は、並列配置された電池セル20の正極端子22及び負極端子23のそれぞれと接続されている。
なお、図2に示すように、導通部材3は、連結バスバー30aと、並列方向Lの両端に配置された2つの単一バスバー30bとで構成されている。
【0035】
ワイヤーハーネス4は、図2に示すように、複数の被覆電線を束ねて構成された幹線4aと、幹線4aから分岐する各被覆電線で構成され複数の枝線4bが設けられている。
被覆電線は、中心に配置された導体と、導体の外側を覆う絶縁被覆とで構成されている。被覆電線の先端は絶縁被覆の一部を剥がしているため、導体が露出している。このように露出された導体は、導通部材3に溶接されている。
なお、導通部材3に対して導体を溶接する溶接方法としては、超音波溶接、振動溶接、あるいはレーザ溶接などの適宜の溶接方法で溶接すればよい。
【0036】
図1図4に示すように、バスバー保持部材5は、導通部材3を配置する複数の保持部材本体50と、保持部材本体50の上方を蓋う複数のカバー60を備えている。
図3及び図4に示すように、保持部材本体50は、並列方向Lに沿ってワイヤーハーネス4を収容するハーネス収容部51と、電池セル20と電気的に接続する導通部材3(図1図2参照)を保持する複数のバスバー保持部52とを備えている。
【0037】
図5は、図3中のA-A線に沿った要部拡大断面図を示し、図6(a)は、図1の領域X1におけるバスバー保持部材5の右側面図を示す。
図4図5に示すように、ハーネス収容部51は、並列方向Lに沿って延出する平板状の底部511と、底部511の幅方向Wの両端から上側HUに向けて立設する側壁部512とで構成されている。すなわち、図5に示すように、ハーネス収容部51は、上側HUに開口する開口Dを有する断面凹状に形成されており、被覆電線を束ねたワイヤーハーネス4の幹線4aを収納する収容空間Sが形成されている。
なお、一対の側壁部512のうち、右側の側壁部512を右側側壁部512Rとするとともに、左側の側壁部512を左側側壁部512Lとする。
【0038】
図2に示すように、バスバー保持部材5において、上述したように構成された保持部材本体50、すなわちハーネス収容部51は、並列方向Lに沿って3つが並んで配置されている。
バスバー保持部材5は、並列方向Lに沿って配置された3つのハーネス収容部51によって、並列方向Lに沿って延びる連結収容部55が構成されている。連結収容部55は、並列方向Lに沿った軸を対称軸として対となって配置されている。一対の連結収容部55は、夫々細長い直線形状で樹脂成形により形成され、幅方向Wに所定間隔を隔てて互いに平行に配置されている。
【0039】
ここで、図2に示すように、一対の連結収容部55のうち、右側の連結収容部55を右側連結収容部55Rとするとともに、左側の連結収容部55を左側連結収容部55Lとする。さらに、右側連結収容部55Rにおいて、並列方向Lに沿って並んだ3つのハーネス収容部51を、先端側LFから基端側LBに向けて、それぞれ先端側ハーネス収容部51Ra、中間ハーネス収容部51Rb、基端側ハーネス収容部51Rcとする。
【0040】
同様に、左側連結収容部55Lにおいて、並列方向Lに沿って並んだ3つのハーネス収容部51を、先端側LFから基端側LBに向けて、それぞれ先端側ハーネス収容部51La、中間ハーネス収容部51Lb、基端側ハーネス収容部51Lcとする。
【0041】
また、図2に示すように、一対の連結収容部55は、並列方向Lの長さが互いに同じであるとともに、並列方向Lの位置が互いに一致するように形成されている。但し、先端側ハーネス収容部51Laは、先端側ハーネス収容部51Raよりも並列方向Lの長さが長くなるように形成され、基端側ハーネス収容部51Lcは、基端側ハーネス収容部51Rcよりも並列方向Lの長さが短くなるように形成され、中間ハーネス収容部51Rbと中間ハーネス収容部51Lbとは、並列方向Lの長さが互いに同じ長さとなるように形成されている。
【0042】
これにより、並列方向Lに配置された複数のハーネス収容部51は、左側連結収容部55Lと右側連結収容部55Rとの相互間で、夫々の間部分(50A)の位置が並列方向Lにおいて異なる位置としている。
【0043】
例えば、右側連結収容部55Rにおける、先端側ハーネス収容部51Raと中間ハーネス収容部51Rbの間部分(50A)は、左側連結収容部55Lにおける、先端側ハーネス収容部51Laと中間ハーネス収容部51Lbの間部分(50A)よりも先端側LFに位置する。
