(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029415
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】バスバー保持部材及び電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20240228BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240228BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240228BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20240228BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240228BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20240228BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/209
H01M50/569
H01M50/298
H01M50/503
H01M50/505
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131652
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信
(72)【発明者】
【氏名】森下 慎也
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA14
5H040AA19
5H040AS07
5H040AT02
5H040DD03
5H040NN03
5H043AA01
5H043AA03
5H043AA13
5H043CA04
5H043CA22
5H043FA02
5H043FA04
5H043LA21F
5H043LA22F
(57)【要約】
【課題】複数の電池が並列方向に膨張してもバスバーと電池との良好な接続状態を維持すること。
【解決手段】電池20と電気的に接続するバスバー3を保持するバスバー保持部52および、バスバー3と電気的に接続され、並列方向Lに延出するハーネス4を収容するハーネス収容部51を備える複数の保持部材本体50と、並列方向Lに沿って複数配置された保持部材本体50において、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51同士を連結する連結構造70とを有し、連結構造70は、保持部材本体50において、幅方向Wに設けられた延設部71と、延設部71と別体で構成され、並列方向に配置された延設部71同士を跨ぐとともに、延設部71の少なくとも一方と並列方向Lに移動可能に連結する移動連結部材81とが備えられた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池が並列方向に沿って配置された電池ユニットに取り付けられるバスバーを保持するバスバー保持部材であって、
前記電池と電気的に接続する前記バスバーを保持するバスバー保持部および、前記バスバーと電気的に接続され、前記並列方向に延出するハーネスを収容するハーネス収容部を備える複数の保持部材本体と、
前記並列方向に沿って複数配置された前記保持部材本体において、前記並列方向に隣接する前記ハーネス収容部同士を連結する連結構造とを有し、
前記連結構造は、
前記保持部材本体において、前記並列方向と交差する方向に設けられた延設部と、
前記延設部と別体で構成され、前記並列方向に配置された前記延設部同士の間を跨ぐとともに、前記延設部の少なくとも一方と前記並列方向に移動可能に連結する移動連結部材とが備えられた
バスバー保持部材。
【請求項2】
前記保持部材本体は、前記並列方向に沿った軸を対称軸として、前記並列方向と直交する幅方向に対となって配置され、
前記延設部は、一対の前記ハーネス収容部を前記幅方向に連結する
請求項1に記載のバスバー保持部材。
【請求項3】
前記延設部及び前記移動連結部材の少なくとも一方に、
前記幅方向及び前記並列方向と直交する直交方向へ、前記延設部に対して前記移動連結部材が移動することを規制する移動規制部を有する
請求項2に記載のバスバー保持部材。
【請求項4】
前記移動連結部材に対して前記保持部材本体が前記並列方向において所定範囲を超えて移動することを規制する並列方向規制部が設けられた
請求項3に記載のバスバー保持部材。
【請求項5】
前記移動連結部材は、前記並列方向に配置された前記延設部の夫々に対して前記並列方向に移動可能に連結された構成とし、
前記並列方向規制部は、
前記移動連結部材における前記並列方向の中央部分に設けられるとともに、前記延設部同士の間に配置された
請求項4に記載のバスバー保持部材。
【請求項6】
前記移動連結部材は、前記並列方向の両端部分を段差状にした段差部が設けられ、
前記並列方向規制部は、
前記延設部における、隣接する前記延設部同士を跨いで配置された前記移動連結部材における前記段差部よりも隣接する前記延設部側に設けられるとともに、前記移動連結部材に向けて突出し、
前記段差部と前記並列方向規制部とが干渉して、前記保持部材本体同士が離間する方向に所定範囲を超えて移動することを規制する
請求項4に記載のバスバー保持部材。
【請求項7】
前記延設部は、前記直交方向に対して弾性変形可能に形成された
請求項6に記載のバスバー保持部材。
【請求項8】
前記連結構造に、前記移動連結部材に対する前記保持部材本体が前記並列方向において所定範囲を超えて移動することを規制する並列方向規制部が設けられた
請求項1又は請求項2に記載のバスバー保持部材。
【請求項9】
前記並列方向に隣接する前記保持部材本体の間部分が、一対の前記保持部材本体の相互間で異なる位置とした
請求項2に記載のバスバー保持部材。
【請求項10】
並列配置された複数の電池と、
前記電池と電気的に接続するバスバーと、
前記バスバーを保持する複数のバスバー保持部材と、
前記バスバーと電気的に接続されるハーネスとを備え、
前記バスバー保持部材は、
前記バスバーを保持するバスバー保持部および、前記ハーネスを収容するハーネス収容部を備える複数の保持部材本体と、
前記電池が並列配置される並列方向に沿って配置され、互いに隣接する前記ハーネス収容部同士を連結する連結構造とを有し、
前記連結構造は、
前記保持部材本体の前記並列方向と交差する方向に設けられた延設部と、
前記延設部と別体で構成され、前記並列方向に配置された前記延設部同士の間を跨ぐとともに、前記延設部に連結する移動連結部材とが備えられ、
前記延設部同士は、前記移動連結部材に沿って所定範囲内で移動する構成とした
電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気車両やハイブリッド車両に搭載される電池モジュールは、特許文献1に例示するように、複数の電池を並列方向に沿って配置した電池ユニットと、電池と電気的に接続されるバスバーと、バスバーを保持するバスバー保持部材と、バスバーと電気的に接続されるハーネスを備えている。これにより、ハーネスは、先端部がバスバーを介して電池と接続され、電池の電圧を電池モジュールの外部に出力する。
【0002】
しかし、特許文献1に例示されるように、電池ユニットは、上述したように、複数の電池が並列方向に沿って配置されているため、これら電池が発熱により膨張すると、バスバー保持部材に保持されたバスバーと、電池との間に並列方向の位置ずれが生じる。これにより、バスバーと電池との良好な接続状態を維持できないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の電池が並列方向に膨張してもバスバーと電池との良好な接続状態を維持できるバスバー保持部材及び電池モジュールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、複数の電池が並列方向に沿って配置された電池ユニットに取り付けられるバスバーを保持するバスバー保持部材であって、前記電池と電気的に接続する前記バスバーを保持するバスバー保持部および、前記バスバーと電気的に接続され、前記並列方向に延出するハーネスを収容するハーネス収容部を備える複数の保持部材本体と、前記並列方向に沿って複数配置された前記保持部材本体において、前記並列方向に隣接する前記ハーネス収容部同士を連結する連結構造とを有し、前記連結構造は、前記保持部材本体において、前記並列方向と交差する方向に設けられた延設部と、前記延設部と別体で構成され、前記並列方向に配置された前記延設部同士の間を跨ぐとともに、前記延設部の少なくとも一方と前記並列方向に移動可能に連結する移動連結部材とが備えられたことを特徴とする。
【0006】
また、この発明は、並列配置された複数の電池と、前記電池と電気的に接続するバスバーと、前記バスバーを保持する複数のバスバー保持部材と、前記バスバーと電気的に接続されるハーネスとを備えた電池モジュールであって、前記バスバー保持部材は、前記バスバーを保持するバスバー保持部および、前記ハーネスを収容するハーネス収容部を備える複数の保持部材本体と、前記電池が並列配置される並列方向に沿って配置され、互いに隣接する前記ハーネス収容部同士を連結する連結構造とを有し、前記連結構造は、前記保持部材本体の前記並列方向と交差する方向に設けられた延設部と、前記延設部と別体で構成され、前記並列方向に配置された前記延設部同士の間を跨ぐとともに、前記延設部に連結する移動連結部材とが備えられ、前記延設部同士は、前記移動連結部材に沿って所定範囲内で移動する構成としたことを特徴とする。
【0007】
この発明により、複数の前記保持部材本体同士は、夫々に備えた前記延設部の少なくとも一方が移動連結部材を介して前記並列方向に移動可能に連結されるため、バスバー保持部に保持された前記バスバーは、電池の熱膨張による並列方向の位置ずれに追従して並列方向に移動できる。従って、複数の電池が並列方向に熱膨張してもバスバーと電池との良好な接続状態を維持できる。
【0008】
この発明の態様として、前記保持部材本体は、前記並列方向に沿った軸を対称軸として、前記並列方向と直交する幅方向に対となって配置され、前記延設部は、一対の前記ハーネス収容部を前記幅方向に連結してもよい。
【0009】
この発明により、幅方向に配置される一対の前記ハーネス収容部の夫々を、連結構造の一部を成す前記延設部によって前記幅方向に連結することで、これら一対のハーネス収容部の夫々を、連結構造を介して並列方向に移動させる際に、バランスよく移動させることができる。
【0010】
さらにこの発明により、前記延設部は、並列方向に隣接する前記ハーネス収容部同士を連結する連結構造の一部としてのみならず、幅方向に配置される一対の前記ハーネス収容部同士の連結機能も備えた構成とすることができ、構成の簡素化を図ることができる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記延設部及び前記移動連結部材の少なくとも一方に、前記幅方向及び前記並列方向と直交する直交方向へ、前記延設部に対して前記移動連結部材が移動することを規制する移動規制部を有してもよい。
【0012】
この発明により、移動規制部によって、前記延設部に対する前記移動連結部材の直交方向への移動を規制することで、前記保持部材本体を並列方向にスムーズに移動させることができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記移動連結部材に対して前記保持部材本体が前記並列方向において所定範囲を超えて移動することを規制する並列方向規制部が設けられてもよい。
【0014】
この発明により、前記移動連結部材に対して前記保持部材本体が前記並列方向に前記所定範囲を超えて過度に移動することを、並列方向規制部によって規制できる。
【0015】
ここで、前記並列方向移動規制部は、隣接する前記保持部材本体が、互いに近接する方向と互いに離間する方向とのうち少なくとも何れかの方向へ所定範囲を超えて移動することを規制してもよい。
【0016】
また、前記所定範囲は、隣接する前記ハーネス収容部が互いに近接する方向へ移動する場合は、所定の近接位置まで移動可能な範囲を示す。例えば、所定の近接位置とは、隣接する前記ハーネス収容部が互いに近接した際に、互いの間隔を保持可能な位置を挙げることができる。
【0017】
また、前記所定範囲は、隣接する前記ハーネス収容部が互いに離間する方向へ移動する場合は、所定の離間位置まで移動可能な範囲を示す。例えば、所定の離間位置とは、隣接する前記ハーネス収容部が互いに離間した際に、互いに分離する手前の位置を挙げることができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記移動連結部材は、前記並列方向に配置された前記延設部の夫々に対して前記並列方向に移動可能に連結された構成とし、前記並列方向規制部は、前記移動連結部材における前記並列方向の中央部分に設けられるとともに、前記延設部同士の間に配置されてもよい。
【0019】
この発明により、前記並列方向移動規制部は、前記並列方向に隣接する前記保持部材本体の間に介在するため、隣接する前記保持部材本体が互いに近接する方向へ移動する際に、互いに当接しないように規制することができる。
【0020】