【0044】
同様に、右側連結収容部55Rにおける、中間ハーネス収容部51Rbと基端側ハーネス収容部51Rcの間部分(50A)は、左側連結収容部55Lにおける、中間ハーネス収容部51Rbと基端側ハーネス収容部51Rcの間部分(50A)よりも先端側LFに位置する。
【0045】
また、図2に示すように、一対の連結収容部55は、端部連結部56および中央連結部57を介して一体に連結されている。
端部連結部56は、一対の連結収容部55の並列方向Lの両端部に設けられている。端部連結部56は、幅方向Wに沿って底部511(図5参照)同士を連結する連結底部561と、連結底部561の並列方向L両端から立設する一対の連結壁部562とで構成されている。
【0046】
連結底部561は、底部511と一体に構成されるとともに、連結壁部562は、側壁部512(図5参照)と一体に構成されている。これら連結底部561と一対の連結壁部562で構成される空間は、収容空間Sと同様にワイヤーハーネス4を収容可能に形成されている。
中央連結部57は、一対の連結収容部55の並列方向Lの両端部の間部分に複数が設けられている。中央連結部57は、左側WLの端部が左側連結収容部55Lの端部に連結されるとともに、右側WRの端部が右側連結収容部55Rの端部に連結されている。
【0047】
バスバー保持部52は、図2に示すように、幅方向Wに対となって配置される一対の連結収容部55の幅方向Wの両外側に複数が備えられている。具体的には、複数のバスバー保持部52は、並列方向Lに沿って所定間隔を隔てて配設され、夫々が左右夫々のハーネス収容部51の底部511の幅方向Wの外縁から幅方向Wの外側に向けて延出している。
【0048】
複数のバスバー保持部52の夫々には、導通部材3が搭載されている。バスバー保持部52は、複数の導通部材3を個別に保持している。
【0049】
また、図4に示すように、上述した左側のハーネス収容部51の左側側壁部512Lおよび右側のハーネス収容部51の右側側壁部512Rには、幹線4aから分岐する枝線4bを形成する被覆電線が挿通される挿通口53が並列方向Lに所定の間隔を隔てて複数設けられている。
【0050】
挿通口53は、側壁部512の並列方向Lにおける所定の位置において、側壁部512の上端から下端までを板厚方向(幅方向W)に貫通するとともに、上側HUが開口する断面凹状に形成されている。
なお、並列方向Lに隣接する挿通口53同士の間隔は、電池セル20における電池本体21と隣接する負極端子23との間隔の二倍に等しい。
【0051】
そして、幹線4aから分岐する枝線4bは、挿通口53を通じて収容空間Sから幅方向Wの外側へと導出され、上述したように、枝線4bを形成する被覆電線の先端が導通部材3に電気的に接続されている。
【0052】
図3に示すように、カバー60は、保持部材本体50における一対のハーネス収容部51の開口D(図5参照)を閉塞可能に幅方向Wおよび並列方向Lに延びる平板状の天面部61を備えている。天面部61は、図5に示すように、ハーネス収容部51における底部511に対して収容空間Sを隔てて対向する。
【0053】
このように構成されたカバー60は、バスバー保持部材5の左右各側において図1及び図2に示すように、並列方向Lに沿って3つが並んで配置されている。
【0054】
図2及び図3に示すように、並列方向Lに沿って配置された3つのカバー60によって、並列方向Lに沿って延びる連結カバー部65が構成されている。図2に示すように、連結カバー部65は、並列方向Lに沿った軸を対称軸として対となって配置されている。一対の連結カバー部65は、夫々細長い直線形状で樹脂成形により形成され、幅方向Wに所定間隔を隔てて互いに平行に配置されるとともに、端部カバー連結部63を介して幅方向Wにおいて互いに連結されている。端部カバー連結部63は、一対の連結カバー部65の並列方向Lの両端部に設けられている。
【0055】
ここで、図1及び図2に示すように、一対の連結カバー部65のうち、右側の連結カバー部65を右側連結カバー部65Rとするとともに、左側の連結カバー部65を左側連結カバー部65Lとする。さらに、図2に示すように、右側連結カバー部65Rにおいて、並列方向Lに沿って並んだ3つのカバー60を、先端側LFから基端側LBに向けて、それぞれ先端側カバー60Ra、中間カバー60Rb、基端側カバー60Rcとする。
【0056】