さらに、前記移動連結部材に対して前記並列方向の両側で連結された前記保持部材本体の夫々が、前記並列方向に移動することを、前記移動連結部材に対して両側の前記保持部材本体の相互間で互いに共通する前記並列方向規制部によって規制できる。従って、前記並列方向規制部を、両側の前記保持部材本体の夫々に備える場合と比して構成を簡素化できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記移動連結部材は、前記並列方向の両端部分を段差状にした段差部が設けられ、前記並列方向規制部は、前記延設部における、隣接する前記延設部同士を跨いで配置された前記移動連結部材における前記段差部よりも隣接する前記延設部側に設けられるとともに、前記移動連結部材に向けて突出し、前記段差部と前記並列方向規制部とが干渉して、前記保持部材本体同士が離間する方向に所定範囲を超えて移動することを規制してもよい。
【0022】
この発明により、隣接する前記延設部同士が意に反して並列方向に互いに離間する方向に所定範囲を超えて移動することを、前記段差部と前記並列方向規制部とが干渉することによって規制することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記延設部は、前記直交方向に対して弾性変形可能に形成されてもよい。
【0024】
この発明により、前記延設部に対して前記移動連結部材が移動することを移動規制部によって規制された状態においても前記延設部を、前記並列方向規制部が前記段差部と前記並列方向において干渉しない位置まで前記直交方向に対して弾性変形させることで、前記並列方向規制部と前記段差部とが支障することがなく前記延設部と前記移動連結部材とを組み付けることができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記連結構造に、前記移動連結部材に対する前記保持部材本体の前記並列方向において所定範囲を超えて移動することを規制する並列方向規制部が設けられてもよい。
【0026】
この発明により、前記移動連結部材に対して前記保持部材本体が前記並列方向に前記所定範囲を超えて過度に移動することを、並列方向規制部によって規制できる。
【0027】
前記所定範囲とは、前記保持部材本体同士が前記並列方向において互いに分離するまで離間しない移動距離の範囲内である。また、前記所定範囲は、複数の電池が熱膨張によって並列方向に移動する距離よりも長い移動距離となる範囲を有していることが好ましい。
【0028】
またこの発明の態様として、前記並列方向に隣接する前記保持部材本体の間部分が、一対の前記保持部材本体の相互間で異なる位置としてもよい。
【0029】
この発明により、前記並列方向において隣接する前記保持部材本体同士の間の位置は、前記並列方向の他の位置と比して剛性が低くなるが、この位置が前記幅方向に配置された一対の前記保持部材本体の相互間で異なる構成とすることができるため、全体としての曲げ剛性を確保することができる。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、複数の電池が並列方向に膨張してもバスバーと電池との良好な接続状態を維持できるバスバー保持部材及び電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本実施形態の電池モジュールを上方から視た概略斜視図
【
図3】
図2の領域Xにおいてカバーを仮想線で示した拡大斜視図
【
図4】
図3に示す箇所を左斜め下方から見た拡大斜視図
【
図5】
図3に示す箇所を右斜め下方から見た拡大斜視図
【
図6】
図3中のD1-D1線に沿う要部を一部仮想線で示すとともに矢視に対して先端側上方から視た斜視断面図
【
図7】
図6において移動連結部材を一部破断面で示した斜視断面図
【
図8】(a)は
図3のD3-D3線に沿った要部を示す断面図、(b)は、
図8(a)中のD2-D2線に沿った要部を示す断面図
【
図9】(a)は左側、並列方向の先端側、かつ上方から視た移動連結部材の斜視図、(b)は、左側、並列方向の先端側、かつ下方から視た移動連結部材の斜視図
【
図10】(a)は隣接する一対のバスバー保持部材が互いに離間した状態を
図8(a)に対応して示す断面図、(b)は同じく近接した様子を示す断面図
【
図11】(a)は組み付け直前の延設部と移動連結部材との要部を
図8(a)に対応して示す断面図、(b)は同じく組付け途中の様子を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
図1は電池モジュール1を上方から視た概略斜視図を示し、
図2は電池モジュール1の略分解斜視図を示す。
図3は
図2の領域Xにおいてカバー60を仮想線で示した拡大斜視図を示す。
【0033】
ここで、
図1における上下方向を高さ方向Hとし、
図1において、複数の電池セル20が並列配置されている方向を並列方向Lとする。ここで、高さ方向Hと並列方向Lとは互いに直交する。また、並列方向L及び高さ方向Hと直交する方向を幅方向Wとする。そして、
図1において、並列方向Lに沿って左方を先端側LFとし、
図1における右方を基端側LBとし、幅方向Wに沿って左方を左側WLとし、右方を右側WRとする。また、高さ方向Hに沿って上方を上側HUとし、下方を下側HDとする。
【0034】
電池モジュール1は、
図1及び
図2に示すように、複数の電池セル20を並列方向Lに沿って並列配置された電池ユニット2と、電池セル20と電気的に接続される複数の導通部材3と、導通部材3と電気的に接続されたワイヤーハーネス4と、導通部材3を保持するバスバー保持部材5で構成されている。
【0035】
電池ユニット2は、並列方向Lに沿って並列配置された複数の電池セル20で構成されている。換言すると、電池セル20は並列方向Lに沿って積層されている。
電池セル20は、扁平な略箱状に形成された電池本体21と、電池本体21の上面から上側HUに突出するボルト形状の正極端子22と負極端子23とを備えている。なお、正極端子22と負極端子23とは、電池本体21の幅方向Wの両端部分からそれぞれ突出している。
【0036】
このように構成された電池セル20は、上述のように並列方向Lに沿って積層されている。詳述すると、複数の電池セル20は、電池本体21の上面が同一平面状となるとともに、隣接する電池本体21同士の正極端子22と負極端子23とが互いに隣り合うように並列方向Lに沿って並んで配置している。換言すると、電池セル20は、正極端子22と負極端子23とが交互に逆向きとなるように、電池本体21が並列方向Lに沿って並んで配置されている。
【0037】
導通部材3は、
図1及び
図2に示すように、バスバー保持部材5の幅方向Wの両側のそれぞれにおいて並列方向Lに沿って複数配置されている。導通部材3は、並列配置された電池セル20の正極端子22及び負極端子23のそれぞれと接続されている。
なお、
図2に示すように、導通部材3は、連結バスバー30aと、並列方向Lの両端に配置された2つの単一バスバー30bとで構成されている。
【0038】
ワイヤーハーネス4は、
図2に示すように、複数の被覆電線を束ねて構成された幹線4aと、幹線4aから分岐する各被覆電線で構成され複数の枝線4bが設けられている。
被覆電線は、中心に配置された導体と、導体の外側を覆う絶縁被覆とで構成されている。被覆電線の先端は絶縁被覆の一部を剥がしているため、導体が露出している。このように露出された導体は、導通部材3に溶接されている。
なお、導通部材3に対して導体を溶接する溶接方法としては、超音波溶接、振動溶接、あるいはレーザ溶接などの適宜の溶接方法で溶接すればよい。
【0039】
図1及び
図3に示すように、バスバー保持部材5は、導通部材3を配置する複数の保持部材本体50と、保持部材本体50の上方を蓋う複数のカバー60と、並列方向Lに沿って複数配置された前記保持部材本体50同士を連結する連結構造70を備えている。
【0040】
図3に示すように、保持部材本体50は、並列方向Lに沿ってワイヤーハーネス4を収容するハーネス収容部51と、電池セル20と電気的に接続する導通部材3を保持する複数のバスバー保持部52とを備えている。
【0041】
ハーネス収容部51は、
図3に示すように、並列方向Lに沿って延出する平板状の底部511と、底部511の幅方向Wの両端から上側HUに向けて立設する側壁部512とで構成されている。すなわち、ハーネス収容部51は、上側HUに開口する開口Dを有する断面凹状に形成されており、被覆電線を束ねたワイヤーハーネス4の幹線4aを収納する収容空間Sが形成されている。
なお、一対の側壁部512のうち、右側の側壁部512を右側側壁部512Rとするとともに、左側の側壁部512を左側側壁部512Lとする。
【0042】
図2に示すように、このように構成された保持部材本体50、すなわちハーネス収容部51は、並列方向Lに沿って3つが並んで配置されている。
バスバー保持部材5は、並列方向Lに沿って配置された3つのハーネス収容部51によって、並列方向Lに沿って延びる連結収容部55が構成されている。連結収容部55は、並列方向Lに沿った軸を対称軸として対となって配置されている。一対の連結収容部55は、夫々細長い直線形状で樹脂成形により形成され、幅方向Wに所定間隔を隔てて互いに平行に配置されている。
【0043】
ここで、
図2に示すように、一対の連結収容部55のうち、右側の連結収容部55を右側連結収容部55Rとするとともに、左側の連結収容部55を左側連結収容部55Lとする。さらに、右側連結収容部55Rにおいて、並列方向Lに沿って並んだ3つのハーネス収容部51を、先端側LFから基端側LBに向けて、それぞれ先端側ハーネス収容部51Ra、中間ハーネス収容部51Rb、基端側ハーネス収容部51Rcとする。
【0044】
同様に、左側連結収容部55Lにおいて、並列方向Lに沿って並んだ3つのハーネス収容部51を、先端側LFから基端側LBに向けて、それぞれ先端側ハーネス収容部51La、中間ハーネス収容部51Lb、基端側ハーネス収容部51Lcとする。
【0045】
また、
図2に示すように、一対の連結収容部55は、並列方向Lの長さが互いに同じであるとともに、並列方向Lの位置が互いに一致するように形成されている。但し、先端側ハーネス収容部51Laは、先端側ハーネス収容部51Raよりも並列方向Lの長さが長くなるように形成され、基端側ハーネス収容部51Lcは、基端側ハーネス収容部51Rcよりも並列方向Lの長さが短くなるように形成され、中間ハーネス収容部51Rbと中間ハーネス収容部51Lbとは、並列方向Lの長さが互いに同じ長さとなるように形成されている。
【0046】
これにより、並列方向Lに配置された複数のハーネス収容部51は、左側連結収容部55Lと右側連結収容部55Rとの間で、夫々の間部分(50A)の位置が並列方向Lにおいて異なる位置としている。
【0047】
図4は
図3に示す箇所を左斜め下方から見た拡大斜視図を示し、
図5は
図3に示す箇所を右斜め下方から見た拡大斜視図を示す。
例えば、
図2~
図5に示すように、右側連結収容部55Rにおける、先端側ハーネス収容部51Raと中間ハーネス収容部51Rbの間部分(50A)は、左側連結収容部55Lにおける、先端側ハーネス収容部51Laと中間ハーネス収容部51Lbの間部分(50A)よりも先端側LFに位置する。
【0048】
但し、
図3に示すように、右側の先端側ハーネス収容部51Raの左側側壁部512Lは、基端側LBの端部512LBが、先端側ハーネス収容部51Laと中間ハーネス収容部51Lbとの間部分(50A)と並列方向Lにおいて一致するまで基端側LBへ延びている。一方、右側の中間ハーネス収容部51Rbは、左側側壁部512Lの先端側LFの端部512LFが、上記端部512LBよりも幅方向Wにおいて収容空間Sの側へずらして形成され、該端部512LBに沿って先端側LFへ延びている。
【0049】
また、
図4、
図5に示すように、中間ハーネス収容部51Lb,51Rbは、左右何れも底部511の先端側LFの端部511LFが先端側ハーネス収容部51La,51Raとの間部分(50A)を超えて先端側LFへ延びている。これにより、ハーネス収容部51同士の間部分(50A)において、先端側ハーネス収容部51La,51Raは、基端側LBの端部が中間ハーネス収容部51Lb,51Rbにおける、先端側LFへ延びる底部511の端部511LFによって下側HDから支持されている。
【0050】
なお、右側連結収容部55Rにおける、中間ハーネス収容部51Rbと基端側ハーネス収容部51Rcの間部分(50A)についても、左側連結収容部55Lにおける、中間ハーネス収容部51Lbと基端側ハーネス収容部51Lcの間部分(50A)よりも先端側LFに位置する(
図2参照)。
【0051】
図2に示すように、一対の連結収容部55は、端部連結部56、中央連結部57および上記連結構造70を介して一体に連結されている。
端部連結部56は、一対の連結収容部55の並列方向Lの両端部に設けられている。端部連結部56は、幅方向Wに沿って底部511同士を連結する連結底部561と、連結底部561の並列方向L両端から立設する一対の連結壁部562とで構成されている。
【0052】
連結底部561は、底部511(
図3参照)と一体に構成されるとともに、連結壁部562は、側壁部512と一体に構成されている。これら連結底部561と一対の連結壁部562で構成される空間は、収容空間Sと同様にワイヤーハーネス4を収容可能に形成されている。
【0053】
中央連結部57および連結構造70は、一対の連結収容部55の並列方向Lの両端部の間部分に複数が設けられている。なお、連結構造70については後述する。
【0054】
バスバー保持部52は、
図2に示すように、幅方向Wに対となって配置される一対の連結収容部55の幅方向Wの両外側に複数が備えられている。具体的には、複数のバスバー保持部52は、並列方向Lに沿って所定間隔を隔てて配設され、夫々が左右夫々のハーネス収容部51の底部511の幅方向Wの外縁から幅方向Wの外側に向けて延出している。
【0055】
複数のバスバー保持部52の夫々には、導通部材3が搭載されている。バスバー保持部52は、複数の導通部材3を個別に保持している。
【0056】
また、