同様に、左側連結カバー部65Lにおいて、並列方向Lに沿って並んだ3つのカバー60を、先端側LFから基端側LBに向けて、それぞれ先端側カバー60La、中間カバー60Lb、基端側カバー60Lcとする。
【0057】
また、図2に示すように、一対の連結カバー部65は、並列方向Lの長さが互いに同じであるとともに、並列方向Lの位置が互いに一致するように形成されている。但し、先端側カバー60Laは、先端側カバー60Raよりも並列方向Lの長さが長くなるように形成され、基端側カバー60Lcは、基端側カバー60Rcよりも並列方向Lの長さが短くなるように形成され、中間カバー60Rbと中間カバー60Lbとは、並列方向Lの長さが互いに同じ長さとなるように形成されている。
【0058】
これにより、並列方向Lに配置された複数のカバー60は、左側連結カバー部65Lと右側連結カバー部65Rとの相互間で、夫々の間部分60Aの位置が並列方向Lにおいて異なる位置としている。
【0059】
例えば、右側連結カバー部65Rにおける、先端側カバー60Raと中間カバー60Rbの間部分60Aは、左側連結カバー部65Lにおける、先端側カバー60Laと中間カバー60Lbの間部分60Aよりも先端側LFに位置する。
【0060】
同様に、右側連結カバー部65Rにおける、中間カバー60Rbと基端側カバー60Rcの間部分60Aは、左側連結カバー部65Lにおける、中間カバー60Rbと基端側カバー60Rcの間部分60Aよりも先端側LFに位置する。
【0061】
また、カバー60は、図2及び図3に示すように、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51の間部分(50A)に跨って配置されている。
本実施形態においては、左側連結カバー部65Lにおいて、中間カバー60Lbは、先端側ハーネス収容部51Laと中間ハーネス収容部51Lbの間部分(50A)に跨って配置されるとともに、中間ハーネス収容部51Lbと基端側カバー60Lcの間部分(50A)に跨って配置される。
【0062】
同様に右側連結カバー部65Rにおいて、中間カバー60Rbは、先端側ハーネス収容部51Raと中間ハーネス収容部51Rbの間部分(50A)に跨って配置されるとともに、中間ハーネス収容部51Rbと基端側カバー60Rcの間部分(50A)に跨って配置される。
【0063】
また、図1図6(a)に示すように、バスバー保持部材5には、ハーネス収容部51とカバー60とを互いに取り付ける取付部70が並列方向Lに沿って複数設けられている。取付部70は、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51がカバー60を介して並列方向Lに沿って相対移動可能に設けられている。
【0064】
具体的に、図3に示すように、取付部70は、側壁部512に設けられた係止凸部71と、カバー60に設けられ、係止凸部71に対して係脱可能に係止する係止枠部75とで構成されている。
【0065】
このような取付部70は、図1に示すように、一対の連結収容部55の夫々において、並列方向Lに沿って複数が設けられている。
具体的に、図1及び図2に示すように、係止凸部71は、左右一対の連結収容部55の夫々において、並列方向Lに沿って複数が設けられ、並列方向Lに沿って隣接するハーネス収容部51の夫々に設けられている。
【0066】
図3図5に示すように、係止凸部71は、ハーネス収容部51の一対の側壁部512の夫々に設けられ、何れも側壁部512の幅方向Wにおける、収容空間Sの側と反対側の面から、すなわち幅方向Wの外面512a(図5参照)から突出形成されている。係止凸部71の上部の幅方向Wの外面には、傾斜案内面71aが形成されている。傾斜案内面71aは、側壁部512の幅方向Wの外面512aから該係止凸部71の下部に向けて徐々に幅方向Wの外側に位置するように傾斜して形成されている。
【0067】
一方、係止枠部75は、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51の間部分(50A)に跨って配置されたカバー60の天面部61の幅方向Wの両端部における、並列方向Lにおいて係止凸部71に対応する位置に設けられている。
【0068】
図3図5及び図6(a)に示すように、係止枠部75は、係止凸部71に対して並列方向Lの両側の位置においてカバー60の天面部61から係止凸部71よりも垂下する一対の移動規制部76と、一対の被係止部77の下端を並列方向Lに直線状に連結する被係止部77とで一体に形成されている。
【0069】
すなわち、係止枠部75は、正面視で上方が開口する枠状に形成されている。一対の移動規制部76は、係止枠部75の一対の側縁辺を形成するとともに、被係止部77は、係止枠部75の下縁辺を形成する。
【0070】
係止枠部75の被係止部77は、係止凸部71に対してカバー60がハーネス収容部51から離間する方向、すなわち幅方向Wの外側に対して係止可能に並列方向Lに沿って水平かつ直線状に延びる棒状に形成されている。
【0071】
このような係止枠部75は、ハーネス収容部51の開口Dをカバー60で閉塞する際には、被係止部77が係止凸部71の傾斜案内面71aに当接することで幅方向Wの外側へ弾性変形しながら係止凸部71に対して係止される。これにより、取付部70は、ハーネス収容部51の開口Dをカバー60で閉塞した状態に保つことができる。
但し、係止凸部71は、係止枠部75に対して係止した状態において被係止部77に対して並列方向Lに沿った相対移動を許容する係止力で被係止部77を係止する構成としている。
【0072】
また、図2に示すように、係止枠部75は、被係止部77が係止凸部71の並列方向Lの長さよりも長尺に形成されるとともに、被係止部77の並列方向Lの両端部が、夫々に対応する移動規制部76に連結されている。これにより、係止枠部75の一対の移動規制部76は、係止凸部71に対して並列方向Lの各側において離間して配置される。このため、係止凸部71は、被係止部77に係止された状態で該被係止部77に沿って並列方向Lに移動可能となる。
【0073】
このような取付部70は、上述したように、一対の連結収容部55の夫々において、並列方向Lに沿って複数が設けられている。そして、これら複数の取付部70の夫々において、係止凸部71が係止枠部75の被係止部77に対して並列方向Lに相対移動することで、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51は、カバー60によって幅方向Wおよび高さ方向Hに規制されながらもカバー60を介して並列方向Lに沿って相対移動可能となる。
【0074】
図6(b)は、並列方向Lに隣接する先端側ハーネス収容部51Raと中間ハーネス収容部51Rbを、図6(a)に示す状態から互いに離間する方向(図中太矢印参照)に相対移動した様子を示す側面図である。図6(c)は、並列方向Lに隣接する先端側ハーネス収容部51Raと中間ハーネス収容部51Rbを、図6(a)に示す状態から互いに近接する方向(図中太矢印参照)に相対移動した様子を示す側面図である。
【0075】
また、係止枠部75の一対の移動規制部76は、保持部材本体50に対するカバー60の並列方向Lに沿った相対移動を規制する。
具体的には、一対の移動規制部76の一方は、被係止部77に沿って並列方向Lの一方へ所定距離だけ移動した係止凸部71と干渉することで、該係止凸部71がそれ以上移動することを規制する。
【0076】
例えば、図6(b)に示すように、先端側ハーネス収容部51Raに備えた取付部70は、先端側LFの移動規制部76によって係止凸部71の先端側LFへの移動を規制する。
【0077】
一方、一対の移動規制部76の他方は、被係止部77に沿って並列方向Lの他方へ所定距離だけ移動した係止凸部71と干渉することで、それ以上移動しないように規制する。
【0078】
例えば、図6(b)に示すように、先端側ハーネス収容部51Raに備えた取付部70は、基端側LBの移動規制部76によって係止凸部71の基端側LBへの移動を規制する。
【0079】
上述した本実施形態のバスバー保持部材5は、以下の作用効果を奏することができる。
本実施形態のバスバー保持部材5は、例えば、図6(b)(c)に示すように、隣接するハーネス収容部51のうち、先端側ハーネス収容部51Raと中間ハーネス収容部51Rbが、カバー60を介して並列方向Lに沿って相対移動することで、バスバー保持部52に保持された導通部材3が、電池セル20の熱膨張による並列方向Lの位置ずれに追従して並列方向Lに移動できる。
従って、複数の電池セル20が並列方向Lに熱膨張しても導通部材3と電池セル20との良好な接続状態を維持できる。
【0080】
本実施形態のバスバー保持部材5は、上述した効果に加えて以下の作用効果を奏することができる。