図3に示すように、上述した左側のハーネス収容部51の左側側壁部512Lおよび右側のハーネス収容部51の右側側壁部512Rには、幹線4aから分岐する枝線4bを形成する被覆電線が挿通される挿通口53が並列方向Lに所定の間隔を隔てて複数設けられている。
【0057】
挿通口53は、側壁部512の並列方向Lにおける所定の位置において、側壁部512の上端から下端までを板厚方向(幅方向W)に貫通するとともに、上側HUが開口する断面凹状に形成されている。
なお、並列方向Lに隣接する挿通口53同士の間隔は、電池セル20における電池本体21と隣接する負極端子23との間隔の二倍に等しい。
【0058】
そして、幹線4aから分岐する枝線4bは、挿通口53を通じて収容空間Sから幅方向W外側へと導出され、上述したように、枝線4bを形成する被覆電線の先端が導通部材3に電気的に接続されている。
【0059】
図1及び
図2に示すように、カバー60は、保持部材本体50における一対のハーネス収容部51の開口D(
図3参照)を閉塞可能に幅方向Wおよび並列方向Lに延びる平板状の天面部61を備えている。天面部61は、ハーネス収容部51における底部511に対して収容空間Sを隔てて対向する。
【0060】
このように構成されたカバー60は、バスバー保持部材5の左右各側において
図1及び
図2に示すように、並列方向Lに沿って3つが並んで配置されている。
【0061】
図2に示すように、並列方向Lに沿って配置された3つのカバー60によって、並列方向Lに沿って延びる連結カバー部65が構成されている。連結カバー部65は、
図2に示すように、並列方向Lに沿った軸を対称軸として対となって配置されている。一対の連結カバー部65は、夫々細長い直線形状で樹脂成形により形成され、幅方向Wに所定間隔を隔てて互いに平行に配置されるとともに、端部カバー連結部63を介して幅方向Wにおいて互いに連結されている。端部カバー連結部63は、一対の連結カバー部65の並列方向Lの両端部に設けられている。
【0062】
ここで、一対の連結カバー部65のうち、右側の連結カバー部65を右側連結カバー部65Rとするとともに、左側の連結カバー部65を左側連結カバー部65Lとする。さらに、
図2に示すように、右側連結カバー部65Rにおいて、並列方向Lに沿って並んだ3つのカバー60を、先端側LFから基端側LBに向けて、それぞれ先端側カバー60Ra、中間カバー60Rb、基端側カバー60Rcとする。
【0063】
同様に、左側連結カバー部65Lにおいて、並列方向Lに沿って並んだ3つのカバー60を、先端側LFから基端側LBに向けて、それぞれ先端側カバー60La、中間カバー60Lb、基端側カバー60Lcとする。
【0064】
また、
図2に示すように、一対の連結カバー部65は、並列方向Lの長さが互いに同じであるとともに、並列方向Lの位置が互いに一致するように形成されている。但し、先端側カバー60Laは、先端側カバー60Raよりも並列方向Lの長さが長くなるように形成され、基端側カバー60Lcは、基端側カバー60Rcよりも並列方向Lの長さが短くなるように形成され、中間カバー60Rbと中間カバー60Lbとは、並列方向Lの長さが互いに同じ長さとなるように形成されている。
【0065】
これにより、並列方向Lに配置された複数のカバー60は、左側連結カバー部65Lと右側連結カバー部65Rとの相互間で、夫々の間部分60Aの位置が並列方向Lにおいて異なる位置としている。
【0066】
例えば、右側連結カバー部65Rにおける、先端側カバー60Raと中間カバー60Rbの間部分60Aは、左側連結カバー部65Lにおける、先端側カバー60Laと中間カバー60Lbの間部分60Aよりも先端側LFに位置する。
【0067】
同様に、右側連結カバー部65Rにおける、中間カバー60Rbと基端側カバー60Rcの間部分60Aは、左側連結カバー部65Lにおける、中間カバー60Rbと基端側カバー60Rcの間部分60Aよりも先端側LFに位置する。
【0068】
また、
図3に示すように、本実施形態のバスバー保持部材5には、ハーネス収容部51とカバー60とを互いに取り付ける取付部90が並列方向Lに沿って複数設けられている。取付部90は、カバー60の側に設けられた係止枠部91と、ハーネス収容部51の側壁部512に設けられ、係止枠部91に対して係脱可能に係止する係止凸部92とで構成される。
【0069】
また、
図3~
図5に示すように、連結構造70は、幅方向Wに間隔を隔てて互いに平行に配置された左側連結収容部55Lと右側連結収容部55Rとの間に介在するとともに、左側連結収容部55Lと右側連結収容部55Rとの夫々において、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51同士の間部分(50A)に跨って備えている。
そして、連結構造70は、幅方向Wに隣接するハーネス収容部51同士を連結するとともに、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51同士を連結するように設けられている。すなわち、バスバー保持部材5は、2つの連結構造70を備えている。これら2つの連結構造70は、互いに同一形状で形成されている。
【0070】
図6は
図3中のD1-D1線に沿う要部を一部仮想線で示すとともにD1-D1線矢視に対して先端側LFかつ上側HUから視た斜視断面図を示し、
図7は
図6において移動連結部材81を一部破断面で示した斜視断面図を示し、
図8(a)は
図3のD2-D2線に沿った要部を示す断面図を示し、
図8(b)は、
図8(a)中のD3-D3線に沿った要部を示す断面図を示し、
図9(a)は右側WR、基端側LB、かつ上側HUから視た移動連結部材81の斜視図、
図9(b)は、左側WL、先端側LFかつ下側HDから視た移動連結部材81の斜視図を示す。
【0071】
これら図面において図示するように、連結構造70は、並列方向Lに間隔を隔てて配置された一対の延設部71と、延設部71と別体で構成され、一対の延設部71の間部分を並列方向Lに跨ぐとともに、並列方向Lに移動可能に一対の延設部71の夫々と連結する移動連結部材81とが備えられている。
【0072】
一対の延設部71は、右側連結収容部55Rと左側連結収容部55Lとの夫々において、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51の間部分(50A)を隔てた各側に配置されている。これら一対の延設部71は、幅方向Wに沿った軸に対して対称形状に配置されているため、一対の延設部71のうち先端側LFの延設部71に基づいて延設部71の形状について説明する。
図6、
図7、
図8(a)(b)に示すように、延設部71は、延設部本体72と幅方向延伸突部73と抑え部74とガイド支持部76と上方突起部77とで一体に形成されている。
【0073】
図4~
図7及び
図8(b)に示すように、延設部本体72は、幅方向Wおよび並列方向Lに延びる平板状に形成され、
図4~