図3図5図6(a)に示すように、本実施形態の取付部70は、側壁部512において幅方向Wの外側に向けて突出する係止凸部71と、カバー60側に設けられた被係止部77とを備え、被係止部77は、図3図4及び図6(a)に示すように、係止凸部71の並列方向Lの長さよりも長い棒状に並列方向Lに沿って延設されているため、被係止部77は、係止凸部71を係止した状態において該係止凸部71の並列方向Lに沿った移動をガイドすることができる。すなわち、図6(b)(c)に示すように、係止凸部71は、被係止部77に係止した状態で並列方向Lに沿って移動できる。
【0081】
従って、隣接するハーネス収容部51の一方と他方は、カバー60を介して並列方向Lにスムーズに相対移動することができる。
【0082】
また、本実施形態の取付部70は、係止凸部71と被係止部77とを係止することで、カバー60がハーネス収容部51の開口Dが不用意に開かないようにロックできる。これにより、ハーネス収容部51に収容したワイヤーハーネス4を該ハーネス収容部51とカバー60とでしっかりと保護することができる。
【0083】
すなわち、本実施形態の取付部70は、隣接するハーネス収容部51の相対移動を可能とする機能とカバー60を閉塞状態にロックする機能とを、同じ係止凸部71と被係止部77とによって担うことができるため、構成を簡素化することができる。
【0084】
また、本実施形態の取付部70は、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51の間部分に跨って配置されるカバー60に対して、隣接するハーネス収容部51の夫々を係止凸部71と被係止部77とで係止することで、図1図3図6(a)に示すように、隣接するハーネス収容部51をカバー60を介して連結することができる。
これにより、隣接するハーネス収容部51は互いの一体性が高まるため、持ち運びと、電池ユニット2に対する取り付けを容易に行うことができる。
【0085】
図3図5に示すように、係止凸部71は、側壁部512から幅方向Wの外側、すなわち、幅方向Wにおける、収容空間Sの側と反対側に向けて突出することで、ハーネス収容部51の外側から係止凸部71に対して作業者がアクセス可能となるため、係止凸部71と被係止部77との係脱を容易に行うことができる。
また、係止凸部71と被係止部77との係合状態をハーネス収容部51の外側から作業者が目視により容易に確認できる。
【0086】
さらにまた、係止凸部71は、ハーネス収容部51の収容空間Sに向けて突出しないため、収容空間Sの大きさを確保することができる。
【0087】
また、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
例えば、本発明のバスバー保持部材は、上述した実施形態のバスバー保持部材5に備えた取付部70に限らず、他の取付部を備えた構成としてもよい。以下、変形例1~3の取付部70A,70B,70Cを備えたバスバー保持部材5A,5B,5Cについて説明するが、上述したバスバー保持部材5と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7図8図9(a)に示すように、変形例1の取付部70Aに備えた係止凸部71Aは、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51が互いに対向する、夫々の端部に形成されている。
【0088】
詳しくは、被係止部77Aは、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51のうち、一方のハーネス収容部51における、他方のハーネス収容部51との対向端部と、他方のハーネス収容部51における、一方のハーネス収容部51との対向端部とに形成されている。すなわち、これら一対の係止凸部71Aは、隣接するハーネス収容部51の間部分(50A)に有する隙間を隔てた各側に並列して設けられている。
【0089】
一方、変形例1の取付部70Aに備えた被係止部77Aは、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51の間部分(50A)に跨って並列方向Lに延びるとともに、一対の係止凸部71Aよりも並列方向Lに長尺に形成されている。すなわち、変形例1の係止枠部75Aは、該係止枠部75Aの下縁辺を成す被係止部77Aと側縁辺を成す移動規制部76とで、正面視で一対の係止凸部71Aを取り囲むように上方が開口する枠状に形成されている。
【0090】