図6に示すように、並列方向Lにおける先端側LFの部位を除いて、左側連結収容部55Lと右側連結収容部55Rとの幅方向Wの間隔よりも短く形成されている。
【0074】
図4~
図7及び
図8(a)に示すように、延設部本体72の基端側LBの部位は、該延設部本体72に対して幅方向Wの両端部に備えた一対のハーネス収容部51の間においてガイド支持部76を介して支持されている。
【0075】
図6及び
図8(b)に示すように、ガイド支持部76は、延設部71に対して幅方向Wの両側に有する一対のハーネス収容部51の側壁部512における、延設部本体72よりも下方位置から幅方向Wにおける収容空間Sと反対側へ延出する基部761と、基部761の先端から上方へと延出する先端部762とを備えている。ガイド支持部76の先端部762は、上端が延設部本体72の幅方向Wの夫々に対応する端部に連結されている。
【0076】
ガイド支持部76の先端部762と、ガイド支持部76の基部761が取り付けられた側壁部512との幅方向Wの隙間には、移動連結部材81に備えた後述する被ガイド突起部83を上方から嵌め込み可能とするガイド溝76Sが形成されている。
【0077】
幅方向延伸突部73は、延設部本体72の先端側LFの部位から上方へ突出している。延設部本体72の先端側LFの部位は、左側連結収容部55Lと右側連結収容部55Rの幅方向Wの間部分において、該間部分の幅方向Wの全長に亘って形成されている。
【0078】
すなわち、延設部本体72の先端側LFの部位は、延設部71に対して幅方向Wの両端部が、夫々に対応するハーネス収容部51にガイド支持部76を介さずに直接連結されている。
【0079】
図6、
図7及び
図8(a)(b)に示すように、延設部71の幅方向Wの外側には、移動連結部材81を抑える抑え部74を備えている。
図6~
図8(a)に示すように、抑え部74は、幅方向延伸突部73における幅方向Wの外側部分から上方へ突出する基部741と、先端側LFに向けて水平に突出する抑え部本体742とを備えている。
【0080】
図8(b)に示すように、抑え部本体742の下面と上方突起部77の上面との高さ方向Hの間隔は、移動連結部材81の高さ方向Hの厚みと略同じになるように形成されている。抑え部74の幅方向Wの外縁は、幅方向Wに近接するハーネス収容部51の側壁部512に一体に連結されている。
【0081】
図6、
図7及び
図8(a)(b)に示すように、延設部本体72における、幅方向延伸突部73よりも基端側LBの平面視略中央部には、周辺に対して上方に突出する上方突起部77が設けられている。
図6及び
図8(b)に示すように、上方突起部77は、幅方向Wに沿って直線状に延びている。
【0082】
図6及び
図8(a)に示すように、先端側LFの延設部71の上方突起部77は、並列方向Lに沿って切断した断面視で基端側LBの部分771の上側HUへの突出長さが、基端側LBへ向けて徐々に小さくなるように形成されている。すなわち、上方突起部77の基端側LBの部分771の上面には、基端側LB程高さが低くなるように傾斜する傾斜案内面771aが形成されている。
【0083】
上方突起部77は、延設部本体72における、上方突起部77の周辺部を高さ方向Hに弾性変形可能に形成することに伴って高さ方向Hに変位可能としている。
【0084】
詳しくは、
図5、
図6及び
図8(a)(b)に示すように、延設部本体72における、上方突起部77に対して幅方向Wの両側の縁辺には、並列方向Lに延びる一対の並列方向延在溝791が形成されるとともに、上方突起部77に対して先端側LFの縁辺には、幅方向Wに延びる幅方向延在溝792が形成されている。一対の並列方向延在溝791の先端側LFの端部同士は、幅方向延在溝792によって連結されている。
【0085】
これにより、延設部本体72における、上方突起部77の周辺部は、延設部本体72の外周に対して高さ方向Hに弾性変形(撓み変形)する弾性舌片部78が形成されている。そして、弾性舌片部78の上面に設けられた上方突起部77は、弾性舌片部78が高さ方向Hに弾性変形することに伴って高さ方向Hに変位可能としている。
【0086】
図6~
図9(a)(b)に示すように、移動連結部材81は、幅方向Wの長さよりも並列方向Lの長さが長くなるように平面視で略長方形状に形成された板状の連結部材本体部82と、連結部材本体部82の幅方向Wの両側から下方へ突出する被ガイド突起部83と、連結部材本体部82の並列方向Lの両端部から下方へ突出する段差部84と、並列方向Lの中間位置で幅方向Wに延びるとともに下方に突出する隔壁部85とで形成されている。
なお、
図8(b)に示すように、移動連結部材81は、左側連結収容部55Lと右側連結収容部55Rの幅方向Wの間隔よりも短い幅方向Wの長さで形成されている。
【0087】
図9(a)に示すように、連結部材本体部82の上面の4つのコーナー部、すなわち、平面視で一対の延設部71に備えた4つの抑え部74の夫々の位置に対応する部位には、被抑え部86が形成されている。被抑え部86は、連結部材本体部82の上面の4つのコーナー部以外の部分に対して一段降下して形成されるとともに、上面が平坦な水平面で形成されている。
【0088】
図6、
図7、
図8(b)に示すように、被ガイド突起部83は、ガイド溝76Sに嵌め込み可能に連結部材本体部82の下面よりも下方へ突出するとともに、連結部材本体部82の並列方向Lの両端部を除く部分に並列方向Lに沿って直線状に形成されている。これにより、被ガイド突起部83は、ガイド溝76Sに嵌め込まれた状態で並列方向Lに沿って移動可能にガイド支持部76によってガイド支持される。
【0089】
段差部84は、連結部材本体部82の幅方向Wの両側に設けられた被抑え部86の間において幅方向Wに沿って延びている。
【0090】
図7及び
図9(a)に示すように、連結部材本体部82の並列方向Lの両端に有する段差部84のうち、先端側LFの段差部84は、延設部本体72の先端側LFの端部から降下する縦壁部841と、縦壁部841の下端から先端側LFへ突き出す突出端部842とで形成されている。
【0091】
同様に、連結部材本体部82の並列方向Lの両端に有する段差部84のうち、基端側LBの段差部84は、延設部本体72の基端側LBの端部から降下する縦壁部841と、縦壁部841の下端から基端側LBへ突き出す突出端部842とで形成されている。
【0092】
図7及び
図9(b)に示すように、隔壁部85は、連結部材本体部82の並列方向Lの中間位置から下方へ突出し、幅方向Wの両側に有する被ガイド突起部83同士を連結するように幅方向Wへ延びている。隔壁部85は、被ガイド突起部83と略同じ突出長さで下方へ突出し、並列方向Lにおいて一対の延設部71同士の間に配置されている。
【0093】
延設部71における、上述した抑え部74と上方突起部77とで移動連結部材81の被抑え部86を上下各側から挟み込むように配置することで、延設部71に対して移動連結部材81が高さ方向Hに移動することを規制する。
【0094】
また、一対の延設部71のうち、例えば、先端側LFの延設部71が、
図8(a)に示す状態から
図10(a)に示すように、移動連結部材81に対して基端側LBへ移動したとき、移動連結部材81における、上述した隔壁部85は、先端側LFの延設部71における基端側LBの端部と並列方向Lに干渉する。
【0095】
同様に、基端側LBの延設部71が、
図8(a)に示す状態から
図10(a)に示すように、移動連結部材81に対して先端側LFへ移動したとき、隔壁部85は、基端側LBの延設部71における先端側LFの端部と並列方向Lに干渉する。
【0096】
このように、隔壁部85は、並列方向Lにおいて隣接する保持部材本体50が所定範囲を超えて互いに近接する方向へ移動することを規制する。
なお、本実施形態において上述した所定範囲は、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51が互いに近接する方向へ移動する際に、互いに直接当接せずに、互いの間隔を保持可能な範囲である。
【0097】
また、
図8(b)に示すように、例えば、先端側LFの延設部71が移動連結部材81に対して所定範囲を超えて先端側LFへ移動したとき、先端側LFの延設部71における、上述した上方突起部77は、移動連結部材81における先端側LFの段差部84と並列方向Lに干渉する。
【0098】
同様に、例えば、基端側LBの延設部71が所定範囲を超えて基端側LBへ移動したとき、基端側LBの延設部71における、上述した上方突起部77は、移動連結部材81における基端側LBの段差部84と並列方向Lに干渉する。
このように、上方突起部77は、並列方向Lにおいて隣接する保持部材本体50が互いに離間する方向に所定範囲を超えて移動することを規制する。
【0099】
なお、本実施形態において上述した所定範囲は、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51が互いに離間する方向へ移動する際に、移動連結部材81による連結状態が解除されない範囲、すなわち互いに分離しない範囲を挙げることができる。
【0100】
また、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51が互いに離間する際には、電池セル20の熱膨張による並列方向Lの位置ずれ吸収可能な範囲で移動するものとする。
【0101】
一対の延設部71の夫々と移動連結部材81とは、上述したように、高さ方向Hおよび並列方向Lに規制された状態で互いに組付けられている。続いて、一対の延設部71のうち先端側LFの延設部71と移動連結部材81との組付け手順の一例について
図11(a)(b)を用いて説明する。
なお、
図11(a)は、先端側LFの延設部71と移動連結部材81との組み付け直前の様子を
図8(a)に対応して示す断面図を示し、
図11(b)は同じく組付け途中の様子を示す断面図を示す。
【0102】
まず、
図11(a)に示すように、先端側LFの延設部71と移動連結部材81とを互いに分離した状態で並列方向Lに沿って配置する。
【0103】
移動連結部材81を先端側LFの延設部71に対して近接する方向、すなわち先端側LFへ移動させると、被ガイド突起部83がガイド溝76S(
図6参照)に対して基端側LBから差し込まれる。これにより、移動連結部材81の被ガイド突起部83は、先端側LFの延設部71のガイド支持部76に支持された状態となる。
【0104】
さらに、移動連結部材81を先端側LFへ移動させると、移動連結部材81の先端側LFの段差部84が上方突起部77の傾斜案内面771aに当接する。これにより、上方突起部77には、傾斜案内面771aを介して下方成分の荷重が作用する。よって、
図10(b)に示すように、上方突起部77は、弾性舌片部78の下方への弾性変形により並列方向Lにおいて移動連結部材81の先端側LFの段差部84と当接しない位置まで降下させることができる。
【0105】
このように移動連結部材81の先端側LFへの移動は、移動連結部材81の段差部84と上方突起部77とが並列方向Lにおいて干渉することによって規制されない。よって、移動連結部材81と先端側LFの延設部71は、移動連結部材81に対する高さ方向Hの相対位置を変動させることなく互いに近接させることができる。
【0106】
このため、移動連結部材81を、先端側LFの延設部71における、上述した抑え部74と上方突起部77との間に、基端側LBから先端側LFへと差し込むことができる。そして、移動連結部材81は、上述したように、抑え部74と上方突起部77との間に被抑え部86が挟み込まれるように配置されることで(
図8(a)(b)参照)、高さ方向Hに規制された状態となる。
【0107】
さらに、
図8(a)(b)に示すように、移動連結部材81の段差部84を上方突起部77よりも先端側LFへと移動した際には、弾性舌片部78は、段差部84による上方突起部77を介した下方への押圧が解除されるため、自身の復元力により上方突起部77を元の位置まで復元させることができる。
これにより、
図8(a)(b)に示すように、先端側LFの延設部71と移動連結部材81とを互いに組み付けることができる。
基端側LBの延設部71と移動連結部材81とについても先端側LFの延設部71と移動連結部材81との上述した組み付け手順と同じ要領で互いに組み付けることができる。このような移動連結部材81と一対の延設部71の夫々との組み付けによって、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51は、連結構造70を介して移動可能に連結することができる。
【0108】
上述した本実施形態のバスバー保持部材5は、以下の作用効果を奏することができる。
図3~
図8に示すように、本実施形態のバスバー保持部材5は、並列方向Lに隣接して配置された保持部材本体50の夫々に備えた延設部71同士が、移動連結部材81を介して並列方向Lに移動可能に連結されるため、バスバー保持部52に保持された導通部材3は、電池セル20の熱膨張による並列方向Lの位置ずれに追従して並列方向Lに移動できる。
従って、複数の電池セル20が並列方向Lに熱膨張しても導通部材3と電池セル20との良好な接続状態を維持できる。
【0109】
本実施形態のバスバー保持部材5は、上述した効果に加えて以下の作用効果を奏することができる。
図3~
図9に示すように、本実施形態のバスバー保持部材5は、移動連結部材81が、並列方向Lに隣接する保持部材本体50の夫々に備えた延設部71に対して別部材で形成されるため、移動連結部材81を延設部71に対して一体的に構成した場合と比して保持部材本体50の構成を簡素化できるとともに、複数の保持部材本体50を互いに同一形状で形成し易くなる。
【0110】
さらに、本実施形態のバスバー保持部材5は、並列方向Lに隣接する保持部材本体50が、移動連結部材81を介して互いに連結されるため、互いの一体性が高まり、容易に持ち運びできるとともに、電池ユニット2に対して容易に取り付けることができる。