上記構成によれば、一対の係止凸部71Aは、夫々が被係止部77Aに係止された状態において、互いに独立して被係止部77Aに沿って並列方向Lに移動可能となる。このため、変形例1の取付部70Aを備えたバスバー保持部材5Aは、上述した実施形態の取付部70を備えたバスバー保持部材5と同様に、隣接するハーネス収容部51の一方と他方が、カバー60を介して並列方向Lに沿って相対移動することができる。
【0091】
図9(b)は、並列方向Lに隣接する先端側ハーネス収容部51Laと中間ハーネス収容部51Lbを、図9(a)に示す状態から互いに離間する方向(図中太矢印参照)に相対移動した様子を示す側面図である。図9(c)は、並列方向Lに隣接する先端側ハーネス収容部51Laと中間ハーネス収容部51Lbを、図9(a)に示す状態から互いに近接する方向(図中太矢印参照)に相対移動した様子を示す側面図である。
【0092】
また、係止枠部75Aに備えた一対の移動規制部76は、並列方向Lに隣接する保持部材本体50がカバー60を介して過度に相対移動することを規制する。
具体的には、一対の移動規制部76の一方は、被係止部77Aに沿って並列方向Lの一方へ所定距離だけ移動した係止凸部71Aと干渉することで、該係止凸部71Aがそれ以上移動することを規制する。
【0093】
例えば、図9(b)に示すように、先端側ハーネス収容部51Laに備えた取付部70Aは、先端側LFの移動規制部76によって、一対の係止凸部71Aのうち、先端側LFの係止凸部71Aの先端側LFへの移動を規制する。
【0094】
一方、一対の移動規制部76の他方は、被係止部77Aに沿って並列方向Lの他方へ所定距離だけ移動した係止凸部71Aと干渉することで、それ以上移動しないように規制する。
【0095】
例えば、図9(b)に示すように、中間ハーネス収容部51Lbに備えた取付部70Aは、基端側LBの移動規制部76によって、一対の係止凸部71のうち、基端側LBの係止凸部71Aの基端側LBへの移動を規制する。
【0096】
従って、複数の電池セル20が並列方向Lに熱膨張しても導通部材3と電池セル20との良好な接続状態を維持できる。
【0097】
また、変形例1のバスバー保持部材5Aは、隣接するハーネス収容部51の一方と他方が、カバー60を介して並列方向Lに沿って相対移動させるにあたり、一対の係止凸部71Aと一つの係止枠部75Aから成る変形例1の取付部70Aを少なくとも一つ備えるだけで足りるため、上述した実施形態のバスバー保持部材5と比して取付部70を設ける数を減らすことが可能となり、構成をシンプルにできる。
【0098】
本発明のバスバー保持部材は、上述した実施形態の取付部70と変形例1の取付部70Aとの双方を備えてもよい。
【0099】
また、本発明の取付部は、隣接するハーネス収容部51の一方と他方が、並列方向Lに沿って相対移動可能に、ハーネス収容部51とカバー60とを取り付け可能な構成であれば、上述した実施形態の取付部70ように、ハーネス収容部51とカバー60とを閉止状態にロックするための態様で備えるに限らず、図10(a)(b)に示すような変形例2の取付部70Bのように形成してもよい。
【0100】
図10(a)(b)に示すように、変形例2の取付部70Bは、凹条部81と、凹条部81に対して挿入される凸条部82と、移動規制部83(図10(b)参照)で構成される。
【0101】
具体的には、変形例2のバスバー保持部材5Bは、ハーネス収容部51の側壁部512の上端から幅方向Wの外側へ突出する一対の外側突出部58a,58bが高さ方向Hに間隔を隔てて設けられている。凹条部81は、これら一対の外側突出部58a,58bの間に形成されている。
【0102】
変形例2のバスバー保持部材5Bは、カバー60の天面部61の幅方向Wの両端から下方へ突出する下方突出部66が設けられている。凸条部82は、下方突出部66の下端から幅方向Wの内側へ凹条部81に挿入可能に突出する。
【0103】
また、図10(b)に示すように、変形例2のバスバー保持部材5Bにおいて、凹条部81は、凸条部82よりも並列方向Lに長く形成されている。
なお、変形例2のバスバー保持部材5Bは、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51が電池セル20の熱膨張を吸収可能な範囲で並列方向Lに移動できるのであれば、凹条部81の並列方向Lの長さをさらに長く形成し、凸条部82を凹条部81に対して長いストロークで並列方向Lに移動可能に構成してもよい。
【0104】
上記構成によれば、凸条部82が挿入された凹条部81は、並列方向Lにおいて凸条部82にガイドされながら並列方向Lに移動するため、隣接するハーネス収容部51の一方と他方は、カバー60を介して並列方向Lにスムーズに相対移動することができる。
【0105】
また、図10(b)に示すように、変形例2の取付部70Bに備えた一対の移動規制部83のうち、一方の移動規制部83は、凹条部81に沿って並列方向Lの一方へ所定距離だけ相対移動した凸条部82と干渉することで、該凸条部82がそれ以上移動することを規制することができる。一対の移動規制部83の他方の移動規制部83は、凹条部81に沿って並列方向Lの他方へ所定距離だけ移動した凸条部82と干渉することで、それ以上移動しないように規制することができる。
【0106】
このような一対の移動規制部83によって、複数の電池セル20が並列方向Lに熱膨張しても導通部材3と電池セル20との良好な接続状態を維持できる。
【0107】
本発明の取付部は、凹条部81が、カバー60及び側壁部512の少なくとも一方に設けられるとともに、凸条部82が、カバー60及び側壁部512の少なくとも他方に設けられた構成であれば、上述した変形例2の取付部70Bのように、凹条部81が側壁部512の側に設けられるとともに、凸条部82がカバー60の側に設けられた構成に限らず、例えば、図11に示すように、変形例3の取付部70Cのように形成してもよい。
【0108】
続いて変形例3の取付部70Cの構成について、変形例2と異なる構成を中心に説明する。
変形例3の取付部70Cは、カバー側凹条部84と、カバー側凹条部84に対して挿入される側壁部側凸条部85と、側壁部側凹条部86と、側壁部側凹条部86に対して挿入されるカバー側凸条部87とで構成される。
【0109】
具体的に、変形例3のバスバー保持部材5Cは、ハーネス収容部51の幅方向Wの両側の側壁部512の上端から幅方向Wの外側へ突出する幅方向外側突出部88が設けられている。側壁部側凸条部85は、幅方向外側突出部88の幅方向W外端から下方へ突出する。また、側壁部側凹条部86は、側壁部512と側壁部側凸条部85との間に形成されている。
【0110】
変形例3のバスバー保持部材5Cは、カバー60の天面部61の幅方向Wの両端部から下方へ突出する下方突出部67と、該下方突出部67の下端から幅方向Wの内側へ突出する幅方向内側突出部68とが一体形成されている。カバー側凸条部87は、幅方向内側突出部68の幅方向Wの内端から上方へ突出形成されている。また、カバー側凹条部84は、カバー側凸条部87と下方突出部67との間に形成されている。
【0111】
上記構成によれば、カバー側凹条部84に挿入された側壁部側凸条部85は、並列方向Lに沿って延びるカバー側凹条部84にガイドされながら並列方向Lに移動するとともに、カバー側凸条部87を挿入する側壁部側凹条部86は、並列方向Lに沿って延びるカバー側凸条部87にガイドされながら並列方向Lに移動するため、隣接するハーネス収容部51の一方と他方は、カバー60を介して並列方向Lにスムーズに相対移動することができる。
【0112】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、バスバーは、導通部材3に対応し、以下同様に
ハーネスは、ワイヤーハーネス4に対応し、
電池は、電池セル20に対応し、
凸条部は、凸条部82、又は、側壁部側凸条部85及びカバー側凸条部87に対応し、
凹条部は、凹条部81、又は、側壁部側凹条部86及びカバー側凹条部84に対応し、
係止凸部に対してカバーが保持部材本体から離間する方向は、幅方向Wの外側に対応し、
並列方向Lと交差する方向は、幅方向Wに対応する。
【符号の説明】
【0113】
1…電池モジュール
2…電池ユニット
3…導通部材
4…ワイヤーハーネス
5,5A,5B,5C…バスバー保持部材
20…電池セル
52…バスバー保持部
51…ハーネス収容部
50…保持部材本体
50A…並列方向に隣接する保持部材本体の間部分
70,70A,70B,70C…取付部
71,71A…係止凸部
75,75A…係止枠部
77,77A…被係止部
81…凹条部
82…凸条部
76,83…移動規制部
84…カバー側凹条部
85…側壁部側凸条部
87…カバー側凸条部
86…側壁部側凹条部
511…底部
512…側壁部
L…並列方向
W…幅方向
D…開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11