【0111】
また、
図3~
図7、
図8(b)に示すように、に示すように、本実施形態のバスバー保持部材5は、連結構造70の一部を成す延設部71によって、一対のハーネス収容部51を幅方向Wに連結する構成とすることで、幅方向Wに隣接する一対のハーネス収容部51の一体性を高めることができるとともに、連結構造70を一対のハーネス収容部51の幅方向Wの間に備え易くなる。
【0112】
さらに、連結構造70を一対のハーネス収容部51の幅方向Wの間に備えることで、並列方向Lに隣接する一対のハーネス収容部51を、連結構造70を介して並列方向Lに移動させる際に、左右のハーネス収容部51の間でバランスよく移動させることができる。
【0113】
また、延設部71は、並列方向Lに隣接するハーネス収容部51同士を連結する連結構造70の一部として備えるのみならず、幅方向Wに配置される一対のハーネス収容部51同士を連結するための機能も担うため、構成の簡素化を図ることができる。
【0114】
また、
図3、
図6、
図7、
図8(a)(b)に示すように、本実施形態の延設部71は、移動連結部材81の被抑え部86を上下各側から挟み込む抑え部74と上方突起部77を備えることで、延設部71に対する移動連結部材81の高さ方向Hの移動を規制することができる。従って、並列方向Lに隣接する保持部材本体50は、移動連結部材81を介して並列方向Lに沿って相対移動させる際に、不用意に高さ方向Hに移動することなくスムーズに相対移動させることができる。
【0115】
また、
図10(a)に示すように、本実施形態のバスバー保持部材5は、移動連結部材81に設けられた隔壁部85が、並列方向Lに隣接する保持部材本体50の間に介在することで、隣接する保持部材本体50が互いに近接する方向へ移動する際に、互いに当接し合うまで移動することを規制できる。これにより、隣接する保持部材本体50が互いに当接することで傾いたり破損したりことを防ぐことができる。
【0116】
さらに、本実施形態のバスバー保持部材5は、並列方向Lにおいて隣接する保持部材本体50が互いに直接当接することを、隣接する保持部材本体50の相互間において互いに共通する隔壁部85によって規制できるため、隣接する保持部材本体50を別々に規制する場合と比して構成を簡素化できる。
【0117】
また、
図10(b)に示すように、本実施形態のバスバー保持部材5は、段差部84と上方突起部77とが干渉することで、隣接する延設部71同士が並列方向Lに互いに離間する方向に所定範囲を超えて移動することを規制できる。これにより、隣接する延設部71同士の移動連結部材81を介した連結状態が意に反して解除されることを防ぐことができる。
【0118】
また、本実施形態のバスバー保持部材5は、延設部71に対して移動連結部材81が高さ方向Hに移動することを規制された状態においても、
図11(b)に示すように、段差部84に対して並列方向Lにおいて干渉しない位置まで上方突起部77を下方へ弾性変位させることで、上方突起部77が支障することがなく、段差部84を上方突起部77よりも幅方向延伸突部73の側へと配置することができる。
【0119】
そして、弾性変位した上方突起部77を元の位置に復帰させることで段差部84を上方突起部77よりも幅方向延伸突部73の側へと配置した状態に保つことができるため、延設部71と移動連結部材81とを組み付けることができる。すなわち、保持部材本体50同士は、移動連結部材81を介して互いに連結することができる。
【0120】
また、
図1~
図5に示すように、本実施形態のバスバー保持部材5は、並列方向Lにおいて隣接する保持部材本体50同士の間部分50Aが、並列方向Lの他の部分と比して剛性が低くなるが、この間部分50Aの位置を左右一対の連結収容部55の相互間で異なる構成とすることで、全体としての曲げ剛性を確保することができる。
【0121】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、バスバーは、導通部材3に対応し、以下同様に
ハーネスは、ワイヤーハーネス4に対応し、
電池は、電池セル20に対応し、
移動規制部は、抑え部74および上方突起部77に対応し、
並列方向規制部は、上方突起部77または隔壁部85に対応し、
延設部同士の間に配置された並列方向規制部は、隔壁部85に対応し、
幅方向及び並列方向と直交する直交方向は、高さ方向Hに対応し、
並列方向と交差する方向は、幅方向Wに対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0122】
例えば、本実施形態のバスバー保持部材5は、延設部71に対する移動連結部材81の高さ方向Hの移動を規制する移動規制部として抑え部74および上方突起部77を備え、隣接する保持部材本体50が互いに直接当接するまで近接することを規制する並列方向規制部として隔壁部85を備え、さらに、隣接する保持部材本体50が互いに分離するまで離間することを規制する並列方向規制部として、段差部84に干渉可能な上方突起部77を備えている。但し、本発明のバスバー保持部材は、上述した実施形態の構成に限定せず、これら規制部のうち、少なくとも一つを備えた構成としてもよい。
【0123】
また、一対の延設部71が並列方向Lにおいて互いに近接する方向へ移動する際に、それ以上互いに近接しないように規制する手段としては、本実施形態のように、一対の延設部71が移動連結部材81の隔壁部85に干渉する手段に限らず、他の手段を採用してもよい。
【0124】
例えば、先端側LFの延設部71が所定範囲を超えて移動連結部材81に対して基端側LBへ移動したとき、移動連結部材81における、先端側LFの段差部84と幅方向延伸突部73とが並列方向Lに干渉することで、それ以上互いに近接する方向へ移動しないように規制する構成としてもよい。
【0125】
また、本発明の移動連結部材は、本実施形態の移動連結部材81のように並列方向Lに隣接する一対の延設部71の夫々に対して、並列方向Lに移動可能に連結された構成に限らず、並列方向Lの何れか一方の延設部71に対して並列方向Lに移動可能に連結された構成としてもよい。
【0126】
また、本実施形態のバスバー保持部材5は、左右一対の連結収容部55の夫々において、並列方向Lに沿って配置された3つのハーネス収容部51を備えたが、本発明のバスバー保持部材は、これに限定せず、3つ以外の複数のハーネス収容部51を備えた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1…電池モジュール
2…電池ユニット
3…導通部材
4…ワイヤーハーネス
5…バスバー保持部材
20…電池セル
52…バスバー保持部
51…ハーネス収容部
50…保持部材本体
50A…並列方向に隣接する保持部材本体の間部分
70…連結構造
71…延設部
74…抑え部
77…上方突起部
81…移動連結部材
84…段差部
85…隔壁部
L…並列方向
W…幅方向
H…高さ方向